前回の記事で書いたように、北欧のスウェーデンは世界で唯一「女性の方が喫煙率が高い国」であります。確かに男性の「喫煙率」は17%(女性は21%)と世界トップクラスの低さを誇ります(誇る?)。

しかし「喫煙率」が低いからといって、「タバコ率」が低いわけではないようです。スウェーデン男性にはシガレット(紙巻タバコ)よりも、スヌース(嗅ぎタバコ)の方が人気が高いのです。

スウェーデン男性の21%、女性の4%がスヌースを毎日使用しているといいます。なんでも「あんまりお洒落じゃないから女性の人気がない」とかいうことのようです。

◆スヌースを探して町に飛び出した

三鷹で見つけた『アルカポネ・ミント』

タバコのことをああだのこうだのと書いているくせに今までスヌースを体験したことがなかったことを恥じて、早速こっそりと慌てて急いでゆっくりと近所のタバコ屋さんを訪ねました。私、生まれも育ちも東京都三鷹市なのですが、三鷹には『みわた』というタバコ屋さんがあっていつもお世話になっています。

シガレット(紙巻タバコ)、シャグ(手巻きタバコ)、シガー(葉巻)、パイプ、キセル、スナフ(嗅ぎタバコ)など扱っている商品が実に豊富で、もちろんスヌースもありました。

タバコ本来の味や香りを楽しみたいので、着香していないものがいいと思ったのですが、残念ながらレギュラータイプは売り切れ。メンソールタイプのものしかありませんでした。残念だのなんだのとごちゃごちゃ申しておりましたら、店長が『アルカポネ・ミント』というスヌースの試供品をくれました。ま、結局メンソールタイプなんですけど、ありがたく頂戴いたしました。

◆体験者は語る

では、スヌースの初体験レポートといきましょう。

 

紅茶のティーバッグのようなスヌース

粉状のタバコが紅茶のティーバッグのような不織布の袋に入っています。大きさは28mm×15mmで、ちょうどSDカードの半分のサイズでした。親指の爪くらいといった方がわかりやすいでしょうか。

パッケージには「一包を歯ぐきと頬の内側に挟んで下さい。味わいの強さは口腔内の水分量によります。」と、使用方法が書いてあります。

メンソールタイプは刺激が強くて歯茎がヒリヒリと痛い

唇を指で引っ張って、スヌースを上の歯の歯茎の奥に挟みました。メンソールタイプだからでしょう、ヒリヒリと刺激が強くて歯茎が痛いです。フリスクとか辛いミントのガムみたいな感じです。

女性が敬遠する理由がなんとなくわかります。唇がもっこり膨らんで鼻の下が伸びたような状態になるし、しゃべっている時にペロとスヌースが見えたらかっこ悪いです。

タバコの香りもするような気がしないでもないですが、ミント感が強いのでなんだかよくわかりません。味は、ぼんやりと甘いです。甘味料として漢方やお菓子でもよく使われる甘草(リコリス)が使用されているようです。砂糖とは違うこざっぱりした甘さです。

 

砂糖とは違うこざっぱりした甘草(リコリス)の甘さ

口の中の水分量によって味わいが強くなるということですが、スヌースに唾液が染みてくると甘みが強くなります。そして、メンソールのヒリヒリ感が炸裂しまして、こりゃたまらん、一旦中断です。噛んでるガムを口から出すような遣り場にこまる感じです。幾人か友人に試してもらったところ、半数くらいは最初の一分以内にリタイアしました。結構痛いんです。スヌースを挟む場所を替えて、下唇の歯茎に移したらこちらの方が敏感なようで激しく痛いです。

気を取り直してリトライしてみます。バーやレストランが全面禁煙のスウェーデンでは酒を飲みながらスヌースを使用するようなので、コーヒーを飲んでみました。コーヒーの水分に触れてスヌースから発揮される刺激がより一層強くなります。口が痛い余談ですが、ニコチンを摂取するとカフェインの代謝が早まるそうです。コーヒーを飲むとタバコが吸いたくなるのは生理的な欲求もあるみたいですね。

使用時間の目安はだいたい30分くらいだというのですが、まだ味がなくなったガムをいつまでも噛んでるような感じで、各々の好みで唇に挟んでいればよいもののようですが、注意書きにこう書いてあります。

・ 本製品はニコチンを含むタバコ製品です。絶対に飲み込まないで下さい。
・ 袋がやぶけている場合は使用しないで下さい。
・ 本製品の使用により気分が悪くなる等の症状が生じた場合には、すぐに使用を中止して下さい。

注意書きです

粘っていつまでも口の中に入れているとあまりいいことはなさそうですね。寝タバコで火事が起きるのと同様に、スヌースの誤飲でニコチンの急性中毒とかありそうです。40分くらして飽きたので口から出して捨てました。

◆嫌煙時代の救世主

スヌースを体験し終えた今、一番何がしたいかと聞かれたら迷わずこう答えます。

「タバコが吸いたい」

喫煙の目的が何かという問題ですが「ニコチンを摂取したい」というよりは「煙を吸い込みたい」ということのような気がします。もっと云えば喫煙というのは「手持ち無沙汰だから何か口にくわえていたい」ということのような気がします。

パイプや葉巻のように、煙を肺まで吸い込まない「口腔喫煙」を初めて体験した時にも同じようなことを思いました。私たち第二次世界大戦以降の世代は肺に煙を吸い込まないと満足感を得られない「シガレット世代」だと云っても間違いではないでしょう。

タバコはあくまで嗜好品なので、だらしない酒飲みのように「酔っぱらえればなんでもいい」というような下品な発想に陥らないようにしたいものですね。嗜好品はエレガントに楽しまなければ悪しき因習です。

副流煙による健康被害を理由に嫌煙ブームの昨今、スヌースはオルタナティヴな提案(代替案)として面白いのではないでしょうか。現にスウェーデンではシガレットよりもスヌースの方が人気があるわけです。煙の出ないスヌースは空気を汚さないので、冬の寒さの厳しい地域で重宝されるのは納得できます。

ニコチンパッチやニコレットで頑張って禁煙するくらいならば、スヌースという選択肢の方が遥かに豊かだと思いませんか?

またひとつ世界が広がりました。次回はもう少し掘り下げて、スヌースの健康被害に関する考察をお届けします。

▼原田卓馬(はらだ たくま)
1986年生まれ。幼少期は母の方針で玄米食で育つ。5歳で農村コミューンのヤマギシ会に単身放り込まれ自給自足の村で土に触れて過ごした体験と、実家に戻ってからの公立小学校での情報過密な生活のギャップに悩む思春期を過ごす。14歳で作曲という遊びの面白さに魅了されて、以来シンガーソングライター。路上で自作のフンドシを売ったり、張り込み突撃取材をしたり、たまに印刷物のデザインをしたり、楽器を製造したり、CDを作ったりしながらなんとか生活している男。早く音楽で生活したい。

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《紫煙革命13》世界の男女別喫煙率から見えてくるカラフルなタバコ・カルチャー
《紫煙革命12》実録!タバコ工場見学の巻(後編)
《紫煙革命11》実録!タバコ工場見学の巻(前編)
田中俊一委員長自宅アポなし直撃取材を終えて

いつも何度でも 福島を想え! 『NO NUKES voice』Vol.02

 

こんにちは原田卓馬です。日々、紫煙革命の記事のネタ探しでタバコのことを調べています。最近、世界各国の喫煙率の統計を眺めていたら面白い発見がありましたので、こちらで紹介します。

まずは日本の喫煙率からいってみよう!

JT全国喫煙者率調査

『JT全国喫煙者率調査』によると、
日本の昭和40年(1965年)の男女別喫煙率は、
男性 82.3 %
女性 15.7 %

日本の平成26年(2014年)男女別喫煙率
男性 30.3 %
女性 9.8 %

ということであります。仮に日本の人口の男女比が1:1だとして、男女別喫煙率を足して2で割ると、
日本の1965年の喫煙率 49%
日本の2014年の喫煙率 20%

50年前までは2人に1人が喫煙者だった日本において、「たったの半世紀で5人に1人までに減った」ということです。ここで面白いのは男性の場合、年々右肩下がりで喫煙率が減少しているのに比べて、女性の喫煙率は減少傾向にはあるものの、10%台で緩やかに推移しているということだ。

次に世界の喫煙率を見比べてみよう!

◆鉄則1=漢字文化圏は女性喫煙率が低い

『OECD Health data 2012』によるとOECD加盟国の中で、男性喫煙率が最も高い国は韓国。そして女性喫煙率が最も低い国も韓国。韓国は儒教の影響で「目上の人の前ではタバコを吸わない」、「酒は三度勧められるまで飲まない」そんな風習があるといいますね。

『OECD Health data 2012』OECD

(この表には掲載されていませんが)中国も男女喫煙率の傾向が韓国とよく似ています。

日本でも一昔前だと、「娘が人前でタバコを吸うなんて、はしたない!」なんて時代がありましたし、現在もそういう考え方は根強く残っています。

シンガポールも女性喫煙率が低いようです。ものすごおーーーーく、大雑把に「漢字文化圏=儒教文化圏」と考えると納得がいきそうです。男性優位の社会における女性の喫煙率は低いようです。

他にも世界各国の喫煙率を見ると、アジア・アフリカで女性喫煙率が低いことがわかりました。

◆鉄則2=プロテスタントの国は喫煙率の男女差が少ない

キリスト教の国でも、カトリック教徒の多いイタリア、スペイン、ポルトガル、南米だと喫煙率に男女差がある傾向のようです。

対してプロテスタントの多いイギリス、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランドなどでは比較的に喫煙率の男女差が少ない傾向にあるようです。

特に顕著なのがスウェーデン、アイスランド、ノルウェー、デンマークです。北欧には喫煙率男女差が全くないと言い切ってもいいのではないでしょうか!(ちょっと待て、フィンランドはどうした?)

やはりプロテスタントは集団礼賛のような儀式よりも、個人を尊ぶようですね。男に生まれようが女に生まれようが、神のもとに皆平等であるということでしょうか。思わず『プロテスタントの男女別喫煙率から考えるジェンダー論』みたいな論文が書きたくなってきました。

◆例外=スウェーデンでは女性喫煙率が男性より高い

喫煙率ランキングで必ず紹介されるスウェーデン。男性喫煙率は低さは世界トップクラスで、統計の時期や方法で違いは出るが17%という数字がよく使われている。それに比べ、女性喫煙率は22%と男性よりも高い。
世界各国の喫煙統計の中にある例外中の例外!

スウェーデンでは2005年6月1日以降、禁煙法が施行され、全てのバー、レストラン、カフェ、ホテルなどの公共の場で全面禁煙となっているようであります。

「今夜、すべてのバーで、、、禁煙だと!」中島らもがモンドリ打ちながらわめき散らしそうな法律である。(アメリカの約半数の州やアイルランドなどでは同様の法律がある)

確かにスウェーデンの喫煙率は低いです。しかし、喫煙率が低いからと言って、タバコ人口が少ないわけではないのです。タバコとは、燃やして吸うだけが全てではありません。粉状のタバコを鼻から吸い込んで鼻腔粘膜から吸収する『嗅ぎタバコ(スナッフ)』、口の中でクチュクチュ噛んで口腔粘膜から直接タバコを吸収する『噛みタバコ』など色々あります。かつて、イギリスの貴族や中国の金持ちの社交界では、いかにかっこよく嗅ぎタバコを吸い込むかがステータスになったといいます。

そもそもシガレットが世界的に普及する第一次世界大戦まで、スウェーデンでは『スヌース』(SNUS)と呼ばれる嗅ぎタバコが主流だったようです。紅茶のティーバッグを小さくしたような袋に入った粉状のタバコを歯茎と唇の間に挟んでニコチンを経皮摂取するので、どちらかといえば噛みタバコと呼んだ方が正確なような気がしますが、慣例で嗅ぎタバコという言い方をするようです。

sweden_snus

 

この表を見るとよくわかりますが、スウェーデンでは第二次世界大戦終了の1945年以降シガレットの消費量が急増し、それに伴ってスヌースの消費量が徐々に減ります。世界的なシガレットブームの時代です。ところが1970年代に入ると再びスヌース人気が追い上げを見せて、90年代にはスヌースがシガレットの消費を上回ります。私はスウェーデンには行ったことないし、スウェディッシュのお友達もいないので何があったのかまったくあわかりませんが、日本でキセル文化が復興したようなものだと考えると、わくわくして踊りだしてしまいそうです。

私、紫煙革命で喫煙文化のあれこれを見つめる中で「世界各地の様々なタバコ文化の独自性が維持された方が、世界がカラフルで楽しい!」っていうことが言いたかったような気がします。どういう事情でスウェーデンのスヌースが復興したのか大変気になりますので、スヌースデビューしてみます!

次週、スウェーデンのタバコ文化『スヌース』に挑戦する!

▼原田卓馬(はらだ たくま)
1986年生まれ。幼少期は母の方針で玄米食で育つ。5歳で農村コミューンのヤマギシ会に単身放り込まれ自給自足の村で土に触れて過ごした体験と、実家に戻ってからの公立小学校での情報過密な生活のギャップに悩む思春期を過ごす。14歳で作曲という遊びの面白さに魅了されて、以来シンガーソングライター。路上で自作のフンドシを売ったり、張り込み突撃取材をしたり、たまに印刷物のデザインをしたり、楽器を製造したり、CDを作ったりしながらなんとか生活している男。早く音楽で生活したい。
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◎原田卓馬の《紫煙革命11》実録!タバコ工場見学の巻(前編)
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今日の電気も原発ゼロ!『NO NUKES voice』Vol.02

 

デジタル鹿砦社通信をご覧の皆さんこんにちは、タバコ啓蒙活動に邁進中の原田卓馬です。前回に引き続きタバコ工場見学報告、その後編です。

◆牧草のように甘く自然なタバコ葉を求めて

工場のドアが開いた瞬間、タバコ葉の香りの微粒子と水分ををたっぷり含んだような密度の高い空気が工場内から溢れ出してきました。いい匂いと感じる成分もありますが、バニラとハッカとチューインガムを適当に何種類か混ぜたような、しっちゃかめっちゃかな匂いなので体調が悪ければ頭が痛くなりそうです。二日酔いだと嘔吐しそうです。これは『ピアニシモ』、『ロゼ』などに使用しているケミカル香料の匂いのようです。熟成したタバコの葉は牧草のような甘くて自然な香りがするんですが、なんだかとても残念な嗅覚体験です。

工場内の景観はと申しますと、郊外の大型スーパーマーケットや大型家具店のように天井が高く、端から端まで見通せる巨大なワンルームになっています。刻んだタバコを風圧で送り出すための管(太くて透明な水道パイプみたいな感じ)、タバコ巻き上げ機や、巻き終わったシガレットを一時貯蔵するためのリザーバー、製品を流すためのローラー、箱詰めするための梱包マシン等がシステマティックに並べられています。

専門的な工業用機械とはいっても、タバコを刻んで紙に巻くだけなので、民家を改造して機械を運び込みさえすればタバコ工場なんてどこでもできそうだなと思いました。

◆メンソールの充満したエレベーター

1階はメンテナンスで機械を動かしていないということで、業務用エレベータに乗り込みました。ものすごく爽快なミントの残り香がします。エレベータは人の移動だけでなく物資の運搬にも使用しているとのことで、タバコに添加するメンソール原料を運搬した後はいつも空気がフレッシュになるそうです。

Wikipediaに「一部銘柄のタバコでは、香り付けや、喫煙による喉や呼吸器の炎症を軽減する目的で添加剤として使われている」と書いてありますが、炎症軽減効果なんてあるんでしょうか?

メンソールタバコを吸うとインポになるという都市伝説があります。日本では1977年に発売されたサムタイムという女性向けの銘柄でメンソールが広く知られるようになりました。「女々しいぞ!」という理由で「オカマ=インポ」みたいな風評があったという説があります。これも都市伝説の域を超えませんね。

◆システマティックなマシン

2階に到着しました。稼働中の工場の騒音は凄まじく、前持って渡されていた無線機とヘッドフォンが抜群の威力を発揮します。モーターやコンプレッサーの爆音と、湿った暖かい室温と、香料の匂いが伴って、空間が飽和状態です。生声で話すなら大声で叫ぶか、耳にキスしそうなくらい接近しなければなりません。ヘッドフォン越しだとコミュニケーションが一方通行なので、あれこれ質問し辛いです。

刻んだタバコ葉が風圧で機械に送り込まれるところと、巻き上げたシガレットが積み上げられていくのはよく見えるのですが、肝心の巻き上げてカットするところを見ることができません。

もっと機械に近寄って観察したいものですが、安全上の配慮ということで遠くからしか見ることができません。立ち止まって眺める時間はなく、係の人はどんどん歩くよう催促します。機械がどんなコンビネーションで動くのかピタゴラスイッチ的アハ体験がしたかったのですが、機械に近づけないので全体の流れがよくわかりません。

シガレット巻き上げの機械が1階、2階の2フロアで合計22台あります。ハイスペックなものだと一台のマシンで一分間に20000本のシガレットを製造するというのだから技術の進歩は凄いですね。同じ銘柄のタバコでもボックスとソフトで製造工程が別になるみたいです。梱包によって微妙に煙の味や香りが違うという説がありますが、製造ルートが途中から分かれているので多少の違いはあるかも知れません。

◆優秀なブレンダー

ですが、JTには優秀なタバコテイスティングをするブレンダーの人達が製品にブレがないか味見をしているので、素人にもわかる違いがあるかは疑問です。なんせ、タバコの銘柄をあてるのなんて朝飯前だというのです。五感が狂うと仕事に支障をきたすので、寝不足も二日酔いも風邪をひくことも御法度で、刺激の強いスパイシーな料理?たとえばカレーとか?は勤務前は厳禁だといいます。

勿論、タバコの味と香りを確かめるための喫煙なので、煙を肺にはいれず、粘膜で煙を楽しむ口腔喫煙《クールスモーキング》です。

ブレンダーの人にインタビューしたかったけれども、工場見学当日は残念ながら不在ということでした。そんなに鼻の利く人が香料のフレーバーが充満した工場内で精神に異常をきたさないのか甚だ疑問ではあります。

さて、アメリカンスピリットなどの普及で若者を中心にシェアを拡大しつつある、ナチュラル無添加タバコというのがありますね。他にもプエブロ、チェ、スモーキング・ジョーなど市販されているものがいくつかあります。そんな折、2014年12月中旬にJTから「キャメル・ナチュラル・ボックス」「キャメル・ナチュラル・ライト・ボックス」の二銘柄が東京都、神奈川県、大阪府の一部販売店で新発売となるようです(2014年11月25日JT発表)。

日本の産業構造は優秀な技術者が「安かろう悪かろう」のために才能の無駄使いを強いられて来た側面があるので、香料無添加のキャメルは非常に楽しみであります。

念のためお断りしておくと、先ほども申し上げたように、「タバコは口腔喫煙《クールスモーキング》が基本」です。もし、吸っているタバコがいまいちおいしく感じなかったら、騙されたと思って肺を通さず、煙を鼻からふかしてみて下さい。いつもと違う楽しみ方ができる、かもしれません。

皆さんも是非、タバコ工場見学に応募してみてくださいね!

日本たばこ産業(株)北関東工場

[見学先]日本たばこ産業(株)北関東工場
〒321-3231 栃木県宇都宮市清原工業団地10

▼原田卓馬(はらだ たくま)
1986年生まれ。幼少期は母の方針で玄米食で育つ。5歳で農村コミューンのヤマギシ会に単身放り込まれ自給自足の村で土に触れて過ごした体験と、実家に戻ってからの公立小学校での情報過密な生活のギャップに悩む思春期を過ごす。14歳で作曲という遊びの面白さに魅了されて、以来シンガーソングライター。路上で自作のフンドシを売ったり、張り込み突撃取材をしたり、たまに印刷物のデザインをしたり、楽器を製造したり、CDを作ったりしながらなんとか生活している男。早く音楽で生活したい。
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原田卓馬の《紫煙革命11》実録!タバコ工場見学の巻(前編)
田中俊一委員長自宅アポなし直撃取材を終えて

今日の電気も原発ゼロ!『NO NUKES voice』Vol.02

 

デジタル鹿砦社通信をご覧の皆さんこんにちは、タバコ啓蒙活動に邁進中の売れないミュージシャン原田卓馬です。

先日遂に、念願のタバコ工場見学に行ってまいりましたので早速レポートいたします。

◆鬼怒川を越えるとそこは広大な工業団地だった

工場の外観

清原工業団地は宇都宮駅の東方8.5kmの工業団地で、387ヘクタール、東京ドーム82個分の広さであります。今、調べてわかったのですが「東京ドーム何個分の広さです」っていうのは一個あたり4.7haという計算をするみたいです。また1つ豆知識が増えましたね。小学校の頃は雑学の本と図鑑と辞書が好きでした。

海辺に面していない内陸の工業団地としては日本最大で、元々は戦前にゼロ戦を作っていた中島飛行機の飛行場として使用していた場所の跡地だそうです。

キヤノン、カルビー、久光製薬、中外製薬、松下電器産業などテレビCMでお馴染みの有名企業が軒を連ねて、40社以上の工場が立ち並んでおります。シラミ潰しに工場見学したいものであります。

その一角に四方をフェンスで囲まれて植え込みで少し目隠しをした日本たばこ産業JT北関東工場があるわけですね。15ヘクタール、東京ドーム3個分の広さであります。

◆JT北関東工場に到着

並んだ机

あいにく、敷地内写真撮影禁止だったので色々お見せできなくて残念ですが、文学的に描写するので想像してみてください。

ゲートを通ると警備室兼受付があり、敷地内に案内されました。灰色の建物の自動ドアをくぐると中は小学校や市役所に似た公共施設っぽい雰囲気で、入り口からすぐの視聴覚室みたい部屋に通されました。

折りたたみ式の長机とパイプ椅子が三列ずつ並べられて、一番前の席にペットボトルのお茶が置いてあります。係の人に案内されて着席すると、目の前にはスクリーンがあり、パワーポイントを使ってJT工場の概要を解説してくれます。
お茶はJTビバレッジの辻利でした。

製造のおおまかな流れを説明すると、栽培したタバコ葉を中間貯蔵施設で1年貯蔵し、工場で水をかけて細かく刻んでブレンドし、香料をまぶして熟成し、機械で紙にまいて、箱に詰めて、出荷するということでした。もちろん、香料については詳しい説明はしてもらえませんでした。

北関東工場では主に、『メビウス』、『セブンスター』、『ピアニシモ』、『ロゼ』などを製造しているそうです。東日本大震災の時はこの工場も被災したそうで、その時壊れた丸い掛け時計が展示されています。震災の後、タバコの供給が間に合わず品切れになっていた銘柄がいくつかありましたね。

◆在来種が気になる

キセル用の刻みタバコ「小粋」

香りとコクのある黄色腫、香料と相性のいいバーレー種、江戸時代に日本で品種改良された在来種があるようで、三種類のタバコ葉を独自にブレンドしているということでした。それぞれが単体でどのような香りや吸いごたえがあるのか試したいという要望を伝えましたがJTではそういったサービスは行っていないそうです。

『小粋』というキセル用の刻みタバコがJTで製造されているのですが、原料は在来種なのか尋ねてみました。タバコのブレンドのレシピについては口外できないということでした。

調べてみると、『小粋』は在来種の松川葉・達磨葉・出水葉・指宿葉・水府葉の全5種のブレンドで作られるようでした。そのくらい教えてくれてもいいのに。日本独自の成長を遂げた在来種のタバコを吸ってみたい方は是非ともキセル喫煙に挑戦してみてください。
2012年にはブレンドではなく、それぞれ単体での販売もされたようですが、現在は3種類のみが限定販売されているそうです。

◆遂に念願のタバコ工場に足を踏み入れる

工場の帽子

ひと通り説明を受けてから、いよいよ工場棟に入ります。工場内は気温も湿度も高いので上着を脱ぐよう指示を受けました。「注文の多い料理店」がトラウマなので知らない場所で上着を脱ぐのは苦手ですが、半袖でちょうどいいくらいだということなのでコートを脱ぎました。靴に不織布の袋を被せ、髪の毛をカバーする帽子を被り、黄色いゼッケンを着用して、首から無線機をぶら下げて、ヘッドフォンを耳にあてます。工場内は機械の騒音がうるさいので、案内の音声が聞こえるようにするための工夫とのことです。

工場棟までの廊下には工場勤務の社員の方々ひとりひとりの一年の抱負を書いた紙が貼りだされています。更衣室がありました。制服の作業着は男性が薄緑色、女性が渋めのピンクです。駅の掃除係の人みたいな感じ、という印象でした。
工場棟の直前に設えてある手洗い場で手を洗い、アルコール消毒します。工場ゲート外からでも芳ばしい甘いタバコ葉の香りがします。ウイスキーのような木を焦がした甘い香りです。ドアが開きました。(後編に続く)

▼原田卓馬(はらだ たくま)
1986年生まれ。幼少期は母の方針で玄米食で育つ。5歳で農村コミューンのヤマギシ会に単身放り込まれ自給自足の村で土に触れて過ごした体験と、実家に戻ってからの公立小学校での情報過密な生活のギャップに悩む思春期を過ごす。14歳で作曲という遊びの面白さに魅了されて、以来シンガーソングライター。路上で自作のフンドシを売ったり、張り込み突撃取材をしたり、たまに印刷物のデザインをしたり、楽器を製造したり、CDを作ったりしながらなんとか生活している男。早く音楽で生活したい。
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田中俊一委員長自宅アポなし直撃取材を終えて
『NO NUKES voice』本領発揮の第2号!田中俊一委員長をおっかけ直撃!
◎原田卓馬の《紫煙革命》
《09》シガレットは何でできてるの?ランキング前半
《10》シガレットは何でできてるの? ランキング後半

今日の電気も原発ゼロ『NO NUKES voice』Vol.02

 

前回に引き続き、たばこは何でできてるの?ランキングの後半に突入!

◆第6位 糖類

糖類 5-17mg(平均使用重量) 1-2%(シガレット一本あたりを占める割合)

コーンシロップ、デキストリン、フルクトース、ブドウ糖、転化糖、ショ糖、ソルビトールなどが保湿剤・香料としてタバコ葉に添加されている。JTの場合だとタバコ農家から葉を集荷して、ブレンドする際に添加され、乾燥、貯蔵して1年以上熟成するのを待つようだ。

糖類によって、吸わないでおいたままタバコの火が消えなくなる。保湿もするが、燃焼を維持するような役割も持っている。大航海時代にタバコと出逢った西ヨーロッパ各国でタバコの香料添加は始まっているが、中でも砂糖の類を添加した記録が多い。

 

◆第7位 プロピレングリコール

プロピレングリコール 2.6-8mg(平均使用重量) 0.3-0.9%(シガレット一本あたりを占める割合)

 

こちらもなんだか『?』な添加物である。某辞書ペディアによれば、

・無色・無味・無臭で吸湿性の油状液体。
・生物への毒性が低く、無味無臭であることから、保湿剤、潤滑剤乳化剤不凍液、プラスチック中間原料、溶媒として用いられる。
・ 保湿性や防カビ性に富み、医薬品化粧品おにぎりの品質改善剤。
注射剤・内服薬・外用薬の溶解補助剤として調剤に用いられている。
・ 皮膚および眼に対して軽度の刺激性を持つ。低用量では慢性毒性が見られない。

保湿剤・防カビ剤として使用されているということですね。JTの電話の人も、「おにぎり、うどんに普通に使ってるから安全です」みたいなこといってました。モチモチっとした湿潤な感じを維持するんですね。

 

◆第8位 セルロース

セルロース 4-6mg(平均使用重量) 0.1-0.7%(シガレット一本あたりを占める割合)

粒子が絡み合い容易に成型できるなどの理由から錠剤の結合剤の医薬品添加物として広く用いられている。
化学式がC6H10O5で炭水化物の一種。巻紙も同様の成分だが、こちらは結合剤としてタバコの葉の中に添加されているセルロースだ。紙や木のクズがつなぎとして入っているようなものだ。

 

◆第9位 その他たばこ添加物

その他たばこ添加物 0.6-1.6mg(平均使用重量) 0.06-0.1%(シガレット一本あたりを占める割合)

その他ってなによ?ってな話だが、おそらくJTが成分を公開したくない(タバコ添加物表示の義務がない)ものなのだろう。ほんの少量であることから化学合成のケミカル香料などが「その他」としてこの中に含まれているのだと思われる。
電話取材でも、各銘柄の香料の配分に関しては「わかりかねます」の一点張りであった。

 

◆第10位 巻紙のり

巻紙のり 0.2mg(平均使用重量) 0.014%(シガレット一本あたりを占める割合)

JTの巻紙のりの成分は酢酸ビニルですな。これはつまり木工用ボンドのようなものだ。某辞書ペディアによれば、「特徴的な甘い香りを有する」「ヒトへの発がん性が疑われる物質と評価されている」「マウス実験で食道がんを発生した報告があるが、実際にヒトで発がん性を示す証拠は得られていない」。

ヨーロッパのタバコメーカーだと天然のアカシア樹液を原料とした糊が使用された巻紙もあるが、JTではボンドを使っているというわけだ。

第1位 タバコ葉
第2位 フィルター
第3位 水
第4位 巻紙
第5位 グリセリン
第6位 糖類
第7位 セルロース
第8位 プロピレングリコール
第9位 その他たばこ添加物
第10位 巻紙のり

以上がJTで製造している全てのシガレットに使用されている添加物の重量別ランキングである。

 

◆番外編 ハチミツ、ハチミツエキストラクト

ハチミツ、ハチミツエキストラクト 0-2.3mg(平均使用重量) 0-0.3%(シガレット一本あたりを占める割合)

英国には、「The history of honey is the history of mankind. (はちみつの歴史は人類の歴史)」という古いことわざがあるようで。食用、薬用、蜂蜜酒、芳香剤、化粧品など、ハチミツは食べる以外のいろんなことに使われているんですな。タバコ添加物としては砂糖と同じく保湿剤と香料の役割を果たす。

古代エジプトにはキフィーという煉香(お通夜の時に燃やす、お焼香のようなもの)にハチミツを使用していたそうな。

「タバコにハチミツが添加してあるんですよ!」
と聞いたら現代人はびっくり、古代人は納得ってか。

日本で最も売れているシガレットであるメビウス(マイルドセヴン)はハチミツの使用量が多いですから、ハチミツの香りは日本人好みなんですかね。

セヴンスター、ピース、キャビン、わかばなどにもハチミツは使われている。

もっとこういう具体的な銘柄ごとの個性を知っていたら、タバコの楽しみ方も広がるのになあ。やはりタバコ産業に関しては事実上の専売制で、各家庭で手作りするなんてこともありませんから、たばこの工場が何をしているのか想像もつきません。

JTがシガレットをどのように作っているのか、この目で確かめるため、いよいよJTタバコ工場に見学に行って参ります!

◎ランキング前半記事
《紫煙革命09》シガレットは何でできてるの?ランキング前半

▼原田卓馬(はらだ・たくま)
1986年生まれ。幼少期は母の方針で玄米食で育つ。5歳で農村コミューンのヤマギシ会に単身放り込まれ自給自足の村で土に触れて過ごした体験と、実家に戻ってからの公立小学校での情報過密な生活のギャップに悩む思春期を過ごす。14歳で作曲という遊びの面白さに魅了されて、以来シンガーソングライター。路上で自作のフンドシを売ったり、張り込み突撃取材をしたり、たまに印刷物のデザインをしたり、楽器を製造したり、CDを作ったりしながらなんとか生活している男。早く音楽で生活したい。
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どうも。タバコライターの原田卓馬です。これまでの稿でタバコの添加物について具体的に正体をあぶりだしてきたわけではあるが、中間報告として紙巻タバコの材料の使用割合をランキング形式で発表しちゃうぜ。

たばこは何できているか。使用重量順に発表していきますよ!

第1位 タバコ葉

タバコ葉 480-600mg(平均使用重量) 60%(シガレット一本あたりを占めるだいたいの割合)

これは正解率99%になるでしょう。タバコ一本あたりの60%がタバコ葉だというわけだが、これは予想に反して少ないような気もする。

タバコ以外の部分が40%、シガレットはタバコと呼ぶには工業製品的な性質が強すぎるとも思える。葉巻やパイプなどのようなタバコ葉100%の喫煙方法に比べたら、余計なパーツが多いのではないか。

JTさんに電話で聞いたら、「日本国内だと33県で作っています。詳しい産地については言えませんが、放射能に関しては自社基準で管理しているのでご安心ください。」というマニュアル化されたような四角い回答を得た。

国産のタバコ葉、輸入のタバコ葉どちらも銘柄ごとの独自ブレンドで配合されるという。
さあ、ここからはなかなか予測の難しい部分ですぞ。

第2位 フィルター

フィルター 140-180mg(平均使用重量) 19%(シガレット一本あたりを占めるだいたいの割合)

木炭チップで煙を濾過する部分とアセテート繊維の二層構造のデユアルチャコールフィルター、アセテート繊維のみのアセテートフィルターなどいくつか種類があるがフィルター周辺のフィルター巻取紙、チップペーパー、フィルターのりもまとめてカウントすると

180-250mg(平均使用重量)
30%(シガレット一本あたりを占めるだいたいの割合)

フィルターを構成するパーツがシガレットの30%を占めているわけだ。

アセテートは植物繊維のセルロースを化学合成して作られている。不完全燃焼すると有害物質をまき散らす。

第3位 水

水 70-85mg(平均使用重量) 9%(シガレット一本あたりを占めるだいたいの割合)

タバコは湿気ってしまうとまずくなると思う方は多いのではないだろうか。雨で濡れて煙が気持ち悪くなったことがある。しかしタバコに欠かせないのは保湿なのである。

高級な葉巻の湿度管理が必要な『プレミアムシガー』の場合だと、ワインセラーのようなヒュミドールという保湿ケースで保管する。湿度70%を維持した状態のタバコ葉が、最も煙が甘く香しく吸える温度で燃焼するのに適しているというわけだ。

手巻きタバコでも保湿用のヒューミッドパックというものがあり、ビスケットの缶なんかに入ってる乾燥剤のシリカゲルなんかと真逆の加湿剤をタバコケースの中につっこんだりするわけだ。

シガレットの燃焼温度は820℃、葉巻790℃、パイプ600℃というのが平均的な温度のようだが、炎の温度は低い方が香りが豊かになる。

第4位 巻紙

巻紙 38-40mg(平均使用重量) 5%(シガレット一本あたりを占める割合)

巻紙の素材は麻やパルプの植物繊維セルロースを主体として、石灰でおなじみの炭酸カルシウムと、燃焼促進剤のクエン酸塩が入って、酢酸塩などアルカリ性の化合物が添加されている。これらが燃焼する際の焦げ臭さというのが、タバコ臭さの主な原因なのではないかというのが私の持論だ。

スローバーニングの無漂白の麻紙だとゆっくり均等に燃焼するのだが、JTタバコの巻紙は燃やすと臭い。

第5位 グリセリン

グリセリン 12-16mg(平均使用重量) 2%(シガレット一本あたりを占める割合)

グリセリンの使用は広く知られていないように思う。グリセリンは市販のタバコのほとんどに添加されている。ヤシの身の油脂から天然グリセリンが、石油から合成グリセリンが作られる。水をよく蓄える性質があるので、保湿剤として使用される。

特筆するような有害性は発見されていない。
化学式がC3 H8 O3なので、炭素と水素と酸素の有機化合物ということになる。
特性は保湿性、吸湿性、粘稠性、熱安定性、溶解性、可塑性、安全性ということだ。

医薬品(パップ剤、浣腸、坐薬、軟膏など)、化粧品(クリーム、ローションなど)、トイレタリー、食品、モノグリセライド、カプセル、アルキッド樹脂 、ポリウレタン、セロファン、フィルム、ハミガキ、マウスウオッシュ、インキ、香料、タバコ、タバコのフィルター、火薬、不凍剤、石鹸、繊維、紙、溶剤、コンデンサー

やはり油脂なのでしっとりしなやかにするようなイメージだろうか。

だんだんマニアックに、わけがわからなくなってきた。次週、シガレットは何でできてるの?(ランキング後半に続く)

▼原田卓馬(はらだ・たくま)
1986年生まれ。幼少期は母の方針で玄米食で育つ。5歳で農村コミューンのヤマギシ会に単身放り込まれ自給自足の村で土に触れて過ごした体験と、実家に戻ってからの公立小学校での情報過密な生活のギャップに悩む思春期を過ごす。14歳で作曲という遊びの面白さに魅了されて、以来シンガーソングライター。路上で自作のフンドシを売ったり、張り込み突撃取材をしたり、たまに印刷物のデザインをしたり、楽器を製造したり、CDを作ったりしながらなんとか生活している男。早く音楽で生活したい。
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さて、前回のJT電話取材であやふやにされてしまった香料についてだが、尋ねても満足な回答は得られそうにないので地道に調査してみることにした。

◆JT香料の不祥事

タバコの香料を製造している香料メーカーは、JT全額出資の100%子会社で東京都羽村市にある富士フレーバー株式会社、東レの子会社で千葉県野田市と福島県郡山市に工場を持つ曽田香料株式会社(本社は東京日本橋)、大阪の長岡香料などがあるようだ。

華原朋美出演の「なんだかヒューヒューです」のCMを覚えているだろうか。JT製造販売の清涼飲料水『桃の天然水』は2002年6月に食品衛生法で無認可の「ノルマルブチルアルコール」「ノルマルプロピルアルコール」という香料が含まれていたとして、自主回収・製造中止となっていた。

これは、同年5月に協和香料化学という香料メーカーが無認可の「アセトアルデヒド」、「イソプロパノール」、「ヒマシ油」、「プロピオンアルデヒド」を使用していたとして、工場の営業停止処分・自主回収・取引先食品メーカーへの損害賠償、最終的には自己破産に至ったことをきっかけとして起こった。

で、その、富士フレーバーさんに電話で聞いてみた。

──タバコ香料を製造しているそうですね。

富士フレーバー 「はい、左様でございます。」

──どんな銘柄のなんていう香料を作っているんですか?

富士フレーバー 「タバコ香料はJTからの指示で製造しており、守秘義務があるのでJTの許可なしには情報開示いたしかねます。」

◆食品衛生法、添加物表示の穴

食品衛生法は日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律だ。厚生労働省によって食品や添加物などの基準・検査(表示に関しては消費者庁)などの原則を定めたものである。平成7年には規制強化され、それまで義務づけられていなかった天然由来の添加物に関しても化学合成の添加物と同様に表示が義務づけられた。

しかし、以下の14種の用途においては、使用目的を表す『一括名』で表示することが認められています。

食品衛生の窓 東京福祉保健局 より引用

これは表示の簡略化を狙ってのことのようでいて、業者の説明責任を免除しているだけにしか思えないの私だけですか?「専門的過ぎてわかりにくいから、省略してもていいんじゃね?」的な発想なのだとしたら、消費者を馬鹿にするんじゃないよ!と憤慨、激おこプンプンたばこスパスパ丸なわけである。

香料メーカー「大事なレシピだから説明しません」

監督省庁「わかりにくいから省略してもいいんじゃね?」

消費者「ま、別にいっか」

ではまずいだろう。

添加物のことを気にするナチュラル嗜好の読者の方ならご存知かと思うが、ペットボトルのお茶は『高級玉露茶葉使用』とか記載はあっても、ほんのちょっと混ぜただけのクソ茶葉だったりするわけだ。ビタミンCが酸化防止剤として添加されることがほとんどだが、「ビタミンC=体にイイ!」という発想はもう通用しない。化学合成なのか、天然由来なのかという違いはわからない。普通に考えたら淹れてから何ヶ月も経ったお茶がうまいわけなかろう。パッケージに書いてある売り文句を鵜呑みにするべきではない。

◆ないがしろにされる消費者の知る権利

NPO法人「子どもに無煙環境を」推進協議会が提出した『タバコに関する全国規制改革要望書』(http://www.eonet.ne.jp/~shiryo/kiseikaikaku0706.htm

の『タバコに含まれる添加物と喫煙により発生する成分は公開し表示すべき』(http://www.eonet.ne.jp/~shiryo/kiseikaikaku0706.htm#RANGE!A12)という項目が大変興味深い。暗黙の了解にメスを入れるべきという要望書なのだが、おおまかな回答として財務省が「信頼に足る国際基準がないからまだ無理」と言っている。

高校生の頃に、日本ではコカコーラ社から発売されている『ドクターペッパー』の奇妙な香りが癖になって毎日飲んでいた。パッケージに「20種類以上のフルーツフレーバー」と書いてあるのが面白くて興味本意でコカコーラのコールセンターに電話したことがあるが、回答は「我が社の機密事項なので情報開示いたしかねます」であった。

健康被害が発生してから、被害者ヅラして文句をいうのも、加害者として反省や賠償をするのも賢い選択ではないだろう。香料業界は依然として闇に包まれている。

 

▼原田卓馬(はらだ・たくま)

1986年生まれ。幼少期は母の方針で玄米食で育つ。5歳で農村コミューンのヤマギシ会に単身放り込まれ自給自足の村で土に触れて過ごした体験と、実家に戻ってからの公立小学校での情報過密な生活のギャップに悩む思春期を過ごす。14歳で作曲という遊びの面白さに魅了されて、以来シンガーソングライター。路上で自作のフンドシを売ったり、張り込み突撃取材をしたり、たまに印刷物のデザインをしたり、楽器を製造したり、CDを作ったりしながらなんとか生活している男。早く音楽で生活したい。

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こんにちは。デジタル鹿砦社通信をご覧の皆様、パープルヘイズレヴォリューションのコーナーでございます。司会の原田卓馬です。

本連載では「お前、またか!」というぐらい毎度おなじみのJTコールセンターに電話してみたわけだが、そろそろ私、要注意人物としてJTの部署内で「例のあの人」になっていることだろう。某カード会社のコールセンターに長いこと勤務していた私、だいたい想像つきますよ。

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◆あなたの吸っているタバコの添加物がわかる!かもしれない…

銘柄別主要添加物リストではJTの各銘柄のタバコ葉に使用されている主要添加物を掲載しているというのだが、読者の皆さんのうち、具体例としてあげているセヴンスターの添加物リストの燃焼部分の項目のうち、パッと見て「はい、なるほどね」と納得できる方はいるだろうか。特にわけのわからない『グリセリン』、『糖類』、『プロピレングリコール』、『セルロース』、『その他たばこ添加物』について取材してみた。

── こんにちは、原田です。タバコ葉の添加物のことを教えてください。あれとこれとそれ(上記の具体的な添加物)の使用目的と原料を知りたいです。

JTの人「はい、では、あれと、これと、それと、むにゃむにゃに関して、上席から折り返しご連絡します」

── はい、お願いします。

私は別にメーカーに文句が言いたいわけではないのだが、この表示でユーザーに納得しろというのが無理難題なわけである。ただ、私は事実を知りたいだけなのだ。意味のわからない専門用語を羅列しただけで「お客様の安心」のための情報公開なんて、片腹痛いわ。がっはっはっは。

おそらく、こういった問い合わせがない前提で経営しているのでしょう。JT製品の広告は巷に溢れていますが、「○○県産、無農薬たばこ葉100%使用」なんていうような掲示は見た事がありません。無いものを有ると言えば嘘になりますが、有るものについて言わないのは嘘にはなりません。

食品添加物の表示については、農林水産省の指導に基づいてパッケージへの記載が各食品メーカーに義務づけられています。(食品表示もたいしてあてにならないですけどね)

まあとにかく、喫煙者もとい消費者のみなさんに伝えたいことは、「どうせユーザーは馬鹿だからいちいち細かいことには気付かないだろう」という姿勢の企業がもの凄く多いということです。「騙されるな」とか「なんでもかんでも疑え」とか言いたいわけじゃありません。信頼するに足るかを自分で判断して欲しいんです。これは、原発の問題と同じです。私は3.11の原発事故の一番の責任は国民にあると考えています。環境に優しいエネルギーと喧伝された原子力による電気を購入し続けた国民は馬鹿です。消費者はわがままでいいんです。欲しいものがないなら買わなけりゃいいんですけど、日本では電気とタバコを選ぶのがなかなか難しい。独占企業の高イビキを叩き起こすのはやはり消費者の購買意欲にかかわると思います。

◆うやむやなタバコ添加物の出身地

3時間経ってもJTからの折り返し連絡はないので待ち時間でああじゃこうじゃしていた。JTコールセンターの終業時間である夕方5時を過ぎてようやく、電話がかかってきた。うんじゃかんじゃと遅くなったことに関する謝罪を挟んでこう言った。

JTの人「タバコの添加物に関しては、内外の文献や外部の専門家からの指導で安全なものを使用していますのでご安心ください」

いきなりびっくりである。なんだそりゃ。何を根拠に安心できるのか。内容も明かさずに安心しろとは、馬鹿にしてるのか?冷静を装って質問を再開する。

セヴンスターの主要添加物リストより引用】

JTの人「グリセリンは保湿剤で、アルコール類です。糖類は香料で、果汁などをもとにした水溶性の糖類です。セルロースは紙巻きタバコ(シガレット)の形や構造を維持するための植物繊維です。プロピレングリコールは有機化合物の一種でアルコールの仲間ですが、保湿剤として添加しています。以上でよろしいですか?」

ちょっと待て、今の説明でわかった方は優秀な科学者か、タバコ博士か、JTの研究者だけじゃないのか?一応説明しておくと、グリセリンは無添加として販売されているタバコでもほとんどのものに使用されている添加物である。タバコ製造各社の考え方によって量の多少は変わるようだ。糖類はシガレット黎明期から使用されている一般的な香料兼保湿剤のようだが、糖類の内訳は「コーンシロップ(液糖)」、「デキストリン」、「フルクトース」、「ブドウ糖」、「コーンシロップ(高果糖液糖)」、「ショ糖」である。なんのこっちゃわからないが、産地や原料についての説明はできないという。プロピレングリコールは市販の「麺類」や「おにぎり」にも添加されている防カビ性のある保湿剤ということだ。

── 全然わかりませんけど、それぞれの原料と産地を教えて下さい。たとえばセルロースは何からできているんですか?

JTの人「セルロースは植物の繊維です。タバコの添加物に関しては、内外の文献や外部の専門家からの指導で安全なものを使用していますのでご安心ください。それ以上のことはこちらでは……」

── 何も情報開示されていないのに安心も納得もできるわけないですよ。

JTの人「機密事項になりますので詳しいことは申し上げられませんが、添加物に関しては内外の文献や……」

── トレーサビリティー(生産や流通過程の情報開示)ってわかりますよね? そういうの、消費生活していれば考えるのは当然だと思いますけど、言ってる意味わかりますか? どこで何から作られてるのか知りたいだけなんですけど。

JTの人「JTで使用するタバコ葉のうち6割が外国産、4割が日本産です。国内は30都道府県で生産を行っています。」

── それは具体的に何県ですか?

JTの人「詳しい事は申し上げ……」

── 外国産というのはどこですか?

JTの人「マラウィ、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンなどです」

── 主にこの4カ国なんですね?

JTの人「いいえ、JTで使用しているかどうかは別として、日本でのタバコ葉原料の輸入先を申し上げているだけです。他には、トルコ、ギリシャ、ブルガリア、イタリアなどが、あくまで一般論ですが、輸入先の国の一部となります。」

── 日本ではJTさん以外にタバコの製造販売はできないはずですけど、あくまで一般論だというんですか?

JTの人「はいあくまで一般論です。詳しいことは……」

── どこで採れたタバコを吸っているのかぐらい知りたいんですけど。

JTの人「放射能の問題ということですね? お気持ちはわかります。」

◆タバコと放射能

ん? 私は別に放射能なんてひとことも言ってないぞ。

JTの人「国内生産のタバコ葉については3.11以降に定めた自社基準値の100ベクレル/1kgを超えたタバコ葉に関しては農家からの買い取りを行っていないので、安全性を確認しておりますからご安心ください」

── その基準値はどうやって算出したんですか?

JTの人「外部の専門家の意見を……」

だめだこりゃ。

安全かどうかはここで話してもしょうがないからいいですけど、基準値オーバーのタバコ葉はどうしてるんですか?

JTの人「農家さんの方で処分してもらっています。」

── それじゃ、農家さんが潰れちゃうじゃないですか。具体的に何県のタバコ農家が基準値を超えたんですか?

JTの人「そういったことに関しては……」

── 話はかわりますけど、その他の添加物って香料のことですか?

JTの人「はい、香料については当社の重要な機密事項になりますので……」

とにかくJTという会社はユーザーに対して製品の安全性の根拠を説明することよりも、企業としての機密保持に務める姿勢らしい。かつてに専売公社時代の名残をひきづったまま国営企業時代から続く独占市場でふんぞり返っているようだ。資本主義なんて仕組みはちっともに好きではないが、競争のない独占企業の殿様商売には「そんな笑えないジョークをよく思いつくね」と、飽きれるを通り越して感心してしまう

JTの人「他のお客様の窓口にもなりますし、営業時間外なのでもういいですか?」

話にならない上に、営業時間を過ぎて連絡してくるのだからもうなんだかわけがわからない。

次回は触れてもつっついても全貌が把握できないタバコ香料と香料メーカーのお話でございます。

(原田卓馬)

タブーなき『紙の爆弾』話題の11月号!

 

 

デジタル鹿砦社通信をご覧の老若男女諸君、ごきげんよう。喫煙推進委員会の原田卓馬です。今回はタバコの葉に使用されている添加物・香料のお話であります。

◆ タバコの香りは、何の香りなんだろうか

皆さん、どんなタバコがお好きですか? 私が普段から吸うタバコはシャグ(手巻き用の刻んだタバコ)なら、あんまり決まってないけどだいたいナチュラルのヴァージニアブレンドシガレット(紙巻きタバコ)なら、アメリカンスピリット。たまにインドネシア産クレテック(クローブタバコ)のグダン・ガラム。

あとは、見た事のない銘柄があれば食わず嫌いしないでとりあえず買って吸ってみます。しょっちゅう貰いタバコもしますし、面倒くさい時なんかは灰皿をあさったり、究極は道に落ちてるシケモクだって吸っちゃいます。結構なんでもいいんです。

手巻きタバコを始めたばかりの頃はベリー系やグリーンティー(シトラスフレイヴァー)、ローズなどの香料を添加したものを色々試しつつ吸っていたのですが、ある時自分が何を体に取り込んでいるのかわからなくて、香料無添加のタバコに落ち着きました。

健康に良いか悪いかということも多少考えなくもないですが、化学合成したケミカル香料よりも、タバコ本来の素材の味や香りの方が面白い年頃になったのでしょうね。国や地域、気候風土によって好まれる香りの傾向が違いますし、生産されるタバコ葉の質も変わります。フランスのジタンやゴロワーズといった黒タバコは、日本だと苦手な方が多いみたいですが、文化の多様性っていいですね。

◆ タバコ香料の歴史は意外と古い

2004年にハイライトのメンソールタイプが発売されたのだが、そのテレビCMで『ラム酒が香るメンソール』というキャッチコピーが印象的だったのを覚えています。

「へ?、タバコにお酒で香りつけたりするんだ?!そういや、キャスターとかもヴァニラの香りがするよな?!」

なんて思ったものですが、当時はテレビでタバコのコマーシャルがやっていたのですね。たった10年でだいぶ時代は変わりました。

色んなフレイヴァーで香り付けをしたシガレットというのは数多く流通しているのはなんとなく知っていますが、食品のようにパッケージに成分表示があるわけでもなく実際のところ何を吸っているのかよくわかりません。

知らないことは知りたい! こうなったら徹底的に調べてやるぞと近所の図書館に出向いて持ち出し禁止の棚で782ページに渡る分厚い本を発見!

『たばこの事典』(TASCたばこ総合研究センター/山愛書院2009年)によると、
「1518年にスペイン人がメキシコを探検したとき、先住民がタバコとフウ(マンサク科フウ属植物)の樹液を一緒に葦に詰めたもの(葦シガレット)を吸っていたとの記録が残されている──」。

フウというのは、『中薬大辞典』(1978年版)によると、
「20年以上 の大木を選び、7~8月の暑い時期に樹皮を開き、11月~翌年3月の間に流出する樹脂をとり、自然乾燥か日干しとする。乾燥した樹脂は大小ふぞろいの楕円形か球形顆粒、淡黄色で半透明、質もろく砕けやすい。すがすがしい香りかおり、燃やすと香気はさらに強い。この樹脂を生薬名楓香脂、中国では白膠原香ともいう──」。

すがすがしい香り、燃やすと強い香気、まさしく香料である。
「16世紀のロンドンではラム酒、砂糖、あるいは糖蜜などで甘くして縄状に撚ったたばこのほか、ワインや糖蜜に漬けたロール状の圧搾たばこが市場に出まわっていたという記録もある──」。

おお、例のラム酒だ。ワインもある。大航海時代に喫煙文化がヨーロッパに伝わり、わずかな期間でタバコに香料を添加したのか。

日本の場合はどうだろうか?

「1889年(明治22年)に村井兄弟商会が発売した『サンライス』は、米国直輸入の加香方式を取り入れたが、内容は明らかではない。しかし、アメリカンタバコ社の日本駐在員で村井兄弟商会の役員でもあったE.J.Parishのメモには、1899年頃の日本製シガレットに使われたものとして、グルコース、ショ糖、甘草、ラム酒、トンカ豆、グリセリンが挙げられていると言われ、その後の日本製品の製造の際、大いに影響をもたらしたものと思われる──」。

村井兄弟商会というのは、京都の民営のタバコ会社で、ライバル企業の岩谷商会と市場シェアを競っていました。明治37年に政府によるタバコ専売制がしかれるまで『LEADER』や『HERO』などの紙巻きタバコを製造販売していました。

グルコース、ショ糖は要するに砂糖の仲間だ。甘草はリコリスとも呼ばれ、砂糖の50倍の甘さを誇るグリチルリチンを含み、甘味料や漢方薬としても用いられている植物だ。欧米では菓子や、ルートビア、リキュールなどで広く知られている。スペインでは古くから防腐用に甘草エキスを葉タバコに添加していたという。

トンカ豆というのが面白い。桜餅の香りの天然成分でもある、有機化合物のクマリンが含まれている。クマリンの香りは、バニラ、杏仁、キャラメル、プラリネ、クローブ、ジュニパーベリー、ラム、ブランデーなどに喩えられる。

旨そうじゃないか!
しかし、残念ながら発ガン性の問題で現在は使用されていないようだ。

タバコに香料はつきもののようだが、2014年現在のタバコはどうなんだろうか。毎度おなじみ、JTのホームページをチェックしてみると、200種類近い添加物リストの大半は香料だ。以下、読み飛ばして構わないのでコピペしておきます。
http://www.jti.co.jp/cgi-bin/JT/corporate/enterprise/tobacco/responsibilities/guidelines/additive/tobacco/index.cgi

◆JT添加物 香料一覧

アセトアニソール
2-アセチル-3-メチルピラジン
2-アセチルピラジン
2-アセチルチアゾール
アルファルファエキストラクト
アミルアルコール
酪酸アミル
トランス-アネトール
スターアニス油
リンゴエキストラクト
ミツロウアブソリュート
ベンアルデヒド
ベンゾインレジノイド
ベンジルアルコール
安息香酸ベンジル
プロピオン酸ベンジル
2-ブタノール
4-(2-ブテニリデン)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン
酪酸ブチル
酪酸
カカオマス、ココアエキストラクト、ニブティンクチャー、パウダー、シェル
カラメル
カルダモン油
キャロブアブソリュート、エキストラクト、パウダー
キャロットジュース、シード油
L-カルボン
β-カリオフィレン
カシア樹皮油、オレオレジン
シダーウッド油
セロリーシード油、エキストラクト
カモミル油、アブソリュート
シンナムアルデヒド
ケイ皮酸
ケイ皮酸シンナミル
シトロネロール
酢酸シトロネリル
クラリーセージエキストラクト
コーヒー、エキストラクト、オレオレジン
コニャック油
コリアンダー油、エキストラクト
クミンアルデヒド
ダバナ油
δ-デカラクトン
γ-デカラクトン
デカン酸
4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン
3,7-ジメチル-6-オクテン酸
2,5-ジメチルピラジン
2,6-ジメチルピラジン
10-ウンデセン酸エチル
2-メチル酪酸エチル
酢酸エチル
酪酸エチル
ヘキサン酸エチル
イソ吉草酸エチル
乳酸エチル
ラウリン酸エチル
レブリン酸エチル
エチルマルトール
オクタデカン酸エチル
オクタン酸エチル
オレイン酸エチル
パルミチン酸エチル
フェニル酢酸エチル
プロピオン酸エチル
サリチル酸エチル
エチルバニリン
エチルバニリングルコシド
2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン
5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン
2-エチル-3-メチルピラジン
ユーカリプトール
フェヌグリーク油、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジン
ジェネアブソリュート
ゲンチャンエキストラクト
ゲラニオール
酢酸ゲラニル
グレープ濃縮果汁
グアヤコール
グァバエキストラクト
γ-ヘプタラクトン
γ-ヘキサラクトン
ヘキサン酸
シス-3-ヘキセン-1-オール
酢酸ヘキシル
ハチミツ、エキストラクト
4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン
4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム
インモルテル油、アブソリュート、エキストラクト
β-イオノン
酢酸イソアミル
酪酸イソアミル
ヘキサン酸イソアミル
フェニル酢酸イソアミル
プロピオン酸イソアミル
酢酸イソブチル
フェニル酢酸イソブチル
ジャスミンアブソリュート、エキストラクト
コーラナッツチンクチャー
ラブダナム油、アブソリュート、エキストラクト、ガムレジン、オレオレジン、レジノイド
レモン油、テルペンレス油
カンゾウエキストラクト、エキストラクトパウダー
ライム油、テルペンレス油
リナロール
酢酸リナリル
ロベージ油、エキストラクト
マルトール
マテエキストラクト
中鎖脂肪酸トリグリセリド
メントール
メントン
酢酸L-メンチル
パラメトキシベンズアルデヒド
メチル-2-ピロリルケトン
アントラニル酸メチル
フェニル酢酸メチル
サリチル酸メチル
3-メチル吉草酸
6-メチル-5-ヘプテン-2-オン
4′-メチルアセトフェノン
メチルシクロペンテノロン
ミモザエキストラクト
トウミツ、蒸留物、エキストラクト、エッセンス、ティンクチャー
ミリスチン酸
ネロリドール
γ-ノナラクトン
ナツメグ油、パウダー
δ-オクタラクトン
オクタナール
オクタン酸
オリバナムエキストラクト
オレンジフラワー油
オレンジ油
オリス油、エキストラクト
パルミチン酸
ω-ペンタデカラクトン
ペパーミント油、アブソリュート
ペルーバルサム油、レジノイド
プチグレインパラグアイ油
フェネチルアルコール
フェニル酢酸フェネチル
フェニル酢酸
ピペロナール
プラム濃縮物、エキストラクト
プロペニルグアエトール
酢酸プロピル
プルーンエキストラクト
レーズンエキストラクト、濃縮果汁
ローズ油、アブソリュート、エキストラクト
ラム酒、エキストラクト
セージ油、エキストラクト
ソルビトール
スペアミント油
ステアリン酸
スチラックスアブソリュート
ショ糖パルミチン酸エステル
糖類: コーンシロップ(液糖)
糖類: デキストリン
糖類: フルクトース
糖類: ブドウ糖
糖類: コーンシロップ(高果糖液糖)
糖類: 転化糖
糖類: ショ糖
ティーディスティレート、エキストラクト、パウダー
α-テルピネオール
酢酸テルピニル
5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン
1,5,5,9-テトラメチル-1-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン
2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4,5]デカ-2,6-ジエン-8-オン
2,3,5,6-テトラメチルピラジン
トマトエキストラクト
2-トリデカノン
クエン酸トリエチル
4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2-ブテン-4-オン
2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン
4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2-ブテン-4-オン
2,3,5-トリメチルピラジン
γ-ウンデカラクトン
γ-バレロラクトン
バニラエキストラクト、オレオレジン、チンクチャー
バニリン
ベラトルアルデヒド
ベチバー油
バイオレットリーフアブソリュート

なんすか、これ? 多すぎます。疲れました。
これじゃあ、なんだかさっぱりわかりません。ああ、全部知りたい。好奇心に勝てない!
原田、またしても日本たばこ産業JTコールセンターに電話しちゃいました。

次回、「JTの電話の人と40分も話したよ!」の巻。乞うご期待!

(原田卓馬)

デジタル鹿砦社通信をご覧の皆様、日々のお勤めゴクラク様です。毎週更新で『タバコは体にいいのではなかろうか?』っちゅうことを調査報告している、タバコ愛好家の原田卓馬です。
さて前回の記事で、JTの製造販売するタバコの燃焼促進剤がクエン酸塩だという知られざる事実が判明した。その話の続きをどうぞ。

── なんでクエン酸塩が添加されているんですか?

JTコールセンターの電話の人にたずねてみた。

「はい。クエン酸塩が巻紙とタバコ葉の燃える速度を調節するために、巻紙に添加されています。」

── じゃあ、巻紙にクエン酸ナトリウムとクエン酸カリウムが入ってないと、燃焼速度が安定せず、タバコ葉だけ先に燃えてしまうということですか?

「はあ、多分そうだと思いますけど」

おっと、こんな質問したところで、そう答える以外にないじゃないか!意味ないぞ!

── 巻紙に添加されているクエン酸ナトリウムとクエン酸カリウムがどういう理屈で巻紙の燃焼促進に効果を発揮するんですか?

「そういった詳しいことですと、こちらでは即答致しかねます。お調べするとなるとお時間の方が・・・」

◆火薬が燃焼促進剤だという都市伝説

── 本当かどうかわかりませんが、火薬の成分の硝酸アンモニウムとか硝酸ナトリウムが添加されているという情報をネットで見かけたんです。そういった火薬みたいな成分は燃焼促進剤として含まれていないんですか?

「過去に硝酸アンモニウムを巻紙の燃焼促進剤として使用していたかどうかの詳細は、判りかねますが、現在のJTにおいてはタバコ巻紙に硝酸アンモニウムを添加するということはないようでございます。他社さんのことについてはわかりかねます。それ以外の成分についても使用目的等の詳細はわかりかねます。」

開発者ではないのでさすがに専門知識となるとわからないのであろう。

◆巻紙のりは酢酸ビニル?

── じゃあ話変わって、JTのホームページのたばこ材料品添加物リストの巻紙のりについて質問しますけど、

電話口の向こうで、「こいつ、めんどくせ~」という無言の溜息が漏れた瞬間である。

── 巻紙のりに使用されている、酢酸ビニルというのはなんですか?


たばこ巻紙のり添加物一覧(右横の数字はシガレット一本に対する最大使用割合(%)

・エチレン-酢酸ビニル樹脂 0.2
・ポリ酢酸ビニル 0.07
・カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.02
・ 酢酸ビニル-ビニルアルコール樹脂 0.001

「酢酸ビニルは巻紙を接着するための糊にあたります。」

タバコの葉を巻紙で包んで、紙同士が重なる余白部分を貼り合わせるための接着剤としての糊は酢酸ビニルであると。これは、調べてみると木工用ボンドやチューインガムのベースになっているということだ。

なんだと?!普段から木工用ボンドを吸っているのか?なんとも不気味である。

── その成分は木工用ボンドと同じようなものでしょうか?

「酢酸ビニルは木工用ボンドにも使われている成分ではありますが、巻紙のり自体が木工用ボンドと同じ成分ということではないようです。詳細はわかりかねますが、含まれているのはご覧になっている添加物リストにうんたらかんたら── 」

酢酸ビニルを燃やした場合、完全燃焼させれば二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)になるようだ。しかし、水分を含んでいると不完全燃焼となり一酸化炭素やアセトアルデヒドを発生し得るようだ。

◆工場見学実施中

有害性についてあれこれ質問しても詳しいことまでは「わかりかねます」なので、どこかに窓口がないか聞いてみた。

── もっと詳しく知りたいんですけど、どこ行けば教えてもらえますか?JTの本社とか行けばいいですか?

「他の窓口については詳しくわかりませんが、タバコ工場の見学なら定期開催ではないのですが、予約可能です。」

──  工場見学!!!!!!!!

「東京にお住まいでしたら宇都宮の北関東工場か静岡の東海工場のどちらかが近いかと思います。」

── そいつぁどうも、ありがとうございます。やっほーい!

工場見学という萌え萌えな耳寄り情報に舞い上がって、上機嫌のまま勢い余って電話を切ってしまった。

・JTのタバコの巻紙の燃焼促進剤はクエン酸塩である。
・巻紙のりの接着剤は木工用ボンド(ではないが)みたいなものである。
・タバコ工場見学ができる。

以上の三つが今回の取材でわかったことだ。

次回は、工場見学かタバコ葉の添加物のお話です。

(原田卓馬)

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