「不逮捕特権」を持つ国会議員は「体を張って」安保法案を阻止できる!

〈2015年7月15日国会前の市民デモ〉

7月15日、予告されていた通り衆議院の特別委員会で「戦争推進法案」が自公多数で可決された。国会の外では1日総計10万人以上の人々が抗議の声を挙げ続けたが、当たり前のように無視された。

昨日の強行採決の際の映像を見て私は違和感を感じた。浜田靖一議長が審議を打ち切り、議長席に野党議員が詰め寄る。ここまでは想像通りだ。だが、だれも委員長浜田の暴挙を「体を張って」止めようとした議員はいない。挙句の果て採決に移ると野党議員は用意していた「自民党感じ悪いよね」「安倍政権を許さない」「強行採決反対」という印刷されたメッセージを掲げ始めた。

元から政治や政治家を本当は全く信用していない私にとって、またもその思いを強くさせられる光景だった。野党議員は国会を取り巻く市民ではない。特別委員会の委員以外にも多くの議員が議事の傍聴に訪れ、議場後方には立ち見の議員であふれかえっていた。

◆国会議員はもっと「体を張って」法案を阻止せよ!

ここで審議されているのは一体どんな法案なのか、その重大さに対する本当の危機感が野党議員にはあるのか。「戦争推進法案」はこれまであまた審議された悪法のなかでも間違いなく最大級に憲法違反かつ将来の「戦死者」を創出することが確定的な、絶対に許してはならない法案なのではないのか。

市民は国会の外でしか活動出来ないけれども、国会議員には委員会の議場に入る権利がある。だったらなぜ「体を張って」採決を止めないのだ。議長席に詰め寄った議員は誰一人として委員長の議事進行を物理的に阻止しよとはしていなかった。辻元清美議員は合掌しながら「議長だめです」と言い続けていたけれども、そんなことが通じる相手だと本気で考えているのか。他の議員も議長机を叩くだけで、誰も議長席から浜田委員長を排除しようとはしない。

私は「暴力はいけない」という一般論をこの場合排除する。抗議する市民は国会の外では何も暴力行為に及んでいないのに少なくとも2名がこの日逮捕されているし、抗議行動を警戒した警察は鉄策を国会の周りに二重三重に張り巡らせていた。重ねて強調するが、審議されているのは「暴力の究極形」である「戦争」を召致する法案だ。いわば「無法暴力の合法化」を図ろうとの策動が行われているのだ。目の前で立ち上がろうとしている「戦争」を止めるためならば、議事進行を物理的阻止することなど何の罪もないに等しい。

いや「どんな場合でも暴力はいけない」、「法律に沿った範囲で抗議しないと」という意見があるが、この法案に限っては、その意見は完全に間違いだと私は断言する。

〈2015年7月15日国会前の市民デモ〉

◆「自民党感じ悪いね」などと恍けたフレーズをかざしている場合か!

本気で野党議員がこの審議を阻止しようとするなら議場封鎖や委員長を議長席から引きずりおろす位の行動にでなければおかしくはないか。

これ程重要な法案でなくとも、過去に国会内での「実力行使」による衝突はいくらでもあった。何日も議場入口で座り込みを続ける野党議員を警察が排除したこともあったし、強行採決を画策する議長を議長席から引きずりおろしたことも実際にある。近年国会内も「お行儀良く」しておくのが何か「美徳」であるかのよな誤解があるが、そうではない。与野党の体によるぶつかり合いは別に珍しいことではなかったし、その時の強力な「排除要員」として元プロレスラーの馳浩は自民党から頼まれて議員になり、実際彼は混乱の中で野党議員排除に活躍をしたことがある。

そしてこの特別委員会委員長の浜田の父親、浜田幸一は1979年自民党内の派閥抗争「40日抗争」で主流派閥が机や椅子でバリケードを作っていた時「いいか、断っとくけどなー。かわいい子供達の時代のために自民党があるっちゅうことを忘れるな!お前らのためにだけ自民党があるんじゃないぞ!」とテレビカメラに向かいながら椅子や、机を投げ捨てていったことがあった。

浜田幸一は好きではなかったがこの時のセリフ、今となっては新鮮だ。そして息子の浜田靖一をはじめとする、自民党議員や安倍はこのセリフにどう答える?「かわいい子供達の時代」を戦争の時代にしようとする与党の強引な審議に野党議員は体を張れ。

「自民党感じ悪いね」など、初めて政治に興味を持った子供のように恍けたフレーズの紙をかざしている場合か。ちなみに国会議員には国会会期中「不逮捕特権」がある。この国会は9月まで会期があるからそれまでは余程のことがなければ逮捕はされない。

15日は日中から夜遅くまで、蒸し暑い中、市民の必死の抗議が続いた。その熱意を野党議員はしっかり受け止めるべきだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎安保法案強行採決!「大きな嘘」で日本政治をレイプしまくる安倍話法の本心
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎「目が覚めた」人たち──抗議行動はいろんなカタチがあっていい

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安保法案強行採決!「大きな嘘」で日本政治をレイプしまくる安倍話法の本心

2015年7月15日、衆院特別委員会で自民・公明両党が「戦争推進法案」の強行採決に踏み切った。


◎[参考動画]7月15日、衆院安保法制特別委で赤嶺政賢議員の質問のあと強行採決(2015年7月15日国会)

◆「小さな嘘よりも大きい嘘に人は騙されやすい」ファシズム論法を体現した安倍政権

人間は時にあからさまな嘘や悪事を目の前で披歴されると、かえって策を弄した詭弁や小ズルい嘘をぶつけられた時よりも、反応が鈍くなることがある。ヒットラーは「我が闘争」の中で「小さな嘘よりも大きい嘘に人は騙されやすい」という権力者が喜んで座右の銘にしたがるような名言を残しているが、安倍はその体現者だ。「戦争推進法制」は昨日今日に突如として出現したものではなく、1955年の自民党発足以来の党是「自主憲法制定」への着々とした目論見がいよいよ最終段階を迎えていると考えるべきだろう。

であるから、その目的達成の為には「小さな嘘(暴言)よりは大きな嘘(暴言)」の方がこの時代にあっては政権にとって有効なのだ。「解釈改憲」という「憲法殺し」は歴代どの首相も手を染めなかった「反則技」だが、「大きな嘘き」を祖父岸信介から受け継いできて、自身も「大きな嘘」を重ねることにより総理の座に納まった安倍にとっては、「違憲行為」すら自己正当化されるのだ。

◆嘘や詭弁を発語しても何も感じない21世紀日本型ファシスト

「フランス語で“白痴化する”ことを“アベチル(Ab?tir)”というんですが、ここから生まれた言葉で“馬鹿”のことを“アベッチサン(Ab?tissant)”っていうんですヨ」(2014年10月18日付「屁世滑稽新聞」より)

安倍は小学生時代から学校での勉強は苦手だったらしく(これだけは私と共通する)、警察官僚から自民党議員になった平沢勝栄が家庭教師をしていたそうだ。だが成蹊小学校からエスカレーターで成蹊大学へ進学となり、難関大学へ進学することは出来なかった。学歴で人の能力が計れるものではないし、私も学歴信者ではない。でも安倍の父親安倍晋太郎は相当熱心に有名大学へ押し込もうとしたらしいが、それはかなわなかった。しかし安倍は「高学歴」は逃したものの、天性とも言うべき「詭弁使い」の才と、嘘や詭弁を発語しても何も感じない「無恥」という感覚を兼ね備えた「21世紀日本型ファシズム牽引者」として君臨している。

大阪都構想の市民投票で敗けて「政界引退」を公言している橋下市長との不可思議会談(6月14日)や、官房長官を通じての翁長雄志沖縄県知事への「謝罪」もどき(7月4日)、改造前内閣では複数大臣の政治資金問題による辞職などがあろうと、この男が徹底的に叩かれることは今のところない。「福島原発からの放射能漏れは完全にブロックされています」と五輪誘致の為に世界に向かって大嘘をつくことくらい安倍にとって晴れがましい得意満面な舞台はなかったろう。

◆「安倍の本心」を代弁してみた

「本心を申し上げるとですね、解釈改憲も既に終わっているのですから、安全保障法制の成立の如何に関係なく、アメリカからの要請があれば直ちに日本は自衛隊をですね、その要請に従って出動することが出来る訳であります。現在審議をお願いしております安保関連法制は、本音を申し上げれば、『どうでも良い』、のでありまして、いざと、と言う場合には『解釈改憲』でもお示ししました通り、いかなる法令も憲法も無関係に、ひたすらですね、自衛隊を派兵し、堂々と戦闘を行うと。国際社会からの要請云々ではなくですね。わたくしがこの国の最高責任者でありまして、選挙で国民の負託を全面的に受けておるわけでありますから、そこのところはしっかりご認識を頂き、国民の皆様には相応の覚悟と、場合によっては犠牲といったものもですね、可能性としてはありうると、そういったお願いをしているわけでございます」

安倍は上記の発言をしてはいない。重ねて断るが安倍の発言ではない。しかし私が想像する「安倍の本心」が必ずしも的を遠くはずしているとも思えない。


◎[参考動画]東京・日比谷野外音楽堂での安保法案「強行採決反対」集会(2015年7月14日朝日新聞社公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎百田尚樹「沖縄2紙を潰せ」発言で強まる「琉球独立」という島唄の風
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「目が覚めた」人たち──抗議行動はいろんなカタチがあっていい

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7・12西宮「鹿砦社弾圧10周年復活の集い」報告──感謝と共に新たなる船出へ!

2005年7月12日松岡社長逮捕から丸10年目となる12日、猛暑の中西宮のCafeインティラミで「鹿砦社弾圧10周年復活の集い」が約70人参集の中行われた。

鹿砦社「復活の集い」は松岡社長の挨拶と当時の様子の復元から始まった

ではまず中川志大「紙の爆弾」編集長挨拶から幕を開けると事前にの広報にはあったが、松岡社長の挨拶と当時の様子の復元から始まった(松岡社長、待ちきれなかったか?)。

「兵庫の良心メディア」サンテレビが松岡社長逮捕時よりニュースで取り上げ、保釈直後のインタビューを含め都合5回オンエアーされていたニュース映像が会場に流された。サンテレビ関係者も会場に詰めかける中放映されたニュース映像は決して松岡社長逮捕=悪人といった今日主流の大本営発表報道と異なり、「我々にとっても他人事ではない問題ですので今後も注目してゆきたいと思います」といった原則に立脚した見事な番組構成だった。

松尾社長は逮捕されて以来検察による取り調べ、「人質司法」の問題などにつき経験を踏まえて語り、今年自身が教壇に立った関西大学の講義で学生に逮捕された際に全裸にされた話をしたところ、非常に強い反応が返ってきた事をにも触れた。

◆この10年──「検察は何も変わっていません。むしろ悪くなっている」(青木理さん)

「検察は何も変わっていません。むしろ悪くなっている」(青木理さん)

次いでメインゲストの青木理(元共同通信記者・ジャーナリスト)さんが「検察はこの10年で変わったのか」のテーマで鹿砦社事件を絡めながら検察の問題点を解き明かした。「一言でいえば検察は何も変わっていません。むしろ悪くなっている」と切り出した青木氏は「話が苦手なので」との謙遜とは裏腹に、これまで豊富な公安・検察関係者取材経験の体験談と現在進行中の問題につき多くの材料を提供して下さった。

中でも興味深かったのは、実質的に10年前の「松岡逮捕劇」、「鹿砦社弾圧」を指揮した大坪弘道氏と取材で接触したことがあり、大坪氏を「目立ちたがり屋」だと見抜いていたと看破したことだ。

大坪氏は「松岡逮捕」「鹿砦社弾圧」に次ぎ小室哲哉逮捕、そして厚労省の村木厚子氏逮捕と世間の注目を浴びる「話題性」の高い事件を手掛けるが、それは一種の「賭け」のようなものでもあり、案の定村木冤罪で破綻を来たし、最後は自分の逮捕にまで繋がってゆく。検察にとっては戦後最大の危機を招いた人物だった。

しかし、検察はその後この危機を「刑事訴訟法の改正、盗聴法の実質無限拡大、司法取引の導入」という強力な武器を手に入れようとする策動に出て、閣議決定までなされえている。検察のあり様は「益々悪辣化している」と青木氏は結んだ。青木氏のお話は1時間には満たない物だったが、この日のお話だけで新書が1冊出来上がる程、警察の取り調べ、冤罪、捜査手法の問題、取り調べ可視化の必要性と留意点など多岐にわたっていて、私的にも大変勉強になった。

◆「私に暴力ではなく言論の可能性を教えてくれたのは『鹿砦社』松岡社長でした」(鈴木邦男さん)

「私に暴力ではなく言論の可能性を教えてくれたのは『鹿砦社』松岡社長でした」(鈴木邦男さん)

その後鹿砦社お目付け役鈴木邦男氏が登場し「鹿砦社弾圧時から比べても検察は悪化しているし、それをマスコミは止められなかった」との概観が述べられ、加えて鈴木氏と鹿砦社、松岡社長の長年にわたる親交が披露された。

鈴木氏は松岡社長逮捕直後発刊された「紙の爆弾」で「新右翼だった私に暴力ではなく言論の可能性を教えてくれたのは『鹿砦社』松岡社長でした。この鹿砦社で好きなことを書かせてもらい『言論の力』を知った」とコメントを寄せている。テレビを含め東京のメディアからっも引っ張りだこの鈴木氏の「鹿砦社」への思いが特別な物であることが再度確認された。

◆検事や裁判官を1年くらい刑務所に入れて『研修』させたらどうか?

その後青木氏と鈴木氏の対話となり話が弾んだが、最も印象深かったのは「これだけ問題だらけの司法のあり様の解決策として、検事や裁判官を1年くらい刑務所に入れて『研修』させたらどうか」と言う提案をお二方が行ったことだ。

その後この日の集まりに連帯のメッセージを寄せられた「たんぽぽ舎」と、同志社大学で松岡社長の先輩にあたるニューヨーク州立大学教授矢谷暢一郎氏からのメッセージが松岡社長により読み上げられた。どちらも普段はおとなしく紳士的な老境にある方々だが、メッセージの中身はアジテーションそのものだ。切れがいい。

◆「今日こうやって無事でいられるのもひとえに皆様のご支援の賜物と感謝いたします」(中川志大「紙の爆弾」編集長)

「今日こうやって無事でいられるのもひとえに皆様のご支援の賜物と感謝いたします」(中川志大「紙の爆弾」編集長)

最後に「紙の爆弾」中川志大編集長から「あの時はまだ25歳でしたが私も取り調べを受け『もっと人の役に立つ仕事をしなさい』、『お前も逮捕しようと思えばとやれるんやぞ』と言われました。10年経ってこうやって活動して来れたのも今日こうやって無事でいられるのもひとえに皆様のご支援の賜物と感謝いたします。今後もよろしくお願いいたします」と挨拶があった。

ここで一部は終了し、同じ場所で懇親会を兼ねた2次会が行われた。参加者の内50名以上が懇親会にも引き続き参加し、松岡社長のご指名により、不肖私が懇親会の司会を勤めさせていただいた。

◆西宮冷蔵水谷社長の御厚意による二次会も50名参加の大盛況!

紹介が前後するが、この日はサンテレビニュースの中で識者談話を寄せ裁判の支援者でもあった浅野健一同志社大学社会学研究科教授(地位係争中)、西宮冷蔵社長水谷洋一氏、元宝塚市長渡部完氏、元兵庫県警飛松五男氏、サンテレビの方々等も参加していた。

懇親会では今年度から松岡社長が非常勤講師として教壇に立っている関西大学から新谷英治文学部教授、鹿砦社イベントでは欠かすことの出来ない定番となった力強い言葉を書いていただいている書家龍一郎氏などから連帯のメッセージを頂き場はさらに盛り上がった。と、そこで思わぬハプニングが!

「ガンバレ・負けるな 鹿砦社・松岡社長」と書かれたビラが会場に配布され始めた。文面には「激励&懇親二次会のご案内」とありこのビラは西宮冷蔵の水谷社長によるものだ。そこにはなんと参加者全員を無料で二次会に招待頂けるという腰を抜かすような案内が書かれている。水谷社長は「松岡社長は私にとって命の恩人です。今日ここに私があるのはひとえに松岡社長のお蔭です、その感謝の気持ちを少しでも表したいので皆さんどうぞふるってご参加を」と呼びかけられた。「タダ(無料)」と聞いて家に帰るような人は関西人ではない。したがって我々ほぼ全員が水谷社長のご馳走になることになった。水谷社長本当にありがとうございました。

昼間の猛暑も夕方には浜風が吹き始め過ごしやすくなっていた。「弾圧10周年」は正直もう少し緊張に満ちた堅苦しい会になるのではと予想していた。内容の充実振りは予想通りだったが、それ以上に鹿砦社・松岡社長を囲む人々の人間性とその多様さが優しい空間を醸し出した時間だった。

今更ながらではあるが、松岡社長をはじめ鹿砦社の皆さん、10年間本当にお疲れ様でした。まだまだこれからよろしくお願いいたします!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎2005年7・12鹿砦社弾圧事件――関与した人たちのその後
◎7・12「名誉毀損」に名を借りた言論弾圧から10年──鹿砦社は復活した!朝日新聞、当社広告を拒否!
◎「松岡社長逮捕は当然」か?──関西大学「人間の尊厳のために」講義の白熱討論
◎〈生きた現実〉の直撃弾──鹿砦社松岡社長が自身の逮捕経験を「告白」講義
◎『噂の眞相』から『紙の爆弾』へと連なる反権力とスキャンダリズムの現在

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《大学異論39》同志社の「良心」は「安保法案」賛成の村田晃嗣学長を許すのか?

衆院平和安全法制特別委員会は7月13日午前、有識者の意見を聞く中央公聴会を開いた。憲法や外交・安全保障の専門家ら5人が出席。野党推薦の3人が法案に否定的な見解を表明し、与党推薦の2人が賛意を示した。(毎日新聞2015年07月13日

◎[参考動画]2015年7月13日衆議院平和安全特別委員会中央公聴会(村田晃嗣は動画13:35から)

◆同志社大学は大学長が「戦争推進法案」賛成を表明した初の大学となった!

いったいどんな輩が「戦争推進法案」に賛成を表明したのかと記事を読み進むと、一人は外交評論家と自称するタカ派で有名な岡本行夫で、ああ、この人間ならさもありなんと驚きはなかったが、何ともう一人は同志社大学長の村田晃嗣ではないか。村田の反動ぶりはイラク派兵の際に当時の川口外相を学内に招き(多数の私服警官も学内へ招き入れ)「派兵」の抗弁をする機会を与えた過去があることからも明確な通り、文字通りの好戦的米国追従学者だったが、学長に就任してから昨年までは以前に比べれば目立った政治的発言は控えていた。

しかし、昨年の「解釈改憲」について実質的に是認する発言を行ったあたりから、この男はいつ本性を露わにするのか、と注視していたがまさか「戦争推進法制」の「中央公聴会」で政府の暴走是認を行うとは考えもしなかった。毎日新聞の記事によると村田は「憲法の精神を守るのは言うまでもないことだが、これは安全保障の問題でもある。安保の学会では多くの専門家が肯定的回答をするのではないか」と述べたという。(産経新聞2015年7月13日

◆「安保の学会」とはどの学会なのか?

「安保の学会」とは何を指すのだろうか、名前が近いところでは「国際安全保障学会」がある。

この学会は1973年に「防衛学会」と言う名前で発足しているが、2013年次大会記録を見ると「日米武器技術協力の模索 1978-1986 日本原子力研究開発機構 武田悠」や「東アジアにおける共同軍事演習 防衛省 廣瀬律子」と言った、とてもではないが「学問」の範疇には収まらない「戦争推進学会」であることは一目瞭然だ。この学会なら「反対はしないだろう」というのが村田の言い分だ。

それはたぶん正しい。この学会は「戦争をしたくてしたくて仕方がない」連中の寄合なのだから。では「日本平和学会」に対しても村田が中央公聴会で発言したのと同じ内容を語れるのか。日本憲法学会に対してはどうだ。

◆新島襄の「良心」は「学生を戦場に送るのに熱心な学長」を許すのか?

村田が学長の地位にある同志社大学は「新島襄」が設立した「リベラル」を学風とする大学だった。昔はそうだった。しかしこの村田の言動は一体どう表現すればよいのだろう。大学長が「戦争推進法案」に積極的に賛成するということは学生に対して「戦争へ行け、戦場で人殺しをして来い、若しくは殉死して来い」と言っているのに等しい。あらゆる屁理屈を並べようと村田のこの発言は絶対に許されるものではない。大学人として万死に値する。「学生を戦場に送るのに熱心な学長」など殺人者と変わらない。

私はこの文章を書きながら指が震えている。何年振りか、体の奥底からの怒りを抑えることが出来ない。村田は政治学者だが人間性を持ち合わせない「悪魔」であることが明らかになった。

同志社大学の教職員、学生諸君はこのような人間を学長のまま放置するのか。否、同志社大学だけでなく、日本中の大学関係者は村田のこの蛮行を黙認するのか。私の指の震えは増すばかりだ。村田晃嗣を人間として絶対に許せない。

◆同志社大学の広報課に電話して問いただしてみた!

それにしても村田の発言を同志社大学はどう考えているのだろうか。広報課の植村巧課長に電話で話を聞いた。

田所 午前中の中央公聴会で村田学長が安保法制に賛成の立場の発言をしたが問題を感じないか。
植村 発言は個人としての意見を述べたものであると考えている。
田所 大学の学長が国会の委員会で発言する内容が「個人としての意見」と言うのは無理がある。そんな詭弁は世間では通用しない。現に複数のマスコミは「同志社大学長」村田晃嗣氏の発言と報じている。しかも発言内容は「戦争を可能にする」法案への賛成意見だ。違和感を感じないか。
植村 確かに問題化する恐れはあるとは思う。
田所 あなたは今審議されている法案が「戦争を可能にする」法案である、と認識しているか。
植村 それはそうだ思う。
田所 それでも呑気な応答をしていられるのか。大学の使命は学生を守ることではないのか。
植村 それはその通りだ。
田所 大学の学長が国会で「戦争を可能にする」法案に賛成意見を述べたことなど戦後の歴史にはない。同志社大学として問題だと感じないか。
植村 だから、先ほど申し上げた通り「個人としての発言」と言う認識だ。
田所 あなたは大学職員として恥ずかしくはないのか。「戦争推進」を公聴会で明言した学長の下で呑気に仕事をして学生に申し訳ない、恥ずかしいとは思わないのか。
植村 …………。
田所 村田氏はイラク戦争の際にも川口外相(当時)を招き派兵を正当化する講義を指せた前科がある。今回の発言と繋がっているのではないか。
植村 あの時は個人的な企画で………。
田所 違うだろ。法学部が決定した正式な大学行事だったのではないか。
植村 法学部の行事ではあった。
田所 ならば個人的な企画ではないではないか。同志社大学は戦争を推進する大学なか。
植村 そうではない。
田所 ならば、国会で学長が「戦争を可能にする法案」に賛成の意見表明を行ったことは極めて大問題ではないか。
植村 執行部で対応を協議することになると思う。大学へ何らかのマイナスはあるかもしれない。
田所 総長の大谷實氏は地元で「戦争に反対する」運動に名前を連ねているが矛盾しないか。
植村 それも個人的な意見表明ではないか。
田所 新聞報道では同志社大学総長大谷實と肩書が書かれている。だいたい大学の学長や総長が公的な場所で発言をする時に「個人的な意見」だと断ってもそんな理屈は通じない。彼らは「公人」だし公の場での発言は常に「学長」、「総長」の発言と理解されるのが普通の感覚だ。
植村 意見として伺っておく。
田所 意見ではない。大学学長の公式発言としては「戦後最悪」だと私は呆れている。同志社大学は村田氏を学長から解任すべきだ。そうでなければあなた方全員が「戦争法制加担責任者」と看做されることを心すべきだ。
植村 意見として伺っておく。

役人風の緊張感の欠片もない問答だった。最悪の学長を抱いた同志社大学に学ぶ学生と心ある教職員が不憫でならない。しかし同志社関係者が村田を学長から引きずり降ろし、謝罪を述べさせることが出来れば、この最悪の「不名誉」を回復する道はある。学内で大した問題にもされないとすれば、残念ながらもうこの大学には存在意義が全くないと断ぜざるを得ない。

決起せよ! 同志社大学学生諸君! 心ある教職員諸君!


◎[参考動画]2015年6月1日 同志社大学講義「良心学」第7回「総括」(村田晃嗣)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎《大学異論22》真っ当に誠実さを貫く北星学園大学の勇断に賛辞と支援を!
◎《大学異論18》「過激派」は学生でなく今の日本・安倍政権!──京大集会見聞記
◎なぜ安倍政権には「正論」が通じないのか?──加速度を増す日本の転落
◎2005年7・12鹿砦社弾圧事件――関与した人たちのその後
◎7・12「名誉毀損」に名を借りた言論弾圧から10年──鹿砦社は復活した!

大学人の必読書!矢谷暢一郎『日本人の日本人によるアメリカ人のための心理学━アメリカを訴えた日本人2』(鹿砦社)

自由なはずのアメリカで、自由なはずの日本で、
何も言えない、何も行動できない、
ガンジガラメの時代が始まっている!
闘う心理学者、矢谷暢一郎の心情溢れる提言に心が震えた!
──加藤登紀子(歌手)──

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福島原発被曝の現実から目をそらさない「DAYS JAPAN」と広河隆一氏の在野精神

「DAYS JAPAN」と言う月刊誌をご存知の方も多いであろう。
今月号の特集は「福島の小児甲状腺異常多発の発表」だ。

「DAYS JAPAN」2015年7月号

悲しいニュースだが直視を避けられない現実が詳細に報告されている。本号は発売直後よりアマゾンをはじめとするネット上の図書販売サイトでは完売となり、書店でも残部僅かのようだが、増刷されるとのことであるのでまだご覧になっていない方にはご購読を強くお勧めする。

「DAYS JAPAN」はかつて講談社が発行してたが休刊となり、2004年にフォトジャーナリストの広河隆一氏が会社を立ち上げ編集長に就任し復刊した。表紙の右下には発刊以来毎号「一枚の写真が国家を動かすこともある」との腰の据わったメッセージが記されていたが、その場所には編集長が丸井春氏に代わった昨年からは「人々の意思が戦争を止める日が必ず来る」と、より明確な「宣言」が掲載されるようになった(「人々の意思が戦争を止める日が必ず来る」はそれ以前にも時に表紙に書かれていたメッセージではある)。

◆発刊以来、原発問題に深く取り組んできた「DAYS JAPAN」

この雑誌の最大の特徴は現在世界でも希少となった「フォトジャーナリズム」を実践し続けていることだ。同時にパレスチナ、イラク、中東など世界中の紛争地帯(それが脚光の当っている場所であろうがなかろうが)の問題を取り上げ、視覚に訴えると同時に卓越した視点から解説を行うことだ。国内問題も同様である。一貫して在野の立場から権力監視を続ける骨太の編集方針は「ジャーナリズム」の原点から全くぶれていない。

また同誌が主催する「DAYS国際フォトジャーナリズム大賞」は世界的に権威のある写真コンテストとなり、ここでの受賞者がピューリッツアー賞などを後に受賞することも珍しくない。実は世界のフォトジャーナリストから注目されている雑誌でもある。世界的な注目を浴びる雑誌はこの島国に「DAYS JAPAN」だけである。

「DAYS JAPAN」2015年7月号より

前述の通り今月号の特集は「福島の小児甲状腺異常多発の発表」である。同誌は発刊以来一貫して原発問題に深く取り組んでおり、2011年の1月号(大震災の2カ月前)特集は「浜岡原発爆発は防げるのか」だった。事故直前まで月刊誌でこれだけ原発問題に警鐘を鳴らしていた雑誌は他にはない。スリーマイル島やチェルノブイリで原発事故取材経験豊富な広河氏は福島事故発生後3日目には現地入りしている。そこで持参した放射線測定器がチェルノブイリでも経験したことのない高い値、針が振り切れる経験を初めてする。目前には何も知らない人々がマスクもつけずに危機感もなく往来している姿を見て、取材を止め高線量地帯へ向かう人々の車を止め引き返すように説得を始める。


◎[参考動画]「3・11メルトダウン 福島原発取材の現場から」Part2
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)綿井健陽氏2011年7月18日公開

◆「DAYS JAPAN」行動原理の体現者・広河隆一氏

「DAYS JAPAN」の行動原理はこの時の広河氏が体現している。ジャーナリストとして現地へ赴くがある時期「人間として」何をすべきかと感じた瞬間に彼らは「行動者」へと転身する。広河氏がレバノンの難民キャンプ取材から難民支援を始めて20余年が経つ。チェルノブイリ取材を50回ほど行っている広河氏は1991年に「チェルノブイリ子供基金」を設立し、保養施設「希望21」を各国のNGOと政府の協力により設立し、そこで保養を行った人の数は7万人を超えたという。

福島原発事故のわずか2か月後、早速保養所設立プロジェクトは動き出し、早くも翌年2012年7月には久米島に「球美の里」を設立し福島から子供達(親同伴の場合もあり)の受け入れを開始する。常人には想像できない発想と行動力は編集長が代わっても引き継がれている。

原発や被曝については「付け焼刃」ではなく長年の取材経験と人脈、知識と実践を持つこの雑誌に敵うものはないだろう。いや違った。「NO NUKES voice」ははるか後ろを走っているけれども志だけは負けたくないと編集長以下腹を固めている。
◎「DAYS JAPAN」Facebook
◎広河隆一氏のtwitter


◎[参考動画]DAYS JAPAN フォトジャーナリズム写真展 特別講演会「震災と原発問題」
2012年11月20日京都造形芸術大学 学校法人瓜生山学園公開

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎百田尚樹「沖縄2紙を潰せ」発言で強まる「琉球独立」という島唄の風
◎《6.8公判傍聴報告》やっぱり不当逮捕だった!火炎瓶テツさんら3人全員釈放!
◎「松岡社長逮捕は当然」か?──関西大学「人間の尊厳のために」講義の白熱討論

『NO NUKES voice vol.4』原発いらない!全国から最前線の声を集めた脱原発情報マガジン!
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百田懇談会で「マスコミを懲らしめる」と語った大西英男議員らの秘書に一問一答

暴言を吐き続けて、自民党内ですらテンヤワンヤに陥れた百田尚樹に「沖縄タイムス」が直接取材を行っている。まず、その全文を引用紹介する。

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◆百田尚樹氏に一問一答 「沖縄2紙は嫌い」「つぶれてほしい」 沖縄タイムス2015年6月27日

作家の百田尚樹氏(59)が、自民党の会合で発言した米軍普天間飛行場の成り立ちや沖縄の2紙に対する内容について26日、沖縄タイムスの電話取材に応じ、発言の真意と持論を説明した。(社会部・聞き手=吉川毅)

―米軍普天間飛行場の成り立ちについての発言は。
「住民が騒音などの精神的に苦痛があり、補償しろと言う。苦しみは当事者にしか分からないこともあるだろう。それを踏まえた上で、違和感を覚えると発言した。なぜかと言えば、住んでいた場所に基地が引っ越してきたわけではない」

―普天間の現状認識は。
「地権者には、膨大な地代が払われている。六本木ヒルズに住んでいる大金持ちと同じ。それはメルマガで書いた話だ。普天間が返還されたら、あっという間にまちは閑散とする。ぬくぬく暮らしていた地権者も困るはずだ」
「滑走路のそばに小学校があるが、いまだに移転していない。移転に反対の運動も起きているが、本末転倒。基地批判のために小学校を置いている。何がしたいのか分からない」

―「沖縄の島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」の発言の真意は。
「絶対、あってはならないことで仮定の話をした。沖縄の人は中国を歓迎している。(辺野古の新基地建設反対など)翁長雄志知事が言っていることも意味が分からない。沖縄の人の総意は何なのか。中国の危機意識がない人も見受けられる」

―沖縄戦について。
「沖縄は戦争で犠牲になったと言うが、東京も大空襲があり、犠牲を払っている。沖縄だけが犠牲になったわけではない。大阪も大空襲で多くの人が死んだ」

―「沖縄2紙をつぶさないと」の発言について。
「沖縄の新聞をしっかりと読んだことはないが、ネットで読むと、私と歴史認識が違う。全体の記事の印象から私が嫌いな新聞だ」
「オフレコに近い発言で、冗談として言った。公権力、圧力でつぶすとの趣旨ではない。私も言論人。言論は自由であるべきだ。私と意見が違う2紙を誰も読まなくなり、誰も読者がいなくなってつぶれてほしいという意味での発言だ」
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この男全く反省していないことがわかるだろう。反省どころかより一層救い難く悪辣な本音が吐露されている。こんな考えを持つ人間が出入りしているのが自民党であり、百田は自民党の本音を代弁していると言っても過言ではないだろう。

大西英男衆議院議員のfacebook

◆大西英男議員政策秘書の亀本正城氏との一問一答

私は26日以降「マスコミをこらしめるのには広告収入がなくなるのが一番」と発言した大西英男、「スポンサーにならない。これが一番こたえる」の井上貴博、「沖縄メディアは左翼勢力に乗っ取られている」の長尾敬各議員に取材を試みた。28日現在いずれも本人と話すことは出来ていないが大西議員の政策秘書亀本正城氏と話すことが出来た。以下は私と亀本氏のやり取りである。

秘書 「あくまで議員ではなく私の理解だが、中国の『脅威』を強調したくてあのような言葉になってしまったのではないか。前後の文脈があるのでそれを見て頂ければご理解いただけると思う」

田所 「前後の文脈がどこかで確認できるのか」

秘書 「それはなかなか難しい」

田所 「では国民は理解することは出来ないということにならないか。衆参両院で圧倒的多数を握る自民党の議員が明らかな言論弾圧発言、とりわけ沖縄の新聞を攻撃することが許されると思うか」

秘書 「そのような意図と取られても仕方ない発言であった点は反省すべきだと思う。議員にもそう伝えたい」

田所 「集団的自衛権行使や『戦争法制成立』の方が『中国』の脅威より余程戦争の危機を高めるのではないか。米国債を最も多く保有しているのが中国で二番目が日本だ。米中は最近接近しているようにも見えるが、そのような状況下で中国が日本に戦争を仕掛けてくることがあると思うか」

秘書 「中国が全面的に戦争を仕掛けてくることは現実にはないと思う。但し尖閣諸島などでの小さな衝突の可能性はあるのではないか。それに対するために現在安保法制の議論が行われている」

田所 「『近年我が国を取り囲む国際的な緊張が高まっている』と自民党は言うが近隣諸国との緊張は冷戦時代の方がはるかに高かったのではないか。尖閣問題は前石原都知事が『都が尖閣を買う』と言い出すまで(しかもその発言を米国で行うまで)実質的に棚上げされており、緊張はなかった。かつて政府は仮想敵国として『ソ連』を上げたことがあったが現在の具体的な仮想敵国はあるのか」

秘書 「仮想敵国ではないが中国や北朝鮮の脅威があると思う」

田所 「『日中平和友好条約』と言う条約があるがあれは無効なのか、また近年は『戦略的互恵関係』等という言葉で両国首脳が関係を示しているがそれでは脅威を感じる国に対する表現なのか」

秘書 「政治にお詳しいですね」

田所 「私が質問をしている」

秘書 「大変紳士的に貴重なご意見を伺ったので必ず議員に伝えておく」

◆火消に必死な自民党内とは裏腹に燃料投下に励む百田尚樹という「愉快犯」

次いで長尾敬事務所公設秘書の河村氏(女性)は取材に対し「特にコメントは準備していません」と述べ、「議員は地元に帰っているので詳細は判らない」とだけ語ってくれた。

井上貴博議員の政策秘書伊藤重雄氏は「私の発言が誤解を招いたとすれば申し訳なく思います。発言内容は青年会議所時代の事業を紹介したものです。私自身報道を規制するとか企業に圧力をかけるとか、そういった考えはございません」が正式なコメントだと教えてくれた。

「青年会議所時代の事業」とは何かと質問すると地元「マスコミとの意見交換会」の事だそうで、「意見交換会」を「事業」と呼ぶのか、結局マスコミと癒着しているか利用しているとも取れるが、の問いには「コメントの通りです」との回答だけだった。

自民党内ではこの事件の火消に必死の様子だが、表面を取り繕おうとも本質的な「沖縄差別」と「戦争猛進政策」を改めない限り意味はない。百田はその後も「あの時は冗談だったが今は本気でつぶさなければいけないと思っている」と追い打ちをかけている。こんな人間が経営委員に任命されるのがNHKだということも忘れてはならない。


◎[参考動画]沖縄2紙、作家・百田尚樹氏に抗議声明(2015年6月26日TBS News-i)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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◎「松岡社長逮捕は当然」か?──関西大学「人間の尊厳のために」講義の白熱討論
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「松岡社長逮捕は当然」か?──関西大学「人間の尊厳のために」講義の白熱討論

本コラムでご紹介した関西大学での講義「人間の尊厳のために」がいよいよ終盤を迎えている。6月19日には小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)の二回目の講義が行われ、原発だけでなく戦争へ向かう時代への警鐘が語られた。

6月26日には先の講義を受けて鹿砦社松岡社長へのグループ討論の発表と質疑が行われた。松岡社長は講義にあたりA4用紙にして、5枚のレジュメを準備し、その中では講義中より踏み込んで「表現の自由とプライバシーの関係」等への松岡社長の考えが紹介されていた。

◆討論前には「松岡社長の逮捕は当然」を主張する学生グループも

鹿砦社松岡社長

この日の討論に先立ち準備的に行われたグループ討論の中から「松岡社長の逮捕は当然だった」という意見のグループがあった。これまで出版物やその言論活動に様々批判を浴びてきた松岡社長だが、その逮捕については必ずしも同じ立場ではない学者、出版人からも「逮捕の必要性はない」との意見が殆どであったため、いささかこの「松岡逮捕は当然!」の主張には驚いたようで、先週の講義の際に逮捕のきっかけとされた「アルゼ王国はスキャンダルの総合商社」を多数持参し「一度これを読んでおいてください。その上で私の逮捕が妥当なものだったかどうか意見を聞かせてください」と「松岡逮捕当然!」と議決したグループの学生さんたちに無料で当該の書籍を手渡していた。

26日は28あるグループの中から9グループが松岡社長の意向で選ばれ、グループ討論の意見発表と質疑が行われた。講義中に紹介されたPaix2(ぺぺ)への評価を行ったグループ、「琉球の風」などのへの関わりに関心を寄せたグループの他「表現の自由とプライバシー」の問題についての討論を発表したグループが多く見られた。

その中には「松岡逮捕は当然!」を主張していたグループも含まれており、先週手渡された「課題図書」読後、どのように意見が変化したか注目された。当該グループの発表者は「最初講義で配られた資料(新聞記事)だけを読んで『逮捕されても仕方ない』と考え、グループの意見もそうなったが、先週本を貰い読んでみると、その内容は記事を書いた人が取材記録を淡々と書き綴っているような内容で、特に過激でもない、取材日記のような感想を受けた。この内容で逮捕されたとは知らなかったし、今は逮捕の必要ないと思うようになった」と語った。事実を示すことで松岡社長は誤解を解くことに成功したようだ。

「表現の自由とプライバシー」については様々な意見が発表されたが、受講生のほとんどがまだ1年次生ということもあり、暗中模索の感もあった。しかし皆が真剣に考え個々の問題として捉えていった事ははっきりうかがえた。

◆私たちが厳しい目を向けるのはあくまで社会的強者であるということ

鹿砦社松岡社長

学生グループ発表の後、松岡社長は「私が大学1年生の時、皆さんのように物事を真剣に考えていたかどうかと言うと、恥ずかしい気持ちになります。ただ今後の人生の中で皆さんは必ず私がお話ししたことと関係することに直面する場面があるでしょう。『表現の自由』について様々真剣な議論の発表がありました。誤解して頂きたくないのは、私たちは決して一般市民や社会的に弱い立場の人々のプライバシーを暴いたり、踏みにじったりしてはいないということです。社会的強者である政治家や上場企業など、いわゆる『公人』については厳しい目を向けますが、一般市民にも対してはそのような態度ではありません。資料にも詳細を書きました。これは是非理解しておいて下さい。今後の人生でたぶん皆さんもこの問題に直面することがあると思います。「生き恥をさらして」と言いましたが、皆さん個々がどうお考えになるかは別にして、その時『私(松岡)のような考えと体験をした人間がいたな』と思い出して頂ければ幸いです。ではこの講義はこれで終わります」と結んだ。教室は拍手に包まれた。

来年度も行われる予定のこの講義、松岡社長は初の大学での講義プラス討論だったためか、最初は「スロースタート」の感もあったが、講義2回目中盤から語り口も俄然熱を帯び出し、「生き恥晒す」覚悟は討論と質疑を経て学生さんに確実に伝わったことだろう。予想外の「逮捕は当然!」というグループ出現も、かえって議論の深みを持たせる役割を果たす事となり、漠然と「表現の自由」と言い名の講義を受講するよりも「生きた現実」を示された学生さんたちは深く考えざるを得ず、自分自身の問題として考えることが迫られたのではないか。

学生さんには「知」と「体験」を聞き考察することにより、机上論ではない実践を基とした「生き証人」を前にして思索を巡らせる貴重経験となった事だろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
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◎〈生きた現実〉の直撃弾──鹿砦社松岡社長が自身の逮捕経験を「告白」講義
◎『噂の眞相』から『紙の爆弾』へと連なる反権力とスキャンダリズムの現在
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◎「大阪都構想」住民投票を否決し、姑息なファシスト橋下に退場の鉄槌を!

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「目が覚めた」人たち──抗議行動はいろんなカタチがあっていい

戦争法案の審議と国会会期延長、更には辺野古での基地建設、TPP推進などの市民を虫けらとも思わない安倍政権に対して全国各地で様々な抗議活動が行われている。6月24日(木)には国会前に3万人が集まり「戦争反対」、「安倍政権倒せ」の声を上げた。またここへ来て若者の街頭活動も見られるようになってきた。


◎[参考動画]「とめよう!戦争法案 集まろう!国会へ6・24国会包囲行動」

◆反対する契機は「純粋な怒り」

同意できない政策を推し進めようとする、政府や行政への抗議行動は時代により形や規模が異なりながらも綿々と続いてきた歴史がある。2011年3月11日、福島第一原発の事故で初めて街頭行動に足を運んだ人の中には、「原発爆発」という脅威により初めて「目が覚め」て「居てもたってもいられず」行動を起こした方々が少なくなかっただろう。

そういった「普通」の人はそれまで「市民運動」に関わっていたわけではなく、ましてや政府に対する抗議行動などとは無縁の方々で、「どうしてくれるんだ!」、「政府・東電は責任を取れ!」という純粋な怒りと恐怖が街頭行動の動機となっていた。少なくとも私が直接知る複数の人々はそうだ。

原発に限らず、戦争反対の前段階である自衛隊の海外派兵や、教育基本法改悪への反対、国家国旗法制定への反対行動は3・11以降「目が覚めた」人々がまだ、あまり興味を抱かない頃から、一般市民には異端視されながらも行われていた。

3・11以前、街頭での抗議行動が低調であった頃には「デモに行く」と言えば、極端に危険な行為に加担するような偏見で見られることは当たり前だったし、あらゆるテーマを掲げて集会を行っても、組織動員がなければ東京でも万の単位の集会開催はほぼ皆無に等しかった。


◎[参考動画]爆笑!偽安倍晋三──2006年12月6日ヒューマンチェーン第3波に偽の安倍さんが現れた!

◆「冬の時代」から声を挙げ続けてきた人々

でも、忘れてはならないのはそういう「抵抗冬の時代」から怯むことなく声を挙げ、時に権力に不当弾圧されながら、一般市民から「変わり者」と蔑視されようと、この島国の権力者たちが推し進めようとする悪意に満ちた政策と正面から闘っていた人々の存在だ。


◎[参考動画]なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち

抵抗や闘争のテーマは数限りなくある。「改憲」はいよいよここにきてその危険性が広く認識されることになったけれども、1955年、保守合同により発足した自由民主党の党是が当初より「自主憲法制定」=「改憲」であることを知っていた人々は早期から各地に「九条の会」を立ち上げ地道な活動を行って来た。

千葉県に位置する空港は、そこに住む農民の意見を聞くこと一切なく建設が決定され、その反対運動は熾烈を極めた。自分の生活の糧である農地や家が一方的「国策」により奪われる、と聞かされた農民は実力闘争に踏み切らざるを得ず、学生や労働者も空港建設反対の運動を支援した。多くの死者も出した。

そこではあからさまな「暴力」が数々繰り広げられた。「強制収容」という名で農民の家が重機により取り壊された。それに抵抗する農民達は家や立木に自分の身体を括りつけ機動隊の暴力に抵抗した。

◆不合理な国策への抵抗は自然

ここで読者の皆さんに問いである。世界のあらゆる場所、あらゆる地帯で「無用」な暴力は排除されるべきだと私は考える。

だが、ご自身の住居が合理性のかけらもない「国策」により取り壊されたら、何も言わず、何もせずに沈黙していられるだろうか。「住居取り壊しをやめろ!」と叫びそれに身を持って抵抗するのは不自然だろうか。

千葉県にある空港は「国際化に伴い羽田では敷地が手狭になるから」と言う題目で建設が強行されたが、一時国際線を控えていた羽田空港(正式名称は「東京国際空港」)はその後拡張工事を行い、現在乗り入れている国際便を運航する航空会社の数は30社に上っている。国際線専用ターミナルも人であふれている。一時「新東京国際空港」が正式名称であった千葉県の空港は国際線の発着を羽田から引き継ぎ、専門に担うはずだったが現在国際線乗り入れ航空会社数は43社止まりであり、名称も2004年に「成田空港」と変更され、実質的に首都エリアで「国際空港」の名は通称「羽田」の「東京国際空港」だけである。

この現実を見て土地を奪われた農民や、反対運動で傷つきあるは亡くなった反対派、推進派の方々はどうお感じになるだろうか。国が引き起こした無茶非道理を尽くした「空港政策」の犠牲になった方々の多数はもうお亡くなりになっているけれども、現在も農地を国に奪われることを阻んで闘っている農家の方が存在する事実を前にどう申し開きするのか。

「極端な例を出して」とソッポを向かれる読者もいるかもしれない。でもこの構造は何変わることなく今日に引き継がれているじゃないか。

先に霞が関で抗議行動最中に不当逮捕された被害者の方から直接お話を聞くことが出来た。その方は勾留されている間にネット上や批判的な人々から「逮捕される方が悪い」、「警察が逮捕したのは当たり前」などの言葉が交わされているのを接見した弁護士から知らされ、「とても残念に感じた」という。「逮捕を肯定する人は『権力』の本質がわかっているのでしょうか」とも語っていた。

◆抗議行動には様々な形態があっていい

本質的な対立が生じれば国家権力は当然反対者を弾圧(逮捕)する。いくら「非暴力直接行動」などと言っていても、そんなことに一切配慮はされない。「反国家」、「非暴力」は市民が定義するものではなく、国家がその時の都合で一方的に決めつける。そのことは70余年前の戦争時代に何が起きたかを振り返れば明らかだ。

6月27日渋谷ハチ公前SEALDs街頭アピール行動に参加した山本太郎さん(山本さんのfacebookより)

抗議行動には様々な形態があっていいと思う。その方が画一的な運動より健康だろう。だが、最終的に国民の「抗議・抵抗」に対して国家は「非和解」であること私は考える。

私は戦争に反対する。だから抗議する。
私は原発に反対する。だから抗議する。
私は差別に反対する。だから抗議する。
私の目的は「抗議」ではない。
受け入れない政策や行動の阻止だ。

「抗議を続ける」ことは長期戦では重要だ。でもそれ自体が目的になっている人がいるとすればもう一度考えてほしい。本当に獲得すべきものは何なのかと。


◎[参考動画]BO GUMBOS「目が覚めた」

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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◎〈生きた現実〉の直撃弾──鹿砦社松岡社長が自身の逮捕経験を「告白」講義
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気

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百田尚樹「沖縄2紙を潰せ」発言で強まる「琉球独立」という島唄の風

自民党の安倍に近い若手議員議員懇談会に呼ばれた作家の百田尚樹が「政治家は国民に対してアピールが下手だ」、「沖縄の二つの新聞はつぶさなければならない」と発言した。会に出席した議員からは「経団連に働きかけて広告を引き揚げさせてもらっては」など、報道批判の意見が相次いだそうだ。

また、6月25日に予定されていた自民党の「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」が講師に漫画家の小林よしのりを呼ぶ行う予定だったが自民党幹部の「安保法制審議批判に火をつける」との理由で中止になった。小林よしのりは「ああ負けたんだなと思った。自民党は全体主義になっている」と感想を述べている。

もうこれだけ書けば本当は付言することはない。誰にでもわかるだろう。言論弾圧はこれまでも山ほどあったけれども「沖縄の二つの新聞はつぶさなければならない」という言葉には、単なる敵意以上に琉球を侵略、支配してきたこの島国支配層の差別と選良意識が隠すところなく吐露されている。


◎[参考動画]安倍晋三「沖縄慰霊の日」全戦没者祈念式典スピーチ(2015年6月23日)

◆「沖縄2紙をつぶせ」の百田尚樹は「呼べば暴言」の自民党腰巾着

もっとも百田は確信的な歴史修正主義者であり、これまでも数々の暴言を吐いてきた。NHKの経営委員に就任するも都知事選に出馬した田母神俊雄の応援演説で、「南京大虐殺はなかった」、「他の主要候補は人間のくずみたいなもの」と語るなど品位の欠片も名無い発言を連発し、任期途中で退任に追い込まれた経歴がある。関西ファシズム牽引役芸能人だった「やしきたかじん」没後の経緯を書いた「殉愛」では遺族から名誉棄損だとして「出版差し止め」と1100万円の損害賠償請求も起こされている。

百田を呼べば暴言を吐くことは織り込み積みで自民党の連中は講師にしたに違いない。そして奴らは馬鹿だから、百田が大問題発言をしてもその重大性に気が付くどころか、それに乗じて「経団連に頼んで広告を引き揚げさせよう!」とこれ以上ない報道弾圧発言を何はばかることなく吐き続けたのだろう。

「つぶさなければならない」と名指しされた「琉球新報」と「沖縄タイムズ」はむしろこのような連中から本気で恐れられている新聞だということが逆に証明された訳で、これは皮肉ではなく「喜ばしい」事態と言っていいだろう。本土のほとんどのメディアが「官報」と変わりない体たらく振りの中で「琉球新報」と「沖縄タイムス」にはジャーナリズム精神が残っていると誌面を読むたびに感じてきたけれども、それほど敵にとっては目障りであり「脅威」の対象だということが図らずも証明されたということだ。


◎[参考動画]翁長知事「沖縄慰霊の日」全戦没者祈念式典スピーチ(2015年6月23日)

◆沖縄の怒りの度が増し、「琉球独立論」は加速するかもしれない

けれども、それは事件を斜めから見た私の感想であり、この発言に沖縄の人々が更に怒りの度を増すことは違いない。そこここで議論されている「琉球独立論」が加速するかもしれない。先の衆議院選で自民党は沖縄の小選挙区で1人の当選者も出せなかった。たった2割の得票で当選できるいびつな「小選挙区」システムですら全く支持が得られていなかったのだ。そのことへの思慮や洞察すら自民党の連中は持ち合わせてはない。

百田や自民党議員の意見には言わずもがな100%反対だが、恥ずかしくも同じ島国に生まれ沖縄を苦しめる「本土」に居住する人間としては恥ずかしく、申し訳ない気持ちが一層つのる。政権もろとも歴史修正主義者を徹底的に糾弾しなければならない。


◎[参考動画]宮沢和史 慰霊の日に 沖縄の唄者と共に『島唄』熱唱(NEWS ZERO 2015年6月23日放送)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎《6.8公判傍聴報告》やっぱり不当逮捕だった!火炎瓶テツさんら3人全員釈放!
◎〈生きた現実〉の直撃弾──鹿砦社松岡社長が自身の逮捕経験を「告白」講義
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通信傍受法の適用拡大次第で携帯電話は容易に「盗聴」される時代へ

1999年、当時勤務していた大学である企画を準備していた時、私は携帯電話による通話を「盗聴」されたことがある。ややデリケートな国際問題にも関係する企画だったので、外務省や政治家との折衝のため霞が関や永田町に何度も出向かねばならなかった。ある時通話が明らかに「盗聴」されたと分かった時には本当に驚いた。まだ「盗聴法」もなかったし、そもそも「携帯電話の盗聴技術」は相当な資力と技術力のある団体でなければ無理だろうと考えていた時代だった。私の通話を「盗聴」したのは、某国の諜報機関であった。日本の捜査機関ではない。わざわざその証拠を私達に解る形で残して行ったから間違いない。

◆1999年にはすでに確立されていた携帯電話の「盗聴」技術

その時、私は議員会館の某議員の事務所で通信社の記者と待ち合わせする予定になっていた。私と彼は共に周りに誰もいない場で、携帯電話により落ち合う場所と時間を確認していたから当事者2人以外にその打ち合わせ時刻と場所を知る人間はいないはずだ。しかし議員の事務所に定刻の15分ほど前に見知らぬ人物が現れて「ここに田所さんが来ると聞いたんですけれども」とだけ言い残し去っていったと秘書に伝えられた。打ち合わせは議員を含め1時間を超えたがその間その人物が戻って来ることはなかった。

私も通信社記者も、もう一度その待ち合わせについて誰か他人に話をしていなかったかを思い返した。かなりセンシティブな内容でもあったので誰にも話していない事が再度確認された。そうであれば可能性としてはどこかで通話を聞かれたと考えるしかない。固定電話の「盗聴」はいとも簡単だけれども、1999年の時点で携帯電話の「盗聴技術」もその筋では確立されていたわけだ。

◆威嚇するかのように尾行され、通信妨害も企てられた

「盗聴」はともかくその時は打ち合わせを終えて、私は次の場所へ徒歩で移動した。ところがどうも背後が気になる。普段感じた事のないような視線のようなものが、勘違いかもしれないが背中に張り付いている。霞が関の昼間は大きなビルが林立する割に舗道を歩く人の数はさほど多くはない。幾度か後ろを振り返るとかなり後方にだが2人が等距離で付いてきている。試しに地下鉄の階段を下るとやはり彼らも距離を詰め、後ろからやってきた。

明らかな尾行であることが判明したが、いかんせん人目の多い場所だ。精神的に圧迫を加えるのが目的だろうが、それ以上に手出しは出来まいと考えたし、実際にそうだった。私は地下鉄のホームから再び地上に上がり次の目的地へ向かった。

だが彼らの攻撃はそれでは終わらなかった。イベント当日私達はゲストの移動や進行の把握に携帯電話での通話を予定していたのだが、電波が弱い地域でもないのに、いくらダイアルしてもどこにもかからない。私の携帯電話だけでなく、連絡を取り合うことになっていた全ての携帯電話(皆至近距離にいたのだが)が通話不能になっていた。

電話会社のシステムトラブルであろうかと、最初考えたが身内の関係者が複数のアンテナを車の後ろに立てた不思議な自家用車が周辺を行き来しているのを発見した。その不審な自家用車が遠ざかると携帯電話の発信が可能となる。また近づいてくると全く携帯電話は使い物にならない。いわゆる「妨害電波」を発信することによって彼らは我々の通信妨害を図っていたのだ。

と、ここまでは私の昔の経験である。読者の中にこれまで「盗聴」をした(されたではない)経験の持ち主はいるであろうか。仮にいても「あるよ!」と名乗り出られることはないであろう。

◆「盗聴」されていることは固定電話よりも携帯電話の方が分かりにくい

私も「盗聴」ではないが、法で定められた範囲で他人の電話会話を「傍受」した経験がある。

日本に電話会社が一つしかなかった時代、そこへ勤務していた時のことだ。当時は電話局と呼ばれていたその場所には「局内」と呼ばれる場所が主として地下に位置していた。電話回線を交換機に結ぶいわば電話機能の心臓部があり、「ジャンパー」と呼ばれる細い線が「収容位置」により各固定電話が認識され、交換機と接続され通話が可能となる仕組みであった。当時電話の交換機には旧型の機械的なものからコンピュータ化された最新型への入れ替えが盛んであり、古い交換機は中国などへ輸出されてもいた。

電話回線は自然災害や不慮の事故がない限り概ね安定的なものであったけれども、時にそれを確認するためにランダムな電話番号を短時間「チェック」(傍受)して安定性を確認する業務があった。勿論「通信の秘密」を厳守すべきことは先輩方から厳しく指導され、その上で業務にあたるわけだが、同時にその場所は新たな固定電話を設置した際に現場から回線が問題なく開通しているかなどの試験を行う場所でもあり、その確認作業も行うので、そこそこ賑やかな場所でもあった。

通話が安定的に保たれているかは交換台に座り所定の手続きを行えば、特定の電話番号を一時的に傍受が可能となり、それにより問題がなければ速やかに切断することになる。私がこの仕事に従事していたのは「盗聴法」が施行されるはるか昔のことだで、この業務は「盗聴」ではなくあくまでも通信回線の安定性を確認するためのものだった。

実は警察や捜査関係者あるいは「犯罪者」でなくとも、固定電話の「盗聴」は技術的にはたやすい。少し電気の知識と技術それに簡単な器具が準備できればさほどの困難なく「盗聴」は可能だ。実際私も前述の企画を進行中に関係者宅が一斉に「盗聴」されて困惑した経験がある。詳細は犯罪防止のために省くが特定の方法で「盗聴」をされると通話の音質が変わり、エコーのような反響が起こるので、予備知識のある人間には直ぐに判明する。だが、「局内」からの「傍受」の際にはそのような通話状態の変化は起こらない。

他方、今日は固定電話よりも携帯電話が主流となっている。携帯電話の「傍受」技術はとうの昔に確立されているだろうが、固定電話と異なり、携帯電話は電波により通話をしているため、話者が「盗聴」をされていても通話音質の変化などで「盗聴」に気が付くことはない。

通信傍受法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)」により理由づけが行われば誰の電話が「盗聴」されても、技術的にも法的にも不思議ではない時代になった。万が一程度の可能性だろうが注意をするに越したことはない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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