琉球の風2017報告〈2〉宇崎竜童、知名定男、宮沢和史 朽ちることなき魂たち

◆「声が出るか、それだけが心配なんだけどね」(宇崎竜童)

オープニングでステージに勢ぞろいしたメンバーは笑顔で一度楽屋に引き上げた。あれ? 宇崎竜童さんの姿は見落としたのかな? あの印象深い姿、そばにいればきづかないはずはないのだが。しばらくしてもう一度楽屋を覗くと、宇崎さんはどなたかと打ち合わせをしている。やっぱり自分の見落としだったな。と思い直し、打ち合わせが終わった宇崎さんにご挨拶にうかがった。

「いやーきのうから体調が悪くてね。オープニングは勘弁してもらったんですよ。いまも薬飲んだんだけど……」と、相当に体調が悪いようだ。

「ステージだけはね。なんとかやりますよ。声が出るか、それだけが心配なんだけどね」

弱音を吐かない宇崎さんがここまで言うのだからかなりしんどいに違いない。

◆「きょう島唄は歌いません。腹に力が入らないと歌えないからね」(知名定男)

体調の話では、知名定男さんも3月に大腸がんの手術を受けてから、初めてのステージだった。この日の知名さんは一味も二味も違っていた。優しさと喜びの中に鬼気迫る歌声。知名さんお一人での演奏では「好きにならずにはいられない」も飛び出すし、宮沢和史さんのステージではセッションでデビュー曲を歌う。HY、ネーネーズその他のミュージシャンのバックで何度三線を弾いていたことだろうか。

オープニング前にお話を伺った時には、「きょう島唄は歌いません。島唄は腹に力が入らないと歌えないからね。手術のあと抗がん剤治療がようやく終わったんだけど、まだ本調子ではないですね。味覚が鈍っていて味がわからない。タバコだけはうまいんだよね」と話していた知名さん。「ご病気のことは記事にしてもいいですか」と伺うと「まあ、いいんじゃないですか」とお許しいただいていたが、なんのことはない。宮沢和史さんとのセッションのなかで自分から「今年は大腸がんになっちゃって」と暴露してしまっていた(それを聞いて心配するでもなく笑いで返した聴衆も見事だった)。

◆「2曲目、サングラスでいくから」(宇崎竜童)

宇崎さんは出番が近づくと、舞台のそでで発声練習を始めた。やはり声に不安があるのだろう。「1曲終わったらすぐ引き上げて、2曲目、サングラスでいくから」とスタッフに声をかけ、ステージに歩を進めていった。

宇崎さんは知名さんと異なり、一切体調のことは語らなかった。そして、そでから数メートルしか離れていないが観衆の声援に迎えられたステージの中央は「別世界」なのだろう。

宇崎さんは暴れまくった。例年歌う「沖縄ベイブルース」を封印して、あえてアップテンポの攻めの姿勢だ。高い音域の声も通っている。聴衆の中で宇崎さんの体調不良に気が付いた人はいなかっただろう。

◆「今年は元気になりましたよ。去年とは全然違います」(宮沢和史)

大御所2人と正反対に、昨年と別人のように元気になった人がいた。宮沢和史さんだ。毎年さして長い会話を交わすわけではないが、同世代として「50代の体の不調」について言葉を交わすのが、私的にはひそかな楽しみなのだが、良い意味で今年は完全に裏切られた。

顔を覚えていて下さった宮沢さんと握手をすると「今年は元気になりましたよ。去年とは全然違います」と好調ぶりを強調。こちらは順調に右肩下がりに年齢を感じる毎日、同年齢相哀れみながらも、必死で頑張る姿をお互いに確認しようと思っていたら、なんのことはない。念入りな準備運動を仕上げて上ったステージでは走り回る、飛ぶ、跳ねる。これじゃあ20代のThe Boomの時より元気じゃないか!

宮沢さんのこんなにはじけた姿は初めて見た。でも彼は「人物」だ。オープニングでは第一列に姿を見せればよさそうなものだが、さりげなく第一列から少し下がり、沖縄のミュージシャンを際立たせていた。事前リハーサルで決めていたのではなく、きっと宮沢さんの配慮だろう。楽曲のすばらしさもさることながら、人間として誠実で、立派な人だと会うたびに感銘を受ける。

「歌うのが結構ストレスになっていましたね」と去年語っていた宮沢さん。この日は幸せを全身で表現していた。そして彼は「琉球の風」をわがものとして愛していることが言葉の端々に伺えた。声の艶がさらに円熟味を増したように感じる。

艶や後ろ姿や高音の伸びが全盛期(35年ほど前)の沢田研二にどこか似ているような気がしたので、演奏が終わった宮沢さんに「もしお嫌いだったら失礼ですけど、沢田研二さんにちょっと雰囲気が似てきましたね」と無謀にも語り掛けたら、肩を引き寄せられ、「それって、いい意味ですよね?」といたずらっぽい目つきで聞かれた。「もちろん。いまの沢田研二さんじゃないですよ。全盛期のね」と返したら。背中をポンポンと叩かれた。宮沢和史、稀にみる好漢である。

▼田所敏夫(たどころ としお)[文・写真]
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

 

「琉球の風2017」記念エコバッグをデジ鹿読者10名様にプレゼント!
写真のエコバッグは毎回「琉球の風」の会場で先着1000名様にプレゼントしているものです(版画=名嘉睦稔、題字=龍一郎、鹿砦社提供)。少し余分がありますので、このデジタル鹿砦社通信をご覧になっている方10名様にプレゼントします。ご希望の方は私宛メールアドレス(matsuoka@rokusaisha.com)にお申し込みください。(鹿砦社代表・松岡利康)

『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』特別限定保存版(「琉球の風」実行委員会=編)
『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』通常版(「琉球の風」実行委員会=編)

琉球の風2017報告〈1〉「今年は空気感が違う」 沖縄の魂が熊本に集う一日!

オープニングではステージに所狭しとミュージシャンたちが集まった
ミス沖縄2017の町田満彩智(まちだ・まあち)さん
開演前の会場「今年は空気感が違う」

9月24日熊本フードパルで9回目を迎えた「琉球の風~島から島へ~2017」が行われた。暑くもなく寒くもないすごしやすい天候の下、例年にも増して、多くの聴衆があっという間の6時間を堪能した。

会場は芝生の上に座る自由席なので、至近距離からステージを眺めることは容易であるが、この日入場を待つ列の先頭には朝6:30分から人が並び始めた(!)。会場を待つ最先頭の女性は「鹿児島からHYを見に来ました」と5時間以上の待機にも疲れの様子はない。

12時、ミス沖縄の方々が出迎えるなか、開場が始まると入り口からどんどん走ってくる人たちの姿が。広い会場でも少しでもステージに近い場所でミュージシャンの顔が見たいのは当然の気持ちだろう。

◆1週間前に前売り2000枚完売!

入場直後の聴衆の数は正確にはわからないが昨年、一昨年よりも目算でははるかに多い。実行委員会によると1週間前に前売りの2000枚は完売していたという。天気予報でも好天が予想されたうえ、今年は常連の大御所に加え、6:30から開門を待つファンを惹きつけたHYとMONGOL800の出演が明らかに観客数の増加に繋がっていたことだろう。

鹿砦社もスポンサーとして可能な限りの応援をしながら、毎年楽しませていただける貴重なイベントだ。まずは総合プロデューサー、知名定男さんにご挨拶に伺う。知名さんは楽屋外の屋外テントの机に「琉球の風」を始めた東濱弘憲さんの遺影とともに座っている。ここは知名さん毎年の定位置だ。

総合プロデューサーの知名定男さん(右)と鹿砦社松岡社長。東濱弘憲さんの遺影とともに

◆雰囲気も顔ぶれも素晴らしすぎる!

テントの横の合同楽屋では、和気あいあいと出演ミュージシャンたちが歓談を交わしたり、音合わせをしている。既にアルコールに手が伸びている人の姿もちらほら。宮沢和史、島袋優(BEGIN)、ネーネーズ、かりゆし58、HY、MONGOL800のキヨサク……。おいおい!これだけの顔ぶれが一部屋に揃うことは「琉球の風」の楽屋をおいて、ほかにどこかあるだろうか!

雰囲気も顔ぶれも素晴らしすぎる!

◆「琉球國祭り太鼓」のエイサーで喜びの地響きとともに開演!

13:00、「琉球國祭り太鼓」約50名のエイサー、地響きとともに「琉球の風」は開幕した。例年参加ミュージシャンからは異口同音に「ここは特別」、「こんなに楽しいイベントはない」と耳にするが、今年は最初から会場の空気感が違う。会場全体が開演前から数的な多さだけでない「喜び」のようなものに包まれている。エイサーを演じる「琉球國祭り太鼓」のメンバーの笑顔が素敵だ。

「琉球國祭り太鼓」メンバーの笑顔が素敵だ
「琉球國祭り太鼓」のっけから盛り上がる
会場で本を購入した人にもれなく無料で書家、龍一郎さんがお好みの言葉を書いてプレゼント!

鹿砦社も「島唄よ風になれ!『琉球の風』と東濱弘憲」を販売するブースを出し、松岡社長以下関係者が顔を揃える。ステージの字幕はじめ、鹿砦社関係のロゴなどの多くを手掛ける書家、龍一郎さんは本を購入した人に無料で色紙にお好みの言葉を書いてプレゼントするという特典付きだ。

メンバーがそろったところで、「これさ、ちょっとどうかと思うんだよね」ミュージシャン出演順の表を見ながら松岡が首をかしげる。ネーネーズ、キヨサク、HY、宇崎竜童、宮沢和史らビッグネームの出演順が比較的早い時間に割り振られている。たしかに盛り上がるミュージシャンがどうしてこんなに早く出てくるのだろう? もっとあとのほうがいいんじゃないのかなぁ、と一同松岡の意見に同意したのだが、そこには進行表上の文字面での出演順だけではない、もっと奥の深い意図が隠されていたことをステージが進む中で誰もが理解するようになる。

「琉球國祭り太鼓」の演奏に続いて、出演ミュージシャン全員が舞台に揃い、いよいよ本格的なオープニングを迎える。ステージの横には所狭しとミュージシャンたちが集まり、冗談が飛び交う。名前は秘すが、この日ステージで数々のセッションに絡み大活躍をした○○○さんはすでに出来上がっている。大丈夫か? と思うような状態だが、ステージに出るとそんな姿は微塵も見せない。司会に促されて出演者が順にステージへ出てゆく。

◆「琉球の風」初登場 HYの新里英之さん&仲宗根泉さん!

今回初登場のHYのお二人にオープニングが終わった直後にお話を伺った。

「ウチナーンチュでよかったなって思いました。いつも沖縄でステージをやるときは、来てくれる人も沖縄の人が多くて、いつもどおりみたいな感じなんですけど、違うところ(熊本)でスタッフとかミュージシャンも沖縄の人で安心感があるし、それを誇りにも思います」(仲宗根泉)

「これが沖縄の魂、力だよという生きざまを感じて、音楽で時代を繋げてきたと感じました。知名定男さんをはじめ、僕たちは30代。きょう一番若い子は21歳もいて、お客さんも小さい子からおじいちゃんおばあちゃんまでひとつになる瞬間は素晴らしいなと思います」(新里英之)

この日2000人以上の観客を総立ちにさせることになる、HYの二人は既に楽しそうに興奮気味だった。

「琉球の風」初登場! HYの新里英之さん&仲宗根泉さん
2017年9月25日付け熊本日日新聞
「琉球の風2017」記念エコバッグをデジ鹿読者10名様にプレゼント!

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写真のエコバッグは毎回「琉球の風」の会場で先着1000名様にプレゼントしているものです(版画=名嘉睦稔、題字=龍一郎、鹿砦社提供)。少し余分がありますので、このデジタル鹿砦社通信をご覧になっている方10名様にプレゼントします。ご希望の方は私宛メールアドレス(matsuoka@rokusaisha.com)にお申し込みください。(鹿砦社代表・松岡利康)

▼田所敏夫(たどころ としお)[文・写真]
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』特別限定保存版(「琉球の風」実行委員会=編)
『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』通常版(「琉球の風」実行委員会=編)

乃木坂46と乃木神社 「政商」秋元康が誘導するドルオタ・ファシズム

乃木神社は明治の軍人乃木希典と妻の静子を祭神とする神社だ。場所は東京都の港区赤坂にある。乃木希典夫妻の明治天皇にたいする「殉死」にたいし、その死を悼んだ区議会が乃木坂と改称したことから、この地域一帯は乃木坂と呼ばれるようになっている。秋元康のプロデュースするアイドルグループの乃木坂46はこの乃木坂に由来している。メンバーが新成人になると成人式が乃木神社で行われ、毎年報道されている。

乃木神社・宝物殿に展示されている乃木夫妻の殉死刀
関係書籍コーナーには「武道教育」(日本武道教育新聞社発行)という冊子が置かれていた

◆物騒な展示とドルオタの絵馬

昨年10月に筆者は乃木神社に行った。境内に入り二の鳥居をくぐると右側に宝物殿がある。宝物殿の入口付近には憲法改正について賛同を求めるポスターと署名用紙が置かれていた。ポスターには東京都神社庁の名がある。

宝物殿には乃木希典ゆかりの遺品や乃木希典の死を報じたニューヨークタイムズの記事の切り抜きなどが保管されている。宝物殿では乃木希典にちなんで軍歌「水師営の会見」がずっと流れていた。この宝物殿の中でとりわけ目を引くのが大小二振りの刀だ。乃木夫妻が自刃したときに用いた刀が抜き身のまま展示されていた。

関係書籍の展示コーナーには日本武道教育新聞社が発行している「武道教育」という冊子が置かれていた。寺井愛宕という自衛隊の海将をつとめた人物のインタビュー記事が掲載されていた。

昭和48年の指揮官時代に上官に相談なく自衛隊機を二機竹島上空に飛ばしたのだという。韓国政府の抗議を誘発させることでマスコミを騒がせ竹島問題を周知させたかったのだという。韓国軍がその当時竹島周辺の海域にいなかったため、大事にはいたらなかったが、明白なシビリアン・コントロール違反だろう。記事の他の小見出しには「竹島問題だけでも韓国は侵略国家だ」ともあった。

研究者の添田仁の論文「壬辰・丁酉倭乱における朝鮮人被虜の末裔」によれば、豊臣秀吉による朝鮮侵略により強制連行された朝鮮人の末裔が乃木希典にあたるという。日露戦争の過程で日本が韓国の内政・外交権を骨抜きにし、植民地化を進めていったことをあわせて考えればあまりにも悲惨だ。

宝物殿を出て正面向かい側に大量の絵馬が飾られている。願い事の多くが乃木坂46に関することで、推しメン(応援しているメンバーのこと)の名前を絵馬に書いてもっと人気がでるよう願っている。この神社の神徳とされる「忠誠」「文武両道」「夫婦和合」に関連する願い事は比較的少数だ。これほど大量に自分自身や身近な人間以外の他人の幸福にたいしてお金払って願い事をしている光景は違った意味で圧倒される。Twitterで「#乃木神社」と検索してもらえばアイドルオタク(いわゆるドルオタ)が境内の写真や絵馬を掲載しているので、その雰囲気は把握できる。

ただし、祭神である乃木希典は学習院院長時代、生徒の末広ヒロ子が時事新報社主催「日本美人写真募集」(日本最初のミスコン)に参加したことを理由に彼女を退学処分にしている。ドルオタの願いはむしろ祭神の怒りに触れそうだ。

いずれにせよ同一施設内でこれほど落差がある光景が見られるところは珍しいだろう。

乃木神社・宝物殿の入口付近に置かれていた憲法改正への賛同を求める署名用紙
乃木坂46「命は美しい」(2015年3月18日発売)

◆経済的利益と改憲誘導

絵馬は一枚500円で販売されており、お守りなどの関連する品物をあわせると相当な売り上げがあるだろうと推測される。アイドルオタクは年間通じて来るので、神事などの特定の時期にしか収益が発生しないということもない。他の神社と比較しても財政状況は良いのではないかと推測される。実際2016年の矢野経済研究所の調査によると、アイドルオタクの年間平均消費金額は他の種類のオタクと比較してもかなり多いようだ(年間平均79,783円)。この購買力は魅力だろう。

こうして見てみると、乃木神社にとって秋元康のプロデュースするアイドルグループとタイアップするのは一般大衆にソフトな形で存在を周知し、アイドルオタクの購買力を取り込める絶好の機会だったに違いない。なぜなら戦後一貫して乃木希典のイメージは一般的に悪かったといっていいからだ。

乃木希典は戦前にはそれこそ「神」のように崇拝されたものの、敗戦によってその評価は180度転換した。戦後長い間乃木希典を信奉する人は中央乃木会に代表される熱心な国粋主義者に限られていた。リベラルな価値観を持つ人々からは乃木希典は軍国教育を想起させるものとして蛇蝎のように嫌われた。また、「国民作家」として人気のある司馬遼太郎からも小説「坂の上の雲」の中で多数の死傷者を出させた「愚将」として描かれていた。

戦争の悲惨さを知る戦前戦中世代が高齢のため亡くなっていく中、若年層で「乃木」と聞いて戦前の軍国主義や忠孝精神を想起する人は少ないだろう。乃木神社のイメージ戦略は成功したと言っていい。

一方乃木神社だけでなく秋元康らにもメリットがあったと思われる。乃木神社も所属する神社本庁や安倍首相をはじめとする改憲勢力に若年層を無意識に大量に誘導することで恩を売れるからだ。また前出の中央乃木会は戦前の有力な政治家や軍人の子孫を招いて定期的に講演会を行っているが、その講演者は様々な分野で要職についているものも多い。

◆ナチスはアウト、大日本帝国はOK

昨年乃木坂46の姉妹グループで、同じく秋元康プロデュースの欅坂46がナチス風衣装を着用したことで大問題となった。しかし以上の乃木神社とのつながりをみればもともと右派的な勢力への迎合は既定路線であったことがわかる。国際社会の当然な批判を浴びたので秋元康は謝罪したものの、東京五輪組織委理事として安倍政権を筆頭とする改憲勢力・国粋主義勢力に対する迎合はこれからも続けていくだろう。
秋元康に限らず、高須クリニックの高須医師や麻生副大臣のようにナチスに関する発言で弁解や謝罪をする者たちが後を絶たないが、戦前日本にたいする肯定や癒着はナチスと比較して全く問題になっていない現状がある。

この現状が変わらない限り、日本の根深い様々な社会問題は根本的には解決しないだろう。

▼山田次郎(やまだ・じろう)
大学卒業後、甲信越地方の中規模都市に居住。ミサイルより熊を恐れる派遣労働者

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25

芸能界はなぜ「芸能界のドン」が決めた治外法権から脱却できないのか?

星野陽平「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」(2017年3月、公正取引委員会競争政策研究センターでの筆者講演レジュメ)

筆者は今年3月に公正取引委員会競争政策研究センターで「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」と題する講演をさせていただいた。
※当日の講演レジュメのPDF 

その後、7月以降、公取委が「芸能界で広く行われてきた契約が独占禁止法に抵触する可能性がある」と調査を進めているという報道が相次いだ。

筆者は2014年に『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』を鹿砦社より刊行させていただいて以来、一貫して芸能事務所との関係からタレントが干される現象は独占禁止法に違反し、芸能界を蝕んでいると主張してきたが、ここに来て具体的な動きが出てきた。

その事自体は芸能界と視聴者の利益にとって望ましいものだと言えそうだが、芸能界との繋がりの強い民放や週刊誌などでは、依然として芸能界の問題は採り上げられにくいということもあって、世間の反応は鈍いとも思う。

◆デーブ・スペクターの日本芸能界批判

そんな折、8月21日配信の『デイリー新潮』の記事「日本のテレビは2年間ドラマ制作をやめよ――デーブ・スペクター」(https://www.dailyshincho.jp/article/2017/08210802/?all=1)でアメリカ人テレビプロデューサー、デーブ・スペクターが芸能界批判を展開していたのが気になった。その一部を抜粋する。

筆者講演レジュメより
筆者講演レジュメより
筆者講演レジュメより
筆者講演レジュメより

「ドラマだけは本当にひどすぎる。20~30年前と比べて進歩するどころか、どんどんクオリティが下がっている。特に問題なのは役者の演技力」

「何しろ、日本のドラマに出演してるのは、芝居経験に乏しい、モデルやアイドル上がりの素人同然の芸能人が多すぎるから」

「原因は、日本のドラマがキャスティング先行で進められるから。テレビ局がドラマ制作で大事にしているのは、視聴者ではなく芸能プロダクションとの関係です。テレビ局の幹部がプロダクションに接待されて、『うちの子、頼みますよ』と言われたら断れない」

デーブは、ここ10年ほどで「黄金時代」を迎えている海外ドラマと比較して日本のテレビドラマが低迷している原因がテレビ局と有力芸能事務所との癒着にあると喝破している。
「僕もテレビ業界で仕事をしてるから、あんまり厳しいことは言えませんが」としながらも、なかなか的確かつ辛辣な論評ではないだろうか。

筆者講演レジュメより
筆者講演レジュメより

◆渡辺淳一とデーブの対談(『現代』1989年4月号)

デーブと言えば、SMAP騒動の折もジャニーズ事務所批判をテレビで堂々と述べていたが、芸能界批判は今に始まったものではなく、来日してテレビに出演し始めた頃から、日本の芸能界に違和感を覚えていたようだ。

『現代』(1989年4月号)に掲載されている「にんげん透視図」で作家の渡辺淳一とデーブの対談が掲載されている。その中で次のようなやりとりがあった。

デーブ ぼくがおかしいと思うのは、日本人って芸能人は程度が低いと思っている。マスコミやテレビ界の人、あるいは本人だって『どうせオレは芸人だからな』って自分から消極的になっているから、それをよくしないと……。

渡辺 しかし、日本って国は、芸能というものを最初からやや低い位置に見てきた国で、それには歴史的な背景もあるのです。

デーブ そこが暗いんだ。

渡辺 日本の芸能脳発生をたどると、かつては歌舞伎役者だって河原乞食と呼ばれたようにアメリカのエンターテインメントとは歴史が違うんです。

デーブ そういう見方はもう時代遅れだから、いい加減にやめるべきです。

渡辺 時代遅れではあるけれども、その暗さとか差別からさまざまなものを生み出してきたので、それ自体が日本の特性なんだからしようがない。

デーブ その「しようがない」という単語をまず日本語から外さないと進歩がないでしょ。リクルート事件にしたって、「しようがない」という言葉を使い続けるのだったら、文句いっちゃいけないと思う。

渡辺 それは一理あるけど「しようがない」というのも日本という国の一つのあり方なんで、あなたは芸能人とばかりお付き合いしているからそう思うのでしょう。けれどもみなが芸人を尊敬するようになればすむという問題ではないでしょう。

デーブ でも、芸能人のレベルは上げないと……。

渡辺 多くの日本人は、そうは思っていないと思うな。

デーブ それは差別。江戸時代の残りだよね。だって、渡辺貞夫みたいなジャズマンは世界中に認められているし、森繁久彌さんだって立派だし、美空ひばりは程度の低い人間ですか。

渡辺 いや、頭が悪いとか程度が低いといっているのではありません。しかし、日本人の感覚からすれば、芸能界というのは浮き沈みの激しい当てにならない世界で、そこにいる人々はそのことに不安と潔(いさぎ)さを感じている。つまり、自分をおとしめているから芸人なのであって、観客はまたそこに惹かれて観ているわけです。もし芸人が威張るようになったら、日本人はいまのような率直な気持ちでは観なくなるでしょう。

デーブ それはどこの国でもそうですけどね。ただ、日本ではちょっと異質な芸能人観が残っているように感じる。

渡辺 それは、なにごとも歴史的な背景があるわけでね。一口にいって、日本は情緒の国で、論理的な西洋的発想と明らかにちがうところなわけです。その証拠に、日本語には季節の移り変わりに関わる言葉が多いけど、逆に論理を語る単語が少ないんですね。

デーブと渡辺の芸能界論議は一貫して噛み合わず、最後に渡辺は都合が悪くなったのか「日本人は論理的ではない」と言って逃げてしまった。

筆者講演レジュメより

◆そこには差別の問題が深く関わっている

なぜ、「日本の芸能界は低レベルなまま放置され、これまで改革が進まなかったのか?」ということを考えると、デーブと渡辺の対談でも争点になっているように、そこには差別の問題が深く関わっている。 日本では中世から芸能に携わる者は卑賤視の対象とされてきたという歴史的背景があり、タレントが権利を主張することは認められてこなかった。日本人はそれを直視できないのである。

江戸時代、歌舞伎役者など芸能に携わる者は穢多・非人身分として扱われ、浅草など「悪所」と呼ばれる地域に隔離され、弾左衛門と呼ばれる穢多頭の支配を受けていた。現在においても、芸能界で不公正な契約慣行がまかり通ってきたのは、そうした歴史的な背景があるためだろう。芸能界は一刻も早く「芸能界のドン」が掟を決める治外法権から脱却しなくてはならない。

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

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事実の衝撃!星野陽平の《脱法芸能》

AKB宣伝記事を社会面に掲載した京都新聞── その真意を広報に問うてみた

AKBなど3文字のローマ字で示される複数女子タレントの集団が、どんどん繁茂し、全国にも広がっているようだ。素人を集めて安いギャラでタレント化する「秋元康」商法全開だ。これははるか昔の「おニャン子クラブ」に始まった、タレントの質の低下と、国民の痴呆化を担う恥ずかしい現象だと感じている。不快である。

それだけでもけったくそ悪いのに、毎年連中はCD購入者やイベント参加者、あるいはファンクラブ加入者など(年により投票資格は若干異なるようだ)により、「総選挙」と銘打った、商法でも一儲けしている。CD購入が投票の条件になるイベントの問題性が指摘されたことをこれまで目にしたことがない。

今年も「総選挙」が行われたようで、それについての記事が京都新聞社会面に掲載されていた。いったいどうして、アイドル連中の商法を、あたかも何か国民的関心があるかのごとく記事にする必要があるのか? 6月21日、京都新聞に電話で聞いてみた。

◆どうしてこんなようなことが報道されるんでしょうか?

京都新聞2017年6月17日ウェブ版

京都新聞 京都新聞読者応答室(以下、京都新聞)でございます。
田所 数日前だったと記憶するんですが、社会面の右側の下のところにAKB総選挙云々という記事を読んだ記憶がありまして、それいつだったかお分かりになりますか。
京都新聞 6月の18日に指原さんが三連覇ということで、6月18日の朝刊28ページ、おっしゃっている右の下の方に掲載がございました。
田所 これ、すみません、私が的外れな質問かもしれなくて恐縮なんですが、どうしてこんなようなことが報道されるんでしょうか?
京都新聞 一応エンタメニュースというようなことでそういった記事を掲載しているということですけれども。
田所 エンタメってなんですか?
京都新聞 エンターテイメントです。
田所 エンターテイメントって何ですか?
京都新聞 そういった芸能のようなニュースなんですけれども
田所 芸能ニュースを社会面で載せるんですか?
京都新聞 そうですね。読者様はこういったものは社会面では載せない方がいいといったご意見でございましょうか。
田所 いえそうではなくて、私には理解ができないのですが。
京都新聞 編集方針というか。
田所 「総選挙」という言葉は法律的に言うと衆議院の選挙にしか使ってはいけない言葉ですよね。だから編集方針云々とかではなくてですね、AKBが総選挙っていうのはそもそも言葉の使い方、それ法律的に問題ないんですか?
京都新聞 そうですね、こちらは共同配信の記事でございまして
田所 いやいや、共同配信だったら何でも載せるわけ?
京都新聞 そういった内容で編集方針で掲載はしているのですけれども。
田所 いや、方針なんかない。共同配信だから載せたとあなた今おっしゃってたでしょ。
京都新聞 いえ、元々の記事は共同配信の記事だと申し上げただけでございまして。
田所 じゃあ共同から配信された内容を何か修正なり解説なりされてますか?
京都新聞 間違いがあれば訂正の記事を掲載しておりますが。
田所 あんな記事を載せることが間違いなんですよ。あんな馬鹿気たことを新聞に堂々と載せて恥ずかしくないという感覚を持ってるということが間違いだと私は思いますよ。
京都新聞 かしこまりました。そういったご意見があったことは担当の方にお伝えさせていただきます。
田所 という言い方は「何も反映されないということ」とまるっきりイコールなんですね。おかしいと思われません? あんな馬鹿なことを、何とかさんが三連覇でなんとかかんとか、どうのこうのというようなことを社会面で。たまに興味ある人はあるかもしれないけど、ありませんよ、読んでる人間は。
京都新聞 かしこまりました。そういったご意見があったことを
田所 だからその言い方やめろって言ったじゃないですか、さっきから。「そういったご意見がありましたのは伝えさせていただきます」ということで、今までそれが一回でも反映されたためしはないんですよ。あなた、だいたい京都新聞の社員の方ですか?
京都新聞 読者応答室の担当をしております。
田所 社員の方ですか?
京都新聞 ……。
田所 私が聞いてるのは、あなたは京都新聞の社員の方ですかとお尋ねしています。
京都新聞 社員ではございません。
田所 社員じゃないんでしょですね、社員の人いないの? 

wikipedia「AKB48」項より

◆京都新聞は京都新聞の判断で、この紙面でということで

京都新聞 お電話代わりました。京都新聞社読者応答室長ユンと申します。ご指摘の件ですけれども、AKB総選挙の報道に対して何かあまりこういったものを紙面で扱うことについてご批判があるということですか?
田所 批判ではなくて、なんでこんなこと平気で載せられるのか私にはわからないということです。
京都新聞 何も平気でというか、一応というか、社会的な関心事であるということで編集サイドの方で、世間の関心記事であるというニュース判断をした上で紙面に載せているということです。
田所 京都新聞さんの判断では、「社会の関心事がある」と断定されて載せてらっしゃるということですね。
京都新聞 もちろんいろんな判断があると思いますけれども、何も京都新聞だけではなくて全国紙もAKBの総選挙というのは載せてますのでね。なにも右に倣えということではなくて、あくまでも京都新聞は京都新聞の判断でこの紙面でということで。
田所 あなた今前半でおっしゃったことと後半でおっしゃたことと矛盾してますね。全国紙も載せてるしなんとか、だけれども京都新聞の判断でって言ったでしょ。
京都新聞 ですから全国紙も載せているぐらい世間的な関心事であるということなんですよ。そういう判断でうちも載せているということです。
田所 じゃあ全く意味のない報道でも他の報道機関がたくさん載せたら京都新聞は載せられるわけですね。
京都新聞 それはその時の編集判断があると思いますけどね。

◆ジャーナリストとして違和感はお感じにならない?

田所 その時の編集判断ってこれがそうですよ。ガキのしょうもない芸能人の投票かなんか知らないけど、しかもお金を払って買わなきゃいけない投票権で。これ商売しているわけでしょ。
京都新聞 ええ、実態はそういう裏があるみたいですけど。
田所 裏じゃなくてそういうことで成り立ってるわけでしょ。この総選挙っていうのは、さっき女性の方にも申し上げましたけれども、日本語で使う総選挙っていうのは地方選挙や参議院でも使わなくて衆議院の選挙だけに使いますよね。その言葉をこんな軽率に使っていいんですか、新聞で。
京都新聞 まあこれは、ここの主催団体がそういう名称を使ってるということですよね。
田所 そのことに対する違和感はあなたたちジャーナリストとしてお感じにならない?
京都新聞 それは記者個々にはいろいろとあるんでしょうけれども。
田所 あるんでしょうじゃなくて、あなたにお伺いしてるんです。あなたは違和感ありませんか?
京都新聞 私、個人的にはないことはないですけれどもね。あくまでも個人的な見解ですわ。
田所 やっぱりちょっと変だとは思われるわけですね。
京都新聞 私も年齢的にはこういうあくまでも個人的にはアイドルグループの顔と名前が一致しない世代の人間ですからね、個人的にはそう関心があるというわけではないですけれども、一新聞社に勤めておる者として世間の大きな関心事であるということは十分に認識しています。個人的には。

wikipedia「AKB48」項より

◆AKB総選挙については大きく世間の公約数として必要であると……

田所 そうでしょうか。ユンさんね、率直なご感覚を語っていただけたから、わたくしはより正直にお尋ねできるんですけれどもね、こういった馬鹿げた記事が紙面を占めるということが尋常な事態だとお思いになりますか。
京都新聞 そういって言いますと何をもって、失礼ですが、人それぞれの価値基準とかありますよね、ニュースに対するものとか、新聞もご存知のように硬派系の政治から経済から事件事故から芸能物まで世の中森羅万象の出来事に対して、新聞というのも政治的なよく言われるような右なのか左なのかとか社論がどうのこうのとかありますけれども、そういったものとは別に新聞としてこれはAKBの総選挙の事案については大きく世間の公約数として必要であるという情報、そういうものを判断した上で京都新聞としては載せてると。
田所 今おっしゃったことは、このAKBの総選挙は大きく世間の公約数として必要であるということを元に載せているとそう発言なさいました。これ、撤回なさいませんね。間違いではないですね。
京都新聞 必要であるというか、そういう要望があるとそういうことですよね。そういう情報。
田所 どこにあるんですかそんな要望。どうやって証明するんですか、その要望があるということを。
京都新聞 それを載せる載せないが正しく編集者の判断であるということです。
田所 編集権ですね。だから編集者の方はそこに要望があるというふうに思い込んでいらっしゃるわけですね。
京都新聞 まあそういうことですね。これを載せる以上はそういう判断をしてるということですね。
田所 その前にユンさんはもう一回お伺いいたしますけれども、社会の最大公約数として要請があるとおっしゃいました。これは間違いないですね?
京都新聞 うん、要請があると、こういう情報を新聞で知りたい、今は何も新聞だけじゃなくてテレビとかネットとか情報を知る術はありますけれども、新聞は新聞でこういったことを載せる世間への要請があるという判断で掲載したというふうに。

◆AKB総選挙はCDを買った人だけが投票権を得て、一般的に言うところの商法ですよ

田所 すみません。ユンさんは読者応答室の責任者の方であると伺ったんですが、その方がですね社会部のデスクに代わって代弁できるということは責任もって発言していただけてますね。
京都新聞 これ紙面化なってますよね、6月18日の朝刊に。
田所 紙面化されたものがすべて正しいということではないでしょう。
京都新聞 いえ、ですから紙面化されてる内容の事実に誤りがあるとかでなくて、載せるということは読者へのニーズに応えてるという判断で載せてるということです。そういうことは私どもこれ発行責任として紙面が出来上がったもの、これを逆にこういう扱いが小さいんじゃないかとか、見出しも一段いわゆるベタ見出しというものなんですけれどもね、場合によってはこういう扱いは小さいんじゃないかとかね、そういう考えももちろん成り立つわけで。
田所 そんな意見来てるんですか?
京都新聞 いや、そういう意見もありますよ。
田所 具体的にこの記事についてそういうふうに来てるわけですか。
京都新聞 いえいえ、それは来てませんけれども。
田所 ごまかすことやめてください。私は当該記事だけについて今議論して、そのことについてお尋ねしてるんですから、一般論の話をしてるわけじゃないんですよ。もう一回申し上げますよ。AKB総選挙というのはCDを買った人だけが投票権を得て、これは一般的に言うところの商法ですよ。商売方法ですよ。それについて何の批判もなくて、しかもそこに順番がどうだったかという人のコメントを載せて、その商法に問題があるという認識での新聞の切り口っていうのは全然ないわけです。京都新聞 ここにはないですよね。
田所 あなたたちの頭にそういう切り口はないの? ジャーナリストとして。
京都新聞 ないわけではないですよ。
田所 じゃあなんで書いてくれないのですか。
京都新聞 そういう確かに意見というかそういったものも大切に。
田所 どこにあるんですかこんなもんが。物を買わなければ一票入れられない、しかも入れた結果が大々的にテレビ新聞などで報道される、しかしながらお金を払った人たちだけの意見であるにもかかわらずその仕組みについては誰も説明をしない。独禁法違反じゃないですか、これひょっとしたら。
京都新聞 そういう考えも成り立つかもしれませんけどね。ただAKB総選挙の一票はお金を払った代償であるということも、基本的にもう世の中の方は知っていらっしゃるわけですよね。

wikipedia「AKB48」項より

◆なになに、事実はどうでもいいの?

田所 それはあなたが勝手に思ってるだけで、あの記事を見た人はそんなことわかりませんよ。
京都新聞 そういったことも新聞社としては今の一般的な社会通念でAKB総選挙の裏というのは一般のティーンエイジャーから年配の方までそういうものであるという理解はしているつもりです。
田所 理解じゃなくて、それはあなたたちの傲慢な報道怠慢であって、今の非常な問題発言ですよ。それをね、知ってる前提であれ報道してるというふうに今はっきりあなたはおっしゃったけれども、あなた今何言ったかというとね、若い人間から年寄りまでそういう仕組みわかってるという前提で報じていると言ったんですよ。どれだけ無責任なこと言ったかわかってますか。どうやってそんなことを確信持って言えるんですか。私はたまたま批判的に見てるから知ってるけれども。
京都新聞 知らない人も多くいらっしゃると思います
田所 何言ってるの、あなたみんな知ってるてさっき言ったじゃないですか。
京都新聞 ですから、多くの人は知ってるという私は認識を持ってますよ。
田所 あなた記者やったことありますか?
京都新聞 ありますよ。ですからその辺りは社会的な生活をしていってる中での皮膚感覚みたいなものがありますよね。
田所 あなたは報道機関にいて社会的にある程度の責任を持つ報道を担う会社にいらっしゃる。新聞社ってそういう所でしょ。だから井戸端会議みたいなことのレベルでお話しされたら困るわけですよ。それをさっきからお話伺ってたらそんな話ばっかりじゃないですか。
京都新聞 ですから私、冒頭にも言いましたように、新聞というのは何も社会経済事件事故だけではなくてこういう芸能ニュースまで、広く浅くという言い方もあれですけれども、そういう読者のニーズに一定応えるという、事実がどうのこうのではなくて。
田所 なになに、事実はどうでもいいの?
京都新聞 AKBの総選挙の事実として、これを客観報道しているわけであって、そのAKBの総選挙のからくりについての問題をどうのこうのというのはまた別次元の話なんですよ。
田所 やらないじゃない、あなたたちは。
京都新聞 ええ、そういった記事が載ったかというと記憶にはないですけれどもね。
田所 だからなんでなんですかとお尋ねしてるわけなんですよ。
京都新聞 それは私、今ここでどういうことでそういったものが載ってないのかはわかりませんけども。
田所 何を言っているんですか、あなたは。変だと思いませんか。
京都新聞 ですから失礼ですが、そちらの考え方としては、有料で一票を買ってるようなそういうものをしっかり載せた上で、こういう総選挙を知ってるのかということですよね。

◆大多数の国民が「AKB総選挙」に関心を持ってるという根拠を示してください

田所 少なくとも「総選挙」という言葉は衆議院の選挙を想起させるものであるということはご想像いただけますね。日本国籍を持ってる者が選挙権を行使する時に参議院ではなくて衆議院の選挙が行われて、それ投票する行為が総選挙でしょ。
京都新聞 総選挙と言えば、社会通念上はそうだったんですけれども、これも新聞というのは先ほども言ってますように森羅万象の事象を報道してるわけであってですね、
田所 大袈裟な言い方やめなさい。森羅万象まで、そんな自分ら万能だと思ったらおこがましいにも程がある。
京都新聞 ええ、森羅万象という言い方があれでしたら、先程来言ってますように政治経済から事件事故、スポーツからこういう芸能まで幅広いジャンル分野を網羅しているということなんですよ。それでその芸能ニュースの中で総選挙だけがこれ見出しでもAKB総選挙というのが何年前から始まったかも知りませんけれども、これも大きな社会現象のわけですよね。
田所 誰がそう評価するんですか。誰が。これが大きな社会現象と評価しているわけですか。
京都新聞 それは普通市民ですよね。
田所 普通って誰ですか。
京都新聞 ですから不特定多数の。
田所 それをどのように測定なさるんですか。あなたたちが勝手にそう決めつけてるだけでしょう。
京都新聞 そう言われてしまえばそうかもしれませんけれどもね。緻密な世論調査をしてるわけでも何でもないんですけどもね。
田所 でしょ、どこに根拠があるんですか。大多数の人間が、大多数の国民がそれに関心を持ってるという根拠を示してください。共謀罪と一緒なんですか?
京都新聞 根拠と言われてもそれこそ新聞社の感覚ですよね。
田所 感覚なんですね。正直な言葉出たな。感覚なんですね。
京都新聞 感覚というか、それがニュースセンスというような言い換えでよければそういうような言い換えもいたしますけどもね。
田所 要するに京都新聞はその程度だということですね。
京都新聞 その程度とそういう判断されるのなら、もうその程度と判断されてしまうのはちょっと心外と言えば心外ですけれども、そうお取りになられるんならもうそうお取りになってもらわなければなりませんね。

◆AKBに興味持つような人間の大半は新聞なんか読んでいませんよ。

田所 ユンさんだって変だと思ってるってさっきおっしゃってたでしょう。
京都新聞 ですからそれはあくまでも個人的に若いアイドルのところには付いていけない面があると言うことですけれども、新聞社の人間として世の中のいろんな動きや情報とかその中でAKBの総選挙というのは世間一般の大きな関心のあるイベントであるという認識はしてますけどもね。
田所 私からしたら全く理解できません。
京都新聞 ですから世の中いろんな考えの方がいるでしょう。
田所 いろんな考えがいるから、あんなもの記事にして押し付けないでくださいということなんですよ。
京都新聞 別に押し付けてるというわけではなくて、こちらとしては必要な情報にあるということで紙面に載せてると。
田所 押し付けてますよ、こちらは月に三千いくらってちゃんと新聞代払ってるのですよ。芸能ニュースのためにじゃなくて。
京都新聞 はい、それはわかっております。
田所 どこにその社会性があるわけですか?
京都新聞 それで言いますと、紙面でも読者の方の趣味や嗜好や必要な情報ページ、本当にいろんな関心をお持ちで。
田所 はっきり言うけれども、AKBに興味持つような人間の大半は新聞なんか読んでいませんよ。
京都新聞 一面そういったところも事実だと思います、正直。それは一定認めるところあります。
田所 だってユンさんだってAKB興味ないから知らんでしょうが。
京都新聞 はっきり言って個人的には知りません。
田所 私もそうですけどね。でも新聞は読みはるでしょ。京都新聞だけじゃなくて競合他社の新聞も読みはるでしょ。読む時に政治面とか国際面とか社会面とか読みはりますよね。一生懸命AKBの記事読みますか?
京都新聞 これは読みたくない記事は読まなくてもいいわけなんですよ。
田所 だから読む価値のない記事を載せてくれるなと言っているのです。あなたと同意しながら。
京都新聞 読みたくない記事を載せるなと言っても。
田所 新聞読者の中のどこに要請があるのよ。要請があるというあなたはその根拠を示せないでしょう、私に対して。社会的に要請があるとか誰でも知ってるとか。
京都新聞 それは京都新聞社の編集として一定の不特定多数の読者のニーズがあるという判断のもとにこういうものを載せているということなんですよ。
田所 判断の根拠はなんですか?
京都新聞 それは先ほど言いましたようにニュース価値判断ですよね。今の社会情勢。
田所 全然答えになってない。根拠というのは。
京都新聞 新聞の掲載価値があるということですよね。
田所 掲載価値があるという根拠になるのは何らかの調査によるものなのか、あるいはそう言った要請によるものなのか、あるいはそういうリクエストがあるのか、そういう具体的な何かがあるからそういうふうに判断するわけでしょ。何があるんですか、そういう根拠が。
京都新聞 これ、記事というのは載せるにあたって全て世論調査に基づいて載せる載せないという判断をしてるわけでも何でもないので。
田所 そんなこと聞いてません。もちろんそうです。当たり前。社会面の事件とか事故とかそれこそ編集権があるところで、新聞社の方が采配振るって一番力振るうところでしょ。私そういうこといちいち言ってるのと違いますよ。あまりにも低次元じゃないですかと聞いてるわけです。
京都新聞 あまりにも低次元と、そちらさんはそういう見方をされるかもしれませんけれども、読者の中にはこの情報を求めているという判断で弊社は紙面化してるということなんです。
田所 そういう判断の根拠は何? 根拠を聞かせてくれと。
京都新聞 ですから社会的要請があるという確信を持ってるということですよ。
田所 何をもって確信を持ってるんですか。何か根拠を示してもらわなかったら「あなたたちが勝手に思い込んでいる」という言葉以外で何も置き換えられないですよ。妄想と言ってもいいですよ。確信持ってるというだけなら。
京都新聞 いえ、確信です。妄想では決してないです。

◆なら一回、載せなかったらいいんじゃないですか

田所 確信持ってるわけね。
京都新聞 仮にこの記事を載せないということになれば、どうして載ってないのかという問い合わせが殺到すると思いますよ。
田所 殺到するか? あなた今はっきりそう言ったね。殺到すると思いますって。
京都新聞 まあまあ、殺到するというのはちょっとオーバーかもしれませんけども、なんで載せないのかという問い合わせは絶対来ると思いますよ。
田所 誰から来るのですか?
京都新聞 ですから関心をお持ちの方から来るとは思いますよ。
田所 それはあなたの推測でしょ。
京都新聞 ええ推測です。
田所 なら一回、載せなかったらいいんじゃないですか。
京都新聞 それはちょっとできないと思いますね。おそらく、次回いつあるのか知りませんけれども。
田所 情けない新聞社ですね本当に。何が大切なんですか、新聞社とか世の中にとって。
京都新聞 新聞というのは再三言ってるように、いろんな情報が載ってるわけですよね。そちら様一方でAKBの総選挙が不必要な情報であると、人によってはスポーツ面だけあったらいいとか、テレビラジオの欄だけがあったらいいとか、極論すればそういう読者の方もいらっしゃるわけで。
田所 ちょっと聞いてください、私がクライアント、あなたは私たちがお金を払ってる対象ですからそこを勘違いしないでほしいんだけど、広告だったら別に文句言いませんよ。広告は広告収入として京都新聞にお金が入るわけでしょ。記事で何でそんなもん書くかということなの。もっと他に書くことがあるのではないですかということなんですよ。
京都新聞 まああるでしょうね。
田所 あるでしょうねって言われたら
京都新聞 テレビや新聞の情報が世の中で起きてる必要な情報全て載ってるかと言えば、そういうことは決してないと思いますよ。
田所 わかってます、わかってます。万能を求めてるわけじゃないですよ。不要な情報を、しかも悪徳商法がらみでひょっとしたら犯罪になるかもしれないことを諸手を挙げて書くというのことはいかがなものかということを聞いているわけですよ。
京都新聞 先程来言っているようにAKB選挙っていうのは基本的にそちらも指摘されているように、お金でレコードやCDを買った人に投票権があると。それは私もわかっていますし、何度も言うように世間の人はわかっているという前提で。
田所 その前提、間違っています。あなたがそう思ってるだけで知りませんよ、年配の人はそんなこと。
京都新聞 そういった方もいらっしゃるかもわかりません。
田所 あなた何度も多数と言うからそれを正してるんですよ。どこのおじいちゃんおばあちゃんがCD買いに行って、時々珍しい人は買うかもわからないけど、そんなことするんですか。あなた勝手に決めつけたらだめですよ、なんの根拠もないのに。
京都新聞 一定の根拠は持ってますよ。一定の根拠というか、ですからそういう世の中の動きをそれを何も私だけじゃなくて不特定多数の人はそういう感覚を持ってるとそういうふうに判断しますけれどもね。
田所 そういう感覚って、どういう感覚ですか。
京都新聞 ですからAKBに一定関心があるという感覚ですよ。
田所 違います。あんたが言ってたのは選挙に関してお金を払って投票権を買うというのを年寄りだって知ってるとさっき言っていた。
京都新聞 はい、そういうもの知らないかもしれませんけど、からくりも浸透してると思いますよ。

wikipedia「AKB48」項より

◆ヨイショ記事ばかり書くんでしょ、共同から流れてきたものを……

田所 わかりました。それはあなたの思い込み。もう切ります。時間がもったいないからね。私はあなたがおっしゃっていただいたことは相当大きな問題をはらんでいるというふうに実感しますので、申し訳ないけどこれは書かせていただきますから。
京都新聞 どちらに何を書こうとされてるんですか?
田所 メディアに書きますよ。あなただってメディアの人間だから覚悟有って喋ってるわけでしょ。京都新聞批判として書かせていただきます。全く根拠ないことを年寄りの人もからくりを知っていて、でAKBの選挙はお金をこういうふうに払ってやるということを誰でも知っててそれで投票してると知ってる前提で書いている。あるいは国民の記事に対する要請があるから書いていると、全く証明の出来ないことをあなたおっしゃった。私全部録音してますから今。いいですか。最後にもし撤回されること訂正されることがあったら今おっしゃってください。
京都新聞 別に撤回とか、紙面にもなってる以上は京都新聞社として。
田所 あなた自分の見解をおっしゃったでしょ。
京都新聞 ですから私の見解のところと、そちらの聞き方も私、ユンとして聞いてる部分と、私にオフィシャルな応答室長として京都新聞社の応答室長として聞いてる所とありましたよね。その辺の線引きがね、私もそちらの質問でどこまでがどうなのかなという所もありましたけども。失礼ですがお名前お尋ねさせて頂いてよろしいでしょうか……。失礼ですが、年齢と大きく居住区をお尋ねしたいんですが。
田所 年齢は185歳で、住んでるのはバチカンです。
京都新聞 ちょっと冗談はおやめになっていただけますか。
田所 あなたの答えが冗談以上に私を馬鹿にしてるからこういう答えになるんですよ。
京都新聞 ちょっとそれせっかくお名前も名乗られて、年齢と居住区、一定参考にさせて頂きたい。こういう声が何歳の男性からってちょっと知りたいんですよ。
田所 なんなら行きますよ。京都新聞の本社に私はユンさん訪ねて。私は逃げも隠れもしないから。あなたのおっしゃったことは当たり前のように話してるけれども、とんでもない内容ですよ。
京都新聞 私は別にそうは思いませんけどね。
田所 だからそう思えないぐらいに気の毒だけどもあなたの頭の中の理解ではそういうふうにしかできないわけよ。だから私にあなた強制してるじゃない。このニュースは国民の大多数が関心を持ってるニュースだから載って当たり前だ。これがまず一つ。
京都新聞 まあ、そんな判断は京都新聞社としてはしてると。
田所 その次、こういう金を払ってやる選挙だということも多くの国民は納得している。この二つ。
京都新聞 納得じゃなくて知っているということです。納得という言い方はしてません。
田所 知ってると言うこと、まあその二つ私に強制したじゃないですか。
京都新聞 強制はしてませんよ。そう言ったことをあなたは知らないんですかというようなことを前提に話してきたわけでは決してないですよ。それはちょっと捻じ曲げてもらうとちょっと困ります。
田所 わかりました。知ってるということに直しましょうか。知っててなおかつその問題性を取り上げる記事を書かないでおいて、ヨイショ記事ばかり書くんでしょ、共同から流れてきたものを。
京都新聞 これご存知のように共同配信ですわね。

◆来年もしこの記事が載ったら、私、京都新聞にあなた訪ねて行きますからね

田所 それを書くだけのことでしょ。そんな醜い抗弁しなくて、あなたたちだってジャーナリストの端くれなんだから少しは社会正義とか、どういうことにプライオリティがあるかとか考えていただいたらいかがなんですか。
京都新聞 わかりました。そのご意見はもっともなんで。
田所 もっともだと思ったらそれを紙面に反映しなさいよ。
京都新聞 はい。編集の方にちゃんと伝えます。
田所 ちゃんと伝えるって、ちゃんと伝えたら伝えたで実現しなさいよ。来年もしこの記事が載ったらユンさん、私、京都新聞にあなた訪ねて行きますからね。ちゃんと伝えるってそういうことでしょうが。
京都新聞 伝えた上でまたどうなるかはここで確約できるものではありませんけどもね。
田所 何を言っているんですか。あなただっておかしいと思ってるて仰せじゃないですか。そんなことをしているから原発再稼働されるし、共謀罪作られるし、政府にやりたい放題されるんじゃないですか。言論機関が弱腰だから。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

愚直に直球 タブーなし!最新刊『紙の爆弾』8月号! 安倍晋三 問われる「首相の資質」【特集】共謀罪を成立させた者たち

ビジネスで「滑らない」浅田真央が「MaoMao」ブランド大展開か?

引退会見に白いジャケットを着こんできたフィギュアスケートの浅田真央だが「おしゃれすぎる」「アスリートとしてはかなり洗練されている」との声がアパレル業界からも上がっている。浅田が“趣味”としてスタートさせていたブランド「MaoMao」が本格的に稼働する気配があるのだ。

「浅田のブランドとしては、浅田自身が監修し、コラボしている『浅田真央リカちゃん人形セット』ばかりがクローズアップされているが、すでに数人のデザイナーが着物やトレーナーのデザインを持ち込んでいるとも聞いています。まだ忙しくて対応できていませんが、競技の衣装の作り方やも、大学の卒業式で自らがプロデュースした着物や袴は、『素人の領域を超えている』とアパレル業界でもあまねく知られるところ。あれだけ好感度が高い浅田が乗り出してアイテム数を増やせばひと商売になると、いまは有象無象のアパレル業界者が浅田サイドに営業をかけているという話です」(スポーツジャーナリスト)

現在は眼鏡フレームや小物、フィットウエアなど点数を絞って展開している「MaoMao」。

「だがまだ浅田は本腰を入れていない。本腰を入れればもっと“和”を取り入れて着物や手ぬぐいなどのプロデュースを始めるはず」(同)

浅田の“日本の伝統志向”はかなり強く、祇園のお茶屋『富美代』での懇親会に姉の舞と招待されたり芸妓の京舞に熱心に見入ったりしている。

「ですから、当分はアイスショーやスポーツ番組のキャスターなどをしてすごすのでしょうが、ブランド展開に力を入れる可能性があります。スケート靴に限らず、スポーツシューズで『MAO STYLE』とつけば必ず男女問わず関心を呼ぶはずです」(同)

連日、特別枠をとって引退番組が放映される「国民的人気のアスリート」が展開するブランドを大衆がほおっておくわけがない。

「イチローが引退して野球用品をプロデュースしたらバカ売れするはず。それと同じ論理ですが、こうした話は、海千山千の悪いコーディネーターがお金を持ち逃げしたり、ずさんな経営をして借金したりするケースが多いのもまた事実。あまり事業欲を出してイメージを悪くすることもないでしょう。あいかわらずブランド展開は『趣味の範囲で』我慢しておくのが利口という声もあります」(スケート連盟関係者)

浅田がプロデュースするグッズやウェアがもしアイスショーの会場で販売されれば圧倒的にはけるだろう。また、今なら「サイン入りグッズ」なら飛ぶようにはける。

「金メダルをとった荒川静香も、1年でキャスターや講演にと、だいぶ荒稼ぎをした。浅田はこの1年で相当稼げるはずですよ。でも講演やテレビ出演などでそんな時間がさけるかどうかは心配ですが」(同)という声も。

競技としては、力が落ちて“薄氷を踏む”ような晩年のアスリート生活。だがビジネスでは「滑らない」のが真央流……のようだ。


◎[参考動画]女子フィギュア浅田真央選手が引退会見(2017年4月12日THE PAGEライブ配信)

(伊東北斗)

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デビュー30周年の香西かおり、日枝神社で新曲ヒット祈願の混乱現場

デビュー30周年を記念しての新曲「わすれ花」(詞=喜多條忠、曲=弦哲也、発売=ユニバーサルミュージック合同会社)のヒット祈願をベテランの演歌歌手・香西かおりが4月18日14時30分から日枝神社(東京都千代田区)で行った。が、お世辞にもスムーズとはいえない取材段取りが目についた。なぜなら囲み取材が一般参拝客も入れる神社というオープンな場所柄、「素人カメラマン」が取材陣に入り混じり、やや混乱したイベントとなったからだ。

演歌歌手・香西かおりが御神前で神主が念入りに祈祷され、おごそかな中で記者ら50名を集めて滞りなく新曲のヒット祈願は進行した。ところが、境内に全員が移動、取材陣が香西を取り囲む中、混乱が始まった。

おみくじを香西が引いてややがっかり顔で「末吉です」と取材陣におみくじを見せているころ、「なになに? 誰が来ているの?」と一般の参拝客が近寄ってきて「こちらにも目線ください」とカメラマンが香西さんに頼む中、一般人もカメラを構えてスタッフに「こっちむいて」と声をかけるとスタッフに「すみません取材なんでちょっと離れていただけますか」と注意されるシーンが相次ぐ。

しかし、参拝への通り道を半分ふさいで邪魔しているのは明らかに香西と取材陣で、「なによ。じゃあ端っこでやりなさいよ」「通れないじゃないの」と中年の婦人が捨て台詞を残して嫌な雰囲気が漂った。とおりすがりの欧米風カップルも「What is happening ?」と怪訝な声を出してカメラを構えて何枚もシャッターを切った。たしかに、この荘厳な雰囲気が、取材陣と素人が混じり、カメラを構えていた異様な雰囲気で興ざめなとなったのは国際的な視点からも否定できなかっただろう。

香西は、日枝神社でのヒット祈願を選んだ理由について囲み会見で、「この神社の近くにあるレストランで昔、アルバイトしたことがあり、縁があるのです。今度の新曲は不器用で生きるのが下手なさみしい女性のせつなさを歌った曲で、大ヒットになる予感がします」と一般人とカメラマンがいっせいにフラッシュをたく中で笑顔でこたえた。

香西は1989年に「雨酒場」でデビュー。「デビュー当時は、曲名にちなんで酒場に雨を降らして1日たたずんでいた記憶があります」というベテランの大御所演歌歌手・香西は、茶道では裏千家の免状、華道は朱生流で修行、日舞は藤扇流名取りで、簿記3級、珠算初段、情報処理検定2級、商業検定2級と、多彩に才能を発揮する淑女でもある。

デビュー30周年用を記念して「香西かおり30周年全曲集~おかげさん~」(ユニバーサルミュージック合同会社合同会社Prime Music 1月25日発売)をリリース。そのパンフには「けして器用ではない生き方かとは思いますが、一生懸命に頑張ります。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。」とあった。

だが、香西は前述のとおり、多彩な才能に恵まれており、不器用どころではない。器用の極地だといえよう。

香西のプロモーションは、素人のカメラを取材陣に混入させて、ミソがついた。 艶やかな振る舞いの香西には目を奪われたが、お世辞ににもスタッフたちの仕切りは「器用」とはいえないものだった。

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『芸能界薬物汚染 その恐るべき実態』

今なお「経営者のパワースポット」人気が続く沖縄・伊良部島「純と愛」ホテル

 

2012年後半のNHKの朝ドラマ「純と愛」で、夏菜が演じる純が再生を試みた沖縄・伊良部島のモデルとなったホテルが「経営者再生」のパワースポットとしてじわじわと注目を集めている。

ドラマでは、祖父が建て、父親(武田鉄也)がつぶそうとしたが再生を試みたのが主人公の純(夏菜)。沖縄・伊良部島にある同ホテルが実は「経営者のパワースポット」として実業家の間でひそかに広がりつつあったのは、実はドラマファンが集まるSNSからだが、現在はドラマ終了から時間がたち、ほぼ閉鎖されているようだ。

「純と愛」は、ニックネームが“社長”でなんでもかんでも他人に尽くすのが身上の純(夏菜)が、人の心が読める特殊能力をもつ愛(いとし・ 風間俊介)とともにつぎからつぎへと押し寄せる不運を乗り越えていくドラマ。

「このドラマで重要な役割を果たす宮古島のホテルのモデルとなった『伊良部島ホテルサウスアイランド』は、『純と愛』のストーリー上、とても大切な『絆』と『人の再生』がストーリー上、織り込まれています。武田鉄也演じるホテルのオーナーは祖父からホテルを引き継ぎますが、経営難でホテルを手放すことに。だが祖父との大切な思い出があり、『誰がも幸せになる魔法の国』としてホテルを大切に思う純(夏菜)が、父親の決定に逆らい、ホテルを破壊にやってきた建設用トラックや重機に身体を張って立ち向かうのです」(テレビ雑誌ライター)

つまり、このホテルは「あきらめない実業家」の魂が否定のしようもなく詰まっているから「訪れて寝ていると落ち着く」(40代経営者)や「実は経営的に苦しくなるとここに来て美しい海を眺めつつ頑張ろうと決意しなおす」(50代経営者)との声もある。

同ホテルの儀間氏は「いまだに『純と愛』を見てきたというかたが数組、いらっしゃいます。もちろん常連で社長のかたもいらっしゃいますよ」と語る。

ホテル側でお客の職業まで聞かないので具体的に何人の経営者が来ているかは不明だが、「元気が出るスポット」としていまだに人気を集めているのはまちがない。
ちなみに「カップルには、はぐれても再び出会えた宮古島・砂山ビーチに寄っていくのをお勧めしますよ」(沖縄県在住ライター)との声も。

経営にいきずまったむきは、夫婦で訪れるのもいいかもしれない。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター/NEWSIDER Tokyo)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、書籍企画立案&編集&執筆、著述業、漫画原作、官能小説、AV寸評、広告製作(コピーライティング含む)とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。

『紙の爆弾』タブーなし!の愚直なスキャンダルマガジン

山口組分裂以後──東映ヤクザ映画の古典『博奕打ち総長賭博』を観て思う

山口組が分裂した2015年8月以降、「任侠」という言葉は暴排の彼方に消えかかっているが、ヤクザ映画の古典を見ると、なるほどヤクザがメンツのために殺しをいとわない生き物だというのがよくわかってくる。

ヤクザ映画の大部分は、組織を逸脱せざるを得ない存在がアウトローとしてどのように現実に立ち向かうか、ということが描写の課題となっている。アウトローとして生きることを志向し続けていくのであれば、組織とのつながりが感じられる。しかし暴力を行使すれば組織という概念が吹き飛んで、残るのは「暴力を行使した一個人」だけとなる。最終的に組織から離れてしまう主人公の姿が描かれるのが『博奕打ち 総長賭博』(1968年東映 山下耕作監督)である。鶴田浩二を主演に据えた『博奕打ち』シリーズの第四作。作家・三島由紀夫も絶賛したという作品だ。

昭和の初めの東京が舞台で、有力ヤクザの一つである天竜一家の総長・荒川が倒れ、後継の総長を決める必要が生じた。主人公・中井信次郎(鶴田浩二)は総長の跡目に推されるも元々は外様という立場ゆえ辞退、兄弟分で服役中の松田鉄男(若山富三郎)を総長に推薦する。しかし荒川の兄弟分である仙波多三郎(金子信雄)は天竜一家に跡目争いを起こして混乱させ組を乗っ取ってしまおうと画策していたので、松田が総長となることを承知せずに、中井や松田より格下の石戸幸平(名和宏)を推挙し総長とした。

松田は、石戸が正式に新総長と決まった後に出所した。松田は自分より格下の石戸が総長となることに不満を爆発させ、松田と石戸には険悪な空気が漂う。中井は、仙波が天竜一家で跡目争いが起きるように仕掛けている張本人であることを察知していたので、争いをやめるよう松田を説得したが、松田は石戸と対立してしまう。対立抗争に巻き込まれて中井の妻・つや子(桜町弘子)は死ぬ。

一方仙波は跡目争いが進行していくのを見てほくそ笑んでいた。仙波は石戸の新総長襲名披露の日、刺客を石戸に放ち暗殺する。次いで中井に「石戸を暗殺したのは松田だから始末しろ」と命じる。中井は兄弟分である松田をかばい切れず殺害した後、一連の事件の黒幕である仙波を斬る。

中井には天竜一家の構成員それぞれの思惑で板挟みにならざるを得ない辛さ、兄弟分である松田を斬らなければならない悲哀、仙波を除こうという確固たる意志、が感じられる。冷静な中井に対して松田は激情家で、格下にも関わらず総長の跡目を継いだ石戸を斬りに行こうとする程である。キャラクターの違う二人に加えて、命を狙われても新総長として現実に立ち向かおうとする石戸、どこまでもあざとい仙波、という四人が描き出す人間模様が物語の核となっている。

ヤクザ映画では「組織」と「暴力」が重要なキーワードとして提示されている。組織の中にいるヤクザが境遇について葛藤し、最後には暴力で敵を倒していくところが観客の胸を打っていた。しかし本作は違う。本作での組織は「天竜一家」であるが、中井が松田や仙波を殺害する背景に天竜一家の影響は見られない。中井個人の勝手な振舞いによって松田や仙波が消されていくのだ。中井自身が組織の一員だから、松田や仙波を殺したのではなく、あくまで中井個人の始末のつけ方として描かれるのである。

もっとも、はじめから中井は自分の意志によって動いているわけではない。跡目が石戸だと知って激高する松田をなだめ、仙波が組を乗っ取る算段を立てていると知っても事を荒立てないよう行動する。組織のためであり組織の一員である自覚が中井にあるからこその行動である。実際に中井は序盤で以下のように言っている。

「一家として決まったことをのむのが渡世人の仁義だ。白いもんでも黒いと言わなくちゃあならねぇ」

これは中井に天竜一家のヤクザとして組織を背景に生きているという自負がある段階での台詞だ。

中井は仙波を殺害するラストシーンで非常に印象深いセリフを吐く。叔父貴分にあたる仙波に「俺を殺すのか、お前の任侠道はそんなものなのか」と毒づかれたとき、「任侠道、そんなもんは俺にはねぇ。俺はただの人殺しだ」と言うのだ。過去に組織を慮って行動していた人間とは思えぬ発言である。中井から組織の影響が見られなくなった転換点は仙波から松田殺しを命じられた時だろう。中井は松田と仙波を殺害することのみ考え始め、組織の中で生きていくという志向は失われてしまっている。任侠道が見えなくなり、中井に残ったのは人殺しというアイデンティティだけである。終幕で中井に見ることができるのは本人の意志で暴力を行使し、組織と完全に解離してしまった一人の男であるということだ。

そして、本作には「切なさ」という要素も絡んでくる。中井は組織の為に奔走した。暴れ馬のような松田と跡目を継いだ石戸をなんとかなだめようとする。松田と石戸への説得はうまくいかず、つや子は総長の跡目争いに巻き込まれて死に、石戸は暗殺される。結果として中井は松田を殺さなくてはならなくなる。最終的に中井が黒幕の仙波を殺すことで溜飲が下がるかといえば全くそんなことは無い。本作の登場人物全員に救いが無い点はなんとも悲劇的である。組織と暴力に翻弄されるヤクザの姿を描いた作品は数多いが、登場人物の心の揺れを描き出したものは少ない。

主人公・中井信次郎の組織から離れていってしまう際の心の揺れ動きは、抑圧された境遇に泣く現代人にも理解できる点があり、1968年の公開から半世紀近くが過ぎた今日でも、共感を得られる作品となっている。

かくして、この時代からヤクザは本質は変わっていない。今年もまた、小さな利権を求めて日本のどこかで音が鳴る(発砲される)のだろう。

(伊東北斗)


◎[参考動画]博奕打ち 総長賭博(予告編)1968年東映 山下耕作監督 笠原和夫脚本 鶴田浩二主演

 
大高宏雄『復刻新版 仁義なき映画列伝』

お笑いイベント終了後、ナンパと宗教勧誘の修羅場と化す埼玉の巨大モール事情

 

2月25日、15時からさいたま市北区宮原町の大型ショッピングモール「ステラタウン」に人気漫才師の『ペナルティ』が登場。

子供に人気のボケ担当「ワッキー」とクレバーな突っ込みをする「ヒデ」が、デパートの迷子のアナウンスの経験を活かして迷子が親に出会えるようにするネタを披露。開始前から200名ほどの観衆は、寒さの中でも爆笑につぐ爆笑。迷子にのアナウンスをしなくてはいけないのに放送マイクの前で「大きな古時計」をひょうきんな踊りを交えてバリトンで歌い出すワッキーにはやんやの喝采が集まった。

 

「ワッキー!!」と子供の声援が飛びかい、賞品が当たるクイズも滞りなく進行。こともなく終わると思いきやばらけた集団から「いやだっていっているでしょう!」と女性が声を荒げている光景が。よくよく見るとイベントが終わり、帰ろうとする30代半ばの女性の足を止めて「このままドライブ行きませんか?」と20代のごつい男が誘っている。

そう、ここ「ステラタウン」は今、土曜と日曜を中心に「ナンパスポット」と化している。

 

「実は『ペナルティ』のファンは30代が多いので、熟女が好きな男性が埼玉県中から集ってきているみたいですね。駐車場には『大宮ナンバー』だけでなく、『川口ナンバー』『熊谷ナンバー』『所沢ナンバー』『川越ナンバー』『春日部ナンバー』『越谷ナンバー』などなどがイベントが始まる時間にはゾクゾクと吸い込まれていきましたから。ヤンキーっぽい20代が多かったです」(地元の住民男性)

そして、今ひとつナンパかどうかよく判別がつかないのだが、よくみればカルト団体の宗教勧誘もここ「ステラタウン」では盛んでメッカなのだ。

 

すぐ近く、北区盆栽町に本部があるカルト団体『冨士大石寺顕正会』がここステラタウンでも宗教勧誘しているのはここ1年のことだという。「『冨士大石寺顕正会』は、かつては日蓮正宗や創価学会などの他の富士門流各派と同じ一枚岩だったが、昭和33年に独立。勧誘相手に拉致も辞さないやり口で埼玉県警にも「軒並みアパートをまわって『顕正新聞を読んでください』と勧誘で二人一組で土日に住宅街をまわっているのだが、『興味ないと断っているのに帰ってくれない』という苦情が年間200件以上集まっているようです」(同)とも。

「イベントがある日は女どうし、あるいは男どうしペアでステラタウンにやってきて、のべつまくなしに異性に声をかけるのです。それでうまく誘いにのれば、車で10分もかからない盆栽町の本部に連れて行き、待ち構えた幹部が勧誘対象者を取り囲んで勧誘。まさに電光石火の早業です」(同)

 

高校生もその対象で、勧誘文句は「日蓮大聖人に帰依しないと日本が滅ぶのです」「大地震がやってきますが、顕正会に入っておければ安心です。必ず助かります」また「北朝鮮が攻めてくるので祈りましょう」というもの。同日も「宗教には興味ありません」と男二人組に声をかけられた女性が足早に逃げていった。

「どうもさいたま市北区で人が集まるポイントは、ナンパされるか宗教勧誘されるということで、カップルが寄りつかなくなりつつあるのです。大宮公園しかり、鉄道博物館しかり。実は大宮駅周辺にも同じことが起こっており、宗教勧誘やナンパに対するクレームは土日に大宮警察に殺到するのです」(埼玉新聞記者)

まったくこうしたトラブルを感知することなく、『ペナルティ』は「今日も受けた」と満足げに帰ったことだろう。だが、イベント終了後は、まさに修羅のようなナンパとカルトによる宗教勧誘が行われていたのである。

(伊東北斗)

 
星野陽平『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』【増補新版】