逃げ隠れする厚労省「韓国ヘイト官僚」 彼らを税金で食べさせていいのか?

大声で「韓国人なんて嫌いだ!」と叫びまくったばかりか、空港職員を蹴ったり殴ったりして日本の恥を世界にさらした官僚がいる。厚生労働省の武田康祐賃金課長(前職・47歳)である。

武田前課長は3月16日から4日間、私的な旅行で韓国を訪問していた。国家公務員が海外渡航する場合は届け出が必要だが、しかるべき手続きもしていなかったという。国会開会中の課長クラスの管理職の外遊(有給休暇)も、通例では珍しいいことだという。かようなルール違反のうえに、外国で暴言・暴行をはたらいたのである。泥酔状態だった。

取り押さえられてからも、自身のフェイスブックで「なぜか警察に拘束されています」「変な国です」などと投稿し、恥の上塗りをしている。そもそも「嫌いな国」「変な国」をなぜ訪問したのか、この官僚こそ「変」ではないか。


◎[参考動画]만취 일본인, 공항서 물건 집어던지고 발차기 폭행 난동(JTBC News2019/3/19公開)

◆韓国労組が謝罪と賠償を要求するも、日本政府は沈静化にやっき

武田前課長はなぜか無事に帰国し、厚生労働省は官房付に更迭したが、民間人なら韓国警察に逮捕・起訴されているところだろう。当然、民間のサラリーマンなら逮捕・起訴された時点でアウト。懲戒解雇である。

韓国側の措置は他国の高級官僚を逮捕することで、外交問題に発展するのを怖れての起訴猶予だったに違いない。この措置のどこが「変な国」なのだろうか。

当然にも、被害者である大韓航空の労働組合は、日本政府(大使館と厚生労働省)にたいして「武田氏の謝罪と賠償」を求めてきた。それが容れられない場合は、公務員資格の剥奪につながる実力行動に出るとしている。暴行罪という犯罪をおかしたのだから、これまた当然の要求であろう。日本国民の血税で食べている国家公務員なのである。事件を起こした段階で、すぐさま懲戒解雇処分が出てしかるべきだった。ところが、日本政府には処分以上の動きはみられない。これでは韓国を「変な国」という役人を庇護することで、「徴用工問題」での韓国の対応を「変な国」としている態度が、そのままブーメランとして返ってくる。日本こそ「変な国」になってしまったのである。


◎[参考動画]韓国の空港で暴行騒ぎの元課長 「厳正に対処」(ANNnewsCH 2019/03/22公開)

◆学歴でストレスも

ところで、武田前課長は、国家公務員1種試験に合格した、いわゆるキャリア組である。47歳で課長職に登りつめ、局長レース、次官レースを競うエリートである。その赫々たる経歴を紹介しておこう。労働省(当時)入省から8年目に児童家庭局の課長補佐に就任し、鹿児島労働局の総務部長として地方でのキャリアも積んでいる。そして本省にもどって政策統括官付参事官室長補佐、海外に転出しては在タイ日本大使館一等書記官、2015年に内閣官房一億総活躍推進企画官、2016年に内閣参事官(働き方改革実現推進室)、そして2017年に課長就任である。出世レースではトップクラスを走っているというべきであろう。

ただし、ひとつだけ経歴に難があるとすれば、出身大学が明治大学だということだ(筆者も明大卒だ)。まず1種試験に合格しただけでも優秀の証しだが、東大法学部で占められる官僚のキャリア社会では、ストレスが溜まることが多かったのではないか。たとえば「(東大法学部の)何年卒?」と訊かれ、その年度序列において人間関係が決まるのが、厚生労働省のみならず霞が関高級官僚の常識だからだ。京大卒や早慶卒でも「珍重」されるのだという。そこで、蓄積したストレスの発散のために、武田前課長はルール違反の外遊を行なったのではないか。一部の報道によると、韓国に入国する前はタイにいたという。かつての赴任地で、かれは何をしていたのだろうか。

それにしても、恥ずかしい「ヘイト官僚」である。上記の出世の背景に、やはり学歴コンプレックス(三菱資本の成蹊大卒)のある安倍晋三総理の力が働いている(官邸主導の官僚人事)のは明らかで、その意味ではエリート官僚が安倍政権の推進を担い、あるいは「ヘイト活動」で「政治的」に突出することで地位を得たものの、そのストレスで非常識な外遊、そして非常識な言動に出たと言えるのではないだろうか。ここでも安倍政治の弊害がひとつ、明らかになったというべきであろう。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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追悼・淵上太郎さん ── あなたとの時間はとてつもなく楽しかったです

最後にいちど会いたかった人が、3月20日の朝に亡くなられた。『NO NUKES voice』でお馴染みの、経済産業省前テントひろば共同代表の淵上太郎さんである。

2017年8月19日経産省前にて(大宮浩平撮影)

晩年というか60歳を過ぎた頃から反安保・憲法9条を護る運動(9条改憲阻止の会)に「復帰」し、最晩年は反原発運動の先頭に立って闘った。その子細は3月11日に発売された『NO NUKES voice』Vol.19(小林蓮実さんによるインタビュー)に詳しいので、ぜひ読んでいただきたい。

その経歴はいたって硬派である。東京学芸大の学生時代に安保ブント(社学同)に参加し、その後は社学同ML派→ML同盟、さらには日本労働党の中央委員として政治活動を継続。そして上記の改憲阻止、反原発運動である。経産省抗議活動では、ふつうに場所を移動している仲間たちを「指揮」したかどで、70歳台なかばにして無届デモ行進にかかる公安条例違反で逮捕されるという栄誉を得ている。と、こう書くと絢爛たる活動歴、活動家人生だったように感じられるが、淵上さんの軌跡はそればかりではない。

◆凄まじい時代の経営者だった

わたしが出会ったのは90年代はじめのこと、雑誌「情況」の組版作業を、淵上さんが経営する「東陽書房」という会社に依頼していたからだ。この東陽書房は地方・小出版流通センターに加盟する出版社でもあって、淵上さんは出版・印刷関連の実業家だったのだ。そのころは労働党関係以外、政治運動の実質とは、ほぼ関係がなかったような雰囲気だったと記憶する。当時はまだ50歳前後で、経営者としての苦労が凄まじかった。バブル経済がはじけ、中小企業にしわ寄せが襲いかかった時代である。淵上さんもその渦中にあった。

というのも淵上さんと同じく、60年安保闘争をともにした印刷業の社長K氏の会社が倒産し、その煽りを受けて取立て屋との攻防を余儀なくされていたからだ。階段を登ってくるヤクザをバットで撃退したり、PCをほかのビルの地下に隠すように営業を続けたりと、アクロバティックな方法に驚かされたりしたものだ。考えてもみてください。取立て屋との激しい攻防をくり返しつつ、若い女性社員たちとともにビルの地下で組版の仕事を続ける。われわれ編集者も、何者かの「尾行」をまきつつ、鉄扉の非常口から淵上さんの地下工房に出入りするという、スリルあふれる「業務」を体感したものです。

親交が深まる頃に、夫人もまじえて酒を酌み交わした記憶がある。ここだけの話、年下の夫である淵上さんは、ピンチになれば「ゴロにゃん」と、夫人に甘えていたとのこと。ピンチとは経営問題だったのか、政治問題だったのかは知らない。その意味では子供のいない男性に特有の、少年っぽいところ(清新さと子供っぽさ)があったと思う。

2017年8月19日経産省前にて(大宮浩平撮影)
2017年8月19日経産省前にて(大宮浩平撮影)

◆震災後の福島へ

それにしてもお会いした方は、淵上さんの冗談好きで会話術のすぐれて愉しい記憶がよみがえるのではないだろうか。「あなたがそういうふうに考えてるの、わたしはとってもいいと思いますよ、ええ」「それ、いいからやりましょうよ、いいじゃないですか、ええ」「これ、いいよ。ああ」などと、何ごとも否定はしない。なんでも積極的に「やろう」と言う。旧ML派という関係上、故今井澄さん(元東大全共闘・参議院議員)の参謀役でもあった。

3.11後は、反原発運動に奔走した故望月彰さん(事故の一年前に逝去)との関係もあり、安保ブントの仲間たちと被災地への救援活動に従事された。震災後の四月はじめには、わたしも淵上さんたちと一緒に被災地の視察と調査を行なった。ちょうど、熟年行動隊(もう子供を作らない世代)が、放射能のなかで身を挺して活動しようという主旨で動き出していたのである。

立ち入り禁止の地域に、あることないことを言いながら警備の警察官たちを煙に巻き、「入ってみようじゃないの」と、福島第一原発の近くまでクルマを進めては、道が壊れているので引き返した記憶がある。そこはUターンが難しくて苦労しました。わたしは「調査隊」の運転手だったんです。余震がくり返され、食事をとる店もほとんど営業してない時期。暗くなりがちな一行のなかで、余裕というのかアバウトというのか、淵上さんの存在が頼もしく、ひたすら愉しかった。笑いのネタが飛びぬけて面白いというのではない、しかし人を愉快にさせる雰囲気。肩の力を抜かせてくれる、そんな人でした。合掌――。

2016年9月11日経産省前にて(大宮浩平撮影)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

『NO NUKES voice』19号 総力特集〈3・11〉から八年 福島・いのちと放射能の未来 [インタビュー]淵上太郎さん「民主主義的観念を現実のものにする」
私たちは唯一の脱原発情報誌『NO NUKES voice』を応援しています

日韓対米外交の明暗──アメリカのポチであるかぎり、日本はアジアで孤立する

日本国内にいるとそれほど気にならないことも、隣人には敏感に受け止められているようだ。隣人とは韓国の人々である。いま日本人は、意識的に米韓関係の危機を煽っているようだ。言い換えれば、アメリカに忠実なポチであることで日米同盟を誇ろうというものであろうか。隣人の云うところを聴こう。

「毎日東京の空気を吸いながら取材していて、このところ『韓米関係に問題がある』という発言をよく聞く。2月、かつて北朝鮮の核問題に関する6カ国協議の日本側首席代表を務めた藪中三十二・元外務次官の講演会に行ったが、ここでも韓米関係についての質問が出た。南北関係が進展したら在韓米軍の大幅削減や撤収が既定の事実となるのではないか、というもので、韓米関係に対する不信に根差した質問だった。同じく2月に慶応大学で開かれた北東アジア情勢に関する討論会でも、同様の言及があった。」(朝鮮日報)おそらく意識的に、日本の保守層が発信していることを、韓国のジャーナリズムは敏感にキャッチしているのだろう。


◎[参考動画]6カ国協議(ANNnewsCH 2017/09/19公開)※2年前の動画

◆アメリカのポチを競い合っていた日韓両国なのに

オバマ政権時代の朴政権下では、韓国の保守(反共・親日)系の論壇や報道で、日韓のどちらがオバマと親しいかという記事が中央日報や朝鮮日報の紙面を飾っていた。保守系各紙では、オバマの滞在時間が日本のほうが長かったこと、あるいはオバマが寿司を残したことなどもニュースになっていたものだ。基本的に反日ではあるが、韓米同盟を最重視し、いっぽうでは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との関係では日本も「友邦」であるという立場だった。

朴槿恵前大統領は父親ゆずりの親日家でありながら、反日を装うことで政権の求心力を維持してきたと言われている。いまや態度は180度変わった。朝鮮日報の云うところをさらに聴いてみよう。

「日本では、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮との関係ばかりを重視し、米国のトランプ大統領は全てをカネでしか勘定せず、同盟は危険水位に達しているという認識が広がっている。合同演習の中止で『カカシ』と化した韓米同盟の次の動きは在韓米軍の削減および撤収、と予想している。日本のある月刊誌が2月号の記事に付けたタイトルが、こうした雰囲気を象徴的に示してくれる。「韓国が壊す『アジアの秩序』:日米韓同盟『空洞化』の代償」」だと云うのだ。

アメリカとの親密さを韓国と競っているのは、日本も同様である。反韓・嫌韓の空気は、それをいっそう助長してきた。書店ではいまだに反日本や反中本が、その無内容な罵詈雑言のボルテージだけで売れているのが現状だ。そして韓国にたいする日本の優位の証しとして、アメリカとの親密な同盟関係が挙げられてきた。これは安倍政権の外交政策の基本路線である。安倍政権の支持率は虚構のアベノミクスとともに、この日米同盟の「揺るぎなさ」にあると言えよう。

しかしである。日本がアメリカとの同盟を誇れば誇るほど、東アジアにおける孤立は明らかである。今度は労働新聞(朝鮮労働党機関紙)の云うところを聴かないわけにはいかない。米朝首脳会談(トランプ・金)の決裂を受けての論調である。

「(米朝の)新しい関係を樹立して朝鮮半島に恒久的で強固な平和体制を構築し、完全な非核化へと進むことはわれわれの確固とした立場」としたうえで、共同声明も合意書も成らなかったことについて「唯一、日本の反動層だけはまるで待ち焦がれていた朗報に接したかのように拍手をしながら小憎らしく振る舞っている」「島国野郎たちは実に憎たらしく、ビンタをくらわせたい輩だと言わざるを得ない」と云うのだ。周知のとおり、わが安倍総理は米朝首脳会談にあたって、トランプ大統領に「拉致問題の解決を」議題にするよう電話で懇願した。


◎[参考動画]韓国・文在寅大統領と圧力強化で一致(ANNnewsCH 2017/11/23公開)

◆そして完全に孤立してしまった

「日本の反動層」が米朝会談に反対しようがしまいが、アメリカ政府の判断は変わらなかっただろうが、少なくとも日朝首脳会談などというものが、絵にかいた餅以前の課題であることは明らかになった。アメリカにすり寄り、ポチのように振舞うことによって、日本はますますアジアでの孤立を深めてしまうのだ。

朝鮮半島が分裂国家であるうえに、韓国もまた「反共」と「反日」の政治的分裂国家である。左派にかぎらず、右派にかぎらず、政権が代わるたびに元大統領が訴追され、あるいは暗殺・処刑される政治的分裂国家なのだ。いまその韓国文政権は、校歌や国家まで親日分子が作ったもの排除するという親日粛清、および「アカ」という言葉の追放に踏み込んでいる。

文大統領は三・一運動100周年の記念演説において歴史戦争に火をつけた。「日帝が独立運動家にレッテルを張った言葉」である「パルゲンイ(アカ=共産主義者)」という用語を「一日も早く清算しなければならない代表的な親日の残滓である」と云うのだ。

日本の報道機関は文大統領が「日本との新しい関係」に言及したことを奇貨のように報じたが、内容をまったく誤読している。行き詰った日韓関係は、歴史戦争の決着をぬきに一歩の前進もないことを、肝に銘ずるべきであろう。鳩山友紀夫前総理のように、従軍慰安婦像に額ずけとは言わない。少なくとも訪韓の努力をするふりくらいは、見せてもいいのではないか。東アジアに緊張感をつくり出し、それを政権維持の動力にするのは、いかにも危うい。


◎[参考動画]斎木外務次官続投へ(ANNnewsCH 2015/09/19公開)※4年前の動画

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
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成るか? 皇室離脱の大恋愛 眞子内親王が愛をつらぬく可能性

小室圭氏の母親の金銭問題は、どうやら解決しそうにない。たかが400万円、返せばいいではないかという論者もいるが、そうできないから事態は混迷しているのだ。誰かが肩代わりすればよい(漫画家の小林よしのり氏が申し出た)というものでもないだろう。借金を返さないことが問題にされているのだ。いやしくも皇族の一員となる人物の、社会的な評価が問題にされているのだから──。

 
『おめでとう眞子さま 小室圭さんとご結婚へ 眞子さま 佳子さま 悠仁さま 秋篠宮家の育み』(サンデー毎日増刊2017年9月30日号)

ひるがえって考えるに、皇籍は離脱する(平民になる)わけだし、いっそ婚姻に先立って皇族であることも否定してしまえば、ふたりは一緒になれる。そう、問題にされている「納采の儀」は皇室の伝統的な行事ではあっても、皇室典範に規定されたものではないのだ。つまり公式の行事ではなく、天皇家の私的な祭儀なのである。そうであれば、ふつうに平民としての婚約をすればいいのではないか。

いや、婚約(結納)などという形式をはぶいても結婚はできる。皇籍離脱にさいしての一時金さえ拒否すれば、税金を身勝手な恋愛に使ったという批判も形を成さないであろう。ましてや、巷間噂されている「準皇族にふさわしくない」などという批判も当たらない。そもそも「準皇族」とか「準皇室」という言葉は、皇室典範にも過去の禁裏の事例にもないのだ。皇位(王位)を拒否してまで、みずからの愛をつらぬいた例は、わが王朝が典拠にしてきたイギリス王室にはある。そう、エドワード8世である。その偉大な生涯をたどってみよう。

◆世紀の大恋愛

エドワード8世は、1894年にジョージ王子(後のジョージ5世)とメアリー妃の長男として生まれた。第一次世界大戦が勃発すると、陸軍のグレナディアガーズに入隊。一兵士として最前線に派遣するよう直訴したが、陸軍大臣であるホレイショ・キッチナーが、王位継承権第1位にあるプリンス・オブ・ウェールズが捕虜となるような事態が起こればイギリスにとって莫大な危害が及ぶとの懸念を示したことから、拒否されることとなった。

エドワードは最前線を可能な限り慰問に訪れ、これによりミリタリー・クロスを授与され、後に退役軍人の間で大きな人気を得ることに繋がった。1918年には空軍で初めての飛行を行い、後にパイロットのライセンスを取得ている。1922年に来日している。 大戦後は海外領土における世論がイギリスに対して反発的なものになるのを防ぐために、自国領や植民地を訪問した。訪問先では度々絶大な歓迎を受けた。いっぽうでは失業問題や労働者の住宅問題に関心を寄せている。国内外を問わず大変な人気者となった。

1936年にキング・ジョージ5世が死去すると、独身のまま王位を継承。即位式には既婚者で愛人のウォリス・シンプソン夫人が立会人として付き添った。王室関係者がウォリスを友人扱いしたため、エドワード8世はウォリスに対して「愛は募るばかりだ。別れていることがこんなに地獄だとは」などと熱いまでの恋心を綴ったラブレターを送った。ウォリスと王室の所有するヨットで海外旅行に出かけたり、ペアルックのセーターを着て公の場に現れるなどしている。そしてついには、ボールドウィン首相らが公人たちが出席しているパーティーの席上で、ウォリスの夫アーネストに対して「さっさと離婚しろ!」と恫喝した挙句に暴行を加えるなどといった騒ぎまで引き起こした。カッコいい。

ウォリスのほうも離婚手続きを済ませ、いつでも王妃になれるよう準備をしたが、エドワードとの関係を持ちながら、駐英ドイツ大使のヨアヒム・フォン・リッベントロップとの関係があったと取りざたされた。夫がある身で二人の恋人って、この女性もすごいね。


◎[参考動画]エドワード8世 世紀の恋

エドワード8世はウィンストン・チャーチルと相談し「私は愛する女性と結婚する固い決意でいる」と国民に直接訴えようと、ラジオ演説のための文書を作成する準備をしたが、ボールドウィン首相は演説の草稿に激怒した。首相は「政府の助言なしにこのような演説をすれば、立憲君主制への重大違反となる」とエドワード8世に伝えた。チャーチルは「国王は極度の緊張下にあり、ノイローゼに近い状態」であるとボールドウィン首相に進言したが、首相はそれを黙殺した。さらには事態を沈静化させるために意を決し、「王とウォリス・シンプソン夫人との関係については、新聞はこれ以上沈黙を守り通すことはできない段階にあり、一度これが公の問題になれば総選挙は避けられず、しかも総選挙の争点は、国王個人の問題に集中し、個人としての王の問題はさらに王位、王制そのものに対する問題に発展する恐れがあります」という文書を手渡し、王位からの退位を迫った。

この文書をきっかけに、エドワード8世は退位を決意したといわれている。正式に詔勅を下し、同日の東京朝日新聞をはじめとする日本国内の各新聞社の夕刊もこのニュースをトップで報道した。同日午後3時半に、ボールドウィン首相が庶民院の議場において、エドワード8世退位の詔勅と、弟のヨーク公が即位することを正式に発表したのである。

エドワード8世はBBCのラジオ放送を通じて、王位を継承するヨーク公への忠誠、王位を去ってもイギリスの繁栄を祈る心に変わりはないことを国民に呼びかけた。自分は王である前に一人の男性であり、心のままに従いウォリスとの結婚のために退位するのに後悔はないとした。在位日数はわずか325日だった。この一連の出来事は「王冠を捨てた愛」あるいは「王冠を賭けた恋」と呼ばれた。まことに、世紀の大恋愛というにふさわしい一幕ではないだろうか。


◎[参考動画]King Edward VIII’s Abdication Speech

◆禁忌の愛

このところ、女性週刊誌が「眞子さまの駆け落ち婚」という見出しを掲げて、小室圭氏との婚約・婚姻の可能性を報じている。すでに秋篠宮殿下の「二人結婚したいのなら、何らかのことをしなければ」「国民の理解が得られない」「納采の儀は行なえない」という、宮家としての結論は出ている。その意志はおそらく、天皇・皇后両陛下も同意見なのであろう。したがって小室氏と眞子内親王が皇室を離脱して、納采の儀も行わないまま「駆け落ち婚」をするとなると、これまでの皇室アイドル化路線と、天皇制(憲法第1条および皇室典範)との矛盾が顕在化することになる。いや、アイドル化という象徴天皇制のひとつの帰結が、生身の人間と国家と結びついた天皇国事行為との矛盾を顕在化させるのだ。ここはもう、個人としての眞子内親王および小室圭氏を応援したくなるというものだ。おりしも天皇代替わりの季節、ふたりから目が離せない。


◎[参考動画]眞子さま 小室圭さん 婚約内定会見 ノーカット1(ANNnewsCH 2017/09/03)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
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小沢一郎の逆襲か? 訪朝で野党再編も ── 「外交は内政である」という言葉が、再び日朝関係で明らかに

◆拉致問題で立ち止まってしまった安倍外交

米朝首脳会談の不調によって、日本の役割りが相対的に大きくなりそうだとの観測が多い。交渉が手詰まりになった北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)がトランプ政権との取り持ち役を安倍政権に頼むとの見方だが、それは幻想にすぎないだろう。南北交流を重視している韓国の文政権をおいて、アメリカとのパイプを増強することはできない。そしてその文政権と歴史問題で決定的な溝を埋められないのが、ほかならぬ安倍政権だからだ。ひたすら拉致問題の解決をトランプに頼り、みずからは動こうとしない安倍晋三総理に、甘い期待を抱くのは猫にお使いを頼むようなものなのだ。たとえがヘンか。

とにかく、安倍政権には日朝交渉の構想も具体性もないのだ。なぜならば、最重要の課題としている拉致問題において、北朝鮮側のパイプを一方的に切ってきたからだ。すなわち2015年に、日本の民間外交団に対して北朝鮮の朝日国交正常化担当大使(宋日昊氏)が、平壌のホテルで日本外交のお粗末さを暴露しているのだ。

日朝両政府はストックホルム合意に基づいて、日本政府の要員を平壌に派遣したが、調査目的(拉致被害者の捜索)を果たさないまま帰国していたというのだ。そして北朝鮮側の調査報告書(全員死亡・入国記録なし)を受け取らないことによって、調査が「中止された」ことにしているのが安倍政権なのである。残念ながら拉致問題は北朝鮮が発表するかぎりで、いわば終了しているのだ。

このことを受け入れられない拉致被害者家族会の手前、安倍政権は「未解決」としているだけなのだ。したがって、拉致問題の解決が前提とする日朝交渉は、安倍政権であるかぎり永遠に行なわれない、と断言することができる。安倍政権は拉致問題で立ち止まってしまったのだ。

しかしながら、北への太陽政策が行き詰まりをみせている文政権に代わって、南北・日朝・米朝間の手詰まり状況を打開できる政治勢力がないわけでもない。しかもそれは、韓国やアメリカの政治家でもない。わが小沢一郎氏がその役割を買って出ようとしているのだ。そのことは、国際政治で注目を浴びるとともに、日本の野党再編にも大きな影響力が発揮される可能性が高い。

◆猪木議員の会派入りが決め手だ

小沢一郎氏と山本太郎氏が率いる自由党は、昨年末に国民民主党と同一会派を結ぶことを確認した。そしてこの動きに呼応したのが、アントニオ猪木議員だった。過去に30回以上も訪朝している猪木議員は、さっそく訪朝することで野党外交を展開することを小沢氏に進言したという。そして小沢氏もかつて自身も参加した金丸訪朝団をモデルに、超党派の訪朝団づくりを構想しているという。

朝鮮半島には政治的に手足も出なくなった安倍政権の、まさにアキレス腱を衝くかたちで政治攻勢に出ようとしているのだ。おそらく国際的にも注目を浴びることになるだろう。そしてそれは、参院選および衆参同時選挙を見すえた野党再編を射程に入れたものにほかならない。というのも、政界復帰が噂される橋下徹氏へのアプローチがあるからだ。


◎[参考動画]アントニオ猪木氏が小沢・玉木氏らと会見 国民会派入り報道(THE PAGE 2019年2月21日)

◆やはり橋下徹が目玉か

この1月に橋下徹氏が司会役をつとめるインターネット放送のAbemaTV番組に、小沢一郎氏と国民民主党の玉木雄一郎代表がゲスト出演した。小沢氏と玉木氏はしきりに「政界復帰」「大きな野党のかたまり」を主張し、橋下氏の政界復帰をうながしたのだ。

昨年11月には、小沢一郎氏と橋下徹氏が国民民主党の前原誠司元外務大臣と三人で「極秘裏」に会食したことが報じられている。最近の著書で「強い野党の必要」や「政権交代が可能な野党勢力の結集」を訴えてきた橋下氏にとって、国民民主党の接近は願ってもないことであろう。著書の中で小沢一郎氏について「かつて自民党の中枢で権力闘争に揉まれ続けてきた人であり、権力の本質について一番理解されている」などと、最大限に評価している。


◎[参考動画]NewsBAR橋下#16|ゲスト:玉木雄一郎&小沢一郎(AbemaTV公式2019年2月12日)

これまでの橋下徹氏の政治遍歴でいえば、みずから立ち上げた維新の党を全国組織にしたものの、組織運営において不得手なところを見せた。政治は経験である。と同時に、自分の不得手な部分を経験豊富な人物と共同することで、じゅうぶんに補えるのが政治組織である。その意味では、素人集団にすぎなかった維新の会での蹉跌は、自分を知る意味での経験だったはずだ。そしてそこから導かれる方針は、いみじくも小沢氏に「自分は嫌いな人を含めてまとめることができません」と語っているように、組織を統率できる人物との提携であろう。そのうえで、彼の政策や政治力、あるいは「ケンカ力」は発揮されるのだから──。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
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沖縄県民は辺野古移設反対多数 これでも政府はまだ移設を進めるつもりなのか? 次の県民投票は〈沖縄独立〉を掲げるべきだ

沖縄の辺野古基地建設(普天間基地移設)の賛否を問う県民投票は、移設反対が圧倒的多数を占める結果となった。有権者の4分の1を超える3割越えの得票数であることから、日米両政府へ公式に通知されることとなる。この結果はしかし、あまりにも当然と言うべきであろう。

幾多の国政選挙、賛否を問う首長選挙で沖縄県民は、これまでにも米軍基地に「NO!」を突き付けてきたにもかかわらず、辺野古埋め立ては「粛々と」(菅官房長官)進められてきたのである。だが、赤土の流入や海底の軟弱基盤により、計画の変更も沖縄県から拒否されているのが現状だ。県民の怒りの投票を、政府は正面から受け止めて、ただちに埋め立て工事を中止するべきだ。

 
ローラさんのインスタグラムより

◆安倍総理の姑息な妨害

ある意味で当然の結果が出たわけだが、おそらくそれを想定していた安倍政権の姑息な妨害活動を明らかにしておく必要があるだろう。沖縄の米軍基地問題は、本土の日本国民の無関心にもかかわらず、国際的には大きな関心を持たれている。

これは翁長前県知事いらいの国際ロビー活動とともに、心あるジャーナリストやミュージシャンの力に負うところが大きい。たとえばローラりゅうちぇるらの米軍基地移転反対の署名への呼びかけ、ブライアン・メイらの情報拡散によって、基地移設反対は国際的な声となっているのだ。

そのような動きの中で、ホワイトハウスに対する基地建設一時停止の署名の呼びかけ人が関西国際空港で拘束されるという事態が起きていたのだ。その呼びかけ人は映像作家のロバート・カジワラ(母方が沖縄出身の日系4世)である。

今回、カジワラ氏は辺野古移設反対のイベントに出席するために来日したわけだが、すでに21万筆という米政府あての署名を集めた運動の中心人物を、安倍政権を忖度する入管当局は1時間以上にわたって足止めし、「辺野古へ行くのか」「デモをするのか」などと、恫喝的な取り調べに近い対応をしたのだ。カジワラさんは知人に連絡をし、そこから社民党の照屋寛徳代議士に連絡が行き、照屋代議士がカジワラ氏の身元を保証することで、入国が許可されたのである。

いつから日本は、政治的な意見によって入国審査を行なうほどの独裁国家になっていたのか。いまや朝鮮民主主義人民共和国や中華人民共和国の人権問題を云々する前に、日本も同様の独裁国家になっていることに、批判の矛先を向けなければならなくなっているのだ。


◎[参考動画]RBC「ロバートカジワラさん 日本入国で足止め」(【琉球放送】2019/02/20)

 
琉球新報【電子号外】2019年2月24日 20:25

◆今度は「琉球独立」の住民投票をやるべきだ

沖縄の米軍基地問題および地位協定見直し、北方領土問題、拉致被害者問題など、日本にとって政治的に困難な課題はいくつかあるが、沖縄の米軍基地問題以外は、そもそも相手が「困難」なものだ。沖縄の米軍基地問題は、相手が「唯一の同盟国」「最も大切な友邦」にもかかわらず、困難をきわめているのだ。武器を大量に買い取り、思いやり予算などという支援を行ない、その果てに世界で最も危険な基地を押し付けられているのだ。それも、日本のわずか0.6%にすぎない沖縄に、70%以上の米軍基地を押し付けるという犠牲を強いているのである。もはや沖縄は日本政府とケンカをしてでも、基地撤去の実質をとるべきであろう。

その方法について、ある人物が「沖縄独立」を突き付けて、日本政府とケンカすべきだと主張している。その人物とは、独断専行的な政治手法を「ハシズム」などと呼ばれたこともある、橋下徹その人だ。橋下氏は近著『沖縄問題、解決策はこれだ!』のなかで、本来の政治手法である人脈を駆使した政治ができないなら、ケンカをすることで譲歩を引き出すべきだと、みずからの大阪市長・知事時代の経験を語っている。

橋下氏といえば、オスプレイの訓練地を当時赤字だった関西国際空港に引き受けてもいいと、当時の鳩山総理にメッセージを発したこともある。あるいは、松井府知事とともに八尾空港にオスプレイを誘致することを、官邸に申し出てもいる(八尾市長の反対で凍結)。同書では「米軍基地の設置手続法」を施行することで、沖縄と本土の自治体が平等に「米軍基地」の設置地になりうること。したがって、すべての自治体が拒否すれば、米軍基地は「違法」となる。そこで、本当の政治が動き始めるというものだ。詳細については、タケナカシゲル氏が『紙の爆弾』4月号(3月7日発売)で紹介するという。橋下氏の政界復帰、暴露本出版停止の裏舞台など、注目に値する。

それにしても、沖縄の究極の選択は一国二制度の自治州化、あるいは独立国家として日本、台湾、あるいは中国と緊密な関係を保った「平和緩衝地帯」になることではないだろうか。今回、1996年の県民投票(地位協定の見直し)につづいて、5割以上の投票率での圧倒的多数の県民が米軍基地移設に「NO!」を突き付けた。三回目の県民投票は上記の目的のための、独立の可否をめぐるものとなるべきであろう。ただちに法的な強制力がなくても、日本政府および本土の日本人にたいする、強烈なメッセージになるのは間違いない。


◎[参考動画]ANN世論調査 6割強が「県民投票結果を尊重すべき」(ANN 19/02/25)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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日帝支配の歴史を清算したい韓国左派政権 思うように言わせればいい

日韓関係の冷え込みは、まさに極北まで達した。従軍慰安婦問題での約束の不履行(日本が出資した財団の解体)、徴用工にたいする個人補償を最高裁が決定する、自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射、そして天皇にたいする謝罪要求である。これら、国際慣例から逸脱する韓国の言動に、日本国内では「約束を守らないとは、まともな国家ではない」「日韓条約に反している」「無礼きわまりない」などと、世論が湧き起こっているかのようだ。嫌韓イデオロギー、ヘイトクライムもこの世論を沸騰させている。だが、よくよく考えてみると、韓国の政治家の言動には無理からぬところがあるのではないか。


◎[参考動画]【報ステ】悪化する日韓関係 外相会談の結果は?(ANNnewsCH 2019/02/15)

◆韓国人が戦犯だった時代

現在の文在寅(ムンジェイン)政権は、朴槿恵(パククネ)政権を打倒した大衆運動で誕生した左派政権である。かつて全斗煥(チョンドゥファン)のもとで光州蜂起を担った世代であり、朴正煕(パクチョンヒ)政権によって、血の海に沈められた1960年4月学生革命の末裔といってもよいだろう。つまり革命と反革命の血みどろの歴史の中から出現したのが、文政権なのである。

一昨年の蝋燭革命は穏健なものに終始したとはいえ、その背後には数百万の組織された運動があり、いっぽうでは朴政権による戒厳令も準備されていたという。朴槿恵が逮捕され、生涯を獄中で暮らさなければならなくなったのも、革命のゆえんである。大統領を殺す国、革命と軍事クーデターが連続する国家ならではの歴史の書き直しこそが、このかんの韓国政府の言動にほかならないのだ。したがって「友好国なのに」とか「国と国の約束を反故にするなんて」などという日本人の反応は、かの国の姿を見誤っている。

たとえば、ナチス政権の蛮行を批判しない欧州諸国がないように、そしてヒトラーのもとで立法された「反ユダヤ法」の数々を、今日のドイツ人が認めないように、韓国においても旧政権の「約束」は「売国の約束」にほかならないのである。そう考えれば、最近の韓国政府の言動はまったく不思議ではなくなる。いや、政権交代だけではない。韓国政府および韓国の国民の大多数は、日本との関係を清算したがっているのだ。それは現在の日本人である、私たちとの関係ではない。韓国民のなかにある日本との決別なのだ。


◎[参考動画]関係悪化の韓国と外相会談 “天皇謝罪”発言抗議へ(ANNnewsCH 2019/02/15)

◆日韓条約は「日韓併合条約」と同等?

朴槿恵の父親・朴正煕が満州国の陸軍士官学校に志願入学し、日本の陸軍士官学校に留学したことは、ひろく知られている。帰国後は満州軍の将校となり、八路軍(中国共産党軍)やソ連軍と戦い、内モンゴル自治区で終戦を迎えている。つまり、朴正煕は日本の傀儡政権である満州国の軍人だったのだ。

したがって、1965年の日韓基本条約は、親日派であるばかりか、間接的にとはいえ日本軍に所属していた軍人政治家がむすんだ条約なのである。これを文民革命政権が「歪められた条約」とするのは当然であろう。そればかりではない。韓国政府は、1910(明治43)年に結ばれた日韓併合条約を否定するために、日本との政治紛争を、ある意味では意識的に実行しているのだ。

「ソウル聯合ニュース」から引用しよう。文在寅大統領は2月15日、青瓦台(大統領府)で主宰した国家情報院・検察・警察改革戦略会議において、「今年を、日帝時代(日本による植民地時代)を経てゆがめられた権力機関の影から完全に脱する元年とすべきだ」と述べ、権力機関の改革に強い意欲を示したという。情報機関の国家情報院と検察、警察は「ひとえに国民のための機関として生まれ変わる覚悟が必要だ」と指摘した。つまり、ひとり政府のみならず、情報機関や司法、警察権力もすべて、日帝時代から脱却しなければならないと宣言したのだ。


◎[参考動画]【報ステ】韓国国会議長「盗人猛々しい」批判激化(ANNnewsCH 2019/02/18)

◆日帝時代の脱却が始まっている

日帝時代からの脱却を意識しているのは、政府だけではない。たとえばスポーツの日韓戦において、フィギュアスケートやスピードスケートにおいて、韓国人たちは日本を徹底的に意識し、その勝敗を絶対に負けてはならない戦いに置き換えて観る。日本人が「友好国」だと思っている当の相手は、日本を激しく戦って勝たなければならない、永遠のライバルと思っているのだ。

これは日本文化に親しみ、観光においては圧倒的に友好的である同じ韓国人でありながら、まったく別の面である。われわれ日本人が韓流文化を愛すいっぽうで、かの国の不可解な言動に困惑するのと、好対照であり同質なのである。

歴史の棘という意味では、たとえば靖国神社に2万柱をこえる韓国出身日本軍人・軍属の御霊が祀られ、あるいは朴正煕のみならず、洪思翊(ホンサイク)など日本の陸軍中将として戦犯処刑となった人々があったのを、われわれは知っておく必要があるのではないだろうか。たとえばナチスドイツに併合されたオーストリアが、被害国家なのか加害国家(枢軸側)だったのかという評価は、終戦時とはまったく逆転している。いまやユダヤ人を迫害したナチス側の国家だったと評価されているのだ。かように歴史は書き換えられる。われわれと違って、世界では歴史の物差しが長いのである。


◎[参考動画]Pres. Moon vows to fulfill his duty to 23 last survivors of Japan’s sexual slavery(ARIRANG NEWS 2019/01/29)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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五輪とサイバーセキュリティ担当の桜田大臣こそ、この国の政治文化の体現者

不用意な発言、自分の言葉で答弁ができない桜田義孝大臣(五輪担当相・サイバーセキュリティ戦略担当相)が批判の矢面に立たされている。これほど無能な大臣が辞任(更迭)できずに、しどろもどろになりながら居座る不思議は、あまりにも情けない日本の政治文化を映しているというほかない。まずは、その桜田大臣の惨憺たる「政治手腕」を確認しておこう。いまだに辞任しないというのであれば、水に落ちた犬は叩けのことわざどおり、追撃の狼煙を上げるしかない。

発言を確認しておこう。池江璃花子選手が白血病と診断されたことについて、桜田大臣は記者団に「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている」「早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」と語ったのだ。


◎[参考動画]桜田五輪大臣 がっかり発言を謝罪・撤回(ANNnewsCH 2019/02/13)

ようするに、オリンピックで金メダルが減しかねないことに落胆し、リードするはずだった池江選手の出場が危ぶまれるので、盛り上がりが下火になると心配しているのだ。すなわち、選手はメダルを獲得するためのコマ、手段にすぎず病気になってしまったことを「がっかり」だと言うのだ。そこには選手の病状を気づかう気持ちは微塵も感じられない。ただひたすら、国威発揚の場としてのオリンピックの盛り上がりを心配する、常識はずれの政治屋の姿があるばかりだ。

そしてそれは、端なくもオリンピック選手が国に奉仕する存在、盛り上げる存在だと位置づけられていること。さらにいえば、オリンピックは国家意識の盛り上がりというナショナリズムを本質にしていることを露呈したのである。そうでないというのなら、オリンピックから国旗を排除すべきであろう。桜田大臣を批判する人々も、そのことには無自覚である。アスリートファーストを云うならば、国威に従属したオリンピックそのものの改革が必要なのである。さて、桜田大臣である。なぜ、このような人物が大臣席に座っているのだろうか。ふたたび、これまでの惨憺たる行状を確認したい。


◎[参考動画]櫻田義孝東京オリンピック・パラリンピック担当大臣 就任記者会見(2018/10/03)

◆ほとんど無能としか思えない言動

桜田大臣は2016年に二階派に入会し、2018年の第4次安倍改造内閣において初入閣した。記憶に新しい大臣就任会見で「東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣の桜田義孝です」と自己紹介するところを「東京ぱらんぴっく、ぱらぴっく、パラピック競技大会、東京パラリンピック競技大会担当大臣の桜田義孝でございます」と3回も間違えた上に「オリンピック」を飛ばして自己紹介したのだった。

2018年11月14日の衆議院内閣委員会において、無所属の今井雅人議員から「自分でパソコンは使っているのか?」という質問に「秘書とか従業員に指示してる。自分でパソコンを打つことはありません」と答弁。国民民主党の斉木武志議員からは、イランの軍事施設がUSBメモリーにより悪質なコンピューターウイルスに感染した事例について「日本の原発もサイバー攻撃を受ける可能性がある」とした上で、「日本の原発にもUSBメモリーはありますか?」と質問され「使う場合は穴を入れるらしいが、細かいことは、私はよくわからないので、もしあれだったら私より詳しい専門家に答えさせるが、いかがでしょう」などと答弁している。

パソコンを使えない大臣がサイバーセキュリティ担当であるという笑えない事態は世界に拡散され、大いに笑われた。英ガーディアンは「もしハッカーが桜田大臣を標的にしても、何も情報を盗むことができない。彼は最強のセキュリティーかもしれない!」などと皮肉を報じたものだ。


◎[参考動画]パソコンしないけど「事務所は対策万全」(ANNnewsCH 2018/11/16)


◎[参考動画]「英語できず首相無理」 桜田五輪相(KyodoNews 2018/12/20)

さかのぼる2013年10月には、福島第一原子力発電所事故で発生した指定廃棄物の処理について「原発事故で人の住めなくなった福島(東京電力の施設)に置けばいい」と発言してもいる。2016年1月14日には、従軍慰安婦に言及し「職業としての売春婦だった。それを犠牲者だったかのようにしている宣伝工作に惑わされすぎだ」との発言をし、その日のうちに撤回している。まさに、修正不可能な政治的失言者。

2018年11月5日の参議院予算委員会では、立憲民主党の蓮舫議員から東京大会の基本コンセプトなどを訊かれて即答できず、事務方の助けを借りながら答弁している。そのさいに大会予算の国の負担分「1500億円」を「1500円」と言い間違えた。同じ答弁は最近もくり返された。

蓮舫議員との質疑については、閣議後の記者会見で自身がちぐはぐな答弁をしたのは蓮舫側から事前に質問通告がなかったためと主張したが、通告済みだったことが明らかになった。しかし「事実上と若干違う」として撤回したものの、けっきょく謝罪はしなかった。そのさいに、蓮舫(れんほう)の名前を「れんぽう」と言い間違えている。オリンピック憲章を「読んでいない」と答弁したのも記憶に新しい。


◎[参考動画]桜田大臣ちぐはぐ答弁 聞いた蓮舫議員はあきれ顔(ANNnewsCH 2018/11/27)


◎[参考動画]ちぐはぐ答弁の桜田大臣 “事前通告なし発言”撤回(ANNnewsCH 2018/11/08)

◆キングメーカーとしての二階派

それにしても、ここまでお粗末な政治家が大臣で、安倍総理はいまなお「職務をまっとうして欲しい」という国会答弁をくり返している。クビに出来ない理由があるのだ。その理由とは、自民党のキングメーカーとして君臨する二階俊博の存在にほかならない。二階派(志帥会)は河村健夫、平沢勝栄、中曽根弘文といった実力者も擁している。

派閥そのものは中曽根派も合流した経緯もありタカ派体質とされているが、亀井派いらいの寛容な体質を持ち合わせている。そのあらわれが、細野豪志(元民主党)の加入である。そのいっぽうで、二階氏の政治力は安倍政権をコントロールするほど、キングメーカーとしての存在感をしめしているのだ。本欄で何度も批判してきた片山さつきが辞めさせられないのも、この二階派だからである。二階俊博が「田中派最後の政治家」と言われるゆえんである。

さきに本欄では安倍総理(総裁)による石破派イジメの実態を暴露したが、派閥の均衡のうえにしか存在しない自民党政権において、桜田大臣のような恥ずかしい存在を辞めさせられない。このような事態は、今後も枚挙にいとまなく出てくるであろう。


◎[参考動画]ザ・櫻田 衆議院議員・桜田義孝ものがたり(櫻田よしたか 2012/10/25)


◎[参考動画]第84回勝兵塾月例会 衆議院議員 櫻田義孝様(shoheijuku 2018/05/18)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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安倍晋三のファシスト的な不寛容 衆参同時選挙は「石破イジメ」になるのか?

昨年9月の自民党総裁選挙では、石破茂が大半の予想をくつがえして地方票の45%を獲得する善戦をみせた。議員投票をあわせると、わずか20名の石破派が254票を獲得し、他の5派にささえられた安倍晋三を脅かした。

 
自民党総裁選挙2018HPより

総得票率でいえば、安倍晋三553、石破254と、31%の党員・国会議員が石破を支持したことになる。かさねて言うが、404名中、石破派はわずか20名である。安倍総理の出身母体である細田派が99名、麻生派56名、竹下派56名、岸田派48名、二階派44名、石原派12名、谷垣グループ16名、無派閥が55名である。その意味では、前々回の総裁選で地方票では多数派を占めた石破茂氏は、ポスト安倍の筆頭という言い方もできないではない。

◆石破派を排除するメッセージか?

 
自民党総裁選挙2018HPより

ところで、石破派をのぞく6派閥の事務総長が総理公邸に集まったと報じられた。それも5カ月前の総裁選の祝勝会だというのだ。この時期に「祝勝会」とは、何とも意味ありげではないか。この会合で何が話し合われたのかは定かではないが、わざわざ公邸の裏口から入ることでマスコミのチェックを避けている。つまり秘密会合だったのだが、総理官邸・公邸での秘密会合とはすなわち「コソコソと政治工作をしているぞ」という政局を印象づけることにほかならない。マスコミが嗅ぎつけることを想定したうえ、わざと秘密めいたことをしたぞと、耳目を集めるのである。

ここで安倍総理周辺が流したかったのは、参院選および同時に行なわれるかもしれない総選挙において、石破派を排除するというメッセージにほかならない。いささか当方の深読みながら、このメッセージは「党中央に逆らう者は徹底的に排除する」というものであろう。思い出してほしい。自民党内では女性総理候補ナンバーワンと言われる野田聖子の総裁選出馬(推薦人20人が必要)を封じたのも官邸だった。

こうした政治手法は、旧来の自民党にはないものだった。自民党はもともと政治理念ではなく、権力の利権をつうじた利害結合体だが、親分子分の絆によって求心力を維持してきた。そのことは派閥をこえた寛容な体質が、戦後保守政治をある意味では文化として体現されてきた。総裁選が終われば、ラグビーのノーサイドのような雰囲気で、なおかつ清濁併せ呑む気風に支配されてきた。ところが、安倍政権になっていらい、その自由闊達な気風は排除されてきた。

◆政敵を徹底的にイジメる、ファシスト的な手法

ヒトラーが金融独占資本およびドイツ鉄鋼資本との蜜月を深め、国防軍を掌握するさいに、内部の政敵を排除したことを想起してみるといい。ヒトラーはナチス突撃隊のレームを「長いナイフの夜」によって粛清し、党の支配権を確立するとともに、国防軍と突撃隊の対立を暴力的に止揚したのである。銃剣によるものではないが、そんな粛清劇が自民党で行なわれる可能性があるのだ。

小選挙区(擁立者1人)への党公認という伝家の宝刀を使いまくることで、他派閥を従属させ、批判をゆるさない安倍晋三の政治手法は、まさにヒトラーの独裁方法に近いものがある。そしてヒトラーよりもいっそう陰湿な感じがする。

女房役の菅官房長官もまた、官邸記者クラブに望月衣塑子記者(東京新聞)の排除を申し入れるなど、陰湿な独裁者としての素顔を剥き出しにしている。独裁(ヘゲモニー)とは、圧倒的な被支配者の指示によって成立する(アントニオ・グラムシ)政体である。いまやわれわれは自民党の党内政治、政局にも警鐘を鳴らす必要がある。


◎[参考動画]【自民党総裁選】投開票ならびに両院議員総会(2018.9.20)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

二島返還もままならなくなった安倍〈売国〉政権・北方領土問題の絶望

25回目のプーチン大統領との首脳会談の結果、安倍総理が事前に明言していた「北方領土問題の解決と平和条約の締結を実現する」という目的は果たされなかった。会談後の共同記者発表ではプーチン大統領はもちろん、安倍首相の口からも領土問題の進展についての言及はいっさいなかった。そればかりか、平和条約についてもプーチン大統領は「双方の国民が受け入れ可能で、支持されるものでなければならない」「双方が受け入れ可能な解決策を見いだすための条件をつくり出すには、長く忍耐を要する作業がこの先にあることを強調したい」と主張するだけで、何ら成果を語らなかったのだ。成果が何もなかったかといえば、ロシア側はそうでもない。

◆経済協力のみ約束させられた

領土問題でなんら進展がなかったいっぽうで、両首脳は新たに日露間の貿易額を今後数年で300億ドル(約3兆2900億円)に増やすことで合意したというのだ。ようするに安倍首相は、さらなる経済協力を強いられただけで、二島返還どころか、平和条約の締結も「時間がかかる」「国民に受け入れられるものでなければいけない」と釘を刺されたのだ。

そもそもロシアにとって日ロ首脳会談は、中国の経済成長に圧倒されその経済的支配下に入るしかない現状を打破するために、日本の経済協力を引き出そうとするものでしかない。その導きの糸として二島返還をちらつかせるのはもとより、前提なしの平和条約を先行させようというのも、ひたすら経済協力のための枕詞にすぎないのだ。資源と兵器産業しか経済的資源のないロシアにとって、ITや通信産業で中国の経済圏に受動的に組み込まれる運命にある。その意味ではロシアも必死だが、日本が約束させられた経済協力のいっぽうで、二島返還すらもおぼつかなくなったのが今回の結果だ。


◎[参考動画]北方領土で進展は?日ロ首脳が共同発表ノーカット1(ANNnewsCH 2019/01/23)

◆領土問題は軍事力ぬきでは解決できない

そもそも領土問題において、軍事的な圧力なしに交渉が成立した歴史はない。たとえば沖縄返還においてすら、核を配備した米軍基地の存続というオプション抜きにはありえなかったのは、現在もなお沖縄県民が基地問題で苦しんでいることに明らかだ。その意味では東西冷戦という冷たい戦争、すなわち日本による駐留費の肩代わりという戦争支援行為こそが、沖縄の返還をもたらしたのだ。

ヒトラーにおけるラインラント(第一次大戦後の非武装地帯)進駐も、日本の仏印進駐(フランス領インドシナへの軍事駐留)も、駐留する軍隊があってこそ、戦争を避けたい側(フランス・イギリス)に許容されたのである。ラインライトも仏印もヒトラーおよび大日本帝国にとって薄氷を踏むような軍事行動だったが、フランスは戦争によって領地をうしなうことを怖れて、軍事進駐を容認したのである。


◎[参考動画]北方領土で進展は?日ロ首脳が共同発表ノーカット2(ANNnewsCH 2019/01/23)

◆共同統治こそ、島嶼紛争の解決策である

だから軍隊を北方領土に派遣しろと言っているのではない。島嶼領土紛争の平和的な解決はおよそ不可能であって、もしも本気で解決したいのなら「共同統治」という形式しかありえないのだ。韓国との竹島もしかり、中国との尖閣諸島も同様である。領土をめぐる外交交渉で他国に折れた政治家は、政権をうしなうだけでは済まない。売国奴としてその生命を奪われかねないと指摘しておこう。それはプーチンにおいても、安倍においても同様なのである。

ところが安倍総理は、あたかも歯舞、色丹の二島返還に向けて前進しているかのように印象づけて「プーチン大統領の考えがよくわかった。双方の理解が深まった」などと、交渉の行き詰まりを糊塗しているのだ。すでに四島一括返還という北方領土返還運動の原則は掘り崩され、日ソ共同宣言時の二島返還すら実現できない趨勢となってきた。25回もの首脳会談を行ないながら、ロシアから経済協力として国民の血税を奪われたうえに、本来の目的である北方領土の返還が絶望的になった今、もはや安倍政権は売国政権というべきではないか。


◎[参考動画]「私とプーチン大統領で終止符」 安倍総理が強調(ANNnewsCH 2019/01/06)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

月刊『紙の爆弾』2019年2月号 [特集]〈ポスト平成〉に何を変えるか
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』