MuayThaiOpenもついに50回目、与那覇壱世は更なる頂点へ! 堀田春樹

注目の与那覇壱世が熟練の技、臨機応変にステップワーク使って右フックで倒し切った。
矢島直弥はONEに向けてのステップとなるタイトルは惜しくも僅差で逃がす。
大森弘太は主導権奪って大差となる戦略で王座獲得。

◎MuayThaiOpen.50 / 3月22日(土)ひがしんアリーナ / プロ興行17:00~20:50
主催:センチャイジム / 認定:ルンピニージャパン(LBSJ)

戦歴経歴は主催者側のデータによるものです。前日計量はセンチャイ中野ジムにて21日13時より行われています。

◆第13試合 ムエタイオープン・スーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

KNOCK OUT(RED)スーパーバンタム級チャンピオン壱・センチャイジム
(=与那覇壱世/センチャイ/1997.8.15沖縄県出身/ 55.05kg)
          VS
シンクロン・コーイ・ヌムパグディー(2007.5.23タイ国出身/ 54.95kg)
勝者:壱・センチャイジム / TKO 2ラウンド 1分33秒
主審:神谷友和

壱世はミドルキックで前進。シンクロンにプレッシャーを与えロープ際に詰める。シンクロンも蹴り返すが、壱世が先手を打った流れで攻勢気味。

第2ラウンドも壱世が様子見ながらやや前進し、いきなりの右フックでノックダウンを奪うと、何とか立ち上がったシンクロンに距離を詰め、ミドルキックからパンチ連打、ロープ際に詰めている中、再び右フックで失神ノックアウト(TKO)に繋げた。

壱世がシンクロンをロープ際に追い詰めKOに繋げる間合いに入った
壱世が右フックカウンターで倒し切った

壱世は「5ラウンドある中で、敢えて早いうちに倒しに行きたいなという思惑があったので、僕が行き過ぎたんですけど、それで相手が警戒していた感じでしたが、1ラウンド後のインターバル中にセンチャイ会長がアドバイスをくれて、その指示どおり、スローペースでゆっくり溜めて入ってスッと素早く右フック入ってダウン取って、二度目のダウンも右フックで倒せました。」と狙いどおりのクリーンヒットだった様子。

グローブについてはタイ製の6オンスで、「当然オープンフィンガーグローブと違う感じでしたけど、これでも僕自身に倒す力が付いてきたのかと今回思いました。」と語った。

壱世が保持する二つのチャンピオンベルトを掲げてメインイベントを締めた

壱世は昨年12月までに行われたJAPAN CUP 55kg級トーナメントで準優勝ではあったが、今年2月28日にONE Championship(Friday Fight)でKO勝利してONEでは2戦2勝(1KO)となっています。

◆第12試合 ムエタイオープン・バンタム級王座決定戦 5回戦

矢島直弥(元・WPMF日本フライ級Champ/TSK Japan/1990.8.18神奈川県出身/ 53.35kg)
        VS
イティポン・シット・ポー・チョー・ウォー(2001.1.6タイ国出身/ 53.3kg)
勝者:イティポン・シット・ポー・チョー・ウォー / 判定1-2
主審:和田良覚
副審:ピリカ49-48. 河原48-49. 谷本48-49

初回、矢島直弥はローキックで牽制。イティポンをロープ際に詰めてパンチへ繋いで、プレッシャーを与える。イティポンは下がりながらも蹴って来る勢いと組み付くとイティポンの体勢が有利に動き、バランス良くヒザ蹴りを蹴って来る。

イティポンがヒザ蹴りで矢島直弥に圧力を掛けスタミナを奪っていく
矢島直弥も攻勢に転じたラッシュも光った

矢島直弥は後半に入ってもパンチ、蹴りで攻める勢いはあるが、イティポンの身の躱し、蹴るタイミングは上手い。ラストラウンドもパンチで行くしかない矢島直弥は倒すしかないという流れも、イティポンの躱す構え、逃げ凌ぐ上手さでイティポンのペース崩せず終了。判定は分かれる結果でイティポンの際どい判定勝利となった。

◆第11試合 ムエタイオープン・ライト級王座決定戦 5回戦

弘・センチャイジム(=大森弘太/センチャイ/2001.11.14東京都出身/ 61.1kg)
        VS
JKIスーパーフェザー級チャンピオン.新田宗一朗
(クロスポイント吉祥寺/1996.4.2沖縄県出身/ 61.0kg)
勝者:弘・センチャイジム / 判定3-0
主審:大澤武史
副審:ピリカ49-47. 河原49-47. 和田49-47

初回早々はローキックの攻防。上下の蹴り中心にパンチも加わるが、徐々に弘太が前に出る圧力が強まる。第3ラウンドにはパンチ中心の打ち合い増えるも、弘太はヒザ蹴りも加え攻勢を強め、劣勢に陥る新田は逆転狙ってパンチ打っても弘太の勢い止められない。弘太が中盤から主導権奪った攻勢を維持して内容的には大差となる展開で判定勝利。

弘太の勢いが増した終盤の圧倒の蹴り
終盤、弘太が圧力掛けて出ると新田宗一朗は劣勢から逃れられず

◆第10試合 58.0契約3回戦

稔之晟(=じんのじょう/マイウエイスピリッツ/2000.4.11山梨県出身/ 57.6kg)
        VS
チャイヤンレック・モー・コー・チョー・チェンマイ(2004.6.27タイ国出身/ 56.9kg)
勝者:稔之晟 / 判定3-0
主審:谷本弘行
副審:リカ30-28. 大澤30-28. 和田30-27

稔之晟はチャイヤンレックを上回る先手打ち、前蹴りや上下の蹴り、組み合ってのヒザ蹴りもそれぞれの間合いを上手く取って徐々に攻勢を強めてチャイヤンレックを後退させ、稔之晟が圧倒の展開で判定勝利。

稔之晟が前蹴りでチャイヤンレックの前進を止めムエタイ技で優った

◆第9試合 63.0kg契約3回戦

錦和道(FIGHTBASE都立大/1989.12.2京都府出身/ 63.15kg)
        VS
テレカ(NEXTLEVEL渋谷/1990.5.7東京都出身/ 63.1kg)
勝者:テレカ / TKO 2ラウンド 2分37秒
主審:河原聡一

両者、パンチの威嚇からローキック、更にミドルキックへ。錦和道のハイキックや後ろ蹴りも見せる中、テレカは冷静に打ち返し打ち合う中、連打から左フックか、錦和道がノックダウンし、カウント中のレフェリーストップとなる。

テレカが攻勢を維持して右ストレートヒット

◆プロ第8試合 ウェルター級3回戦

中村漣(BOUNCER/2000.8.26東京都出身/ 66.3kg)
        VS
ムン・ソンチョル(2005.1.7韓国出身/ 66.25kg)
勝者:ムン・ソンチョル / 判定1-2
主審:神谷友和
副審:ピリカ30-28. 大澤28-29. 谷本28-29

ムン・ソンチョルは韓国でプロ戦績は接戦の2戦2敗だが、アマチュアでは好成績を残している模様。“バシッ”と中村漣を捉える強い蹴り。中村漣も劣らぬ強い蹴りで返し互角に進む展開。採点が分かれる明暗はムン・ソンチョルの手が挙げられた。

韓国のムン・ソンチョルはアグレッシブに攻め続け、僅差ながら勝利を掴んだ

◆第7試合 アマチュアフェザー級3回戦

駒木根稔和(TSK Japan/2009.5.7神奈川県出身/ 55.15kg)
        VS
渡辺悠斗(センチャイムエタイ錦糸町/2008.3.9東京都出身/ 56.65kg)
勝者:駒木根稔和 / TKO 2ラウンド31秒
主審:和田良覚

後ろ蹴りも柔軟に多彩な蹴り技で前進する、まだ15歳の駒木根稔和がミドルキックで倒し、カウント中にレフェリーストップが掛かった。

駒木根稔和は昨年8月4日のWBCムエタイジュニアリーグ× EXPLOSION全国大会で、男子中学生クラス-55kg級優勝。

◆第6試合 アマチュア47.0kg契約3回戦

大久保海成(橋本道場/2010.8.10東京都出身/ 46.55kg)
        VS
姉帯心(ノーナクシン/2010.5.14東京都出身/ 46.2kg)
勝者:大久保海成 / 判定3-0 (29-28. 29-28. 29-28)

◆第5試合 アマチュア40.0kg契約3回戦

宮城壮一朗(FREEDOM@OZ/2012.2.17千葉県出身/ 39.9kg)
        VS
浦田七斗(CLIMB/2011.7.9宮崎県出身/ 39.0kg)
勝者:宮城壮一朗 / 判定3-0 (30-28. 30-27. 30-28)

◆第4試合 アマチュア32.0kg契約3回戦

川原さくら(橋本道場/2012.1.14福岡県出身/ 31.8kg)
        VS
小貝春喜(拳伸/2013.6.18千葉県出身/ 30.95kg)
勝者:川原さくら / 判定3-0 (29-28.30-28. 30-29)     

◆第3試合 アマチュア69.0kg契約3回戦          

志賀野真人(TSK Japan/2007.6.17神奈川県出身/ 69.1kg)
        VS
神山聖(トイカツ道場/1983.4.22埼玉県出身/ 69.35kg)
勝者:志賀野真人 / TKO 3ラウンド 1分3秒

◆第2試合 アマチュア34.0kg契約3回戦
        
林田海(橋本道場/2012.12.4中国出身/ 32.5kg)
        VS
富高蒼大(CLIMB/2013.7.21宮崎県出身/ 34.0kg)
引分け 1-0 (29-29. 30-29. 29-29)

◆第1試合 アマチュア28.0kg契約3回戦

鈴木翔大(CYCLONE/2012.10.30東京都出身/ 27.45kg)
        VS
佐藤蒼壬(CLIMB/2014.11.11宮崎県出身/ 27.0kg)
勝者:鈴木翔大 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

《取材戦記》

プロモーターのセンチャイ氏は興行について、「今日もまあまあ上手くいった興行と思います。お客さんはムエタイファンらしさがあって最後まで居て頂いて盛り上げてくれました。壱世もしっかり魅せてくれて良かったです。」と、いつもながらの穏やかな回答。

今回のタイトルマッチ、当初の確認ではルンピニージャパン王座決定戦でしたが、本場ルンピニースタジアム最高責任者が交代して今回のタイトルマッチ認可まで間に合わなかった模様で、センチャイ・トーングライセーン会長が務めるムエタイオープン王座決定戦に落ち着きました。

ルンピニージャパンは本場スタジアムの認可が下りないと行えないタイトルと言うだけでも任意のローカルタイトルよりは権威は高いところであり、今後の交渉でタイトルマッチ認可が下りれば開催へ向かうという状況です。

ただ、ルンピニージャパンという日本国内タイトルになぜタイ選手が出場出来るのか。センチャイ氏に聞いたところが、「ハイ、タイ選手でも大丈夫です!」と、意図するところが伝わり難い。

大雑把に纏めると、「“ムエタイオープン”という興行タイトルどおり、団体も国境も垣根の無いオープンな戦いです。」というところからルンピニージャパンに於いても国内に限らないインターナショナル的タイトルという解釈となる模様。

タイトルマッチについてはラウンドマストシステムで採点し、延長戦については規定を超えるラウンドは行なわないというシステムは本場タイの規定どおりで正論だった。

しかし、「マストシステムでも引分けは起こり得る」など、まだツッコミどころはあるが、選手が練習成果をしっかり発揮できるイベントとしては、更なるビッグイベントへ向けたステップとなるムエタイオープンでしょう。

次回興行は今のところ未定ながら、今年もあと3回開催予定の模様です。

センチャイ会長のコメントによると、壱世は4月18日にルンピニースタジアムでのONE Championship(Friday Fight)に出場し、6月の「KNOCK OUT」イベントにも出場希望していると言い、壱世は現在存在する世界のビッグイベントへの飛躍が続きそうである。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

選挙ポスター規制法成立、NHKではなく日本のデモクラシーをぶっ壊す立花孝志さん さとうしゅういち

3月26日、公職選挙法改正案=選挙ポスター規制法案が賛成多数(反対はれいわ新選組とNHK党のみ)成立しました。この法案は「品位を損なう内容を記載してはならない」とする品位保持規定を新設し、特定商品などの営業を記載した場合は100万円以下の罰金とする、としています。

とりあえず、ポスター規制法で今夏の都議選や参院選の様子を見て、いわゆる「二馬力選挙」(後述)やSNS規制などについても議論していくことになります。

◆東京と兵庫の知事選挙で〈暴走〉する立花さん

この法案は、言うまでもなくNHK党党首で元参院議員の立花孝志さんによる東京都知事選挙2024や兵庫県知事選挙2024での「暴走」が背景にあります。

東京都知事選挙では、立花孝志さん率いるNHK党は有力女性格闘家らに対してポスターの掲示枠を「販売」したり、元同志の誹謗中傷とみられる内容をポスターに掲載したりしました。

また、兵庫県知事選挙2024では、立花さんが県議会の不信任決議で失職した斎藤元彦・兵庫県知事を援護すると称して立候補(いわゆる二馬力選挙)。2024年3月に斎藤知事によるパワハラなどを内部告発した後、7月に渡瀬元県民局長を誹謗中傷する内容の選挙ポスターを公営掲示板に掲示しました。

広島瀬戸内新聞関西支局の鈴木記者撮影

さらに立花さんは、兵庫県議会の百条委員会の奥谷委員長や丸尾牧議員、竹内英明議員らをSNS上で攻撃。これに影響された人々がこうした議員を誹謗中傷する投稿をしたり、奥谷委員長の自宅前に押し掛けたりしました。

その後、竹内議員が誹謗中傷に耐えかねて議員を辞職しても、立花さんらによる攻撃は続き、2025年1月18日に竹内さんは亡くなりました。そうすると、立花さんは「竹内元議員は逮捕予定だったことを苦に自死した」などとSNS上で発言。村井兵庫県県警本部長は県議会で「竹内議員を被疑者として事情聴取する予定もなければましてや逮捕の予定などもない」と立花さんの発言を否定する異例の事態となりました。

立花さんはその後も、泉大津市長選挙や千葉県知事選挙2025にも立候補。千葉県知事候補なのに兵庫県で兵庫のことを演説したり、財務省前で演説したり、暴走を続けています。こうした中で、立花さんが襲撃される事件も発生しました。
 
◆規制を支持する世論は理解できるが……

立花さんのこれだけの〈暴走〉を見ると、規制やむなしと言う世論は理解できます。

筆者も実は、竹内元議員とは2003年夏に名刺交換をさせていただいています。当時、姫路市議だった竹内さんが、筆者が参加する環境団体の勉強会に参加された際のことです。

瀬戸内海の環境問題についての講義を熱心に聴いておられる様子が、印象に残っています。竹内さんは立憲民主党系会派の方、筆者はどちらかと言えば立憲民主党は好きではない人間ですが、それでも、筆者は竹内さんについては、個人的にはリスペクしています。そんな真面目な竹内さんを追い込んだ立花さんやその支持者の皆さんによる誹謗中傷は許せないという思いは少なくとも広島県内では誰よりも強いと思っています。こういうことを防ぐための手立ては必要だという思いは強くあります。
 
◆規制強化には忸怩たる思い

ただ、国政選挙も含めて立候補経験のある筆者は、規制強化には忸怩たる思いがあります。なぜか?

2021年参院選広島における筆者とポスター

例えば、今回の規制が、今後は権力者に都合が悪い内容、例えば現職の政策への批判や対案まで誹謗中傷=品位を損なう=として規制される道も開きかねないからです。

実際、筆者は、普通に街頭演説で政策を訴えただけなのに「現職の先生に文句があるのか?!」などと、有権者にすごまれたこともあります。普通に政策を訴えることも、誹謗中傷と同じだと受け止めてしまう人もおられるし、そういう人が、権力側から権力に批判的な政治家を潰すために、ポスター規制法や、今後出て来るであろうSNS規制法案なども悪用するのではないか?と危惧しています。

◆治安維持法とセットだった公選法

そもそも日本の公選法は1925年、ちょうど100年前に男性普通選挙導入時に戦前の治安維持法とセットで出来たものです。おおざっぱに申し上げれば、高すぎる供託金制度やその難解さも含め、「庶民がえらい人に刃向かえない」ように設計されているのです。

1945年の第二次世界大戦敗戦に伴い、治安維持法は廃止されましたが、公選法はほぼそのままになっています。

それどころか、約30年前には選挙管理委員会主催の公開討論会がなくなるなど運用が改悪さえされています。

本来は、こうした難解な公選法をむしろ簡素化して、庶民の政治参加へのハードルを下げるのが筋と言うものでしょう。例えば、供託金の引き下げは、カネがかからない政治にするためにも必須です。被選挙権年齢の引き下げは結構ですが、それなら供託金を引き下げるなどしないと、政治に若者は参加しにくいのには変わりがないでしょう。

◆規制強化を招いた立花さんの大罪

しかし、立花孝志さんの「暴走」により、「規制強化」の世論も高まってきます。今後も立花さんが暴走すればするほど、例えば、斎藤元彦・兵庫県知事のファンの方は大喜びするでしょうが、大多数の国民は、規制強化やむなし、へ向かうのではないか?

だが規制強化は、デモクラシーのいわば、自殺にもつながりかねません。

立花孝志さんや立花孝志さんの尻馬に乗ってデマを振りまいた方々の罪は誠に重いといわざるをえません

◆警察やマスコミも立花さんを甘やかすな!

これ以上、警察もマスコミも立花孝志さんに甘い顔をしてはいけない。選挙期間中であっても、例えば、立花さんが嘘の情報で警察の業務を妨害したなら躊躇せずきちんと立件すべきでしょう。「竹内元県議が逮捕予定を苦に自死」?! こんなデマを訂正したのは良いのですが、これこそ、きちんと偽計業務妨害罪で立件すべきでしょう。

警察は、かつて、鹿砦社の松岡社長の不当逮捕や関西生コン労組の不当逮捕などを繰り返してきました。それらにくらべれば「立花逮捕」は、「無量大数」倍、正当ではないでしょうか?証拠隠滅の恐れはないにせよ、東谷義和=ガーシー氏のように海外へ高飛びした先例はあります。逃亡の恐れはないとは言えない。

またマスコミも立花孝志さんや支持者の手口の問題点を臆することなく報道すべきです。

よく、立花さん=ニューメディア VS オールドメディアと言われていますが、いわゆるオールドメディアだって、立花さん=NHK党を甘やかしてきたのです。

筆者自身の経験ですが、参院選広島再選挙2021では、筆者の方がNHK党の候補より得票が多かった。にもかかわらず、某地元メディアは、選挙後の報道で、NHK党の候補の名前を先に報じたことがありました。普通は得票順なのに。無所属ですがきちんと県内で選挙活動した筆者よりも、政党要件がある政党の候補だからとそれだけでNHK党や立花さんを優遇したのです。いわゆる立花信者の方はえらくマスコミに批判的ですが、あなたがたは十分、マスコミに優遇されてきたよ、と申し上げたい。逆にマスコミの皆様は猛省してほしい。

「自民党をぶっ壊す」と言ってきた小泉純一郎さんが日本をぶっ壊したように、立花氏は日本のデモクラシーをぶっ壊しつつある。

また、たかが立花、とまだ軽視しておられる方も少なくないかもしれません。だが、立花氏の発信が斎藤陣営の「軍師」折田楓社長と相まって、大きく兵庫県知事選挙の情勢を動かしたのは間違いない。いまだに立花氏の言うことを信じ込んでいる人が、多くおられる。外国の例で言えば、ヒトラーなど最初は誰も相手にしていなかった。米国で言えばトランプさんなんて誰も相手にしていなかった。だけど、今や大統領になって連日のように世界を振り回しています。

気が付いたら取り返しのつかないような事態にならないよう、立花氏については注意を喚起する一方で、規制強化についても忸怩たる思いがあることをここに表明します。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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◎鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/

滝本太郎編著『トランスジェンダー神話 幻想と真実』をお届けするにあたって 鹿砦社代表 松岡利康

本年はオウム真理教事件から30年が経ち、メディアでもいろいろと報じられております。その詳細はここでは置いておきまして、殺気立ったオウムに敢然と立ち向かいカルトとの命を懸けた闘いを行った一人、滝本太郎弁護士が、ご存知のように、ここ数年闘っているのが新たなカルト=トランスジェンダリズム(性自認至上主義)です。

当社は、森奈津子編著『人権と利権 「多様性」と排他性』を、一昨年のLBGT法案が国会で審議―採択されるにあたり上梓し、以降、医師としての専門知識、堪能な語学力を駆使した女医・斉藤佳苗著『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情報まで』、女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会編著『LGBT異論 キャンセル・カルチャー、トランスジェンダー論争』、同『LGBT問題 混乱と対立を超えるために』、そして今回の『トランスジェンダー神話 幻想と真実』と5冊のLGBT問題関連書を発行してまいりました。累計5冊目となりますが、どの書も、決してLGBT関係団体や当事者といたずらに対立するのではなく、当事者の方々の声を盛り込みつつ、混乱を乗り越えるにはどうすべきか、問題提起をしてきました。

本書は、滝本太郎弁護士が、みずからの論考を数編収めつつ、単独で編纂されましたので、これまでの書とはまた違う趣きがあるものと思います。

当社は、LGBT諸団体や活動家におもねるのではなく、少しでも多角的に、提起された諸問題に取り組むために、今後もこの問題に切り込む書を漸次発行していきたいと考えています。月刊ペースは物理的に厳しくとも年間5~6点ほどの発行を考えています。

LGBT問題についての出版物のほとんどが「性の多様性」の名のもとにLGBT諸団体や活動家の主張礼賛の中で、これに異議を唱える出版物は極めて少ないです。「多様性」というのであれば、「多様」な意見を出し合い対話や議論しなければ混乱は収まりません。というと、「ノーディベート(議論しない)」と逃げるのなら話になりません。

皆様方には、私たちがなぜこの問題に関わり始めたのかご理解いただき、何卒ご購読をお願い申し上げます。(松岡利康)

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

トランスジェンダー神話 幻想と真実

滝本太郎=編著
A5判 総164ページ(巻頭カラー4ページ+本文160ページ)
定価990円(税込み)3月27日発売!

オウム事件から30年 ──
命をかけてカルト=オウム真理教と闘った弁護士・滝本太郎が今、
新たなカルト=トランスジェンダー神話と闘う渾身の書!

1 座談会 ホルモン治療の現実 ── 当事者が語る身体的・社会的影響
2 美山みどり 私のこと ── 性同一性障害特例法を守りたい
3 浅利 進 性同一障害は「思い込み」なのか?
4 性同一障害特例法を守る会 最高裁へのメッセージに現れた「当事者のホンネ」
5 美山みどり 「性別」を変えることの難しさ
6 性同一障害特例法を守る会 [書評]『「性別」医療現場の苦悩——「手術なし」をどうやって…』
7 滝本太郎 トランス女性が希望するトイレ ── TOTOアンケートから
8 滝本太郎 外観要件は合憲である ── 広島高裁
9 滝本太郎 極端な主張と日本学術会議・関東弁護士会連合会(関弁連)の責任
10 滝本太郎 清水晶子氏の論理不明
11 森谷みのり 女性スペースを守る会の闘い ── 裁判の陳述から
12 滝本太郎 東京高裁——「悪質トランス差別団体」との表現は違法な名誉毀損
13 田中あつこ 性犯罪被害の支援者が、なぜこの問題にかかわるのか ── 参加者の発言をきっかけに
14 森 奈津子 トランス男性活動家の運動手法を問う
15 岩佐 凪 公共空間における多様性や安全性、オールジェンダートイレや女性専用スペースに関する課題
14「女性スペースの安心安全確保法案」の説明

西日本新聞押し紙訴訟 控訴理由書提出のお知らせ 江上武幸(弁護士)

去る2月17日、長崎県にある西日本新聞・販売店の押し紙訴訟の控訴理由書を福岡高裁に提出しましたので、ご報告致します。

*西日本新聞長崎県販売店の押し紙訴訟については、「西日本新聞押し紙裁判控訴のお知らせ」(2025年〈令和7年〉1月18日付)「西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ」(2024年〈令和6年〉12月26日付)「西日本新聞押し紙訴訟判決とオスプレイ搭乗記事の掲載について」(同年12月22日付)「西日本新聞押し紙訴訟判決期日決定のご報告」(同年10月15日)を投稿しておりますので、ご一読いただければ幸いです。

また、1999年(平成11年)新聞特殊指定の改定の背景に、当時の日本新聞協会長で讀賣新聞の渡邉恒雄氏と公正取引委員会委員長の根來泰周氏の存在があったことを指摘した黒薮さんの記事、「1999年(平成11年)の新聞特殊指定の改定、押し紙容認への道を開く『策略』」(2024年(令和6年)12月31日付)も是非ご覧ください。

西日本新聞社の押し紙裁判は、現在、2つの裁判が継続しています。長崎県の元販売店経営者を原告とする裁判と、佐賀県の元販売店経営者を原告とする裁判です。

2つの裁判は、ほぼ同時期に提訴しましたので併合審理の申立を行うことも検討しましたが、認められる可能性は薄いと考えたのと、同じ裁判体で審理した場合、勝訴か敗訴判決のいずれか一方しかありませんので、敗訴の危険を分散するために別々の裁判体で審理をすすめることにしました。

これまでも指摘しましたが、今回の敗訴判決を言い渡した裁判官は、2023年(令和5年)4月1日に、東京高裁・東京地裁・札幌地裁から福岡地裁に転勤してきた裁判官です。しかも、裁判長は元司法研修所教官、右陪席は元最高裁の局付裁判官であることから、敗訴判決は想定の範囲内であり、あまり違和感はなかったのですが、原告勝訴の条件がそろっている本件について、三人の裁判官達が如何なる論理構成によって原告敗訴の判決を書いたのかについて、控訴理由書でその問題点を指摘すると共に、新聞特殊指定の押し紙に該当しない場合、独禁法2条9項5号ハの法定優越的地位濫用の有無の判断を求める新たは主張を追加しました。

高裁が、どのような判断を示すかについて、引き続き関心を寄せていただくようお願いします。

(1)注文方法について

西日本新聞社は、販売店の注文は電話で受け付けており、注文表記載の部数は単なる参考にすぎないと主張しています。電話は物的証拠が残らないので、注文表記載の注文部数は参考に過ぎないとの主張が可能となります。注文表記載の注文部数と実際の送り部数に違いがあっても、電話による注文が正式な注文であると主張しておけば、その矛盾を取り繕うことが出来ます。

西日本新聞の主張が欺瞞に満ちたものであることを証明するために、原告は佐賀県販売店主が録音した担当との電話の会話を反訳文を添付して証拠に提出し、原告ら販売店が電話で部数注文はしていない事実を立証しました。

ところが、西日本新聞社は、録音データーの最後の方で担当の言葉が聞きとれない箇所があり、そこで佐賀県販売店経営者が「はい」と答えているのをとらえて、その所で電話による注文がなされているという主張をしました。判決は採証法則に反し西日本新聞社の主張を認める不当な判断を示しました。

佐賀県販売店経営者が録音した会話は20回ありますので、私どもはその会話のすべてについて最後の30秒を一枚のCDに再録し高裁に提出しました。再録時間は全体で10分間ほどですので、高裁裁判官がCDを聴取すれば、電話での注文はしていないことを確認できると考えています。

(2)販売店の自由増減の権利について

西日本新聞社は、販売店に注文部数を自由に決定する権利(「自由増減の権利」)は認めていません。押し紙を抱えている新聞社は、西日本新聞社に限らず何処の新聞社も同じです。

この件についても、佐賀県販売店主は担当との面談で話題に取り上げ会話を録音しています。担当はその会話のなかで、販売店に注文部数自由増減の権利はないとの趣旨の発言をしています。

ところが、ここでも判決は、自由増減の権利を完全に否定したものではないとの西日本新聞社を救済する不当な判断を示しています。

(3)4・10増減について

西日本新聞の4・10増減の問題については、黒薮さんの2021年(令和3年)7月28日付の次の記事をご参照ください。

【参考記事】元店主が西日本新聞社を「押し紙」で提訴、3050万円の損害賠償、はじめて「4・10増減」問題が法廷へ、訴状を全面公開

西日本新聞社は郡部の販売店の折込広告主に対する販売店部数は4月と10月の部数を公表するようにしています。そのため、4月と10月の2ヶ月分の公表部数を他の月より増やしておけば、折込広告主は他の月もその部数を基準に折込広告枚数を決めることになります。西日本新聞社は、販売店の押し紙仕入代金の赤字を折込広告収入で補填するために、この仕組みを利用しています。原告販売店の場合、4月と10月の2ヶ月については、他の月より200部多い部数が供給されています。

これは、西日本新聞社主導による折込広告料の明らかな詐欺ですので、西日本新聞社はその事実が外部に知られないようするため、4月と10月の200部多い部数の供給も原告の注文によるものであるとの主張を行う必要があります。

原告の4月と10月の200部多い公表部数について、原告が折込広告収入を得るために西日本新聞社に他の月より多い部数を注文したものであるとの判断を示し、西日本新聞社の詐欺の責任を不問にしました。

判決は、30年前の平成7年に公正取引委員会事務局が刊行した「一般日刊新聞紙の流通実態等に関する調査報告書」に、「仮に、1部増紙するために新聞販売手数料を上回る経費を支出しても、折込広告収入だけで、増紙した部数あたりの利益は確保できるし、扱い部数がおおいほどより多くの広告主から折り込み広告を受注できる。」との記載があることを唯一の根拠に、原告が折込広告料を取得するために、4月と10月に前後の月より200部多い部数を注文したと判断して、西日本新聞社の責任を免責しました。採証法則に反する不当な判断であることは明らかです。

リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウイルスの影響や、ネット社会の普及による広告媒体の多様化により折込広告収入の落ち込みが激しいことは裁判所に顕著な事実であるにもかかわらず、30年前の公正取引委員会事務局の調査報告書を唯一の証拠に、「折込広告収入だけで、増紙した部数の利益は確保できる」との判断をくだす裁判官には恐ろしさすら感じます。

裁判官は検察官と並んで司法官僚の中で最も忖度に長けた人種であるといっていいでしょう。そのことは、先ごろようやく再審裁判で無罪が確定した静岡県で発生した味噌工場社長一家の殺害・放火事件の袴田巌さんの死刑判決と再審棄却判決に、どれだけの人数の裁判官と検事が関わったかを想像するだけで十分ではないでしょうか。

黒薮さんの最新書『新聞と公権力の暗部』(2023年・鹿砦社)に、押し紙の売上金額が年間約932億円、過去35年間で32兆6200万円にも及ぶ試算結果が示されています。押し紙訴訟を担当する裁判官が、新聞業界に隠されたこのような巨額におよぶ利権構造を白日のもとに曝け出す販売店勝訴の判決をくだすには相当の勇気が必要でしょう。しかし、私はそのような勇気をもった裁判官が必ずいると信じています。

1991年(平成11年)にそれまでの新聞特殊指定が改定され、販売店が「注文した部数」を超える新聞を供給しないかぎり、新聞社には押し紙の責任はないとの解釈が、文言上は可能となりました。それまでの、1964年(昭和39年)新聞特殊指定では、購読部数の2%程度が適正予備紙の上限とされていました。

私どもは、平成11年の新聞特殊指定が押し紙を隠す隠れ蓑の役割しか果たせなくなっているのであれば、新聞特殊指定制定以前の独禁法第2条第9項第5号ハの法定優越的地位の濫用に基づいて「押し紙」の有無を判断するようにとの新しい主張を行いました。

福岡高裁がこの新しい主張について、どのような判断を示してくれるのか、大いに期待しているところです。

日本国憲法の施行前の1947年(昭和22年)4月14日に財閥解体を目的とする独禁法が制定されています。戦後、アメリカは帝国陸海軍を解体し、憲法9条に戦争放棄条項を定めました。財閥の解体は独禁法に規定し、二度と財閥が復活できないように法制度を整えました。

太平洋戦争によるアジア人の被害者数は2000万人、日本人の被害者数は300万人とも言われています。アメリカも5~6万人の若者の命を犠牲にしています。

戦後、米ソの冷戦構造が始まるとアメリカの占領政策の転換が図られ、反共の砦としての役割を日本に求めるようになりました。

アメリカの占領政策の転換の結果、A級戦犯指定の解除を受けた戦前の指導者達は、戦後日本の政治をアメリカの手先となって担いました。その事実は、ネット社会の普及によってひろく国民に知られています。A級戦犯指定の解除を受けた中には、大本営発表の報道で戦争熱を駆り立てた読売新聞の正力松太郎や朝日新聞の緒方竹虎らの新聞人もいます。

日本国憲法は、アメリカの押し付け憲法であるとして、学校教育で軽視され無視されてきた上に、改憲解釈によっていつしか戦争が出来る国に変化し、財閥の復活を許さないことを目指した独禁法も、持ち株会社を認める法律改正が行われ財閥と同様の株主集団が形成されるようになりました。新聞の押し紙禁止規定の制定とその後の骨抜きの経緯についても、もっと広い視点から検討する必要がありそうです。

長崎出身の通産官僚だった古賀茂明さんが、『日本中枢の崩壊』(2011年・講談社刊)という衝撃的な題名の本を出版されてから15年が過ぎました。その後も、失われた30年と言われるように、日本の政治・経済・社会のあらゆる分野で底なしのモラル崩壊が進行しています。日本社会の底はすでに抜けてしまったと評する向きもありますが、裁判官をはじめとする司法に携わるものに対して、民主主義の最後の砦としての司法の役割を今こそ発揮することが期待されていると考えます。

最近、再び若い世代の債務整理の相談が増えているように思います。数百万円に及ぶ奨学金の借金を抱えており、しかも、親が連帯保証人になっているという相談を受けると、政治の貧困さをつくづく感じます。

足元に目を向けると、非正規雇用の増大と貧困、結婚率の低下と少子化、高校生・大学生を親ともども借金製造工場のラインに乗せるような教育予算の貧困、はては子供食堂から災害ボランティア、インバウンドの観光客流入まで、かつての世界第二位の経済大国の面影はどこにも見当たりません。

佐賀県では1機200億円と言われるオスプレイが17機も配備される予定であり、沖縄の辺野古沖の飛行場埋め立て工事は、軟弱地盤のため天井知らずに工事費が増大し続けており、大阪万博会場跡地にはカジノを誘致する計画があると言われています。そんな金があるのなら、何故、北欧のように若者の教育費に使わないのでしょうか。

新聞業界の押し紙問題については、熊本日々新聞や新潟日報社などは昭和40年代後半に自主的解決をはかっていますので、新聞労連を中心とする新聞社で働く若い人たちが中心となって、ジャーナリスト精神にのっとり自社の「押し紙」を無くすことに尽力されることを願っております。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年2月28日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼江上武幸(えがみ・たけゆき)
弁護士。福岡・佐賀押し紙弁護団。1951年福岡県生まれ。1973年静岡大学卒業後、1975年福岡県弁護士会に弁護士登録。福岡県弁護士会元副会長、綱紀委員会委員、八女市役所オンブズパーソン、大刀洗町政治倫理審査会委員、筑豊じんぱい訴訟弁護団初代事務局長等を歴任。著書に『新聞販売の闇と戦う 販売店の逆襲』(花伝社/共著)等。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

女子だけのマッチメイク第三弾 美しく激しい魅惑の超格闘技! 堀田春樹

幼い顔した若い選手から主婦クラスまで幅広い世代が入り混じった女子だけの興行第三弾は、ノックアウト勝利は一つも無く、ノックダウンも一つも無かったが、諦めない鬩ぎ合いで盛り上げを見せた。

NANAが昨年のGODDESSで対戦した上野hippo宣子を再び判定で下し初防衛。
NaoがWMC日本ピン級チャンピオンのMIREYを大差判定で下す。

◎GODDESS OF VICTORY Ⅲ / 3月16日(日)GENスポーツパレス16:15~19:47
主催:NJKFミネルヴァ実行委員会 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

◆第13試合 ミネルヴァ・スーパーフライ級タイトルマッチ 3回戦

選手権者初防衛戦 NANA(エス/ 52.16kg)24戦16勝6敗2分
        VS
挑戦者同級3位上野hippo宣子(ナックルズ/ 51.8kg)27戦7勝(1KO)17敗3分
勝者:NANA / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:岡田30-27. 児島30-27. 梅下30-27

昨年4月14日のGODDESSに於いてのミネルヴァ・スーパーフライ級王座決定戦で、上野hippo宣子に判定勝利も、計量失格により王座奪還成らなかった元・チャンピオンNANAは、10月6日に新日本キックボクシング協会での王座争奪4人制ワンデートーナメントに於いて王座奪還。今回の初防衛戦は上野hippo宣子との再戦となった。両者のどんな成長が見られるかが注目された。

初回のパンチ中心の交錯からヒザ蹴り、前蹴り加えて出るNANA。上野の打って来るタイミングを見計らって身体を躱し、上野に肩透かしでバランスを崩すなど経験値で優り、蹴りが少ない展開の中でもNANAの蹴るタイミングが上手く、組み合ってのヒザ蹴りも技の多彩さで大きく優ったフルマークの判定勝利。

重いパンチの上野宣子を上回ったNANAの攻勢
NANAの蹴り技、ヒザ蹴りも攻勢を維持、試合運びの上手さが目立った

NANAは試合後、「本当はもっとキックを出したかったんですけど、脚が全然動かなくて、ウォーミングアップ不足でしたね。それでパンチだけに切り替えて、取り敢えず守ることに集中しました。上野さんは昨年よりパンチが重くなってて2ラウンド目から心折れかかりましたが、皆の応援の声があったから頑張れました。」

リング上のマイクでは、「35歳で引退するつもりでやって来ました。あと3ヶ月で35歳になります。あと一年で動きが無ければ進退を考えようと思っています。」とも語っており、この一年が新たな展開、上を目指す勝負となるだろう。

その今後については「ONE Championn Shipとか世界戦とか、国外でもやってみたいです。負けてもいいから強い人とやりたいですし、挑戦したいです。」とすぐ先を見据えた回答。

ミネルヴァ王座については「“防衛しろ”と言われているので浅井さん(スーパーバンタム級前ChampionのV2)に追い付かないといけませんね。」

引退までの目指す方向と、デビュー戦を終えた長女の応援アピールするNANA

今や親子で活躍する選手も増えた中、NANAの娘さんも第1試合でプロデビューしているという応援を促していた。

◆第12試合 ミネルヴァ・ピン級(100LBS)ノンタイトル3回戦(2分制)

アトム級チャンピオン.Nao(AX/ 45.3kg)10戦8勝(3KO)1敗1分
      VS
WMC女子日本ピン級チャンピオン.MIREY(WSR・F三ノ輪/ 45.15kg)20戦9勝10敗1分
勝者:Nao / 判定3-0
主審:マット(=テーチャカリン・チューワタナ)
副審:中山30-27. 児島30-27. 梅下30-27

Naoの蹴りの圧力、前蹴りで突き放し、組み合ってのヒザ蹴りも優った。MIREYも打ち合いに出るが巻き返すには至らない。終始圧倒したNaoがフルマークの判定勝利。

NaoのハイキックがMIREYの顔面を掠める、終始圧倒の展開へ
Naoのミドルキック、蹴り足を掴むMIREYだが効果なく

◆第11試合 ミネルヴァ・アトム級(102LBS)3回戦(2分制)

ピン級1位.祥子JSK(治政館/1983.12.3埼玉県出身/ 45.9kg)29戦9勝19敗1分
       VS
アトム級3位.Marina(健心塾/ 45.85kg)10戦4勝(1KO)6敗 
勝者:祥子JSK / 判定2-0
主審:岡田敦子
副審:中山29-29. 児島30-28. マット30-29

初回、蹴りから首相撲の展開は互角の攻防。祥子はパンチで出るMarinaにやや圧されるも、この日は蹴り数多く、パワーで巻き返し、徐々にペースを掴んで僅差ながら主導権奪った攻勢で判定勝利。

祥子は蹴る圧力が優った流れを維持した

◆第10試合 ミネルヴァ・ペーパー級(95LBS)3回戦(2分制)

ペーパー級2位.AIKO(AX/1987.2.10生/ 43.05kg)19戦9勝9敗1分
      VS
沙緒里(ワイルドシーサー前橋関根/ 42.95kg)3戦2敗1分
勝者:AIKO / 判定3-0
主審:梅下湧暉
副審:中山30-27. 岡田30-27. マット30-27

開始早々の威嚇の飛びヒザ蹴りを見せた沙緒里だが、AIKOは慌てずパンチとヒザ蹴りで優って行く。組み合う展開が多く、コーナーに詰めたり身体を預けてスタミナ削るAIKOの攻勢。沙緒里はバックハンドブローを見せるも的は外れるのみ。圧倒したAIKOがフルマークの判定勝利。

AIKOがヒザ蹴りで沙緒里を圧倒、組み合っても離れても攻撃力が優った

◆第9試合 ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

スーパーフライ級5位.紗耶香(格闘技スタジオBLOOM/ 51.95kg)
17戦5勝(1KO)11敗1分
        VS
同級7位響子JSK(治政館/ 51.9kg)11戦4勝4敗3分 
勝者:響子JSK / 判定0-3
主審:児島真人
副審:中山28-30. 梅下29-30. マット28-30

パンチで出る紗耶香が響子をコーナーに追い詰めるも、長身の響子は蹴りでリズムを作り紗耶香の攻撃を封じていく。ヒザ蹴りも距離の取り方上手くヒット。いかに自分の距離を維持するかの戦いで響子が上手く攻めて判定勝利。

響子もヒザ蹴りヒット、距離に応じた蹴りが上手く攻勢を維持した

◆第8試合 ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)

ライトフライ級7位.堀田優月(闘神塾/ 48.55kg)4戦3勝1分
        VS
ラジーナ・ビスタ(エラワンムエタイ/ 48.9kg)6戦3勝3敗
勝者:堀田優月 / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:中山30-29. 梅下30-28. 児島30-28

ラジーナ・ビスタの長身に対し、距離に応じて戦い方上手かった堀田優月。組んでも離れても先手打ち、ラジーナのパンチも蹴りも上手く躱し、攻めを封じた堀田優月が判定勝利。

ラジーナ・ビスタを追い詰めた堀田優月、蹴られても動じなかった

◆第7試合 ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)

ペーパー級4位.Uver∞miyU(T-KIX/ 43.09kg)15戦5勝9敗1分
        VS
港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社/ 42.7kg)2戦1勝1敗
勝者:Uver∞miyU / 判定3-0
主審:マット(=テーチャカリン・チューワタナ)
副審:岡田30-29. 梅下30-29. 児島30-29

パンチと蹴り、組み合ってヒザ蹴りのアグレッシブな攻防が続く中、パンチで圧していくUve・miyU。港町なぎさも打ち返すが、第3ラウンドに蹴りを加えた圧力が優ったUverが判定勝利。ジャッジ三者が揃ったラウンドは無く、激しさあっても差が付き難い攻防だった。

◆第6試合 ミネルヴァ55.0kg契約3回戦(2分制)
 
スーパーフライ級10位.松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/ 54.55 kg)7戦3勝4敗
       VS
妃芽奈(ワイルドシーサー高崎/ 54.35kg)2戦2勝
勝者:妃芽奈 / 判定0-2
主審:中山宏美
副審:岡田29-29. マット28-29. 児島28-29

初回の蹴りの攻防から妃芽奈が蹴りで攻勢を維持する流れも、松藤麻衣が右ローキックで妃芽奈の脚を殺し始めた。妃芽奈の左太腿は真っ赤に腫れ上がっていき、やや失速も蹴りの攻勢を維持して判定勝利。第3ラウンドは採点が分かれるなど、松藤のローキックを評価したと見られる蹴りの攻防となった。

◆第5試合 ミネルヴァ47.5kg契約3回戦(2分制)

山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/ 47.7→47.5kg)3戦2勝(1KO)1敗
        VS
杉田風夏(谷山ジム小田原道場/ 47.4kg)3戦2勝(1KO)1敗
勝者:杉田風夏 / 判定0-3
主審:梅下湧暉
副審:中山28-30. マット28-30. 児島29-30

杉田風夏が組み合っての攻防でヒザ蹴りから身体を預ける圧力で崩すパワーと、離れて戦っても蹴りで優っていき判定勝利。山崎希恵は劣勢でも懸命に蹴り返す踏ん張りが見られた。

◆第4試合 ミネルヴァ・フライ級3回戦(2分制)

紗彩(ドージョー☆シャカリキ/ 50.5kg)8戦2勝5敗1分
      VS
二ノ峰かなこ(KFG URAWA/ 51.05→50.8kg)4戦1勝(1KO)3敗
勝者:紗彩 / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:中山30-28. 梅下30-27. 児島30-28

パンチとヒザ蹴りの攻防。主に組み合ってのヒザ蹴りが続き、紗彩が主導権支配して判定勝利。

◆第3試合 ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)

ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷/ 45.05kg)6戦2勝4敗
        VS
鈴木萌(クロスポイント吉祥寺/ 45.05kg)2戦1勝1分
勝者:鈴木萌 / 判定0-3
主審:マット(=テーチャカリン・チューワタナ)
副審:中山28-30. 梅下28-30. 岡田29-30

パンチと蹴りの攻防。徐々に鈴木萌がリズムを掴み、柔軟に距離をコントロールし攻め優った。ロウ・イツブンはやや動きが硬く、攻める力が足りなかった。

◆第2試合 ミネルヴァ・スーパーバンタム級3回戦(2分制)

朱乃(CORE/ 55.25kg)2戦1勝1敗
    VS
あきなZLS(チームゼロス/ 55.1kg)2戦2勝
勝者:あきなZLS / 判定0-3
主審:児島真人
副審:マット28-30. 梅下29-30. 岡田28-30

初回は蹴りとパンチ、ヒザ蹴りも加えた互角の攻防から、第2ラウンドからあきなZLSが徐々に優ったヒットで判定勝利。

◆プロ第1試合 ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)デビュー戦同士

MOMO(エス/ 48.5kg)vsあゆな(笹羅/ 48.45kg)
勝者:MOMO(1戦1勝) / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:マット30-28. 児島30-29. 岡田30-27

NANAの愛娘デビュー戦。アグレッシブなパンチヒットが優って判定勝利。

NANAの愛娘、MOMOがパンチで攻勢、デビュー戦を飾る

◆アマチュアEXPLOSION第5試合 50.8kg契約2回戦(90秒制)

塩谷薫(VERTEX/ 50.0kg)vs山下実穂(クロスポイント大泉/ 50.3kg)
勝者:塩谷薫 / 旗判定3-0    

「3月16日はこれまでより新しいスタイルで練習して来たことを全部出し切りたいと思っているので頑張ります。」と2月9日のDUEL興行後に語っていた塩谷薫。練習して来たことを出し切ったか、先手を打った蹴りで優って赤と青の旗判定はジャッジ三者とも赤(塩谷薫)に上がった。

◆アマチュアEXPLOSION第4試合 35.0kg契約2回戦(90秒制)

野本かれん(WIVERN/ 34.95kg)vs久田愛心(TEAM SBS/ 34.65kg)
勝者:野本かれん / 旗判定3-0

◆アマチュアEXPLOSION第3試合 33.0kg契約2回戦(90秒制)

夢々(KANALOA/ 32.0kg)vs苑田優月(AX/ 32.0kg)
勝者:夢々 / 旗判定2-1

◆アマチュアEXPLOSION第2試合 30.0kg契約2回戦(90秒制)

木村有那(キング/ 30.0kg)vs清水舞羽(TRASH/ 28.5kg)
勝者:木村有那 / 旗判定3-0

◆アマチュアEXPLOSION第1試合 48.0kg契約2回戦(90秒制)

中島瑠花(X-PLOSION/ 48.0kg)vs三橋暖愛(士道館ひばりヶ丘道場/ 46.0kg)
勝者:中島瑠花 / 旗判定3-0

《取材戦記》

女子だけの興行も試合の展開がすばらしい。諦めたりスタミナ切れして失速する選手はいなかった。それはラウンド数の少なさ、2分制に救われている影響もあるだろう。これが本来の3分制5回戦だったらそうはいかないかもしれない。プロボクシングにおいても男子と比べて女子の試合はラウンド数少なく、2分制であったりするから男子と同じにする訳にもいかないが、身体へのダメージを考慮しつつ、女子に5回戦は難しいのか追求してみたいものです。

NANAの娘さん、MOMOが第1試合出場で判定勝利。NANAが試合後、マイクで語るまで気付かなかった。振り返ればMOMOのセコンドにわずかに写っていたNANAが居た。やっぱり参考までにセコンドの動きも撮っておくべきものである。興行に於いてはとにかく使わなくても撮っておくことでの画像を振り返り、気付かされる人の動きや変化は多いのである。

次回、NJKF興行は4月27日(日)にNJKF CHALLENGER 8(2025.2nd)が後楽園ホール夜興行に於いて行われます。

バンタム級とスーパーバンタム級で各4名参加のトーナメント準決勝戦の他、伝説のキックボクサー、立嶋篤史がNJKFに復活(20年ぶりか)。国内100戦目をNJKF三階級制覇の前田浩喜(CORE)と対戦します。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

『季節』2025春号をお届けするにあたって

『季節』2025春号がようやく出来上がってまいりましたのでお届けいたします。本日21日書店発売です。

◆『季節』2025春号の発行が10日遅れましたことをお詫びいたします。

本来3月11日発行の『季節』2025春号ですが、10日遅れ3月21日発行(17日発送)となりました。申し訳ございません。例年3・11当日の発行で、今年もそのつもりだったのですが……。これは財政的な問題とは直接関係はございません。編集作業が遅れ、遅れ自体は2、3日のことでしたが、今年の2月は2日少なく、また年度末で印刷・製本の予定ラインから一端外れたことで歯車が狂い10日遅れの発行となりました。とはいえ、工程管理が緩かったのは事実で弁解の余地もございません。何卒ご容赦お願いいたします。

◆「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」に総結集し、また圧倒的なご支援をお願いいたします!

コロナ禍で当社は、それまで左団扇(うちわ)状態から一気に奈落の底に落とされました。コロナ前には(会社と個人合わせ)常に数千万円ほどの蓄えがあり、「エンジェル」になって、資金難に喘ぐいくつものグループにカンパしたり、ライターさんらには前払い、先払いしたり、3・11直後にはポンと日本赤十字社に100万円寄付したり、さらにはМ舎というミニコミ書店には50万円も資料代名目で本をまとめ買いしたり、沖縄にルーツを持つ高校の同級生(故人)がライフワークとして始めた島唄野外ライブ「琉球の風」に数年にわたり出資したり……。それは、松岡が「名誉毀損」容疑で逮捕された際に、多くの方々に助けられたことの恩返しという意味もあってのことでした。

しかし、あれだけあった蓄えも、コロナ以降しばらくしてなくなりました。一時は回復したこともありましたが、再び落ち込み現在苦境にあることを隠しません。出版界のみならず全産業の中小零細企業がそうなので、当社も例外ではありませんが、50数年続いてきた鹿砦社の歴史、なかんずく『紙爆』20年、『季節』10年の歴史を守り抜き後進につないでいかねばなりません。

このかん私たちは、4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」を開催することになり、総力で準備に努めています。

4・5の集いを、単なる記念日にするのではなく、逆に低迷打破→反転攻勢の絶好の機会にしたいと考えています。俗に言えば「ピンチをチャンスに変える!」ということです。特に今回は定期購読者、会員、社債引受人、寄稿者などご支援の皆様方に多くご参加いただき直に強く叱咤激励いただきたく望みます。

本号の発行が遅れ直前のお知らせになりますが、一人でも多くの皆様方のご参加を望みます。ご参加を希望の方は今すぐお申し込みください。また、賛同金、ご祝儀、カンパなどもどしどしお寄せください!

鹿砦社はこれまで、栄華を極めたり、逆に地獄を見るほど落ち込んだり、浮沈の激しい歴史を繰り返してきましたが、私たちは必ず復活します! 『季節』も必ず持続します! 今後も圧倒的なご支援を!

2025年3月 
株式会社鹿砦社代表 松岡利康
『季節』編集長   小島 卓

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2025年春号(NO NUKES voice 改題 通巻42号)
紙の爆弾 2025年4月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ)
定価770円(税込み) 2025年3月21日発売

《特集》原発被曝を問い直す 福島十四年後の実相

[グラビア]原発事故の後始末 汚染土2兆2000億円の現場(写真・文=山川剛史

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]福島原発事故被害者の被曝と原子力ギャング

今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
[講演]飯舘村の放射能汚染のこれまでとこれから

山川剛史(東京新聞編集委員)
[報告]迫る汚染土の再利用 解決の道はあるのか

伊藤延由(飯舘村 元「いいたてふぁーむ」管理人)
[報告]「被ばくの実態」調査から原発事故の実像を測る

尾﨑美代子(本誌編集委員/西成「集い処はな」店主)
[報告]自宅の放射線測定記録に疑惑あり
いのちにかかわるデータは捏造されたのか?

子ども脱被ばく裁判の会
[報告]呆れ果てても、諦めない! 子ども脱被ばく裁判で明らかになったこと
 片岡輝美(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
十年間の闘いを経て
 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
裁判によって知らない事実が明らかになった
 井戸謙一(「子ども脱被ばく裁判の会」弁護団共同代表)
この裁判が生み出したいくつかの成果
 樋口英明(元福井地裁裁判長)
真実はこれを求める人にのみ与えられる

和田央子(放射能拡散に反対する会)
[報告]原子力マフィアが主導する福島汚染土再生利用

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]《検証》もしも柏崎刈羽原発が攻撃されたら……

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]英国の核燃料サイクル政策の大転換

山崎隆敏(元越前市議会議員)
[報告]万博と原子力 「いのち輝く未来」と「核ゴミ・被曝労働」の矛盾撞着

《第2弾》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」
日野正美(女川原発再稼働差止訴訟原告団事務局長)
[報告]女川原発の避難計画は不備だらけ! 住民無視の運転を中止せよ!
土光 均(米子市議会議員)
[報告]県庁所在地に立地する島根原発で大災害が起きた時
松江市民に逃げ場所はあるか?

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発避難者にとっての14年 その絶望と希望

原田弘三(翻訳家)[報告]「脱炭素」の本質

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]NUKE WARS――原子力帝国の逆襲
    原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]再び 三島由紀夫生誕百年に想う

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈26〉最終回 絶望の時代《今》を生きる意味〈下〉
平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈3〉

再稼働阻止全国ネットワーク
 東電に原発うごかす資格なし すべての原発の再稼働阻止
 フクシマは終わっていない

《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち)
「本当のフクシマを知ってください」 西日本スピーキングツアー
《福島》橋本あき(福島県郡山在住)
 東電福島原発事故の残響は続く
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
【ネット署名】深刻な原発事故を起こした東京電力による
 柏崎刈羽原発の再稼動を許すなの声を結集しよう
《北海道》瀬尾英幸(泊原発立地四町村住民連絡協議会)
 泊原発は必ず止める
《静岡》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
「基準津波25.2メートル」に対応するために、またまた防波壁かさあげ!
《福井》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 関西電力(関電)に、約束を履行させ、全ての老朽原発を廃炉に!
《東海第二》横田朔子(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
 日本原電も東海第二原発も崖っぷち!~東海第二原発の中央制御室で火災発生~
《東海第二》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 防潮堤の修復案を示せない原電は、廃炉事業に専念するよう求めます
《書評》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
 小田実の『被災の思想 難死の思想』── 本の〈発掘〉①

[反原発川柳]乱鬼龍

使用済み核燃料の行き場はありません! 関電は、またも詭弁、奇策で誤魔化そうとしています! 関電に約束を履行させ、老朽原発を廃炉に! 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)

◆原発を運転すれば、危険で、行き場のない使用済み核燃料が発生します

燃料プールは、原発より地震に脆弱で、新しい使用済み核燃料を保管する燃料プールが崩壊すれば大惨事に至ります

原発を運転すると、核燃料中に、運転に不都合な各種の核分裂生成物(死の灰)、マイナーアクチニド(プルトニウムより重い元素)などが生成し、原発の制御が困難になります。一方、燃料被覆管に腐食や変形が生じます。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間(3~5年)燃焼させると、新燃料と交換せざるを得なくなり、使用済み核燃料が発生します。

使用済み核燃料は、発生直後には膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールに水冷保管して、放射線と発熱の減少を待たなければなりません。

そのプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した(例えば、10年以上水冷保管した後の)使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。

出来た空間には、高放射線量、高発熱量の新しい使用済み核燃料を入れますが、その燃料プールが、地震などで崩壊すれば、大惨事に至ります。なお、燃料プールは、原発本体とは比較にならないほど脆弱で、「むき出しの原子炉」とも呼ばれています。

電力会社は、使用済み核燃料の搬出先として、再処理工場(青森県)の稼働を願望していましたが、去る8月23日、日本原燃は27回目の再処理工場の完成延期を発表しました。乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場はありません。

使用済み核燃料の発生源・原発を全廃しましょう!

◆使用済み核燃料に関して約束反古を繰り返す関電

関電は1997年に「使用済み核燃料は福井県外に搬出する」と、当時の福井県知事に約束しました。核燃料再処理工場が稼働すれば、青森県に搬出できると楽観しての約束でした。しかし、1997年に予定されていた再処理工場の稼働は、延期を重ね、未だに稼働の見込みはありません。そのため、関電も、「福井県外搬出」の約束を繰り返し反古にしています。

関電は2021年にも、福井県知事に「使用済み核燃料の中間貯蔵地を2023年末までに福井県外に探す。探せなければ老朽原発を停止する」と約束しましたが、未だに候補地を見出すことはできていません。老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働への福井県知事の承認を得るための空約束でした。

関電は、約束期限が迫った2023年6月、保管する使用済み核燃料のわずか5%程度をフランスに持ち出す計画を示し、「県外搬出という意味で、中間貯蔵と同等」としました。また、8月、唐突に上関町に中間貯蔵地建設のための調査を申し入れ、約束不履行を取り繕おうとしました。

さらに、10月には、再処理工場の活用、中間貯蔵施設確保を盛り込み、いかにも近々使用済み核燃料の福井県外搬出が可能であるかのように見せかけた「使用済み核燃料に関するロードマップ」を発表しました。老朽原発の運転を継続するための詭弁で、実現性が全くない「絵に描いた餅」です。

◆関電、使用済み核燃料の原発敷地内での乾式貯蔵に布石

ロードマップで、関電は「使用済み核燃料搬出の円滑化のために原発構内に乾式貯蔵施設の設置を検討する」とし、福井県内での乾式貯蔵に向けての布石を打ちました。関電の燃料プールはもうすぐ満杯になり、原発を停止せざるを得なくなるため、プールに空きを作ろうとする策略です。

乾式貯蔵を許せば、永久貯蔵になりかねません。

◆再処理工場の27回目の完成延期で、ロードマップは破綻

関電がロードマップで示した願望は、昨年8月、日本原燃が27回目の再処理工場の完成延期(約2年半)を表明したことによって破綻しました。

それでも、関電は開き直って、「ロードマップを本年度末までに見直す。実効性のある見直しができなければ、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」としました。しかし、その場しのぎの空約束と約束反古を繰り返してきた関電の言動は、信用できるものではありません。

今回も、「使用済み核燃料のフランスへの搬出量を倍増させる(合計:ウラン使用済み燃料380トン、MOX使用済み燃料20トン)」などの小手先の奇策、稼働延期を繰り返し稼働の見込みが極めて薄い再処理工場(青森県)への2028年度からの搬出(198トン)などの詭弁を弄して、誤魔化そうとしています。許してなりません。

なお、関電の3原発の使用済み燃料プールには、全容量4450トンのうち87%に当たる3850トンが保管されています(2024年12月)。したがって、フランスや青森県への搬出が、関電の思惑通りに進んだとしても、搬出量は、全使用済み核燃料のごく一部に過ぎません(15%程度)。

また、関電の使用済み核燃料の多くは高燃焼度燃料であり、MOX燃料も増え続けていますが、これらの核燃料の再処理は極めて困難です(硝酸での溶解が困難な白金族などの成分が多く含まれ、発熱量も大きい)。

以上を勘案すると、今回の関電の奇策、詭弁は、約束履行に見せかけて、老朽原発の運転継続を狙うだけでなく、近々満杯になる使用済み核燃料プールに空きを作って、全ての原発の運転継続を可能にするための謀略であると言えます。

使用済み核燃料の行き場はありません。関電に約束通り老朽原発の停止を実行させ、使用済み核燃料の発生源・原発の全廃への突破口としましょう!

◆福井県議会議長に、陳情書を提出しました!

「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、関電の使用済み核燃料搬出問題が議事となる福井県議会(2月17日開会)での慎重かつ公正な審議を求めて、県議会議長に、2月12日、下記の陳情書を提出しました。同様な陳述書は、「オール福井反原発連絡会」からも提出されました。

陳情書
福井県議会議長
宮本俊様

老朽原発うごかすな!実行委員会「使用済み核燃料の県外搬出に関するロードマップ」の実効性のある見直しができない関西電力(関電)に、危険極まりない老朽原発の廃炉を実行するよう求めて下さい

県議会議長、県議会議員の皆様には、弛まぬ福井県政へのご尽力に、敬意を表します。

さて、関電は、一昨年10月10日、使用済み核燃料の福井県外搬出に関するロードマップを発表し、杉本達治福井県知事は、わずか3日後にこれを容認しています。関電は、このロードマップの中に、青森県の核燃料再処理工場の活用、中間貯蔵施設の確保を盛り込み、いかにも近々使用済み核燃料の福井県外搬出が可能であるかのように見せかけています。

しかし、このロードマップは、日本原燃が、昨年8月23日、「核燃料再処理工場の完成目標を2026年度内に変更する」と、27回目の完成延期(約2年半)を表明したことによって破綻しました。

それでも、関電の森望社長は開き直って、9月5日、杉本福井県知事と面談し、使用済み核燃料の県外搬出に向けた「ロードマップ」を、「本年度末までに見直す。実効性のある見直しができない場合、高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」と述べています。

しかし、現在までに、「使用済み核燃料の行き場」に関して、その場しのぎの空約束と約束反古を繰り返してきた関電の言動は、信用できるものではありません。今回も「使用済み核燃料のフランスへの搬出を若干上乗せする」などの小手先の奇策で誤魔化すと危惧されます。

なお、再処理工場の稼働は極めて困難であること、例え稼働したとしても過酷事故の確率が高いことは、多くが指摘するところです。また、関電は、再処理できない高燃焼度の使用済み核燃料および使用済みMOX燃料も抱えています(これらは、今後増大します)。

したがって、使用済み核燃料の行き場はなく、福井県内に永久あるいは長期保管される可能性は大と言わざるを得ません。関電は、約束通り老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の廃炉を実行し、使用済み核燃料の発生源・原発の全廃に向かうべきです。

このような状況に鑑み、福井県議会に以下を陳情いたします。

陳情項目

[1]関電に、「本年度末までに、ロードマップの実効性のある見直しができない場合、高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」との約束を即時履行させてください。このとき、「実効性のある見直し」とは、「関電の保有する、あるいは今後発生させる使用済み核燃料の全ての県外搬出が見通せるもの」であることです。

[2]関電は、「使用済み核燃料の搬出の円滑化」を口実に「乾式貯蔵施設」を建設しようとしています。しかし、今までの搬出の実績からして、「乾式貯蔵施設」はなくても、使用済み核燃料は搬出できます。「乾式貯蔵施設」の建設は、永久あるいは長期福井県内貯蔵への道を開くことになりかねません。「乾式貯蔵施設」の建設を認めないでください。

[3]高浜原発1号機は運転開始後すでに50年を超え、高浜2号機、美浜3号機も、もうすぐ50年超えの「超老朽原発」です。老朽原発では、圧力容器の脆化、配管の腐食、減肉、電源ケーブルの劣化が進んでいます。また、老朽原発には、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物の中で交換不可能なもの(圧力容器など)があります。関電に、危険極まりない「超老朽原発」の即時廃炉を求めて下さい。

[4]私たち「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、福井県内だけでなく、関西、中部など全国の会員で成り立っています。そこで、福井県外の住民の立場から、福井県議会に以下をお願いいたします。

原発および使用済み核燃料保管施設が過酷事故を起こせば、その被害は、福井県内だけでなく、広く関西、中部などにおよぶことは、福島原発事故の教訓から容易に推測されます。例えば、京都府や滋賀県の大部分は若狭の原発から70km以内にあり、高浜原発、大飯原発は福井県庁のある福井市より近距離にあるのみならず、特に冬場は、若狭の風下になります。

したがって、福井県議会や福井県知事の決断は、福井県外の多くの住民の命と生活に関わります。福井県議会は、周辺府県の住民の「原発のない、自然エネルギーのみで成り立つ社会」を求める声にも十分に耳をお貸し下さい。

2025年2月12日記

◆お願い

「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、若狭での「脱原発・反原発」の声の拡大を目指して、また、「関電の約束違反を糾弾し、老朽原発の廃炉」を求めて、以下の行動と集会を企画しています。ご支援、ご参加をお願いします。

■3.22(土)~23(日)
若狭一斉チラシ配り(愛称:拡大アメーバデモ)

「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、長期にわたって若狭や周辺地域で、チラシの各戸配布(愛称「アメーバデモ」)を繰り返し、住民との対話を重ねてきました。その中で、多くの住民が「原発は無い方がよい」と考え、圧倒的多数が「老朽原発稼働反対」であることを知りました。

昨年の能登半島地震以降は、原発推進の声はほぼ皆無です。能登半島地震によって、原発は地震に脆弱で、地震と原発過酷事故が重なれば、避難も、屋内退避も困難を極めることを実感されたのでしょう。

3月22、23日、あなたも参加してみませんか?
関西、福井などから配車の予定です。

■3.31(月)
使用済み核燃料の行き場はないぞ
関電は約束守れ!美浜集会
とき:3月31日(月)13時より
ところ:関電原子力事業本部前(JR美浜駅より徒歩3分)
集会後町内デモを行います
関電の「使用済み核燃料搬出先に関する実効性のあるロードマップ」の提出期限である3月31日、関電原子力事業本部前(美浜町)で、関電の約束違反を糾弾し、老朽原発停止の実行を求めます。

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2025年春号(NO NUKES voice 改題 通巻42号)
紙の爆弾 2025年4月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ)
定価770円(税込み) 2025年3月21日発売
 
《特集》原発被曝を問い直す 福島十四年後の実相
 

[グラビア]原発事故の後始末 汚染土2兆2000億円の現場(写真・文=山川剛史

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]福島原発事故被害者の被曝と原子力ギャング

今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
[講演]飯舘村の放射能汚染のこれまでとこれから

山川剛史(東京新聞編集委員)
[報告]迫る汚染土の再利用 解決の道はあるのか

伊藤延由(飯舘村 元「いいたてふぁーむ」管理人)
[報告]「被ばくの実態」調査から原発事故の実像を測る

尾﨑美代子(本誌編集委員/西成「集い処はな」店主)
[報告]自宅の放射線測定記録に疑惑あり
いのちにかかわるデータは捏造されたのか?

子ども脱被ばく裁判の会
[報告]呆れ果てても、諦めない! 子ども脱被ばく裁判で明らかになったこと

片岡輝美(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
十年間の闘いを経て
水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
裁判によって知らない事実が明らかになった
井戸謙一(「子ども脱被ばく裁判の会」弁護団共同代表)
この裁判が生み出したいくつかの成果
樋口英明(元福井地裁裁判長)
真実はこれを求める人にのみ与えられる

和田央子(放射能拡散に反対する会)
[報告]原子力マフィアが主導する福島汚染土再生利用

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]《検証》もしも柏崎刈羽原発が攻撃されたら……

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]英国の核燃料サイクル政策の大転換

山崎隆敏(元越前市議会議員)
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[反原発川柳]乱鬼龍

4月5日東京にて月刊『紙の爆弾』創刊20周年、反原発情報誌『季節』創刊10周年を記念し反転攻勢の集いを開催します! 鹿砦社代表 松岡利康 

新型コロナ襲来以来の低迷を打破し再び勢いを取り戻すべく、私たちは来る4月5日、月刊『紙の爆弾』創刊20周年、反原発情報誌『季節』創刊10周年を記念し反転攻勢の集いを開催することになりました。

これを単に記念日とするのではなく、低迷打破→反転攻勢の絶好の機会として皆様方と有意義な時間を過ごすべく準備に取り組んでいます。

どなたでも参加できますので、関東近辺在住でご関心のある方はぜひ、どしどし参加し、ちょっとくたびれた私たちを叱咤激励してやってください。

また、賛同金、カンパ、ご祝儀などをお寄せいただき圧倒的なご支援をお願いいたします!

苦しみの中から立ち上がれ! 闘争勝利!

(松岡利康)

「福井女子中学生殺人事件」再審結審 再審無罪を前に自信を取り戻していく冤罪犠牲者の前川さん 尾﨑美代子

39年前に福井で起こった「福井女子中学生殺人事件」の再審が、3月6日結審した。判決は7月18日、午後4時より、名古屋高裁金沢支部で言い渡される。 

事件の詳細は『紙の爆弾』(鹿砦社)2月号に寄稿しているので、ぜひ読んで欲しい。亡くなった桜井昌司さんから「前川(冤罪犠牲者の前川彰司さん)の事件も書いてや」と頼まれてたが、資料を読み始め、何度も諦めていた。関係者が余りに多く、その関係も複雑だからだった。

読み始めあきらめ、読み始めあきらめていたところ、まもなく再審開始の可否がでるとのことで慌てて読み始めた。そして昨年12月、再審開始の決定。決定書を見ると、それまでの資料になかった内容が書かれていた。

弁護団長の吉村弁護士も会見で「想定外でした」と話していた内容、そこには「夜のヒットスタジオ」「アン・ルイス」「吉川晃司」の文字が……。再審請求審で初めて明らかにされた証拠だった。一体、何があったのか? 詳細を知りたい方はぜひ「紙の爆弾」を読んで欲しい。  

この事件、全体をみると、福井県のいわゆる地方都市で、地元警察が、地元のワル、不良、ヤクザになった若者を、うまくあやつり協力者に仕立てていくような構図がみてとれる。

先日、北海道旭川市で女性2人が被害女性を深夜、川の橋の欄干に座らせ、川に落とし殺害した事件で、片方の被告に懲役25年が求刑された。この事件では、もう一人の女性が、事件を捜索する旭川中央署の刑事と不倫関係にあったことが報じられた。もともと互いに出入りしてた地元のスナックで仲良くなったようだ。その容疑者がどんな女性だったかは良くわからないが、刑事を後ろ盾にすることで、一層怖いものなしの強気になれたことは容易に想像できる。

福井の事件で登場する大勢の関係者もまだ若く、社会的経験も少ない。そして不良、ヤクザなど脛に傷持つ者ばかりだ。その弱みに刑事がつけこみ、事件を解決しようと、あらぬストーリーを作っていったのだ。

女子中学生は、実際極めて凄惨な方法で殺害されていた。不良グループと付き合っていたことからリンチと思われた。だが捜査は難航し、犯人逮捕に至らず、捜査機関は焦る。

そんなとき、別の覚醒剤で逮捕され取調べられていたヤクザの斎藤(仮名)が、刑事に「犯人しらないか」と聞かれる。犯人は斎藤周辺のワル仲間とみているのだろう。捜査機関は、犯人を教えたら、あるいはヒントをくれたら、刑を軽くするみたいにほのめかす。斎藤は知人に「犯人知らんか?」と手紙を書く。そう、斎藤も犯人を知らないのだ。しかし、斎藤は自分の刑を軽くしたくて、「犯人は後輩の前川だ」と刑事に告げる。

さらに、車で前川を犯行現場に送った人間、斎藤をゲーセンに送った人間、犯行後困った前川を斎藤がいるゲーセンに連れてきた人間、その際前川の服に血がついてるのを見た人間、ひと晩前川を匿った人間など、次々と関係者を登場させる。しかし、うそのストーリーだから、斎藤の話はコロコロ変わる。

ここまで読んで、「刑事もばかだね。斎藤のいうことが違っていたら、諦めればいいやん」と思う人もいるだろう。違う、違う。刑事が斎藤らワルたちを利用しようとしているのだ。

刑事は、斎藤が刑務所に送られる際「おい、何か土産を置いてけや」とか、「まだ知ってることがあるんじゃないか」とか、斎藤やその周辺の人間を使って、自分たちのストーリーを作ろうと必死なのだ。「関係者」を担わされた若者も、みな、脛に傷があるため、刑事の言いなりにストーリーを合わせてしまう。  

しかし、彼らも成人になり家庭を持つようになると、「なんと馬鹿なことしたのか」と反省し、本当のことを言うようになる。前川さんを犯人とする証言をした男性は、刑事にウソの証言を強いられ、代わりの自分の覚せい剤事件をチャラにしてもらったと再審の場で証言した。前に嘘の証言した夜は、刑事に食事やスナックを奢られ、あげく結婚祝いに5000円包まれた祝儀袋を貰ったと証言。刑事の名前がばっちり書かれた祝儀袋を証拠提出した。本当に酷い話だ。

以前私も支援した石川県の盛一国賠という裁判があった。この盛一君も若い時、刑事に目をつけられ「S」にされた。どんなに覚せい剤をやっても絶対捕まらない。その代り、刑事に言われるがままに、薬をやっている知人や先輩を逮捕させるような工作を刑事としていく。そんななか亡くなった知人もいた。

盛一君も成人し、家庭をもち、「馬鹿なことをした」と猛省し、刑事らとの関係をきっぱり絶った。そして、そんな刑事と不倫で付き合う女性友達に「あんな連中とつきあわんほうがいい」と忠告する。

しかし、この女性は、盛一君のその言葉を刑事に伝える。そのため、盛一君がやってもいない覚せい剤事件で逮捕される。「これ以上余計なこと言うな」という脅しだ。その証拠に盛一が連れていかれた取調室に、以前盛一君が良く飲食をともにした刑事が顔を出し、盛一君に一言「バーカ」と言って消えたという。

多くの冤罪を作っているのは、警察、検察、そして裁判所だ。もちろん刑事という後ろ盾が出来て強気になって、犯罪を犯した人たちも悪い。しかし、北海道の事件も、盛一君の事件も、そして前川さんの事件で関係者とされた人たちも、勝手なストーリーの「駒」に使われ、最後はポイと捨てられた。本当に酷いやつらだ。

前川さんには昨日の朝電話した。桜井さんに紹介され、初めて連絡してから2年半。その間何度か電話で話したり、うちの店にも来てくれたり。最初はボソリ、ボソリとひとこと、ふたこと話すだけだった前川さんだが、その声は、再審開始が決まって以降、どんどん自信を取り戻しているような気がする。

《酒井隆史さん釜ヶ崎トークショーのご案内》

3月30日(日)、酒井隆史さんのトークショーを行います。釜ヶ崎の問題にも取り組んでおられる酒井さんには、2019年「はな」でお話をして頂いたのが最後なのでとても久しぶりです。なお、そのお話は冊子「ジェントリフィケーションへの抵抗を解体しようとする者たち」にまとめており、非常に多くの方々に読んで頂きました。

今回はちょっと大上段に構えたテーマになっていますが、様々な問題をその場で質問したり、議論出来るような形にしたいと思いますので、40人ほど限定、要予約でお願い致します。

メール、携帯、そしてメッセンジャーでも受け付けております。宜しくお願い致します!!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

聖地を揺るがせたMAGNUM61は4名の挑戦者が王座奪取! 堀田春樹

新スター誕生、青コーナーから出場の4名の新チャンピオン。
木下竜輔はジョニー・オリベイラを失神ノックアウト。二度目の担架搬送に。
赤平大治は王座決定戦だったが、格上・瀬戸口勝也に連打で圧倒ノックアウト。
珠璃は浅井春香のV3を阻む。若さと圧力で優った
撫子が小さな身体で二階級制覇、適正階級で上真を破る。

◎MAGNUM.61 / 3月2日後楽園ホール 17:30~21:16
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会、WKBA

◆第15試合 WKBA世界フェザー級王座決定戦 5回戦

日本フェザー級チャンピオン.瀬戸口勝也(横須賀太賀/1983.8.1鹿児島県出身/ 57.0kg)
45戦31勝(14KO)11敗3分
        VS
NJKFフェザー級4位.赤平大治(VERTEX/2001.10.31栃木県出身/ 57.05kg)
9戦6勝(4KO)2敗1分
勝者:赤平大治 / TKO 1ラウンド 2分47秒 /
主審:椎名利一

瀬戸口勝也の強打を上回る赤平大治の重かったパンチで先手を打った。瀬戸口のパンチを躱し、距離を詰めロープ際で右ミドルキックとパンチ連打でノックダウンを奪った。ダメージ残る瀬戸口に最後は左フックで仕留め、ノーカウントのレフェリーストップが掛かり、タオル投入も同時だった。

瀬戸口勝也は打ち合いに屈した。赤平大治はアウェイで初めての王座奪取
赤平大治が連打で瀬戸口勝也を倒すとレフェリーストップが掛かり、タオルも舞った

試合後のマイクアピールでは、「これからが自分のスタートだと思ってますので、今後の活躍を楽しみにして、もし赤平大治のことちょっとでも気になったら、インスタグラムで調べれば出て来るので、今後の試合も注目宜しくお願いします。」と語った。

国内王座は数ある中、いきなり世界という称号の王座奪取となったが、本人がマイクで語ったとおり、ここからがチャンピオンロードのスタートで、本当の世界最高峰へどこまで這い上がれるか。

赤平は試合後、「最初ジャブから繋げていくと、瀬戸口さんがカウンター合わせようとして来たので、一発当たってちょっと揺らいだんで、そこを連打して倒しました。早めに倒そうとは思っていました。」と語った。

赤平大治を囲むVERTEXジム陣営とNJKF坂上顕二代表

◆第14試合 日本スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

初代選手権者.ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身46歳/ 58.75kg)
65戦16勝(1KO)31敗18分
        VS
挑勝者:2位.木下竜輔(伊原/1996.2.12福岡県出身/ 58.75kg)12戦5勝(3KO)7敗
勝者:木下竜輔 / TKO 3ラウンド 2分46秒 /
主審:少白竜

初回からローキック中心に圧力掛けた木下竜輔。対して下がり気味だったジョニー・オリベイラ。この様子見ではまだ先の展開はわからなかったが、パンチの強打より鋭いローキックで木下ペースは続いた。

第2ラウンドには木下は飛びヒザ蹴りでジョニーによりプレッシャーを与えた。余裕と威圧の笑顔が見え始めた木下。ジョニーの蹴りのタイミングが合わず、木下の距離の掴み方が優った。

笑いは威嚇でもあるが、余裕が出て完全に主導権支配した木下竜輔のローキック

第3ラウンドにもプレッシャーを与えた飛びヒザ蹴りに続けて更に飛びヒザ蹴りでノックダウンに繋げ、更にタイミングを計って飛びヒザ蹴りがジョニーのアゴを突き上げると仰向けに倒れノーカウントのレフェリーストップ。立ち上がれず担架で運ばれたジョニー・オリベイラだったが、意識はすぐ回復。帰りはしっかり歩いて会場を後にした。

木下竜輔が飛ぶ毎にジョニー・オリベイラを圧倒、KOへ結び付けた

木下竜輔はジョニー・オリベイラと2勝1敗となったが、2勝はいずれも担架が必要となる完封勝利だった。ジョニー・オリベイラは初防衛成らず。木下竜輔は第2代チャンピオン。

木下竜輔は「作戦というのは特に無くて、伊原越谷道場での新しい環境で周りの方々の指導や助言が後押しとなりました。僕一人だと弱いので、そんな伊原道場の皆さんの協力の御陰です。」と謙虚に語った。

伊原越谷ジム会長は「こいつ元々武器あるじゃないですか。パンチの当て方、準備出来るものやれるだけやらせたので、3ラウンドで決めると言ってちゃんと3ラウンドで決めて、試合を完全に支配したので本当に人生で一番練習した結果ですね。」と圧勝を称えていた。

ジョニー・オリベイラ陣営のセコンド、中川卓氏は「最初は手数出して相手を軸に回っていくという戦略も手数足りなかったですね。いつものことながら練習ではバンバン強く出るのに試合では出ないですね。」と語った。

新チャンピオンとなった木下竜輔を囲む伊原ジム陣営とチント・モルディージョ氏

◆第13試合 ヘビー級3回戦

ISKA日本ライトクルーザー級チャンピオン.佐野克海(拳之会/岡山県出身23歳/ 101.65kg)
22戦14勝(7KO)6敗2分
        VS
工藤勇樹(前KROSS OVERヘビー級Champ/エス/宮城県出身40歳/ 89.3kg)
56戦29勝(18KO)25敗2分
勝者:佐野克海 / 判定3-0
主審:宮沢誠
副審:椎名30-27. 中山29-27. 少白竜30-26

ローキックからパンチで顔面からボディーブローも効果的にヒット。圧倒していく佐野克海。早々に攻勢を維持し右ストレートでノックダウンを奪った。

工藤勇樹はダメージは少なそうだが、巻き返そうと攻めて来るも、佐野がクリーンヒットする攻勢は変わらず。工藤は攻められて横向いたり俯いたりと不利な体勢を作ってしまうも、佐野が倒し切れないもどかしさはあったが、圧倒の展開で判定勝利。

終始圧倒した佐野克海。ガード固める工藤勇樹の空いたボディーを攻める

◆第12試合 76.0kg契約3回戦

マルコ(伊原/イタリア出身34歳/ 75.55kg)12戦6勝(1KO)3敗3分
      VS
TOMO JANJIRA(ジャンジラ/京都府出身33歳/ 75.6kg)10戦4勝5敗1分
勝者:マルコ / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名29-28. 宮沢30-28. 少白竜30-28

パンチとローキックの攻防はマルコのローキックが重く鋭くTOMOにヒット。ヒザ蹴りもハイキックもインパクトを与えるマルコ。TOMOも果敢に攻めるがマルコのヒットの正確さが優り、内容的にも大差となるマルコが判定勝利した。

◆第11試合 女子(ミネルヴァ)スーパーバンタム級タイトルマッチ 3回戦

選手権者.浅井春香(無所属/1987.1.22愛知県出身/ 55.15kg)33戦17勝(2KO)10敗6分
        VS
挑戦者4位.珠璃(=安黒珠璃/闘神塾/兵庫県出身18歳/ 54.85kg)6戦5勝(1KO)1分
勝者:珠璃 / 判定0-3
主審:中山宏美      
副審:勝本28-29. 宮沢27-30. 少白竜29-30

いつもより蹴りが出ていた浅井春香だったが、パンチと蹴りで前進する圧力は珠璃が優っていく。組み合ってのヒザ蹴りは浅井の得意技であっても流れを引き寄せられない。

やや不利な展開ながら、微差が付かないとしたら、また引分け防衛も有り得るかという中、的確差が優った珠璃が順当な判定勝利で王座奪取となった。浅井春香はV3成らず。

浅井春香をロープ際に追い詰めた珠璃
珠璃を囲む闘神塾陣営と坂上顕二氏、伊原信一氏、竹越義晃氏

◆第10試合 女子(ミネルヴァ)ペーパー級(95LBS)タイトルマッチ 3回戦

選手権者.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身/ 42.4kg)16戦6勝10敗
        VS
挑戦者1位.撫子(GRABS/2000.7.7北海道札幌市出身/ 42.05kg)16戦11勝(1KO)4敗1分
勝者:撫子 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:宮沢28-29. 勝本28-29. 中山29-30

撫子(なでしこ)が上真の技を封じて王座奪取。手数は互角も的確差で撫子が優った。撫子が先手を打った多彩に蹴って出た前蹴りの効果も出てヒットを増やし、判定勝利で最軽量級の新チャンピオン(第2代)。上真は昨年10月13日に初代王座獲得となりながら5ヶ月足らずで陥落となった。

撫子の前蹴りが上真の顔面にヒット、先手を打つ技の素早さが優った

◆第9試合 女子ミネルヴァ 52.0kg契約3回戦(2分制)

鈴木咲耶(チーム鈴桜/静岡県出身17歳/ 51.85kg)6戦4勝(1KO)2敗
      VS
RUI・JANJIRA(ジャンジラ/東京都出身24歳/ 51.95kg)10戦3勝(1KO)6敗1分
勝者:鈴木咲耶 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:椎名30-27. 勝本30-28. 中山30-27

長身を活かした的確な蹴りのヒットを続けた鈴木咲耶。距離を上手くコントロールし、組み合ってもヒザ蹴り、離れて前蹴りのヒット、RUIも果敢に攻めたが的確差で鈴木咲耶が上回った。

◆第8試合 ライト級3回戦

崇斗(HAKUBI/香川県出身28歳/ 60.7kg)5戦2勝3敗
      VS
金沢ごりちゅう光輝(AX/ 61.1kg)2戦2勝
勝者:金沢ごりちゅう光輝 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名25-30. 少白竜24-30. 中山25-30

カーフキックが鋭くヒットさせた金沢光輝。ヒザ蹴りも圧倒し、初回に頭部ヒットと最終ラウンドにもヒザ蹴り連打で崇斗からノックダウンを奪い、ノックアウトに近いほど圧倒し大差判定勝利。

◆第7試合 48.0kg契約3回戦

植田琥斗(E.S.G/埼玉県出身18歳/ 47.2kg)3戦1勝2敗
      VS
庄司翔依斗(拳之会/岡山県出身17歳/ 47.2kg)2戦2勝(1KO)
勝者:庄司翔依斗 / KO 1ラウンド 1分36秒 /
主審:勝本剛司

スピード、鋭さで優った庄司翔依斗、ローキックからの右ストレート、更に右ストレートで開始早々30秒ほどでノックダウンを奪った。更にパンチ連打で圧力掛け左フックで二度目のノックダウンを奪った。

蹴りで距離を取りたい植田琥斗も自分の距離を保った庄司がニュートラルコーナーに詰め右ストレートの3ノックダウンで圧勝。兄の庄司理玖斗と競っての成長が期待される。

◆プロ第6試合 女子ミネルヴァ55.0kg契約3回戦(2分制)

MEGU(KICK SPARK/ 54.75kg)9戦2勝7敗
      VS
MIO La Reyna(TEAM REY DE REYES/ 54.4kg)6戦1勝5敗
勝者:MIO La Reyna / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:少白竜28-29. 勝本28-29. 宮沢28-29

※第1試合から第5試合のアマチュアジュニアキックは掲載枠都合で割愛します。

《取材戦記》

木下竜輔は2022年5月15日にジョニー・オリベイラを右ストレートでぶっ倒し脚光を浴びるも、その後は負けが込む中堅クラスに埋もれた感じだった。昨年3月3日の王座決定戦では、ジョニー・オリベイラの“倒されない頑丈さ”に阻まれ王座奪取成らず。「このままでは終われない」と語っていた木下竜輔は、今回見違えたような切れのあるローキック、飛びヒザ蹴りで蘇った。

伊原越谷ジムは2023年春に誕生した支部で、木下竜輔も今回のトレーニングは本部も支部もトレーナーが入り混じって、主にこちらで鍛え上げられた模様。「竜輔やるじゃん!」そんな声も聞かれそうな伊原ジム陣営だろう。

赤平大治は昨年12月8日、DUELで大岩竜世に僅差2-1の判定負け。そこからWKBA世界挑戦に繋がるとは意外だったが、瀬戸口勝也に挑むコンテンダーとして技量は備わっていたと考えられる。そしてニュージャパンキックボクシング連盟の新鋭が一気に新日本キックボクシング協会のトップを喰ってしまった。

最初のノックダウンを奪った際、“やった~!”と舞い上がってニュートラルコーナーに行かず、カウントが中断された際、瀬戸口を回復させてしまう事態に若林直人会長は「何やってんだ、バカ!」と感情むき出しの怒り心頭も、その後倒して勝ったら満面の笑みで赤平を抱き締め褒めていた感情の急変が面白かった若林会長であった。

時代は移り変わり、今回の新しいチャンピオンが誕生。交流戦の在り方も変わりつつある現在である。

昨年10月、瀬戸口勝也を倒した辰樹(Y’ZD)がWKBA世界挑戦を懇願していたが、今後も辰樹が絡んで来る公算もあり、新日本キックボクシング協会にとっては人材不足の今後も交流戦も活発に、他団体選手が注目されることも拒まず、迎え撃つのは木下竜輔が中心となっていくでしょう。

新日本キックボクシング協会次回興行は5月11日(日)に後楽園ホールに於いてTITANS NEOS.36が開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」