自民党裏金事件をめぐり逮捕・起訴に至った議員は池田佳隆・大野泰正・谷川弥一の3氏のみ、安倍派幹部7人は「嫌疑なし」として不起訴。「なぜ?」の声が上がるのは当然で、そこに政治資金規正法の“大穴”があると指摘するのは元検事の郷原信郎弁護士。今月号では郷原弁護士が法の“大穴”とともに、東京地検特捜部の捜査の“大穴”についても、わかりやすく説明しています。さらにいえば、検察リークを主体とする大手メディアの問題も、そこに絡んできます。記事では「マスコミは検察の従軍記者」と喝破する郷原弁護士が、裏金議員を正しく追及する方法を解説します。

岸田内閣の支持率が擁護メディアですら危険水域を超えて下落を続け、退場へのカウントダウンが始まっています。しかし、この期に及んでも、政権交代より“ポスト岸田”が先行。自民党は不滅というのがマスコミの一貫した姿勢です。そのポスト岸田の面々に、まだ“派閥”の影響がみてとれます。そうなれば、派閥は「旧××派」となるのか、何か別の言葉に言い換えられるのか。言い換えといえば、「防犯カメラ」になった「監視カメラ」、「マイナンバー」になった「国民総背番号制」。後者はよく見ると、「政府が国民に割り当てる番号」が、いつのまにか「私の番号」となっていることに気づきます。

今月号では「食」と「農業」に関する話題についても重点的に採り上げました。その際に焦点が当たるのが「世界経済フォーラム年次総会」(ダボス会議)の存在です。今年1月の会議では、農薬世界最王手の独バイエルCEOが温室効果ガスの原因として、「水田稲作」によるメタン発生を槍玉に挙げたことが話題になりました。そこには、稲作の乾田化によって除草対策が必要になり、同社の除草剤「グリホサート(ラウンドアップ。人体に有害)」の需要を高める目論見もあるようです。またメタン発生では、長らく「牛のゲップ」が大きな要因であると批判されてきました。ドイツをはじめヨーロッパ各地で起きている農民デモの訴えに、日本の多くのマスコミはほとんど言及しませんが、農業を「悪」として、生産への規制や補助金停止の政策を進める各国政府への反発が、その背景にあります。

本誌では、グリホサートの危険性とともに、パンの残留農薬についても採り上げています。加えて、国産・輸入小麦にかかわらず、日本のパンの安全性についてしばしば注目されるのが、添加物の「臭素酸カリウム」。パンの膨らみや食感を良くするとされるものの、EUや中国では使用禁止、日本では完成品に残留が検出されなければ(検出限界以下なら)使用可、とされています。日本の食品基準の緩さはここにもあります。前号などでレポートした「ゲノム食品」もそうですが、問題は使用される成分だけでなく「表示義務」にもあります。安全性を求めるには、自ら信頼できる情報を探すしかありません。巻頭ページでデータを参照した「農民連食品分析センター」の活動は重要です。

その他、日テレ「セクシー田中さん」事件に表れたテレビドラマ制作現場の実情、そして「漫画原作ドラマが増える理由」。朝鮮半島情勢では、韓国・北朝鮮のファーストレディに同時勃発した「ディオール・スキャンダル」。東京五輪汚職と酷似する「2027年横浜花博」の電通癒着など、今月号も濃度の高いレポートをお届けします。全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

3月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年4月号

『紙の爆弾』2024年4月号

郷原信郎弁護士が問う自民裏金事件 検察捜査の穴
自民党派閥解散の茶番 所得税法から見た裏金「脱税」事件
欧州農民デモの訴え EUのエコロジー政策が農業を潰す
鈴木宣弘東大大学院教授が警告 残留農薬・人工肉・農業基本法改悪で「日本の農と食」が崩壊する
浮かび上がる“巨大地震”の実態 なぜ能登半島地震の名称は「大震災」でないのか
政権交代に向け本格始動 泉房穂前明石市長の「救民内閣」構想
どの道を行っても「解散」か「総辞職」岸田“低空飛行”内閣の八方塞がり政局
アメリカの日本支配機関「日米合同委員会」廃止デモ
日テレドラマ「セクシー田中さん」問題 漫画原作者自殺事件を生んだテレビ界の権力構造
マスコミが報じない朝鮮半島情勢 核ミサイル開発よりも危うい「白頭山大噴火」の現実味
BBCジャニーズ報道から一年 相次ぐ「性加害」報道に垣間見える危うさ
東京五輪汚職と酷似「異次元の無法地帯」と化した横浜市の電通癒着
「入管法」不備を放置する日本政府の問題だ 川口市「クルド人問題」の本質
大逆心中〜夢洲万引博打
戦争報道・対米報道・対日報道 中国は世界をどう報じているか
シリーズ 日本の冤罪48 仙台筋弛緩剤事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
【新連載】The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
【最終回】キラメキ★東京漂流記:村田らむ
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵
◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CWTWN75P/

政治評論家の本澤二郎さんがご自身のブログ「日本の風景」(2024年02月09日)で月刊『紙の爆弾』を紹介してくれました。以下、同記事を転載させていただきます。(編集部)

◆鹿砦社『紙の爆弾』はタブーなしの国民向けの月刊誌

「ろくさいしゃ」と読むそうだが、現物を見るまではよく分からなかった。その本物の雑誌が自宅に郵送されてきた。さっそく日刊ゲンダイでも「コメントが出た時は知らせてほしい」という、なんともうれしいファンに電話した。心が美しく優しい女性であるT君に、年に一度は電話して無事を確かめ合っている仲だ。先日電話に出なかったので、気になっていた。昨日はつかまえてほっとした。

彼女には、関西で生活していた、彼女にも似た優しい妹思いの兄が一人いた。2年前にコロナを心配して妹の様子を確かめようとして上京した。当時、彼女はコロナに感染していて自宅で寝込んでいた。念のため兄も診断するため病院に行った。これが兄妹の最期の別れとなってしまった。コロナ利権で笑いが止まらない製薬メーカーや医師会、関係行政官僚と打て打てと発破をかけてきた議会人の責任が問われている。それにしてもこんな悲劇も珍しい。兄はそこで入院し、妹の住む実家に戻ることができなかった。コロナワクチンが人を殺すことなど、多くの庶民はいまだに知らない。

悲劇は誰にでもどこにでも起きる。自分もそんな人間の一人だが、T君もまた運命の人だったのか。寂しくてカルト教団に引きずり込まれていないか、今も心配ではある。

念のため鹿砦社の電話番号を教え、よかったら買って読んで、と頼んでみた。こんなことは初めてのことだが、この『紙の爆弾』は、国内で発行されている雑誌の中ではぴか一ではないかと判断したからである。推薦してくれた青木泰さんに感謝したい。130ページの紙面には、詐欺まがいの広告が全くない。それに言論の自由を放棄したような新聞雑誌の日本だというのに、タブーがないのが最大の特徴であろう。この国の言論界は、編集者泣かせのタブーがいっぱい詰まっている。この雑誌にはそれがないのだ。編集人にとって最高の出版社といえる。

思い出した。以前、鹿砦社の責任者から「本を書け」とボールを投げてきてくれたことがあった。当時は日中友好の旅や中国人学生の講義を引き受けたり、日本の若者を南京や盧溝橋に案内したりしていて時間が取れなかった。多忙を口実に失礼してしまった。猛省しきりである。

◆『紙の爆弾』3月号は国民の知るべき内容がびっしり

国際ジャーナリストの藤原肇さんも『紙の爆弾』に書いたという知らせを受けたこともあったのだが。振り返る必要もない事実だが、国民のための読売新聞や日本テレビなどを乗っ取った渡辺恒雄は、もういないといっていい。彼が読売新聞を制圧するや、誰も見たことも聞いたこともない改憲論を公開したり、中曽根内閣が誕生すると、まるで自身が天下を取ったかのようにはしゃぎまわって「中曽根新聞」に変身させた。

そのナベツネの時代も終わったと繰り返したい。糧道を断たれた筆者も元気に生きている。パソコンに「本澤二郎の日本の風景」を毎日打っているではないか。恩師である宇都宮徳馬さんを裏切って「忘恩の徒」と断罪されたツネはいなくなった。

日本新聞協会・日本記者クラブも変わるだろう。変わらねばならない。NHKにも、もはや「岩田明子」のような○○記者は生まれない。公共放送に変わらなければ、解体されるだろう。

A級戦犯の岸内閣は、読売の正力松太郎と連携して危険すぎる原子力発電所を、巨大地震国の狭い列島にハリネズミのように建設した。それを中曽根康弘が継承した。財閥のための経済政策は、利権そのもので、岸の孫の安倍・清和会を通じて、日本を亡国の淵に追い込んでしまった。宏池会の岸田文雄も、この軍事経済に傾斜した安倍・軍拡に背乗りしたもので、第二の3.11に怯える日本国民も哀れすぎよう。

『紙の爆弾』3月号では、日米言論界が強引に「泡沫候補」にしているロバート・ケネディJrの躍進ぶりを書いている。彼の台頭に多くの国々の人々は拍手喝采している。アメリカンリベラリストと無党派層・若者を結集するであろうから、ワシントンは行儀がよくなるに違いない。彼が政権を担当すれば、いずれ沖縄の米軍基地も消えるだろう。

安倍や高市らの「台湾有事」は、改憲軍拡のための危険すぎる策略であるが、そのことも表紙の見出しから記事化されている。大阪万博は安倍の東京五輪利権に代わる、安倍の維新向けの利権行事に過ぎない。直ちに中止すべきであるが、このことも遠慮なく言及している。

◆「能登半島の志賀原発が危ない」に共鳴する核汚染ごみで泣く房総半島の市民

表紙をめくると、脱原発専門の季刊雑誌を発行している。すごい。国民の目線にぴったりと合っているのではないか。原子力マフィアに鉄槌を加えるのであろう。

人間が操作できない原子力発電所は、作ってはならない。それを建設する輩は、まさに「今だけ自分だけカネだけ」の利権屋でしかない。国民は誰でも知っている。日本国民と憲法の名において、原発は有害無益である。筆者は日頃から「帆船日本丸」を説いているのだが。

次ページのグラビアも見事な編集に拍手したい。能登半島の志賀原発は、あやうく第二のフクシマになるところだった。原子力マフィアの規制委が再稼働に踏み切る寸前だったという。

全然知らなかったことだが、今回の能登半島地震で陸地が隆起し、高波に表れて住宅が倒壊した「珠洲原発」が、地元の住民の反対で2003年に凍結されていた! 関西・中部・北陸の利権にまみれる電力会社が強行していたら、間違いなくここも第二のフクシマを再現したであろう。

珠洲市など能登半島の理性の反対運動に、この機会に心から敬意を表したい。原発推進者の正力松太郎は、確か北陸の人間だと記憶している。日本に原発を持ち込んだ岸信介にほれ込んだ人物、政界では「サメの脳みそ」と俗称されてきた利権屋のドンである森喜朗その人である。市民は手の届かない高級老人施設に入って、分厚い高級ビフテキを平らげる森も、ナベツネ同様に車いす生活。

悪党の天下を終わらせる正義の言論『紙の爆弾』に栄光あれ、である。核汚染ごみと足尾の鉱毒に羽交い絞めにされている房総半島から、連帯の声援を送ろうと思う。

出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない。青木本から学んだ教訓である。

2024年2月9日記(日本記者クラブ会員・反骨ジャーナリスト・政治評論家)

◎本澤二郎の「日本の風景」(5069)より転載

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
権力による教育内容への管理統制強化 加速する「教育デジタル化」の陥穽
問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
高GABAトマト、マッスル・マダイ、ウイルス耐性ブタ……「ゲノム編集」は生態系も人類も損壊する
「松本人志」「旧ジャニーズ」で見えた変わらぬ大手メディアの忖度体質
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2023年の重大ニュースTop25
シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
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医師や専門家を中心に昨年設立された「ワクチン問題研究会」が1月11日に開いた会見を取材しました。会見では明快かつ具体的に、いわゆるmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについて警鐘を鳴らしています。本誌レポートはさらに噛み砕いた解説を試みたものです。現在もコロナウイルスについて、“第10波”や新たな変異株「JN.1」は感染力が強い、といった報道がなされています。しかし会見で村上康文理事(東京理科大学名誉教授)は、「コロナはリスクが非常に低かったと私は思っています。亡くなった人にPCR検査をして、陽性であればコロナによる死としている」と指摘。また新規陽性者とワクチン接種に関する厚生労働省のデータでは、ほとんどの年齢層でワクチン接種者の方が陽性率が高かったという事実が示されています。

厚労省の予防接種健康被害救済制度に基づく申請受理数は1万90件で、認定件数は5965件、うち死者数は423件(1月26日)。約3000件は未審査のため、審査されたうち85%以上が認定されています。もちろんこれは氷山の一角であり、本誌で何度も指摘しているとおり、日本以外の世界中で追加接種はストップしています。感染を防げず危険だと厚労省が認めるワクチンの接種がなぜ続けられているのか。そしてコロナワクチンを「成功」であるとして、mRNAワクチンは、がんやインフルエンザへの応用が目指されています。もはや問題は「コロナワクチン」ではありません。その危険性を解説した本誌レポートは、すべての人々に読んでいただきたい内容です。

自民党裏金事件を契機として解散した安倍派について、本誌に寄稿した政治評論家の本澤二郎氏は「検察と官邸の国民を欺く策略」と指摘。本澤氏は1月8日に自宅が火災に見舞われた故・田中角栄元首相との関係を起点に“安倍・清和会”とは何かに迫ります。裏金事件では、その役割を果たさない検察組織にも、追及を向けるべきです。

能登半島で起きた地震被害に対する岸田政権の対応の遅さが、東日本大震災・熊本地震における発生直後の復旧スピードと比較され、「岸田政権は菅(直人)政権、安倍政権以下」との指摘がなされています。これに対し、地形の条件が加味されていないといった反論がなされているものの、そうであればこそ、愛媛県の伊方原発をはじめ「半島の原発」の巨大リスクが注目されるところです。ただし、「半島」を加味しても今回の対応は遅すぎるようです。

国の意向を大学運営に直接反映させる国立大学法人法改悪。「稼げる大学」というと、以前は企業に好都合な人材を輩出するイメージだったと思うのですが、すでに大学自体、それも国立大学が稼ぐことを考えるような事態です。大学教員・学生らが猛反発する中、日経新聞昨年12月18日付記事は「稼げる大学はだめなのか 科学研究に『楽園』なく」。高学歴層の多くがこの問題に無関心なのはいったいなぜなのか。自分たちが取り組んだ「学問」が国や企業に売られてしまうことになぜ危機感を持たないのかが疑問です。

その他今月号では、前号に続き「ゲノム編集食品」の危険性を専門家の意見をふまえレポート。1月の台湾総統選や、アメリカ大統領選についても、他メディアで報じられない事実をお伝えしています。全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
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シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

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昨年末に勃発した自民党の裏金疑獄は、安倍晋三内閣の閣議決定で定年延長された黒川弘務・東京高検検事長が検事総長に就いていれば、東京地検は動けなかったものと思われます。それを阻止したのは文春砲の“賭け麻雀”でした。

安倍元首相は国会で「私は何度も告発されたが立件されることは一度もなかった」と豪語。その自信の裏には“根拠”があったことがわかります。だとすれば、安倍独裁のさらなる検証の必要性も、あらためて浮かび上がってくるところです。さらにいえば、元NHK記者の岩田明子氏による「安倍元首相が派閥会長当時に対応を指示していた」との“スクープ”も、自民党・検察・メディアの関係から読み解くべきです。

安倍元首相暗殺事件はすでに一昨年。これをきっかけに旧統一教会と自民党の癒着が「マスメディアの沈黙」から解き放たれたなかで、自民党と公明党の連立にも大きな影響をもたらしたことを、本誌記事で明かしています。この暗殺事件から、裏金疑獄による安倍派、ひいては自民党の“崩壊”が、一連の“流れ”の上にあることは間違いありません。

「大阪・関西万博」をてこに導入に向け加速する「ライドシェア」。十年前、安倍晋三首相も乗り気だった米ウーバー参入が「規制の壁」により失敗したのはよく知られるところ。当時と今で何が違うのかは不明で、むしろ「ウーバーイーツ」でさまざまな問題が顕在化してきました。

本誌記事でも述べられているとおり、ライドシェアで考えるべきは利便性ではなく労働環境全体にもたらす影響です。当たり前に働き、当たり前に生きるというのが、すでに困難な社会。一攫千金を狙うホストが女性たちを搾取、そのホストたちも搾取されている、という状況の背景にあるのはそれではないか、うわべだけ規制しても無意味では、との思いはぬぐえません。だとすれば、「失われた三十年」は「奪われた三十年」といえるかもしれません。

一方で、それまで地道に積み重ねてきた議論を無視し、欧米から借りてきた価値観を日本社会に塗り込めるようなことが、あちらこちらで行なわれています。それに対抗するものが「多様な言論」であるはずですが、出版予定の翻訳本を発売中止としたKADOKAWAの判断には、疑問を呈さざるをえません。同書に投げかけられた批判の内容こそ、重要な議論の対象であったことは、論を俟ちません。言論・出版そのものの現代的意義こそが問われているのだといえます。

さらに、今月号で特に注目すべき記事が「イスラエル閣僚が語ったパレスチナ侵攻の目的と思想」。イスラエルの財務大臣兼国防省内大臣が、パレスチナ差別を堂々と語るその内容を、レポートしています。昨年12月号では、イスラエルによる侵攻が宗教戦争ではないこと、1月号ではその裏にある利権の存在を指摘しました。それらとともに、イスラエルがパレスチナで何をしようとしているのかを、明らかにするものです。

ほか、「ゲノム編集食品」の危険性に関する専門家による解説や、宝塚歌劇団の闇など今月号ももりだくさんの内容をお届けします。「紙の爆弾」は全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

『紙の爆弾』2024年2月号

すでにバイデンを見限った習近平「米中対立」の真実と真相
岸田総裁は党解散届を総務相に今すぐ出せ!
自民党裏金疑獄事件でも「マスメディアの沈黙」
“裏金総辞職”で麻生太郎が復権財務省が主導するポスト岸田シナリオ
KADOKAWA出版中止事件の背景 少女たちの乳房切除を止められるのか?
米オスプレイ墜落で再び見えた「日本の屈辱」
「“パレスチナ人”というものは存在しない」
イスラエル閣僚が語った“パレスチナ侵攻”の目的と思想
非米か親米か、決断の時 “自民党崩壊”の先に米国の策略
繰り返される「政治資金不記載」「選挙違反」政治家はなぜ法を守らないのか
加速するフードテック・ビジネス
脳も免疫系も破壊する危険だらけの「ゲノム編集」
「ジャニーズの次はAKB48」終わらない“性加害問題”と芸能界メディア癒着
ジェンヌ自殺事件を招いた宝塚歌劇団の闇の最奥
相次ぐ“巨大教団ドン”の死去
池田大作の死で「宗教と政治」は変わるのか
アベババと約100人の盗賊
シリーズ 日本の冤罪46 奄美大島女性殺人事件
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いつも論評できる範囲でレビューを書いています。

『紙の爆弾』1月号のスクープというか、解説記事で、思わず「おおっ! そうだったのか」となったのが、浜田和幸氏の「ガザはなぜ狙われるのか イスラエル暴虐の隠された”真相”」でした。

今回のガザ侵攻で、日本人の大半は、第一次大戦後のイギリスによる二枚舌外交(アラブの独立とイスラエル建国)を知り、紛争の根深さに嘆息したはずです。しかし、侵攻の背景に、石油・天然ガスの権益確保があったとまでは、まだ報じられていなかった。

その前にひとつ、ネタニヤフ政権の思惑として、ハマスの壁越え攻撃があるのを知っていた(情報機関モサド)というのがあります。まず先制させておいて侵攻する、というのがシナリオだったのは明らかです。ただし、1000人以上が犠牲になり、200人を超える人質は想定外だったのではないでしょうか。

おそらくイスラエルの計画は、ハマスを壊滅させる過程で、徹底的にパレスチナ人を南に避難させ、シナイ半島(エジプト領)まで追いやる。

そしてそこにパレスチナ国家を独立させ、ヨルダン川西岸のパレスチナ人、レバノンほかに難民としているパレスチナ人も、そこに集約する。これで75年もの長きにわたる「パレスチナ紛争」を最終的に解決する、というものです。じつはネタニヤフの第一次政権(96年~)のときに、この案は浮上していました。

◆パレスチナ解放闘争の消滅か イスラエルの消滅か

ただし、シナイ半島の割譲にはエジプトが反対しているので、すんなりと行くわけではありません。浜田さんのレポートでは、モサドが事前に「パレスチナ住民を残らずエジプトに移住させること」が最終ゴールとして明記されているとのことです。

記事では、このほど亡くなったキッシンジャーの「予言」にも触れられています。それによると「イスラエル滅亡」のキーワードは「カネ」だという。浜田レポートは、さすがに元参院議員で国際経済学者らしい政策提言もあり、読んで得する内容です。

◆万博・カジノで崩壊する維新

これまた見出しで惹く、横田一氏のレポートです。世界最大級の木造建築物がウリの大阪万博ですが、釘をつかわない伝統工法というのは、どうやらウソらしい。いやそれよりも、そもそもあの木造リングは、万博後に転用できるものなのでしょうか。

東京オリンピックの競技場建設もそうでしたが、財政規律がなさすぎます。予算内に収まらないのであれば、工事を縮小するとか、見積もりをつくった人間が自腹で補填するとか、ちゃんと責任をとれよというのが、国民の実感ではないでしょうか。プロ意識がなさすぎます。

そこで、横田さんは吉村知事に訊いてみた。「クラウドファンディングを検討してみたらどうか」と。吉村知事の回答は開き直りとすり替えでした。そして維新の化けの皮がはがれたのでした。

そもそも酒の席で始まったのが、大阪万博だった(松井一郎が安倍晋三にお酌しながら提案)というのには驚かされました。まさに最高権力者にすり寄って、寄生虫のように利権に群がる、維新政治の終りが始まったというべきでしょう。

◆ドミノ崩壊する岸田政権

もう大変ですね、岸田文雄さん。支持率が20%台の前半と危険水域におちいり、安倍派を切らざるをえない政権危機です。総選挙に打って出る専権事項も、いまやれば大敗が目に見えています。いや、その前に岸田おろしに遭うでしょう。

山田厚俊氏のレポートは、まさに崩壊過程にはいった岸田政権、およびポスト岸田の女性議員たちを論評したものです。政局では久しぶりに小泉進次郎がポスト岸田に浮上しているとか。山田さんも自民党の下野を提案するひとり。なかなかおもしろくなってきました。

◆「週刊金曜日」創刊30周年に、弁護士の腕章をした警備が……

『紙の爆弾』1月号の増刊で脱原発季刊雑誌『季節』2023年冬号に、久しぶりに板坂剛のレポートが掲載されました。さすがに作家さんの文章はよみやすく、感性にあふれた躍動感があります。というのも、それが「週刊金曜日」の創刊30周年記念集会の現場レポートを含んでいるからです。

「週刊金曜日」のような雑誌にはありがちな、読者や批評者の異見を封じるために、質問を封じる文章がプログラムに印刷され、その中には「司会進行の妨げになる行為は、ご遠慮いただきますようお願いします」とあったそうです。

そして物理的にも、弁護士と書かれた腕章をした男が、不気味なオーラを発しながら立っていたというのです。

じつは筆者も「週刊金曜日」とは因縁浅からぬ仲で、かの『買ってはいけない』が200万部の大ヒットをしたときに、批判本『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房=40万部)を出版し、それが機縁で当時の松尾編集長から取材の仕事を仰せつかったものです。

その頃は、週刊金曜日主催の集会といえば、会場が満席(つねに1000~2000)でした。ところが、板坂さんのレポートでは、一ツ橋ホールの会場(定員802人)の席が半分も埋まっていなかったようです。

『買ってはいけない』で得られたファンド(推定10億円)が枯渇し、社員が賃下げに応じるだとか、事務所移転を余儀なくされるとか、昨今は芳しい話が聴けません。鹿砦社の広告を不掲載(裏返しの原論封じ)については、すでに批判しましたが、腐っても鯛の心意気で、頑張ってほしいものです。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年冬号

パレスチナ・ガザで続くイスラエルの暴虐。11月下旬に一時停戦するも、12月1日にはイスラエル軍の攻撃が再開し、死傷者を増やし続けています。前号(12月号)では「中東戦争」と1993年のオスロ合意、およびイスラエルによる合意無視の経緯を振り返った上で、これが宗教紛争ではないことを指摘しました。そして1月号では、なぜか報じられない、ガザに眠る「利権」の存在を明かしました。これを狙うのはイスラエルだけでなく、大国や多国籍企業も、裏側で争奪戦に関与しています。

こうして“真相”に具体的に迫っていくことこそ、反戦を求めるにあたり重要だと考えています。一刻も早い停戦が求められるロシア・ウクライナ戦争においても、2022年10月にトルコで両国間の停戦に向けた非公開協議が行なわれていたものの、米国の横槍が入り進展を阻止されたこと、また同年9月のロシアの海底パイプライン「ノルドストリーム」爆破事件にウクライナ軍幹部が関与していた可能性など、裏側の事実が次々と明らかになっています。23年2月には、マイダン革命の仕掛人のひとり、ビクトリア・ヌーランド国務次官が「戦争目的はクリミア半島の奪回とロシアのレジーム・チェンジ」と発言。ロ・ウの戦争が米国主導であることを堂々と述べました。ほかにもさまざまな“真実”を、本誌今月号で詳述しています。

12月号で札幌五輪について解説した本間龍氏は、札幌五輪招致断念の背景に東京五輪の失敗を指摘。一方で本間氏は、ジャーナリスト・今井一氏とのユーチューブ「一月万冊」で、大阪・関西万博の開催費用爆上がりの背景に、東京五輪の成功体験があると喝破しています。正しい判断をした札幌五輪と、誤った道を驀進する万博。東京五輪は市民にとって失敗、政治家にとって成功だったということでしょう。万博とカジノが、維新の化けの皮と次々とはがしています。11月27日には、政府が350億円の「大屋根」を含めた2350億円の会場整備費とは別に「日本館」など837億円を国費負担することが明らかに。3度めの上振れで総額3187億円は、まるで金を使わないと損だと言わんばかりです。際限なく予算が増額されるのは、やはり東京五輪の成功体験からです。

11月18日にその死が発表された、池田大作・創価学会名誉会長。実際に死去したのは3日前の15日。創価学会第2代会長・戸田城聖氏のときには12万人の学会員を集めた通夜・告別式後に火葬したのに対し、今回は「家族葬」で、死から3日後の火葬。池田氏の死はかねてから“Xデー”といわれ、死亡説も流れてきただけに、大きな違和感を持たれています。その背景と、池田氏の“罪過”にも、今月号でレポートしています。

2022年の旧統一教会、2023年のジャニーズ・宝塚と、これまで見過ごされてきた重大な問題に焦点が当たることは良いことでも、報道がそれ一色になることへの危惧も、同時に感じています。その裏で、やはり議論がされない重要問題も多数あります。今月号のWHO(世界保健機構)が狙う「パンデミック条約」や日本版DBSの危険性がまさにそれで、本誌として今後も問題提起を続けていきたいと思います。今月号も、ご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

12月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

『紙の爆弾』2024年1月号
ガザはなぜ狙われるのか イスラエル暴虐の隠された“真相”
【条文解説】国家の主権を奪うWHOの医療独裁「パンデミック条約」「IHR改定」の危険な中身
なぜ「ただちに火葬」されたのか 創価学会・池田大作という「虚像」を暴く
「大阪・関西万博」予算倍増でも強行 万博・カジノで維新は自滅する
本誌に届いた“告発” ジャニーズとフジテレビの「主従関係」
5派閥に政治資金規正法違反の疑いも “ドミノ崩壊”する岸田政権と自民党
新藤義孝大臣の“買収”疑惑で注目 政界に横行する公金「コンパニオン宴会」
米欧の国際プロパガンダを超克する「クリミア友人会議」
これが「敵基地攻撃能力」の現実だ 米国が迫る「核共有」と自衛隊“核”武装化
ウクライナ戦争を仕掛けたネオコン勢力の正体
“子どもへの性犯罪者”の情報公開「日本版DBS」が暗示する未来
政権と最高裁が圧殺した「もの言う裁判官」岡口基一判事を罷免訴追した「弾劾裁判」の異常
イスラエルという「ナチオニズム国家」
静岡県沼津市「駐車場」「タケノコ」問題の真実を明かす
シリーズ 日本の冤罪45 波崎事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

《12月のことば》良心の充満したる丈夫(ますらお)となれ(鹿砦社カレンダー2023より。龍一郎揮毫)

本年のカレンダーもあと1枚となりました。

1年経つのは本当に速いものです。

新型コロナ襲撃でのた打ち回り、読者やライター、取引先の方々の力をお借りし、無我夢中で頑張ってきました。

コロナ以前には左団扇状態で蓄えも少なからずありましたが、一気に変わりました。

潰れもせずにやって来れたのは、ひとえに皆様方のご支援のお蔭、あらためて感謝申し上げます。

今月の言葉は、龍一郎や私の母校の校祖の言葉から採っています。

果たして私たちは「良心」に恥じない生き方をしてきたであろうか? 今の世の中に「良心」というものがあるだろうか? 良心があれば、ウクライナやパレスチナ問題は起きないでしょう。あらためて想う。

来年のカレンダーが出来上がってきました。

毎年楽しみに待っておられる方々が多くおられます。

まずは『紙の爆弾』『季節』定期購読者の皆様には新たな号と一緒に送りますので今しばらくお待ちください。

本年一年、どうもありがとうございました。

(松岡利康)

尾崎美代子『日本の冤罪』

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』

山下教介著『[復刻新版]ドキュメント タカラヅカいじめ裁判 ── 乙女の花園の今』

 

2019年秋より鹿砦社『紙の爆弾』で始まった新シリーズ「日本の冤罪」に、私が取材・執筆していた記事が、続報含め計18本となり、このたび一冊の本にまとめていただきました。まずは鹿砦社の代表・松岡利康氏はじめ編集部、関係者の皆さまに御礼と感謝を申し上げます。ありがとうございました。なお、「あの事件は入っていないか?」などと言われますが、鹿砦社『紙の爆弾』ではほかの著名なライターの皆さまが、狭山事件、袴田事件はじめ多くの冤罪事件を執筆され、現在43本の事件が掲載されています。そちらも併せてお読みください。

本書に収められた原稿は『紙の爆弾』に掲載された原稿に修正、加筆を加えた内容となっております。その作業が終わり、「はじめに」を書いていた時、とつぜん桜井昌司さんの訃報が入りました。本当に突然でした。「獄友」青木恵子さん、西山美香さんは、岡山刑務所に服役中の男性に面会に行った帰りに、メールで知ったそうです。

写真右から袴田秀子さん(袴田巌さんの姉)、青木惠子さん(東住吉事件の冤罪犠牲者)、西山美香さん(湖東記念病院事件の冤罪犠牲者)。青木さんと西山さんは和歌山刑務所で一緒の工場で働いていた。2019年3月2日、東京都内の甲南大学東京キャンパスで結成された「冤罪犠牲者の会」総会後の交流会にて。(筆者撮影)

私が桜井さんと最後にお会いしたのが、この本に掲載された「対談」をおこなった2月28日でした。本書を出版するにあたり、「尾﨑さん、誰かと対談したら?」と言われ、一番に考えたのが桜井さんでした。私は冤罪事件を知る以前に、なぜか凶悪事件に強い関心がありました。今でもそうです。なぜかというと、人間生まれながらに「ワル」や「凶悪犯」はいないと思うので、おぎゃあと普通に生まれた赤ちゃんがその後、社会や政治にもまれるなかで、「犯罪」を犯すに至ったのではないかと考えたからです。もちろん本人の資質、環境もあるでしょうが。様々な凶悪事件をみていくと意外に「冤罪」が多いことを知り、えん罪事件にも関心を持つようになりました。しかし、2016年、桜井さんという実際の冤罪被害者にお会いして以降、さらに冤罪事件に関心を強めたのです。そう考えると、桜井さんがこの本を作るきっかけを作ってくださったのです。

 

布川事件冤罪犠牲者桜井晶司さん(本年8月23日にご逝去)。本書収録の対談が桜井さんによる生前最後の意見表明となった

その桜井さん、すでに体調が良くないと知っていたので、「会えますかな」とメールすると「28日の午前中ならいいよ」と返事をいただきました。場所は、いつも私たちが講演会や上映会などでお世話になっている大国町の社会福祉法人「ピースクラブ」です。9時の待ち合わせ時間前に「もう着いているよ」とメールが入り、私は急いで一階の喫茶店「キジムナー」に向かいました。モーニングサービスのお客様が何人かおられましたので、4階のホールに移動することことになりました。4階に向かうエレベーターを待っていると、桜井さんが「痛てて」と前かがみになりました。私が「大丈夫ですか?」と声をかけると「オレのことは気にするな」と少し怒った口調でいわれました。2月末、幸い、ぽかぽか日和り、窓際の丸テーブルに並んで座り対談が始まりました。実は私ははこれまで桜井さんへのインタビューは何回も行っています。記事は「デジタル鹿砦社通信」に掲載されています。ぜひ、検索してお読みください。
 
「桜井さん、今日はインタビューじゃなくて対談ですよ」と私は確認し、「これ、途中で聞いてくださいね」と「①尾﨑さんはなぜ冤罪に興味持ったの?」「②冤罪を取材して何を考えましたか?」などと書いたメモをお見せしました。「わかってるよ。そんなこといわなくても」とまたちょっと怒ったような口調。まずは前日の日野町事件の裁判について2人で話し、その後話が止まったので、「桜井さん、この質問①聞いてくれますか?」と言ったところ「いや、ここもう少し膨らましたほうがいいよ」と話を続けてくれたりしました。

本当に体調はよくなかったのでしょう。途中、椅子を並べて、それをソファ代わりにして横になりながら、しかし、読んでもらえばわかりますが、非常に貴重、そして楽しい対談ができました。

対談中、「日本人が愚民だよ、愚民」。そんな言葉が桜井さんの口から何度もでてきました。それを言いすぎたと思ったのか、「いいんだよ。おれはもうすぐ死ぬんだから」と、投げ捨てるように言いました。そういわれ、ドキッとしてしまったことを今でも鮮明に覚えています。しかし、今考えるとそれは、「愚民のみんな、もっとがんばれよ」と私たちを叱咤激励する言葉だったのではないでしょうか。

対談中、袴田巌さんの再審については「200%勝つよ」と宣言していた桜井さん。そして袴田さんは元ボクサーだったから、常に対戦相手の目をまっすぐに見る。だから警察、検察、そして死刑判決(死)ともまともに向き合ってしまい、結果、精神を壊されてしまったのだと話されました。そして「自分は逃げていたから」とも……。

桜井さんと筆者

以前のインタビューで私が「桜井さんは無期懲役ですが、いつか出れると考えていましたか?」と質問したことがありました。その時も「ばかなこというな!一生でれないと覚悟を決めてたよ」とまたまた怒られることがありました。だからおかれた場所(刑務所)で1日1日を精一杯生きようと考えたそうです。その後、同じ千葉刑務所に服役していた石川一雄さんが仮釈放されたので、「自分たちももしかして」と思うようになったそうです。

桜井さんが「200%勝つよ」と言っていた袴田巌さんへの再審(裁判のやり直し)が10月27日始まりました。なんと、検察は未だに「犯人は袴田」と主張し、有罪立証するために、審理はまだまだ続き、判決が出るのは来年だそうです。しかも、これほど重大な事件の再審であるにも関わらず、狭い法廷で傍聴できた一般の方はごくわずか、午前11時から始まった裁判で、心身喪失で出廷できない巌さんに代わって、姉の秀子さんが「巌は無罪です」と主張したそうです。しかし、これだけの裁判なのに、午後2時台の情報番組は全く報じることはありませんでした。


◎[参考動画]「弟は無実」闘い続けて50余年 姉の思い 袴田巌さんのやり直し裁判10月27日から(テレビ静岡ニュース 2023/10/24)

傍聴できなかった鴨志田由美弁護士が、法廷の外で姉の秀子さんとハグしたら、とても痩せておられたとFacebookで報告していました。いつもにこやかな秀子さんの表情からは、そんなにお痩せになっていたとは、とても想像できませんでした。桜井さんが生きていたら、法廷から出てきた秀子さんに「もう少しだよ」と声をかけハグし、鴨志田弁護士と同じよう心配されたことでしょう。「秀子さん、ちゃんと食べないとダメだよ」なんて言ったかもしれません。ああ、そんなことを考えたら、桜井さん逝去の知らせを受けて初めて涙がこぼれてきました。

全国を飛び回っていた桜井さんですが、金聖雄大監督の「オレの記念日」に何度も出てくる大国町ピースクラブでの思い出は大きかったようです。なぜなら講演会、上映会のあと必ず懇親会、親睦会、交流会と称した飲み会があったからです。2021年桜井昌司著「俺の上には空がある 広い空が」の出版記念パーティーの翌日、桜井さんから「大阪の人たちに会えて良かったよ。ありがとう、尾﨑さん」というメールが届きました。京都、奈良、神戸、そして大阪……桜井さんにとっては楽しく飲み、語り、ハグしあう皆さんすべてが「大阪の人」なのです。もう飲んで冗談言ってハグすることができない……「大阪の私たち」は本当に残念でなりません。それでもさようならはいいません。

桜井さんが「尾﨑さん、あの人も取材してよ」と言われた冤罪事件のほか、日本には冤罪事件で犠牲になり、声もあげれずにいる人たちがやまほどいるからです。「日本の冤罪」を読み、ぜひその実情に目を向けてください。よろしくお願いいたします。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子『日本の冤罪』(鹿砦社)

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

報道や執筆が本職ではないのに、伝えようとする思いの強さが職業ジャーナリストを上回るような文章を書く人は少なくない。『日本の冤罪』の著者である尾﨑美代子さんもその一人だ。

 

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

尾﨑さんは普段、大阪・西成でフリースペースを兼ねた居酒屋『集い処はな』を営みつつ、日雇い労働者や失業者の支援、脱原発活動に取り組んでいる。私が最初に会ったのは和歌山カレー事件関係の集まりの場だったが、気さくな感じで声をかけてもらい、いつのまにか親しくなった。この間、尾﨑さんは当欄や月刊誌『紙の爆弾』で労働者の人権問題や脱原発、冤罪事件に関する記事を書くようになったが、私はいつも尾﨑さんの記事に感銘を受けていた。伝えようとする思いの強さが常に溢れているからだ。

本書は、そんな尾﨑さんが独自に取材、執筆した16の冤罪事件に関する計18本の記事をもとに編まれたものだ。伝えようとする思いの強さは本書でも健在で、それはたとえば次のような部分に現れている。

湖東記念病院事件の項

滋賀県警と山本刑事は刑事責任をきちんととり、美香さんに謝罪せよ。検察、裁判所も目を覚ませ。
 そして、一日も早く西山美香さんに無罪判決を!(45ページ)

日野町事件の項

裁判所には、阪原さんのこの悲痛な訴えが届かなかったのか。一日でも早く阪原さんと遺族に、再審無罪を言い渡せ!(107ページ)

名張毒ぶどう酒事件の項

人の心を持った鹿野裁判長には、(引用者注:故・奥西勝さんの妹で、再審請求人の)岡美代子さんに一刻も早く再審無罪を言い渡していただきたい(251ページ)

一読しておわかりの通り、何の迷いもなく取材対象である冤罪犠牲者やその関係者の思いを共有し、真っすぐな言葉で雪冤の実現を訴えている。だからこそ、この冤罪を何とかしたいという尾﨑さんの本気の思いが読み手に届く。本当は中立ではないのに、損得勘定や保身から中立を装ったような記事ばかり書いている職業ジャーナリストでは絶対書けない文章だ。

本書の冒頭には、先日亡くなった布川事件の冤罪犠牲者・桜井昌司さんとの対談をまとめた記事も収録されている。これを読むと、がんに冒されながら、亡くなる直前まで冤罪仲間たちを救おうと全国各地を飛び回っていた桜井さんが尾崎さんに心を開いて言葉を発しているのがわかる。それも尾崎さんの冤罪事件や冤罪犠牲者への向き合い方が桜井さんに信頼されているからだろう。

報道や執筆を職業としている人が自分の姿勢を見直すために読んでみると良い本だと思う。

▼片岡健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。著作に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』、『絶望の牢獄から無実を叫ぶ─冤罪死刑囚八人の書画集─』など。

[著者略歴]尾﨑美代子(おざき・みよこ)1958年、新潟県生まれ。中央大学中退。大学生時代の80年代、山谷(東京)の日雇労働者、野宿者問題の支援に関わる。90年代初頭大阪に移住して以降は、同じく日雇労働者の町・釜ヶ崎に住みながら、フリースペースを兼ねた飲食店「集い処はな」を経営。釜ヶ崎で知り合った仲間たちと、3・11以後福島支援、反原発運動を始め、講演会、上映会、支援ライブなどを続ける。その傍ら、かつてより関心のあった冤罪事件の取材・執筆活動を続ける。

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

本誌でこの間、重点的に採り上げてきたコロナワクチンの問題。前号(11月号)では立憲民主党・原口一博衆院議員が、昨年の自身のがん発症・公表と、ワクチンの関係について語っています。今月号ではさらに踏み込み、いわゆる「ワクチン後遺症」についてレポートしました。9月に「XBB1.5対応」として7回目接種が始まっていますが、追加接種が推進されているのは日本だけ、という事実にまず、目を向けなければなりません。

それでも、政治の世界を含め、ワクチンの危険性に関する言及は、だんだんと増えているように見えます。“コロナブーム”も一時期と比較すれば落ち着きつつある現在、わざわざ接種を受ける人は減るのではと思っていたのですが、「接種会場の予約がとれない」との報道やSNSコメントが相次ぎました。しかし、7回目接種人口は10月末時点で人口の7%ほど。今月号記事では、「接種希望者殺到の報道に惑わされるべきではない」と指摘しています。そうしたネットを含めた情報・報道のあり方についても、11月号で原口議員が元総務相としての経験をもとに警鐘を鳴らしています。近年、インターネット上で“フェイク”が横行しているとして、総務省が音頭をとって「ファクトチェック」を推進しています。しかし、そのやり方を見れば、プラットフォームによるユーザーへの規制と監視。メディアが自己検証するのとは異なる「検閲」にほかならないと言わざるをえません。

また今月号では、水稲新品種として秋田県が2025年の全面切り替えを発表した「あきたこまちR」についてレポートしました。「あきたこまちR」は、放射線を当てて一部の遺伝子を破壊した「コシヒカリ環1号」を「あきたこまち」と交配することで作った新品種。自民党がその安全性をPRするものの、これを常食することに問題はないのか、本当に日本の農業に寄与するのか、多くの疑問が投げかけられています。秋田県がこの夏に行なったパブリックコメントには過去最多の6000件もの意見が寄せられ、計画の延期と見直しを求める署名8038筆が県に提出されました。しかも、“風評被害”を避けるとして、切り替え後も販売されるにあたり、表示義務はありません。本誌レポートでは、「あきたこまちR」の実態と、予想される事態に迫りました。ぜひお読みいただければと思います。

増税しながら減税、増税しながら給付金の岸田政権。中抜き企業をまた儲けさせるのはもちろん、かかる手間も国民にとって大きな負担であり、決して見逃せるものではありません。そして、その間にも巨額を投じた軍拡は着実に進みます。ただの“増税メガネ”ではないということです。そうして市民が自らの生活を守るのもままならない状況で、2027年までに航空自衛隊が「航空宇宙自衛隊」に改称することを発表しました。「宇宙作戦群」なる防衛省のホームページがまさに示すように胡散臭いことこの上なく、「宇宙」が軍需のネタとなっているのは事実のようです。一方、「地上」の日本では、防衛医大が「戦傷医療センター」新設を8月末に公表(こちらも先月号参照)。今月号では軍事要塞化する馬毛島の模様をレポートしていますが、もはや政府は「戦争準備」を隠さなくなった感があります。

ほか、12月号では旧ジャニーズ“NGリスト”でも話題となった本間龍氏が2030年札幌冬季五輪「招致断念」の背景事情を解説。イスラエルと“国際社会”の「罪」、超円安を克服する“秘策”など、盛りだくさんの内容をお届けします。全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年12月号

『紙の爆弾』2023年12月号

放射線育種米交配種「あきたこまちR」が開く食と農業の悲劇的な最終幕
五輪も万博も日本ですべきではない 札幌五輪招致断念という「正しい判断」
患者が語る“症状”と“治療”「コロナワクチン後遺症」の実態
「基地反対」で再選の朝日新聞出身市長が容認
岸田大軍拡の最前線 馬毛島基地建設の現場
「細田博之会見」は“ジャニーズ以下”“増税メガネ”岸田政権のヒサンな内幕
「参院徳島・高知」「衆院長崎四区」衆参2補選が象徴する岸田政権の凋落
イスラエルの「罪」を見逃してきた米国による「国際秩序」
“NGリスト”は本質ではない ジャニーズ問題の背後にある芸能界の“闇”
「航空宇宙自衛隊」誕生へ 宇宙軍拡競争に巻き込まれた日本
「対米隷属」から「日本自立」への活路 超円安を克服する“秘策”
これは宗教紛争ではない イスラエルが潰した「パレスチナ和平」
政治家の不正蓄財が見逃される理由「政治献金」をめぐる法律の抜け穴
新文部科学事務次官の天下り斡旋「停職」歴
旧統一教会解散命令請求で揺らぐ創価学会
女こどもを食いものにする自民党の女衒政治を嗤う
シリーズ 日本の冤罪44 元講談社「妻殺害」事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵


◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CMBTS4L8/
◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/

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