福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈3〉 大今 歩

《3》「福島県民健康調査」における小児甲状腺がん発見は「過剰診断なのか」

高野らが甲状腺がんの「多発見」は「過剰診断が原因だ」と述べる根拠を検討する。

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

(1)甲状腺がんは低危険度がんで進行は極めて遅く、その多くは生涯にわたって無害に経過する。これに対して甲状腺がん外科医の清水一雄検討委委員は2016年9月の第24回検討委において、2年程度で35ミリに増殖したがんについて、「これはちょっとアンユージュアル(普通ではない)という感じもする」と驚きを隠さなかった。(和田真『DAYS JAPAN』2018年8月増刊号)。このようながんを見つけることが「過剰診断」であるとは到底言えない。
 
(2)諸外国でもすぐに手術を行うのではなく、経過観察も選択肢となっている

経過観察が選択肢になっていることは良いことだと思う。手術は常に危険を伴い、患者にメリットをもたらすとは限らないからである。しかし、そのことと甲状腺検査の中止とは関係がない。甲状腺がんが発見された患者に選択肢を示して選べるようにすれば良いだけのことである。

福島県で甲状腺がんと診断された患者の大半の手術を執刀している鈴木真1教授(福島県立医大)は2018年末までに180人のうち、リンパ節転移があった患者は72%、組織外浸潤も47%あり、11人が再手術を受ける必要があったという(白石草・同前)。また前述の山下俊1も2020年3月4日「子ども脱被曝裁判」の福島地裁における尋問で、摘出手術したがんに手術の必要がなかったケースはないことを認めている(添田孝史『東電原発事故10年で明らかになったこと』平凡社)。

このように手術を受けた患者にとって「過剰診断」は当たらない。

(3)「過剰診断」は重大な被害に結びつく

高野は「過剰診断」について次のように述べている。
①世間一般では明日をも知れぬ命とみなされてしまう。
②進学・就職・結婚・出産などにハンディをもたらす
③「手術するかどうか」に決断を迫られる。
④治療を受けなければ「がんを治療せず、放置する厄介な子」と誤解される(高野徹『日本リスク研究会誌』)Vol28 No・2)。

第33回検討委(2018年12月27日)において、メンバーが甲状腺診断の被害のデータを求めたところ、高野は「甲状腺がんが発見された人が口を揃えて言うことは検査を受ける前に戻りたいと(中略)、これを強く訴える」と答えた。

この発言に対し、前述の成井香苗委員は「超音波検査に具体的な病気としての被害があるのかと思ったが、今のお話だと心理的被害なので、それならば心理的ケアをきちんとやるべきだということの方が本筋だと思う」と述べた(平沼百合『科学』2019年3月号)。

高野が述べる健康調査がもたらす重大被害の①②④は周りの偏見であり、甲状腺がんの性質を粘り強く説明していくことにより解消できるし、本人の被害も小さくできる。また③は前述の通り、手術のメリットやデメリットを本人や周囲が判断すべきことで被害とは言えない。発見により本人の健康を守るメリットに繋がるかもしれないからである。

むしろ被害をもたらすのは福島原発事故により甲状腺がんに罹患することそのものである。前述の「子ども甲状腺がん裁判」原告Aさんも「待望の大学進学を果たしたものの、肺に転移・再発して辞めざるを得なかった」と述べている(松本徳子・前掲)。

(4)国際的にも「過剰診断論」は認められている

まず、高野らはIARC(国際ガン研究機構)は2018年「被曝の可能性がある場合でも、甲状腺超音波検査を始めとしたがん検診的なことはするべきではない」と提案した。だから国際的評価は決まっているとする。

しかし、IARCには日本の環境省が36万ユーロを拠出した。そして、原発事故後の甲状腺検査のあり方を検討する専門グループを設立したが、報告書の策定に関わったメンバーは原子力問題に関わりの深い専門家ばかりで、事務局は日本人スタッフが担っていた報告書をお披露目する国際シンポジウムでコーディネーターを務めたのは前述の山下俊1だった(白石草『世界』2021年3月号)。

IARCの報告書は環境省が費用を拠出して「被曝安全神話」に立つ日本人スタッフが中心になってまとめた可能性が高い。

もう1つ高野らがその主張の正しさの裏付けとしているのが2021年3月10日、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)が発表した報告書である。

同報告書は公衆の被曝線量推計値を2013年の報告書より大幅に減少させたうえで、「甲状腺がんは被曝問題とは考えにくい」「発生率の増加は過剰診断が原因」「子どもの甲状腺がんは予後が良い」などとした。

しかし、キース・ベーヴァ―ストック博士は「UNSCEARに専門家を派遣しているのは、ほとんどが原子力を推進利用している国である。いわば密猟者と猟場番人が同1人物という形なのである」(「福島原発に関するUNSCEAR2013年報告書に対する批判的検証」(『科学』2014年11月号)。

[注]キースベイバスドック博士はロンドン大学卒業後、英国ハーウェル原子力研究所で電離放射線の公衆衛生及び労働衛生に与える影響に関する広範な研究を行う。1991年~2003年、世界保健機構(WHO)欧州地域事務所で放射線防護プログラムを指揮。WHOでは特にベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの増加をいち早く発見し、世界の注目を集めた(同前『科学』)。

事実UNSCEARの2017年~19年の日本代表は、放射線医学研究所(放医研。1950年に設立された放射線の人体への影響などを研究する組織)の本部長補佐、明石真言であった。彼は2011年9月、日本財団の国際専門家会議で「チェルノブイリに比べれば大した事故ではなく、将来的にも健康に関する心配は何もない」と断定した。その後も明石は検討委や環境省の「専門家会議」(放射線によるがん多発を否定)(2013年~14年)のメンバー(和田真『DAYS JAPAN』2017年4月号)。

そしてUNSCEARの上級顧問を務め、2020年報告の取りまとめに携わった。このようにUNSCEARによる「2020年報告」も「被曝安全神話」を唱える高野と同じ立場の日本の「専門家」が深く関わっているのである。

◆おわりに

本書の主著者である高野徹らの検討委により、2021年4月から小児甲状腺がんの学校検診はなくなり、福島県立医大に同意書を出した者のみの検診となってしまった(黒田節子『人民新聞』2022年1月5日号)。

本書の「過剰診断論」は福島原発事故による健康被害を否定し、東電をかばい、「被曝安全神話」を広める。甲状腺がん検査の縮小は事故と甲状腺がんの関係の解明を困難にする。

そして、「被曝安全神話」は「原発安全神話」につながり、政府が進めようとしている原発再稼働や小型原発開発を許す役割をしかねない。しかも本書の執筆者の中には児玉一八のように原発反対を唱えてきた良心的な学者も含まれている。そのことは現在の危機的状況を如実に示している。

子ども甲状腺がん裁判が「過剰診断論」を打ち破って国や東電により甲状腺がんに罹ったことを認めさせ、責任をとらせることを願ってやまない。

◎大今歩 福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか
     《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判

〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50162
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50167
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50170

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎『季節』創刊10周年特別企画『脱(反)原発のための季節セレクション』(仮)
出版のためのクラウドファンディングご支援のお願い

https://readyfor.jp/projects/kisetu_nonukes
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/
◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

《墓碑銘》志半ばに斃れた反原発の闘士 その志を継いで『季節』は継続します! 鹿砦社代表 松岡利康

『季節』を発行し始めてから多くの稀有の闘士に巡り合いました。みなさんに『季節』は支えられてきましたが、志半ばに斃(たお)れ、『季節』の発行に痛手となりました。

特に、創刊から報告記事を寄稿いただいた渕上太郎さん、『季節』を創刊するや、待ってましたとばかり連絡してこられ2号から毎号独特の反原発記事を寄稿いただいた納谷正基さん、私と同期で妙にウマが合った北村肇さん──。

渕上太郎さんは、3・11後、すぐに経済産業省前にテントを張り座り込み行動を開始、渕上さんはその代表でした。渕上さん亡き後も、それはいまだに続いています。中心になったのは、いわゆる団塊の世代で、かつて全共闘運動やベトナム反戦運動に関わった方々でした。渕上さんの後の報告記事は三上治さんが引き継ぎ綴っておられます。

渕上太郎さん

納谷正基さんは、教育ジャーナリストといおうか、全国の高校を回り講演活動を続けてこられました。これだけだったらざらにいるわけですが、彼はそこで原発や原爆の怖さを語り、年々呼ぶ高校が減っていきました。それでも彼は頑固にみずからの主張を亡くなるまで曲げませんでした。それは、お連れ合いが広島の被爆2世で苦しみながら亡くなったことが原体験となっています。

私たちが『季節』を創刊する以前から陰ながら当社の本の熱心な読者でした。しかし、そうした彼のファンは多くいて、ある時、関西を訪問し当社と交流する機会があり、ある大学の学長は、大学の業務を済ませた後、わざわざ関西まで駆け付けられたほどです。

納谷正基さん

北村肇さん、『サンデー毎日』編集長の際、「芸能界のドン」バーニング告発の連載を行い、その後は『週刊金曜日』編集著兼発行人として活動され、『季節』や『紙の爆弾』とも連携し、大手メディアが腐敗していく中で獅子奮迅の闘いを持続されました。

私と同期(1970年大学入学)で、妙にウマが合い連帯を強めました。しかし、病が彼を襲い、残念ながら共闘関係はなくなりました。その後、『週刊金曜日』から広告掲載拒否、事実上の絶縁を宣言されました。私に言わせば、現在『週刊金曜日』から北村色は一掃され、北村さんの志を蔑ろにし、自由な言論を体現するというメディアとしての使命を忘れ、北村さんの望まない方向に向かっているといえるでしょう。

北村肇さん

渕上さん、納谷さん、北村さん ── 私たちは、あなた方の志を忘れることなく、この小さな雑誌『季節』を持続し反(脱)原発の唯一の雑誌として在り続けることを誓います。

(松岡利康)

8月5日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)

A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

《回想》『季節』創刊から10年後の想い 鹿砦社代表 松岡利康

本誌は2014年8月に創刊しました。創刊時の誌名は『NO NUKES voice』でした。私が創刊時の編集長を務めました。実は他に編集長に据えた人物がいたのですが、実際に取材、編集活動に入る寸前で降りたのでやむなく私が務め船出しました。私は6号まで編集長を務め、7号から小島卓に引き継ぎ現在に至っています。

創刊時の発行部数は、なんと2万部! その後、実売が芳しくないとの理由で取次会社にどんどん書店への委託配本部数を減らされてきています。現在の部数はあえて秘しますが、推して知るべしです。あれだけの甚大な被害を与え、多くの方々の人生や暮らしを一変させ、いまだに避難を余儀なくさせたり後遺症に苦しませている原発事故は他人事になったのでしょうか? ひとつの小さな雑誌の売行が悪いからといって申し上げているのではありませんが、福島の原発事故は、遺憾ながら風化し忘却の彼方に追いやられています。

幸い、たんぽぽ舎はじめ直販や定期購読などでこの雑誌は命脈を保っています。ちょうどいい機会ですから声を大きくして叫びますが、ぜひ友人、知人の方々に拡販をお願いする次第です。

3・11東日本大震災により福島第一原発に大事故が起きました。この時、日本中の多くの人たちが、この国の未来に恐怖を覚えたはずです。だからこそ、多くの人たちが抗議の声を挙げ続けたのではないでしょうか。それも今はもうどこかに行ったのでしょうか。――

その時の危機感が、私たちに原発事故を起こした責任者追及の本を出させたと思います。『東電・原発おっかけマップ』『タブーなき原発事故調書』で、東電や御用学者らへの直撃取材は、この時の怒りが基になっています。これら2冊の本は、その内容ゆえに取次会社に書店への配本を拒否させられました。未読の方は、これらもぜひご購読いただきたいと思います。

これに続いて反原発関係の書籍も続けるつもりでしたが、むしろ定期刊行物を発行し続けることで反(脱)原発の声を挙げ続けている方々、福島県内外で頑張っておられる被災者の方々らと連携し、その声を誌面に反映していくことに気持ちが高まっていき、これが本誌創刊の動機になっています。

創刊から5年が経った20号で、この時の想いを書いておりますのでぜひ紐解いていただきたいですが、この頃はまだコロナ以前で、会社も左団扇の時代でした。会社が創業50年の年でした。

その後コロナが襲来、この5年はコロナとの闘いでもあり、発行自体が困難な時期で、それは今も続いています。

限られた誌面で、この10年の想いは語り尽くせませんが、前半は比較的余裕があり、後半は逆に苦境の中での発行でした。苦境は今でも続いていますが、それはそれとして、福島で必死に頑張っている方々を思うと、放り投げるわけにはいきません。岩にかじりついてでも連帯して発行を継続しなければなりません。なにしろ類似誌がないわけですから、この雑誌がなくなれば福島の声や全国の反(脱)原発の声を反映する場がなくなります。

皆様方にありましては、どうか本誌の発行継続のためにご支援をお願いする次第です。

(松岡利康)

8月5日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)

A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

『季節』創刊10周年に際して ── 季節編集委員会

本誌『季節』が創刊から10周年を迎えました。創刊時の誌名は『NO NUKES voice』でした。あっというまの10年でした。この間に新型コロナが世界を席巻し、反(脱)原発運動も私たちの出版活動も停滞を余儀なくされました。

創刊は2014年で、まだ反(脱)原発運動も盛り上がっていて、連日国会前には原発事故、再稼働の策動に対する抗議の集会が続いていました。それは翌15年の安保法制に対する運動と連動しピークを迎えました。

その抗議の声も次第に終息していきました。にわか活動家もいつのまにか消えていきました。

しかし、運動の(表向き)後退期にあっても、今に至るも地道な老朽原発の(再)稼働に抗し、被曝問題、避難問題などに取り組んでいる方々がおられます。本誌を毎号紐解いておられる方は感じておられるように、先頭になって全国を奔走されている小出裕章、樋口英明先生らや、全国の現場で地道に活動をされている無名・無数の方々の力を結集し本誌は発行を続けてきました。創刊時は財政的にも比較的余裕がありましたが、新型コロナ襲来で厳しい局面を迎え苦しい中でも発行を継続しています。

そうして創刊10周年―― 財政的にも、友人・知人、未知の方々、著名な方々から無名の市井人まで多くの方々のお力を借りて手作りで発行を継続しています。こうした雑誌は、それが本来の姿かもしれません。

本誌は、本日から次の10年に向けて再出発いたします。私たちの存在や力は小さいです。皆様方と共に、また皆様方と支え合い、時に皆様方のお力をお借りし邁進してまいります。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

2024年8月
季節編集委員会

8月5日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)

A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈2〉 大今 歩

《2》被曝と小児甲状腺がん多発に関係はないのか

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

本書では「放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」をはじめ、多くの専門機関は福島県の子どもたちに見つかった甲状腺がんは放射線によるものではないと判断している。すなわち「甲状腺がんの多発見はスクリーニングが原因であり、過剰診断が起こってしまった」と述べる(児玉一八「原発事故と甲状腺」)。

小児甲状腺がんは100万人に1人~2人とされるのに福島では先行検査(2011年~2013年)で116人、本格検査2巡目(2014年~2015年)で71人もの患者が見つかった。ところが、2016年、先行検査について検討委は「甲状腺がんが通常の数十倍のオーダーで多い」ことを認めながら、「先行検査を終えて、これまでに発見された甲状腺がんについては(中略)、放射線の影響とは考えにくい」と評価した。

そして、2017年11月本格調査について評価部会は、外部被曝線量を線引きして4地域に分けて「避難区域の13市町村(10万人当たり49.2人)→中通り(同25.5人)→浜通り(同19.6人)→会津地方(15.5人)」の順で甲状腺がん発見率が高いことを認めた。

ところが、鈴木元評価部会長は「年齢や検査時期などを調整する必要がある」などと地域別の分析を投げ出してしまう(白石・同前)。外部被曝線量が多い地域ほど甲状腺がん発見率が高いことを覆い隠すためとしか考えられない。

そこで鈴木らが頼ったのがUNSCEARが公表した推計甲状腺吸収線量のデータである。これに基づいて2019年2月に提出された中間報告は「20ミリグレイ(=シーベルト)以下のグループに対して20~25ミリグレイは悪性率が高いと認める」ものの、「25~30ミリグレイ及び30ミリグレイ以上は高いけれども有意ではない」から、現時点において「本格検査で発見された甲状腺がんと放射線被曝との関連は認められない」とした。

ところが、その後驚くべき事実が発覚した。4月8日に開催された検討委後の記者会見で、雑誌『科学』(岩波書店)の編集長が計算違いを指摘すると、鈴木氏は「入力ミスがあったという指摘は受け止める」とあっさり誤りを認めたのである。
 
訂正されたUNSCEARの数値を用いても被曝被と悪性率の関係は明らかである。20ミリグレイ以下に対して20~25ミリグレイは2・42倍、25~30ミリグレイは1.34倍、30ミリグレイ以上では1.21倍となっている。20ミリグレイぐらい以上を合わせるとそれ以下に対して1.69倍となっている。有意な差があるのである。(牧野淳一郎『科学』2019年5月号)。

そして当日の検討委でも、「なぜ当初の4地区で解析できないのか」(成井香苗委員)など再解析を迫る意見が相次いだ。しかし同年6月公表された「甲状腺本格検査結果に対する部会まとめ」は何の変更もなく事実を覆い隠した。

このように福島県内では小児甲状腺がんが全国に比べて数十倍のオーダーで高く発生している。しかも福島県内の4地区を比較すると、外部被曝線量の多い地域ほど甲状腺がん発見率が高い。UNSCEARの数値を用いても被曝と悪性率の関係は明らかである。にもかかわらず、本格検査について検討委は「現時点では被曝との関係は認められない」という結論を変えようとしない。

高野らが関わった検討委の被曝と甲状腺がんは関係ないとする主張には大いに疑問が残る。(つづく)

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5R2HKN5/
◎『季節』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CWTPSB9F/

福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈1〉 大今 歩

◆はじめに 甲状腺全摘4人、片側切除2人……

2022年1月27日、小泉純一郎、細川護熙、菅直人、鳩山由紀夫、村山富市の5人の元首相はEU(欧州連合)の欧州委員会が「(『脱炭素』のため)原発を環境に配慮した投資先」のリストに加えようとしている動きに対して、福島原発事故によって「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」などを理由にこれに反対する書簡を送った。

この書簡に対して政府、自民党、福島県は5人の元首相に抗議・避難の文書を出した。例えば、山口壮環境相(当時)は、「福島県の子どもに放射線による健康被害が生じているという誤った差別や偏見を助長することが懸念されます」と指摘した(佐藤和雄『金曜日』2022年2月18日号)。小泉らの書簡は「風評被害を助長する」というのである。

書簡と同日(1月27日)、17歳~28歳の男女6人が福島原発事故のため、甲状腺がんに罹ったとして東電に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴えによると、原告のうち、2人は甲状腺の片側を切除。4人は再発によって甲状腺を全摘した(2022年1月28日付朝日新聞)。

5月26日、東京地裁で第1回口頭弁論が開かれ、原告が意見陳述を行った。原告Aさんは「この裁判を通じて、甲状腺がん患者に対する補償が実現することを願います」と締めくくった(松本徳子『人民新聞』2022年6月20日)。

小児甲状腺がんは通常100万人に1~2人程度の割合で見つかる稀少ながんである。ところが、人口約200万人の福島県では事故後、今日まで約300人に発見された。小児甲状腺がんは「風評(うわさ)」ではなく、福島の子どもたちを襲う現実に他ならない。原発事故を起こした国や東電の責任が問われねばならない。

「風評被害」の根拠は「過剰診断論」である。精密な検査により、治療の必要のないがんを多数見つけているため患者数が多いというものである。本書では5人の著者が「過剰診断」が福島の子どもたちに「被害」を及ぼしているとして、福島県による甲状腺検査の中止を求めている。本書の主張である「過剰診断論」について検討したい。

◆福島県における小児甲状腺がん検査

1986年、ソ連チェルノブイリ原発事故後、周辺地域の住民に小児甲状腺がんが多発した。IAEA(国際原子力機関)など国際機関とウクライナ、ロシア政府は事故と小児甲状腺がんとの関連を認めた。

これを受けて、2011年の福島原発事故後、福島県は事故当時18歳以下であった県民約38万人を対象に2年ごとの甲状腺検査を開始した。昨年からは5巡目の調査に入った。前述のようにこの調査によって約300人が甲状腺がんと診断されたのである。

◆本書の概要 「過剰診断論」「検査縮小論」の主張者・高野徹を中心に

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

本書の主著者である高野徹は大阪大学講師で2017年11月、福島県民健康調査検討委員会(以下、検討委)及びその甲状腺検査評価部会(以下、評価部会)のメンバーとなった。高野を推薦した日本甲状腺学会は、かつて検討委の座長であった山下俊一が理事長を務めていた。山下は事故直後に福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任し、「100ミリシーベルトまでなら全く心配はいりません」などの放言で知られる「被爆安全神話」の主唱者である。

高野徹は以後、評価部会や検討委において繰り返し「過剰診断論」や「検査縮小論」を強く主張してきた。

本書では高野を始め、緑川早苗(宮城学院女子大学教授)や大津留晶(長崎大学客員教授)など検討委のメンバーが「過剰診断論」を唱える。まず、本書の大きな流れを示したい。

①福島原発事故はチェルノブイリ原発事故に比べてヨウ素131の放出量は10分の1程度である。

②事故による被曝とがん多発の因果関係は考えにくいのに「過剰診断」によって小児甲状腺がんが多数見つかっている。

③小児甲状腺がんの性質は大人しく悪性化しないのに、がんと診断されて、子どもは進学・就職・結婚のハンディを持つため、検査は中止すべきである。
 次に順を追って「過剰診断論」について検討したい。

《1》福島原発事故によるヨウ素131の被曝量はチェルノブイリ事故に比べて低かったのか
 
本書は「福島第一原発事故によるヨウ素131の大気放出量はチェルノブイリ原発事故の放出量と比較して約10分の1程度であった」として「事故で放出された放射性物質によって健康影響が出ると考えられる量の放射線被曝はしていない」(児玉一八「はじめに」)とする。

しかし、初期被曝のデータは極めて少ない。2011年3月20日以降、国は甲状腺の被曝量の計測を実施したが、1080人というわずかな人数を計測したものに過ぎなかった。しかも限定的な検査は意図的なものだった可能性が高い(榊原崇仁『福島が沈黙した日』集英社新書)。

また「健康被害が出ると考えられる量の放射線被曝はしていない」のか。甲状腺がんが多く見つかっているベラルーシ・ゴメリの事故後1年間の平均実効線量は3.65ミリシーベルトだった(UNSCEAR報告書2008年版)。これに対し、福島事故のデータをまとめた同20年報告書によると、福島市の平均実効線量は5.3ミリシーベルト。郡山市は5.0ミリシーベルトだった(白石草『週刊金曜日』2021年3月26日号)。このようにゴメリよりも福島市や郡山市の方が線量が高いのである。健康影響が出ないと断定することに大いに疑問がある。(つづく)

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5R2HKN5/
◎『季節』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CWTPSB9F/

政府「エネルギー基本計画」における「原子力の位置付け」の嘘八百〈後編〉  立地妥当性や経済性を「対象外」とした規制基準 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◆環境適合性は最悪の原発

「環境(適合性)」については唯一「発電段階で二酸化炭素を出さない」この1点だけだ。

日本の発電所から排出される二酸化炭素は全放出量の4割程度である。

この4割のうち半分以上は石炭火力なので、これを全部廃止し、天然ガスまたは最近注目を浴びるアンモニア(混焼を含む)などを使えば、4分の1以下にできるという。火力の全部を原発にすることは不可能だが、石炭火力を全部天然ガスやアンモニアにすることは現在の技術でも十分可能だ。

二酸化炭素だけをとっても原発でなければならない理由はない。もちろん、再生可能エネルギーに置き換えることが最も重要だが。原子力の環境問題と言えば、もっと重大なもの、放射性物質(廃棄物を含む)による被ばくの問題は無視されている。

原発は運転中にも大量の放射性物質を海や大気に放出しており、例えば加圧水型軽水炉の玄海原発では10年間に約800兆ベクレルのトリチウムを放出してきた。これは福島第一原発で今問題となっている汚染水に含まれる量に匹敵している。ほかにもセシウムやヨウ素なども一定量を排出している。

さらに重大なのは、エネ基でも「推進する」とされている核燃料サイクルのうち「原発が1年で放出する放射能を1日で放出する」とされる再処理工場だ。

一般に、原発には「五重の壁」があり、放射性物質はそれに封じ込められているから人体や環境に影響を与えないと宣伝されている。再処理工場ではこの壁をことごとく取り去って使用済燃料を硝酸に溶かし、ウランやプルトニウムを取り出す。この工程で大量の放射性物質を海中や大気中に放出している。

事故が起きなくても再処理工場の沖合や周辺敷地にはヨウ素、セシウム、ストロンチウム、トリチウム、ルテニウム、コバルト、プルトニウム、ウランなどの放射性物質が蓄積している。これが環境汚染でなくて何であろうか。

さらに、福島第一原発事故のような大事故を起こせば、その何百倍もの取り返しのつかない環境汚染を引き起こし、回復には膨大な時間がかかる。これに対して責任を取れる会社などない。

国も責任を取れない(取らない)のは、現状を見れば明白だ。

◆安全性は誰も保証していない

「安全」については電事連は新規制基準をクリアしていれば安全と主張する。しかし規制委は「安全性を保障するものではない」と否定している。

この関係については、阿部知子議員(立憲民主党)による質問主意書(2014年10月7日)に対する答弁書が明らかにしている。

質問「なお、田中規制委員長が一貫して述べている『規制基準の適合性審査であって、安全だとは言わない』との表現と9月10日会見での『運転にあたり求めてきたレベルの安全性』との表現とは同じ『安全(性)』という語を用いているが、その意味するところは異なると思われる。それぞれの表現における『安全(性)』の定義と相互の関係を示されたい。」に対して、

答弁「御指摘の『規制基準の適合性審査であって、安全だとは言わない』という発言の趣旨は、『いわゆる安全神話に陥ることなく、最新の科学的知見に基づき、不断に向上させるべきものである旨を述べたもの』さらに、『運転にあたり求めてきたレベルの安全性』が確保されることが確認されたとは、規制委が九州電力から提出された川内原発の設置変更許可申請について、原子炉等規制法の設置変更許可基準に適合していることを確認したことを述べたものである。」としている。

これは閣議決定を経た文書であり、政府の公式見解だ。

「安全性の確保」には2つの意味がある。狭義には原子炉等規制法の求める基準を満たすこと。しかしこの基準は現在の知見や福島の経験に依拠しているので、新知見や新発見そして想定外の事態があれば未達成になる可能性は国も否定しない。

それに対して広義の安全性は、「不断の努力により向上させることで達成する」との考え方だ。

重要なのは「最新の科学的知見」が反映され、常に更新され続けて初めて、新知見や新発見を取り込んだ水準になるから、新規制基準適合性審査が常に安全性を担保するものではないことだ。

なぜならば、規制委以外に「更新されているかどうか」を判断する機関や組織がない。震災以前は、原子力安全委員会と原子力安全.保安院という組織がありダブルチェックする建前になっていたが、 今はそれさえなくなった。

新規制基準では、火山ガイドや基準地震動の見直しなどを適宜しているとされるが、安全を保証できるものではない。そもそも新規制基準で対象としているのは一定の自然災害と、従来の想定を超える過酷事故への対策(テロを含む特定重大事故)にとどまり、例えば立地地点の妥当性(地質、地盤、断層以外)や経済性は審査済として対象外にされている。

当然ながら経済性が悪化すれば安全対策の劣化にもつながるのだが、審査対象外だ。

唯一、日本原電の東海第二原発で「経理的基礎」が審査対象とされた。このため日本原電は東電、東北電に支援の意思を示す文書の提出を要請し、関西、中部、北陸を加えた5社で合計で3500億円が安全対策費用として資金支援されることになった。

規制委が問題にしたのは新規制基準で追加設置を余儀なくされた防潮堤などの津波対策費や特定重大事故等対処施設関連の費用だった。

これまでも日本原電に対して5社は年間約1000億円を設備維持費用として支払ってきた。しかしこれではまったく足りないため、東電に対しては電気料金の前払いとして支払いを求めている。これがなければ東海第二の再稼働はできない。

資金支援はいずれ清算される。一部は再稼働後の電気料金として充当されるが、原発が動かなければ債務不履行となり倒産する。日本原電の「経理的基礎」はきわめて脆弱だ。これでは安全の足を引っ張るのではとの危機感は、規制委にも電事連にもない。

◎山崎久隆 政府「エネルギー基本計画」における「原子力の位置付け」の嘘八百
〈前編〉原発を「準国産エネルギー」と呼ぶ欺瞞
〈後編〉立地妥当性や経済性を「対象外」とした新規制基準

本稿は『NO NUKES voice』(現『季節』)30号(2021年12月11日発売号)掲載の「『エネルギー基本計画』での『原子力の位置付け』とは」を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5R2HKN5/
◎『季節』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CWTPSB9F/

政府「エネルギー基本計画」における「原子力の位置付け」の嘘八百〈前編〉   原発を「準国産エネルギー」と呼ぶ欺瞞 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

原子力は「安全性、経済性、安定供給、環境への適合」(いわゆるS+3E)に勝れているだろうか。第6次エネルギー基本計画(以下、エネ基)は、パブリックコメントが終わり、2021年10月22日には19日に公示された選挙期間中にもかかわらず閣議決定された。

法令上は国会での議決を要しないが、十分な議論もしないままに決定された。エネ基には2030年時点の電源別構成比など、問題点が多くあり、個別に指摘するべきだが、それらはすでに他の人々から指摘する文書が発表されているので、ここではエネ基での原発の位置付けを批判する。

◆「S+3Eの観点」とは何か

エネ基には「S+3Eを大前提に」という表現が随所に出てくる。「S+3E」については「3.エネルギー政策の基本的視点(S+3E)の確認」として定義が書いてある。また、経団連や電気事業連合会(電事連)も「S+3Eに優れた電源」との表現を使う。それは「経済性(Economical efficiency)」「安定供給(Energy security)」「環境(Environment)」に加えて「安全(Safety)」だという。

電事連は、

「エネルギー源の中でも、原子力は3Eのすべての点において優れた特性を持っており、エネルギーミックスの一翼として欠かすことができない重要な電源」

と位置付ける。しかし、これは間違っている。

◆経済性の欠如はもはや明白

「経済性」の欠如は、朝日新聞(2021年8月3日付)の記事が端的に証明している。

「経済産業省は3日、電源別の発電コストの試算について詳しい数値を公表した。原発は2030年時点で1キロワット時あたり『11.7円以上』となり、前回15年の試算より1.4円上がった。最も安かったのは事業用太陽光で、『8.2円~11.8円』だった。太陽光のコストが原発を将来下回る見通しが固まった。」

経産省の原発の原価計算では、大きなボリュームを占めるはずの「10万年にもわたる将来」の核のごみ処分費用はほとんど含まれていない。これは試算そのものが2030年時点としているため、その先の処分費用については現時点での試算値を当てはめているからだ。

高レベル放射性廃棄物の処分については、ガラス固化体の地中処分費用として3.1兆円を計上しているが、福島第一原発の廃炉ですら8兆円で見通しが立たない現状では、これで済むはずがない。

さらに、福島第一原発の事故による費用の積み上げについても15.7兆円を計上するが、 これについても 「下限」であることを認めている。すでに22兆円を超える費用がかかることは確定的なうえ、100年かかるか200年かかるかという現状だ。

「ありえない」前提を置いた試算でもキロワットあたりの単価が11.7円と他の電源を上回ることが明らかになっているので、経済性に劣ることは経産省が自ら認めている。

◆原発は安定供給性に資するか

「安定供給」とは、電事連によると「エネルギー資源を安定して輸入できるようにする必要」とされている。すなわち中東依存度を下げることを言う。

しかし安定供給といえば一般的には停電しないこと、夏冬のピーク時に電力不足にならないことや、特に災害時においての系統の強靭さ(停電しない、または停電してもすぐに復旧する)を思い浮かべるが、電事連は中東依存度こそ問題だという。明らかに感覚がずれている。

しかも、中東依存度を下げることが課題となったのは第一次オイルショックの1972年以降。その当時中東原油輸入依存度が77.5%だったからだが、なんと近年では90%近くまで上昇している。

自分で課題としておきながらこの間、無策だったといっているに等しい。原発が安定供給に資するかどうか以前の問題だ。

その原発だが、燃料に使うウランはすべて輸入品で海外依存度は100%だ。電事連は同時に「日本の1次エネルギーの海外依存度は88.2%」とも言っているから、理由の1つは原発だ。

ところがここでトリックを使う。原発を「準国産エネルギー」としている。だが、これはまったく意味不明である。核燃料は運転中にプルトニウムを生成し、ウラン燃料を寿命まで燃やした場合、その4割程度の熱量が燃料の中で生成されたプルトニウムの核分裂から生じる。それを「原子炉の中で生成されたプルトニウムが作り出した熱」=「原子炉は日本にあるから準国産」なのだという。これを普通は屁理屈という。

さらに「原発の燃料はいったん装荷したら1年間は交換しなくてもよいので、その間は輸入が止まっても発電が可能」という。しかしこれも1年以上燃料が供給されなければ止まるので単なる時間差にすぎない。これに対して、核燃料サイクル施設を国内に建設し、原料ウランを輸入して濃縮プラントに入れるので、サイクル内に備蓄する効果が期待できるという。しかしそれも時間差にすぎず屁理屈だ。国内の核燃料サイクルで「上流側」とされるウラン濃縮から加工に至る施設は、現在ほとんど稼働していない。

国内の原発の多くが止まっている影響もあるが、新燃料の場合は、輸入したほうが国内で作るよりも遥かに安く済むから、電力会社が国内加工燃料を使いたがらないという事情もある。コスト高が響いて、原発の非経済性が浮き彫りになっている。

安定供給の追求は、電事連が掲げる「原発の有利さである経済性」に、ことごとく矛盾している。(つづく

◎山崎久隆 政府「エネルギー基本計画」における「原子力の位置付け」の嘘八百
〈前編〉原発を「準国産エネルギー」と呼ぶ欺瞞
〈後編〉立地妥当性や経済性を「対象外」とした新規制基準

本稿は『NO NUKES voice』(現『季節』)30号(2021年12月11日発売号)掲載の「『エネルギー基本計画』での『原子力の位置付け』とは」を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5R2HKN5/
◎『季節』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CWTPSB9F/

米国債を売れば50兆円利益と円安是正 「米官業日本政府支配」(植草一秀)/まともな科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害(広瀬隆)『紙の爆弾』8・9月合併号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは8・9月合併号(7月5日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆米国債を売れば50兆円利益と円安是正 植草一秀解説「米官業日本政府支配」
 構成・文責◎編集部

 
 

 つくられた中国漁船衝突事件

最初に振り返るのは、2010年9月7日に尖閣諸島近海で起きた中国漁船衝突事件です。海上保安庁が中国漁船の船長らを違法操業として取り締まり逮捕。これをきっかけに日本で中国脅威論が一気に高まっていきます。

この事件はなぜ起きたのか? 日本と中国の間にはもともと「棚上げ合意」がありました。たとえば、読売新聞1979年5月31日付の社説には、「尖閣諸島の領有権問題は1972年の国交正常化の時も、昨年夏の日中平和友好条約の調印の際にも問題になったが、いわゆる『触れないでおこう』方式で処理されてきた。つまり、日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた。(中略)約束した以上は、これを遵守するのが筋道である」とあります。

これに基づいて日中漁業協定(2000年6月1日発効)が結ばれ、尖閣諸島がある北緯27度以南の水域には新たな規制措置を導入しないことになりました。現実的には、両国は自国漁船のみを取り締まり、相手国漁船の問題は外交ルートで注意喚起を行なうとしていました。

ところが2010年6月8日、菅直人内閣が発足初日に「尖閣諸島に関する我が国の立場は、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないというものである」と閣議決定して、「棚上げ合意」を一方的に破棄したのです。

これに基づき、国土交通省は尖閣海域の漁船取り締まり基準を、日中漁業協定から国内法に転換。そして、冒頭の事件が起きます。すなわち、従来であれば漁船を追い払うだけだったのが、この日の海上保安庁巡視船は一隻の中国漁船を接触するほど追い上げ、あげく漁船と他の巡視船がぶつかり、さらに3時間も追い回した末に漁船と乗組員を確保し船長を逮捕した。要するに日本が作り出した事件だったのです。

では、この事件の主演・企画者は誰か? それを示す事実経過がウィキリークスで暴露されており、当時の国交大臣・前原誠司氏だったことが明らかになりました。鳩山由紀夫内閣の2010年2月2日、カート・キャンベル国務次官補(当時)が来日しました。彼は小沢一郎氏と面会し、ソウルを訪問した後、米国政府に「日本での重視を、鳩山・小沢ラインではなく菅・岡田ラインに変える」旨を報告しました。

この報告をする前に、キャンベル氏は前原氏と面会していました。前原氏は「小沢さんは相手によって話の内容を変えるから注意した方がいい」とキャンベル氏に進言。さらに彼は、「このまま行くと沖縄県知事選で伊波洋一候補が勝ってしまうかもしれない」とも米国側に警告しています。

その後、キャンベル氏の報告通りに、鳩山氏と小沢氏は政権の中枢から外されて、菅直人氏と岡田克也氏を中心とする菅内閣が同年6月に組閣されました。また11月の沖縄知事選では伊波氏ではなく現職の仲井眞弘多氏が再選されています。

 ウクライナ戦争と台湾有事

この中国漁船衝突事件の経緯は、実はウクライナとロシアが戦争に至る経緯と、非常によく似ています。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nfc528fb7024e

◆まともな科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害
 語り◎広瀬 隆(作家)

 
 

「脱炭素」を掲げながら原発を推進する自公政権は明らかな「悪」だ。しかし、原発廃絶を訴えながら、二酸化炭素(CO2)の削減も強調する環境活動家らの主張にも、心から納得できない読者は少なくないのではないか。現に、メガソーラーや風力発電施設がもたらす環境破壊が大きな問題となっている。

7月号で、リニア新幹線の目的が原発復活であることを明快に暴いた作家・広瀬隆氏が「CO2地球温暖化説」の嘘を解説する。広瀬氏のユーチューブ動画「気候変動の宇宙物理学」シリーズ(https://youtu.be/JSD2PyaOEmw)には、本稿で掲載しきれなかった多くの「証拠」図版が掲載されている。あわせてご覧いただきたい。(構成・文責/編集部)

 「CO2地球温暖化説」はこうして始まった

私は早稲田大学で学んだ後、企業で半導体材料などの研究開発に従事しました。日本で高度経済成長が始まった1970年代は、公害の時代でもあり、水俣病、イタイイタイ病などに加え薬害問題が発生しました。そこで私は退職し、公害問題と医学に取り組む道を選びました。特に力を入れたのが放射線被曝の危険性です。

原子力を止めるために重要なのは、被曝の危険性を知るとともに、原子力を廃絶後、どんな方法で電力供給を行なうか、つまりエネルギー問題です。

私はそこで、2つのテーマに突き当たりました。ひとつは地震と原発の危険な関係で、私は地質学者の生越忠(おごせすなお)先生に師事して本格的に地震学を学びました。

もうひとつが気候変動問題でした。原発に反対する人の中にも「CO2気候変動論」を真に受けている人が大勢いたからです。重要なエネルギー問題に通じるので、社会に正しく伝えなければいけません。30年以上の研究の過程で、『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(集英社新書)『地球温暖化説はSF小説だった』(八月書館)などを出版しましたが、今回、ここでも話を始めます。

まず、皆さんにお尋ねします。地球の気温を変動させている要因とは何でしょうか? 人間が排出する二酸化炭素(CO2)だと多くの人が信じているようですが、本当でしょうか? 実は、自然界の変化が地球誕生以来の気温変化を支配してきたのであり、CO2とは無関係だと考える科学者の方が、圧倒的に多数派なのです。

私たち人類は太古の昔から、気候を司るのは太陽と月だと考え、それらの動きを観察しながら暦を作ってきました。自然界への敬意をもとに、様々な自然現象や天変地異が起きても、それは太陽が支配する出来事だと考えて、生きてきたわけです。
ところが今から100年ほど前、スウェーデンのアレニウスという物理学者が、そうではなく、大気中の温室効果(グリーンハウス・エフェクト)ガスが地球の気温を上昇させる。つまり、CO2によって気温が上昇するという「仮説」を報告しました。

これにより大混乱が始まりました。1988年、国連に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が設立され、その「仮説」をあたかも真実であるかのように大々的に宣伝し始めたからです。結果として現在、人々の多くが、主に工業界が排出するCO2によって気温上昇が起きているという「仮説」を妄信しています。

この「温室効果」とは何か。地球には毎日、太陽光と紫外線が降り注ぎます。それを地球が反射して赤外線が放たれます。この赤外線で熱が宇宙に放出されるメカニズムがあります。ところが、上空のCO2やメタン(CH4)などの温室効果ガスが放出を遮って、熱を大気中に閉じ込めてしまい、地球全体がビニールハウスのように温まってしまうというのが、アレニウスの言い分です。

こうして温室効果ガスが気温を支配するとの説は、本当なのでしょうか?

それを考えるにあたり、まず私たちは、CO2と気温が本当に関係しているのかを確認しなければいけません。

 地球の気温の変化を追ってみる

では本論に入ります。もしCO2が気温上昇を推進するならば、それが自然界から出ようと、工場や自動車から排出されようと、大気中のCO2の変動と気温の変動が、あらゆる期間において一致していなければいけません。これが科学的な出発点です。

ところが、結論をいえば、長期的にも中期的にも短期的にも、CO2と気温の変化は一致していません。

まず長期的とは、6億年~1億年前。古生代~中生代を指します。古生代は地球上に原始的な魚類や昆虫が出現した時期です。次の中生代は恐竜が全盛したジュラ紀の時代です。

アメリカの科学雑誌『ジャーナルサイエンス』に掲載された「ジオカーブ3」というグラフをもとに作ったのが下の[図1]です。気温の線とCO2濃度の線に、どういう関係があるでしょうか。CO2が増えたら気温が上がっていますか? 上がっていません。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n907ca9003b68

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年8・9月合併号

『紙の爆弾』2024年 8・9月合併号

科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害 広瀬隆
植草一秀解説 米国債を売れば50兆円利益と円安是正 米官業「日本政府支配」
災害や感染症を利用し地方自治を破壊 地方自治法“戦前回帰”の大改悪 足立昌勝
WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会 高橋清隆
本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論 神山徹
学歴詐称・事前運動疑惑、裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体 横田一
フィリピン元大統領報道次官が訴える日比米安全保障の罠と日本との連帯 木村三浩
モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主・インドの実相 浜田和幸
日本もパレスチナ国家承認を拒否 ガザ停戦を阻む米欧大国と日本の「論理」 広岡裕児
重信房子さんに聞く世界と日本の学生運動が証明するパレスチナ抵抗の正当性 浅野健一
政権交代に向け見極めるべきもの いま日本政治の転換を迫る負と正の力 小西隆裕
「岸田続投だけはありえない」「裏金国会」がもたらした自民党内の暗闘 山田厚俊
「社会貢献活動」法人設立の目的 ジュリー前社長が離さないジャニーズ最大利権
被害額は昨年から倍増 オンライン詐欺の実態と“野放し”の理由 片岡亮
世界史の終わりとハードボールド・ワンダラランド 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 特別編 西成女医変死事件 尾﨑美代子

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8PP3BNK/

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

珠洲の人たちは「原発はいらない」と思っていた……次は志賀原発を止める! 6.30「さよなら!志賀原発 全国集会 in 金沢」報告 尾﨑美代子

雨が降ったり止んだりの金沢市・いしかわ四高記念公園に約1100人が集まった。集会では、志賀原発訴訟弁護団長・岩瀬正明さん、ルポライター・鎌田聡さんほか、各地で反原発を闘う皆さんが次々と発言され、非常に充実した内容であった。

◆北野さんと塚本さん

話はちょっとそれるが、私が何より嬉しかったのは、5月の連休に珠洲原発の予定地を案内して頂いたり、なぜ原発建設を凍結に追い込んだのかのお話をお聞きした北野進さん(元石川県議、珠洲市議)の嬉しそうなお顔が見れたことだ。集会前も、会場のあちこちを走り回り、知った方々に挨拶してまわる北野さん。私は思わず1枚写真を撮らせてもらう。

「北野さん、何か嬉しそうですね」

「そりゃ嬉しいですよ。こんなにたくさんの人が、全国から集まって……」といいながら、またあちこち回ってらした。

北野進さんと北野さんの著書『珠洲原発・阻止へのあゆみ』の一節

もうひとつ感動したのは、伝説の人にお逢いできたことだ。最初はわからなかった。「能登からの発言」である男性がマイクの前に立った時、会場から「まことさん」などと声がかかっていた。「誰やろう?」とタイムテーブルを見ると「塚本真如(珠洲市高屋町円龍寺住職)」とある。

私が金沢に来る電車内でも読んでいた北野さんの著書『珠洲原発・阻止へのあゆみ』(七つ森書館)に書いてあった人だ!。ちょうど雨が酷くなり、取材用のICレコーダーが濡れては困るので、私は、ステージ脇のテントに入らせて貰っていた。私が「あっ、この方か?」と思った瞬間、近くにいた北野さんが「そう! その人ですよ」というような顔をされた。

珠洲市高屋町天龍寺住職の塚本真如さんと6.30金沢集会のスケジュール

◆珠洲の人たちは「原発はいらない」と思っていた

あれは、1989年の珠洲市長選に、前年に珠洲に来たばかりの29歳の北野さんが出馬することになった。それまでのいきさつはまた何かで書かせて貰うが、結果、現職当選となったものの、北野さんともう一人の反現職派候補の得票数を合わせると現職の得票数を440票上回っていた。それほど珠洲の人たちは「原発はいらない」と思っていたということだ。

それまでは多くの住民が、「地域で世話になった」「お父さんがあの人に投票してというから」などの理由で投票してきた。しかし、原発建設を止めるには誰に投票したら良いか、自分で考え決めなくてはならない。「これまでAさんに投票してきたが、Aさんは原発に賛成なのか?反対なのか?」と皆が考えだした。

市長選で、珠洲市民はの多くは原発はいらないと示したのに、その後、関電が建設予定地の調査に始めた。「何やってるんだ、関電!」。住民たちは身体を張って闘い調査を止めさせた。つまり市長選で市長にはなれなかったが、北野さんの出馬は、住民に大きな変化をもたらせたということだ。

それから2年後の1991年、石川県議選があった。詳細は省くが、北野さんらの仲間はまた悩んだ。市長と県議では立場が違う。県議選を闘うか、闘うなら誰を擁立するかの会議が続く。北野さんを推す人もいるのだが……。なかなか決まらない。

そんな時、高屋町(寺家地区と並び珠洲原発の建設が予定されていた地域)のお寺のご住職で、反原発運動の中心的人物だった塚本真如(まこと)さんが、会議中の部屋から北野さんを外に連れ出し、こう言った。

「おれはあんたにもう一回市長選をやってもらいたいと思っているから県議の候補者には推してこなかった。あんたはどう思う?」

北野さんはこう答えた。

「僕もこれまでのいきさつからして、もう一回はなんかの選挙に出なきゃならんと思ってます。ここで県議選を闘わなかったら3年後の市長選もないですよ。3年後はもっといい人を探すとして、県議選でやりましょう」。

北野さんは出馬し、革新系で初めての県議となった。もちろん塚本さん始め、北野さんの仲間の皆さんの力がなくては無理なのだが、何というか、北野さんのこの政治的決断力、判断力には驚かされるばかりだ。

北野進さん

◆次に止めるのは志賀原発だ!

北野進さんおっかけ記事みたいになって申し訳ないが、30日の集会全体に「珠洲原発建設を止めてくれてありがとう」みたいな感じが溢れてて感動した。もちろん、それで終わってはいけない。次に止めるのは志賀原発だ!

「志賀原発訴訟弁護団長」の岩淵正明弁護士が明らかにしていたように、元旦の能登半島地震では志賀原発の3つの欠陥が明らかになった。

1つ目は、地震に対する完全確保が全くされてなかったということ。地震で150キロにおよぶ長大な活断層などが一瞬のうちに連動して動いたが、北陸電力も規制委員会もこれを全く予測できていなかった。

2つ目は、地震による隆起に対する対策がとられていなかったこと。4メートルもの隆起が能登半島の北部で発生した。明治以来最大規模といわれている。今後予想される志賀原発沖合の活断層が連動して動けば、志賀原発そのものが隆起して傾くことが予想される。しかし、北陸電力も規制委員会も全く対策をとっていない。

3つ目は、原発事故が起ったら住民は逃げられないということがわかったことだ。能登半島には11路線の主要な幹線道路があるが、うち7路線が地崩れ、陥没、隆起して通行できなくなった。原発事故がおこった場合5キロ圏内の人はただちに避難しろといわれているが、どうやって避難できるのか。30キロ圏内の人は、屋内待機となっているが、退避する家屋が倒壊してしまった。

さらに30キロ圏内だけに限っても、8か所もの集落が孤立したことがあきらかになった。外に連絡もとれず、逃げ出せず、長いところで1週間も続いた。避難計画など絵に描いた餅だ。

この3つの欠陥が明らかになった今、志賀原発はもう廃炉しかない!そのことを確認した6・30の全国集会だった!
 

「のとじょ」(原発いらない 能登の女たち)の方々の発言に感動。泣いてしまいました(写真=二木洋子さんのFacebookから)

最後に北野進さんの呼びかけ!

「6.30 さよなら!志賀原発全国集会」で皆さんは金沢まで来られたが、次に来るときにはぜひ能登半島に来てください。原発の建設予定地の海底がものすごく隆起している。私はそれをこの目で確認した。ここに原発が建っていたら……。その恐ろしさ、こんなところに原発を建てようという人間の愚かさを、その目でしっかり見て下さい!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

3月11日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年春号 能登大震災と13年後の福島 地震列島に原発は不適切
今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5R2HKN5/
◎『季節』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CWTPSB9F/