「ピース」綾部祐二ハリウッド進出の「裏事情」

お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二が来年春から本格的にハリウッド進出をめざすというが、これには報道されない「裏事情」があるという。

「昨年、第153回の芥川賞を『火花』でとった相方の又吉直樹の扱いが受賞以後はまったく変わり、コンビで一緒にいても、明らかにスタッフが先に又吉に気を使っているのが手にとるようにわかる。受賞以後はライブにしても、テレビ番組にしてもスタッフが又吉に『楽屋は寒くないですか』『ちょっと収録が押して(伸びて)いてすみません』といちいち断りを入れるように。いっぽうで綾部にはそうした気遣いはない。そうした空気を読み『もうあいつ(又吉)とはいっしょにいたくない』『なんか切なくなってくるわ』と後輩芸人や親しい関係者に漏らすようになった」(芸能関係者)

そして1年ほど前から「英会話のレッスンに通うなどして、本格的にハリウッド進出を考え始めた」という綾部は又吉と少なくとも『同格』をめざそうとする姿勢が基本としてある。

「相方と一緒にいると本当に自分が惨めになる」と綾部が漏らし始めるのは受賞後、綾部に対して『又吉先生はどれくらい忙しいですか』と出版関係者が接近して又吉と接触するためのクッション扱いされたり、軒並み親しい文化人が『又吉さんと対談したい』などという話がつぎつぎと舞うこんできたのは事実です。そのたびに綾部はうんざり顔で『事務所に相談を』と返すのですが、表情は暗かったです」(同)

かといって「ピース」としてコンビ間がギクシャクしたわけでも仲が悪化したわけでもない。ルミネtheよしもとなどで行う吉本興業主催のライブは、きちんとこなしていたし,コンビ間の連絡もスムーズにとれていた。

「それは表面的な話。ライブなどで強く突っ込んだり、トーク番組で又吉の知られざる一面を話すと、すぐに『綾部は又吉に嫉妬していると書かれる』と綾部がこぼしていたこともある」(同)

又吉が受賞したとき、その快挙に「相方として嬉しいですよ。でもみなさんが思っている以上に格差が半端ない。不安になってます」と吐露した綾部。

「受賞後に本のオファーも綾部にはたくさんあったが吉本興業に届くのは、『又吉のことを書いてくれ』という企画書ばかり。本人にはかなり見せていない企画書もある。だから吉本としては『なかったこと』として処理されているはず」(同)

綾部が又吉に決意を伝えたのは6月ごろ。又吉はかねて米国進出を勧めていただけに「行ったらええんちゃうん。勝負してきなさい」と即決したと報道されている。
だが綾部が最終的にハリウッド進出を決意したのは、又吉が所属している吉本興業に「綾部がアメリカにいる間、僕がそのぶん稼ぎますからと豪語したのを耳にしたからですよ」とお笑いに詳しい演芸ライターは言う。この話を伝え聞いた綾部は「よし」と即断。すべてのCMと番組を降板する腹を決めた。

昨年の秋に『 別れたら好きな人』(フジテレビ)で昼ドラ主演が決まりこの大抜擢について綾部は「又吉大先生のおかげです。ありがとうございます」と恒例のヨイショをしていたが、実際のところはやるせない気持ちであふれていたはず。

「このドラマでも打ち上げで『又吉先生のおかげでいいドラマに出させていただき』などと語っていたましたが、その目は笑っていませんでした。綾部はいい演技センスを見せることもあるから、ぜひ一発、ハリウッドで当てて帰ってきてほしい」(フジテレビ関係者)という声も。

綾部は又吉作品に「俳優として使ってくれれば」と自虐ネタで笑いをとっていたが、又吉が頭を下げて使いたくなるような役者となるか。

ジャラシーをエネルギーに変えて、『ハリウッドで成功したお笑い芸人』となり帰国する日を夢見て、残した仕事を綾部はこなしていく。

(伊東北斗)

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内戦続く南スーダンに自衛隊をPKO派兵する安倍と稲田の悪魔のような真意

ANN2016年10月9日

綿密に注意深く、原則的な悪事は企図され、真意とは全く異なる言辞を纏いながら5年、10年と時間をかけひたむきな準備が進められる。いかなるステップも当初は踏み外されてはならない。まだ、周りには「目」があったのだ。連中がどのように美辞麗句でその一歩を称賛し、また国際社会の一部にも同意を求める働きかけをしても、揚げ足を取られればその野望が水泡に帰す可能性だって無くはなかった。「目」はたしかに奴らの魂胆を見抜き、最大級の注意で凝視していた。

ANN2016年10月9日

◆はじまりの1992年カンボジアPKO

私が今話題にしようとしているのは自衛隊によるPKO活動だ。1992年カンボジアに送られたPKO自衛隊部隊は「日本軍が第二次世界大戦以降、武器を携行して初めて他国に足を踏み入れる」ことに対して、相当の注意と批判を覚悟していた。この場合の「注意」とはカンボジア現地で自衛隊の犠牲者を出さないことと、自衛隊による発砲により、現地での被害者を出さないことだ。もっとも私は憲法を読む限り「PKO」(平和維持活動)などという欺瞞に満ちた名前であれ「海外派兵」が認められる余地など全くないと考え、さらにPKOは本格的軍事行動解禁への一里塚と感じていたから、絶対反対の立場だった。

ANN2016年10月9日

カンボジアでPKO活動を行った自衛隊は小火器(拳銃、小銃)だけを携行し、当然のことながら「戦闘」を前提とした作戦や計画は公的には準備されていなかった。ポルポト政権下でクメールルージュが虐殺を行い収拾がつかないアジアの国、カンボジア。そのイメージが自衛隊の初「PKO」を可能ならしめた理由のひとつにはあろう。確かにカンボジア内戦は混乱を極めた。ポルポト派、シアヌーク派、ヘンサムリン派などが、時に米国、時に中国、ソ連といった大国を後ろ盾にし、隣国ベトナムでの戦争の余波もあり混乱が繰り広げられた。

ANN2016年10月9日

◆南スーダンを知らない私たち

と、カンボジアの混乱とその大雑把な衝突勢力、背後関係については、曖昧ながら語ることが出来るけれども、例えばボスニア紛争や、南スーダンの内戦、あるいはイエメン内戦の理由と勢力構成を簡略にでも説明できる人はどのくらいいるだろうか。シハヌーク殿下と言えばなんとなく顔が浮かび、ポルポト派と聞けば「虐殺」のイメージが定着してはいる。

他方どうして今、南スーダンで内戦が起こっているのか、南スーダンはいつ、どうしてスーダンから独立したのか、その背後で操る大国がどこで、どのような権益をめぐって争いが起きているのか。それらを熟知している人が一体どれほどこの国にいるだろうか。

知られていない。私だって自信をもってとても語ることはできない。地理的にも情報量も「遠い国」南スーダン。だから自衛隊の初めての「戦闘の地」となる可能性の場所として敢えて「南スーダン」は選ばれたのではないかと私は訝る。


◎[参考動画]「駆けつけ警護」判断へ 稲田大臣が南スーダン訪問(ANNnews2016年10月9日)

◆「駆けつけ警護」と「PKO参加5原則」の明らかな齟齬

ANN2016年10月24日

「駆けつけ警護」が間もなく閣議決定されるという。「駆けつけ警護」とは一体どのような行動を指すのであろうか。

防衛白書は、
いわゆる「駆け付け警護」は、PKOの文民職員やPKOに関わるNGO等が暴徒や難民に取り囲まれるといった危険が生じている状況等において、施設整備等を行う自衛隊の部隊が、現地の治安当局や国連PKO歩兵部隊等よりも現場近くに所在している場合などに、安全を確保しつつ対応できる範囲内で、緊急の要請に応じて応急的、一時的に警護するものです。

いわゆる「駆け付け警護」の実施にあたっては、参加5原則が満たされており、かつ、派遣先国及び紛争当事者の受入れ同意が、国連の活動及びわが国の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められることを前提に、「駆け付け警護」を行うことができることとしました。

これらが満たされていれば、「国家」又は「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することはないので、仮に武器使用を行ったとしても、憲法で禁じられた「武力の行使」にはあたらず、憲法違反となることはありません。
http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2016/html/nc018000.html

と解説している。

ANN2016年10月24日

しかしこの防衛白書は昨年成立した「戦争推進法案」(正式には安保法制と呼ぶらしい)に立脚したものではない。ここで重要なポイントは「参加5原則が満たされており」の5原則である。外務省によると5原則とは、

1)紛争当事者の間で停戦合意が成立していること
2)当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊へのわが国の参加に同意していること。
3)当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
4)上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
5)武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pko/q_a.html#05

と定義されている。

◆「紛争当事者の間で停戦合意が成立」していない南スーダン

ANN2016年10月24日

では南スーダンでは「紛争当事者の間で停戦合意が成立」しているであろうか。してはない。戦闘は続いている。2014年に一旦政府と反政府勢力の間で停戦合意がなされたが、その後停戦合意は崩れ、首都ジェバでは今年夏からだけで300人以上が死亡している(正式な犠牲者数は不明だが戦闘が継続していることは国際的に了解されている状態だ)。

さらに7月11日~12日にかけては、すでに派遣されている自衛隊の宿営地から100mの至近距離で戦闘が行われ、自衛隊は防弾チョッキ、ヘルメットを装着し、身を低く構えていたという。岡部俊哉陸上幕僚長は7月21日の会見で、「宿営地近くでの発砲にともなう流れ弾が上空を通過しているという報告は受けていた。弾頭は日本隊を狙って撃たれたものではないとみている」と「実戦」が行われていたことを認めている。

◆7時間の南スーダン滞在で稲田防衛大臣が掌握した実情とは?

ANN2016年10月24日

稲田防衛大臣は10月8日に7時間だけ南スーダンを訪問し、「(治安が)落ち着いていることを見ることができ、関係者からもそういう風に聞くことができた。持ち帰って政府全体で議論したい」と述べている。わずか7時間の滞在で実情が掌握できるものであろうか。(治安)が落ち着いているというのであれば、南スーダンの政府関係者や、各国のNGOなどと今後の対策について、せめて意見交換くらいはしないものだろうか。

ANN2016年10月24日

私の想像だが、南スーダンの治安状況を鑑みれば「7時間以上の滞在は危険」と防衛省、もしくは政府が判断したのだろう。また、あきれたことに11日参議院の予算委員会で民進党の大野元裕議員の「戦闘ではなかったのか」との質問に稲田は「戦闘行為とは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為」とした上で、南スーダンの事例は「こういった意味における戦闘行為ではない。衝突であると認識している」と答弁している。

稲田のこの答弁は注意深く記録され、記憶されなければならない。純粋な言葉の意味において稲田の「戦闘」の乱暴な「言葉の定義変え」は犯罪的である。どの辞書を開いたら「戦闘」の定義を「国際紛争」を前提としてのみ限定しているというのだ。国内における「戦闘」(内戦)は稲田の定義によれば、「戦闘」ではなく、すべからく「衝突」ということになる。内戦はすべて衝突?そんな馬鹿な解釈があるか。


◎[参考動画]稲田防衛大臣、「駆けつけ警護」訓練を視察(ANNnews2016年10月24日)

◆戦闘が継続している南スーダンに自衛隊を「派兵」させるという実績

要するに岡部俊哉陸上幕僚長が7月21日の会見で述べた通り、戦闘は継続している。したがってPKO5原則に照らせば自衛隊の派遣は出来ない。しかし、政権は是が非でも「駆けつけ警護」を伴った自衛隊の「派兵」実績を作りたい。どうするか。言葉の定義を曲げてしまうのだ。現状認識の議論では太刀打ちできない。屁理屈で「治安は安定している」と言い張ったところで、奴らも戦闘が継続していることはわかっている。そこで「言葉の定義変え」だ。近年政権の得意とする常套手段だ。

現状が法制や憲法に合致せずとも政策を通したい。その際法律に従うのではなく、言葉の意味を変えてしまうのだ。そうまでして奴らは何を目指しているのか。日本から距離と情報量の少ない南スーダンで。奴らは自衛隊の犠牲者が出ることをまさか期待をしてはいまいな。「国際社会のために、日本の名誉を守り平和に貢献した尊い犠牲」とか「この卑怯な暴力にひるむことなく、日本は引き続き国際社会で責任ある態度を断固として取り続けてゆく、そのためには憲法についての議論も深めなければならない。国民の皆さんの真剣な議論を期待する」などといった、予定稿が安倍の上着の内ポケットには準備されてはいまいか(錯覚か)。

奴らの策謀の本質を射抜く「目」の力が弱い。「目」はどこに行った(本当はどこに行ったのか私は何となく心当たりがあるけれど)。「目」を取り戻せ!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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捜査難航の横浜・大口病院「点滴殺人事件」は本当に殺人事件なのか?

横浜市の大口病院で点滴を受けた高齢の男性入院患者2人が相次いで死亡した「点滴殺人事件」は、表面化してから1カ月以上過ぎても容疑者が捕まらない。テレビや新聞では、警察の捜査が難航している様子が伝えられているが、もうそろそろ、こんな疑問が指摘されてもいい頃だろう。この事件はそもそも、本当に殺人事件なのだろうか――。

事件の舞台となった大口病院(横浜市)

◆思い出される「あの事件」

報道によると、大口病院で点滴を受けて亡くなった2人の入院患者、西川惣藏さん(88)と八巻信雄さん(88)の体内からはいずれも医療用消毒液「ヂアミトール」に含まれる界面活性剤の成分が検出されたという。神奈川県警は何者かが注射器を使って点滴にヂアミトールを混入し、2人を中毒死させたと殺人事件とみて、捜査を展開しているとのことである。

しかし、物証は乏しく、捜査は難航。さらに事件後、ナースステーションにあった約10個の未使用点滴袋のゴム栓部分にも針で刺したような小さな穴があいていることがわかり、そのうちのいくつかからは消毒液の成分が検出され、無差別に患者を狙った犯行である可能性も浮上。そのため、動機から犯人を絞り込むこともできないでいる――。

とまあ、報道されている捜査状況を見る限り、容疑者が検挙されそうな雰囲気はまったく感じられないが、こうした情報から、私の脳裏には、かつて日本全国を騒がせた「あの事件」が蘇ってきた。1998年7月に起きた和歌山カレー事件である。

◆1998年の過ち

夏祭りのカレーに何者かがヒ素を混入し、それを食べた60人以上がヒ素中毒に罹患、うち4人が死亡した和歌山カレー事件では、当初、和歌山県警科捜研がカレーに混入された毒物を青酸化合物と誤認。これにより、無差別の大量毒殺事件という見立てで大々的に報じられ、のちに原因毒物が青酸化合物ではなく、ヒ素だったと判明しても、マスコミはその見立てを改めなかった。

そして事件発生の1カ月後、現場近くに住んでいた主婦の林眞須美(55)が事件前にヒ素を使って保険金詐欺を繰り返していた疑惑が浮上すると、マスコミは一斉に犯人と決めつけた報道を展開。結果、眞須美は無実を訴えながら死刑判決を受けたが、動機は未解明のままで、やがて冤罪疑惑が持ち上がる。そうなってからようやく、毒物に関する知識のない人間には「白い粉」にしか見えないヒ素ならば、犯人は殺害目的ではなく、「いたずら」や「いやがらせ」でカレーに混入した可能性もあるのでは・・・という疑問が指摘されるようになった。

「点滴殺人事件」とか「入院患者連続殺人事件」などと報道されている大口病院事件で、同じ過ちが繰り返されている恐れはないだろうか。

◆「傷害致死事件」の可能性

実際、大口病院事件の捜査が難航する中では、「過去にヂアミトールが人体に注入されたケースは少なく、どの程度の量を投与すると死に至るのか明らかではない」(毎日新聞ホームページ10月23日配信記事)などという報道も出始めた。それはつまり、他ならぬ犯人もヂアミトールを点滴に混入することにより、患者が死ぬとは思いもよらなかった可能性もあるということだ。本当にそうならば殺意は認定できないので、この事件は殺人事件ではなく、傷害致死事件ということになり、想定される犯人像も当然変わってくる。

もちろん、神奈川県警はそういう可能性も踏まえて、捜査を展開しているだろう。しかし、テレビや新聞の報道で「殺人事件」と決めつけられている状態と、「本当に殺人事件なのか」という疑問も提示されている状態では、警察のもとに集まる情報も違ってくる。捜査の難航が続く中、この事件を「殺人事件」と決めつけるのは、そろそろやめたほうがいいのではないか。

大口病院の正面入口の貼り紙。外来診療は現在、すべて休診中

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

 「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
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《本間龍08》 完全黙秘「焦土戦術」を展開する電通の本丸にメディアは切り込めるか?

新入社員の労災認定記者会見から始まった電通の激震は、様々な拡がりを見せ始めた。労働局による10月14日の強制調査を受け、将来的な刑事訴追を何としても避けたい同社は、遂に10月24日から22時から朝5時まで全館消灯という、なりふり構わぬ異例の措置に打って出た。

さすがにこれは話題を呼び、テレビを含め多くのメディアで報道された。現実に目の前にある仕事量を減らさずに22時消灯にしても、自宅や他所での隠れたサビ残が増えるだけだが、とにかく目に見える形で労働局や厚労省に白旗を掲げて見せるという、電通一流の派手なパフォーマンスであるといえる。

テレビメディアの殆どはこの22時消灯を論評抜きで伝えていたが、朝日や東京新聞などの活字メディアは、現役や元社員の「サビ残が増えるだけで、何の解決にもならない」という証言を掲載し、その効用に疑問を呈している。


◎[参考動画]電通本社 夜10時に一斉消灯 過労死自殺受け(NHK2016年10月25日)

◆電通が高橋まつりさん自殺にいまだ一度も正式に謝罪しない二つの理由

NHK2016年10月25日
NHK2016年10月25日

しかしこのブログで再三指摘している通り、電通は高橋まつりさんの自殺に関してまだ一度も正式に謝罪していない。また、労働局による強制調査に関しても、公式な見解や会見を開いていない。同社は株式を上場しているれっきとした株式会社であり、ステークホルダーに対する説明責任もあるはずだが、それさえもしていないのだ。

電通自身がスポンサー企業広報に指南している「広報危機管理マニュアル」では、事件や事故に際して企業広報は迅速に情報を公開し、メディアの問い合わせには誠実に対応すべし、と教えている。また、責任がはっきりしている場合は、最高責任者(社長)がきちんと謝罪することが何よりも重要だとしている。それなのに、電通は完全にその真逆をやっているのだ。

これには2つの理由があると思われる。前回も書いたが、電通は高橋さんの自殺に関して会社としての責任を認めていない。認めていないから謝罪など出来るはずがない。だからこそ、広報は「遺族と協議中なので、個別質問には答えられない」と判を押したような回答に終始しているのだ。亡くなってから一年近く経つのに、何を延々と「協議」することがあるのか。

そしてもう一つは、沈黙することによって一切の情報を提供せず、それによってメディアの後追い報道を阻止しようという戦術をとっているのだ。

◆国内メディアを舐めきっている電通

電通は一般消費者を相手にしていないので、多少イメージが悪化しても、ただちに業績に響かない。しかし、謝罪や記者会見を開けば今以上に報道され、労働局の刑事訴追に繋がる恐れがある。さすがに刑事訴追や行政処分となれば、官公庁の競争入札や随意契約から締め出されるから、直接株価に影響する。それを未然に防ぐためには、「情報を提供しないことによる報道阻止」という戦術に出ているのだ。大昔からある、戦争で侵入してきた敵軍に兵糧や水を与えないため、敢えて田畑を焼いて井戸に毒を投げ込む「焦土戦術」のようなものだ。

もちろん、この戦術はメディアを舐めきっている電通だからこそ出来るやり方だ。他の企業なら、情報を出さない姿勢を猛烈に批判されるし、社長は社員の自殺や強制調査の責任を強く問われる。また、社長や自殺した社員の部署責任者への突撃取材なども行われる。しかし、今までの処、電通に対してそれをやったメディアはない。いうなれば今までの報道も、まだまだ堀の外側で騒いでいるに過ぎず、城の本丸には全く切り込めていないのだ。

報道メディアは、本人らの証言が取れない限り、憶測や予想で記事にすることはない。相手はそれを知っていて、黙秘することによって火事の沈静を狙う。そこを、地を這うような取材でひっくり返すことこそメディア側の使命なのだが、「まさかウチに対してそこまではやらないよな」と電通に完全に舐められているのだ。

◆2020年東京五輪の仕切役である電通の企業責任が国会で問われる日

民進党の石橋通宏参院議員(10月25日参院厚生労働委員会)

しかしそれでも、少しずつ「電通によるメディアの統制」という城壁に穴を穿つ動きは拡がっている。3年前にも男性社員が過労死し、労災認定されていたことをNHKが報じ、各社が追随して一斉報道された。

また、厚労省が過去3回にわたり電通を、育児をしながら働きやすい環境づくりに取り組む「子育てサポート企業」に認定していた茶番も明るみに出て、厚労省はこれを取り消す方針だ。さらに14~15年にかけて、東京本社や関西支社での違法な長時間労働があったとして、管轄の労基署から是正勧告を受けていたことも明らかになった。

塩崎恭久厚生労働大臣(10月25日参院厚生労働委員会)

そして遂に国会では、民進党の石橋通宏参院議員が10月25日の参院厚生労働委員会で「厚労省は電通と5年で約10億円の契約実績がある。過労死を出す企業については、状況が改善するまで契約を見直すべきだ」と指摘、塩崎大臣が対処を言明する事態となった。

まさに、このような国会での追及こそ、電通が避けたい「本丸への攻撃」なのだ。労働局による刑事訴追が決定すれば、他の官公庁の業務にも支障が出るし、場合によっては電通社長の参考人質疑もありえる。

刑事訴追を受けるような企業がなぜ広告業界でトップに立ち、官公庁の膨大な業務をはじめ2020年東京オリンピックの仕切役になっているのか。一体、日本の広告業界の構造はどうなっているのか。そしてどうしたら、このような一企業の寡占と横暴を排除できるのか。国民注視の国会の場で追及すべく、メディア各社は臆せず報道を続けるべきだ。


◎[参考動画]2016年10月25日の参議院厚生労働委員会では石橋通宏議員(民進党)が電通と厚生省の契約見直し検討を提起した(電通に関わる質疑答弁は動画09分30秒前後~19分30秒前後まで)

▼本間龍(ほんま りゅう)
1962年生まれ。著述家。博報堂で約18年間営業を担当し2006年に退職。著書に『原発プロパガンダ』(岩波新書2016年)『原発広告』(亜紀書房2013年)『電通と原発報道』(亜紀書房2012年)など。2015年2月より鹿砦社の脱原発雑誌『NO NUKES voice』にて「原発プロパガンダとは何か?」を連載中。

  『NO NUKES voice』第9号 好評連載!本間龍さん「原発プロパガンダとは何か?」
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任期延長をめぐる安倍晋三と朴槿恵の相違 2021年9月まで安倍政権の悪夢

安倍晋三と朴槿恵。この二人には共通点が多い。最大の相似要素は、ご存知のとおり世襲政治家の末裔であることだ。

安倍は農林大臣などを歴任した安倍晋太郎の息子にして、元首相岸信介の孫にあたる。
朴槿恵は元大領領、朴正煕の娘である。軍事独裁政権で民主運動家を散々弾圧したのが朴正煕であった。

両国の歴史上、朴正煕も岸信介も国民から、決して評価の高い最高権力者ではない。しかし残念かつ不幸なことに、両国は「決して評価の高くない」最高権力者よりも、さらに悪質で劣化の激しいその末裔に、再び大統領、首相の地位を与えてしまっている。

◆朴槿恵は自身の能力不足を露骨に口にしながら任期延長を主張

毎日新聞2016年10月26日
朝日新聞2016年10月24日

そして密儀でも交わしたようにこの二人は最高権力者としての任期延長を主張し始めた。

韓国の大統領任期は韓国憲法により、1期5年までで再選は認められていない。朴槿恵は10月24日「1987年に改正された現行憲法について、「韓国政治は大統領選を実施した翌日から再び次期大統領選が始まる政治体制によって、極端な政争と対決構図が日常になってしまった」と指摘。「(任期5年1期という)大統領単任制で政策の連続性が失われ、持続可能な国政課題の推進と結実が難しく、対外的に一貫した外交政策をとることも困難が大きい」と語った。 ※朝日新聞2016年10月24日 

歴代韓国の大統領で、任期半ばにここまで露骨に自身の能力不足を口にした人物は数少ない。

「大統領選を実施した翌日から再び次期大統領選が始まる政治体制」とはよく言い切ったものである。すべての政治活動は権力闘争の一端だ。しかしその中で最も強い権力を手中に収めている人物が、かような発言を行うのは、韓国の憲法が定める規定に問題があるのではなく、朴槿恵自身の政権運営能力が欠如していることを自白しているに過ぎない。

◆来年3月の党大会で党則改正を正式決定する安倍自民

2014年自民党広報
2012年自民党広報

他方、日本の憲法に首相の任期規定はないが、実質的には衆議院議員の投票により選出されるのが首相であるから、現在の議席数を鑑みれば、残念ながら自民党の総裁任期=首相任期ということになる(勿論政権交代の可能性や自民党分裂の可能性がないわけではないが)。現在自民党の総裁任期は党の規定により「2期6年」(1期3年)と定められているが、8月に安倍はそれを「延長したい」と言い始めた。

当初は党内からも異論があった。岸田外相や石破茂らが疑問や異議を唱えていたが、ついに自民党は10月26日、総裁任期について議論する「党・政治制度改革実行本部」の総会を開き、本部長の高村正彦副総裁が示した現行任期の「連続2期6年」を「連続3期9年」に延長する案を了承した。近く総務会にはかり、来年3月の党大会で党則改正を正式決定する、と発表した。 ※毎日新聞2016年10月26日 

◆状況が大きく異なる日韓首脳「任期延長」
──2021年9月まで安倍政権という日本の悪夢

2015年自民党広報

もっとも二人の目指すもの、「任期延長」は同じでも、その足元の状態は大きく異なる。目出度くも日本は大マスコミが政権批判を行わないので、「暴政の牽引車」安倍の支持率が5割以上もあるけれども、朴槿恵の支持率は10月28日現在18%だ。

相次ぐスキャンダル報道により、国民がその実情を知り得るという点で、日本のマスコミは残念ながら韓国の政権批判機能よりも格段に退行している。朴槿恵が浴びせられるスキャンダルやスクープの数に比すれば、安倍に対しての国内報道機関の批判はなんとか弱く、腰が引けていることであろうか。

そして、朴槿恵の思惑は恐らくは成就しないが、安部の模索する自民党総裁の任期延長は実現するだろう。

仮に安倍がこのまま3期目を全うすればその任期は2021年9月までとなる。悪い冗談、いや悪夢はたいがいにしてくれ。

韓国も日本も少子高齢化、経済状態・財政赤字の悪化、資本の寡占化という同様の問題を擁している。経済規模や人口は日本と異なるけれども中国、朝鮮との関係などより深刻な問題に直面する韓国にはそれでも、大きな変化を望む声が日本よりは大きくある。

2016年自民党広報

大学では学生がストライキに立ち上がり、労組が大規模なゼネストを打ったりしている(こういったニュースも日本ではほぼ報じられない。したがって日本にいるとよほど意欲がなければ隣国の実情もマスコミから知ることはできない)。

18%の支持率という死に体大統領と、是が非でも東京オリンピックを首相で迎えたい、改憲主義、好戦主義首相。不幸な時代には頭脳の貧しい指導者が似つかわしいのか。それとも最悪の時代を迎えるにあたって、この二人を最高権力者の座に導いた有権者こそが指弾されるべきなのであろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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組んだ「相棒」が悪かった? 高樹沙耶大麻取締法違反容疑をめぐる背景人脈

元女優の高樹沙耶容疑者が25日、沖縄県石垣市で乾燥大麻を数十グラム所持していたとして、大麻取締法違反の疑いで関東信越厚生局麻薬取締部に現行犯逮捕されたことを、各メディアが大々的に報じ、メディアやネットはもう〝祭り状態〟だ。

 
高樹沙耶『心の楽園に住む』(2004年集英社be文庫)

高樹容疑者と、同罪で逮捕された同居している男2人は、石垣市の高樹容疑者の自宅で大量の乾燥大麻を隠し持っていた疑いも浮上。報道されていない事実として大麻栽培に絡めて高樹は「移住した石垣島でクラブを設営、大麻フリーにしたいという願望があった」と芸能関係者。

「どこかだまされやすい性格の高樹は、アーティストの中西圭三と離婚して、慰謝料をがっぽりもらったとかんちがいされて投資家やプランナーが寄りついて来ましたが、実際の生活はそんなに豊かではありません。金遣いがとにかく荒かった。高樹はバブル時代に湯水のごとく金を使って遊んでいたタイプで高級ブランドの香水や服には目がなかったようです」(同)

高樹容疑者は5年前に石垣島に移住し、リゾート施設を昨年2月にオープン、自宅では男性2人と暮らしていた。そのうちの男性のひとりに、「クラブ計画」をそそのかされたようだ。石垣島で「大型のクラブを作り、観光の目玉にしたい」と地元のツアー会社にも働きかけていたという高樹だが、まったく一枚の企画書も作らずに相手にされなかったとも。

 
高樹沙耶『マイ・ブルー・ヘヴン』(2003年毎日新聞社)

今年の参院選に出馬するも政策が「医療用大麻の合法化」だったが、これは我田引水で、自分たちが大麻を楽しめるきっかけにすぎないと見られても仕方がない。石垣島の住民も「元女優さんということで観光客が住居を見に来たりしていましたが。私たち島の住民までもが大麻をたしなんでいるのではないかと見られるのがとても嫌ですね」(40代男性)と迷惑の声が多数。石垣島に移住した後、高樹は自身のブログで「大麻草検証委員会」の幹事就任を表明し、島に大麻草を植えたことが発覚、一度は石垣島を追われた。

「参議院選挙に落選してから、高樹は奇行が目立つようになり、明け方の4時ごろに道路をビキニ姿でひとりで疾走していた目撃談もあります。逮捕直前は、かなり大麻にのめりこんでいっていたのではないでしょうか」(同) 

しかし、高樹容疑者は「私のものではありません」と容疑を否定しているという。
「裏社会的にみると、脱法ドラッグが軒並み摘発されて、ドラッグ愛好家たちの大麻に対するニーズが高まって、大麻を売ればすぐに現金になったのは確か。もしも仮に販売まで手がけていたとしたら、かなり悪質だ」(警視庁関係者)

このにわか大麻ブームにのり「大麻を楽しめるクラブ」を隠密にオープンしようとしたとしたら、あまりにも浅はかだ。

ネットでは「大麻の島」などと書き込まれている石垣島だが、実際に、島へのツアーをキャンセルする客も増え始めた。

「じょじょにですが、島へのツアーはキャンセルは出てきましたが、まだ打撃が出るレベルではありません」とJTB関係者。

沖縄県観光協会関係者は「今回の高樹容疑者の事件は石垣島のイメージを悪くしたと思う。観光客数に影響が出なければいいが」と嘆く。また「観光客が減ると思うがやはり今回の事件は痛いか」と「石垣市観光文化課」に聞いてみたが「ニュースで見て残念だと思いましたが、起きてしまったことはしかたがありません」(職員)とのことで声色からがっかり感が漂うのは否めない。

かつて女優としての絶頂期だった80年代に「沙耶のいる透視図」「チ・ン・ピ・ラ」などで摩訶不思議な独特の色香に夢中になったファンや、最近では『相棒』の料亭の女将役での雰囲気ある演技が魅力だったが「大麻クラブ」は絵に書いた餅。もしもクラブを男性がもちかけていて高樹がその気になっていたとしたら組んだ「相棒」が悪かったとしか言い様がない。

(伊東北斗)

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T-98(今村卓也)がタイのラジャダムナンスタジアムでムエタイ王座初防衛の快挙!

ボディブローもダメージを与える有効技

T-98(今村卓也)が10月9日、日本人として初の(外国人として2人目の)現地ラジャダムナンスタジアムで防衛を果たす快挙、更なる証しに挑戦です。

◆タイ国ラジャダムナンスタジアム・スーパーウェルター級(154LBS)タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.T-98(今村卓也/クロスポイント吉祥寺)
VS
挑戦者.プーム・アンスクンビット(タイ)

勝者:T-98 / TKO 3R / カウント8でレフェリーストップ

一瞬の隙を突いたヒジ打ちは要注意。やはり上手い現地のランカー
一瞬、危なかったプームのハイキック
ダメージを重ねたT-98の右ローキック

開始からT-98が右ローキックで、圧力かけるように前へ出る展開。足効かせて勝利を導く狙いがあるような流れでした。プームは、ヒジ打ちのタイミングやハイキック、組んで転ばす技はやはり上手で、後半にいくほど厄介さを感じさせます。

T-98のローキックは見た目地味にもコツコツ強く蹴り続け、ボディブローもヒットさせ、ひとつひとつの攻防に絶対劣勢に立たない、ダメージを与えられる打撃は何でも出す圧力を続けました。

力尽きたプームは心折れた表情で立てず

プームが組んでヒザ蹴りで出てきてもT-98は応戦し負けない蹴り合い。コツコツ蹴り続けた右ローキックで、3Rに最後の強烈な一発を食らって限界にきたプームはあっけなく崩れ落ちてしまい、キツさを表情に出してギブアップ状態。レフェリーはカウント途中で止め、T-98のTKO勝利。

T-98は感じていたプレッシャーから開放されたように喜び飛び跳ね、応援に来ていたリングサイドのファンに手を振っていました。

プレッシャーから開放された喜びのT-98

T-98は6月1日に後楽園ホールに於いて、REEBLS興行でのラジャダムナンスタジアム・スーパーウェルター級級王座挑戦し、チャンピオン.ナーヴィー・イーグルムエタイ(タイ)に判定勝ちし王座を獲得。日本人5人目となるラジャダムナンスタジアムのチャンピオンとなりました。

今回の防衛戦は前チャンピオンのナーヴィーとのダイレクトマッチが予定されていましたが、直前にプーム・アンスクンビットに変更となりました。

これでT-98は現役ラジャダムナン・スーパーウェルター級チャンピオンとして12月5日の「KNOCK OUT興行」に出場し、長島自演乙雄一郎と対戦することになります。

取材戦記

二大殿堂のラジャダムナンスタジアムに対するルンピニースタジアムでは、過去にムラッド・サリとダミアン・アラモスのフランス人選手2人がスーパーライト級で王座に就いています。

ラジャダムナン王座にタイ人以外の外国人が就いたのは過去、藤原敏男(ライト級)、小笠原仁(スーパーウェルター級)、武田幸三(ウェルター級)、石井宏樹(スーパーライト級)、ジョイシー・イングラムジム(ウェルター級)とT-98で6人目。現地ラジャダムナンスタジアムで防衛に成功したのは、ジョイシー・イングラムジム(ブラジル)に次ぐ2人目でした。ジョイシーが2度目の防衛を果たした時の相手がナーヴィー・イーグルムエタイで、ジョイシーが王座返上後にナーヴィーが王座決定戦で奪取していました。

ムエタイ二大殿堂王座は、その王座を奪取すれば、その階級で頂点に就いたと証しとなりますが、真のチャンピオンに達したと認められるには、賭け屋(ギャンブラー)と言われる観衆の大声援による支持が証しとされます。

現地で日本人チャンピオンの手が挙げられる
現地での堂々の防衛で勝者コールを受ける

タイは民族的に身体が小柄で、ボクシング、ムエタイにおいても軽量級が激戦区で、線引きするなら60kgに満たないクラス(スーパーフェザー級)までを指されます。そこで頂点を極めるのは至難の業で、日本人挑戦者も過去7人が挑戦していずれも撥ね返されており、センスや実力があっても獲れなければ無名のまま。その中には梅野源治も江幡ツインズもいます。

60kgを超えると中・重量級であるが故、層が薄いと言われるムエタイ王座ですが、そんな重量級の選手にとって、王座奪取してもより付加価値を付けなければ世間に認めてもらえない厳しさがあります。

T-98がまず目指したのは、「現地で防衛してこそ本物のチャンピオン」と言われる称号で、その第一歩に成功。更には今後、賭け屋の支持を多く受けなければならない難度な道程です。

過去の外国人ラジャダムナンチャンピオン全6人の内、藤原敏男氏は唯一、タイのトップクラスとの現地での激しい試合が賭け屋の支持を多く受けたチャンピオンでした。1977年4月、現地でノンタイトル戦ながら現役チャンピオンに判定勝ちする快挙を果たした後、王座奪取は1978年3月18日の後楽園ホールでしたが、初防衛戦は期間が3ヶ月弱での6月7日、現地ラジャダムナンスタジアム。短い期間で初防衛戦を迎え大声援の中、接戦の判定負けを喫しました。「藤原は勝っていた」という賭け屋の支持も多く、防衛は成りませんでしたが、藤原氏の名声は今も語り継がれるほど、現地のファンも当時のランカーもレフェリーも記憶に残る名選手でした。

藤原敏男氏の知名度には及ばないですが、これに次ぐ実績を残したのが、ブラジルのショイシー・イングラムジム(ジョス・ロドリゲス・メンドーサ)。彼は2013年7月、ラジャダムナン・ウェルター級王座を現地で奪取し、2014年9月、日本で田中秀弥(RIKIX)の挑戦を退け初防衛し、2015年6月、2度目の防衛戦で再び現地でナーヴィー相手に防衛を果たす、現地で獲って現地で防衛する実績を残ました。いずれも技術と駆け引きで優って勝つのは難しいと言われる判定勝ちでした。ノンタイトル戦で緑川創(藤本)も下している、日本でも名を知らしめた選手です。

T-98に懸かる期待は藤原氏とジョイシーの二人を超えること。対戦候補となるジョイシーは現役のトップクラスでいます。前チャンピオン. ナーヴィー・イーグルムエタイも現地での再戦を待っているでしょう。更に日本人同士のラジャダムナンタイトルマッチも計画されているという、日本を含め、外国にも強豪はまだいる重量級です。

チャンピオンベルトという物的証しの上に、一人一人のファンが集まって大群集となるファンの支持力が真のチャンピオンの証しとなり、そこではノンタイトル戦であっても大群衆は注目します。T-98は重量級であっても自身の名声を高める戦いは今後も続き、層が薄いと言われている現状でも、好カードで現地防衛を重ねることが一番価値を残すでしょう。

控室側にある撮影ブースで、応援の旅に付いて来てくれた仲間と記念撮影

《追記》

8月31日(水)、現地でのラジャダムナンスタジアム・ミドル級タイトルマッチで、チャンピオンのコムペットレック・ルークプラバートを4R、ボディブローで倒し、TKO勝利したユセフ・ボーネン(フランス)が、ラジャダムナンスタジアムの外国人7人目のチャンピオンとなっています。

また10月23日(日)、ディファ有明でのREBELS興行で行なわれた、ラジャダムナンスタジアム・ライト級タイトルマッチで、チャンピオンのヨードレックペット・オー・ピティサックを、判定3-0で破った梅野源治(PHOENIX)が、ラジャダムナンスタジアムの外国人8人目のチャンピオンとなっています。

[現地撮影]Mr.Pornchai Udomsomporn (weekly MUAY TU)
[文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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冤罪疑惑の処刑から8年 飯塚事件死刑執行責任者たちの実名

1992年2月に福岡県飯塚市で小1の女児2人が殺害された「飯塚事件」で、一貫して無実を訴えていた死刑囚の久間三千年氏(享年70)に対する死刑が執行されてこの10月28日で8年。足利事件と同じく科警研による黎明期の稚拙なDNA型鑑定が有罪の決め手とされていたことなどから「冤罪処刑」を疑う声が根強く、福岡高裁で現在進行中の再審請求即時抗告審の行方は予断を許さない。久間氏の死刑執行に関与した「責任者」たちはこの事件に関し、どのように考えているのか――。

◆情報公開請求により死刑執行責任者たちを特定

死刑は、法務大臣の命令により執行されるが、執行手続きには他にも多くの者が関わっている。そこで、法務省と福岡矯正管区に対して情報公開請求したところ、責任ある立場で久間氏の死刑執行に関与した者たちが多数特定できた。執行手続きの流れに沿い、紹介しよう。

死刑判決が確定すると、まず「執行の指揮をすべき検察官の属する検察庁の長」が法務大臣に対し、死刑執行に関する上申をする決まりだ。久間氏の場合は上告棄却の約5カ月後の2007年2月7日、福岡高検の佐渡賢一検事長が長勢甚遠法務大臣に対し、死刑執行命令を求める「上申書」を提出している。法務省では、この上申があると、刑事局で参事官や局付検事が裁判の記録などを検証し、死刑執行に問題がないという結論に至れば、死刑執行に必要な文書を起案するのである。

では、久間氏の死刑が執行された際、法務省では具体的にどんな決裁がなされたのか。

まず、上申から1年8カ月余り経った2008年10月24日、刑事局総務課名義で「死刑執行について」と題する文書が起案され、同日中に決裁されていた。開示された文書は久間氏の姓名や生年月日、裁判で認定された犯罪事実以外の部分がほとんど黒塗りされていたが、表紙にはこの文書を決裁した法務省幹部6人(尾﨑道明矯正局長、大塲亮太郎矯正局総務課長、富山聡矯正局成人矯正課長、坂井文雄保護局長、柿澤正夫保護局総務課長、大矢裕保護局総務課恩赦管理官)の押印が確認できた。

また、同じ日に「死刑事件審査結果(執行相当)」という文書が作成され、森英介法務大臣と佐藤剛男(たつお)法務副大臣の2人がサインし、法務省幹部5人(小津博司事務次官、稲田伸夫官房長、中川清明秘書課長、大野恒太郎刑事局長、甲斐行夫刑事局総務課長)が押印していたこともわかった。つまり、判明した限りでも森法務大臣と佐藤法務副大臣に加え、計11人の法務省幹部が久間氏に対する死刑執行が相当だという決裁をしたわけである。

◆1日の間に慌ただしく進められた死刑執行手続き

久間氏に対する死刑執行が相当だという決裁がなされると、同日中に早くも死刑執行命令書が作成されていた。それは次のような内容だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

福岡高等検察庁検事長 栃木庄太郎

平成19年2月7日上申に係る久間3千年に対する死刑執行の件は、裁判言渡しのとおり執行せよ。

平成20年10月24日 法務大臣 森英介

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

法務省が開示した文書によると、福岡高検の栃木庄太郎検事長はこの死刑執行命令書を作成当日に受領したとされているが、これにはさすがに違和感がある。1日のうちに起案から決裁をすべて済ませ、死刑執行命令書を作成し、さらにそれを法務省がある東京・霞が関から福岡まで運ぶのは時間的に無理だと思えるからだ。法務省の担当者たちは、各文書に記載された決裁の日付よりずいぶん前に実質的な決裁を済ませていたことは間違いない。

しかしともかく刑事訴訟法では、法務大臣の命令があったときから5日以内に死刑は執行されなければならないと定められている。関係文書によると、久間氏の場合も3日後の10月27日、福岡高検の担当検察官により「死刑執行指揮書」が作成され、翌28日に福岡拘置所で死刑が執行されている。こうして久間氏は再審請求を準備していた中、絞首刑に処され、生命を奪われたのだ。

今も現職の衆議院議員として活動する森英介氏の事務所のHP

◆死刑執行の責任者たちに取材を申し入れた

私は、執行手続きに関与した責任者たちのうち、とくに責任が重い立場にあった3人に取材を申し入れた。

まず、森英介氏。2008年9月に法務大臣に就任し、その翌月に早くも久間氏に対する死刑執行命令を発した森氏は、現在も現職の衆議院議員だ。私は森氏に対し、電話とファックスで取材を申し入れたが、担当秘書から次のような回答があった。

「森に確認したところ、とくにお答えすることがないと申しております」

公式ホームページによると、森氏の座右の銘は「人生の最も苦しい、いやな、辛い損な場面を真っ先に微笑をもって担当せよ」とのことだが、森氏の態度はこれに反するように思えた。

一方、死刑執行を相当だと決裁した11人の法務省の幹部の中からは2人に取材を申し入れた。

トヨタのHPに監査役として紹介されている小津博司氏

まず、法務省の事務方ではトップの事務次官だった小津博司氏。1974年に検事任官し、最終的に法務・検察の最高位である検事総長に上り詰めたエリートだ。退官後は弁護士に転じ、現在はトヨタ自動車や三井物産の監査役を務めている。私が昨年6月、この小津氏に手紙で取材を申し入れたところ、次のような返事の手紙が届いた。

〈6月16日付のお手紙拝受いたしました。小生に対する取材のお申し込みですが、退官後、このような取材は全くお受けしておりません。この度のお申し出もお受けすることはできませんので、悪しからずご了解いただき、今後の連絡もお控えいただきますよう、お願いいたします。用件のみにて失礼いたします。〉

言葉は丁寧だが、強い拒絶の意思が感じ取れる文章だ。

法務省のHPで検事を志す若者にメッセージを送った大野恒太郎氏

当時の法務省幹部の中から取材対象者に選んだもう1人は、死刑執行に必要な文書を起案した刑事局の局長だった大野恒太郎氏。小津氏の退官後に検事総長を務め、今年の9月に勇退。執筆時点で勇退後の進路は不明だが、天下りするなら「選び放題」なのは間違いない。

私が大野氏に手紙で取材を申し入れたのは、大野氏がまだ検事総長の地位にあった昨年6月のこと。ほどなくして最高検企画調査課の検察事務官から電話で次のような返事があった。

「今回の取材申し入れに関しては、大変恐縮なんですが、お断りさせて頂きたいということです」

私はこの検察事務官に対し、大野氏がいかなる理由で取材を断るのか尋ねたが、「とくに賜っておりません」とのこと。取材を断られたのは予想通りだが、大野氏はもちろん、周辺の検察職員たちも飯塚事件関係の話題にはナーバスになっている雰囲気が窺えた。

このように久間氏の死刑執行に責任ある立場で関与した者たちから木で鼻をくくったような対応で取材を拒否され、私は改めて思った。奪われた生命は取り戻せないが、一日も早く久間氏の雪冤、名誉回復が果たされて欲しい、と――。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

<追記>
久間氏の死刑執行に関与しながら、私の取材に応じた検察幹部も実は2人いるのだが、その詳細は、2月に発売された私の編著「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(鹿砦社)で報告している。また、同書では、本稿で紹介したものをはじめ、久間氏に対する死刑執行の過程で作成された文書を多数公開している。

 「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
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「Hey!Say!JUMP」伊野尾慧は肉食女優、明日花に「釣り上げ」られたのか?

ジャニーズの「Hey!Say!JUMP」の伊野尾慧が今年の1月に人気セクシー女優の明日花とシンガポールの高級ホテルで密会デートしていたのが週刊誌にスクープされ、伊野尾ファンから「伊野尾が明日花に振り回されているのではないか」と心配の声があがっている。

 
Hey! Say! JUMP OTAKARA写真館(ジャニーズ研究会)

なぜか。明日花は07年にデビューしたベテランセクシー女優で、主演作が100本以上ながらいまだに売り上げでトップ10に名前を連ねる人気ぶり。ダルビッシュとの14年に温泉デートが報じられたことで知られる。大物喰いの肉食女優と知られる明日花がまた「釣り上げたか」と業界からの声。

「明日花は感情に起伏が激しくて、インタビューや撮影ではノリノリなときと、ふさぎこんでまったくしゃべらないタイミングとの落差が激しい。酔っ払って撮影場に来て『今日ははりっていこう!』とスタッフを激励した直後、楽屋からでてこなくなったりと、ものすごく感情のブレが激しい」(AVライター)

ネットでも「キララって誰? と思って調べたら絶望した」「ダルビッシュのお古じゃん」などと書き込みがあいついでいる。
 
「奇行も重なれば一種の武勇伝みたいになる。撮影中に唐突に『(気分がのらないから)と帰ったのも、絶頂期に『海外でロケしたい』と言って膨大な旅行予算が組まれたが『気が変わった』として国内ロケに切り替えたりしたのも、こうなると奇行すらも『大物のレジェンド』という気がしてきたとスタッフたちが話をしていました」(同)

とにかく酒豪で、酔っての奇行は数知れず。酔ってくるとシャンパンやワインをらっぱ飲み。同時に酔うとすごいセックスをするというので、スタッフたちも「酒臭い現場入りを容認していた」とも。どうせなら、酔ってどうなるかをドキュメントで追った作品が残っているほど。

「明日花は『明日花キララが人生で一番酔っぱらって乱れた夜』という作品で『酔っ払うとどんだけでも食べれるよね。帰りにラーメン屋行こうか』などと言いつつシャンパンやワインをラッパのみした上で、自ら脱ぎ出して下着姿に。やがて監督に「え、私とやりたいんですか」「(私と)やる?」と誘惑。監督が男優を朝の4時に呼ぶと、ものすごい激しい腰使いの騎乗位で男優に襲いかかるのです。このときはイベント終わりのだまし撮影で、ガチで素顔の明日花の“乱れた普段顔”が見れたのだが、本当に酒が入るとセックスをせがむ体質なのが露呈された」(同)

酔った勢いで迫られ、明日花の凄腕テクで伊野尾が「完落ち」したのかは不明だが、かなり男を「狂わせる」セクシーさとテクをもった明日花。シンガポールでのいちゃつきが報道された直後、ジャニーズ事務所では、メリー喜多川副社長が「あんたはもう、仕事場と家を往復するだけにしなさい」と伊野尾に激怒したとされる。

「どちらにせよ、この件については『触れるべからず』みたいな雰囲気がある。結局、伊野尾の“一晩だけの火遊び”の代償は高くつき、ジャニーズ事務所が明日花サイドに口止めしたとみるのが妥当でしょう」(芸能関係者)

確かに、ジャニーズ事務所は交際を否定し、明日花キララは9月27日にツイッターで「誌面にも出ている通りお相手の男性とはお話ししていただけで、交際の事実も一切ないです」としたが、何かの圧力からか、後にコメントが削除された。

有吉弘行と夏目三久が交際、妊娠の報道も業界の圧力でいつしか世間から「なかったこと」にされつつあるが、それなりに圧力がかかった明日花と伊野尾の逢瀬の裏には、セクシー女優の肉欲に落ちた男性アイドルという構図が透けて見える。

(伊東北斗)

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発生から7年目の「未解決」島根女子大生バラバラ殺人 本当に猟奇犯なのか

島根県立大学1年生の平岡都さん(当時19)が2009年10月26日、アルバイト先から帰宅途中に行方不明になり、バラバラ遺体で見つかった事件から7年が過ぎた。社会を震撼させた事件は今も未解決だが、犯人は一体どんな人物なのか。現場を訪ね、事件の真相に思いを馳せた。

◆「犯人は土地勘あり」と示す遺体遺棄現場

平岡さんの遺体が見つかったのは広島県北広島町の臥龍山の山中だった。平岡さんが行方不明になって10日後の11月6日、キノコ狩りに来ていた男性が崖下で人間の頭部を発見し、警察に通報。警察の捜査で周辺から胴体、左足の一部などバラバラになった遺体が見つかり、DNA型鑑定で平岡さんの遺体と特定された。このように遺体の発見状況が凄惨だったため、この事件は猟奇的な性癖を持つ人物による犯行ではないかと報道され、社会を震撼させたのだ。

私が現地を訪ね、まず最初に感じたのは、犯人は遺体遺棄現場に土地勘があった可能性が高いのではないかということだ。というのも、平岡さんが生前最後に目撃されたアルバイト先のショッピングセンター「ゆめタウン浜田」から臥龍山の遺体遺棄現場までは最短ルートを通っても40キロ以上ある。しかも国道191号から臥龍山の登山道に入る地点には道案内の標識が出ているが、遺体遺棄現場までたどり着くにはクネクネした登山道をけっこう登らねばならない。平岡さんが殺害された時間や場所は不明だが、土地勘のない人物が訪ねそうな場所には到底思えなかったのだ。

臥龍山の車が走れる道の最も高い場所にある転回場。この周辺の崖下で遺体が見つかった

◆遺体がバラバラゆえに猟奇的事件と報道されたが・・・

私がもう1つ疑問に感じたのは、この事件が本当に猟奇的な事件なのか、ということだ。というのも、バラバラになった遺体が見つかった臥龍山の現場は草木が生い茂り、いかにも多くの野生動物が生息していそうな雰囲気だった。要するに、遺体をバラバラにしたのは犯人ではなく、野生動物の可能性もあるのではないかと思えたのである。

私は過去、この事件と同じように山中に若い女性の遺体が遺棄された殺人事件を取材したことがあるが、その事件で女性の遺体はそのままの状態で遺棄されたにも関わらず、短期間で頭部と胴体が分断され、バラバラの状態で発見されていた。マスコミは殺人事件をセンセーショナルに報道したがるが、遺体の悲惨な状況だけを根拠にこの事件を猟奇的な人物による犯行だと決めつけると、社会をミスリードする危険もあるように思えた。

この事件は警察庁の捜査特別報奨金制度の対象事件となっており、警察に提供した情報が事件解決につながれば、最大で300万円の支払いを受けられる。気になる情報を持ちながら、「猟奇的な殺人事件」と関係ない情報に思えて警察に通報できないでいる人がいれば、臆せずに警察に情報提供してみるべきだろう。

遺体遺棄現場近くの転回場には、警察が情報を求める看板

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

 「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
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