コロナ禍から脱して復活したムエタイオープン興行2戦目。今回もベテラン、中堅、新人が揃ったマッチメイク。目立ったイベントではないが、来年に繋がる進化も見られました。
蒔センチャイジムはヒジ打ちによる唯一のノックアウト(TKO)勝利。
馬上樹里は勝にいく勢い足らず僅差の判定負け。
◎Muay Thai Open 49 / 11月9日(土)ひがしんアリーナ(墨田区体育館)17:00~21:08
主催:センチャイムエタイジム /
◆第14試合 70.0kg契約3回戦
馬木樹里(元・LBSJバンタム級Champ/岡山/1998.7.6岡山県出身/ 69.5kg)
13戦7勝(1KO)6敗
VS
ファーワンマイ・センチャイムエタイジム(2001.1.25チェンライ出身/ 69.85kg)
勝者:ファーワンマイ / 判定1-2
主審:谷本弘行
副審:大澤30-29. リカ28-29. ピリカ28-29
初回、主導権を奪いに行く蹴りと接近戦での首相撲の攻防。互角の展開からファーワンマイがポイントに繋がる当て勘の上手さでやや優っていき、ラストラウンド終盤は馬木樹里が追って蹴りとパンチが増して行くが、テクニックで躱すファーワンマイを仕留めるには至らず、スプリットデジションによる僅差判定負け。
◆第13試合 62.0kg契約3回戦
浅川大立(マイウェイスピリッツ/1981.10.15山梨県出身/ 61.85kg)
VS
弘・センチャイジム(=大森弘太/センチャイ/2001.11.14東京都出身/ 61.9kg)
勝者:弘・センチャイジム / 判定0-3
主審:神谷友和
副審:河原28-30. 谷本29-30. ピリカ28-29
42歳と22歳の攻防はアグレッシブな攻めは互角に進むが、弘太はラストラウンドには左縦ヒジ打ちで浅川大立の左瞼をカットするも、逆転狙って勢い増す浅川大立は、弘太にダメージを与えるには至らず、弘太も蹴りとパンチで凌いで終了。
◆第12試合 65.0kg契約3回戦
ピーラポン・ノーナクシン(1998.4.25タイ国出身/ 64.85kg)
VS
ホンダ・イゴール(HIDE/1994.10.26ブラジル出身/ 64.9kg)
勝者:ピーラポン・ノーナクシン / 判定3-0
主審:大澤武史
副審:神谷29-28. 谷本30-28. リカ29-28
互いの重い蹴りが交錯する展開からピーラポンがヒザ蹴りを加えて主導権を奪った流れの中、第3ラウンドにはピーラポンが首相撲からヒジ打ちでホンダイゴールの額を斬ることに成功。ホンダイゴールは巻き返し狙って来るが前進もピーラポンがいなして判定勝利。
◆第11試合 55.0kg契約3回戦
ポンチャイ・モーコーチョーチェンマイ(1998.10.11チェンマイ出身/ 54.2kg)
VS
蒔・センチャイジム(佐藤蒔音/センチャイ/2003.7.8東京都出身/ 54.75kg)
6戦4勝(2KO)2敗
勝者:蒔・センチャイジム / TKO 2ラウンド2分40秒辺り(調査不足)
主審:河原聡一
蒔音“まくと”は今年8月24日に石川直樹と対戦し。ベテランのテクニックに翻弄され判定負けはしているが、いつかはリベンジを宣言していた。そんな勢いを持って挑んだポンチャイ戦。
初回早々は互角の蹴りとパンチながら蒔音が前進と圧力を掛けて出る。第2ラウンドも攻勢を強め、組み合ってヒザ蹴りからコーナーに追い込み右縦ヒジ打ちをヒットさせてノックダウン奪った。そのままカウント中にレフェリーストップとなった。
◆第10試合 53.0kg契約3回戦
矢島直弥(TSK Japan/1990.8.18神奈川県出身/ 53.0kg)
VS
馬上一樹(G-1 TEAM TAKAGI/1986.5.4神奈川県出身/ 52.85kg)
勝者:矢島直弥 / 判定3-0
主審:谷本弘行
副審:大澤29-27. 河原29-27. ピリカ29-27
初回は蹴りとパンチの攻防。長身の馬上一樹の組みに行ってのヒザ蹴りが目立ち、第2ラウンドにはパンチの距離の写った矢島直弥が左右フックでノックダウン奪って更にパンチで攻勢を強めた。馬上も巻き返しに打ち合いと蹴り返すも、矢島は主導権を譲らず攻勢を維持して判定勝利。
◆第9試合 60.0kg契約3回戦
津田宗弥(クロスポイント吉祥寺/19801.8神奈川県出身/ 59.65kg)
VS
光・センチャイジム(高橋光希/センチャイ/2003.10.12東京都出身/ 59.7kg)
勝者:津田宗弥 / 判定2-0
主審:神谷友和
副審:大澤29-28. 谷本29-29. ピリカ30-28
◆第8試合 女子43.0kg契約3回戦(2分制)
Uver∞miyU(T-KIX/1999.12.7静岡県出身/ 42.95kg)
VS
ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷/1995.5.26中国出身/ 42.9kg)
勝者:ロウ・イツブン / 判定0-2
主審:ピリカ
副審:リカ29-30. 谷本29-29 神谷28-29
僅差の攻防ながら、蹴りの的確差で優ったロウ・イツブンが勝利を掴む
◆第7試合 バンタム級3回戦
土屋天聖(菅原道場/2005.6.7千葉県出身/ 53.4kg)
VS
杉山海瑠(HEAT/2009.6.5静岡県出身/ 53.3kg)
勝者:杉山海瑠 / 判定0-3
主審:大澤武史
副審:河原28-30. 谷本28-30. 神谷27-30
NKBフライ級チャンピオン、杉山空の弟、海瑠がパンチと蹴りから接近して首相撲に持ち込むとヒザ蹴りで優位に立った。離れての攻防は土屋も互角に攻めて来るが、攻め勝つには至らず、杉山海瑠が判定勝利。
◆第6試合 女子48.0kg契約3回戦(2分制)
戸田史(バンゲリングベイ/1977.11.4東京都出身/ 47.9kg)
VS
リース知沙(FIGHTBASE alpha/1991.10.23東京都出身/ 47.85kg)
勝者:戸田史 / 判定3-0 (29-28. 30-28. 30-28)
◆第5試合よりプロ フェザー級3回戦(2分制)
菅野真央(TSK Japan/1999.2.17神奈川県出身/ 57.15kg)
VS
笹山靖史(クラミツムエタイ/1991.12.2東京都出身/ 56.9kg)
勝者:笹山靖史 / 判定1-2 (29-30. 30-29. 29-30)
◆第4試合 アマチュア31.0kg契約3回戦(2分制)
阿部凌(橋本道場/2013.9.17東京都出身)
VS
武内太陽(D-BLAZE/2013.1.18東京都出身)
勝者:阿部凌 / 判定3-0 (29-28. 29-28. 30-28)
◆第3試合 アマチュア47.0kg契約3回戦(2分制)
洸冴(拳伸/2011.3.29千葉県出身)
VS
鈴木秀馬(エムトーン/2010.10.26神奈川県出身)
勝者:鈴木秀馬 / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)
◆第2試合 アマチュア44.0kg契約3回戦(2分制)
大久保海成(橋本道場/2010.8.10東京都出身)
VS
孫田歩我(ZERO/2009.8.24栃木県出身)
勝者:孫田歩我 / 判定0-2 (29-30. 28-29. 29-29)
◆第1試合 アマチュア42.5kg契約3回戦(2分制)
浜田優雅(LEGEND/2009.11.18滋賀県出身)
VS
ハルク・チャロンチャイ(TEAM KUNTAP/2010.8.12千葉県出身)
引分け 三者三様 (30-29. 29-29. 28-29)
《取材戦記》
センチャイ・トーングライセーン会長は、
「興行的には皆、頑張ってくれてその努力が試合に表れていて良かったです。」
「馬木選手はちょっとスタミナ足りなかった感じがありましたけど、ミドルキックを思いっ切り蹴っていて、それが良かったですね。」
「ファーワンマイは調子は良かったけど3年ぐらいのブランクがあったのが影響出ましたね。」と簡潔ながら語ってくれました。
蒔センチャイジム(蒔音)は勝った感想を「気持ちいい~!」という率直な感想。
更には「倒すキャラになろうかな!……KOキャラになります!」と宣言。
更にこの先については「タイトルには絡んでいきたいです。目指すはKNOCK OUTのチャンピオンになりま~す!」といずれも誘導尋問的ながら明るく宣言してくれました。
34歳、矢島直弥は勝利後のリング上で、
「15年前にムエタイオープンのアマチュアで経験積ませて頂きました。10年ぶりにムエタイオープンに復帰して来ました。35歳になるまでにONEに出場したくてここにやって来ました。今日はKO出来なかったですけど、良ければ来年3月にタイトルマッチお願いします。そして来年はONEに挑戦していきたいと思います。」
とマイクで語った。ONEに出場する為にも一つ肩書きを付けて、経験値を上乗せして挑んでいきたいところでしょう。
センチャイ氏の下で行なええるタイトルマッチはMuayThaiOpenタイトルとなるかと思いますが、ルンピニージャパンタイトルは任期があるので、現在こちらはどう進むか微妙でしょう。
蒔音はKNOCK OUT、矢島直弥は格闘技人生の集大成としてONE ChampionnShipと注目される舞台へ目指す頂点も変化して来た近年です。
更なる最高峰はプロボクシング転向でしょうか。今後も増えていく可能性があるでしょう。当然最も難しい関門が幾つも待ち構えていることになりますね。
次回ムエタイオープン興行は2025年3月22日(土)に開催予定です。会場未定です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」