火炎瓶テツさんら経産省前「不当逮捕」が示す安倍ファシズム第二段階本格稼働

5月28日経産省前で3人の市民が逮捕されたという報に接した。「『戦争法案反対国会前集会』を終えた3名が、経済産業省本館の門扉外側のスペースで抗議行動を行っていたところ、警備員の通報を受けた警察官により身柄を拘束されてしまいました」と友人は語っている。経産省の敷地に入った「建造物侵入」が逮捕容疑のようだが、言いがかりであることは明白だ。

◆火炎瓶テツさんと仲間たちの逮捕容疑は明確な意図に基づいた「言論弾圧」

これは明確な意図に基づいた「言論弾圧」である。逮捕された3名の中の1名は、反原発や反戦争など主として経産省前、だが時に応じて文科省前、東電前や米国大使館前などを自在に移動し、「決して逮捕されない」ように細心の配慮を払って活動していた「火炎瓶テツ」さんだ(本名は書かないが事件の性質上彼の「仕事名」は明かした方が良いと考え、顕名とした)。


◎[参考動画]2015.05.28『戦争法案反対国会前集会』終了後?火炎瓶テツと仲間たち【10/10】

私は彼を良く知っている。彼の明晰さと行動力、そして人に訴えかけるアジテーション、即興のラップリズムに乗せた風刺のメッセージ。

東京で抗議行動に参加された方の多くは彼の顔や声を聞いたに違いない。「大丈夫?」と聞くと「何やられても絶対逮捕されませんよ」と昨年語っていた彼は、3・11後大勢が官邸前に集まるのを確認しながら、自分の活動拠点を取り敢えず「経産省前」としたようだ。この点「経産省前テント広場」の方々と着眼点の共通点がある。慧眼だ。

彼のバイタリティーには恐れ入っていた。灼熱の夏の日も、極寒の冬の日も週に最低2、3回は「仲間」とともにどこかで抗議活動を繰り広げている。

そう彼には、彼と共に活動を続ける「仲間」がいる。だから抗議行動の名前は常に「××反対!!火炎瓶テツと仲間たち」となっていた。逮捕された時にも多くの仲間がその現場を確認していたことだろう。

◆下地真樹=阪南大准教授「不当逮捕」と共通する「狙い撃ち」

2012年12月大阪で公安に逮捕された阪南大学経済学部准教授、下地真樹氏(「モジモジ先生」下地真樹さんの声明「警察はウソをついて私を逮捕」)のケースとの共通点も見いだせる。それは彼が単なる「抗議活動参加者」ではなく、優れて自分の言葉で問題の中心部を抉り出し、それを行政なり企業なりに直接ぶつける議論に「ひとりで」対抗できる頭脳と行動力の持ち主と言う点だ。

実は権力にとっては10万人の集会よりも、「個を確立した」10人の方が恐ろしいのかもしれない。党派にも属さず、自分の皮膚感覚と経験、そして学習に依拠して毎度毎度異なるテーマ―で悪政の根本を糾弾する「火炎瓶テツ」は、そろそろ「好きにさせておいてはいけない」と判断されたのだろうか。

彼のニックネームはやや「過激」に聞こえるかもしれないけれども、この時代、心の中に「火炎瓶」を持つぐらいの怒りを持たない方がどうかしている。

◆理性のある人間が戦争に反対し、戦争推進の動きに怒るのは当たり前

国会の中で安倍は一体何を語っているのか? 有事関連法制などというが、その実「どのように戦争を執り行うか」(しかもその前提は極めて根拠が曖昧・希薄である)の技術・解釈論だけであり、呆れるほど結果に対する洞察力を欠いている。戦争が起きたらどんなに非常が待ち受けているかを、真剣に想像している方々がどのくらいいるであろうか。残念ながらそういった懸念なしに過ごすことの出来ない日常が今日の姿だ。政府により戦争への明確な準備が目の前で行われている。

いくら嫌がっても残念ながらそれが現実だ。「人殺し」はいけない。どのような理由があろう避けるべきだ。だが戦争は国家が「お墨付き」を与える「合法的殺戮行為」だ。私的な「人殺し」に反対するのであれば「戦争に反対する」のは明々白々じゃないか。日本の憲法がどうであれ、日本の友好国がどうであれ、もっと言えば自分の親戚や身内が賛成しようとも、理性のある人間は戦争に反対し、それを推し進めようとする動きに怒るのは当たり前ではないか。戦争推進に怒ることなくして、一体何に怒れというのか。

◆「個」を持った「まつろわぬ」人たちがどんどん駆られる島国ファシズム第二段階

国家にとって目障りで邪魔なのは「個」を持った発言者・行動者だ。だから今回の逮捕は「火炎瓶テツ」には気の毒ではあるけれども、とうとう「戦争扇動者」安倍により「こいつは野放しに出来ない」と認められた勲章ともいえる。仮に不当な起訴や重刑が語られれば話は別だが、いくらなんでも大した罪状で罪は問えまい。

私は今日もまた「ついに来たか」と感じた。水際はどんどん迫って来る。影響力はないもののある意味「発言者」である私にとって、「火炎瓶テツ」の逮捕は他人事ではない。彼の主張は私の思想に比べれば余程穏便だったのだから。

これから、どんどん駆られるだろう。「個」を持った人間が、「まつろわぬ」人たちが。この島国のファシズムは第二段階に入った。

◎[参考動画]2015.05.28『戦争法案反対国会前集会』シュプレヒコール【5/10】

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎〈生きた現実〉の直撃弾──鹿砦社松岡社長が自身の逮捕経験を「告白」講義
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎公正な社会を求める企業は脱原発に動く──『NO NUKES voice』第4号発売!

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〈生きた現実〉の直撃弾──鹿砦社松岡社長が自身の逮捕経験を「告白」講義

関西大学で共通教養科目の中のチャレンジ科目として開講されている『人間の尊厳のために』の非常勤講師、鹿砦社松岡利康社長の2回目の講義が5月29日行われた。先に本コラムでご紹介した通り、講義1回目は松岡社長(鹿砦社)の社会的活動紹介に中心を据えた内容で、とりわけ高校の同級生であった東濱弘憲さんが熊本で始めた「琉球の風」について詳しく紹介された。

前回の講義では「はじめに─〈人〉と〈社会〉との関わりの中で、〈死んだ教条〉ではなく〈生きた現実〉を語れ!」と題したレジュメが配布されたが、言及された「現実」とは音楽活動(琉球の風)や文化・教養活動(西宮ゼミ)が中心であり、出版社として「人」や「社会」と関わってゆく姿勢の、いわば「前向きな活動」紹介だったと言える。

◆10年前の逮捕経験を静かに語り始めると、空気が変わった

29日の講義でも冒頭は10数分「Paix2(ぺぺ)」の活動を紹介するテレビ番組が上映され、参加学生は「このまま講義は進んでいくのだろう」と感じていたのではないか。

しかし、注意深い学生たちは既に気が付いていたはずだ。この日配布されたレジュメやコピーは先週のそれとは全く内容が異なることに。

「次に、たぶん私がこの教壇に立つことになった経験について語らせて頂きます」と切り出すと、松岡社長は配布資料中朝日新聞朝刊1面に掲載された、自身の逮捕を予告する記事を指し、2005年7月12日に起こった神戸地検特別刑事部による自宅包囲、事務所への連行から、自宅、事務所のガサ入れについて、それまで「琉球の風」や「Paix2(ぺぺ)」を語っていた口調と全くトーンを変えずに語り出した。

配布資料は朝日新聞1面だけでなく、逮捕に批判的な識者談話や有罪判決時の新聞記事、週刊金曜日に何度も掲載された山口正紀氏のメディア批判、さらには裁判の支援呼びかけ人に名を連ねた人々談話などA4両面印刷で4枚、8ページに及ぶ。松岡社長が自身の経験談を語り始める前から熱心にこの資料をめくる学生の姿も散見された。

そして「逮捕されると、全身裸にされて、こんな格好で(実際に命じられた姿勢を体現して)体を調べられるんです。女性も同様だそうです。『裁判所は人権の砦』などと言われますが、有罪も決まっていない逮捕段階で全身裸にされる。これは『被疑者を委縮させる』ためのやり口であり『人間の尊厳』も『人権』もあったものではありません。そして私の場合は『接見禁止』が付きました。弁護士を除く外部の人間と一切の連絡を絶たれたわけです。これは非常に精神的に堪えました。半年余りの拘禁生活で鬱に近い状態になりました。あの状態がもっと続いていればさらに厳しい精神状態になったでしょう」

目の前で講義している人物が、10年前に名誉棄損で逮捕拘留、接見禁止までを食らった人物であることを全学生が認知した瞬間だった。140名ほどが受講する講義だから数名寝ている学生はいるが、私語は一切ない。教室の空気も松岡社長が意識して作り出したわけではないだろうが、それまでとは一変し、緊張が支配する。

◆「輝き」と正反対の「闇」を語ること

さらに、保釈後直ぐに行われたサンテレビによるインタビュー映像が流される。穏やかな表情で、レジュメを目で追いながら、どちらかと言えば小声で話をしている講師はインタビューの冒頭「今のお気持ちを」と問われると「何が何だかわかりませんよ!」と憤然と答えている。インタビュアーに怒っているのではないことは容易に見て取れる。裁判を「自分だけのものではなく闘っていく」との宣言もある。

自身の経験を語るにあたり松岡社長は何度も「生き恥を晒すようですが」と繰り返した。そんなことないじゃないか、司法の暴走被害者が「恥じ入る」必要なんてない、と私は感じたが、彼が語り掛けているのは目前「学生達」だ。主として1年生が受講していることへの配慮もあってか、逮捕拘留から有罪への「生き恥」(松岡流)披露であったが、本来であれば語りたかった(語られるべき)であろう事件の背景や周囲で暗躍した人間たちへの批判は皆無だった。

2回の講義で松岡社長が伝達しようとしたことは「生きた現実」に尽きよう。その「輝き」と、正反対の「闇」。人生論と換言も可能な彼自身の豊穣かつ激烈な経験だったように思う。

◆学生の中で「何か」が確実に動いた

「ちょっと踏み込んだことをすると私のように逮捕されるのがこの世界です。そういう覚悟のない人は踏み込むべきではないし、踏み込むからにはその覚悟を持ってほしい」

口調は相変わらず穏やかである。あくまでも穏やか。それだけにこれほど「ドスの効いた」言葉はない。文字通り「生きた」直撃弾だ。松岡社長が講義中、展開した持論の1つは「安全地帯から何もせずに『表現の自由』だの『言論・出版の自由』というのは簡単で耳触りもいいけども、身を持って実践していくのは並大抵のことではありません」である。

正しく聞こえても実践を伴わない美辞麗句は「空論」に過ぎない。「そんなものは何の価値も迫力もないよ」と彼は繰り返し言外に語っていたように思う。

講義終盤、彼の話は穏やかながら熱を帯びる。静かな熱。あくまで穏やかな語り口。そして「それではこれで私の講義を終わりにしたいと思います」と語ると、教室中から拍手が起こった。

学生の中で何かが確実に動いた瞬間だった。

◎[参考資料]松岡利康=鹿砦社社長によるフェイスブックでの講義報告(2015年5月30日)
https://www.facebook.com/toshiyasu.matsuoka.7/posts/876422795751113

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎関西大学の教壇で鹿砦社の松岡社長が〈生きた現実〉を語る!
◎『噂の眞相』から『紙の爆弾』へと連なる反権力とスキャンダリズムの現在
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
◎「大阪都構想」住民投票を否決し、姑息なファシスト橋下に退場の鉄槌を!
◎公正な社会を求める企業は脱原発に動く──『NO NUKES voice』第4号発売!

世代と地域を繋げる脱原発情報マガジン『NO NUKES voice』Vol.4好評発売中!

 

ファシズム日本の予言書──辺見庸「抵抗3部作」がどれも絶版になっていた!

3・11後に日本社会の不条理を初めて考え出した若い知人に「最近の社会問題がわかりやすくて役に立つ本はないか」とかなり前に問われたので、10冊ほどを推薦したが、その中に辺見庸の『永遠の不服従のために』、『いま抗暴のときに』、『抵抗論』(いずれも単行本は毎日新聞社、文庫本は講談社)を入れておいた。

彼の人は私に意見を求めておきながら、なかなか腰が重かったようでつい最近になって連絡があった。「教えてもらった3冊とも、もう絶版になっていて、本屋に売っていませんでした」とのことだった。先般の船戸与一の逝去についで、また「え!」とメールを見ながら声を上げてしまった。

この3冊は21世紀に入っていきなりの9・11から米国のアフガニスタン侵攻、イラク殲滅の時代に対する辺見のエッセーや取材が収められているものだが、文庫の初版は2005年だった。今日的な国家主義、ファシズム急加速の序章を詳述した10年ほど前のこの3冊は、今読んでも(否、まだ未読の方々には今の時代にこそ)示唆と警告に満ちているのだが、あろうことか絶版だそうだ。

単行本ならばともかく、文庫でも買い求める人がいなくなったということなのだろうか。この事実、私にはかなりショックである。

いつのまにか絶版本になっていた辺見庸「抵抗3部作」(『永遠の不服従のために』、 『いま、抗暴のときに』、『抵抗論』いずれも講談社文庫)

◆辺見の「悪い予感」を上回って加速する日本の終末状況

絶版になっているの知ったので、まことに大雑把な種明かしをしておこう。「抵抗3部作」とも呼ばれたこの物々しいタイトルの3冊は辺見による「戦後民主主義終了、国家主義ファシズム完成、そして戦争へ」との警鐘が綴られたものだ。往時の米国大統領はブッシュで、日本の総理は小泉純一郎。前述の通り9・11、NYでは貿易センタービルに航空機が突っ込み2つの高層ビルが崩壊、ワシントンではペンタゴン(国防総省)へも同様の航空機突入など米国史上初めて本国に甚大な攻撃を受けた事件(これに絡んでは米国の謀略説も根強いが)を引き金に、猛獣と化した米国は戦争に猛進する。小泉もあろうことか憲法前文を「解釈抽出」して実質的海外派兵を行った。

「改革の本丸は郵政民営化」とのわかったようなわからないようなワンフレーズを多用する総理は、不幸にも絶大な人気を得、共産党支持者の中でも70%が支持をした。

また小泉は朝鮮を訪問し拉致被害者の一部が帰国を果たす(当時の官房副長官は現首相安倍)が、それにより在日韓国朝鮮人への差別が一層激化した時代でもあった。排外主義の激化があからさまになりだした。

一連の出来事は主として13-14年前で、この「抵抗3部作」が文庫化されたのが10年前である。

辺見の悪い予感を上回る第一次安倍内閣誕生から、いっときの民主党政権、そして3・11を経て自民党政権回帰へと、語られるべきテーマや登場人物は明らかに悪化の一途を猛進する。戦後最悪、否新たな戦争を運命付けられた「戦前」とも言うべき時代を迎えている。

2003年頃にいわば「終末」宣言を出していた辺見にすれば、もうこの期に及んで紡ぐ言葉などない、というのが本音なのだろうか、ここ数年の辺見の文章は「最後のアジテーション」とでも表現すべき「抵抗3部作」の激情的ともいう文体ではなく、総じて詩的である。

だからこそ「抵抗3部作」は戦後民主主義の死滅がいかなるものであったかを個々が総括するために、今日的終末状況が21世紀に入りどのように加速化したかを再確認するために(この書群では当然それ以前の状況への言及も豊かだが)是非ともこの時代に読まれるべき価値があると思う。

これからさらに暴虐の時代に突入することは間違いない。その心構えはあなたにあるだろうか。

◆辺見庸「抵抗3部作」絶版は単に「売れなくなった」ことだけが理由だろうか?

戦争の時代がやってくる。どうやらそれは辺見や私が懸念していたよりも到来の時期は大幅に早まるようだ。辺見は相当な危機感とそれまでの小説やエッセーで見せたことのない(たぶん辺見自身が忌み嫌う)直接的な表現をあえて多用し危機の深刻さと重大さを吼えまくっていたのだけれども、今読み返せば辺見の咆哮はそれでもまだ足らなかったのだ。

「抵抗3部作」絶版は単に「売れなくなった」ことだけが理由だろうか、などと意味もない詮索をしてしまう自分の未練たらっしさもみっともないけれども、げに、恐ろしい時代に生きているのだと痛感する。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎5月17日熊本で知名定男プロデュースのライブイベント「琉球の風」2015開催!
◎基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?

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関西大学の教壇で鹿砦社の松岡社長が〈生きた現実〉を語る!

松岡利康=鹿砦社社長(2015年5月22日関西大学)

関西大学で共通教養科目の中のチャレンジ科目として開講されている『人間の尊厳について』で5月22日、講師としてついに松岡社長が教壇に立った。浅野健一同志社大学大学院社会学研究科博士課程教授(京都地裁で地位確認係争中)に次いでの登場で、出版人として受講学生に松岡節が披露された。

さて、どんな講義が展開されるやら。鹿砦社、松岡社長が学生にどんな球を投げかけるのか。ど真ん中の直球か、胸元すれすれのブラッシュボールか、と期待半分に案じていたが、内容は至極穏やか、かつ優しさに満ちた講義となった。

◆〈社会〉との関わりの中で〈死んだ教条〉ではなく〈生きた現実〉を語る

配布されたレジュメは「はじめに─〈人〉と〈社会〉との関わりの中で、〈死んだ教条〉ではなく〈生きた現実〉を語れ!」と勢いのある書き出しから始まる。学生運動経験のある松岡社長のことだ、その後にアジビラ風の文章が続くと思いきやそうではなかった。レジュメは出版のあれこれというよりは松岡社長が社会的に手掛けている活動紹介が中心となっている。

したがって講義内容も出版人というよりも松岡社長(鹿砦社)がどのように「社会」と関わっているか、関わりを創造しているか、の紹介に主眼が置かれていた。

◆「人権破壊」としての福島原発事故への衝撃から『NO NUKES voice』発刊

最初に言及されたのが「人権破壊」としての「脱(反)原発」活動への関わりだ。福島原発事故に強い衝撃を受け、また怒った出版人として『NO NUKES voice』を発刊したことがまず紹介された。

『NO NUKES voice』Vol.1(2014年08月25日刊)~Vol.4(2015年05月25日刊)

◆左右問わず生きた思想」を学ぶ場としての「西宮ゼミ」

次いで、鹿砦社本拠地で続けられている「西宮ゼミ」に寄せる思いと意義に言及した。関西で鹿砦社と言えば「西宮ゼミ」と言われるほど浸透した感のあるこの企画も、単なる出版にとどまらず、「左右問わず生きた思想」を学ぶ場として市民に提供してきた意義を述べ、これまでの登場した全ての講師陣が資料で紹介された。

2015年の「西宮ゼミ」は「前田日明ゼミin西宮」。第3回は2015年6月7日(日)14:00よりノボテル甲子園にて開催。ゲストはジャーナリストの田原総一朗さん。お題は「戦後レジームの正体を総括する!」

◆鹿砦社はなぜ、Paix2(ぺぺ)「プリズンコンサート」や熊本「琉球の風」を支援し続けてきたのか?

その後は、これまた鹿砦社が長年応援している女性デュオ「Paix2(ぺぺ)」の紹介だ。「プリズンコンサート」でついに全国すべての刑務所を制覇した「Paix2(ぺぺ)」。その活動を高く評価する松岡社長が支援する意味と出版の結びつきについて思いが語られたが、その真意は次週の講義で更に重みを増し、学生に伝わることになろう。

『逢えたらいいな プリズン・コンサート三〇〇回達成への道のり 』(2012年04月20日鹿砦社)


◎[参考動画]Paix2(ペペ)「受刑者のアイドル 網走刑務所」(2014年12月NHK放送)
◎[参考動画]Paix2(ぺぺ)公式youtubeチャンネル

更にはつい先ごろ7回目の開催となった「琉球の風」への協賛とそれに至る経緯が語られ。主たる講義部分は終了した。どれもこれも「社会」、「人間」との生きた繋がりを示す実践であり、素人が想像する専門職的な出版や編集の話とはほとんど無縁だ。

『島唄よ、風になれ!「琉球の風」と東濱弘憲』(2013年11月25日鹿砦社)


◎[参考動画]「熊本に流れる琉球の風」(2012年9月NHK放送)

これは一般的な出版社社長の講義ではない。自社発行物の紹介が無かったわけではないけれども、月刊誌『紙の爆弾』 に言及することもなければ、出版差し止めの苦い経験も語られなかった。敢えて名づければ「社会派企画出版社」の活動実績報告に近いだろうか。

「琉球の風」を語り終わった後には同イベントの様子を記録したDVDが約30分教室で流された。昼食直後の時間帯ということもあり、講義の最中には安らかにお休みになっている学生諸君の姿も散見されたが、DVDの映像が流れると目を覚まし熱心に見入る姿が印象的だった。

島唄の大御所で琉球の風」総合プロデューサー知名定男さん(写真中央)、「かりゆし58」前川真悟さん(右)、松岡利康鹿砦社代表(2015年5月17日「琉球の風~島から島へ2015」会場にて)

◆次回5・29関西大講義の「松岡弾」がいかなるものになるか?

2回連続の講義の初回、松岡社長はたぶん、学生に「言葉」で伝えようと内心弾倉に込めている弾薬を放ちはしなかった。学生に理解しやすい内容でまずは肩に力を抜いてもらい、胸襟を開いた学生たちに「価値観」を揺さぶる衝撃を次回講義に準備しているのではないか。

松岡社長によると、講義の感想を記した学生の感想文は「琉球の風」DVDの内容に感激した内容が多かったそうだ。学生の多くは初回講義である種の「油断」をしたのではなかと私は目星をつけている。そして、それは松岡社長の狙い通りだ。次回講義の「松岡弾」がいかなるものになるか、恐らく松岡社長の壮絶な過去を知らない学生諸君よりも私の方が楽しみにしているかもしれない。5・29関西大学で何が起こるだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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恐くはないのかな。
自分とは全く関係がないと思っているのかな……

原発事故後暫く、東京を中心とする関東地方と東北の人々は「官制報道」の中からだけであっても放射能の恐怖を心底感じていた。スーパーマーケットに並ぶ「ミネラルウオーター」はあっという間に店頭から姿を消し、電車に乗れば携帯電話が「緊急地震速報」を伝えるあの独特な「クイックイックイッ」という不気味な音を何度も同時に発していた。

◆「恐怖は持続しない」日常だが「原子力緊急事態宣言」は発令されたまま

いつ次の大余震が来るか、あるいは震源を別にする直下型の「21世紀関東大震災」が起こるのか、恐怖を抱いていた人の数は少なくなかったはずだ。だがあらゆる災禍について、人間の心理を言い当てた言葉がある。

「恐怖は持続しない」

地震への不安が無くなったわけではない。福島第一原発からは相変わらず膨大な汚染水がとどまることなく漏れ出していることも知っている。溶け落ちた炉心がどこにあるかは分からないし、「原子力緊急事態宣言」は相変わらず発令されたままだ。

でも、2011年3月11日から今日へ至る「恐怖」のレベルは(相当乱暴にまとめてしまえば)、一部の人々を除き確実に下降している。それはもっともなことであって私は被害者の誰をも責めるつもりはない。「恐怖」に支配された日々を耐え忍ぶ神経など通常の人は持ち合わせていない。戦場に暮らす子供達は爆撃の危険を身に染みて知りながらも、天気の良い日は外で遊びに興じるだろうし、難民キャンプの避難民たちも行く末に不安を抱きながらも気晴らし(それが実際はどんなものかは知らないけれども)の1つに苦渋を忘れなければ、その1日をやり過ごすことはでいないだろう。

◆「デモは生活の一部である―そんなふうに考えなくちゃいけない」

そこで日本の原発問題だ。ポスト3・11、確かに目に見える市民の変化はいくつも起こっている。事故前から脈々と続いてきた主として原発立地に依拠した反対運動に加えいくつもの大衆運動、とりわけ「デモ」文化が再生した。その様子は本誌巻頭で報告されている秋山理央氏のレポートが実につぶさである。その中で秋山氏は述べている。

「デモはお祭りのような特別なイベントではなく、生活の一部である―そんなふうに考えなくちゃいけない」

数々のデモや集会を撮影取材している秋山氏の至言だ。

で、しかしながら直視すべきはその参加者の構成だ。この国の人口構成比と均等ではない。批判を恐れずに言えば若者のデモ参加者は相変わらず少数だ。各地で開かれる集会や勉強会に「初めて」足を運ぶ人の数は増加しているだろうか。いつも監視している公安警察にこっそり教えて貰えば「いや、ここ数年あまり変化ないですね」と言われないだろうか。

◆パタゴニア京都ストアーマネージャー瀬戸勝弘さんたちの行動

被災地以外で暮らす労働者や主婦、学生達。その圧倒的な覚醒と行動なしには現状打破はたぶんない。ではどうすればその「難題」に立ち向かえるのか。それへ向けた回答の1つがNO NUKES voice4号にはある。「城南信用金庫」と「パタゴニア」(Patagonia)の試みだ。「城南信金」の吉原毅理事長の活躍は原発問題に関心を持たれる方であればご存知であろう。金融機関機関経営者でありながら独自の哲学を業務に活かす稀有な人物。「脱原発」を信条とする彼の信念が詳しく紹介されている。

そして私が最も注目したのが、パタゴニア京都ストアーマネージャー瀬戸勝弘さんのインタビューだ。「パタゴニア」は米国資本のアウトドア商品や衣料品を扱う小売店だが、3月7日瀬戸さんは会社と相談したうえで「3・7バイバイ原発きょうと」に、なんと「従業員がデモに参加する選択しを与えるため一時閉店」を敢行し、瀬戸さんはじめ店の従業員全員が自分の意思で「3・7バイバイ原発きょうと」に参加した。環境問題を意識した企業理念を掲げている会社とはいえ「店を閉めて」までの集会参加は耳にしたことがない。来客者向けに行ったTwitterなどでの事前「一時閉店」告知には凄まじい反応があったそうだ。それはそうだろう。瀬戸さんの行動とその及ぼす影響が、これからの脱原発運動に大きな示唆を与えるものであることは間違いない。

動かないのだ。どう語りかけたら、何を示したら反応してくれるのか。散々逡巡しているけれども彼ら(若者)は動かない、伝わらない。きっとそれを語る私自身が胡散臭かったり「ああ、また面倒くさいこと言っている」と思われていることを実は自覚している。でも冒頭の通りだ。

恐くはないのかな。
自分とは全く関係がないと思っているのかな……

少なくともこのことだけでいい、感じてほしいという絶望的な気持ちを「パタゴニア」の行動は打破してくれるきっかけになるに違いない。この企業行動とインタビューは必読だ。

patagonia says No nukes Go Renewable 2015

Go Renewable 2015 : パタゴニア従業員がみずから行動する理由

◆優しさの中に希望を見せてくれる加藤登紀子さんの「檄」


◎[参考動画]加藤登紀子 「難破船」(2012年6月17日放送「Net’s Professionals」)

NO NUKES voiceが果たすべき役割(それは途方もなく困難なものだけれども)はこの現状を少しでも動かすことに置かれている。その点で本号は2つの役割を果たしていると言えよう。1つは既に述べた「困難な現状打破」への試行と連帯。そして次には既に原発問題への関心を持つ方々へのより深い情報や知識の提供、更には「檄」である。本号の「檄」は何と言っても巻頭を飾る歌手加藤登紀子さんのロングインタビューだ。

藤本敏夫さんとの獄中結婚を本コラム読者ならご存知だろう(か)。数々の名曲を歌い上げ今もエネルギッシュに活動を続ける加藤登紀子さん、実は恐ろしいほど酒が強い。そして彼女の生声(放送や録音でもすばらしいが、生は全く違う)を聞いた時に文字通り背中がゾクッとした記憶が蘇る。あんな美声に貫かれたのは後にも先にも一度きりだ。

「おときさん」(加藤登紀子さんの愛称)があの声で、皆さんに(声は聞こえないけれども)語り掛ける「檄」は優しさの中に希望を見せてくれる。

「No Nukes voice」は更に加速する!


◎[参考動画]加藤登紀子「この空を飛べたら」

▼田所敏夫(たどころ としお)

兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

脱原発情報マガジン『NO NUKES voice』Vol.4は本日発売です!

『NO NUKES voice』Vol.4
【主な内容】

《表紙&フォトレポート》ALL STOOD STILL
秋山理央(フォトジャーナリスト)

《スペシャル・インタビュー》
3・11って ある種の革命だったのかもしれません
加藤登紀子さん(歌手)

《3.11以降の日本を生きるこどもたちへ》
松本春野さんからもんじゅ君への手紙

《脱原発、企業の取り組み》インタビュー

地域を越え社会貢献を果たす地域金融機関の展望
吉原毅さん(城南信用金庫理事長)

パタゴニアがデモに参加した理由
瀬戸勝弘さん(パタゴニア京都ストアマネージャー)

《報告・レポート》
廣瀬直己東電社長への直撃!(本誌特別取材班)

3・11から4年─改めて福島原発事故に向き合う
山崎久隆さん(たんぽぽ舎)

原子力規制委員会は再稼働推進委員会
木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)

[資料]高浜原発3、4号機再稼働差止仮処分決定要旨(全文)

福島から避難する人も福島に残ると決めた人も精一杯の選択だった
木幡智恵子さん(避難者の会おひさまカフェ)

原発プロパガンダとは何か?[第2回]福島民報・福島民友
本間龍さん(作家)

若者よ学べ そして考えろ 決して騙されてはいけない これ以上は…
納谷正基(『高校生進路情報番組ラジオ・キャンパス』パーソナリティ)

原発反対!★首都圏反原発連合台湾訪問
首都圏反原発連合

《講演》なぜ原発は人類と共存し得ないのか?
木原牀林さん(京都悠悠化学研究所主宰)

《運動情報》なぜ、九州電力川内原発が再稼働第一号か?
小川正治さん(再稼働阻止全国ネットワーク)

《運動情報》経済産業省前テントひろばに対する不当判決を弾劾する!
三上治さん(経産省前テントひろば)

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「医薬分業」や「お薬手帳」で利を得ている者は誰なのか?

読者の皆さんもご経験があろうが、疾病や怪我でクリニックや病院にかかっても、最近では病院では「薬」をもらえないことが当たり前になってきた。会計の時に診察費などを払い薬の「処方箋」を受け取り、どこかの薬局へ行き薬を購入しなければならない。

このように医療機関で薬を出さないように医師と薬剤師の分業化を進めることを「医薬分業」と呼ぶらしい。日本薬剤師会のHPには、

「医師は医学の専門家であり、薬物療法を熟知している半面、複数の薬を服用した際の相互作用や用量を増やした際に起こる副作用等の安全性については、薬という化学物質に精通している薬剤師のようには詳しくありません。それでも、目の前の患者さんが複数の病気や症状に悩んでいれば、医師は3剤、4剤と処方する薬を増やして助けようとするのが道理です。また、明治時代の開業医が診察料よりも薬剤料で生業を立てていたことも、過剰投薬と薬害を助長する土壌となりました。医薬分業を廃止し、薬学の専門家である薬剤師が医療の場から消えれば、今日においても、明治時代と同じ状況が起こりえます。

医薬分業はたしかに“二度手間”ですが、その“二度手間”こそが患者さんの安全を守り、最小の薬剤で最大の効果を上げることで、薬剤費の適正化にも役立っているのです」

とあり、日本薬剤師会の方々は「医薬分業」の推進派であるようだ。まあ、病院やクリニックで薬を出せなくなれば、必然的に薬局の需要が高まるのだから薬剤師の方々の職場は増え、歓迎するのは当然だろう。

◆説得力に欠ける推進派による「医薬分業」のメリット

だが、日本薬剤師会に限らず、「医薬分業」を推進する方々の展開する理由は今一つ説得力に欠ける。医薬分業を推進するメリットとされている点は、以下のようである。患者にとっては、

・重複投薬の危険防止になる。
・院外薬局での薬の充分な説明や投薬指導が受けられる。
・薬局を自由に選択できる。
・待合時間が減少する。
・処方内容の開示
・副作用防止

などが改善するという。

だが複数の医療機関にかかっている場合は「医薬分業」が「重複投薬」の抑止には何ら役には立たない。そういった批判をかわすためか薬局で処方箋による薬を購入しようとすると「お薬手帳はお持ちですか」と聞かれる。自身で薬の摂取を管理できない状態の患者さんにとって「お薬手帳」は有効だろうけれども、私は過去にどんな薬をどこで処方されたかなど、いちいち薬局に知られたくはないし、大方の医師は薬を処方するにあたっては既往症や、現在他に飲んでいる薬があるかを聞いた後に処方する薬を決める。

また社会全般に対しても「過剰投与の減少につながる 」と主張する人が多いが、果たして本当だろうか。薬剤師が仮に医師の出した処方箋に「過剰投薬」を発見したところで医師に対して「この投薬はいかがなものか」との質問を投げかけることなど、薬局の経営の観点からも、医師と薬剤師の力関係からも起こりえない空想だ。

都会にはドラックストアを兼ねた処方箋薬局が林立し、それとは別に処方箋のみを扱う薬局も増加している。小さなクリニックの近くで営業する処方箋薬局の薬剤師が「お客さん」であるクリニック医師の意向に異議を申し立てられるだろか。

たしかにミスに近い小さな過誤を発見できる程度の効用はあろうが、「過剰投薬」を防止するといった観点から医師に対して処方箋上に指示された薬を「取り消すように」と進言できる薬剤師(薬局)など構造的に存在できるはずがない。仮に厳密に進言を行えば「うるさい薬局(薬剤師)」として干されてしまうことは間違いないだろう。

また、薬剤師が「薬」のプロであることは間違いないにしても、処方箋薬局に勤務する薬剤師は商いとしての「薬屋」と言う側面も持つ。患者の症状に応じた薬剤の提供は薬剤師の義務だろうが、同時に「薬局として」売り上げを上げていかなえれば経営がおぼつかない。ここに私は「医薬分業」の決定的な矛盾と欺瞞を感じる。

たしかに大病院内でしか薬が処方されないと、診察後にさらに待ち時間が長くなる。そんなケースには処方箋薬局の存在は有難い。しかし病院にかかる患者は怪我や疾病で体の具合を悪くしているのだ。手間は一度で済むにこしたことはない。私のように田舎に暮らしていれば、医院と薬局2箇所を回るのはかなり余計な手間であるし、体への負荷になる。

◆「院外処方」では病院の経費が削減され、患者の薬価負担が増える

しかも、重要なことは「院外処方」を受けると「院内処方」よりも患者の薬価負担が確実に増えることだ。私自身が過去胃の調子が悪く近所のクリニックで診断を受けた際に1種類の薬を眠前に飲むように、と「院外処方」で薬を貰ったことがある。その時薬局でも受け取った「領収書」の内訳は「調剤技術料」191点、「薬学管理料」41点、「薬剤料」240点である。合計点数が472点だから総額は4720円に相当しその内「薬代」は2400円なのだ。この金額のうち自己負担は3割だから私の支払総額は1420円だった。

しかしクリニック内で「院内処方」として薬を出してくれるのであれば、「調薬技術料」や「薬学管理料」は徴収されないから薬代は2400円×0.3となり、720円で済むはずだ。処方される薬の種類や量にもよろうが、私のケースでは「院内処方」と「院外処方」ではほぼ倍の金額を払わなければならなかった。

更に「医薬分業」には重大な落とし穴がある。クリニックや病院は薬を出さなくなるから製薬会社から薬を購入する経費が大幅に削減できるだろうけれども、「処方箋薬局」は原則全国どこの病院で出された処方箋にも4日以内であれば対応しなければならない。内科、外科、皮膚科、眼科、精神科など、基本すべての診療科が出す「処方箋」に対応する在庫を揃えておかなければならないのだ。

小規模の薬局でそれは可能だろうか。不可能だ。実際に処方箋薬局にいっては見たものの、「在庫がありませんので後日お送りします」と言われたことのある読者も少なくないだろう。

総合病院の薬局が担っていた在庫と同等の種類を揃えておかなければならないのが今進んでいる「医薬分業」だ。そんなことが全ての薬局に担える道理がない。

前出の日本薬剤師会によると、

「2012年度の1年間に全国で発行された処方箋の枚数は7億5888万枚にのぼっていますが、医薬分業率は66.1%に達し、完全分業にようやく近づきつつあります」

そうだ。しかし患者の立場ならすれば「医薬分業」の全面実施は迷惑な話であることこの上ない。完全に医療機関と薬局を分離するのではなく、患者が希望する医療機関には薬局機能も残し、「院外処方」を扱う薬局と並存させるというのが現実的かつ、無理のない運用ではないだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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5.17熊本「琉球の風~島から島へ」大盛況!──奇跡の瞬間は2016年へと続く

7回目を迎える「琉球の風~島から島へ」が5月17日熊本市北区のフードパルで行われた。心配された天候も快晴、会場11時前には約200人が入場を待つ列をなし、熱い一日が始まった。

11時会場から途切れることなく聴取の入場は続く緑が目に心地よい芝の会場はしかし、徐々に温度を上げる。「夏がやって来る」と予想した通り、灼熱の太陽が降り注ぐ真夏並みの熱気が開始1時間半以上前から会場を包んだ。メインステージの横に「図書出版 鹿砦社」と他のスポンサーを圧倒するかのような大きな文字が嫌でも目にはいる。

開演前のメインステージ

開演前、「琉球の風」総合プロデューサーを務める「島唄の大御所」知名定男さん(写真中央)、「かりゆし58」前川真悟さん(右)、松岡利康鹿砦社代表

「いやーあの大きさの鹿砦社看板迫力ありますわ」何人もの方がそう言っていた。鹿砦社関係者は松岡社長、鹿砦社発行物やカレンダーなど数々を手掛ける書家の龍一郎氏以下6名が参加し、販売ブースのテントでこのコンサートの生い立ちを記録した『島唄よ、風になれ!『琉球の風』と東濱弘憲』を販売した。

しかし、幸せと呼ぶべきか、不運と考えるべきか左隣のブースは「オリオンビール」、右隣は泡盛各種を売っている。繰り返すが真夏並みの暑さ。テントの下にいても汗が滲む。「ビールを飲むな」と言われても無理!

松岡社長は3年前に友人に煽られて泡盛を20杯余り煽り、前後不覚でドブに転げて全身血だらけになったことがあるそうで、ペースは慎重だった。

13時定刻通りに「琉球の風」が始まった。司会は玉城満さん(沖縄県会議員)岩清水愛さん(エフエム・クマモト)琉球國祭り太鼓九州支部が会場いっぱいに広がり華やかに舞いながら太鼓を打ち鳴らす。メンバーの7割は女性だから迫力もあるが華やかだ。

ステージに参加ミュージシャンが順番に紹介され全員が並ぶ。いやはや贅沢この上ない光景である。

私の感覚では、もうこの時点でアルコールを受け付ける人の8割は出来上がっていた。ますます強さを増す日差しと次々に登場するミュージシャン。PA(音響)が実にきめ細やかに各ミュージシャンの特徴を活かしている。

そうそうたる出演者の中でもとりわけ近年鹿砦社と縁が深い川畑さおりの演奏が近づくと松岡社長は観客席の前列へ。たぶん泡盛を1杯しか飲んでいないが演奏が始まると踊りがはじける。川畑さおりは喜界島の出身だが、最後は徳之島の闘牛を歌った「ワイド節」。奄美の人たちが一番盛り上がるアップテンポの節に会場前方は総立ち状態だ。

川畑さおりさん

次いで「かりゆし58」が登場すると客席のボルテージは更に上がる。オリオンビールが飛ぶように売れるのを横目に『島唄よ、風になれ!「琉球の風」と東濱弘憲』はゆっくりと捌けていった。もっとも「いかがですか? 貴重な記録ですよ」と声をかけると「持ってるわよ」と答える方が相当数いて既に「琉球の風」ファンの間ではかなり浸透しているようだ(余談ながら「お隣さん価格で2杯目からはまけてくれへん?」と頼んだが「うーん、じゃあ一番おいしいの出しますので」とかわされた。終了後に「売上上がったでしょう」と店長に聞くと「いえいえ大したことありませんよ」、オリオンさん来年は少し色付けてね)。

鹿砦社陣営の一人が熱烈なファンである大島保克が登場すると、彼の姿は見えなくなった。最前列に移動したのだろう。この頃、横からの日差しを浴びながらも最初は無風状態だった会場に「風」が吹き始めた。ステージに建てられた幟が威勢よく舞い出し、我々のブースにもそよ風がやってきた。満を持して「琉球の風」が吹き始めた。

宇崎竜童に続き宮沢和史の登場で酔いと歓声は最高潮に達する。

宇崎竜童さん
宮沢和史さん

新生ネーネーズの皆さん

トリは「ネーネーズ」。昔の「ネーネーズ」を知る人にとっては何代目なのかと驚くほど年齢が若返っている。

最後再び出演者がステージに勢ぞろいしてフィナーレを歌い上げた。

と書いているが、実のところ自分自身分かりきっていたこととはいえ泡盛に首までつかっていたので細かい部分の記憶は曖昧だ。琉球音楽と泡盛で「酔うな」というのは無理な相談です。

ステージ終了後、慰労会(懇親会)にも参加させて頂いた。こんなに沢山のミュージシャンと普通に話をしていいんだろうか……。知名定男さんと乾杯し、「かりゆし58」の芸に声を上げ、宮沢和史と「中年の健康問題」について語り……。いやはや稀有な経験をさせて貰った1日であった。

前後するが、ステージの最後に司会の玉城さんは「また来年『琉球の風』でお会いしましょう」と結んだ。

うん。来年も行こう。関西から新幹線5時間かけて出かける価値が十分な「琉球の風」だった。

来年はあなたとも「琉球の風」でお会いしましょう!

▼田所敏夫(たどころ としお)兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

熊本日日新聞5月18日朝刊に「琉球の風」が紹介されている(この記者さん熱い中ビール一杯も飲まずに真面目に取材されてました)

 

『島唄よ、風になれ!「琉球の風」と東濱弘憲』

 

「在日特権」は実在する!──『紙の爆弾』6月号の注目記事

「在日特権」は存在する。「在特会」が登場する30年以上前から、「在日特権」を有するこの連中を何とかできないだろうか、と問題視はしてきた。「在日特権」を持つこの集団はしかし、武器の扱いや殺人術を職業的に習得している。「在特会」が行うような、お気楽な「示威行動」で太刀打ちできる相手ではない。しかもその「特権」は日本と米国間で締結された数々の「協定」により公然と認められているからたちが悪い。

私が意味するところの「在日特権」を保持する集団とは、言わずもがな「駐留米軍」のことだ。まかり間違っても「在日韓国・朝鮮人」の方々を指すものではない。

◆緻密に史実を掘り起した「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」

今発売中の「紙の爆弾」6月号に佐藤雅彦氏による「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」が掲載されている。佐藤氏の論考は常に緻密な歴史事実の掘り起しと、事実の積み重ねにより問題点を浮かび上がらせ私たちに示唆を与えてくれる。この記事は日本と米国の歪(いびつ)な関係、その中で起こった数々の事件を紹介し戦後連綿と続いてきた「日米連盟」の本質を教えてくれる。

沖縄に限ったことではなく、全国各地で「駐留米軍」による犯罪・事件は起きていた。仮に日本人がその犯罪・事件の被疑者であれば確実に重罪に処されることが確実なのだが、「駐留米軍」にはそんな裁きが行われない。ひどい場合は犯罪を犯したものが「名誉除隊」をして、さっさと本国に帰国してしまう。
何故か?

その理由と数々の事例を「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」は紹介し問題の本質を解き明かしてくれる。

折しも安倍が「一国の最高責任者が人前で恥ずかしげもなく、よくこんな話が出来るな」と世界中から大笑いを浴びた米国への「忠誠宣言」を米国議会で行った直後だ。

「オール沖縄」の人々が反対する中、辺野古の基地建設は「粛々」と進められようとしている。どうして日本政府はそんなにやっきなのか?

これらを理解するための力強い武器を「裁かれないヤンキー犯罪天国ニッポン」与えてくれる。小学校から大学まで通っても教えてはくれない「駐留米軍」問題の本質を知るのに最も優れた論考だ。

◆「多様な視野」で差別を撃つ「渋谷区マイノリティー政策は誰のためのもの?」

また、一見、問題の性質を異にするように見えるマイノリティー差別問題を焦点にした朴順梨氏による「渋谷区マイノリティー政策は誰のためのもの?」も掲載されている。この2本の論考は意識的に同じ号に掲載された訳ではないのだろうが、実は分かちがたい、同根の問題への異なる視点からのスポットライトと言えよう。

「在日特権」と「差別」。どちらも厄介だが問題を溶解させるためには「現実を知る」ことと「多様な視野」は必須だ。

上記2本の記事は必読! まだ、未読の読者には一刻も早い購入をお勧めする。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
◎就職難の弁護士を貸付金強要で飼い殺すボス弁事務所「悪のからくり」

自粛しないスキャンダルマガジン『紙の爆弾』目下話題の6月号発売中!

 

 

17日「大阪都構想」住民投票を否決し、姑息なファシスト橋下に退場の鉄槌を!

5月17日、大阪では「都構想」に対する住民投票が実施される。意地でもこれを通そうと橋下は多額の税金を使い「説明会」という名の宣伝活動に没頭している。一方これに反対する勢力は「自民党」・「共産党」の合同街頭演説を敢行するなど文字通り大阪を二分するかのような様相を呈している。

5月10日には自民党と共産党が合同で「大阪都構想」反対の街頭演説を行った

◆「泣きの芝居」を打った橋下を見て野々村竜太郎を思い出す

ここ数日、報道機関の世論調査で不利が伝えられると、とうとう橋下は市民の前で「泣く」芝居まで打ち出した。「維新」を名乗る連中、日頃は糞偉そうにふんぞり返って、「自分たちだけが正義だ!」など聞いているこちらの方が赤面する破廉恥な言葉を平然と使う癖に、状況不利と見るや、相手に対して全く見当違いの罵詈雑言を浴びせたり、質問が聞こえないふりをしたり、終いには泣き出してしまう。

まだご記憶であろう、あの「政務調査費」を不正使用した元兵庫県議の野々村竜太郎の号泣会見。日本語がわからなくても動画の面白さだけで世界中に有名になった彼は「維新」所属ではないけれども、選挙ポスターへ勝手に「維新」と書き入れ当の「維新」からも文句を付けられたそうだが、21世紀に「維新」を錦の御旗にする連中は形勢不利には「泣けば済む」と思い込んでいるらしい。

◆大阪市民は「都構想」を否決し、橋下ファシズムからの脱却を!

大阪市民に訴える。17日の「都構想」への住民投票には絶対に「反対」を投じてほしい。大阪を覆い尽くす気怠いファシズムを払しょくするために是非とも否決が必要だと私は考える。

その理由を一々開陳していると読者も退屈であろうから、分かりやすい参考例を1つだけ挙げる。このコラムで何度も取り上げてきた中原徹という男がいる。こいつは橋下に抜擢され2010年、大阪府立和泉高校に校長として就任した。民間出身で史上最年少とかなりの注目を浴びたのだが、中原が行ったことは学校行事の際に教師が「君が代」をしっかり歌っているかどうか口元を調査すること(この行為に対して当時の大阪教育長は「そこまでする必要があるのか」と疑問を呈していた)と、「平和教育」の名の下に生徒を自衛隊へ連れて行き、実質上の「体験入隊」まがいのことをしただけだ。

だが、中原のような人間は橋下が牽引する「維新」では重宝されるらしく、中原は和泉高校校長から2013年6月大阪府教育長に抜擢されている。教育現場も生徒も無視した情実人事が良い結果を招くはずはないのは簡単に予想できることだ。私が指弾し続けていた中原は「パワハラ」を行っていたと今年3月認定された。醜くも中原は抗弁するも結果辞職に追い込まれた。

中原徹

◆パワハラ騒動で府教育長を辞職した橋下の手下、中原徹はセガサミー役員に就任

これで中原が表舞台から身を引いてボランティア活動などで「罪償い」をしていれば私も追撃はしなかったのだが、あろうことか中原は5月1日付でセガサミーホールディングス社(以下「セガサミー」)の上席執行役員に就任している。

この会社の名前を聞いても業務内容が俄かに思いつく読者は少ないだろうが、「セガサミー」は主としてパチンコ・パチスロ台やゲームを造っている会社であり、先般決定された大阪でのカジノ運営の主導権争いの渦中の会社である。カジノでは桁違いの金が動くからその主導権争いは海外勢も含めて熾烈を極めている。

しかし、所詮は「ギャンブル」である。府立高校の校長や府教育長をパワハラで辞めた人間が即座に再就職する先としては余りにも不整合ではないか。校長として「皆さんギャンブルをしましょう!」と朝礼で訓示していたのだろうか。

2010年10月28日当時知事だった橋下は「カジノの合法化をめざす国会議員らを招いた『ギャンブリング*ゲーミング学会』(2013年9月よりIR*ゲーミング学会に名称を変更)の大会に出席し、『ギャンブルを遠ざける故、坊ちゃんの国になった。小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね、全国民を勝負師にするためにも、カジノ法案を通してください』と議員らにカジノ合法化を求めた」(2010年10月28日付朝日新聞)ことをご記憶の読者はいるだろうか。

成人にも例外を除き禁じられているギャンブルを「小さいころからギャンブルをしっかり積み重ね」と、常軌を逸した発言をしていたのが橋下なのであるが、当時は橋下の賞賛をすれば雑誌が売れる、テレビの視聴率が上がるという時代だったためか、これを問題視した報道や声はかき消されていたように思う。狂気とはこのような状態を指す。

◆耐え難いほど姑息すぎる橋下、中原の言動・行動・身の振り方

橋下も中原も法律を熟知した弁護士である。しかし彼らは法律を「自分にとって都合のよいように」使う術に長けているだけであり、本物の法律専門家とは言い難い。しかもその人間性の醜さは中原の身の振り方が示している。民間弁護士→府立高校校長→府教育長→ギャンブル会社役員との遍歴はおかしくはないか。

橋下や中原の頭の中にあるのは、その周辺をどんな言葉で言い繕おうとも決して社会正義や長期的な視野に立脚した地方自治体の在り方などではなく、「当座、目の前にある利益の確保」だけである。それが失敗すれば自分の判断間違いではなく、状況や他人に責任を転嫁する。

姑息だ。

耐え難いほど姑息だ。

もうこんな連中に騙されてはいけない。同じ心象を持つ安倍という災いが首相の座に居座る不幸の相似形と言ってしまえばそうなのだが、ここまで剥き出しの悪意にはもう退場してもらわなければならない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!
セガサミー会長宅銃撃事件で囁かれる安倍自民「カジノ利権」日米闇社会抗争
◎廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気
◎「テロとの戦い」に出向くほど日本は中東・アフリカ情勢を理解しているのか?
◎基地も国民も「粛々」と無視して無為な外遊をし続ける安倍の「狂気と末期」

自粛しない、潰されない──月刊『紙の爆弾』!

 

 

5月17日熊本で知名定男プロデュースのライブイベント「琉球の風」2015開催!

台風6号が沖縄から九州へ接近しそうだ。強い台風なので被害が出ないことを願うばかりだが、台風6号が通り過ぎたあとには、沖縄から熊本へ素敵な「風」がやってくる。

7回目を迎える「琉球の風」が今月17日(日)「フードパル熊本」(熊本市北区)で行われる。昨年の実施が延期となり1年おいての「琉球の風」となるが、沖縄音楽ファンには一足早い「夏」の訪れとなろう。

5月17日熊本「琉球の風」2015

◆宇崎竜童、宮沢和史、ネーネーズなど強力多彩な出演者

大御所、知名定男がプロデュースする「琉球の風」には50代以上の方なら誰でも御記憶であろう「あんた、あの娘のなんなのさ」の歌詞が印象的だった「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」で一世を風靡した宇崎竜童が友情出演、元THE BOOMの宮沢和史、新良幸人withサンデー、大島保克、下地勇、かりゆし58、金城安紀、AFEE、ネーネーズ、川畑さおり、SHY with 古見健二、國吉大介というそうそうたる顔ぶれが登場する。琉球國祭り太鼓九州支部の演奏も楽しみだ。


◎[参考動画]熊本に流れる「琉球の風」(2012年NHKニュース)Published on Sep 26, 2012 TOSHIRO Kikuchi

◆沖縄の唄と踊りと指笛と泡盛の香りが溢れる日

琉球(沖縄)音楽は日本のポップス界に限らず世界の音楽へも影響を与える独自文化であり、特に「平和」や「命」、「幸せ」を歌い上げる歌詞やメロディーが人々の心に響く。「歌謡曲」というジャンルが実質消滅した日本の音楽シーンで、量産される所謂「J-POP」は一時ヒットチャートの頂に立っても、そのほとんどは数年もすれば忘れ去られる。他方琉球発の楽曲は色あせることなく残り続け、若者だけでなく、幅広い年齢層の心を掴む。

距離的にも近い台湾でも琉球出身歌手は大人気でコンサートが開かれる時は大通りに日本語そのままの幟(のぼり)が何千本もはためく。

「琉球の風2015実行委員会」主催のフェスティバルには全国からファンが駆けつける。今年も熊本に南からの「風」と泡盛の香り、そして指笛と踊りがあふれることだろう。

五月晴れの空の下で「琉球の風」に吹かれ聴きなれたあの曲や、初めて耳にする新鮮さにオリオンビールを飲めば、日常のごちゃごちゃから離れウチナーに旅行した気分に浸れることは間違いない。まだ、若干だがチケットが残っているそうだ。チケットぴあ(セブンイレブン/サークルKサンクス≪Pコード:257-279≫、ローソンチケット≪Lコード:84197≫などで入手できる。お問い合わせは琉球の風2015実行委員会「島風(Shimakaji)」http://www.felicia.co.jp/shimakaji/まで。

そうそう言い忘れてはいけない。鹿砦社は「琉球の風」を協賛し応援している。鹿砦社本社の窓から見える甲子園では今季だらしなく見る影もない阪神タイガース。甲子園では「六甲おろし」が聞かれないが、熊本では「琉球の風」を吹かすのに一役買っている(笑)。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲 特別限定保存版』

◆5.17「琉球の風」2015強力多彩な出演ミュージシャンyoutube動画リスト[順不同]


◎知名定男「ジントヨーワルツ」


◎宇崎竜童「沖縄ベイブルース」


◎宮沢和史(THE BOOM)「島唄」20周年記念 ver PV


◎新良幸人withサンデー「パピル節」


◎大島保克「流星」


◎下地 勇「民衆の躍動」


◎かりゆし58「アンマー」


◎金城安紀 ヒヤミカチ節~カリーの唄 by 金城安紀&ありあり娘


◎ネーネーズ「黄金の花」


◎川畑さおり「永遠の碧 (あお)」 2011 奄美紅白歌合戦より


◎SHY with 古見健二
SHY「 君にファンキーミュージック 君とファンキータイム」


◎國吉大介「どうぞよろしくございます!」


◎玉城満[司会]出演作=映画「ウンタマギルー」でのワタブーショー

岩清水愛[司会](エフエム熊本パーソナリティ)