『紙の爆弾』8月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

高市早苗首相の中傷動画と、一連の本丸とみられるサナエトークンという問題について、世論・国会で炎上が続いています。サナエトークンが本来「自民コイン」を目指してモデルがつくられたこと、それがなぜ「サナエトークン」として失敗したのか、さらに「中傷動画」とサナエトークンの関係について、自民党関係者の証言をもとに解説した本誌7月号の片岡亮氏記事は、SNSで数十万のインプレッションを稼ぐほど注目されました。

一方、今月号の本誌記事が指摘しているように、これを大衆のガス抜きにしてはならない、という警戒心を持ち続ける必要を感じます。中傷動画問題は、なにより選挙違反に関わる問題であり、選挙違反でつくられた政権に正統性はない、まして憲法改正を議論する資格などない、というのがまず一点。さらに、そんな政権がなぜ生まれたのかを考える必要があります。「高市首相を見れば、小泉進次郎防衛大臣がましに見える。防衛大臣に据えたこと自体、保守層へのイメージ戦略の一環ではないか」という推測は、あながち外れていないのではないでしょうか。

同時に、憲法を変えさせないために、私たち自身が情報と理論を得る必要があります。護憲のための「理論武装」の方法を、伊藤塾塾長・伊藤真弁護士が解説。また防衛予算を倍増させても、まったく日本の産業に寄与しないどころか、かえって弱体化させてしまうことを、軍事ジャーナリストの清谷信一氏が解説しています。いずれの記事も、多くの方に読んでいただき、共有してほしい内容です。

もはや高市政権は駄目だ、というのは自明の事実といえます。なぜ、そんな首相が誕生したのかというのは、7月号で孫崎享氏が詳細に解説しているところですが、私たちは、そもそもルールを権力側に握られていることを認識することから、スタートする必要があります。それが、辺野古基地建設が止まらず、原発がなくならない理由でもあります。さらに、戦争と戦争煽りで海外の軍事企業が、感染症騒ぎで製薬会社が、個人情報を掌握してテック企業が設ける仕組みがあります。その仕組みに加担しないことを提言しているのが、本誌執筆者の共通項です。

さらに「超富裕層を倒す」と言い切った今月号のパストリッチ氏の指摘に、学ぶところは多いです。それはとても大変な作業で、かつ不祥事追及のように、わかりやすいものではなくとも、門脇翔平氏は、選挙制度を通して変革のために実際に動いている。植草一秀氏は、あるべき社会を提案しています。パストリッチ氏とは、あらためて議論を深めたいと思っています。

ほか8月号では、アメリカのAI企業に「デジタル主権」を明け渡した日本の現状、再審法改正が冤罪防止につながらない原因、加えて植草氏が実体験をひきつつ「警察はなぜ冤罪をつくるのか」に迫ります。マスコミ報道では触れられない児童相談所の実態、成年後見制度の法改正がスルーする同制度の根本的問題、米中で相次ぐ科学者の死亡・失踪事件など今月号も独自の視点からのレポートをお届けします。

『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年8月号
A5判 130頁 定価880円(税込み)
2026年7月7日発売

護憲のための理論武装「自衛隊明記」改憲で現実に起きること 伊藤真
選挙違反の政権が憲法を壊す 戦後最悪の宰相を生んだ日本政治の根本欠陥 門脇翔平
防衛費倍増で防衛産業は衰退する 日本の「防衛強化」は机上の空論 清谷信一
検察官が関与する政府案 再審法改正は「誰のため」か 足立昌勝
誰もが知っていて、語らない 米AI企業に主権を明け渡した日本 昼間たかし
巨人・阿部慎之助逮捕事件に見た児童相談所「虐待対応」の現実 たかさん
自民党議員が「中傷動画問題」に沈黙する理由 片岡亮
植草一秀インタビュー「冤罪の真実」前編 警察はなぜ冤罪を創作できるのか
世界を牛耳る超富裕層を倒す11の方法 エマニュエル・パストリッチ
米国新植民地主義を超克する極東の安全保障を確立せよ 木村三浩
LGBT問題の現在 転向療法禁止政策が抱える「観点差別」三浦俊彦
米中で相次ぐ科学者の死亡・失踪事件 早見慶子
成年後見制度という宿痾 高齢者よ高貴たれ、後期高齢者よ不屈たれ! 鈴木愼哉
痛快伝奇説話 吏犯之太子(りぼんのたいし) 本折竿長

〈連載〉
例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

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◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0H6W3YJ7D/

新たな冷戦に向かうのか?――ウクライナ、中国、ベネズエラと世界秩序をめぐる争い

ビクトル・M・ロドリゲス

アンドリュー・コリブコは、ウクライナ戦争が多極化する世界への移行を加速させたと主張する。一方で、その動きに対しアメリカは、新たな地政学的圧力の手法を通じて自らの影響圏を強化することで対抗していると警告する。

アレシャンドレ・ガランチとの長時間にわたる対談の中で、このアナリストは、現在の国際紛争、ヨーロッパの将来、そして競争が激しさを増す世界情勢におけるブラジルの役割について、議論を呼ぶ見解を提示している。

注:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
アメリカ出身の地政学アナリスト。ハイブリッド戦争、多極化、米中露関係、ユーラシア情勢などを主な研究対象としています。ロシア寄りの視点から国際政治を論じることが多く、ウクライナ戦争やBRICS諸国、グローバル・サウスに関する分析で知られている。

注:アレシャンドレ・ガランチ(Alexandre Galante)
ブラジルのジャーナリスト・軍事評論家。軍事・安全保障・国際政治を専門とし、ブラジルの防衛・航空宇宙分野のメディアで活動している。軍事技術や地政学に関するインタビューや解説記事を数多く手がけており、本稿の対談では聞き手を務めた。

もはやウクライナ戦争は、モスクワとキーウの間の領土紛争としてだけ捉えることはできない。また、民主主義と権威主義の単純な対立として説明することもできない。

ハイブリッド戦争や大国間競争の研究で知られるアンドリュー・コリブコによれば、いま問われているのは、今後数十年にわたって形成される国際秩序そのものの姿である。

この見方では、ウクライナは世界的な転換期を象徴する最大の地政学的実験場となっている。そこでは、一見すると相反する二つの力学が同時に進行している。ひとつは世界の多極化の進展、もうひとつは、新たな勢力圏の台頭に直面するアメリカが、自らの戦略的主導権を維持・強化しようとする動きである。

コリブコはこう述べる。

「世界システムが多極化へ向かう流れは、ロシアの軍事作戦以前から始まっていた。しかし、その後に起きた一連の出来事によって、その移行は前例のない速度で加速した。」

ただし彼は、西側の衰退を楽観的に語るわけではない。むしろ、ワシントンは欧州やアジアの同盟国に対する政治・軍事面での統率力を強めることで対応してきたと指摘する。

こうしてウクライナ戦争は、東欧の地域紛争という枠を超え、より大きな世界規模の覇権争いの震源地として位置づけられるのである。

◆ウクライナ――終わりの見えない消耗戦

コリブコは、この紛争が、ユーロマイダンへとつながった政治過程に伴う「ハイブリッド戦争」の段階から、大規模な通常戦争へと発展したとみている。しかし同時に、制裁、情報戦、外交的圧力、さらには新たなテクノロジーを通じて、ハイブリッド戦争の手法そのものは今なお機能し続けていると指摘する。

また、和平交渉の見通しについては極めて悲観的だ。アメリカとウクライナは停戦による戦線の固定化を目指している一方、ロシアはドンバス全域の支配が保証されない限り、いかなる合意も不十分だと考えているという。この戦略的な隔たりが、早期の外交的解決を難しくし、長期対立の危険性を高めている。

さらに彼によれば、モスクワは停戦が実現したとしても、それが西側諸国によるウクライナ再軍備の時間稼ぎとなり、将来的にロシアとの代理的対立を再開する準備に利用されるのではないかと疑っている。

その結果、この戦争は単なる一時的な危機ではなく、新たな欧州秩序を支える構造的要素の一つになりつつあるように見える。

◆ヨーロッパ――軍備を強化する一方で脆弱性も増す

コリブコの分析の中でも特に議論を呼びそうなのが、2022年以降のヨーロッパの立場に関する見解である。彼は、この戦争によってヨーロッパの戦略的自立性が高まったのではなく、むしろワシントンへの依存が深まったと主張する。

彼の見方では、欧州連合(EU)はアメリカ主導の安全保障体制の中で、より従属的な役割を担うようになった。ただし、その一方で欧州諸国には、防衛面でこれまで以上の負担と責任を引き受けることが求められている。

その文脈の中で、彼は三つの並行した動きを指摘する。

・イギリス主導による北極圏・バルト海地域の連携強化
・ポーランドによる地域的影響力の回復への試み
・トルコがコーカサスおよび中央アジアへの影響力を拡大する動き

コリブコによれば、この戦争はヨーロッパを安定化させるどころか、むしろ新たな地政学的再編の時代を切り開いた。そして、その帰結がどのようなものになるのかは、いまだ見通せないままである。

◆台湾――次なる世界的対立の火種

ウクライナが現在の最大の紛争だとすれば、台湾は将来における最大の緊張の焦点となるかもしれない。

コリブコは、米中対立はすでに経済や技術の領域を大きく超え、恒常的な戦略的対立の段階に入ったと考えている。

彼の分析によれば、トランプ政権は中国の台頭を封じ込めるため、いわば「アジア版NATO」とも呼べる枠組みの構築を進めている。一方の北京は、ウクライナ戦争から得られる軍事・経済・外交上の教訓を注意深く研究しているという。

その中でも特に重要なのは、たとえ同盟国自身に大きな経済的負担を強いることになっても、ワシントンが同盟国や友好国を結集させる能力を示した点である。

もう一つの教訓は、現代戦争を大きく変えつつある技術革新だ。コリブコは次のように語る。

「ドローンは、この世代の軍事革命を主導してきた。」

そして、もし台湾海峡で危機が発生すれば、その戦いは高度な技術色を帯び、無人システムがこれまで以上に大きな役割を果たすことになるだろうと予測している。

◆イラン、ベネズエラ、そしてハイブリッド戦争の拡大

コリブコの中東およびラテンアメリカに対する見方も、世界規模の戦略競争という枠組みの中で理解されている。

イランについては、ロシアと中国を中心とする結束した「ユーラシア陣営」が存在するという見方を否定する一方、両国の間に重要な協調関係があることは認めている。

彼の見解では、もしテヘランがワシントンとの関係改善に向かうならば、それはユーラシアの地政学的均衡を根本から揺るがすほどの衝撃をもたらす可能性がある。

一方、ラテンアメリカに関しては、アメリカがこの地域への関与を一段と強めているとみている。コリブコは、ニコラス・マドゥロの拘束(※原文の表現)を、西半球におけるアメリカの影響力を回復するための長期戦略の一環として解釈している。

彼はこの政策を「コンドル作戦2.0」と呼び、その目的は、ラテンアメリカをアメリカにとっての戦略的な資源供給地、市場、そして政治的安定の基盤として再編することにあると説明する。さらに、制裁、軍事的圧力、情報戦、選択的介入を組み合わせる手法は、彼が長年研究してきたハイブリッド戦争からの逸脱ではなく、そのより強力な進化形だという。

コリブコはこう主張する。

「目的は、抵抗する国々にアメリカの要求を受け入れさせることにある。」

◆多極化時代の課題に直面するブラジル

この世界的な勢力図の中で、ブラジルはグローバル・サウスを代表する重要なプレーヤーの一つとして位置づけられている。コリブコはブラジルを、正当な自主性への志向を持つ新興大国と評価する一方で、外部勢力の影響を受けやすく、国内には深刻な政治・社会的分断を抱える国でもあるとみている。

彼によれば、ブラジル外交の最大の課題は、アメリカ、中国、ロシア、その他の主要国との実利的な関係を維持しながら、激化する陣営間対立に巻き込まれないことである。

そのための参考例として彼が挙げるのが、インドの「マルチアライメント(多方面連携)」戦略だ。これは複数の大国と緊密な関係を築きつつも、自国の外交的自立性を損なわないことを目指すアプローチである。

コリブコは、ブラジルが優先すべき課題として次の三点を挙げている。

・戦略的重要資源に対する主権的管理を維持すること
・イデオロギー色を抑えた現実的な外交を展開すること
・国際的な大規模紛争に対して実利的な中立姿勢を取ること

◆形成されつつある新しい世界

アンドリュー・コリブコの見解には賛否があるだろう。しかし彼の議論は、国際社会が歴史的な転換期にあるという認識を、ますます多くの国際政治アナリストが共有し始めていることを示している。ウクライナ戦争、台湾海峡をめぐる緊張、中東の不安定化、そしてラテンアメリカをめぐる競争――これらはもはや個別の出来事ではない。

それらはすべて、「21世紀のルールを誰が決めるのか」をめぐる一つの世界的競争の異なる側面なのである。もはや問題は、世界が新たな地政学的秩序へ向かうのかどうかではない。その移行が、

・どのような条件の下で進むのか
・どの勢力が主導権を握るのか
・どれほどの代償を伴うのか

という点に移りつつある。そしてその過程において、ヨーロッパやラテンアメリカ、新興国は単なる傍観者ではいられない。

多極化が進展する一方で、それを抑え込もうとする圧力も強まるなか、自らの戦略的自立性をどこまで守り抜く意思があるのか――各国はその選択を迫られているのである。

▼執筆者:ビクトル・M・ロドリゲス
ジャーナリスト兼ディレクター:Pildoras Digitales 、ウルグアイ報道協会編集委員:APU

Fuente: https://siquesepuede.jimdofree.com/2026/06/11/hacia-una-nueva-guerra-fr%C3%ADa-ucrania-china-venezuela-y-la-disputa-por-el-orden-mundial/

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年6月16日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

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高市早苗首相の最大の嘘

孫崎享(紙の爆弾2026年7月号掲載)

「高市早苗首相は嘘つきである」ということが、にわかに大きな話題となっています。筆頭は、本人が語ってきた「米国連邦議会立法調査官」という経歴が事実ではなく、コングレッショナル・フェロー(研修生)どころかインターンにすぎなかったことでしょう。過去の雑誌のインタビューで、アメリカの下院議員の事務所に入る時に、「自分は軍事問題の権威だって嘘を書いたの」と自慢げに告白したことも明らかになっています。

政治家としても、総務相時代の放送法解釈変更問題をめぐる行政文書について「もし捏造でなければ大臣も議員も辞職する」と国会で発言しながら辞めなかったことや、旧統一教会との関係についても論理矛盾が指摘されています。

そのような中で、国民に対する「最大の嘘」といえるのが、「安倍晋三元首相の継承者である」という、彼女が掲げる根本的な政治理念です。

◆安倍外交と高市外交

高市首相は常々、安倍首相を「政治の師」と語り、仕事始めの1月5日に伊勢神宮を参拝した時には、遺影を胸に抱えた姿も話題になりました。ただ、その遺影が安っぽいクリアファイルに入れられていたことが物議をかもしています。

それでも、彼女は〝安倍後継〞を自身の軸としたことによって非常に明確な政治的立場を示し、自民党内で信頼を得て、国民からも支持を得る基盤となりました。
 しかし、実際に高市首相が行なってきた政治を見ると、疑問に思わざるをえません。

安倍元首相が2020年8月に辞任するまで、もっとも重視していた政治テーマの一つが外交です。中でも対ロシアに力を入れていたことは、首相として27回もプーチン大統領と直接会談を行なったことから明らかです。

辞任後の2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻して戦争が始まりました。その時にまず安倍氏が何を言ったかということから、分析を始めてみたいと思います。

日本では、このウクライナ戦争は「ロシアが悪い」の一辺倒であるためにあまり注目されなかったのですが、開戦3日後の2月27日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演した安倍氏は、次のように述べています。

「プーチンの意図はNATO(北大西洋条約機構)の拡大、それがウクライナに拡大するということは絶対に許さない、東部2州の論理でいえば、かつてボスニア・ヘルツェゴビナやコソボが分離・独立した際には西側が擁護したではないか。その西側の論理をプーチンが使おうとしているではないか」

「米ロ関係を語る時に(プーチン大統領は)基本的に米国に不信感を持っている。NATOを拡大しないことになっているのにどんどん拡大している。ポーランドにTHAADミサイルまで配備した。プーチンとしては領土的野心ということではなくて、ロシアの防衛、安全の確保という観点から行動を起こしていることと思います」

もちろん、安倍元首相を再評価しようというのではありません。しかし、彼がどう思っていたかを正確に把握する必要があると思います。

さらに興味深いことに、英「エコノミスト」が同年5月に安倍氏のインタビュー記事を掲載し、7月8日の安倍氏暗殺直後にも再掲しました。その中で安倍氏はこう述べました。

「侵略前、彼ら(ロシア)がウクライナを包囲していたとき、戦争を回避することは可能だったかもしれません。ゼレンスキー(ウクライナ大統領)が、彼の国がNATOに加盟しないことを約束し、東部の2州に高度な自治権を与えることは可能でした」

つまり、安倍氏は一方的にロシアを糾弾するのではなく、ロシアの言い分も我々は理解すべきだというポジションをとったわけです。

一方、高市首相はどうだったか。当時、自民党の政調会長だった彼女は、安倍氏が2月27日にフジテレビで発言した翌日の自民党役員会で、次のように発言しています。

「ロシアによるウクライナ侵攻に関し、今回の暴挙が高い代償を伴うことを国際社会と結束して示すことが必要です。昨日、(岸田文雄)総理が発表した制裁措置は大きな一歩です。あわせて、ウクライナに対する支援も表明していただき感謝申し上げます」

さらに、関連会合でも「国際社会と連携して対露制裁をとことん強めるべき」と強調しました。

したがって、「私は安倍元首相の一番の継承者」と自称する高市首相が、安倍氏の主張を完全否定するような、真逆の立場をとったのです。

いったいなぜなのか。ことは安倍氏の存命中です。高市氏に対し、安倍氏以上に影響を与える者がいたのかという疑問がわきます。ところが当時を見渡すと、安倍氏以上に力を持っている政治家は日本にいません。では、安倍氏が言ったことを覆せる政治家が、どこかにいたのか。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nea422070d5da

月刊「紙の爆弾」4月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価800円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

元自民党議員秘書が明かした「中傷動画」と「サナエトークン」の本当の目的

片岡亮(紙の爆弾2026年7月号掲載)

4月末から「週刊文春」が連続して報じた高市早苗首相の陣営による「中傷動画」拡散問題が、政界とネット社会に大きな衝撃を与えている。

高市首相は国会答弁で「一切行なっておりません」「週刊誌の記事を信じるか秘書を信じるかというと、私は秘書を信じます」と関与を否定したが、この問題は決して突如として降って湧いたものではない。高市首相に関しては、何年も前からSNS上やヤフーニュースのコメント欄で、異様といえる讃美アカウントが急増しては消える現象が指摘されてきた。

もっといえば、6年ほど前に明らかになった「Dappi」事件が、その源流といえる。Dappiという匿名アカウントが、平日の日中に、国会中継の動画を切り抜き、野党批判を驚異的なスピードで投稿し続けていた。一方で自民党(特に安倍政権)を大絶賛し、自民党の有力政治家たちもこのアカウントをフォローして、投稿をリツイート(拡散)。まさに日本のネット選挙における組織的な世論誘導の実態が明らかになった象徴的な事件だった。

2020年、森友事件で公文書改竄を強いられ自殺した財務省近畿財務局職員について、Dappiが「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」などとデマを投稿。名指しされた杉尾・小西両立憲民主党参院議員が発信者情報開示請求を行なって、運営元の特定に至った。

運営元は東京都内のウェブコンサルティング会社「ワンズクエスト」で、自民党本部や議員、東京都連などから、ホームページ制作やSNS分析などの名目で報酬を受け取っていた。さらに、同社の役員に自民党の「金庫番」と呼ばれる人物の親族が含まれていた。

杉尾・小西両議員が同社を相手に裁判を起こし、2023年に東京地裁が110万円の賠償を命じる判決を下す。それでも自民党側は「党として関与した事実は一切ない」と否定し、会社との取引についても「一般的なホームページ制作の発注」と白々しく言い逃れた。

これが放置されたからこそ、自民党の潤沢な資金を背景とするネット工作が野放しになり、さらに悪質化を遂げた。求人サイト上で堂々と、高市氏を礼賛するネット工作員が募集されていたことも判明しており、これこそが、不自然な「サナ活」の正体だ。

2024年の総裁選後、オンライン求人大手「クラウドワークス」上で、「高市早苗氏などの解説動画」や「日本称賛・中国批判系」の動画作成、SNS上での称賛ポストを有償で依頼する案件が複数確認されており、実際にX上では、同一の文面で同時刻に「#早苗あれば憂いなし」といったハッシュタグを伴う投稿が大量拡散された。

高市首相の政治資金収支報告書には、過去の総裁選でも8000万円を超える「宣伝費」が計上されていたが、その資金がどのようなルートでネット上の「インフルエンサー」や「工作業者」に流れていたのかの検証には至っていない。

結果、今年2月の衆院選で、自民党が公示前にユーチューブに投稿した高市首相のメッセージ動画が、わずか数日で1億回再生という、世界的大ヒット曲をも凌ぐ数字を記録。専門家からは「2億~7億円規模の広告費が投じられた結果」と算出されている。

公職選挙法では候補者個人の有料ネット広告を禁じているが、政党名義であれば選挙運動用サイトへのリンク付き広告が認められている。

つまり、潤沢な政党交付金(原資は国民の税金)を持つ与党がデジタル空間をジャックし、合法的に「圧倒的優勢」のムードを捏造することを可能にさせているのだ。

文春報道で公開された、昨年の総裁選後、高市首相の公設第一秘書・木下剛志氏が動画の作成者であるIT起業家の松井健氏に宛てたSNSメッセージでは、総選挙における野党候補を「害獣」と呼んで「駆除した」と報告していた。昨年9月の自民党総裁選の対立候補だった小泉進次郎氏や林芳正氏を「無能」「論外」などと貶めた動画とともに、これまで噂されていた自民党・高市陣営の工作の実態をより明確に示したものだった。

ネット上の熱狂が巨額資金とAI、顔の見えない工作員によって「買収」されたものであるならば、それは民主主義の死を意味する。国会が首相の白々しい答弁で終わらせず、第三者委員会によるログの解析や資金流転の徹底調査に踏み切れるかどうかが、今まさに問われている。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n579345e15e12

月刊「紙の爆弾」6月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価800円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

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浅野健一さん、出版禁止仮処分申請を取り下げたことを2か月以上も非公開! ずるいんじゃないでしょうか!?

鹿砦社代表 松岡利康

下記画像は、知人が送ってくれた浅野さんのFBの一部で、ここで仮処分を取り下げたことを初めて記載しています。それも、小さく……。私以外に気づいた人はいなかったようです。それもむべなるかなで、出版差し止めを5度も食らった私だからこそ、これに敏感になって気づいた次第です。

6月29日付けの岡林信一あけび書房代表のfacebookから以下転載します。

◇     ◇     ◇     ◇

《岡林信一あけび書房代表の6月29日付けfacebook》

昨日もお伝えしましたが、浅野健一氏が『石ころの慟哭』の出版差止仮処分申立は取り下げていることを、本日、東京地裁知的財産部に電話で確認しました。 浅野氏の本日のFacebook投稿によると、すでに4月20日に地裁から取り下げを求められていたそうです。
https://www.facebook.com/profile.php?id=100022241222173

つまり、4月16日に申立を提出してわずか4日で地裁から取り下げを求めらて、いつ取り下げたのか不明ですが、2か月以上たった今になって取り下げたことを明らかにしているわけです。

その間、あけび書房と著者辻井さんへの精神的苦痛を与え、「著作権侵害」「盗作本」だという名誉棄損と出版妨害を執拗に続けているわけです。

今日にいたっても。

そもそも、著作権侵害がありえないことは、詳しくは、あけび書房の反論文であきらかにしているとおり、浅野氏の『石ころを石礫に』を出した三一書房の代理人弁護士も、「江差追分事件判決」で宣明された法理を引き合いに出して認めているわけです。

〈この観点からするならば、全公判を直接に傍聴した浅野氏の著作にも、少なくとも公判の事実経過に関する部分については著作権は発生しません〉と。

それゆえに、浅野氏の本の〈公判の事実経過に関する部分〉から、辻井さん提供のデータや辻井さんのゲラとコピペのように酷似した100か所以上を引用して資料として公開しているのです。
https://cdn.shopify.com/…/d2bb79a369189b6f0719c520a6d67…

出版差止仮処分の申立て自体が取り下げられている中、浅野氏に著作権がないにもかかわらず「著作権侵害」「盗作本」と公言していることは、名誉棄損である根拠をいっそう強めるものでありますが、相変わらず裁判すると公言しているそうですが。

浅野氏が今日Facebookで公表した該当箇所は以下の通りです。(他に長文で虚偽で私を誹謗中傷していますが割愛)

〈仮処分は、辻井氏本が販売されたので、意味がなくなったので、著作権法違反・本裁判に切り替えるようにという東京地裁知的財産部の裁判官の勧めで、いま、訴状を作成中です。岡林信一・あけび書房社長と辻井彩子氏が被告。〉

〈山下弁護士が4月16日午後5時前、東京地裁知的財産権部に、辻井氏本の出版等禁止仮処分を行い、司法記者クラブ幹事社・朝日新聞社社会部の根岸記者に広報しました。

4月20日月曜日の午前10時過ぎ、担当裁判官の東京地方裁判所民事第40部の裁判官(左陪席)から山下弁護士に電話があり、対象となる書籍が出版されたので「保全の必要性」を認めるのは難しい(名誉毀損の書籍の場合には、出版後の販売を禁止のための仮処分は、人格権侵害ということで保全の必要性は認められるが、著作権は財産権であるため、事後的な損害賠償でも回復可能と考えられるので仮処分としての保全の必要性は認めにくい)という裁判所の見解でした。そのため取り下げを求められました。

山下弁護士によりますと、知的財産部は3つの部があるので、訴訟を提起した場合にこの裁判官らが担当するかどうかは分かりません(今回は仮処分というイレギュラーな事件の担当のため)。

私は裁判所の勧めに従い、仮処分を取り下げて、本裁判を提起するため、弁護団を強化して、準備中です。完璧な訴状と証拠を提出します。民事裁判はすべてオンライン提訴となり、辻井氏と岡林氏の共謀による著作権侵害、盗用の全貌を明らかにします。表現者の権利に関わる裁判ですから、完勝を目指します。〉

◇     ◇     ◇     ◇

《追記:松岡利康》

偶然に浅野さんのFBを見て、仮処分を取り下げたことを知ったわけですが、それが申請後週末を挟んですぐだったことに驚きました。2か月以上も非公開だったわけです。仮処分申請書のコピーをメディア関係者に配布したり大騒ぎし、都合が悪くなると非公開……いかがなものでしょうか。

出版差し止め(浅野さんの仮処分申請書では「出版禁止」)が、出版社(者)にとってどれだけ深刻なものか、浅野さんともあろう方が知らないはずがありません。だからこそ私は、声を挙げたのです。

私事にわたりますが、浅野さんの代理人が仮処分申請書を裁判所に提出したのが4月16日、その直前の4月13日に母親が急逝し、個人的にしんどい時期でしたが、これに対して批判し続けてきました。出版差し止めの危険性については、5度も食らった私だからこそ解ることがありますので、いきおい強く批判してきたわけです。

本訴はともかく、出版社(人)にとって出版差し止め仮処分ほど危険なものはありませんし、一度これが認容されると、ちょっとしたことで頻発されかねません。取り下げは裁判所からの要請だということですが、さすがに裁判所も、憲法問題にも触れかねない問題、慎重になったのでしょうか。裁判所の意図は判りませんが、浅野さんが、こうした重大問題に2か月以上も黙っていたことに問題はないでしょうか?

《7月のことば》限界を越えろ

鹿砦社代表 松岡利康

《7月のことば》限界を越えろ(鹿砦社カレンダー2026より。龍一郎揮毫)

7月になりました ── 今年も半分が過ぎた恰好です。
本当に月日の経つのは速いです。
うかうかしていると木枯らしの季節になりかねません。

さてさて、「限界」とは何でしょうか。
勝手に自分で決めてしまっているかもしれません。
限界を、どう越えるか?

というよりか、限界がどうのこうのというよりも、がむしゃらに直面する一つ一つ難関を越えていき、結果、気づいたら限界を越えていたということではないでしょうか。

今年の夏も、例年通り猛暑のようです。まずはこの暑さを越えないといけません。

この夏、新しい挑戦として「成年後見制度」の悪弊といかに闘い、これをいかに突破するか ── があります。世の中にこんな酷い制度があるとは思ってもいませんでした。みずからの不明を恥じるばかりです。発行されたばかりの鈴木愼哉・編著『悪法「成年後見制度」は法に非ず』をぜひお読みください。

鈴木愼哉・編著『悪法「成年後見制度」は法に非ず』
A5判 本文118ページ 定価800円(税込み)
紙の爆弾8月号増刊  6月29日発売

緊急出版!! 社会問題化する成年後見制度の深刻な現実を、
被害者が満身の怒りを込めて喝破!
バブル崩壊後、士業(弁護士、司法書士)救済の目的で制定された制度の問題点、
食い物にされる被後見人、「改正」法案の問題点、
後見人の言いなりで人の人生を台無しにする裁判官……
25万被後見人の埋もれた声を聴け!

【内容】

三上道恵 
おてんとうさまは見ている ── 制度の中で見えなくなった夫婦の時間
はったり半蔵 
後見制度脱出から見えた対抗策
さくら 
成年後見制度の改正に関する要望書
尾﨑美代子 
成年後見制度の悲劇 ── 冤罪事件の視点から
鈴木愼哉 
「成年後見制度」という宿痾
鈴木愼哉 
成年後見制度に狂わされた私と妻の晩年 ── 怒り、悲しみ、想うことあれこれ

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湖東記念病院事件の国賠控訴棄却 西山国賠を通じ、「供述弱者」について考えていこう!

尾﨑美代子

6月25日、大阪高裁・長谷部幸弥裁判長は、湖東記念病院事件の国賠訴訟の控訴審で、原告の控訴を棄却する判決を言い渡した。

この裁判、一審の大津地裁は県(滋賀県警)の違法は認めたが、国(検察官)の違法は認めなかったため、西山美香さん弁護団側が大阪高裁に控訴していた。

殺人罪で逮捕された西山美香さんは、取調べを担当した滋賀県警山本誠刑事に「恋心」を抱き、というより、接見禁止でひとりぽっちになった美香さんは、山本しか信用できる人がいなくなった。山本は美香さんに「弁護人など信用できない」というようなことまで言っていた。美香さんは初めての逮捕、山本のいうことを認めたら急に優しくなり、優秀な兄たちと比較されていた美香さんは「君だってがんばってるよ」などと優しく言われ、ぐんぐん山本の言いなりになっていった。

山本の取り調べで、美香さんがどうやって患者を殺害できたかの話になった。患者の人工呼吸器の管を抜けば危険を知らせるアラームがなる。でも病院内でその音を聞いた者はいなかった。では、アラーム音を鳴らさず、どうやって呼吸器を外したままにできるか?警察は捜査中に、呼吸器の専門家に、アラームを鳴らさずに管を外し、酸素を送らない方法を聞き、消音維持機能ボタンがあることをレクチャーされた。呼吸器にあるそのボタンを押すと、管が外れても60秒間アラーム音は消せる。60秒後に再び鳴るので、その前にボタンを押せば音はきえる。美香さんはボタンを押したのち、胸の中で「1,2,3……」と数え、60秒後前に再びボタンを押し、その動作を3,4回、つまり3,4分酸素を送ることをやめたら、患者さんの目がきょろきょろ、口がばくばくして息絶えたと供述した。なお、そのボタンの操作方法は先輩の看護師たちがやるのを見て知ったと供述していた。

しかし、その後の捜査で、当時病院内の看護師の中で、その操作方法を知っていた看護師がひとりもいないことが判明した。警察の取調べのあとには検察官の取調べがある。美香さんを取り調べた検察官・早川検事は、その事実を知り、警察が作成した員面調書には虚偽があり、これでは裁判は勝てないと思ったのだろう。

そのため早川検事が作成した検面調書は、美香さんが何故消音維持機能ボタンのやり方を知っていたか、知ったかに新たな内容に書き換えた。先輩看護師から教えてもらったのではなく、犯行時ぐうぜんそのボタンを押したら、アラームが止まったので、「あらま、このボタンなに?」と思いながら、なぜか60秒くらいする前にもう一度押したらまた音がとまった。そのとき美香さんが「ああ、これを押せばだいたい60秒位、音はとまるんだな」と知り、その行為を3,4回やって、患者を死なせた……と。

この書き換えを早川検事は、自分が誘導したのではなく、美香さん自身がそう供述したと裁判で証言した。井戸弁護士がいうには、警察の取調べから検察の取り調べに移る頃、美香さんはまだ山本誠刑事のコントロール下にあった。山本は検察へ行く美香さんに「警察で言ったことと同じことをいえよ」と念を押したはずだ。だから美香さんは早川検事の前で警察で言ったことと同じことを述べたにちがいない。でも検察では、警察で取られた供述とは違う内容の供述がでてきている。これは早川がむりやり「こうではないのか?」と
美香さんを誘導した可能性がある。いや、それしか考えられない。それは検察(国)の責任となるのではないか? 違うか?

判決要旨には、いくら美香さんが山本刑事に恋心をもったといっても、まさか自分が殺害事件をおこしたなんてことを認めるようなことを言うわけがないと、何度も強調している。美香さんは、山本刑事にいわれるがままに「管を抜いた」を認めたが、まさかそれが「殺害した」になるとは思っていなかったのだ。

 自分が殺害をやってないから、管を抜くことが殺害に結び付くとは考えてもいないのだ。それこそが、やっていない証拠なのに。桜井昌司さんが裁判長に(事件があった日時について)「なぜ、あなたはそんなに特別な日を覚えてないのですか?」と聞かれ、「いや、僕にとって特別な日ではないです。普通の日です」と答えている。実際殺害をやっていたら、「その日」の日時は鮮明に覚えているだろう。でもやっていないから、桜井さんにとっては普通の日なのだ。美香さんも同じ。管を抜いて殺害していたら、管を抜いたイコール殺害に結び付くが、やっていないから、むりやり言わせられた管を抜いたが殺害となるとは思っていないのだ。

井戸弁護士が、まだ続くこの裁判では、ぜひ「供述弱者」について知って欲しいと訴えられた。「供述弱者」は美香さんの裁判で新たに作られた言葉だ。しかし、これまでも大勢の供述弱者が犠牲になってきたことだろう。千葉県東金市でおきた「女児殺害事件」では、知的障害を持つ男性が、担当検事に「金子さん、金子さん」と非常に懐き、言われるがままに罪を認めた。「やってないならやってないと言えよ」と厳しく忠告する弁護士より、毎日顔を合わす優しい検事にコロリと騙された。先日検察が有罪立証を断念し、再審無罪が確実となった「日野町事件」の阪原弘さん(故人)も、のちに「境界線級の知的発達遅滞」があったと鑑定された。伊賀弁護士によれば「『わからない』と言えない。そのため(刑事に何か言われたら)『わかる、そうや』と言ってしまう」という。今市事件の勝又拓哉さん、花田郵便局事件のジュリアスも、台湾人、ナイジェリア人ということで、警察、検察のいうことがどこまで理解できていたかは不明だ。彼らも供述弱者といえよう。先日神戸で逮捕され、長期的に不当な取り調べを受け、不起訴後摂食障害を起こし餓死した16歳の少女もそうだろう。美香さんの裁判を通じて、供述弱者にどう対応していけばいいか、考えていこう。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

鈴木愼哉・編著『悪法「成年後見制度」は法に非ず』出版にあたって

鹿砦社代表 松岡利康

このたび鹿砦社では鈴木愼哉・編著『悪法「成年後見制度」は法に非ず』(紙の爆弾8月号増刊)を出版する運びになりました。書店発売は週明け6月29日(月)です。

ご承知の方もおありかと察しますが、「成年後見制度」の悪弊が多発し、2022年に国連が「意思決定を代行する制度を廃止する観点から」「民法を改正すること」を勧告し、政府としても「改正」を余儀なくされ、再審法などに隠れて議論の内容が伝わってこず、ひっそりと去る6月17日に参議院で可決→成立いたしました。とはいっても、これで本当に「改正」になるのかはなはだ疑問です。なぜなら、統轄審理する家庭裁判所(裁判官)が変わらなければ何も「改正」にはならないからです。家庭裁判所(裁判官)が変わることはありえるでしょうか? 現在の家庭裁判所の仕事量の膨大さ、裁判官の意識の低さなどから、こちらもはなはだ疑問です。

本書は、編著者みずからが成年後見制度の被害者の立場から、同じ被害者同士が切実に日々語り合い、本書の企画となり実現いたしました。実際に、編著者の鈴木さんは長年連れ添った夫婦間の絆を断ち切られ、これを嚆矢として第二弾、三弾……と世に問うていく所存です。

鈴木さんはこれまで奥様奪還のために訴訟を起こしたり諸々手を尽くされながらも、ことごとくうまくいかず、偶然に鹿砦社が刊行したジャニーズ追及30年の軌跡をまとめた『ジャニーズ帝国 60年の興亡』をご覧になり感銘を受けられ鹿砦社に連絡されました。私たちとしても、鈴木さんのお話を聞くにつけ黙っておれず、多くの方々を絶望に陥れている「成年後見制度」の実態に迫っていくことにいたしました。

これが第一歩ですが、この制度を悪用し私腹を肥やしている者らを弾劾しなければならないとの考えから、鈴木さんやお仲間(=被害者)の方々と共に制度の悪弊を糾弾し、何よりも意に反し長年断絶を強いられている奥様を奪還することに協力することにいたしました。

鈴木さんはかつて現役時代、経営コンサルタントとして日本を代表する数々の大手企業の社外役員を務めたり、著書も多く、さらにメディアにも頻繁に登場されていたそうです。本書巻末にまとめてみましたので参考にしてください。

きょうも、この制度によって絶望を味わっておられる方々も多いかと推察いたします。わが国のメディアは、ジャニーズ問題(未成年性的虐待)では、メディアタブーとして長年報じることを怠りました。手前味噌ながら、1990年代半ば、私たちがジャニーズ問題を採り上げ始めた頃、まさに「蟻の一穴」で、冷笑さえ受けました。その頃、マスメディアが私たちに共鳴し後に続いてくれたら被害はもっと少なかったでしょう。

この成年後見制度の問題もそのようで、日々悲劇が拡大しています。本書における鈴木さんらの悲痛な叫びに留意され、今からでも遅くはありません、この問題を追及いただきたく切望する次第です。   

株式会社鹿砦社 松岡利康

◆     ◆     ◆     ◆

鈴木愼哉・編著『悪法「成年後見制度」は法に非ず』
A5判 本文118ページ 定価800円(税込み)
紙の爆弾8月号増刊  6月29日発売

緊急出版!! 社会問題化する成年後見制度の深刻な現実を、
被害者が満身の怒りを込めて喝破!
バブル崩壊後、士業(弁護士、司法書士)救済の目的で制定された制度の問題点、
食い物にされる被後見人、「改正」法案の問題点、
後見人の言いなりで人の人生を台無しにする裁判官……
25万被後見人の埋もれた声を聴け!

【内容】

三上道恵 
おてんとうさまは見ている ── 制度の中で見えなくなった夫婦の時間
はったり半蔵 
後見制度脱出から見えた対抗策
さくら 
成年後見制度の改正に関する要望書
尾﨑美代子 
成年後見制度の悲劇 ── 冤罪事件の視点から
鈴木愼哉 
「成年後見制度」という宿痾
鈴木愼哉 
成年後見制度に狂わされた私と妻の晩年 ── 怒り、悲しみ、想うことあれこれ

悪法「成年後見制度」は法に非ず(月刊紙の爆弾増刊2026年8月号増刊)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0H2CGNX2L/

NKB初メインイベンター山本太一、見せ場は作るも逆転負け!

堀田春樹

後楽園ジャンブル出場権はリョウヤ・ハリケーンが奪取。
鎌田政興、引退試合で豪快に散る。

◎鐵人シリーズvol.3 / 6月20日(土)後楽園ホール17:15~20:50
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

戦績等データはプログラムを参照し、この日の結果を加えています。

◆第11試合 59.0kg契約 5回戦

NKBライト級チャンピオン.山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/ 58.8kg)
23戦8勝(5KO)11敗4分
        VS
安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/ 59.0kg)18戦12勝(6KO)5敗1分
勝者:安河内秀哉 / TKO 4ラウンド 0:55秒
主審:前田仁

初回、見合っての安河内秀哉のローキック、山本太一の前蹴りとローキックの牽制は安河内がややプレッシャー掛ける圧力が優った。

第2ラウンドには少々勢い付く両者。安河内の圧力は変わらずも互角の牽制攻防が続く。安河内のパンチヒットが効果あったと見えた中、山本をロープに詰めてパンチで追う安河内に山本のカウンター右フックヒットで安河内がノックダウン。ギリギリ立ち上がるが終了間際は安河内の左ストレートで山本が一瞬動きが止まる。

第2ラウンドに山本太一のカウンター右フックで安河内秀哉がノックダウンに至る

第3ラウンド、安河内は回復が早く動きが良い。激しいパンチの交錯は倒しに行く姿勢表れた両者。

第4ラウンドには接近戦からヒジ打ちも加わる激しい攻防。その接近戦での安河内の左フックヒットから右ヒザ蹴りで山本がノックダウン。山本はカウント9で辛うじて立ち上がるが足下おぼつかない様子でレフェリーが試合ストップした。

第4ラウンドには安河内が左フックから右ヒザ蹴りで山本がノックダウン

山本太一は「ボディーは鍛えているので問題無く、立とうと思って構えているつもり(ファイティングポーズ)でしたけど、構えが出来てなかったようです。」と言い、ヒザ蹴り貰う前に何貰ったかは覚えていないが、一瞬のヒットが効いていたことは自覚している様子で、安河内の上手さを称えていた。

◆第10試合 KORAKUEN JAMBULL 60kg級出場者決定戦3回戦

NKBライト級5位.リョウヤ・ハリケーン(テツ/2002.10.20兵庫県出身/ 59.85kg)
7戦5勝(2KO)2分
        VS
利根川仁(TOKYO KICK WORKS/2003.1.24東京都出身/ 59.8kg)10戦8勝(2KO)2敗
勝者:リョウヤ・ハリケーン / 判定2-0
主審:笹谷淳
副審:宮本30-29. 関勝29-28. 前田29-29

初回、ローキック中心に牽制の両者。やや前進は利根川仁。第2ラウンドにも流れは変わらない蹴りとパンチの攻防で突破口を探り合う。第3ラウンドはリョウヤ・ハリケーンがやや前進。

勝負に出たリョウヤ・ハリケーンのパンチヒット、利根川仁は手数足らず

終盤はローキックとパンチを少々ヒットさせるインパクトを残す。ここで出て行けなかったか利根川仁は反撃が少なく終了。ラストラウンドが決め手となったリョウヤ・ハリケーンの攻勢がポイントを取って僅差ながら判定勝利し、後楽園ジャンブル出場権を獲得した。

後楽園ジャンブル出場権を得たリョウヤ・ハリケーンと東京ドーム統括主任の小林米仁氏

◆第9試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級3位.鎌田政興(ケーアクティブ/1990.5.6香川県出身/ 56.9kg)
23戦10勝(3KO)11敗2分
        VS
NKBバンタム級4位.香村一吹(渡邉/2007.2.22東京都出身/ 56.45kg)7戦5勝(2KO)2敗
勝者:香村一吹 / TKO 3ラウンド 0:38秒
主審:PIRIKA

蹴りの距離での牽制から鎌田政興は鋭い左右のローキックが香村一吹の脚を襲う。香村も蹴り返すが鎌田の勢いに圧されてしまう。

鎌田政興のローキックが知れ味よくヒット、香村一吹はこのままでは危なかった

第2ラウンドにはパンチと上下蹴りの交錯も、若さで香村がやや盛り返し、第3ラウンドにはローキックから右フック一発で鎌田を沈めた。レフェリーはカウント中に試合ストップ。鎌田は暫く立てなかったが、意識回復して立ち上がり、大丈夫な様子で引退挨拶に移った。

最後は香村一吹が右フック一発で逆転TKO、鎌田はラストファイトを飾れず

香村は試合後の控室で左脚を氷で冷やし、「鎌田さんのローキック、めっちゃ痛かったです。」と顔色変えずに戦った試合の様子を振り返っていました。

◆第8試合 ミドル級3回戦

福舘正(CHEERFUL/1988.10.12岩手県出身/ 71.65kg)14戦8勝(4KO)6敗
        VS
土屋忍(KUNISNIPE旭/1986.12.11千葉県出身/ 72.35kg)19戦9勝7敗3分
勝者:福舘正 / 判定3-0
主審:宮本勲
副審:鈴木30-29. 前田30-29. PIRIKA30-29

初回はローキックからパンチの攻防は互角。土屋忍が大振りのロングフックを何度か振るうがダメージを与えるに至らない。第2ラウンドには土屋のロングフックに福館がカウンター気味の右ロングフック、更にヒザ蹴りに持ち込む攻勢を維持した。

第3ラウンド始まる前には土屋は疲労困憊の様子。福館はパンチの攻防で優り、最後も強引なロングフックで逆転狙った土屋はラストラウンド終了のゴングが鳴ると、へたり込んでしまった。

福舘正が優ったパンチの交錯。土屋忍に打ち勝つ

◆第7試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級4位.堀井幸輝(ケーアクティブ/1996.11.7福岡県出身/ 56.8kg)
9戦6勝(1KO)2敗1分
        VS
加藤宙(神武館/2008.11.26埼玉県出身/ 56.7kg)3戦2勝(2KO)1敗
勝者:堀井幸輝 / 判定3-0
主審:関勝
副審:笹谷29-28. PIRIKA30-28. 宮本30-28

初回はパンチの中心に蹴りやヒザ蹴りも出る多彩な攻防。第2ラウンドには堀井幸輝がパンチからヒザ蹴りで流れを掴み、パンチやローキックで主導権支配。

第3ラウンドも堀井幸輝が攻勢を続け、加藤宙が懸命に反撃のローキックからパンチを出してもダメージを与えるに至らず、堀井がより勢い増して判定勝利。

リズム掴んだ堀井幸輝がヒザ蹴りで加藤宙を攻める

◆第6試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.05kg)
37戦12勝(4KO)20敗5分
        VS
鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/ 56.85kg)18戦6勝(4KO)11敗1分
勝者:半澤信也 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:笹谷30-28. 前田30-28. 関勝30-29

ローキックからパンチの攻防は半澤信也が勢いを増して出る。どちらもスピード、パワーは無いが、被弾しながらもダメージを軽減するディフェンスと粘り強く蹴り返していく姿はいつもの展開。鈴木が勝つのかという兆しもある中、的確差で圧していた半澤が判定勝利。

半澤信也の飛びヒザ蹴りと鈴木ゲンのバックハンドブローが交錯。一進一退の攻防が続いた

◆第5試合 女子54.5kg契約3回戦

やえな(ケーアクティブ/1995.8.9埼玉県出身/ 54.3kg)1戦1勝
        VS
アテナゆみ(PHOENIX/1992.1.20神奈川県出身/ 53.5kg)1戦1敗
勝者:やえな / 判定3-0
主審:PIRIKA
副審:前田30-26. 笹谷30-26. 鈴木30-27

デビュー戦同士の女子でも激しく蹴り合う両者。アマチュア経験あるであろう、やえなの左ストレートヒット。更に高く軽く蹴り上げるスピードもあり、前蹴りも顔面ヒット。アテナゆみもしっかりしたパンチや蹴りを繰り出しているが、やえなの見映えが優る印象。

第3ラウンドにはやえなのパンチラッシュでスタンディングダウンを奪った。終盤はアテナゆみのパンチもヒットしたが、やえなが主導権は維持したまま大差判定勝利した。

高い蹴りがスムーズに出たやえなの前蹴りが再三ヒット、主導権支配した展開が続いた

◆第4試合 62.5kg契約3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 62.45kg)46戦7勝(3KO)35敗4分
        VS
猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 62.25kg)8戦4勝(2KO)3敗1分
勝者:猪ノ川海 / 判定0-3
主審:関勝
副審:前田28-30. 宮本28-30. PIRIKA28-30

43歳と20歳の戦い。スピードと柔軟さで優る猪ノ川海。ちさとは組み付いてヒザ蹴りで自分の距離、リズムを掴もうと出るが、やはり猪ノ川の出入りの速さには圧される。蹴りやパンチを受けてもダメージを受けるに至らないのはちさとの経験値。初回は互角に終わるも第2ラウンド以降は猪ノ川の先手打つ蹴りが攻勢を維持して判定勝利も、ちさとを圧倒出来ない経験不足、ちさとはダメージを受けないディフェンスと持久力が表れた試合だった。

◆第3試合 68.0kg契約3回戦

星野祐人(ケーアクティブ/1993.7.16千葉県出身/ 67.75kg)5戦2勝1敗2分
        VS
マサ=ワタナベ(TOKYO KICK WORKS/2001.1.4山形県出身/ 66.9kg)1戦1勝
勝者:マサ=ワタナベ / 判定0-3 (29-30. 28-30. 28-30)
主審:笹谷淳

両者多彩な攻防からマサの後ろ蹴り、ヒザ蹴り前進優り、星野祐人は下がり気味で、手数足数多いマサが判定勝利。

◆第2試合 52.0kg契約3回戦

輝流(BIG MOOSE/2009.7.2千葉県出身/ 51.75kg)2戦1敗1分
        VS
滉也(LION MUAYTHAI/1999.9.17熊本県出身/ 51.7kg)2戦1勝1分
引分け 0-1 (29-30. 29-29. 29-29)
主審:宮本勲

◆プロ第1試合 59.0kg契約3回戦

不屈の雑草精神(K-ism/2004.4.10新潟県出身/ 58.2kg)2戦2勝(1KO)
        VS
ウルフ慶(笑見道/2005.10.29東京都出身/ 58.55kg)2戦2敗
勝者:不屈の雑草精神 / 判定3-0 (30-28. 29-28. 29-29)
主審:前田仁

◆アマチュア第3試合 オヤジキック63.0kg契約2回戦(90秒制)

SMASHERSスーパーライト級王者.アズマ・ヒロユキ(エムトーン/ 62.45kg)
        VS
KEITA(TOKYO KICK WORKS/ 62.8kg)
勝者:アズマ・ヒロユキ / 判定2-1(20-19. 19-20. 20-18)

◆アマチュア第2試合 オヤジキック・バンタム級挑戦者決定戦2回戦(90秒制)

モトハル(シルバード/ 53.2kg)vs湘南乃禿(RIKIX湘南/ 53.3kg)
勝者:湘南乃禿 / 判定0-2 (19-20. 19-20. 19-19)

◆アマチュア第1試合 オナゴキック45.0kg契約2回戦(90秒制)

マンチー寿佳(Stage青山/ 44.6kg)
        VS
マシーン(TOKYO KICK WORKS/ 43.6kg)
勝者:マンチー寿佳 / 判定3-0 (20-17. 20-17. 20-17)

《取材戦記》

後楽園ジャンブル60kg級新人戦出場権を懸けた試合は、各団体で順調に展開されました。各団体の特色が披露されるジャンブルの戦いに、この日はリョウヤ・ハリケーンが出場権獲得し、日本キックボクシング連盟(NKB)らしさを見せる戦いを期待されています。

フェザー級で鎌田政興を倒した香村一吹も後楽園ジャンブルに出場させたいNKB若手の存在でしたが、60kg級枠には届かないウェイトでした。日本キックボクシング連盟はムエタイ路線や世界戦などの上位王座への道が無いだけに、他のビッグイベント興行に進出する機会を更に増やして欲しいところです。

香村一吹に敗れた鎌田政興は引退宣言してのラストファイトで試合後、「派手にやられちゃいました!香川県に住んで格闘技ずっとやって来て、本当に楽しかったです。今日を以て僕はキックボクシングを引退致します。倒されちゃいましたけど、皆さんの応援が力になりました。楽しいキックボクシング生活、有難うございました!」と現役最後の御挨拶し、家族と記念撮影してリングを去りました。

次回の日本キックボクシング連盟興行は8月2日(日)に大阪 176BOXに於いて 昼夜2部興行、鐡人シリーズvol.4が開催されます。

Z-Ⅶ Carnival (第一部主催:NKジム/開場10:45 / 開始11:00)
メインイベンターはNKBバンタム級5位.兵庫志門(テツ)
セミファイナルにNKBフライ級1位.則武知宏(テツ)出場。

ガルーダフェスVol.7 (第二部主催:テツジム/開場15:45 / 開始16:00)
メインイベンターは髙橋亮(元・NKBバンタム級、フェザー級覇者/TRIANGLE)
セミファイナルにNKBウェルター級チャンピオン、どん冷え貴哉(TOKYO KICKWORKS)出場。

鐵人シリーズvol.5は10月10日(土)に後楽園ホールに於いて行われます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

毎日新聞「押し紙」訴訟 補助金処理のグレーゾーンが浮上、原告が請求根拠を変更

黒薮哲哉

兵庫県阪神地区の毎日新聞元販売店主が、「押し紙」による損害を受けたとして毎日新聞社に約1億6000万円の損害賠償を求めている訴訟の口頭弁論(ウェブ会議方式)が、6月29日に開かれる。この裁判では、毎日新聞社も元店主に対し、新聞代金の未払い分の支払いを求めて反訴している。

口頭弁論に先立ち、元店主側の弁護団(江上武幸弁護士ら)は第11準備書面を提出した。

第11準備書面(PDF)

同準備書面では、原告が損害賠償請求の法的根拠を変更した経緯について言及している。

原告は当初、独占禁止法に基づく新聞特殊指定を根拠として損害賠償を請求していた。新聞特殊指定が「押し紙」を禁止しているとの主張によるものである。

しかし審理の過程で、毎日新聞社が「押し紙」によって販売店に生じた損害について、新聞代金の未払いではなく補助金の未払いとして経理処理していたことが明らかになった。そのために、優越的地位の濫用という一般的な独禁法違反として構成し直した

これら一連の背景については、江上武幸弁護士が次の記事で詳しく解説している。

【参考記事】毎日新聞押し紙訴訟の報告 毎日新聞社、押し紙解消に向けて方針転換か?

この記事によると、毎日新聞社には、「押し紙」によって販売店に生じる損害を「折込広告の水増し収入」と補助金によって相殺する仕組みが存在するとされる。

名目上、「押し紙」の存在を認めることができないため、このような経理処理によって新聞特殊指定への抵触を回避してきた可能性がある。

毎日新聞に関する記事一覧

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年6月23日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu