久々に晴れた日曜の札幌、北海道警察に守られながらヘイトスピーチ・デモ隊が人でにぎわう大通りを行進した。デモ参加者30名は東京からやってきた桜井誠・在特会前会長に率いられ、口々に在日コリアンに対する侮蔑語を叫び、人種差別アジテーションを行なった。
しかし、札幌はこのような卑劣な行為を許しはしなかった。この日、札幌過去最大のカウンター行動が展開され、差別を許さない市民の声によってヘイトスピーチの大部分はかき消された。


[動画]2015.7.5札幌ヘイトデモへのカウンター(7分14秒)

ここから今回メインの個人的な話が始まる。
7月5日(日)13時から札幌市中央区・創成川公園まんなか広場(北海道電力本店前)でヘイトスピーチ・デモが行なわれるというので、私は前日から札幌入りし、当日は1時間前には現場に着いていた。
警備が厳しい他の都府県なら考えられないことなのであるが、集合場所には桜井前会長と現地メンバーの2名しかおらず、なんと警察官はゼロであった。これはチャンスと思い、ハードコア系カウンターの方と一緒に直接文句を言いに行くことにした。

現地メンバーである在特会・北海道支部運営で維新政党新風・北海道本部事務局長の渡邊喜楽という人物が私達の抗議の対応をしていたのだが、その間中ずっと桜井前会長はPCをいじっていて一瞬たりともこちらを見ようともしなかった。カウンターは非暴力ということになっており、いきなり揉めるのも問題があるので「ヘイトやめろ」の意を伝え、コワモテの男性はとりあえず引くことになった。
私はどうしてもこの時間帯のこの公園内から札幌テレビ塔が撮影したい気分だったので、桜井前会長から10mくらい離れた場所に留まっていた。それから10分経った12時35分頃、2名の私服警察官がやってきて桜井前会長に頭を下げて挨拶をした。その直後、桜井前会長はその刑事と一緒に私のもとへやってきて「お前ここで何やってるんだよ!!!」「逮捕しろよ!こいつを!」と激昂しだした。

一方的に突っかかってこられたものの、私もすぐ退去しなかったり、あれこれあって揉めたということになってしまい、私服警察官2名が私の監視につくことになってしまった。
実は今回の映像や写真は1~2mくらいの近距離にお巡りさんがいた状態で撮影していた。これダメ!あれダメ!と言われたりして非常に大変だったので実力が発揮できず、普段だったらもっと良く撮れたというのは正直あった。しかし、逆にお巡りさんがそばにいてくれたことにより、わりとギリギリのところまで入ることができたというのも事実だった。

最初は警備部公安二課の刑事が私についていたのだけど、本部の人達は忙しいらしく札幌中央署の警備課員に監視役が引き継がれた。当然ながら所轄署員もやることが多く、カメラマンにそんな重要な張り付きは必要ないということのようで、ただ人員確保の為に呼ばれただけの小樽署の警備課員2名が私の監視につくことになった。車で一時間かけて来たという50代と30代の男性警察官の二人組。
「こういうのは初めてなんだけど、東京はもっとすごいの?」と聞かれたので「今日のこれでも静かなくらいです」と言ったらとても驚いていた。

私は警察マニアで特に機動隊が好きなので現場に行くと必ず機動隊の人員輸送車を確認していて、この日も見たくてお巡りさんに見に行きたいと言ったら「行ってもいいよ。でも一緒についていくからちょっと待って」と無線で誰かに連絡を取っていた。「あ、機動隊のバスが見たいとご所望ですので行ってきます」と私のせいでマヌケな通信をさせてしまったと少し反省した。

13時30分にデモ出発前の集会が始まり、二人の警察に付き添われながらの不便な撮影が始まった。何より車道横断が出来ないのには辟易した。車が来なければ横断歩道以外の道路を渡るのは普通のことだが、公務中の警察官がそばにいるので青信号が光る横断歩道の通行しか許されず、自由の素晴らしさを痛感することとなった。

14時30分にデモ隊が街中へと歩を進めた。「不逞鮮人撃滅」と書かれたノボリを掲げ「朝鮮人がー!!」と叫ぶ一団を目撃した街の人々は目を逸らしたり絶句したりすることが多く、何人かはデモ隊に文句を言った人もいた。
そんな中、デモを警備する警察に対して文句を言った一人の観光客がいた。
男性「こんなのやらせていいの?」
警察「いや、届け出が出ているちゃんとしたデモです」
男性「おかしいでしょ。ひどいよ!」
警察「危ないので道路に出ないでください!」
この男性は映像の2分40秒頃にも登場している男性で、ホテルにいたら外が騒がしくて出てきたそうで、しばらく一緒にデモを追走しながら「ヘイトスピーチが許されるわけがない!」と主に警察に向けて文句を言っていた。

そもそも存在が許されるはずもないこの人種差別デモは、行進の途中で地元の御神輿の行く手を阻み、お祭りから笑顔を奪い法被姿の男たちの怒りを買った。もしかしたら神様も怒っていたかもしれない。それを行っているのが日の丸を掲げ、日本の為や愛国だと言っている連中なのだから頭が痛い。
国を愛することは家族や隣人や住んでいる地域、つまりは自分のすぐそばを大切にすることから始まるはずだ。それがなければ中身なんてあるはずがない。足場の無い空っぽな愛国を叫ぶのは即刻やめるべきだ。

15時31分に出発地に戻り解散集会が始まった。終止デモ隊を追いかけ回し、叱りつけていたカウンターはテレビ塔の下に構え拡声器や肉声で「帰れ!」コールを叫んでいた。出発の時よりもカウンターの人数は増えており、発する音量も大きくなっていた。

ここに写る機動隊の並び方に注目してもらいたいのだが、彼ら隊員は交互に違う方向を向いている。もっと正確に言えばデモ隊とカウンターの両方を向いて立つよう命令されている。
実質ヘイトスピーチ・デモを守っている警察に対し最近は批判が多く、このことを重く見た各地の警察本部が対応をし始め、全国的にこの警備配置が広がってきている。

それから大した発言もなく30分程度でヘイトスピーチのデモは解散となり、カウンターも活動を終了した。私も装備品を下ろして帰る準備を始めた。
「全然息切れしてないねー。もう疲れたよ。走り過ぎ…」と担当の警察官。
「いや、今日はお巡りさんが一緒にいたのでいつもより全然走れませんでした」
「え、そうなの?」
「まだいけます。あ、この撮影の装備ちょっと持ってみます?」と重量11kgのベストを手渡す。
「うそー!!こんな重い荷物を持って走ってたの!?」と非常に良いリアクション。
担当してもらった二人の警官に挨拶をしてカウンターのもとへと行ったのだけど、二人はまだまだ付いてくる。どうやら私が帰らないと彼らも帰れないようだった。

「私はこれから、『きのとや』でケーキを食べるつもりなんですけど…」
「大通りの?じゃあそこまで送るよ」
「えー!何で警察官に護送されてケーキ屋さんに行かなくちゃいけないんですかっ!!」
けれど、そこでこんな話が聞けた。
「まぁ、これじゃあ警察が差別デモ守ってると言われても仕方ないよね…」と小樽のお巡りさんは私に言ってくれた。

その後、ケーキ2個とキャラメルラテを頼んだということを記したところで、この話はおしまい。

[2015年7月5日(日)・北海道]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《007》戦争法案に反対する若者たち VOL.3 渋谷
◎《006》戦争法案に反対する若者たち VOL.2 札幌
◎《005》戦争法案に反対する若者たち VOL.1 京都
◎《004》若者に影響された沼津の戦争法案反対デモ
◎《003》自民党街宣へのカウンターin福岡・天神
◎《002》福島/名古屋ヘイトデモ反対行動
◎《001》150回目の首相官邸前抗議

巻頭グラビアは「理央眼」!話題の『紙の爆弾』8月号発売中!

 






SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が渋谷・ハチ公前で戦争法案(安保関連法案)に反対するアピール街宣を行なった。
学生がマイクを握り、呼びかけに応え駆けつけた民主・菅直人元首相、維新・初鹿明博衆議院議員、共産・志位和夫委員長、社民・佐藤あずさ八王子市会議員、生活・山本太郎参議院議員といった、あらゆる立場の議員たちも次々とマイクを握り、街宣車の上で手をつないだ。

今、戦争をする国づくりを進めている安倍政権に多くの人々が反対の声を上げている。

SEALDs:サイト / Twitter / Facebook
SEALDs KANSAI:サイト / Twitter

[2015年6月27日(土)・東京都]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《006》戦争法案に反対する若者たち vol.2 札幌
◎《005》戦争法案に反対する若者たち vol.1 京都
◎《004》若者に影響された沼津の戦争法案反対デモ
◎《003》自民党街宣へのカウンターin福岡・天神
◎《002》福島/名古屋ヘイトデモ反対行動
◎《001》150回目の首相官邸前抗議

 

『紙の爆弾』8月号発売開始!巻頭グラビアは「理央眼」!

「戦争したくなくてふるえる。」というワードを見聞きした時、それがデモの名称だと分かる人は果たして何人いるだろう。
しかし、これがデモの名前だと分からなくても全然構わない。
自分の好きな歌手、西野カナの曲から着想を得てネーミングしたデモが街に出現したということが重要なのだ。
安倍政権が進める「戦争法案」(安保関連法案)が人々の眠っていた気持ちに火をつけたことは間違いない。

6月26日(金)、札幌市中央区で「戦争したくなくてふるえる。」というデモがあった。
呼びかけ人は、北海道札幌市在住・19歳フリーターの高塚愛鳥(まお)さんだ。
彼女が地元での行動を思い付いてから、たった9日後に700名もの人を集めたデモを行なった。


[動画]戦争したくなくてふるえる。 デモ行進 – 2015.6.26 北海道札幌市(5分13秒)

サイトには、「Stupidな政治家たちに自由で楽しいあたし達の暮らしを奪われてたまるか!絶対に戦争なんかさせない!絶対に絶対に。」と、自分の言葉で「戦争法案」への反対の思いが綴られている。
私はサイトを見てスッキリした思いがあった。
このデモの名称の最後には「。」が付けられていてるのだけど、これはかなり大事なポイントの一つだと感じたのだ。
「戦争したくなくてふるえる。」を表記する時に、「。」が抜けていたり「!」を付けたりしているのを見かけるが、それは主催者の持つ感覚や雰囲気を理解していないし、何よりも主催者の言葉は大事にした方が良いだろう。

この日、愛鳥さんは喋ったりコールをしている時以外つまらなそうな顔をしていたのが非常に印象的だった。
私は写真を撮る為に彼女のことを追っていたのだけれども、彼女はデモが本当につまらなかったように思えた。
しかし誤解しないで欲しいのだが、私はそこにこそ彼女に対して強い共感を覚えた。
デモを行なうことで承認欲求を満たしたり、そこを居場所にしたりしている人々とは違うことが分かり、安心したと同時に尊敬もした。
彼女は本当にエモーショナルな部分からデモを呼びかけたのだと感じた。

この「戦争したくなくてふるえる。」は「新しい」という言葉で表現したり評価するのは安直な気がしている。
新しいもなにも、デモに正解はなくそれぞれの運動がそれぞれの動きをするのは当然だし、自然とやっているのだ。
旧来のデモが嫌な彼女は、せめて自分の好きな西野カナの要素を入れてみたり、コールをラップ調にしてデモを企画した。
映像を観てもらえればわかるのだけど、主催者の思い描いていたリズミカルなシュプレヒコールになっていないブロックもあって、おっさんコーラーが西野カナ感ゼロのフローで「ふるえるっ!」とコールしていたりする。
それは彼女の想いが彼女のもとを離れて広がっていた結果なのだから、かえって素晴らしいと私はデモを見ていて思った。
また、デモには学校帰りでやってきた制服姿の高校生たちもいて、安倍首相が進める国づくりに対する若者たちの危機感・不安感がひしひしと伝わってきた。

デモ行進は大通西8丁目公園からすすきのまで1時間弱のコースで行なわれた。
「戦争ッ、したくなくてふるえるっ!」「戦場ッ、行きたくなくてふるえるっ!」「さっさと辞めろっ、安倍晋三ッ HEY!」「調子に乗るなっ、自民党ッ HEY!」などの若者たちの想いが込められたシュプレヒコールが街に響いた。
ゴール後、すすきの交差点(ニッカ前)に移動し、愛鳥さんら若者たちはマイクを持って街頭アピール行動を行なった。
街宣の映像は他のメディアに任せることにし、私は写真撮影のみに専念した。
以下に3枚の写真を掲載してその様子をお伝えする。

ローカル・ムーブメントの始まりを思わせる片鱗が全国各地で見受けられるようになってきた。
この動きが更に広がることはもう時間の問題だ。

[2015年6月26日(金)・北海道]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《005》戦争法案に反対する若者たち vol.1 京都
◎《004》若者に影響された沼津の戦争法案反対デモ
◎《003》自民党街宣へのカウンターin福岡・天神
◎《002》福島/名古屋ヘイトデモ反対行動
◎《001》150回目の首相官邸前抗議

『NO NUKES voice vol.4』原発いらない!全国から最前線の声を集めた脱原発情報マガジン!

 

SEALDs KANSAI(自由と民主主義のための学生緊急行動 – 関西)による「安保関連法案」に反対する大規模デモが行なわれた。
6月21日(日)、約2200名の参加者が京都市内を4km・2時間15分にわたって行進したのだが、もしかしたら、それは学生たちによる街の占拠が行われたと言っても良いかもしれない。

以下はその全容を捉えた映像で少しばかり長いのだけど、テンポ良く撮影~編集がしてあるのでまず観て頂きたい。

[動画]戦争立法に反対する学生デモ/SEALDs KANSAI – 2015.6.21 京都市(19分17秒)

自分の話で恐縮だが、「ここでダメならどこへ行ってもダメ」というのが私の信条で、そう思いながらずっと創作活動や仕事を全力で続けてきた。
「関西には(あるいは東京以外には)国会や国の行政機関が存在しないから、デモや抗議をいくらやったって無駄だ」と言われることがあるが、日本のどこであろうと彼らのように本気で叫び、何かを変えたいという気持ちがあれば人を動かす力になると私は思っている。
このような考えの持ち主ということもあり、私は全国各地のローカル・デモを精力的に撮影している。

デモというのはもう既に「今、そこにいる人に訴える」という、「その場」だけのものではなくなった。
携帯からでさえもデモは実況・配信され、どこにいてもリアルタイムで観ることができる。記録された写真や動画はいつでもどこでも繰り返し再生できる。
プラカードひとつとっても、優れたデザインのおそろいのものが全国のコンビニで安価に出力でき、市民にとって意思表示をする場が日本中のどこでも良くなった。

永田町や霞が関、人であふれかえる東京の繁華街でやったって意味がない行動はいくらでもあるし、「自分たちの住んでいる場所で、自分たちのできることをやる」というのは正しい選択だ。
更に言えば、自分たちのやりたいような方法で意思表示をしているSEALDsは等身大で信頼できる存在だと思った。
自分たちがやってるスタイルで主張が届く相手がいると信じることは大切なのだ。

「一般の人」を意識し過ぎたり気にし過ぎたりしている運動も多いが、市民感覚とはむしろ自分たちと「一般の人」を分けて考えないことなのではないだろうか。
自分たちは「ここ」で暮らしているから「ここ」で声をあげる、この選択をし、全力で行動を起こした関西の学生たちに最高の敬意を表したい。

このデモではスマートなプラカードを手にした学生たちが先頭を軽やかに歩き、彼らから「アダルトチーム」と呼ばれた大人たちは、彼らを後ろから支えるかの如く、デモの後方を歩いていた。
こんな学生たちの動きを大人は頭数で、言葉で、特に寄付で支えよう。
自ら先頭に立つことを選んだ彼らを居丈高に批評・非難する恥ずかしい大人の群れが、今の日本を作ってきたのだから。

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[2015年6月21日(日)・京都府]

▼秋山理央(あきやま りお)
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全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

◎《ウィークリー理央眼004》若者に影響された沼津の戦争法案反対デモ
◎《ウィークリー理央眼003》自民党街宣へのカウンターin福岡・天神
◎《ウィークリー理央眼002》福島/名古屋ヘイトデモ反対行動
◎《ウィークリー理央眼001》150回目の首相官邸前抗議

『NO NUKES voice vol.4』原発いらない!全国から最前線の声を集めた脱原発情報マガジン!

「戦争法案」(安保関連法案)の成立阻止行動が全国各地で活発化してきている。
6月13日(土)には戦争法案反対デモが静岡県沼津市でも行なわれた。

以下がそのデモの映像なのだが、年齢層が高めにも関わらず緊張感があり非常に激しいコールをしている。


[動画]ストップ!戦争法案・市民大集会 – 2015.6.13 静岡県沼津市(2分49秒)

国会前等で頑張っている若者達を意識した速いテンポのショート・シュプレヒコールが特徴で、「コール&レスポンス」(短いコールの連続の掛け合い)まで取り入れている。

「戦争!」「反対!」
「憲法!」「守れ!」
「安倍!」「辞めろ!」

この一連のコールは若者からアドバイスをもらったわけではなく、デモの主催者の方が若者達のデモ動画を見て研究し、今回初めて採用したという。
普段はリズミカルとは言えないロング・シュプレヒコール中心なので、ショート・コールに戸惑っている方もいたが、「こういうのも悪くない」-と参加者の評判もまずまずだった。

世代を問わず、良いと思ったスタイルを自分の地元のデモで取り入れたりしながら、ずっと声を上げ続けることは非常に大切だと思う。
アピールに効果的なスタイルを老若男女が日本中で真似したり真似されたりしながら、より良い方向を皆で目指して全国各地のデモが進化していくという、デモのあるべき「未来」と「希望」が沼津で垣間見えた。

[2015年6月13日(土)・静岡県]

▼秋山理央(あきやま りお)
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自民党青年部・青年局による「全国一斉街頭行動」が6月4日から14日にかけて全国約100ヶ所で行われた。
あまりにも国民をなめきっている自民党に反対するべく、日本各地で市民が集まり意思表示を行った。
福岡市中央区・天神ツインビル前でも自民党の街頭演説があり、反対する市民カウンターが集まって「戦争立法」に反対するプラカードを掲げたり、怒号をぶつけていた。

[2015年6月7日(日)・福岡県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
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◎《ウィークリー理央眼001》150回目の首相官邸前抗議
◎《ウィークリー理央眼002》福島/名古屋ヘイトデモ反対行動

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『NO NUKES voice』Vol.4

最近は回数が減ってきてはいるものの、今でも街に出てヘイトスピーチを繰り返し行なう人々がいる。
しかし、それ以上にヘイトスピーチに反対する人々もいて、今ではレイシスト(差別主義者)達はヘイトをする度に各地のカウンターに叱られまくっているのだ。

5月30日(土)は東京と福島、31日(日)は東京・愛知・大阪、2日間5ヶ所でヘイトスピーチ・デモ/街宣が行われた。
今回は私が撮影に行った福島駅前と愛知県名古屋市のカウンター映像を紹介しようと思う。


[動画]2015.5.30福島ヘイト街宣へのカウンター(6分47秒)

この街宣は、『在日特権を許さない市民の会(在特会)』の桜井誠・前会長が4月25日に福島県郡山市で主催した
ヘイトスピーチ街宣に共産党員が反対の声を上げに来ていた事にかこつけた、共産党批判を目的とした街宣であった。
…のはずだったのだが、実際には共産党とは全く関係のない人種差別や妄想を連発するばかりであった。

そんなレイシストは9名(+子供2名)、反対の声をあげるカウンターは7名。
レイシストの差別発言を物理的に打ち消す為、あるいはデマ発言を訂正する為、カウンターの人々は大声を張り上げる。
この映像はそういった直接的なカウンター行動しか捉えていないのだが、福島駅前で差別街宣が始まる前に、これからヘイトスピーチが行われる事への注意喚起と、ヘイトスピーチに関する理解を深めてもらうための事前周知行動のチラシ配りもちゃんと行っている。
さらに言えば、午前中から機動隊を使い、在特会の差別街宣の「場所取り」を行っていた福島県警察に対しての抗議も行っている。
私たちは自分にできる事をできる範囲で行うといった、差別主義者たちに対してのあらゆるカウンターをどんどんしてやるべきなのだ。

[2015年5月30日(土)・福島県]


[動画]2015.5.31名古屋ヘイトデモへのカウンター(12分24秒)

ここではかなり激しいアクションが行なわれているが、名古屋で毎回こういう反対行動が行なわれているかと言えば決してそうではなく、むしろこれまでは非常に小規模なカウンターしか行われてこなかった。
今回は桜井誠・在特会前会長がわざわざ名古屋にヘイトスピーチをしに来たので、東京からも大阪からもカウンターが集まり、過去最大のアクションになった。

今まで様々な方法でカウンターはレイシストの差別を止めさせようとしてきたが、今回のこの映像には桜井誠・在特会前会長に文句を言いにきた右翼の街宣車が登場している。
カウンターも新たなフェーズに突入したという考え方もできると思うが、以下、右翼街宣車のスピーチ部分の文字おこしを読んでもらいたい。

『デモ隊のみなさん、大変暑い中での保守行動、ご苦労様でございます。
私どもは、中部地方を中心に民族活動を展開しております○○○○○有志一同です。担当は○○でございます。
今日はみなさんの保守行動を展開するにあたりまして、一つ、二つ、お願いごとをしにやってまいりました。
普段ですね、テレビや新聞などで見かけるヘイトスピーチなる差別的な行動は今日は絶対にやめて頂きたい。
私どもも日章旗そして旭日旗を掲げ、日々民族運動を展開しておりますので、みなさんの意向は分かりますが、一部の人間を差別するような言動は同じ日本人として、もちろんそれは、人間として見苦しい行動であると考えております。
今日のように不特定多数のみなさんがいる、このような環境では啓蒙活動だと信じておりますが、みなさんの行なっている行動が抗議行動であるというのであれば、是非、名古屋市内にあります、領事館、また役所などに出向いて頂きまして、抗議行動を展開してください。
このような場所で、死ねだ、バカだ、そのような見苦しい言動をされますと、同じ日本人として私は本当に恥ずかしいので絶対にやめてください。
デモ隊のみなさん、暑い中で、わざわざ恥をさらす必要はございません。
もう少しですね、良識のある日本人として恥ずかしくない行動をとって頂きたい。
日の丸を掲げて、旭日旗を掲げて、恥ずかしい思いは絶対にしないでください』

右翼といえば皆、自分たちの仲間だと思っていたヘイトデモ参加者も多かったはずで、まさか自分たちのデモが右翼の街宣車に追いかけ回されて注意を受けるとは思ってもみなかったはずだ。
差別主義者は右翼からも見放され、もう完全に孤立してしまった。

ただし、上の書きおこしを読めば分かるように、この右翼街宣車の中の人は決して本来の意味での「カウンター」をしに来ているわけではなく、自分達の「保守」活動の足を引っ張る、いわば調子に乗りすぎている「桜井誠」や「在特会」に(優しく)「お仕置き」しているだけなのだ。
実際、彼らは「差別はやめろ」と同時に、在特会のデモではおなじみの「日韓断交」や「中共が嫌い」との言葉も発している。
また、カウンターに対しては攻撃的な態度をとっており、ヘイトデモを「保守行動」と表現しているところから、一応は在特会を「保守」仲間として捉えてはいるようだ。

「カウンター」と呼ばれる人々は、要は「差別を許さない市民」のことで、共通する何らかの思想があるわけではない。
中には右寄りだったり左寄りだったりする人はいるが、ヘイトスピーチをなくす為に大体同じ方向を向いているだけの大雑把に分類された人々のことを言う。そういう意味では、今回のこの右翼の街宣車も、大枠ではある種の「カウンター」であったと言えよう。
やはりレイシストの居場所は日本にはないのだ。

[2015年5月31日(日)・愛知県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

◎《ウィークリー理央眼001》150回目の首相官邸前抗議

月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

 

毎週金曜日、総理大臣官邸~国会周辺で行われている原発に反対する抗議行動、通称「官邸前抗議」が5月22日で150回目を迎えた。
2011年に福島原発事故があり、その翌年の3月に第1回目の抗議が始まり、ほぼ毎週抗議が続けられ3年2ヶ月が経った。
その間に首相が代わり、政権も変わったが、人々の反原発の気持ちは変わっていない。

[2015年5月22日(金)・東京都]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
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「普通の人」こそ脱原発!──『NO NUKES voice』第4号5月25日発売!

 

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