《書評》歴史は山上徹也をどう裁くのか、鈴木エイトの『アンビバレント』を読む

黒薮哲哉

ルポルタージュを読んでいて時々お目にかかるのが、まるで詳しい年表を読んでいるように味気ない作品である。とにかく情報が詰まっている。しかも、同じ密度で記述されているので、読み物としては単調になりがちである。

鈴木エイトの『アンビバレント』(講談社)は、その対極にある作品である。巧みな構成により、ひとつの書籍の中で二つのドラマが並行して展開する。ひとつは、山上徹也被告の十五回にわたる公判から判決を経て、著者が拘置所で被告と接見するに至るドキュメンタリーである。単に裁判記録を紹介しているだけではなく、恐らく調書には残らない生の声も記録されている。たとえば、山上被告の母親が証言台に立った時の次の場面である。

「徹也には本当に申し訳ないことをしたと思っています」
「尋問は終わりにしますので、しばらく待機していてください」
裁判長の注意を無視して、母親は再び被告人席に向かって呼び掛けた。
「てっちゃん、ごめんね」
「ここはあなたが発言する場ではない。黙ってください」
 と、裁判長から厳しく注意を受ける母親。

この時、山上被告は涙を浮かべていたという。第十三回公判では、安倍晋三元首相の妻・安倍昭恵が入廷する。そして本書のクライマックスで、著者の鈴木エイトは拘置所で山上被告と向き合い、安倍元首相殺害とは何だったのかを問い直す。それは裁判や既存メディアの報道から浮かび上がる人物像とは異なる側面を示していた。

これら一連のエピソードと同時進行するもうひとつのドラマが、山上被告がどのような境遇で育ち、どのようにして安倍元首相殺害に至ったのかの事実検証である。山上被告の半生が、関係者の証言を通して再構成されている。そこでは宗教二世の悲劇が具体的なエピソードによって語られる。

本書は、単に事件を忠実に記録したという域を超えて、複雑な事件を整理し、意味づけし、秩序立てて読者の前に提示した。ジャーナリズムの手本にほかならない。それを可能にしたのは、長い歳月を費やした取材と対象への執念ではないだろうか。

私的な話になるが、中米のニカラグアにも山上被告と同じようにテロに走った青年がいる。リゴベルタ・ロペスという詩人である。ロペスは一九五六年、上流階級の豪勢な宴会に紛れ込み、至近距離から独裁者アナスタシオ・ソモサを銃殺した。ソモサは当時、長期独裁体制を築き、ニカラグアの政治から、軍事、産業までを一族で支配していた人物である。米国の強い支援を受けながら統治を続け、貧しい人々の血を吸いとる売国奴と見なされていた。

リゴベルタ・ロペスは事件後、即座に射殺された。その後、一九七九年にソモサ独裁政権が革命によって崩壊すると、リゴベルタ・ロペスの名はよみがえった。国民的英雄となったのである。

詩人という肩書が付されているので、私は彼の詩作を調べてみた。しかし、後世に残るような作品は見当たらなかった。なぜ「詩人」なのか。この答えをニカラグアの人に尋ねてみると、詩人という言葉の意味が日本とは異なることが分かった。詩人とは、純粋な魂を持ち、不正を容認せず、真実に忠実な人のことなのだという。

テロという行為そのものが正当化されることはない。しかし、その背景や動機についての歴史的評価は、時代とともに変化する可能性がある。本書『アンビバレント』は、そのことを考えるための重要な材料を提供している。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年6月21日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
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再審無罪が確実となった「日野町事件」 どんな冤罪事件だったのか

尾﨑美代子

8年前に再審開始が決定していた「日野町事件」、これまで有罪主張を続けてきた検察が、6月19日の三者協議で有罪立証を断念したため、再審無罪が確実となりました。

拙著「日本の冤罪」にも寄稿していますが、日野町事件がどんな事件だったか、ザクッとですが、書いておきますね。

取材でお会いした弁護団長・伊賀興一弁護士(上記youtube動画画像:右)は、開口一番こういわれました。「この事件はいつどこで、どんな事件だったか、事件性の中身が未だに明らかにされてないんだよね」。私は目が点になりました。どういうこと?

酒屋の女性店主が失踪したのは1984年12月28日ですが、殺害(事件)があったのが何日かは不明です。というのも、店主はその日店を出て行き帰宅していませんが、そんなことが度々あるのかどうかは知りませんが、翌日別の従業員が店を開け、営業をしています。その際、店の外に開くのをまっていた客がいたといいます。つまり鍵は閉まっていたのです。同居していた親戚の女性は奥の部屋で寝たきりで、何がおきたのかわからずじまいでした。

さすがに数日して戻らない店主を心配し、警察に届けられますが、店主の遺体と手提げ金庫が別々の場所で発見されたのは、年が明けてのこと。店主が金目当ての強盗に殺害されたとして滋賀県警の捜査が始まります。

阪原弘(ひろむ)さんの逮捕は3年後です。酒店の常連客だった阪原さんは警察で入れ歯の金具が不具合をおこすほどの暴行を受けます。一旦帰宅した弘さんは家族にこう告げます。「殴られても蹴られても我慢したが『娘の嫁ぎ先に行ってガタガタにしてやるぞ』と言われ、我慢できんかった」と。そう、弘さんはまもなく嫁ぐ娘のことを一番に心配したのです。翌日警察に向かう弘さんに家族は「やってないのにやったといったらあかん」と言いましたが、弘さんは警察に暴行受け無理矢理自白させられ逮捕されてしまいます。

冤罪を多数作っている滋賀県警の書いた杜撰なストーリーはこうです。酒代に困っていた弘さんが、売り上げの帳面をつけていた店主の背後から首を絞めて殺害した…と。しかし、弘さんの家族は当時みな働いており預貯金もかなりあり、金に困っていませんでしたし、のちに盗まれた金庫は酒屋の売上が入った金庫ではなく、奥の部屋にあった通帳や証書などが入った金庫であることが判明しています。余りに杜撰。

 しかし、警察は弘さんが殺害後、遺体をまず宅地造成地に捨て、再び店に戻り約時間店内を物色、朝方金庫を山中に持っていき捨てたというものでした。なお、その際、店のカギはかけていなかったというのです(なのに、翌日店の開店を待つ客が外にたむろっていた)。

弘さんは当日知り合いの家で飲み、そのままその家で寝ていたというアリバイがありました。しかし、警察はアリバイを証明するその家の人をどう脅したかはしりませんが、彼らに「そんなことはなかった」と証言させます。

長くなるので途中経過を省きます。

裁判で無罪を主張した弘さんに、無期懲役の判決が下されます。弘さんは再審を闘いはじめますが、道半ば、獄中で病に倒れ、亡くなってしまいます。今回開始が決定した再審は、弘さんの遺族が請求したものです。

再審請求審のなかで明らかになった警察・検察の嘘はやまほどありますが、最大の嘘は、弘さんが「引き当て捜査」(容疑者が自ら遺体など遺棄した現場に捜査員を連れていくこと)で撮影した写真に真っ赤な嘘があったことです。どういうことか? 遺体遺棄現場の近くで車を止め、そこで弘さんを降ろし、弘さんを先頭にして遺棄現場に向かう「往路」の写真があります。遺棄現場では人形を使い、「遺体をここにこうして遺棄した」という写真があります。そしてその現場から車のある場所に戻る「復路」の写真があります。普通、遺棄現場を案内するなら、「往路」だけの写真でいいはずですが、なぜか「復路」の写真も多数あったことから。「これは変だ」と思った弁護団が写真のネガを証拠提出させました。ネガといっても今の若い人はわからないでしょうね。昔はカメラにネガフィルムを入れて写真をとります。それは撮った順番になります。遺棄現場に行く時の写真、遺体を遺棄した写真、戻るときの写真という具合です。

弁護団がそれらのネガの番号を調べたところ、順番が全く違っていたことが判明。じつはネガには現場に行く「往路」の写真はほとんどなく戻ってくる「復路」の写真ばかりだったのです。さらに調べると、現場に行く際に撮った写真の何枚かが帰ってくる「復路」に撮られたものであることが判明。つまり車の戻ってくる復路の場所で、弘さんが反対側を向かされ写真を撮られていたのです。それを追及した弁護団に捜査員は「行きに撮り忘れたから帰りに撮った」などと証言したのです。あるいは遺体や金庫を捨てた写真については何度も繰り返して撮っていたのです。」つまり捜査員が弘さんに「こうして捨てた」と演技指導していたのです。余りに酷い滋賀県警、それを後押しする大津地検と大津地裁。

端折りすぎですが、こうして2018年7月11日、大津地裁(今井輝幸裁判長)は再審開始の決定を出しました。それから大阪高裁の決定がでて、最高裁の決定がでて、そして今回検察が有罪立証を断念するまで、一体何年かかってるんだ!! そして8年目に検察はようやく有罪主張を断念したのです。

今回の事件で明らかなように、検察は冤罪犠牲者が無罪であることの証拠を必死で隠し続けます。現在、国会で議論がなされている再審法改正問題で、証拠の全面開示が非常に重要であることは、この事件ひとつ見ても明らかです。

先日より青木恵子さん(東住吉事件冤罪犠牲者)が獄中の仲間に声をかけ、冤罪で苦しむ人たちの訴えを集めています。再審法改正問題の議論のなかで、法制審などにも参考人として呼ばれた青木さんが、当事者の声があまりに軽視されているのではないかと危惧し始めた行動です。私やジャーナリスト片岡健さんなども協力して行ってきました。現在18名の方から切実な訴えの文章が届いています。青木さんは自民党に呼ばれた際知り合った国会議員らに意見書を手渡し、私は福井女子中学生殺害事件で再審無罪を勝ち取った前川彰司さんを通じてこれらの訴えを国会議員に届けています。ある議員からはすぐに青木さんに「国会で取り上げてもよいですか」と連絡がきたそうです。多くの方が証拠の全面開示を訴えています。なんのための改正なのか? 皆さんも一緒に考えてください。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

西日本新聞押し紙訴訟福岡高裁判決(敗訴)のお知らせ

江上武幸(弁護士)

去る5月28日(木)に西日本新聞販売店(佐賀県)の押し紙訴訟の福岡高裁判決が言い渡されました。地裁判決に続き販売店の敗訴でした。

*昨年7月3日に言い渡された西日本新聞販売店(長崎県)の押し紙訴訟の福岡高裁判決(敗訴)については2025年(令和7年)7月8日付で投稿した報告をご一読ください。

西日本新聞社は長崎県販売店に対して毎年4月と10月に前後の月より200部多い部数を供給してABC部数や折込部数の水増しを図っており、佐賀県販売店には社が決めた部数を供給していたことから販売店勝訴の可能性が十分あると判断して提訴しましたが結果は地裁・高裁とも全面敗訴判決でした。非常に残念です。

地裁では係属した部によって判断が異なることを見越して併合申立は行わず別々の裁判体で判決をうけるようにしました。しかし高裁では第3民事部で審理することになりましたので同じ結論になることは当初から予想されました。

長崎県販売店の判決を言い渡した裁判長は久留島群一裁判官で陪席は山下隼人・渡辺典子裁判官でしたが、久留島裁判長は令和8年2月6日付で定年退官されており、今回の佐賀県販売店の判決を言い渡した裁判長は大分地方・家庭裁判所長から転勤してこられた岡部純子裁判官でした(陪席裁判官2名は変更ありません。)

今回の裁判で特筆すべき出来事は岡部裁判長が結審当日、突如、西日本新聞社の代理人弁護士に対し和解の可能性を打診されたことです。

それに対し西日本新聞社側代理人弁護士は即座に和解の打診を拒否する旨を回答しました。通常の民事裁判の場合、裁判長から和解の打診を受けた代理人弁護士は依頼者の意向を確認したうえで回答するのが一般的ですが西日本新聞社側代理人弁護士は即座に拒否しました。西日本新聞社側が敗訴の可能性はみじんも感じていないことを示しています。

岡部裁判長も西日本新聞社側を敗訴させるつもりであればもっと強く和解をすすめるはずですがあっさりと引き下がられたことから販売店敗訴判決は既定の方針であったことが伺えます。

私どもが経験した押し紙裁判で新聞社側に和解を勧告した裁判長は佐賀新聞押し紙訴訟勝訴判決を言い渡した佐賀地裁の達野ゆき裁判長と今回の福岡高裁の岡部裁判長の二人だけです(注:佐賀新聞押し紙訴訟控訴審裁判官の和解の打診は販売店勝訴の一審判決を高裁で維持することを避けるためであったと考えています)。

お二人とも女性裁判長ですので、今後、裁判官・書記官・事務官の職種を問わず裁判所内で女性の活躍の場が増えていけば庶民感覚にフィットした国民に開かれた裁判所が期待できそうです。

昭和30年に制定された独禁法の押し紙禁止規定は平成11年(1999年)に当時の公正取引委員会委員長根来泰周氏(元東京高検検事長)と日本新聞協会長渡邊恒雄氏(読売新聞社主)の時代に現在のように改定され骨抜きにされました(注:黒藪さん投稿の2025年9月26日付「公取委、『押し紙』の謎、1999年『新聞特殊指定』改定をめぐる交渉記録の存在を認める」の記事参照)。今回の高裁判決も平成11年改正の押し紙禁止規定を形式的に適用したこれまでの押し紙裁判の判決と同じ論理構成で特に目新しい判断は示されていません。

押し紙は新聞社経営の財政基盤を支えていますので新聞社による自主解決ができないまま今日に至っています。そのため公正取引委員会や国会あるいは司法関係者ら外部の人間(販売店側代理人弁護士・新聞社側代理人弁護士・担当裁判官)の力によって解決すべきですがそれも出来ていません。我が国の法の支配の網の目のほころびは遺憾ともしがたいです。

今後もメディア黒書のアーカイブに残してもらうため引き続き投稿させていただきたいと考えていますのでご支援のほどよろしくお願いします。

(参考資料)
■西日本新聞社佐賀県販売店押し紙訴訟福岡高裁判決
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2026/06/IMG_0001.pdf
■控訴理由書
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2025/11/nishi2511.pdf
■控訴理由補充書
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2025/11/Nish2511a.pdf
■福岡地方裁判所判決
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2022/12/oshigami-N2211.pdf
■訴状
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2022/12/oshigami-N2211.pdf
■押し紙一覧
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2022/12/oshigami-N.pdf
●資料:「押し紙」の定義に関する法律と規則
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2022/12/39fe715345bbcf0cebd881fb4f9aca57.pdf

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年6月13日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼江上武幸(えがみ・たけゆき)
弁護士。福岡・佐賀押し紙弁護団。1951年福岡県生まれ。1973年静岡大学卒業後、1975年福岡県弁護士会に弁護士登録。福岡県弁護士会元副会長、綱紀委員会委員、八女市役所オンブズパーソン、大刀洗町政治倫理審査会委員、筑豊じんぱい訴訟弁護団初代事務局長等を歴任。著書に『新聞販売の闇と戦う 販売店の逆襲』(花伝社/共著)等。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

NJKF年号シリーズ復活!今後の展開は!?

堀田春樹

吉田凛汰朗と亜維二の新時代のエース格見参。
亜維二は連続1ラウンド完封TKO勝利で2度目の防衛。
吉田凛汰朗は韓国戦士を余裕の判定勝利。

◎NJKF 2026.1st / 6月14日(日)後楽園ホール 17:15~20:20
主催:ニュージャパンキックボクシング連盟 /

◆第11試合 64.0kg契約3回戦

Road to Muaythaiスーパーライト級チャンピオン
吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31栃木県出身/ 63.75kg)33戦17勝(3KO)10敗6分
vs
KTKライト級チャンピオン.ジョン・ヒョクジン(1999.3.6韓国出身/ 63.5kg)
14戦12勝2敗
勝者:吉田凛汰朗
主審:中山宏美
副審:多賀谷30-29. 児島30-28. ランボー30-27

初回は蹴りからパンチの様子見からリズム掴んだ吉田凛汰朗。第2ラウンドには強い左ミドルキックでプレッシャー掛けて行く。ジョン・ヒョクジンは圧されながらも反撃のチャンスを窺う。吉田はタイミングいい蹴りとパンチで主導権支配し、勢いよくパンチ打って来るジョンには警戒しながら終始圧倒。ラストラウンドの終盤はパンチでジョンをコーナーに追い込むも倒し切れなかったが、吉田は冷静に試合を進めて格の違いを見せつけた展開で判定勝利。

突進力ある韓国戦士は怖いが、終始吉田凛汰朗が圧倒した
吉田凛汰朗のローキックがジョン・ヒョクジンにヒット、距離感支配した

吉田凛汰朗は試合後、「試合前はスタイルが凄く似てて距離的に入り辛いかなと思っていましたが、サウスポーにした距離がしっかりタイミングを組み立てられた感じです。自分より背の高い選手はあまり居ないので距離がどういう感じかなと思い、ジョンがヒザ蹴り狙っているのも伝わって来たので、ヒザのカウンターを警戒し過ぎてしまいましたが、アグレッシブでナイスガイな韓国戦士でした。」と語った。

◆第10試合 NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオンV2戦.亜維二(=小林亜維二/新興ムエタイ/2006.2.16神奈川県出身/ 66.1kg)
16戦11勝(7KO)4敗1分
        vs
挑戦者3位.璃久(GRABS/2005.5.1北海道出身/ 66.35kg)6戦4勝(4KO)2敗
勝者:亜維二 / TKO 1ラウンド 2分5秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

亜維二は左右の強い蹴りでプレッシャー掛けて出る。璃久はローキックからパンチで突破口を探るが、亜維二の圧力に跳ね返される。パワーある亜維二の蹴りからパンチの連打で璃久を追い詰め、右ストレートでノックダウンを奪いカウント中のレフェリーストップとなった。連続1ラウンドノックアウト防衛は存在感を大きく増した亜維二だった。

亜維二がプレッシャー掛けて圧倒の連打、璃久は何も出来なかった
倒し切ったと確信、亜維二が自分へのリベンジも成功

亜維二は試合後、「昨年11月の肩脱臼による負傷で負けたという自分への仕返しという思いがあって、こんな形で終れて良かったし、同い年の選手と初めて試合して、こんないい選手出て来たんだと、この先の選手らの成長が楽しみになりました。」と語った。

前日計量時には顔色良く、食事制限も上手くいった様子。「前々回、前回の1回でパス出来なかったのは何だったのかって感じです。」と笑った。

ファンへ御挨拶。今後も上位、他団体も視野に入れた活躍が期待される亜維二

◆第9試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦(中止)

3位.藤井昴(KING/欠場)vs 5位.中島凛太郎(京都野口/ 55.3kg)

藤井昴が練習中の怪我で欠場。この両者は過去にも藤井の怪我で中止や、昨年4月には中島凛太郎の股間ローブローによる藤井の試合続行不可能で藤井が負傷判定勝利するなど、因縁ある対戦だったが中止となり、中島凛太郎が暫定チャンピオンに認定された。

中島は「防衛戦を行なってチャンピオン(正規)として認めて貰いたい」といった言葉を残した。

◆第8試合 女子ミネルヴァ53.0kg契約3回戦(2分制)

WMA世界スーパーフライ級チャンピオン
NANA(エスジム川崎/1990.6.10北海道出身/ 52.5kg)26戦17勝7敗2分
vs
ファン・スンハ(1995.4.17韓国出身/ 52.2kg)5戦3勝2敗
勝者:NANA / 判定3-0(当初は2-1)
主審:中山宏美
副審:ノッパデーソン30-29. ランボー29-30(訂正30-29). 多賀谷30-29

パンチとローキックは互角の始まりもNANAが的確差が優っていく。第2ラウンドにはファン・スンハがパンチの猛攻でNANAをロープ際に追い詰める勢いを見せたが、要所要所で的確にヒットするNANAが判定勝利。右脚膝のテーピングによる負傷跡が窺えるNANAは引退をほのめかすも回復次第でもう1試合という可能性も残した。

NANAのパンチ攻勢が続くが、韓国選手の頑張りはしっかり出せたファン・スンハ

◆第7試合 NJKFバンタム級挑戦者決定戦3回戦

NJKFバンタム級3位.中島隆徳(GETOVER/2005.4.8愛知県出身/ 53.5kg)
        vs
同級4位.永井雷智(VALLELY/2008.1.14東京都出身/ 53.45kg)
無効試合 1ラウンド 0:13秒(当初は中島隆徳の反則勝ち)
主審:児島真人

試合開始直後の縺れ合ってバランス崩して俯いた中島隆徳の後頭部に永井雷智が右ヒジ打ちをヒット。反則打として中島にインターバルが与えられたが、足下おぼつかない様子で立ち上がれずドクター勧告をレフェリーが受け入れ、試合続行不可能となった。

永井雷智のヒジ打ちを後頭部に受けて頭を押さえる中島隆徳。思う以上に動けなかった

◆第6試合 NJKFフライ級挑戦者決定戦3回戦

NJKFフライ級1位.谷津晴之(新興ムエタイ/2003.5.7神奈川県出身/ 50.75kg)
27戦14勝(8KO)8敗5分
vs
同級2位.悠(=吉仲悠/VALLELY/2003.10.25北海道出身/ 50.8kg)
16戦9勝(4KO)5敗2分
勝者:悠 / 判定0-2
主審:多賀谷敏朗
副審:ノッパデーソン28-29. 児島29-30. 中山29-29

谷津晴之の前蹴りと悠のローキック、多彩に攻め合う両者。一進一退も谷津の多彩なヒットで圧している印象があるが、悠も強烈なパンチヒットもあり互角の展開。ラストラウンド終わっても延長戦想定の準備に掛かる両陣営だが、僅差判定で悠が勝利し、チャンピオン西田光汰への挑戦権を獲得した。

悠の的確なパンチヒットが勝利を導いた。攻めていた谷津晴之は惜しい敗戦

◆第5試合 NJKFスーパーフェザー級挑戦者決定戦3回戦

NJKFスーパーフェザー級3位.豪(大和/2004.1.19愛知県出身/ 58.95kg)
12戦7勝(5KO)5敗
vs
同級4位.細川裕人(VALLELY/2001.9.15.北海道出身/ 58.9kg)13戦8勝(1KO)4敗1分
勝者:豪 / TKO 1ラウンド 2分46秒
主審:スイット・サエリム・ランボー

両者ローキックで探り合いからパンチの交錯で豪が細川裕人をロープ際に追い詰め左ボディブローヒット。更にコーナーに追い詰め両者崩れる中、ヒジ打ちも入れた豪。立ち上がるのが遅い細川はノックダウン扱いされた。再開後も豪の攻勢続いて縺れ合いながらのヒジ打ちで細川は立ち上がれない様子にカウント中のレフェリーストップとなった。

細川裕人は3月8日に新日本キックボクシング協会でジョニー・オリベイラに判定勝利して日本ライト級チャンピオンとなったが、その風格が感じられない展開だった。

豪が圧倒して細川裕人を攻めた。細川は精彩無い敗戦

◆第4試合 女子ミネルヴァ 53.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級チャンピオン
鈴木咲耶(チーム鈴桜/2007.10.5静岡県出身/ 52.65kg)9戦7勝(1KO)2敗
vs
小澤聡子(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/1984.3.4静岡県出身/ 52.9kg)
45戦12勝29敗4分
勝者:鈴木咲耶 / 判定3-0
主審:児島真人
副審:ランボー30-27. 多賀谷30-28. 中山30-28

パンチで前進する小澤聡子に蹴りの距離掴み難い鈴木咲耶は首相撲に持ち込みヒザ蹴りが効果的にヒット。鈴木は距離が取れれば前蹴りもミドルキックも使い小澤を突き放し、テクニックで優った鈴木が判定勝利した。

女子で光る存在の鈴木咲耶、やや攻め倦んだが、手足の長さ活かした蹴りで勝利

◆第3試合 スーパーウェルター級3回戦

村木太樹(京都野口/1987.2.15滋賀県出身/ 69.5kg)10戦2勝6敗2分
        vs
須藤雅人(OGUNI/1997.12.9神奈川県出身/ 69.85kg)3戦1勝(1KO)2敗
勝者:村木太樹 / TKO 3ラウンド 1分33秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

多彩に蹴り合う両者。村木太樹が徐々に首相撲からヒザ蹴りがヒット。第2ラウンド後のインターバルで須藤雅人は前かがみに辛そうな表情。ラストラウンド、パンチで出る須藤にヒザ蹴りからミドルキックとパンチでノックダウン奪った村木。更にヒザ蹴りで須藤が崩れ、カウント中のレフェリーストップとなった。

◆第2試合 スーパーバンタム級3回戦

笹羅皇聖(笹羅/2009.7.9宮城県出身/ 54.7kg)3戦2勝1敗
        vs
鳥居大珠(ワイルドシーサー前橋元総社/2009.6.11群馬県出身/ 55.34kg)4戦2勝(1KO)2敗
勝者:鳥居大珠 / TKO 1ラウンド 2分57秒
主審:中山宏美

アグレッシブな蹴り合いから鳥居大珠の右ハイキック一発で笹羅皇聖は倒れ、カウント中のレフェリーストップとなった。

◆第1試合 フェザー級3回戦

高嶋隆一(PIT/2000.3.28東京都出身/ 56.65kg)4戦2勝2敗
        vs
KAJI(K-CRONY/1974.3.14茨城県出身/ 56.55kg)2戦1勝1敗
勝者:高嶋隆一 / TKO 2ラウンド 1分27秒
主審:多賀谷敏朗

高嶋隆一のパンチとローキックでKAJIはダメージ重ね、第2ラウンドにはローキックでノックダウン。再開後も高嶋のパンチ連打でKAJIをコーナーに詰めるとレフェリーストップが掛かった。

《取材戦記》

吉田凛汰朗と亜維二の新エース格の存在感は大きかった。大田拓真に続くメインイベンターは今後が楽しみである。

昨年4月27日の中島凛太郎(京都野口)vs 藤井昴(KING)は1ラウンド1分52秒、負傷判定2-1で藤井昴が勝利。

ホームページ等はノーコンテストと表記しながら「トーナメントの為、1R 途中までの採点となり藤井が 2-0 で勝利」とも曖昧な表記。

今回、坂上顕二理事長にも、これまでにも何度も確認の上、この昨年の試合は藤井昴の2-1負傷判定勝利です。

この日のNANAvs ファン・スンハは当初の判定2-1でNANAの勝利。

後日(6月16日)訂正あり。「採点結果について、興行後のミーティングにてジャッジによるスコアの記入ミスがあった事が確認されました。正しくは判定3-0でNANA 選手の勝利となります。」という発表。またやった、在日タイ人審判の記入ミスである。

後の訂正はあるべきではない。過去の判定試合すべて覆すことが可能になってしまうからである。

中島隆徳vs 永井雷智は当初、中島の反則勝ち、永井の失格負けでしたが、後日(6月16日)に無効試合と訂正。

「その後、異議申し立てがあり、協議の結果、挑戦者決定戦である事、双方からノーコンテストで再戦要求もあった事を踏まえ、双方合意の上、公式結果はノーコンテストとなり、9月12日(土)に開催されますNJKF 2026 2ndにて再戦予定となります。」と発表がありました。問題続くニュージャパンキックボクシング連盟。今後の展開は大丈夫か。

その今後について、武田幸三CHALLENGERシリーズとNJKF年号シリーズは交互に開催していく模様。円満に決定とされましたが、長年のファン・関係者は気付きます。取り敢えずは分裂などは起こらない穏やかな団体なので大丈夫でしょう。

今回の興行は派手なリハーサルも無い静かな開場。リングはロゴマークの無い青マットに戻りました。後半には試合が進むごとに観衆が減っていく現象は各団体いつものこと。

満員で最後まで帰らない群衆はいつ戻って来るでしょうか。各団体・興行プロモーターの課題であります。

9月6日(日)は後楽園ホールに於いてCHALLENGER.14が開催(通常の17時開場)。
9月12日(土)には後楽園ホールに於いて昼興行、NJKF 2026.2ndが開催予定です。開始は12時が濃厚(11時30分の可能性もあり)。時間を夕刻と間違えないように御注意ください。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

豊田直巳監督作品「サマショール 遺言 第6章」自主上映会にお集りを!

尾﨑美代子

福島県飯舘村の長谷川健一さんと出会ったのは、3・11後の8月、京都の講演会だった。「福島で起きていることを一人でも多くの人に知って欲しい」としわがれ声で訴える長谷川さん。私は休憩中楽屋を訪れ、大阪での講演を依頼した。すでに各地で講演会が入っており、私たち「西成青い空カンパ」が長谷川健一さん大阪2daysを開催したのは、暮れも押し迫る12月18、19日だった。「西成青い空カンパ」では支援ライブや上映会を行い、こつこつカンパを集め、長谷川さんの住む伊達東仮設住宅自治会へ送ってきた。2013年に来阪した際、長谷川さんは「もう関西の人は福島のことなんか忘れたのかな」と少し寂しそうだった。

翌年の春、長谷川さんから珍しく写真が添付されたメールが送られてきた。それは仮設住宅の自治会室に設置されたコピー機の写真だった。私たちの送ったカンパを使い買ったのだという。当時、飯舘村の人たちは、原発ADRを準備していた。毎週弁護士さんが手弁当で福島に通い、村の人々に訴訟に向けた聞き取り調査を行っていたそうだ。「ADRに向けて訴訟資料など大量にコピーする必要があるので、とても助かっています」と書かれていた。メールからは久々に元気そうな長谷川さんを感じられた。

私達は長谷川さんが住んでいた伊達東仮設住宅にカンパを送り続けていた。2014年春長谷川さんから珍しい写メが届いた。「カンパを使いコピー機を買った。秋に提訴する原発ADRの裁判資料を作るための非常に役立つてます」とメールがあった。

その後も何度か飯舘村を訪れた。あれは いつだったか? あれから何度飯舘村を訪れただろうか? いつだったか、飯舘村から福島駅に送って貰う車中、草ぼうぼうの田んぼを見ながら、長谷川さんが私にこう聞いてきた。

「尾崎さん、この田んぼ、このままでいたらどうなると思う?」。

秋の田んぼは枯れ草で覆われていた。枯れ草が枯れ、翌年春にはまた雑草がはえ、それがまた枯れて……その繰り返しではないかと私は言った。すると長谷川さんはまっすぐ前を向いたまま、こう言った。

「違うんだ。このままにしていたら田んぼは森に返るんだ」。

その少し前、長谷川さんのお父さんが私と同じ新潟県出身で、新潟から福島に入った開拓者だったことを知った。お父さんの出身は、私の実家がある「越後岩塚駅」から3つ目の「宮内駅」。長谷川さんのお父さんはその駅のある宮内から福島に入ったという。よその地域から福島へ開拓に入ったという方の苦労話は、飯舘村の人から何度も聞くことがあった。それこそ、鍬や鋤ひとつで入植し、森林の木を伐採し、土地を耕してきたのだろう。長谷川さんは、両親から受け継いだその土地が徐々に荒れ、森に戻るのをみたくなかったのだろう。長谷川さんは避難指示が解除された飯舘村前田地区に戻り、家の前の広大な土地にそばを植えはじめた。「夏になったらここいら一面が真っ白になるから……」。そういっていた長谷川さん。

「サマショール」とはウクライナ語で「自主帰還者」を意味するそうだ。避難指示が解除されたとき、長谷川さんは花子さんとご両親と飯舘村に帰ることを決めた。ひとつは、高齢と長い避難生活で認知症を患ったお母さんがそれを望んでいたこともあったそうだ。そして、長谷川さん自身、ご両親が必死で開拓してきた土地を守りたかったのだろう。

私は、けっきょく長谷川さんのそばの花を見ることはなかった。お父さんの田舎が私の故郷の近くなんですという話をするきっかけもなかった。長谷川さんの訃報を聞いたとき、あの日まっすぐ前を見て放った長谷川さんの言葉を思い出した。
 
「このままにしていたら、田んぼは森に返るんだ」。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

季節2026年夏号
『NO NUKES voice』改題 通巻46号

紙の爆弾2026年7月増刊
2026年6月11日発行
A5判 132ページ 定価770円(税込み)

《グラビア》原発事故〈収束〉と被災地〈復興〉という欺瞞(北村敏泰)

樋口英明(元福井地裁裁判長)
《報告》なぜか、裁判官が辞めていく 

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《インタビュー》柏崎刈羽原発再稼働の不安 老朽原発は事故を起こす

木村英昭(ジャーナリスト)
《報告》原発を巡る三年間の動向 ── 時系列が可視化する統治の変化

高橋博子(奈良大学教授)
《報告》日米両政府の核兵器観 放射性降下物・残留放射線・内部被ばく

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
《報告》脱原発の思想 日本はなぜ脱原発に向かわないのか

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
《報告》東京電力「原子力中核企業化」戦略の内実

菅野みずえ(「ALPS処理水を海に流すな」裁判原告)
《インタビュー》私の15年、3・11はまだ続く

北村敏泰(ジャーナリスト)
《報告》まやかしだらけの「復興」
 十六年目も終わりはない東北三県の被災地から

和田央子(イノベーション・コースト構想を監視する会)
《報告》高市軍拡政権と福島イノベーション・コースト構想

末田一秀(関電株主代表訴訟原告/はんげんぱつしんぶん編集長)
《報告》関電株主代表訴訟の闘い
 原発地元への不正な金の流れを断ち切るために

守田敏也(フリーライター)
《報告》浜岡原発基準地震動捏造問題が示すもの
 原発再稼働は六層の点で認められない

中道雅史(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長)
《報告》《徹底解説》核と軍の拠点・青森県《後編》

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
《報告》「『原発被害』って何だろう?」を共有する
 近畿三訴訟団「近畿訴訟団交流会」

木村三浩(一水会代表)×板坂 剛(作家/舞踊家)
《対談》民族派と左翼の融合は可能か《後編》

淀川乱歩(SF作家)
《奇想科学小説》マロ博士の島

平宮康広(元技術者)
《報告》石炭火力発電vs原発および再エネ発電〈1〉

再稼働阻止全国ネットワーク
司法は再稼働を推進するな! 市民運動と原発訴訟
《北海道》小野有五(北大名誉教授、行動する市民科学者の会・北海道)
泊原発の再稼働をめぐって
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
特重施設の猶予延長を許すな
《柏崎刈羽》小木曽茂子(再稼働を考える県民ネットワーク事務局)
新潟はあきらめない!
《東海第二》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
原電は水戸地裁判決に従い、東海第二原発の再稼働を断念せよ
《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
静岡地裁は原告の不正主張を看過し、浜岡原発訴訟を強行に終結
《志賀原発》藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)
矜持の見られない二つの判決、審理進行にめげない!
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「嘘・騙し」「データねつ造」「トラブル隠ぺい」「約束反故」なしには動かせない原発と決別し、自然エネルギーのみで成り立つ社会を!
《島根》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
住民の安全を脅かす島根原発2号機の再稼働 安全神話を復活させる国と思考停止する司法を許さない!
《四国》小倉正(原発さよなら四国ネットワーク)
伊方原発をめぐる四県の仮処分/本訴の闘いと市民運動
《佐賀》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会代表)
裁判に至るまでの道のりは突然ではなかった
《鹿児島》向原祥隆(ストップ川内原発!3・11鹿児島実行委員会共同代表)
敷地内乾式貯蔵を阻止して停止に追い込む
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
空しい規制委への異議申立・長引いて良かったテント裁判
《本の発掘④》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
『3・11と憲法』(森英樹・白藤博行・愛敬浩二編 日本評論社)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=new
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GZZQWL9T

浅野健一氏と『世界日報』(後編)―― 問われるジャーナリズムの整合性

黒薮哲哉

本稿は、ジャーナリストで元同志社大学教授の浅野健一氏が、『世界日報』にコメントを寄稿していた問題の続編である。前編で筆者は、浅野氏のコメント内容の問題点を指摘した。浅野氏は、同志社大学の教授がセクハラ報道により自殺に追い込まれた事件についてのコメントで、「通常犯罪の調査報道やめよう」と呼びかけていたのである。前編は、次のURLからアクセスできる。

浅野健一氏と『世界日報』―― 統一教会機関紙への登場を検証する

◆ジャーナリストとしての浅野氏の姿勢

本稿では、あるひとつの事実を基にして、浅野氏の報道姿勢について検討する。浅野氏は、「一九八四(黒薮注:九月)に第一作『犯罪報道の犯罪』を出版した際、統一協会系の月刊誌『知識』から、『二百万円を提供するので、浅野さんの好きな取材をして連載を書いてほしい。その中に、戸塚ヨットスクールの報道被害を必ず入れてほしい』」という提案を受けた。(『紙の爆弾』、2024年10月号、浅野氏執筆)。しかし、この企画を断った。その後、同年11月21日になぜか同じ統一教会系の『世界日報』へ、「通常犯罪の調査報道やめよう」というコメントを寄稿したのである。

『知識』の企画を断ったのは、『紙の爆弾』の記述によると、浅野氏が統一教会の反社会性を認識していたからである。ところが、『世界日報』へのコメント寄稿には応じている。両方とも統一教会系の雑誌であるにもかかわらず、異なる扱いをしているのだ。

この点について浅野氏は、『紙の爆弾』への寄稿では何も書いていない。本来は、説明すべき事柄であるが。読者が最も知りたい点にほかならない。

以下、『紙の爆弾』の記事を引用しよう。浅野氏が『世界日報』へコメントした事実を念頭に置いて読んでみると、ジャーナリストとしての浅野氏の姿勢が輪郭を現わしたりにじんだりする。ジャーナリズムの真髄である真実の追求とはほど遠い印象を受ける。筆者には、浅野氏がどのような人物なのかさっぱり分からない。読者は、以下の記述を読んで何を感じるだろうか?

《一九八四年(黒薮注:9月)に第一作『犯罪報道の犯罪』を出版した際、統一協会系の月刊誌『知識』から、「二百万円を提供するので、浅野さんの好きな取材をして連載を書いてほしい。その中に、戸塚ヨットスクールの報道被害を必ず入れてほしい」という提案があった。私は原稿・講演を頼まれたら、応じるようにしているが、ヤクザと統一協会は受けないと決めている。

同志社大学の教授時代にも、学内に原理研があり暗躍していた。同大では入学式に学生自治会の学友会(ブンド系の伝統)の会長が新入生への挨拶で、「統一協会・原理研究会と日本共産党民主青年同盟には気を付けて騙されないように」と毎年言っていた。二階席から、毎年のように、民主青年同盟を誹謗中傷するな、と叫ぶ男性がいた。

山上氏の安倍氏への銃撃で、自民党と協会の癒着関係が明るみに出て、国政選挙のない「黄金の三年間」が、自民党の暗黒時代になった。ジャーナリズムの力が問われている。

『知識』は今も発行されているようだ。世界平和教授アカデミーの機関誌で、他に『世界平和研究』を発行している。カトリック中央協議会の声明によると、次のような系列紙(誌)があるとされる。

(世界日報、宗教新聞、新天地、週刊宗教、ファミリー、知識。また次のメディア媒体も公言または報道等により、統一協会系であることが知られる(順不同)。思想新聞(機関紙)、中和新聞、ワシントン・タイムズ(米国)、世界日報(韓国、日本)。

二階俊博元幹事長は「政治家は支持者を選べない」と居直ったが、二階氏は「過激派」「オウム」の支援も受け入れるのだろうか。

※黒薮注:この発言は、2022年7月の 安倍晋三銃撃事件 の後、自民党議員と旧統一教会との関係が大きな政治問題になった際のものだと思われる。

多くの自民・公明両党の議員たちが、統一協会系の雑誌・新聞を全く知らなかったと言っているのはウソだ。もし知らなかったら、その時点で政治家失格だ。私はネット検索がない三八年前に調べて、統一協会の誘いを拒否した。

政治家なら、それぐらいのチェックをすべきだ。そのために、秘書や事務所スタッフがいるのではないか。》

※統一教会による反社会的活動は、ウィキペディアによれば1978年ごろから顕在化したとされる。「先祖の因縁」や「たたり」を理由に、高額な壺や印鑑、多宝塔などを購入させられたという相談が、国民生活センターや各地の消費生活センターへ寄せられるようになった。共産党の『赤旗』も当時から統一教会を問題視していた。

※『知識』は、世界平和教授アカデミーの雑誌である。世界平和教授アカデミーは、1974年に文鮮明の提唱で創設されたとされる。

【参考記事】報道は誰のための記録か――浅野健一氏の逆立ちした匿名報道論

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年6月15日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

トチ狂ったとしか言いようがない浅野健一さんの言動

鹿砦社代表 松岡利康

このところの浅野健一さんの言動には、首を傾げることばかりです。

ひとつは、鈴木エイトさんが、山上徹也さんと面会した際に、浅野さんの本の中に事実と異なる内容やデマがあると言われたとのことで、相当慌てておられるようです。

まるで鈴木さんがウソをついているかのように述べておられますが、みなさんは、鈴木さんと浅野さんのどちらの言い分を信用しますか?

山上徹也さんから批判された浅野さんの著書

ところで、以下の文は、浅野さんが、反原発情報誌『季節』編集委員の尾﨑美代子さんのFacebookに書き込まれたものです。尾崎さんはすぐに消去されたということで、そのまま放っておくつもりでしたが、性懲りもなく浅野さんご自身のFacebookにも掲載されていますので、引用し最低限の批判をしておきます。酷い侮辱! このところの私への非難中傷こそ、まさに名誉毀損ものです。

『紙の爆弾』に書けなくなったのを、私のせいにしていますが、みずからが杜撰な記事を書いたこと、それが相手方から指摘・批判されるや責任ある態度をとらず逃げたことが直接の原因になっています。それまで、私の逮捕事件以来カウンター大学院生リンチ事件に関する訴訟や真相究明に逝去の直前まで協力してくださった故・山口正紀さんへの誹謗中傷を繰り返しながらも、外からたびたび「浅野をやめさせろ」の助言がありつつも昨年4月までは編集長の中川が起用してきたことを黙認してきましたが(心中は忸怩たる想いでした)、昨年4月発行(5月号)の記事には、さすがの私も堪忍袋の緒が切れて「エキセントリック」(浅野さんによれば中川がこう言ったとのこと)になりました。今の浅野さんの異常な言動には負けますが(苦笑)。

しかし、この4月5日に浅野さんがあけび書房刊『石ころの慟哭』出版差し止め仮処分を申し立てるということに対する抗議の意味での本欄での記事までは浅野さんへの批判は記憶にありません。あったかな?

4月5日以降、浅野さんによる出版差し止めや、その他、特にあけび本の著者・辻井彩子さんへのネットリンチ攻撃は、まさに人権侵害で、こうしことに対して、いやしくも一出版人のはしくれとして原則的に批判しているつもりです。汚い言葉や威嚇的な言葉など使っていないつもりです。

浅野さんは他人を批判、非難する前に、まずは脚下照顧、みずからの言動に問題はないのか、なかったのか、を虚心に自分の胸に手を当てて反省すべきでしょう。

<尾崎美代子氏の投稿に一言。「季節」の前身雑誌に記事を何回か書いた私は、昨年4月から、鹿砦社の発行する「紙の爆弾」に書けなくなっています。
 松岡利康社長が「紙の爆弾」の中川志大編集長に「浅野排除」の業務命令を出しているからです。
 関西の複数の友人によりますと、尾崎氏は、松岡社長のエイジェントとして、私の誹謗中傷・侮辱の言説を流布し、私の活動を妨害しているようです。(私は数回、尾崎氏と会っていますが、尾崎氏に嫌われる理由はないと思います)
 私は、松岡社長、尾崎氏の活動を昨年4月まで、批判、非難したことはありません。
 松岡氏は私との対話を拒み、私の話を一切聞かず、私の山上徹也さん裁判本を激しく非難、最近では辺野古転事故関連でも、私のバッシングに加担しています。岡林信一、辻井彩子、鈴木エイト、黒薮哲哉各氏の5人グループの主犯は松岡氏です。
 松岡氏は雑誌編集を私物化しています。出版社に「王様」はいりません。
 中川志大氏は子会社の代表。一貫して私の理解者です。松岡氏は今すぐ引退し、中川志大氏にバトンタッチすべきです。
 中川氏は、大赤字の「季節」を廃刊にし、「紙爆」に入れ込むのがいい、と私に話していました。一考に値する提案です。
 鹿砦社には労働組合がありません。鹿砦社の労働者が組合をつくり、読者第一の出版社に大改革することを願います。
 私は「紙爆」にまた記事を書きたいと思っています。>

「尾﨑氏は松岡社長のエイジェントとして、私の誹謗中傷・侮辱の言説を流布し、私の活動を妨害しているようです」だって!? 冗談もほどほどにせい! これだけ言いたい放題言って、100%株主に向かって「今すぐ引退し、中川志大氏にバトンタッチすべきです」、さらには「私は『紙爆』にまた記事を書きたいと思っています」などと言いたい放題です。みなさん、どう思われますか? まず私に「引退」を迫りたいのなら、現在2400万円の資本金の半分以上、1200万1円以上の株を手に入れ株主総会や役員会で松岡解任を決議すればいいでしょう。

それから、「読者第一」というのなら、浅野さんは、お引き取り頂きたいトップ候補でしょう。

ちなみに、『季節』ですが、新たに支援者、新たな書き手も増えつつあり、独立の反(脱)原発雑誌として継続していくことを決意、決定しています。

(6月17日 松岡記)

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日本メディアはなぜ現場に行かないのか ―― ウクライナ報道と『押し紙』構造が映す政権依存

黒薮哲哉

5月23日付のロシアメディア「Sputnik」(X投稿)は、日本政府が「自国の特派員らに対し」、ウクライナ軍による大学への攻撃について「現地での報道・取材を禁止したことを示す情報を、ロシア当局が入手した」と報じた。

実際、19カ国から約50人の記者が、ウクライナ軍による教育施設攻撃の現場を取材したが、日本の記者は一人も参加しなかったという。取材は、ロシア当局が記者団を現地へ案内する形で実施された。

ちなみに、BBCは公式に参加を拒否し、CNNは担当記者が休暇中であることを理由に参加しなかったという。

参加国は、米国、オーストリア、英国、フィンランド、フランス、ハンガリー、ドイツ、ギリシャ、スペイン、イタリア、中国、パキスタン、トルコ、カタール、レバノン、アラブ首長国連邦、キューバ、ベネズエラ、ブラジルなどである。日本だけが、一人の記者も参加しなかった。

日本のメディアが「政府広報」に近づいている実態が、改めて浮き彫りになった。取材をしたうえで記事化しないのであれば理解の余地はある。しかし、取材そのものを行わないのは異常である。どのような形であれ、まず現場に足を運び、事実を確認しようとするのが報道機関の原則ではないか。

◆メディアが政府広報に近づいている背景

日本のメディアが政府広報に近づいている背景には、新聞社(系列テレビ局を含む)が、公権力から経営上の優遇措置を受けている事情がある。そして、その優遇措置が廃止されれば、新聞社経営そのものが成り立たなくなる構造がある。

優遇措置の代表例として、次の点が挙げられる。

1.新聞に対する消費税の軽減税率(8%)。

2.教育現場での教材としての新聞の使用。これについては学習指導要領に記されている。

3.新聞の再販制度の維持。これが廃止されれば、販売店と新聞社の力関係が変化し、新聞社は「押し紙」政策を維持できなくなる。

4.押し紙」を事実上放置してきた国策。

「押し紙」が新聞業界にもたらす莫大な利益については、「メディア黒書」で繰り返し報じてきた。試算によれば、中央紙全体で「押し紙」率が20%の場合、利益は約424億8000万円に達する。40%であれば約850億円規模となる。しかも、これらは控えめに見積もった数字である。

【参考記事】「真村訴訟が暴いた新聞業界の『押し紙』構造――不正利益は400億円超、公権力によるメディアコントロールの温床に」

もっとも、「押し紙」によって生じる販売店側の損害の多くは、新聞社による補助金で補填されている。しかし、この仕組みが崩れれば、紙面広告価格の低迷に加え、販売店網そのものの維持も難しくなる。

※新聞社が補助金をカットすれば、販売店は「押し紙」で自滅する仕組になっている。

「押し紙」問題は、日本のマスコミを分析するうえで欠かせない要素である。単に新聞販売の問題ではない。ジャーナリズムの大問題なのである。仮に政府に対して本格的に批判的な新聞社が現れた場合、公権力は「押し紙」問題への介入をちらつかせることで、報道をコントロールできる。この構図がメディアコントロールの温床なのだ。

「押し紙」問題を解決しない限り、記者個人がジャーナリストとしての自覚を高めたとしても、真実の報道はできない。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年5月27日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

鹿砦社の反原発誌『季節』の定期購読をお願い致します!

尾﨑美代子

お願いがあります。鹿砦社の反原発誌『季節』の定期購読をお願い致します!

『季節』2026年夏号が発売となり、執筆者や関係者様に届いていることと思います。さて、私はこの『季節』の編集委員をさせて戴いております。『季節』が発刊以来ずっと赤字であることは、鹿砦社代表の松岡氏がなんども訴えています。

「何故、赤字続きなのか?」と私なりに考えてみました。もちろん内容の問題もあるかもしれません。本書は発行が3ケ月に一度ですが、毎号編集会議では、なるべくその期間内でタイムリーな内容、あるいは小さな事件だはどうしても見逃せない問題、全体的には原発問題に関して多面的な内容を提供したいと考え、意見を出し合い、制限された紙面の中で、それをどう伝えていくかと必死で討議しています。

そんななか、赤字の原因として、私が考えることが1点あります。それは「定期購読者」の不足、逆にいえば「献本数」が非常に多いのではないかということです。それはひとえに鹿砦社代表の松岡氏と、『季節』編集長の小島氏の「人の良さ」(決して褒めてない)ではないかと、編集委員の一人として考えています。というのも、執筆者には当然「献本」させていただきますが、松岡氏にお聞きしたところ、それだけではなく、過去の執筆者、あるいは別件で知り合った方々の多くにも献本させて頂いているとのことでした。さらに松岡氏が言うには「とくに福島の人にはずっと読んで欲しいと思ってね」とのこと。その気持ちは私も同じです。しかし、そうした献本が増えたまま、一方で定期購読あるいは購入部数が増えないことには、赤字は一向に解消できず、そのうち『季節』は廃刊になるかもしれません。

じつは私は編集委員としての報酬は十分には頂いておりません。「それはあんたの勝手だろう」とお叱りを受けるかもしれませんが、でも少しだけその訳を聞いてください。私は、『季節』発行まで、取材、リライト、構成、編集、校正などの作業をこなしてますが、受け取るのは最低限の取材にかかる交通費のみで、ほかの報酬は辞退しております。時には本来の仕事を休んで取材に行くこともあります。もちろん鹿砦社・松岡氏、『季節』編集長小島氏は「報酬を受け取って」といいますが、私が得た報酬分がさらに赤字を増やすことになるから、それは私にはできません。私はなによりこの『季節』の発行を継続させたいのです。毎回『季節』を編集する際、「ああ。この本を一人でも多くの人に読んで欲しい。日本から原発を一刻も早くとめないと大変なことになる。だから、どんな活動でもいい、反(脱)原発の闘いに関わる人たちにとって、この『季節』をそのきっかけ、一助にして欲しい」とそう願って頑張っております。また、次の号の編集会議では、「今、何を人々に伝えていくべきか」と、編集委員で喧々諤々の討議を何度も重ねております。

どうぞ、一人でも多くの皆様にお伝えしたい。『季節』は次号より定価が880円となります。それでも発行は3ケ月に一度です。ひと月に換算したら、月300円です。どうぞ、月300円を『季節』購入費に充ててください。 赤字が解消されましたら、私はもちろん報酬を頂きます。そしてもっともっと多くの方々に読んでいただける紙面作りのために使っていきます。将来、日本の原発が全て止まる日が来た際には、「ああ、この日のために、『季節』にはずいぶん世話になったな」と思われたい。それが私の命を掛けた夢。 

この件について、松岡氏にはかなり前から進言させて頂いております。今回聞いたところ、これまでの献本していた方の何人かは献本を取りやめたとのこと。これまで献本が届いていたが止まってしまった方、どうぞこの投稿を読まれまして、新たに購入をお願いしたく存じます。

最後のお願いになります。どうぞ、みなさま、『季節』の定期購読にご協力を宜しくお願いいたします。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

季節2026年夏号
『NO NUKES voice』改題 通巻46号
紙の爆弾2026年7月増刊

2026年6月11日発行
A5判 132ページ 定価770円(税込み)

《グラビア》原発事故〈収束〉と被災地〈復興〉という欺瞞(北村敏泰)

樋口英明(元福井地裁裁判長)
《報告》なぜか、裁判官が辞めていく 

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《インタビュー》柏崎刈羽原発再稼働の不安 老朽原発は事故を起こす

木村英昭(ジャーナリスト)
《報告》原発を巡る三年間の動向 ── 時系列が可視化する統治の変化

高橋博子(奈良大学教授)
《報告》日米両政府の核兵器観 放射性降下物・残留放射線・内部被ばく

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
《報告》脱原発の思想 日本はなぜ脱原発に向かわないのか

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
《報告》東京電力「原子力中核企業化」戦略の内実

菅野みずえ(「ALPS処理水を海に流すな」裁判原告)
《インタビュー》私の15年、3・11はまだ続く

北村敏泰(ジャーナリスト)
《報告》まやかしだらけの「復興」
 十六年目も終わりはない東北三県の被災地から

和田央子(イノベーション・コースト構想を監視する会)
《報告》高市軍拡政権と福島イノベーション・コースト構想

末田一秀(関電株主代表訴訟原告/はんげんぱつしんぶん編集長)
《報告》関電株主代表訴訟の闘い
 原発地元への不正な金の流れを断ち切るために

守田敏也(フリーライター)
《報告》浜岡原発基準地震動捏造問題が示すもの
 原発再稼働は六層の点で認められない

中道雅史(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長)
《報告》《徹底解説》核と軍の拠点・青森県《後編》

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
《報告》「『原発被害』って何だろう?」を共有する
 近畿三訴訟団「近畿訴訟団交流会」

木村三浩(一水会代表)×板坂 剛(作家/舞踊家)
《対談》民族派と左翼の融合は可能か《後編》

淀川乱歩(SF作家)
《奇想科学小説》マロ博士の島

平宮康広(元技術者)
《報告》石炭火力発電vs原発および再エネ発電〈1〉

再稼働阻止全国ネットワーク
司法は再稼働を推進するな! 市民運動と原発訴訟
《北海道》小野有五(北大名誉教授、行動する市民科学者の会・北海道)
泊原発の再稼働をめぐって
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
特重施設の猶予延長を許すな
《柏崎刈羽》小木曽茂子(再稼働を考える県民ネットワーク事務局)
新潟はあきらめない!
《東海第二》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
原電は水戸地裁判決に従い、東海第二原発の再稼働を断念せよ
《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
静岡地裁は原告の不正主張を看過し、浜岡原発訴訟を強行に終結
《志賀原発》藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)
矜持の見られない二つの判決、審理進行にめげない!
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「嘘・騙し」「データねつ造」「トラブル隠ぺい」「約束反故」なしには動かせない原発と決別し、自然エネルギーのみで成り立つ社会を!
《島根》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
住民の安全を脅かす島根原発2号機の再稼働 安全神話を復活させる国と思考停止する司法を許さない!
《四国》小倉正(原発さよなら四国ネットワーク)
伊方原発をめぐる四県の仮処分/本訴の闘いと市民運動
《佐賀》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会代表)
裁判に至るまでの道のりは突然ではなかった
《鹿児島》向原祥隆(ストップ川内原発!3・11鹿児島実行委員会共同代表)
敷地内乾式貯蔵を阻止して停止に追い込む
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
空しい規制委への異議申立・長引いて良かったテント裁判
《本の発掘④》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
『3・11と憲法』(森英樹・白藤博行・愛敬浩二編 日本評論社)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

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浅野健一氏と『世界日報』(前編)―― 統一教会機関紙への登場を検証する

黒薮哲哉

同志社大学の元教授・浅野健一氏が、顔写真入りで『世界日報』(1984年11月21日付)にコメントを提供していたことが分かった。『世界日報』は統一教会の機関紙である。

ジャーナリストが自分の記事やルポを発表する媒体に制限はない。媒体の編集方針に迎合して自らの主張を曲げない限り、記事の内容そのものがおかしい場合を除いて、原則として問題はない。しかし、浅野氏の場合には二つの考察点がある。

『世界日報』に掲載された浅野氏のコメントは、日本の刑事裁判に対する批判と犯罪報道の在り方に関するものである。この点に踏み込む前に、『世界日報』が浅野氏にコメントを求めるに至った事件を紹介しておこう。

昭和55年9月、朝日新聞と毎日新聞は、同志社大学の教授が15歳の少女を催眠にかけていたずらをしたとする趣旨の記事を掲載した。教授は無実を訴える遺書を残して自殺した。その後、教授の遺族が名誉毀損を理由に朝日新聞社と毎日新聞社を提訴したが、事件は和解によって解決した。

浅野元教授は、刑事裁判について、「もし、その人が百パーセント確実に犯罪者だとしても、その人を裁くのは国家権力であり、国家権力は法律を厳守して行う」(略)、「警官や検察官、裁判官でもその判断が間違うことがある」と述べ、それを前提に、「何の専門的訓練も受けていない新聞記者が」彼らに代わって判断を下してはいけないと述べている。

このような見解を踏まえた上で、浅野氏は次のように結論付けている。

「こうした悲劇を防ぐには、新聞は通常犯罪事件の調査報道をやめるよう提言したい。」

「通常犯罪事件」が具体的に何を意味しているのかはよく分からないが、霊感商法や壺、判子などの悪徳商法もその範疇に含まれないのだろうか。前出のセクハラ事件も、含まれる可能性もある。コメントを通じて、事件を報じた朝日・毎日を批判しているからだ。

また、「警官や検察官、裁判官でもその判断が間違うことがある」と述べていながら、浅野氏はこれまで数多くの訴訟を提起してきた。刑事告発も頻繁に行っている。ある同志社大学の関係者は、同志社大学在職中に複数の訴訟を起こしていたと話している。そのために多くの人が恐れているとも語っている。(つづく)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年6月11日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
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