『季節』2025春号をお届けするにあたって

『季節』2025春号がようやく出来上がってまいりましたのでお届けいたします。本日21日書店発売です。

◆『季節』2025春号の発行が10日遅れましたことをお詫びいたします。

本来3月11日発行の『季節』2025春号ですが、10日遅れ3月21日発行(17日発送)となりました。申し訳ございません。例年3・11当日の発行で、今年もそのつもりだったのですが……。これは財政的な問題とは直接関係はございません。編集作業が遅れ、遅れ自体は2、3日のことでしたが、今年の2月は2日少なく、また年度末で印刷・製本の予定ラインから一端外れたことで歯車が狂い10日遅れの発行となりました。とはいえ、工程管理が緩かったのは事実で弁解の余地もございません。何卒ご容赦お願いいたします。

◆「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」に総結集し、また圧倒的なご支援をお願いいたします!

コロナ禍で当社は、それまで左団扇(うちわ)状態から一気に奈落の底に落とされました。コロナ前には(会社と個人合わせ)常に数千万円ほどの蓄えがあり、「エンジェル」になって、資金難に喘ぐいくつものグループにカンパしたり、ライターさんらには前払い、先払いしたり、3・11直後にはポンと日本赤十字社に100万円寄付したり、さらにはМ舎というミニコミ書店には50万円も資料代名目で本をまとめ買いしたり、沖縄にルーツを持つ高校の同級生(故人)がライフワークとして始めた島唄野外ライブ「琉球の風」に数年にわたり出資したり……。それは、松岡が「名誉毀損」容疑で逮捕された際に、多くの方々に助けられたことの恩返しという意味もあってのことでした。

しかし、あれだけあった蓄えも、コロナ以降しばらくしてなくなりました。一時は回復したこともありましたが、再び落ち込み現在苦境にあることを隠しません。出版界のみならず全産業の中小零細企業がそうなので、当社も例外ではありませんが、50数年続いてきた鹿砦社の歴史、なかんずく『紙爆』20年、『季節』10年の歴史を守り抜き後進につないでいかねばなりません。

このかん私たちは、4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」を開催することになり、総力で準備に努めています。

4・5の集いを、単なる記念日にするのではなく、逆に低迷打破→反転攻勢の絶好の機会にしたいと考えています。俗に言えば「ピンチをチャンスに変える!」ということです。特に今回は定期購読者、会員、社債引受人、寄稿者などご支援の皆様方に多くご参加いただき直に強く叱咤激励いただきたく望みます。

本号の発行が遅れ直前のお知らせになりますが、一人でも多くの皆様方のご参加を望みます。ご参加を希望の方は今すぐお申し込みください。また、賛同金、ご祝儀、カンパなどもどしどしお寄せください!

鹿砦社はこれまで、栄華を極めたり、逆に地獄を見るほど落ち込んだり、浮沈の激しい歴史を繰り返してきましたが、私たちは必ず復活します! 『季節』も必ず持続します! 今後も圧倒的なご支援を!

2025年3月 
株式会社鹿砦社代表 松岡利康
『季節』編集長   小島 卓

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2025年春号(NO NUKES voice 改題 通巻42号)
紙の爆弾 2025年4月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ)
定価770円(税込み) 2025年3月21日発売

《特集》原発被曝を問い直す 福島十四年後の実相

[グラビア]原発事故の後始末 汚染土2兆2000億円の現場(写真・文=山川剛史

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]福島原発事故被害者の被曝と原子力ギャング

今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
[講演]飯舘村の放射能汚染のこれまでとこれから

山川剛史(東京新聞編集委員)
[報告]迫る汚染土の再利用 解決の道はあるのか

伊藤延由(飯舘村 元「いいたてふぁーむ」管理人)
[報告]「被ばくの実態」調査から原発事故の実像を測る

尾﨑美代子(本誌編集委員/西成「集い処はな」店主)
[報告]自宅の放射線測定記録に疑惑あり
いのちにかかわるデータは捏造されたのか?

子ども脱被ばく裁判の会
[報告]呆れ果てても、諦めない! 子ども脱被ばく裁判で明らかになったこと
 片岡輝美(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
十年間の闘いを経て
 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
裁判によって知らない事実が明らかになった
 井戸謙一(「子ども脱被ばく裁判の会」弁護団共同代表)
この裁判が生み出したいくつかの成果
 樋口英明(元福井地裁裁判長)
真実はこれを求める人にのみ与えられる

和田央子(放射能拡散に反対する会)
[報告]原子力マフィアが主導する福島汚染土再生利用

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]《検証》もしも柏崎刈羽原発が攻撃されたら……

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]英国の核燃料サイクル政策の大転換

山崎隆敏(元越前市議会議員)
[報告]万博と原子力 「いのち輝く未来」と「核ゴミ・被曝労働」の矛盾撞着

《第2弾》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」
日野正美(女川原発再稼働差止訴訟原告団事務局長)
[報告]女川原発の避難計画は不備だらけ! 住民無視の運転を中止せよ!
土光 均(米子市議会議員)
[報告]県庁所在地に立地する島根原発で大災害が起きた時
松江市民に逃げ場所はあるか?

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発避難者にとっての14年 その絶望と希望

原田弘三(翻訳家)[報告]「脱炭素」の本質

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]NUKE WARS――原子力帝国の逆襲
    原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]再び 三島由紀夫生誕百年に想う

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈26〉最終回 絶望の時代《今》を生きる意味〈下〉
平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈3〉

再稼働阻止全国ネットワーク
 東電に原発うごかす資格なし すべての原発の再稼働阻止
 フクシマは終わっていない

《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち)
「本当のフクシマを知ってください」 西日本スピーキングツアー
《福島》橋本あき(福島県郡山在住)
 東電福島原発事故の残響は続く
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
【ネット署名】深刻な原発事故を起こした東京電力による
 柏崎刈羽原発の再稼動を許すなの声を結集しよう
《北海道》瀬尾英幸(泊原発立地四町村住民連絡協議会)
 泊原発は必ず止める
《静岡》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
「基準津波25.2メートル」に対応するために、またまた防波壁かさあげ!
《福井》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 関西電力(関電)に、約束を履行させ、全ての老朽原発を廃炉に!
《東海第二》横田朔子(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
 日本原電も東海第二原発も崖っぷち!~東海第二原発の中央制御室で火災発生~
《東海第二》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 防潮堤の修復案を示せない原電は、廃炉事業に専念するよう求めます
《書評》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
 小田実の『被災の思想 難死の思想』── 本の〈発掘〉①

[反原発川柳]乱鬼龍

使用済み核燃料の行き場はありません! 関電は、またも詭弁、奇策で誤魔化そうとしています! 関電に約束を履行させ、老朽原発を廃炉に! 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)

◆原発を運転すれば、危険で、行き場のない使用済み核燃料が発生します

燃料プールは、原発より地震に脆弱で、新しい使用済み核燃料を保管する燃料プールが崩壊すれば大惨事に至ります

原発を運転すると、核燃料中に、運転に不都合な各種の核分裂生成物(死の灰)、マイナーアクチニド(プルトニウムより重い元素)などが生成し、原発の制御が困難になります。一方、燃料被覆管に腐食や変形が生じます。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間(3~5年)燃焼させると、新燃料と交換せざるを得なくなり、使用済み核燃料が発生します。

使用済み核燃料は、発生直後には膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールに水冷保管して、放射線と発熱の減少を待たなければなりません。

そのプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した(例えば、10年以上水冷保管した後の)使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。

出来た空間には、高放射線量、高発熱量の新しい使用済み核燃料を入れますが、その燃料プールが、地震などで崩壊すれば、大惨事に至ります。なお、燃料プールは、原発本体とは比較にならないほど脆弱で、「むき出しの原子炉」とも呼ばれています。

電力会社は、使用済み核燃料の搬出先として、再処理工場(青森県)の稼働を願望していましたが、去る8月23日、日本原燃は27回目の再処理工場の完成延期を発表しました。乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場はありません。

使用済み核燃料の発生源・原発を全廃しましょう!

◆使用済み核燃料に関して約束反古を繰り返す関電

関電は1997年に「使用済み核燃料は福井県外に搬出する」と、当時の福井県知事に約束しました。核燃料再処理工場が稼働すれば、青森県に搬出できると楽観しての約束でした。しかし、1997年に予定されていた再処理工場の稼働は、延期を重ね、未だに稼働の見込みはありません。そのため、関電も、「福井県外搬出」の約束を繰り返し反古にしています。

関電は2021年にも、福井県知事に「使用済み核燃料の中間貯蔵地を2023年末までに福井県外に探す。探せなければ老朽原発を停止する」と約束しましたが、未だに候補地を見出すことはできていません。老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働への福井県知事の承認を得るための空約束でした。

関電は、約束期限が迫った2023年6月、保管する使用済み核燃料のわずか5%程度をフランスに持ち出す計画を示し、「県外搬出という意味で、中間貯蔵と同等」としました。また、8月、唐突に上関町に中間貯蔵地建設のための調査を申し入れ、約束不履行を取り繕おうとしました。

さらに、10月には、再処理工場の活用、中間貯蔵施設確保を盛り込み、いかにも近々使用済み核燃料の福井県外搬出が可能であるかのように見せかけた「使用済み核燃料に関するロードマップ」を発表しました。老朽原発の運転を継続するための詭弁で、実現性が全くない「絵に描いた餅」です。

◆関電、使用済み核燃料の原発敷地内での乾式貯蔵に布石

ロードマップで、関電は「使用済み核燃料搬出の円滑化のために原発構内に乾式貯蔵施設の設置を検討する」とし、福井県内での乾式貯蔵に向けての布石を打ちました。関電の燃料プールはもうすぐ満杯になり、原発を停止せざるを得なくなるため、プールに空きを作ろうとする策略です。

乾式貯蔵を許せば、永久貯蔵になりかねません。

◆再処理工場の27回目の完成延期で、ロードマップは破綻

関電がロードマップで示した願望は、昨年8月、日本原燃が27回目の再処理工場の完成延期(約2年半)を表明したことによって破綻しました。

それでも、関電は開き直って、「ロードマップを本年度末までに見直す。実効性のある見直しができなければ、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」としました。しかし、その場しのぎの空約束と約束反古を繰り返してきた関電の言動は、信用できるものではありません。

今回も、「使用済み核燃料のフランスへの搬出量を倍増させる(合計:ウラン使用済み燃料380トン、MOX使用済み燃料20トン)」などの小手先の奇策、稼働延期を繰り返し稼働の見込みが極めて薄い再処理工場(青森県)への2028年度からの搬出(198トン)などの詭弁を弄して、誤魔化そうとしています。許してなりません。

なお、関電の3原発の使用済み燃料プールには、全容量4450トンのうち87%に当たる3850トンが保管されています(2024年12月)。したがって、フランスや青森県への搬出が、関電の思惑通りに進んだとしても、搬出量は、全使用済み核燃料のごく一部に過ぎません(15%程度)。

また、関電の使用済み核燃料の多くは高燃焼度燃料であり、MOX燃料も増え続けていますが、これらの核燃料の再処理は極めて困難です(硝酸での溶解が困難な白金族などの成分が多く含まれ、発熱量も大きい)。

以上を勘案すると、今回の関電の奇策、詭弁は、約束履行に見せかけて、老朽原発の運転継続を狙うだけでなく、近々満杯になる使用済み核燃料プールに空きを作って、全ての原発の運転継続を可能にするための謀略であると言えます。

使用済み核燃料の行き場はありません。関電に約束通り老朽原発の停止を実行させ、使用済み核燃料の発生源・原発の全廃への突破口としましょう!

◆福井県議会議長に、陳情書を提出しました!

「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、関電の使用済み核燃料搬出問題が議事となる福井県議会(2月17日開会)での慎重かつ公正な審議を求めて、県議会議長に、2月12日、下記の陳情書を提出しました。同様な陳述書は、「オール福井反原発連絡会」からも提出されました。

陳情書
福井県議会議長
宮本俊様

老朽原発うごかすな!実行委員会「使用済み核燃料の県外搬出に関するロードマップ」の実効性のある見直しができない関西電力(関電)に、危険極まりない老朽原発の廃炉を実行するよう求めて下さい

県議会議長、県議会議員の皆様には、弛まぬ福井県政へのご尽力に、敬意を表します。

さて、関電は、一昨年10月10日、使用済み核燃料の福井県外搬出に関するロードマップを発表し、杉本達治福井県知事は、わずか3日後にこれを容認しています。関電は、このロードマップの中に、青森県の核燃料再処理工場の活用、中間貯蔵施設の確保を盛り込み、いかにも近々使用済み核燃料の福井県外搬出が可能であるかのように見せかけています。

しかし、このロードマップは、日本原燃が、昨年8月23日、「核燃料再処理工場の完成目標を2026年度内に変更する」と、27回目の完成延期(約2年半)を表明したことによって破綻しました。

それでも、関電の森望社長は開き直って、9月5日、杉本福井県知事と面談し、使用済み核燃料の県外搬出に向けた「ロードマップ」を、「本年度末までに見直す。実効性のある見直しができない場合、高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」と述べています。

しかし、現在までに、「使用済み核燃料の行き場」に関して、その場しのぎの空約束と約束反古を繰り返してきた関電の言動は、信用できるものではありません。今回も「使用済み核燃料のフランスへの搬出を若干上乗せする」などの小手先の奇策で誤魔化すと危惧されます。

なお、再処理工場の稼働は極めて困難であること、例え稼働したとしても過酷事故の確率が高いことは、多くが指摘するところです。また、関電は、再処理できない高燃焼度の使用済み核燃料および使用済みMOX燃料も抱えています(これらは、今後増大します)。

したがって、使用済み核燃料の行き場はなく、福井県内に永久あるいは長期保管される可能性は大と言わざるを得ません。関電は、約束通り老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の廃炉を実行し、使用済み核燃料の発生源・原発の全廃に向かうべきです。

このような状況に鑑み、福井県議会に以下を陳情いたします。

陳情項目

[1]関電に、「本年度末までに、ロードマップの実効性のある見直しができない場合、高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」との約束を即時履行させてください。このとき、「実効性のある見直し」とは、「関電の保有する、あるいは今後発生させる使用済み核燃料の全ての県外搬出が見通せるもの」であることです。

[2]関電は、「使用済み核燃料の搬出の円滑化」を口実に「乾式貯蔵施設」を建設しようとしています。しかし、今までの搬出の実績からして、「乾式貯蔵施設」はなくても、使用済み核燃料は搬出できます。「乾式貯蔵施設」の建設は、永久あるいは長期福井県内貯蔵への道を開くことになりかねません。「乾式貯蔵施設」の建設を認めないでください。

[3]高浜原発1号機は運転開始後すでに50年を超え、高浜2号機、美浜3号機も、もうすぐ50年超えの「超老朽原発」です。老朽原発では、圧力容器の脆化、配管の腐食、減肉、電源ケーブルの劣化が進んでいます。また、老朽原発には、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物の中で交換不可能なもの(圧力容器など)があります。関電に、危険極まりない「超老朽原発」の即時廃炉を求めて下さい。

[4]私たち「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、福井県内だけでなく、関西、中部など全国の会員で成り立っています。そこで、福井県外の住民の立場から、福井県議会に以下をお願いいたします。

原発および使用済み核燃料保管施設が過酷事故を起こせば、その被害は、福井県内だけでなく、広く関西、中部などにおよぶことは、福島原発事故の教訓から容易に推測されます。例えば、京都府や滋賀県の大部分は若狭の原発から70km以内にあり、高浜原発、大飯原発は福井県庁のある福井市より近距離にあるのみならず、特に冬場は、若狭の風下になります。

したがって、福井県議会や福井県知事の決断は、福井県外の多くの住民の命と生活に関わります。福井県議会は、周辺府県の住民の「原発のない、自然エネルギーのみで成り立つ社会」を求める声にも十分に耳をお貸し下さい。

2025年2月12日記

◆お願い

「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、若狭での「脱原発・反原発」の声の拡大を目指して、また、「関電の約束違反を糾弾し、老朽原発の廃炉」を求めて、以下の行動と集会を企画しています。ご支援、ご参加をお願いします。

■3.22(土)~23(日)
若狭一斉チラシ配り(愛称:拡大アメーバデモ)

「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、長期にわたって若狭や周辺地域で、チラシの各戸配布(愛称「アメーバデモ」)を繰り返し、住民との対話を重ねてきました。その中で、多くの住民が「原発は無い方がよい」と考え、圧倒的多数が「老朽原発稼働反対」であることを知りました。

昨年の能登半島地震以降は、原発推進の声はほぼ皆無です。能登半島地震によって、原発は地震に脆弱で、地震と原発過酷事故が重なれば、避難も、屋内退避も困難を極めることを実感されたのでしょう。

3月22、23日、あなたも参加してみませんか?
関西、福井などから配車の予定です。

■3.31(月)
使用済み核燃料の行き場はないぞ
関電は約束守れ!美浜集会
とき:3月31日(月)13時より
ところ:関電原子力事業本部前(JR美浜駅より徒歩3分)
集会後町内デモを行います
関電の「使用済み核燃料搬出先に関する実効性のあるロードマップ」の提出期限である3月31日、関電原子力事業本部前(美浜町)で、関電の約束違反を糾弾し、老朽原発停止の実行を求めます。

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2025年春号(NO NUKES voice 改題 通巻42号)
紙の爆弾 2025年4月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ)
定価770円(税込み) 2025年3月21日発売
 
《特集》原発被曝を問い直す 福島十四年後の実相
 

[グラビア]原発事故の後始末 汚染土2兆2000億円の現場(写真・文=山川剛史

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]福島原発事故被害者の被曝と原子力ギャング

今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
[講演]飯舘村の放射能汚染のこれまでとこれから

山川剛史(東京新聞編集委員)
[報告]迫る汚染土の再利用 解決の道はあるのか

伊藤延由(飯舘村 元「いいたてふぁーむ」管理人)
[報告]「被ばくの実態」調査から原発事故の実像を測る

尾﨑美代子(本誌編集委員/西成「集い処はな」店主)
[報告]自宅の放射線測定記録に疑惑あり
いのちにかかわるデータは捏造されたのか?

子ども脱被ばく裁判の会
[報告]呆れ果てても、諦めない! 子ども脱被ばく裁判で明らかになったこと

片岡輝美(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
十年間の闘いを経て
水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
裁判によって知らない事実が明らかになった
井戸謙一(「子ども脱被ばく裁判の会」弁護団共同代表)
この裁判が生み出したいくつかの成果
樋口英明(元福井地裁裁判長)
真実はこれを求める人にのみ与えられる

和田央子(放射能拡散に反対する会)
[報告]原子力マフィアが主導する福島汚染土再生利用

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]《検証》もしも柏崎刈羽原発が攻撃されたら……

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]英国の核燃料サイクル政策の大転換

山崎隆敏(元越前市議会議員)
[報告]万博と原子力 「いのち輝く未来」と「核ゴミ・被曝労働」の矛盾撞着

《第2弾》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」

日野正美(女川原発再稼働差止訴訟原告団事務局長)
[報告]女川原発の避難計画は不備だらけ! 住民無視の運転を中止せよ!

土光 均(米子市議会議員)
[報告]県庁所在地に立地する島根原発で大災害が起きた時
松江市民に逃げ場所はあるか?

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発避難者にとっての14年 その絶望と希望

原田弘三(翻訳家)[報告]「脱炭素」の本質

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]NUKE WARS――原子力帝国の逆襲
    原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]再び 三島由紀夫生誕百年に想う

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈26〉最終回 絶望の時代《今》を生きる意味〈下〉

平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈3〉

再稼働阻止全国ネットワーク
 東電に原発うごかす資格なし すべての原発の再稼働阻止
 フクシマは終わっていない

《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち)
「本当のフクシマを知ってください」 西日本スピーキングツアー
《福島》橋本あき(福島県郡山在住)
 東電福島原発事故の残響は続く
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
【ネット署名】深刻な原発事故を起こした東京電力による
 柏崎刈羽原発の再稼動を許すなの声を結集しよう
《北海道》瀬尾英幸(泊原発立地四町村住民連絡協議会)
 泊原発は必ず止める
《静岡》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
「基準津波25.2メートル」に対応するために、またまた防波壁かさあげ!
《福井》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 関西電力(関電)に、約束を履行させ、全ての老朽原発を廃炉に!
《東海第二》横田朔子(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
 日本原電も東海第二原発も崖っぷち!~東海第二原発の中央制御室で火災発生~
《東海第二》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 防潮堤の修復案を示せない原電は、廃炉事業に専念するよう求めます
《書評》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
 小田実の『被災の思想 難死の思想』── 本の〈発掘〉①

[反原発川柳]乱鬼龍

4月5日東京にて月刊『紙の爆弾』創刊20周年、反原発情報誌『季節』創刊10周年を記念し反転攻勢の集いを開催します! 鹿砦社代表 松岡利康 

新型コロナ襲来以来の低迷を打破し再び勢いを取り戻すべく、私たちは来る4月5日、月刊『紙の爆弾』創刊20周年、反原発情報誌『季節』創刊10周年を記念し反転攻勢の集いを開催することになりました。

これを単に記念日とするのではなく、低迷打破→反転攻勢の絶好の機会として皆様方と有意義な時間を過ごすべく準備に取り組んでいます。

どなたでも参加できますので、関東近辺在住でご関心のある方はぜひ、どしどし参加し、ちょっとくたびれた私たちを叱咤激励してやってください。

また、賛同金、カンパ、ご祝儀などをお寄せいただき圧倒的なご支援をお願いいたします!

苦しみの中から立ち上がれ! 闘争勝利!

(松岡利康)

『季節』2025年春号 〈3.11〉に想う── 季節編集委員会

今年も〈3.11〉がやって来ました。──

この頃になるいつも想うのですが、原発事故で狂わされた人の人生、生活、命です。

いまだにフクシマでは棄民政策がなされ、生まれ育った故郷に戻れない人たちも多いです。確かに法律上は戻れることになった町もあるでしょうが、人がほとんどいなくなった町で、どうやって生活していくのでしょうか。

筆者は50歳を過ぎてから、望郷の念が強くなり、中学、高校の同窓会活動に精を出し始めました。多くの同期生もそのようで、いったんは都会へ出ても、かなりの人数が帰郷しています。

フクシマでは、帰るに帰れない人たちが多いです。原発事故を起こした東電に対し、まさに「故郷を返せ!」と叫びたい方も多いでしょう。当時の東電の幹部はどう考え、どう責任を取ろうとしているのでしょうか。いつも素朴な疑問に苛まれます。みずからの意見も公にせず責任も取らず、彼らはひっそりと暮らしているかのように思われます。

昨年10月、当時の東電トップ、勝俣恒久が亡くなりました。一切の責任も取らずに、です。また勝俣死去をマスメディアはほとんど報じませんでした。彼が生前やってきたことの意味の問い直しぐらいやるべきだったのではないでしょうか。

今後、当時の東電の幹部が相次いで亡くなっていくでしょう。責任をどう取るのでしょうか。せめて気持ちだけでも家、屋敷を売って被災者へ寄付するぐらいはやるべきでしょう。被災者はみな人生、生活を狂わされ命を絶った方もいるわけですから──。

ところで本誌も昨年夏・秋合併号で創刊10周年を迎えることができました。本誌は月刊『紙の爆弾』の増刊号として季刊ペースで発行してまいりました。あとの5年は新型コロナとの闘いで苦戦しました。創刊10周年の集いも開く予定が諸事情で開けませんでした。4月5日に『紙の爆弾』20周年と共に、記念の集い(具体的には巻末参照)を開催することになりました。両誌とも、今後10年、20年と続かせようと願って。関東周辺にお住いの方はぜひご参加をお願いいたします。

■『季節』2025春号の発行が10日遅れます。

本来3月11日発行の『季節』2025春号ですが、10日遅れ3月21日発行(17日発送)となりました。申し訳ございません。例年3.11当日の発行で、今年もそのつもりだったのですが……。これは財政的な問題とは直接関係はございません。編集作業が遅れ、遅れ自体は2、3日のことでしたが、今年の2月は2日少なく、また年度末で印刷・製本の予定ラインから一端外れたことで歯車が狂い10日遅れの発行となりました。とはいえ、工程管理が緩かったのは事実で弁解の余地もございません。何卒ご容赦お願いいたします。

2025年3月 季節編集委員会

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2025年春号(NO NUKES voice 改題 通巻42号)
紙の爆弾 2025年4月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ)
定価770円(税込み) 2025年3月21日発売
 
《特集》原発被曝を問い直す 福島十四年後の実相

[グラビア]原発事故の後始末 汚染土2兆2000億円の現場(写真・文=山川剛史

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]福島原発事故被害者の被曝と原子力ギャング

今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
[講演]飯舘村の放射能汚染のこれまでとこれから

山川剛史(東京新聞編集委員)
[報告]迫る汚染土の再利用 解決の道はあるのか

伊藤延由(飯舘村 元「いいたてふぁーむ」管理人)
[報告]「被ばくの実態」調査から原発事故の実像を測る

尾﨑美代子(本誌編集委員/西成「集い処はな」店主)
[報告]自宅の放射線測定記録に疑惑あり
いのちにかかわるデータは捏造されたのか?

子ども脱被ばく裁判の会
[報告]呆れ果てても、諦めない! 子ども脱被ばく裁判で明らかになったこと

片岡輝美(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
十年間の闘いを経て
水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
裁判によって知らない事実が明らかになった
井戸謙一(「子ども脱被ばく裁判の会」弁護団共同代表)
この裁判が生み出したいくつかの成果
樋口英明(元福井地裁裁判長)
真実はこれを求める人にのみ与えられる

和田央子(放射能拡散に反対する会)
[報告]原子力マフィアが主導する福島汚染土再生利用

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]《検証》もしも柏崎刈羽原発が攻撃されたら……

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]英国の核燃料サイクル政策の大転換

山崎隆敏(元越前市議会議員)
[報告]万博と原子力 「いのち輝く未来」と「核ゴミ・被曝労働」の矛盾撞着

《第2弾》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」

日野正美(女川原発再稼働差止訴訟原告団事務局長)
[報告]女川原発の避難計画は不備だらけ! 住民無視の運転を中止せよ!

土光 均(米子市議会議員)
[報告]県庁所在地に立地する島根原発で大災害が起きた時
松江市民に逃げ場所はあるか?

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発避難者にとっての14年 その絶望と希望

原田弘三(翻訳家)[報告]「脱炭素」の本質

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]NUKE WARS――原子力帝国の逆襲
    原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]再び 三島由紀夫生誕百年に想う

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈26〉最終回 絶望の時代《今》を生きる意味〈下〉

平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈3〉

再稼働阻止全国ネットワーク
 東電に原発うごかす資格なし すべての原発の再稼働阻止
 フクシマは終わっていない

《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち)
「本当のフクシマを知ってください」 西日本スピーキングツアー
《福島》橋本あき(福島県郡山在住)
 東電福島原発事故の残響は続く
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
【ネット署名】深刻な原発事故を起こした東京電力による
 柏崎刈羽原発の再稼動を許すなの声を結集しよう
《北海道》瀬尾英幸(泊原発立地四町村住民連絡協議会)
 泊原発は必ず止める
《静岡》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
「基準津波25.2メートル」に対応するために、またまた防波壁かさあげ!
《福井》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 関西電力(関電)に、約束を履行させ、全ての老朽原発を廃炉に!
《東海第二》横田朔子(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
 日本原電も東海第二原発も崖っぷち!~東海第二原発の中央制御室で火災発生~
《東海第二》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 防潮堤の修復案を示せない原電は、廃炉事業に専念するよう求めます
《書評》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
 小田実の『被災の思想 難死の思想』── 本の〈発掘〉①

[反原発川柳]乱鬼龍

《緊急声明》今こそ「原発依存社会」への暴走を止める市民運動の大高揚を! 「第7次エネルギー基本計画」の閣議決定を受けて 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)

2月18日、石破自公内閣は、原発依存度を「可能な限り低減する」とした第6次までのエネルギー基本計画をかなぐり捨て、「原発最大限活用」を明記した「第7次エネルギー基本計画」を、国会審議をすることもなく、閣議決定しました。この基本計画では、既存原発の再稼働、40年超え運転を加速し、60年超え運転の拡大、原発建て替え、新設も画策しています。

東電福島原発事故の悲惨、能登半島地震の教訓をないものとして、「原発依存社会」を定常化しようとするものです。原発は、地震に脆弱で、地震に伴って、原発過酷事故が起これば、避難や屋内退避が困難であることは明かです。

原発は、何万年もの保管を要し、行き場もない使用済み核燃料の発生源でもあります。「第7次エネルギー基本計画」は、現在および未来の人々の命・尊厳・生活を蔑ろにするものです。

なお、自公政権は、原発活用の根拠として、①地球温暖化対策を挙げていますが、原子核に閉じ込められた膨大なエネルギーを解放する原発が温暖化抑制に有効であるはずがありません。また、原発は、建設過程から廃炉、使用済み燃料の処理処分過程まで、あらゆる過程で、二酸化炭素を発生させるのみならず、海水温度を上昇させ、海水中の二酸化炭素の放出も加速します。

一方、②AI活用のために必要な電力を供給するためとしていますが、AI機器の高性能化とも相まって、政府の宣伝するほど大量の電力は不必要との見解も多数です。世界には、自然エネルギーのみでAI電力を賄おうとする国が多数あります。自公政権の「原発ありき」の主張に正当性はありません。

一方、自公政権が、2023年5月末に数を頼んで成立させた「GX脱炭素電源法」の完全施行は、原発運転延長認可の基準の整備などが終了する本年6月6日とされています。完全施行されれば、原発運転期間を「原則40年、最長60年」とした規定を原子炉等規制法(環境省の外局組織「原子力規制委員会(規制委)」の所管)から電気事業法(経産省・資源エネルギー庁の所管)に移し、運転延長を原発推進の経産相が認可するようになります。

また、規制委による再稼働審査の期間や裁判所による仮処分命令での原発停止期間などを「原発運転期間」から除外・上乗せすることで、原発の60年超え運転を可能にしています。「第7次エネルギー基本計画」は、「GX脱炭素電源法」の実態化のための計画と言えます。

◆原発政策で、変貌し続ける自公政権

石破首相は、首相就任以来、原発政策を次々に変節させています。昨年8月の総裁選出馬時には、「原発をゼロに近づけていく」と表明しながら、首相になって以来、岸田政権のエネルギー政策をほぼ踏襲して「原発依存社会」に向かっています。
経団連や経済同友会の主張に迎合・屈服しようとしています。人の命や生活の犠牲の上に、電力会社、原発産業、ゼネコンなどの大企業に税金と電力料金を垂れ流すための政策です。

変節は、石破首相だけではありません。自民党の総裁候補者の内、つい最近まで、原発に関しては慎重派であった河野太郎(元デジタル相)、小泉進次郎(元環境相)の両氏も総裁選では、この主張を取り下げています。

野党の中にも、原発容認、原発推進を掲げる政党もあります。とくに、労使協調路線の電力総連を支持母体とし、議席を増やして政権の行方にキャスティングボートを握る国民民主党は、原発推進を先導すると懸念されます。また、「原発(とくに核融合)推進」を掲げる日本維新の会は議席を減らしたものの、それでも政権の行方の狭間にあり、与野党いづれもが、これに擦り寄ると思われます。

立憲民主党の代表選も昨年9月に行われましたが、4候補者の中に、真っ向から積極的に脱原発を主張する候補はゼロでした。何れもが「避難計画ができていないから原発に賛成できない」程度の姿勢でした。「原発は、避難計画を必要とするほど危険な装置」とは思わないのか?と言いたくなります。

このように、自民党、立民党の変貌は目に余りますが、彼らがいかに変貌し、何を願望しようとも、選挙の都合、政治的思惑あるいは経済的利益で、原発の老朽化を防ぐ技術、安全性を高める技術、使用済み核燃料の処理・処分技術が急に向上することはありません。彼らが変貌すればするほど、原発過酷事故の確率は拡大します。

◆失敗のエネルギー政策の結末が「原発依存社会」への暴走

そもそも、政府や電力会社の「原発依存社会」への暴走は、脱原発の流れに乗り遅れた失敗を取り繕うためです。もし、福島原発事故以降の政権や電力会社が事故の教訓を生かして、原発ときっぱり決別し、自然エネルギーに切り替える政策をとっていたなら、今頃、化石燃料や核エネルギーに依存することなく、電気を供給し、世界の自然エネルギーへの切り替えの流れをリードできていたでしょう。彼らは、エネルギー政策で失敗したのです。自らの失敗を反省せず、更なる原発推進へと暴走する政府と電力会社を厳しく糾弾し、自然エネルギーへの政策転換を求めましょう!

◆自然エネルギーに全面切り替えを!

今、世界は、紆余曲折を経ながらも、原発縮小、自然エネルギーへと向かっています。自然エネルギーのみを利用すれば、①燃料費はほぼゼロですから、コストは原発に比べて圧倒的に安いのは当然です。②地球環境の保全にも有効で、炭酸ガスを増やすこともありません。③大地震が発生しても過酷事故に至りません。また、④自然エネルギーは国際情勢の影響を受けない自前のエネルギーで、エネルギーの自立が可能です。

もとを正せば、人類のエネルギーに対する欲望のために、原子核に閉じ込められた膨大なエネルギーを解放しようとするから、原発過酷事故が起こり、危険極まりない使用済み核燃料が発生するのです。また、地球が数億年かけて地中に蓄えた化石燃料を100年程度で枯渇する勢いで使うから、炭酸ガスが増えるのです。

現在の焦眉の課題・気候問題は、太陽から現在届いている自然エネルギーのみを利用し、原子核や化石燃料に閉じ込められたエネルギーを解放しない社会の実現を求めています。

◆「第7次エネルギー基本計画」の実行を阻止し、「GX脱炭素電源法」を撤廃させましょう!

目に見え、耳に聞こえる市民の行動の高揚によって、混沌化、流動化しながら反動に進む流れを逆流させ、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を展望しましょう!

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号)
紙の爆弾 2025年1月号増刊
A5判 132ページ 定価770円(税込み)

COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意〈4〉気候危機論」と原発の親和性 原田弘三(翻訳者)

◆「気候危機論」と原発の親和性

米国上院で証言を行ったハンセンは実は熱心な原発推進論者である(ハンセン著『地球温暖化との闘いすべては未来の子どもたちのために』日経BP、2012年参照)。

また、「気候危機論」を世界に広めた米国、フランス、イギリスのいずれもが原発推進に強い動機を持つ国である(この三国はCOP28での原発3倍化宣言国とも重なる)ことが物語っているように、「気候危機論」はその起源からして原発推進と強い親和性がある。先に触れたようにIPCCも従前から報告書の中で「原発はCO2を出さないため気候変動対策に有効」との見解を示してきた。それが今回COP28での「気候変動対策のために原発を推進しよう」という世界的合意として結実したのである。

「気候危機論」発祥の歴史的経緯は、「温暖化が地球環境の危機を招く」というハンセン証言以後の「気候危機論」が、1980年代以降の世界経済情勢に対応するために「人為的」に作り出されたイデオロギーであることを示唆している。そのイデオロギーの主要な意図はCO2という金融商品の活用と原発推進にある(本誌2023年夏号「『気候危機』論に関する1考察」、2023年冬号「『気候危機』論の起源を検証する」参照)。

◆「気候変動」対策を騙った原発推進を許すな

COP28が明確な「お墨付き」を与えたことにより、「気候変動」対策を謳った原発推進の動きが今後ますます強まることは間違いない。今年はエネルギー基本計画改定の年である。その中で、経済産業省は今回のCOP28合意を原発推進の口実として最大限活用するであろう。

パリ協定前文には「気候正義」という理念が掲げられている。これは、気候変動の影響や、負担、利益を公平・公正に共有し、弱者の権利を保護するという人権的な視点である。気候変動は人為的に引き起こされた国際的な人権問題であり、この不公正な事態を正して地球温暖化を防止しなければならないとする。つまり「気候変動」への対策は現代世界の不公正を正す活動であり、社会正義の実現だというのだ。

しかし、COP28合意文書はこともあろうに「気候変動対策のために原発を推進しよう」と世界に宣言したのである。究極の環境破壊である原発の推進が社会正義であろうはずがない。地球は温暖化しているのかもしれない。その温暖化にCO2の人為排出が影響しているのかもしれない。

仮にそれが事実であったとしても、温暖化防止のために原発を推進するなどということは救いようがないほど愚かな選択である。COPがそのような愚行を先導しているという現実を直視する必要がある。今回のCOP28の決定は、COPによって推進されている気候変動対策なるものの本質が、旗印に掲げている地球環境保護とは別の所にあることを物語っている。

COPの原発推進論を是認すべき道理などどこにもありはしない。私たち市民は、COP28合意文書は社会正義に反する「誤り」だと正面から批判すべきである。そして私は、福島原発事故という未曾有の核惨事を経験した国の1市民として、人類社会の持続可能性のためには脱原発こそが最優先である、と世界に向けて胸を張って主張したいと思う。

◎原田弘三 COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意
1〉「原発3倍化宣言」という暴挙
2〉「グローバル・ストックテイク」という文書に求められた役割
3〉「気候変動」3つの概念
4〉気候危機論」と原発の親和性

◎本稿は『季節』2024年夏秋合併号掲載(2024年8月5日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼原田弘三(はらだ こうぞう)
翻訳者。学生時代から環境問題に関心を持ち、環境・人権についての市民運動に参加し活動している。

【緊急のお知らせ!】4月5日、『紙の爆弾』創刊20周年、『季節』創刊10周年の集い開催! 鹿砦社反転攻勢への橋頭堡に! 圧倒的なご賛同をお願い申し上げ、共に祝いましょう! 鹿砦社代表取締役社長 中川志大 同会長 松岡利康

『紙の爆弾』『季節』をはじめとする鹿砦社の出版活動を支持されるすべての皆様!

まずは、去る1月6日、1996年以来30年近くに渡り鹿砦社の裁判闘争を支えてくださった内藤隆弁護士が急逝されました。内藤先生は、大学院生リンチ事件関連訴訟をご担当いただいており係争中でした。さらに、一昨年(2023年)7月31日には、こちらも1995年以来30年近く、主に関西での裁判闘争を支えてくださった中道武美弁護士が亡くなられました。中道先生は、『紙の爆弾』創刊直後になされた、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧刑事事件の主任弁護人を務めていただきました。内藤先生には、この民事訴訟の代理人をも務めていただきました。鹿砦社の出版活動を背後から支えていただいたお二人の弁護士を亡くし、私たちは深い悲しみにあります。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。しかし、私たちは両先生のご遺志にお応えするためにも、いつまでも悲しみにふけってばかりもおれません。

さて、2005年に創刊された月刊『紙の爆弾』は、来る4月7日発売号にて創刊20周年を迎えんとしています。また、『紙の爆弾』の姉妹誌ともいうべき反原発情報誌『季節』(季刊)は、逸早く昨年8月5日発売号にて創刊10周年を迎えました。

かの『噂の眞相』休刊後しばらく、いわば“噂眞ロス”が続き、多方面からの強い要請で月刊『紙の爆弾』は創刊されました。創刊に至るまでに、取得が超困難といわれる雑誌コードを取得しなければなりませんでしたが、中川が足繁く取次会社に通い交渉を重ね、奇跡的にも取得できました。この面では『噂の眞相』休刊も吉に働いたようです。 

『噂の眞相』は創刊直後、「皇室ポルノ事件」によって廃刊の危機に瀕しましたが、これを乗り越え、さらには「名誉毀損」刑事事件(在宅起訴。のちに岡留氏に懲役8月、執行猶予2年。デスクに懲役6月、執行猶予2年の有罪判決)など幾多の傷を負いながらも持続し、休刊時には発行部数が10万部を超えるまでになったと聞きました。松岡が、編集長兼発行人だった岡留安則氏(故人)から生前直接聞いたりしたところによれば10年間は赤字だったとのことで、そうした幾多の修羅場を乗り越え発展・継続したそうです。(このあたりのことは松岡と岡留氏との対談集『闘論 スキャンダリズムの眞相』〔鹿砦社刊〕をご参照ください。残り僅か)

『紙の爆弾』も、創刊直後(2005年7月12日)、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧により松岡逮捕→192日間の長期勾留→有罪判決(懲役1年2月、執行猶予4年)、巨額賠償金(一審300万円→控訴審600万円に倍増し最高裁で確定)を食らい鹿砦社は、松岡勾留中に事務所も撤去、壊滅的打撃を受けました。同じ「名誉毀損」事件ですが、岡留氏が在宅起訴、松岡が逮捕―長期勾留(身柄拘束)と、量刑も含め鹿砦社事件がいかに重大だったかが判るでしょう。

メディア・出版界、あるいは周囲のほとんどは、鹿砦社がそのまま沈んでいくことを信じてやまない中、信用不安にもかかわらず、決して多くはない取引先やライターの皆様方がサポートされ、あるいは取次会社も取引を維持して、なんとか会社は継続し、事件から4年余り後、一気にヒット、そのままヒットが続き復活、本社の甲子園返り咲きが実現したのでした。この時の感激は忘れることができません。その後、勢いに乗じ反原発雑誌『NO NUKES voice』(現『季節』)も創刊(2014年8月)しました。

その後、弾圧10周年(2015年)、また鹿砦社創業50周年(2019年)と、東京と西宮(本社所在地)にてお集まりいただき、会社復活・継続を祝っていただきました。そうして『紙の爆弾』創刊20周年を左団扇(うちわ)で迎えることを、私たちも含め誰しもが信じてやみませんでした。

しかし、人の世は何が起きるかわかりません。2020年からの新型コロナ襲来にて、世の中がそうだったように鹿砦社を取り巻く情況が一変いたしました。これを甘く見ていました。当初は売上微減、借入も必要なく、しばらくは“備蓄米”もたっぷりあり余裕さえありました。

ところが、書店の休業が続き、想定外の返品も続き、売上が激減し、途端に“備蓄米”が毎月1千万円前後なくなり、あっというまに青色吐息状態になりました。当社の規模で数千万円の“備蓄米”は何が起きても大丈夫の証だったはずですが認識と見通しが甘かったです。

こうした中、読者、寄稿者の皆様はじめ、これまで『紙の爆弾』『季節』、鹿砦社の出版活動を支えてくださった方々がご支援してくださり、新型コロナ襲撃以来5年間をサポートいただきました。あらためてお礼申し上げます。

あっというまの20年でした。そうして迎える『紙の爆弾』創刊20周年──いろいろなことが去来し胸が熱くなります。あらためて想起すると、20年という年月の重さを感じます。

そういうことで私たちは、創刊20周年記念号が発売になる直前の、来る4月5日に皆様方にお集まりいただき、20年間生き抜いてきたことを祝い、閉塞状況からの反転攻勢の橋頭堡にしたいと考えました。松岡が生きている間には最後になるやもしれません(次の30周年に松岡はおそらく生きていないでしょう。現実問題、生きていてもボケたりして尋常な状態ではないと思います)。こうした意味で松岡にとっては最後の檜舞台のつもりです。20周年の集まりまでに、もうひと山を越え、立派に集いを成し遂げ、次の10年に向けた財政の一助にするために、ぜひご賛同いただき、できれば駆け付け叱咤激励していただければ、とお願いいたします。

私たち鹿砦社は必ず閉塞状況を突破し反転攻勢を勝ち取り、腐朽化し権力のポチと堕したメディアの中で存在感のあるリトルマガジンとして『紙の爆弾』、そして姉妹誌であり唯一の反原発雑誌『季節』(紙の爆弾増刊)の旗を守り抜き、鹿砦社の名の通り、タブーなき言論の砦として皆様方と共に在り続ける決意です。圧倒的なご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

冒頭に挙げた内藤、中道両先生にも良いご報告をさせてください。

*集いの具体的内容が決まりましたら、あらためてお知らせいたします。

左から『紙の爆弾』創刊号、松岡逮捕後に発行された05年9月号、弾圧や裁判の詳細な内容をまとめた『パチンコ業界の アブナい実態』
https://www.kaminobakudan.com/
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号)

『紙の爆弾』創刊20周年の2025年、メディア総体が腐朽化する中で、『紙の爆弾』と鹿砦社の役割は重大! 皆様のご支援で年末危機突破! コロナによってもたらされた低迷を打破し再復活を勝ち取り、共に『紙の爆弾』創刊20周年を迎えましょう!  鹿砦社代表 松岡利康

定期購読・会員拡大、鹿砦社出版物の積極的購読で圧倒的なご支援を!
2025年年頭にあたって

皆様、新年明けましておめでとうございます。

2025年が始動しました! 本年は4月7日に本誌『紙の爆弾』が創刊20周年を迎えます。また、7月12日には、『紙の爆弾』創刊直後に検察権力によってなされた、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧からも20年となります。これらについて詳細は別の機会に譲るとして、ここでは触れません。

さらに本年は、1月17日に鹿砦社本社の在る兵庫県一帯を襲い小社も(わずかですが)被災した阪神淡路大震災から30年、ベトナム戦争終結50年、敗戦から80年を迎え、社会的、歴史的にも節目の年となります。

こうした中、出版・メディアをめぐる情況は、全部とは言わないまでも多くが権力のポチとなったり腐朽化していき真実が報じられなくなってきています。

わが『紙の爆弾』はミニメディアではありますが、弾圧に屈せず、一貫として愚直に<タブーなき言論>を信条として20年近くせっせせっせと一号一号発行を積み重ねてまいりました。

この間、「名誉毀損」弾圧事件で壊滅打撃を被りつつも、皆様方のご支援で奇跡の復活を遂げることができました。しかし、いいことは長く続かないのか、新型コロナという魔物によって再び地べたに叩きつけられました。

それでも読者の皆様方は見棄てずご支援を続け、青色吐息ながら命脈を保ってきています。

この20年近くの間に、『紙の爆弾』『季節』の定期購読・会員が総計で1千名余りとなりました。この皆様方が中心になって、定期購読・会員の更なる拡大、書籍・雑誌の積極的購読、あるいはまとめ買い(1万円以上)を行っていただくだけで、かなり資金繰りは楽になります。

一昨年(2023年)は一時はコロナ前の水準に回復しましたが、昨年(2024年)に入りドツボに嵌ってしまいました。油断や見通しの誤認などがあったことは否定しません。

毀誉褒貶はありますが、この30年間、鹿砦社の、いわば〝ビジネスモデル〟として芸能(スキャンダル)本を出し続けて、この利益で硬派の社会問題書や『紙の爆弾』『季節』の赤字を埋め、これらを出し続けてきました。『紙の爆弾』はようやく利益が出るようになりましたが、とはいってもこれで人ひとりの人件費が出るほどでもありません。ちょっと黒字といったところです。

しかし、私たちの出版社は芸能出版社ではなく、本丸の勝負所は社会問題書です。そうでないと単なる、どこにでもある柔な芸能出版社になってしまいますから。

ところが、この‟ビジネスモデル”が壊れたのは、コロナ禍を機に最近のことです。儲け頭となっていた芸能本が売れなくなりました。何としても他に‟鉱脈”を発掘しなければなりません。それは何処にあるのでしょうか? 皆様方のアイディアや企画、ご意見を募ります。

このかん、「身を切る改革」ではありませんが、いつのまにか肥大化していた会社の態勢もスリム化し、経費圧縮も最大限行いました。お引き受けいただいた社債は総額2千万円に達しました。コロナ前、鹿砦社創業50周年を機に私松岡は後進に道を譲るつもりでしたが、すぐに新型コロナ襲撃(まさに襲撃という表現が正しい)、これにより、これだけの社債、さらには会員や定期購読などでご支援いただく方々が多くおられ、現状がコロナ前の状態に正常化し、社債の償還が解決するまでは無責任に身を引くわけにはいかなくなりました。若手の後継者・中川志大と二人三脚で頑張ります! 中川には無垢の状態で引き継ぐことができなく申し訳なく忸怩たる想いですが……。

2019年の鹿砦社創業50周年を東京と地元西宮で多くの皆様方にお集まりいただき祝っていただいてから新型コロナ襲撃、そして以来この5年間は、正直大変でした。今もまだ大変な情況は続いています。それは私たちの業界・出版界でもそうで、店閉まいした書店さんも多いです。出版社も、一部を除き大変な情況です(特に中小零細出版社は)。

しかし、私(たち)は諦めません。もう一度復活したい、いや復活するぞとの決意で、年の瀬をやり繰りし新年を迎えました。私たちの出版社・鹿砦社、あるいは『紙の爆弾』『季節』には、社会的にもなすべき仕事がまだまだ多くあります。例えばジャニーズ問題、一昨年英国BBC放送が世界に向けて告発放映したことをきっかけに大きな社会問題になりましたが、この後、日本の大手メディアも追随しましたが、一体それまで何をやっていたのでしょうか。

私たちは大手メディアには無視されつつ「イエロージャーナリズム」と揶揄、蔑視されながらも1995年以来四半世紀余りも細々ながら告発本を出し続け、BBCにも事前に資料提供など協力し、これが実を結んだといえるでしょう。こういうこともありますので、あながち「イエロージャーナリズム」も馬鹿にできません。こういった意味では『紙の爆弾』も「イエロージャーナリズム」の権化といえるでしょうが、こういうメディアは他にありませんので、この意味だけでも存在価値があるでしょう。

また、私たちは以前から、「たとえ便所紙を使ってでも」発行を続けると言い続けてきました。「便所紙」とは、昔々、日本がまださほど裕福ではなく、良質なトイレットペーパーがなかった時代、尻拭き紙として安価な紙を使っていたものを揶揄した言葉です。今では死語かもしれませんが、私たちの決意を表す言葉として使ってきました。これは今でもなんら変わりはありません。

新年を迎え、苦難の中、本年一発目の『紙の爆弾』をお届けするにあたり私松岡の個人的な想いを書き連ねさせていただきました。厳しい経営環境は、決して恥ずべきことでもなく、これを明らかにし、この一年必死で頑張り、来年の年初にはもっと明るいご報告ができるように努めます。

具体的には『紙の爆弾』『季節』の定期購読を1千人→2千人へ倍増、会員も倍増を目指します。そうして、従来の方々に加え新規の定期購読、会員の方々が‟最大のスポンサー”として鹿砦社の出版物の積極的直接購読を促進し、会社の売上や資金繰りに貢献いただきたく強く希望いたします。

本年も旧に倍するご支援、叱咤激励をお願い申し上げます。

株式会社鹿砦社代表 松岡利康

人生に夢や希望を持つ者は誇り高く生きてゆける(揮毫:龍一郎)
人生に夢や希望を持つ者は誇り高く生きてゆける(揮毫:龍一郎)
https://www.kaminobakudan.com/
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号

能登地震から一年……。福島の事故からずっと 「おめでとう」が言えない正月が続いている 尾﨑美代子

能登半島地震から1月1日で1年、多くの報道番組が輪島や珠洲市から中継を行った。とくに珠洲市は過去に原発の建設を住民らが反対して中止に追い込んだ町。ここに原発があったならば、どうなっていたのだろう。

◆珠洲市制50周年記念冊子にも記されていない「珠洲原発」という「黒歴史」

私はその珠洲市を去年、5月に訪れた。石川県では、井戸弁護士が裁判長時代に運転差し止めの判決を下した志賀原発については知っていたが、正直、珠洲原発は名前を知っている程度だった。何度もいうが、もし珠洲原発があったならば、福島の原発事故以上の大惨事になっていただろう。

そんな思いから、珠洲原発建設を止めさせた闘いを知りたくて、地元で長く原発反対運動に関わってきた北野進さんを訪ねたのだった。北野さんのお話で驚いたのは、29年間原発建設反対運動で地元住民が二分され、結果、珠洲原発は建設凍結(解凍する術がないから実質中止)に追い込まれたにも拘わらず、建設を進める行政側が全く反省しようとしていなかったことだった。それは北野進さん著書「珠洲原発・阻止への歩み」の「はじめに」に書かれている以下の内容だ。

珠洲市の寺家と高谷に建設が予定されていた珠洲原発は、2003年12月5日、関西電力、中部電力、北陸電力の3社が市長に計画の凍結を伝えたことで幕を閉じた。計画の浮上から29年、それ以前の水面下の動きを含めると35年以上の長い闘いだった。
実はその翌年2004年、珠洲市は市制50周年を迎えた。そこで50周年を記念して「珠洲市勢要覧2004」という冊子が発行されたが、そのなかで珠洲原発についての記載が一切なかったというのだ。珠洲市にとって珠洲原発問題は、俗にいう「黒歴史」だったのだろうか。北野氏はこれに対して「長年にわたる原発誘致一辺倒の行政も許しがたいが、これは(歴史からの抹消)は市民に対する二重の意味での重大な背信行為である」と書いている。

◆失敗を反省しない日本

珠洲市だけではない。日本はいたるところで反省することがない。

鹿砦社の反原発誌「季節」の最新号で特集したが、日本の原発立地自治体で作る避難計画は、どこでも「絵に描いた餅」状態だ。何度地震おきても、いつまでたっても寒い体育館で段ボール敷いての避難生活を余儀なくされている。食料が足りない、水がでない。何よりトイレが足りない。トイレを我慢するために水分を採らず体調を悪くさせる。関連死が増える…何度も同じことを繰り返す。

イタリアでは、1980年、2700人以上が犠牲になったイリピニア地震の反省から災害対策を担う国の機関「市民保護局」が設立された。それにより「ベッド、トイレ、キッチン」が地震発災から24時間以内に設営される。日常的にプロをも含めたボランティアが訓練を受けている。2700人が犠牲になった地震を反省するイタリアに比べ、何万人が犠牲になろうが、何も反省していない日本という国。

同じ昨年7月に花蓮で大きな地震がおきた台湾も、過去の地震の反省から地震対策を充実させている。地震発災から1時間で市や自治体がグループを立ち上げ、情報収集を開始、2時間後にはテントが設置され、3時間後には被災者を受け入れ、4時間後には設備が整うという。「どの避難所でも安全、衛生的、プライバシー、食事の確保が出来ており、生活に困らないレベルが確保されている」という。

しかも、倒壊の危険性が高いと判断された建物は、3ケ月後には解体・撤去作業が終了し、現地で工事関係者の姿をみることはなくなるという。それに比べ、能登半島はどうだ? 昨日見た番組では、解体が進まず、そのままの建物が見えた。もう、1年だぞ。

台湾は地震対策だけではない。再審法もどんどん変えている。ある事件で無実の人を逮捕してしまったことがきっかけだ。その人を実況見分に連れていった際、その人が飛び降り自殺してしまった。その後、真犯人が逮捕された。無実の人を死に追いやったことを猛反省し、台湾ではその後再審法がどんどん変えられていった。

話を戻すと、日本はすべてが遅れているのは、失敗を反省しないからだ。しかもそれを謝罪することもない。言い訳ばかりだ。奥能登の復興が遅れているのは、奥能登は交通の便が悪く、建設機材や重機、そして作業員を送るのも大変だ……と。それこそ、重機と人材は夢洲から奥能登へもってけ!私は万博、カジノには断固反対だが、賛成の人も賛成の議員も、万博は1年延期で、重機と人材はすべて能登の復興へ回せくらい言えないのか?

福島の事故からずっとこっち、「おめでとう」が言えない正月が続いている。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

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COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意〈3〉「気候変動」3つの概念 原田弘三(翻訳者)

◆気候変動対策の歴史的経緯

留意すべきことは、今回の合意が国連を中心に進められてきた「気候変動」対策の方向性に全く反するものではないということである。例えば国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2022年4月に発表した第6次評価報告書第3作業部会報告書には「原子力は、低炭素エネルギーを大規模に供給することができる」と原発を肯定的に評価している。今回の合意文書は、ある意味IPCC報告書の論調をなぞったものとも言える。

ここに至るまでの経緯を簡単に振り返ってみよう。大気中のCO2増加により気温が上がる、というCO2温暖化説自体はスウェーデンの化学者スヴァンテ・アレニウスらにより19世紀から唱えられていた。しかし当時は温暖化が危機であるという認識はなく、実際1970年代までは気温上昇も起きていなかったため温暖化は問題にならなかった。宮沢賢治などはCO2による温暖化が地球を救うという物語(『グスコーブドリの伝記』1932年)を書いていたほどである。

しかし1988年6月米上院でNASA(アメリカ航空宇宙局)の科学者ジェームズ・ハンセンが「99%の確率で気候変動が人為的に引き起こされている」と証言したのをきっかけに、CO2の人為排出が地球環境に危機を招いている、という説が急速に世界に広まり、各種機関により「対策」がとられるようになった。

それが、1988年11月のIPCC(国際連合気候変動に関する政府間パネル)発足、1992年の気候変動枠組条約締結、1995年の第1回気候変動枠組条約締約国会議(COP)開催、2015年のCOP21でのパリ協定締結へと続く。

◆「気候変動」3つの概念

「気候変動」を論ずる上では、①一般的な気候変動、②CO2温暖化説、③1988年のハンセン証言以後支配的となった「気候危機論」の3つを分けて考える必要がある。

①「一般的な気候変動」は、当然存在する。②「CO2温暖化説」についてはCO2の人為排出が気温上昇の原因か否かをめぐって科学上の議論が進行中である。問題は③である。この「気候危機論」の特徴は、気温上昇には作物生産が豊かになる、暖房が不要になるなどの良い影響が多大にあるにもかかわらず、もっぱら気温上昇の悪影響をクローズアップし、あたかも温暖化が人類滅亡の危機であるかのように論じていることである。

この点はCO2温暖化説の始祖スヴァンテ・アレニウスの見解と全く異なる。アレニウスは1906年の著書地球温暖化にはメリットが大きいと論じていた。

『宇宙の成立』(原著名“Worlds in the Making”)の中で「大気中の二酸化炭素の割合の増加の影響により、特に寒い地域に関しては、地球が現在よりもはるかに豊かな作物を生み出し、人類の急速な繁栄のために、より平等でより良い気候の時代を享受することが期待できる」と書き、地球温暖化にはメリットが大きいと論じていた。そうした温暖化に対する評価を180度転換したのが1988年のハンセン証言である。ハンセン証言を境に温暖化は「恵み」から「危機」へと変わり、CO2は退治すべき悪者と位置付けられたのである。(つづく)

◎原田弘三 COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意
1〉「原発3倍化宣言」という暴挙
2〉「グローバル・ストックテイク」という文書に求められた役割
3〉「気候変動」3つの概念
4〉気候危機論」と原発の親和性

◎本稿は『季節』2024年夏秋合併号掲載(2024年8月5日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼原田弘三(はらだ こうぞう)
翻訳者。学生時代から環境問題に関心を持ち、環境・人権についての市民運動に参加し活動している。

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