注目の与那覇壱世が熟練の技、臨機応変にステップワーク使って右フックで倒し切った。
矢島直弥はONEに向けてのステップとなるタイトルは惜しくも僅差で逃がす。
大森弘太は主導権奪って大差となる戦略で王座獲得。
◎MuayThaiOpen.50 / 3月22日(土)ひがしんアリーナ / プロ興行17:00~20:50
主催:センチャイジム / 認定:ルンピニージャパン(LBSJ)
戦歴経歴は主催者側のデータによるものです。前日計量はセンチャイ中野ジムにて21日13時より行われています。
◆第13試合 ムエタイオープン・スーパーバンタム級王座決定戦 5回戦
KNOCK OUT(RED)スーパーバンタム級チャンピオン壱・センチャイジム
(=与那覇壱世/センチャイ/1997.8.15沖縄県出身/ 55.05kg)
VS
シンクロン・コーイ・ヌムパグディー(2007.5.23タイ国出身/ 54.95kg)
勝者:壱・センチャイジム / TKO 2ラウンド 1分33秒
主審:神谷友和
壱世はミドルキックで前進。シンクロンにプレッシャーを与えロープ際に詰める。シンクロンも蹴り返すが、壱世が先手を打った流れで攻勢気味。
第2ラウンドも壱世が様子見ながらやや前進し、いきなりの右フックでノックダウンを奪うと、何とか立ち上がったシンクロンに距離を詰め、ミドルキックからパンチ連打、ロープ際に詰めている中、再び右フックで失神ノックアウト(TKO)に繋げた。


壱世は「5ラウンドある中で、敢えて早いうちに倒しに行きたいなという思惑があったので、僕が行き過ぎたんですけど、それで相手が警戒していた感じでしたが、1ラウンド後のインターバル中にセンチャイ会長がアドバイスをくれて、その指示どおり、スローペースでゆっくり溜めて入ってスッと素早く右フック入ってダウン取って、二度目のダウンも右フックで倒せました。」と狙いどおりのクリーンヒットだった様子。
グローブについてはタイ製の6オンスで、「当然オープンフィンガーグローブと違う感じでしたけど、これでも僕自身に倒す力が付いてきたのかと今回思いました。」と語った。

壱世は昨年12月までに行われたJAPAN CUP 55kg級トーナメントで準優勝ではあったが、今年2月28日にONE Championship(Friday Fight)でKO勝利してONEでは2戦2勝(1KO)となっています。
◆第12試合 ムエタイオープン・バンタム級王座決定戦 5回戦
矢島直弥(元・WPMF日本フライ級Champ/TSK Japan/1990.8.18神奈川県出身/ 53.35kg)
VS
イティポン・シット・ポー・チョー・ウォー(2001.1.6タイ国出身/ 53.3kg)
勝者:イティポン・シット・ポー・チョー・ウォー / 判定1-2
主審:和田良覚
副審:ピリカ49-48. 河原48-49. 谷本48-49
初回、矢島直弥はローキックで牽制。イティポンをロープ際に詰めてパンチへ繋いで、プレッシャーを与える。イティポンは下がりながらも蹴って来る勢いと組み付くとイティポンの体勢が有利に動き、バランス良くヒザ蹴りを蹴って来る。


矢島直弥は後半に入ってもパンチ、蹴りで攻める勢いはあるが、イティポンの身の躱し、蹴るタイミングは上手い。ラストラウンドもパンチで行くしかない矢島直弥は倒すしかないという流れも、イティポンの躱す構え、逃げ凌ぐ上手さでイティポンのペース崩せず終了。判定は分かれる結果でイティポンの際どい判定勝利となった。
◆第11試合 ムエタイオープン・ライト級王座決定戦 5回戦
弘・センチャイジム(=大森弘太/センチャイ/2001.11.14東京都出身/ 61.1kg)
VS
JKIスーパーフェザー級チャンピオン.新田宗一朗
(クロスポイント吉祥寺/1996.4.2沖縄県出身/ 61.0kg)
勝者:弘・センチャイジム / 判定3-0
主審:大澤武史
副審:ピリカ49-47. 河原49-47. 和田49-47
初回早々はローキックの攻防。上下の蹴り中心にパンチも加わるが、徐々に弘太が前に出る圧力が強まる。第3ラウンドにはパンチ中心の打ち合い増えるも、弘太はヒザ蹴りも加え攻勢を強め、劣勢に陥る新田は逆転狙ってパンチ打っても弘太の勢い止められない。弘太が中盤から主導権奪った攻勢を維持して内容的には大差となる展開で判定勝利。


◆第10試合 58.0契約3回戦
稔之晟(=じんのじょう/マイウエイスピリッツ/2000.4.11山梨県出身/ 57.6kg)
VS
チャイヤンレック・モー・コー・チョー・チェンマイ(2004.6.27タイ国出身/ 56.9kg)
勝者:稔之晟 / 判定3-0
主審:谷本弘行
副審:リカ30-28. 大澤30-28. 和田30-27
稔之晟はチャイヤンレックを上回る先手打ち、前蹴りや上下の蹴り、組み合ってのヒザ蹴りもそれぞれの間合いを上手く取って徐々に攻勢を強めてチャイヤンレックを後退させ、稔之晟が圧倒の展開で判定勝利。

◆第9試合 63.0kg契約3回戦
錦和道(FIGHTBASE都立大/1989.12.2京都府出身/ 63.15kg)
VS
テレカ(NEXTLEVEL渋谷/1990.5.7東京都出身/ 63.1kg)
勝者:テレカ / TKO 2ラウンド 2分37秒
主審:河原聡一
両者、パンチの威嚇からローキック、更にミドルキックへ。錦和道のハイキックや後ろ蹴りも見せる中、テレカは冷静に打ち返し打ち合う中、連打から左フックか、錦和道がノックダウンし、カウント中のレフェリーストップとなる。

◆プロ第8試合 ウェルター級3回戦
中村漣(BOUNCER/2000.8.26東京都出身/ 66.3kg)
VS
ムン・ソンチョル(2005.1.7韓国出身/ 66.25kg)
勝者:ムン・ソンチョル / 判定1-2
主審:神谷友和
副審:ピリカ30-28. 大澤28-29. 谷本28-29
ムン・ソンチョルは韓国でプロ戦績は接戦の2戦2敗だが、アマチュアでは好成績を残している模様。“バシッ”と中村漣を捉える強い蹴り。中村漣も劣らぬ強い蹴りで返し互角に進む展開。採点が分かれる明暗はムン・ソンチョルの手が挙げられた。

◆第7試合 アマチュアフェザー級3回戦
駒木根稔和(TSK Japan/2009.5.7神奈川県出身/ 55.15kg)
VS
渡辺悠斗(センチャイムエタイ錦糸町/2008.3.9東京都出身/ 56.65kg)
勝者:駒木根稔和 / TKO 2ラウンド31秒
主審:和田良覚
後ろ蹴りも柔軟に多彩な蹴り技で前進する、まだ15歳の駒木根稔和がミドルキックで倒し、カウント中にレフェリーストップが掛かった。
駒木根稔和は昨年8月4日のWBCムエタイジュニアリーグ× EXPLOSION全国大会で、男子中学生クラス-55kg級優勝。
◆第6試合 アマチュア47.0kg契約3回戦
大久保海成(橋本道場/2010.8.10東京都出身/ 46.55kg)
VS
姉帯心(ノーナクシン/2010.5.14東京都出身/ 46.2kg)
勝者:大久保海成 / 判定3-0 (29-28. 29-28. 29-28)
◆第5試合 アマチュア40.0kg契約3回戦
宮城壮一朗(FREEDOM@OZ/2012.2.17千葉県出身/ 39.9kg)
VS
浦田七斗(CLIMB/2011.7.9宮崎県出身/ 39.0kg)
勝者:宮城壮一朗 / 判定3-0 (30-28. 30-27. 30-28)
◆第4試合 アマチュア32.0kg契約3回戦
川原さくら(橋本道場/2012.1.14福岡県出身/ 31.8kg)
VS
小貝春喜(拳伸/2013.6.18千葉県出身/ 30.95kg)
勝者:川原さくら / 判定3-0 (29-28.30-28. 30-29)
◆第3試合 アマチュア69.0kg契約3回戦
志賀野真人(TSK Japan/2007.6.17神奈川県出身/ 69.1kg)
VS
神山聖(トイカツ道場/1983.4.22埼玉県出身/ 69.35kg)
勝者:志賀野真人 / TKO 3ラウンド 1分3秒
◆第2試合 アマチュア34.0kg契約3回戦
林田海(橋本道場/2012.12.4中国出身/ 32.5kg)
VS
富高蒼大(CLIMB/2013.7.21宮崎県出身/ 34.0kg)
引分け 1-0 (29-29. 30-29. 29-29)
◆第1試合 アマチュア28.0kg契約3回戦
鈴木翔大(CYCLONE/2012.10.30東京都出身/ 27.45kg)
VS
佐藤蒼壬(CLIMB/2014.11.11宮崎県出身/ 27.0kg)
勝者:鈴木翔大 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)
《取材戦記》
プロモーターのセンチャイ氏は興行について、「今日もまあまあ上手くいった興行と思います。お客さんはムエタイファンらしさがあって最後まで居て頂いて盛り上げてくれました。壱世もしっかり魅せてくれて良かったです。」と、いつもながらの穏やかな回答。
今回のタイトルマッチ、当初の確認ではルンピニージャパン王座決定戦でしたが、本場ルンピニースタジアム最高責任者が交代して今回のタイトルマッチ認可まで間に合わなかった模様で、センチャイ・トーングライセーン会長が務めるムエタイオープン王座決定戦に落ち着きました。
ルンピニージャパンは本場スタジアムの認可が下りないと行えないタイトルと言うだけでも任意のローカルタイトルよりは権威は高いところであり、今後の交渉でタイトルマッチ認可が下りれば開催へ向かうという状況です。
ただ、ルンピニージャパンという日本国内タイトルになぜタイ選手が出場出来るのか。センチャイ氏に聞いたところが、「ハイ、タイ選手でも大丈夫です!」と、意図するところが伝わり難い。
大雑把に纏めると、「“ムエタイオープン”という興行タイトルどおり、団体も国境も垣根の無いオープンな戦いです。」というところからルンピニージャパンに於いても国内に限らないインターナショナル的タイトルという解釈となる模様。
タイトルマッチについてはラウンドマストシステムで採点し、延長戦については規定を超えるラウンドは行なわないというシステムは本場タイの規定どおりで正論だった。
しかし、「マストシステムでも引分けは起こり得る」など、まだツッコミどころはあるが、選手が練習成果をしっかり発揮できるイベントとしては、更なるビッグイベントへ向けたステップとなるムエタイオープンでしょう。
次回興行は今のところ未定ながら、今年もあと3回開催予定の模様です。
センチャイ会長のコメントによると、壱世は4月18日にルンピニースタジアムでのONE Championship(Friday Fight)に出場し、6月の「KNOCK OUT」イベントにも出場希望していると言い、壱世は現在存在する世界のビッグイベントへの飛躍が続きそうである。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
