さとうしゅういち
2026年春、広島は再び「世界に向けて声を上げる都市」としての役割を一定程度は果たした。中東情勢が緊迫し、国際秩序が揺らぐ中で、広島市長、広島市議会、そして地元選出の代議士による一連の発信は、地方自治体と市民社会が果たし得る外交的役割の大きさを示している。
◆広島市長のアピール:平和首長会議からの発信
3月16日、平和首長会議議長として広島市長・松井一實氏が発した共同アピールは、米国・イスラエル・イラン間で新たに発生した武力紛争に対し、即時停戦と外交的解決を求める強いメッセージだった。
平和首長会議は世界166の国・地域、約8,600都市が加盟する巨大ネットワークであり、イランは日本以外で最多の1016という加盟都市数を持つ。広島からの発信は、単なる地方都市の声明ではなく、国際社会における市民外交の一翼を担う重みを持つ。
◆広島市議会の決議:国連憲章に基づく姿勢の明確化
3月26日、広島市議会は「中東地域における人道危機の平和的解決を求める決議案」を全会一致で可決した。米国とイスラエルによるイラン攻撃、そしてイランの報復攻撃により、多くの市民が犠牲となった現状を踏まえ、国連憲章第2条第4項に反する武力行使を明確に非難した。ホルムズ海峡の緊張が世界経済に与える影響にも言及し、外交努力の徹底を求める姿勢は、被爆地としての責任を体現している。
◆岸田文雄代議士の動き:議員外交の可能性
同じく3月26日、爆心地である広島1区選出の代議士である岸田文雄さんがイラン大使と会談した。政府が米国との関係に配慮し動きづらい局面でも、議員外交という形で対話の窓口を開こうとする姿勢は、広島の政治家として評価される動きである。こうした多層的な外交努力は、国家レベルの停滞を補完する役割を果たし得る。
◆国内政治の課題:総理の姿勢と過激支持層の影響
一方で、現在の総理による外交姿勢は大問題だ。米国の意向を過度に忖度し、中国や中東への対応が偏る傾向が指摘されている。特に、総理が、台湾有事発言で悪化した対中関係を米国大統領にとりなしてもらおうとして、中東政策での忖度が強まっているのではないか。
また、総理の過激な支持層が中東外交に手腕を持つ穏健保守の議員をネット上で攻撃し、萎縮させている現状は、外交の多様性と理性を損なう危険な兆候である。
さらに、24日発生の陸上自衛隊青年将校による中国大使館侵入事件に対し、政府としての正式な謝罪が28日現在も行われていないことは、国際社会の信頼を損なう重大な問題である。こうした問題を放置すれば、広島からの誠実な発信の効果も相殺されかねない。一方で、多数の市民が中国大使館に対してネット上で政府に代わって謝罪をしていることにはほっとさせられるが、総理の責任を免じるものではない。
◆医療現場への影響:中東危機が突きつける現実
中東情勢の悪化はエネルギー供給や物流に影響し、医療現場では資材・備品不足が予測されている。こうした国内の危機にこそ、総理が率先して対応すべきであり、外交だけでなく生活インフラへの責任が問われている。
◆広島からの市民外交:あきらめず声を上げ続ける
広島は、戦争の惨禍を経験した街として、平和の尊さを世界に発信し続ける使命を持つ。市長、市議会、議員外交、市民による自主的な謝罪や対話──これらはすべて「広島発の市民外交」を構成する重要な要素である。
2027年の広島市長選挙を前に、平和行政の軸をどう再構築するかが問われている。広島からの声は、あきらめずに続けることで国際社会に届く。ヒロシマの心をもって、理性ある対話と責任ある行動を求め続けたい。

◆決議案第7号 中東地域における人道危機の平和的解決を求める決議案
2月28日、米国及びイスラエルによるイランへの攻撃が行われ、これに対しイランは中東地域の米軍基地等への攻撃を実行した。報道によれば、こどもを含む多くの犠牲者が出ており、情勢は極めて深刻かつ緊迫した状況にある。
イランの核兵器開発問題は、核協議と外交的手段によって解決されるべきものである。しかし、一連の攻撃は、国連安全保障理事会における脅威認定も得ておらず、また、主権国家に対する威嚇及び武力行使は、戦争を否定した国連憲章第2条第4項に明確に違反する行為であり、断じて看過も容認もできない。
また、今回の緊張の高まりの中で、世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行の安全が脅かされている。同海峡は国際海上交通の重要な要路であり、その封鎖など、航行の自由を妨げる行為は、我が国を含む世界経済及び国際社会に深刻な影響を及ぼしかねない。 今なお、一般市民の生命と安全が重大な危険にさらされている。
ヒロシマの心である核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を願う本市議会は、関係国政府に対し、国連及び国際社会と緊密に連携し、事態の解決に向けたあらゆる外交努力を尽くすことを強く求める。
以上、決議する。
3月26日 広島市議会
◆平和首長会議共同アピール
現在、世界では多くの武力紛争が続いており、世界の安全保障が深刻な危機に瀕しています。ロシアによるウクライナ侵攻は5年目を迎えますが、終息の兆しは見えません。今回さらに、米国、イスラエル、イランの間で新たな武力紛争が勃発し、市民を含む多くの人々が殺害されるとともに、重要なインフラも破壊されています。報復が報復を呼び、ますます多くの国の施設への攻撃にエスカレートしており、中東地域だけでなく、世界全体の政治・経済安全保障に深刻な影響をもたらしています。
その上、私たちは国連憲章を含む法の支配を蔑ろにすることにより、さらなる武力紛争につながることを懸念しています。武力紛争に関与する全ての国に対し、直ちに停戦し、平和と安定を回復するよう強く求めます。
平和首長会議は、世界166の国・地域の約8,600の都市が加盟する、市民の安全と安心を守ることに尽力する地方自治体の首長で構成する世界的なネットワークです。私たちは、国際紛争が対話による外交努力をもって解決されることを強く求めます。武力行使は、いかなる国に対するものであっても、何の罪のない市民の命を奪うものであり、断じて許されません。
平和首長会議を代表して、私たちは、世界中の平和を希求する全ての人々と共に、世界恒久平和と核兵器廃絶の実現に向けて、あらゆる努力を尽くすことをここに改めて宣言します。
2026年3月16日
平和首長会議会長 広島市長 松井一實
副会長 長崎市長 鈴木史朗
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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