断言する。吉田調書、慰安婦報道問題で朝日新聞に対する批判は全く不当だ。双方の問題に共通するのは、細部に誤報があったのは事実にしても、それによって報道被害を受けたのが一体誰であるかという視点での批判、報道が決定的に欠落している点である。

私は朝日新聞の信者でも擁護者でもない。破格の給料を得て、エリート面した一部の朝日新聞記者の顔を思い出すと庇ってやるのは気が引ける。しかし朝日新聞を攻撃する陣営(安倍、読売新聞、産経新聞、週刊文春、週刊新潮)の攻撃論拠には全く同意できないし、明確な悪意に満ちている。攻撃者が批判したいのは「朝日新聞」自体ではなく、慰安婦問題、原発問題における「朝日新聞的主張」ではないのか。

吉田調書の扱いなどそもそも勘違いしようが、しまいが何一つ未来が変わることがない枝葉末節の問題だ。産経だって朝日に先立ちネット記事に吉田調書の要約を掲載していたし、その中には「これが産経の記事か!」思われるような記述もあった。9月12日の朝刊に「吉田調書」の全文が掲載されていたので読んだ。やはり枝葉末節の勘違いに過ぎない。これによって市民が傷つくことはない。

◆原発事故の本質をなぜ放置する?

そうだ。留意すべきは、この報道により、一体誰が傷つくとかということである。困るのは東電と国だけではないのか。しかもそれがどのような経緯であったにせよ、争われている事実関係は、既に3年前のことであり、その時に作業員が福島第二に退避していようが、いまいが今日の惨状になんら影響するものではないではないか。

事故検証の間違いを指摘するならば、「政府事故調査委員会」(畑村洋太郎会長)が「個人の責任は問わない」として始めた事故調査のあり様を批判した報道機関がどれほどあったというのか。航空事故や食中毒で国の「調査委員会」が発足すれば、必ず責任者や問題点を特定する。そして警察や検察が責任を追及する。そうしなければ「調査委員会」の意義はないから当然だ。だが、原発事故の「政府事故調査委員会」は当初より個人責任の追求を放棄して調査を行った。そんな調査のどこに意味があるのかという議論は、今回の朝日新聞叩きに比べれば行われなかったに等しい。

大手全国紙、地方紙、週刊誌などがこぞって朝日批判を展開しているが、それよりも現在も連続的に進行している原発事故の本質をなぜ放置するのだろうか。今回、ここぞとばかりに朝日新聞批判に熱心な勢力は、原発推進の旗色を明確にしているメディアが中心だ。

慰安婦問題も同様である。週刊誌は「1億人が被害者」などと書き立てるが、バカもいい加減にしろだ。吉田発言が虚構であっても、それを凌駕する日本軍自体の公式文書や当時の政府文書で「慰安所」設置が行われたことは既に立証済みであり、吉田清治発言は傍証に過ぎない。政府の公式見解だって「慰安婦」の存在を認めている。朝日新聞叩きに熱心な連中は吉田発言を朝日が掲載したことよりも、「従軍慰安婦」は無かったことに葬り去ろうという本音を隠さない。桜井よし子など右派の論客を多用して「この国の誇り」だの「自尊心」だのを相も変わらず繰り返しているが、この国の「ホコリ」を問題にするのであれば、東日本、いや世界中に拡散した放射性物質の「ホコリ」をなぜ取り上げないのだ。

◆「朝日叩き」が示すのは日本社会の「戦時下」状態

奇しくも同姓の「吉田」発言が引き金となって異なる2つの事件で総攻撃を受けている朝日新聞。でもこの2事件には共通点がある。

まず加害者とされる立場の者がいずれも国である点。次にその被害者に対して加害者は保障を頑なに拒み続けている点、さらにいずれも国民を騙しながら進められ詭弁によって正当化を図ろうとしていた欺瞞に満ちた国策である点である。

つまり、メディアが結託して国が犯した、裁ききれないほど重大な犯罪を「無かったもの」に仕立て上げようとする大規模な世論操作・誘導であるのだ。

朝日新聞を叩くのであれば、その社名の後ろにはためく旭日旗のような社章をいまだに使い続けていることや、2011年に福島県健康リスクアドバイザーとしてわざわざ長崎から着任し「100ミリシーベルト以下は安全」と大嘘をのたまった山下俊一(現福島県立医大副学長)に「日本癌大賞」を授けたことこそ指弾されるべきだ。

体制派マスコミにそのような視点は見当たらなし、今後も期待するのは無理であろう。言論も既に「戦時下」状態に置かれていることを示したのが今回の朝日新聞叩きの本質と見るべきだ。

(田所敏夫)

 

最前線の声を集めた日本初の脱原発情報雑誌 『NO NUKES voice』創刊号絶賛発売中!

 

東京・本郷で8月31日(日)、たんぽぽ舎の設立25周年集会が開催され、広瀬隆さんとアーサー・ビナードさんが記念講演を行なう。

80年代末、朝日新聞が「現代のノストラダムス」などと広瀬さんを揶揄していたが、朝日の意図とは別に広瀬さんの予言は3.11で当たってしまった。

アーサー・ビナードさんはベン・シャーンのペン画とコラボした、第五福竜丸の絵本「ここが家だ」(2006年集英社)がなにより素敵だ。松岡正剛が「千夜千冊」(1207夜)で評しているように、確かにこれは「日本人がしていないこと」だった。

◆汚染食品測定活動が起源のたんぽぽ舎

たんぽぽ舎の歴史は1989年に遡る。1986年4月26日にソ連(現ウクライナ)で起こったチェルノブイリ原発事故をきっかけに世界各地の農産物や食品への放射能汚染が問題となった。チェルノブイリから8000キロ離れた日本でも放射能の影響は出ていたし、欧州で加工生産されたパスタなどの輸入食品も日本に大量に輸入されていた。

事故からちょうど1年後の87年4月26日に刊行された広瀬隆さんの『危険な話・チェルノブイリと日本の運命』(八月書館)でもこの問題は取上げられていて、以後、日本でも食の問題を含めての「脱原発」運動がマス・レベルで高まりを見せた。

そうした流れの中で当時、東京都・区職員の労働組合有志が「都労連原発研究会」を結成し、食品放射能測定器を購入した鈴木千津子さんとともに市民に開かれた食品汚染の調査計測スペースを作った。これに小泉好延=市民エネルギー研究所代表や藤田祐幸=慶応義塾大学助教授(当時)といった多数の専門家が協力・支援し、たんぽぽ舎としての活動が89年に始まった。

その後は「脱原発法」制定、劣化ウラン弾廃止の実現をめざす市民運動も展開し、核と原発に関わる事故や事件が起こる度に、ゆるやかだが柔軟なネットワークで活動してきた。

3.11直後もいち早く東電本店前で情報公開を訴えた。同時に「地震と原発事故情報」のメルマガを日刊で発行し、いまも毎日有益な情報を発信し続けている。こうした活動の歴史については、たんぽぽ舎の沼倉潤さんが『NO NUKES voice』創刊号で報告しているのでぜひ一読してほしい。

◆フツーの人たちだって、事故の真相は正確に知りたい!

『NO NUKES voice』創刊号では、他にもたんぽぽ舎の主力メンバーの山崎久隆さん(福島原発市民事故調査委員会)と柳田真さん(再稼働阻止全国ネットワーク)が記事を寄稿している。

山崎久隆さんの報告は、福島第一原発の現況、特に汚染水と電気系統での対策不備を検証し、国と東電の現行対策がいかに駄々漏れ状態かを鋭く指摘している(「『フクイチ』の現実と未来」)。

一方、柳田真さんは国と電力側が再稼動にこだわる理由と全国各地再稼動反対運動の活動を報告している。(「再稼動は放射能汚染と原発大事故を招く」)

普段、運動に関わっていないフツーの人たちだって、事故の真相は正確に知りたい。それをきちんと公開しない国だから、たんぽぽ舎のような市民ネットワークが不可欠なのだ。

首都圏の心ある皆さん、今週日曜は広瀬隆さんらと共にぜひ、たんぽぽ舎の集会にご参加を!

《たんぽぽ舎25周年集会概要》
○会場:全水道会館(JR「水道橋」駅東口下車2分)
○日時:8月31日(日)13:15開場
第1部 13:40より 講演とお話    アーサー・ビナードさん、広瀬隆さん
第2部 懇親会 18:00から20:00まで
○参加費:記念講演 当日1200円(前売りチケット1枚1000円)
懇親会 ?  ? ?  2000円
○主催・問合せ:たんぽぽ舎 TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=2018

 

(本間 解)

『NO NUKES voice』創刊号8.25発売開始!

 

『紙の爆弾』増刊号として8月25日、脱原発のための共同戦線雑誌『NO NUKES voice 』が創刊された。

これに先駆け、鹿砦社スタッフは8月22日の関西電力前金曜行動に参加。現場で臨時販売したところ、手持ちの50冊中35冊が売れ、手応え十分ありと見た。

書店に配本する委託部数も好調で、当初予定していた5000部の4倍超となる2万2000部発行となった。編集部としては「うれしい悲鳴」だが、逆にそれだけ印刷・製本代などは「想定外の支払い」となるわけで、「創刊号は一冊でも多く売れ!」と鹿砦社の松岡社長は険しい顔だ。

巻頭グラビアは秋山理央の「こどもと反原発の風景」。3.11以後、全国各地のデモや抗議集会で当たり前の風景となってきたフツーの家族とこどもたちの表情を紹介している。

世代や地域を超えた「新たな脱原発情報ネットワーク」構築を創刊目的に掲げた通り、記事内容は多彩な新旧世代による充実の14本構成だ。

◆「京大熊取六人衆」今中・小出両記事は必読!

その概要は文末の書籍広告を参照していただくとして、特にお勧めしたいのは、70年代初頭から日本政府の歪な原子力開発に異を唱え続けてきた「京大熊取六人衆」の二人、今中哲二(インタビュー)と小出裕章(講演録)の記事だ。事実分析に対する冷徹真摯な二人の姿勢はいつもながら素晴らしく、必読だ。

例えば、今中助教が自ら測定した東京・多摩地区土壌の放射性セシウム量は1平方メートル当たり約15,000ベクレル。今中氏いわく「ひでえなあ!」という状況だそうだ。こうしたシリアスな情報をさらりとあこれこれ披露しながらも、今中助教の語り口は常に飄々としていて読後感が心地よい。

他方、小出助教の同志社大での講演録は、原子力の基本問題をわかりやすく解き明かしつつ、徐々に国への義憤の熱を原子炉のように高めていく小出節が誌面から伝わってくるはずだ。

◆「東のたんぽぽ舎」と「西の鹿砦社」の協力で生まれた脱原発雑誌!

かつてスキャンダル雑誌の世界では、東の『噂の真相』、西の『紙の爆弾』と呼ばれていた。『噂の真相』はすでにもうないが、『紙の爆弾』はしぶとく健在だ。

今回の『NO NUKES voice 』では、西の鹿砦社が長年、「脱原発」で地道に活動をしてきた東のたんぽぽ舎の協力を得て初めて実現した雑誌でもある。これから世代を超えて続けねばならぬ脱原発運動の新たな共同戦線の始まりで、創刊号はその最初の狼煙。街の書店で見かけたら、ぜひお手に一冊を!

(本間 解)

◆「NO NUKES voice」の発刊を祝って

松岡社長率いる鹿砦社が「脱原発」に特化した雑誌「NO NUKES voice」を8月25日発刊する。これまでも「脱原発」に関する書籍やパンフレットは多数出版されてきたが、本格的定期刊行物としては初めての試みではないだろうか。鹿砦社の発行の雑誌にしては珍しく垢抜けして、ポップな「市民に受け入れられやすそうな」ネーミングが逆に怪しさを感じさせる(笑)が、松岡社長の意気込みは真剣そのものである。安倍反動政権が再稼働、輸出策動を推し進める中で、脱原発運動の重要な一翼を「NO NUKES voice」が担うことが期待される。

◆「美味しんぼ」騒動における大阪府・市の「抗議文」

私が本コラムを担当させていただくにあたり、初回は「NO NUKES voice」発刊にエールを送る意味で、少々話題としては古いものの「美味しんぼ」騒動における大阪府・市の対応について報告する。

「美味しんぼ」は「週刊ビックコミックスピリッツ」に連載されていたが、その中で福島や大阪での描写が集中批判の的となり、現在休載している。

私は大阪市及び大阪府が5月12日、HPに掲載した「週刊ビックコミックスピリッツ『美味しんぼ』に関する抗議について」の内容を確認し、これは怪しいと直感した。

「週刊ビックコミックスピリッツ『美味しんぼ』 に関する抗議文について」は、株式会社小学館の相賀昌宏代表取締役に対し大阪府知事の松井一郎氏と、大阪市長橋下徹氏が連名で提出しているものである。

その文章の中に抗議をする根拠として以下の記述がある。

「また、処理を行った焼却工場の存在する此花区役所、同保健福祉センター、此花区医師会に確認をしましたが、処理中においても、その後においても、作中に表現のある『大阪で受け入れたガレキを処理する焼却場の近くに住む多数の住民に眼や呼吸器系の症状が出ている』というような状況はございませんでした。」

これを真に受けるとあたかも大阪府や大阪市が周辺住民に子細な調査を行った結果「何も被害はなかった」と結論付けているように読めるが、実際は全くそうではない。私は大阪市役所に電話取材を行ったところ、環境局の担当者は「HPにあるように区役所や、保健センター、医師会に鼻血などの変調を訴えて受診した人がいるか、と聞いたが該当者はいなかった」というのが回答であった。

◆鼻血が出たら病院へいきますか?

「美味しんぼ」では大阪のお母さんが1000人に聞き取りを行ったところ鼻血が出るなどの症状を訴える人が800人ほどいた、とする内容を掲載しているのだが、大阪府、市は聞き取り調査を行ったわけではなく、ただ「鼻血を理由に受診並びに相談に訪れた人がいたか」を保健所や医師会に問い合わせただけだったのである。

大阪市の担当者に私が「貴方は鼻血が出たら病院へいきますか?」と尋ねたところ、「鼻血くらいでは普通病院にはいきませんわな」との回答、更に「美味しんぼ」では一応聞き取り調査を行った結果としての描写になっているが、「大阪府、市は実際に当該地区の聞き取り調査を行ったのか」との質問に対して「聞き取り調査は行っていないが、医師会などへの質問で実態は把握できていると考える」との回答だった。

要するにまともな調査も行わずに、雑誌に掲載された漫画の内容が気に食わないというだけで、大阪知事・市長は「抗議」を行っていたのである。大阪市役所の担当者が正直に白状したとおり、鼻血が出ても医療機関に出向く人は一般的な感覚からすればそうそういるものではない。行政機関が一般企業(しかも出版社に)「抗議」をするのであれば、最低限の調査や科学的根拠があってしかるべきであろうが、そんなものはどこにもなかったのである。

つまり、「美味しんぼ」が(実際に行われたかどうかはともかく)「調査報道」の形態で作品を構成している(しかも作品中で「この症状が放射線の影響によるものかどうかは断定できない」と断っている)のに対して、それに抗議するにあたり、大阪府、市は最低限の調査すら行っていなかったのだ。

そうでありながら「風評被害を招き、ひいては平穏で安寧な市民生活を脅かす恐れのある極めて不適切な表現であり(中略)場合によっては法的措置を講じる旨、申し添えます」との表現は「抗議」に名を借りた行政権力による表現の自由への恫喝以外の何物でもありえない。

環境局の担当者M氏は「その後市長が記者会見でもうあの問題はいい、というてはりましたからええんちゃいますか」と私に述べたが、そうであるならば、この恫喝「抗議文」を撤回するべきである。

◆「抗議」に名を借りた行政権力

「美味しんぼ」に関しては複数の閣僚や、福島県知事、多くの与党議員がヒステリックに批判を展開したが、その実作品中に描かれている事実(例えば井戸川前双葉町町長の発言)などはこの作品以外の多くの場面でも述べられている既知の事柄であることは少し時間を割いて調べれば容易に確認できる。更に事故直後、自民党がまだ野党であった時期に自民党議員複数が国会で「鼻血」についての質問を行っているのだ。

大阪府・市をはじめとする一連の「美味しんぼ叩き」は、福島原発事故被害を隠ぺいしようとする政府・権力側の意に沿った低レベルな「風評被害払拭キャンペーン」の一翼を担うものであることは明らかだ。離合集散を繰り返す「維新」の代表橋下大阪市長は「脱原発」を主張しているが、この「抗議」のような言論弾圧を何の躊躇もなく行う「ファシスト」であるという事実がまた再度明らかになった。こんな連中と合流を模索している「結いの党」に所属する連中や「維新との連立は100%ある」と発言した前原誠司などは今後必ず何度も国民を裏切るであろう。
凋落が明らかな「維新」をわざわざ叩かなくても、という向きもあるかもしれないが、橋下市長にとって集票と人気取りのためであれば何の大義もない「選挙」であろうが「カジノ」であろうが「脱原発」であろうが持ち出すキーワードは何でもよいのである。橋下に騙されている大阪市民はそろそろ覚醒してはくれまいか。

◆「戦中」下から脱原発を!

3・11は取り返しのつかない膨大な被害をこの国にまき散らした。しかし遅すぎたかもしれないが、これまでとは比較にならない数の人々が政府やマスコミの本質に気が付き始めた。そして考えるだけでなく行動を起こす市民も増えている。死滅した文化であった感のある「街頭デモ」が行われる姿も首都圏では珍しくなくなった。

原発以外の状況を見渡せば、もう既に「戦中」と言っても過言ではない悪法整備、解釈改憲が進行する絶望的状況ではある。そんな時代であるからこそ地道で、腰を据えた言論や運動が必要とされているのではないだろうか。

繰り返すが「NO NUKES voice」に寄せられる期待は大きい。そして同時に我々市民がより賢くなり、権力から受動的に飼いならされた生活を克服してゆくことが、容易ではないだろうが大変重要な鍵を握る。厳しい時代だからこそ与えられたこのコラムに筆者も全霊をぶつけていきたいと考える。 (田所敏夫)

 

民主党は12月25日午後の両院議員総会で、新代表に海江田万里(63)を選出した。投票は党所属国会議員145人(衆院57人、参院88人)によって行われ、海江田氏が90票を獲得し、対立候補の馬淵澄夫政調会長代理(52)の54票を上回った。無効票が1票あった。
衆院選で海江田は、東京1区で落選し比例で復活している。

海江田こそ、東日本大震災で福島第一原発が爆発したとき、おおいに慌てて消防隊を恫喝、昨年7月、あげくのはてに国会で責任を問われ「いつ辞任するのか」との追及に涙した御仁だ。

海江田のホームページで「実現したい7つの政策」を見ると、原発に関する言及はない。
菅政権の経済産業大臣として海江田は、玄海原発の再稼働を要請し、昨年6月29日、古川康佐賀県知事と面会して、合意した。翌日の6月30日、菅首相が再稼働にあたってはストレステストが必要と主張し、再稼働は先送りになった。

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筆者は、原発擁護の説にも、耳を傾けるように気を配っている。反対者の声を聞くことは、自らの言葉を正確にし、強さを得ることになるから、物を書く者としては当然のことだ。それだけでなく、あれだけの災厄を目の当たりにしての原発擁護には、「いい根性してるな」と尊敬の念さえ湧く。

経済学者・池田信夫氏の12月15日のブログ「活断層はなぜ今ごろ『発見』されたのか」には、仰天した。
福井県の敦賀原発2号機の下にあるのは活断層だ、とした原子力規制委員会の見解を批判する内容である、

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原発利権フィクサーとして知られる白川司郎が、「最後の大物フィクサー」という表現が名誉毀損だとして、ジャーナリスト田中稔を訴えた裁判が12月10日、東京地裁で行われた。
同訴訟については、国境なき記者団(本部パリ)が「名誉毀損で訴えられている調査報道ジャーナリスト田中稔氏を全面的に支援する」という声明を発表。8月31日に外国特派員協会(有楽町)が、田中稔を招待し、記者会見を開くなど、海外メディアの関心も高い。一方、国内の大手メディアからは全く無視されてきた裁判だ。

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「日本のほとんど全部の原発が活断層の上に建っていることは、30年以上前から議論になってきた。まともに科学的検証が行われていれば、福島第一原発の事故もなかった。だから、今さらになって……、という感は否めないが、公に指摘された意義は大きい。稼働している大飯原発も、活断層の上に建っている。規制庁の発足も待たずに大飯を『自分の責任で』と稼働させた野田首相は、実際に何らかの責任を取るべきだろう」(脱原発活動家)
日本原子力発電・敦賀原発(福井県)の敷地内にある断層を調べていた原子力規制委員会の有識者会合は12月10日、2号機原子炉建屋の直下に活断層が通っている可能性がある、とする見解で大筋合意した。

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衆院選では、自民党が政権奪回する、という予測がもっぱらだ。
脱原発=「命」よりも景気=「金」のほうが、大事だとでもいうのだろうか。
沈黙していた「棄権党」が、今こそ立ち上がって、状況を変えてほしい。
脱原発したら、より景気が冷え込むなどというのも、推進派のウソだ。
原発に関わる雇用が失われ、立地地域の景気には影響が出るだろうが、本当の意味での地域復興を考えるべきなのだ。

本当のことが言えない状態でも、原発に関する論議は進んできた。
今や、さすがに「原発はCO2 を出さないクリーンなエネルギー」だという主張は影を潜めた。どう考えても、CO2より放射能のほうが危険だ。
原発推進派は、本音を口に出すようになった。野田政権も「安全保障」という言葉を使った。日本維新の会の代表の石原慎太郎は、原子力技術を保有することは、核武装のオプションをもつ上で不可欠だ、と語った。

これは原子力を手にしたいと願ったときからの、国の本音だったのだろう。それを「クリーンなエネルギー」などというウソで、リスクを地方に押しつけてきた。事故を起こして子どもたちに放射能を浴びせておいて、よくも今さら、そんな本音が言えるものだ。

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12月2日に起きた、信じられないような事故。山梨県の中央自動車道の笹子(ささご)トンネルで天井のコンクリート板が崩落。9人が死亡、2人が怪我をした。
この事故を受けて4日、山梨県警は、トンネルを管理する中日本高速道路の本社(名古屋市)、八王子支社(東京都)や保守点検を担当する大月保全・サービスセンター(山梨県大月市)など計6カ所に家宅捜索に入り、資料を押収した。

このニュースを聞いて、「おやっ」と思った人々も多いのではないか。
笹子トンネルの事故も痛ましいが、フクシマの人々の暮らしを根こそぎ奪い、双葉病院の患者ら50名の命を奪い、今後、どのような健康被害を生み出すか分からない、福島第一原発事故を引き起こした、東京電力は、いまだに家宅捜索されていない。

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