上記『人権と利権』は5月23日発売以来話題を呼び圧倒的な勢いで売れています。ちょうど、いわゆる「LGBT理解増進法案」が国会に上程され審議に入るということもあったかと思いますが永田町界隈でもよく読まれていたようです(このこともあってか編者の森奈津子さんは参議院に参考人として呼ばれています。この件では賛否ありますが、ここでは触れません)。発売直後にAmazonから700冊余りの注文が来、これが捌けると在庫がなくなりAmazonでは古書業者が高値で出品し定価の倍近くになっているほどです。

こうした情況に不快感を覚えたのか、発売から1カ月近くにもなって突然Colabo仁藤夢乃代表が、同書(特に表紙、グラビア)を非難し、そしていつものように彼女の周辺から、対談者の一人で、「女性に対する暴力を想起させる表紙」について「謝罪」した加賀奈々恵さんに誹謗中傷が集中しています。甚だ遺憾であり怒りを禁じえません。私たちは断固加賀さんを守り共に在り続けます。全国でも特にLGBT化が進む埼玉県で、覚悟を決め、女性・女児の人権、安心・安全のために、たった一人でLGBT化(具体的には公衆トイレから女性トイレをなくし「ジェンダーレストイレ」化)に異を唱えた加賀さんの志に連帯します! 加賀さんのツイッター(およびyoutube)にアップされた意を決した加賀さんの凛々しさを見よ!


◎[参考動画]加賀ななえ【政策の変遷について/埼玉県LGBT条例基本計画パブリックコメントについて】(2023年2月26日)

当然私たちとしては理不尽な攻撃に対して最後まで加賀さんを見放さず守ることは言うまでもありません。当社への抗議は今のところファックスが1枚来ているだけです。

ここで、表紙について少し説明させていただきます。

【1】仁藤代表が仰るような、Colaboのバスの画像を「切り刻まれ」たというのは全くの誤認です。バスは、取材班メンバーが4月末に駐車場を突き止めそこに赴いて撮影したものでネットから採ったものでもありません。その写真をグラビアと共に、表紙のバックに使っています。本文で記事に採り上げているからです。そのどこがいけないのでしょうか? バスに「肖像権」があるのでしょうか? 私たちが昨年そのバスに傷つけたというツイートもありましたが、昨年私たちの取材班は動いておらず悪質なデマです。

現地に赴くということは、基本的に当社がよくやっている手法で今に始まったことではありませんし、当社に限らず他社の週刊誌などでもよくやっている初歩的な取材方法です。鹿砦社として最近では東電の幹部、原発事故の関係者や「大学院生リンチ事件」(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)関係者を直撃したりしています。

【2】バスの前のガラスが割れているのは、LGBTの象徴であるレインボーのガラスが割れている様子で、特段意味はないです。見る人によって受け取り方はいろいろあるとは思います。決して「女性に対する暴力を想起させる表紙」を目論んだわけではありませんが、加賀さんがそう感じられたのであれば残念です。男目線と女目線では感じ方が異なるのかもしれません。「派手目に」やればやったでアレコレ言われ、また綺麗に大人しくやれば目立ちませんし、むずかしいところではあります。

【3】本書は月刊『紙の爆弾』という雑誌の増刊号ですが、雑誌は決められた発売日を1日も遅らせることはできず、今回は特に「緊急出版」ということでかなりタイトなスケジュールでした。『紙の爆弾』など他の雑誌も同様にタイトですが、多人数が寄稿したりするので、表紙のチェックについて『紙の爆弾』は編集長1人の独断で、他の雑誌も2~3人がチェックするだけです。寄稿者全員に回していれば取次搬入日に間に合わなくなります。例えば『世界』という雑誌がありますが、寄稿者全員がチェックするわけでないことは当然です。その表紙にも好き嫌いはあるでしょうが。加賀さんバッシングに加担している太田啓子弁護士は、実は鹿砦社発行の反原発雑誌旧『NO NUKES voice』(誌名変更し現在『季節』)に座談会で登場されたことがありますが、太田弁護士に事前に表紙を見せたことはありません。

【4】今回は5月18日に取次搬入で、23日に発売でした。加賀さんら寄稿者・対談者らには18日発送、19日か20日に届きご覧になったと思います。逆に言えば、それまで加賀さんに表紙をご覧いただくことはありませんでした。また、他の方々の原稿の内容も、いたずらに別の方々に見せることはできませんから見本が届くまでは知る由もありません。

【5】表紙、グラビア、他の方々の対談や寄稿の内容については、5月19日 or 20日に見本をご覧になるまで加賀さんは一切ご存知なかったし、一切の責任は鹿砦社にありますので、誹謗中傷や文句があれば鹿砦社の私松岡にお願いいたします。お名前、ご連絡先などを明記の上、メールmatsuoka@rokusaisha.comかファックス0798-49-5309にてお送りください。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

もう少し言わせてください。加賀さんを誹謗中傷する人たちは仁藤代表はじめ果たして『人権と利権』の内容をよく読んだ上で批判しているのでしょうか? 「言論には言論で」というではありませんか。仁藤代表は著書も多く反論本を出版できる環境も能力もあるのですから、きちんと反論されたらいかがでしょうか。Colaboに繋がる人たちに「大学院生リンチ事件」(しばき隊リンチ事件)に直接・間接的に関わった人たちもいます。ここでも私たちは地を這うような取材/調査を元に6冊の本にまとめ出版しましたが、1冊も反論本はありませんでした。

最近鹿砦社に対し「ヘイト出版社」、本書編者・森奈津子さんに対し「差別者」と詰っている者がいます(杉並から差別をなくす会・谷口岳)。本書において私は、
「こうした風潮に異を唱える者に対しては『差別者』『レイシスト』『ヘイター』などと口汚い悪罵を浴びせ、謝罪と沈黙を強いる。本書出版後、当社や森奈津子、あるいは対談者らに対して、そうした悪罵が投げつけられるかもしれない」
と“予言”していますが、現実化しつつあるのは極めて遺憾です。

尚、本書についての私の問題意識、なぜ本書を出版するに至ったのかなどについては本書巻末の「解題」において申し述べていますのでぜひご一読いただきたく望みます。

株式会社 鹿砦社 代表
松岡利康

森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』 定価990円(税込)。最寄りの書店でお買い求めください

『ジャニーズ帝国崩壊』とは四半世紀も前に鹿砦社が出版した書籍のタイトルである(本多圭・著、1997年)。本年3月に放映された英国BBC放送が制作したドキュメント『PREDATOR』以降、まさに堰を切ったかのように、ジャニー喜多川による性加害の証言、批判、そしてジャニーが創設し、今やわが国屈指の芸能プロダクション・ジャニーズ事務所に対する批判が溢れ返っている。ここ半世紀余り権勢を誇ったジャニーズ帝国が、今まさに「崩壊」するかのようである。

 

在りし日のジャニー喜多川

わが鹿砦社は1995年、『SMAP大研究』出版差し止め以降、対抗上、告発系、スキャンダル系の出版物を陸続と世に送ってきた。『週刊文春』がジュニアの告白を中心にキャンペーンを張る以前からであるが、私たち以前にも北公次・著『光るGENJIへ』はじめジャニー喜多川未成年性加害について多数の告発本を出した「データハウス」を嚆矢としつつも、同社はしばらくしてジャニー告発系の出版をやめている(これは同社の名誉のために付言しておくが、決してジャニーズ事務所などからの圧力や懐柔があったからではない)。ここでも何冊かの企画・製作に関わったとする人物らが、『SMAP大研究』出版差し止めに対し裁判闘争に打って出た鹿砦社に企画を持ち込んできた。

以降鹿砦社は、平本純也『ジャニーズのすべて』(全3巻)、原吾一『二丁目のジャニーズ』(全3巻)、本多圭『ジャニーズ帝国崩壊』、豊川誕『ひとりぼっちの旅立ち』、鹿砦社編集部『ジャニーズの欲望──アイドル資本主義の戦略と構造』『ジャニーズの憂鬱──アイドル帝国の危機』『ジャニーズの躓き──壊れ始めた少年愛ビジネス』、伊藤彩子『ジャニーズ・プロファイリング──犯罪心理捜査』などが文春のキャンペーンまでに出版し、ささやかながら世に警鐘を鳴らし続けた。

この間に、社会的に大きな話題となった、いわゆる「おっかけマップ」シリーズがあり、このシリーズのうち『ジャニーズ・ゴールドマップ』(事前差し止めのため未刊)、『ジャニーズおっかけマップ・スペシャル』が出版差し止めとなり、最高裁まで争われた。むしろ、こちらのほうは大きく報じられたが、告発系の書籍のほうは、私たちの広報力不足のため、残念ながら、さほど話題にはならなかった。

そうして、対ジャニーズ訴訟がほぼ収束するのを前後して文春のキャンペーンと訴訟が始まったのである。

今、これらの書籍を、あらためて紐解くと、当時の、そして今に至る私たちの“奇妙な情熱”が想起される。その後も細々ながら告発系、スキャンダル系の出版を続けてきた。いまだ集計していないが、数十点にものぼる。その中の一つ『ジャニーズの憂鬱』では関連会社まで調査していて、現ジャニーズ事務所代表取締役・藤島ジュリー景子は、98年の時点で、このうち4社で取締役に就き、「ジャニーズ・エンタテイメント」では代表取締役を務めていることが、あらためて判った。

文春告発以前の鹿砦社のジャニーズ告発本の一部。左から平本純也『ジャニーズのすべて』(1996年)、本多圭『ジャニーズ帝国崩壊』(1997年)、伊藤彩子『ジャニーズ・プロファイリング ── 犯罪心理捜査』(1999年)

若き日の藤島ジュリー景子(右)と、古参の幹部ながら藤島メリー泰子から放逐された飯島三智(みち)

そうした調査、取材、編集、出版の経験により、メディアの中心・東京から遠く離れ、現在のマスメディアの狂騒状態を冷静かつ客観的に見てくると、今では違和感を覚えるし、マスメディアのご都合主義には呆れ果てる。当時は一切といっていいほど(『噂の眞相』や、その後告発に踏み切った文春など一部を除いて)全く無視した。それでいて、今頃になって「猫も杓子も」状態である。私たちの警鐘を無視し、未成年性的虐待を放置してきた大手メディアの責任は重大であり、取材・編集・製作に関わった記者・スタッフらの矜持こそが、まずもって強く問われるのではないだろうか?

ところで、ジュリー社長の動画での「謝罪」の翌々日の朝日新聞は社説で「ジャニーズ謝罪 これで幕引き許されぬ」と激しく批判している。いわく、
「多くの未成年が長期にわたって重大な人権侵害にさらされていた可能性のある深刻な事態である。広く大衆を相手に影響力の大きい事業を手がけてきたジャニーズ事務所には、ひときわ重い社会的責任が課せられていることを改めて自覚すべきだ。」

同 5月16日掲載「社説」

うむうむ、なるほど。文春の告発キャンペーンと訴訟、それに至る私たち、データハウス、『噂の眞相』などの相次ぐスキャンダル暴露や告発──朝日(及びマスメディア)は、これらに真摯に耳を傾けて来たのか!? 「ひときわ重い社会的責任が課せられていることを改めて自覚すべき」なのは、20年も放置してきた朝日新聞(及びマスメディア)だ。文春裁判でジャニー喜多川による未成年性加害が明らかにされながら(文春や小なりと雖も鹿砦社らわずかなメディア以外に)放置していた間にも性加害がなされていたことへの「ひときわ重い社会的責任が課せられていることを改めて自覚すべきだ」。今になって、あたかも知りませんでした、初めて知りましたなどというような姿勢こそ、まずは改めるべきだ。「これで幕引き許されぬ」!? この言葉は、ジャニーズ事務所と共に朝日新聞(及びマスメディア)に鋭く問われている。

◆「PENLIGHTジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」なる団体の正体と政治利用主義を断罪する!

ジャニー喜多川による未成年性虐待と事務所追及がメディアで沸騰しつつあるさなか、「PENLIGHTジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」なる正体不明の団体が突如現われ署名活動を開始した。記者会見に登場した「ジャニオタ」と称する2人、単なる素人のジャニーズファンではできそうにもない手際の良さ、賛同人に名を連ねた“いつもの人たち”などから、純然たるファンによる団体ではなく、なんらかの政治的目的、つまり政治利用主義に基づくものである匂いがする。記者会見に出た2人については、すでに氏素性が判明しジャニーズファンでないことも明らかになっている。


◎[参考動画]ジャニーズファン記者会見"ファンやめずに…"/1.6万人抗議署名に事務所が返答(2023年5月12日)

賛同人に名を連ねた人たち、仁藤夢乃、北原みのり、李信恵、辛淑玉らの名を見るだけでも、なんらかの政治的目的があることが判る。

仁藤夢乃は、この問題に関わるより前にColabo問題(つまりいまだにすっきりしない公金の使途についてもっときちんとすべきだ)に真摯に向き合うべきだし、北原みのりは草津温泉の冤罪事件や大学院生リンチ事件などに謝罪、釈明すべきだろう。李信恵は大学院生リンチ事件の大阪高裁判決で判示された、リンチに連座した「道義的責任」について責を果たすべきだし、この姉貴分の辛淑玉も大学院生リンチ事件に対して血の通った人間としての誠実な対応が待たれる。こうしたことなくして、いくら死んだ人間の責任や事務所の対応を批判してもダメである。

「PENLIGHTジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」の賛同人

それから、素朴な疑問として、仁藤夢乃のグループがこぞって、「PENLIGHT」に名を連ね関わっているのはなぜだろうか? 彼女ら4人が、これまでジャニーズ問題について言及したか? なにかしら邪な目論見を感じざるをえない。例えば、彼女らの要求の一つに「第三者委員会の設置」があるが、あわよくば自分らがその委員に収まろうとでもしているのか、といった邪推さえ浮かんでくる。

私たちは上記したように四半世紀に渡りジャニー喜多川の未成年性虐待、ジャニーズ事務所の諸問題などについて、一冊一冊は小さな部数だが、こつこつと多くの書籍、雑誌で言及、批判してきた。この誇りぐらいはある。バカはバカなりに四半世紀も続けてくれば、それなりに得る所はあろうというものだ。(松岡利康)

【追記】
5月26日、ジャニーズ事務所は再犯防止のために社外取締役を任命すると共に「心のケア相談窓口」の設置を発表した。後者のメンバーに林眞琴弁護士(元検事総長)がいる。この林弁護士は、Colabo理事でもある奥田知志牧師が理事長を務めるNPO法人「抱樸(ほうぼく)」が運営する「希望のまちプロジェクト」の「応援団」に名を連ねている。繋がっている!

PENLIGHTが第三者委員会に入り込もうとしているのではないかとの話もあながち馬鹿にできないようだ。なにやら信憑性が出てきたような感がある。注視していく必要がありそうだ。

◎[関連記事]

《急報!》明日3・7、英BBCが、ジャニー喜多川の性的児童虐待問題を放映! 鹿砦社が先鞭を切って暴露したジャニーズ・スキャンダルが遂に全世界に発信!
 
ジャニー喜多川未成年性虐待問題はどうなっておるのか?

20年遅れのジャニー喜多川未成年性虐待報道に違和感あり!

月刊『紙の爆弾』2023年6月号

《6月のことば》人生 旅の途中 夢の中(鹿砦社カレンダー2023より。龍一郎揮毫)

6月になりました。── 時の経つのは速いです。今年も5カ月が過ぎました。GWが明けてからも、あっというまに6月になりました。

短期間でもこの調子ですが、物心がついて1960年代、70年代、80年代、90年代……あっというまでした。

齢70を過ぎ、私の人生も黄昏期に入ったと感じていましたが、龍一郎が言うように、まだまだ「人生旅の途中」の気持ちで、初発の「夢」を求め果たして行きたいと思います。

まずはコロナ禍でガタガタになった会社を建て直し(かなり回復基調)、まだまだ果たせていない仕事をやり切りたい。

コロナ禍で2年遅れましたが、当面は2年後の『紙の爆弾』創刊─出版弾圧20周年を一里塚として目指し失地回復に努めます。

「人生」という「旅の途中」にはこれまでいろいろなことがありました。これからもひと山、ふた山、み山あるかと思いますが、「夢」を求め続けて行きたいと思う昨今です。

(松岡利康)

月刊『紙の爆弾』2023年6月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年春号(NO NUKES voice改題)

いわゆる「LGBT理解増進法案」が今国会に上程され審議に入ろうとしています。立場、党派によって求めるものが異なり3種類の法案が提出されました。これに合わせたわけではありませんが、森奈津子=編『人権と利権 「多様性」と排他性』が完成し23日に発売となります。

 

5月23日発売開始 森 奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』

「LGBT理解増進法案」、これに賛成し推進するのが「左派」「リベラル」で、反対するのが「保守」という構図として、立憲、共産、社民、れいわなど「左派」「リベラル」といわれる政党はなべて賛成・推進派です。どちらかというと「左派」「リベラル」的な考えを持ち、社会運動に関わったりされている、この通信をご覧になっている方々の多くが賛成・推進派かもしれません。しかし、ちょっと待ってください!「性自認至上主義」(トランスジェンダリズム)の危険性など、本当に判った上で賛成し推進しようとしているのか? このかん私なりに調べていく中で疑問が湧いてきました。

◆「LGBT理解増進法案」に疑問

LGBT、これの「理解増進」を促すという法律とは何か? 「性の多様性」「性的マイノリティの人権」「ジェンダー平等」などと、耳触りの良い言葉で語られるものの実態とは何か? 私(たち)は全く理解していませんでした。おそらく国民全体がそうだろうと思います。

なのに、一部の行政(埼玉県、東京都渋谷区、新宿区など)では条例を策定したり先走り、女性専用トイレを廃止し、いわゆる「ジェンダーレストイレ」が導入され、世の女性・子どもの人権、安心・安全が蔑ろにされつつあります。実際に、ちらほらトラブルが報じられています。一例を挙げれば、東京新宿歌舞伎町に4月に鳴り物入りでオープンした「東急歌舞伎町タワー」2Fのトイレ、オープン初日から混乱し、これを避けるため急遽男女2つに分け、遂に改築になるとのことです。やれやれ、大金を使って何をやってんですか。

どの法案が通るかどうかわかりませんが、どれが通っても今後そのようなトラブルは必至です。

トイレについて付言すれば、世の中に女性トイレは元々なく、ずっと共同便所(ジェンダーレストイレとどう違うのか?)で、戦後、ある小学校で女児が強姦・殺人されたことを契機として生まれたという悲しい経緯がありますが、またまた元の共同便所に戻れということでしょうか。さらに女湯も廃止、男女混浴に。更衣室もジェンダーレスに、今後、介護施設、病院、部活などでトラブルが起きることが懸念されます。

「性の多様性」結構、「性的マイノリティの人権」結構、同性婚もいいでしょう。しかし、国民的な議論、周知、合意もなく、一気に共同便所、男女混浴はいかがなものでしょうか。

「それは誤解だ」と仰る方もおられますが、私たちが「誤解」するほど、まだまだまともに議論されていませんし、国民的な合意がなされているとも言えません。いずれにしろ拙速に事を進めるのだけはやめにしていただきたい。

◆Colabo問題に対し“酷税”に苦しむ中小企業経営者として怒り心頭

また、昨年末あたりから「一般社団法人Colabo(コラボ)」という団体の公金の使い道と利権に不正があるということで、これを暇空茜(ひまそらあかね)という元ゲームクリエーターが問題にし、住民監査請求をしました。住民監査請求とは、市民に与えられた権利で、行政に問題や疑問を覚えたらこれを行使することは当然のことで、公金(この原資は税金!)を特定の団体に「補助金」の名でぽんぽん1千万円単位で出す利権構造に問題はないのでしょうか?

これに対し、私たちと長年裁判闘争を繰り広げた神原元弁護士は、暇空氏の請求を不当とし記者会見まで開き「リーガル・ハラスメント」なる言葉で詰り提訴しましたが、なにをかいわんやです。

ところが、おそらくこれで怯むと思っていたのか、暇空氏はネットで支援を訴え7千万円とも8千万円ともいう予想外に巨額のカンパを集め対決姿勢を強め、いまだ一歩も引かず対峙しています。

◆「大学院生リンチ事件」加害者側人脈の者らが絡むことに胡散臭さを感じる

私たちがなぜ、そうしたことに注視していたかというと、これは他の人たちとはいささか異なるところですが、LGBT問題にしろColabo問題にしろ、私たちが2016年以来7年間も血のにじむ想いで被害者支援と真相究明に関わってきた「カウンター大学院性リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」)の加害者側人脈(しばき隊、日本共産党含む)が中心になっていることも大きな要因としてあります。リンチ事件で加害者側の弁護を中心になって担った神原元弁護士は、そうした問題でも中心になって動いていますし、リンチに連座し高裁判決で「道義的責任」を判示された李信恵や、彼女の後見人的存在の辛淑玉らも名を連ねています。リンチ事件の加害者側人脈の人たちの動きには、裁判がすべて終わったとはいえ、それなりに注視してきましたが、彼らの言動にはなにか魂胆があり胡散臭いと思っています。

詳しくは文中の「解題」で記述していますが、そうした由々しき問題が罷り通るなら、戦後この国が培ってきた社会規範や常識、倫理、価値観などが崩れかねないという危機感もあり、私たちなりに多少なりとも発言すべくと思い、『人権と利権』の出版企画を立案し、以前にリンチ事件追及第6弾『暴力・暴言型社会運動の終焉』に寄稿いただいた森奈津子さんに編纂していただきました。

ちなみに、森さんは、作家業の傍ら、結婚後すぐにお連れ合いが難病に罹り、この介護、またご本人も乳がんで片方の乳房を切除し再発の懸念の中、口にする人の人格、人間性を疑うような罵詈雑言にも屈せず頑張っておられます。

不思議なことに、「LGBT」「ジェンダー平等」「性の多様性」「性的マイノリティの人権」等々、目新しく耳触りの良い言葉に惑わされ、これを持ち上げる本は少なからずあれど、真っ向から異議を唱えた本はほとんどありませんでした。わずかに芥川賞作家で5年前からLGBT問題に異議を唱え文壇から追放された笙野頼子さんの著作『発禁小説集』(2022年、鳥影社)、『女肉男食――ジェンダーの怖い話』(2023年、同)があるぐらいです。笙野さんは、元々共産党の熱心な支持者でしたが、このことによって離れています。

本書『人権と利権』は、こうした情況に堂々と議論の材料を提供すべき一冊です。

私たちは自分の眼と頭で学び、疑問に感じたことを森さんはじめ5人の方に語っていただきました。反論があれば、まず読んでからにしていただきたい。読みもしないで「差別者」呼ばわりはやめていただきたい。大学院生リンチ事件についての本でも、ケチをつけたり口汚く罵るばかりで、6冊も出してもまともな反論はありませんでした。罵り合いはご法度です。賛否両論、異論反論、甲論乙駁、どんどん出し合い、将来的に益になる前向きな議論を望みたい。私の言っていることは間違っていますか?

『人権と利権』は、いよいよ5月23日発売です。自信を持ってお薦めする一冊です。どうか、今すぐご予約お願いいたします!

(松岡利康)

5月23日発売開始 森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』
amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0C5GCZM7G/

本年3月7日に英BBCが故ジャニー喜多川の未成年性虐待問題をドキュメントとして報じて以来、『週刊文春」が20数年前にシリーズでこの問題を採り上げてからようやく日本のマスコミも重い腰を上げ取材に動き出して来た。

BBCにしろNHKにしろ朝日新聞にしろ、また弁護士ドットコムにしろ、私たちは最大限協力してきた。おそらくこれが最後のチャンスだとの想いからである。

若き日の藤島ジュリー景子(右)と、古参の幹部ながら藤島メリー泰子から放逐された飯島三智(みち)

もう18年も前になるが月刊『紙の爆弾』創刊直後の2005年7月、大手パチンコメーカー・アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)等からの刑事告訴により「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧で私が逮捕され会社は壊滅打撃を受けた。にもかかわらず、読者やライター、取引先のみなさんのご支援で復活し現在に至っている。

その話はここではこれ以上触れないが、アルゼに関する取材で4冊の書籍を出し、この過程で集積した資料を、フィリピンにおけるカジノホテル開発で政府高官への贈収賄容疑を追っていたロイター通信の要請に応じ惜しみなく提供し、業界の様子やアルゼの実態等についてレクチャーしたりした。この甲斐もあってか、ロイターはアルゼ追及の記事をたびたび発信し、創業者オーナー岡田和生は海外で逮捕され、ついにはみずからが作り育てた会社からも放逐された

鹿砦社のアルゼ告発書籍

BBC、NHKなどから協力要請があった時、このことを想起し、最大限協力を惜しまなかった。

勿論、記者の方々の奮闘はあろうが、少しは役に立ったのであれば嬉しい。ジャニー喜多川がすでに亡くなった中で、今後、どう転回するかわからないが、将来的に有益な結果をもたらすことを望んでやまない。

周知のように去る5月14日夜、ジャニー喜多川の未成年性虐待について、ジャニーズ事務所現社長・藤島ジュリー景子(ジャニーの姪、、元副社長・藤島メリー泰子の長女)が動画と書面で見解を明らかにした。

これに対し、メディアは即反応した。NHKは翌朝のニュースのトップで報じた。それまでは数分報じたと聞いたが、これだけでも大変なことなのに、ニュースのトップで報じるとは想定外だった。民放もこぞって報じた。

大手新聞は、翌日朝刊は休刊日だったため、テレビよりも遅れ夕刊での報道になった。私が購読している朝日は夕刊一面トップ、翌々日の16日朝刊は、一面、二面全頁、社説(2度目)、中面2分の1頁と、これまでになく大々的に報じた。

朝日新聞5月15日夕刊

同 5月16日掲載「社説」

そうしてNHKは、17日夜の「クローズアップ現代」で報じた。わざわざやって来た記者ら複数から連絡もあり視聴した。このかん100人ほどに取材し、6人が性被害に遭ったそうで、番組で実名、顔出しで証言した者もいた。さらに性被害を訴えた書籍4冊の画像が写っているが、うち3冊は鹿砦社刊行のものである。

5月17日夜のNHK「クローズアップ現代」。性被害を訴えた書籍4冊の画像が写っているが、うち3冊は鹿砦社刊行のものだった

しかし、ここで私は違和感を覚えざるをえなかった。最も大きいことは当のジャニー喜多川が亡くなっており、まさに「死人に口なし」で反論も弁明もできない。マスメディアは生前に追及はできなかったのか? なぜしなかったのか?

噂のみならず、20年余り前に『文春』が連続してキャンペーンを行い訴訟も事実上勝訴している(一部敗訴)。さらには国会でも質疑がなされている。にもかかわらず、当の『文春』以外に今回のように大々的に報じたマスメディアは皆無と言ってよかった。わずかにミニコミに近い鹿砦社の書籍と雑誌のみが細々と報じ続けてきたにすぎない。

[左]『ジャニーズに捧げるレクイエム』表紙[中央]唯一ジャニーズの歴史を詳述した書籍『ジャニーズ50年史』(増補新版。鹿砦社刊)[右]たびたび出版されたジャニーズのスキャンダルをまとめた書籍『本当は怖いジャニーズ・スキャンダル』(増補新版。鹿砦社刊)

当事者のジャニー喜多川本人が亡くなってから、いくらやんややんやと騒ぎ立てても詮無いことである。

せめて『文春』が告発キャンペーンを始めた時期、また訴訟が、東京高裁で事実上の逆転勝訴(一部敗訴)が確定した時でもきちんとその意義など報じるべきだったのではないか。

1995年からジャニーズ事務所(原告は所属タレント名だが)を相手に、まさに巨象に立ち向かう蟻のように3件の訴訟を闘い、うち2件は最高裁まで闘ったが、以来ずっと告発系、スキャンダル系の書籍を出し、ジャニーズ事務所の問題点を明らかにしてきた。関連書籍は数十点、1冊も残っていない本もあり正確な出版点数は数え切れない。いちど数えてみたい。

賠償金も含め1億円を越す訴訟費用(対ジャニーズだけではないが)を使った身として、こういう転回になるとは感慨深いものがあるが、マスメディアに対しては大いに違和感がある。20年前に、今回のように頑張ってくれたら、少なくともその後の被害者はなかったはずだ。今、メディア総出でジャニーズ叩きに狂奔している。こういうのを「メディアスクラム」と言うのかどうかは知らないが、最近では、なにか苦々しいもの、違和感を覚えるようになった。

いまや孤立無援の感があるジャニーズはどこへ行くのか? これをこぞって追及するマスメディアは20年も放っていたことをどう考えるのか? この問題はどういう形で収束するのか? 私も、かつてと異なり老境に入り、ここに至って新たにヒトとカネを投じて取材に動けないので、せめてしかと見極めたいと思っている。(松岡利康)

◎[関連記事]ジャニー喜多川未成年性虐待問題はどうなっておるのか?

『週刊現代』誌上で90年代半ばからの経緯を語る(『週刊現代2018年5月5日・12日合併号』)

月刊『紙の爆弾』2023年6月号

本年3月7日に英国営放送BBCが、生前のジャニー喜多川の未成年性虐待の実態をドキュメンタリー映像として報じ、この反響が時折日本のメディアでも報じられている。


◎[参考動画]Why is J-Pop’s Johnny Kitagawa still revered in Japan despite being exposed for abuse? – BBC News

 

在りし日のジャニー喜多川

BBCからは3年ほど前に協力要請の連絡があり、即快諾、これまで出版してきた書籍などを送ったり簡単なレクチャーを行ったりした。秘密の厳守を指示されたが、その直後コロナで英国からの取材班の来日ができず企画は止まっていた。そのまま、なし崩し的にうやむやになるかと思っていたら、昨年突然企画の再開の連絡があった。そうして今年に入り作品が完成し放映になったわけだが、今回は、これまでになく反響があった。

その後にNHK、朝日新聞から取材要請があり、NHKは記者2人がわざわざ東京からやって来た。私は未見だがNHKは数分ほど放映し、朝日は社説で採り上げている。今後も取材を続けるとのことだが、水面下でどう動いているのかはわからない。

そうこうしているうちにGW前に「弁護士ドットコムニュース」からも取材協力要請があり、求められる書籍を送ったり取材を受けた。それが、5月12日の同サイトに私の発言と共に掲載されている。数回記事にしている。なかなか力の入った記事だった。

弁護士ドットコムの記者から指摘されて気づいたのだが、「ジャニーズの問題を追及する本を長年継続的に出しているのは鹿砦社だけですよ」ということだった。スキャンダル系だけで数十冊出している。ジャニーズ、あるいはジャニー喜多川のスキャンダルを知ろうとしても、普通だったらどこから始めたらいいのかわからないだろう。彼らが異口同音に言う所だが、例えば『ジャニーズ50年史』を紐解けばジャニーズの歴史の概略を知ることができる。『本当は怖いジャニーズ・スキャンダル』を読めば、最近のジャニーズ・タレントの不祥事やスキャンダルを知ることもできるだろう。だから、まず私に連絡してくるわけだ。思い返せば、1995年、出版差し止めされた『SMAP大研究』以来、われながらよくやってきたものだ(苦笑)。四半世紀以上だ。

たかが一地方小出版社がここまでやれたのだから、『週刊文春』以外の大手メディアも頑張ってほしいところだね。

[左]『ジャニーズに捧げるレクイエム』表紙[中央]唯一ジャニーズの歴史を詳述した書籍『ジャニーズ50年史』(増補新版。鹿砦社刊)[右]たびたび出版されたジャニーズのスキャンダルをまとめた書籍『本当は怖いジャニーズ・スキャンダル』(増補新版。鹿砦社刊)

鹿砦社や文春が頑張ったのはジャニー喜多川がピンピンしていた頃で、これだけでも価値があると自負している。BBCにしろNHK、朝日にしろ、ようやく採り上げたのはジャニー喜多川の死後だ。「死人に口なし」で、直接本人に当たり追及できないので、このままうやむやになりそうな気がする。今後の動きに注目していきたい。

そうこうしているうちに、ジャニーズ「ファン」4名で「PENLIGHTジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」をいう会を作り署名活動を開始、1万6千筆余りを集めジャニーズ事務所に提出したという(下記朝日新聞記事参照)。

2023年5月12日付け朝日新聞


◎[参考動画]元ジャニーズJr.の男性らが性被害証言 ジャニーズ事務所「今週末公式にお伝えする」(TBS NEWS DIG)

ところが、この「PENLIGHTジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」なる団体、”なにか臭う”ので調べてみた。

当初の署名を求めるアピールでは、
「賛同人
北原みのり(作家)
仁藤夢乃(一般社団法人Colabo代表)
太田啓子(弁護士)
辛淑玉
李信恵(フリーライター)
安積遊歩
三井マリコ
小川たまか(ライター)
石田郁子
塚原久美
青木正美(医師)
坂井恵理(漫画家)
長田杏奈(ライター)
雨宮処凜(作家)
賛同団体
フラワーデモ東京」
らの名前がずらり並んでいる。

なあんだ、”例の人たち”か。雨宮処凜は、なぜか即日離れたという。おそらく、なにか“嫌な空気”を感じたからだろう。

「ファン」4人を表に出し、バックに控えているのか。大学院生リンチ事件に連座した李信恵、彼女を支持した辛淑玉らが、いつからこの問題に関わったのか? いま話題になっているから? ご都合主義としか言いようがない。

いやしくも四半世紀余りに渡りジャニーズと創始者ジャニー喜多川の問題について追及してきた私(たち)からすれば噴飯物だ。

(松岡利康)

【追記】上記を寄稿した後(14日夜)にジャニーズ事務所社長・藤島ジュリー景子が、叔父で先代の創業者社長ジャニー喜多川による未成年性虐待問題について動画と書面でコメントを出した。これに対しても追って私見を述べるつもりです。


◎[参考動画]【速報】性加害問題でジャニーズ事務所・藤島ジュリー景子社長“謝罪”(日本テレビ)


◎[参考動画]BBC《獵食者:日本流行音樂的秘密醜聞》- BBC News 中文

月刊『紙の爆弾』2023年6月号

《5月のことば》欠氣一息(鹿砦社カレンダー2023より。龍一郎揮毫)

5月に入りました。今年もあっというまに3分の1が過ぎました。年甲斐もなく全力疾走してきましたので、時の流れの感覚がなくなったようです。

思い返せば、ずっと全力疾走してきました。

コロナ前には、ようやく安定し後継に道を譲り左団扇で余生を過ごせるかな、と思っていましたが、コロナ襲来によって予想だにしなかった苦境に陥り、また全力疾走を余儀なくされました。

コロナも完全終息していないとのことで、ふたたびぶり返すことも心配です。

そんな中、今年もGWがやって来ました──。

欠氣一息(けっきいっそく)てか、このかん全力疾走し少しは業績も回復しつつあることですし、龍一郎の言うように一服しましょうか。

いやいや油断大敵、そうもいきません。

とはいえ、張りつめた気分は維持しつつ、ほんの少しだけ休ませていただき、気分一新、また全力疾走の日々に戻ります。

(松岡利康)

月刊『紙の爆弾』2023年5月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年春号(NO NUKES voice改題)

松岡 しばらくご無沙汰していました。皆さんにはこれまで「しばき隊」関係の取材をお願いしていましたが、あの一件は依然動きがあるものの、今年は別のテーマで取材をお願い致します。

A 別のテーマというと、どんな分野でしょうか?社長。

松岡 「2023年の阪神タイガース」を徹底的に取材してください。

一同 え、え、え!

B 社長、鹿砦社は本社が甲子園のスコアボード裏100mくらいの至近にあるのは、そりゃそうですが、阪神戦の甲子園内での取材は「報道パス」がないとは入れませんよ。

C 阪神タイガース、タイガースは関西人なら誰でもファンですが、俺今までスポーツ取材なんてやったことないし、いきなりのことで。できるんですか?

松岡 そこを、なんとかしてくださるのがみなさんの力だと信じています!

D いや、社長、気持ちは分かりますけどね。僕らの立場も考えてくださいよ。虎風荘(阪神の若手が入る寮)も近く尼崎に移転するらしいし、鳴尾浜のグランドも尼崎に移転でしょ。Bが言うように甲子園の取材パスは、うちらレベルの「フリー」じゃ手に入りませんよ。どうすりゃいいんですか?

松岡 その点はご心配なく。

B ということは、既に阪神球団に掛け合って、手配済みいうことでうすか?

松岡 私はそんなちゃちな真似はしません。皆さんには堂々と行ってもらいます。

A だから、具体的にはどうしろと?

松岡 岡田監督とは1月末に顔合わせろ済ませました。だから大丈夫です。

一同 本当ですか!ほんまかいな!?

松岡 本社の近くに、皆さんを時々連れてゆくお好み焼き屋さんがありますね。私があそこで食事を終えて店を出ようとしたときに、ちょうど岡田監督が店に入ってきたんです。

B ほんまの話ですか?

松岡 本当です。岡田監督もあのお好み焼き屋さんは馴染みのようでした。せっかくなので激励の握手をしておきました。

C その時の写真って社長のフェースブックに載ってましたっけ?

B それは貴重やわ。岡田監督と関係ができたんやったら、取材も楽にできるから安心しました。

D やっぱり社長「持ってます」ね。全国広しといえども、昼飯食べに行って、そこで岡田監督にばったり会う出版社の社長はそうはいませんからね。それで、阪神球団にはどうやって連絡すればいいんですか?

松岡 は?

D いや、だから 俺たちが「鹿砦社特別取材班」として「2023年の阪神タイガース」を取材するのに、岡田監督と関係ができた社長のラインから、どうやって阪神球団に接触すればいいか、と聞いているんです。

松岡 それはな、うん。まあな。会った(おうた)んは、会った(おうた)んで間違いないんよ。おお。せやけど、突然やんか。牽制球けえへんはずの時に来よったようなもんやんか。おお。あれよ。食べ終わってな、昼からの仕事、どないしようかなあ。考えるやんか。おお。そないしとったら、急に岡田が現れたんよ。うん。びっくりするやんか。びっくりするわな。写真?ほんなもん撮れるかいな。うん。「今年は頑張って」いうてな。おん。しっかり握手はしといたわ。おん。それ以上どないせい、いうんや。そりゃ無理やろ。あんな場合。おおん。

B 社長、急に岡田監督が入ってますけど、誤魔化さんといてください。写真は撮ってない、いうことですか?

松岡 せやから、言うてるやんか。おおん。そんなもん。急にできへんよ。うん。自分やったらできるか?

B いや、自分やったら、ってそういう問題じゃないです。

C 社長、結局岡田監督と鉢合わせしたのは本当なんですね。

松岡 ほんまよ。おおん。びっくりしたけどな。おおん。

D (小声で)おい、社長から岡田監督が抜けないぞ。

A だったら、社長を媒介して、岡田監督に疑似インタビューから取材はじめましょうか。

D この際、仕方ないな。いまちょっと走って例のお好みや参に確認してきたんだけど、岡田監督が常連なのは間違いないって。

B フリーのフォトジャーナリストにはあんなにきついのに、自分は写真一枚なしということですか?

D もう過去の話しても仕方ないだろ。A、岡田監督への疑似インタビュー早速はじめてくれ。

A わかりました。今シーズンから再び阪神タイガース監督に就任した岡田監督へのインタビュー、松岡社長の体を媒介にして行います。
監督、開幕3連勝おめでとうございます。

松岡 おお、まあ、よかったわな。打線が全員2試合でヒットでたんわよかった。おおん。ゆうてもまだ3試合やから、開幕ダッシュとかは大げさやけどな。

A 作戦面でも岡田采配が光りました。リクエスト要求で判定が覆らないと、すぐにランナーを走らせたり、1ストライクから原口選手を代打に送り、1球目をホームラン。昨年までとの違いが際立ちましたね。

松岡 際立ったというかな。やることやってるだけよ。おおん。そりゃ攻撃は敵が嫌がることするのが、当たり前やん。おおん。まあ、打線は水物やけど打てたんはよかったわ。おおん。

A 抑えの湯浅投手、若干厳しいシーンもありましたが投手陣はこの3連戦いかがでしたか?

松岡 まあ、結果ゼロやから。湯浅は。おおん。悪い時もありますよ。でも結果ゼロはよかったわな。おおん。さすがに、3連投はさせられへんから。今日はキャッチボールもさせへんかったし。青柳も才木もいっぱいいっぱいまでは引っ張ってないし。まあ秋山は御覧の通りで。おおん。

A 次の広島戦に西勇投手や伊藤投手を温存できる投手起用は、先発陣の層の厚さを感じさせます。

松岡 層の厚さいうよりも、個人個人が自分の仕事わかってる、いうかね。自分の役割ちゃんとまっとうしてくれたら結果はついてくるゆうことや。おおん。けど、波はあるよ。誰にでもな。

A 今シーズン阪神ファンは開幕3連勝で、ますます期待が高まります「ARE」を期待していいでしょうか?

松岡 いやいや、まだ3試合やんか。それや、あれよ「ARE」はね、もちろん結果やから。まだそんなもん、意識する時期でもないし。目の前の試合を勝っていくのがな、まあ、それだけよ。おおん。

A 放送席、放送席、以上松岡社長の体を借りて、岡田監督のインタビューでした。

D 上出来じゃないか。

B でも、こんな現場当たらずの取材で記事に出来ます?

C 社長には憑依の体質もモノマネの才能もなかったでしょう。その社長にこれだけ饒舌に喋らせるのは、やっぱり岡田監督の力だと思っていいんじゃないでしょうか。

A 自分で聞いといてなんだけど、複雑です…。

D そうだな。毎回こんな原稿じゃ使えないな…。

松岡 皆さんなにをしょぼくれた顔をしているんですか。今年は阪神タイガース取材をよろしくお願いしますよ。

一同 は、はい。(つづく)

特別取材班付記
社長松岡は、たしかに1月末に岡田監督と出くわしていた。しかし上記に報告した内容は、事実のほか一部「想像」、や「妄想」も混じっていることをご了解いただきたい。順次続報をお伝えする。

7日発売! 月刊『紙の爆弾』2023年5月号

《4月のことば》故郷の桜は……(鹿砦社カレンダー2023より。龍一郎揮毫)

4月になりました。───
1月(去ぬ)、2月(逃げる)、3月(去る)、あっというまに過ぎました。
季節は春ですが、私たちの気持ちにはまだ春到来とは言えません。

福島原発事故でいまだ多くの方々が故郷を離れることを余儀なくされました。
この季節になるといつも12年ものあいだ故郷を離れて生活しておられる方々のことに胸が痛くなります。

私たちにとっても年々望郷意識が募ります。
若い頃は一日一刻も早く「こんな田舎を離れたい」と思っていましたが、今は少年時代を過ごした故郷の日々が懐かしく想起されます。

私たちは、思い立てばいつでも帰郷できますが、被災地福島(特に立ち入り禁止区域やゴーストタウン化した区域)の方々はそうではありません。

いつも思うのですが、大学の後輩で書家の龍一郎が書く「故郷」の文字は、力強くもあり、それでいてなにか物悲しさを感じさせます。

今年は桜も少し早く咲き、早く散りそうです。

目を外に向ければウクライナ戦争は終息の目処が立たず、国内ではコロナもまだ終息せず物価も上がり続けています。明るさばかりではない今年の春です。

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年4月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年春号(NO NUKES voice改題)

遂にジャニー喜多川(故人)の性的児童虐待問題が世界に配信される。3月7日、英国国営放送のBBCが全世界に向け取材映像を放映、その直後からネットでも視聴可能であると同社のサイトに予告された。https://www.bbc.co.uk/programmes/m001jw7y

BBCのサイト

 

在りし日のジャニー喜多川

報道タブーとされていたジャニーズ事務所から出版差し止め(発禁)の訴訟を起こされたのは鹿砦社が初めてのことだった。1995年のことだ。書名は『SMAP大研究』、原告はジャニーズ事務所所属のSMAPのメンバー6名(当時。ジャニーズ事務所は訴外)と、これに付和雷同する学習研究社、扶桑社、マガジンハウス、主婦と生活社(のちにジャニーズと決裂、訴訟合戦を繰り広げる)らだった。日本の芸能界を代表する芸能事務所に加え日本を代表する大出版社vs一地方零細出版社の争いで、今でいうSLAP訴訟のはしりである。

訴訟は、仮処分(東京地裁)、本訴(同)、控訴審(東京高裁)と続き鹿砦社敗訴で466万円の賠償を課せられた。ただし、SMAPメンバーの請求(パブリシティ権・肖像権)は棄却、学習研究社ら出版社の請求(著作権)のみが認容された。ジャニーズ事務所の目的は、むしろパブリシティ権・肖像権だったようだが、これは認められなかった。

この提訴を契機として、鹿砦社VSジャニーズ間で死闘が開始され、次いで2件の出版差し止め訴訟を最高裁まで争うことになる。ジャニーズ事務所から3件もの出版差し止めを起こされ徹底抗戦したのは昔も今も鹿砦社だけだ。特に『ジャニーズ・ゴールド・マップ』出版差し止め事件では、本はおろかゲラも何もない中で裁判所は発行の事前差し止めの判断を下したが、判決内容には大いに疑問が残る。しかし、なぜかその2件の訴訟は、当初から賠償請求はなかった。

そうしたわれわれの闘いを継いで、次に『週刊文春』(文藝春秋)、かつては鹿砦社への提訴に名を連ね、カレンダー利権を持つほどジャニーズと親密な関係にあった『週刊女性』(主婦と生活社)が、よほど酷い仕打ちがあったのかカレンダー利権を棄て告発に走り、ジャニーズに対する報道タブーは解き放されたかと思われた。

『ジャニーズに捧げるレクイエム』(鹿砦社刊)より

[左]『ジャニーズに捧げるレクイエム』表紙[中央]唯一ジャニーズの歴史を詳述した書籍『ジャニーズ50年史』(増補新版。鹿砦社刊)[右]たびたび出版されたジャニーズのスキャンダルをまとめた書籍『本当は怖いジャニーズ・スキャンダル』(増補新版。鹿砦社刊)

しかし、BBCの取材班スタッフが首を傾げるように、ジャニーズに対する報道タブーは今も続いている。ジャニー喜多川による性的児童虐待は、欧米では明確な犯罪なのに、なぜ日本では問題にならないのか、これをなぜ日本のメディアは報じないのか、BBC関係者は驚く。文春がせっかくシリーズで告発し、社会的に一定の発信効果があったのに、いつのまにか忘れ去られていった。海外に発信されたこともなかった(部分的にはあったかもしれないが)。

ジャニーズ事務所創業者で「ジャニーズ帝国」といわれるほど事務所を拡大させたジャニー喜多川が死去した際には、文春訴訟で認定された性的児童虐待は語られず、逆に「日本の芸能界に大きな足跡を残した」とか「惜しい人を亡くした」など、本質から離れた報道一色だった。

 

星野陽平著『【増補新版】芸能人はなぜ干されるのか?──芸能界独占禁止法違反』(鹿砦社刊)

実は新型コロナが襲来する前後、鹿砦社にはBBC関係者から内々に協力の打診があった。われわれがどう振る舞ったかは信義上言えないが、協力要請はジャニー喜多川による性的児童虐待を報じた文春はじめ多方面に渡った。コロナ禍が長期化し、企画はペンディングとなり、そのまま没になるのかと思っていたところ復活、遂に昨夏取材クルーが遙々イギリスより来日して多くの人たちに調査・取材したようである。その結果が、明日いよいよ報じられるドキュメント番組として結実した。興味津々である。これが、このかん報じられているジャニーズ事務所内の内紛にどう影響するのか、公正取引委員会(公取委)に警告される日本の芸能界を変えるきっかけとなるのか──。

ちなみに、芸能界の寡占状態や奴隷労働などを問題視した公取委が注目したのが星野陽平渾身の大著『芸能人はなぜ干されるのか?──芸能界独占禁止法違反』(鹿砦社刊)だった。公取委は星野を講師として招き研究会を行い、その後ジャニーズ事務所などに指導に入ったのだ。鹿砦社の本もたまには社会的に貢献することもある。

ところで、これに先立ち、パチンコ・パチスロ・ゲーム業界のガリバー企業「アルゼ」(現ユニバーサルエンターテインメント)の、フィリピンにおけるカジノ汚職疑惑を追っていたロイター通信から協力要請があり、持てる限りの資料を提供したり聴き取り取材にも応じた。この結果、創業者オーナーでパチンコ・パチスロ・ゲーム業界に君臨してきた岡田和生を逮捕(香港で)に至らしめ、なんと実の息子、前妻、子飼いの社長らによって、自らが作り育てた会社から放逐されるに至ったのだ。われわれが返り血を恐れず、4冊の本を世に送り、鹿砦社代表・松岡逮捕、半年余りの長期勾留、有罪判決と600万円余の賠償金を課され一時は会社も壊滅的打撃を受けつつも闘ったことが実ったといえよう。逆に、岡田の告訴を受け連携して鹿砦社弾圧に加担した神戸地検・大坪弘道特別刑事部長(当時)も別の汚職事件で逮捕され失職、松岡に手錠を掛けた主任検事・宮本健志検事も深夜泥酔し街中で暴れ降格の懲戒処分を受けている。

時代は確かに変わってきている──全世界に放映される、日本の芸能界の暗部を抉る今回のBBCのドキュメントが、日本の芸能界関係者やメディアがどう捉えるのか、そして改革のきっかけとなるのか、興味は尽きない。われわれの問題提起が、四半世紀を超えて世界的なニュースとして採り上げられる。是非ご注目頂きたい。(文中敬称略)

※この記事に関連して掲載されている『ジャニーズ50年史』(増補新版)などの書籍は在庫僅かです。ご関心のある方は早めにご購読されることを望みます。鹿砦社販売部(sales@rokusaisha.com)までお問い合わせください。
また、『芸能人はなぜ干されるのか?』は増補新版は品切れ、旧版が少し在庫有ります。

(ジャニーズ特別取材班)

7日発売! 月刊『紙の爆弾』2023年4月号

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0BXCMXQK3/

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