三原本郷産廃処分場裁判「住民逆転敗訴」 産廃汚染、環境基準オーバーでも違法じゃない?! 広島高裁は“ガンパイア”か?! 行政寄りの不当判決

さとうしゅういち

今回は、「住民逆転敗訴」となった三原本郷産廃処分場の裁判の広島高裁の控訴審判決について、私が現場に足を運び、法廷で判決を聞いた者として、その実感をお伝えします。

私は5月14日、広島高裁の法廷で、裁判長がこう読み上げるのを聞きました。
「原判決のうち、以下を変更する」 その瞬間、私は直感しました。

──これは不当判決だ。

なぜか。一審の広島地裁・吉岡裁判長は、県庁の許可手続きについて、こう認定していたからです。

「本来検査すべき井戸を検査していない」
「知事の判断過程に看過しがたい過誤があった」

つまり、許可の根幹に関わる重大なミスが広島県庁にあったと断じたのです。
だからこそ一審は、許可取り消しを命じました。

判決後の報告会
判決後の報告会

◆一審判決後も悪化する現場

私は、一審判決後、現場近くの競輪場外車券売り場の取材を兼ねて、何度も現場に足を運びました。そして、一審後の現場をこの目で見ました。

状況はどうなっていたか。良くなっていたのか。改善していたのか。違います。むしろ、悪化していたのです。

汚染水は相変わらず流れ出し、PFASも検出され、放射性物質も検出されている。
そして、これは私自身の体験ですが──2024年7月、現場近くの水をちょっと舐めてみたら、しょっぱい味がした。

山の水が“しょっぱい”はずがない。これは、何かが混じっているということです。

2024年7月、現場近くの水をちょっと舐めてみたら、しょっぱい味がした

◆アリバイ工作に終始する県庁

さらに問題なのは、県庁の対応そのものです。県庁は2025年春にかけて、何度かこの処分場を「使用停止」にしました。しかし、それは アリバイ的な停止 でした。原因を究明しないまま、数値が少し下がると、すぐに使用を再開させる。

これでは問題解決になりません。火事の原因を調べずに、煙が少し減ったからといって「もう大丈夫」と言っているようなものです。

現地では、米作りを断念した農家が9軒もあります。産廃による汚染の深刻さに失望し、広島に戻って農業をするのを諦めた若者もいます。県庁が人口流出を止めたいと言うなら、こういうところを改めるべきです。

◆産廃フリーパスで広島が「日本のゴミ捨て場」に

そして、ここが広島の構造問題です。島県は、安定型処分場の数が全国3位、残り容量は全国最大。つまり、広島は“日本のゴミ捨て場”のようになっている。安佐南区上安しかり、東広島黒瀬しかり、福山しかり。その各地の産廃処分場の下流で基準値を超えるPFASが検出されています。

なぜか。規制が緩いからです。フリーパスだからです。

そして、こんな裁量を県に許してしまっている廃棄物処理法そのものが、もう時代に合っていない。

◆国と経済界は石油危機だからこそ、資源循環の構造を見直せ

国はどうか。4月末、住民がこの問題を直訴した際、国の担当者はこう言ったそうです。

「規制を強化したら不法投棄が増える」

違うだろう。本当に違うだろう。必要なのは、ゴミの減量、再使用、リサイクルの徹底。 産廃ビジネスに依存しない経済構造への転換です。

石油危機で大変なのは分かる。しかし、石油危機だからこそ、資源循環の構造を見直すのが経済界の責任であり、それを促す仕組みづくりが国の責任ではないか。

◆ガンパイア判決を許さない!

そして今回の控訴審判決。県庁のミスを「大したことない」と扱い、被告の県側ですら主張していない「環境基準は少々オーバーしても違法ではない」という論理を裁判所が勝手に持ち出した。

私は、この瞬間、大昔のプロ野球のある事件を思い出しました。篠塚選手の明らかにファウルな打球を、讀賣寄りの審判がホームランにしてしまった事件。当時、審判は「ジャンパイア」と揶揄されました。今回の判決を聞いた瞬間、私は思いました。

──これは“ガンパイア”だ。
government(行政)寄りの判決だ。

司法は本来、行政の暴走やミスをチェックする“最後の砦”のはずです。それが行政に寄りすぎてしまうなら、市民はどこに救いを求めればいいのか。原告代表は上告すると宣言しました。当然です。広島高裁も私の元職場・広島県庁も、県民を舐めています。

私は、広島県民の一人として、元広島県庁職員として、この不当判決と闘う側に立つことを、ここに宣言します。広島の未来を守るために、共に声を上げていきましょう。

2018年~2019年
三原市と竹原市の水源地のど真ん中に産廃処分場計画
地元で猛烈な反対運動

2020年 
4月 湯崎英彦知事が三原本郷産廃処分場を許可
7月 三原市と竹原市の住民が許可取り消しを求め住民訴訟を提起

2022年
秋 三原本郷産廃処分場稼働開始

2023年
6月頃 三原本郷産廃処分場付近で硫黄臭や泡立ちなど異常
7月 訴訟の一審判決。広島地裁は許可取り消しを命じる。湯崎知事が控訴

2024年
1月 控訴審で県が事業者・JAB協同組合と一体となって県民に敵対
6月 三原市議会で住民側から見れば不十分ながらも水源保護条例可決
7月 筆者が産廃処分場からの排出口付近の水のしょっぱさを確認

2025年
前半 三原本郷産廃処分場がアリバイ的に閉鎖されている間、安佐南区上安産廃処分場に廃棄物が集中

2026年
3月 安佐南区上安産廃処分場下流から基準値の28倍のPFAS
4月 福山の産廃処分場下流から基準値の14倍のPFAS
5月14日 三原本郷産廃処分場許可取り消し住民訴訟、広島高裁で不当判決

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎X @hiroseto https://x.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/
★広島瀬戸内新聞公式YouTubeへのご登録もお待ちしております。

◎鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/

《山上徹也公判記録書籍問題》『石ころの慟哭』版元・あけび書房/著者・辻井彩子さんら反撃開始! 浅野さんは相手方の「盗用」指摘に真摯に答えてください!

鹿砦社代表 松岡利康

この問題、浅野健一さんからの、これでもかこれでもかというネットリンチとしか言いようのない攻撃に、あけび書房と著者の辻井さんは耐えに耐えてきた感がありますが、出版差し止め(出版禁止)仮処分が進展しない中、あけび書房と辻井さんは反撃を開始いたしました。2日続けての岡林あけび社長のFBを転載させていただきました。浅野さんは、これに真摯にお答えいただきたい。これまでは、双方とも仮処分の進展を睨みながら問題点を公開しないで来たようですが、あけび側は先手を打って公開に打って出たようです。

また、浅野さんは当事者のあけび書房と著者・辻井さんのみならず、あけび本の帯を書いた鈴木エイトさんに対しても「共犯者」として訴訟をちらつかせ、さらに出版差し止め(出版禁止)仮処分申し立てを批判し即刻取り下げるように諫めた私・松岡や、さらには黒薮哲哉さん、浅野本の原稿整理や編集を一時手伝ったМさんまでも提訴すると言ってきました。まさに訴権の濫用としか言いようがありません。

いやしくも「ジャーナリスト」が、これほどまでに司法権力に頼り切るということに、果たして問題はないのでしょうか? ジャーナリストであれば、言論には言論で勝負すべきではないでしょうか?

浅野さんは、俗に「人権派」と言われていますが、このかんの浅野さんによる、特に辻井さんに対するネットリンチ攻撃は異常で、とても人権派とは言えず、“反人権派”としか言いようがありません。みなさん、そう思いませんか?

ところで、仮処分の書面と呼び出りがいつまで経っても来ないことに業を煮やしたのか、あけび書房/辻井陣営は、「盗用」疑惑の箇所を公開してきました。浅野さんは、これに対して、どう答えるのか? みずからが売った喧嘩でしょうから、きちんと答えないといけません。

また、浅野さん/三一書房陣営も、5月16日、都内で出版記念会を開き、参加者20名ということでした。もっと集まるものと想像していましたが、意外に少なかったようです。辻井さんの味方と思っていた寮美千子さんも電話で参加されたとのことです。鈴木エイトさんや岡林あけび書房社長らも参加するように言っていましたが、浅野さんのFBを見ると参加されなかったのでしょうか。

実は、会場のたんぽぽ舎は、鹿砦社東京編集室の二軒隣にあり、同舎とは、もうすぐ創刊12年になる反原発雑誌『季節』で、創刊時から協調関係にあり、ここのスタッフの方々は、いわば善人ばかりです。下手すれば怒号が飛び交うような集会を、こんな所でするなよと言いたいところです。正直、事を荒げて欲しくなかったのですが、まあ、平穏に終了したようでホッと一安心です。

【浅野健一氏の出版妨害について ① ゲラ盗用疑惑】
5月16日付け岡林信一あけび書房代表のFBよりhttps://www.facebook.com/plugins/post.php?href=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fokabaya%2Fposts%2Fpfbid02Sss4zmo8UB2kKci8e3yEtswkytYtFR6rdRMzAYtgy4x8km7okefuLyG3Vni8b44l&show_text=true&width=500

【浅野健一氏の出版妨害について ②大量のコピペ】
5月17日付け岡林信一あけび書房代表のFBより https://www.facebook.com/plugins/post.php?href=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fokabaya%2Fposts%2Fpfbid02mPXFqpMn6TzrWmJf5huYdrjtYvniiGzFnctSovpxkoZXKBiX3hoeS8thtps3o26yl&show_text=true&width=500

【追記】5月16日の浅野健一さんの出版記念会ですが、浅野さんのFBでは、鈴木エイトさんらの「参加」などなく平穏に開催され何のトラブルもなく終了したかのように書かれていますが、実際には鈴木エイトさんとの激しい応酬があったようです。詳しくは、
https://www.facebook.com/share/1EEoZd6gvP/?mibextid=wwXIfr
をご覧ください。

それにしても、なぜ浅野さんは何もなかったかのように装うのでしょうか?いつもなら「妨害だ!」と大騒ぎするのに……。ここでは、その一部を引用しておきます。

〈終了後に直撃、間違いを認めず抗弁
そこで、講座終了後、浅野氏に声を掛けた。
―― 書籍の内容にかなり誤りがあり、事実誤認についてすり合わせをしてくれと小番さんに言われたのですが。
浅野氏「あなたとすり合わせをするつもりはありません」
── 私もするつもりはないのですが、それならきちんと質疑応答で質問を読むべきではないですか? 少なくとも山上被告は「2003年ごろから、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」などと法廷でひと言も言っていませんが?
浅野氏「言っています」
── いえ、そんな発言してないです。どうやってファクトチェックされましたか?
浅野氏「公判記録を見ればどちらが間違っているか判ります」
―― 公判記録を見たんですか?
浅野氏「まだ見てないです」
── 見ていないですよね。彼はそんな発言していませんから。
浅野氏「あなたは間違っています。私の質問に答えていない」
―― 答えたのにデマを書きましたよね? あなたの思い込みを書いているだけですよ。
浅野氏「あなたは間違っています」
―― それはすべてあなたの思い込みです。山上被告が「2003年ごろから、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」と法廷で何度も発言したと書いてあるのは、間違いです。
浅野氏「あなたが間違っています」
―― 公判記録になかったらあなたの妄想ということですね
浅野氏「あなたが勝手にやればいいじゃないですか」
―― あなたの主張だと奈良地裁の公判記録に山上被告が「2003年ごろから、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」と被告人質問に対し供述したといことが何度も出ているんですね?
浅野氏「そうですね、出てきますよ」
―― わかりました。ご自分の発言に責任を持ってくださいね。
浅野氏「あなたは間違いを認めなさいよ」
―― 何をですか?
浅野氏「あなたは間違っているじゃないですか」
―― あなたの本の中で私について書いてあることはデマばかりです。あなたが自分の思い込み、妄想を書いているだけです。
浅野氏の代理人「問題ですね、事実でないことはよくない」
浅野氏の代理人弁護士も来ていたので声を掛けた。
── 本の中に私に関して事実に反するデマが多々あります。
浅野氏の代理人弁護士「それはじゃあご指摘いただいて」
── 指摘したのにデマをそのまま書籍に書いているんです。
浅野氏の代理人弁護士「ああ、そうなんですか」
── 山上被告が公判で発言していないことを恰も、彼が発言したように鍵括弧で書いているんです。
浅野氏の代理人弁護士「それは問題ですね、事実でないことはよくないですね」
── 浅野氏は先ほど私に「公判記録を見れば判る」と言ってましたが、私は法廷で山上被告の全発言を聴きましたがそんな発言(山上被告が「2003年ごろから、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」)はしていないし、あらゆるメディアがそんなことを報じていません。
浅野氏の代理人弁護士「たしかにそこの点は問題ですね」
── 浅野さんは自分が間違っていないと言い張ってますが、山上被告がそんな発言を法廷でしていたら各メディアは必ず報じますから。
浅野氏の代理人弁護士「そこの点はきちっとしないとですね、事実かどうかは」
浅野氏の代理人でさえ、苦言を呈していた。
浅野健一氏は事実でないことを事実であると思い込む傾向があるようだ。〉
「鈴木エイトの調査報道ファイル」(5月16日号)より

《山上徹也公判記録書籍問題》https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=137

TITANS NEOS.38、新時代の主役はマルコと西田蓮人!

堀田春樹

王座戴冠後初戦のマルコはしぶといコリアンファイターに判定勝利。
NJKFの前田浩喜はローキックで圧倒のTKO勝利。タイトル挑戦をアピール。
西田蓮人はヒジ打ち躱してパンチで仕留める圧倒勝利。
後楽園ジャンブル出場権獲得は神谷晟丸。

◎TITANS NEOS.38 / 5月10日(日)後楽園ホール17:15~20:34
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

戦績はプログラムと過去データを参照にこの日の結果を加えています。

◆第15試合 76.3kg契約3回戦

日本スーパーミドル級チャンピオン.マルコ(伊原/イタリア出身35歳/ 76.1kg)
16戦10勝(3KO)3敗3分
VS
KTKスーパーミドル級2位.ファン・デゴン(韓国出身28歳/75.75kg)17戦12勝(12KO)5敗
勝者:マルコ / 判定2-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:中山30-29. ランボー29-29. 宮沢30-29

アグレッシブなファンデゴンの蹴りからパンチ。マルコはファンデゴンを上回るローキックや右ストレートで対抗。初回の採点は互角だが、マルコのパワーと的確差が優った。

第2ラウンド、ファンデゴンの蹴りと右フックをガードの上からでも被せて来るしつこい攻め。マルコの首相撲からのヒザ蹴りは効果的ながら掴まえきれないが、パワーが優る蹴りで優勢維持。

マルコの左ミドルキックも強いがファン・デゴンのアグレッシブな攻めも目立った

ラストラウンド、ファンデゴンは攻める勢いが衰えない。マルコはやや疲れが見えるも、まともには貰わないディフェンスで凌ぐがロープに詰められるのはマイナスイメージ。蹴りで優るが、ファンデゴンの勢いを止めることは出来なかった。

勝利を引き寄せたのはマルコのヒザ蹴り

控室に戻ったファン・デゴンはマルコに「勉強になりました!」と感謝を述べ、マルコはファン・デゴンに「蹴りは強くて上手でした!」と褒めていた。

◆第14試合 フェザー級3回戦

前田浩喜(元・NJKFフェザー級Champ/CORE/東京都出身45歳/ 56.95kg)
55戦32勝(20KO)20敗3分
VS
森本直哉(無所属/34歳/ 57.0kg)36戦14勝(5KO)21敗1NC
勝者:前田浩喜 / TKO 1ラウンド 2分0秒
主審:椎名利一

前田浩喜が左ローキックで攻める。下に行くと見せて左ハイキック。更に左ミドルキック。森本直哉もローキックを返すが、前田の威力に敵わない。殆ど左の上下の蹴りで圧倒していく前田浩喜。ローキックで森本はかなり効いて、下がる一方となった。前田のローキックで脚を引き摺りだしたところでスタンディングダウンが取られた。続行するが、更に左ローキック受けた森本は完全に効いてノックダウンを喫するとノーカウントのレフェリーストップが掛かった。

前田浩喜のローキックからハイキックへ繋げて森本直哉を苦しめた
ノックアウトに繋げた前田浩喜の最後のローキック、為す術無かった森本は倒れ込んだ

◆第13試合 フライ級3回戦

西田蓮斗(伊原越谷/2009.12.6埼玉県出身/ 50.55kg)7戦7勝(3KO)   VS
トートー・キャットワナラム(タイ/18歳/ 50.65kg) 51戦45勝6敗(推定)
勝者:西田蓮斗 / TKO 1ラウンド 2分40秒
主審:スイット・サエリム・ランボー

この日最も見どころあるカード。ヒジ打ちのKO率が高いと言われるトートーに対し、西田蓮斗は左ローキックから左ハイキック。トートーも慌てることなくガードを固め蹴り返し。更にヒジを狙っている体勢に入ったか、トートーは距離を詰めてロープ際でヒジを振るう。更に距離を詰めようと出て来る。トートーは左ハイキックを何度か繰り出すがなかなか強い蹴り。詰めて来るトートーにストレートパンチで対抗。距離感が計れたか、パンチで追うとロープに詰め、連打で攻めたところでトートーが右ヒジ打ちを放ったが、これは危なかった。間一髪躱してパンチの距離で打ち込む西田。ヒジ打ち狙うトートーに左ストレートヒットさせた西田。トートーは崩れ落ち、仰向けに倒れ込むとレフェリーストップがカウント中にストップした。

西田蓮人が追い込んだ中でのトートーのヒジ打ち。危ないカウンターだった
距離感掴んだ西田蓮人が仕留めに掛かるジャブで牽制
最後は左ストレートヒットさせてトートーは倒れ込む

◆第12試合 58.5kg契約3回戦

東野巧(yz’d/大阪府出身29歳/ 58.15kg)11戦3勝6敗2分
        VS
谷岡雄生(GRABS/32歳/ 58.05kg)3戦3勝(2KO)
勝者:谷岡雄生 / TKO 3ラウンド 14秒
主審:中山宏美

両者ともパンチと蹴りの攻防は強いヒット無いが、徐々に谷岡雄生が前進、攻勢を維持していく。第2ラウンドには谷岡が左ストレートヒットで東野巧からノックダウンを奪い、再開後も谷岡がパンチ連打でノックダウンを奪って圧倒。第3ラストラウンド早々にも距離を計ってタイミングよく左ストレートヒットでノックダウンを奪うとダメージある東野はカウント中にレフェリーストップが掛かった。

◆第11試合 68.0kg契約2回戦

田中稜(トーエル/22歳/ 67.9kg)2戦2勝
        VS
李旻炯(イ・ミンヒョン/韓国出身21歳/ 66.7kg)1戦1敗
勝者:田中稜 / 判定3-0
主審:宮沢誠    
副審:椎名20-19. 中山20-18. ランボー20-18

李旻炯がローキック中心に攻めるが、田中稜が距離感掴んで上下の蹴りで優っていく流れ。李旻炯の動きを見極め、ヒザ蹴りもヒットさせていく。李旻炯は蹴られパンチを浴びても諦めない踏ん張りを見せたが、田中稜が大差の内容で判定勝利。

李旻炯は「私にとって夢だった後楽園ホールでの試合を現実にしてくださった新日本キックボクシング協会の方々には感謝しています。またどんな相手でも戦って骨が折れても構いませんので、熱い試合しますので、いつでも呼んでください。」という談話だった。

◆第10試合アマチュア ウェルター級2回戦

潤(伊原/32歳/ 66.25kg)vs本橋健人(拳粋会宮越道場/埼玉県出身33歳/ 66.0kg)
勝者:本橋健人 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 18-20)

蹴りの攻防からパンチ中心に移って打ち合う展開は本橋健人が優勢に進め判定勝利。

◆第9試合 女子ミネルヴァ44.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ピン級3位.町屋杏(AX/ 44.0kg)10戦4勝(2KO)5敗1分
        VS
ミネルヴァ・ペーパー級6位.港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社/ 43.4kg)
7戦3勝3敗1分
引分け 三者三様
主審:椎名利一
副審:中山29-30. ノッパデーソン29-29. 宮沢30-29

アグレッシブな展開も、ジャッジ三者が揃うラウンドは無い差が付き難い攻防で引分けとなった。

◆第8試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級5位.MIKU(K-CRONY/茨城県出身24歳/ 51.85kg)
10戦4勝5敗1分
VS
ミネルヴァ・スーパーフライ級6位. 紗耶香(格闘技スタジオBLOOM/ 51.75kg)
21戦9勝(1KO)11敗1分
勝者:紗耶香 / 判定0-3
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:椎名28-30. ノッパデーソン28-30. 宮沢27-30

初回はMIKUが蹴りでリズム掴みかけたが、紗耶香は蹴りから首相撲に持ち込む距離を保ってパンチも優った。離れても組み合っても攻勢を維持した紗耶香が内容的にも大差で判定勝利した。

◆第7試合 女子ミネルヴァ46.0kg契約3回戦(2分制)

鈴木萌(クロスポイント吉祥寺/東京都出身21歳/ 45.75kg)6戦3勝3分
        VS
田中真尋(クボ/香川県出身27歳/ 45.8kg)6戦2勝(1KO)2敗2分
引分け 三者三様
主審:中山宏美
副審:椎名28-30. ノッパデーソン29-29. ランボー29-28

パンチの攻防が多く互いに顔面ヒットするシーン多い展開も、各ラウンドも三者三様になりがちの見極め難しい引分けとなった。

◆第6試合 女子ミネルヴァ48.0kg契約3回戦(2分制)

KANA(Bombo Freely/茨城県出身43歳/ 47.2kg)6戦2勝4敗
VS
実穂(クロスポイント大泉/静岡県出身41歳/ 47.6kg)4戦3勝(1KO)1敗
勝者:実穂 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名27-30. 中山27-30. ランボー28-30

実穂がパンチと首相撲からのヒザ蹴りで攻勢を維持して判定勝利。

◆第5試合 KOURAKUEN JAMBULL出場者決定戦59.0kg契約2回戦

神谷晟丸(伊原/京都府出身16歳/ 58.85kg)2戦1勝1敗
        VS
金旻材(キム・ミンジェ/韓国出身17歳/ 58.05kg)1戦1敗
勝者:神谷晟丸 / 判定2-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:宮沢19-19. 中山20-19. ランボー20-19 

神谷晟丸がやや攻勢を維持した展開が続くも、金旻材は強い技は無いが諦めずに蹴って出る姿勢は神谷を下がらせるシーンもあった。飛びヒザ蹴りや蹴りのヒットは神谷が優ったが、ただひたすら蹴り返す頑張りは金旻材にあり。僅差で神谷が判定勝利。後楽園ジャンブルの出場権を獲得した。

金旻材は「初めてのプロ試合、初めての海外遠征で結果は敗れましたが、私の闘志はまだ消えず今もなお燃え続けています。今でもリングの上で相手と向かい合っているように胸が高鳴っています。もし再び新日本キックボクシング協会のリングで戦えるなら更に鋭く、相手に食らい付いて離さない、より粘り強い姿で戻って来ます。」という談話がありました。

後楽園ジャンブル出場権懸けた新人戦は神谷晟丸が掴んだ
後楽園ジャンブルプロデューサー小林米仁氏から出場権授与された神谷晟丸

◆第4試合プロ 50.5kg契約2回戦

ツカサ(伊原道場越谷/15歳/ 50.35kg)1戦1勝
        VS
RIKIYA T-KIX(T-KIX/静岡県出身28歳/ 50.35kg)4戦3敗1分
勝者:ツカサ / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)
主審:椎名利一

◆第3試合 アマチュア 女子45.0kg級エキシビジョンマッチ2回戦(2分制)

西田永愛(伊原越谷/15歳)EX西田結菜(伊原越谷/13歳)

西田姉妹の技披露。長男・蓮人に続く戦力発揮。

◆第2試合 アマチュア 女子52.0kg契約2回戦(2分制)

松井笑(高本道場/28歳/ 51.75kg)
VS
長崎花菜江(アンカレッジ博多カナエ/20歳/ 51.6kg)
勝者:松井笑 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-19)

◆第1試合 アマチュア女子49.0kg契約2回戦(2分制)

三橋暖愛(士道館ひばりヶ丘道場/13歳/ 48.5kg)
        VS
MOKA・SHOBUKAI(尚武会/13歳/ 48.1kg)
勝者:MOKA / 判定1-2 (18-20. 18-20. 20-19)

《取材戦記》

今興行のサブタイトル“聖地にこだまする新時代の足音” に相応しい注目株、西田蓮人は勝利後のマイクアピールで、「まだまだ終わらないので、7月もまた頑張るので応援をお願いします。今年中にチャンピオンになりますので応援お願いします!」と宣言。チャンピオンとはこの協会の日本王座となるだろうが、これはほぼ順当に奪取へ向かうだろう。現在もタイ南部の王座、三冠と言われるスタジアム等の王座を持っているが、更にバンコクの複数あるスタジアムやメインの二大殿堂のランキング入りへ挑戦し続ける模様。現在はイベントが沢山存在し、今後の話題も尽きない存在である。

伊原越谷ジム西田義和会長は今日の試合について、「トートーのヒジ打ちは警戒していましたが、やっぱり思いっ切り振って来たタイミングが紙一重で危なかったですけど、“カーフと三日月蹴れ”と言ったら蹴ってその後パンチも当たったので、練習通りには出来たかなと思います。トートーは思った以上に蹴りが伸びて、ヒジと蹴りは相当強いですね。蓮人はもうちょっと前蹴り出してとか、蹴って落ち着いてくれれば良かったんですけど、まだまだ練習ですね。」と語られました。

まだまだ終わらない、今後の抱負を語った西田蓮人。どの道進むにしても注目株である

NJKFからやって来た前田浩喜も試合後のマイクアピールで、「新日本キックをずっと見て来たので、ここのベルトも狙えるなら狙いたいです!」と語ったが、新時代に向けて、他団体交流戦も重要な戦力の新日本キックボクシング協会にとっては、過去の例から見てもチャンスを与えることは可能でしょう。

(株)東京ドームが主催する9月27日(日)後楽園ホールでの「後楽園ジャンブル」の新人戦60㎏級出場権を懸けた試合は4月19日のDUEL.38に続いて、5月3日(日)にはスックワンキントーン興行にて、神谷斗夢(SUNRISE)が光流(teamS.R.K)に判定3-0勝利し出場権獲得しています。

この日の新日本キックボクシング協会では3カード目となり、神谷晟丸が僅差判定で金旻材に勝利し、イベントプロデューサーの小林米仁氏から出場権が渡されました。

新日本キックボクシング協会の次回興行は7月19日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.68が開催予定です。西田蓮人が言うとおりの連続出場の予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

浅野健一さんは、憲法21条の精神に則り、出版差し止め(出版禁止)仮処分申し立てを即刻取り下げよ! 訴権の濫用をやめよ!

鹿砦社代表 松岡利康

日本国憲法第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
 2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

「釈迦に説法」でしょうが、私たちは、あらためて憲法21条に立ち返りたいと思います。またまた、くだんの山上徹也公判記録本をめぐる紛糾問題についてです。

私は、浅野健一さんが、あけび書房刊行書籍『石ころの慟哭』に対し、出版差し止め(申請書面では「出版禁止」)仮処分を申し立てるということを知って、これだけはダメだと諫める文を書きました。いやしくも「ジャーナリスト」を自称他称される者が、相手方の出版や言論を司法権力を使って封殺することを考えること自体が自殺行為です。直近(5月12日付けFB)で浅野さんは、岡林信一あけび書房社長を「出版界から永久追放します」とまで言っています。かつて共に仕事をした者として、あらためて警告します。こんな傲慢不遜な姿勢だから、ほとんどの名の有る雑誌から「永久追放」され書く場を失くしたと言ったら言い過ぎでしょうか。さらには、教え子のほとんどが離れていったり距離を置いています。

私はあと数カ月で後期高齢者の仲間入りで、この期に及んで面倒な諍い事に介入するつもりはなかったのですが、浅野さんが出版差し止め(出版禁止)仮処分を申し立てるということで、やむなく警告しました。これが出版差し止めでなく一般的な民事訴訟だったら口出しするつもりはありませんでした。なぜ私が警告しているのかと言えば、標記の憲法21条に違反しますし、5度も出版差し止めを受けた私だからこそ、出版差し止め(出版禁止)の危険性を身をもって知っていますので、あえて警告したわけです。いやしくも浅野さんは、わが国を代表する通信社・共同通信で20年、これを退社後、同志社大学(新聞学専攻、のちにメディア学科)で20年、われわれには到底及びもつかない輝かしい経歴です。そんな方が出版差し止め(出版禁止)を申し立てるとは……。

出版差し止め(出版禁止)を、為政者や権力者、大手企業などが行う場合は、なにか不祥事やスキャンダルを隠蔽するためでしょうが、浅野さんは、いつから為政者や権力者になったのでしょうか?

ところで、私は出版差し止め(出版禁止)の危険性を身をもって感じたからこそ、その危険性、憲法21条に違反することを訴えたかったわけですが、今声高く相手方を攻撃する浅野支持者の方々も、一方のあけび書房に近い方々も、双方が「盗作」疑惑で応酬し合っていて、出版差し止め(出版禁止)の問題については、ほとんど語られません。まったく遺憾です。それどころか、浅野さんは、あけび書房・岡林代表や著者の辻井彩子さんのみならず、帯を書いた鈴木エイトさん、やはり疑問を持たれた黒薮哲哉さん、私松岡、さらには編集を手伝ったМさんにまで「法的措置」を公言し、訴権の濫用を行使しようとしています。いやしくもジャーナリストであれば、訴訟という手段ではなくペンで勝負すべきではないでしょうか。浅野さん、またこの文章を読んでいるみなさん、私の言っていることは間違っていますか?

特に、出版の「素人」(by浅野さん)で最初の出版でみずからの宗教三世という立場と山上さんの心情を重ね合わせて必死に取り組んだ辻井さんに対して連日攻撃し、さらには浅野支持者を焚きつけ、これでもかこれでもかと攻撃する……こういうのをネットリンチと言うのでしょうが、辻井さんの人権などおかまいなしです。私たちが10年関わって来た大学院生リンチ事件(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)被害者支援で、あろうことか被害者やこの支援者に対し激しいネットリンチがなされましたが、これと似ています。少なくとも日頃、たとえ犯罪者であっても人間としての人権を尊重することを口にされる浅野さんは、みずから率先垂範で相手方への人権無視の攻撃をやめ、また支持者が口汚く辻井さんらを攻撃するのを戒めないといけません。そうではないですか? 辻井さんもよく耐えてきたものだと思いますが、同情を禁じえません。

直近では、辻井さんを庇う立場にあると思われていた(私が勝手に思っていたのかもしれませんが)寮美千子さんまで辻井さんを批判する立場に転じています。寮さんと言えば、受刑者問題に取り組んでおられ、遠くから畏敬の念を覚えていたのですが、失望しました。というのも、私は日本中、網走から沖縄まで、すべての刑務所を回り、さらには少年院などの矯正施設で、これまで四半世紀、550回も「プリズン・コンサート」といって獄内コンサートを継続してきた女性デュオPaix2(ぺぺ)を20年来支援してきたからです。本も2冊出しています。私の会社主催でのミニ・ライブも何度も行い、会社のイベントでもたびたび歌っていただきました。最近では、昨年7月12日、地元西宮で開いた『紙の爆弾』創刊20周年/反原発情報誌『季節』10周年の「反転攻勢の集い・関西」に駆け付けていただき歌っていただきました。

まだ仮処分は、決定どころか、裁判所からの呼び出しも、双方の意見を聴く審尋(しんじん)さえも行われていないということですが、双方がチェックリストなどを作成されているとのことですので、「盗用」問題は早晩明らかになると思います。誤解を恐れず申し述べれば、私の予想するところでは、おそらく双方に、意図するしないにかかわらず多かれ少なかれ瑕疵があるんじゃないかと思っています。問題は、そこに悪意があるかないか、間違いを指摘されたら潔く認め、謝罪や訂正、場合によれば修正版を出版する、ということではないでしょうか。円満な解決を望みます。

しかし、浅野さんは、出版差し止め(出版禁止)仮処分と訴権の濫用は即刻やめるべきです。半世紀余りのジャーナリスト経験を持つ浅野さんが、それらの問題や危険性を知らないはずはないと思いますが、ジャーナリストとして自殺行為だからです。

最後におことわりしておきますが、私は、浅野さんが邪推されるように、どちらかに強いつながりがあるわけでもなく(辻井さんには、メールのやり取りは少ないながらありますが、いまだに会ったことも電話で話したこともありませんし、鈴木エイトさんに至っては会ったことも電話で話したこともメールや手紙でやり取りしたことさえありません)、当初は公平に距離を置いて“高見の見物”をするつもりでしたが、岡林あけび書房社長や著者の辻井さんらにファナティックなまでの攻撃を行い続け、私がちょっと警告すると浅野さんは私に対しても異常なまでの非難を行ってきました。まあ、私は、かの大学院生リンチ事件などでも、被害者の大学院生を庇い支援したことで、この種の非難はどうってことはありませんが、「素人」の辻井さんはそうもいきません。理不尽なネットリンチに耐えて来た辻井さんの心情はいかばかりでしょうか。大学院生リンチ事件など、常に弱者の側に立つことを旨としている私としては、浅野さんとその支持者から理不尽なまでのネットリンチ攻撃を受けている辻井さんを応援します。辻井さんの人権を守れ!

(2026年5月14日記)

※上記画像は、辻井さんによる浅野本のファクトチェックの様子。辻井さんのFBより。

※大学院生リンチ事件(しばき隊リンチ事件)については、これまで出版してきた6冊の関連出版物や「デジタル鹿砦社通信」の過去記事を参照してください。

《山上徹也公判記録書籍問題》https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=137

《報道と人権7》勝訴から一転、第2次真村訴訟の構図、喜田村弁護士ら真村さんの自宅を差し押さえ

黒薮哲哉

読売新聞が筆者に対して3件の裁判を起こしたほぼ同じ時期に、読売新聞が関わった別の裁判が進行していた。原告は真村さんである。

既に述べたように、YC広川の真村久三さんが起こした地位保全裁判は、真村さんの完全勝訴であった。判決は、2007年12月に最高裁で確定した。

ところがその半年後の2008年7月、読売は、YC広川との契約期間が満了したことを理由に、同店を改廃した。契約満了による改廃であるが、販売店には家業的側面があるなどの理由から、正当な改廃を行なうには、店主側が新聞社との信頼関係を著しく破壊し、商契約の存続が困難となる状況を生み出したことを示す事実が必要とされる。

したがって、真村訴訟の判決確定後から改廃に至るまでの約半年の間に、真村さんが不祥事に該当する行為を行ったか否かが審理の対象となる。

◆第2次真村訴訟

当然、真村さんとしてはYC広川の改廃を承服できなかった。そこで再び読売に対して地位保全裁判を起こした。この裁判は第2次真村訴訟と呼ばれている。前訴が第1次真村訴訟である。

ちなみに裁判にはいくつかの形式があり、その代表的なものが仮処分の申立てと本訴である。周知のように、仮処分の申立ては緊急を要する場合に行われ、決定も短期間で下される。敗訴した側に不服があれば、本訴で争うことになる。第2次真村訴訟もこの形式をとった。真村さんは、まず仮処分を申し立て、その後、本訴を提起したのである。

この裁判でも、引き続き喜田村洋一・自由人権協会代表理事が読売の代理人として裁判闘争の先頭に立った。舞台が福岡地裁であったため、口頭弁論のたびに東京から駆けつける熱心さであった。

◆間接強制金の累積、約3600万円

仮処分の申立てにおいて福岡地裁は、真村さんの申立てを認め、その地位を保全した。裁判所は読売に対し、YC広川への新聞供給を再開するよう命じた。ところが読売は、この命令に従わなかった。その結果、裁判所は、読売に対して1日につき3万円の間接強制金(制裁金)の支払いを命じた。

その後、読売は仮処分に対して異議を申し立て、さらに福岡高裁へ抗告し、最高裁に特別抗告も行った。しかし、裁判所の決定は覆らなかった。この間、間接強制金は累積し、約3600万円に達した。

仮処分申立ての審尋と並行して、本訴の審理も進んだ。

読売は、改廃理由としてさまざまな主張を行った。第1次真村訴訟で真村さんの地位が保全されている以上、その後改廃に至るまでの約7カ月の間に、真村さんが読売に対して重大な信義違反を犯していなければ、地位は維持されると考えるのが自然である。

◆喜田村ら、黒薮が「外部メディア等と連携して……」

喜田村らが改廃の正当理由として主張した項目の一つに、真村さんが「外部メディア等と連携して」読売を攻撃したというものがある。福岡地裁判決には、喜田村らの主張として次の記述がある。

自称フリージャーナリストの黒藪哲也(以下、「黒藪」という。)《注:「黒藪哲也」は誤字で、正しくは、「黒薮哲哉」》は、自ら管理・運営するウェブサイト「新聞販売黒書」で、被告に対して不当な誹謗中傷を繰り返す一方、被告と対立しているという観点から、原告を支援することを明言している。原告は、前訴係争中に黒薮と知り合い、黒藪や原告弁護団と協力して、被告を攻撃する運動を展開している。

原告の関わる裁判の経過等は,直ちに「新聞販売黒書」や「My News Japan」に掲載される。また,原告は,黒藪がコーディネーターや司会を務めたシンポジウムや報告会に積極的に参加して発言もしている。

取引の一方当事者が,その相手方当事者を誹謗中傷して攻撃する運動に積極的に協力し,しかも相手方当事者の営業秘密を漏洩しながら,その契約当事者としての地位を求めたり,裁判や攻撃・中傷を止めてほしければ巨額の金銭を支払うよう求めたりすることは,一企業に対する脅迫に他ならない。このような行為は被告との信頼関係を根底から破壊するものである。

喜田村らは「被告と対立しているという観点から、原告を支援することを明言している。」と主張しているが、これは浅はかな解釈である。筆者が真村さんを支援したのは、その主張に正当性があったからにほかならない。読売の販売政策に道理がないからである。

そもそも、ジャーナリズムに中立などあり得ない。ジャーナリズムの評価は、究極のところ主張が正しいかどうかであり、その評価は将来、歴史に委ねるよりほかにない。それゆえに記録し、それを保存することが決定的に大事なのであるが、喜田村弁護士らは、このあたりの原理が分かっていない。

ちなみに筆者は、真村訴訟に関しては、少なくとも20年は検証すると当時から繰り返し公言してきた。

◆真村さんの自宅を差し押さえ

判決は2011年5月15日に言い渡された。結果は真村さんの敗訴であった。控訴審でも控訴は棄却され、その後、最高裁で判決が確定した。

これにより読売は、真村さんに対し累積した約3600万円の間接強制金の支払いを請求した。しかし、真村さんは店舗の維持や生活費にこれを充てていたため、返済不能となった。

そこで読売は、真村さんの自宅を差し押さえた。不動産仮差押命令申立書の債務者代理人弁護士として、次の面々が名を連ねている。(下記の写真を参照)

喜田村洋一
近藤真
掘哲郎
住野武史
塩飽梨栄

◆ジャニーズの性加害問題

なお、喜田村弁護士は評価できる仕事もしている。例えば、ジャニーズの性加害問題では被害者のために大きな役割を果たした。その詳細を記した『報道しないメディア』(岩波ブックレット)なども出版している。多くのメディア研究者とも良好な関係にあるようだ。

こうした状況を踏まえるとき、筆者には喜田村弁護士の思想の源流がどこにあるのかよく分からない。どのような信念や思想を行動規範としている人なのか、理解できない。

※なお、真村さんと読売の間接強制金をめぐる係争は、2026年に入って新たな進展があったため、近く報告する予定である。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年4月3日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

《報道と人権6》読売と喜田村洋一・自由人権協会代表理事らが、1年半の間に3件の裁判提起、約8000万円の金銭を請求

黒薮哲哉

2009年7月、読売新聞は、筆者が『週刊新潮』(2009年6月11日号)に執筆した記事に対し、5500万円の金銭支払いを求める裁判を起こした。読売からの3件目の裁判である。

この裁判でも、やはり喜田村洋一・自由人権協会代表理事が読売の代理人として、裁判闘争の先頭に立った。

係争になった記事のタイトルは、「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』を斬る」であった。滋賀県のポスティング会社(チラシの全戸配布業者)が、大津市など滋賀県の主要都市を対象として実施した大規模な「押し紙」実態調査の結果を紹介したものである。

それによると、読売の「押し紙」率は18.4%であった。これは他社と比較するとかなり低い数字である。しかし筆者は、全国的に見れば30~40%はある可能性を指摘した。さらに、「押し紙」による不正収入が、一社平均(朝日、読売、毎日、産経)で年間360億円程度になるとする試算も示した。

これに対し、喜田村弁護士は訴状の中で次のように指摘した。

「本件記事は、原告らが日本全国で発行する『読売新聞』の発行部数の30%~40%は、実際には読者に販売されない『押し紙』であり、原告らは、これにより年間約360億円もの不正な収入をあげ、これ以外にも紙面広告の収入を不正に取得していると報じるものであるから、これが原告らの社会的評価を低下させることは明らかである。」

読売は、自社には1部の「押し紙」も存在しないと主張して、高額訴訟を提起したのである。

結論を先に言えば、この3件目の裁判は読売の勝訴となった。東京地裁は385万円の支払いを筆者と新潮社に命じ、控訴審でも読売が勝訴した。

その結果、読売には1部の「押し紙」も存在しないという見解が、司法判断として示されたことになる。

◆「読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません」

実際、東京地裁で行われた尋問においても、読売は自社に「押し紙」は一部も存在しないという主張を展開した。参考までに、宮本友丘専務(当時)が「押し紙」裁判の法廷で行った証言(2010年11月16日、東京地裁)を紹介しておこう。喜田村弁護士の質問に答えるかたちで、次のように証言している。

喜田村弁護士:この裁判では、読売新聞の押し紙が全国的に見ると30パーセントから40パーセントあるんだという週刊新潮の記事が問題になっております。この点は陳述書でも書いていただいていることですけれども、大切なことですのでもう1度お尋ねいたしますけれども、読売新聞社にとって不要な新聞を販売店に強要するという意味での押し紙政策があるのかどうか、この点について裁判所にご説明ください。

宮本:読売新聞の販売局、あと読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません。

喜田村弁護士:それは、昔からそういう状況が続いているというふうにお聞きしてよろしいですか。

宮本:はい。

喜田村弁護士:新聞の注文の仕方について改めて確認をさせていただきますけれども、販売店が自分のお店に何部配達してほしいのか、搬入してほしいのかということを読売新聞社に注文するわけですね。

宮本:はい。

◆同業者からの言論抑圧

以上述べたように、読売と喜田村弁護士らは筆者に対し、2008年から2009年にかけての約1年半の間に3件の裁判を起こし、約8000万円の支払いを求めたのである。筆者は、3件の裁判に巻き込まれ、仕事の計画も大幅に変更せざるを得なかった。

元々、筆者はラテンアメリカの社会運動を取材をしていたのだが、2007年に真村訴訟で読売の「押し紙」政策が認定されたのを「押し紙」取材の到達的にして、原点に戻る予定だった。当時はラテンアメリカで次々と左派政権が誕生していた時代で、ニカラグア取材を計画していた。ところが、読売から裁判攻勢をかけられ、それが実現できなくなった。

出版人である同業者からこのような仕打ちを受け、しかも、その先頭に立った人物が人権擁護団体である自由人権協会を代表する人物である事実に、筆者は強い失望を覚えた。出版労連の支援はあったが、週刊誌や月刊誌は、読売の前で沈黙してしまった。「押し紙」を報じなくなったのだ。唯一の味方は書籍出版だった。

しかし、鬱蒼とした日々に追い込まれたのは筆者だけではなかった。販売店主としての地位を保全されたはずの真村久三さんの身の上にも、新たな災難が降りかかってきたのである。そして、その先頭に立ったのがはやり喜田村弁護士らであった。
すべて記録済みなので、順を追って紹介しよう。(つづく)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年03月28日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

都市のジェントリフィケーションで上澄みをかすめとられる大阪西成・釜ヶ崎

尾﨑美代子

5月7日、西成区内に2館の外資系ホテルが開業した。西成区では初めて。

米マリオネット・インターナショナル経営の「シティエクスプレス・バイ・マリオット」、1館は新今宮駅の近くなでホテル名は「大阪新今宮」、国道26号線沿いの花園町の激安スーパー玉出に近い場所にできた2館目の名前は「大阪難波南」が付く。おい、難波に近い隣駅の大国町あたりでマンション名に「難波南」とつけるところは見かけるが、ここで難波南は無理じゃないか。「難波から2.8キロ南」ならわかるが、どちらかというと「花園町北」だし。ホテルの担当者が「西成にはローカルな魅力がある」とアピールするならば、「激安スーパー玉出南」でもいいのではないか。

それにしても最近やたらと「西成の魅力」が叫ばれる。でもその中身は本当なのだろうかね? 西成は貧しい人、生活困窮者、あるいは刑務所を出た人、家族、会社などから逃げてきた人、いろんな意味で問題を抱えている人でも、ここにくればどうにか生きていける場所だったはず。

しかし、この間そうではなくなっている。それはジェントリフィケーションが進んでいるからだ。ジェントリフィケーション自体の説明は「ジェントリフィケーション、原口剛」などで検索してみて。

10数年前、原口さんに話を聞こうと思ったきっけけは「今釜ヶ崎で起きていることはただの再開発じゃないな」と思ったからだった。ちょうどその頃、原口さんの新刊本『叫びの都市 寄せ場、釜ヶ崎、両道的下層労働者』が発売され、原口さんと酒井隆史さんのトークショーーが難波ジュンク堂であるとわかった。私は時間がなかったが、仲間に行ってもらい、トークショーを録音してもらった。それを聞いたとき「えっ、そんなことが起こるの?」と驚いたものだった。その内容がそのまんま、ある意味順調に進んでいる。

ジェントリフィケーションは世界中で起こっている。それは「ダークワード」で外国などでは、「ケッ、ジェントリフィケーションだ」と周囲の人に睨まれるような内容だ。

ということは釜ヶ崎の町もどんどん悪くなるということ、貧困層が住みにくくなるということだ。

私たちが原口さんの話をまとめ、ジェントリフィケーションの冊子を作り、あちこちで拡散したとき、こんなことがあった。釜ヶ崎で活動するある人がX(当時Twitter)でジェントリフィケーション問題をとことん腐す投稿を始めた。原口さんは「似非学者」とまで言われた。もちろん私たちはそれが誰かすぐにわかった。ネトウヨのような人を馬鹿にする文章の特徴はそうそう変えられないものだ。彼については、ある日、皆で一斉にブロックした。すると投稿をやめた。

何故彼がそんな投稿を続けたか? 答えは簡単だ。彼も「ジェントリフィケーションはダークワード」と認識している。でもジェントリフィケーションを大阪維新の会と共に進めようとしている彼としたら、まさか釜ヶ崎を悪くしようと思われたら困るということだ。常日頃「労働者を守ろう」と言っているからだ。

まあ、そんなことはいい。ジェントリフィケーションは確実に進行して、10数年前原口さんの話を聞き「おいおい、そんなことホントに起こるのかよ」と思ってたことが現実となっている。今後、ここに住む人たちが更に苦しくなるのは必至だろう。

ジェントリフィケーションは町をどう変えていくか、キーワードは「釜ヶ崎の魅力の上澄み(うわずみ)をかすめとる」。

神戸大教授の原口剛さんはこう説明する。

「現在西成で進められるジェントリフィケーションについて、先の強制排除など直接的な排除のほかに、家賃や土地の値段が上がることで住みにくくなることや、街の雰囲気が変わることで、長く住んでいた人たちが住みづらくなる『雰囲気による排除』があると指摘する。

そして、この『雰囲気による排除』にかかわる重大な問題として、「たんに『人情がなくなる』のではなく、一方で『人情』がやたらと強調されたり演出されたりしながら、他方で人情が潰されていくという事態」が起こり得るとし、肝心なのは「生きられる人情」と「売りになる人情」の違いであると指摘する。

「そもそも『人情』というのは、センターで労働者が集まって日常を過ごすとか、そういったことも含めて、いろいろな生活の営みの中で、じっくり長い時間をかけて培われてきたものです。これに対してジェントリフィケーションというのは、実は何ひとつ発明することができない。例えば『人情』の上澄みだけ吸い取って、それを商品化して『下町らしさ』というパッケージにして売り出すということです。そうして『売りになる人情』へと仕立てながら、そもそも『人情』を生み出した担い手を追っ払ってしまう」と。(つづく)

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

5月のキックボクシング、一番輝くのは誰か

堀田春樹

今回は5月のキックボクシング、2つの興行を紹介します。

TITANS NEOS.38ポスター。聖地にこだまする新時代の主役は誰か

新日本キックボクシング協会 TITANS NEOS 38
5月10日(日)後楽園ホール17:15~

現在において選手層の薄い中で、エース格へ期待が掛かるのは西田蓮人(伊原越谷)。まだ16歳で今後順調に伸びるか、どの方向に進むか未知数で、吉成名高や那須川天心のように最高峰、またはその近くまで上り詰める素質持った選手である。この団体の日本王座までは近い将来、届く期待は出来るでしょう。

今回の相手はヒジ打ちが得意でKO率が高い(定かではないがKO率80%)というタイ南部チャンピオンのトートー・キャットワナラムで、接近戦は危ないが、西田蓮人はヒジで打ち合うか、蹴りで倒しに行くか。見所はこの西田蓮人の戦いぶり。

マルコ(伊原/イタリア)は圧倒的強さを発揮すれば、他団体選手相手でも日本のトップへ勝ち上がれる期待が掛かります。

韓国選手の出場がありますが、全日本に来る組織とは別団体の模様。

◆第15試合 76.3kg契約3回戦
日本スーパーミドル級チャンピオン.マルコ(伊原/イタリア)15戦9勝(3KO)3敗3分
VS
KTKスーパーミドル級2位.ファン・デゴン(韓国)16戦12勝(12KO)4敗

(KTKは韓国のイベントタイトル)

◆第14試合 フェザー級3回戦
前田浩喜(元・NJKFフェザー級Champ/CORE)54戦31勝(19KO)20敗3分
VS
森本直哉(無所属)35戦14勝(5KO)20敗1NC

◆第13試合 フライ級3回戦
西田蓮斗(伊原越谷/2009.12.6埼玉県出身)6戦6勝(2KO)
        VS
トートー・キャットワナラム(タイ/18歳)50戦45勝5敗

期待のスターは西田蓮人。右が実父の西田義和会長

◆第12試合 58.5kg契約3回戦
東野巧(yz’d)10戦3勝5敗2分
        VS
谷岡雄生(GRABS )2戦2勝(1KO)

◆第11試合 68.0kg契約2回戦
田中稜(トーエル)1戦1勝
        VS
李旻炯(イ・ミンヒョン/韓国/21歳)デビュー戦

◆第10試合アマチュア ウェルター級2回戦
潤(伊原)vs本橋健人(拳砕会宮越道場)

◆第9試合 女子ミネルヴァ44.0kg契約3回戦(2分制)
ミネルヴァ・ピン級3位.町屋杏(AX)9戦4勝(2KO)5敗
        VS
ミネルヴァ・ペーパー級6位.港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社)6戦3勝 3敗

◆第8試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制) 
ミネルヴァ・スーパーフライ級5位. MIKU(K-CRONY)9戦4勝4敗1分
VS
ミネルヴァ・スーパーフライ級6位. 紗耶香(格闘技スタジオBLOOM)
20戦8勝(1KO)11敗1分

◆第7試合 女子ミネルヴァ46.0kg契約3回戦(2分制)
鈴木萌(クロスポイント吉祥寺)5戦3勝2分
        VS
田中真尋(クボ)5戦2勝(1KO)2敗1分

◆第6試合 女子ミネルヴァ48.0kg契約3回戦(2分制)
KANA(Bombo Freely)5戦2勝3敗
VS
実穂(クロスポイント大泉)3戦2勝(1KO)1敗

◆第5試合 59.0kg契約2回戦
神谷晟丸(伊原)1戦1敗
        VS
金旻材(キム・ミンジェ/韓国/18歳)デビュー戦

◆第4試合 50.5kg契約2回戦
ツカサ(伊原越谷)デビュー戦 アマチュア3冠王者
        VS
RIKIYA T-KIX(T-KIX))3戦2敗1分

◆第3試合アマチュア エキシビジョンマッチ45.0kg級2回戦(2分制)
西田永愛(伊原越谷) EX西田結菜(伊原越谷)

他、アマチュア2試合

Road to KING4ポスター。樹、菊地拓人、花澤一成、Uver∞miyU、インパクト残すのは誰か

ジャパンキックボクシング協会 Road to KING4
5月24日(日)市原臨海体育館(開場15:00 / 開始16:00)

年に一度の市原興行。期待掛かるのはセミファイナル、地元の菊地拓人(市原)と、メインイベンター樹(治政館)の二人。

菊地は昨年の市原興行で匠(=小林匠/キング)に判定負け。今年は勝ちたい。更にメインイベンターを狙いたいところ。

花澤一成(市原)も地元の注目選手だが、昨年は木部晴太(尚武会)に飛びヒザ蹴りで1ラウンドKO勝利しており、打たれ脆いが蹴りでの試合運びが上手いので、今回も打たせずに蹴る展開に期待。市原勢は全6名出場となる。

◆第10試合 フェザー級3回戦
カターテープ・イチハラジム(タイ)vsジャパン・フェザー級2位.樹(治政館)

カターテープはチェンマイなど地方スタジアム等で幾つかマイナー王座獲得している模様。

毎年代わる市原興行主役の座。今年のメインイベンターは樹

◆第9試合 63.0kg契約3回戦
ジャパン・ライト級2位.菊地拓人(市原)vs翔吾(DANGER)

セミファイナル菊地拓人は来年の主役を奪いたい

◆第8試合 バンタム級3回戦
ジャパン・バンタム級3位.花澤一成(市原)vsストロベリー稲田(治政館)

◆第7試合 女子45.8kg契約3回戦(2分制)
ミネルヴァ・ペーパー級チャンピオン.Uver∞miyU(T-KIX)
        VS
ミネルヴァ・ピン級1位.祥子JSK(治政館)

昨年市原興行で判定勝利した祥子と、一階級下だがチャンピオンと成ったウーバーミユは負けられない再戦となる。

◆第6試合 フェザー級3回戦
ジャパン・フェザー級3位.海士(ビクトリー)
        VS
神田賢吾(北流会君津)

◆第5試合 54.5kg契約3回戦(2分制)
ミネルヴァ・スーパーフライ級2位.響子JSK(治政館ジム)
        VS
ミネルヴァ・スーパーバンタム級9位.朱乃(CORE)

他、4試合

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

《報道と人権5》「窃盗」表現をめぐる法廷闘争、弁護士・喜田村らが起こした2件目の裁判、読売が最高裁で逆転勝訴

黒薮哲哉

読売新聞の江崎徹志法務室長が筆者に対して著作権裁判を起こしてから、2週間後のことだった。筆者は自宅のポストに特別送達の通知が投函されているのを見つけた。そこで郵便局へ足を運び、封書を受け取った。封書には埼玉地裁の文字があった。開封すると、訴状が入っていた。

訴状の原告は、読売の江崎法務室長を含む読売の会社員3人で、1法人・3個人によるものだった。訴状を執筆したのは、喜田村洋一・自由人権協会代表理事である。請求額は2230万円で、この中には喜田村弁護士に対する弁護料200万円も含まれていた。最初に頭をよぎったのは、仮に敗訴すれば金銭面で破産に追い込まれるのではないかという不安だった。

◆「窃盗」という表現

読売が訴えたのは、真村裁判の福岡高裁判決が読売の「押し紙」政策を認定した後に発生したある事件について、筆者が「メディア黒書」に掲載した記事だった。

すでに述べたように、真村裁判の判例が確立した後、「押し紙」に苦しんでいたYCの店主らが、問題解決を求めて江上武幸弁護士に相談するようになった。

連載4】で紹介したように、YC久留米文化センター前の平山春夫店主もその一人だった。平山さんの店では、江上弁護士に相談した時点で、搬入部数のおよそ50%が「押し紙」だった。

ところが、「押し紙」を排除して約3カ月後、読売は平山さんのYCを強制的に改廃した。しかもそのプロセスは強引で、江崎法務室長ら数人の読売関係者が事前連絡もなく平山さんの店を訪れ、本人の面前で改廃通知を読み上げ、契約を解除した。その後、読売ISの社員が店舗にあった折込チラシの束を搬出した。

この行為について筆者は、「メディア黒書」の記事で「これは窃盗に該当し、刑事告発の対象になり得る」と記した。

喜田村弁護士らが訴因としたのは、この「窃盗」という表現である。彼らは、折込チラシの搬出は契約解除後の行為であり、かつ平山さんの許可を得ていたため「窃盗」には該当しないと主張し、それを根拠に2230万円の金銭を求めてきたのである。

◆隠喩(メタファー)としての「窃盗」

確かに「窃盗」を文字どおりに解釈すれば、関係者の面前で行われた行為である以上、「窃盗」には該当しない。また、実際にチラシの束を運び出したのは読売新聞社の社員ではなく、読売ISの社員である。しかし筆者は、「窃盗」という言葉をレトリック(修辞法)としての隠喩(メタファー)として用いたのである。

隠喩の例としては、例えば次のようなものがある。

「あの監督は鬼だ」

「あの人は悪魔だ」

また、有名な例としては、

「踊子のように葉を差し上げた若い椰子は、私の愛を容れずに去った少女であった」(大岡昇平『野火』)

「人生は歩いている影だ」(シェイクスピア『マクベス』)

などが挙げられる。

筆者が記事の中で隠喩を用いたのは、この事件の悪質性が強いと感じたためである。突然店舗に現れた江崎法務室長が、平山さんの面前で改廃通知を読み上げたことは、平山さんに強い衝撃を与えた可能性が高い。仕事を失って動揺していたと想像できる。そのような心理状態の中で、読売ISの社員がチラシを搬出したのであれば、隠喩として「窃盗」と表現する余地はあったと考えた。筆者にとって、メディア企業が表現の問題で、このような訴訟を起こしたことは心外だった。

◆加藤裁判官と差戻審

判決は地裁・高裁ともに筆者の勝訴だった。その理由は、「メディア黒書」の記事が「窃盗」という事実を断定的に伝えること自体を主眼としていない、という点にあった。

読売は控訴したが、喜田村弁護士は控訴審の代理人から外れた。代わって登場したのは、TMI総合法律事務所の複数の弁護士である。同事務所は大手法律事務所であり、当時、元最高裁判事が少なくとも3名在籍していた(今井巧、泉徳治、才口千晴)。

人脈が影響力を持つ日本社会の現状を踏まえると、筆者は控訴審の行方に不安を覚えた。しかし控訴審は一度の口頭弁論で結審し、結果は筆者の勝訴だった。ところが読売はさらに最高裁へ上告した。

最高裁は上告を受理し、口頭弁論を開いたうえで、筆者勝訴の判決を東京地裁へ差し戻した。差戻審では加藤新太郎裁判官が担当した。この人物について調べたところ、過去に少なくとも2度、読売新聞のインタビューを受けていたことが判明した。

また、読売の社員が最高裁の各種委員会に参加していることも確認された(2012年6月時点)。

金丸文夫:裁判官の人事評価の在り方に関する研究会
桝井成生:裁判制度の運用に関する有識者懇談会、明日の裁判所を考える懇談会

こうした事情から、筆者は最高裁が読売の上告について慎重な検討を行ったのか疑問を抱いた。

差戻審の判決では、加藤新太郎裁判官は読売の訴えを認め、筆者に対して110万円の支払いを命じた。読売社と3人の社員に支払う金銭は、メディア黒書でカンパをお願いして集めた。

なお加藤裁判官は裁判官を退任した後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所顧問などを経て、2021年に瑞宝重光章を受章している。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年03月25日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

「司法の独立・裁判官の独立」について── モラル崩壊の元凶押し紙 (最終回)

江上武幸

NHK朝ドラの「ばけばけ」の放送が3月で終わりました。映画「国宝」の主人公役の吉沢亮が脇役で出演しているので、ファンの妻はビデオに毎日録画していました。
その録画を何気なく見ていたら、「日に日に世界が悪くなる 気のせいか そうじゃない」という歌が流れてきました。今の世相にぴったりの歌詞とメロディーに思わず耳を傾けました。この曲を作詞・作曲した佐藤さんカップルはもちろんですが、主題歌に選んだ朝ドラの制作陣に拍手を送りたいです。

以前、吉田拓郎の「落陽」(1966年作曲)の「この国ときたら 賭けるものなどないさ だからこうして漂うだけ」という歌詞と、さだまさしの「風に立つライオン」(1994年作曲)の「やはり僕たちの国は残念だけれど何か大切な処で道を間違えたようですね」という歌詞を紹介したことがあります。

「ばけばけ」は「野垂れ死ぬかもしれないね」と語りあったあと、「わからぬまま家を出て帰る場所などとうに忘れた 君とふたり歩くだけ」という歌詞が続きます。

このような歌を聞くと、アーティストはいち早くメタンガスをかぎとり、ガス爆発の危険を知らせる炭鉱のカナリアだとつくづく思います。

*日本はこの30年で若者の夢をすっかり奪ってしまいました。非正規雇用・未婚・少子化・振り込め詐欺などの寒々とした言葉にあふれる社会になりました。その責任は戦後80年におよぶアメリカ支配を脱しきれなかった日本人の不甲斐なさにありますが、今回のイラン戦争でアメリカがいかに恐ろしい国であるかはっきりしました。

日米合同委員会によるアメリカの日本支配に服従した官僚と政治家によって、日本の政治は歪められてきました。しかし、アメリカの信頼が大きくゆらぎ始めた現在、これからは非同盟・中立の国際連帯が世界の趨勢を示す時代が来るようになると思われます。日本の若者世代が他国の若者世代と一致協力して、国際法と各国憲法の人類史的意義を確認し、揺るぎない法の支配の確立を目指して活躍されることを願っております。

司法の独立と裁判官の独立は、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)が共に協力して堅持すべき憲法上の大原則です。

しかし、2000年代初頭の司法改革関連法案の成立以降、急速に変化した弁護士会を取り巻く状況をみると、以前のように弁護士会が司法の独立と裁判官の独立を支える役割の一端を担い続けることができるかどうか心配になってきます。

*ロースクールの導入を始めとする司法制度改革関連法案については、弁護士内部の強い反対意見にもかかわらず、最終的には裁判所・検察庁・法務省と足並みをそろえて賛成に回ることになりました。そのことは、2004年(平成16年)6月11日付の日本弁護士会連合会長梶谷剛氏の談話からも伺えます。

*2001年の司法制度改革審議会最終意見書提出時の12人の委員の中に弁護士3名の名前があります。元広島高等裁判所長官と元名古屋高等検察庁検事長、それに元日弁連会長の中坊公平氏です。文化人からは作家の曽野綾子氏、労働界からは連合副会長の高木剛氏の名前があります。実質的な弁護士会代表の中坊弁護士についてウィキペディアでは「法科大学院や裁判員制度の導入に尽力した弁護士である。」と紹介されています。司法制度改革委員会で中坊氏が果たした役割については、住宅金融債権管理機構社長時代の15億円詐欺疑惑で告発され、最終的には大阪弁護士会を退会されていることから、おのずと推察することができます。

2002年から弁護士事務所の法人化が始まり、弁護士報酬の自由化・宣伝広告の自由化が一気に進みました。

法人化のメリットとして税負担の軽減、支店展開による業務拡大、組織化・共同化による大規模な案件への対応力の向上などがあげられていますが、節税を図ることや事業規模を拡大することが社会正義の実現と人権擁護を使命とする日本の弁護士業務にとって何故必要なのか、具体的な説明はなされていません。

日本の弁護士会には社会正義の実現と人権擁護のためならば手弁当で駆けつけて共同して事件の解決・裁判にあたる歴史と風土があります。当番弁護士、国選弁護、犯罪被害者支援、生活保護申請補助などの公益活動に限らず、四日市ぜんそく、イタイイタイ病、新潟水俣病等の公害訴訟、予防接種、B型肝炎、アスベスト被害訴訟など数え上げればきりがありません。

弁護士事務所の法人化や報酬自由化、宣伝広告の解禁が弁護士会のそれらの活動を支援することになるのか、はなはだ疑問です。

先の投稿に、「弁護士人口の大幅増大は、司法の一翼を担う弁護士会の社会的・政治的影響力の低下を目的としたものではないかという疑いがあります。」と記載しましたが、その思いは益々強くなっています。また、後述のように学部や法科大学院、司法修習時代の多額の貸与型奨学金の返済のために新人弁護士の7割が東京・大阪の大手法律事務所を中心に就職するという異常事態を目前にすると、日本の弁護士制度自体の崩壊をも視野に置いていたのではないかとの疑いすら感じるようになりました。

*ロースクールは地方の大学院を中心に74校から34校に減少しました。司法研修所29期の同窓会で任官組から法科大学院の導入は裁判官・検事の天下り先の確保がひとつの目的だったと聞いてショックを受けたことを思い出します。裁判官や検事の退職後の天下り先は公証役場くらいしかないという愚痴はよく聞いていましたが、まさか天下り先の確保のために法科大学院を設置することにしたとの発言を聞くとは驚きでした。法科大学院教授の肩書は弁護士にとっても魅力ある肩書です。法科大学院に地元弁護士会の弁護士が教授として採用されれば、法科大学院の設置に反対する弁護士会の意見はおのずと小さくならざるを得ません。弁護士が裁判官・調停員に任命される弁護士任官制度の導入によって判・検交流に反対する弁護士会の声が小さくなるのも同じです。

弁護士事務所の法人化と歩調を一にして、報酬の自由化や宣伝・広告の自由化が認められ、過払い金返還請求やB型肝炎給付金請求等の宣伝をテレビ等で見かけるようになりました。宣伝広告をしている事務所がこれらの事件の解決に尽力した事務所かどうかは知りませんが、聞いたことのない横文字の事務所名です。

ホームページにも、相談料無料・着手金無料・完全成功報酬などの文字が躍っています。多くの弁護士はこれまでどおり旧来の日弁連報酬基準を採用していますので、弁護士報酬を自由化することや宣伝・広告を自由化することが何故弁護士間の競争の促進につながるのか、市民が質の高いリーガルサービスを受けられることにつながるのか、一向に理解できません。

最近、債務整理・自己破産の相談が増えてきています。ネット広告を見て大手法律事務所に相談したが、弁護士費用だけ取られて解決しないまま辞任されてしまったがどうしたらよいだろうかという相談です。最初から近場の弁護士に何故相談しなかったのか聞いてみたところ、ネットの方が気軽に相談できるからとのことでした。

法テラスの利用は出来ない代わりに、弁護料は分割払いが可能ということで債務整理の委任契約を結んでいます。弁護料の分割払いが終わってから債権者に対する支払いが始まる仕組みになっています。債権者は5社あるのに分割支払可能金額が少ないため、3社とだけ示談し残りの2社は自分で解決するように言われたという例もあります。

借りたものは返さなければならないという思い込みと、破産という言葉に抵抗感をもつ多重債務者の弱みにつけ込み、弁護士費用を得ることだけを目的に受任したとしか考えられません。

相談者が持参した債権者から取立てを依頼された弁護士法人の受任通知書にも驚かされます。写真(記事の冒頭)を掲載しておきますのでご覧ください。原色の毒々しい封書の表に「重要」・「大至急ご確認ください」・「緊急告知」といった大きな文字が書かれています。郵便配達員には配達先の住人が多重債務者であることが一目瞭然です。プライバシーの重大な侵害行為です。これまでこのような受任通知書は見たことがありません。

奨学金返済のためにキャバクラで夜のアルバイトをしているという女子大生が相談に来たことがあります。東京の法律事務所から300万円の慰謝料を請求する書面が届いたが、どのようにしたら良いかという相談です。馴染みの客から店外デートに誘われたところ、その奥さんから不貞行為の慰謝料として300万円を支払うよう請求されたというのです。書面に記載された法律事務所のホームページを見たところ、「不倫慰謝料請求徹底的に戦います。相談無料・完全成功報酬制度」と書いてありました。相談料・着手金無料の文句で顧客を誘引し、法律事務所からの請求書に驚いていくばくかの金員を払ってくれればいいし、払われなくとも裁判まではしないという考えが見え見えでした。アメリカのアンビュランスローヤーより品位に欠ける商法です。

弁護士人口が増大した結果、若手弁護士の就職先がなかなか見つからないという話を聞いています。2002年に発行された東京弁護士会所属の鈴木仁志弁護士著の「司法占領」(講談社刊)に、ロースクール在学中と司法修習期間中の学費・生活費のため、1000万もの貸与型奨学金(借金)を抱えて弁護士になる若者がいることを知り、驚きました。

私たちの時代は、裁判官・検事・弁護士志望のいずれであっても、司法修習期間中(2年間)は国から給料が支払われました。国民の税金で2年間の法律の勉強と生活ができるのですから、弁護士になって無償であるいは安い金額で社会に奉仕することは、弁護士の当然の義務だという意識がありました。

当時の弁護士の初任給は裁判官・検事の初任給より高かったように思います。私たちの世代の弁護士が裁判官・検事と対等に付き合うことができたのは、弁護士の収入が裁判官・検事よりよかったことが背景にあったことも一因ではないかと思います。

法科大学院導入後は、司法試験合格者数は大幅に増えましたが、裁判官・検事の数は横ばいのままです。このことは、法科大学院による法曹人口の増大は、初めから弁護士人口の増大が目的であったことがわかります。

弁護士人口が増大すると必然的に競争が始まります。医師の場合は、患者は自宅近所のかかりつけ病院や専門病院に入通院することになり、診療報酬も一律ですので全国的な競争はありません。

しかし、弁護士の場合はプライバシーにかかわる相談が主であることから、知り合いの弁護士が近くにいなければ遠方の法律事務所であってもそちらに相談しがちです。

相談料無料・着手金無料で相談者を獲得する事務所は、遠方からの相談の受け入れや受任体制を整えていますので、電話相談さえあれば受任までの支障はありません。

以前は、遠方からの相談は旅費・日当の問題がありますので、相談者の近くの弁護士を紹介するなどして受任をお断りしていたのですが、通信手段が発達した現在、電話やFAX、WEB、メールなどによって裁判を進めることができるようになり、遠方に出かける必要がなくなりました。そのため、以前にもまして東京・大阪・名古屋を中心とする大都市に法律事務所が集中するようになりました。

1000万円もの借金を抱えた新人弁護士に、社会正義の実現と基本的人権の保護に貢献することを求めることが、現実問題として可能でしょうか。

新人弁護士が年収1000万といわれる大手法律事務所や高額の収入が得られる見込みのある大都市の法律事務所を就職先に選ぶのは仕方がないことです。2024年の新人弁護士1203人のうち、約7割の859人が東京と大阪の事務所に就職したそうです。全国52の弁護士会のうち16の単位弁護士会は新規登録がゼロもしくは1名だったそうです。早晩、地方の単位会は消滅の運命をたどることになります。そうなればわが国の弁護士制度全体が崩壊します。

このような状況に置かれている弁護士や弁護士会が「司法の独立・裁判官の独立」に目を向けようとしても、現実には非常にむずかしいことです。

世界第2位だった経済大国日本は、非正規雇用・未婚・少子化などの寒々とした言葉があふれる国に転落してしまいました。

上から下まで何故こんなにダメな国になってしまったのか。国際法を無視し、トマホークの誤爆により児童ら170人以上を殺したアメリカの大統領に向かって「世界中に平和と繁栄をもたらせられるのはあなただけ」と媚びるような女性首相が何故誕生したのか……

日本国憲法第9条で戦争放棄と武力の行使を禁じてくれているおかげで、アメリカから参戦を求められても、日本は首の皮一枚で戦争に巻き込まれずにすんでいます。憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と宣言しています。第99条は、立法・行政・司法の三権を司る為政者に対し、憲法を尊重し擁護する義務を課しています。

従って、裁判官が憲法を堅持する姿勢さえ貫くことができれば、自衛隊員がアメリカ軍の手先となって戦場に出向き、人を殺したり殺されたりすることは避けることができます。裁判官による法の支配を側面から支えるのは検事・弁護士らの仕事です。司法界の外から応援するのはジャーナリストの仕事です。

「司法の独立・裁判官の独立」を外から応援する新聞・テレビの記者や報道マンの役割は、ネット社会の到来によっても小さくなることはありません。しがらみのない若い世代の人達が、本来の使命である権力監視と批判および国民の知る権利の保障のために胸を張って仕事ができるように、一刻も早く恥ずべき押し紙をなくすよう改めて新聞社経営陣に求めます。

まとまりのない投稿になりましたが、引き続き西日本新聞押し紙訴訟および毎日新聞押し紙訴訟の行方に注目いただければ幸いです。

* 最後に、古賀茂明(元)通産官僚、前川喜平(元)文部科学事務次官、孫崎享(元)外交官、岡口基一(元)裁判官ら官僚OBの方達の活躍を祈念しています。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年4月1日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼江上武幸(えがみ・たけゆき)
弁護士。福岡・佐賀押し紙弁護団。1951年福岡県生まれ。1973年静岡大学卒業後、1975年福岡県弁護士会に弁護士登録。福岡県弁護士会元副会長、綱紀委員会委員、八女市役所オンブズパーソン、大刀洗町政治倫理審査会委員、筑豊じんぱい訴訟弁護団初代事務局長等を歴任。著書に『新聞販売の闇と戦う 販売店の逆襲』(花伝社/共著)等。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu