精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続社会と精神のゆらぎから』を刊行

鹿砦社代表 松岡利康

師走も押し迫り寒さも厳しくなり、世情は慌ただしくなってまいりました。皆様、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、このたび小社では、わが国を代表する精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』を刊行いたしました。去る8月に同じく野田先生の『流行精神病の時代』を刊行し各方面から好評を博し、短期間に2冊立て続けての出版となります。

本書は、著者の故郷の地元紙、高知新聞の長期連載「高知が若かったころ」の後半部分にあたり、前半部分は『社会と精神のゆらぎから』というタイトルで講談社から刊行されています。その続編という恰好ですが、前半とは全く異なる構成と内容で独立した書籍となっています。

その多くの文章はペレストロイカ後のロシアやバルト海沿岸諸国などを歩き続けた記録となっており、そこで旅しながら考えた、人間社会への深い考察になっています。

何卒ご一読いただき、ぜひ、紹介、書評などお願い申し上げます。

いよいよ2025年も押し迫ってまいりました。慌ただしいさなかでの出版ですが、著者の深い思索の一端をご理解いただければ幸いに存じます。

『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』https://www.amazon.co.jp/dp/4846315959

冤罪を作る検察官は恥を知れ!

尾﨑美代子

再審(裁判のやりなおし)を請求する時には新たな証拠が必要と言われている。それを再審を請求する側が必死で探して、新たな鑑定書を作成したり、そのために再現実験行うだけで大変な時間、経費を要する訳だが、今年7月18日、36年ぶりに再審無罪を勝ち取った前川彰司さんの「福井女子中学生殺害事件では「そんな証拠どこにあったんだい」という証拠が出てきたのだ。

この事件は、事件当日「血のついた前川を見た」などの証言が多数あり、前川さんが逮捕された。複数の関係者の供述をあわせるために使われたのが、当時流行っていたテレビ番組「夜のヒットスタジオ」でアンルイスと吉川晃司が繰り広げた超卑猥なパフォーマンスだった。

「六本木心中」を歌うアンルイスの後ろに吉川晃司が回り腰を激しく打ちつけるというパフォーマンス。20歳そこそこの関係者が刺激を受けて「いやらしいな」と言い合っていたところに先輩から電話がきて、車で先輩の所に行くと、そこに血を付けた前川が来た……というストーリーだった。

弁護団は再審の控訴趣意書で、車のダッシュボードに前川が付けたという血痕は、関係者の証言のように唾で拭いた位で消えない、必ずルミノール反応が出るはずなどの実験を行い、結果を新たな証拠として出していた。私もその趣意書を何度も読んでいた。

ところがだ。再審開始の決定書の冒頭に突然でてきたのが、「夜のヒットスタジオ」やらアンルイスやら吉川晃司だった。おいおいおい……私は慌てたね。何なんだよ、おい! 実は血の付いた前川を見たと証言したキーマンの男性が「いやらしいな」と言ってたパフォーマンスは事件当日の放映ではなく、翌週だったのだ。

その証拠を警察、検察はとっくの昔から知っていた。つまり、再審で無罪を勝ち取るには、検察が持っている全ての証拠を明らかにしなくてはならないのだ。それを必死で隠そうとする検察。こんな連中とその検察を統括する法務省、法制審に再審法を任せていては、冤罪犠牲者は絶対に救済されない。

そもそもだが、冤罪を必死で作る仕事をしてて、あんたら恥ずかしくないか。嫁や子供、親に「オレ、こんな仕事してるんだ。カッコいいだろ」と言えるか??

そういえば、これまで冤罪作ってきて、その後「栄転」したのはいいが、その先でパワハラやらセクハラやら、不祥事やらかしている元検察官を、数人知ってるぞ。埼玉愛犬家連続殺人事件で風間博子さんに死刑判決を下した岩橋義明検事は、電車のドアにわざとカバンを挟み、運行を妨害したとして厳重注意処分を受けた。

千葉県東金女児殺害事件で知的障害を持つ勝木涼君を「金子さん、金子さん」となつかせ、有罪にし、「栄転」先の栃木県では更に今市事件で、当時日本語の不慣れな、台湾出身の勝又拓哉さんに、暴行を振るったりして犯人にした金子達也検事は、その後赴任した福岡で、部下の女性に不適切な発言をして減給の懲戒処分をうけた。

また不祥事ではないが、和歌山カレー事件で、林眞須美さんの夫の健治さんに「眞須美にヒ素を盛られたと証言してくれ」と頼み込んだ大阪地検特捜部の小寺哲夫検事は、なんと関西生コンに対して妨害したり、告発・告訴を続けてきた大阪広域生コン側の弁護人になっている。悪はいつまでも悪のままだ。本当に恥を知れ!!

◎[参考記事]冤罪被害者の救済、遠のく? 元裁判官63人・学者135人が危機感(2025年12月7日付け朝日新聞)

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

政治献金のグレーゾーンとマスコミ癒着 高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑

黒薮哲哉(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆300万円の〝還付金〞

議席の数合わせの論理に翻弄された末、日本初の女性首相の座を射止めた高市早苗衆院議員。公明党の斉藤鉄夫代表が、政治資金収支報告書の記載漏れなど「政治と金」の問題を突きつけて自民党と決別したことを発端として、政争が拡大した。高市氏の傲慢な態度に業を煮やした斉藤代表は、高市政権ではこの問題に正面から切り込めないと判断し、26年にわたる連立を解消したとされる。

ところがワイドショーをはじめとする日本のメディアは、「政治と金」の問題よりも、むしろ政界再編をめぐる政党や派閥のかけひきをクローズアップした。

「政治と金」のグレーゾーンとは何か? 高市首相の政治資金問題を知り尽くす人物が東京都江東区にいる。『最高裁の暗い闇』(鹿砦社)などの著書を持つ志岐武彦氏である。志岐氏は2017年2月、高市氏が政治資金を巧みに動かして「資金洗浄」すなわちマネーロンダリングを行なったとして刑事告発した。

当時、彼女は第三次安倍晋三内閣の下で総務大臣を務めており、「総務大臣によるマネロン」に筆者は好奇心を刺激され、取材目的もあって告発人に名を連ねた。志岐氏が疑問視したのは、政治献金の還付金制度を利用して金銭を捻出する手口である。

有権者が政治献金を行なった場合、確定申告の際に税務署で所定の手続きを踏めば、一定割合の金銭が還付される。還付の割合は献金額のおおよそ30%(厳密には、寄附額から2000円を差し引いた金額の30%)で、積極的に政治献金をすることで政治参加の意識を促すことを狙いとしたのが、この優遇措置だ。

ただし、これは誰に対しても無条件に適用されるわけではなく、除外されるケースもある。租税特別措置法41条18・1は「寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められる」場合、優遇措置の対象外とすると定めている。志岐氏はこの点に着目し、高市氏の行為が還付金を受けるための要件を満たさないと判断して刑事告発に踏み切ったのである。

2017年2月4日、志岐氏と筆者は連名で告発状を奈良地方検察庁に提出した。告発状では、高市議員が2012年12月25日、自らが代表を務める自民党奈良県第2選挙支部(以下、第2支部)に1000万円を寄付し、その後、確定申告の際に税務署で「寄付金(税額)控除のための書類」(タイトル写真)を作成し、約300万円の還付を受けたことを指摘した。

形式上、この1000万円は高市氏が自ら調達した資金とされている。しかし、政治資金収支報告書を精査すると、その寄付行為の約1カ月前にあたる11月20日に、第2支部が高市氏個人に対して「寄付金」と称して1000万円を支出していたことが判明する。

つまり、①第2支部が高市議員に1000万円を寄付し、今度は逆に②高市議員個人が同じ額の金を再び第2支部へ戻し、同時に寄付者・高市早苗として③約300万円の還付金を受け取った構図が浮かび上がる。

資金を循環させるだけで、庶民の手取り年収に匹敵する額の還付金を得ていたのだ。この1000万円の“源流”をさかのぼるとさらに興味深い事実が見える。第2支部が高市氏に1000万円を寄付した同じ日、自民党本部が第2支部へ「選挙費用」として1300万円を送付していたのだ。

これら一連の金の流れは、第2支部が作成した2012年度の政治資金収支報告書で確認できる。ただし、自民党本部から第2支部へあてた1300万円と、第2支部から高市氏が受け取った1000万円が同一の金である確証はない。重要なのは、高市氏が資金を循環させることで約300万円の還付金を生み出した事実である。これは租税特別措置法41条18・1が禁じる「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」ケースに該当する可能性がある。志岐氏はこの点に着目して告発に踏み切ったのだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n80aa03ce4915

米国政府系の反共謀略組織・NEDからラテンアメリカ諸国の市民団体やメディアに63億円

黒薮哲哉

全米民主主義基金(National Endowment for Democracy=NED)から、2024年度、4,100万ドル(約63億~65億円)の資金がラテンアメリカ諸国の親米勢力(市民運動体やメディア)に支払われていることが分かった。支援対象となったプロジェクトの数は262。対象国は16カ国である。

NEDのウェブサイトは、支援の理由について次のように述べている。

ラテンアメリカとカリブ地域では、権威主義が広がりつつあり、指導者たちは民主的な制度を弱めて権力を固めている。

NEDは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラのように強い権威主義体制が続く国々に特に注目している。

こうした国々でNEDは、現地の団体と協力し、政権の独裁的な性質についての理解を深め、市民が独立した情報を得られるよう支援し、反民主的なプロパガンダに対抗する。

厳しい弾圧がある中でも、活動家たちは平和的で民主的な改革を進めるという強い意志を持ち続けている。

NEDは、米国政府系の反共謀略組織で、他国の「民主化」を支援するための組織である。今年、ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの反政府活動家で、同国への軍事介入を米国に要請しているマリア・マチャドも、NEDに深く連座してきたことが判明している。

NEDの手口は共通している。メディアを使って「親米」と「反共」で世論を誘導し、一種の混乱状態をつくった後にクーデターを試みる手口である。

しかし、ニカラグアでもベネズエラでも失敗している。日本にもNEDから資金援助を受けている人物がいるという情報もあるが、詳細については分からない。

《関連記事》
トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資金提供を再開(2025.05.14)
USAID傘下の全米民主主義基金(NED)が、3月5日、行政機関と政府高官を相手に提訴、「予算を違法に保留している」(2025.03.12)
国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサーは米国政府系の基金NED(2024.06.07)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年12月01日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

MuayThaiOpen 今回も壱世がメインイベンター、存在感を示すTKO勝利!

堀田春樹

壱世、全勝とはいかなかったが、今年もビッグマッチをこなして飛躍の一年で締め括る。
蒔音は2023年12月デビューから丸2年での二つ目の王座獲得。
エムトーンジムの期待の新星、夢叶もノックダウン奪って判定ながら圧倒の勝利。

◎MuayThaiOpen.51 / 12月6日(土)墨田区体育館(ひがしんアリーナ)
プロ興行:17:00~21:30
主催:センチャイムエタイジム / 認定:ルンピニージャパン

前日計量は中野駅近くのセンチャイジムにて5日13時より行われています。1名は当日計量。2名が学業の為に遅延。授業を終えて計量に向かった模様。全員いずれも一回でパス。

◆第12試合 55.5kg契約3回戦 

WBCムエタイ日本スーパーバンタム級チャンピオン.壱・センチャイジム(=与那覇壱世/センチャイ/1997.8.15沖縄県出身/ 55.1kg) 45戦33勝(12KO)11敗1分
VS  
ワイトップ・ソー・ガムジン(1992.10.17タイ国出身/ 55.5kg) 
勝者:壱・センチャイジム / TKO 2ラウンド 2分59秒
主審:河原聡一

両者見合って様子見から上下の蹴りに移る。互角ながら前に出ているのは壱世。第2ラウンドも壱世が蹴りでプレッシャーをかけて前に出てワイトップを追い詰めていく。

壱世のローキックがワイトップの右内腿辺りにヒットするとワイトップはバランスを崩して足を引き摺る。効いた様子あるワイトップに更に同じ個所を蹴るとワイトップはスリップながら尻餅をつくダメージある様子が窺えた。

ワイトップの効いている左脚を攻める壱世

下から上へハイキックで圧力を掛け、パンチ連打から左アッパーでノックダウンを奪った。立ち上がるも防戦一方のワイトップを首相撲からヒザ蹴り、蹴りからパンチを纏め4連打の最後は左アッパーで倒し、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

壱世が左アッパーで最初のノックダウンを奪ったシーン
マイクアピールでは応援してくれたファンへの感謝を述べる壱世

◆第11試合 59.5kg契約3回戦 稔之晟インフルエンザで欠場。代打はモンコンチャイ

JKIスーパーフェザー級チャンピオン.夢叶(エムトーン/2004.4.7神奈川県出身/ 59.5kg)
13戦9勝(2KO)3敗1分
        VS
モンコンチャイ・キアチャイレック(タイ/29歳/ 59.2kg)
勝者:夢叶 / 判定3-0
主審:谷本弘行
副審:河原30-26. 少白竜30-25. 神谷30-25

初回から蹴りの攻防に立ち向かう夢叶。モンコンチャイをロープ際に追い詰める流れで蹴り優っていく。

夢叶はモンコンチャイを上回るスピード、アグレッシブな攻めで圧力掛けて出た

第3ラウンドにはロープ際に追い込んでのパンチ連打で2度のスタンディングダウンを奪った後の終了間際には飛びヒザ蹴りを見せたが、仕留めるには至らずも下がる場面は一切無かった圧倒の大差判定勝利となった。

試合後、夢叶は「今日は倒したかったです。次はKOで勝ちます!」と宣言した。

夢叶の飛びヒザ蹴り。ラスト2秒前だった。モンコンチャイも前蹴りで対抗して凌いだ

◆第10試合 MuayThaiOpenバンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.イティポン・ポー・ジョー・ウォー(2002.1.6タイ国出身/ 53.5kg)
              VS 
挑戦者.蒔・センチャイジム(=佐藤蒔音/ JKイノベーション・バンタム級Champ/センチャイ/2003.7.8東京都出身/ 53.4kg)
勝者:蒔・センチャイジム / TKO 3ラウンド 2分46秒
主審:大澤武士

3月22日に矢島直弥に2-1判定勝利で王座獲得したイティポン。パンチとローキックで様子見ながら蒔音がプレッシャーを掛けていく。

イティポンは静かな蹴りの反撃も蒔音は冷静に躱し、自分の距離を保って攻めて行く。徐々にパンチの攻勢が強まり、蹴りと首相撲の攻防から第3ラウンドには怒涛の連打でノックダウンを奪い、更に連打で追い込み右ヒジ打ちで倒し切った。

蒔音が首相撲でも優ってイティポンの頭を捻じり押さえる
蒔音がイティポンをロープ際に追い詰め、ラッシュを掛けてノックダウンに繋げた
MuayThaiOpenの王座で二つ目王座奪取となった蒔音。壱世に続くか

◆第9試合 アマチュアMuayThaiOpen 53.5kg級王座決定戦3回戦(2分制)

駒木根稔和(TSK Japan/2009.5.7神奈川県出身/ 53.25kg)
        VS
鬼久保蒼流(健成會/ 2009.8.30東京都出身/ 52.8kg)
勝者:駒木根稔和 / TKO 3ラウンド 1分30秒
主審:神谷友和

初回、素早い両者のフットワークの蹴り。そこに鬼久保蒼流が右ストレートで軽いノックダウンを奪った。駒木根稔和はダメージは殆ど無い様子で、蹴りで押し込み接近するとパンチの連打、攻めの勢いを増して行くとスタンディングダウンを奪って巻き返し。

第2ラウンドも駒木根稔和が鬼久保の攻めを封じ圧倒する流れ。第3ラウンド半ば、駒木根がパンチやヒジ打ち猛攻でコーナーに追い込み、パンチ連打で2度のスタンディングダウンを奪ってレフェリーストップとなるTKO勝利。

駒木根稔和はアマチュアながらスピーディーなテクニックで鬼久保蒼流を圧倒

◆第8試合 女子43.5kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ペーパー級チャンピオン.Uver-miyU(=高橋美結/T-KIX/1999.12.7静岡県出身/ 43.5kg)
        VS
ロウ・イツブン(NEXTLEVEL渋谷/1995.5.26中国出身/ 43.4kg)
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:神谷29-29. 谷本28-29. 大澤29-28

初回、ミドルキックやハイキックで牽制する両者。ウーバー・ミユの蹴りにしっかり蹴り返すロウ・イツブン。接近した際にバッティングが起こったか、ウーバーの額にコブが出来ていた。

ロウ・イツブンはスマートな蹴りが出続ければ流れが傾きそうなところ、ウーバーも前進する圧力にパンチ蹴りとも手数を増して踏ん張る。終盤は激しい蹴り合いも互角の展開を残し、チャンピオンに成ったばかりの、負けるわけにはいかない立場のウーバーミユにとっては悔しい引分けとなった。

負ける訳にいかないウーバーミユだったが、ロウ・イツブンのミドルキックに苦しめられた

◆第7試合 アマチュア(ジュニア)55.0kg契約3回戦(2分制)東西王者対決

秀馬(エムトーン/2010.10.26神奈川県出身/ 当日計量55.0kg)
        VS
大澤透士(TRASH/2010.11.16広島県出身/ 54.7kg)
勝者:秀馬 / 判定3-0
主審:河原聡一
副審:神谷30-27. 大澤30-28. 少白竜29-28

蹴りの様子見から徐々に自分のペースへ持ち込む秀馬。タイミングいい蹴りとパンチで的確なヒットを見せながら圧力を掛けて大澤透士を追い込んでいく。

第3ラウンドは大澤も懸命に蹴りで出て来たが、秀馬はバランスいい攻めで判定勝利。

エムトーンジム南孝侍会長は秀馬の勝因について、「やられたらやり返す!」と応えたが、やられていないのに攻め勝ったことには笑うだけだったが、秀馬の試合運びには満足そうだった。

◆第6試合 女子バンタム級3回戦(2分制)

真秀鷹虎(センチャイ/2006.4.10宮城県出身/ 53.35kg)
        VS
優波(TFG EVOLVE/2010.6.8千葉県出身/ 52.95kg)
勝者:真秀鷹虎 / 判定2-0
主審:谷本弘行
副審:神谷29-29. 河原29-28. 少白竜30-29

激しい蹴り中心の攻防が続き、ラストラウンドにやや圧力掛けて出た真秀鷹虎が経験値の差か、僅差ながら判定勝利。

◆第5試合 アマチュア(ジュニア少年少女)35.0kg契約3回戦(2分制)

川原さくら(橋本道場/2012.1.14福岡県出身/ 34.9kg)
        VS
大牙虎男(Vallely Kickboxing team/ 2015.2.17東京都出身/ 34.5kg)
引分け 0-1 (29-29. 29-29. 28-29)

男子と女子の戦い。さくらの蹴りは積極的。この時期の年齢差は、大牙虎男には不利な体格差かもしれないが、男子のパワーが徐々に優り、互角の攻防戦が続いた。

◆第4試合 66.0kg契約3回戦(2分制)

志賀野真人(TSK Japan/2007.6.17神奈川県出身/ 65.3kg)
        VS
小泉琉(健成會/2006.11.25東京都出身/ 65.3kg)
勝者:志賀野真人 / 判定3-0
主審:神谷友和
副審:谷本30-28. 河原30-27. 大澤30-27

パンチヒットで志賀野真人の主導権支配した展開は変わらず終了。

◆第3試合 アマチュア(ジュニア)43.0kg契約3回戦(2分制)

阿部龍(橋本道場/2012.6.7東京都出身/ 42.9kg)
        VS
日野原晴海(HIDE/2012.1.20静岡県出身/ 42.7kg)
勝者:阿部龍 / 判定3-0 (29-28. 30-29. 30-28)

素早く多彩な互角の攻防だったが、阿部龍が勝利を掴む。

◆第2試合 64.0kg契約3回戦

ムラッシュ村松(TSK Japan/1998.12.10神奈川県出身/ 63.2kg)
        VS
古林けいご殿(龍拳會青葉台支部/1980.10.8神奈川県出身/ 63.95kg)
勝者:ムラッシュ村松 / 判定3-0
主審:河原聡一
副審:少白竜29-28. 神谷29-28. 大澤29-28

初回はやや古林けいごのペース。第2ラウンドからムラッシュ村松が盛り返した。古林が疲れて来たところを追い詰める。村松が主導権支配した流れで終わった。

◆第1試合 アマチュア(ジュニア)28.0g契約3回戦(2分制)

發知楓(橋本道場/2013.8.5東京都出身/ 26.8kg)
        VS
大空(SUCCEED/2015.6.1神奈川県出身/ 27.3kg)
勝者:大空 / 判定0-2 (29-29. 28-30. 29-30)

《取材戦記》

プロ興行の中でも最近は前座でアマチュア試合を組み込む傾向があります。一つの団体等で、プロ・アマチュア部門が存在するので、興行の都合ではその流れも起こっています。今回はセンチャイ一家の家庭的ムードが漂う興行。手作り感強い興行で、突然のアマチュア東西王者対決も決まった模様。何の王座かはアマチュアムエタイオープン55kg級ということだった。

プロ試合、メインイベンター壱世が奪ったノックダウンとノックアウトに繋げたヒットは、いずれも左アッパー。貴(たかゆき)センチャイ氏がスマホで撮っていた動画から判明。撮った動画をすぐ見れるのは便利になった時代です。

壱世は10月12日にKNOCK OUT興行 で行われたWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座決定戦でNJKF同級チャンピオンの繁那(R.S)と対戦し、壱世が3-0判定勝利し、王座獲得しています。次の試合は来年2月15日にKNOCK OUT興行に出場予定ということでした。

全試合試合後、センチャイ会長は「最近の日本の選手はレベル高くなって、本当に観る側も楽しいと思います。世界にいろいろな試合有るけど、日本の選手はよく研究していると思います。」とタイ選手を上回る攻防に感想を述べられました。毎度丁寧に纏め上げるのは、センチャイさんらしいところではあります。

コロナ禍から復活して今回4度目の興行となりました。来年もMuayThaiOpenは日程未定ながら3回ほど開催予定の模様です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

12月13日~19日、大阪十三「シアターセブン」で中村明監督の映画「生きし」の上映が開催されます!

尾﨑美代子

12月13日から十三の「シアターセブン」で中村明監督の映画「生きし」の連続上映がはじまります。毎日監督とどなたかのアフタートークがありますが、12月15日(月)中村監督とのアフタートークで、私も一緒にお話させて頂きます。映画を見にきてください。

1993年におきた「埼玉愛犬家連続殺人事件」をモチーフに、当時報道番組のデイレクターをしていた中村明さんが作った映画です。

「愛犬家」の周辺で次々と関係者が行方不明になる、しかし殺害の証拠がない。のちに殺人で逮捕されたブリーダーの関根元(元死刑囚、2017年東京拘置所で病死、享年75歳)が「ボディを透明にする」と、徹底的に遺体を損壊し、サイコロステーキ状に切り刻み、燃やしたり、川などに捨てたからだ。

事件が何をきっかけに発覚したか?実は遺体を運んだりして事件を手伝わされた部下の男Aが、別件で逮捕された自身の妻を救出したいがために、警察、検察に告白したことからわかりました。その後Aも逮捕されますが、留置場で、妻や元妻に合わせてもらい、2人きりの密室でなんと性行為を行ったなどと裁判で証言して話題になりました。Aは出所後事件の全貌を書いた本を出版しました。私もすぐに買って読みましたが、その後誰かにあげました。まさか、今その本が10倍ほどの値段がついているとは……。(その時点では凄い内容だと信じていましたが、その後虚偽の部分があることが明らかになっています)

映画「生きし」は、事件そのものを追うのではなく、あくまでもその事件をモチーフとした内容です。関根と一緒に逮捕され、関根同様に死刑囚となった元妻・風間博子さんと、実の母親、そして娘の関係、無実を訴える風間さんと支援者らの交流などを描いています。

私が、風間さんが冤罪を主張し、現在3度目の再審(裁判のやり直し)を請求していることを知ったのは約1年前です。当初「風間も共犯だ」と訴えたAは、裁判で「風間さんは殺害に関わってない」「なぜ死刑囚になるんだ」と証言しています。

また風間さんを支援する田口佐智子さんが、別の記事でこんなコメントを寄せてらっしゃいます。「モデルの風間博子さんの交通許可を得て文通しています。事件の立件に問題があり、何の物的証拠もない死刑判決です。再審請求中。」

死刑囚となったら、親族以外なかなか面会が叶わないなか、田口さんのような支援者がおられ、大変心強いことです。しかし、この事件、私も三度目の再審請求が行われていることを知りませんでした。これをきっかけに、この冤罪事件自体へも関心を持っていただけたら幸いです。

再審法改正問題がいよいよ正念場を迎えようとしている昨今、私は、この事件と様々な点で非常に似ている和歌山カレー事件との類似点、そして再審がどのように難しいかなどについて、お話させてもらいたいと考えております。

アフタートークでは毎日違う方が登場致します。詳細や時間などはホームページでご確認ください。

みなさま、劇場でお会いしましょう!

◎「生きし」HP https://ikisi-movie.com/

◎「シアターセブン」HP https://nanageitheater7.sboticket.net/top?type=title

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

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総力で年末危機を突破し、唯一の脱(反)原発雑誌『季節』の発行継続、鹿砦社の言論・出版活動継続に圧倒的なご支援を!

 私たちは『季節』の旗を守りたい! 
『季節』を脱(反)原発言論の強固な拠点にしたい! 

『季節』編集長 小島卓 鹿砦社代表 松岡利康

『季節』を愛し、また鹿砦社の言論・出版活動を支持される皆様!

『季節』2025冬号をお届けいたします。実際に寄稿や取材にご協力賜った皆様方、熱心な読者の皆様方、本誌『季節』は創刊10年(いわば“親誌”の『紙の爆弾』は20年)を経過し、発行継続困難な情況に直面しています。今号も発行が危ぶまれましたが、何とか発行に漕ぎ着けました。コロナ禍以降は、毎号発行が困難な中で、『紙の爆弾』もそうですが、心ある方々のご支援を仰ぎ資金を工面しつつ一号一号発行してきました。

私たち鹿砦社は、時代の転換点・1969年の創業以来半世紀余り、当初は時代を反映し裏切られたロシア革命史、また知られざる革命運動史(左翼エスエル、クロンシュタット叛乱、マフの運動など)、社会運動史の発掘に努め、80年代後半、松岡が経営を引き継いでからは社会問題全般、ジャニーズ問題(一昨年の英国BBCによるジャニー喜多川告発には、数年前から水面下で秘密裡に協力)などの芸能関係にまでウイングを拡げ(このことで前経営者からは「俺の顔にクソを塗った」と非難されました)、さらには2005年の親誌『紙の爆弾』創刊以来20年間、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧(実際に松岡が逮捕、長期勾留されています)にも屈することなく、〈タブーなき言論〉の旗を掲げ続けてきました。

そうして、『紙の爆弾』が軌道に乗り経営が安定した2014年、本誌前身の『NO NUKES voice』(31号より『季節』に改題)を創刊し、常に一号一号3・11で被災、原発事故で被ばくされた方々に寄り添い発行を続け、この継続を図るために苦闘してきました。この年末がノルかソルかの正念場です!

本誌のみならず『紙の爆弾』も、あるいは当社の出版物全般もそうですが、コロナ禍を大きな契機として出版業界の情況が大きく変わり、これまでのやり方ではやって行けないことを実感させられました。しかし、いくつか新たな試行錯誤をしながらも、私たちがいまだに苦境から抜け出せずにいるのは、その本質と、想像以上の深度に気づくことができず、よって方途を見失い、具体的な出版企画に結びつけることができないからだと認識はしています。この5年間、突破口を探し模索と試行錯誤を続けています。皆様方に妙案があれば、ぜひお寄せください。

本誌『季節』も、『紙の爆弾』も、幾多の苦難(この最たるものは「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧)を乗り越え本誌は昨年10周年、『紙の爆弾』は本年4月で20周年に至り、多くの皆様方に祝っていただき、また厳しい叱咤激励も受けました。多くの雑誌が権力のポチと化し、『季節』や『紙爆』のようにタブーを恐れない雑誌がなくなったからでしょう。以後私たちは、次の10年に向けて歩み始めていますが、遺憾ながらなかなか苦境を打開できずにいます。

そうは言っても、師走に入り、ノルかソルかの勝負所、ここを断固突破しなくてはなりません! 先に発行し送付した『紙の爆弾』の定期購読者、会員の皆様方らにも申し上げましたが、断固突破する決意ですので、ぜひ皆様方のご支援をお願い申し上げます。そして、年を越し、東日本大震災から15年の来年3・11には新たな『季節』を発行し共に迎えようではありませんか!

《表紙》『原子力明るい未来のエネルギー』 紆余曲折を経て 今は文字盤だけが倉庫に眠る(絵=鈴木邦弘)

季節2025年冬号
『NO NUKES voice』改題 通巻44号
紙の爆弾2026年1月増刊
2025年12月11日発行
定価770円(税込み)

《グラビア》キオクとキロク(鈴木邦弘

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《報告》生命体の世界と原子核の世界

樋口英明(元福井地裁裁判長)
《報告》未来の人々から裁かれないために

井戸謙一(311子ども甲状腺がん裁判弁護団長)
《報告》311子ども甲状腺がん裁判にご支援を

《特集》福島の汚染土と汚染水の行方

山川剛史(東京新聞編集委員)
《報告》被災地の現実はどれほど報道と違うのか

鈴木邦弘(絵本作家/イラストレーター)
《報告》キオクとキロク

まさのあつこ(ジャーナリスト)
《報告》汚染土政策の変遷 「最終処分」から「復興再生利用」

和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
《報告》放射能汚染土の核心的問題

平井 玄(新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会)
《報告》放射能のない新宿「御苑」をコモンズに
 
門馬好春(「三〇年中間貯蔵施設地権者会」会長)
《報告》中間貯蔵施設の汚染土の行方

菅野みずえ(「ALPS処理汚染水差止訴訟」原告)
《報告》ALPS処理汚染水を海に流すな

吉澤正巳(「希望の牧場・よしざわ」代表)
《インタビュー》原発事故の暴虐に「いのち」を対峙
 被爆した牛たちを飼い続けて闘う

水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
《インタビュー》『3・11の彼方から』を読む

村田三郎(医師)
《インタビュー》弱者の側に立ち、反核・反原発を闘う《後編》

末田一秀(『はんげんぱつ新聞』編集長)
《講演》エネルギー基本計画 暮らしへの影響

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
《報告》柏崎刈羽原発の再稼働に異議あり!!

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
《報告》原発の技術的特性と裁判の論理〔2〕

古居みずえ(映画監督)
《報告》パレスチナと福島に通い続けて
             
森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
《報告》福島から広島へ 「核被害者の権利宣言2025」が灯した希望と連帯

木村三浩(一水会代表)×板坂 剛(作家/舞踊家)
《対談》民族派と左翼の融合は可能か《前編》

三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
《報告》今、我々の置かれた場所から

原田弘三(翻訳者)
《報告》「脱炭素」の不都合な真実

再稼働阻止全国ネットワーク
《報告》危険な東海第二原発を阻止!
 「原発依存社会」へと暴走する高市政権を批判する!
 瀬尾英幸(北海道泊村在住)
 志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
 けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)
 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)

《反原発川柳》乱鬼龍

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新聞社の世論調査は本当に信用できるのか ── 収益構造から読み解く支持率報道の裏側

黒薮哲哉

新聞各社が発表する内閣支持率は、政治状況の判断材料として大きな影響力を持つ。しかしその数字は本当に信頼できるのだろうか。高市内閣をめぐっては、批判が強まっているにもかかわらず支持率が上昇するという不可解な傾向が続く。本記事では、世論調査そのものを直接否定するのではなく、新聞社の収益構造──とりわけ「押し紙」による莫大な利益──に着目することで、世論調査の数字が客観的かつ中立なデータとして扱えるのかを検証していく。

日本のメディアが定期的に公表している世論調査に、正確な裏付けはあるのだろうか。10月に新聞各社が公表した高市内閣の支持率は次の通りである。

朝日新聞 68%
産経新聞 75.4%
毎日新聞 65%
日経新聞 74%
読売新聞 71%
共同通信 64.4%

ところがその後、台湾をめぐる発言で国内外から激しい反発を受けたにもかかわらず、支持率は高くなる傾向があるようだ。たとえば11月16日付の毎日新聞は、支持率が69%になったと報じている。国民の約7割は高市内閣を支持しているというのだ。

当然、これらの数字が高市内閣の方向性を支持しているとなれば、強引に日本の右傾化を推し進める根拠になる。世界から批判の的になっている高市首相にとっては、願ってもない数字である。

が、肝心の数字に根拠はあるのだろうか。

この記事では、新聞社の収益構造の観点から数字の信ぴょう性を検証してみよう。数字そのものが信用できないことについては、次の記事を参考にしてほしい。世論動向を推測する目的に最も合致した国政選挙の比例区における各党の得票率と、メディアが公表する数字に整合性がない点を指摘した記事である。

【参考記事】中央紙の年間の「押し紙」収入420億円から850億円──内閣支持率82%? マスコミ世論調査を疑う背景と根拠

◆新聞社の収益構造から見る信ぴょう性

メディアの性質を解析するときに、最も重要な項目のひとつは、だれがメディア企業を運営するための資金の提供者なのかという点である。資金源が枯渇すると、メディア企業が成り立たなくなるからだ。

「押し紙」と呼ばれる新聞がある。これはごく簡単にいえば、新聞社が新聞販売店に対してノルマとして買い取りを強制する新聞のことである。たとえば3000部を3000人の読者に配達している販売店に4000部の新聞を搬入すれば、1000部が過剰になる。新聞の破損を想定して若干の予備紙を必要とするものの、ほぼ1000部がノルマである。この部数が「押し紙」といわれるものである。

改めて言うまでもなく、販売店は「押し紙」の代金を新聞社に納金しなければならない。

※厳密な定義については別にあるがここでは言及しない。

この「押し紙」により、後述するように新聞社は莫大な利益を上げているのだが、「押し紙」は独禁法で禁止されている。ところがおかしなことに、行政機関も裁判所も「押し紙」を容認している。取り締まりの対象にはなっていない。

◆「押し紙」の実態と規模

全国にはどの程度の「押し紙」があるのだろうか。「押し紙」の量を裏付けるデータは、これまで度々明らかになっている。たとえば2004年に毎日新聞の内部資料が社外へ流出し、その中で販売店に搬入される新聞の約36%が「押し紙」であることが判明した。

内部資料をもとに試算した「押し紙」による販売収入は、年間で約295億円になる。詳細については、次の記事を参考にされたい。

【参考記事】国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発証数の推移」から不正な販売収入を試算、年間で259億円に

朝日新聞の「押し紙」の実態も明らかになっている。たとえば2014年に同社が実施した調査によると、「押し紙」率は次の通りである。

・「朝刊・夕刊のセット版」:29%
・「朝刊単独版」:25%

これらの数字が判明したのは、やはり内部資料が外部へ流出したことが原因である。

読売新聞や産経新聞の場合は、この種の内部資料が外部へ漏れたことはないが、これまで新聞販売店が繰り返し「押し紙」による損害賠償を求める裁判を起こしてきた関係で、かなり「押し紙」の実態が明らかになっている。

メディア黒書が行った裁判の取材によると、読売新聞と産経新聞の場合は、おおむね3割から4割が「押し紙」である。

◆中央紙が得ている収入規模

「押し紙」による新聞社の不正な販売収入は、想像以上に巨額である。2025年8月時点で、中央紙(朝日・毎日・読売・産経・日経)の発行部数は約1180万部とされている。

このうち「押し紙」の割合を20%と仮定すると、約236万部になる。新聞1部あたりの卸価格を月額1500円(すべて朝刊単独版と仮定)とすれば、1か月あたりの「押し紙」販売収入は約35億4000万円、年間では約424億8000万円にのぼる。

もし「押し紙」率が40%に達すれば、年間収入は約850億円にもなる。販売店に対して様々な補助金を支出しているとは言え莫大な「純利益」を得ている。

しかも、この試算は控えめな前提条件に基づく。「朝・夕刊」セット版の場合、卸価格が2000円程度に上がるため、収入はさらに増加する。筆者の試算に誇張はないといえる。

◆「押し紙」が広告収入にも影響

しかし、「押し紙」制度の大罪はこれだけではない。

「押し紙」により新聞の公称部数(ABC部数)は水増しされる。その結果、何が起こるのか? 答えは簡単で、紙面広告の媒体価値が上昇することである。それにより広告収入も増える原理になっている。

逆説的に言えば、新聞社は、ABC部数をかさ上げするために、販売店に対して補助金を支出してまで、「押し紙」を買い取らせているのである。

このような手口は、一種のマネーロンダリングではないか?

もっとも最近は、新聞の公称部数に「押し紙」が含まれていることが公けになってきたこともあって、紙面広告の価格交渉で部数の大小が重視されなくなっている側面はあるが、少なくとも広告価格を設定するときの基礎資料になっていることは議論の余地がない。

◆公権力機関はなぜ、「押し紙」を取り締まられないのか

既に述べたように、「押し紙」は独禁法に違反しており取り締まりの対象になる。それを立証するための資料の存在も明らかになっている。が、公権力はこの問題だけは絶対に踏み込まない。弱小な地方紙にメスが入ったことはあるが、中央紙の場合は逆に公権力が「押し紙」制度を保護しているのが実態だ。

なぜ、公権力機関は新聞社を保護するのだろうか。

それは「押し紙」の汚点を把握しておけば、それを新聞社との取引材料として使うメディアコントロールが可能になるからだ。世論誘導に利用できるからに他ならない。

メディアコントロールは、経済のアキレス腱を握ることで可能になる。この原理は、実は戦前・戦中から変わっていない。戦前・戦中、政府は新聞用紙の配給制度を逆手にとって新聞をプロパガンダ機関に変質させたのである。今はそれが「押し紙」の黙認に変わっているに過ぎない。

2025年、高市政権の下でも同じ構図が構築されている。新聞社の世論調査が嘘だとする確証はないが、少なくとも新聞社の収益構造を検証する限りでは、信頼できる数字でない。

ちなみに高市首相は、新聞業界から政治献金を受けていた経緯がある。次の記事を参考にされたい。

【参考記事】高市早苗の政治献金とマネーロンダリングに関する全記事

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年11月22日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
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NJKFでIBFムエタイ日本タイトル本格始動、吉田凛汰朗が初陣を飾る!

堀田春樹

亜維二は肩脱臼で敗退。一つ上のタイトルは遠のく。
佐藤界聖と高橋幸光が王座決定戦へ駒を進める。
嵐はまたもボディブローで倒される。
健太が126戦目でラストファイト、愛息と手を繋いでテンカウントゴングを聴く。

◎NJKF CHALLENGER 11 / 11月30日(日)後楽園ホール17:10~21:30
主催:(株)オフィス超合筋
認定:ニュージャパンキックボクシング連盟、IBFムエタイ日本(運営部)
放送:U-NEXT

戦績・経歴はプログラムと過去データを参照し、この日の結果を加えています。

◆第9試合 IBFムエタイ日本ライト級初代王座決定戦 5回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/ 63.2kg)
31戦15勝(3KO)10敗6分
        VS
JKIスーパーライト級チャンピオン.切詰大貴(武勇会/1999.1.5高知県出身/ 63.3kg)
10戦8勝(2KO)2敗
勝者:吉田凜汰朗 / 判定2-1
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:宮沢48-47. 多賀谷47-48. 児島49-46

初回、蹴りからパンチ、ヒジ打ちと多彩に攻め合う両者。互角の展開は差は付き難いが、第2ラウンドはパンチの攻勢強めた切詰大貴が優った。第3ラウンド、落ち着きが出て来た吉田凛汰朗。第4ラウンドには冷静な吉田のパンチヒットが増えた。

終了前には切詰をロープ際に追い込み怒涛のパンチラッシュ。主導権を奪った吉田のリズムは続き、切詰は我武者羅に打って出ても巻き返し成らず。第4と5ラウンドはジャッジ三者揃って吉田が制し、スプリットデジションながら吉田が判定勝利し王座獲得となった。

吉田凜汰郎と切詰大貴の一進一退の攻防。後半は吉田凜汰郎が主導権支配した

吉田凛汰朗は「他団体にも自分の階級には強いチャンピオン沢山居るので、ブッ倒してIBFの世界絶対獲ります!」と動画配信インタビューには応え、似た回答になってしまうので改めて聞くことは無かったが、前日計量で3年前に睦雅と引分けていることについて尋ねてみました。「前回と全く違う感じで、睦雅選手は技術的に凄くレベルアップしている選手なので、3年前と違う最近の動画見て作戦練って行かねばなりませんね。睦雅選手とは団体のチャンピオン同士で、また3年前の決着戦としても戦いたいですね。」と話していた。

最初のIBFムエタイ日本チャンピオンと成った吉田凜汰郎

◆第8試合 NJKFバンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン初防衛戦.嵐(=坂本嵐/KING/2005.4.26東京都出身/ 53.4kg)
20戦13勝(6KO)5敗2分
            VS
NJKFバンタム級3位.山川敏弘(京都野口/1990.6.14岡山県出身/ 53.4kg)
24戦11勝(7KO)11敗2分
勝者:山川敏弘 / TKO 3ラウンド 1分59秒
主審:多賀谷敏朗

開始早々、嵐の突進しての牽制飛びヒザ蹴りはヒットせずも山川敏弘も冷静に躱す。前日計量時から挑発を続けた嵐は試合では冷静に様子見。山川も落ち着いて様子を見ながらも、初回終了間際は嵐が圧力掛けてパンチで攻め印象点を残す。

第2ラウンドも嵐の圧力がやや優ったがこのラウンドの終了間際のパンチの交錯でゴング後も打った嵐に対し、割って入った多賀谷レフェリーを突き飛ばした嵐。多賀谷レフェリーが嵐を赤コーナーへ押し込んだが、これは両者を分けてラウンドを終わらせる為の正当な行為。嵐には減点1が課せられた。

第3ラウンドに入ると圧力掛けて来たのは山川。蹴りを中心に接近しヒザ蹴りを加える。更に首相撲に持ち込みヒザ蹴りでボディーを突き刺すと蹲るようにノックダウンした嵐。立ち上がり、パンチで打ち合うもボディーが効いているのか、山川の大きなヒットも無いのに再び崩れ落ちた嵐。そのままほぼノーカウントのレフェリーストップとなって山川敏弘が第16代チャンピオンと成った。

首相撲からヒザ蹴り突き刺した山川敏弘の前に崩れ落ちた嵐

山川敏弘は試合後、「今日のタイトルマッチを目標にやって来て、目標クリアしたので次に何をしようかと言うのは今のところ無いんですけど、まあ用意された相手を倒すだけなので防衛戦はしっかり勝ちます。今回は初めて緊張しなかったです。それが逆に不安で大丈夫かなとは思ったんですよ。でも練習どおり動けました。」

嵐の挑発については「そこは狙っていまして、勝手に熱くなってハマってくれてるなと。」と冷静に受け止められたと言う。年齢的にも人生の経験値が活きた山川敏弘はこの日のMVPも獲得した。

嵐を下して新チャンピオンとなった山川敏弘。35歳での戴冠。感謝を述べる

◆第7試合 IBFムエタイ日本ウェルター級王座決定4名トーナメント 3回戦

NJKFウェルター級チャンピオン.亜維二(=小林亜維二/新興ムエタイ/2006.神奈川県出身/ 66.9→66.8→66.85→66.75→66.65kg)14戦10勝(6KO)3敗1分
          VS
佐藤界聖(聖域スーパーウェルター級Champ/PCK連闘会/2001年宮城県出身/ 66.35kg)
21戦14勝(6KO)6敗1分
勝者:佐藤界聖 / TKO 2ラウンド 36秒
主審:中山宏美

亜維二は減量はキツかったが、リカバリーは万全で初回はパンチと蹴りの攻防で、亜維二が強い蹴りでプレッシャー掛けて攻勢を維持。第2ラウンド開始から間もなく、亜維二が右ストレートを打つと、右腕に何か異変が起きた様子が窺えたが、そのまま続行。

更に接近戦でパンチがやや交錯した後、両者縺れ合って倒れると亜維二が肩を押さえて立ち上がれない様子を見せた。一旦ノックダウン扱いとなったがすぐレフェリーストップとなった。右肩脱臼による負傷。佐藤界聖のTKO勝利となった。亜維二は更に左眉尻をカットしており、打ち合いの中、ヒジ打ちを受けたと見られる。

肩の脱臼で諦めた形の亜維二。残念な敗退だった

◆第6試合 IBFムエタイ日本ウェルター級王座決定4名トーナメント 3回戦

高橋幸光(元・WMC日本スーパーライト級Champ/飯伏プロレス研究所/神奈川県出身36歳/ 66.45kg)75戦44勝(15KO)25敗5分1NC
          VS
井原浩之(IPCCウェルター級Champ/ハーデスワークアウト/広島県出身41歳/ 66.4kg)
61戦28勝31敗2分 
勝者:高橋幸光 / 判定3-0
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:宮沢30-26. 多賀谷30-26. 中山30-26

パンチとローキック中心の攻防は高橋幸光の積極的な攻めでヒットを増し攻勢を維持。井原浩之は慎重な出だしで、やや劣勢な流れも蹴り返して突破口を開こうとするも、高橋の圧力に圧されるまま。高橋は勢い増し、後ろ蹴りも見せた。

第3ラウンドは井原がパンチ中心に攻勢を強めたが高橋は凌いで、終盤にはパンチでタイミング良い連打でノックダウンを奪って終了し、高橋が大差判定勝利を飾った。

高い後ろ蹴りで井原浩之を後退させた高橋幸光。アグレッシブな攻勢を続けた
来年2月8日に王座決定戦で対決する高橋幸光と佐藤界聖

◆第5試合 64.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級1位.健太(=山田健太/E.S.G/1987.6.26群馬県出身/ 63.85kg)
126戦68勝(21KO)50敗8分
          VS
同級3位.佐々木勝海(エス/神奈川県出身27歳/ 63.9kg)14戦10勝(2KO)2敗2分
勝者:佐々木勝海 / 判定0-3
主審:児島真人
副審:宮沢28-29. ランボー27-30. 中山27-30

蹴りの様子見から徐々に距離が詰まるが、先に佐々木勝海の蹴りヒットが目立つ。佐々木は自分の距離を維持し、健太はパンチで距離を詰めても攻勢を導けない。静かな攻防は健太が前に出るもヒットは佐々木の方が多い。攻め切れない両者の攻防は微妙な差だが、ラウンドを支配するポイント的には佐々木勝海が大差と言える判定勝利となった。

ラストファイトとなった健太。佐々木勝海と完全燃焼の戦いを終えた

試合後、その場で健太の引退セレモニーが行われ、二人の愛息と手を繋いでテンカウントゴングを聴き、現役を去った。

親子でテンカウントゴングを聴いた健太

◆第4試合 女子フライ級ノンタイトル3回戦

S-1女子世界フライ級覇者.真美(Team ImmortaL/1990.2.19神奈川県出身/ 50.75kg)
26戦18勝(6KO)8敗
        VS
ジョン・アヨン(韓国出身17歳/ 50.3kg)14戦12勝(4KO)1敗1NC
勝者:ジョン・アヨン / 判定0-3
主審:多賀谷敏朗
副審:宮沢27-30. 児島27-30. 中山27-30

開始からジョン・アヨンの首相撲に捕まる真美。これで主導権支配したジョン・アヨン。蹴っても組み合ってもジョンが圧して来た。セコンドの「首相撲に付き合うな!」の声。若干は真美の蹴りで巻き返しを狙うが、ジョンをたじろがせるには至らない。ラストラウンドも激しく打ち合うもジョンの勢い止められず終了。真美もS-1世界チャンピオンの意地で踏ん張ったがフルマークの大差判定負け。

多彩な技持つジョン・アヨンにリズム狂わされた真美だが、懸命に戦った

◆第3試合 スーパーバンタム級3回戦

NJKFスーパーバンタム級6位.王清志(新興ムエタイ/神奈川県出身30歳/ 55.15kg)
26戦10勝(3KO)15敗1分
        VS
祖根亮磨(大和/1997.5.8 沖縄県出身/55.0kg)10戦4勝(4KO)5敗1分
勝者:祖根亮磨 / TKO 2ラウンド 1分43秒
主審:児島真人

第2ラウンドに両者打ち合いになった中。祖根亮磨がパンチ軽いヒットながらノックダウンを奪う。立ち上がった王清志だが、続行しかけて足がフラ付くとレフェリーがストップし、祖根亮磨のTKO勝利となった。

◆第2試合 58.8kg契約3回戦

工藤叶雅(VALLELY/埼玉県出身19歳/ 58.25kg)2戦1勝1敗
        VS
陽平(TAKEDA/ 埼玉県出身16歳/58.4kg)2戦1勝1敗
勝者:工藤叶雅 / 三者三様 延長2-1
主審:宮沢誠
副審:多賀谷28-29(9-10). ランボー29-29(10-9). 児島29-28(10-9)

この試合は勝敗決定のCHALLENGERルール。引分けから延長戦を行なって勝利者は工藤叶雅となった。

◆第1試合 フライ級3回戦

トマト・バーテックス(VERTEX/徳島県出身24歳/ 50.45kg)8戦1勝5敗2分
       VS
竹田奏音(TAKEDA/埼玉県出身16歳/ 49.9kg)2戦2勝
勝者:竹田奏音 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:多賀谷27-30. ランボー27-30. 児島27-30

《取材戦記》

亜維二は前回9月28日に続いて計量一回でパスとならず、リミットまで時間が掛かりました。減量がキツくなったのは確かでしょう。でも王座決定戦を制してから転級は考えると言っていましたが、準決勝の今回は肩を脱臼してのTKO負けしてしまいました。これはもしかして減量が影響しているのか。身体から抜け切った水分が正常に戻るまで2~3日掛かると言われます。それは頭部を打たれた際の脳へのダメージが大きいと言われ、脱臼の影響あるかは不明だが、何か気になる負傷でした。その亜維二は打倒・大田拓真が目標という。階級が違うので戦うことは無いだろうが、存在感や実績での団体エース格への挑戦である。

嵐はチャンピオンに成ってからやって来る試練にぶち当たった感じである。前回6月8日も星拓海にボディーを攻められてKO負けを喫しました。国内に多くあるタイトルは一つ獲っただけでは日本チャンピオンとは言えず、ここからがチャンピオンロードの始まり。本当の試練が始まる。まだまだ戦わねばならない、リベンジしたい相手がいる中、今後の再起戦に期待である。

IBFムエタイはWBC同様にプロボクシング主要認定団体のムエタイ部門で、2017年にタイで発祥した世界タイトルです。2019年には波賀宙也が世界ジュニアフェザー級王座獲得しています。今回から始まったIBFムエタイの日本タイトル戦。WBCムエタイとどう使い分けていくのか。負けが込んでいる選手がいきなり挑戦するようなこと無いよう、NJKFを中心に今後どのように権威を上げて行くのか見届けたいところです。

NJKF 2026年のスタートは2月8日に後楽園ホールに於いて開催されます。興行タイトルが「NJKF CHALLENGER.12」となるかは不明ですが、IBFムエタイ日本ウェルター級王座決定戦が確定しています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

『紙の爆弾』1月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

1月号では、孫崎享・元外務省国際情報局長が高市早苗首相の「台湾有事発言」を分析。すでに日中関係の悪化による経済への影響が各所で顕在化していますが、それにとどまらない本当の「高市リスク」について解説しています。それは、2021年末の安倍晋三元首相の「台湾有事は日本有事」発言と比較するとわかりやすく、両者の違いは現役の首相であるかだけではありません。高市首相の「右翼的ポピュリスト」思想にもとどまらない、今の高市政権そのものが持つ危険性が、孫崎氏の論考から見えてきます。

そもそも、繰り返し強調される「中国の脅威」とは何か。日本国内では、まるで中国がいきなり暴走を始めたかに受け止められていますが、そのタイミングをみれば、アメリカの対中戦略の変化が発端であることがわかります。だとすれば高市発言は、米中対立が次の段階に移行する予兆ととらえることが可能です。そうした現状にあって、果たして日本政府に対中戦略と呼べるものがあるのか大いに疑問で、ひたすらアメリカに追従することしか考えていないように見えます。その先に見えるのが、「日本のウクライナ化」です。ロシア・ウクライナ情勢について前号では東郷和彦・元外務省欧亜局長が、日本でほとんど報道されない欧州各国首脳の過激発言を紹介、ウクライナ情勢の現在と今後の展開について解説しました。そこで見えてきたのが欧米発のプロパガンダにまる乗りする日本の姿で、こと台湾情勢においてはさらなる危機を招くことが懸念されます。

孫崎氏は「目先の一手」に終始する高市政権の対外姿勢を指摘していますが、それは、事実に基づかない発言で“犬笛”を吹きジャーナリスト・西谷文和氏を攻撃しながら、西谷氏の質問状に答えない藤田文武・維新共同代表の言動にも通じます。橋下徹元代表ならば、もう少し考えて話していたのでは。自維まるごと、代を重ねるごとに劣化する、というのは、現代日本の政治に根本的な要因があるように思います。

N党・立花孝志代表の名誉毀損逮捕。パチスロメーカー告発書籍等の出版を理由とした2005年の鹿砦社代表逮捕・長期勾留事件は、名誉毀損の判断は権力・体制側のさじ加減であるとしても、出版物の記載内容(表現)を理由にしながら「証拠隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」を認定した異常なものでした。松岡代表が否認を貫き、それゆえに約200日に及ぶ長期勾留に至ったのに対し、立花氏が早々に罪を認めたなど両事件の展開には違いがあるものの、本誌記事が指摘する内容は、日本の刑事司法を考えるうえで間違いなく重要なテーマです。

ほか今月号では、現地取材・本人取材を通して田久保眞紀・前伊東市長への「メディア総たたき」の真相に迫りました。また“極右の台頭”ばかりが報道される裏で躍進を見せる「欧州左派」と、失速する「日本の左派」の違いを解説。さらに、このところ死亡事故が相次いでいるにもかかわらず、大きく取り上げられない日本ボクシング界の闇にメスを入れました。『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年1月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年12月7日発売

「台湾有事発言」は序章にすぎない 日本を襲う高市リスク 孫崎享
高市首相に食い込んだ米巨大投資ファンド 浜田和幸
日本だけ“真逆”の「令状主義」立花孝志逮捕事件が明かす刑事司法の異常 たかさん
藤田文武維新共同代表「犬笛吹いて逃亡」の責任を追及する 西谷文和
欧州左翼“復活”の時代に 日本の左派が見失った「果たすべき役割」広岡裕児
デマゴーグが闊歩する風土(上)日本的「和」の真相 中尾茂夫
国民を監視し情報を遮断する統制強化装置「スパイ防止法」の正体 足立昌勝
犯罪を裁く司法の犯罪 警察、検察、そして「裁判所の裏ガネ」青山みつお
動物実験を代替する? ヒト臓器チップとは何か 早見慶子
「日露相互理解協力章」受章 日露民間外交がもたらす「国益」 木村三浩
「JBC」トップに高まる退陣要求 ボクシング連続死亡事故の報道されない闇 片岡亮
メガソーラー計画は本当に止まったのか? 田久保眞紀前伊東市長総たたきの真意 高橋清隆
保護者を“カスハラ”扱いする都教委ガイドライン 永野厚男
原発亡国論 佐藤雅彦
食・農と生活を再生する「海洋深層水」の可能性 平宮康広

連載

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