メディアにばらまかれた、年間2000億円ほどの東電の広告費。そこにこめられていたのは「原発について多少危険があっても、黙認してくれ」というシグナルである。
小学館の罪にも触れよう。
『週刊ポスト』には、震災前の1年間に16ページほど東電関連広告が入っている。東電の接待は、事故や不祥事の直後に豪華になる。海外出張のときに現金を渡したり、誕生日や家族の記念日にかこつけて数十万円の商品券を送ったりもした。

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「みなさんが何を言っても、委任状ですでに過半数をとっているんです。何をやっても無駄です」
昨年6月28日、東京電力の第87回定時株主総会で、勝俣恒久会長が放った言葉だ。
原子力発電からの撤退を決議する議案が、402名の株主によって提出された。会場では、明らかに賛成の挙手が多かった。
勝俣会長は、委任状の存在によって、反対多数だとして、これを否決した。
あらかじめ、出席しない大株主たちから、委任状を取っていたのだ。

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あまたある「東電マネーに溺れたマスコミ」の中でも、「福島第一原発」そのものの安全性をPR広告で入れた、『週刊朝日』(朝日新聞出版)の犯罪性を見逃すことはできない。11年の新年号で「福島第一原子力発電所レポート」を4ページにわたって掲載。吉田所長(当時)の写真入りで「ベストミックスで安定した電力供給 プルサーマルで実現する発電の未来」と題して、福島原発の安全性をPRしつつ、プルサーマル発電を大きく宣揚し、解説している。また、「見どころいっぱい福島県浜通りの観光スポット探訪」と題して、浜通りの名所「いわきマリンタワー」や、風光明媚な「塩屋崎灯台」などを紹介している。

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どうやら、大手新聞社の幹部が東電関連の会社に「天下り」するのは、いまでは常識となっているようだ。現実として、財団法人電力中央研究所の名誉研究顧問は中村政雄氏(元読売新聞論説委員)で、研究顧問として志村喜一郎氏(元朝日新聞経済部記者)、小邦宏治氏(元毎日新聞論説委員)となっている。さらに財団法人日本原子力文化振興財団の監事は岸田純之助氏(元朝日新聞論説主幹)、同財団が発行する『原子力文化』編集部には鶴岡光廣氏(元毎日新聞経済部記者)がいる。このほかに「原発に寄り添って東電関連会社に天下りをした」大手新聞社の幹部はわんさかといるのだ。

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新聞広告で、恐ろしいものを見た。なんと福島原発事故独立検証委員会が、政府や東電の対応を検証した、『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』がディスカヴァー・トゥエンティワンから緊急出版されるのだという。税込で1575円。しかも「大反響につき、現在増刷中です。書店店舗で品切れの場合も、近日中に入荷いたします」とあった。

「馬鹿ばかしいにも、ほどがある。福島の原発被害者に、政府ないしは行政が本来はタダで配るべきものだろう」(全国紙記者)
この調査報告書は、新聞社やテレビ局、政治家などに200部しか当初、配布されなかったという。

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東日本大震災、それに伴う福島第一原発事故から、1年が経った。
「新幹線は、通常通り動いているんですか?」
昨年の夏、福島原発から30キロ圏内にある南相馬市立原町第一中学校を訪ねた時、校長から聞かれた言葉が耳に残っている。その時、東北新幹線は、通常ダイヤで動いていた。
当初、日本全体を襲ったかに思われた災害も、東北新幹線の復旧をシンボルに日本社会は落ち着きを取り戻し、日本の一部を襲った災害と見なされていった。
その孤立感を、校長の言葉は如実に語っていた。

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『創』4月号を見た。篠田博之編集長の「編集後記」に、このブログで『創』に東電の広告が入っていたことを暴露したことについて、その反論があった。全文を掲載する。

《▲今月の広告 『紙の爆弾』がメーリスか何かで「『創』にも東電マネーが!」などと書いていたと読者が知らせてくれたので何かと思ったら、以前本誌に東電の広告が載っていたのをバックナンバーで見つけたとのこと。広告を載せていたことは昨年来公開トークの場でも話しているし、それによって誌面方針が左右されたことがないことも名言しています。原発事故前は殆どの媒体が東電広告を載せていたわけですが、メディアと広告の問題については折をみてきちんと論じたいと思います。》

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震災から1年が経った。改めて、犠牲になられた方々のご冥福を祈りたい。そしていまだに収束しない原発事故の大惨事を目の当たりにして、地方に痛みを押しつけて都市の生活が成り立っているというあり方を、真摯に問い直していかなければならないだろう。その意味でも我々は、東電マネー漬けになっていたマスコミの責任を、執拗に追及していきたい。

ある大新聞社の記者が言うには「なんとか東電の責任を逸らすようにしろと上は言うが、かつてよほどおいしい思いをしたのだろうな」と。そう、東電のみならず、関連会社から「接待漬け」になっているのが大新聞社の役員たちである。とりわけ、読売新聞社の罪は重い。

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ある月刊誌の編集長が匿名を条件に言う。
「東電の広告を掲載すれば、少なくとも数百部は買い取ってくれました。うちみたいな数千部の雑誌にとってはとてもありがたかった。こうして東電マジックにかかって、オセロの某タレントではないけれど、東電に『洗脳』されていくのです」
また、私は東電の広報雑誌を作っている孫請けの編プロが、たかだか30ページの小冊子で、約500万円ももらっていたのを知っている。”孫請け”で500万円!
いかにもザル勘定な東電の乱脈広告戦略をかいま見ることができる、その編プロは、ほとんど「東電マネー」で成り立っている会社だったが、金銭感覚が麻痺していた。連日、社長が昼間から飲み歩いていたが、店で「東京電力」で領収書をもらっていた!!
実にふざけた話である。

東電の広告費について、さまざな検証記事が出ているが、「3・11」後も、東電の広告費はストップせず、約20億円も使ったことが判明している。
そうした中、先に取り上げた『週刊新潮』に続いて、今度は『週刊文春』に焦点をあてたい。
まず「文藝春秋社」として、少なくとも原発関連でさまざまな雑誌に震災前の1年間で「20ページ」ほど広告が出ている。

「要するに文藝春秋、とりわけ『週刊文春』の記者も金銭感覚が麻痺しているのでしょう。システムが変わっていなければ、取材経費は月に50万円、名刺で飲める店は赤坂・銀座にわんさかとあります」(元『週刊文春」記者)
東京電力と文春の「金満体質」は似ているというのだ。

『週刊文春』といえば、忘れられないのが、同誌が05年に行った、各編集部からの引き抜き騒動だ。
「少なくとも『フラッシュ』『フライデー』『週刊実話』からエース記者を引き抜きました。いちおう、アリバイとして新聞に記者募集広告を『形だけ』出しての露骨な引き抜き工作でした。『週刊文春』では、読売巨人軍の金での戦力補強を批判していますが、やり方としてはナベツネが率いる巨人と同じ『マネー漬け』戦法でしょう」(同記者)

『週刊文春』が震災直後に特集した「御用メディアが絶対に報じない 東京電力の『大罪』&経産省、原子力保安院との黒い癒着」なる記事は、確かに秀逸だった。
「しかしどうでしょう。赤坂や六本木あたりでは、東電の広報と文春の記者がそろって飲みにきたのをホステスが多数、確認しています。本当に東電に切り込んでの記事なのでしょうか。はなはだ疑問です」(全国紙記者)
何度も東電の記者会見に行ったが、『週刊文春』の記者が、東電広報に嫌がられるような鋭い質問をするのを見たことがない。

鹿砦社の松岡利康社長は語る。
「ホンマに困ったもんやね。地方でボチボチ出版活動やっていると、東京のマスコミ、出版業界の連中の動きには疎いけど、少しは反省してもらわんといかんわ。『新潮』同様、『文春』にも、これまでけっこう記事や情報収集などで協力してきましたが、アホらしいよね」
かつて大下英治、江川昭子、佐野眞一 、梶山季之、立花隆、麻生幾ら大御所ジャーナリスト・作家を輩出した『週刊文春』、ならびに文藝春秋社よ! 地に堕ちたのか。
ただちに「東電広告を出した反省」を誌面に掲載せよ!

(渋谷三七十)

これまで、01年に始まり、昨年3月まで続いた「東電のマスコミ接待ツアー」である「愛華中華団」の参加者を随時糾弾してきた(09年のみ政治的事情で開催せず)が、やはり「新潮社」の闇には触れざるを得ないだろう。
「震災直後の夏ごろかな。東電批判はしないようにという通達があったと聞いています」(『週刊新潮』元記者)

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