8月25日にラジオを聴いていると、「きょうから京都市内の小中学校は2学期が始まり……」というニュースの声が聞こえてきた。あれ、夏休みは8月31日まで(私の頭の中では児童・生徒の揺るぎない「権利」として)あったんじゃないか、と思いながら続きのアナウンスを聞いていると、「ゆとり教育解消による、授業時間確保のため、また、教師の業務負担軽減などを狙い」と夏休み短縮の理由が説明されている。

小中学生が大人には太刀打ちできないとわかっていて、こどもの「権利」たる夏休みを10日も奪ってしまうのは、ひどい仕打ちじゃないか!学校嫌いだった自分が児童や生徒の頃にこの「夏休み10日強奪」が行われたら、生徒会に呼び掛けて全学ストライキを打つか(子供にそんなことは現実的ではないですね)、あるいは泣き出していたかもしれない。

産経新聞2017年6月22日付記事

それで驚いてはいけない。2017年6月、静岡県の吉田町は「小学校の夏休みを16日間程度に短縮することを検討している」と発表した。(産経新聞2017年6月22日付記事)やはり理由は京都市の小中学校と同じようらしいが、「16日間の夏休み」は極端にもほどがある。

そもそも「ゆとり教育解消による授業時間確保のため」は現実的な課題ではあろうが、納得のできる理由ではない。なぜならば「ゆとり教育」が導入される前に夏休みは、寒冷地などを除き、おおよそ7月20日から8月31日までの40日が標準だったからである。「ゆとり教育」導入と週休2日制(土曜日も休み)により、授業時間が一時減ったことは間違いない。しかし、週休2日制は学校に限らず、多くの企業、役所ではすでに定着した勤務形態であり、週40時間労働の原則からすれば当然導かれる休日数だ。「ゆとり教育」が見直されたからといって、そのつけを「夏休み短縮」に持ってこられたのでは児童・生徒はたまったものではない。

小中学校の教師だって「労働者」だ。こう言うと「いや、教師は聖職者だ!」と昔から噛みつく人がいるが、それは職務が子供を教育する、という極めて人間形成に深くかかわる重大性を拡大解釈しているだけのことであって、教師を聖職者だと決めつけ、だから基準労働時間以上も無償奉仕に献身的に当たるべきだという論は無茶が過ぎる。さすがに、近年の教師の激務ぶりを見た人の中からそのような声は上がらなくなったけれども、実は教師に過剰労働を強いているのは外ならぬ、文科省や教育委員会である。

私の記憶にある限り、戦後史の中で旧文部省、文科省が担ってきた役割は、戦後10年ほどを除き、ほとんど「害悪」でしかない。小学校から大学に通うお子さんや親戚、お知り合いのいる方であれば分かりだろうけれども、学校の先生の忙しさは尋常ではない。「ゆとり教育」が導入されるときだって、カリキュラムの大きな変更と同時に文部省(当時)から押し付けられる、授業とは直接関係のない雑務の増加により、先生たちの業務量は増加の一途だった。そしてこの国のお役所十八番の「朝令暮改」を地で行く「ゆとり教育」廃止により、振り子は元よりもさらに大きな振幅をはじめ、児童・生徒、教師へかかる負担はさらに荷重になる。

つまり、初等教育(否、中高等教育も)における「教育理念」がこの島国にはないのだ。いつでも行き当たりばかり。世界でも例を見ないほど英語教育に時間をかけていても、大学生のほとんどが英会話を苦手にしている現状。嘘か本当か分からない大昔の歴史(そこで教えられる内容だってコロコロ変わる)には必要以上に時間を割くくせに、近現代史を軽視する歴史教育。論理立てて考え、議論する、批判的に物事を見る科学的姿勢を軽視して、ひたすら「暗記」を前提としたカリキュラム。知識が身につくことはあっても知恵や生き抜く力を支える力が身につくことのない陳腐な教育。一言で言ってしまえばこの島国は戦後の一時期を除き、また、一部の特色のある学校や私立学校を除き、一貫してそのような哲学の「貧しい」教育に終始してきたのである。

そして、その最大の犯人は現文科省、旧文部省だ。連中は現場の教師がどれだけ忙しいか熟知している。ほとんどの公立学校で授業後のクラブ活動の指導にあたる教師は残業手当をもらっておらず、無償奉仕をするという現象は当たり前のようになっているし、夏休み短縮の原因とされる教師の業務過多は、あれこれと押し付けられる「報告書」や「調査」の類の作成に、膨大な時間を割かれるためだ。こういった「報告書」や「調査」の類が教育現場や教育内容の改善につながった例は、私の知る限り「皆無」であり、役所特有の「本来は不要」な本質的(学校であれば「授業」)業務になんら有意義ではない、「無駄な業務」が学校に強いられている結果だ。

そして、学校を企業のように妄想し「学校運営」を「学校経営」とまで言い換えているのが文科省だ。義務教育は営利目的ではないだろうが。違うか。

教師の業務負担軽減は、不要な事務作業を徹底して現場から排除すること。これまでの英語教育の非効率性が証明されているのに、小学校でも英語教育を行うという愚策を止めること。ITCだのなんだのといって、小中学校でもパソコン関係の教育を益々進めようとしているが、パソコンの操作方法などこの時代子供は勝手に覚える。教えるべきは、主としてインターネットという電子世界を扱い、参加するにあたっての危険性や留意事項と有益な使用方法などであろう。

小中学校では「朝礼」があるが、文科省にはそれに加え「暮改」必ず付随する。何の一貫した思想も将来像もない。

「夏休みの短縮」といった愚策は、その象徴であり、矛盾を解決するものでは全くない。考えてみよう。毎年猛暑日が続くこの時期に、近年はエアコンが整備されているとはいえ、小中学校で授業を増やしたら、どうして教師の業務負担軽減になるというのか。子供たちだけではなく、先生にも正当な夏休みを!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25

TBS系バラエティー番組『マツコの知らない世界』(毎週火曜 後8:57)の公式サイトは、番組出演者から預かった資料を紛失したことを報告するとともに、資料の情報提供を呼びかけている。サイトに7月9日までに掲載された「お知らせ」では「2016年10月18日放送の『号外の世界』で、出演者の小林宗之氏からお預かりしていた貴重な資料の一部を、番組の不注意で紛失してしまいました」と報告。

小林近現代資料文庫HPより

すでに、小林氏とは和解しているといい「番組では引き続き、紛失した号外を捜しています」とし、紛失した資料として「明治17年8月30日付東京日日新聞号外(葉書号外)裏表1点ずつ『清佛要件の電報を特に御報申上候』」「昭和16年12月8日付 大阪毎日新聞号外 『ハワイ等奇襲奏功』」「昭和16年12月8日付 名古屋新聞第2号外『ホノルルを大空襲』」など計8点の資料写真を添え、捜索への協力を呼びかけている。

小林氏も自身のサイトで「TBS側に貸出した資料のうち、8点を紛失されるという事件が発生しました」と記し「TBS側により警視庁赤坂署に16年12月5日付で紛失届を提出済ですが、現在に至るまで、資料の返還を受けられておらず、資料も発見されておりません。もし、どこかで発見された場合は、是非ともご一報くださいますようお願いいたします」と呼びかけている。

小林氏とは5月頃に別件で情報提供をも求め、電話をかけた際に上記事件が発生したことは知らされていた。当時はまだ和解には至っておらず、TBSはずいぶんいい加減なことをするものだなと、しばし話し込んだ。

小林氏はこれまでも関西テレビの「ウラマヨ」や、CBCテレビの「ノブナガ」 に出演したことがあり、新聞や雑誌にも多数掲載されている。小林氏の所有する三陸沖地震の新聞資料は極めて貴重で、京都新聞の一面、社会面、28面に一挙に掲載されたこともある。新聞研究家あり、とりわけ号外研究・収集にかける小林氏の熱意は凄まじいいの一言に尽きる。小林氏に電話をかけて「また、珍しいもんを見つけましてねー」と嬉しそうな声が聞こえるときは、新しいコレクションが加わった時だ。国内新聞の資料・号外だけでなく、世界中の新聞の号外を時には人的繋がりで、あるいはオークションで落札することにより、地道に所蔵物を増やしている。

今回貴重な資料を紛失された事件については、TBS側と和解が成立しているものの、感想を聞くと「和解はしましたが、そりゃあ腹が立ちますよ。お金でいくらというものではないですから」と腹の虫がおさまらない様子だ。

それにしても、新聞資料収集・号外収集特集で番組に出演させておいて、その資料を失ってしまうなどということは、全国ネットのテレビ局としては、断じてあってはならないことだ。しかも、8点も行方不明にしてしまったというのだから、番組制作は下請け会社に丸投げしているのだろうが、TBSの信用の根本にかかわる問題だ。研究者・収集家にとってコレクションは何にも代えがたい貴重な分身のようなもので、「失くしてしまってごめんなさい」で済む話ではない。

TBSのガタツキぶりが感じられる事件でもある。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25

自己撞着的ではなはだ恐縮であるが本日8月18日は、お読みいただいている「デジタル鹿砦社通信」がリニューアルをして3周年にあたる。読者の皆様にはあまり関係のないことだけれども、日ごろよりご愛読いただいている皆様に、執筆者一同、まずは深く感謝を申し上げたい。
3年前の2014年をかえりみると、たった3年の間に社会、とりわけこの島国ではずいぶん急速な変化生じていた。本コラムの再出発は3年前の8月18日だが、2014年1年間にスパンを広げると、以下のことが起きている。以下2014年からこれまでの主だった出来事をふりかえってみる。

▼2014年
・2月 舛添要一が東京と知事に当選
・3月 自ら辞職した橋下徹が大阪市長に再当選
・3月 48年前に逮捕され死刑が確定していた袴田さんに再審の開始を認め刑の執行停止釈放
・4月 消費税が5%から8%に引き上げられる
・5月 福井地裁大飯原発3・4号機の運転差し止めを命じる判決
・6月 日本維新の会、分党を正式決定、2012年9月の結党から1年9カ月で解散
・7月 集団的自衛権を認める解釈改憲を閣議決定
・11月 沖縄知事選で翁長雄志が現職の仲井眞弘多を破り当選
・12月 特定秘密保護法施行
・12月 総選挙、自公が326議席を獲得し与党勝利
▼2015年
・1月 岡田克也が民主党代表に選ばれる
・4月 高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分命令を福井地裁が関西電力に下す
・5月 SEALDs発足
・5月 大阪都構想を問う住民投票。反対多数で否決。橋下徹は政治家引退を宣言
・7月 安保法案成立
・8月 川内原発1号機が再稼働
・10月 防衛装備庁設置
・10月 維新の党を離党した大阪市の橋下市長・大阪府の松井知事らは、大阪市で国会議員19人が参加する新党「おおさか維新の会」の結党大会を開催
▼2016年
・3月 民主・維新の両党などが合併した新党『民進党』結党大会が行われる
・4月 熊本地震
・6月 沖縄県議会議員選挙。県政与党が改選前の24議席から27議席に伸ばし、過半数を獲得
・6月 舛添要一知事が辞表を議長に提出
・6月 18歳選挙権に関連する改正公職選挙法が施行
・7月 参議院選挙、自民・公明の連立与党は合計70議席を獲得し勝利
・7月 都知事選で小池百合子当選
・9月 民進党代表に蓮舫選出
・12月 統合型リゾート推進法案修正案(カジノ法)成立
▼2017年
・1月 ドナルド・トランプ米国大統領就任
・1月 森友学園問題報道が始まる
・3月 韓国大統領朴槿恵罷免
・7月 都議選で自民史上最低の獲得議席23で惨敗
・7月 安倍内閣の支持率低下、報道機関によっては20%台を記録
自然災害や、国際ニュースを織り交ぜればこれほど単純な抽出では収まらないが、この3年間の初頭は2013年に強行採決された特定秘密保護法をはじめとし、安倍政権のやりたい放題からはじまった印象が強い。マスメディアは安倍政権と並走した。今年の6月まで、一部の新聞を除いて大手新聞、テレビは安倍政権への「忖度」にいそしみ、「権力監視」などほったらかしにしていた。
でも、もう遠い昔の人のように感じられる舛添要一が都知事に当選したのはわずか3年前、失脚したのは昨年のことだ。消費税が5%から8%に引き上げられ、直前には「駆け込みみ需要」で業種を問わず大わらわであったようだが、その後1年すると中小企業は軒並み減収減益を記録する。
逆に株式市場や大手企業の業績は好調維持し、労働組合ではなく首相安倍が「給与の引き上げ」を企業に求める、という非常に不健全なやり取りが行われた。「TPP絶対反対」を掲げていた自民党は政権に戻ると、一転して「TPP積極推進」に180度態度を翻したが、米国大統領にドナルド・トランプ就任し「TPPなんかやらないよ」と言い出すと、急いで安倍はトランプに会いに行き「TPPやりましょうよ……」と依頼するという、予想外の展開となった。
もう新聞紙面で「TPP」の文字を見ることすらほとんどなくなったが、自民党のあの馬鹿げた熱中はいったい何に依拠していたものなのだろうか。甘利経産大臣のあの暗躍はいったいどこに収斂されたのだろう。
この3年間で私たちは「特定秘密保護法」-「集団的自衛権容認」(解釈改憲)-「安保法制」(戦争推進法)-「共謀罪」と川上から川下へ水が流れるように、治安立法と戦争準備の法制を許してきた。この先には水平線の見えない治安弾圧と、戦争の大海が待ち受けている。もう河口が見えて、いよいよ河川から海洋へと流れが解け行く、段階が現在、2017年8月18日だろう。
「多勢に無勢」、「時代という強迫」、「信じるに値するのか、そうでないのかが不明な市民」……。そういった悲観的な言葉に支配されがちであるが、どの時代でも人間は生きてきたのであり、飢えのひどい飢餓の国で、きょうも新生児は生まれている。いい加減濁った河川を何十年も眺めていると、諦めや絶望、疲れた気持ちに支配されがちの日々、それでも私たちはこれからも「ごまめの歯ぎしり」を続けていこうと思う。
デジタル鹿砦社通信はこの時代にあって、真に自由で闊達、タブーのない言論をさらに志向し実践してゆきたいと、自省しながら、再度思いを引き締めようと思う。「希望がなければ、私たちが造り出す」くらいの身の丈を超えた気持ちで。
今後もデジタル鹿砦社通信をよろしくお願いいたします。
▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25

多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて『NO NUKES voice』

体験しないと痛みは分からないのか、いや、体験をしなくとも想像力(イマジネーション)で痛みや恐怖を原型通りではないにしても、自分のものとして感じ、考えることは可能だろうか。私は後者でありたいと願っている。世界は無限だ。物理的な世界だけではなく、時間軸の世界も無限の広がりを持つ。実感に近づくために、日々暮らす世界から、未知の世界へ旅をしたり、調査・取材にでかければ、毎回発見はある。何度も通ううちに思わぬ見落としをしていたことに、気づくこともある。

一人の生涯が有限である以上、無限の世界をくまなく旅することが無理なのは自明だ。けれども、物理的な旅や調査に体を委ねなくとも、例えば書物で、あるいは映画や芸術作品を手掛かりに、または人から話を聞くことにより、未知の世界を旅することは読者の皆さんも無意識にご経験がおありだろう。

体や心が疲れ切って、現実逃避をするのだって、ちょっとした心の小旅行と言えなくもない。きょうは皆さんと、少しだけ、厳しい旅をしてみたいと思う。時間を今から70数年前に戻す。

◆あの日、なぜか親元から無理やりに連れ去られた

最初の景色は街である。私や皆さんは小学生に入学したてくらいの年齢で、なぜか親元から無理やりに連れ去られるところから、疑似体験は始まる。その「連れ去り」の意味など私たちには、もちろん誰もわかりはしない。でも親も「先生たちの言うことを聞いてちゃんと頑張るのよ」と言って私たちを送り出す。何人いるかわからない私たちは列車やトラックの荷台に乗せられて、山間部へと連れてゆかれる。

ぎゅうぎゅうに詰め込まれた列車のあちこちからは、いきなり、親元から連れ去られた子供たちの鳴き声が聞こえる。「黙れ!」とそれを抑えつける先生の大声が時々響きわたる。

どこかわからない山間部に到着すると、「鉄策の中に入れ」と言われる。順番に学校名と名前を言うと番号をもらう。それからようやく寝屋に案内された。山での生活は思い出したくない位に厳しかった。そして何より寂しかった。泣き止まず言うことを聞かない子の中には、林の奥に連れていかれたままで帰ってこない子もいた。

何カ月山にいたのか分からない。ある日「街に帰るから準備をしなさい」と先生が言った。また列車とトラックを乗り継いで街にもどった。そうしたら家(うち)がなかった。火事があったみたいで、家(うち)だけでなく町内全体が無くなっていた。お母さんはどこに行ったの。お父さんはどこにいるの。大人は知らない人ばかりで顔見知りの町内の人はだれもいない……。

◆学童疎開は「人道的配慮に基づく子供の保護」ではなかった

このあたりで、2017年に戻っていただこう。お気づきの読者も多いと思うが、これは「学童疎開」を体験したある子供の視点から見た1944~45年にかけての数カ月の出来事の大枠だ。

「学童疎開」は都市部には空襲の恐れがあるので、児童を空襲の危険が少ない山間部などに集団で避難させるためにとられた策だと、単純に考えていた。ところが先日あるお寺の方から「学童疎開は天皇の赤子を残すこと(次の戦闘員を確保すること)を目的に行われ、無料ではなく月に10円を親は払っていました」とのお話を伺った。この方ご自身も年齢的には、自分が親として子供を学童疎開に出した世代ではなく、あくまで「複数の人から聞いた話」との断りのうえであるが、だとしたら私が抱いていた「人道的配慮に基づく子供の保護」が「学童疎開」だったというあいまいな印象は改めなければならない。

◆星野光世さんの新刊で知った凄まじい「学童疎開」体験談

星野光世『もしも魔法が使えたら 戦争孤児11人の記録』(講談社)

そして、また聞きではなく、ご自身たちが「学童疎開」を経験し、その凄まじい体験を絵と文章で綴った、まさに「学童疎開」を経験された方の体験談が出版された。星野光世さんの『もしも魔法が使えたら 戦争孤児11人の記録』(講談社)だ。

「学童疎開」が結果として戦争孤児を産出し、彼らは家もなく路上生活者として生きるほかなかった。そしてその経験は後年まで彼らの心を苦しめ。星野さんが「学童疎開」の絵を描き始めたのも80歳を超えてからだったという。

戦争は国家意思による、壮大なバラィエティーの殺戮と、強制、略奪と非道理の集合体だ。「戦争はいけない」、「戦争反対」と言葉にすることはたやすいけれども(近年は言葉にすることはたやすい、とすら気軽に言えなくなってきているが)、この総体を理解するためには、細部を徹底して凝視して、そこから周辺の景色に思いを巡らせるような思索が有意義ではないだろうか。

戦争の全体像は教科書や映画で描き切れるものでは到底なく、被害を受けた個人個人にそれぞれのストーリーがあり、また加害側の人間の姿を探っていけば、驚くような浪費や贅沢放蕩の極みも見つけることもできる。

与えられた大雑把な印象から、細部を凝視することにより、あるいは自分がそこにいたらどう振る舞っただろうか、まで思考を広げ考察してみれば(かなりくたびれる作業ではあるが)戦争は遠い昔や、関係のない話ではなくなる。

それはこの島国の政府が愚かにも朝鮮のミサイルが明日にでも飛んできそうな、悪質な流言を広め、ミサイルが飛んで来たら「窓から離れてください」、「なるべく頑丈な建物の中に入ってください」、「頭を保護して下さい」と広報する内容の全くの無効性(仮にミサイルが飛んで来たら前記のどの手段を講じたって全くの無意味だ)と真逆に位置する、すぐれて「反戦」を指向する営為だ。

なんだかすべてが分かり切った、解決したような言葉で「敗戦記念日」が埋め尽くされそうであるならば、せめて個の内面で「未解決は未解決」だと問い直したい。

◎[参考動画]星野光世さんが語る「兄弟3人で集団疎開」(MEMORO 記憶の銀行 2010年8月5日Takashi Aihara 投稿)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

愚直に直球 タブーなし!8月7日発売『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25

多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて『NO NUKES voice』

〈東京都の小池百合子知事(65)の側近、若狭勝衆院議員(60)=無所属=が7日、国会内で会見し、政治団体「日本ファーストの会」と、政治塾「輝照(きしょう)塾」を設立したと発表した。政治塾は9月16日に都内で開き、講師は小池氏が務める。同塾には現職の国会議員らの参加も認めるとし、年内の新党結成と次期衆院選を見据え、活動を本格化させる。小池氏と安倍晋三首相(62)との関係は良好だが、将来的な2大政党制を目指すため、小池首相誕生の“受け皿”が出来上がった形だ。〉
「スポーツ報知」2017年8月8日付

若狭勝「日本第一党」代表の自民党離党前HPより

若狭勝同上HPより

「将来的な2大政党制を目指すため、小池首相誕生の“受け皿”が出来上がった形だ」といった能天気な記事は出典がスポーツ報知だから仕方ないか。しかし、若狭らの言語感覚には驚かされた。せいぜい「国民ファースト」くらいで、我慢するかと思いきや、そのものズバリ「日本ファースト」だそうだ。「国民の生活が第一」がキャッチフレーズの小沢一郎を意識したのかもしれないが、それにしても「都民ファースト」が東京都民第一と解説していたのだから「日本ファースト」は「日本第一主義」と党名から解釈されても仕方あるまい。おそらく政策の云々以前に諸外国からは警戒の声が上がるだろう。

外国の反応を待つまでもなく、私はこの名前の響きに強い嫌悪感と不快感を覚える。出自が現代の極右政党自民党からの離脱組のこと、関西では古臭い「維新」を持ち出し、名古屋ではすっとんきょうな「減税日本」が生まれ、いよいよ東京では「日本ファースト」こと「日本第一党」が誕生したというわけである。

◆公明党=創価学会の影響力

遅すぎた支持率低下に直面している極右自民党の安倍政権と、宗教政党である公明党の連立与党は、公明党支持者≒創価学会の意向を受けた投票行動により自民党議員の当選を支え、公明党が提唱する些細な政策に一応の配慮を払い「マニフェスト実現率100%」などと公明党が宣伝できる環境を自民党が用意できる関係性がすべてだ。

そのために創価学会信者の間では国政選挙や都議選などの複数人区では投票日直前まで、状況分析が行われ、1日あれば連絡網でだれに投票せよとの指示が行き渡るネットワークが構築されている。国政選挙で公明党が得る票の総数は毎回おおよそ700万票の後半から850万票の間だから、自民党としては絶対に公明党、いや正確に言えば創価学会との関係は断ち切りたくはない。

しかし公明党もなかなかの策士であり、都議会ではいち早く自民に見切りをつて、小池知事支持に回り、その結果史上空前の23議席という大惨敗を自民は喫することとなった。痛いほど公明党の力を実感させられたことだろう。

そして「日本ファースト」こと「日本第一党」の発足である。はっきり申し上げておくが、こんな政党が大きくなり、万が一政権交代が行われたところで、自民党から民主党へ政権交代が行われた10分の1も変化は生まれない。なぜなばら、彼らは枝葉で自民党との差異を強調していても、経済、福祉、外交、憲法などについての根本政策は自民党となに変わることない団体だからだ。

一縷の期待や望みを「日本ファースト」こと「日本第一党」にかけるのは全くの誤りであり、それは間接的に現体制から、やがてやってくる右派政党の統一(かつての大政翼賛会の21世紀版)を利するに過ぎない。ご覧いただきたい。自民党と、維新と、日本ファーストの政策。どこに大きな違いがあるというのだ。

◆「日本第一党」代表の若狭勝は元東京地検特捜副本部長の要注意人物

若狭勝同上HPより

若狭勝同上HPより

若狭勝同上HPより

「日本ファースト」こと「日本第一党」の代表に就任した元検事、若狭勝は、自民離党前から怪しい動きをしていた。まるで検察時代に国策操作を行うように。若狭は東京地検の特捜副部長や公安部長を務めたことのある人間だ。

東京地検特捜時代に政治がらみの大きな仕事をした形跡はないが、逆にもう廃刊されたが『噂の真相』名誉棄損事件を指揮し、『噂の真相』発行人の岡留安則とデスクが有罪判決を受けている(この東京地検特捜による『噂の真相』名誉棄損事件がのちの『鹿砦社』弾圧に、勢いをつけたのではないかと指摘する声もある)。

若狭は2013年の参議院選挙に比例区から出馬していたが、陣営の人間は全くといていいほどやる気がなかった。忘れもしない、北千住駅前で街頭宣伝の準備に通りかかっていた運動員たちは、猛暑もあってではあろうが、動きが鈍く日焼けした顔で「ああ、もうやめたい」と声を上げていた。

話を聞くと頼まれれば応援に赴く「選挙屋さん」ともいうべき人たちが世の中には結構いるようだが、彼もその一人で知人を介して若狭の選挙活動応援を依頼されたらしい。「だめでしょう。比例でこの様子だと。東京での反応もさっぱりですもん」と、勝負が決まる前から運動員がこんな言葉を吐いていいのか、というやる気のなさだった。若狭は「国会議員には法律の専門家がいない。私は元検察官として、弁護士として法律の専門家だから、国会議員になって法律の専門家の立場から法律を作りたい」と、抑揚のない演説をしていた。果たしてこの選挙では運動員の読み通り若狭は落選の憂き目を見る。

しかし、侮ってはならない。「日本ファースト」こと「日本第一党」の代表には強烈な個性よりも、少しぼんやりしている人間がふさわしい。そうでないと党名の、過激さと相まって、攻撃の標的になる恐れがあるからだ。そこへいくと、東京地検特捜副本部長を職歴は強みを発揮するだろう。

細胞分裂のように、一度は別の個体として分かれても成長すればやがて同じ組織体や有機体の器官を構成する。維新も、日本ファーストも果たす役割は同じだ。いずれ自民党という「お里」に帰ることを予言しておく。


《参考動画》【録画】若狭勝氏が「日本ファーストの会」立ち上げへ(THE PAGE 2017年8月7日にライブ配信)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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『NO NUKES voice』12号【特集】暗い時代の脱原発──知事抹殺、不当逮捕、共謀罪 ファシズムの足音が聞こえる!

下記は今年6月17日付けの毎日新聞の記事だ。ここでの放影研の丹羽太貫(にわ・おおつら)理事長の発言は、一見殊勝にも見間違いかねないほど、悪意に基づいた「ごまかし・欺瞞」に溢れている。

毎日新聞2017年6月17日付け記事より)

毎日新聞2017年6月17日付け記事より)

毎日新聞2017年6月17日付け記事より)

原爆による放射線被ばくの影響を追跡調査している日米共同研究機関「放射線影響研究所」(放影研、広島・長崎両市)の丹羽太貫(おおつら)理事長(73)が、(著者注:6月)19日に被爆者を招いて広島市で開く設立70周年の記念式典で、前身の米原爆傷害調査委員会(ABCC)が治療を原則行わず研究対象として被爆者を扱ったことについて被爆者に謝罪することが分かった。放影研トップが公の場で直接謝罪するのは初めてとみられる。丹羽理事長は「人を対象に研究する場合は対象との関係を築くのが鉄則だが、20世紀にはその概念がなかった。我々も被爆者との関係を良くしていかなければいけない」としている。

ABCCでは被爆者への治療は原則行わず、多くの被爆者の検査データを集めた。被爆者たちは「強制的に連れてこられ、裸にして写真を撮られた」などと証言。「モルモット扱いされ、人権を侵害された」と反発心を抱く人が少なくなく、「調査はするが治療はしない」と長く批判を浴びてきた。 (中略)

一方、被爆者を裸にして検査をしたり遺体の献体を求めたりしたことについて、丹羽理事長は「米国側が日本の習慣などを十分理解しておらず、文化摩擦があった。だがサイエンスとしては必要だった」との見方も示した。

放影研歴史資料管理委員会委員の宇吹暁・元広島女学院大教授(被爆史)は謝罪について「放影研は被爆2世、3世の研究を今後も続けるには、組織として謝った方が協力を得られやすいと判断したのだろう」とみている。

丹羽太貫放(にわ・おおつら)放影研理事長の略歴

◆広島・長崎・福島を繋ぐ「放射線マフィア」本流

放影研もしかし、こんな経歴の男に「謝罪の真似」をさせるのだから、逆効果が出てもしかたはあるまい。放影研理事長、丹羽太貫の経歴を見て頂こう。

京都大学医学部 1975-1984年 放射線基礎医学教室助手
広島大学原爆放射能医学研究所
 1984-1991年 病理学教室助教授
 1991-1997年 病理学教室教授(1994年の改組により分子病理分野と改名)
京都大学放射線生物研究センター
 1997-2007年 教授
 1999-2003年 センター長
(独)放射線医学総合研究所重粒子医科学センター 2007-2009年 副センター長
バイオメディクス株式会社 2009-2012年 代表取締役社長
福島県立医科大学 2012-2015年 特命教授
放射線影響研究所 2015-現在 理事長

丹羽太貫放影研理事長は一貫して「放射線マフィア」の中心街道を歩んでき来た人間であり、ことに2012年に福島県立医大の特命教授に就任したあと、2015年から現職にあることが、この男の素性すべてを物語る。そして、京都新聞の8月6日朝刊では、丹羽は6月、「批判を重く受け止め、心苦しく思う」と放影研の「設立70周年式典」で被爆者に「謝罪」したと報道されている。「心苦しく思う」のどこが、謝罪なのだ。

「『調べるだけで治療せず』非難なお根強く」との見出しの通り、放影研はその前身のABCC(Atomic Bomb Casualty Commissionは「原爆傷害調査委員会」と)発足時より被爆者の調査を行い、そのデータを収集するという明確な目的はあったが、他方被爆者への治療などは「まったく」眼中になかった。その歴史は長くにわたり批判の対象となっていたけれども、丹羽はあたかもその過去を「反省」したかのような「雰囲気づくり」に一芝居うっただけであり、丹羽の言葉のどこにも「治療しなかったことが誤りであり、申し訳なかった」という趣旨の言葉は見つからない。

◆福島で表れた丹羽太貫の本性

それどころか、下の映像をご覧いただきたい。これが丹羽の本性を現すのには最も適格な材料だろう。


◎[参考動画]委員と傍聴者が怒鳴り合い~環境省専門家会議(OPTV2014年11月27 日公開)

福島第一原発事故後の環境省専門家会議で、出席者の一人である丹羽は傍聴席に向かって、罵声を飛ばし、威嚇までしている。詳細な説明は不要だろう。この男の本性をしっかりご覧いただこう。ちなみにこの専門家委員会の委員長は長瀧重信(ながたきしげのぶ)で、丹羽以上に「放射線マフィア」界隈では大物だ。長瀧は長崎大学医学部長や、放影研理事長を歴任している。こういった連中が環境省専門家委員会で事故後に至るも平然と大きな顔でのさばり、あろうことか、丹羽は傍聴者を威嚇までしている。

毎日のように、このような場面が多数の人々の目に触れれば、彼らがどのような魂胆の持ち主かが何も知らない人びとにも伝わりやすいのだろうが、なかなかそうはいかない。一言も謝罪をしていない不思議な「謝罪」を行った丹羽が理事長に君臨する放影研は、3年前から福島第一原発事故作業員約2万名を対象にした「調査」を行っている。作業員に体調不良者や白血病が見つかっても、放影研は当然治療をしてはくれない。

原爆による被害者が調査資料を得るための「モルモット」であったのと同様に、福島第一原発事故収束のために働いた人びとも、被爆影響がどのように現れるかの「人体実験」サンプルとして調査の対象にされるだけであることは間違いない。

◆広島、長崎、福島の犠牲者を「モルモット」扱いする放影研の閉鎖廃止を求める

放影研の評議員一覧

放影研の運営(評議員)には今でもあやしい米国人の名前が複数、目につく。

丹羽は「われわれは科学を介して原爆の影響を世界に発信していきたい。そうすることが協力してくれた被爆者への恩返しになる」と述べているが、被爆者は核推進論者により捻じ曲げられ発信される「原爆の影響」などを望んではいまい。

いっそうのこと、広島市と長崎市は原爆の負の遺産である放影研の立ち退き、あるいは閉鎖を要請してはどうだろうか。犠牲者を追悼する方法には様々な手段があっていい。祈る人は祈り、精霊流しをする人はそれに思いを込め、犠牲者を「モルモット」扱いした非人道的組織、放影研の閉鎖を求める声がそのバリエーションの中にあってもよいのではないだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

8月6日広島・世界のゆがみ──安倍晋三首相に問う「大いなる背理」(田所敏夫)
 

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◆世界のゆがみを体現した核兵器禁止条約──その中に日本はいない

1945年の核兵器数(朝日新聞2016年5月26日公開「世界の核兵器、これだけある」より)

1955年の核兵器数(朝日新聞同上より)

1965年の核兵器数(朝日新聞同上より)

なんたることであろうか。「核兵器禁止条約」の交渉会議には124ヵ国が参加して122ヵ国が賛成(反対はオランダ、シンガポールは棄権)し、100ヵ国以上が署名する見込みだというのに、その中に「日本」は入っていない。下記記事にある通り「米国の同盟国である」からがその理由なのだそうだ。史上初めて原子爆弾を実戦で使い、数十万の人々を殺戮した米国に対して、殺戮された側のこの島国が「同調」したのだ。

〈核兵器の使用や保有などを法的に禁止する国際条約。核兵器は非人道的で違法なものであると明示し、加盟国に核兵器の開発、保有、実験、使用だけでなく、核兵器を使用すると威嚇する行為も禁じている。2017年3月から米ニューヨークの国連本部で制定に向けた交渉が行われ、同年7月、交渉会議に出席した124カ国中122カ国という圧倒的多数の賛成により採択された。条約は同年9月から署名手続きが開始され、批准国数が50カ国に達してから90日後に発効する。100カ国以上が加盟する見通しだが、条約交渉に参加しなかった核保有国の米英仏は署名の意思がないことを表明し、米国の同盟国である日本も同調する姿勢を示している。〉
(出典=朝日新聞2017年7月11日)
※[参考インフォマップ]世界の核兵器、これだけある(朝日新聞2016年5月26日公開)

まことに不思議な精神構造だなぁ、と毎度のことながら呆れかえる。たしかにあらゆる側面でこの島国は米国の属国のように、主体なき振る舞いを国際社会で何の恥も感じずに続けてきた。戦後の歴史を振り返るにつけ、1945年の敗戦と、戦後が果たして断絶しているのか、あるいは表面上異なるように見えながらも精神性は連続しているのかが大いに気にかかる。この現象については政治学や社会学、さらには精神医学の立場からも多くの研究があり、また文学界においても、大きなテーマであり続けた。

◆「鬼畜米英」の狂信が敗戦と共に「米国追従」に反転した

1975年の核兵器数(朝日新聞同上より)

1985年の核兵器数(朝日新聞同上より)

多彩な分析や研究にあたると、「なるほど」とこれまで気づかなかった視点を与えられることは多々あるが、直前まで「一億火の玉、本土決戦」、「鬼畜米英」と竹やりで重武装軍隊に対抗しようという、常軌を逸した狂信が、敗戦とともに「うそだ!」と言わんばかりに反転する。「生きて虜囚の辱めを受けず」など、とにかく戦場では「死ね」と言明していた指導者たちで、戦犯認定を受けて死刑になった人以外の、生き残った人びとは、戦後、まったく万歳をしてしまった米国追従と米国文化への憧憬(それはもちろん意図して煽られたものではあった)をどのように感じていたことだろうか。この質問は可能であれば、昭和天皇と岸信介にぶつけたかった。

一問一答の準備された「やらせ」の会見ではなく、会話形式でである。しかしもうこの世を去った二人に質問することはかなわないから、役者としてはかなり格が落ちるけども、安倍晋三に聞いてみたい。

◆8月6日、岸信介の孫である安倍晋三に問う

1986年の核兵器数(朝日新聞同上より)

1995年の核兵器数(朝日新聞同上より)

「あなたのお爺さん、岸信介は太平洋戦争開戦前は満州で辣腕を振るい(中国の人々や資源を搾取し)、第二次大戦中には商工大臣を務めていた。戦争を遂行する最高責任者の一人であったが、そのことをどう思うか?」

「あそこまで、米英をはじめとする連合国と徹底抗戦していた戦争の責任者が、敗戦後はどうして180度態度が変わり、米国追従主義者になったのか。そして孫であるあなたもどうして、それに輪をかけた米国追従に最大価値をおくのか?」

「あなたたちのような為政者により、この島国で300万人、アジアでは3000万人が殺された。この島国は原爆の被害国ではあるが、15年戦争では加害国の役割が大きい。そのことについての本心を、秘書や作家に書いてもらった準備原稿を読み上げるのではなく、あなたの言葉で語ってくれないか。それが祖父を敬愛してやまないと明言するあなたの責務だ。不幸にも二人ともにこの島国の最高責任者に就任したのだから」

「あなたは日米同盟至上主義者のようだが、米国は決して日本を対等な存在であるとは認識してない。そのことは『日米合同委員会』の存在と暗躍で明らかである。それでも米国にしっぽを振り続けるあなたは、どうしてそれと矛盾する国家神道の残滓である靖国神社を訪問したがるのか。米国からの指導の中に『神道への崇拝』まで含まれているのか?」

「毎年8月6日に広島を訪れるとき、8月9日に長崎を訪れるときのあなたの顔には、『めんどくさいな』と書いてあるように見えるのは私の錯覚か。過去には広島でのスピーチとほぼ同じ内容を長崎でも使ってしまい、批判を浴びたことがあるけれども、安倍晋三さん、あなたの本心は『こんなところに来たくはない』ではないのか?」

◆「核兵器禁止条約」に背を向けた安倍晋三が「広島平和記念式典」に出席するという背理

2005年の核兵器数(朝日新聞同上より)

2014年の核兵器数(朝日新聞同上より)

100を超える国が「核兵器禁止条約」に署名しようとしている中で、人類史上初の兵器としての原爆により数十万人が殺戮された日に、「核兵器禁止条約」に背を向ける安倍晋三が「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」に参加することは、大いなる背理である。

「核兵器禁止条約」がいかに力を持つかどうかはともかく、この条約が成立過程にある現実は、同条約に賛成しないことは「核兵器の保有・使用を容認する」ことと同義である。そもそも「核兵器禁止条約」交渉会議に「核兵器保有五国」(米、英、仏、露、中)は参加していない。

「朝鮮のミサイル実験」により、明日にでも戦争が始まるかのような頓珍漢な雰囲気を醸成しようと、「Jアラート」がどうの、「ミサイルが飛んで来たら」と台風対策のような、まったく実効性も意味もない「デマ」が国の扇動で行われている。「核兵器禁止条約」に核保有国が参加せず、彼らが核兵器を持つことが正当化される「核拡散防止条約」があたかもまっとうな知性を持ち合わせた条約のように「不平等」に世界を支配している。

世界のゆがみと、この島国のゆがみを黙って体現しているのが「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」ではないだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

愚直に直球 タブーなし!8月7日発売『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25

多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて『NO NUKES voice』

 

 

  
ツイッターアカウントITOKENこと伊藤健一郎。この春、立命館大学国際関係研究科を修了し、見事博士の学位を習得した人物である。取材班は2016年8月23日伊藤への電話取材を行った。昨日に続き、そのやり取りの後編を公開する。

写真は伊藤健一郎本人のフェイスブックより

◆「あなたの別のものであるという見立て自体が現実離れしていて」

伊藤 田所さんはフリーライターとして、これ全然関係ない質問なんですが、在特会とかカウンターによる街頭活動の取材とかなさってなかったんですか?

田所 しています。

伊藤 C.R.A.C.のことを知らなかったということだから。

田所 私は読んでいただこうとは思いませんが、反在特会、反橋下については数十本コラムを書いてます。

伊藤 そうなんですか。
(中略)
伊藤 取材不足と言うか、ジャーナリストとしてカウンターの活動を在特会に対する反対運動だと認識したらカウンターの参加者の一部の話を聞きながら……。

田所 お言葉ですが、「カウンター」という言葉ができたのはここ十年も経っていないですよね。一方、反差別活動には長い歴史があるわけですよね。私は30年ぐらい反差別活動に関わっております。「カウンター」登場以前から何十年も反差別を研究していらっしゃる方もいるわけですよね。私はそういった方と昔からお付き合いがあって、在特会の現象についてもそういう方々にたくさんご意見や見解を伺うということはしました。その方々は高齢の方々が多いので、中にはいらっしゃいましたが、「カウンター」という言葉はほとんど使われないのですよね。「反差別活動」や「反民族差別」言われましたね。

伊藤 カウンターはだから反民族差別の市民運動。

田所 ですね、新しく出てきた。街頭での反差別活動に冠された名前ですよね。

伊藤 そのカウンター活動には何十年も反差別運動に取り組んできた方がたくさん参加しておられます。ですから反差別運動に関心がおありで、というのであれば、カウンターって2013年ぐらいからワイワイやってるわけで、今2016年で2年、3年あったわけで。

田所 私、関わり出したの1980年代くらいからですから。

伊藤 だからそれはすごく立派なことをなさって。

田所 いえいえ、立派なことなんて全然思っていません。私は古いんですよ。昔から地道に反差別の研究をなさってる研究者の方とか、その活動をしてる方には知り合いが結構いるんですね。

伊藤 すごく貴重な話を聞いてると思うし、当時の古くから運動なさってる方々とかの話を聞いたりして勉強させてもらってる立場なんです。このような「カウンター」っていう新しい、そして反差別運動は昔からやってる人たちもいて、その二つの間であなたの別のものであるという見立て自体が現実離れしていて。

田所 私、一言もそんなこと申し上げてないです。別のものだと一言も申し上げてないじゃないですか。新しく出てきた、さっきおっしゃた2013年くらいから街頭に出てきたのがカウンターだとおっしゃったのは伊藤さんですよね。

 

 

  
◆「カウンターのこと知らなさ過ぎるんじゃないのかなと」

伊藤 カウンターのこと知らなさ過ぎるんじゃないのかなと。反差別運動のことを書いているのにもかかわらず、カウンター組織じゃないのかなっていうのがあって、おそらく今回の私になんか聞こうとしたっていうのも、組織だって思ってらっしゃるんじゃ。C.R.A.C.WESTが一つの集団か何かと思っていらっしゃるのかなと思って。

田所 C.R.A.C.WESTというのは集団ではないんですか?

伊藤 集団じゃないです。それツイッターのアカウントの名前です。

田所 集団というのはいろいろな定義があると思うんですけれども。

伊藤 集合的な意思決定をしていないっていうことです。

田所 伊藤さんの定義では集合的な意思決定をしていないという意味においての集団ではない。

伊藤 連絡網的な物を持ってないです。名簿もないです。これはツイッターのアカウントだからです。

田所 ツイッターのアカウントがあるだけで、名簿もなければ連絡網もない。

伊藤 ツイッターのC.R.A.C.WEST、私が動かしていますが、それは単純に何処でカウンター行動がありますよということを告知するアカウントなんです(取材班注:これも嘘である関西に限らず全国に連絡網を持っていたことは「声掛けリスト」で証明されている)。

田所 ツイッターのアカウントがあるだけであって、そこでは告知をするだけがC.R.A.C.WESTの役割だと。

伊藤 メンバーシップとかないです。

田所 名簿とかそういうもが一切ないわけですよね?
 
(中略)
 
伊藤 全然わからない。

田所 その時誰が来たかもわからない。

伊藤 もちろん何度かやってますから顔見知りはいます。

◆「連絡網に類する物はあるんじゃないですか」

田所 そうですね。知り合いになることはあるとは思いますけれど、いろんなことで制約を設けて、「こういう人は来ないでください」とか、「こういう人は来てください」とかいう様な事は別になさっているわけではないということですよね。出入り自由だということですよね。私はお電話で教えていただいて初めて分かった。ある人からは取材した時に「C.R.A.C.は連絡網あるよ」ということを聞いたことはあるんです。「C.R.A.C.とはどういうところですか?」とたまたま話題になった時に、それはC.R.A.C.の方ではなくてもっと年配の方だったけれども、「一応の連絡網は設けてるみたいだよ」という話は聞いたことがあるんです。それは誤報なんですね。

伊藤 それはあるんじゃないですか。

田所 伊藤さん、ないとおっしゃったじゃないですか。

伊藤 僕はC.R.A.C.WESTの話をしてるんです。

田所 C.R.A.C.にはあって、C.R.A.C.WESTには連絡網はないと。

伊藤 WESTの話しかしてなかったんで。

田所 じゃあ、C.R.A.C.WESTには連絡網がないけども、C.R.A.C.には連絡網がある。私がC.R.A.C.に強い興味を持って、勉強しようと思えば取材します。しかし今C.R.A.C.の組織体とかC.R.A.C.の本体とか、それとWESTの違いとか、そういったことは私の興味の中にないわけですね。ですから細かい種類の違い、性質の違いとかようないうあたりのことも、それは別に大きな問題ではなくて、私に話してくださったこと、お伝えいただいたことが事実ではあるわけですね。だからC.R.A.C.には連絡網はあるわけですね。

伊藤 連絡網に類する物はあるんじゃないですか。

田所 C.R.A.C.WESTにはないわけですね。だから私が聞いたことは間違いではなかったということですね。伊藤さんがおっしゃっていることも間違いではないということですね。

 

 

  
伊藤 反差別運動の取材をしながらC.R.A.C.に関する、C.R.A.C.系の新しいカウンタームーブメントに対する反差別ムーブメントに対する取材がこれはされてないんじゃないのかなという印象は僕は持ちます。そしてそれは田所さんがとかそういうことじゃなくて、情報の制約がちょっと大きいんじゃないかなということを感じます。ツイッターで見てないということがかなり大きな原因になってるかとは思いますが(取材班注:田所は「余計なお世話だ!」と言うのを我慢して伊藤からさらなる情報をとろうとしたという)。

田所 それは今後の私の課題として有難いアドバイスとして承っておきます。

◆「知らないですね。被害者、あいつですか」

伊藤 最近カウンターも下火になってきてましたから、あまり現場でカウンターの取材をする機会もないかと思いますが、現場に来てみればいろいろ新しい発見もあると思いますが。

田所 はい、それも私に対する伊藤さんからのアドバイスとして、現場の方からのアドバイスとして、有難く承っておきます。ということで、累々お尋ねいたしましたが、伊藤さんからは私が要するに「現場を知らない」ということを今後の課題ということで最後に頂きましたが、私を「誹謗中傷」したと、私は「嘘つき」だということについては撤回していただけるということはご確認いただけますか。

伊藤 はい。

田所 では、ツイッター消してくださいね。

伊藤 探してみます。

田所 名誉毀損ですよ。あなたが撤回すると認めていただいたんですから。私を嘘つき呼ばわりしてツイッターまだ残っているでしょう。出てこないんだったら教えてあげますよこちらから。

伊藤 対応します。誹謗中傷の件について。

田所 何月何日のものかご検索いただけませんか? 今お手元にあるわけですよね。それから伊藤さんはご存知かどうかわかりませんが、野間氏はツイッターで被害者のことを誹謗中傷してその本名なり所属なりを公にするということで今提訴されてますよ。

伊藤 そうですか。

田所 ご存知ないですか?

伊藤 知らないですね。被害者、あいつですか。「M」か(取材班注:伊藤は「M君」の本名を語り「あいつ」と表現した。ここに伊藤の本心が現れている)。

田所 そうですね。

伊藤 M君の取材はなさってるんですよね?

田所 してますよ。情報が入ってきたからは、加害者、被害者両方から話聞かないことには記事書けませんから。

伊藤 加害者の人たちに取材とかなさっているんですか?

田所 ええ、私すぐ李さんに電話しました。だから李さんが書いてるツイッターを見て、あなたは私に対して「嘘つきだ」ということを言ってるわけでしょ。他にどこにもそんな発信ないですよ。

伊藤 李さん以外に取材は?

田所 していますよ、安田浩一さんとか。

伊藤 安田浩一さんは加害者じゃないじゃないですか。

田所 周辺の方にいろいろ取材しないとわからないでしょ。他の加害者の方はどこにいるかわかんないんですから。もしご存知だったら教えてくださいよ。ご存知なんですか、伊藤さんは?

伊藤 知らないですよ。知らないっていうかそれあの……(取材班注:伊藤は少なくとも加害者「エル金」とは連絡を取っていたのであるからこの回答も虚偽である)。

◆「そうですね、これ間違ってるので消します」

田所 私探してるけれども取材する連絡先がつかないのでね、取材できればぜひ取材したいと思ってますけれども、連絡先を探しても出てきませんから。
  
  

 

 

  
伊藤 あ、あった。僕が一つツイートしてるケースで、李信恵さんからC.R.A.C.関西のイトウからって、4月30日のツイートですね、今年の。李さんが「鹿砦社のライター、田所さんのことですね、C.R.A.C.関西のイトウの連絡先を教えろと言ったら東京から非通知だったので連絡先はわからない」て。

田所 だからそれが嘘なんですよ。

伊藤 そういうふうに李信恵さんが書いてるツイートがあるんですね。

田所 私「東京」からなんて一言も言ってませんよ。どうして非通知でかかってきたのにどこからかかってきたかわかるんですか。「かけてきた人間がC.R.A.C.関西のイトウと名乗ったんですが、その人がどこからかけてきたかはわかりません」と申し上げたんです。それ以外に私申し上げ方ありますか?

伊藤 それでいいんじゃないですか。

田所 そのことをもって、あなた問題にしてるわけでしょ。

伊藤 僕が言ってるのは、C.R.A.C.関西のイトウって、もしかして私? ていう反応を僕が書いてるだけですよ。これに関して。

田所 それが最初ですね。

伊藤 これは別におかしくないですね。C.R.A.C.関西のイトウから電話かかってきたって言ってるんだから。

田所 それが最初ですね。4月。

伊藤 あと、田所さんのことを書いた記事で発言してそうなのは……。7月……。1個ありますね、野間さんとのやり取りで、7月11日野間さんが「Mが私を訴えている裁判の原告側代理人も浅野健一さんの支持者らしい」浅野さんって「週刊金曜日」に書いてる方ですよね。そのやり取りがあって、「C.R.A.C.関西のイトウを名乗って、あちこちに電話かけていた不届き者」これは僕の事実誤認ですね。

田所 C.R.A.C.関西のイトウを私が名乗る必要がどこにあるんですか?

伊藤 これは事実誤認です。これは間違ってる。

田所 それいつですか?

伊藤 7月11日、だいぶ前です。

田所 事実誤認ですね、全くの。

伊藤 そうですね、これ間違ってるので消します。ツイッターのアカウントはお持ちじゃないんですか。

田所 私はツイッターはやりませんので持ってないです。

伊藤 じゃあ検索だけですか。

◆「むしろ相手の失言などの揚げ足をとる方早いかと」

田所 人が書かれたのを見ることはありますけど、自分のアカウントは持っていません。ちなみにこれもしご存知であればで結構なんですが、「男組」というのはまだ今でも存在してるんでしょうか?

伊藤 よくわかんないんです。「男組」はいるんじゃないですか。この前また再結成しましたと言っていたので、いると思いますよ。男組アカウントもありますし。

田所 男組はまだ活動なさってるんですね?

伊藤 沖縄行ってると思いますよ(取材班注:伊藤は「よくわかんないです」と言いながら「沖縄にいってる」ことを知っている)。

田所 C.R.A.C.も関西だけじゃなくて同じようにずっと活動なさってるんですね。中央のC.R.A.C.も活動なさってますよね。最近はさっきもおっしゃように在特会側がおとなしくなったから、あんまり街頭活動は関西ではそんなになさってないと。

伊藤 法律できたんで、その法律で引っ掛けるのが一番早いということで、過激なカウンターというよりはむしろ相手の失言などの揚げ足をとる方早いかと。

田所 戦術が変わったわけですね、法律ができたから。なるほど。

伊藤 安田浩一さんとはどれくらいの取材をしたんですか?

田所 30分位ですかね、電話でお話しさせていただいたのは。今回伊藤さんにお送りさせていただいたのと同じような質問状を送らせていただきまして、それについてのご回答は頂いてます。
 

 

 

 
伊藤 関西であとカウンターを取材なさってると言ったら、李信恵さんぐらいですか。西岡研介さんとかとも。

田所 西岡研介さんには質問状を送らせていただきました。

伊藤 お返事は頂きましたか?

田所 頂きました。

伊藤 その返事というのは、鹿砦社のホームページに公開されるんでしょうか?

◆「田所さんの論評というものも当然的外れなものになりますね」

田所 伊藤さんは公人ではありません。今大学院生でいらっしゃるんですよね。ですから今やり取りさせていただいたことは、活字にすることは致しません。公人やみなし公人、ジャーナリスト、研究者とか政治家とかそういう公人の方の見解は文字にさせて頂こうと思ってますけど。伊藤さんはあくまでも私のことをツイッターで言及されていらっしゃったのでね。ですからどうお考えなのかなということをお尋ねしたくて、質問状を送らせていただいたということです。(取材班注:取材文中では「伊藤は大学院生だから活字にしない」と田所は述べている。取材班も最初はそのつもりであった。しかし「説明テンプレ」や「声掛けリスト」を作成するなど組織的隠ぺいと、「M君リンチ事件」の正当化を図ろうと動き回った伊藤は、重大な責めを負うべき人間であるし、「#安寧通信」には実名で寄稿しているのでこの際やり取りの主要な部分すべてを公開する。伊藤健一郎博士! なにか文句があればいつでも鹿砦社へ連絡を寄こされよ。)

伊藤 さっき消しました。

田所 もうすでに消されました?

伊藤 はい。

田所 じゃあもう見られませんね。わかりました。ありがとうございました。では最後に確認ですけど、私が「嘘つきだ」ということを発信されたということについては、今はもう消していただいたこと、そのご認識も改めていただけたと。

伊藤 もちろんそれはもうあれは嘘つきではなかった。

田所 それから最初おっしゃった、原稿を書くにあたっては伊藤さんが過去『NO NUKES voice』に寄稿されたということを私が調べていなかったのは「私の取材不足だ」ということについても、それはそういうことではないとご認識いただけたと。

伊藤 それに関しては、私は仕方がないであろうと。田所さんは現時点での反差別運動に対する取材が不足しているのではという認識は変わりない。

田所 ご意見ですね。ただし私は敵対してるというふうにお考えですか?

伊藤 それは思いませんけど、あまりにも知らなさ過ぎるので、田所さんの論評というものも当然的外れなものになりますね。そうすれば書かれてる方としては、こいつはどういう意図でこういうことを書くのかというふうに類推するのはやむを得ないというふうに思います。

田所 おっしゃることのご意見は、伊藤さんがそういうふうにお感じになってるということを私も受け止めました。ありがとうございました。それでは大変長い時間かかって恐縮だったんですが、こちらが確認させていただきたいこと、それから伊藤さんもこちらからお尋ねしたことによって認識を改めていただいたこともあると思いますんで。

伊藤 特に改まってない。

田所 え? じゃあ私が嘘つきだとまだ思ってらっしゃるんですか?

伊藤 今、改めます。

田所 あなたのところに私が一時間も電話しているのは、あなたが私を「嘘つき」だということをツイッターで発信してるからですよ。

伊藤 それはもう認識を改めました。

田所 あなた改まってないと言うじゃないですか。

伊藤 改まってないというのは、田所さんがカウンターのことであったり反差別の現時点のことをあまりご存知ではないという認識は変わらないと。

田所 そのことを聞いてるんじゃない! あなたは私が「嘘つき」だという認識は改めましたねと聞いてるんですよ。

伊藤 それは改めました。同時に無知であるなというのは認識を新たにしました。

 

 

◆「言ってもないことを言ったと言われるのもすごい嫌ですよ」

田所 無知だとね。無知と今度はおっしゃるわけですね?

伊藤 先程から言ってることです。

田所 十分に知らないのではなくて、無知だということですね?

伊藤 十分に知らないということで、無知というふうに。

田所 十分に知らない。少し知っている。全く知らない。の中の、あなたは私を無知とおっしゃたわけですね。

伊藤 十分に知らないという意味で。

田所 いやいやあなた無知と言ったでしょ、私を。私は現在の反差別運動に対して無知だと明言されましたね。無知というのは何も知らないという意味ですね?

伊藤 それは私の言葉の誤りでした。

田所 どう改められるんですか?

伊藤 あまり知らない。あまり知らないままに書いているということです。

田所 伊藤さんの認識の中では、私は現在の反差別運動についてあまり知らないままに書いているという認識だということですね。

伊藤 はい。

田所 でも本音では無知だと思ってるから、そういう言葉が口に出るんじゃないですか?

伊藤 別にそれはどうでもいいんじゃないですか?

田所 どうでもよくないですよ。あなた無知って呼ばれて気分悪くなりませんか?

伊藤 私も気分悪くなってる。

田所 「嘘つき」と言われたら気分悪くなりませんか?

伊藤 なりますよ、そりゃ。

田所 あなた、私に対して2回も3回もやってるわけじゃないですか。

伊藤 言ってもないことを言ったと言われるのもすごい嫌ですよ。

田所 「嘘つき」とあなたずっと残してたじゃないですか。今日まで。

伊藤 それは本当に申し訳なかったです。

田所 その上にあなたさっき私のこと無知だって言った。 おい! まだ残ってるじゃないか! 「あ、間違えた。この電話番号はC.R.A.C.関西のイトウから聞いたとか言いながらリンダさんに電話してきた嘘つきですわ」って、消してないじゃないか、お前これ! おい。消したって言ったじゃないですか、あなた、私にさっき。

伊藤 7月11日のやつですよね。

田所 消したものがなぜ見られるんだ!

伊藤 7月11日の何時のやつですか?

田所 時間まで出るかい、そんなもん。いちいち私がそんなことなんで申告せなあかんの。君は消したって言うたやろ、私に対して。

伊藤 「この電話番号はC.R.A.C.関西のイトウから聞いたとか言いながら……」これあれや、2通あったみたいです。

田所 「これ、あれや」で済みませんよ、あなた。消したというふうにちゃんと申告したでしょう。

伊藤 申し訳ないです。

田所 私はあなたを信頼して、無いんだろうなと思って見たら残ってるじゃないですか、これ。

伊藤 申し訳ないです。

田所 あなた最初から私を「嘘つき」呼ばわりしておいて、消したといった書き込みを残しておいて、笑って、野間が笑って、挙句の果てに私は無知ですか。

伊藤 それはまた別の話なんで。

田所 別の話じゃない! 君は言ったこと誠実に履行してないじゃないか!

伊藤 申し訳なかった、このことに関しては。田所さんの名前は……

 

 

  
田所 おまけに最後にオマエ無知と言っただろう、俺のことを!

伊藤 ツイートに引っかからなかった。申し訳ない。もう少ししっかり見てみますね。

田所 注意してくださいよ、こういう表現を。あなた大学院生だからね、先程申し上げた通り記事にしないけれども。人を誹謗中傷、罵倒するのは、それなりの覚悟がなかったらダメですよ、あなた。

伊藤 情報に対してはすごく誠実にならないといけないと。

田所 迂闊すぎますよ、あなた。

伊藤 そうあろうと思っています。アドバイスありがとうございます。

田所 アドバイスじゃない、被害者からの申告ですよ。あなたによって「嘘つき」だと書かれたのが、4月に一番初めにあるわけだよね。7月だって一月以上ほったらかしにされてるわけでしょ、あなたのツイッターの中では。もうちょっと注意深くなるべきですよ、学徒としては。

伊藤 ありがとうございます。

田所 最後に私に対しての「嘘つき」だということを書き込んだということ明確に言葉でいいですから謝罪してください。

伊藤 嘘つきと書き込んで申し訳ありませんでした。

田所 それから、書き込みを消すと言いながら消していなかった事実についても再度謝罪してください。

伊藤 これは私は私が意図的に消し忘れたのではないですけれど。

田所 ミスにしたって残ってたわけでしょう。結果責任じゃないですか。

伊藤 ミスを犯してしまって申し訳ありませんでした。

田所 もう一回探しといて下さい、あなた、スクリーニングして。他にないかどうか。もう一度見直ししておいて下さいね。よろしいですか。

伊藤 はい。田所さんもよくカウンターのこと調べてから書いてくださいね。

田所 それは全然別のこと。私はあなたからさっき頂いたアドバイスは私についてのアドバイスだと受け取りましたと申し上げましたよね。私がこれからの課題ですから、受け取りましたと申し上げました。私はあなたに具体的にこれを削除してくださいとお願いしたことを、あなたは履行しなかった。

伊藤 履行しなかったからというか、ちゃんと、ね、はい。

田所 結果履行しなかったろう、オマエは!

伊藤 怒鳴らないで下さい。

田所 怒鳴るわ! こういうふうに怒鳴られながら、殴られながら、顔蹴飛ばされながら、病院送りになったわけですよ、被害者は。怖いでしょ、怒鳴られたら。嫌でしょ。

伊藤 嫌ですね。嫌だと思います。

田所 そういう目にあったんですよ、M君は。あなた電話越しだから私が何もすることないけれども、60発顔殴られたらどんな気持ちになりますか、あなた。あなた顔を蹴飛ばされたことありますか。

伊藤 無いですね。

田所 それをあなた何とも思わないんでしょ。

伊藤 何とも思いようもないですね。

田所 何とも思いようもないんでしょ。それが君の人間性だ。

伊藤 そりゃ嫌でしょうね。

田所 ありがとうございました。今後もしそのような書き込みがあった場合は、今回は口頭でお願いしましたけど、今後は口頭では済みませんからね。伊藤さんがツイッターにいろんなことを書くのは自由ですけれども、私について事実に反することを書かれた場合は一度は電話でご連絡差し上げましたけれど、二度目は口頭注意では済みませんよ。

伊藤 わかりました。

田所 では、失礼いたします。

 

 

 
と電話を切ったが、後日さらに田所に対する虚偽事実の書き込みが残っていたことが協力者から伝えられる。田所は再び伊藤に抗議し当該書き込みを削除させたが、伊藤の軽率さは修正されないようである。

(鹿砦社特別取材班)

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ツイッターアカウントITOKENこと伊藤健一郎。この春、立命館大学国際関係研究科を修了し、見事博士の学位を習得した人物である。取材班は2016年8月23日伊藤への電話取材を行った。その際のやり取りは詳細には明かさなかったが、のちに、伊藤は元鹿砦社社員の藤井正美へ「M君リンチ事件」を歪曲しながら、隠蔽を組織立って指示するメールを2015年3月31日に送信していたことが判明する(『反差別と暴力の正体』参照)。

写真は伊藤健一郎本人のフェイスブックより

電話取材を行った時点では伊藤のこのような関与は明らかではなく、以下ご紹介するようなやり取りが、1時間以上にわたり行われたが、この中でも伊藤は明白な虚偽をいくつも述べている。それだけでなく、お読みいただければお分かりだろうが、伊藤は極めて軽率な人間であり、記憶力にも疑問が生じる。

かつては「末は博士か大臣か」と言われたほどに博士号の取得は困難を極めた。いくぶんそのハードルが下がったとはいえ、博士の学位を手に入れるのは容易なことではない。ここにご紹介するように、伊藤は直前に自分が述べたこととまったく矛盾する内容で「駄々をこねる」。このような人間が書いた博士学位取得論文には実に興味があるが、先日の李信恵のツイッターでの虚偽に続き、いかに「しばき隊」の連中は平然と嘘を吐けるのか。ここで読者に新たにその証拠を提示しておく。

なお、取材文中では「伊藤は大学院生だから活字にしない」と田所は述べている。取材班も最初はそのつもりであった。しかし「説明テンプレ」や「声掛けリスト」を作成するなど組織的隠ぺいと、「M君リンチ事件」の正当化を図ろうと動き回った伊藤は、重大な責めを負うべき人間であるし、「#安寧通信」には実名で寄稿しているのでこの際やり取りの主要な部分すべてを公開する。伊藤健一郎博士! なにか文句があればいつでも鹿砦社へ連絡を寄こされよ。

◆「僕の名前出てきてましたよね」

田所 お邪魔いたします。伊藤健一郎様でいらっしゃいますか。私、鹿砦社の田所と申しますがお世話になります。

伊藤 こんにちは。

田所 お邪魔いたします。先だって私どもの代表取締役のほうから伊藤様へ「ご質問」と言う文書を送らせていただいたのですが、お手元に届いておりますでしょうか?

伊藤 いつ頃送られたものですか?

田所 8月5日です。

伊藤 ちょっと見てないですね。

田所 郵便で送らさせて頂いたのですが。

伊藤 ちょっと見てないですね。

田所 届いていないということですか。

伊藤 どう言った内容のものを送っていただいたんですか?

田所 私ども『ヘイトと暴力の連鎖』と言う本を出版いたしまして、それについて伊藤様がツイッターで発言をなさっていらっしゃいましたので、そのことについてお尋ねのご質問を送らせて頂きました。

 

 

  
伊藤 そうですか。その記事の方って言うか、一部は人に見せてもらったんですけど。

田所 記事とおっしゃいますと、その書籍のことでしょうか?

伊藤 ええ、そうです。あの本は田所さんが執筆されたんですか? 

田所 部分的に私が書いてるところもございますし、取材班ですので複数の人間が取材しております。

伊藤 僕の名前出てきてましたよね。

田所 私が出したのではなくて、李信恵さんが出されてるわけです。

伊藤 いえ、そうじゃなくて。取材班に「関西のイトウ」という者が電話してきたっていうふうに。

田所 はい、あれは私にです。

伊藤 田所さんは僕から電話受けたんですか?

田所 違います。李さんがツイッターに書かれたことは少し事実と違います。私が李さんに申し上げたのは、「非通知で電話がかかって来てその中で男性の方がC.R.A.C.関西のイトウという名前で話をされた」です。ですから李さんにお話を差し上げた時も最初に申し上げたんですが、果たしてそう人が本当に存在するのか、あるいはそういう団体があるのかもわからなかったわけです。ましてや伊藤健一郎さんを私は全然存じ上げてなかった。私に電話がかかってきたことは事実です。その内容が衝撃的でしたので、本当かどうかということを確認する必要があろうということで、李さんには取材のお電話をさせて頂いたのです。その時に李さんが、「C.R.A.C.関西のイトウと言うのはイトケンのことやろう」というふうにおっしゃったけども、イトケンと言われても私にはわからない。

伊藤 鹿砦社の方で執筆されてるんですよね。

田所 私はフリーです。フリーのライターです。

◆「僕に対する名誉毀損でしょ、それ」

伊藤 僕は鹿砦社に「C.R.A.C.WESTのイトケン」という名義で記事書いてるんですけど。

田所 鹿砦社のどこに書かれてるんですか?

伊藤 紙の爆弾です。じゃなくて、間違いました。ノーニュークスマガジン(取材班注:『NO NUKES voice』のことだと思わる)ていうのに一度記事書いてるんですけど。鹿砦社の方からなかったですか? イトケンっていうのはこの記事を書いてる人だよって。

田所 伊藤さんがお書きになってるわけですか? そこに。

伊藤 ええ、そうです。

田所 伊藤さんが『NO NUKES voice』に記事をお書きになってるんですか?

伊藤 そうです。

田所 伊藤さん、何号でしょう、『NO NUKES voice』。

伊藤 えっと、だいぶ前なんで、2004年とかなんで(取材班注:2014年の間違いと思われる。2004年に『NO NUKES voice』は存在しない)。

田所 2004年頃、その時に執筆いただいてるわけですね。

伊藤 そうです。そこでもカウンターの運動と差別運動に対する妨害をどうやってカウンターが、妨害に関する記事を書いているので、僕としては不可解だった。

田所 それでしたらそう思われるの無理ないですね。先程申し上げましたように私フリーで仕事しておりまして、ここ2、3号は『NO NUKES voice』にかなり関わっていますが、それ以前は数回寄稿した程度の人間です。

伊藤 それは田所さんの取材不足でしょ。「C.R.A.C.WESTのイトウを名乗る者」っていうふうに電話かかってきたんだったら、私の方に確認するべきでしょ、書く前に。

田所 どうやってですか?

伊藤 C.R.A.C.関西のイトウと名乗る者からって、僕に対する名誉毀損でしょ、それ。

田所 何が名誉毀損なんですか?

 

 

伊藤 読んだ人そう思いません? 読んだ人はC.R.A.C.関西の伊藤が垂れ込んだのかなって思うじゃないですか。

田所 非通知でかかってきたということを私は李さんに伝えましたよ。

伊藤 そういうことを僕に確認もせずに書くっていうことはどうなんですか?

田所 全ての媒体を全て読めということを私に要求されても世の中にある全てに目を通すことできませんよ。

伊藤 それは単純に田所さんの取材不足っていうことで、それ誰にでもあることですからいいですし、特に責めようとは思いません(取材班注:と言いながらのちに何度も同じ内容で伊藤は田所に絡んでいる)。

田所 鹿砦社の出してる媒体もたくさんありますし、私、鹿砦社だけで仕事してるわけではないので、今ご指摘いただいてそのこと初めて知りました。

伊藤 C.R.A.C.関西のイトウを名乗る者ですよね。

田所 連絡先を教えて下さらないわけですから、非通知で。私に言われたことの内容には事実誤認もあったわけです。正しいこともありました。どうして知ったのかということは記事上で明かしておかなければ、逆にそれはなぜかとなりますね。李さんに取材をさせて頂く際に「どこからこの話は出てきたのか」ということでご説明は申し上げた次第です。それで「お尋ね」は届いていないわけですね、伊藤さんのもとには。

伊藤 いえ、届いていないです。

◆「そもそもこの事件に全く関心がないです。関心だけでなく全く関係もないですね」

田所 では、そんなに大量ではないのでそこでお尋ねしたかったことを今教えていただきたいと思うのですが。

伊藤 大まかな内容を聞いていただければ。

田所 大雑把にお尋ねいたします。暴力事件があったということはご存知だと思うのですが、伊藤さんはいつ頃この事件についてお知りになりましたか?

伊藤 覚えてないです。そもそもこの事件に全く関心がないです。関心だけでなく全く関係もないですね(取材班注:完全な虚偽である、前述の通り2015年3月31日に伊藤は事件隠蔽と歪曲を指示するメールを鹿砦社元社員藤井正美へ送っている)。

田所 ご関係のないのはそうだと思うんですけど。

伊藤 C.R.A.C.関西のイトウって名乗ってる奴が何が言いたかったか知りませんけど。

田所 ご存知ではあるけどご関心はないわけですね、わかりました。

伊藤 個人の喧嘩でしょ。

田所 我々はそういうふうには捉えておりません。加害者の人たちも喧嘩だとは述べられておりませんね。加害三名の方はいずれも加害行為を認めていらっしゃいますので、喧嘩ではないですね。

伊藤 加害者の人はそう言って謝ったんですか?

田所 加害者の人は暴力を認めてるわけです。

伊藤 僕は加害者じゃないわ。

田所 伊藤さんが加害者だと私は一言も申し上げてない。「喧嘩でしょ」とおっしゃったので、喧嘩ではないと我々は理解してると申し上げてるだけです。

伊藤 わかりました。

◆「どうも思わない」

田所 このことについてご関心がないということですね。引き続き。李信恵さんはご存知ではございませんか?

伊藤 知ってますよ。

田所 李信恵さんは今在特会の元会長を相手取って裁判をなさってらっしゃいまして、もうすぐ判決だと聞いています。李信恵さんに刑事罰は下されなかったんですね。残りの二人の方が刑事罰を受けるということになりました。李信恵さんは「コリアNGOセンター」で事件の聞き取りを受けた時に、ご自身の口から「私が殴った」ということを明言されているんですね。このことについてはどうお考えになりますか?

 

 

伊藤 どうも思わない(取材班注:この「どうも思わない」は安田浩一、西岡研介らからも聞かれた言葉で、不都合な質問には「どうも思わない」と答えるように意思統一がなされているかのようだ。)。

田所 人に暴力を振るうことについて、伊藤さんは別にどうとも思われない、そういう理解でよろしいですか?

伊藤 それがどう状況で振るわれた暴力であるか、暴力と言うに至るものであるか、僕は知らないのでどうも言えないと思います。

田所 詳細が分からないので評価ができないと。

伊藤 暴力を振るうことに関して良い訳がないじゃないですか。暴力を肯定するのかという話かもしれませんけど、するわけない(取材班注:伊藤は「説明テンプレ」の中で必ずしも暴力を否定していない。「M君」には暴力が振るわれても仕方ない、と言わんばかりの主張を展開している)。

田所 暴力は肯定しないけれども暴力がどういう状況で振るわれたかわからないのでその答えについては……?

伊藤 どのような状況で振るわれた暴力かわからないし、暴力に至るかどうかわからないので何とも言えないと申し上げたんです。

田所 ですから判断保留ということですね。

伊藤 そうです。なので、もしどっかに書くんだとしたらそういうふうに書いてください。

◆「それは刑事罰が下ったんじゃなかったでしたっけ」

田所 わかりました。それではもう一名の方は一時間以上60発以上顔面を殴ったり、顔面を蹴飛ばしたりという暴行を加えてるんですね。被害者の方は一切抵抗していない中でです。この暴力についての伊藤さんの評価はいかがですか?

伊藤 それは刑事罰が下ったんじゃなかったでしたっけ。もうそれで終わりじゃないですか。

田所 このような暴力を伊藤さんはやはり是認しないと。

伊藤 ダメに決まってるでしょ。だから刑事罰を与えられたんじゃないですか。

田所 そういったことは許されないことだとお考えになると。

伊藤 もちろんです。

田所 許されないということですね。この時に刑事罰が下った方、2名いらっしゃるんですけれども、1時間以上にわたる暴力行為が行われている時にそれを横で制止をせずに見ていらっしゃった方が居るんですね。この行為についてはいかがお考えですか?

伊藤 どうも思わないですね。

田所 伊藤さんが仮にそこにいらっしゃっても別にお止めにはならない?

伊藤 私はそこに居たわけじゃないんで、どうも言えない。

田所 どうも思わないんじゃなくて、どうも言えない。

伊藤 何とも言えないですね。

田所 不自然とも思わない?

伊藤 何とも思わない。なんのこっちゃわからない。

◆「田所さんについて僕が書いたことってありましたっけ?」

田所 何のことかよくわからない。わかりました。最後にお尋ねなんですが、伊藤さんがツイッターで私に関する書き込みを行われたことがございますよね。

伊藤 同志社の大学事務で働いていて……。

田所 というようなことを含めてお書きになったことありますよね。

伊藤 田所さんについて僕が書いたことってありましたっけ?

田所 ありますね。

伊藤 田所さんの名前出してました?

田所 ええ。明示されてますね。

伊藤 あれ以降ですね、田所さん取材とかなさってて、李信恵さんの取材とか。

田所 その後ですね。「私が嘘つきである」という様なニュアンスの書き込みもなさっています。

 

 

 
伊藤 はい。一つリツイートですね。「東京から非通知の電話がありましたということを鹿砦社の田所さんが言ってるんです」それだけじゃないですか? 田所さん出したの。

田所 私の人物についての評価はそこに書かれていませんでしょうか?

伊藤 ないですね。ないと思いますけど。僕が一つ書いてるのは全く別の件で、SEALDs叩き、「SEALDsごときに選挙運動を頼れば」、みたいなことをと書いてある記事に関して、「その文章がヘタクソ」みたいなことを書いてるんですね。以上ですね。今過去のツイートを見てみましたが。

田所 SEALDs叩きは私の文章に対する評価ですのでいろいろな方がいろいろお感じになるんだろうと思いますので、そのことは別に構わないんですけれども。「嘘をついた」というような表現はありませんか?

伊藤 ないですね。……ちょっとお待ちくださいね。

田所 正確にご覧いただけますでしょうか。

伊藤 田所さん、下のお名前は?

田所 田所敏夫です。

伊藤 本名が○○○○さん。

田所 不思議ですね、それをなぜご存知なんですか?

伊藤 そのようにツイッターに書かれてるからです。

田所 誰がですか?

伊藤 野間さんが書いてます。

田所 私、野間氏にそのこと伝えた記憶ないんですけれど。

伊藤 わからない。どのような経緯があったかは。

田所 これは伊藤さんには関係ないことなので、別に伊藤さんにお伺いしようとは思わないのですが。

伊藤 あまりバレるとまずいことなんですか?

田所 いいえ、まずくないです。そうではなく、野間さんが書かれたことと今私が伊藤さんにお尋ねしてるのは別のことです。ただし、彼が私の本名を晒した元になるものは著作権違反のところから取ってきてるんですね。私の個人のプライバシーの問題もありますが、他者が著作権を持っているところから持ってきて書いているわけですね。著作権を持っている方に確認をしましたが「使用許諾は出していない」と。でもそれは伊藤さんには関係ないことで、そこからお知りになったということはわかりました。そのことで私について言及していただいたところで、私の人物についての評価をお書きになってませんか?

伊藤 僕、自分では確認できなかったんですけど、そうおっしゃるんであればどっかで書いたんでしょう。

田所 あったわけです。嘘つきというような形のことが書かれているのですが、そうであれば伊藤さんこそ私の方に事実確認を何故なさらなかったんでしょうか。

伊藤 だって私あなたを知らない。電話番号も連絡先も知らない。

田所 私は「デジタル鹿砦社通信」に寄稿する際メールアドレスを明示しています。あなたは先程ご自身が『NO NUKES voice』に寄稿したことを私が知らなかったことを「取材不足」だとおっしゃいましたが、そういうことをおっしゃるのであれば私はコラムにメールアドレスを明示してるわけですから、それをお調べにならずに一方的にお書きになるのはバランスを欠くのではないですか。

伊藤 僕、嘘をつかれてる方なんで。

田所 嘘をつかれている?

伊藤 それを書く方が言ったらダメなんじゃないですか。

田所 私の何が嘘なんですか?

伊藤 東京から非通知の電話があったというのは、そのC.R.A.C.関西のイトウなんですよね。

田所 私は「東京から」とは言ってません。どこからかかってきてるかわからない、と李さんには言いました。非通知ですから。

伊藤 イトウを名乗る者から電話があったと。

 

 

田所 それはありましたよ。あったから知ってるわけですからこういうことを。

伊藤 その記述っていうのは僕を指してる。

田所 なにをいっているんですか。イトウさんてのは山ほどいるじゃないですか。「伊藤さん」、「佐藤さん」なんてその辺に転がってるじゃないですか。あなたのお名前が特段のわかりにくい、あるいは特徴的なお名前だったら別ですよ。伊藤って言われてあなた個人、伊藤健一郎さんを私が特定することがそんなに容易なことですか?

伊藤 「C.R.A.C.関西」って特定されてますよね?

田所 わたしが「C.R.A.C.関西」といったわけではないです。

伊藤 あなたが知らないだけでしょ。

田所 だから私が知らないことを責められてどうするんですか?

伊藤 「C.R.A.C.関西のイトウ」っていうのを読む人が読んだら、「C.R.A.C.関西」っていう団体はないけど。

田所 「C.R.A.C.関西」という団体がないんだったら別に誤解も何もないでしょう。あなた私が嘘つきだということを主張してるわけですよ。撤回しませんね。撤回するんだったら今すぐに撤回しなさい。

伊藤 嘘つきって言ったのは申し訳なかったですね。

田所 じゃあ、嘘つきは撤回しますね?

伊藤 嘘つきじゃないけど……。

田所 いやいや明解に答えてください。嘘つきだというのは撤回なさいますね?

伊藤 撤回します。

田所 撤回なさいますね?

伊藤 はい。

田所 わかりました。では嘘つきと言われたことは忘れます。

伊藤 はい。ただ不誠実な人だなと思いましたよ。

田所 不誠実。どのような点で

伊藤 いい加減なことを書くなと思いました。ジャーナリストとして。

田所 いい加減なこと。具体的にどのようなことでしょうか?

伊藤 さっき言ったことです。C.R.A.C.関西のイトウと呼ばれる人物からっていうところです。

田所 事実だから事実を書いたわけですよ。

伊藤 そういうふうに書くと、それは読む人が読めば、ああ、C.R.A.C.WESTのイトケンだなというふうに判断します、というふうに僕は考えます。これは別に他の方に聞いてもらえばいいんですけど

田所 お言葉ですが、C.R.A.C.WESTを知ってる人間は伊藤さんが思ってるほど世の中たくさんいませんよ。

伊藤 だからさっきも言った通り、読む人が読めばって言ったじゃないですか。

田所 読む人が読めばっていう狭い世界でしかわかりませんよ。

伊藤 ええ。それ何人ぐらい狭い世界って判断されるわけですか?

田所 数値化してそれが多いか少ないかっていう無駄な議論をしても意味はないです。事実を書いたまでですから。

伊藤 でもこれを読んだ人の中にはきっといますよ。僕が裏切ったと考える人が。

田所 それはその方の勝手でしょう。

伊藤 いや、あなたがそういうことをやったんでしょ。

田所 私はあなたに確認すべきだったということがあなたの主張なわけですか?

伊藤 というかむしろそれって要するに一つの人権侵害ですね。僕が言ってもないことを言ったようにされてるんだから。

田所 どこにもあなただという特定はしてないでしょ。伊藤健一郎とどこにも書いてないじゃないですか。

 

 

  
伊藤 うんうん、苦しい言い訳ですね。

田所 どこが苦しいんですか? 伊藤健一郎さんのお名前を知ったのはそのずっと後ですよ。

伊藤 別にあなたが僕の名前を知ってないのは当たり前で、そのことを言おうとは思いませんよ(取材班注:このあたりから伊藤の論理は支離滅裂である)。

田所 ん? 逆のことおっしゃった。あなたは「取材不足だ」とおっしゃったじゃないですか、私に対して。『NO NUKES voice』にあなたが寄稿されたことがあるんだからそれを調べればわかる、とあなたさっきおっしゃいませんでしたか?

伊藤 言いましたよ。

田所 私、知りませんでした、そのこと。

伊藤 鹿砦社から出版されているものですからね。

田所 私、鹿砦社の社員じゃないですから。

伊藤 私はあなたのことをフリージャーナリストだとは知らなかったし。

田所 ご存じないでしょ。私もあなたを存じ上げない、あなたも私をご存じない。同じじゃないですか。

伊藤 興奮しないでください。

田所 興奮してないです。私は確認をしてるだけです。あなた私のことご存じなかったですね、今おっしゃったように。

伊藤 あなたが鹿砦社で執筆しているということは知っていました。

田所 でも私は伊藤さんが『NO NUKES voice』に過去書かれたということは知りませんでした。

伊藤 そのことは何も言ってないじゃないですか。

田所 いや、おっしゃいました、「取材不足、それを調べた上で私に確認をしてから書くべきだ」と。

伊藤 それは今も思ってますよ。

田所 あなた、言ってることが二転三転してますね。

伊藤 あなたが知らないことは仕方がないというふうに言ってます。知らなかったら調べればいいというだけのことを。

田所 知らなかったら仕方がないと今おっしゃったでしょ。知らなかったら仕方がないのに調べればいいって、それが矛盾してるじゃないですか。

伊藤 鹿砦社に居るんだから、鹿砦社の人に。

田所 違います。何度も言いますが私、鹿砦社の社員じゃありません。鹿砦社が年に何冊出してるか知りませんけど、フリーのライターがいちいち全部読みませんよ。

伊藤 鹿砦社の編集者の人って知らないんですか?

田所 編集をしてる人は知ってますもちろん。だけど編集してる人にいちいち一から十まで全部聞きませんよ、そんなもの。

伊藤 一から十まで聞かなくていいです。カウンターみたいなことをやってるC.R.A.C.関西のイトウみたいな名前のやつ人知ってる? みたいなこと言ったらわかるんじゃないですか?

田所 そういう人はいたようですけれども、就業時間中にツイッターばかりやっていた、あるいは人の悪口を書くというというようなことで解雇になったようなことを聞きました。過去そういう方がいらっしゃったということは聞いてます、噂として。ただそれ以上の社内の事情を私は社員ではないので知りません。ですから伊藤さんもおわかりになると思いますけれど、いわゆる非正規雇用の労働者と私は一緒です。正社員の方と同じようにいろいろなことを知ってるとか、裁量があるとかいうことは全く違うわけですよね。請負みたいなものですから、フリーライターは。ですから正社員と同じように全てのことを把握してるべきだという前提は、それはフリーライターに対して要求されても現実的に無理です。

伊藤 僕はその辺ちょっとわかってなかったですね。
  
  

 

 

田所 ですから先程ご指摘いただいたように、私が編集長であれば、ご批判は当たりますが、最初おっしゃったように「ここに前書いてあるのにあなたが知らないのはあなたの取材不足だ」と言われても。私のような立場の人間にそれを求められても、それは無茶です。(後編につづく)

(鹿砦社特別取材班)

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過日鹿砦社特別取材班の編集会議のあと座談会が行われた。取材に当たって来たスタッフが顔を合わせ、これまでの取材と今後の展望などについて語り合った。

松岡 ご苦労様です。きょうはこれまでの取材成果や課題と今後の展望などについて気楽に話してください。

  正直、骨が折れています。新聞、テレビ関係者の間で「M君リンチ事件」は、もうみんな知っている状態になってるんですが、なぜかうちの後追いがないのが不思議ですね。

  今まで接触したメディアってどこがあったっけ?

  朝日新聞、産経新聞、共同通信、朝日放送……。あと週刊誌なんかからは結構こちらに問い合わせはありますね。

  朴順梨は早い段階で「共同通信の記者から聞いた」って藤井とのメールに書いてたよね。

  ええ、共同通信内では東京の社会部を含めて、ほとんど浸透しています。

  だけど記事にしたのは『週刊実話』だけやったね。

  それも発売当日にネットで謝罪・訂正が出され大騒ぎになった。あの訂正劇はなんだったんだろう?

  当日に西岡研介からクレームが入ったと『週刊実話』の編集部からはリークがありました。編集長判断の前に訂正を出したという説もあります。

  西岡ってそんな力があるんだ。

  みたいですね。でも先鞭をつけた『週刊実話』の記事は一定の評価に値するんじゃないですか。

  いや、あんな折れ方してほしくなかったね。おかげでその後、ネットでの空中戦凄かったじゃない。

  あの頃は夜も眠れんかった(笑)。僕ら参戦してないけど、しばき隊とアンチしばき隊のある意味での天王山やった。しばき隊は「嘘つきども」と勢いづいたけど、「世に倦む日々」高島章弁護士の応戦に結局軍配ですわ。

◆「M君リンチ事件」の現場音声と写真の衝撃、書籍出版の意義

  決定的だったのは高島弁護士が事件を録音した音声の書き起こしと、事件直後の腫れあがった「M君」の写真を発表したことですね。

リンチ事件直後のM君の顔

 

 

  あれは効いたな。あの写真出されたら、さすがに「リンチはなかった」とは言えない。そのあともしばき隊からは散発的に攻撃はあったようだけど、一気にトーンは下がったもんな。

松岡 このかんの展開を振り返ると、初期は主戦場がネット、とくにツイッターだったけれども『ヘイトと暴力の連鎖』を昨年7月14日に出してからはしばき隊がかなりおとなしくなった印象がありますね。

  やっぱり紙媒体でまとめたものが出る意味が大きいことを再確認しましたね。SNSで100回書かれてもやがて忘れられていくし、モノは残らない。その点書籍には書籍の強みがあると。

  それを実感したのは『反差別と暴力の正体』を出した後の反響ですわ。あの取材には(いつもそうやけど)力入ったし、こっちも驚くような事実が山ほど出てきたもんなー。

◆強烈だった沖縄地裁前の顔ぶれ

  龍谷大学に岸政彦の「直撃」に行った時は、ドキドキもんでしたよ。

  なに言ってるんだよ。大学教員なんか「直撃」の対象としては簡単なもんじゃないか。

  すいません……。

岸政彦=龍谷大学教授(当時)

  重要なのは事実を掘り下げることはもちろんだけど、当事者に直接当たるってことだね。

  それはそうなんやけど、『人権と暴力の深層』取材で沖縄地裁前は、すさまじかったですわ。しばき隊幹部勢ぞろいやから。野間なんか僕のすぐ横でビデオ回してた。安田浩一と香山リカのツーショット抑えた時は嬉しくて、松岡社長に電話したら「安田と香山と野間のスリーショットも撮れ!」って……。褒めてもらえると思ったらさらにエゲツない命令が来て冷や汗もんでしたわ。スリーショットはさすがに無理やったけど。

安田浩一と香山リカ

 

 

野間易通

  沖縄地裁前の顔ぶれは強烈でしたね。安田浩一、香山リカ、野間易通、伊藤大介……。あとしばき隊の裏幹部みたいなのも居たんですよね?

  それはまだオフレコやん! 今追ってるところです。

  あっ失礼しました。

◆有田芳生の「鹿砦社ヘイト」と増える編集部への激励

松岡 『人権と暴力の深層』では有田芳生参議院議員と中沢けいの突撃も掲載できました。経費は大幅に予算オーバーでしたが(笑)。

  東京の突撃部隊は今回も大活躍でしたね。

  それにしても有田のあの態度は酷いよね。

  「鹿砦社ヘイト」ですわ。

有田芳生参議院議員

  

 

  

 

 

  言うまでもないことなんだけど、もう一回確認しておきたいのは、われわれは「M君リンチ事件」を追ってるんだけど、決して差別を容認する立場ではないということ。「デジタル鹿砦社通信」の記事なんかは、けっこう右寄りの読者にも読まれてるみたいだけど、それはそれでいい。でもわれわれは原則的に「差別」や「暴力」に反対の立場だということはもう一回再確認しておきたい。

  右、左は関係ないんですよ。取材班の中だって、A君なんか保守じゃない? Bさんはどうかわからないけど、私は原則反自公だし、いろいろな意見の相違はある。でも「差別」と「暴力」を認めないことではしっかり一致できてるんじゃないかな。

  それがあらへんかったら「突撃」なんてでけへんわ。

  あと取材班の外で協力して下さる人が増えているのはありがたいですね。

  いま、ネット監視してくれている人どのくらいいるの?

  詳しくは言えませんが相当な数になりました。ターゲットの発信は全員を24時間監視していますから、何かあれば即座に情報が入手できるようになりました。無償でのボランティアの方には感謝ですね。

  ネットと言えば、最近李信恵がまた暴れてるな。鹿砦社やライターにさんざん噛みついている。まあそれはともかく、事実無根の書き込みはやめてほしいね。

  それは無理な注文だよ。しばき隊は「ないこと」を「あること」にして燃え盛り、気に入らない相手を潰そうとする。常套手段だね。だから李信恵だって記事内容自体には、一切具体的な反論ができていないじゃない。安倍が言った「印象操作」と同じだよな。でも「鹿砦社はクソ」っていくらなんでも下品すぎる。気に入らないのは分かるけど「反差別」の「旗頭」なんだから、もう少しましな表現はないものかとは思うね。

松岡 「鹿砦社はクソ」は酷すぎます。Cさん、「もう少しマシな表現」というレベルではないですよ。鹿砦社には、私以外に7人の正社員がおり、みんな真面目に一所懸命に働いてくれています。また多くの取引先や、ライター、デザイナーらが支えてくれています。いくら温厚な私でも(苦笑)、絶対に許せませんね。そりゃそうでしょう、曲りなりにも「反差別」とか「人権」とかを口にする人が、まともに一所懸命に働いている者らに「クソ」とか、私たちの人権を蔑ろにする汚い言葉を浴びせたり……呆れてものが言えません。私もそろそろ本気で怒らないといけないかもしれません。ところで、名前は出せませんがマスコミ関係者だけでなく、結構な大物からも最近は激励が増えています。私を含めて知らなかったから何とも思わなかったけれども、くだんの「M君リンチ事件」を知ったら常識的な人が驚き、怒るのは当然でしょう。

◆松岡代表による鈴木邦男さん義絶表明の波紋

  社長の怖いところは私たちにも内緒で「隠し玉」を持っているところだね。まだなんかあるんじゃないですか?

松岡 ありませんよ(苦笑)。どこに「隠し玉」があるんですか?

  これが怖いんだよね。鹿砦社。

  何言ってるんですかCさん。Cさんだって鹿砦社一派って散々ネットで書かれてるじゃないですか。

  え! そうなの? 俺あんまりネット見ないし、2ちゃんねるなんか見る方法も知らないから。でもそんなレッテル貼られたら『月刊HANADA』や『諸君』で仕事できなくなっちゃうぜ。

  そんな仕事してへんくせにCさん!

  やかましいわい!

  冗談はともかく、3冊を出したこと影響はさまざま出ているね。今焦点なのは鈴木邦男氏と松岡さんの今後の関係だな。松岡さん本当は、『人権と暴力の深層』の中で書くはずだったんだけど、逡巡して書けなかった。それで僕が背中を押す意味で「デジタル鹿砦社通信」に「鈴木邦男への引退勧告」を先に書いたのが内幕なんだ。

 

 

  自分は鈴木先生の本の出版も手掛けていたので正直複雑ではあります。

  厳しい選択だったと思うよ。横からちょろちょろ香山リカがちょっかい出したりしてきてるけど、30年の濃密な付き合いを真剣に思慮している人に、他人が口出すなと言いたい。

  週刊誌や新聞でごっつい扱いになることは今のところあらへんけど、松岡社長の鈴木邦男さんへの意思表明は、業界では相当な話題になってます。自分のところにも「どうなってんねん」と、問い合わせが結構あります。「松岡社長に直接取材しなはれ」言うてますけど。

 

  いずれにしてもわれわれに夏休みはないようだね。例のミッションみんな進んでるかな?

一同 ……。

  絶対に8月末までにあげること! でしょ社長?

松岡 そうだね。次はこれまでの3冊を超える「爆弾本」になるから、皆さんしっかり頼みます。

  夏休みなしか……。

(鹿砦社特別取材班)

◎[参考記事]私はなぜ「カウンター」-「しばき隊」による大学院生リンチ事件の真相究明に関わり、被害者M君を支援するのか[松岡利康=鹿砦社代表]
 

最新刊『人権と暴力の深層』カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い(紙の爆弾2017年6月号増刊)

AmazonでKindle版販売開始!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)

重版出来!『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

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