当欄で経過をお伝えしてきた東京地裁の「虚偽記者席」問題をめぐる国家賠償請求訴訟で、東京地裁(山田明裁判長)は1日、原告のフリージャーナリスト・今井亮一さんの請求を棄却する判決を言い渡した。今井さんは控訴する意向。

訴状などによると、今井さんは2011年5月から2012年9月にかけて東京地裁(多和田隆史裁判長)で、東京高裁警備員の頭を殴るなどしたとして公務執行妨害などの容疑で逮捕、起訴された大髙正二さん(72)という男性に対する計13回の公判を取材。大髙さんは無実を主張しており、事件前から裁判所に批判的な活動をしていたこともあって、一部で冤罪疑惑が囁かれていた(結果、懲役1年2月の実刑判決を受け、現在は東京高裁に控訴中)。そんな事件の公判で、東京地裁は毎回5席の傍聴席に「報道記者席」とプリントされた白いカバーをかけ、司法記者クラブに所属しない今井さんら一般の傍聴希望者を頑なに座らせないようにした。しかし実際には、「報道記者席」は5席中4~5席がいつも無人状態で、不審に思った今井さんが調べたところ、そもそも記者クラブ側から東京地裁に記者席の用意を一度も要求していないことなどが判明。そこで、今井さんは今年1月、同地裁に「虚偽記者席」で傍聴を妨害されるなどしたとして、国に損害賠償金1万円の支払いなどを求める訴訟を提起し、この日までに3回の口頭弁論が開かれていた。

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今月29日から始まる東電OL殺害事件の再審をめぐり、無実を訴え続けてきたゴビンダ・プラサド・マイナリ氏に有利な事実がまた1つ新たに明らかになったようだ。今月10日から11日にかけ、各マスコミが一斉に報じたところによれば、殺害された被害女性の手の爪からゴビンダ氏とは別の第三者のDNAが検出され、このDNAの型が被害女性の体内に残っていた体液のものと一致したという。これにより、再審でも有罪を主張する方針だった東京高検がついに方針を変え、無罪判決を求めることを検討し始めたそうだ。

この事件については、すでに事件現場のアパート室内や被害女性の体からゴビンダ氏とは別の第三者の体液や陰毛が色々見つかっていることが繰り返し報じられてきた。もはや日本全国でゴビンダ氏をクロだと考えているのは検察庁だけではないかと思える状況だったが、その検察もここまで決定的な無罪証拠が出てきたことにより、ついに白旗をあげざるをえなくなったということだろう。

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9月29日より広島市安佐南区の「カフェ・テアトロ アビエルト」で開催されていた「死刑囚の絵展」に行ってきた。展示されていた絵は、20数名の死刑囚による約50点。いずれの作品も、死刑囚・大道寺将司氏(1948年-)の亡母・幸子さんが遺した預金で創設された基金によって毎年開催される死刑囚の作品展に寄せられたものという。今回の絵展は、アビエルトのオーナー・中山幸雄さんがその作品展の主催者らと親交があった縁で実現したとか。

感想を率直に言うと、まず何より展示された絵のレベルの高さに感心させられた。一人ひとりの詳細な経歴は知らないが、おそらく作者の大半が絵を描き始めたのは獄中の身になって以降だろう。筆者は絵の専門的なことはわからないが、単純な話、自分が41歳の今から独学で絵を始めたとして、到底たどり着けないと思えるレベルの絵が並んでいた。

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以前取材した冤罪事件で、再審請求がなされたというニュースが舞い込んできた。
再審請求したのは、和歌山刑務所で服役中の西山美香さん(32)。西山さんは2003年、看護助手として働いていた湖東記念病院という滋賀県の病院で、意識不明で寝たきりだった男性患者(当時72)に装着された人工呼吸器のチューブを外して殺害したとして翌2004年に殺人容疑で逮捕・起訴された。

逮捕当時24歳だった西山さんは、裁判では無罪を求めて最高裁まで争ったが、2007年に懲役12年の判決が確定。その後、2010年に大津地裁に再審請求したが、翌2011年に棄却されたのち、大阪高裁への即時抗告、最高裁への特別抗告も相次いで棄却された。このほど大津地裁に対して行った再審請求は、2度目の再審請求ということになる。

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元妻を殺害したとして起訴され、「疑惑の男」として全米の注目を集めたドリュー・ピーターソンというイリノイ州の元警察官が今月初め、州の裁判所の陪審団に有罪の評決を下されたというニュースが日本でもテレビなどで報じられて話題になった。報道によると、ピーターソン本人がテレビに出て無実を訴えるなどしたことから、事件は劇場化。亡くなった元妻が生前、ピーターソンにナイフを突きつけられたことなどを訴えていたと知人らが証言した「伝聞証拠」だけで有罪の評決が下されたことも議論を呼んでいるとか。

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和歌山県警の科学捜査研究所(科捜研)の男性主任研究員(49)が鑑定結果の捏造を繰り返していたという疑惑が報じられ、注目を浴びている。報道によれば、この男性研究員は担当した交通事故、無理心中などの8件の鑑定について、上司への説明資料を作成する際に別事件のデータを流用するなどした疑いがもたれているという。

そんな中、この疑惑を熱心に報じている「YOMIURI ONLINE」に8月21日、《和歌山県警鑑定捏造 科捜研職員を書類送検へ》という気になる記事が出た。この記事によれば、和歌山県警はこの研究員を虚偽公文書作成・同行使と有印公文書偽造・同行使の疑いで書類送検する方針を固めたという。つまり、このような多数の余罪があることが疑われる類の事件で、和歌山県警はこの研究員を逮捕せず、書類送検で捜査を終結させようと考えているらしい。そのこと自体がどうかと思うが、この記事の中でさらに気になったのが記事の末尾の以下のような文章だ。

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元検事の市川寛さんのことは多くの方がご存知だろう。
市川さんは佐賀地検の三席検事だった11年ほど前、農協の組合長だった被疑者の男性を取り調べ中に「ぶち殺すぞ!」と恫喝するなどし、自白調書に署名させて起訴に持ち込んだ。しかしその後、良心の呵責に苦しんだ末、組合長の公判で自分の暴言を告白し、無罪判決が出ることに寄与。さらに弁護士に転身後、この事件を冤罪として取り上げたテレビ番組に実名顔出しで出演し、亡くなった組合長の親族に土下座して謝罪したことから一躍、全国的に有名になった。以来、「検事失格」という著書や講演などを通じて検事時代の経験を世に伝え、検察組織の問題を当事者の視点から体験的に語れる人物として注目を浴びている。

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「事実は小説より奇なり」というのは、たしかにその通りなのだろう。生きていると、「小説でもこんなことはないだろう」と感じるような不思議な出来事にしばしば遭遇するものだ。
しかし、筆者は冤罪事件を色々取材するようになってから、この言葉にある種の胡散臭さを感じるようになった。「小説より奇なり」と感じるような「事実」を見聞きしたら、まずはその「事実」が本当に事実なのか否かを疑うべきだと思うようになったのだ。

きっかけは、和歌山カレー事件だった。この事件は14年前の発生当初、「小説より奇なり」と感じるような「事実」がマスコミでずいぶん色々報じられていた。それはたとえば、こんな「事実」である。
この事件の犯人である女性は、事件以前、夫と共謀して様々な手口で保険金詐欺を繰り返していた。その中では、夫にも何度か死亡保険金目当てでヒ素を飲ませたことがあった。夫はそのせいで何度かヒ素中毒に陥って死にかけたが、それが妻の仕業とはまったく気づかず、妻のことを疑うことすらなかった。そして夫婦は騙し取った多額の保険金で一緒に贅沢な暮らしを続けていた・・・。

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「わしが何を言うても、『家族だから、かばってるんやろ』と思う人もいるからなあ……」
7月28日、大阪市内の会場で開かれた林眞須美さん(51)の支援集会。久しぶりに会った眞須美さんの夫・健治さん(67)が休憩時間中、そんなことを言っていた。
1998年7月25日、和歌山市園部で開かれた自治会の夏祭りで、何者かがカレーにヒ素を混入し、60人以上が急性ヒ素中毒で死傷した和歌山カレー事件。殺人罪などで逮捕・起訴され、一貫して無実を訴えながら2009年5月に死刑判決が確定した眞須美さんは今も無実を訴えて再審請求中だ。

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再審開始決定に対する東京高検の異議申し立てについて、31日に東京高裁の決定が出る東電OL殺害事件。今では誰もが知っている有名な冤罪事件だが、15年前の事件発生当初は何よりも被害女性のプライバシーに世間の関心が集まっていた。
慶応大学を卒業し、東京電力に総合職として勤めるエリートOLだった被害女性。彼女は夜になると、渋谷区円山町界隈のホテル街の路上で客を引く売春婦という裏の顔を持っていた。事件発生当初、マスコミはそんな彼女のプライバシーを競って報じ、週刊誌の中には彼女の全裸写真を掲載したところもあったほどだった。

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