M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月28日発売 定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

「しばき隊ってなんなの?」、「M君リンチ事件ってどういう意味?」、「この本読んだけど登場人物が多すぎてわかりくいよ」……。これまで世に出した『暴力の連鎖』、『人権と暴力の深層』、『反差別と暴力の正体』、『カウンターと暴力の病理』には読者から様々な反応が寄せられた。「ひどいリンチ事件のはわかったけど、詳しい部分がわかりにくい」とのご指摘を少なからず頂いたこともたしかである。

そこで『真実と暴力の隠蔽』は、巻頭で「M君」自身の手記を掲載した。M君がどうして反差別運動にかかわることになったのか、その動機や背景から事件を経過して今日M君が考えることを踏み込んで表明している。

M君の手記は、あくまでそれら一連を経験したM君の個人的経験に基づく、今日彼の到達点である。まだ一審判決が下され、控訴審での審議がこれから始まる段階での中間総括だ。そして、M君の見解イコール取材班、鹿砦社の見解ではない。M君はあくまでも集団リンチ事件(今日に至るも「リンチ」ではないなどと論外の主張を繰り返す者がいるようであるが、そのレベルの稚拙な悪あがきを取材班は批判の対象として取り上げない)被害者本人であり、取材班はあくまで事実を追い、真実を浮かび上がらせようとする集団ではあるが「当事者」ではない。当然細かい点での意見の相違は生じる。

M君の手記は、これまで取材班が紹介した記事や関係者取材とは異なり「被害者本人」の声だ。まずは被害者が、いまどのように考えているか、を知っていただくことの意味は小さくないと取材班は考える。

弁護士の集団懲戒が話題になっているようだ。これについては本件と直接の関係はないので重きをおいてコメントをしようとは考えないが、この「騒ぎ」に関わっている、ある人物は『真実と暴力の隠蔽』に登場する。どのような形で登場するのかは本書を手に取ってご確認頂きたい。また、しばき隊のNO.1である人物が、過去ネトウヨとして暗躍した証拠が発覚し、本人は大慌てのようだ。取材班はこの人物が長年「ネット荒らし」に明け暮れていたことは早くから把握していた。これまでも断片的にはそのことに言及したが、『真実と暴力の隠蔽』ではその人物がいかなる考えの持ち主であるのか、何をやってきたのか。動かぬ証拠を提示する。

大阪地裁で下された、世紀の「誤判」=不当判決についても、松岡の論評と、判決分析をお読みいただければわかりやすいだろう(ちなみに「誤判」ではあるがM君は勝訴している)。この比類なく悪質な判決については、各方面の専門家から強い批判や違和感が寄せられている。共通しているのは「80万円払えば人を半殺しにするほどの暴力を振るってもよい」と司法がお墨付きを与えているのではないか、との指摘だ。同判決の問題点は、控訴審での闘いでの重要な争点になることは間違いない。

さらに、これまでの4冊ではご紹介しなかった、悪質極まる人物の発信も取り上げた。読者諸氏は表紙をめくると、まず目をそむけたくなるような憎悪に吐き気を催すかもしれない。これまでたびたびご紹介した事件直後、M君の顔写真だけでも多くの人には衝撃だったに違いないが、今回あえて1頁に掲載した「何物」かは、むしろ実際の写真以上に驚かれる方が多いだろう。

このような事実を並べる取材班の意図はなんなのか。グロテスクさや個人攻撃、面白がりが動機でこのような取材編集活動を行っているのであれば、取材班には何の存在意義もない。冷厳な事実を集め、整理しそれをまな板の上に乗せて、ごく簡単に包丁でさばいて、なるべく素材の味そのままに読者提供し、読者の味覚(判断)で味わっていただきたいと念じている。

そして可能であれば、「M君リンチ事件」には現代日本社会が包含する問題のエッセンスも、同時に隠れた旋律として奏でられていることをお伝えできれば、と希望している。

欺瞞だらけじゃないか!

なにが「差別反対」だ!なにが「難民歓迎」だ!どの口が「戦争法案反対」を声高に叫んでいた!「差別反対」でのし上がって、心にもない「難民歓迎」を掲げている人間が「ネトウヨ」であり差別発信を複数行っている真実。「戦争法案反対」の振りをしたSEALDsなるイベント好きな子供たち(大学生が中心だったらしいが)を集めて、マスコミを利用して自分たちの存在誇示に利用した当人たちが実は「憲法9条改憲派」であった仰天事実。弁護士のくせに「俺は正義だ」などと幼児の喧嘩で交わされるような言葉ばかり平然と吐く問題人物。

安倍自公政権の無茶苦茶ぶりには、呆れ果てモノをいう気もなくなるが、あたかも「反安倍」のようにスタンスをとり、その実安倍と何ら変わらない考えの連中が「リベラル」、「左翼」と勘違いされる今の日本(本当の「リベラル」や「左翼」の方に失礼だ)。

「M君リンチ事件」の真実を取材していると、歪み切った日本全体にCTスキャンかMRIで診察した結果と同様の諸相が浮かび上がってくる。欺瞞だらけなのである。

しかし、ご心配なく。『真実と暴力の隠蔽』ではそのような抽象論を展開はしていない。
取材班は常に最前線で闘っている。誇張ではない。大小含めてメディアの後追い取材が全くない(個人ジャーナリストを除いて)のだから。最前線で闘うためには自動小銃か手榴弾くらいは必要だ。

せっかくだから取材班が装備している武器の一部を次回はご紹介する(もちろん『真実と暴力の隠蔽』の中に記されている)。

アマゾンなどのネット販売ではすでに予約を受け付けている。また鹿砦社直接の予約申し込み先は鹿砦社販売部まで。sales@rokusaisha.com

(鹿砦社特別取材班)

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『救援』2018年5月10日号に、以前も「M君リンチ事件」についての貴重な論考を寄せられた、日本を代表する法学者(専門は刑事人権論)で「のりこえねっと」共同代表の前田朗東京造形大学教授が「反差別運動における暴力(二)」を発表されている。その全文を掲載するので、読者にも是非お読みいただきたい。今回前田教授は、3月19日大阪地裁の李信恵はじめとする対5人裁判の判決について分析し、感想を綴っている。

前田朗東京造形大学教授による「反差別運動における暴力(二)」(『救援』2018年5月10日号より転載)

〈原告勝訴であるが、事実認定においても損害賠償額においても、実質的に「敗訴」に等しい結果となった。〉との書き出しは悪意によるものではなく、取材班も感じた判決の不当性に向けての前田教授の感想である。〈原告・被告の立証内容を把握していないため判決の当否について私見を述べることは容易ではないが〉と前置きしながらも前田教授にはこの判決を放置できない。〈判決文だけを読んでの印象を書き留めておきたい〉衝動が並大抵ではなかったことが文面から伺われる。

ここで前田教授が記しているように、一審判決後、鹿砦社は前田教授に大阪高裁への控訴に向けての「意見書」を書いていただけないか、と打診した。前田教授からは「すでに自分の意見は公にしてあるので『意見書』を書く立場にはないと思います」とのご返答とともに、判決文についての違和感が伝えられていた。

しかし事実や、法の正義に忠実な方にとって、「M君対5人裁判」大阪地裁判決は、「黙してはいられない」ほどに無茶苦茶な内容であることが、前田教授がわざわざ『救援』に紙面を割き、論評を展開されている事実からも理解されるであろう。前田教授は同論文の中でも述べている通り、〈私はCの弁護人から依頼を受けて裁判所に「ヘイトスピーチの被害に関する意見書」を提出した。それだけに、本訴訟の経緯と内容を見ると脱力感に襲われる。〉

取材班は再度前田教授に、この国では少ない真の行動する知識人の姿を見る。〈脱力感〉――まさにそうであろう。取材班は事件加害者やその隠蔽にかかわった者たちに、一縷の人間的尊敬や期待をもう抱いていない(かつては鹿砦社代表松岡利康と鈴木邦男の30年に渡る交流や、取材班田所敏夫と辛淑玉の20年の友人関係もあったが、それぞれ既に「本質的に相容れない」立場を確認し義絶している)。したがって彼らの相も変らぬ狼藉ぶりに、なんら驚くこともないが、「意見書」を書いて支持・応援した人間の素性が「これかい!」と完全に理解した前田教授の心中は、理解できる。

〈損害賠償額がABにそれぞれ80万円(取材班注:これはAB二人で80万円の意味)という。理解しがたい低額になっている(中略)。これで80万円の損害賠償で済むのだから被告らが判決当夜に「祝勝会」を開いたのも頷ける。判決は「暴力のススメ」に堕していないだろうか。〉

取材班も内心、怒号を上げながら糾弾した判決における、賠償金80万円の意味。〈暴力のススメ〉とは言い得て妙である。そしてCこと李信恵やその弁護士への感想が続く。正直取材班も前田教授がこれほどまでに、怒りを露わにした論評を発表するとは意外であった。前述の通り前田教授と、わずかな接点はあるものの、上瀧浩子、辛淑玉、野間易通、中沢けいなどを「ともに反差別と闘う」友人とみなしている(た?)前田教授と取材班は若干の見解の相違は致し方あるまいと考えていた。

しかし、そうではなかった。歴史的と評価してもよい〈誤判〉、不当判決に対する疑問と怒りを前田教授は取材班同様の評価で、共有していたのだ。

そして取材班が、「次はなんなんだ!」との読者の声なき声に五度(たび)応える機が熟してきた。これまで『ヘイトと暴力の連鎖』、『人権と暴力の深層』、『反差別と暴力の正体』、『カウンターと暴力の病理』の4冊を上梓し世に問い、その都度大きなインパクトを与えてきたが、その中間総括・報告というべき『真実と暴力の隠蔽』の発売が決まった! 内容はまだ明かせないが、とりあえず表紙画像のみアップしておく。

鹿砦社M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月下旬発売開始 定価800円(税込。送料サービス)。完成次第発送する予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

『真実と暴力の隠蔽』には、ま た し て も、関係者であれば、だれもが腰を抜かすであろう〈爆弾〉を装填した。ちなみにその最重要部分につては取材班の中でも一部の人間しか接していない。書店に並ぶまでは取材班の一部しか知り得ない。それほどにセンシティブかつ破壊力のある第5弾は、ある種の人々には絶対に触れてもらいたくない内容だ。これまでで最大の〈爆弾〉となろう。発売は今月末で、まだHPやAmazonなどでもアップされていないが、以下のメールに申し込んでいただければ予約販売が可能で、完成次第発送する。2018年上期、最大衝撃の1冊になるであろうことをお約束する。定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで。sales@rokusaisha.com

(鹿砦社特別取材班)

ツイッター上で李信恵被告による、「鹿砦社はクソ」、「クソ鹿砦社」などと、多量な誹謗中傷が止まらず、本コラムで取材班ならびに松岡が数度にわたり「品のない言葉遣い」を止めるよう李信恵被告に注意を促したが、それでも罵詈雑言が止まらなかったため、鹿砦社は仕方なく李信恵被告を相手取り名誉毀損損害賠償請求を大阪地裁に起こした(2017年9月28日)ことは、本コラム並びに、『カウンターと暴力の病理』でもご紹介した。

 

『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(2016年7月刊)

同訴訟の前回期日(3月16日)に代理人の上瀧浩子弁護士から「反訴の意思」がある、旨の発言があった。どのような反訴が行われるのかを、多忙なかたわら待っていると、2018年4月17日付け(受付印は18日)の「反訴状」が過日(4月25日)鹿砦社に届けられた。「ないもの」をあたかも「あったように」印象操作する魔術師、李信恵被告がどのような「反訴」を打ってくるのか? 鹿砦社と取材班はその「反訴」内容を半ば「楽しみに」待っていた。

ただし、強調しておかなければならないのは、そもそもこの提訴は李信恵被告による、鹿砦社に対する誹謗中傷や、根拠なき言いがかりが発端となり、単なる名誉毀損だけではなく、鹿砦社の業務自体に悪影響が出る兆しが見えはじめ、放置することができなくなったことが背景にあることだ。

1つの事柄をめぐって、100人には100通りの解釈が成立しよう。それが思想や言論の自由というものだ。しかしながら「ない」ことを「ある」といってはならない。それは「ある」ことを「ない」というに等しく大きな誤謬であるにとどまらず、人や団体を深く傷つける行為につながる。歴史修正主義者の言説などがそうだ。「南京大虐殺はなかった」、「日本は合法的に朝鮮半島を併合した」などとの主張は、歴史の事実に逆らうもので、そこで生きた人びとの営為を無化しその精神を殺してしまうものである。

『反差別と暴力の正体 暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(2016年11月刊)

李信恵被告の発信にも同様に、あたかも鹿砦社が「李信恵被告の仕事の妨害をしている」、あるいは「健康を害する原因を作っている」かのごとき言いがかりも散見された。しかしながら事実に立脚していなくとも、このような「物言い」はそれ自体が独り歩きしてしまい、鹿砦社に対するマイナスの情報やイメージとして流布される。ことに「差別の被害者」としてマスコミに頻繁に取り上げられる、李信恵被告からの発信は、無名な市民の発信とは訴求力において比較にならぬ力を持つ。

そのため、致し方なく鹿砦社は業務への悪影響と、継続する誹謗中傷を止めるために提訴を起こす以外に選択肢がなかったのである。事実、提訴以降李信恵被告による鹿砦社に対する誹謗中傷、罵詈雑言はすっかり影を潜めた。その点において提訴は判決を待たずとも、一定の「抑止効果」をすでに発揮しているといえよう。

そこにもってきての李信被側からの「反訴」である。以下請求の趣旨を掲載するが請求では、まず、550万円を払えと求めている。そして鹿砦社がこれまでに発刊した『ヘイトと暴力の連鎖』、『反差別と暴力の正体』、『人権と暴力の深層』、『カウンターと暴力の病理』を「頒布販売してはならない」と実質上の販売差し止めをもとめている。また本コラムに掲載した過去の記事の削除も要求している。

概ね予想の範囲内ではあったが、『ヘイトと暴力の連鎖』、『反差別と暴力の正体』、『人権と暴力の深層』、『カウンターと暴力の病理』を「頒布販売してはならない」との請求には、正直失笑を禁じ得なかった。すでに発売されてから1年以上のものも含み4冊を「販売するな!」、「広めるな!」との主張は李信恵被告や、代理人、神原元弁護士らしい、乱暴な請求ではあるが、もし本気で「販売差し止め」を求めるのであれば、どうして「仮処分」の申立てを行わなかったのだ?

『人権と暴力の深層 カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い』(2017年5月刊)

少々解説すると、一般の裁判は判決が出るまでに相応の時間がかかる。鹿砦社が李信恵被告を訴えた裁判も判決が出るのは、まだかなり先になるだろう。これが民事訴訟の標準である。一方のっぴきならない緊急性があるときは「仮処分」を裁判所に申し立てて、それが認められれば、極めて短時間で司法により「禁止」や「差し止め」の命令が下されることがある。鹿砦社自身過去に不当と思われる「仮処分」による「出版差し止め」を食らった経験があるし、大手週刊誌などでも「出版差し止め」の仮処分が認められ、発刊が出来なかった事例は過去にある。

しかし、出版差し止め仮処分を申し立てるには、強度の緊急性と高度の違法性を要する理由がなければならない。仮処分が認められなければ、引き続き同じ内容を争う「本訴」では不利に作用することもある。

李信恵被告側は、鹿砦社が発刊した上記4冊に、名誉毀損や事実無根の記載があれば、堂々と出版差し止め仮処分を申し立てる選択肢もあったろうに、そうはしていない。そして、その根拠は丁寧にも「反訴状」に記載されている。いずれの4冊も李信恵に言及している部分のみを理由として、「頒布販売の禁止」を求めている。

法的な知識に取材班は詳しくないが、李信恵側が主張する「頒布販売の禁止」のを求める根拠は、いかにも希薄である。弁護士に相談するまでもなく、手元に反論材料は山積している。反論材料を多すぎて、整理するのに手間がかかるほどだ。

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(2017年12月刊)

そもそも『鶴橋安寧』を出版以降、李信恵被告による、まとまった文章による主張を目にしていない(どこかにあるのかもしれないが、鹿砦社ならびに取材班は見つけることができていない)。李信恵被告は元々ライターなのであるから、自身に疑義が向けられている「事件」についてもツイッターなどという、安易な方法ではなく、自身のまとまった見解を明らかにすればよいのではないか。売れっ子の李信恵被告が、原稿を発表したいと声をかければ、幾らでもそれに応じる出版社はあろう(取材班の多くがうらやむほど……)。

だが待て! 先日のM君が李信恵被告ら5名を訴えた裁判の判決では、M君が勝訴はしたものの、一般常識からすれば考えられない、「屁理屈」のような論が展開され、多くの主張が認められなかった。あろうことか同一個人名の誤表記が3度も判決文にはあった。「裁判は水物」だ。「え、嘘だ!」というような判決が、過去あまた積み重なっている事実を無視はできない。

可能性は低いが、万が一「反訴」が認められれば、『ヘイトと暴力の連鎖』、『反差別と暴力の正体』、『人権と暴力の深層』、『カウンターと暴力の病理』が発売禁止になり、これ以上読者のお手元に届かなくなる可能性もある。

万が一まだ上記4冊をお読みでない読者の方がおられたら、急いでお買い求めいただくことをお勧めする。まだ幸い在庫はある。が、「反訴」が認められ「頒布販売」が禁止になれば、これ以上お分けすることができなくなるかもしれない。鹿砦社の対李信恵裁判及び反訴にご注目を頂きたい。


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる──。(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

(鹿砦社特別取材班)

3月19日、大阪地裁でM君が李信恵ら5名を訴えた損害賠償請求事件と、伊藤大介、松本英一がM君を損害賠償事件で反訴した裁判(平成28年(ワ)第6584号、平成28年(ワ)第11322号、平成28年(ワ)第11469号)の判決が言い渡されたことは、本通信でお伝えした。

念のためにお伝えするが、判決の主文は、

〈1〉被告エル金及び被告伊藤は、原告に対し、各自79万9740円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

〈2〉被告凡は、原告に対し、1万円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

〈3〉原告の被告エル金に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

〈4〉原告の被告凡に対する主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

〈5〉原告の被告伊藤に対するその余の請求を棄却する。

〈6〉原告の被告信恵及び被告松本に対する請求をいずれも棄却する。

〈7〉被告伊藤及び被告松本の反訴請求をいずれも棄却する。

〈8〉訴訟費用は、被告エル金に生じた費用の11分の4及び原告に生じた費用の47分の1を被告エル金の負担とし、被告凡に生じた費用の220分の1と原告に生じた費用の1880分の1を被告凡の負担とし、被告松本に生じた費用の5分の3と原告に生じた費用の188分の33を被告松本の負担とし、被告伊藤に生じた費用の67分の53及び原告に生じた188分の53を伊藤の負担とし、その余を原告の負担とする。

〈9〉この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

である。

判決本文でエル金は「被告金」、凡は「被告○○」(閲覧制限の申立がなされている模様なので念のため○○とする)とされているが、ここでは読者に理解しやすいように彼らのツイッター名「エル金」、「凡」と記した。

◆判決それ自体は「M君の勝訴」である

裁判の判決文を読みなれている方にとっては、簡単な主文であるが、裁判などは関係ない方にとっては若干の解説が有用だと思われるので、主文を簡単に説明しておこう。

〈1〉〈2〉はM君が心身に受けた暴行に対する損害賠償を請求していたが、判決はエル金と伊藤大介が共同で79万9740円を、凡が1万円それぞれ平成26年12月17日から支払いまで年5%を上乗せしてそれぞれM君に支払いなさい、と命じている。

〈3〉〈4〉〈5〉〈6〉はM君が求めていたその他の請求(共謀、その場に居合わせた全員に責任があるとの判断、後遺症への賠償、事件後事件隠蔽が大規模に行われ、被告もそれに関与していたことに対する賠償など)を認めないとの判断だ。

〈7〉はM君が伊藤大介、松本英一を提訴したことに対して伊藤大介、松本英一から提起されていた「反訴」の主張を認めない(棄却)との判断だ。

〈8〉は裁判費用について原告被告の負担割合が示されており、〈9〉はエル金、伊藤大介、凡への賠償金について仮執行(財産の差押えなど)を認める内容である。

上述のようにこの判決ではM君が被った被害をおおよそ80万円と算定し、エル金、伊藤大介、凡に支払うよう命じている。そして見落とされがちであるが重要なことは〈7〉で伊藤大介、松本英一の反訴が棄却されていることだ。つまりごく簡潔に言えば「M君の勝訴」だといえる。

◆まるで彼らが「勝った」かのような発言・発信は事実に反している

しかしながらM君からすれば納得のいかない点は多い。後遺症と暴行の関係を認めていない判断は、到底社会通念上も不可思議なものと言わねばならない。この事件が、仮に交通事故であったら保険会社は後遺症にかかわる交通費や治療費を支払うだろうし、症状固定後にあらためて後遺症の程度認定を行うだろう。

その他にも明確な証拠を示し被告らが関与した「事件隠蔽」並びに、事件後もM君を誹謗中傷する行為が相次いだ(現在も続いている)重要な事実を認定していないのはまったく理解に苦しむ判断である。

そして、判決の言い渡された日以来、被告に近い立場の人や一部被告と推認される人物が、まるで彼らが「勝った」かのような発信を続けている。ここではあえてそれが誰による行為であるかは(把握しているが)明言しない。重要な事実は上記のような判決が言い渡されて、なお「M君に非があった」、「M君は負けた」などという事実に反する発信を、社会的に地位のある人も含め発信し、拡散を続けていることである。

実は先週、M君に危害が及ぶ可能性があるような発信までが行われた。本意ではないがM君は身の安全を図るために、適切な機関に申告をし、アドバイスを受けている。

「言論の自由」は言うまでもなく重要な概念であるが、危害を及ぼすような書き込みは許されるものではない。

(鹿砦社特別取材班)


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付 録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

3月19日大阪地裁でM君が提訴した、李信恵ら5人に対する判決が言い渡されたことについては、本コラムですでにお伝えしてきた。判決言い渡し後、判決文を入手したM君、弁護団は即座に「控訴」の意思を固めた。その後M君、弁護団、支援会が協議し、本日(29日)大阪高裁への「控訴」が行われる。

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる(『カウンターと暴力の病理』グラビア)

◆李信恵の責任が認められなかったことは被告側の「勝利」なのか?

ただし、まず確認しておかなければならない。地裁判決は事実認定やM君の主張をほとんど取り入れないなど、極めて不当な判断が散見されるものの、決して被告側の「勝利」などではないことである。本訴訟にかかわっている被告側一部の人間は、19日の判決のあと「祝勝会」を開いたり、大仰な「勝利宣言」のような発信をツイッターで行っていると側聞(そくぶん)するが、判決では被告側に総額約80万円の支払いが命じられているのである。さらにはM君を反訴した一部被告の請求はすべて退けられているのだ。これでどこが「勝利」といえるのだろうか。取材班は理解できない。

M君にすれば、少なすぎる賠償額と「掴みかかった」と本人が証言し、「掴みかかった」事実が認定された、李信恵の責任が認められなかったこと(判決では、この不可解な認定を正当化するために判決文38頁のうち、実に5頁を割いている)。凡についての評価も容認できる内容ではなかったことが、もっとも納得のできない部分であり、弁護団、支援会も同様の見解だ。さらには後遺症と暴行の関係を認めない乱暴な判断は到底容認できるものではない。

本訴訟に直接かかわってはいないものの、事件の経緯を知り、判決文を読んだ複数のジャーナリストや法曹関係者からも同様の感想が寄せられている。

「祝勝会」と称し浮かれる加害者と神原弁護士(神原弁護士のツイッターより)

◆エル金の暴力を「幇助」したと認定された伊藤大介

いっぽう、伊藤大介については、本人が証人調べで繰り替えし述べたように、M君が殴られて怪我をしているのを知りながら、それでも「友達なんだから話し合うべきだと思い」店の外にM君を出すことを促した行為が「幇助」(ほうじょ)にあたると認定された。刑事では伊藤に捜査や刑罰は及ばなかったが、大阪地裁は「暴力は振るっていないけれども」伊藤がエル金の暴力を「幇助」したと認定したわけで、これは反訴までしていた伊藤にとっては大敗北ではないのか(取材班はこの判断自体は当然と評価する)。

判決についての評価の詳細は、今後の高裁での審理にも影響するので、委細を述べるのは差し控えるが、M君並びに弁護団にとって総体として到底納得のできるものではないことは明らかだ。

そして、このような判決に異を唱えず、納得してしまうことは「長時間にわたり鼻骨骨折し、目が見えなくなるほどの暴行を行っても、民事では80万円払えばよい」という、とんでもない判例を残すことになる。当事者M君が納得できないのは当然であるが、市民感覚からしても到底受け入れられない判決を放置はできない。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

◆M君が頑張っている限り、弁護団も支援会も鹿砦社特別取材班も、絶対に諦めない

闘いは第2ラウンドを迎える。しかし、読者諸氏に是非とも伝えたい。判決直後のM君は「報告会」でこれまで支援してくださった(カンパを頂いたり、精神的に支えてくださった)方々への御礼を何度も口にして、本人のツイッターアカウントでも謝辞を述べている。ところが翌日になってM君から取材班に電話がかかってきた。

「きのうは緊張していたし、たくさんの人がいらしたのでそうでもなかったんですが、きょう一人になると、苦しい気持ちになって……」

無理はない。取材班は、「君が頑張っている限り、弁護団も支援会も鹿砦社特別取材班も、絶対に諦めない。いまは苦しいだろうが、ともに試練を乗り越えよう。見ている人はちゃんと見ている」と激励するしかなかった。M君の心中を想像すると、その苦渋は察するに余りある。

控訴にあたっては、また弁護団への着手金の支払いなどが生じる。「M君の裁判を支援する会」(https://twitter.com/m_saiban)では彼の法廷闘争をご支援頂ける方々に、ご協力を呼び掛けている。取材班からもM君救済のために、これまでご支援いただいた方々に御礼申し上げると同時に、今後もさらなるご支援を可能な限りお願いしたい(支援頂いている方の中には何度も何度も繰り返しご送金頂いている方も少なくないと聞く。あくまでもご無理のない範囲で)。支援に頼るばかりではなく、当然M君本人も可能な限り裁判費用を捻出することは言うまでもない。

「対5人裁判」控訴審へさらなるご注目とご支援を!

(鹿砦社特別取材班)


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録のリンチ音声記録CDより)

最新刊『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD

すでに報じられていますように、私たちがこの2年間、真相究明と被害者支援を続けて来たカウンター大学院生リンチ事件の加害者5人に対する民事訴訟の一審判決が3月19日大阪地裁で下されました。

ハッキリ申し上げれば、これだけ事実関係が明確で、音声データなど証拠資料もあるにもかかわらず、裁判所は何を考えているのか、いや、人間の心があるのか、全く遺憾な判決でした。
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[※上記◇箇所の文字は、裁判所の命で削除しました。(鹿砦社)]

そして総額約80万円の賠償金(請求額は約1千万円)、常識外に過少です。この金額では、法的な歯止めにさえなりません。たとえば300万円だったら歯止めになり、もう再度リンチはしないとなるでしょう。80万円だったら、これぐらいなら憎い奴はリンチするかとなりかねません。この判決を見て知人は、「自分がM君だったら、この判決を下した裁判長に『80万円払いますから被告5人をぼこぼこに殴らせてください』と言うかもしれません」と怒りに満ちたメールをくれました。

リンチの場にいた全員に連帯責任を負わせ、歯止めとなる賠償金を課す――そうでなかったら、これからも社会運動において、同種同類の事件や不祥事は起きるでしょう。

裁判所(官)には世間の常識が通じないとよく言われますが、今回の判決を見て、あらためてそう感じました。結論から言えば、〈歴史的誤判〉です。この判決をそのままに放置しておけば、M君の救済にならないのは勿論、この国の社会運動にとっても禍根を残し悪影響を与えると考え、M君の控訴の意志に同意し、今後もM君や弁護団と共に頑張っていく決意です。

判決の際の法廷。桜真澄さん画(本人の承諾を得て掲載しています)

◆被害者M君との出会いと、この2年間の伴走

判決内容の詳細な分析はまた日を改め行いたいと思いますが、リンチ被害者の大学院生M君は、2014年12月17日深夜に、李信恵らカウンター – しばき隊の主要メンバー5人がいる大阪・北新地のワインバーに呼び出され、◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
[※上記◇箇所の文字は、裁判所の命で削除しました。(鹿砦社)]

リンチは1時間ほども続き、この間、李信恵らは悠然とワインを飲んでいたということです。そして瀕死の重傷を負ったM君を師走の寒空に放置し去って行きました。人間として考えられないことです。普通なら、大の大人が5人もいれば、誰かが止めるでしょう。今回で言えば、年長者の伊藤大介、格闘技経験者の松本英一が止め役にならないといけないでしょう。果たして止めたのでしょうか。リンチを黙過し殴らせるままにしていたのではないですか。

その後、いったんは李信恵、エル金、凡は「謝罪文」を出しましたが、それも対「在特会」らとの訴訟があるからという理由で反故、また同時にリンチをなかったことにする隠蔽工作がなされます。メディアも報じません。M君は、一部の人たちを除いて、みなから村八分にされます。村八分行為は現代社会では差別として禁じられています。「反差別」を語る人たちが村八分を行っていいのか!? さらには、ネットリンチも様々なされM君は精神的に追い詰められていきます。

そうして、2016年2月28日、「相談があります」とM君の知人「ヲ茶会」(ハンドルネーム)さんが、主だった資料を持って鹿砦社を訪れます。リンチ直後の1枚の写真に驚きました。その数日後にM君と会いました。リンチが起きたのは2014年12月ですから1年余りが経っていました。その1年余りの間、M君の孤独と精神状態は想像に絶するところです。M君の話を聞き主だった資料を目にしリンチの最中の音声データを聴いたりして、私たちは、この青年を支援することにしました。瀕死の重傷を負い、リンチ後もさんざんネットリンチをなされ、藁をもすがる想いで助けを求めてきた青年を人間として放っておけますか? 私はできませんでした。この時点で、「カウンター」-「しばき隊」に対決するなどという気など毛頭もありませんでした。素朴にM君への同情でした(この直前に、「カウンター」-「しばき隊」と連携する反原連〔首都圏反原発連合。鹿砦社は、脱原発雑誌を発行することに関連し経済的にかなりの額を支援していました〕に絶縁宣言を出され訣別しましたが、この頃は、彼ら相互の密接な繋がりはさほど知りませんでした)。

同時に、リンチ事件の真相究明のために客観的分析や取材を開始しました。加害者らが関わり被害者M君も事件前まで関わっていた「カウンター」-「しばき隊」、そしてこれと関係がありリンチ事件を知っていると推察される人たちへの直接取材も可能な限り行いました。ほとんどの人が誠実に答えてくれませんでした。むしろ逃げました。

この2年間の取材の成果は『ヘイトと暴力の連鎖』『反差別と暴力の正体』『人権と暴力の深層』『カウンターと暴力の病理』の4冊の本にまとめられ世に送り出されました。「デマ本」などという非難が「カウンター」-「しばき隊」とこの界隈の人たちから向けられましたが、概ねは好意的に迎えられました。「カウンター」-「しばき隊」内外の方々、その元活動家らからほぼ正確だとの評価を受けました。M君や私たちに反対する人たちに「デマだ」「ウソだ」以外に具体的かつ真摯な批判はありません。ほとんどが本も読まないで「デマだ」「ウソだ」と批判しているようだったので、第4弾の『カウンターと暴力の病理』をカウンター活動家ら数十人に献本送付し意見を求めましたが、ほとんど回答らしい回答はありません。ちゃんと回答せよ!

◆司法に救済を求めるも……

さて、事件後1年余り村八分にされ隠蔽工作が進行する中で、M君は司法に救済を求めます。当然です。事件から1年以上も経っていたので遅かったかもしれません。それまでM君本人は、わずかの支援者と共に弁護士探しにも奔走したりしましたが、ことごとく断られ、遂には本人訴訟も考えたといいいます。私たちと知り合った後は、私も、鹿砦社顧問の大川伸郎弁護士を紹介し、大川弁護士を中心に訴訟の準備を進め、ようやく16年7月に李信恵ら5人を大阪地裁に提訴、前後してM君へのネットリンチを繰り返す野間易通を名誉毀損等で提訴、司法に救済を求めようとしました。事件から1年半余りが経っていました。このかんのM君の心中を察すれば、筆舌に尽くし難い想いです。私だったら耐えられないでしょう。

しかし、司法は被害者の味方ではありませんでした。本件に限らず多くの人たちは司法への期待と幻想から司法に救済を求めますが、司法が必ずしもこれに応えるかといえば、そうではありません。私も多くの訴訟を経験し、それは判っていたつもりでしたが、今回は加害 – 被害の事実関係がはっきりしているので、裁判所の判断は間違いないと確信していました。本人尋問も、原告M君優勢裡に行えました。

昨年12月の本人尋問、そして3・19の判決を傍聴された、『マンガでわかる女が得する相続術』などの著書がある法律漫画家の桜真澄さんは、「今回の裁判を客観的に見た。大学院生が複数名に暴行され、その後民事で長い間戦っていた。彼は寒空の中で暴行され、その後もネットで中傷され、この判決だ。一体なんなんだろう。私だったら正気を保てないよ。よく頑張ったねM君!」とツイートされています。これが一般人の感覚でしょう。

今回の判決で、エル金 – 伊藤大介には、少額と雖も賠償金が課されました。◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
[※上記◇箇所の文字は、裁判所の命で削除しました。(鹿砦社)]

一人の人間としての人権を毀損された被害者を法的に救済するのが司法の本来の姿ではないでしょうか? 裁判所が「人権の砦」というのなら、そうすべきです。裁判所は「人権の砦」ではありませんでした。

本件を担当した、長谷部幸弥(裁判長)、玉野勝則、牧野賢の3人の裁判官に人間の心はあるのか!? 法律を司る前に一人の人間であれ!

◆リンチ事件と本件訴訟に凝集された問題から何を学ぶべきか? 加害者らは、反省すべきは反省せよ!

確かに李信恵らの共謀、共同不法行為が司法上認められなかったからといって、これはあくまでも司法上でのことであり、現実にはリンチ(私刑)があったことは否定しようのない事実であることは、私たちが上梓した4冊の本で証明されています。そうでないと言う人は、これら4冊の本を越える反論を行なっていただきたいと思います。具体的に詳細に――。裁判所には、そのうち3冊を証拠資料として提出していますが、これをどう斟酌したのでしょうか。

残念ながら、M君は一審では、不本意な判決内容を受けましたが、リンチ事件から1年余り後に私たちに出会った頃、そわそわ落ち着かない精神状態だったことに比べると、明るくなり精神的にも落ち着いてきました。なによりもこれが最も嬉しいことです。

本件リンチ事件は「反差別」運動、カウンター運動内部で起きた不祥事であり、かつての共産党の査問、新左翼の内ゲバ同様、主体的な反省がなければ、この国の社会運動に禍根を残し悪影響を及ぼすと考えています。

私がまだ十代の終わり頃(1969年~70年)、勢いのあった新左翼内部で内ゲバが起き3人の活動家が亡くなりました。すると作家で京大助教授の高橋和巳先生は雑誌『エコノミスト』に「内ゲバの論理はこえられるか」を連載し、即刻やめるよう警鐘を鳴らしました。『エコノミスト』のような経済誌でもこうした問題を採り上げた時代です。しかし、高橋先生の声は蔑ろにされ、結果、100人以上の活動家が亡くなり、新左翼運動は衰退していきました。

共産党も同様です。70年代はじめ「新日和見主義」といわれる、主に学生・青年組織の幹部が多数査問され除名されるという事件が起きました(有名な方ではジャーナリストの高野孟)。この頃共産党は、当時の社会党と共に社共統一戦線で東京、京都、大阪で革新系知事を出し、今では想像できないほどの勢いがありました。現在共産党が唱える「野党共闘」など比ではありませんでしたが、以後衰退していきます。

誤解を恐れず申し述べれば、たかが裁判に勝った負けたは、本質的な問題ではありません。仮に裁判の判決が不本意だったからといって悔やむ必要もありません。要は、この裁判に凝集された問題から、何が良くて何が悪いのかを剔出し反省、止揚することではないでしょうか。それを、運動に関わる人は運動に活かし、また運動をやっていない人は、日々の暮らしの中で社会を見る目に活かすなり……。

特に今回は、加害者らが「反差別」や「人権」という言葉を錦の御旗にしているから、多くの人がその美名に幻惑され騙されたりしています。「反差別」を語る人らが被害者を村八分にし、また「人権」を語る人らが人ひとりの人権を暴力で毀損するという異常事態です。私は今でも人間を信じたい。「カウンター」‐「しばき隊」の中にも心ある方はおられるはずです。心ある方々が、この事件に真正面から向き合い、「リンチはなかった」などと隠蔽せず、反省すべきは反省してほしいと願っています。

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる(『カウンターと暴力の病理』グラビア)

◆勝訴に浮かれ「祝勝会」! この人らの人権感覚を疑います

ところで、判決の夜、李信恵、伊藤大介、エル金、そして代理人・神原元弁護士らは「祝勝会」と称し酒盛りを行い、これみよがしに、これをネットに上げています。これはM君を精神的に追い詰めるものです。

「祝勝会」と称し浮かれる加害者と神原弁護士(神原弁護士のツイッターより)

先の桜真澄さんも、「法廷で一度、原告に頭を下げ謝罪した後で、被告がわざわざ判決日に笑顔で焼き肉を食べる写真をSNSで公開するなんて…… 私だったら心が潰れる」とツイートされています。また、医師の金剛(キム・ガン)さんは、「DMでインスタグラムにアップされた被告らの浮かれた写真が伝えられてきた。 ずいぶん気持ちよさそうだが、あの陰惨な事件に関与した者たちが真摯な態度をまったく示そうともしないというのは、実に奇怪な光景である。あれが『奴らの反差別、奴らの正義の正体』であることを忘れないようにしよう」とツイートされています。李信恵、伊藤大介、エル金、神原弁護士よ、あなた方は、いやしくも「人権」を語ってきたわけでしょう? このようにあからさまにみずからの「人権感覚」の程度を晒すようなことはやめられたほうがいいのではないでしょうか。

さらに、神原弁護士は調子に乗って、「正義は勝つし、レイシストは常に破れる」などと言っています。ここに言う「レイシスト」とは誰のことでしょうか? M君を差していると推認されますが、これはさらにM君を精神的に追い詰めるものです。M君は「レイシスト」なのか? リンチされ、村八分にされ、セカンドリンチをされ、リンチはなかったように隠蔽工作をされ、司法に救済を求めても真意を理解されず不本意な判決を下され、さらに「反差別」や「人権」を語る人から「レイシスト」呼ばわり……いい加減にしていただきたいものです。私はM君が「レイシスト」だったら支援しません。最低これぐらいの矜持はあります。

ちなみに神原弁護士には、私や鹿砦社は「極左」呼ばわりされていますが、さすがに「レイシスト」呼ばわりはされないようです。

◆今後の決意 本当の勝負(裁判だけではなく)はこれから!

M君はここまで叩きのめされても、多くの皆様方の激励により元気を取り戻しつつあります。やはり司法に期待や幻想を持ったらいけないようです。司法の結果がどうあれ〈真実〉は満天下に明らかになっています。私たちはM君が頑張る意志を持ち続ける限りサポートを続けていきます。ここでも桜真澄さんは、「判決に耳を疑った。 人が殺されかけたのに…… 法律とはグレーであり奥が深く理不尽である。それは私が法律を学ぶ上で沢山の弁護士達から教えられてきた。今回の裁判で、法とはやはりグレーで理不尽だと実感する。そして一人の青年にこんなにも沢山の応援団がいることは素晴らしいと思った」とツイート。桜真澄さんのお気持ちに涙が出そうです。

「棺桶に片足突っ込んだ爺さん」(鹿砦社元社員でカウンターメンバーだった藤井正美評)とか「好々爺」(合田夏樹さん評)と揶揄された私は、この問題と出会う頃に現役を退くつもりで、内外にそう公言していましたが、この問題と出会ったのもなにかの運命、最後まで見届ける決意です。心ある人たちの〈良心〉を信じて――。

闘いはまだ一里塚、本当の勝負(裁判だけでなく)はこれからです。このままでは終われません。まずは控訴審に向けて、心ある皆様方の圧倒的なご支援をお願い申し上げます。(本文中、一部を除いて敬称略)


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録リンチ音声CDより)

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD

3月19日大阪地裁810号法廷で、M君が李信恵はじめ5名を訴えた、損害賠償訴訟(平成28年第6545号、第11322号、第11469号 長谷部幸弥裁判長)の判決が言い渡された。傍聴券交付となった同判決には、傍聴を希望する30余名の人びとが抽選に集まったが、定員に達しなかったため全員が傍聴席可能となった。

13時45分に傍聴席は開錠されたが、その直前に被告側代理人の神原元弁護士が入廷した。傍聴席がほぼ埋まった13時55分、M君が法廷入り口に現れ、深々と一礼して原告席に着席した。弁護団の大川伸郎弁護士、瀬川武生弁護士も原告席に控える。

◆判決主文9項目

14時ちょうどに裁判官が入廷し、廷吏によって事件名が読み上げられる。長谷部裁判長はまず原告被告双方の呼び方を確認したうえで、以下のとおり判決主文を読み上げた。(ここでの呼称は裁判所で長谷部裁判官が用いたものではないが、読者諸氏に理解しやすいようにこれまでどおりの表記でご紹介する)

(1)被告エル金および被告伊藤大介は原告に対し、79万9,740円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

(2)被告凡は、原告に対し、1万円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

(3)原告の被告エル金に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

(4)原告の被告凡に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

(5)原告の被告伊藤に対するその余の請求をいずれも棄却する。

(6)原告の李信恵及び松本英一に対する請求をいずれも棄却する。

(7)被告伊藤及び松本の反訴をいずれも棄却する。

(8)訴訟費用は、被告エル金に生じた費用の11分の4及び原告に生じた費用47分の1を被告エル金の負担とし、被告凡に生じた費用の220分の1と原告に生じた費用の188分の1を被告凡の負担とし、被告松本に生じた費用の5分の3と原告に生じた費用の188分の33を被告松本の負担とし、被告伊藤に生じた費用の188分の53を被告伊藤の負担とし、その余を原告の負担とする。

(9)この判決は第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

◆判決文を一読し、M君と弁護団は「控訴」の意思を固めた

長谷部裁判長が、早口に上記を読み上げ、判決言い渡しは終了した。傍聴席で判決を聞いていた多くの人は耳を疑った。この判決によるとM君が受け取ることのできる「賠償金」は80万9,740円及び、年5分の利息のようなものだけだ。

長時間の暴力を受け重症を負った被害者が事件を隠蔽され、裁判に2年かけ得られるのが僅かに80万円なのだ。

しかも判決ではエル金と凡、伊藤大介に賠償を命じているが、凡に対する賠償金額は僅か1万円。さらに李信恵が「M君に掴みかかった」事実を認定しながら、M君が「平手で殴られたのかげんこつで殴られたのかはっきりしない」ことを理由にM君の証言が「信用できない」とまで決め付けている。

その他、判決文には原告側としては、到底納得できない箇所が多く、判決文を一読し、M君と弁護団は「控訴」の意思を固めた。

左から瀬川武生弁護士、大川伸郎弁護士、M君、松岡利康鹿砦社代表

◆M君が語った現時点での総括

判決後、大阪弁護士会館に場所を移し「報告集会」が行われた。冒頭M君は「このように皆様にお集まりいただき、判決は納得できるものではありませんが、200名を超える方々に裁判費用のご支援を頂き、きょうの日を迎えることができたことをまず感謝申し上げます。ありがとうございます」と切り出した後、以下のように話した。

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私なりにきょう時点での総括をしておきたいと思います。総括とはスポーツなどでもそうですが『何ができて、何ができなかったか』を検証することです。

まず、出来たことは、多数の著名人や社会的有力者が二重三重に隠蔽に関わってきました。それを打破できたのは私一人では到底無理でした。ここにいらっしゃる松岡社長及び弁護団の先生方、何よりも支援いただいた方々のご高配の賜物です。ありがとうございます。

2つ目は、上瀧浩子弁護士、コリアNGOセンター、これらの人々は『事件を知りません』では済まされない人びとです。この人たちが裁判の中で旗色をはっきりさせた。このことは意味があったと思います。

3点目は個人的ではありますが、いわゆる「しばき隊」、「カウンター」と呼ばれる行動に対して自分で反省することができたことだと思います。色々なことがいわれますが、暴力的手段をとったのは全面的に間違っていた。「しばき隊」は最初から間違いであったと反省の機会を得たことであります。これについてはこの場で反省の弁を述べさせて頂きます。判決は厳しいものになりましたが今後もよろしくお願いいたします。

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◆「李信恵の責任が認められず、伊藤大介の責任は認められる」論理構成の不可解

左から瀬川武生弁護士、大川伸郎弁護士

松岡利康=鹿砦社代表

次いで大川弁護士から、判決について解説があった。「予想外の結果に驚いている」と大川弁護士は正直な感想を語った。「最初に掴みかかった李信恵さんの責任が認められずに、伊藤大介さんの責任は認められている。わけのわからない論理構成です」と例を挙げ判決全体に対する疑問が呈され「控訴するしかないでしょう」と弁護団の決意を語った。

その後参加者と弁護団、M君による質疑応答に入り、さまざまな意見が交わされた。

質疑の後鹿砦社代表松岡が「きょうの結果は残念でしたが、それでも判決を迎えられたのはひとつの成果です。裁判は水物で予想しない判決が出ることは私も経験的にわかっているつもりです。今日の判決を一里塚として控訴審を戦っていきたいと思います。この2年で4冊の本を出しました。勝利したとはいえないけれど、心ある人にはそれなりに伝わり、なぜマスコミは報じないのか? と思われたでしょう。きょうの結果も今後出版し戦っていく。私の良く使う言葉ですが〈敗北における勝利〉」ととらえ、これからも皆さんのご支援よろしくお願いいたします」と挨拶をした。

その後参加された皆さんへの支援(カンパ)の要請があり、3万1,500円の「支援」が集まった。

最後に特別取材班の一人が激烈なアピールを行った。

M君裁判一審判決は「不当判決」だった。だが、闘いはこれからだ。心ある皆さんのご支援を引き続き呼びかける!

(鹿砦社特別取材班)

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

いよいよ明日19日、M君が李信恵など5名を訴えた損害賠償請求訴訟の判決が、14時から大阪地裁810号法廷で言い渡される。鹿砦社に“事件”が持ち込まれて約2年で、ようやくこの日を迎えることができる。特別取材班は結成直後から精力的に情報収集・取材に動いた。その成果の一端は『ヘイトと暴力の連鎖』(2016年7月14日発行)、『反差別と暴力の正体』(2016年11月17日発行)、『人権と暴力の深層』(2017年5月26日発行)、『カウンターと暴力の病理』(2017年12月11日発行)で順次報告してきた通りだ。

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる(『カウンターと暴力の病理』グラビア)

◆昨年12月11日、被告代理人・姜永守弁護士が行ったM君への呆れた質問

この裁判のハイライトは、なんといっても2017年12月11日に行われた、原告被告の本人尋問だった。そのあらましは本通信12月14日に報告した(M君リンチ加害者李信恵ら5人への12・11 本人尋問傍聴記 被告側に4つの大失点)が、中でも際立って記憶に残っているのが、被告代理人姜永守弁護士のM君への質問だ。

既定の時間を超えて、裁判から制止されるも行った姜弁護士のM君に対しての最後の質問、「あなたはこの裁判のなかで被告たちがリンチをしたとか、隠蔽をしたとかさんざん主張して、各被告の責任を訴えていますよね。あなたにとってはこの裁判はなんなんですか?」ざわつく法廷内を気にもせず姜永守弁護士は「何のためにこの裁判をしているのですか?」と弁護士としては絶対にしてはならない(まったく被告の利益にならない)質問を2度も繰り返してしまったのだ。M君も驚いただろうが「訴状に書いてある通りです」と明確に答えた。

◆それでも「M君に非あり」であるかのようなしばき隊や香山リカらの言説・態度

この質問には原告代理人も呆れたが、理解を示す一群の人びとが法廷内にはいた。それはしばき隊の連中だ。全国動員で駆け付けたしばき隊にとっては姜弁護士の質問が、裁判を闘う上で圧倒的に不利な質問であっても、感情面で自分たちを代弁してくれる「スカッとする」質問だったのだろう。

だから、困るのだ。感情だけに左右され、理性や人権原則が引っ込んでしまった人びと。香山リカはこの訴訟で被告側の「全面勝利を祈ります」などと書いているが、そもそも暴行傷害が刑事で確定している事件の民事訴訟で、被告側の「全面勝利」とはいったい何を意味するのか? 暴行の事実自体は争いがないのに香山はそれでも「M君に非あり」と言外に表明している。こういう一見穏やかな表現に見えて、加害者に加担する行為は極めて悪質だ。

『カウンターと暴力の病理』を手にして、あたかもこの本の出版自体が問題である、かのような質問まで行った姜弁護士とエル金。彼らには反省の色はないと傍聴席にいれば受けとめざるを得ない。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

鹿砦社への暴言の一部(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

ともあれ、明日裁判所による判断が示される。「3・19 M君対5人裁判判決闘争」は14時から810号法廷だ。支援頂ける方の結集を呼び掛ける!

なお、傍聴は抽選なのでお越し頂けるかたは、13時30分までに裁判所入口の前へご参集を。

(鹿砦社特別取材班)

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◆明日3月15日(木)、鹿砦社が李信恵被告を名誉毀損等で訴えた民事訴訟第3回弁論が開かれます!

明日3月15日(木)午後1時30分から、鹿砦社が李信恵被告を名誉毀損等で訴えた民事訴訟の第3回弁論(大阪地裁第13民事部)が開かれます。これに際して私は鹿砦社を代表して別掲のような「陳述書」を提出いたしました。訴状、およびこの陳述書に私たちの主張の骨格は申し述べたと思いますが、社会的に影響力のある人物、とりわけ崇高な志を持って推し進めるべき「反差別」運動のリーダーたる人物が、「鹿砦社はクソ」といった口汚い言葉を連発することはあってはならないことです。

言葉には、その人の人格や人間性が表われるとするならば、いやしくも「差別」に反対するとか「人権」を守るとか言う者が、こうした言葉を使ってはなりません。「鹿砦社はクソ」という表現がキレイな言葉でないことは言うまでもありませんが、市井の無名人ではなく社会的影響力のある「反差別」運動のリーダーは、こういう汚い言葉を使わないほうがいいとか悪いとかいうレベルの問題ではなく、こういう汚い言葉を使ってはならないのです。差別に反対するという崇高な目的が、こうした汚い言葉によって台無しになりますから――。

李信恵被告は、鹿砦社や、この代表たる私に対し、こういう汚い言葉を連発したことを「意見ないし論評」と反論しています。在特会や極右グループの連中が発する言葉は明らかに「ヘイト・スピーチ」と言ってもいいと思いますが、この伝でいけば李被告が悪意を持って私たちに投げつけた言葉も、同じ位相で「ヘイト・スピーチ」ということになります。なりよりも李被告は私たちに憎しみ(ヘイト)を持って「鹿砦社はクソ」発言を行っているのですから。

また、李被告は、私が40年余りも前に一時関わった、主に学費値上げ反対運動を中心としたノンセクト(無党派)の学生運動に対し、1960年代後半以降血を血で洗う内ゲバを繰り広げ多くの死者を出した中核派や革マル派と同一視し、私があたかもその一味=人殺しのようなマイナスイメージを、社会的に影響力のある自身のツイッターで発信しています。

このような〝思い込み〟を内心抱くことは自由でしょうが、数多くのフォロワーを有するツイッターなどで公にするのは、明らかに名誉毀損であり、時に業務妨害にも当たります。差別の「被害者」だから何を言っても許されるわけではありません。いや、差別に反対する運動のリーダーであるからこそ、自らを厳しく律し、汚い言葉を排し人々に勇気を与えるような清々しい言葉を使うべきではないでしょうか。

松岡利康=鹿砦社代表が大阪地裁に提出した陳述書(1/4)

松岡利康=鹿砦社代表が大阪地裁に提出した陳述書(2/4)

松岡利康=鹿砦社代表が大阪地裁に提出した陳述書(3/4)

松岡利康=鹿砦社代表が大阪地裁に提出した陳述書(4/4)

◆3月19日(月)には李信恵被告ら5人による大学院生M君集団リンチ事件の一審判決が下されます!

次いで週を跨ぎ3月19日(月)にはいよいよ、この李信恵被告ら5人による大学院生M君に対する集団リンチ事件の一審判決(大阪地裁第3民事部)が下されます。ひとつの大きな山です。

私たち鹿砦社はこの2年間、社を挙げて、リンチ事件被害者のM君支援と事件の真相究明に当たってきました。李信恵被告らによる集団リンチの凄まじさ、リンチ後の、著名な研究者やジャーナリスト、作家、弁護士らによる、あたかも何もなかったかのように糊塗する隠蔽工作、被害者M君を村八分(差別ではすよね!?)にしバッシングを繰り返し精神的に追い詰めようとしていた(る)ことなどを見て、単純に酷いと感じましたし到底許すことができませんでした。私も老境に入り、怒ることも少なくなり、よほどのことでは怒りませんが、もたらされた〈事実〉は許せませんでしたし、ここで黙っていたら、私がこれまでやって来た出版人生の意味がなくなると思いました。

せめて人間の血が通った事後処理をしていたのならば少しは救われたかもしれません。一例を挙げれば、いったん被害者M君に渡した「謝罪文」さえも一方的に反故にしたことには人間としての心が欠けていると言わざるを得ません。

私たちは、この2年間、被害者支援と真相究明の過程で、いろんなことが判ってきました。この非人間的なリンチという場面に際し、〈事実〉を知りながら隠蔽に加担したり、この現実から逃げたりしている「知識人」といわれる人たちは一体何をやってるんだと弾劾せざるをえません。

30数年も付き合い著書も多数出版した鈴木邦男氏は、本来なら、かつて自らの組織で起きたリンチ殺人、死体遺棄の事件をくぐり抜け、その後、穏健な言論活動に転じたはずでした。このような事件にこそ生きた発言をすべきなのに、この期に及んでなんらの発言もせず、口を濁しています。それどころか加害者側の者らと親しく付き合い、一緒に集会に出て発言したりしています。今でも遅くありません、勇気を振るい発言すべきです。鈴木さん、あなたしかできない仕事があるはずです。鈴木氏が、この国を代表する「知識人」の一人であることは言うまでもありませんが、私のような一零細出版社の人間に言われて何とも思わないのですか、恥ずかしくはないのでしょうか!? 

本件訴訟の原告M君と弁護団、私たち支援者は総力を結集し、やれることはやりました。鹿砦社は、側面支援として、全力で取材し裁判闘争を裏付ける関連書籍を4冊出版し世の心ある人たちにリンチ事件を訴えました。ここまで証拠や資料を摘示していながらリンチがなかったなどとは言わせません! リンチ直後の被害者M君の顔写真を見よ! リンチの最中の録音を聴け!

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる──。(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

裁判所が「人権の砦」「憲法の番人」であるならば、集団リンチによってM君の〈人権〉を暴力的に毀損し踏みにじった李信恵被告ら加害者に対し厳しい判決が下されると信じています。そうでなければ、この国の司法に未来はないと断じます。よもや裁判所が暴力を是認することはないはずですから――。

心ある多くの皆様が、李信恵被告らに対する2つの訴訟を注目されご支援されますようお願い申し上げます。

最新刊『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD

『人権と暴力の深層 カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い』(紙の爆弾2017年6月号増刊)

『反差別と暴力の正体 暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)

『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

「社長室の広報が担当窓口になりました」。取材班にこう告げた毎日新聞の後藤由耶記者が、3月9日、またしても李信恵を紹介する署名記事を書いている。「報道管制」を敷かれた取材班の闘志はいまだ健在だが、後藤記者が書いた記事の主語を「李信恵」から「M君」に置き換えてみると、あら不思議! M君による李信恵被告ら5人を相手取った損害賠償訴訟に関する記事が見事に出来上がるではないか。

後藤由耶記者の3月9日付毎日新聞記事「対在特会ヘイト裁判 李信恵さん 尊厳回復の闘い」と以下の記事を読み比べて頂きたい。

「集団暴行(リンチ)事件で心身を傷つけられた」として大学院生M君が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と同会の桜井誠前会長を訴えた原告である、李信恵被告ら5人を相手取った損害賠償訴訟の判決が19日、大阪地裁810号法廷で、14:00から言い渡される。M君は昨年、大阪地裁でツイッター上における名誉毀損事件で野間易通被告に勝訴している(大阪高裁で判決確定)。判決確定を受けて取材班のインタビューに応じたM君は「証拠集めなどのたびに被害を思い出し、ストレスから不眠や突発性難聴に苦しんだ」と事件後3年余にわたる心身の苦痛を訴えた。法廷闘争を振り返り、「この判決はゴールではない。世界から本当に差別や暴力をなくすためのスタートだ」と決意を新たにした。

後藤由耶記者の3月9日付毎日新聞記事「対在特会ヘイト裁判 李信恵さん 尊厳回復の闘い」

「野間氏の悪行が認定された。賠償額は少額だったけれども……。」。2016年12月16日深夜に、壮絶な暴力を受け、さらに「事件隠蔽」に苦しんできたM君は対野間裁判判決に満足ではないようだ。しかし本人が望まない実名が公表されても、あるいは民事訴訟中でも、M君に対する攻撃をやめようとしない人たちはおり、今もネット上にM君攻撃の書き込みは絶えない。

「裁判をしても、私一人の力は弱いと感じた。支援者の皆さんのご協力があってはじめてこの事件を民事訴訟として提起することができた」と指摘するM君が求めるのは、事実が隠蔽されない、差別もない社会だ。

訴訟で代理人を務めた大川伸郎弁護士は「判決では『共謀』を、裁判所がどこまで認定してくれるか、が勝敗の分かれ目でしょう。金銭的な賠償額よりも、この事件では『共謀』の認定が、勝敗の分かれ目だと思います」と19日の判決を前に取材班に語った。

後藤由耶記者の3月9日付毎日新聞記事「対在特会ヘイト裁判 李信恵さん 尊厳回復の闘い」

M君は毎回の準備手続き(原則非公開の法廷)にも、毎回スーツ姿で臨んだ。人証調べの日も同様だった。「冷静に事実を述べ、相手方弁護士の挑発には乗らない」ために何度も弁護団とリハーサルを繰り返したという。傍聴席には様々な人びとが支援に集まった。「社会がそうさせているのかは分からないが、私の事件を隠蔽しようとしている構造も問いたいと思います。このままでは次の『被害者』は死ぬかもしれないですから。差別を口実にする暴力は絶対に許されないことを主張してゆきたい、それが本質的な差別根絶に近づくのではないかと思います」とM君は先を見すえている。

李氏は鹿砦社から提訴された名誉毀損・損害賠償裁判で「鹿砦社はクソ」発言を「論評」と位置づけ開き直っている。「鹿砦社はクソ」が「論評」であるのであれば、ネット上だけでなく出版などでも「クソ」といった品性のない言葉が許容されることになる。自身が証言台に立った際に李被告は「私はダウンタウンみたいに言葉づかいが荒いので、『しばいたろか』は普段使います」と堂々と証言し、「言葉で傷つけられた」被害者にもかかわらず、自身が使う言葉には「無頓着」であることを認めた。【鹿砦社特別取材班】

後藤由耶記者の3月9日付毎日新聞記事「対在特会ヘイト裁判 李信恵さん 尊厳回復の闘い」

李信恵氏と毎日新聞の後藤由耶記者

李信恵氏と毎日新聞の後藤由耶記者ら

(鹿砦社特別取材班)

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