恒例DUEL開催! 最軽量級もここまで来た、女子ペーパー級王座決定戦!  堀田春樹

新たな歴史が刻まれるか、ミネルヴァ新階級。上真が初代チャンピオン成る。

宗方888(はちみっつ)は調子を上げて来た今年の活躍、JUN DA LIONを追い詰めて判定勝利

◎DUEL.31 / 10月13日(日)GENスポーツパレス 18:30~21:04
主催:VALLELY / 認定:NJKF

◆第11試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級(-95LBS/43.09kg)王座決定戦 3回戦(2分制)

2位.AIKO(AX/1987.2.10生)17戦8勝9敗
    VS
3位.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身)15戦6勝9敗 
規定の3回戦は引分け 三者三様 / 延長判定0-3(ミネルヴァは延長戦含む勝敗決定) 
勝者:上真が初代チャンピオン          
主審:中山宏美
副審:児島29-29(9-10). 宮沢29-30(9-10). 多賀谷30-29(9-10)

AIKOのフック気味の右ストレートが攻勢を維持するかに見えたが、蹴りの距離からクリンチ、首相撲に移ると長身の上真の圧力が優って3ラウンドまでは互角に終わり、延長戦も上真の勢いにAIKOはパンチも打ち難い流れ。延長戦を含む全4ラウンドは徐々に上真が勢いを増した流れとなった。

首相撲の展開では上背ある上真が圧力掛けて凌ぎ切った
打ち合えば上真の有利な距離。徐々にペースを上げた

上真は元々アトム級(-102LBS)の選手で、徐々に二階級下げての王座獲得となった。

上真は「やっぱり首相撲の展開が多くて、自分は打撃で勝負したかったんですけど、くっついて(首相撲)が多かったので持ち上がらないように重心を下げたりして対策しました。第1~2ラウンドは落としたなと思ったんですけど、第3ラウンドは巻き返したかなと思いましたが、延長になった時は“よっしゃー!”と思いました。これで勝てると思ったので。勝てたことは本当に嬉しいです。次は撫子さんと初防衛戦になるので、しっかり練習積んで防衛したいと思います」と語った。

ミネルヴァ・ピン級(-100LBS)チャンピオンの撫子がリング上でコメント。

「本来はそのベルトは一番最初に私が巻きたかったというのが本音ですが、それは来年にお預けということで、来年一緒に(タイトル戦)を盛り上げましょう」と新チャンピオンとなったばかりの上真への挑戦を表明。二階級制覇を狙う。元々ピン級という最軽量級だった撫子が更に新設された適正となる最軽量級に挑むことになるでしょう。

撫子との防衛戦を意識しながら勝利のコメントを語る上真

◆第10試合 65.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級3位.宗方888(KING/1993.4.28生/ 64.95kg)13戦6勝6敗1分
        VS
同級4位.JUN DA LION(=松本純/E.S.G/37歳/ 64.4kg)40戦9勝(1KO)24敗7分 
勝者:宗方888 / 判定3-0
主審:マット(テーチャカリン・チューワタナ/タイ)
副審:児島30-28. 中山30-27. 多賀谷30-28

宗方はJUNDAの出方を覗いながらパンチから蹴って出る。攻防は互角の展開から徐々に宗方の勢い、的確差が優っていった。第3ラウンドには宗方のパンチでJUNDAが何度かスリップダウン裁定となるが、失速するJUNDAは苦しい展開となり終了間際は宗方の攻勢が目立った。

宗方888の右カーフキック、初回から圧力掛けて出た
失速するJUNDAにKO狙って出る宗方888
前回に続く勝利とラウンドガールとツーショット

◆第9試合 ライト級3回戦

NJKFライト級4位岩橋伸太郎(エス/ 60.8kg)25戦8勝14敗3分
      VS
同級3位.TAKUYA(K-CRONY/ 61.05kg)17戦7勝(1KO)8敗2分 
引分け 0-1
主審:宮沢誠
副審:児島29-30. 中山29-29. マット29-29

両者下がらない蹴り合う攻防が続き、両者の脇腹が真っ赤に蹴り跡が残っていく。ジャッジ三者が揃うラウンドは無い難しい展開で引分けとなった。

引分けに終わった岩橋伸太郎とTAKUYA、残念であるもホッとした表情

◆第8試合 スーパーフライ級契約3回戦

明夢(新興ムエタイ/ 51.85kg)12戦4勝6敗2分
      VS
清水健人(白龍/ 51.65kg)8戦8敗
勝者:明夢 / TKO 3ラウンド59秒 / カウント中のレフェリーストップ
主審:多賀谷敏朗

パンチから蹴りの攻防も徐々に明夢が勢いを増して行き、清水健人はロープ際に詰められるシーンが増えていく。第2ラウンドにはロープ際に詰めた明夢がヒザ蹴りでノックダウンを奪い、終了間際にも明夢が首相撲からのヒザ蹴りでスリップ気味ながらノックダウンを奪い、第3ラウンドも明夢がパンチから蹴り、組んでヒザ蹴りを入れたところで清水がノックダウンとなり、カウント中にレフェリーストップとなった。

この日唯一のKO決着、明夢が清水健人をロープ際に追い詰め圧倒していく

◆第7試合 55.0kg契約3回戦

ポンパン・エスジム(タイ/ 54.9kg)大凡56戦超30勝
      VS
大岩竜也(KANALOA/ 54.7kg)5戦3勝2敗 
勝者:大岩竜也 / 判定0-3
副審:宮沢28-30. 中山28-30. 多賀谷28-30

若い大岩竜也がベテランの在日ムエタイ戦士を優るスピードのパンチと蹴りでポンパンのムエタイリズムを崩した流れで判定勝利。

◆第6試合 58.0kg契約3回戦

細川裕人(VALLELY/ 58.0kg)7戦3勝3敗1分
      VS
相浦聖那(ANCHORAGE/57.85kg)9戦2勝6敗1分 
勝者:細川裕人 / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-29)

◆第5試合 スーパーライト級3回戦

須貝孔喜(VALLELY/63.5kg)6戦3勝3敗
      VS
今野龍汰(笹羅/ 62.8kg)8戦2勝5敗1分 
勝者:須貝孔喜 / 判定3-0 (30-28. 30-27. 30-28)

須貝孔喜がローキック中心にパンチで今野龍汰を上回る流れ。今野も応戦するも須貝の勢いを止められず終了。須貝がアグレッシブに攻めた全3ラウンドだった。

◆第4当初カード フェザー級3回戦 中止
山本龍平(拳粋会宮越道場)vs 高橋優(CORE) 

◆第3試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級王座争奪4人制トーナメント準決勝3回戦(2分制)

5位UveR∞miyU(T-KIX/42.95kg)11戦3勝7敗1分
       VS
3位.上真(ROAD MMA/ 42.7kg)14戦5勝9敗 
勝者:上真 / 判定0-2
主審:中山宏美
副審:多賀谷28-29. 宮沢29-29. マット28-29

上真が長身を活かし蹴りからパンチの攻防を制して際どいながらも判定勝利で王座決定戦に進出。

◆第2試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級王座争奪4人制トーナメント準決勝3回戦(2分制)

2位.AIKO(AX/ 42.9kg)16戦8勝8敗
    VS
4位.Honoka(健心塾/ 42.4kg)7戦3勝2敗2分 
勝者:AIKO / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:多賀谷30-28. 宮沢29-28. マット(テーチャカリン)30-28

AIKOがパンチからの首相撲、ヒザ蹴りで優り王座決定戦に進出。

◆第1試合 アマチュア WBC MUAYTHAI×EXPLOSION 2回戦(90秒制)

宮城壮一朗(Freedom@OZ)WBCムエタイ×EXPLOSION 2024年度中学生 -37kg級王者
    VS
林希龍(クレイン)
勝者:宮城壮一朗 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-18)

(戦績は試合プログラムを参照し、この日の結果を加えています。数値のズレ、更新されていない戦歴もありましたので目安まで。)

 
両者蹴り合い、脇腹を真っ赤に染めながら戦った岩橋伸太郎とTAKUYA

《取材戦記》

ついに100ポンドを下回る階級登場。女子に限りますが、フライ級より下に5階級もあるなんて、ジュニアクラスの無い昭和時代だったら考えられない現象です。名称はアトム級、ピン級、ペーパー級など、一般から見れば、どれが上でどれが下の階級か分かり難いものでしょう。

この先、選手層が厚くなっていけばいいですが、ミネルヴァ運営関係者の努力は続きます。

この日の興行を終えてDUEL主催者、米田貴志氏は、
「女子選手の試合が男子選手を全部飲み込んじゃったぐらい素晴らしい試合でした。メインイベンターとしての“どうしても獲りたいんだ!”という気持ちが見えて感動しました。軽い階級だからといって迫力欠ける訳でもなくて、今日一番迫力あったんじゃないですかね。そんなお互い気持ちのぶつかり合いが久々に観れたなと思います」
と評価は上々。

セミファイナルながら男子のトリの宗方888については、
「もうちょい行けば倒せたかな。でもJUNDA選手もベテランだからノラリクラリと躱して“あれ?効いてんのかな!?”というところもありましたけど、宗方選手が攻勢を強めて行ったのは大差を付けられて今後にも期待出来るので良かったですね」
といった総評でした。

 
NJKF動画配信のインタビューを終えた上真のファイティングポーズ

AIKOvs上真の3ラウンド終了時の採点集計読み上げでは30対29で最初にAIKOがコールされ、二人目ジャッジの採点時も30対29と続くとリングに入ろうかと片足を踏み入れたAIKO側セコンドの石川直樹氏。しかしコールは上真へ。更に29対29が加わり三者三様へ。延長戦は上真が支配した。

1点差の重み、1者の支持の流れが運命を変える厳しさ。セコンドと共に歓喜に湧くことには成らず、僅かな差で王座に就けなかったAIKOの辛さが表れていました。リングを下りてからは号泣の様子。AIKOにも話を聞きたかったが、「インタビューは泣き止んでから10分後!」という昔の知人記者の話を思い出し、気持ちが落ち着くのがそれぐらいという目安ではあった。他の関係者との話もあって声掛けれずに終わってしまいました。

更に宗方888のインタビューにも行けるようなら狙っていましたが、メインイベント終了後はすでに姿は無いようでした。いつも出来る範囲です。ビビッて行かない時もあります!

次回のDUEL.32はまたベテランや新人が入り混じる展開で、12月8日(日)にGENスポーツパレスで開催されます。

NJKF CHARRENGERは11月10日(日)に後楽園ホールに於いて、55kg級JAPAN CUP 1st、8人トーナメント初戦準々決勝4試合が開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

多彩に彩ったTITANS NEOS.35 存在感は一番だった江幡塁! 堀田春樹

活気あった頃の新日本キックボクシング協会らしさが出たレジェンド登場。

脳腫瘍の手術を経て、再起を目指していた江幡塁はドクター勧告により再起は断念。潔く引退の道を選び、試合に向ける程のトレーニング量と減量を課して引退セレモニーに臨んだ。

エキシビジョンマッチに登場した深津飛成と泰史も激しい攻防で、レジェンド達が会場を盛り上げた。

ダブルメインイベントと位置付けられた総合格闘技Mixed Martial Arts(MMA)は無名の外国人による1ラウンド決着。江幡塁の引退セレモニーの後で、前座の消化試合のような観衆少ない中、盛り上がりに欠けていた。

日本のメインイベンター、瀬戸口勝也は、前回7月7日にジョニー・オリベイラに判定勝利している辰樹に倒される完敗。

ジョニー・オリベイラは匠に判定負け。瀬戸口と二人揃って新日本キックボクシング協会の牙城を守れなかった。

◎TITANS NEOS 35 / 10月6日(日)後楽園ホール 17:15~21:36
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

◆第13試合 120.0kg契約3回戦(MMAルール)

ビジュ・ロイク(フランス/ 115.0kg)vsマヌエル・ロデリゲス(スペイン/ 116.0kg)
勝者:ビジュ・ロイク / KO 1ラウンド 1分8秒 /
主審:宮沢誠

ビジュ・ロイクが寝技でマヌエル・ロドリゲスの左腕を極めたところでマヌエルがタップ、棄権し一本勝ち。

◆第12試合 68.0kg契約3回戦(MMAルール)

タフイキ・ダミエン(フランス/ 67.45kg)
        VS
モハメド・アマホウド(モロッコ/ 70.0kg/2.0kgオーバー/開催に影響無し)
勝者:モハメド・アマホウド / TKO 1ラウンド 2分48秒 /
主審:小池秀信

立ち技から寝技に移り、モハメド・アマホウドが体勢上になり、タフイキ・ダミエンがうつ伏せになるとパンチ連打でレフェリーストップ。

モハメド・アマホウドがタフイキ・ダミエンに馬乗りになって連打していく

◆江幡塁引退セレモニー

江幡塁は公式試合もエキシビジョンマッチも行なえない為、師匠の伊原信一氏とのミット蹴りの披露を2分制の2ラウンドを行なった。これが現役最後のミット蹴りだけに完全燃焼する一層の気合いが入った蹴り連打となった。

江幡塁の現役最後のミット蹴り、受けるのは師匠の伊原信一会長

セレモニーに参列した関係者からの花束、記念品、御祝儀等の贈呈に、江幡塁にパンチの指導した内山高志(元・WBA世界スーパーフェザー級Champ)さんも御登壇。

引退セレモニーで御挨拶の江幡塁。堂々たる語り口も伊原信一氏直伝だろう

江幡塁の御挨拶は、「最後に師匠である会長に、選手として最後のトレーニングをして貰って最高の選手生活を締め括ることができます。僕の引退式にこんなに沢山の人が観に来てくださり、こんな最高の景色が見れて僕は幸せ者です。応援に来てくださった皆様、本当に有難うございます。」と語り、昨年2月の脳腫瘍を患ってからの想い、手術は成功し、腫瘍は良性であったことからの復帰を目指した日々、那須川天心に敗れた後のこと等、最後に「会長の下で選手を育成し、協会の発展に努めていきます。」と7分に渡る熱い語り口で締め括り、テンカウントゴングに送られリングを去った。リングに上がる前はファンに導かれる入場で泣き顔でリングに向かったが、リングを下りる際は爽やかな表情でファンに囲まれての去り際だった。

テンカウントゴング後。WKBAとKNOCK OUTのベルトを持って最後のアピール

◆第11試合 59.0kg契約3回戦

日本フェザー級チャンピオン.瀬戸口勝也(横須賀太賀/ 58.8kg)44戦31勝(14KO)10敗3分
        VS
IOCインターコンチネンタル・フェザー級チャンピオン.辰樹(Y’ZD/ 59.0kg)
16戦7勝(3KO)6敗3分
勝者:辰樹 / TKO 1ラウンド 2分22秒 / 2度目のノックダウンでレフェリーストップ
主審:椎名利一

瀬戸口勝也が強打で仕留めるか、その距離に持ち込もうとする中、辰樹のハイキックを貰ってその蹴り足を掴んで離さなかったところを辰樹の左フックを浴びてノックダウン。迂闊なパンチを貰ってしまったが、再開後、再び連打を浴びてノックダウンとなったところでレフェリーストップとなってしまった。

辰樹は前回、スーパーフェザー級チャンピオンのジョニー・オリベイラ、今回はフェザー級チャンピオンに勝利したことで「WKBAの世界タイトルに挑戦させてください。」と勝利後のマイクアピールだった。

辰樹のハイキックを喰らってしまう瀬戸口勝也、倒れないがこの後、悪夢となる
二度目のノックダウンとなった辰樹の連打を喰らって前のめりに倒れた瀬戸口勝也

◆第10試合 59.0kg契約3回戦

日本スーパーフェザー級チャンピオン.ジョニー・オリベイラ(トーエル/58.85kg)
64戦16勝(1KO)30敗18分
        VS
匠(KING/ 58.75kg)7戦5勝(2KO)1敗1分
勝者:匠 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:少白竜29-30. 宮沢29-29. 中山28-29

ベテラン対新鋭の攻防。テクニックでは匠が上回るか。負けない展開に導く駆引きはジョニー・オリベイラと言える中、匠のカーフキックでジョニー・オリベイラのバランスが崩れるも、パンチからクリンチへ持ち込むジョニー・オリベイラだったが、差が出難い中での匠の蹴りがやや攻勢となったか、匠が僅差判定勝利を導いた。

匠のローキック、カーフキックに苦戦したジョニー・オリベイラ

◆エキシビションマッチ 3回戦(2分制)

深津飛成(元・日本フライ級、バンタム級Champ/伊原)
        EX
泰史(元・日本フライ級Champ/伊原)

近年のエキシビジョンマッチとしては長めのラウンド、計6分間となった。昔のエキシビジョンマッチ並みの長さである。

泰史は遠慮ない蹴りを深津飛成に蹴り込む。深津も互角に蹴り合う展開を見せた。第1ラウンド終わると、深津が青コーナーまで、泰史に何か言いに行っていたが、エキシビジョン終了後、「2ラウンド目はレガース外すつもりでやったけど、泰史の蹴りが痛過ぎて、レガース着けたままやってくれって言った!」という笑いを誘うマイクによるコメント。

第3ラウンド終了間近では、深津飛成の右フックで泰史からノックダウンを奪う見せ場を作った。

泰史は引退を発表していたが、深津は先輩命令で「引退試合やれよ!」と檄を飛ばし、泰史は引退試合を行なうことを宣言した。 

エキシビジョンマッチながら深津飛成の右フックで泰史がノックダウン

◆第9試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級王座決定戦3回戦

5位.鈴木咲耶(チーム鈴桜)4戦3勝1敗
      VS
1位.NA☆NA(元・Champ/エスジム川崎)22戦14勝6敗2分
勝者:NA☆NA / 判定0-3 /
主審:中山宏美
副審:椎名29-30. 少白竜28-29. 宮沢29-30

ワンデートーナメントでの王座決定戦は望ましくは無いが、これもローカルタイトルとしての近年の流れ。鈴木咲耶は長身を活かした蹴りとパンチにNANAは徐々に距離を詰めて、パンチや首相撲に持ち込む。その圧力に鈴木はリズムを狂わされていく。両者の蹴りパンチとも攻勢維持には至らない展開もNANAがパンチで圧して行き僅差判定勝利で王座奪還となった。

長身、鈴木咲耶の距離を潰してパンチで攻めたNANA。圧力が優った
 
王座返り咲きのNANA、ミネルヴァ・バンタム級王座新設を要望した

◆第8試合 64.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級2位.佐々木勝海(エスジム日吉/ 63.85kg)11戦8勝(2KO)1敗2分
        VS
梅沢遼太郎(白山道場/ 63.4kg)8戦3勝(1KO)1敗4分
引分け 1-0
主審:少白竜
副審:椎名29-29. 中山29-28. 宮沢29-29

パンチから組み合う首相撲の展開が多いが決定打に繋がらない両者。スタミナ削り合いは差が付かない結果となった。

◆第7試合 53.0kg契約3回戦 愁斗(Bombo Freely)欠場、井原俊平代打出場

井原俊平(ワイルドシーサーゴザ/ 52.85kg)11戦3勝6敗2分
        VS
大久保貴宏(京都野口/ 52.95kg)5戦4勝1敗
勝者:井原俊平 / 判定2-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-29. 中山30-28. 宮沢29-29

◆第6試合 女子(ミネルヴァ)48.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・アトム級チャンピオン.Nao(AX/ 47.35kg)8戦6勝(2KO)1敗1分
        VS
坂本梨香(BELLWOOD FIGHT/ 47.8kg)4戦1勝2敗1分
引分け 1-0
主審:少白竜
副審:椎名29-29. 中山30-29. 勝本29-29

離れた距離では坂本梨香のパンチと蹴りのペースも、組み合えばNaoのヒザ蹴りが巻き返すも差が付かない結果となる。

◆第5試合 女子(ミネルヴァ)54.0kg契約3回戦(2分制)

松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/ 53.7kg)5戦3勝2敗
        VS
MIO LaReyna(TEAM REY DE REYES/ 53.85kg)3戦3敗
勝者:松藤麻衣 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-28)

◆第4試合 アマチュア49.0kg契約2回戦(2分制)

原龍之介(伊原越谷)vs堀内遥輝(TAKEDA)
勝者:原龍之介 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)

◆第3試合 アマチュア 33.0kg契約2回戦(2分制)

渋谷剛(伊原越谷)vs石井利空(TAKEDA)
引分け 1-0 (20-19. 19-19. 19-19)

◆第2試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級王座争奪4人制トーナメント(1day)

3位.YURIKO SHOBUKAI(尚武会/ 51.9kg)12戦5勝5敗2分
        VS
1位.NA☆NA(元・Champ/エスジム川崎/ 51.9kg)21戦13勝6敗2分
勝者:NA☆NA / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名28-29. 少白竜28-30. 宮沢28-30

多彩に攻め合う両者、NANAのパンチとヒザ蹴りで僅差のポイントを奪ったNANAが判定勝利。

◆第1試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級王座争奪4人制トーナメント(1day)

5位.鈴木咲耶(チーム鈴桜/ 51.35kg)3戦3勝(1KO)
        VS
ミネルヴァ・ライトフライ級チャンピオン.Yuka☆(SHINE沖縄/ 51.85kg)
14戦6勝6敗2分
勝者:鈴木咲耶 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名30-28. 少白竜30-29. 宮沢30-28

長身を活かした鈴木咲耶の蹴りとパンチ、組み合ってもヒザ蹴りの攻勢で判定勝利。

《取材戦記》

最後の現役選手としてリングに立った江幡塁は公開ミット蹴りについて、
「疲れました。本当は1分1ラウンドだったんですけど、あの場でいきなり2分2ラウンドになって想定外でした。でも試合に向ける程の練習して来たので、5ラウンド戦えるぐらいの体力着けて来ました。疲れましたけど体力はあるので充実したミット打ちでした。」と語った。

相手は攻めて来ないのでダメージの心配は無いが、連続で蹴るので観る側の想像以上に疲れることだろう。

公開されている前日動画では、「公式試合もエキシビジョンマッチも出来ませんが、自分に課した1年間の挑戦でした。」という最後のリングに向け、試合をやるつもりで減量して58.0kgに標準を絞って練習し、試合には出ないけれど前日計量では自分も計量するつもりで、計量の前日(10月4日)には60.1kg。サウナスーツ着て走って59.1kg。半身浴して58.8kg。前日計量時(10月5日14時)には目標の58.0kgに達し、試合に向けた懐かしい感情だったという。

堂々と会長のミット蹴りに臨める充実した気合いで当日、後楽園ホール入り。引退セレモニーでは予定どおりのミット蹴り(パンチ、ヒジ打ちも含む)。セレモニーでは多くの支援してくれて来た関係者に囲まれ、ここまでの想いを語る御挨拶を残してテンカウントゴングに臨めた。

この江幡塁の引退セレモニーがこの日のメインイベントの存在感でした。最近はセミファイナルより以前に行われる、アンダーカード的引退式が多く、江幡塁も実質メインイベント前に行なう似た位置付けでしたが、メインイベントクラスのMMA試合が霞んでしまうほど、観衆は江幡塁への応援で、引退式が終わると会場を後にする姿が多かったようです。

深津飛成と泰史のエキシビジョンマッチも存在感があり、深津飛成のマイクアピールも「俺も経営苦しいタイ料理屋を頑張るから、キミも、あなたも、お前も、一生懸命頑張ろう。」と観衆を指さし、頑張っていない者が聞けば心にグッとくるトークが熱かった。深津の威圧的命令で泰史も引退試合を行なうことに話が進み、旧エース格たちの存在が輝いた興行でした。

この日のメインイベントクラス最終2試合のMMAルール試合は今回限りという話もあるようですが、実際に今後も続けることは難しいでしょう。キックボクシングの興行でMMAの試合がダメという意味ではなく、リングマットの硬さの問題です。
後楽園ホールのリングでのキックボクシング試合は、常駐のボクシング用リングを使用しますが、投げ技の有る総合格闘技系は、ボクシングリングは硬過ぎて不向きでしょう。

実際、修斗などの試合では後楽園ホールでも、分厚い体操用のマットを敷いた上にキャンバスを覆う布マット(色付き、スポンサー名入り、競技団体名入り)を敷きます(過去に見た限りでは)。

キックボクシング試合がMMA試合用に合わせる手段もありますが、修斗同様にそのマットを運ぶ運搬設営に時間と経費が掛かることも懸念されるでしょう。その柔らかいマットではフットワークに影響も出る恐れもあります。最近はジムでの床も柔らかいジョイントマットが敷かれているので、慣れから大きな影響は無いかもしれませんが、昔は木の床やコンクリートの上での練習はタイでは当たり前でしたし、ラジャダムナンスタジアムのマットも日本以上に硬かったものです。という話より、キックボクシングは競技性を重視し、今後も立ち技打撃競技として興行を行なっていくでしょう。

新日本キックボクシング協会次回興行は2025年3月12日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.61が開催予定となっています。

瀬戸口勝也を倒した辰樹がWKBAの世界タイトルに挑戦をアピールしましたが、そんな路線も在り得る2025年です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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KICK Insist.20 西原茉生に与えられた初メインイベンター、期待に応えたTKO勝利! 堀田春樹

二人の新チャンピオン、初戦の運命は……?
初メインイベンター、西原茉生はわずか24秒で圧勝のインパクト。
セミファイナルの政斗はムエタイの壁に跳ね返される試練の敗戦。

◎KICK Insist.20 / 9月29日(日)新宿FACE17:30~19:37
主催:VICTORY SPIRITS、ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦   

JKAフライ級チャンピオン.西原茉生(治政館/2003.6.27埼玉県出身/52.0kg)
14戦9勝(4KO)4敗1分
        VS
WMC日本フライ級チャンピオン.キリョウ・シリラックムエタイ(シリラックムエタイ/茨城県出身/ 52.38→52.35→52.3→52.25kg/90グラムオーバー計量失格)
9戦3勝(2KO)4敗2分
勝者:西原茉生 / TKO 1ラウンド 24秒
主審:小林利典

「やっとメインイベントで試合が出来る。必ず自分がこの興行を盛り上げるという気持ちになりました!」という主催者発表のコメントがあった新チャンピオン西原茉生。

開始早々、両者のわずか1~2発のローキックの交錯から、西原茉生の左の三日月蹴りが的確にキリョウのレバーに突き刺すようにヒットするとわずかな間をおいて蹲って悶絶するキリョウはカウント中にレフェリーに止められる衝撃の幕切れとなった。

言われてみれば確かに肝臓にヒットしている西原茉生の三日月蹴り
わずか24秒のTKO勝利となった西原茉生

盛り上げる前に終わってしまった感があるが、見事な三日月蹴りは完全クリーンヒットでわずか24秒での勝利は見事でした。

西原茉生は勝利のリング上では「僕はまだまだこんなもんじゃないんで、ジャパンキック(協会)のチャンピオンは滅茶苦茶強いんで皆、本当に期待してください。次はもっと強い選手と戦っていくので、僕の応援とチーム治政館の応援を宜しくお願いします。」とマイクアピール。

ファンに囲まれたロビーでの記念撮影の場で話を聞くと、
「メインらしくチャンピオンらしく締められたんじゃないかと思います。」

もうちょっと観たかったという声には「そうですね。でもあれは試合前からすごい狙ってた三日月蹴りで、もう作戦ピッタリ嵌ったなって思います。」

次の目標については「特に何も決まってないですけど、RISEさんに出たいですね。それ以外にもKNOCK OUTとか盛り上がっているんで、いろいろな団体にチャンピオンとして出たいなと思います。」とファンに囲まれ、乗りに乗ったハイテンションで語ってくれました。年間MVPの候補にも上がって来そうな西原茉生は今後もメインイベンターとして登場するか期待が高まります。

西原茉生の勝利を祝うチーム治政館

◆第7試合 67.0kg契約3回戦  

JKAウェルター級チャンピオン.政斗(=黒澤政斗/治政館/1992.7.17東京都出身/ 66.9kg)
34戦18勝(5KO)13敗3分
      VS
ピラポン・ノーナクシン(タイ・サラブリー出身/ 66.35kg)67戦42勝20敗5分
勝者:ピラポン・ノーナクシン / TKO 3ラウンド 2分53秒
主審:宮沢誠

先手を打ってアグレッシブに蹴って出る政斗に対し、落ち着いた表情で鋭く重い蹴りを返して来るピラポン。徐々に距離感が狂わされていく政斗。ピラポンの蹴り易い位置は続き、第2ラウンドにはピラポンの左フックで軽いノックダウンを喫し、第3ラウンド1分過ぎには左ヒジ打ちで額を斬られるが、続行するも更に左ヒジ打ちを受けた様子が窺え、終了間際には流血が酷くなり、すぐさまレフェリーストップが掛かった。

ピラポンのウェイトの乗った左ハイキック、試練の政人
再三のピラポンの左ヒジ打ちで側頭部から流血する政人

試合後、宮沢誠レフェリーは「血がピューッと噴き出ていた!」と言い、即座にストップした様子。

政斗は控室で、「全部のタイミングで相手が上でしたね。僕ももっとタイミングを上手くなるようにと、その自分から出るところとかももうちょっと誤魔化して入れたら、もうちょっと流れが変わったのかもと思います。取り敢えず今回は相手の方が強かったというそれだけです。あとは地道に積み上げてまた勝てるように頑張ります!」
と残念な空気が漂う控室にも元気に滑舌よくハキハキと応えてくれました。

諦めない政人のパンチ、逆側だが、血が噴き出ている
 
山内ユウ、まだ攻勢ではないが、次第に距離感タイミングを掴んだか

◆第6試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級4位.山内ユウ(ROCK ON/神奈川県出身/ 66.4kg)10戦5勝(3KO)5敗
     VS
後藤啓太(拳心館/新潟県出身/ 66.65kg)5戦4勝(2KO)1敗
 勝者:山内ユウ / TKO 1ラウンド 1分22秒
主審:中山宏美

後藤啓太の重さとスピードある多彩な蹴りが山内ユウをコーナーに追い詰め圧倒しつつある中、ロープ際の接近戦で山内の右フックが炸裂すると、後藤は膝から崩れ仰向けに倒れ込んでしまった。山内の鮮やかな逆転劇だった。

山内ユウはリング上でマイクを持っても泣き顔で直ぐ声には出来ず、
「普通に仕事してるとこんな応援されること無いからマジでメッチャ気持ちいいです。後藤選手マジ警戒心強くて、本当ああいう不器用な試合しか出来ないですけど、これからも一生懸命頑張るんで応援宜しくお願いします。」
と感動の結果でリングを下りた。

後藤啓太側セコンドの木村充利氏は、「後藤啓太の油断でしたね。攻めていたんだけど、これで勝つかって時にパンチ貰っちゃったんで、もう油断の一言で、勝ってる試合を落としてしまったんで勿体無かったですね。」
という残念さを語っていました。

相当嬉しかったか、耐え切れなかった山内ユウの涙

◆第5試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級5位.我謝真人(E.D.O/神奈川県出身/ 66.6kg)14戦3勝(1KO)9敗2分
     VS
健吾(BIGMOOSE/千葉県出身/ 66.15kg)5戦3勝(1KO)1敗1分
引分け 0-0
主審:児島真人
副審:宮沢28-28. 小林28-28. 中山28-28

蹴りの距離から接近戦、互いに組み合うシーンが増えると健吾のヒジ打ちが繰り出されて行く。第2ラウンドには我謝の右ローキックで健吾から軽いノックダウンを奪うが、今度は健吾のヒジ打ちで我謝が左眼尻を斬られる。最終ラウンドも接近戦で我武者羅の打ち合いが続くが、打ち合いながら健吾のヒジ打ちで我謝は圧され気味に進み、ジャッジ三者とも差が付かない結果に落ち着いた。

我謝真人と健吾の打ち合いの中、健吾のヒジ打ちが我謝を襲う

◆第4試合 フェザー級3回戦

石川智崇(KICK BOX/神奈川県出身/ 56.85kg)6戦3勝2敗1分
      VS
松岡優太(チームタイガーホーク/宮城県出身/ 56.95kg)3戦2勝1分
勝者:松岡優太 / 判定0-3 (28-30. 29-30. 29-30)

蹴り中心の攻防は松岡優太の的確差が優っていく中、セコンドの「もっと蹴れ!」の声にはなかなか蹴って行かない松岡だったが僅差判定勝利となった。ただ、ジャッジ三者が揃ったラウンドは無く、もっと蹴って出れば明確な差となっただろう。

松岡優太の左ハイキックが石川智崇の鼻頭を掠める

◆第3試合 ライト級3回戦

菊地拓人(市原/千葉県出身/ 61.1kg)6戦4勝(2KO)2敗
     VS
石井隆浩(尚武会/東京都出身/ 59.8kg)2戦2敗
勝者:菊地拓人 / KO 1ラウンド 2分56秒

◆第2試合 バンタム級3回戦 

紫希士(Formed/福岡県出身/ 53.3kg)3戦3勝
      VS
九龍悠誠(誠真/神奈川県出身/ 53.55→53.52kg)4戦1勝(1KO)3敗
勝者:紫希士 / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-28)

◆第1試合 ミドル級3回戦

白井大也(市原/千葉県出身/ 72.8→72.75→72.5kg)4戦2勝(1KO)2分
        VS
ソムプラユン・ヒロキ(DANGER/茨城県出身/ 71.85kg)7戦2勝5敗
勝者:白井大也 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-29)

《取材戦記》

キリョウは前日計量であと90グラムというところで諦めた流れ。すでにフラフラの状態で、プロモーターの八木沼氏も更なる減量は勧めなかった。命が大事。より無理を課すことはせず、体調回復に努めさせました。丸一日あったリカバリーの時間で体調回復はしたものの、弱点となるボディーへの減量の影響は脆くも浮き出てしまった試合でした。

三日月蹴りとは格闘技界では有名な蹴りで、ミドルキックと前蹴りの中間域という意味と、相手の右脇腹にある肝臓に、左足の親指の付け根の中足を当てるというピンポイントを狙った蹴り言われます。

近年はカーフキックという注目され始めた蹴りがあり、ともに蹴りに行く側の足も当たり所が悪いと自らダメージを負う恐れがあるも、ヒットすれば効果的な蹴りとなるようです。

最近、キックボクシングにおいては“回し蹴り”という言い方が少なくなった気がします。ハイキック、ミドルキック、ローキックが主で、空手では上段回し蹴り、中段回し蹴り、下段回し蹴りと言うかと思いますが、元々空手から引用した技をキックボクシング創生期から使って来たのでしょう。時代の流れで踵落とし、カーフキック、三日月蹴りへ移り流行って来ました。

というこの日の興行とは関係無い方向へズレましたが、西原茉生の三日月蹴りから脱線話となりました。

次回ジャパンキックボクシング協会興行は11月17日(日)、後楽園ホールに於いてKICK Insist 21が開催されます。フェザー級王座戴冠した皆川裕哉の初防衛戦が予定されています。目黒の伝統“防衛してこそ真のチャンピオン”を越えて数度防衛を視野に頑張る皆川裕哉の試合捌きに注目です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

秋のNJKF CHALLENGER若い力が試練の主要試合を担う! 堀田春樹

年齢差あるカードが多かった今回のマッチメイクは若さの勢いとベテランの意地が見られました。

初メインイベンター吉田凛汰朗はベテラン宮越慶二郎の老獪なテクニックに苦戦の敗戦。

小林亜維二は認定チャンピオン初戦を辛勝。

◎NJKF CHALLENGER 2024 / 9月15日(日)後楽園ホール17:20~21:18
主催:TAKEDAジム / 認定:NJKF

◆第10試合 64.0㎏契約3回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/63.9kg) 
26戦12勝(3KO)10敗4分
       VS
宮越慶二郎(拳粋会宮越道場/1990.1.28埼玉県出身/63.55kg)
46戦29勝(8KO)14敗2分1NC

勝者:宮越慶二郎 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:少白竜29-30. 宮沢29-30. 多賀谷28-30
宮越慶二郎は興行MVP

初回、パンチと上下の蹴りで様子見の両者。第2ラウンドにはパンチの距離となり、吉田凛汰朗が狙った前進の中、宮越慶二郎は3年ぶりの試合ながら動きは良く、先にクリーンヒット。

吉田は打ち返そうと狙って出るが、宮越は躱す上手さもあってクリーンヒットしない展開、多少パンチを貰っても逆に打ち返す中、ヒジ打ちもヒットさせ、ディフェンスと凌ぎ切るベテラン宮越の上手さがあった。

焦りもあったか、吉田凛汰朗の右ストレートはヒットせず、宮越慶二郎が読み切った
宮越慶二郎のカウンターパンチヒット、もどかしい吉田凛汰朗

吉田凛汰朗コメント

「宮越選手の技術で呑まれてペース完全に掴まれてしまって打ち合いに応じて行っちゃったというのが本当に一番の反省点です」。

毎度の振り、5回戦制だったらという問いには、「5回戦だったらという作戦もあると思いますが、3回戦が今回の試合なので、3ラウンドでしっかり勝負を付けなければならず、今回は本当に完敗という感じです」

話を振れば、いつも笑顔で応え、落ち込むという表情ではないが、試合からこのインタビューまでキツイ時間だっただろう。また上を目指して頑張る意気込みはしっかり持っていた吉田凛汰朗である。

宮越慶二郎のリング上でのマイクアピールでは、「最高過ぎて言葉に出ません!リング上でのこの景色見れて感無量です」と率直なコメントを残していた。

巧みなテクニックで感無量の勝利。この日のMVP獲得の宮越慶二郎とスポンサーさん

◆第9試合 ウェルター級3回戦

NJKFウェルター級チャンピオン.亜維二(=小林亜維二/新興ムエタイ/2006.2.16神奈川県出身/66.55kg)11戦7勝(3KO)3敗1分 
        VS
シュートボクシング日本ウェルター級チャンピオン.奥山貴大(SPORTS/GSB/1994.3.14愛知県出身/66.5kg)24戦17勝(6KO)7敗 

勝者:亜維二 / 判定3-0
主審:児島真人
副審:少白竜28-27. 宮沢28-27. 中山28-27

初回、蹴りからパンチの様子見ながら次第に距離が近くなる打ち合いに移り、第2ラウンド終盤には打ち合いから奥山貴大の左右フックで亜維二はノックダウン喫してしまう。

第3ラウンド開始早々には奥山の左フックと亜維二の右ヒジ打ちでダブルノックダウンになりかけるも奥山貴大のみのノックダウンとなり、亜維二が巻き返した流れから蹴りを加えた打ち合いの激しい攻防で終了。

亜維二の長身を活かした左ミドルキックヒット
ダブルノックダウン気味も亜維二はすぐ立ち上がり、奥山貴大はダメージあるノックダウンとなった

亜維二コメント

「率直な感想としては、本当にまずは勝てて良かったというのがあって、ダウン取られた時は、やっぱり相手もタフな選手なので、“うわー、取り返すのキツ~!”と思いながら立ち上がったんですけど、最後は取り返せて良かったです。反省点はもっと攻撃纏めたり、ガードもしっかりしないとこれが自分の短所なので、もっと自分の短所削って長所を伸ばして、皆に安心して楽しく観せられるようにしていきたいです。“いい試合だったけど・・・”と後に欠点が付くので“だったけど”が無くなるようにしたいですね。」と反省の言葉だった。

◆第8試合 64.0㎏契約3回戦

WBCムエタイ日本スーパーライト級2位.健太(E.S.G/1987.6.26群馬県出身/ 63.65kg)
121戦68勝(21KO)45敗8分
 
         VS
シュートボクシング日本ライト級2位.基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/ 2001.12.24/兵庫県出身/64.0kg)22戦13勝(1KO)8敗1分 
引分け 0-1
主審:多賀谷敏朗
副審:児島29-29. 宮沢29-30. 中山29-29

パンチと蹴りの攻防。スピードはやや基山寛太にあり、ベテラン健太の返し技の上手さが光った。最終第3ラウンド終盤には、健太がアグレッシブに打ち合いに出るインパクトを残すが、第1ラウンドが互角以外、ジャッジ三者の採点が分かれるラウンドが続いて、振り分け難い展開でもあった。

基山寛太の右ストレートが健太の顔面を捉える
引分けとなった基山寛太と健太

◆第7試合 第14代NJKFフライ級王座決定戦 5回戦

1位.谷津晴之(新興ムエタイ/ 2003.5.7神奈川県出身/50.65kg)20戦10勝(4KO)5敗5分
        VS
2位.西田光汰(西田/ 2001.2.13愛知県出身/50.65kg)10戦7勝2敗1分
引分け
三者三様
主審:少白竜
副審:児島49-48. 多賀谷48-49. 中山49-49 (延長戦は三者とも9-10)
西田光汰を王座認定、公式記録は引分け

初回からパンチと蹴りの攻防。首相撲の展開もありスピーディーな互角の攻防が続くが、決定打は無く主導権支配するには至らない両者。

第4ラウンドには西田光汰のヒジ打ちで谷津晴之の左頬がカットされる。第3ラウンド以降はジャッジ三者が揃う採点は無く、三者三様の引分けによりチャンピオンを決める為の延長非公式戦が行われ、微妙ながら西田の勢いが優った。

多彩に打ち合った両者。西田光汰の右ストレートヒット
谷津晴之の右ミドルキックヒット、互角の攻防が続いた
西田ジム会長の父親にチャンピオンベルト巻いて応援団に挨拶する西田光汰

◆第6試合 59.0㎏契約3回戦

NJKFフェザー級4位.新人(E.S.G/35歳/58.7kg)43戦23勝(5KO)18敗2分
        VS
NJKFスーパーフェザー級5位.麻太郎(健心塾/22歳/59.0kg)18戦9勝(1KO)8敗1分
勝者:麻太郎 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:少白竜28-30. 多賀谷28-30. 中山27-30

打撃の攻防は若い麻太郎のパンチとハイキックの攻勢力が優った。

◆第5試合 フライ級3回戦

永井雷智(VALLELY/17歳/50.8kg)5戦4勝(3KO)1分
      VS
藤原将裕(マイウェイスピリッツ/30歳/50.45kg)6戦3勝3敗 
勝者:永井雷智 / KO 1ラウンド2分17秒 / 3ノックダウン
主審:児島真人

永井雷智はアグレッシブにストレートパンチでノックダウンを奪い、藤原将裕も少々蹴り返して頑張ったが永井雷智が3ノックダウンを奪って完勝となった。

◆第4試合 58.0㎏契約3回戦

和斗(大和/26歳/57.95kg)7戦4勝(2KO)3敗
       VS
蹴橙(クローバー/25歳/57.85kg)3戦2勝(2KO)1敗 
勝者:和斗 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

◆第3試合 スーパーウェルター級3回戦

風成(エス/27歳/69.4kg)4戦2勝(1KO)1敗1NC
      VS
須藤雅人(OGUNI/26歳/69.55kg)1戦1敗
勝者:風成
/ KO 2ラウンド2分3秒 / 3ノックダウン

初回、蹴りからパンチでリズムを掴んだ風成が連打でノックダウンを奪い、第2ラウンドにも右フックで3度ノックダウンを奪って圧勝。

◆第2試合 フライ級3回戦

手塚瑠唯(VERTEX/17歳/50.55kg)3戦1勝(1KO)2敗
      VS
植田琥斗(E.S.G/18歳/48.95kg)1戦1勝 
勝者:植田琥斗 / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

◆プロ第1試合 女子(ミネルヴァ)フライ級3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級9位.芳美(OGUNI/ 50.4kg)41戦11勝(2KO)27敗3分
       VS
堀田優月(闘神塾/15歳/50.3kg)2戦2勝
勝者:堀田優月 / 判定0-3 (28-30. 27-30. 27-30)

◆アマチュア2. OVER40 60kg級2回戦(2分制)

幸島秀之(サンライズ)vsアニマルタケ王(D-BLAZE)
勝者:アニマルタケ王 / RSC 1ラウンド1分53秒

◆アマチュア1. (ジュニア部門)EXPLOSION 2回戦(90秒制)

佐藤陽平(TAKEDA)vs太田善(エス)
勝者:佐藤陽平 / KO 1ラウンド54秒 / 2ノックダウン制

《取材戦記》

今回はCHALLENGER 5という表記でした。5回目でしたっけ?

武田幸三氏はセレモニーで「2月、4月、6月と来て今回が4回目!」と意識してか知らずか、御挨拶の中でそんな言い回しがありました。関西は「NJKF west 1」から予定の「west 5」まで発表されているので混合はしていないでしょう。今回は4回目でした。

盛り上がりはしたが、厳しい立場を残したメインイベントとセミファイナル。
プロモーター武田幸三氏は、
「自分も一切忖度しないでマッチメイクするので、まあそれが上に行く為の手段と思うので、毎回冒険で、今回はいい薬になりましたね。まだまだ本当に努力しなきゃいけないし、やらなきゃいけないことが沢山ありますが、現在地がようやく分かりましたね。」と語った。

プロモーターとしての現在地、選手らの現在地。停滞する場合もありながら、日本のトップ団体にする為の努力がこれからも続きます。

亜維二vs奥山貴大戦は第3ラウンドにダブルノックダウンが起こった。厳密には亜維二は軽いヒットのフラッシュダウン。奥山貴大は効いて倒れたノックダウン。レフェリーによってはダブルノックダウンとした判断もあっただろう。フラッシュダウンはすぐ立てばノックダウン扱いはしない現在の風潮で、これは勝敗の運命決める裁定。試合後に「あれダブルノックダウンじゃなかった?」と聞いてくるジム関係者も居て、物議を醸す問題ではないが、想定しておくべき事案でしょう。

プロボクシングJBCは起こり得る想定は毎度ミーティングしているということです。

「5回戦だったら」という振りを使う場合がありますが、それは3回戦制での試合後の「あと2ラウンド延長されていたら」という意味ではなく、契約時から5回戦という意味で、その想定での練習、スタミナ配分があります。吉田凛汰朗や亜維二の試合も5回戦だったらもっと戦略が幾つも複雑になっていたかもしれません。それがプロ選手の総合力が見られる長丁場の戦いです。

NJKF CHAKKENGER 5回目は11月10日(日)に後楽園ホールに於いて「55kg級JAPAN CUP 1st」8人トーナメント初戦、嵐vs壱世センチャイジム決定済を含む主要4試合を中心に行われます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
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今こそ、鹿砦社の雑誌!!

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全日本キックボクシング協会 「原点回帰、参ノ陣」は初のタイトルマッチ開催! 堀田春樹

地道に着実に基礎固めの秋を迎えた令和の全日本キックボクシング協会。期待を背負った瀬川琉が王座獲得。全力で立ち向かった仁琉丸の闘志が試合を盛り上げた。

◎原点回帰、参ノ陣 / 9月6日(金)後楽園ホール17:30~20:58
主催:全日本キックボクシング協会
※戦績はプログラムより参照し、この日の結果を加えています。

 
瀬川琉の左ミドルキックが幾度も仁琉丸の脇腹にめり込んだ

◆第11試合 全日本スーパーフェザー級王座決定戦 5回戦

2位.瀬川琉(稲城/ 1998.6.6東京都出身/ 58.95kg)20戦13勝(4KO)6敗1分
      VS
3位.仁琉丸(ウルブズスクワッド/ 58.3kg)23戦12勝(8KO)11敗
勝者:瀬川琉 / TKO 5ラウンド 48秒 /
主審:和田良覚

仁琉丸は右ローキックからスタート。瀬川琉は受けても慌てる様子は無く、ローキックを返しながら左ミドルキックを蹴り込んでいく。

両者の蹴りパンチの攻防の中、瀬川琉の左ミドルキックのインパクトが強く主導権を支配していく。

後半、仁琉丸のストレートパンチで瀬川琉の顎が仰け反るシーンはあるが体幹は崩れず、より一層の左ミドルキックの徹底度が増していく。

最終ラウンドには瀬川琉の左ミドルキックが仁琉丸の脇腹にヒットするとダメージの限界に来たかノックダウンを喫し、呼吸を整えて立ち上がるも再び左ミドルキックを受けたところで堪らずノックダウンを喫するとレフェリーストップが掛かった。

勝負の決め手となった瀬川琉の左ミドルキック、今後も脅威の蹴りとなるか
瀬川琉の左ミドルキックでついに倒れ込んだ仁琉丸

瀬川琉、リング上では勝利のアピール。

「今回、団体立ち上がって、また団体増えたとか、またチャンピオン一人増えたとか、凄く悲観的な意見沢山あると思います。僕自身それが一番自覚しています。全日本キックボクシング協会の選手達、まだ新人の選手凄く多くて、これからの団体ですけど、僕自身がこのベルトと団体の価値を上げていけるように、これから前にどんどん進んでいって来年、他団体のトップどころと戦えるように精進していきますので、これからも応援宜しくお願いします。僕、デビュー戦からずっと後楽園ホールでしか試合してないんですよね。もっと次、デカイ舞台で試合していきたいので、他団体とも絡んでいきます(一部抜粋)」と抱負を語っていた。

新しい時代のチャンピオン誕生、更なる目標は他団体チャンピオン倒してRIZIN!?

控室にはなかなか戻れず、ロビーで応援団と記念写真に応えていた瀬川琉は閉館の時間も迫り、控室に戻る途中で話を聞かせて貰い、「もうちょっと早く倒すつもりではあったんですけど、練習の20パーセントぐらいしか出せなかったので。ただ今後のことを考えても5回戦はいい経験になりました。KOも出来たので良かったです。目標としては他団体のトップどころと戦いたいのと、どのルールでもいいのでRIZINに出たいですね。」と語り、防衛戦やRWS、ONEについて振ってみても、「取り敢えずRIZINで!」とまずRIZINへ出場したいアピールは強かった。

仁琉丸のウルブズスクワッドジム会長の能澤隆一会長は「仁琉丸はボディーでやられましたが、気持ち入っていて気持ちでは負けてないという感じがありましたね。いい部分もっと出して行ければ良かったですが、僕的には、よく頑張ってくれてあれでいいんじゃないかと思いますし、良い試合で最高でした。」と敗れたもののメインイベントで全力尽くした仁琉丸について語られました。

◆第10試合 フェザー級3回戦

WBCムエタイ日本スーパーバンタム級3位.前田大尊(マイウェイ/2005.8.6山梨県出身/ 57.1kg)
11戦8勝(2KO)3敗
      VS
祐輝(OB-BU/ 56.9kg)17戦7勝(2KO)7敗3分け
勝者:前田大尊 / KO 2ラウンド 2分31秒 / 3ノックダウン
主審:少白竜

初回は祐輝のアグレッシブなパンチヒットがあったが、前田大尊の蹴り中心にハイキックも効果的に圧力掛ける流れで主導権を奪う。

鋭く的確にヒットした前田大尊の右ミドルキック

第2ラウンドも蹴りで優った前田大尊が祐輝をコーナーに追い詰め、右ストレートでノックダウンを奪う。

立ち上がった後も更に左ボディーブローで二度目のノックダウンを奪う。

二度目のノックダウンを奪った左ボディブロー

心折れない祐輝は立ち上がるも前田大尊の右の蹴りで三度目のノックダウンを喫したところで終了となった。

更に祐輝を倒しKO勝利した前田大尊は雄叫びを上げた

前田大尊は勝利後マイクで、「10戦して7回勝ってるんですけど、KOが1回だけっていう、勝つことは出来ていても倒すことは1回しか出来なくて、自分の課題だと思って必死に練習してきました。本当に悔しくて、凄くくじけそうになったこともあるんですねど、応援してくれる皆が居てくれて強くなることが出来ました。」

また11月10日のニュージャパンキックボクシング連盟興行に於いてのトーナメント出場も決まっていることを告げ、「インスタでフォローして結果楽しみにしていてください」とアピールした。

◆第9試合 ライト級3回戦

山田旬(アウルスポーツ/ 60.65kg)3戦3勝(1KO)
      VS
鈴木孝則(無所属/リミットクリアー)6戦1勝5敗
勝者:山田旬 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:竜矢30-27. 和田30-28. 少白竜29-28

序盤は蹴り合う両者の主導権の奪い合いから、山田旬が思い切ったハイキックやバックヒジ打ちなどの技が攻勢を導き、鈴木孝則を追い詰めた。鈴木は顔を腫らしながら向かっていき、試合を盛り上げた。

技の多彩さで鈴木孝則を追い詰めていく山田旬

◆第8試合 ウェルター級3回戦

成瀬晴規(無所属/ 66.68kg)4戦1勝2敗1分
     VS
Katsuya Norasing famiry(=堀内克也/Norasing famiry/ 66.25kg)1戦1勝(1KO)
勝者:Katsuya / TKO 2ラウンド 49秒 /
主審:勝本剛司

蹴りとパンチのアグレッシブな攻防は激しく動き回った中、接近して打ち合う場面もあったが、突然試合はストップ。蹲る成瀬晴規のマットには夥しい鮮血が広がった。

有効打か偶然のバッティングか見極められなかった審判団。一旦は前半の偶発的アクシデントとして無効試合が宣せられたが、審判団の映像確認の上、全試合終了後にKatsuyaの有効打によるTKO勝利と訂正された。ヒジ打ちによる左眉尻のカット、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップとなった。

これがヒジ打ちヒットとなったかは解らない。この後接近して成瀬晴規が蹲る

◆第7試合 ヘビー級3回戦

田馬場貴裕(impact/ 97.0kg)16戦6勝9敗1NC
      VS
ピクシー犬飼(府中ムエタイクラブ/ 108.0kg)2戦1敗1NC
無効試合 / 1ラウンド 1分59秒 /
主審:勝本竜矢

パンチラッシュする田馬場貴裕と凌いで蹴り返すピクシー犬飼のアグレッシブな攻防は突然の股間蹴りで試合は中断。

立ち上がれぬ田馬場は担架が用意されたが、担架だけは避けたい意思を示し、セコンドの手を借りなければ立ち上がれないほどダメージは深かった模様。ラウンド前半の偶然のアクシデントとして無効試合が宣せられた。

ピクシー犬飼のローキックが田馬場貴裕の股間に当たった瞬間

◆第6試合 バンタム級3回戦

広翔(稲城/ 53.3kg)3戦2勝1敗
    VS
風間祐哉(WSR三ノ輪/ 53.3kg)3戦1勝2敗
勝者:広翔 / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:椎名30-27. 勝本剛司30-27. 竜矢30-27

3月16日の旗揚げ興行から出場している広翔はよりアグレッシブにスピーディーに攻める勢いが付いた中、先手の左ストレートでノックダウンを奪い、主導権を奪った流れは譲らず大差判定勝利を掴んだ。

◆第5試合 56.0kgから変更58.0kg契約3回戦

吉田秀介(稲城/ 57.5kg)
     VS
嶋津悠介(RIKIX/ 56.0kg)2戦2勝(1KO)
勝者:嶋津悠介 / KO 1ラウンド 2分23秒 / 3ノックダウン

中村健甚、体調不良により欠場。吉田秀介代打出場。

◆第4試合 ミドル級3回戦

義斗(KickBoxing fplus/ 70.0kg)2戦1勝1敗
       VS
KENTA PUAKUTA SHONBIN(スポーツジム67‘S/リミットクリアー)2戦1勝1分
勝者:KENTA PUAKUTA SHONBIN / 判定0-3 (29-30. 28-30. 28-30)

◆第3試合 スーパーバンタム級3回戦

吉田鋭輝(team彩/ 54.9kg)2戦2勝(1KO)
      VS
二宮渉(アウルスポーツ/ 54.8kg)1戦1敗
勝者:吉田鋭輝 / TKO 3ラウンド2分16秒

◆第2試合 フライ級3回戦

横尾空(稲城/ 50.7kg)2戦2勝
     VS
内山朋紀(TEAM ONE STEP/ 50.3kg)1戦1敗
勝者:横尾空 / 判定2-1 (30-27. 30-28. 29-30)

◆第1試合 65.0kg契約3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 64.35kg)1戦1勝
      VS
山下聖一郎(廣島ブルドッグ/ 64.8kg)6戦1勝4敗1分
勝者:野竹生太郎 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

《取材戦記》

設立以降、初のチャンピオン誕生となったスーパーフェザー級で王座争った瀬川琉と仁琉丸は、新日本キックボクシング協会で経験を積んできた選手で、瀬川琉は一昨年10月に瀬戸口勝也の王座へ挑戦経験を持つ。今後は全日本キックボクシング協会のエース格として看板を背負っていかねばならない。その自覚はマイクアピールに表れていた。

他の階級は今後、新人戦から這い上がって来た若い選手が王座を争っていくことになるでしょう。そんな一から始まった原点回帰の全日本キックボクシング協会の今の姿である。

無効試合がTKO裁定に訂正された成瀬晴規vsKatsuya Norasing famiry戦を客席から見ていた知人は「明らかにヒジ打ちが出されたのが見えましたよ!」と翌日話を聞くことが出来た。審判団が見落としたというより、近くで見るより離れたところから見た方が視線のブレが少なく見極め易かったかもしれない。それはケースバイケースで、立ち位置にもよるが、青コーナーに近いところで起きたことで死角が重なったかもしれないだろう。

ヘビー級の股間ローブローは重量感ある蹴りによるものか、そのまま試合続行不可能に陥ることは多い。巨漢であることがノーファールカップの締め具合が緩くズレ易くなる可能性もあり、改良の余地は無いか、難しい問題です。軽量級ではあまり起こらない現象でもあります。

栗芝貴代表はこの日の総括を「ウチの協会もだんだん白熱して来て、前田大尊選手にしてもウチの選手にしても本当に誇らしい試合をしてくれて、こういう試合がどんどん増えていくと思います。」

5回戦を上手く戦った瀬川琉について、「瀬川は5回戦制が性に合っているんじゃないかな。それが活かせたかもしれませんね。」と語った。

また「来年度も後楽園ホールスケジュール4回取れまして、日曜日開催も来年後半には行われて行きます。」と今後の後楽園ホール使用の機会も増えていきそうな見通しも語られました。

全日本キックボクシング協会年内最終興行は、12月28日(土)に後楽園ホールに於いて行われます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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キックボクサー、王座戴冠後の祝い事 堀田春樹

◆リングを下りた後のイベント

一般のファンにはあまり知られない、ごく親しい者とその関係者から誘われなければ参加できないチャンピオンの祝勝会。

その選手が王座挑戦のチャンスを掴み、見事勝利して新チャンピオンと成った瞬間は、それまでの苦労が実った最高の快感でしょう。

過去、キックボクシングに於いて、王座戴冠した者のその後の待遇は、所属ジム会長や後援会が祝勝会を開いてくれることが、ある一定数は行なわれているようです。

その開催にはチャンピオンの知名度、存在感、期待感が示され、参加人数は人脈によって多いか少ないかが表れ、王座戴冠の達成感や今後の責任感が増すものでしょう。

お祝いの象徴、鏡割り、新妻聡WKBA世界スーパーライト級王座戴冠祝勝会にて(1997.2.22)

先週の格闘群雄伝にて、嵐(キング)選手のNJKF王座獲得祝賀会の様子も述べましたが、NJKFバンタム級チャンピオンという、世間一般から見れば「何のチャンピオン?」と言われるほど知名度は低く、実質まだ日本一には至っていません。

嵐本人も「全然こんなところで満足していないし、必ず最終目標である世界制覇を成し遂げる。」と語り、更にキングジム向山鉄也名誉会長が語ったように、「軽量級で世界一になっている奴、それが吉成名高。これに勝てば嵐の夢も達成出来ると思います。」という最高峰へ向けての叱咤激励するパーティーでした(嵐のパーティーは“祝賀会”)。

3月の嵐祝勝会にて、キングジムマネージャーから、花束贈呈もお祝いの象徴(2024.3.17)

◆祝勝会の規模

その祝勝会は黙っていても誰かが開催してくれるものではなく、先に述べた後援会は選手各々が度量、力量で築き上げるもので、その後援者などが、選手のそこまでのキツイ努力を労って祝勝会を開いてくれるもの。後援会も無く、支援者も少ない、ジム会長も開催する気が無いなど、開催されないチャンピオンも居ることでしょう。

1988年1月15日に越川豊(東金)に挑戦、判定勝利し当時、日本ライト級新チャンピオンとなった飛鳥信也(目黒)氏は、同年3月に京王プラザホテル八王子で祝勝会を開催。

当時、発起人は後援会会長で東京都議会議員だった方の人脈から100人以上が参加され、当時のタレント、工藤夕貴さんも御来場。ジム会長や後援会長、チャンピオンの御挨拶からトークショー、他にゲスト歌手の歌声や大型スクリーンによるVTRでの試合再現、飛鳥信也氏のマススパーリングと多彩な演目が披露。

報道で表現されること多い「盛大に行われました!」というフレーズはキックボクシング界に於いては遜色ない祝勝会だった模様。しかしマイナー競技故に報道されること少なく、これが大相撲の優勝やプロ野球のリーグ優勝、日本シリーズ優勝は労いの規模が大幅拡大するのはメジャー級競技、報道関係も多く押し寄せる等、想像に難しくないでしょう。

キックボクシング創設50周年記念パーティーにて、マススパーリング公開(2014.8.10)
 
5月19日には市原興行でメインイベンターとなる皆川裕哉、目黒ジム系のセコンドとスリーショット(2024.3.24)

◆老舗の体制

かつての名門目黒ジムは、祝勝会には関与しない態勢だったと言われます。元々からプロモーター野口修氏が祝勝会開催には関心が無い人、「防衛してこそ真のチャンピオン」を信条として、一時的な王座君臨は、今後の抱負を宣言したところで負けて陥落しては、タダの人に戻ってしまうギャップもあっての考え方か思われます。

この目黒ジムで祝勝会が行なわれた場合は、飛鳥信也氏のように後援会によるものです。

他のジムでは会長が選手の飛躍を期待し、自覚を持たせるという志向から祝勝会を開くこと比較的多いようです。

元・目黒ジムの勝次(高橋勝治)は2019年10月20日のWKBA世界スーパーライト級王座戴冠し後日、後援会主催で祝勝会が行われています。

勝次は「勝利は自分が嬉しいだけでなく、応援してくださっている方々も皆さん喜んでくれて、改めて自分一人の力だけではチャンピオンには成れないと感じました。皆さんの喜んでいる顔を見て、また、皆さんに喜んで貰えるように気を引き締めて頑張っていかないといけないなと、“勝って兜の緒を締めよ”の言葉のどおり、気を抜けない思いでした。」と決意を語っていました。

プロボクシングの場合、一概には言えませんが、日本タイトルレベルでは祝勝会は行わず、世界を戴冠してこその頂点を極めた証として、それまでの努力、険しい道程を労う祝勝会は後援会や、スポンサーの企画で行なわれているのかもしれません。

元K-1選手でプロボクサーの武居由樹が5月6日に世界初挑戦で王座戴冠。「祝勝会に呼ばれたら行きたい」というキックボクシング関係者が居ましたが、現在は井上尚弥のような主要4団体統一が最高峰ブランド。しかしプロボクシングの世界王座は従来どおり、一団体でも最高位に達した意味合いは大きいでしょう。

◆開催に至る覚悟

参加費用は会費制もあれば御招待もあり、会費が高ければ行くのを躊躇い、「1万円だったら行くけど、3万円だったら諦める。」という関係者もいました。一般社会においては物価高の時代、1万円札数枚単位はキツイ時代かもしれません。

中には選手本人が自分で開催に踏み切る場合もあるようで、「祝勝会開くので来てください。」という案内状配布。

「祝勝会って誰かにやって貰うものだろ!」とツッコミを入れたくなるものでした。

また競技の節目での記念パーティーを開く場合もあり、伊原プロモーション主催でキックボクシング創設50周年記念パーティーが開かれたのは2014年8月10日でした。

あれから10年、祝勝会というよりは祝賀会という言い方が適切ながら、60周年記念パーティーを開く覚悟は無いか、伊原信一代表に聞いておこうと思います。

50周年パーティーにて、創始者・野口修氏の御挨拶。もう10年前となる(2014.8.10)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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5年ぶりの開催、MuayThaiOpen 壱センチャイジムが快勝! 堀田春樹

コロナ禍で2020年から休眠に入ったムエタイオープンがようやくここに来て再開。
全試合通じてノックアウト決着は一つも無く、ノックダウンも一つも無かったが、判定はユナニマスデジションで、それぞれの試合は要所要所でテクニックが見られる飽きない展開の試合が続きました。

壱センチャイジムは攻勢を維持した流れで、より一層の成長が見られる勝利。
蒔センチャイジムは石川直樹の老獪なテクニックに翻弄される敗戦。
石川直樹は若手に立ちはだかる存在となったこの頃である。

リカ・トーングライセーンがワイクルーを披露
 
ファーモンコンはロープ際へ下がってばかりでは壱世の後ろ姿が多くなった。壱世がミドルキックヒットで圧倒していく

◎MuayThaiOpen 48 / 8月24日(土)ひがしんアリーナ(墨田区総合体育館)17:00~20:40
主催:センチャイムエタイジム /

◆第9試合 56.0kg契約3回戦

KNOCK OUT(RED)スーパーバンタム級チャンピオン.壱・センチャイジム(=与那覇壱世/1997.8.15沖縄県出身/センチャイ/ 55.95kg)38戦28勝9敗1分
        VS
ファーモンコン・ソー・ウティトラム(元・ラジャダムナン系バンタム級2位/1994.6.24タイ国出身/ 55.7kg)121戦90勝26敗5分

勝者:壱・センチャイジム / 判定3-0
主審:ヨンサック・ナ・ソンクラー(タイ)
副審:少白竜30-28. 大澤29-28. 和田30-28

壱世は初回から左ミドルキックで圧力を掛け、ファーモンコンをロープ際へ下がらせる展開。ファーモンコンが蹴って来ても冷静に巧みに躱すディフェンスも見せる。

ファーモンコンは前進せず、テクニックは有りながら倒す気の無い、倒されないだけの動きしかしない在日タイ選手に有りがちな省エネパターンだが、テクニックでは壱世が完全に上回った展開で完勝。残り30秒ほどでセンチャイ会長から「勝ってるからもういいよ」と攻めなくていいという指示。それに応じて距離を取って終了を待つ。壱世が圧倒した判定勝利。

壱世が前蹴りでファーモンコンに圧力を掛けて行く
 
まだ0歳のお子さんを抱き上げて勝利のツーショットく

壱世「ファーモンコンは凄いテクニックある選手でしたが、打ち合いに持ち込もうとしても付き合ってくれないし、ミドルキックの蹴り合いで勝つしかなかったです。前に出てくれない凄い難しい選手でした。」

リングサイドで応援団に囲まれ、なかなか控室に戻れない壱世。というより楽しそうに勝利の会話が弾んでいました。

◆第8試合 55.0kg契約3回戦

蒔センチャイジム(=佐藤蒔音/センチャイ/2003.7.8東京都出身/ 54.8kg) 5戦3勝2敗
       VS
石川直樹(元・日本フライ級Champ/Kickful/1986.8.18埼玉県出身/ 54.8kg)
49戦31勝(14KO)10敗8分
勝者:石川直樹 / 判定0-3
主審:谷本弘行
副審:少白竜28-29. 大澤27-30. 和田27-30

蒔音“まくと”は昨年12月10日のデビューで、まだ1年足らずで石川直樹と対戦。ヒザ蹴り地獄に巻き込まれるかと予想される中、ミドルキックからハイキックで果敢に攻める。更に右ストレートも打ち込むが石川直樹は簡単には喰わない。

石川直樹はカーフキックも多様し、蒔音の動きを鈍らせた。終盤にはヒジ打ちで蒔音の頬にヒット。手数とパワフルに出るのは蒔音だが、その技を殺して蹴り返すのはベテランの技が上手かった石川直樹。

首相撲からヒザ蹴り地獄に追い込むには至らなかったが、多様な技で蒔音を翻弄した。

首相撲から蒔音を引っくり返したベテラン技が冴える石川直樹
隙を突いた石川直樹の右ストレートヒット、これも経験値が優った

蒔音=「石川さんメッチャクチャ強くて、上手さはありましたね。全部経験の差で持っていかれたなあという感じで、まあ経験不足ですね。悔しいんで石川さんとはもっとレベルアップしてからもう一回やりたいですね。次もしやる機会があるとしたら、カーフキックは絶対貰わないようにします。最初にかなり効いちゃって。今度は蹴り返しますよ。思いっ切りカーフ以上のものを。左頬にヒジ打ち貰ってしまったのもダメでしたね。」と結構、明るく丁寧に応えてくれました。左頬は少し腫れていましたが、斬られるほどではなかった。

勝利を称えるセンチャイ氏、ラウンドガールは智華さん、レフェリーは谷本弘行氏

◆第7試合 女子55.0kg契約3回戦

ルイKMG(元・S-1女子日本S・FLY級Champ/クラミツ/1997.2.19/神奈川県出身/ 54.9kg)
16戦11勝5敗
    VS
ホントン・コー・プラサートジム(1996.9.6タイ国出身/ 55.0kg) 51戦34勝16敗1分
勝者:ルイKMG / 判定3-0
主審:ヨンサック・ナ・ソンクラー(タイ)
副審:谷本29-28. 大澤29-28. 和田29-28

ホントンはミドルキックの勢いはあるが、ルイがブロックし、凌げると確信すると前進するのみ。ロープ際へホントンを追い込む主導権支配に至る。終盤にはルイがより勢いを増し、ホントンをより下がらせる展開。首相撲もルイが組み負けずヒザ蹴りに繋げ優った。

ルイが積極性で上回り、前蹴りでホントンを突き放す
 
弘太が前進して来ると、コムキョウのヒジ打ちが度々ヒット

◆第6試合 65.0kg契約3回戦

弘センチャイジム(=大森弘太/センチャイ/2001.11.14東京都出身/ 64.95kg) 9戦5勝4敗
        VS
コムキョウ・ノー・ナクシン(2002.6.30タイ国出身/ 64.7kg) 79戦56勝21敗2分
勝者:コムキョウ・ノー・ナクシン / 判定0-3
主審:神谷友和
副審:谷本28-30. 大澤28-30. 和田28-30

コムキョウは“Komkeaw Nor Naksin”という綴り。カタカナで書くとどうもタイ語の響きは感じず、タイ語発音によりますが、“コムケーウ”が正しいでしょう。
初回は蹴りから首相撲。接近戦で時折、コムキョウのヒジ打ちが繰り出される中、弘太の額を斬ることに成功。離れて戦えば弘太の前進で蹴りからパンチで追うが、コムキョウは難なく躱して接近戦に持ち込み、上手さで優っていくが、弘太を下がらせるほどの勢いは無いまま終了。

◆第5試合 58.0kg契約3回戦 

山下明涼真(TSK japan/2003.1.24神奈川県出身/ 57.35kg) 3戦3勝
        VS
森本直哉(無所属/1991.7.23沖縄県出身/ 57.9kg) 24戦10勝14敗
勝者:山下明涼真 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:和田30-27. 大澤30-28. 神谷30-29

初回からパンチと蹴りの攻防から山下明涼真のヒザ蹴りを加えた攻撃力が優っていき、流れ的には大差となって判定勝利。

山下明涼真がヒザ蹴りで攻勢を維持した

◆第4試合 女子45.0kg契約3回戦(2分制)

ロウ・イツブン(1995.5.26中国出身/ 44.95kg) 4戦1勝3敗
        VS
友菜(Team ImmortaL/2000.2.16秋田県出身/ 45.0kg) 9戦1勝4敗4分
勝者:ロウ・イツブン / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-29)

首相撲からのヒザ蹴りになる流れが多く、離れるとロウ・イツブンの前蹴りが友菜のアゴや顔面をヒットする攻勢の流れを続けて判定勝利。

◆第3試合 57.5kg契約3回戦

光センチャイジム(センチャイムエタイ錦糸町/2003.10.12東京都出身/ 57.25kg)1戦1敗
        VS
富田エレデネ(クロスポイント吉祥寺/2002.10.15東京都出身/57.4kg) 2戦1勝1敗
勝者:富田エレデネ / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)

蹴りとパンチの互角の攻防から富田エレデネが徐々に調子を上げ、第3ラウンドには圧倒する流れで終了。

◆第2試合 女子49.0kg契約3回戦(2分制)

戸田史(バンゲリングベイ/1997.11.4東京都出身/ 48.65kg)1戦1敗
        VS
山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/1997.5.17東京都出身/48.75kg)2戦2勝
勝者:山崎希恵 / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

手数とヒット数で優った山崎希恵。先に当て圧倒する気力が勝利を導いた。

◆プロ第1試合 フライ級3回戦(2分制)

はると(岡山/2007.1.15岡山県出身/ 48.25kg)3戦3敗
       VS
真虎(Kick Life/2002.6.28埼玉県出身/ 50.65kg)13戦1勝10敗2分
勝者:真虎 / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)

ローキック中心に真虎が攻勢を維持。はるとはパンチで攻め返すが、真虎がローキックで主導権支配した展開で勝利を導いた。

◆オープニングファイト アマチュア43.0kg契約3回戦(2分制)

大久保海成(橋本道場/2010.8.10東京都出身/ 42.7kg)
VS
ハルク・チャロンチャイ(team kuntap/2010.8.12千葉県出身/ 42.55kg)
勝者:大久保海成 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

スーパーバイザー 元・BBTV審判部代表 ランシットスタジアム審判部長 
ヨンサック・ナ・ソンクラー(Yongsak Na Songkhla)

《取材戦記》

スーパーバイザーとして、タイ国ランシットスタジアム審判部長、ヨンサック・ナ・ソンクラー氏を招聘したことはセンチャイさんらしさある箔が着く興行でした。

プロモーターのセンチャイ氏は、

「今回の興行はまあ上手くいったと思います。壱世はアグレッシブに良い試合してくれて、相手も凄いベテランで注目して観ていました。残り30秒ぐらいで壱世に「勝ってるからもういいよ」と言ったのは、ファーモンコンは負けてるのに攻撃して来ない。ならもういいや、盛り上げないのは勿体無いなあと。すぐ下がろうばっかりでファイトマネーだけ持って行って試合見せてくれない。本当にズルイです。
蒔音は経験値で敵わなかったですけど、負けても内容は悪くないですね。逆に上手くなって行けますし。」とリング周りを片付けている合間に応えてくれました。

11月10日にはNJKF興行にて開催されるKICKBOXING JAPAN CUP 55kg級トーナメント初戦で、嵐(キング)と対戦が予定されている壱世。好調な二人の対戦が期待されています。

ワイクルーショーはKAYOKOさんとAKEMIさんの二人の舞いと、リカ・トーングライセーンさん一人の舞いが披露されました。以前より柔らかい動きになった感じもしますが、男子の舞いとは違う美しい躍動感でした。

ムエタイオープンは年内にも予定されており、来年以降は通常の年4回ほどの開催を予定されている模様です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
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〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか


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過去を振り返る キックボクシングのビッグイベント、オープントーナメントとは 堀田春樹

◆過去の画期的イベント

ボクシングやキックボクシングにおける、プロ選手が目指す地位と名誉はランキングが基となるタイトルマッチで、世界戦や各国、エリア毎にも行われます。

これに準ずるのが多くのスポーツで行われている分かり易いトーナメント戦です。キックボクシングにおいても頻繁に行われて来ましたが、最近では小規模なことが多く、各団体の一つの階級で王座決定トーナメントや挑戦者決定トーナメントの4名参加程度が多いようです。

2006年7月にはニュージャパンキックボクシング連盟に於いて藤田真理事長が退任前に、真王杯トーナメントを55kg以下と60kg以下の2つの枠で、それぞれ8名参加で5ヶ月かけた3回の興行に渡って開催しました。優勝賞金は200万円。準優勝でも50万円でした。

2019年に日本キックボクシング連盟(NKB)ではPRIMA GOLD杯ミドル級トーナメントが8名参加で3回の興行に渡って行なわれました。更にジャパンシフトランド杯59kg級トーナメントも8名参加で開催。台風やコロナ禍で、準決勝から決勝の期間が空き過ぎると冷めてしまう点は勿体無いところでした。優勝賞金はいずれも30万円でした。

過去、キックボクシング史上で、これらのスケールを超えるトーナメントは他に無いだろうと言えるのが、1979年(昭和54年)11月から4ヶ月かけて行なわれた500万円争奪オープントーナメントと1982年11月から5ヶ月かけて行なわれた1000万円争奪オープントーナメントです。

今回はこの1979年の500万円争奪オープントーナメントについて振り返ってみたいと思います。

◆参加選手の豪華さ

このイベントは当時の日本キックボクシング協会系(TBS系)のみでしたが、キックボクシングでは初の大掛かりなトーナメント。TBSでのキックボクシング放映末期で、レギュラー番組として生き残りを懸けた起死回生のイベントでした。

[左]トーナメント用のプログラムは無く、通常興行に組み込まれた掲載だった(1979.11.3)/[右]500万円争奪オープントーナメント対戦表(1979.11.3)
 
優勝盾はTBSより

優勝賞金は500万円。階級は中量級域58.0kgから63.0kgの幅。フェザー級からジュニアウェルター級域(当時ジュニアクラスは無し)の選手が参加する流れでしたが、もう少しウェルター級域まで幅があれば稲毛忠治の出場も検討したという千葉ジムの戸高今朝明氏。

それでも当時の錚々たるメンバー18名が参加していました。そして負けたら終わりというトーナメントの厳しさも映し出され、当然ながら優勝候補がどんどん脱落していきました。初戦で亀谷長保vs松本聖の目黒ジム同門対決は優勝候補同士の対戦で、勝ち上がった亀谷長保は前年に敗れている金沢一夫(横須賀中央)に準々決勝で再び敗れて脱落。その金沢一夫は準決勝で伊原信一に敗れ脱落。

もう一方のブロックでは、実力者・光本成三(目黒)、尾崎勇(横須賀中央)も脱落する中、人気実力急上昇の須田康徳(市原)が準決勝で、優勝候補の一人だった日本ライト級チャンピオン、有馬敏(大拳)に2度ノックダウン奪われるも挽回し僅差勝利した試合も名勝負でした。

そして決勝まで勝ち上がった現役最古参・伊原信一(目黒)対須田康徳戦は、打ち合いを避けた手数少ない展開から、最終第5ラウンドに右ストレートでノックダウンを奪った伊原信一が距離を取ってアウトボクシング。勝利への執念を貫いた現役最古参が判定勝利で優勝しました。

◆レギュラー放送継続には繋がらず

昭和の高度経済成長期にテレビが普及して行った中、全国ネットのレギュラー番組として、TBSのゴールデンタイムにキックボクシング放送が10年も続いたことは、当時はまだ番組コンテンツが少なく、KO率高いキックボクシングはお茶の間に受け入れられた時代でした。

しかし、テレビ番組も多様化する時代の流れには敵わず深夜放送に降格し、更にレギュラー番組は終了に至りました。また、オープントーナメントの開催有無に関わらず、放送終了は決定的だったとも言われ、もう2年早く開催していればまだ放送延命は可能だったかもしれません。

[左]優勝はベテラン伊原信一(画像は後々のもの)/[右]準優勝となった須田康徳(画像は後々のもの)

◆定期的イベントとなるか

このオープントーナメントはタイトルは掛かっていませんが、中量級域の一時的ながら最強を決めるイベントとしては画期的でした。更に軽量級域と重量級域でも3階級に分けて、他団体からの参加があればより盛り上がることは想像に難しくない価値を残しました。

しかし、第2回開催への優勝賞金を確保することも難しく興行はメッキリ減り、先行きは不透明となりましたが、そんな期待は後々に業界の総力を結集する第2回開催へ繋がっていきました。

次回はその1982年の1000万円争奪オープントーナメントについて語らせて頂きます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

キックボクシング・分裂の歴史 最初の大革命は日本プロキックボクシング連盟 堀田春樹

◆キックボクシング界におけるクーデターとは?

日本のキックボクシング界は分裂の歴史でもある。過去どれだけの団体設立と消滅があっただろうか。現在では私的団体だが名前だけは存続する、日本プロキックボクシング連盟は最初の大革命の団体だった。

その設立経緯は結構大掛かりだったことを知る人は当事者以外はあまりいないでしょう。

昭和時代に全国ネットのレギュラー番組で隆盛期を誇ったテレビ頼りのキックボクシングが終焉し、最も低迷期に入った1981年(昭和56年)10月、当時は物騒な言い方だが、クーデターと言われた大々的分裂が起こりました。

1982年新春興行、観衆は現在より入っている感じもある

◆業界を震撼させた分裂と合併の流れ

 
中央がコミッショナーを務めた当時の衆議院議員の粕谷茂氏

これ以前の創生期からの自然派性する団体や、1978年3月に全日本キックボクシング協会を脱退した黒崎健時氏が発足させた新格闘術連盟とは規模が違いました。

それが、日本系(日本キックボクシング協会)と全日本系(全日本キックボクシング協会)のそれぞれ8件のジムの脱退と新規ジム3件が加盟した19件のジムが、統一団体と謳って日本プロキックボクシング連盟を設立しました。

同年10月3日には後楽園ホールの階下にある後楽園飯店で設立記者会見を開き、連盟会長となった芹沢武氏は、「近い将来、軌道に乗った後は我が連盟こそ主流となるキックボクシングの本家」と語りました。

脱退の理由はいずれも既存団体運営に不満あってのこと。詳細は当時発表された範囲ながら、日本系脱退組は「テレビ放映料の無還元、選手育成の補助は無く、野口プロモーションの興行の減少とマンネリ化」など。全日本系脱退組は「主要プロモーターが代っても興行運営は一向に改善されない年月を経た上、キックボクシング(ムエタイ基盤)からマーシャルアーツ(全米プロ空手)化へ移行しようとする中での反旗」でした。

設立初回興行は10月25日、実現したカードは過去の交流戦とは違い、同団体内で競い順位が決まる新鮮さがありました。後楽園ホールでの観衆の入りも満席には至らずも、7割方のまずまずの入り。ただ、統一と謳いながら既存の団体と肩を並べる第四団体という位置付けは仕方ないところでした。

11月22日の第2回興行も初回同様まずまずの観衆の入りで、1982年1月4日はUHF(テレビ神奈川、テレビ埼玉、千葉テレビ)というチャンネルながらテレビ放映が整う。連盟新ルールでは、チャンピオンは7ラウンド戦うスタミナ、戦力があって当たり前と、日本タイトルマッチは7回戦に制定。他の基本的な部分は3ノックダウン制、投げは禁止という旧全日本系の影響に偏った。そして4階級で初代チャンピオンが誕生。既存の新格闘術連盟はチャンピオンを制定していなかった為、日本プロキックボクシング連盟は国内第3のチャンピオンが誕生する形となりました。

選手の怪我等で代打カードもありましたが、フライ級は竹下勝美(横須賀中央)、バンタム級は高樫辰征(みなみ)、フェザー級は酒寄晃(渡邉)、ウェルター級はレイモンド額賀(平戸)がそれぞれ第5ラウンドまでにノックアウト勝利し、6ラウンド以降の未知のラウンドには至らずも、盛大なチャンピオン誕生の成果を見せる興行でした。

設立興行のメインイベンターは須田康徳(左)、セミファイナルは酒寄晃(右
)出場だった

◆実質3年間の活動

これで第四団体が完全に軌道に乗ったかと思われる中、すでに異変は始まっていました。当初はヘビー級を除く全6階級で王座決定戦が行われる予定でしたが、4階級に収まったことは何か融通が利かない事態が生じたと感じた者も居たでしょう。正月休みという名目で2月は興行が無く、3月28日には茨城県水戸市で旧全日本系ジムだけが集まっての興行。ここで平戸誠(水戸)が同連盟初代ミドル級チャンピオンとなりましたが、足並み揃わぬ事態に陥っていることは明白でした。

4月には旧全日本系グループが日本系野口プロモーションと手を組む事態。その後、日本プロキックボクシング連盟はわずか7ヶ月で脆くも分裂する事態を迎えたのでした。

日本プロキックボクシング連盟から脱退した旧全日本系グループは同年7月、日本ナックモエ連盟を設立。これで国内5団体目でした。1982年11月から5ヶ月続いた1000万円争奪オープントーナメントは一極集中する画期的イベントがありましたが、このイベントを除いては業界纏まらぬまま、後にも設立されて行く団体も存在し、計7団体が狭い日本にひしめき合う事態に至っていました。

日本プロキックボクシング連盟は、当初からの横須賀中央ジム、西川ジム、千葉ジム、市原ジム、習志野ジムと後に花澤道場も加わるもわずかな加盟ジムで、他団体も同様レベルながら、国内と香港遠征をメインに1984年夏まで先の見えない地道な興行が続いて行ったのでした。

この1984年の9月、過去にも幾度か述べて来ました、四つの団体を統合した画期的な日本キックボクシング連盟の設立が発表され、11月から活動が始まり、統合された四つの団体は消滅、日本プロキックボクシング連盟も設立から満3年で幕を閉じたのでした

[左]1981年10月25日初回興行のプログラム。ポスターも同じ絵柄だった/[右]1982年1月4日の新春興行プログラム。ここまでは右肩上がりだったが……

◆我、日本プロキックボクシング連盟は永久に……

平成時代以降も幾つかの分裂と団体設立があり、千葉ジム戸高今朝明氏が、過去に所属した日本プロキックボクシング連盟をいつの間にか復活させ、新木場ファーストリングや、千葉ジムで小規模な興行やアマチュア大会を開催して来たことは、古くから知る協力者も居て懐かしさと愛着が湧いたものでした。

今や解体されたこの千葉ジムも日本プロキックボクシング連盟アマチュア大会の場であった。その解体前の戸高今朝明会長(2022.6.12)

今回、過去に存在した、今や忘れ去られがちな団体の一つを拾ったまでですが、日本プロキックボクシング連盟代表の戸高今朝明氏も今年84歳。2年前に千葉ジムを解体され、継続は難しい状態となりました。大きなイベントも名声も残せませんでしたが、こんな団体があった歴史を述べておきたいところでした。

現在はフリーのジム、プロモーターが多く存在し、組織を纏める一国一コミッションが存在しないが為のキックボクシング界は、今後も起こり得る分裂脱退と新設でしょう。そこでは選手の希望や目標を壊さないよう進めて貰いたいものです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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酷暑のアマチュア大会、WBCムエタイジュニアリーグ&EXPLOSION全国大会が開催! 堀田春樹

ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)のアマチュア部門が主催するEXPLOSIONの全国大会が、8月4日(日)に新宿のGENスポーツパレスにて開催されました。これはWBCムエタイジュニアリーグの全国大会も兼ねます。

EXPLOSIONは2015年から開催されており、青少年から格闘技初心者が、練習成果を発揮したり、プロ志向の選手が試合経験を積む為など、定期的にアマチュア大会を開催しています。

キックボクシングのアマチュア大会は多くの既存のプロ団体管轄下での主催団体がありますが、EXPLOSIONは定期的に大会が継続されている点や、WBCムエタイジュニアリーグ世界大会に繋がる点が好評でしょう。

今回は試合数が多く、メインイベンターという存在でもない為、画像は抜粋です。

◎WBCムエタイジュニアリーグ× EXPLOSION全国大会
8月4日(日)GENスポーツパレス11:00~19:45
主催:EXPLOSION事務局

教え子の出番を待つ武田幸三さんとリング登場前の平山結翔
平山結翔の決勝戦、果敢に攻めた
平山結翔は2-0の判定負け、優勝を逃す
 
小学生低学年クラス、-22kg級優勝者は倉持波空

◆1DAYトーナメント優勝者

男子小学生低学年クラス(3~4年生/2回戦/1分制)
-22kg級=倉持波空(鍛錬会)
-25kg級=小林楓(空修会館)
-28kg級=上木戸栄仁(LEO GYM)
-31kg級=高橋碧(泰山會)
-34kg級=山田晃士朗(LEO GYM)
34kg超級=野中力斗(HIDE GYM)

男子小学生高学年クラス(5~6年生/2回戦/90秒制)
-28kg級=鈴木翔大(CYCLONE GYM)
-31kg級=阿部凌(橋本道場)
-34kg級=阿部龍(橋本道場)
-37kg級=近藤琉聖(拳塾)
-40kg級=中畝泰衣心(小野道場)
-45kg級=山本夢輝(NJKF理心塾)
45kg超級=田中零芽(クロスポイント大泉)

男子中学生クラス(2回戦/90秒制)
-34kg級=松下琉翔(R道場)
-37kg級=宮城壮一朗(Freedom@OZ)
-40kg級=中里晃聖(AKIRA)
-45kg級=大澤透士(TRASH)
-50kg級=竹田奏音(TAKEDA GYM)
-55kg級=駒木根稔和(TSKjapan)
-60kg級=小野力光(小野道場)
60kg以上級=松澤鼓音(team ImmortaL)

女子小学生低学年クラス(3~4年生/2回戦/1分制)
-28kg級=佐藤心海(拳絋館)

女子小学生高学年(5~6年生/2回戦/90秒制)
-28kg級=岡心音(サクシード本厚木)
-31kg級=木村有那(KING gym)
-34kg級=久田愛心(TEAM SBS)
-40kg級=中島凰花(X-PLOSION)

女子小学生高学年クラス-31kg級決勝、三宅夕凛vs木村有那
[左]キングジムの木村有那が-31kg級優勝、嵐の後輩である/[右]女子小学生高学年-34kg級優勝、久田愛心
優勝した久田愛心と喜び合う久田親子

一般女性クラス(中学生以上/2回戦/90秒制)
-43kg級=柴田綾芽(楠誠会館)
-46kg級=中島瑠花(X-PLOSION)
-49kg級=山下夢(サクシード本厚木)
-52kg級=塩谷薫(VERTEX)
-55kg級=遠藤朱乃(CORE)

中島凰花、瑠花の姉妹で優勝

敢闘賞3名
鈴木翔大(CYCLONE)
大澤透士(TRASH)
工藤優愛(GRABS)

フェアプレー賞3名
倉持波空(鍛錬会)
松下琉翔(R道場)
佐藤心海(拳絋館)

各地区大会代表選手が8月4日、全国大会出場。
・北海道「G -ROUND」 5月19日(日)代表選考試合を開催
・東北地区予選 3月31日(日)岩手県営武道館「BRAVE.50」大会にて代表者決定
・関東地区予選1 5月26日(日)GENスポーツパレス「EXPLOSION.43」にて代表者決定
・関東地区予選2「SMASHERS」 7月7日(日)品川インターシティホールにて代表者決定
・関西地区予選「グリーンボーイファイト」 6月23日(日)ガレリア亀岡にて代表者決定
・中四国地区予選「NEXT☆LEVEL」NJKF大阪興行 6月16日(日)堺市産業振興センターにて代表者決定
・沖縄地区予選「全沖縄アマチュアキックボクシング大会/第48回全沖縄大会」 3月24日(日)沖縄空手会館にて代表者決定
・女性クラス「Queen’s Fight」 6月8日大会にて代表者決定

優勝者表彰式と集合記念撮影、すでに会場を後にした優勝者も居るようでした

《取材戦記》

昨年11月5日のWBCムエタイジュニアリーグ全国大会にて中学生クラス-55kg級で優勝した小野力光はこの日、-60kg級で優勝と、当然ながら体格の成長も見られ、他の選手でも多くの大会に出場している中では体格の成長もあったことでしょう。正に成長期です。減量の必要は無く、階級アップが常識ですね。

今回も勝利に歓喜する選手と陣営、負けて泣く選手もいました。人生これからの彼らは、来年雪辱でもプロに行ってからでも巻き返せるでしょうが、今日この日においては一生忘れられない日だったかもしれません。

WBCムエタイジュニアリーグ全国大会も兼ねていましたが、世界大会は2年に一度になるので、今年度の世界大会はありません。来年への優遇処置はあるものと思います。

この日は全98試合(2月4日のEXPLOSION.40は136試合)あり、4試合は欠場による勝者扱いで実質94試合でしたが、1試合の時間は短いものの、目まぐるしく進行するので、メモ書きが追い付かない。午前11時開始後、第50試合後に10分の休憩。といっても休んでいられない所用がありました。これは各スタッフも次の準備へと同じでしょう。会場は暑く、持ち込んだポカリスエットは尽き、脱水症状の中の撮影。もっと大変なのは審判団。19時半過ぎまで水分補給ままならぬ進行だった様子。

この大会で、接戦の多かった実質94試合中4試合がKO、TKOでしたが、17試合が2対1のスプリットデジション。2対0や引分け延長戦もありましたが、1試合の時間は短い中、こんなに割れるものかとも感じた長時間進行。副審は真剣に採点しつつも集中力が落ちていたかもしれませんね、

エアコンは効いていなかったと思われます。真夏のプロ興行、アマチュア大会もエアコンの効かない会場は避けた方がいいでしょう。

天窓が開いていた気がしますが、外の晴れた明るさは会場を明るくしてくれたことは良かった。しかし夕方になり、西日が差し込むとカーテンを閉められてしまった。困ったのは咄嗟の色温度(ホワイトバランス)調整。疎らな水銀灯とタングステンライトが照らす中、撮影には暗い。感度はなるべく上げたくないが、上げざるを得ませんでした。夜になるともうこの会場いつものプロ興行と同様の照明。GENスポーツパレスは照明(ライト)が故障している部分もあって照らすリング上は疎らです。改善して欲しいとはいつも思います。

私(堀田)も幼い頃からやりたかったと大人になってから思います。田舎では空手道場も無く、通う勇気も無く、キックボクシングに関わりだしてから「幼い頃からタイで練習したかった。そんなこと思うの俺だけだろうし」と思っていたところが、キックボクシングに関わった者の子世代が皆、キックボクシングをやりだし、タイ修行にも行くようになりました。一般社会人から見ればごく少数ですが、ここではもう誰もがムエタイテクニックを身に付けた時代です。

次回のアマチュアEXPLOSIONの定期大会は10月13日(日)GENスポーツパレスに於いて「EXPLOSION.45~ONE DAY TOURNAMENT~」が開催予定です。
NJKF本興行CHALLENGER.4thは9月15日(日)、後楽園ホールにて開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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