A5判で総ページ350ページ余に及ぶ気鋭の女性医師・斉藤佳苗さんの渾身の著『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情勢まで』が8月27日に発売となります。

分厚い本のためリアル書店ではほとんど配本されませんのでアマゾンなどネット書店、あるいは鹿砦社販売部(sales@rokusaisha.com) まで予約注文お願いいたします!

内容的には太鼓判を押します! 久し振りに刺激的な本を作りました。ぜひご一読を!

なお、偶然ながら協調関係にある雑誌『情況』も、9月28日発売の夏号でトランスジェンダー特集を行っています。併せてご購読ください。

斉藤佳苗『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情勢まで』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315592/

八月の空は悲しい(龍一郎 揮毫)

今年も8月6日がやって来ました。── ここ甲子園では平和の象徴ともいえる夏の高校野球が明日7日から始まります。

今年は、ウクライナでの戦火に加えパレスチナでもイスラエルによる無慈悲な攻撃により戦火は収まるどころか拡大しています。日本にあっても、もはや?対岸の火事”ではありません。解決の糸口はあるのでしょうか、絶望的になります。ほとんどの日本人にとっては今に至るも‟対岸の火事”のように感じられます。果たしてこれでいいのでしょうか?

かつて1960年代後半から70年代にかけて(75年のベトナム戦争終結まで)全世界にベトナム反戦運動が拡がりました。これが和平への後押しになったことはいうまでもありません。今はどうか?

8月1日付けの本通信でも記しましたが、戦後79年、日本が曲りなりとも平和を維持できたのは、先の戦争の反省から、歴史の曲がり角にあった60年、70年の〈二つの安保闘争〉を中心として、これ以後も地道な抵抗運動があったからだと考えています。8月15日付けの本通信にて採り上げますが、私の従兄は異国で終戦を迎え必死で故郷熊本に戻り、その後大学生時代に60年安保闘争に参加しています。三里塚闘争はいまだに続いています。

異論もあろうかと思いますが、半世紀余り、時にみずから血を流し闘い、半世紀余り自分なりに社会の動向、反戦運動や社会運動の推移を見てきた上での感慨です。決して机上での平和談議ではありません。日本は、曲がりなりにも民主主義社会です(この規定にも異論はあるでしょうが、少なくとも独裁国家や専制国家ではありません)。まだ声は挙げれます。

大学に入った1970年、帰省の途中で広島に立ち寄りました。これまで長崎には何度か行っていましたが広島を訪れたのは初めてでした。8月6日に毎年広島で行われる抗議活動に参加し、その日は広島大学の寮に泊めていただきました。翌日は京都からやって来たべ平連の人たちと岩国の基地反対運動にも参加し右翼からの攻撃に広島大学の学生(中核派やね)らと一緒に対峙したことが、ついきのうのことのように蘇ります。もう54年かあ。この半世紀余りの間、日本の、そして世界の、言葉の真の意味での平和は維持されたのでしょうか ── もう50年余り前の若き日の記憶から思うところを書き記してみました。

翌年1971年の8・6は歴代首相で初めて当時の佐藤栄作首相が広島の慰霊祭に出席するということで荒れました。いまだに記憶に残るのは、ある女子大生が体当たりで佐藤首相に抗議したことです。これは報道写真でも残っています。この年の夏は三里塚闘争で仲間が逮捕されたり9月に予定されている第二次強制収容阻止闘争や沖縄返還協定批准阻止闘争の準備などで広島には行けませんでしたが、報道で観て非常に感銘を受けました。

1971年8月6日の広島平和公園に来た佐藤栄作首相(当時)に抗議の体当たりをする女子学生

今回は、2年前にウクライナ危機に触発されて、若き日に接した反戦歌について書き記した文章に加筆し、この2年間、状況がまったく変わらず、それどころかますます泥沼化し悲劇が拡大している中で、あらためて加筆、再掲載してみました。ぜひお読みいただければ幸いです。

◆矢沢永吉 『FLASH IN JAPAN』

私はこの曲を聴いて大変ショックを受けました。今こそみなさんに聴いて欲しい一曲です。日本のロック界のスーパースター矢沢永吉は広島被爆二世です。これも意外と知られていません。ご存知でしたか? 父親を被爆治療の途上で亡くしています。矢沢がまだ若い頃(1987年)、『FLASH IN JAPAN』という曲を英語で歌い、その映像(ミュージックビデオ)を原爆ドームの前で撮影し、これを全米で発売するという大胆不敵なことをしでかしています。


◎[参考動画]Longlost Music Video: Eikichi Yazawa “Flash in Japan” 1987

5万枚といいますから矢沢のレコードとしては少ないのでしょうが、矢沢にすれば原爆を人間の頭の上に落としたアメリカ人よ、よく聴け! といったところでしょうか。いかにも矢沢らしい話です。このエネルギーが、部下による35億円もの巨額詐欺事件に遇ってもへこたれず、みずから働き全額弁済し復活したといえるでしょう。やはりこの人、スケールが違います。私より2歳しか違いませんが、私のような凡人とは異なり超人としか言いようがありません。

ちなみに私たちの世代にはカリスマ的存在である秋田明大(日大全共闘代表)さんも被爆二世で、毎年8月6日に開かれる抗議集会には必ず実行委員に名を務められたり参加されています。

アメリカで発売されたこの曲に正式な日本語訳はないようですが、ファンの方が訳されていますので以下に掲載しておきます(英文は割愛。藤井敦子補訳)。私も時間を見つけて、あらためて訳してみたいと思います。

俺たちは学んだのか
 治せるのか
 俺たちは皆あの光を見たのか
 雷みたいに落ちてきて 世界を変えちまった
 稜線を照らし 視界を消し去った
 戦争は終わらないんだよ 誰かが負けるまでは
 人々の群れが塔をなぎ倒し
 敵がどこに隠れているのか知っている
 兄妹たちは炎の中をはいつくばったが
 出口に届くことはなかった
 あの空の光は 戦争なのか 雷なのか
 それともまた日本で光るのか
 雨は熱いのか これで終わるのか
 それともまた日本で光るのか
 彼らに何と言えばよいのか
 子供たちよ聞いてくれ
 俺たちが全てを吹き飛ばしてしまったが
 君たちは再出発してくれ
 朝なのに今は夜のようで 夜は冬のようだが
 いくつか変わったこともある
 いつも忘れないでいてほしい
 戦争は終わらない 誰かが負けるまでは
 あの空の光は 戦争なのか 雷なのか
 それともまた日本で光るのか
 雨は熱いのか これで終わるのか
 それともまた日本で光るのか
 あの空の光は 戦争なのか 雷なのか
 それともまた日本で光るのか
 雨は熱いか これで終わるのか
 それともまた日本で光るのか

◆忌野清志郎『花はどこへ行った』/ PP&M『Where Have All the Flowers Gone?』

当初電撃戦で一瞬にしてロシアの勝利と思われたウクライナ戦争が長引いています。電撃戦どころか、ウクライナの予想外の抵抗により(ウクライナとロシアの歴史を見れば、決して「予想外」ではないかもしれません)、もう2年半も続き、解決の糸口は見つからず、さらに長期化する兆しです。ウクライナの予想外の抵抗でロシア軍はなりふり構わず攻撃しウクライナの都市や大地を焦土化し泥沼化しています。かつてのベトナム戦争のように──。

1955年から20年続いたベトナム戦争は60年代には泥沼化し、同時に米国のみならず全世界的なベトナム反戦運動が拡がりました。あの頃の話が「遠い昔の物語」(忌野清志郎の詞)ではなかったことが今になって甦ってきました。ベトナム戦争は、私が幼少の頃に始まり、終わったのは大学を出る頃(1975年)でした。時の経過と生活に追われ長らく忘れていた悲惨な記憶が甦ってきました。

ベトナム反戦の叫びは多くのメッセージソングを生み出しました。

ピート・シーガーが作った『花はどこへ行った(Where Have All the Flowers Gone ?)』もその代表作の一つでした。ベトナム戦争が始まった1955年に作られ、1962年にPP&M(Peter, Paul & Mary)が歌い大ヒットします。日本ではPP&M版が一番ポピュラーのようですが、このほか、キングストン・トリオ、ブラザーズフォー、ジョーン・バエズらが歌っています。曲の遠源はウクライナ民謡(子守唄)ともいわれますが、なにか因縁を感じさせます。

PP&M(Peter, Paul & Mary)

しばらくして日本にも輸入され、「反戦フォーク」として当時の若者の間でヒットし耳にタコが出来るほど聴き歌いました。私もそうでした。また、私と同じ歳の忌野清志郎(故人)もそうだったのでしょう、みずから意訳し歌っています。激動の時代を共に過ごし、時に原発問題とか社会問題にコミットする清志郎の想いがわかるような気がします。

今、ウクナイナでの戦火に触発され加藤登紀子、MISIAらが、この曲を歌い始めました。加藤登紀子はともかく、ライブで『君が代』を歌うようなMISHAがこの歌を歌うのには違和感がありますが……。登紀子さんには、この際、今は全くと言っていいほど歌わなくなった『牢獄の炎』とか『ゲバラ・アーミオ』とかも歌ってほしいですけどね。

つい先日(7月8日)、京都のキエフ(登紀子さんの実家経営)で、私がいた大学の学生運動、および寮の大先輩・藤本敏夫さんの23回忌が開かれました。私とは世代が全く異なり直接の面識はなかったので迷ったのですが、先輩に勧められ、資料コピー係(この世代の常として紙の資料が多いんです)を務め出席させていただきました。

その際、登紀子さんに「今はなぜ『牢獄の炎』を歌わないのですか?」と尋ねましたところ、「あなた、なぜこの曲を知っているの?」と驚かれました。「大学に入ってすぐに先輩に勧められ買いました。私に言わせれば『百万本のバラ』もいいが、『牢獄の炎』や、さらには『美しき五月のパリ』も復活させていただきたく熱望します。

ちなみに藤本敏夫さんは、ここ甲子園の出身です(甲子園三番町。鹿砦社は八番町)。

さて、『花はどこへ行った』は、日本でも多くの歌手がカバーしていますが、異色なところでは、古くはザ・ピーナッツ』や、今ではミスチルら、数年前、フォーククルセダーズが再結成された際のコンサートでは、わがネーネーズも一緒に歌っています。

ベトナム戦争が始まってから70年近く経ち、終わってからも50年近く経ちますが、ウクライナやパレスチナに見られるように、残念ながら、決して「遠い昔の物語」ではなくなりました。この曲は、ベトナム戦争終結とともに次第に歌われなくなっていきました。今後ウクライナ戦争のような戦争が起きるたびに歌われる名曲でしょうが、ウクライナやパレスチナに一日も早く平和が戻り、「遠い昔の物語」として、この曲が歌われなくなることを心より祈ります。


◎[参考動画]ピーター・ポール&マリー(PP&M)/花はどこへ行った(Where Have All The Flowers Gone)

『Where Have All the Flowers Gone?』
作詞・作曲:Pete Seeger、Joe Hickerson

Where have all the flowers gone
Long time passing?
Where have all the flowers gone
Long time ago?
Where have all the flowers gone?
Young girls have picked them everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the young girls gone
Long time passing?
Where have all the young girls gone
Long time ago?
Where have all the young girls gone?
Gone for husbands everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the husbands gone
Long time passing?
Where have all the husbands gone
Long time ago?
Where have all the husbands gone?
Gone for soldiers everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the soldiers gone
Long time passing?
Where have all the soldiers gone
Long time ago?
Where have all the soldiers gone?
Gone to graveyards, everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the graveyards gone
Long time passing?
Where have all the graveyards gone
Long time ago?
Where have all the graveyards gone?
Gone to flowers, everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the graveyards gone
Long time passing?
Where have all the graveyards gone
Long time ago?
Where have all the graveyards gone?
Gone to flowers, everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?


◎[参考動画]花はどこへ行った~トランジスタラジオ 忌野清志郎

『花はどこへ行った』
忌野清志郎詞、ピート・シーガー作曲

野に咲く花は どこへ行った
遠い昔の物語
野に咲く花は 少女の胸に
そっと優しく抱かれていた

可愛い少女は どこへ行った
遠い昔の物語
可愛い少女は 大人になって
恋もして ある若者に抱かれていた

その若者は どこへ行った
遠い昔の物語
その若者は 兵隊にとられて
戦場の炎に抱かれてしまった

その若者は どうなった
その戦場で どうなった
その若者は死んでしまった 
小さなお墓に埋められた

小さなお墓は どうなった
長い月日が 流れた
お墓のまわりに花が咲いて
そっと優しく抱かれていた

その咲く花は どこへ行った
遠い昔の物語
その咲く花は 少女の胸に
そっと優しく 抱かれていた

野に咲く花は どこへ行った
遠い昔の物語
野に咲く花は 少女の胸に
そっと優しく抱かれていた

(松岡利康)

◎[リンク]今こそ反戦歌を! http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=103

【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315258/

『週刊金曜日』(7月26日)の記事「バイデン撤退ハリス後継でトランプ優勢変わらぬが……」(編集部の本田雅和氏の署名)に、基本的な事実関係が間違っている箇所がある。現代史の中で重要な分部なので、指摘しておこう。米国大統領選における、トランプ候補の政治姿勢について述べた箇所である。次の記述である。

 

もう一つ、米国社会を歴史的に貫く大きな潮流として「対外関与を忌避し、自国政治に専念すべきという独立主義」の伝統がある。かつてはモンロー主義と呼ばれた、19世紀からの伝統だ。

ウクライナ戦争やパレスチナ・ガザにも「無関心」で、「日米安保条約は不平等条約」と言って「破棄」さえしかねないトランプの米国第一主義は、この孤立主義を体現している。トランプになれば、日本や韓国に対する軍事費負担増などの軍事強化要求がさらに強くなるのは必至だ。

「米国社会を歴史的に貫く大きな潮流として『対外関与を忌避し、自国政治に専念すべきという独立主義』の伝統がある」と述べているが、この記述が誤っていることは、米国によるウクライナやパレスチナへの関与を検証すれば一目瞭然だ。

ラテンアメリカ諸国に対する内政干渉も甚だしい。戦後だけを見ても、1954年のグアテマラに始まり、その後、キューバ、チリ、ニカラグアなど中米へ介入している。現在では、ベネズエラの左派政権に対する敵視政策は目にあまるものがある。次に示すのが、米国によるラテンアメリカへの軍事介入の実態である。

『週刊金曜日』が提示したモンロー主義の解釈も間違っている。モンロー宣言(1823年)に象徴されるモンロー主義は、確かに内政不干渉を基本とする文書だが、宣言が行われた背景に、ヨーロッパ諸国によるラテンアメリカ諸国への内政干渉があった。米国は、欧州に対抗するために、モンロー主義を宣言し、ラテンアメリカが自国(米国)の「裏庭」にあたるとする立場を前提に、米国こそがこの地域を支配する権限を有することを宣言したものなのである。モンロー宣言は、むしろ米国によるラテンアメリカへの内政干渉を正当化するための宣言なのである。実態としては、「対外関与を忌避」したものではない。

実際、米国はモンロー主義を口実として、ラテンアメリカ諸国への内政干渉を繰り返してきた。内政干渉は現在も続いている。

『週刊金曜日』は、このような脈絡を無視して、トランプが政権を執れば、米国による内政不干渉の政策が導入され、その反動で日本や韓国の軍事負担が増えると、論じているのだ。支離滅裂な論考である。西側を世界戦略に巻き込もうとしている米国の基本的な対外戦略を無視して、トランプを論じているのである。これでは既存メディアと同じレベルではないか?

本稿は『メディア黒書』(2024年07月30日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』(鹿砦社)

覚醒剤使用歴20年の金沢レインボープライド事務局長・奥村兼之助氏が常駐していた施設・かなざわにじのまだが、2023年7月には「ユース部」なる若者の集まりが発足していた。例によってLGBT活動家とズブズブの関係のマスコミが誇らしげに報じるウェブ記事が、今も残っている(https://www.chunichi.co.jp/article/734644)。

「金沢にじのまユース部発足」(2023年7月24日付け中日新聞)。LGBT活動家が「ユース」だのなんだのと外来語を使いたがるのは、市民を煙に巻く意図なのか?

ジェンダー課題 若者語ろう 「金沢にじのま」ユース部発足(中日新聞 2023年7月24日)

LGBTなどの性的少数者らが集う「金沢にじのま」(金沢市池田町)で23日、若者世代による「ユース部あまおと」が発足した。学校や家庭で話しづらいジェンダーや性の多様性について語り合う試み。にじのまでは5月にLGBT当事者の保護者だけの集まりも始まり、それぞれの立場で支え合う輪が広がっている。

金沢にじのまを運営する一般社団法人「金沢レインボープライド」は、2021年から当事者やアライ(理解者)、LGBTに関心を持った市民らが集まる「にじのまカフェ」を毎月開催。多い時では50人近くが集まる一方、共通する境遇や悩みを話し合う場の必要性が高まっていた。

あまおとは、にじのまカフェに参加している大学生有志が運営し、対象は12~25歳。LGBT当事者かどうかは問わず、性のあり方の開示も自由。初回の23日には高校生ら16人が参加し、「自分の普通を押しつけず、相手を尊重する」などのルールを紹介した後、ジェンダーへの考えなどを話題に「LGBTという言葉がひとり歩きしている」「同性婚を合法化してほしい」などの声が上がったという。

ジェンダーの多様性をテーマに探究活動に取り組む金沢泉丘高校二年の北天音(あまね)さん(16)は「ちょっと学校の外に出てみると、同世代で同じような問題意識を持っている人がいると分かった」と話した。運営する金沢大三年の今井瑞季さん(20)は「当事者が悩みを発散するのはもちろん、気軽にジェンダーについて話せる場をつくりたい」と見据えた。今後は二カ月に一回を目安に開くという。

レインボープライド事務局長の奥村兼之助さん(49)は「学生のころに、こういう場があれば」とうらやましがり、「若者と親世代は悩みの方向性、相談する相手が違う。相互に交流できれば」と期待していた。

ユース部の対象は「12~25歳」ということは、最年少の参加者は小学生ということだ。そして、初日には「高校生ら16人が参加」とあり……つまりは主に未成年を集めていた、ということで……。

──最悪である。

地元の親御さんからお預かりした大切な子供たちと接していたゲイ活動家が覚醒剤常習者であったのだから、地域の方々の不安はいかほどだろう。

取材では、この事務局長がコメントしている。

「学生のころに、こういう場があれば」

──いや、ジャンキーが常駐するLGBT団体の施設が他にもあったら、困るっつーの!

「若者と親世代は悩みの方向性、相談する相手が違う。相互に交流できれば」

──だからって、ジャンキーと接することなんか、だれも望んでないっつーの!

バレなければ犯罪に及んでもよいという遵法精神皆無の者が、偉そうになにをのたまっておられるのやら。厚顔無恥とは、このことか。

ところで、LGBT団体が「LGBTユース」を集めることは、よくある話。たとえば、トランス男性活動家・遠藤まめた氏(性自認は男性の身体女性)が代表の「にじーず」の公式サイトの団体紹介ページには、こうある。

2023年には「男子とHすることのある男子あつまれ!」というイベントのキャッチフレーズが問題となったLGBT団体・にじーず

にじーずは10代から23歳までのLGBT(かもしれない人を含む)が集まれるオープンデーを定期開催している一般社団法人です。2016年8月に任意団体として東京で発足し、現在では全国各地に拠点を増やしています。にじーずのミッションは「LGBTの子ども・若者が安心して思春期をサバイバルできるつながりを作ること」です。

近年LGBTという言葉は社会で広く知られるようになりました。しかし当事者の子ども・若者の多くは、学校でも家でも自分のことを安心して話せないと感じています。私たちは性のあり方はもちろんのこと、さまざまなちがいが否定されることがなく、多様な人がいるのがあたりまえの居場所を作ることで、子どもや若者の不安や孤立をなくしたいと考えています。

LGBT団体のこの手の集まりは、若い子のために「親にも言えない悩みを相談できる場」を作る目的があるというのだが、自分たちの思想に染めやすいから子供を集めているのではないかと疑う向きも多い。

海外では、ネットでLGBT活動家やその支持者にグルーミング(日本語では「懐柔」「洗脳」などと訳される)された子供や若者が、自分をトランスジェンダーだと誤認、二次性徴抑制剤(思春期ブロッカー)や異性化ホルモン、乳房切除や生殖器切除などの「ジェンダー肯定医療」へと進み、トランスしてしまった数年後に後悔するという悲劇が頻発している。日本でもLGBT活動家からの激しいバッシングにさらされたアビゲイル・シュライアー『トランスジェンダーになりたい少女たち』(産経新聞出版)にも、それは詳しい。

「男子とHすることのある男子(23歳以下)」を集めたにじーずとdistaの提携イベント(2023年)。distaは「大阪にあるゲイ・バイセクシュアルのためのコミュニティセンター」とのこと。関西の方々からは「歓楽街である堂山町に子供を集めるのか!」と批判された

そもそも、子供は純粋で吸収も速いため、古来、権力者は子供を特定の思想に染めて利用してきた。古くは平家の禿、20世紀にはナチスのヒトラーユーゲント、中国文化大革命の紅衛兵、カンボジアのポル・ポト派の少年兵……。今でも、紛争地域での子供兵士は大きな問題となっている。

しかも、である。かなざわにじのまの「ユース部あまおと」の対象年齢は「12~25歳」とされている。12歳と25歳と言えば、子供と大人だ。セクシュアリティが同じ子供と大人が交流するイベントで、性的なトラブルを未然かつ完全に排除することはできるのだろうか? なんらかの事件が起きたときには、だれがどう責任をとるのだろうか?

かなざわにじのまが「事件現場」とならなくても、LGBT当事者もしくはLGBTに興味がある子供がそこを訪れ、イベントに参加した後の帰路で、悪い大人から目をつけられるようなことは一切なく、危険なことはなにも起きないと断言できるのか? 

たとえスタッフや参加者が不埒な行動に及ばなくとも、よからぬ第三者が性的な興味をいだいて参加者を狙うのではないかという不安を、スタッフはだれ一人として感じないのだろうか? あるいは、なにかが起きても、それは参加者の「自己責任」だとお考えなのか?

「ゲイ・バイセクシュアルのためのコミュニティセンター」distaのXアカウント。所在地は大阪堂山町。ハッテン場に関する情報も得られるらしいが……

以上のような疑問を呈しただけでも、「LGBT差別だ!」とオラつく反差別チンピラが現れる。だが、その手の浅慮の輩に腰が引けるような大人しかいない社会で、子供を守ることができようか。

仮に、「差別だ!」と叫ぶ方々が、子供を集めるLGBTイベントでも一切のリスクはないと主張されるのならば、ぜひ、トラブル回避のためのノウハウをご教示願いたいというものだ。

そもそも、運営施設にジャンキーを常駐させるLGBT団体の、一体なにを信じろと言うのか?

──と、いろいろと疑念が湧いてくるのは当然として。さらに悪いことに、この事件に対する松中権代表や金沢レインボープライドの謝罪がまた、問題視される展開になるのであった。(つづく)

◎森奈津子 LGBT犯罪録 かなざわシャブのま事件
 ── 金沢レインボープライド事務局長が覚醒剤で逮捕

〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50290
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50306
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50381

▼森 奈津子(もり・なつこ)
作家。1966年東京生。立教大学法学部卒。1990年代よりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラー等を執筆。
Xアカウント https://x.com/MORI_Natsuko
森奈津子 LGBTトピック https://x.com/morinatsu_LGBT

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5R2HKN5/
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2024年3月、金沢レインボープライド事務局長が覚醒剤の所持・使用で逮捕・起訴。読売新聞に続き、共同通信のニュースサイト「47NEWS」がこれを報じたが、あいかわらず、容疑者の名は伏せられていた(https://www.47news.jp/11022962.html)。

LGBTQT+団体「金沢レインボープライド」が謝罪 元スタッフが覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴(共同通信2024年06月06日11時46分)

LGBTQ+団体「金沢レインボープライド」が謝罪 元スタッフが覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴/47NEWS
2024年06月06日 11時46分

 一般社団法人の「金沢レインボープライド」(共同代表・松中権、Diana Hoon)が6日までに公式サイトを通じ、元スタッフが覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴されたと報告し、謝罪した。

 公式サイトに5日付で「ご報告とお詫び」を掲載。「本年3月に弊団体元スタッフが覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴されました。このような事件が発生したことは誠に遺憾であり、関係の皆様方に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしておりますことに対し、深くお詫び申し上げます」とつづった。

 警察の捜査に全面的に協力しているとし、「今後は裁判の行方を見守り、事実関係を踏まえ厳正に対応してまいります。また、弊団体全スタッフの法令遵守の取り組みを一層徹底してまいります」と伝えた。

 同団体は、活動について「金沢レインボープライドは、LGBTQ+(性的マイノリティ)への理解促進を通じて、金沢そして北陸全体が多様性を大切にし、誰もが安心して暮らせる地域となることを目指して活動しています」としている。

LGBT団体の事務局長、つまりは幹部が覚醒剤で逮捕・起訴されたという大事件にもかかわらず、匿名であるうえ「元スタッフ」と表現。「LGBTに配慮」も、ここまで来ると滑稽だ。

元ゲイ雑誌編集長・冨田格氏も不自然な匿名報道にツッコミ

ところが、この事務局長の名は容易に知ることができる。と言うのも、犯行現場となった「かなざわにじのま」は鳴り物入りでオープンした施設であり、その際のウェブ記事を見れば、彼の名前も顔写真も出てくるのである。金沢レインボープライド事務局長・奥村兼之助さん、と。

たとえば、中日新聞では、こうだ(https://www.chunichi.co.jp/article/638763)。

かなざわにじのま開館の際の中日新聞の報道では、容疑者の名も顔も犯行現場もバッチリ

北陸初「多様性」の拠点 「金沢にじのま」開館/中日新聞
2023年2月19日 05時05分 (2月19日 10時16分更新)
「仲間に出会え、話せる場できた」

 LGBTQ(性的少数者)の当事者をはじめとする多様な人たちが集う「金沢にじのま」が十八日、金沢市池田町の竪町商店街そばに開館し、記念パーティーがあった。念願だった常設の居場所の完成に、参加者は「仲間に出会え、話せる場所ができた」と喜んだ。

 LGBTQ向け施設は、東京や大阪など国内に数カ所しかなく、北陸地方は初めて。当事者らが安心して自分の性について相談できたり、障害者や外国にルーツを持つ人を含めた多様な立場の人たちの活動拠点としても活用が期待される。

 にじのまは一般社団法人「金沢レインボープライド」が中心となって寄付金などを調達し、築百年以上の金沢町家を修繕。事務局長の奥村兼之助さん(49)が責任者として常駐する。奥村さんはエイズウイルス(HIV)の相談員研修を受講し、「治療や生活上の不安が楽になるサポートをしていきたい」と話した。

 パーティーには各地から当事者や支援者が駆けつけ、約五十人が「ハッピープライド」と声を合わせて乾杯し、完成を祝った。身体的特徴で男女の性別が判断しづらい「インターセックス」当事者の森下ゆうきさん(43)=福井市=は「知り合う機会、話せる場所が少ないので、すごい貴重」と歓迎した。

 石川県白山市で当事者の会を催す助産師植田幸代さん(61)も「学校の性教育で自分のことをカミングアウトする生徒も増えてきた。『行けば、誰か話をしやすい人に出会える』と伝えられる場所ができた」と期待した。にじのまの開館は正午?午後九時(毎週火、水曜定休)。今後は飲食物も提供するほか、交流スペースやシェアオフィスの運営体制を順次決める。

奥村兼之助氏は、かなざわにじのまに「責任者」として常駐していた。ジャンキーに一体なんの「責任」を負わせていたのか謎ではあるが、施設の利用者は常に、このヤク中歴20年のゲイと接触していたということだろう。覚醒剤常習者による過去の無差別殺人事件、通り魔事件などを思い返すと、大きな事件が起きなかったのは僥倖だったとさえ感じられる。

記事では「にじのまは一般社団法人『金沢レインボープライド』が中心となって寄付金などを調達し、築百年以上の金沢町家を修繕」と説明されているが、今でも以下の通り、クラウドファンディングのページは残っている。

結果的に「多様な人」の中にシャブ中も含まれてしまうとは、支援者たちは夢にも思っていなかったことだろう

READY FOR
金沢町家をLGBTQ+や多様な人が集えるクリエイティブな居場所に!(https://readyfor.jp/projects/kanazawanijinoma
金沢にじのまプロジェクト(代表:松中 権)

2022年10月31日に終了したこのクラファンでは、金沢町家の改修費用として約750万円を集めている。また、このプロジェクトには小島慶子氏や乙武洋匡氏といった著名人も応援メッセージを寄せている。元々、LGBT活動家と共に精力的に活動してきた方々ではあるが、今となっては、いい面の皮であろう。

LGBT活動家に批判的なLGBT当事者には大変ウザがられている小島慶子氏もこの通り

五股不倫報道後も、乙武洋匡氏とLGBT活動家はズッ友! だって、五股不倫もまた性的多様性のひとつだから!(?)

人々の善意のしるしである750万円もの大金を集め、金沢町家を改修、地名を冠した施設「かなざわにじのま」をオープンしておきながら、覚醒剤使用歴20年のゲイを常駐させる……なんという裏切りだろう。

さらには恐ろしいことに、この「かなざわシャブのま」と化した施設では、子供たちを集めたイベントまで開催されていたのである。(つづく)

◎森奈津子 LGBT犯罪録 かなざわシャブのま事件
 ── 金沢レインボープライド事務局長が覚醒剤で逮捕

〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50290
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50306
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50381

▼森 奈津子(もり・なつこ)
作家。1966年東京生。立教大学法学部卒。1990年代よりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラー等を執筆。
Xアカウント https://x.com/MORI_Natsuko
森奈津子 LGBTトピック https://x.com/morinatsu_LGBT

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5R2HKN5/
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2024年6月5日、LGBT当事者の間に衝撃が走った。LGBT団体「金沢レインボープライド」の事務局長が覚醒剤使用と所持で逮捕・起訴されていたことが、報道で明らかになったのだ。

性的少数者の交流拠点で覚醒剤、事務局長だった男「20年前に友人に勧められ始めた」/読売新聞2024年06月05日 15時38分

以下、読売新聞の記事(https://www.yomiuri.co.jp/national/20240605-OYT1T50061/)を引用する。

性的少数者の交流拠点で覚醒剤、事務局長だった男「20年前に友人に勧められ始めた」

性的少数者の交流拠点「かなざわにじのま」(金沢市池田町)を運営する一般社団法人「金沢レインボープライド」の元事務局長(50)(石川県白山市)が3月下旬、同交流拠点で覚醒剤を使用したなどとして、覚醒剤取締法違反で金沢地裁に起訴されていたことがわかった。

金沢地裁(野村充裁判官)で4日に初公判が開かれ、元事務局長は起訴事実を認めた。検察側は懲役2年を求刑し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めて即日結審した。判決は11日。

起訴状などによると、元事務局長は3月28日、勤務先の「かなざわにじのま」で、注射器を用いて覚醒剤を使用し、翌29日に金沢市内の駐車場で覚醒剤2・11グラムなどを所持していたとされる。

被告人質問で、元事務局長は「約20年前に友人に勧められ(覚醒剤の使用を)始め、断薬期間もあったが月1、2回の頻度で使用していた」と説明。検察側は「使用量が少ないとは言えず、常習性も高い」と指弾した。

同社団法人は、性的少数者への正しい理解を深めてもらうため、企業や教育機関で講演などを行ったり、自治体へ政策提言をしたりしている。同法人の松中権・共同代表は取材に対し「知らなかったので驚いた」と話した。

なんで20年前からシャブやってた五十男が実名報道されないんだよ! しかも、この「元事務局長」は、逮捕時には「現事務局長」ですよね? ガチの団体幹部ですよね? それって、「LGBTに配慮」ですかっ?──等のツッコミは置いておいて、とりあえず、読売新聞の勇気ある報道には敬意を表したい。というのも、今やLGBT団体は強大な圧力団体と化しているからだ。

マスコミとしては、下手にLGBT団体幹部の犯罪を報道し、「LGBT差別だ! ヘイトだ!」の大合唱でネットリンチされてはたまらないというのが、本音だろう。LGBT活動家と共闘するしばき隊系活動家による集団いやがらせの標的にされても、厄介だ。あるいは、今後はLGBT活動家に取材を拒否されてしまうかもしれない。

大手マスコミ各社は、日頃から、ニュース提供者としてLGBT活動家には大変お世話になっている。取材に応じてくれるLGBT当事者を苦労して探さなくとも、LGBT活動家がLGBTの代表者ヅラして、顔出し名前出しで取材に応じてくれるのだ。つまり、「取材相手はLGBT活動家、もしくは彼らが紹介するシンパLGBTのみ」という現実は、マスコミの大いなる怠慢の結果である。

ハード系ゲイ雑誌「G-men」元編集長・冨田格氏は、これが大スキャンダルであることを指摘

「ゲイ」ではなく「ホモ・オカマ」を自称する月清氏は、LGBT活動家が支持者以外の当事者を排除している事実に言及

「ゲイのリアル」を知る一般のゲイ当事者による身も蓋もない指摘

LGBT活動家の排他的で差別的な面を知る男性同性愛者は、一貫して辛辣

そして、さらにここでは、大きな問題が生じている。実は、LGBT活動家は大抵は共産党、立憲民主党、社民党の党員もしくはシンパゆえ、LGBT活動家をネタ提供者にすると、シャレにならない偏向報道になり、LGBT当事者から「我々はそんなこと(例/同性婚法制化、企業でのLGBT研修、自治体でのレインボーフラッグ掲揚)など望んでいない!」とブーイングの嵐となる。テレビと新聞でしかLGBTを知らない地方のお年寄りならだませるかもしれないが、ネットではたびたびLGBT当事者が報道批判を展開、大手マスコミのLGBT報道のメッキがどんどんはがれているのが現状だ。

そもそも、この覚醒剤事件は本来ならば、金沢レインボープライド事務局長が逮捕された時点で、報道されるべきではなかったか? 二ヶ月以上のタイムラグは、マスコミがそれまで、そろいもそろってだんまりだったということでもある。

なにしろ、金沢レインボープライドの代表・松中権氏は、LGBT活動家では大物中の大物。活動家事情に疎い異性愛者の皆様には、「松中氏を漫画『鬼滅の刃』の十二鬼月にたとえれば、上弦の壱ぐらいの実力者かつ権力者」とご説明すれば、大抵はご納得いただける。

「鬼滅の刃」をご存じない方には、「敵の鬼には『十二鬼月』という、特に強い12人の鬼がいて、それぞれ6人ずつ『上弦の鬼』『下弦の鬼』に分かれており、上弦のほうが階級が上。上弦の鬼・下弦の鬼にはまた『壱・弐・参・肆・伍・陸』の番号が振られており、数字が若いほうが階級が上」とさらにご説明しなくてはならないのだが。

ちなみに、私の推し鬼は、美しく病的な少年の姿の下弦の伍・累クンです ── って、どうでもいいことですね。すみません。(つづく)

実はLGBT活動家の薬物に対する甘さは、今に始まったことではない

◎森奈津子 LGBT犯罪録 かなざわシャブのま事件
 ── 金沢レインボープライド事務局長が覚醒剤で逮捕

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▼森 奈津子(もり・なつこ)
作家。1966年東京生。立教大学法学部卒。1990年代よりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラー等を執筆。
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森奈津子 LGBTトピック https://x.com/morinatsu_LGBT

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◆神聖な偶像がなぜ必要なのか?

かって親しくしていた宗教関係者の女性がしきりに「神は実在する」と口走っていた。「実在」という言葉が引っかかって、どうしてもこの女性との関係を持続出来なかった。

「宇宙人は実在する」とか「UFOは実在する」と言われればまだ納得しようという気分になれたかもしれないのだが……

しかし、「神は実在する」と言われても、目撃情報が全くないのだから判断することは出来ない。彼女はこうも言った。

「立派な建築物は優秀な設計者がいるから創られる。人間の体も同様で優れた創造者の設計でこれほど見事に完成されたのよ。その創造者が神なのですよ」

こういう理屈はジャーナリズムの世界では、裏づけが取れていない空論として排除される。が、宗教の世界、とりわけキリスト教の信者の間では、空論も正論として認められているようである。前述した私の交際相手の女性も生粋のクリスチャンだった。

ただ最近のキリスト教系の新団体では「神が実在するというのは間違いで、神は人それぞれの心の中にある神聖な領域への憧れの結晶です」と言い切る指導者もいらっしゃるようだ。これまでその種の映画や小説の中で用いられた「神の声を聞いた」等という表現も、「それは自分の内なる神聖に美化された自分の声を聞いた」ということらしい。

そういう言い方をしてくれれば、何となく理解出来る。また、宗教に救いを求める人々の気持ちも判らないではないと思える。そして、その気持ちは、UFO=宇宙人が実在すると信じたい人々のこだわりに通じるものがあるような気がするのである。

UFOが神と異なるのは、目撃情報がやたらに多いという点だが、人間が生存する次元を超えた「物体」に対して精神的に執着したいという人心を惑わすところは同じ。「執着したい」はやがて「帰依したい」となる。

UFOは当初、宇宙からの脅威という不安材料を与えて大衆を結束させる目的で設定されたが、やがてマニアックな人々の意識に導かれ、多くの人々のロマンの対象となっている。

神もまた権力者が支配の口実にして、神の意向が自分の意向であるかのようなプロパガンダを用いた末に、布教活動と商業と時には武力行使をセットにした事実上の侵略を可能にしたという意味で、統治の強力な要(かなめ)であった。

もちろん現在の形骸化した宗教では、教会は結婚式場として若いカップルを祝福する最適なスペースを提供しているわけで、神は1応幸福を求める人々の心の支えとして機能していることになる。

UFOも神も謎めいた一種の偶像として大衆的には定着していると言えるだろう。それもまた害のない帰依ではないかと思う。

では害のある帰依とは何か? 私はそれが松本人志やジャニー喜多川を独裁者の如く崇拝した支持者たちの異常な心理であると思う。

ファンには罪はない。誰が誰を好きになろうが、それは自由だ。また独裁者タイプの人は多くのファンを獲得する以前に、自分は特別な人間であり、偶像として人並みではない扱いを受けるべき大人物であるという自覚と自信を抱いているのも事実。その人たちが放つ特異なオーラは、庶民の目から見れば「神がかった人物」とも「宇宙人」とも見えるかもしれない。

スピリチュアルな世界にはまった人から見れば、なおさらである。足立区の中華料理店で出会った若者の言葉は彼なりの真実であったと言うべきだろう。

彼にも罪はない。彼を含めて鋭敏な感性の持ち主たちが望んでいたのは、偶像を発見する歓びであっただろう。その結果、彼等彼女たちに有害な事象が生じたとしても、それは自己責任というものと思えるが、まあそれにしても、パーティーで初めて会った若い女性に、アルコールが入った上でだとしても「俺の子供産めや」なんてよく言えるよナァ。やっぱりあの男、もしかしたら宇宙人かって、思いたくなる時もある。

そして、あの男。広末涼子とのW不倫で名を売ったカリスマ・シェフ。あいつも東スポの記者に向かって「うらやましいでしょう」と言ったそうだ。このカリスマの特権意識・優生思考。確かにうらやましい。

神も宇宙人もカリスマも所詮大衆の劣性思考に支えられて存在していると考えれば、いつか「うらやましい」が、「うらめしい」に転換することもあるという話である。

◆地震津波は神の怒りか?

能登半島で地震があった。北陸電力も原子力規制委員会も認めていなかった断層が見つかったって……。これをクリスチャンやスピリチュアル・マニアの方々は、何故「神の怒り」「宇宙人からの警告」と声高に叫ばないのだろうか? 

地球とて宇宙全体の無限の広がりの中では、ちっぽけな天体に過ぎない。そこでくり広げられる人間の様々な愚行から生じる問題(領土問題・環境問題・ワクチン禍・LGBT・差別・利権 etc)に、神がいつまでも沈黙を守るはずはないとは考えられないのか。

人智を超えた力を見出すのが宗教であり、精神世界であると思うのだが……。

かつて神戸に在住していたクリスチャンの知人が、個人的な事情で東京に転居した。その直後に阪神大震災が起こり、知人が住んでいた家は半壊したという。

その際の知人のコメントは、「神が私をお守り下さった」

自分の身を護るだけの信仰だったのかと問いたい。

本稿は『季節』2024年春号(2024年03月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した記事の後編です。

板坂 剛 松本人志はやっぱり宇宙人だったのか?(全2回)
〈前編〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=49986
〈後編〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=49990

▼板坂 剛(いたさか・ごう)
作家、舞踊家。1948年福岡県生まれ、山口県育ち。日本大学芸術学部在学中に全共闘運動に参画。鹿砦社より『三島由紀夫と1970年』(2010年、鈴木邦男との共著)、『三島由紀夫と全共闘の時代』(2013年)、『三島由紀夫は、なぜ昭和天皇を殺さなかったのか』(2017年)、『思い出そう! 1968年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』(紙の爆弾2018年12月号増刊)等多数。

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』

◆「あいつは宇宙人だ」と若者が叫んだ!

もう遠い昔の話だが、たまたま独りで立ち寄った足立区の中華料理店で、店内に設置されたテレビの画面に突然松本人志の姿が現れた時、私より先に食事をすませてビールを飲んでいた若い男が叫んだ。

「あいつは宇宙人だ」

驚いて彼の方を見ると、目が合った私に向かって、また同じトーンの声が発せられた。

「あいつは宇宙人なんだよ。判るんだ、俺には」

そう言われてテレビの画面に見入ると、大写しになった松本人志の顔は、バルタン星人とまでは言わないが、確かに地球上の生態系から生まれた人間のものとは思えない奇怪な形相を呈していた。

十数分後、私の隣の席に移動してきたその若い男は、自分はあるスピリチュアルな団体に属して「人類の中には、実は他の星のシステムから地球に来た訪問者が潜んでいる」と教えられ、ネイティブな地球人と宇宙人のまま人間に化身した生物と識別する能力を身につけることが出来たという。

「そんな馬鹿な」と反論しなかったのは、論より証拠、松本人志の顔が宇宙人にしか見えなかったからである。

若い男はこうも言った。

「あいつ(松本人志)はきっと大物になるよ。お笑い芸人として第一人者になるだろうな」

当時の松本人志はまだ第一人者にはほど遠い存在だったのではないかと(お笑いの世界には無知な私だが)思っていた。そんな人材をいきなり「きっと大物になる」と評されても納得は出来なかったが、今はあの時の彼の見立ては正しかったと思うしかない。

あの時以降、地球上に宇宙人が既に棲みついているという説もちらほらと耳にすることがある。人間の皮をかぶった彼等は大変優秀で、どの分野でもトップに立つ実力者になるとも聞いた。

肯定も否定も出来なかったが、いつか松本人志が自作自演したにもかかわらず、全く不評で興業的にも大失敗だったというワケの判らないSM映画(『R100』)を観た時、なるほど宇宙人ならこういうモノを創るだろうと思った。

監督として彼自身が試写室で完成された作品を鑑賞し、同席していたスタッフや映画評論家らしき人物が「もうダメ」と棄てゼリフを残して退席した後も、一人で興奮状態に陥っている場面が、彼の正体を表現していると思える作品だったのだ。好意的に解釈しても「天才の自爆」悪く言えば「単なる独りよがり」でしかなく、はっきり言って駄作である。

『R100』(監督=松本人志/製作=吉本興業/2013年10月5日公開)より

 

『R100』(監督=松本人志/製作=吉本興業/2013年10月5日公開)より

特にSM映画という前宣伝に煽られたその種のマニア諸氏には、さぞ期待外れであっただろう。主役のパッとしない男性がスタイル抜群の半裸の美女に暴力的に虐げられる場面もあることはあったが、恐らく松本人志にはマゾヒストとしての素質は皆無に等しいと思わせるほど、どの場面もつまらな過ぎた。

更に後半SM映画ならぬSF映画的な展開になると殆どの観客は試写室の場面での映画評論家らしい人物のように「もうダメ」と言い棄てて退席したくなったことと思われる。(ちなみにこの人物の最後のセリフは「(こんな映画)公開すんなよ」であったと記憶する)

しかし、私はむしろ後半のSFもどきのあり得ないシュール・レアリズムに、宇宙人的なセンスを感じて少しばかり感動した。たかがお笑い芸人が、もしかしたら宇宙人かという荒唐無稽な妄想を抱かせる……。スピリチュアルの世界は奥深いと言わなければならない。

◆宇宙人が心配する地球の惨禍
 
ここで話を持ち出すのは却って信憑性を欠くことになると思うが、敢えて書く。あの福島原発の事故の前後、原発附近の上空にUFOが頻繁に出没したというニュースを覚えてる人はいらっしゃるだろうか。

当然フェイク・ニュースとして扱われてしまったようだが、UFOキャッチャー(ゲームの達人ではない)を自認する知人が、確かに原発事故の際、異常な数のUFOが出現したのは事実だと自信を持って語っていた。

また彼はUFOに乗って地球にやって来る宇宙人の多くは、将来地球の住人になるつもりでその時のために下見に来ていると断言していた。従って宇宙人が地球人を攻撃することはなく、むしろ平和に共存する方法を模索しているのだという。

そういうわけで地球上で地震や戦争等の惨禍が起きた際には、心配した宇宙人がUFOに乗って現場を視察することになっているらしい。珍説と笑って黙殺すべきかもしれない。

しかしここ数年、海外で戦争が続発している状態の中でUFOに関する話題がまたチラホラとメディアの片隅に登場しているが、その出所が大半アメリカであるところが気になる。なにしろ謀略が大好物の国である。周期的に大衆の不安をかきたて抑止力(軍事力)を強化する伝統的な国策は建国以来のもので、決して自分たちに危害を与える存在ではなかった北米大陸の原住民を凶暴な「土人」と決めつけて虐げ、社会から排除した。

1960年代、テレビで放映されていたアメリカの西部劇で、白人のガンマンたちが「土人」という言葉を口にするのを何度も聞いた。もちろん邦訳の吹き替えで、実際に俳優が何と言っていたかは判らない。ただストーリーの展開と彼等がそのセリフを口にした時の表情から、相当に差別的な発言があったのだろうと想像出来る。

当時、名画と称された西部劇の劇場用映画の中で、白人が乗った駅馬車が「インディアン」の集団に襲撃され、駆けつけた騎兵隊に救出されるという場面が、そのままテレビにも流用され、何度となく放映されたのを記憶している。

元々先住民であったにもかかわらず「インディアン」は盗賊、白人の開拓者はロマンチスト、騎兵隊は正義の味方と公的に定められているような構成だった。こういう常識が大衆に浸透している国だから、UFOも地球人類に対する潜在的驚異と位置づけて世界中の人々に緊張感を与えようとするのだろう。

数々のUFO目撃談、どうもアメリカの自作自演のような気がしてならない。そう考えると原発事故の際に出現した多数のUFOは、当時福島沖に展開していた米空母ドナルド・レーガンから発進した偵察用のドローンではないかと疑いたくもなる。東日本大震災当時は、一般の市民にとって「ドローンって何?」という程度の認識しかなかったと思うが、米軍ではとっくに兵器として活用することを前提にした開発研究が行われていたはずである。

ただ原発の上空に現れたUFOが、地球上の惨禍を心配して飛来した宇宙人の運航する物体であるという説も私は棄てきれない。そっちの方が気持ちが安らぐのだ。

地球人が醜い争いに没頭したり、自然災害に苦しんでる様子を観察していると思うと、いつか地球人になって生きて行こうという彼等の意欲を損なうには忍びないという自制心が働くではないか。

そして思う。宇宙人だのUFOだのという観念的事実が、たとえ完全な夢想だとしても、そこにはアメリカ軍とその背後にいる産軍共同体の思惑とは真逆に、不安がいっぱいの現実からの救済を求める民衆の願望を感じるのである。(つづく)

本稿は『季節』2024年春号(2024年03月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した記事の前編です。

▼板坂 剛(いたさか・ごう)
作家、舞踊家。1948年福岡県生まれ、山口県育ち。日本大学芸術学部在学中に全共闘運動に参画。鹿砦社より『三島由紀夫と1970年』(2010年、鈴木邦男との共著)、『三島由紀夫と全共闘の時代』(2013年)、『三島由紀夫は、なぜ昭和天皇を殺さなかったのか』(2017年)、『思い出そう! 1968年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』(紙の爆弾2018年12月号増刊)等多数。

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』

 

シャッターの閉められたセンター西側には野宿する人たちがいる。行政はわざとゴミを放置し、「野宿者がいるからこんなに汚いのだ」とアピールする

釜ヶ崎の野宿者追い出し裁判、最高裁が5月27日付で上告を棄却しました。

長い裁判のこれまでの経緯を説明します(不足している部分もありますが)。

JR新今宮駅前にドンと建つ「あいりん総合センター」(以下、センター)は長年西成の日雇い労働者の労働・生活の中核となり、野宿者にとっては最後のセーフティネットの場になっていました。

ところがセンターを管理する国と大阪府は、センターの耐震性に問題があるから解体し建て替えるとして、2019年4月に強制的に閉鎖しました。しかし、その後も周辺には多くの人たちが野宿していました。

すると、国と府はそれも認めないと、2020年4月22日、野宿者と、センターに誰でも泊めれるようバスを置いている釜ヶ崎地域合同労組の稲垣浩氏ら22人に対して立ち退きを求める裁判をおこしました。しかも、そのわずか数か月後の7月、本訴が終わるまで時間がかかるから緊急に立ち退かせる必要があるとして断行の仮処分命令を訴えてきました。

これに対して稲垣氏は、仮処分命令が決まって野宿者らがセンターからばらばらに追い出されては、その後本訴を闘うにも団結することが困難だと考え、断行の仮処分命令にも毅然と闘うべきだと訴え闘ってきました。これと闘わなければ、次の闘いも闘えない、当然の判断だと思います。

センターに停めてある釜ヶ崎地域合同労組の車両。24時間誰でも休めるようになっている

 

明らかにヨソから持ち込まれた粗大ゴミ。行政、西成警察はこうした「不法投棄」を取り締まる気もない

この裁判で大阪地裁は12月1日、国と府の断行の仮処分命令を却下しました。野宿者ら被告側の勝利です。却下した理由ですが、国と府は早く立ち退けとの理由に、2008年から「センターの耐震性に問題がある」と主張していましたが、そのセンター問題を考える「まちづくり会議」などで、肝心の耐震性問題が「喫緊の課題」として論議された形跡がないからだというのです。至極真っ当な理由です。しかもこの時点では、センター解体後の跡地をどうするかも具体的な計画案も決まっていないのでした。

その後、本訴である土地明渡訴訟が始まりました。2021年12月2日、大阪地裁は国と府の主張を認め立ち退きを認める判決を下しました。但し、原告(府)が求めていた、全ての裁判が終わるのを待たずに「すぐに立ち退け!」とできる仮執行宣言は認めませんでした。被告側は敗訴しましたが、実質強制排除されることはなかったのです。これもある意味「勝利」でした。

その間、大阪市や西成区は野宿者に対して、生活保護を受けさせ立ち退かそうと説得などを行ってきました。普段は生活保護を受けさせない、あるいは受けたのちにもあれこれ難癖つけて保護をうち切ろうと必死の行政側も「今なら簡単に保護が受けれますよ」と甘い言葉をかけまくってました。

もちろん生活保護を受けるか否かは本人の自由で、受けたい人は既に受けています。それでもなお、様々な理由で野宿にとどまる人がいることも事実です。しかもこの間には、コロナ禍で職を失い困窮し新たにセンターに来た人を何人も見てきました。釜ヶ崎のセンターは社会的に困窮する人たちの最後の砦になっていることは明らかなのです。

人の背丈の3倍ほどに積み上げられたゴミ。行政は「釜ヶ崎をきれいな町に」とほかでは熱心に清掃してるのに

一審で敗訴した稲垣氏と野宿者らは、大阪高裁に控訴しました。大阪高裁は2022年12月14日、地裁判決を支持し、野宿者側の控訴を棄却しました。一方で地裁判決と同じく、最終的な判決が確定する前に強制退去が可能である「仮執行」(強制排除)は認めませんでした。

弁護団によれば、このような事態は極めて異例であるとのことです。野宿者の強制排除を許さないという主張を訴えてきた被告側の闘いの大きな成果でした。その後、被告らは最高裁に上告していましたが、最高裁は5月27日付で上告を認めないという判決を下した、という経緯です。  

現在、野宿者らはいつ強制排除されるかもしれない事態に晒されています。この問題に関心を持たれるみなさんには、ぜひ、今後の動向に注目して頂きたいと思います。

前述したように、大阪府はセンターを解体して出来た更地に何を作るかの具体案も決めていません。私が一番許せないのが、国と府は、耐震性に問題があるとしてセンターの入っていた第一市営住宅を解体しようとしていますが、同時に耐震性に問題のない第二市営住宅まで公費で解体しようとしていることです。

それは駅前により大きなきれいな形の台形を確保することで、一層儲けることが出来るからです。万博、カジノ同様、大阪維新とその仲間たちだけが儲けようという魂胆です。この間の物価高などで困窮者はますます増えていくでしょう。そんななか、生活保護者、野宿者含め生活困窮者が誰に遠慮なく、堂々と生活していける町、それが釜ヶ崎、こういう地域は本当に必要ではないでしょうか。

みなさん、ぜひご支援とご注目を!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

ジャニー喜多川やカウアン君やデヴィ夫人のそれぞれの言動は、それぞれの必然性に基づいて行われたもので、驚嘆するほどの事象ではない。

驚くべきは7月23日に報道された国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の人たちが、この件に関して調査のために来日し、さらにジャニーズ事務所も「再発防止特別チーム」を結成して真相を究明しようとしているというニュースだ。

 

在りし日のジャニー喜多川

再発防止って「加害者」がとっくに死んでいるのに何で再発防止のチェックが必要なのって聞きたいよね。国連もそんなことに人と時間を費やすなら、原発事故の再発防止のためのチェック機関を作ってほしい。

折しもアメリカではスリーマイル島事故後の初の新規原発がジョージア州で営業運転を開始するという。世界中で権力者のやりたい放題による災厄が多くの人民を苦しめている時に、死んだ人間のセクハラ疑惑なんか追求している場合じゃないだろう。

事故が起こらなくても原発で働く作業員は皆被曝していると、定期的に作業員の健康診断を行っていた医師が言っていた。その医師に対して電力会社の社員は診断の結果を絶対にマスコミには知られないようにと忠告したという。また、退職した作業員が1年後に白血病で死んだという話もよく聞かされたそうであるが、そういう事例のチェックは全く行われなかった。

日本の公的機関がそこまでやるとは期待もしていないが、それをやるのが国連ではないかと思う。

無名の作業員たちの生死にかかわる被害より、未成年のお尻の穴の被害の方が大事だろうかと問いたい。

お尻の穴と言えば、先頃鹿砦社から発行されたムック本。『人権と利権』の中で、少々気になる記述があったので書き添えておきたいと思う。

同書は大変に好評で売り切れ間近と聞いているが、編著者の森奈津子さんというバイ・セクシャルの女性と加賀奈々恵さんという埼玉県富士見市議の都の対談。

その中で森さんの次の発言に、つい首をかしげてしまった。

「松岡さんは、やっぱり女性スペースにトランス女性も入れるべきだとおっしゃっているんですけれど、ああいうゲイの方って、ゲイオンリーのイベント、例えばエッチなショーがあったり、あるいはゲイの方々が出会って性的な行為に及ぶハッテン場など、そういうところに『”体が女性のトランス男性”の皆様もどうぞ入ってきてください』とはおっしゃらないんですよね」

(注・ここに記されている「松岡さん」とは、一般社団法人フェアの代表理事の松岡宗嗣という人のことで、鹿砦社の社長、松岡利康とは関係ありません)

「ゲイは女性の体には興味がないので、いくら心が男性だと言っても体が女性の人が入って来られては困る、ということなんですね」

「一方では、ゲイをハッテン場に体が女性のトランス男性を入れないのに、女性にばかり強制をして、おかしいなと思うんです」

筆者は今は亡き『噂の真相』の岡留安則編集長の紹介で、かつて同性愛者に対する差別反対運動のリーダーとして一世を風靡していた「オカマの東郷健」が発行する『ザ・ゲイ』という雑誌の編集を受けおったことがあり、その関係で全国のゲイバーやハッテン場となった映画館を取材したことがあった。

そこでも目撃したことは、ゲイバーにも女性客が度々訪れるという事実、もちろん体が女性のトランス男性もお見えになっていた。

また、ハッテン場として有名なポルノ映画館では女装した男性が大モテで、の周囲には常に大勢のファンが群がっていた。男装した女性に関しても同様。

また、男性とのカップルで女性客も入れる映画館では自分の彼女を全裸にして性交までする男性もいたが、2人の周囲には男たちがスクリーンに背を向けて羨望の眼差しで男女のプレイを鑑賞し、2人が帰る時には「ありがとね。また来てね」と声をかける御仁にもいた。

つまり、彼等の中には本当は女性の方が好きなのに相手に恵まれず、風俗に行く金もないので仕方なくハッテン場に身を寄せている人も多くいるということである。
こういう人たちがトランス男性やトランス女性の参入を拒むということは考えられない。

女性が単独で入場することは許されない映画館も確かにあるが、それは映画館側が警察の介入を恐れてバリアーをはっているだけのことで、そこにたむろするゲイたちが女性を排除してるわけではない。

ハッテン場に集う人たちを統1された理念と美意識で結ばれた集合体だと思ったら大間違いなのだ。このへんは正確に把握してないと、同好諸氏に足元をすくわれる危険がありますのでご注意下さい。

それにしても純粋なハッテン場とも言えるジャニーズ事務所が、はたしてジュニアたちにとって有害な場所だったのか。歴史の査定を待つ他はないが、今なおジャニーズジュニアに熱い声援を送り続けている女性たちの姿に、どうしても原発再稼働を阻止するだけの民意を表明出来ずに流されてしまう大衆の「嫌なことは忘れる」「醜いことから目を背ける」集団心理が重なって見えるのはどうしたものだろうか。

8月4日の国連メンバーによる記者会見では、原発事故の被害者の方々についてのコメントもあったことを忘れなく。

愚か……という言葉を使いたくはない。1970年に「天皇陛下万歳」と叫んで自決した三島由紀夫の気持ちが判る。それがパロディーであるのなら、幾らでも叫んでいいだろう。ジャニーズよ、永遠なれ、と。

結局それは滅びの美学なのかもしれない。確かに男が皆ゲイになったら、その民族は滅びるしかないのだから。

笑える。

板坂 剛 ジャニーズよ 永遠なれ(全3回)
〈1〉死して尚、放たれる威光
〈2〉「性加害」という表現への疑問
〈3〉真に許されない愚かしさとは

本稿は『季節』2023年秋号掲載(2023年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼板坂 剛(いたさか・ごう)
作家、舞踊家。1948年福岡県生まれ、山口県育ち。日本大学芸術学部在学中に全共闘運動に参画。鹿砦社より『三島由紀夫と1970年』(2010年、鈴木邦男との共著)、『三島由紀夫と全共闘の時代』(2013年)、『三島由紀夫は、なぜ昭和天皇を殺さなかったのか』(2017年)、『思い出そう! 1968年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』(紙の爆弾2018年12月号増刊)等多数。

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

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