今こそ反戦歌を!〈1〉 『戦争は知らない』 松岡利康

ウクライナの戦火を日々見ると自然に、かつてよく聴いた反戦歌を思い出します。

まずは『戦争は知らない』。

よく『戦争を知らない子どもたち』と間違えられますが、違います。『戦争は知らない』は、それよりも先にベトナム戦争真っ盛りの1967年にシングルカットされ、発売されます。作詞は、演劇の世界に新たな境地を開拓した劇団『天井桟敷』の寺山修司、歌は『たそがれの御堂筋』で有名な坂本スミ子(古い!)。意外な組み合わせです。寺山修司は、いわゆるアングラ演劇の教祖ともされる人物ですが、彼がこのように純な歌詞を書いたのも意外ですし、また坂本スミ子に歌わせたのも意外、歌謡曲として売り出そうとしたのでしょうか。

その後、ザ・フォーク・クルセダーズ(略称フォークル)が歌いますが、こちらがポピュラーです。いわば「反戦フォーク」として知られています。私は坂本スミ子が歌ったのを知りませんでしたが、『この人に聞きたい青春時代〈2〉』のインタビューの際に、フォークルのメンバーだった端田宣彦(はしだのりひこ)さんから直接お聞きしました。

[左上]坂本スミ子『戦争は知らない』(1967年1月)と[左下]ザ・フォーク・クルセダーズ『戦争は知らない』(1968年11月)のEPレコードジャケット。[右]『この人に聞きたい青春時代〈2〉』(2001年鹿砦社)


◎[参考動画]ザ・フォーク・クルセダーズ 戦争は知らない (1968年11月10日発売/東芝Capitol CP-1035)作詞:寺山修司/作曲:加藤ヒロシ/編曲:青木望

♪野に咲く花の 名前は知らない
だけど 野に咲く花が好き
帽子にいっぱい 摘みゆけば
なぜか涙が 涙が出るの

戦争の日を 何も知らない
だけど私に 父はいない
父を想えば あゝ荒野に
赤い夕陽が 夕陽が沈む

戦さで死んだ 悲しい父さん
私は あなたの娘です
20年後の この故郷で
明日お嫁に お嫁に行くの

見ていてください 遙かな父さん
いわし雲飛ぶ 空の下
戦さ知らずに 20歳になって
嫁いで母に 母になるの

野に咲く花の 名前は知らない
だけど 野に咲く花が好き
帽子にいっぱい 摘みゆけば
なぜか涙が 涙が出るの

なお、下の画像は1970年に反戦活動で逮捕され抗議の意志表示をする女優ジェーン・フォンダ(鹿砦社刊『マグショット』より)。ジェーン・フォンダはべ平連の招請で来日し、今はなき同志社大学学生会館ホールで講演、ミーハーな私も拝見させていただきました。ものすごく輝いていた印象が残っています。

1970年、反戦活動で逮捕され抗議の意志表示をする女優ジェーン・フォンダ(鹿砦社刊『マグショット』より)


◎[参考動画]Jane Fonda in North Vietnam 1972

◎[リンク]今こそ反戦歌を!

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ウクライナ戦争への態度 ── 左派陣営の百家争鳴 横山茂彦

プーチンのウクライナ侵略戦争をめぐって、日本の左派陣営に議論が巻き起こっている。史実・事実関係もふくめて、かなり錯綜したものになっているので解説しておきたい。

◆帝国主義間戦争なのか?

まず、戦争の原因から解き起こし、戦争の性格を帝国主義間戦争(覇権争奪)だとするものだ。

NATO(アメリカ)の東進政策がウクライナにおよび、ゼレンスキー政権のNATO加入方針がプーチンを刺激し、東ウクライナの確保のために軍事行動を起こした。したがってロシアも悪いがアメリカも悪い。したがって、ウクライナ人民と連帯し、帝国主義の両陣営を撤退させなければならない。そのためにプロレタリア国際主義で、各国の人民が自国帝国主義を打倒するべきだと。

レーニンの「帝国主義と民族植民地問題」「革命的祖国敗北主義」「多民族を抑圧するプロレタリアートは自由を獲得できない」「プロレタリア革命によってのみ、戦争は廃絶できる」という、戦争にたいするプロレタリアートの原則的な見地である。

あまりにも原則的なこの見地は、しかし現実にはロシア軍の狂暴かつ残虐な侵略行為を、ただちに押しとどめることは出来ない。原則である「プロレタリア国際主義」の具体性がどこにあるのか。論者は説明できないであろう。かれらの頭の中にしかないからだ。

◆侵略戦争に抗する救国独立戦争は第三次世界大戦を招きかねない

いっぽう、ロシアの領土併呑・侵略戦争であるという見地がある。戦争の遠因はどうであれ、現実に侵攻してきたのはロシアであって、アメリカもNATOも軍事介入はしていない。したがって、ウクライナの戦いは救国・独立戦争であると。

かつて、日本が中国を侵略したとき、中国は国共合作で抗日救国戦争を戦った。あるいはナチスドイツの東方侵略に対して、ソ連は大祖国戦争としてドイツの侵略をくつがえした。ウクライナの戦いは、これらと同じ正当な戦争だというものだ。筆者もじつはこの立場である。

この立場はしかし、危うい側面を抱え込むことになる。ウクライナへの武器供与を、NATO軍の参戦とみなしたロシアによる戦線の拡大である。

チェコの戦車提供につづき、スロバキアも旧ソ連の高性能地対空ミサイルS300を提供したと発表した(4月8日)。S300は射程が非常に長く、航空機や巡航ミサイルを撃墜する能力を持つとされる。

これらの武器供給をもって、ロシアがNATO諸国への攻撃に踏み切った場合、第三次世界大戦の契機となりかねない。これから先、世界は危うい局面をたどることであろう。

◆無抵抗主義で戦争は終わらせられるのか

もうひとつの議論に、侵略軍にたいする無抵抗主義、もしくは人命を守るためにプーチンに降伏せよ、というものがある。日本の市民運動の中で、あるいは平和学研究のなかで練られてきた「非暴力の抵抗運動」である。

「紙の爆弾」最新号(5月7日発行)でも、浅野健一が伊勢崎賢治(平和構築学)の言葉を紹介している。

「国民に武器を与え、火炎瓶の作り方まで教えて『徹底抗戦』を呼び掛けた」のは「一番やってはいけないこと。市民に呼び掛けるのなら、非暴力の抵抗運動だ」と、ゼレンスキー政権の抗露戦争の呼びかけを批判している。

しかし、これはキーウ近郊でロシア軍の大量虐殺が明らかになった今も、有効な抵抗運動と云えるのだろうか。ロシア軍の大量虐殺が、武器を持った抵抗になされたものか、無抵抗の者たちを後ろ手に縛って射殺したのかは、その戦争犯罪が解明されなければわからない。

しかし、現実に大量虐殺(遺体の焼却や埋設)が行なわれ、ウクライナ人の強制連行(ロシアへの強制移住)が行なわれているのは事実だ。そしてキーウを攻囲しようとしていたロシア軍が、ウクライナ軍とキーウ市民の激しい抵抗で押し戻され、撤退したのも事実である。

してみると、日本の市民運動や平和学が説く「無抵抗主義」が何の効力もないことがわかってくる。どこまでいっても、平和な日本における無抵抗不服従にすぎないのではないか。現実には、激しい武力をともなう抵抗がロシア軍を撤退させたのだ。

ウクライナの武力をともなう抵抗運動を、日本の市民運動家は太平洋戦争中の日本になぞらえることがある。いわく「欲しがりません、勝つまでは」「竹槍で戦うのと同じだ」という(「テオリア」への池田五律の寄稿)。

だが、彼らはけっして、ナチスに抵抗したヨーロッパのレジスタンスやソ連の大祖国戦争を引き合いには出さない。引き合いに出せないのであろう。

今回のウクライナ独立戦争(ゼレンスキー)は、日本(侵略国)の無謀な戦争継続とは明らかに違い、むしろナチスドイツへの抵抗戦争と同じ構造なのである。あるいは日本の侵略と戦った、中国人民の抗日救国戦争と同じである。

侵略者殺さなければ虐殺される、あるいは無抵抗のまま強制連行される戦争のなかで、無抵抗を呼び掛けるのは人間の尊厳を欠いたものとは言えないだろうか。抵抗の方法を決めるのは、われわれではなくウクライナ国民なのである。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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日本政府がウクライナにドローンを供与 ── 戦争を止めるために、何をすれば良いのか? 横山茂彦

◆ナチスの再来を思わせるジェノサイド

「世界の人々は、何か行動を起こしてください」「われわれは化け物と戦っている」(マリウポリのウクライナ軍レポーター)

「国際社会は残虐行為を知りながら見ているだけだ」(ウクライナ大統領側近)

ソ連邦崩壊のトラウマに憑り付かれた独裁者による、独裁維持のための戦争は、新たな段階に入った。

30分に数度の砲撃、1時間置きのミサイル飛来で、ウクライナの東部の町は廃墟と化している。戦争犯罪(虐殺)の痕跡を残さないために、ロシア軍は火葬車を伴っているという。

キーウから撤退したロシア軍はドンバス地方(ウクライナ東部)へと転戦し、最低限の政治目標であるドネツィク州とルハーンシク州(ともにウクライナ語読み)の実効支配確立をめざしている。

この「実効支配」とは、8年間つづいたドンバス戦争(ウクライナ東部の内戦)を最終的に終了させ、ウクライナ住民をロシア各地に移住させることを意味している。ロシア軍が撒いている「極東ロシアが、あなたを待っている」というチラシの呼び掛けがそれを立証した。

そのいっぽうで、ロシア軍が支配下に置いていたブチャなどキーウ郊外の町では、後ろ手に縛られた市民が銃殺されている。侵略者に従わなければ、銃殺する戦争犯罪が行なわれたのだ。いわばロシアによる「同化政策」「民族浄化」が、今回の軍事侵攻の目的なのだと断定するほかない。

したがって、ウクライナの徹底抗戦の意志は、強いられた生存への戦いということになる。それゆえに、日本におけるわれわれの行動は、単なる反戦運動ではなくなるはずだ。

◆救国戦争とは?

地続きの国境線を持たないわれわれ日本人には、なかなか想像できない現実だが、想像力をはたらかせれば理解できる。

やや荒唐無稽な想像だが、ある国が在日邦人を保護するために、軍隊を日本に上陸させたと仮定しよう。上陸しないまでもミサイル攻撃を受けたと仮定しよう。じっさいに、日本はロシアと国境を接し、中国の領海侵犯および北朝鮮のミサイル圏内にある。

かれらは日本の都市を破壊しつくす。そして無防備なわれわれを連行し、移住先への切符といくばくかの準備資金、そして土地を提供(ロシア移住の場合は25万円と1ヘクタールの土地)するという。われわれは、その国の国民にされるのだ。

このような仮定を想像したとき、わたしは間違いなく抵抗するであろう。

ためらわずに武器をとって戦うであろう。かつてナチスの支配に抵抗したフランスやポーランドのレジスタンスのように。あるいは日本の侵略に抗して戦った八路軍のように。戦後日本の民衆も相手の暴力に相応して、コザや三里塚では武器を持って戦ってきた。

侵略者から身を守るために、戦う武器の供与を世界にもとめるはずだ。いまのウクライナのように。

ここに、帝国主義の侵略に反対する反戦の思想が、反侵略の救国戦争においては戦争の思想に変化するのだ。

このことは、80年前後のソ連のアフガン侵攻と中越紛争の時期にも議論されてきたものだ。ソ連のアフガン侵攻のように国境を侵す以上は「侵略」であり、中国のカンボジア支援の国境侵犯は「牽制」にあたるなどと、当時は華国鋒体制を支持する立場から論じられたものだった。

その後、鄧小平政権になってからも、ベトナムとの国境紛争はつづいた。そこで得られた結論は、たとえ反覇権の社会主義中国であろうと、日本を侵略した場合は日本人民の敵であると。革命中国(懐かしい言葉だ)の第五列として、日本革命に転化するという議論は起きなかった。

◆武器供与の問題

さて、現在問題になっているのは、ウクライナへの武器供与である。反戦運動の立場からは、戦争を激化させる武器供与に反対するのが原則だ。憲法9条に拠らずとも、武器供与は違法(防衛装備移転三原則違反)であると。

だがこの原則は、帝国主義の侵略に加担する自国の政府に「武器を供与させない」運動としては有効であっても、侵略された国への支援(供与)は行うべきではないか。少なくとも反対するのであれば、戦争の終わらせ方をも展望したものでなければならない。

すなわち、敗北による強制連行や民族浄化にも、反戦運動は責任を持たなければならない。いま「武器供与に反対」することは、ウクライナの敗北すなわちロシアへの隷属を意味するからだ。それはキーウにおけるロシア軍の敗退という「事実においても、戦わなければ占領・隷属させられることが実証された。

かつてべトナム反戦運動において、反対運動の抗議がアメリカと日本政府に向かったのは、ほかならぬ日米安保体制がベトナム侵略に加担したからである。ベトナムに向かう戦車が国鉄を使用していたし、沖縄米軍基地のB52がベトナムを爆撃していたからなのだ。

したがって、アメリカはウクライナへ武器を送れというスローガンを掲げるかどうかは別(あまりにも右翼的だ)として、ウクライナを見殺しにする武器供与反対も憚られる。人道的な支援として、ウクライナ大使館や民間援助団体への寄付は、積極的に行われるべきであろう。

いま、ヨーロッパ諸国の中で武器供与に消極的なドイツでは、シュルツ首相が与野党の批判を浴びている。シュルツの出身母体が、ロシアと親密な関係にあるSPD(ドイツ社民党)であることも、この批判には含まれていると思われる。

いっぽう、わが岸田政権は防護服や防護器具のほか、ドローンをウクライナに供与するという。


◎[参考動画]【政府】ウクライナに防護マスクやドローンなど提供へ(日本テレビ 2022年4月19日)

◆ドローンが戦況を支配している

いわく「ドローンは市販品であり、武器に使われるものではない」と。供与に反対する立場にはないが、敢えて指摘しておこう。ドローンの存在がロシア軍を苦戦させていることを。

ロシア黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦モスクワは、対艦ミサイルネプチューンに撃沈されたとされているが、じつはドローンが攻撃に参加していたのではないかという説が、にわかに信憑性を帯びている。

というのも、それを示唆したのがロシア軍部に近いSNSのアカウント(Reverse Side of the Meda)だからだ。

同アカウントが公表したモスクワ沈没の経過によれば、ウクライナ海軍が所有するドローン(バイラクタルTB2)が、ネプチューン到達前にモスクワを攻撃したという。モスクワ搭載の防空システム(S-300F)がドローンに集中している間に、ネプチューンがモスクワに命中したというものだ。

この指摘を受けて、米誌「フォーブス」の電子版が14日に「ウクライナのバイラクタル・ドローンがロシア艦隊の旗艦「モスクワ」を沈めるのに寄与した」という記事を掲載している。いま軍事専門家のあいだでは、ドローンがネプチューンの制御(標的算出)に用いられたのか、防空システムを集中させる標的(囮)になったのか、あるいはドローンに搭載された小型ミサイル(MAM-1)による被弾なのか、さまざまに見解が分かれている。

いずれにしても、飛来した対艦ミサイルがウクライナ当局が主張する2発ならば、対艦防空システムで防げたはずだというのだ。

そもそも、第二次大戦の軍艦とはちがって、現代の艦船は防御装甲がきわめて脆弱である。大戦中の重巡洋艦と現代の巡洋艦が、大砲の射程距離内で撃ち合いをやったら、現代の巡洋艦は数発で撃沈されるという。大戦中の旧戦艦・重巡洋艦には艦測バルジ(装甲突起)があり、容易に沈まないのだ。たとえば雷撃機の攻撃で舵が効かなくなったドイツの戦艦ビスマルクが、英米海軍の砲撃では沈まず、最後はキングストン弁を開けて自沈したことが、最近の調査で明らかになっている。

いっぽう現代の艦船は、近距離で撃ち合う海戦を想定していない。装甲は軽量化(高速化)のために申し訳程度で、もっぱら防空システム(CIWS)と防空ミサイル(赤外線追尾)に依存している。このうちCIWSとは、ガトリング砲(円形に6門の砲身をもつ機関銃)がレーダーとコンピュータ制御でミサイルを撃ち落すものだ。1分間に3000発の掃射が可能だとされている。

ぎゃくに言えば、ドローンや無人機を飛ばしてCIWSをそっちに集中させれば、ミサイルがやすやすと艦体を捉えることが可能になることを、今回のモスクワ撃沈が立証したことになる。

それはともかく、キーウ防衛でドローンと軍事衛星が果たした役割は大きかった。ロシア軍の戦闘車両は的確にその位置を把握され、対戦車ミサイルジャベリンの犠牲になった。市販のものでも、ドローンは近代戦争に不可欠の武器になりつつある。


◎[参考動画]「ウクライナを支えるドローン部隊の実態に迫る!」(日本テレビ【深層NEWS】2022年4月14日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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ウクライナの事態は「日米同盟基軸」を問い直す絶好の機会 「情報戦」を疑い、エビデンスを追究して「真実」を求めよう ── 平壌からの手紙 LOVE LETTER FROM PYONGYANG〈最終回〉 小林蓮実

朝鮮の平壌市内に暮らす、よど号メンバーの魚本公博さんより、次のテキストが届いた。ただし、「依頼のあった」ということだが特に依頼したつもりはないため、今回で最終回としたい。

衛星放送を観ている魚本公博さん

◆「『日米同盟基軸』を問い直す絶好の機会」よど号メンバー・魚本公博さんより

「ピョンヤンからのラブレター」。今回、小林さんから「ウクライナ情勢で東側の言い分」を書いてはどうかとの提言をもらったので、それを考えてみました。題目をつけるとすれば「『日米同盟基軸』を問い直す絶好の機会」とでもなりましょうか。

ウクライナ事態を見る上で重要なことは、それが日本にとってどういう意味をもつのかということだと思います。

今、日本でのマスコミ報道は、「プーチン=悪」のオンパレードです。そして、それを利用して、様々な聞き捨てならない論説が出てきています。その典型は、安倍元首相や維新が主張する「核の共同所有」論でしょう。そして「非核三原則」の廃棄、敵基地攻撃能力保持、専守防衛の見直しなど9条改憲の動きが強まっています。

「核の共同所有」、その論理は「ウクライナは核を放棄したから侵略された。日本は核をもたねばならない。そこで、NATOのような核シェアリングを」ということです。

これを聞いて、私は1980年代初頭の欧州反核運動のことを思いました。当時、私は、欧州でこの取材をしていましたので、ことの外このことが頭をよぎったのです。

ことの始まりは、米国がNATOの未核保有国であるドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、トルコの5カ国に中距離核ミサイル・パーシングIIを配備する計画を発表したことです。それまで、核戦争は米ソ両国がICBMを相互に打ち込むというイメージでしたが欧州に中距離核ミサイルを配備すれば、欧州が核戦争の戦場になる可能性が高まります。そこで、「欧州を核の戦場にするのか」「米国を守るために欧州に盾となれと言うのか」という怒りの声が高まり、空前の「欧州反核運動」が起きたわけです。

安倍元首相らの「核の共同保有」論なるものは、「パーシングII配備」とまったく同じであり、それは、「日本を核の戦場にするのか」「米国を守るために日本は盾になれというのか」という問題だと思います。

このような「とんでも論」が出てくるのは、ウクライナ事態を「プーチン=悪」とのみ見るからです。しかし、その根本要因は「NATOの東方拡大」にあるということを見逃してはならないと思います。

冷戦終結期に米国のベーカー国務長官が「NATOの東方拡大はしない」と約束し、2014・15年の2回のミンスク合意でも約束したことを「俺が約束したことではない」と反故にし、NATOへの加盟、ドネツク、ルガンスク攻撃を強めたゼレンスキーに責任はないのでしょうか。そう仕向けた米国に責任はないのでしょうか。

そして考えるべきは、「米国の核の傘の下での平和」論の虚構性です。本来なら米国は核の脅しで、ウクライナへの侵攻は許さない、撤兵しろと言った筈です。しかし、それをせずに、米国もNATOも武器を送り込み、諜報部員を送りこんで、ウクライナ人に戦わせている。核の脅しなどやれば米国自体が危うくなると踏んでいるからです。

それだけ米国の覇権力が落ちたということでもありますが、そうであるのに、いまだに「米国の核の傘」を信じ、あるいは「核の共同所有」で、これを支えるなど、日本を核戦場にし、日本だけが戦わされるものにしかなりません。

日本は、あの地獄のような戦争を体験し、「もう二度と過ちはくりかえしません」と誓い「非戦、非核」を国是としました。ウクライナ事態は、その正しさを証明しているのではないでしょうか。9条自衛、専守防衛に徹し、対外的に敵を作らず友好国を増やして日本の平和と安全を守り、外交の力で対外問題を解決するということです。

そのためにも、「米国の核の傘の下での平和」。その具体化としての「日米同盟基軸」の国のあり方、そして、米中新冷戦で日本が対中国対決の最前線に立たされようとしていることの危険性などを真剣に考えるべき時です。

ウクライナ事態は、それを契機に起きた物価高騰などの経済混乱を含めて、日本が今まで通り「日米同盟基軸」でやっていくのか、それとも真に日本の平和のために、日本の国益のために、「日米同盟基軸」を見直すのかを問う絶好の機会となっているし、しなければならないと思っています。

◆防衛論の前に意識したい、善悪二元論を疑うこと

「『日米同盟基軸』を問い直す」こと自体は、国内の動きとして見受けられる。バイデン政権が対ロ参戦を否定したことにより、日本の防衛の前提とされていた「核の傘」が危ぶまれたからだ。

マスコミ報道には、変化が見られるようになった。個人的には日頃よりマスコミ報道を懐疑的に見ているが、左派などの間でブチャの虐殺などはデマであるという論調が広まり、それに対する反応も含めて眉唾ものだと考えていた。特に極端なものというのは、左右を問わず内容を疑い、エビデンスを追究すべきではないだろうか。すると、報道の側にも冷静なものが出始めるようになってきた。ただし、冷静を装うようなものもあるし、エビデンスが十分であるともいえない。

現代における情報戦では、情報が速く広く収集できるようになっている。いずれの側も権力者はそれを最大限に活用しようとするだろう。受け取る側も、ポジショントークとはいわないまでも人間であるがゆえ、信じたいものを信じがちだ。極端に走れば、いずれかの「陰謀論」に陥ってしまう。事例が多々見受けられる。このような問題に自覚的であるべきだと、私は思う。そのうえで、「真実」に近づくべきではないか。

「核の共同所有」論や(少なくとも現時点での)9条改憲には反対であり、そもそもアメリカから「独立」して戦争責任も取り直すべきと考えているが、その先に関してここに一度書いたものは消しておく。議論も重ねたいところだ。

ここ数日の間、インターネット上では、護憲派や自衛隊論を述べた共産党に対する批判が見られたり、「プーチンはアイヌ民族をロシアの先住民族に認定している」と危機感を表す人もいる。『ロシアにおける遵法精神の欠如 : 法社会学と経済史の側面から見たロシアの基層社会』という論文も注目された。朝日新聞社編集委員が安倍氏インタビュー記事公表前の誌面を見せるよう週刊ダイヤモンドに要求していたことも報道された。その一方で、日本とロシアの共通点をあげる人もいた。だが、「日本のために戦おうという国民は、ほとんどいないのではないか」と問う人もいる。今こそ「真実」を見極めながら、私たちはこれらのことについて考えるべきだろう。

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)
1972年生まれ。フリーライター、編集者。労働・女性・オルタナティブ・環境 アクティビスト。地域搾取や自然破壊の現場でカウンター活動をしていらっしゃる方、農作業や農的暮らしに関心ある方からのご連絡をお待ちしております。
https://www.facebook.com/hasumi.koba/

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ウクライナ戦闘の長期化で勢いづく不穏な「金正恩主義」 一刻も早い停戦を! さとうしゅういち

ロシアのウクライナ侵攻による戦闘は長期化しています。最近ではキーウ(キエフ)周辺からロシア軍が後退する一方で、東部の2州での戦闘が激化していると伝えられています。

◆広島でも反戦運動の反面、核武装論も勢いづく

こうした中で広島市でも、ロシアのウクライナ侵攻に抗議する行動が行われています。4月10日には、若者たちの3日程度前の呼びかけにより、原爆ドーム前に多くの人が集まりました。

一方で安倍晋三さんや「維新」による「核共有論」なども物議を醸しました。「核共有論」については、自民党でさえも、正式な党の見解として否定をしています。しかし、最近、「金正恩主義」とでもいうべき主張が街頭で接する有権者の方からも目立つようになりました。

この4月10日も、別の場所で街宣をしたあと、原爆ドーム前にかけつけようとした筆者に対して、以下のような主張をしつこくされる方がいらっしゃいました。「これからはアメリカには頼れないから、日本が独自に核武装して自衛するしかない。」ということです。

これは、そのまんま、朝鮮の金正恩総書記の主張です。金正恩総書記の主張は大まかにいえば、以下のようなものです。

「アメリカにやられないようにするには、我々は核兵器で対抗するしかない。」

アメリカをロシアや中国に入れ替えれば、この「おっさん」の主張とまったく同じになります。

4月10日、若者たちの呼びかけにより、原爆ドーム前に多くの人が集まりました

◆イラク戦争で加速した「金正恩主義」

冷戦崩壊でソビエトや中国の後ろ盾がなくなった以上は、アメリカにやられないようにするには、核兵器をもつしかない。そう金正恩総書記が考えるのも思考回路として「わからなくはない。」

実際、2003年のイラク戦争は、アメリカはイラクに大量破壊兵器がないにも関わらず、「ある」と決めつけて攻撃しました。金正恩総書記の父の金正日が「イラクは核兵器がないからアメリカにやられた」と考えたとしても不思議ではありません。実際、イラク戦争後に朝鮮は核兵器開発を加速させているのは皆様もご存じのとおりです。

◆「5大国はまとも」という国連・NPTの建前と実態のかい離

アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス。この5大国は第二次世界大戦の主たる戦勝国であることを背景に、国連安全保障理事会の常任理事国となっています。また、1968年に発足し、1995年無期限延長が決まったNPT(核拡散防止条約)で核兵器の保有を既得権として認められた国でもあります。両方のことには明らかに密接な関係があるといえます。

この五大国は「ある程度はまとも」だから、拒否権や核兵器の保有といった大きな力をもたせておいてもよかろう。また、大国同士なら、いわゆる核抑止力もはたらくだろう。

上記のような建前で、20世紀後半の国際秩序は動いていた、といって間違いないでしょう。5大国以外の国でとくに北半球の国は多くがアメリカかソビエトかにつき、どちらかの核の傘に入りました。

もちろん、実際にはヒヤリとする場面もありました。たとえばアメリカは朝鮮戦争で核兵器を使おうとしました。また、キューバ危機は有名です。その他にも核兵器という刀の柄に手を掛けたことは、何度かあったことが明らかになっています。実際のところは、たまたま、核戦争が幸運にも起きなかっただけかもしれません。ただ、核兵器の実戦使用は、ヒロシマ、ナガサキにおけるアメリカ。そして、アルジェリア独立戦争における実験と称したフランス軍による使用。これでとどまっているのも事実です。核兵器使用に反対する世論が大きいこと。それを考慮する程度の合理性は5大国の為政者にあったこと。これも事実でしょう。

他方で、冷戦時代、核は使わなくても、集団的自衛権と称した侵略も米ソ双方やっていました。そして、核兵器を独占する5大国への不満もつねにありました。「君たちは非核兵器国の安全を保障してくれるのか?」と。

◆イラク戦争契機に建前と実態のかい離拡大、そして「金正恩主義」の勃興

こうした建前と実態のかい離は、21世紀に入ると拡大していきました。911テロ後、アフガニスタンを侵略したアメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュ被疑者はさらにイラクに先制攻撃。これは「大量破壊兵器がある疑い」で一方的に行ったものでした。そして、多くの市民が犠牲になりましたが、大量破壊兵器はありませんでした。「共犯者」の英国首相・トニー・ブレア被疑者は謝罪して政界を引退したものの、ブッシュ被疑者はまったく謝罪もせず補償もされませんでした。そして、中東は荒れ、ISが興隆。ISの鎮圧に手こずった米英は、結局、ロシアによる手荒なシリア空爆作戦を黙認することになります。このことで、プーチンが勢いづいた面は否定できないでしょう。そして、ロシアのウクライナ侵攻です。

そんなこんなで大国の信用は地に墜ちています。そうしたなかで、金正恩主義ともいえる考え方が日本をふくむ世界各地に広がるのも支持はしませんが「理解」はできます。

◆反米・反グローバリズムの一部に食い込む金正恩主義

また、反米主義・反グローバリズムの考え方の皆様の一部にも「金正恩主義」がくいこんでいる感じがします。街頭などリアルでも、筆者の食料安全保障強化や脱原発は支持しつつ、核武装して自衛するべき、という方に遭遇する頻度も以前に比べて増えています。アメリカへの反発の勢いあまって、という感じも受けます。もちろん、過剰なグローバリズムは脱却するべきでしょう。しかし、「金正恩主義」で大丈夫なのでしょうか?

◆収拾がつかなくなる金正恩主義

では、全ての国が「(核兵器をもつ)大国から防衛するために核兵器をもつ」などと言い出したらどうなるでしょうか?

おそらく、大混乱になるでしょう。日本だけがNPT/国連の例外だ、などということを納得する人はいないでしょう。「日本がもつなら俺も」と言い出す。実際に、過去にはアルゼンチンや南アフリカ共和国なども核兵器を開発していました。それを非核地帯条約加入にともない、放棄しているのです。昔のアルゼンチンや南アフリカ共和国のようなことを多くの国がやりだしたらどうなるか?合理的でない指導者が核のボタンをもつ確率もあがる。そして、おそらく、核兵器を使ってしまう国も出てくる。一度使われてしまえば、使用への心理的なハードルが下がる。そして、気がつけば地球滅亡、になりかねません。やはり、核兵器は禁止しかない。5大国も朝鮮などの小さな国も持たないようにしないといけないのです。

◆加害国であった過去 日本は忘れず核兵器禁止条約推進を

そもそも、日本が独自に核武装しようとすれば、国連憲章の敵国条項に抵触します。日本は袋叩きにあうこと必定です。日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、アジアへの加害国です。そのことを忘れて独自に核武装など、袋だたき必定です。いわゆる反米や反グローバリズムは構わないのですが、日本が加害国であることを忘れて頂いては困ります。

日本の近隣にはASEAN・東南アジア諸国連合があります。すべて核兵器禁止条約に署名しています。あのミャンマーでさえです。最近では連携して米中両方にモノを言うようになっています。

NPT体制は核兵器廃絶を進めるものではありません。しかし、取りあえず、野球でいえばファウルボールでゲームセットを逃れるイメージで捉えれば良いでしょう。その上で、緊張緩和を、ランナーをコツコツ貯めていくイメージで進めていくべきです。

日本はとりあえず、核兵器禁止条約の締約国会議が6月にあるのですから、ぜひ、参加するべきでしょう。そうなると岸田総理の人気も上がって、参院選で広島の野党は筆者も含めて苦戦はまぬかれませんが、それはそれで仕方がないことです。党利党略ではなく、日本があるべき方向にすすむことが大事なのですから。

◆ウクライナ 1秒でも早い停戦を!

戦闘が長引けば長引くほど、核兵器をふくむ、力で問題を解決しようという考えが広がっていきます。正直、冷戦崩壊後、アメリカが調子にのりすぎて新自由主義グローバリズムで暴走した反動で、アメリカべったりの文脈の力の論理は、かつてほどは力がないかもしれない。

しかし、「金正恩主義」ともいえる「大国に対抗するために核武装」という考えは勢いづく恐れが日本国内はもちろん、世界でもありえます。わたしが街頭でお会いした「おっさん」のような方が一般市民の立場で発言する程度なら、笑い話でまだ済むかもしれない。しかし、朝鮮以外でも、国家の為政者が暴走して核を持ち出すようになってからでは手遅れです。あらゆる手段で1秒でも早くとりあえず、戦闘を停止することが大事です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年5月号!

浮き足立った日本全体の戦争翼賛状態を嫌悪する ──「自衛隊容認姿勢」を示した日本共産党に電話で問うた一問一答 田所敏夫

◆ウクライナ情勢が浮き彫りにした日本の「好戦」指向

個別の事態が確実なものであったとしても、ではなぜその事態が生じさせられたのか?ある独裁者の思い込みだけが原因だと、断定することは乱暴ではないのか?身近な何人もの識者や学者がロシアによるウクライナ侵略の全体像をどのように考えればよいのか、苦悶している。

まさか21世紀に突きつけられようとは、予想もしなかった隣国へのある意味原始的な手法による侵略。この設問への私的な困惑は深く簡単になにかを断じることができない。ロシアの侵略行為に私は全く同感しないし、承認することはできないが歴史(直近から中長期のそれ)や、現存するNATOと消滅した「ワルシャワ条約国機構」の問題、さらには原発を巡るロシアの一貫しない軍事行動などを耳にすると、これが総体としていかなる現象(現地で痛みを負い無くなっておられるひとびとには失礼な表現かもしれないが)であるかの総体を表現することが極めて困難に感じるのだ。

◆軽すぎ薄っぺらすぎる言説と報道

一方でいまだに「西側」、「東側」という呼称が通用しているのもおかしな話だとしか思えない。ロシアもベラルーシも自称「旧社会主義国」ではあったが、現在経済体制は資本主義であり、その視点を維持すれば「西」対「東」の対決ではなく、帝国主義間の終末的領土・資源収奪争いの側面も、あながち無いとはいいきれないのではないか。

わざわざ「キエフ」を含む複数都市の日本における読み方の変更を政府が発表したら、何の疑問もなく新呼称を採用するのが大マスコミであり、政府専用機で20名の避難者を林外相が連れてきたことが大きく報道される。これまで政治難民申請に冷酷無比と言ってよかった日本政府の入管政策を知るものとしては、強烈な違和感を禁じ得なし、米国が侵略したアフガニスタンやイラクから日本政府は(米国侵略直後)難民を受け入れたか。そもそも「米国」を侵略者と規定する報道があったか……。

難民を受け入れることにわたしが反対なのではない。「日本政府は、ウクライナ情勢の前と後で、やることが全然違うじゃないか」というのが正直な感触だ。

◆強烈な違和感を象徴する「共産党の自衛隊容認姿勢」に迫る

そしてこの違和感は政府・マスコミだけに向けてのものではない。リベラルと呼ばれる層も含め、日本全体がまたしても「次のきな臭い段階」に入ったのではないか、とわたしは感じる。以下に一つの例を挙げよう。4月8日には「有事の際には自衛隊を活用すると訴え」共産党の志位委員長が述べたと報道された。

ことの次第を確かめるべく、4月11日共産党本部に電話で話を聞いた。

田所  報道で拝見しましたが、志位委員長が「日本に侵略があった際は自衛隊を活用して侵略を防ぐ」と発言をなさったと聞いているのですけれども、それは間違いありませんでしょうか。

共産党 共産党は日本国憲法を順守する考えだと理解していますが。

田所  日本国憲法と自衛隊は矛盾しない、というのが共産党の考えですか。

共産党 矛盾します。矛盾するというか今の自衛隊は9条とは相いれないと思っています。ですので将来的には解消を目指す立場です。

田所  憲法と矛盾する自衛隊に国を守らせる、ということですか。

共産党 そうですね。

田所  それがにわかには理解できません。

共産党 順序だてて言いますとね、憲法と相いれないと思っていますが、今すぐには無くせないんですよ。御存知の通り国民の8割、9割は自衛隊に好意というか、評価していますので。

田所  共産党の方々はいかがなのですか。

共産党 私たちだって憲法とは相いれないけど、敵視しているわけじゃないし。災害出動なんか大いに評価していますよ。

田所  災害出動が役に立つのは理解できますが、武装している自衛隊も是認なさっているわけ?

共産党 是認というか、憲法にはやはり相いれない。ですから解消を目指すんですけど、時間がかかるんです。明日政権に入っても国民がこれだけ「自衛隊が必要だ」と言っていると、いきなりは無くせないですよね。そんなことをやったら独裁になっちゃいますから。相当長い期間がかかるんですよ。そうしたら国民が自衛隊がなくても安心できる状態なるかといえば、やはり北朝鮮のミサイル開発ですね。あのようなことが解決するとか、中国の覇権主義的な行動がなくなるとかね、そういうことがないと、なかなかそういう世論にはならないです。平和な東アジアを作る外交を大いに共産党はやって、その条件を作る努力をしていきますけれど、時間がかかる。その前に私たちは「過渡期」と言っていますが、5年10年ひょっとしたらもっとかかると思いますよ。その間に仮に、そういう事態が起きたらどうするのかという話なんです。

田所  万一そう事態が起きたときに共産党は与党であったらという前提で仰ってるわけですか。

共産党 与党であっても野党であっても賛成するってことですよね。

田所  今は野党でしょ。

共産党 今、野党です。

田所  野党であってもあの憲法違反の自衛隊の存在に塩を送ると宣言なさるということですか。

共産党 認めるということですよ。

田所  (あまりの断言にやや間をおいて)日本国憲法の前文をもちろんご存知だと思いますが、その前文と9条は結びついてますね。にもかかわらず9条違反の自衛隊を認めないのに、侵略があった時には自衛隊の活動を認めると。その理屈はなかなか分かりにくいですね。

共産党 わかりにくいですか。さっき言ったように「過渡期」があると。

田所 「過渡期」というのであれば、共産党が自衛隊をなくそうとした時からが「過渡期」なのでしょ。

共産党 はいはい。

田所  今なくそうとするところにも至ってないんじゃないですか。

共産党 いえいえ、だから、なくそうとしていますよ。

田所  誰が?

共産党 私たちが党として。

田所  どういうふうに?

共産党 なくすために努力して、その為に平和な東アジアを作ることが大事なんですよ。

田所  でもあなたさっき仰ったけど、例えば北朝鮮の脅威、中国の脅威がなくなるようにということは外交努力で出来るかもわからない。けれども、今外交する立場に共産党はないわけですよね。いまは外交を司ってるのは自民党と公明党の連合政権でしょ。で彼らの延長線で良いということなんですか。

共産党 いえ、違いますよ。例えば夏に参議院選挙がありますけどそういうことをうちが掲げて……。

田所  いま仮に政権の座にいらっしゃったら、例えばロシアがウクライナに侵攻した。北朝鮮はミサイルを発射する。中国は軍備を増強している。これについてどう対処なさるんでしょうか。

共産党 例えばいま国会をやっていますけど、近々の課題はウクライナ問題ですよ。これは政府に質問をぶつけていますよ。外交的解決をするためにあるいは国際的世論を高めるために、日本政府として大いに努力しろと、いうことは常に言っていますよ。

田所  それは承知しています。ではなくて仮にですよ、いま政権の立場にあればウクライナ、あるいはウクライナがなくても危機と仰った朝鮮、中国に対してどのような外交を展開になさるんでしょうか。

共産党 中国で言えば、いま敵対しているわけですよね。中国とアメリカ、日本、豪州、インドとかなり軍事的な方向でやっているわけです。軍事演習も中国の目の前でガンガンやっているわけです。それではあかんと。たとえばASEANは域内で数十年来紛争しないと努力してきているわけです。ASEANを中心に東アジアサミットという枠組みがありまして、そこには中国もアメリカも日本も入っているわけです。その枠組みを利用して、中国も引き込みながらその中の話し合いで中国に「ちょっとやめとけよ」という話し合いをやって行こうと訴えています。

田所  中国の軍拡をちょっと収めてくれという訴えをするということですか。

共産党 順序がありますので、まずはそう言うところからはじめるというね。大事なのは信頼醸成ですよね。お互いに話し合って同じ方向で解決してゆこうと。急にこんなことはできるものではありませんから。で、最初の話でいうとそういうかなり時間のかかるプロセスがあると思うんです。その時に万が一攻め込まれた時、目の前で日本の国民が殺されかけているときに「自衛隊は憲法違反だからじっとしていろ」と、いう話にはならないですよね。

田所  なるかならないかは共産党のご見解です。憲法違反と言いながら憲法違反のやつらに武力行使を認めるというのが共産党の立場でしょう。

共産党 そうです、そうです。そういうことです。

田所  それを私は個人的には理解できないですね。憲法違反のものは憲法違反。憲法違反の人たちに何でもさせるということであれば、例えば刑法違反の人たちが何かを行っても認めると。刑法はもっと下位法ですから。

共産党 お宅様の立場は、そういう事態になってもじっとしていろと?

田所  日本国憲法に従う限りそうですね、仮に侵略があっても。

共産党 私たちはそれを責任のある政党の立場だとは思っていませんので。

田所  私は別に団体の代表でも何でもなくて個人なので、共産党が今まで自衛隊をすぐにはなくさないということを過去表明された事実も知っています。また国会の開会式には天皇がやってくることを理由にずっと出席をしなかったけれども、ある時期急に天皇が出席する国会の開会式に出席されるに至った経緯も知っています。ということは、どんどん右傾化してるんじゃないですか。共産党は。

共産党 だっていま仰いましたけど自衛隊のことは20年前ですよ。いまの見解を表明したのは……。

田所  だから20年以上前に明確に「転向宣言」出されたんじゃないですか。

共産党 そんなことないですよ。それはなんの絡みで言ったかといえば「9条の全面実施」という流れで言っているわけです。

田所  9条を全面的に実施するのに自衛隊を認められた。

共産党 うん。そういう国民的な疑問も出てきて、その中で改めて表明したわけです。

田所  だって「長沼ナイキ」って古い話ですけど、違憲判決もあったわけですよね。裁判所ですらが。控訴審でひっくり返っておりますけれども、それを共産党は認めるというわけですか。

共産党 何を認めるというのですか?

田所  だから自衛隊というもの自体が憲法違反だということを認めていながら、彼らが、仮に侵略者がいるとすれば武力行使することを認める、というご判断なんですね。

共産党 自衛隊が解消するまでの期間に、万一そういう事態があれば、ということです。

田所  なんでそんなこと今頃おっしゃるんですか。

共産党 だから……あなた自身も前から知っているとお認めになってるじゃないですか。

田所  いえいえ。志位委員長がどうしてこのタイミングで仰るのか。自衛隊をなくす間に、連立政権を実現するために共産党が自衛隊問題については「留保する」判断だと私は理解してたんですけど。

共産党 「留保」ではなく自衛隊が万一の窮迫性の事態の時には自衛隊を活用する、ということですよ。ちゃんと言っています。

田所  そんなことを胸張って言われたら余計にがっかりしますね。

共産党 22年前の22回大会で……。

田所  わたし党員じゃないから詳しいところまで知りません。だけども、22年前からはっきり言えば自民党と同じ主張をしていらっしゃったということですね。

共産党 同じじゃないですよ。違憲だというところは全然違う。

田所  違憲と言いながら、武力行使を認めるわけでしょ。違憲の武装集団が仮に攻撃を受けた場合の武力行使を認めるわけでしょ。それはごく基本的な論理的なところで矛盾じゃないかな。

共産党 個人で矛盾だと言う方々がいるだろうとは思いますけど、お宅様もたぶんそうなんでしょう。ただ私たちは政党ですからね。現実にそういう事態があってその時に自衛隊があって、訓練も積んでいると。スタンバイOKだというときにその出動を待てと。「お前ら憲法違反だから一歩も動くな」というのは政党としてはちょっと無理ですよ。国民の命がかかってるわけですから。

田所  国民の命がかかっている?

共産党 一方でそういう事態が起こらないように努力をしてゆくということです。

田所  分かりました。ありがとうございました。

例によってわたしと共産党のやり取りへの判断は読者諸氏にお任せする。ただし、わたしは共産党の言に強烈な違和感を抱いたことだけは強く述べておく。


◎[参考動画]日本共産党の躍進で日本の前途を切り拓く(日本共産党2022年4月7日)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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ウクライナ人道支援の避難民受け入れ 政府専用機でたった20人の謎 横山茂彦

◆国民の4分の1が避難民に

ロシア連邦による大量虐殺が明らかになりつつあるウクライナから、すでに420万人をこえる人々がポーランドやモルドバなどの隣国、ヨーロッパに避難している。国内での移動をあわせると、国民の4分の1が避難民となっている。

第二次世界大戦いらいのジェノサイドが明らかになったいま、ウクライナ避難民の受け入れは、21世紀世界の責務といえよう。

わが日本政府も林芳正外相をポーランドに派遣し、避難民の受け入れに乗り出した。これまで牛久や大村の収容施設でアジア人を「殺してきた」(2017年ベトナム人男性・2021年スリランカ人女性)入管行政も、ウクライナ避難民にはビザ発給など入国のハードルを下げる措置を採るという。今回の措置に先行して、人が親族を頼って入国している。


◎[参考動画]夢かなえるため家族とも別れ……避難民受け入れの課題(ANN 2022年4月4日)

◆なぜ20人なのか?

ところで、林外相が連れ帰ったのは、わずか20人なのである。

移送には政府専用機(B777・予備機)が使われたのだが、同機の登場可能人数は防衛省によれば150人である。B777は350~450人が搭乗可能だ。政府専用機は会議室やベッドなど機能性や居住性を重視した改装によって、それでも150人が搭乗可能なのだ。あまりにも少なすぎるではないか。

ヨーロッパの最貧国といわれるモルドバでは、一家で難民2人を引き受け、政府がその費用を援助している。ポーランドでは人口160万人のワルシャワ市が、60万人の難民を引き受けているのだ(ポーランド全体では250万人を受け入れ)。激動の歴史をたどってきた東ヨーロッパならではの、相互扶助・協同の精神が発揮されているといえよう。

ウクライナから距離のある極東の島国とはいえ、キーウ(キエフ)と京都、オデーサ(オデッサ)と横浜が姉妹都市であるなど、日本とウクライナは親密な関係にある。福島原発事故・チョルノーブィリ原発事故という両国に共通した体験から、原発災害防止の分野でも研究・交流が活発であった。


◎[参考動画]政府専用機に乗ったウクライナ避難民20人が羽田空港に到着(ANN 2022年4月5日)

◆選考基準を明らかにしない外務省

いっぽう、外務省は避難民の選考方法やその基準を明らかにしていない。20人という、ヨーロッパ諸国が数十万・数万単位で受け入れているのに比べれば、申しわけ程度の人数になった理由も明らかにしていない。

林外相の記者会見での弁は、「政府専用機の予備機に日本への避難を切に希望しているものの、自力で渡航するのが困難な20人の避難民を乗っていただくことにしました」であった。

なるほど難民認定が年に数十人単位(申請者数は4000~7000人)のわが国にしてみれば、404人も避難民を受け入れたうえに、政府専用機を利用させてまで受け入れたのだ。これで欧米並みの人権国歌として、世界に理解されるはずだ。ということなのかもしれない。

ところが、である。民放テレビの現地報道では、ポーランドの日本大使館に何度も連絡してみたが、応えは「現在調整中です」というものだったと報じている。これはどうしたことなのだろうか。希望者は多数いたにもかかわらず、外務省は何らかの方法で調整、すなわち一方的に選抜したのである。選抜理由が明らかにできない以上、避難民受け入れを国内外にアピールするパフォーマンスと指摘されてもやむを得ないのではないか。


◎[参考動画]日本へ避難したいが……政府専用機同乗の対象基準は?(ANN 2022年4月4日)

◆受け入れに積極的な地方 申しわけ程度の中央政府

政府専用機での移送をわずか20人に絞った政府にたいして、受け入れの準備がないからではないかと観測する向きもある。ところが、600以上の民間団体・企業・自治体が、すでに受け入れの名乗りを挙げているのだ。

政府は公益財団法人のアジア福祉教育財団難民事業本部に委託し、生活費や医療費などを支給するいっぽう、企業や自治体の支援については内容を整理し、避難民の希望も聞き取りながらマッチングを行う方針だという。佐賀県や天理市など、受け入れ人数を明らかにした自治体もある。

アジア福祉教育財団難民事業本部は、もとはインドシナ難民救済事業として出発した政府委託の民間団体である。今回の避難民は、入管が管轄する「難民」ではなく、在留期限を1年単位(6か月の生活費支給)で更新するとされている。その意味でも、あくまでも特例措置なのである。

民間では就労もふくめて、多数の受け入れが準備されているにもかかわらず、岸田政権の及び腰はいかがなものか。安倍晋三や菅義偉とはちがって人の話は聴くが、動きのにぶい政治であると指摘しておこう。


◎[参考動画]ウクライナ人をサハリンなどへ強制移住 ロシア軍(ANN 2022年3月26日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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破綻しつつあるプーチンの戦争 ── だが、停戦交渉は軍事作戦の一環にすぎない 横山茂彦

中東・ムスリムの紛争およびそれへの米ロの介入が、日本人には理解がむつかしい宗教的な障壁のゆえ「対岸の火事」であったのに対して、ロシアのウクライナ侵略は身近に感じされる。それは明日の台湾有事・朝鮮有事であり、北方諸島の現実であるからでもあろう。

そのウクライナ侵略戦争は数回にわたって停戦交渉が行なわれ、現在も継続されている。いまこの時も無辜の市民が殺され、ロシアに強制連行されている。一刻もはやく停戦が実現されることを祈念したい。

だが、ロシアがプーチンのほぼ独裁制である以上、その政治的なメンツが軍事上の優勢抜きには果たされず、したがって事態は泥沼化を辿らざるをえない。東部二州の併合という最低限の政治目標が達成されない限り、停戦やロシア軍の撤退はありえないのだ。

今回は停戦を左右する軍事的な側面から、現状を分析していこう。日本に居て現地の軍事情勢を俯瞰するのは困難とはいえ、双方の断片的な、そして相互の一方的な報道の中からも、十分に見えてくるものがある。

◆ロシア軍戦車の脆弱性

ロシア軍はキーウ(キエフ)を包囲していた兵力の20%をベラルーシ方面に後退させたという。これはアメリカの偵察衛星の情報によるもので、部隊の再編成のためと分析されている。いったんキーウ攻略をあきらめ、東部・南部への転用も考えられるところだ。いずれにしても、ロシア軍の苦戦は明らかだ。

現地から報じられる画像では、ロシア軍の戦車や戦闘車両が破壊されたものが目に付く。ウクライナ当局による意識的な戦果誇示の面があるとはいえ、イラク戦争のときに明らかになったロシア製戦車の防御の脆弱性が、ふたたび明らかになったと断言できる。

アメリカによるイラク侵攻の時、イラクの主要な戦車はロシア製のT-72だった。初期の戦車同士の正規戦闘で、イラクのT-72はアメリカ軍のM1エイブラムスに一方的に破壊された。T-72の125ミリ徹甲弾(鉄鋼製)は、アメリカ軍戦車の砲塔に命中しても跳ね返されるという事態が頻発したのだ。現在のロシア軍はT-72の改良型、およびその派生型のT-90が主力だが、画像を見るかぎりイラク戦争当時の脆弱性は克服されていない。砲塔が吹っ飛び、車体の損壊が激しいのがその証左だ。

戦車戦は戦闘のなかでも、最も物理的な戦いだとされている。装甲の強さと砲弾の破壊力の戦いなのである。弾頭は鉄鋼よりもタングステンのほうが強く、装甲は鋼鉄よりもチタンやセラミックを複合した合金、あるいは弾薬を外装することで敵の砲弾を跳ね返す(爆発反応)。

この点では側面装甲には外装弾薬が見られるものの、戦車の泣き所である上部装甲を破壊された車両が多くみられる。対戦車ミサイルによるものであろう。

いっぽうで、機動力(速度・運動性)と運用力(軽量化)のうち、広大な大陸では運用力が重視される。国土のせまい日本ですら、キャタピラ式の重戦車よりも軽量な装甲車(タイヤ走行)が重視される傾向にある。

ロシアの場合も広大な国土で運用するために、運搬のための軽量化が考慮されてきた結果、装甲の脆弱性を抱え込むことになったのだ。第二次大戦時のT-34という高速戦車が、ドイツのⅥ号戦車(タイガー重戦車)を打ち破った伝統から、欧米の最新戦車が重量化の方向に進んだのに対して、T-90型においても防御的なバージョンアップは少なかった。その結果、今回の戦闘では甚大な被害を出しているのだ。それも戦車戦ではなく、歩兵が携行する対戦車ミサイルにやられているのだ。
その主役は、FGM-148 (ジャベリン)である。


◎[参考動画]ロシア戦車撃退した“携帯兵器” 米に1日500基求めた威力とは(ANN 2022年3月25日)

◆戦車キラーの対戦車ミサイル

FGM-148は、発射指揮装置、発射筒体、発射筒体に収められたミサイル本体から構成されている。総重量は22キログラム。ちょうどママチャリや5キログラム米袋4個ほどの重さで、兵士が一人で運搬できる。

ミサイル本体は、射出用ロケットモーターによって発射筒から押し出される。数メートル飛翔した後に安定翼が開き、同時に飛行用ロケットモーターが点火される。ミサイルは完全自律誘導のため、射手は速やかに退避することができる。

主な目標は装甲戦闘車両だが、低空を飛行するヘリコプターへの攻撃能力も備える。発射前のロックオン自律誘導能力、バックブラストを抑え室内などからでも発射できる。

ミサイルの弾道は、戦車の装甲の薄い上部を狙うトップアタックモードと、建築物などに直撃させるためのダイレクトアタックモードの2つが選択できる。

最高飛翔高度は、トップアタックモードでは高度150メートル、ダイレクトアタックモードでは高度50メートルだという。射程距離は2,500メートルで、発射指揮装置のスコープの視認距離にひとしい。ミサイルは赤外線画像追尾と内蔵コンピュータによって、事前に捕捉した目標に向かって自動誘導される。メーカー発表によれば、講習直後のオペレーターでも94%の命中率だという。

弾頭はタンデム(複数)成形炸薬を備えている。メイン弾頭の前に、小さなサブ弾頭を配置したもので、サブ弾頭により爆発反応装甲などの増加装甲を無力化した後に、メイン弾頭が主装甲を貫通するように設計されている。上部装甲を破られた戦車は、ほぼ確実に弾薬庫を貫通される。ロシア戦車の砲塔が吹っ飛んでいるのは、戦車に搭載している砲弾が誘発し、自爆にちかい大爆発を起こすからだ。

近代兵器は装甲(耐久性)や動力(速度)だけではなく、戦闘機ならソースコード、陸上戦闘車両や携行ミサイルもコンピュータ制御の精度が勝負を決める。その意味では、陸上戦闘の花形と思われがちな戦車も、最新鋭のコンピュータ制御ミサイルの前では、愚鈍な標的にすぎないのである。ウクライナ側の映像で、車列をミサイル攻撃されたロシア軍戦車が、算を乱して潰走するシーンが現れるのは、単にロシア軍の戦意が低いわけではなく、ミサイル攻撃にかなわないと判っているからなのだ。

◆制空権を握れないロシア軍

もうひとつのウクライナ軍の武器は、地対空ミサイルのFIM-92(スティンガー)である。

スティンガーの主目標は、低空を飛行するヘリコプターや爆撃機などだが、低空飛行中の戦闘機、輸送機、巡航ミサイルなどにも対応できるよう設計されている。ミサイルの誘導方式には高性能な赤外線・紫外線シーカーが採用され、これによって目標熱源追尾能力(発射後の操作が不要な能力)を持っている。おおまかに狙いを定めれば、熱を発する飛翔体は何でも撃墜できる。

原理的には、アンチモン化インジウム(InSb)フォトダイオードを受光素子とした、量子型(冷却型)赤外線センサーによる赤外線ホーミング(IRH)誘導方式を採用しており、中波長赤外(MWIR)帯域の検知に対応していることから、全方位交戦能力を備えている。

発射時には目視で目標を確認し、その後本体のスイッチを入れて目標を捕捉する。引き金を引くとシーカーが冷却され、ミサイル後部のブースターによりコンテナから打ち出される。本体から10メートル離れたところでロケットモーターが点火し、超音速まで加速する。狙われた戦闘機や巡行ミサイルは、もう逃げられない。


◎[参考動画]Ukraine’s Powerful Stinger Missiles That Wreaked Havoc On Russian Forces(ミリタリーテレビ 2022年3月14日)

ジャベリンにせよスティンガーにせよ、敵の位置を正確に知ることで戦果が上っているのは言を待たない。アメリカ軍の衛星偵察とドローンによるロシア軍の配置把握によるもので、一面では情報戦でウクライナがロシアを圧倒していると言えるだろう。

現在、西欧各国はウクライナに対して、対戦車・対空ミサイルの供与を約束あるいは実施している。消耗を怖れるロシア軍は遠距離からの砲撃やミサイルで、いわば無差別攻撃に頼らざるを得ない。それがこのかんの、病院や学校、ショッピングモールへの攻撃として報じられたものなのだ。

これからも、プーチンの政治的な意地(メンツ)のために、ロシア軍はある程度の勝利(殺戮)と引き換えに停戦交渉をすすめ、いっぽうでは東部2州の事実上の併合を獲得目標とするであろう。そのために、ウクライナ国民の膨大な犠牲、そしてほかならぬロシア兵の犠牲が積み重ねられていく。21世紀のヒトラー、ウラジーミル・プーチンを止めよ!

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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「ロシア帝国主義の実践者」プーチン大統領と蜜月し、迎合しながら横暴を許し、国益を損ねてきた日本の要人たちに問われる政治責任 横山茂彦

◆戦争犯罪者は日本で歓迎されていた

1991年の湾岸戦争や2000年代の中東におけるアメリカの蛮行(侵略戦争)は、イスラム世界に距離をもつヨーロッパ、日本において、いわば「対岸の火事」であった。自衛隊の海外派兵という国内政治での反対デモはあっても、ムスリムのために支援を申し出る人たちは稀だった。

いま、その舞台が近代の淵源であるヨーロッパであるがゆえに、われわれはプーチンの蛮行に激しい憤りを実感している。ヨーロッパを20世紀の戦争時代にもどしたプーチンへの驚き、戦争犯罪への怒りは、テレビで伝わってくるシーンの数々をみるにつけて、終わることがない。

いっぽう、戦況はNATOから供与されたジャベリン(対戦車ミサイル)、スティンガー(地対空ミサイル)によって、ウクライナ軍の優勢が伝えられている。アメリカの衛星カメラによる情報提供も、ウクライナ軍の善戦の根拠とされる。

「戦争に行くとは知らされていなかった」ロシア兵の士気の低さも指摘されるが、ソ連のアフガン侵攻時に威力を発揮したシルクワーム(対空砲)と同じように、アメリカ供与の最先端兵器が威力を発揮しているようだ。

ロシア軍の作戦の稚拙さも指摘されている。戦略目標だった東ウクライナだけでなく、ベラルーシ経由で北部から首都キエフ、南部からマリウポリを包囲してオデッサ迄の黒海沿岸に展開する3方面作戦は、当初ウクライナ軍を分散させるものと思われていた。しかし、ロシア軍は各戦線で釘づけにされ兵員不足・燃料食糧不足、弾薬不足に陥っているという。湿地を避けて道路上に一直線に渋滞した戦車は、上記の対戦車ミサイルの標的となった。やむなく遠距離からの無差別砲撃に頼らざるを得なくなっているのだ。

◆プーチンと蜜月した人々

さて、戦争犯罪の極悪人プーチンの横暴を許してきたロシア連邦の政治の深刻さと当時に、独裁者を賛美し抱擁してきた日本人たちがいることを、われわれは確認しておかなければならない。

今回の戦争犯罪の共犯者にひとしいその面々は、安倍晋三元総理、森喜朗元総理、鈴木宗男参院議員、山下泰裕JOC会長である。

森喜朗は2000年の総理就任後、初めての外遊先にロシアを選んでプーチンとの首脳会談を行なった。2004年にはクレムリンで「(プーチン氏は)わたしが非常に尊敬している人物であり、わたしの最も重要な友人である」と述べている。

プーチンは会談に遅刻してくることで有名だ。2000年沖縄サミットでも会議に遅刻し、怒ったシラク大統領をなだめたのが森喜朗だった。そうした気遣いが実を結び、森喜朗とプーチンは首脳会談を重ね、2001年3月には平和条約締結後の歯舞・色丹2島の日本への引き渡しを明記した「日ソ共同宣言」(1956年)の法的有効性を確認する「イルクーツク声明」に署名している。

であるがゆえに、国会で野党から「プーチンを説得するために、森喜朗元総理を派遣したらどうか?」という提案(白真勲=立憲民主党議員)がなされたのである。

その質問に対する岸総理の答弁は「特使をはじめとする具体的な対応は今は予定はない」「外交において人と人とのつながり、人間関係は大事な要素。しかし、国際法をはじめとする基本的なルール、理念を大事にしながら外交を進めていく、これが基本。外交の難しさを感じるところだ」と述べるにとどまった。話は聞くが何もしない、何もできない総理の真骨頂といえよう。

プーチン説得役を期待されているのは、ひとり森喜朗のみではない。

「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」「ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆けて、駆け抜けようではありませんか」(2019年9月の日ロ会談)と、プーチンに呼びかけていた安部晋三元総理である。まるで少年が憧れの親友に書いたラブレターのようで、いまだに失笑を禁じ得ない。

プーチン来日時には、山下泰裕現JOC会長、森喜朗らとともに講道館で柔道の練習を観戦していたものだ。

その山下泰裕JOC会長は取材に応じて「(プーチン大統領とは)皆さんが思っておられるほど親しいわけではない。ロシアでは、私とプーチン大統領が親しいと錯覚している人が多いですけど」

「以前は(親交もあったが、プーチン大統領は)柔道が好きでしたね」とは言うものの、2019年にプーチンから「ロシア名誉勲章」を授けられている。2014年にはロシア政府の「友好勲章」も受けている。

山下は「(IOCが)ロシアとベラルーシの選手、役員を国際大会から除外するよう勧告したことについて、全面的に賛同している。(自身の考えと)全く同じ」と支持する考えを示しているが、モスクワ五輪のときの不参加を不当とする立場とは、それではどう違うのか。選手の参加の自由が蹂躙されたという意味では、かつての自分の立場と同じではないのか。

そのいっぽうで、プーチンからもらった勲章を返上しないというのは、言行不一致と指弾されても仕方がないのではないか。ナチスに賛同・協力したリンドバーグと同じではないか。

◆法的に固定化された北方領土のロシア領有

安倍晋三は総理在任中にロシアを11回訪問し、プーチンと27回も会談してきた。いまだ記憶に新しい長門会談においては、プーチンお得意の「遅刻」で2時間40分も待たされ、その不協和音を打ち消すために墓参で時間をつぶすというパフォーマンスでお茶をにごしたものだ。その挙句に、北方領土交渉には何の成果もないのに、日ロ共同経済活動名目で3000億円もの拠出を約束させられたのである。

2020年12月にプーチンは領土割譲を呼び掛けるなどの行為を処罰する刑法改正案に署名した。罰則は最高10年の懲役である。

つまり安倍の領土交渉は、まったくの水泡に帰し、プーチンをして刑事立法化させるという結末を迎えたのである。このさき、北方領土を日本が取り戻すには、刑事罰を覚悟で領土交渉する政権が成立するしか方法がなくなった。

結果的には、安倍とプーチンの27回の会談こそが、この取り返しのつかない立法を担保するものとなったのだ。それゆえに、説得したくても出来ないというのが安倍の実感であり、ウクライナ侵攻の理解者にされかねないというのが本音であろう。

外交防衛委員会で羽田次郎議員(立民党)の質問が行なわれたことをうけて、安倍晋三元総理はこう発言している。「説得できたら私も説得したいが、まずはG7首脳が結束を固め、その上でプーチン氏に対する説得あるいは外交的な要求、要請、交渉を行うことになると思う」(2月27日の民放番組)。とだけ語っている。ようするに、安倍の対ロ外交はまったく無駄だったばかりか、何らの可能性も残さずに、日ロ関係の将来を閉ざしたのである。

◆現代のチェンバレンたち

安倍晋三元総理がプーチンを説得できない、と言うのはいいだろう。世界が注目する中で恥をかきたくないのも理解できる。

だが、プーチンに迎合することで独裁者を増長させてきた責任は大きい。いまも独裁者プーチンの戦争犯罪で、無辜の市民が犠牲にさらされているのだ。その淵源のひとつに、安倍晋三のプーチン迎合・親交があったのだと、あえて指摘しておかなければならない。

かつて、チェンバレン英首相はヒトラーに迎合し協調することで、ヨーロッパ戦争を回避しようとした。イギリスが一貫して対決姿勢を保っていれば、ナチスドイツは開戦の機会を得ないまま、兵器の陳腐化によって第二次世界大戦は起きなかった可能性がある(ヒトラーのポーランド侵攻時の軍事的判断)。

いま、日本は日ロ経済協力プランを推し進めようとしている。世界がプーチンのロシアに経済制裁をもって、ウクライナ侵攻を押しとどめようとしているときに、日本はプーチンの戦費補填になりかねない経済協力(21億円)を行なっているのだ。参院予算委員会(3月14日)での、立民党福山哲郎および森ゆうこ議員の質問に対する、岸政権の答弁を引いておこう。

福山哲郎 「安倍政権時代にやった日露の8項目の協力プラン、来年度の予算案に入っている金額の総額を言ってください」

鈴木俊一財務相 「令和4年度予算案における8項目の協力プランにかかる予算規模、これは各省にまたがっておりますが、合計しますと、約40、いや、約21億円と承知しております」

福山哲郎 「これに対しては、協力、やめられるんですよね?」

萩生田光一経産相 「すでにロシアに進出している(日本)企業の皆さんもいらっしゃいます。撤退も考えなきゃならない事態もあるかもしれません。そういう意味では、この予算はですね、計上させていただいて、そういった対応に使わせていただく予定でございます」

森ゆうこ 「(ロシアのクリミア侵攻で)本来であれば国際社会と一致して制裁強化すべきところを(安倍政権は)お金を提供して来た。間違った政策だったと思います。先ほどの(福山議員の)質疑で、8項目の対ロシア協力、21億円ということですが、私はこの(ロシアへの協力金という)お金を含んだ来年度予算には賛成できません。減額修正すべきと思いませんか?」

岸田文雄 「委員ご指摘の21億円の予算ですが、昨年末、予算編成をした、その後、今回のような大変非難されるべき大変な事態が生じた、事態が変化したわけでありますが、今後この事態がどう変化するのか、これは予断を持って申し上げることはできません。よって今の状況で予算の修正ということは考えていないということであります」

ようするに、日本がロシアのウクライナ侵攻を支えているのだ。チェンバレンのヒトラー融和策は、その弱腰が第二次世界大戦を招いたとされているが、そのいっぽうで対ドイツ戦争の兵器(スピットファイアなど)を整備する時間を稼いだという評価も、最近では少なくない。

しかし、である。北方領土を法的に固定化され、にもかかわらず対ロ経済協力を日本の企業のためと言いながら続行する日本政府。プーチンの世界史的な犯罪を、いまも公然と後押ししていると指摘しておこう。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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コロナ下、そして「ウクライナ戦争」時のヒロシマでの3・11 さとうしゅういち

2022年の3・11。言うまでもなく、あの東日本大震災・福島原発事故がはじまって11年です。

「はじまって」という言い方をしたのは、いまだに現在進行形だからです。公式発表でさえ、3万人以上が福島県外への避難を余儀なくされている。そして「原子力緊急事態」は続いています。

筆者は、もちろん、この11年間、ずっと広島で過ごしました。しかし、今年は、一昨年来のコロナに加えて、世界最大の核兵器保有国に君臨する男が、核兵器という刀の柄に手をかけ、原発が戦争で争奪の対象になるという人類存亡の瀬戸際の危機的状況で3・11を広島で迎えました。

◆「黒い雨」主人公の被爆の場所 横川駅前からスタート

その日に自分はどう行動するか? 最初に選んだのは広島市西区の横川駅前での街頭演説でした。

横川駅は小説「黒い雨」の主人公の閑間重松が1945年8月6日に被爆した場所です。重松は現在の中区千田町の自宅を出発して、広電で横川駅に到着。国鉄可部線の古市橋駅近くの会社に向かうため、当時は横川駅始発だった可部線のホームに行き、そこで被爆します。そのあと、広島市内をさまよった挙げ句、可部線が運転再開していた山本駅(2021年の大水害被災地近くだが、現存しない。)から古市橋駅へ電車でたどり着きます。

筆者が、政治家を志した原点は小説「黒い雨」です。ですから、ここを原点に行動することにしました。


◎[参考動画]さとうしゅういちIN横川駅前 東日本大震災・福島原発事故11周年 ノーモア ヒロシマ・ナガサキ・チェルノブイリ、そしてフクシマ いますぐ停戦

演説で筆者は、ここが、重松被爆の場所であることを紹介。その上で東日本大震災の犠牲者の皆様に弔意をしめすとともに、いまなお避難を余儀なくされている皆様をふくむ被災者のみなさまにお見舞い申し上げました。

その上で、原発が戦場になっている状況に危機感を示し、ヒロシマ・ナガサキ・チェルノブイリ・フクシマを繰り返さないため、プーチン大統領に強く停戦を求めました、

一方で、ヒロシマ・ナガサキ・フクシマを経験した国日本として、イスラエルやトルコを見習って停戦へ向けた外交の努力をすべきだ、と訴えました。安倍元総理に対しても「核共有などということを言っている暇があるなら、動けるなら動いたらどうか」と勧告しました。

さらに、国内の物価上昇に対しては、「輸入物価上昇で庶民ほど打撃のいまこそ、財政出動で負担軽減を」と強調。さとうしゅういちとれいわ新選組の「消費税廃止」「ガソリン税ゼロ」「奨学金チャラ・学費無償化」などを紹介。また、食料安全保障のため、農業だけでなく漁業や酪農など食料生産者にコストの補償を、と訴えました。

維新などによる原発復活論に対しては、「ウクライナ戦争で原発が最大の安全保障上のリスクであることがあきらかになった。原発は廃止を。そして、クリーンで地域分散型のエネルギーを促進すべきだ。大きな発電所でつくって、遠くへくばる、という考え方から転換することが大事。そのためのグリーンニューディールにガツンと財政出動する。」と反論しました。

さらに、国家公務員一般職員の給料カット法案については、「公務員給料カットは、結果として民間労働者の給料を下げてしまう。総理の公約の労働者の給料アップも遠のいてしまう。むしろ民間労働者のコロナによる減収を補填した上で、女性が多い非正規公務員の正規化、介護や保育の労働者の給料10万アップをして暮らしを守るべきだ。格差是正は低いほうを上げることで実現を」などと訴えました。

余りにも熱をいれすぎて、広電の横川駅の駅員の方から、「演説と放送が重なると放送がきこえにくいので」とご注意をいただき、後半は場所をすこしずらしました。

◆古市橋駅前で演説、収賄で略式起訴された市議の支持者に遭遇

筆者は、このあと、可部線に乗車。重松が8月6日夕方にたどりついた古市橋駅前に到着し、上記と同様の内容の演説を行いました。

その後、駅近くの床屋で散髪をしていただきました。丁度、先客の女性が、河井事件で検察審査会が「起訴相当議決」をしたことを受けて辞職した議員の熱心な支持者の方でした。議員にがっかりした、とおっしゃっていました。

「わたしは、中途半端に辞職した人よりは、徹底抗戦する議員の方がスジは通っているとおもいますよ。自分でアウトだと思うならすぐに辞職するべき。無罪と思うなら最後まで裁判で闘うべきとおもいます。」と申し上げると、「まったくそのとおりだと思う」と同意をいただきました。

このあと、筆者は、妻と犬の昼食を買って一時、東区の自宅に帰宅しました。午前中の動画のUPをしていると、14時46分。PCの前で黙祷を捧げました。

 

◆元同僚に公務員給料カット反対と引き換え?に介護や保育の労働者の給料UPを訴える

夕方は17時前から元職場の広島県庁前で街頭演説。元同僚に向けて、さとうしゅういちとれいわ新選組が「国家公務員一般職員の給料カットに反対」であり「現場公務員をふやす」政策であることを紹介。一方で、介護や保育の労働者の給料大幅アップなどの政策へのご協力を、元同僚である県庁労働者に向けて訴えました。

中国電力前に「単独」で乗り込み「さとうしゅういちとれいわ新選組への支持を安心して検討してほしい」

県庁前のあと、NHK前、そして中国電力前でも街頭演説を実施しました。

中国電力は、島根原発2号機再稼働、3号機新規稼働を強行しようとしています。また上関原発の新設もあきらめていません。中国電力前では、退勤中の中国電力労働者の皆様に対して「今回の戦争で原発が最大の安全保障上のリスクであることがあきらかになった。また、原発になにかあれば御社は吹っ飛ぶ。それよりは、原発は廃止をしたほうがいい。さとうしゅういちとれいわ新選組は、原発をなくすいっぽうで、原発関連の部署ではたらくみなさまには、原発廃止を担当する公務員のポストをご用意する。安心してさとうしゅういちとれいわ新選組へのご支持をご検討いただきたい。」とお願いしました。

 

なぜ、中国電力前に単独で乗り込んだか? この日はそのあと、18時から原爆ドーム前で「つながろうフクシマさよなら原発ヒロシマ集会」がありました。しかし、コロナ対策で、例年はあった中国電力前までのデモが中止されていたのです。少数でも、中国電力の労働者に向けて訴えない311、それも原発が最大の安全保障上の脅威となったいま、中国電力前で訴えないわけにはいかない。そう考えて、のりこんだのです。なぜか、年配の女性労働者(ひょっとしたら幹部かもしれない)が最後までじっときいておられました。

なお、写真撮影には男性が自転車で筆者の後を追ってご協力をいただきました。ですから、「単独」という表現は実は不正確です。お礼申し上げます。

◆原爆ドーム前で「つながろうフクシマさよなら原発ヒロシマ集会」そして反戦スタンディング

原爆ドーム前では、「つながろうフクシマさよなら原発ヒロシマ集会」がありました。

幅広い市民団体が参加しました。今年は、ロシアのウクライナ侵攻に抗議するメッセージも出されました。福島からは毎年参加をいただいていますが、コロナ災害発生後は、メッセージの代読になっています。そして、島根原発の地元からの報告をいただきました。報告によれば、もはや、島根原発再稼働を松江市長もあっさり受け入れ、住民投票条例案も否決される危機的な状況です。伊方原発は再稼働されてしまいましたが、島根原発も再稼働されれば、広島はそれこそ、南北から原発の脅威で挟み撃ちになる恰好です。ただ、やはり、デモがないのは寂しいかぎりでした。


◎[参考動画]動画 3・11「つながろうフクシマ さよなら原発ヒロシマ大集会」

一方、同時進行で、れいわ新選組の「改憲阻止チーム」が呼びかけて、最初は平和公園噴水前、そして、「ヒロシマ集会」終了後は、原爆ドーム前へ移動してロシアのウクライナ侵攻に抗議するスタンディングが行われました。

ビートルズの「Give Peace a Chance(平和を我等に)」をうたいながら、反戦をアピールしました。
https://twitter.com/reiwakaikensosi/status/1502240723671736322

若いれいわ新選組支持者の発案で、しゃべるのが苦手な人も参加しやすい運動をという趣旨で数日おきにされています。

◆毎週金曜日はオンライン「定例記者会見」

筆者は毎週金曜日、オンラインで定例記者会見を実施しています。この日は3・11とウクライナ戦争、また、国家公務員一般職員の給料カット法案についてわたしから問題提起をし、参加者で自由にご発言をいただきました。もし、ご興味があればご参加ください。どなたでもご参加できます。入退室自由です。記者会見には、以下からどなたでもご参加いただけます。入退室ご自由です。

さとうしゅういち 定例記者会見
開催日時 毎週金曜日 20時~
Zoomミーティングに参加する
https://us04web.zoom.us/j/4117183285?pwd=bFhrcTlWOUpPRmZhUGFkTVpTZlV4Zz09
ミーティングID: 411 718 3285
パスコード: 5N6b38

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

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