《ブックレビュー》上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』     スターが発掘されるその瞬間 ヒットに賭けた男たちの記録

 
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』

西城秀樹をはじめ、日活ポルノ女優の田中真理、青春スター吉沢京子、安西マリア、カルメン・マキ、舘ひろし、浅田美代子、川島なお美など、多くのスターと歌手を発掘してきた上条英男の自伝が、この『BOSS』である。われわれも名前をよく知る芸能人たちの、素の顔がひもとかれる。そんな覗き見をする興味と共扼しながら、読みやすい語り口にも助けられて3時間ほどで読み通してしまった。著者の語り口をとおして、芸能界を身近に感じる本だと紹介しておこう。

◆発掘されるスターのカッコ悪さと神話化

この種の本、といっても類書がそれほど多いわけではないが、興味ぶかいのはスターが発掘されるその瞬間であろう。西城秀樹は広島の地元ですでにロック系、ジャズ系のバンドを経験していたことは知られているが、家出同然で東京(原宿)に出てきてからの話は初めて知った。

それなりにアーティスト志向だったはずの秀樹が、徹底的に田舎少年として紹介されている。著者が描写するところはすこぶるカッコ悪いが、真実なのかもしれない。とくに反対する両親に対して、秀樹の姉が説得したことはあまり知られていないのではないか。秀樹の姉は、某大物ヤクザの姐さんとして斯道界に知られるひとだ。秀樹の父親が、彼がブレークしてからは、自宅では芸能パパ的に振る舞ったことは書かれていない。

スターがブレークした後のマネージャーと事務所の軋轢は、読む者を不快にするほど型どおりの醜さである。それにしても、敏腕スカウト(マネージャー)への手切れ金が100万円とは情けなさすぎる。


◎[参考動画]西城秀樹「傷だらけのローラ」(1974年)

舘ひろしが硬派暴走族だったというのは、かなり盛られた話だというのが定説だが、チームに岩城滉一がいたのだから伝説が成立するのもやむをえないところだろう。いまはどうなのかは知らないが、かつての不良青年青少女は芸能界でブレークするのが、ツッパリの延長にあった。ツッパルぐらいでなければ、野心は実現できないというべきであろう。かの関東連合ですら、芸能界入りを展望していたという。

悪い出会いもあるところが、本書の圧巻である。吉沢京子の名前が出れば、いま還暦以上の読者諸賢にとっては、甘酸っぱい記憶がドーパミンを分泌させるのではないだろうか。その吉沢京子を二股をかけて傷つけたのが、当時は公然と付き合っていたはずの松平健だったという。なんと同棲状態だった松平の部屋で、吉沢は彼の浮気のベッドを目撃してしまうのだ。いまも清純派の吉沢の涙を思うだに、松平の卑劣は上條ならずとも怒りが納まらない。

その松平健は大地真央との離婚後に、再婚した松本友里をも自殺に追い込む。著者は「私が死ぬまでにどこかで公にしたかったので、まさに今は溜飲が下がる思いである」と、そのくだりを締めている。テレビドラマでの松平健の正義漢ぶりはしたがって、まったくの演技ということになる。人は見かけによらぬものだ。


◎[参考動画]吉沢京子 「恋をするとき」(1971年)

◆「芸能プロ」と書いて「芸能ゴロ」ではなかったのか

筆者のように、芸能界に明るくない者にとって、60年代から70年代の芸能プロの構造変化は、わかりやすかった。渡辺プロといえば「ナベプロ抜きに歌謡番組は成立しない」とまで言われた芸能王国だったが、その牙城を崩したのは「スター誕生」をはじめとするコンテスト系の公募イベントだった。

爾後、堀プロ、周防郁雄(バーニング)、田辺エージェンシー、オスカープロモーション、太田プロという具合に芸能プロが林立して覇を競い合う。ジャニー喜多川との掛け合いのような関係も興味ぶかい。外から描けば、「芸能ゴロ」と呼ばれることが多い面々だが、著者が内側から書くことによって素顔に触れられる気がした。


◎[参考動画]安西マリア「涙の太陽」(1973年)

ところで著者は77歳にして現役のマネージャーにして、スタジオで歌唱指導するプロデューサーである。ひとりの歌手にかける夢、売ってナンボのステージ興業(古いか)、裏切りや出し抜きがふつうの芸能界で、いまも歌い手にエンターテイメントを仮託する姿は清新でうつくしい。


◎[参考動画]Flower Travellin’ Band(ジョー山中)「Anywhere」(1970年)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
 編集者・著述業・Vシネマの脚本など。著書に『山口組と戦国大名』(サイゾー)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社)など多数。

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民事訴訟で逃れようとする片山地方創生大臣の絶体絶命 第2の口利き疑惑も

◆事務所スタッフの憤懣がリークの発端か?

 
片山さつき氏HPより

「週刊新潮」(11月1日号)によると、「週刊文春」を相手に民事訴訟に踏みきった片山さつき地方創生大臣に、新たな口利き疑惑が生じているという。大阪のパチンコ業者が銀行融資の口利きを依頼し、片山大臣が財務省経由で融資のあっせんを行なったというものだ。そしてその結果はというと、融資工作は遭えなく失敗に終わったという。なんとも頼りにならないセンセイではないか。

それはともかく、同日発売の「週刊文春」には、片山事務所の関係者が匿名を条件で事実関係を語っている。すなわち「実は、X氏と片山氏は携帯電話で何度も連絡を取り合っている」そのやり取りのなかで、100万円の見返りにも言及しているというのだ。さらには、直撃取材を受けたあとに南村博二元秘書に「あなたと私は、会ったことなかったわよね」などと口封じを行なったうえで、週刊文春にリークした下手人を捜したという。

ヒステリックになったら、事務所で荒れるという片山センセイのことだ。事務所スタッフに修羅場が到来したのは想像にかたくない。その意味では、事務所関係者からボロボロと情報が漏れてしまうのは、センセイのガバナビリティの不足としか言いようがないのだ。短気は損気。

◆秘書ではなかったと強弁するも、事実は記録されている

100万円を受け取った事実そのものを否定する片山大臣だが、元秘書の南村氏は受け取りをみとめている。週刊文春が入手した「書類送付状」および福岡銀行大牟田支店の「振込・振替(状況照会)にも「議員名・片山さつき」と「秘書名・税理士南村博二」が明記されているのだ。にもかかわらず、片山センセイは週刊文春への訴状の中で「南村が原告(片山)の私設秘書であったことはない。原告は、秘書として契約したこともなく給与・報酬などを払ったこともなく、原告が指揮・命令する立場にあったことはない」などと、事実を180度ねじ曲げようとしている。まさに語るに落ちるとはこのことだろう。すでに何度となく、片山事務所は文章や音声に「私設秘書・南村博二」は刻印されてしまっているのだから──。

よしんば秘書としての報酬を受けていないなど抗弁ができたとしても、片山センセイが代表をつとめる政治団体や後援会事務所、あるいは「片山さつき政治経済研究所」は、いずれも南村氏の麻布十番のマンションに置かれている。その意味では秘書であるか否かも意味はない。片山センセイの政治活動に南村氏は大きく寄与し、重要な役割りを得ているのだ。

◆訴訟は答弁のがれである

ところで、訴訟をチラつかせるブラフが自民党政治家の特徴だと本欄で指摘してきたが、訴訟はまた事実関係を答えない言い訳でもある。片山センセイは訴訟を提起しましたという記者会見の場で、さっそく「法的措置に入りましたから」「わたしの一存では喋れないんです」と言い放ったものだった。この対応はおそらく、記者会見の場のみならず国会審議でも貫かれることだろう。「ご質問の件につきましては、訴訟中の案件でございますから、わたくしのほうで発言は控えさせていただきます」などと、答弁を拒否するにちがいない。そしてほとぼりが冷めれば、こっそりと訴訟を取り下げるか和解交渉で終わりにするという手順であろう。

だが、いったん訴状を提出したのである。その訴訟要件が根底から崩壊し、このかんの発言がすべて虚偽であったことを明らかにするまで、報道が止まないことを知っておくべきであろう。あたら小手先のはぐらかし戦術として、民事訴訟をもてあそんだことによって火だるまになるのは「片山さんは2人分、3人分の活躍が期待できる女性政治家」と激賞した安倍総理大臣の任命責任もふくめてのことである。


◎[参考動画]片山大臣「記事は事実と違う」 提訴後初めて会見(ANNnewsCH 2018/10/23公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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開港から40年の三里塚(成田)空港〈22〉1億円の損害賠償金

◆懲らしめのための民事訴訟

管制塔被告団グループに1億300万円の賠償請求が来たのは、2005年のことだった。運輸省が提起した民事訴訟は95年に判決が確定し、損害賠償額は4,384万円だった。それに利息が付いて、時効直前の2005年には1億300万に膨らんでいたというわけだ。その年から給与の差し押さえ、財産の差し押さえなどが通告されていた。

管制塔破壊という実害があったとはいえ、スラップ訴訟(公共の利益がないのに、運動を破壊するために行なわれる訴訟)に近い、民事訴訟による判決の履行だった。すでに反対同盟は分裂し、政府の意を受けた「話し合い路線」が軌道に乗っていたから、その意味では空港問題の帰趨とは関係なく、この請求は懲らしめのための「憂さ晴らし」とでも言うべきか――。

 
柘植洋三=元三里塚闘争に連帯する会事務局長による2005年7月18日付アピール文「管制塔賠償強制執行の攻撃を、我等ともに受けて立たん」の文頭(2005年7月22日付『旗旗』に全文あり http://bund.jp/?p=226 )

◆戦友会としての被告団

そこで元被告団が再集合し、1億円カンパ闘争が開始されたのである。元の所属党派を通じたカンパが大口だったが、ネットカンパが広く一般の人々から寄せられたという。われわれの三月要塞戦元被告団も久しぶりに全国結集(弁護士を入れて、たしか20人ほど)で、このカンパ運動を支援することになった。

集れば必ず飲み会というか、集りそのものが飲み会の場で、そこに管制塔元被告が説明に来るという感じだった。何かというと資金源としてあてにされる弁護士さんは「1億円も、ですか……」などと、ぼう然とした雰囲気だったが、すでに数千万円単位でまたたく間にカンパが集っているという報告を聴くと、ホッとした表情になったものだ。

元過激派学生というのは非常識な連中ばかりで、まじめな弁護士さんたちからはあまり信用されていない。それでも、突入ゲートごとの被告団、前年5月の攻防で逮捕されたグループなど、まさに戦友会のごとき集いが復活したのは、このカンパ運動の副産物だったといえよう。この年の11月には、1億300万円が国庫に叩きつけられ(収納され)た。

◆ネット上の議論

それにしても、1億円をカンパで集めるのはいいとして、それを敵である政府に差し出すという運動に、疑問の声もないではなかった。徹底抗戦して、たとい労役を課せられようが何をされようが、政府に「謝罪金」のようなものを出すべきではないと。もっぱら匿名のネットで議論が起きたものだ。匿名の議論だから「政府に恭順の意を表するような、反革命行為は信じがたい」とか「敗北主義だ」などという主張に「おまえ、責任をもって現実の大衆運動をやったことなんてないだろう。口先だけの評論野郎」などと反論があったりしたものだ。

たしかに民事判決の当初は「ないものは払えない」という論理で打っちゃってきたのは本当だ。やがて生活を抱え、家族をつくった元被告たちに、生活破壊の重たい攻撃が掛けられているのだから、カンパ運動はしごく当然だった。それを批判する人たちは、そもそも運動に立場性(責任)がない。安全圏の中に身を置いたとしか思えなかった。お前こそ、いま直ちに空港に突入して管制塔を破壊して来い! である。

◆民事訴訟の怖さ

それにしても、民事訴訟というのは生やさしくない。交通事件で民事訴訟になるのは、示談金をめぐって、すでに任意保険という補償の前提(原資)があるからであって、一般の事件だとなかなか考えにくい。たとえば殺された家族の損害賠償・慰謝料として民事訴訟をしても、相手が塀の中の死刑囚ではどうにもならない。そこで死刑を廃止して、仮釈放のある無期刑ではなく、終身刑を導入してしまう。死ぬまで懲役労働をさせて、その報奨金を被害者遺族への賠償金とする。という議論を、わたしは死刑廃止論の大御所としているところです。

ぎゃくに、犯人を知ってから時効が始まるので、とっくに刑事事件としては時効になっていても、民事訴訟は有効となるのだ。公安事件にかぎらず、被害者のいる事件は墓場まで持っていくというのは、けっして例え話ではないのです。そんな事件、あなたも体験していませんか?

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。3月横堀要塞戦元被告。主著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)、『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

片山さつき地方創生担当相の口利き疑惑 ── 本当に法的措置を講じられるか?

◆やっぱり噴き出した政治スキャンダル

本欄でも第4次安倍改造内閣が、女性の起用をわずか1人であること。そして起用された片山さつき地方創生担当相に「2人、3人分の活躍を」などという言い訳を安倍総理がしていることを批判してきた。その「2人、3人分の活躍を」安倍総理に期待された片山さつき大臣が、古巣である財務省・国税局に口利きをすることで、利得(賄賂)を得ていたというのだ。なるほど、大いに活躍されているようだ。

事件の発端は、製造業を営むXという人物が会社に税務調査が入ったことで、青色申告の承認が取り消されそうになっている状況をなんとかしようと、片山事務所に相談したのだという。片山さつきの私設秘書である南村博二を紹介され、この南村氏から指定された口座に100万円を振り込んだと、X氏は証言しているのだ。

 
2018年10月17日付け文春オンラインより

◆委任契約は成立している

「週刊文春」(10月18日発売号)から、X氏の証言を引用しよう。

「2015年当時、私の会社に税務調査が入り、青色申告の承認が取り消されそうになっていました。何とかならないかと片山先生に相談したのは紛れもない事実です。そして片山事務所の秘書を通じ、私設秘書だった南村博二という男を紹介されました」

「南村氏に『とにかく青色申告取り消しだけは困るんです』と話すと、『大丈夫ですから、安心してください』などと言われ、税務調査の対応をお任せすることにしたのです。そして15年7月、指定された口座に100万円を振り込みました。これで片山先生が働きかけてくれると信じていました」

この時の物証を「週刊文春」は入手している。「書類送付状」と書かれた文書である。そこには差し出し人として、参議院議員片山さつき、秘書・税理士南村博二と記されているのだ。文面にはこうある。

「着手金100万円を、至急下記にお願い申し上げます。ご確認後、国税に手配させて頂きます」

政治家への賄賂を通じた依頼が法的に問題があるとしても、これで委任契約は成立しているのだ。

100万円を振り込んだものの南村氏から報告もなく不安になったX氏は、参議院会館にある片山氏の事務所を訪問したという。執務室で100万円を振り込んだことを片山氏に伝えると「南村にすぐ連絡して!(こっちに)振り込みさせなさい!」などと別の秘書に激昂したのだ。

そして、片山氏は最終的に、X氏にこう話したというのだ。「じゃあやっておきますよ。任せてもらえれば、大した問題じゃないから」「うまくいったら、百万円なんて決して高いものじゃないわよね」このやり取り、まるでひと昔前の政治家(口利き屋)ではないか。

◆契約不履行ではないのか

けっきょく、依頼された青色申告の承認は得られなかった。委任契約は成立しているのだから、片山事務所側の契約不履行(口頭であれ何であれ、頼み頼まれる両者に「委任契約」は成立する)である。にもかかわらず、片山事務所はなかったことのように言うのだ。以下は「週刊文春」の取材に対する片山側の返答である。

「事務所にご質問の会社が税務調査を受けているようだとの連絡があり、当時の秘書が片山に相談し、知り合いの税理士である南村を紹介しました。南村税理士に聞いたところ、税理士報酬をもらった旨を知りました。事務所の認識では、南村氏は15年5月に私設秘書を退職しています」

これに対してX氏は「私は税理士の南村氏に仕事を依頼したのではなく、片山事務所から彼を紹介されただけで、片山先生にお願いしたと認識しております。わざわざ100万円を払って南村氏に頼む理由がありません」と語っている。この報道をうけて、他の報道機関の質問に、X氏があらためて答えている。

「私設秘書から要求された100万円を指定された口座に振り込んだのは事実です」「口利き依頼について、不徳の致すところで反省している」などとするコメントを発表したのだ。X氏の言葉を信じるかぎり、事実関係はもう明らかだろう。

◆本当に裁判をするつもりはあるのか?

X氏の証言が事実であれば、片山事務所の契約不履行(民事)および詐欺罪(刑事)が成立する可能性が高い。なぜならば、国税当局に承認取り消しされた処分を撤回することは、片山大臣側が利得を得ている以上、まったく不可能だからだ。辞任した甘利明元経済再生担当相による、口利き賄賂事件と同様である。いや、この事件は立件されようがされまいが、政治資金規制法や公職選挙法などとは比べものにならない、政治家の収賄疑惑なのである。

それと同時に、急遽おこなわれた記者会見において、片山大臣は何ら具体的な反証もなく「法的措置を講じる」と明言した。つまり公判廷において、事実関係を明らかにすると言っているのだ。われわれはこれには注目せざるをえない。

今回の件で、片山大臣は「口利きもしたことはないし、100万円も受け取ったこともない」などと報道内容を否定している。ここまで事実関係の認識が対立しているのであれば、法廷で決着をつけるしかないだろう。上述したとおり、片山大臣は「法的措置を講じる」と明言していることだし――。

こうした政治スキャンダルに見舞われた政治家や官僚のほとんどが「法的手段に訴える」などと言いながら、そのじつ何も具体的な訴訟行為をしてこなかったのは、多くの国民が知るところだ。

 
片山さつき氏HPより

◆口先だけの「法的手段」

たとえば、本欄でも政治団体の不明朗な献金を指摘した下村博文元文科大臣・現憲法改正推進本部長は、加計学園から200万円の献金を受けている事実を暴露されたとき「都議選が終わったら釈明する」「法的な対応を検討している」などとしながら、何らの弁明も法的措置も講じていない。その時だけ「告訴する」と言うことで、報道の沈静化をはかるのが自民党政治家の常套手段なのだ。

菅官房長官も2015年に日本歯医師連盟からの迂回献金を「週刊ポスト」に報道されたさいに、同じく「法的措置を検討している」と言いなすことで沈静化をはかり、その後は何もしていない。火のない所に煙は立たないの例えではないが、法的手段に訴えることが出来なかったのである。

◆敗訴して傷口をひろげた稲田朋美

いや、みずからと配偶者が弁護士であるがゆえに、実際に訴訟に踏みきった自民党政治家もいる。安倍総理のお気に入りとして、今回の人事で筆頭副幹事長におさまった稲田朋美議員である。「サンデー毎日」在特会との親密な関係を報じられたとき、稲田側は名誉毀損の訴訟を起こすも、一審・二審で敗訴。さらに「週刊新潮」に寄附行為を報じられたときも、訴訟を起して敗訴している。このときは双方のやり取りの中で新潮側が、訴訟を予告されたことを「恫喝」として「弁護士バカ」と表現したことから「名誉毀損」を要件としたものだった。だが今回の片山大臣の場合は、単なる名誉毀損で済まされる問題ではない。収賄をめぐる、政治家としての政治生命を左右する事実関係が争点となるのだ。

この原稿を編集部に送った翌日の10月22日、片山さつき地方創生大臣は、週刊文春を相手取って1100万円の損害賠償訴訟に踏み切った。その覚悟はあっぱれである。ぜひとも注視していきたい。


◎[参考動画]片山さつき大臣が文芸春秋を提訴 口利き疑惑報道で(ANNnewsCH 2018/10/22公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

衝撃満載『紙の爆弾』11月号! 公明党お抱え〝怪しい調査会社〟JTCはどこに消えたのか/検証・創価学会vs日蓮正宗裁判 ①創価学会の訴訟乱発は「スラップ」である他
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

朝鮮半島問題で孤立化する安倍外交の無策こそ、この国を滅ぼす

◆ついに6カ国協議の枠からも締め出される?

 
2018年10月10日付ロイターより

ロイターが伝えるところでは、ロシア外務省は朝鮮および中国との外務次官による3カ国協議の結果、関係5カ国による「5カ国協議」が必要との認識に達したという。おや、1カ国少ないではないか。朝鮮半島問題は「6カ国協議」ではなかったのか。情けないことに外されたのは、わが国であった。アメリカの半属国で、しかも時の総理がアメリカにベッタリの外交姿勢を変えないのだから、仕方がないといえば仕方がない。

利害をともにする中ロとしては、アメリカの外交カードを一枚はがすことによって、交渉を有利に導こうとの思惑は明白だが、もっと深刻なのは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が日本非難をつよめることで、韓国・中国との緊密な関係を維持し、その勢いで対米交渉を軌道に乗せようとしている、その裏側の意図であろう。その意図とは、いったい何なのか?

◆日本の賠償を最大限に引き出す、金政権の思惑

本来ならば、6月の米朝対話につづいて日本政府も8月から9月に日朝首脳対談を計画していた。トランプ・金対談が実現した段階で、それまで対朝和平の崩壊を念じていた安倍政権にとって、バスに乗り遅れるなという方向転換が行なわれたのだった。当時の報道を引用しておこう。

〈安倍晋三首相と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の日朝首脳会談の実現に向けて、両国の政府が調整に動いていると複数のメディアが報じた。共同通信は政府関係者の話として、ロシアが9月11~13日にウラジオストクで開く東方経済フォーラムが日朝首脳会談の場になる可能性を伝えた。ロシアは同フォーラムに金正恩委員長を招待している。読売新聞は「日本人拉致問題の解決などについての事前交渉」として、安倍首相が8月頃に平壌を訪問する案も検討されていると報じた。〉

◆無能な内閣情報官

 
北村滋内閣情報官(wikipediaより)

ところが、北村滋内閣情報官が裏交渉を進めようとしたところ、7月に日本人ツアー客がスパイ容疑で北朝鮮の公安当局に逮捕されるという事態が発生した。のみならず8月には中国でも「公安調査庁のスパイ」として、愛知県の男性が中国公安当局に逮捕されるという事態がつづいた。

北村滋といえば、官邸のアイヒマンと呼ばれる情報官である。アイヒマンというネーミングはしかし、けっして有能という意味ではない。後年、裁判でアイヒマンを見たドイツの哲学者ハンナ・アーレントによれば「なぜあんな凡庸な人物が、ユダヤ人大虐殺を行なえたのか」という疑問であり、つまるところ、唯諾々と上官の命じるままに職務をこなす凡庸さという意味である。わが官邸のアイヒマンも外交には凡庸らしく、ベトナムで北朝鮮の高官(キム・ソンヘ統一戦線策略室長)と極秘交渉したことを報道機関にすっぱ抜かれてしまった。これには直属の上官である安倍総理ではなく。上部組織の親分であるトランプが激怒したという。

そもそも疑似情報機関の人間を外交交渉に使ったところに、安倍外交の失敗がある。やはりここでも、お友だち政権なのだ。北村情報官は古巣である警察庁の公安ルートで折衝しようとして、北朝鮮の警戒心を煽ってしまったのだ。

◆安倍の無策こそ、国を滅ぼす

いまのところ、米朝主脳の再会談が3ヵ月先、つまり来年1月というマスコミの観測(つまり外交筋のリーク)である。米朝会談のうえで関係各国の協議が行われるとして、日本はその埒外に置かれそうな空気である。トランプは朝鮮半島にドルをびた一文(びた1セントか? 苦笑)も出さないと明言してきた。おそらく米朝のあいだで朝鮮戦争の終結が宣言されると、関係国である中国(朝鮮戦争に義勇軍が参戦)ロシア(金王朝創設の縛バックボーン)もこれを承認するであろう。

そしてわが国はといえば、その和平の枠組みのなかで、兆単位といわれる戦後賠償を課せられるのだ。金正恩はおそらく、日本がアメリカ主導の和平案、新たな東アジア秩序の形成にさからえないことを見越して、日本批判を繰り返しているのだ。

もしも安倍に本気で金正恩と対話をする気があるのなら、総理経験者を特使として派遣するなり、親書を送るなりのアクションがあってしかるべきだ。あいかわらず、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)とその支援組織「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)など、安倍応援団の「対北制裁論」に迎合しているようでは、事態は1ミリも動かせない。孤立のすえに莫大な賠償金を支払わされ、そのツケはわれわれ国民に課せられるのである。


◎[参考動画]9.23全拉致被害者の即時一括帰国を!国民大集会報告01 櫻井よしこ(総合司会)(sukuukaiweb2018年9月25日公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

衝撃満載『紙の爆弾』11月号!公明党お抱え〝怪しい調査会社〟JTCはどこに消えたのか/検証・創価学会vs日蓮正宗裁判 ①創価学会の訴訟乱発は「スラップ」である他
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

ソフトバンクとトヨタ自動車 人間と自動車社会はどこに歩もうとしているのか?

いまから20年ほど前のことだ。九州の2人の大ほら吹き(実際には大風呂敷)というコンセプトで、日経新聞系の記事をまとめたことがある。いずれも福岡県出身者で、ふたつの業界に打って出たばかりの若手社長である。ひとりは玉木康裕、タマホームを立ち上げたばかりの頃だ。もうひとりは孫正義、言うまでもなくソフトバンクの総帥だ。まだソフトバンクが港区のあまり大きくないビルの一角を占めていた頃で、ゲームバンクでの失敗なども話題になっていた。

いずれにしても、両社とも業界のトップグループに座を占めるようになったのだから、当時の日経担当者は慧眼というほかない。ソフトバンクのほうが世界的企業に発展し、タマホームも今後の10年をグローバルに展開するということだが、両社に差があるのは業態の違いであって、ゼロからの成功に変りはない。

今回は孫正義のソフトバンクとトヨタ自動車が提携した新会社について。そう、自動車のAI化とライドシェアに関して触れておこう。モータリゼーションで成長してきたわたしたちの社会が、今後どう変っていくのか。ここがAI化社会を占なう上で、最もわかりやすい素材だからだ。

 
自動運転車の安全技術ガイドライン(2018年9月国土交通省自動車局資料より)

◆どこまで進む? 自動運転

まず、何をもって自動運転というのか。である。運転状態をあらわすSAE(自動車技術会)のレベルで、0が運転手による操車、ふつうの自動車である。加速と操舵、制動のいずれか1つを自動化したものがレベル1。現状の自動ブレーキスステムがこれに当たる(単一の制御)。これが複数になるとレベル2。高速でのステアリング、速度の加減などが加わるとレベル3。ただし、レベル3は自動運転の継続が困難になった場合は、運転手がハンドルを握る。レベル4が高度運転自由化で、ただし運転領域が限定されるもの。高速道路に限定とかになる。そしてレベル5にいたり、運転領域も予備対応においても完全に自動運転(利用者の対応が期待されていない状態)ということになる。現在は各社レベル2の段階で、高速での運用が可能なレベル3~4が当面の目標とされている。

◆法的な障害はこえられるのか?

その昔、筆者がソフトバンクを取材したころは、道路の中央ラインにチップ(磁気マーカー)を埋めて、それを指標にステアリングを制御するという方法が採られていた。高速道路限定ならばそれも可能だが、一般道すべてにチップを埋めるのは不可能である。そこで自立型の自動運転のなり、制御チップをコクピット内の各計器に装着する方法となったのだ。すでに現在位置と目標案内で効果が確認されているGPS(衛星)の基本に、カメラとセンサーで周辺の確認、これらの情報をもとに人工知能による処理と命令が行なわれる。GPSとセンサーからの情報は、ダイナミックマップと呼ばれる高精度3次元地図となる。ここでは、すでにイスラエル軍で運用されているロボットカーの技術が突出しているようだ。ようするに無人兵器の応用である。自動運転はその意味では、すでに技術的にはほぼ完成している。あとは兵器とちがって、生身の人間を乗せる安全性だけなのだ。

とはいえ、法的な問題がある。一般人が公道で走行できる完全な自動運転車は、ジュネーブ道路交通条約で常時人間の運転が必要であると定義されている。万一事故が起きた場合の法的な責任はどうなるのか。議論はまだ始まったばかりだ。あるいは、人工知能はコンピューターだから不正アクセスされる怖れもある。ペーパードライバーが利用した場合の、緊急時の運転技能に問題はないのか。ペーパードライバーは乗ってはいけないとは、条例化できないであろう。またその技術力を判定する指標もない。

◆身体工学的な無理も

それよりも何よりも、運転という身体工学はどう考えられてきたのか。たとえば電車の心地よい振動で眠たくなるのと同様に、クルマの心地よい振動で助手席や後部座席の乗員は眠くなる。コクピットでも同じことが起きるはずだ。そもそもステアリングを握り、アクセルを踏み込むドライビングの快感によって、運転手はクルマと一体化する快適を感じる。人工知能が故障するのではないかと、不安を感じながらのドライブが愉しいのだろうか? こうしたことは何ら考慮されてこなかったのではないか。

文中に出てきた「ライドシェア」については別記事に改めたいが、簡単に触れておこう。文字どおりの意味で、相乗り(プールライド)である。なかなか日本人には馴染まない、初対面の人と乗り合わせるのは難しいとされてきた。これをアプリにしてビジネス化しようというのが、孫正義とトヨタの合作ということになる。トヨタはさすがにリーディングカンパニーで、自動車の売り上げが確実に落ちる、このライドシェアに乗り出すのだという。そういえば、同社が自転車活用のために社員を警視庁に出向させ、未来の交通システム(自動車と自転車の共存)の研究をさせているのを、筆者は知っている。内部留保などせずに、どんどん社会のためにおカネを使ってもらいたいものだ。


◎[参考動画]2018年10月4日【トヨタ・ソフトバンク共同記者会見】スペシャルトークセッション(トヨタグローバルニュースルーム2018年10月5日公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

開港から40年の三里塚(成田)空港〈21〉わたしが出会った“元中核派の彼”

断続的な連載も20回を超えると、どうしても感傷的かつ追憶的な内容になってしまい、緊張感のないことこのうえない。まことに申しわけありません。今回も追憶的とはいえ、すこし刺激的なタイトルにしてみました。ズバリ“元中核派の彼”である。

中核派は最大党派だけに、いろいろと多くの接点があった。わたしの大学にも非主流派ながら数十人単位でいたし、三里塚現地ではイヤでも顔を合わせる。3月横堀要塞戦の中核派の相被告は、4人だった。いい人もいたが、党派性が強くてイヤな人たちだった、という印象が大きい。そんな中核派の活動家のひとりと、活動の場ではない職場で出会ったのである。

◆党派と個人的な関係の断層

その彼は唐突にも、わたしの職場にというべきか、何しろ目の前で中核派の月刊誌「武装」を読んでいたのだ。労働運動のかけらもない職場の誰も、それには気づかない(まったく気にしない)けれども、わたしにとっては「えぇーーっ!」(心の中の声)であった。

すでに中核派とは83年段階で三里塚闘争が分裂し、敵対的とまでは言わないものの仲良くできる間がらではなかった。被告団も分裂していた。たまに三里塚現地を訪れると、それはたいがいが現地集会の前日であったりするから「脱落派は、生きて帰れると思うなーッ!」というシュプレヒコールを浴びせられたものだ。われわれと中核派は、外見的には敵対勢力だったのだ。その中核派が、わたしの職場に居る……!

それはもう、ある意味で楽しくて仕方がなかった。職場での好感度もあり、見てくれは売出し中の若手俳優だ、といっても通るような涼やかな風貌。そして何よりも、気風が素晴らしい青年だった。どんな会話からお互いのことを語り合ったかは、あまり記憶にない。それと意識したときには、わたしは彼に誘われるまま中核派の集会に参加し、彼もわたしが誘うままに「脱落派(反対同盟熱田派)」の集会に参加していた。山谷の支援運動にも誘ったことがある。政治の多様性、経験の重要さをわかって欲しいという意味で、わたしは彼にいろいろな提案をした。わたしも彼の提案を諒解する関係になった。

とはいえ、個人的な関係が党派を超えるはずはない。彼においては、もっと個人的な恋愛関係などにおいて、党派を越えられないものがあったはずだが、そのことには触れない。それにしても、活動を秘匿していた職場での出会いには愕いたものだ。そこから、ある意味で双方の駆け引きもあった。中核派という組織の成員である以上、彼はわたしをオルグするのが使命となるわけであって、わたしのほうは彼に付き合いつつ、しかし思想的にはポストモダンの蓄積を披瀝しながら、両者が政治的にも思想的にも折り合うことはなかった。いや、組織的に折り合わなかったというべきか。思想はまた、政治とは別物である。

そのいっぽうで、三里塚闘争ではわたしのほうが彼を、やや強引に誘ったのかもしれない。十数人しかいない隊列にまき込んで、シュプレヒコールに唱和させた記憶がある。彼に誘われ中核派の大衆デモに参加したわたしは、集会・闘争後の「解散戦争」に参加させられて、どうにも愉しかった記憶がある。地下鉄を発進直前に突然降りて、反対側のホームの電車に乗る。その後はタクシーで集結地点に近づき、最後はなぜかいつも同じ飲食店で宴会をするという成りゆきだった。宴会場に対立党派が待ちかまえていれば、一網打尽だと思うのだが……。沖縄の古参活動家の記憶も鮮明だ。その後、故郷にもどった「元中核派の彼」は独自の道をあゆみ、いまも連絡が取れている。

 
加藤登紀子『登紀子1968を語る』(情況新書2010年)

◆パルタイの幻影

いま、わたしはポスト68というテーマで、ある雑誌を編集しています。やはり70年代・80年代・90年代を通して、党派という問題は大きいのだと思う。革命党が必要という命題があるいっぽうで、党派の狭隘な思想は大衆運動の桎梏になる。もともとブントは、パルタイの狭隘な政治から脱して、自由に政治をやるために分派したのではなかったかと、歌手の加藤登紀子さんが語ってくれたことがある(『登紀子1968を語る』情況新書)。

そうであるならば、党派性のすべてを解体した政治党派(どんな形式で、どういう結集方法があるのだろう)というものの出現を望みたい。ゆるやかなネットワークでもいいのかもしれない。われわれは、いかにもパルタイの幻影に支配されていた。そこからの自由を今世紀の課題にすることが、左翼運動の再生のカギかもしれないと、ここでは述べておこう。そして言えるのは三里塚という場所が、いかにも多くの出会いを設えたものだったと。感謝したい。(つづく)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。3月横堀要塞戦元被告。主著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)、『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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神社界のドン、年貢を納める? 神社本庁の悪行とその覚悟の浅薄さについて

神社本庁の田中恆清総長が辞意を明らかにしたという。9月11日に伊勢神宮で開催された全国47都道府県の神社庁長会で、神社本庁の総務部長が田中恆清総長の辞意を明らかにしたというのだ。11日におこなわれた役員会の中身は公式には明らかにされていないが、関係者によると、ひとりの理事が2人の幹部職員に係る民事訴訟について、和解の方針を決議したらどうかという提案をしたという。その民事訴訟とは、神社本庁百合丘宿舎の「安値販売」疑惑をめぐって、2人の幹部職員が内部告発をしたことで解雇され、民事訴訟となった件である。

◆ディンプル社への安値売却と危ない利権と人脈

ことの発端となった神社本庁百合丘宿舎の「安値販売」疑惑とは、バブル期に7億5000万円で購入した宿舎を1億8400万円でディンプル・インターナショナル(東京都新宿区富久町)に売却したものだ。さらに宿舎は第三者に転売されているが、その価格は3億円を超える額だった。中間登記が省かれているので、ディンプル社の名前は表に出ていない。つまり神社本庁は超格安でディンプル社に売り下げ、ディンプル社は1億円以上の利ざやを稼いだことになる。さらにディンプル社は中野・青山の宿舎も独占的に売却し、ここでも多額の利益をえている。このディンプル社の正体とは、いったい何なのだろうか。

 
ディンプル社が皇室のヴィジュアル本を制作するために設立した日本メディアミックスのHP

このディンプル社は皇室のヴィジュアル本を制作するために、日本メディアミックスという会社を設立している。その日本メディアミックスの社長は一時期、奈良判定に対する内部告発でマスコミを騒がせた日本レスリング協会の福田富昭会長だったことがあるのだ。なんとも、水面下の利権で神社本庁のドンとレスリング界のドンが結びついていたわけである。そしてじつはディンプル社の社長は福田氏の日大のレスリング部の後輩で、現在は日本メディアミックスの社長である。

神社本庁はもともと、戦前は官営で内務省のもとに官幣社を仕切る中央省庁であったものが、敗戦後解体されていた。それが民間の任意団体として再建されたのだ。吉田茂(外務省から総理大臣)が同姓同名の吉田茂(内務官僚から軍需相など=筆者の祖父の友人で、茂彦の「茂」は、この方の偏諱である・苦笑)に相談して、再建した経緯がある。これは戦前は神職養成機関として国立だった神宮皇學館が、私立大学として再建されたのと同じだ。したがって公共法人としての査察もまぬがれる。そこに利権の構造が生まれたのだといえよう。

今回の田中恆清総長の辞意は、日大アメフト部の反則指導問題に端を発し、日本レスリング協会、そして神社本庁にまで飛び火したかのような、まさに利権とパワハラのスキャンダル連鎖に見える。それにしても、批判に晒されると弱音を吐く。何とも覚悟の浅薄さが透けているではないか。パワハラ方面の事件についても触れておこう。

◆女性宮司を認めない本庁

神社本庁をめぐる問題に、女性宮司をみとめないことから全国で起きている事態がある。

ひとつは昨年末、世間を驚愕させた富岡八幡神宮の女性宮司刺殺事件である。富岡八幡は創設390年を誇る東京下町の神社だが、富岡家の長男・茂永氏が宮司職を継いだものの、素行の悪さで解職。代わって長女・長子氏が宮司代務者として仕切り、同神宮の責任役員会は長子氏を宮司にと何度も意見具申していたが、神社本庁は「経験不足」を理由に認めなかった。やむなく富岡八幡は神社本庁を脱退することで、宮司問題に決着をつけようとしていた。その矢先の長男夫婦による姉の刺殺だったのだ。

◆宇佐神宮では、氏子たちが署名活動

宇佐八幡神宮も同じく、社家の長男が暴走族まがいの自動車事故で亡くなり、その姉の克子氏が宮司職を継ごうとしたところ、神社本庁がこれを認めなかったものだ。女性宮司をみとめない神社本庁から送り込まれた小野崇之宮司(田中恆清総長の元側近)をめぐり、社家を支持する氏子との紛争が長引いている。

ちなみに、社家側が不当解雇を訴えた裁判では2月に判決があった(大分地裁中津支部)。原告が訴えた小野宮司らのパワハラが認められ、未払い賃金をふくむ137万円の支払いを命じられた。しかしながら、解雇そのものは有効としている。引きつづき、控訴審が注目される。

現宇佐神宮への不満は、地元商店街にもくすぶっている。宇佐神宮側が昨夏、自前で新たな有料駐車場を整備したことだ。大半の参拝客が商店街を通って神宮に向かう動線が崩れたことで、宇佐神宮仲見世会は「一部店舗では正月の売り上げが3割減少した」という。市と大分交通が50%ずつ出資する第三セクターで、既存駐車場を運営する「宇佐八幡駐車場」(社長は是永修治宇佐市長)は「売り上げが2割減った。無視できない金額だ」と憤る。

地元からの批判に、神宮側は「高齢者や障害者の方には、最短距離で参拝できると好評。車の出入り口が一つ増えたので、今年は正月の渋滞も少なかった。批判は一部」と反論するが、溝は埋まりそうにない。宮司が代わるということは、神宮の行事に係る業者なども入れ替わり、そのまま利権が入れ替わることを意味する。利権が入り組んでいる以上、解決は簡単ではない。

この5月には氏子有志による「宇佐神宮を守る会」(久保繁樹代表)が、小野崇之宮司の退任を求める3006人分の署名を集め、責任役員4人に対して提出している。「守る会」は県神社庁宇佐支部総会でこの件を明らかにし、神社本庁と徹底的に闘う意向だという。推移を見守りたい。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

最新刊『紙の爆弾』11月号! 公明党お抱え〝怪しい調査会社〟JTCはどこに消えたのか/検証・創価学会vs日蓮正宗裁判 ①創価学会の訴訟乱発は「スラップ」である他
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

囁かれる政界入り 貴乃花の逆襲が始まった! 貴ノ岩の日馬富士民事提訴は、角界改革の手はじめである


◎[参考動画]貴乃花親方が退職届提出 傷害事件の告発状巡り(KyodoNews 2018/09/25公開)

突然の親方引退と部屋の移籍、そして日馬富士氏の断髪式を待っての民事訴訟。これらは計画された戦術だったのだ。千賀浦部屋に移籍した貴ノ岩が、かりそめにも父親代わりである千賀浦親方に何ら相談することもなく、総額2400万円の損害賠償事件の民訴を行なったのである。

弁護士事務所は貴乃花氏の代理人と同じであることから、貴乃花氏の意向がつよく働いているのは誰の目にも明らかだ。そしてこの民事訴訟のねらいは、損害賠償金が目的ではないのも明白だ。なぜならば、あまりにもかけ離れた金額(日馬富士氏側は50万円)では、そもそも和解調停が不可能だからだ。

では、いったい何のために判決まで引っぱる訴訟を起こしたのか。これも少し考えればわかることだ。貴乃花氏の突然の「引退」の謎も、そして角界から身を引いた彼が何をしようとしているのかも、ほの見えてきたというべきであろう。

◆貴乃花告発状の真否を争う裁判に

和解調停が不可能であれば、証拠調べ・証人尋問と公判が開かれることになる。その最大の証拠が、貴乃花氏が内閣府に提出した「告発状」なのである。この告発状は弟子の暴行事件でいったん取り下げられ、さらには大相撲協会の危機管理委員会によって、事実ではないと否定されたものだ。

貴乃花氏が「引退」する契機になった「日馬富士暴行事件の事実関係」の真相が「告発状」にあると言っていいだろう。その真否をめぐって、暴行事件の関係者たちが、偽証のゆるされない法廷で証言をしなければならないのだ。

白鳳をはじめ、現役力士たち、さらには教会関係者の出廷を強いる。これほど効果的な大相撲協会への揺さぶりはないだろう。そして事実関係が白日のもとに晒されれば、貴乃花氏が引退する理由となった危機管理委員会の報告書、すなわち大相撲協会の屋台骨がゆらぐことを意味する。その先にあるものは、大相撲の大改革である。

◆囁かれる政界入り

それにしても、貴乃花氏は角界をみずから引退しているのだ。協会内でほぼ完全に孤立していたとされる貴乃花氏が、いったいどうやって大相撲協会を改革できるというのだろうか。ここで、ある噂がにわかに信憑性を帯びてくるのだ。

そう、一部のマスコミで囁かれている貴乃花氏の政界入りである。すでに一部の報道では、来年の参議院選挙への出馬をと、自民党が声をかけたとされている。もともと「相撲は国体のために」などと口にしてきた貴乃花氏である。

この国体とは国民体育大会ではない。天皇を象徴にいただく国家のあり方という意味である。国の中心に天皇を据える国体思想はすなわち、天皇の元首化を明文化すること。つまり自民党が政治日程に上せようとしている改憲である。

 
元大鳴門親方『八百長 ― 相撲協会一刀両断』(1996年4月鹿砦社)

自民党が貴乃花氏を改憲運動の看板にしようとするのは、火を見るよりも明らかだ。そうやって政治利用されることに、貴乃花氏もある重大な決意で大相撲協会の改革を政治家として行なおうとしているのではないか。

◆高鐵山いらいの告発も?

もともと貴乃花氏は、現役時代にある告発をもとに引退を決意したことがある。それは兄弟対決となった、95年11月場所の「八百長」をめぐって、それをやらせた父への告発を一冊の本にしようとしていたのだ。版元の社長の判断で原稿は日の目を見なかったが、ガチンコが身上の貴乃花氏ならではの決意だったといわれている。

これまでにも、高鐵山の元大鳴戸親方が大相撲協会および北の富士氏を告発した『八百長―相撲協会一刀両断』(元大鳴戸親方、鹿砦社刊)がある。みずからの八百長体験で実態を暴露した元大鳴戸親方は、後援会長とともに不幸にも事件性の高い事故で亡くなっている(一部には謀殺説も)。改革の夢やぶれて大相撲協会から身を引いた形の貴乃花氏だが、外側からの改革に政治家として乗り出す。じつはあの「引退」劇も、計画として戦術だったのだろう。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

2018年芸能界最大の衝撃新刊! 上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』西城秀樹、ジョー山中、舘ひろし、小山ルミ、ゴールデン・ハーフ、吉沢京子……。数多くのスターを見出し、育てた「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」! 
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第4次安倍改造内閣 黒い人脈に絡む〈お友だち内閣〉瀕死モードで新たな船出

 
安倍晋三総裁選特設サイトより

自民党幹部からも「軽量級安売りセール内閣」と揶揄されている第4次安倍改造内閣である。7期・8期組の、いわゆる閣僚登用待ちがその大半であるがゆえに、実力派ではなく派閥の数あわせとなったからの揶揄だ。とはいえ、筆者も直接知っている自転車議連でネトウヨの原田義昭環境相(福岡)や渡辺博道復興相(千葉)など、「地道に下働き(笑)」をしてきた苦労人も多いのは事実で、地味だから「軽量級」などと揶揄するのはいかがなものか。むしろ問題なのは、甘利明元経済再生相を党選挙対策委員長に、下村博文元文部科学相を党憲法改正推進本部長に起用したことだろう。あいかわらずの「お友だち人事」である。

 
衆議院議員甘利明Official Webより

◆黒い人脈のお友だちを党の中枢に

甘利明選挙対策委員長はUR(独立行政法人都市再生機構)への口利き疑惑で建設業者(任挟系右翼)から100万円の現金、下村博文本部長も加計学園から200万円の闇献金疑惑がある。

甘利氏の疑惑は、わずか2年前の2016年のことである。柏市にある建設会社「薩摩興業」が道路建設をめぐって甘利氏に口利きを依頼し、総額1200万円の現金提供や接待を受けたと「週刊文春」が報じたものだ。このうち、大臣室での50万円と地元事務所への50万円が事実として認定されるも、けっきょく不起訴になっている。

「良い人とばかり付き合っていると、選挙に落ちてしまうんです」という名ゼリフを残して大臣を辞任したのは記憶に新しい。ところが、この件の不起訴をもって、甘利氏は「禊ぎは不要」と記者会見では開き直った。そもそも、この薩摩興業なる建設業者の社長が元稲川会系の任挟ヤクザで、右翼団体の代表なのである。この黒い人脈こそ、俎上にのぼせられるべきであろう。

 
衆議院議員下村博文公式WEBより

◆政治資金規制法違反の「博文会」

いっぽうの下村博文氏は、上述した加計学園からの闇献金とは別に、後援会組織の「博文会」に政治資金規正法上の問題がある。この博文会は関係者が学習塾を経営する教育関係者だが、政治家の講演会として、下村氏への事実上の政治献金にあたる会費(懇親会など)を徴収しながら、政治団体登録をしていないのだ。

政治資金規正法は「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」は政治団体となり、届け出をした上で毎年、政治資金収支報告書を提出する必要がある。下村氏の「博文会」がこれに違反するのは誰の目にも明らかであろう。

さらにその支持者のうち、やはり反社会勢力に近いとされる塾関係者が名を連ねていることが、国会で野党から指摘された。「何が問題なのですか?」と逆に質問するなど、厚顔無恥ぶりを披瀝したものである。

 
安倍晋三総裁選特設サイトより

◆女性閣僚がわずか一人

記者会見では「日本の女性活躍はスタートしたばかりなのです」「片山さつき(地方創生)大臣は、女性ふたり分」などと、さすがに糊塗しなければならなかったが、それは自民党の「女性活躍」であって、日本のではないはずだ。

野田聖子元総務相(女性活躍担当)からも、今回の人事における女性軽視はあきれられる始末だった。「女性活躍担当」や「少子化対策」などの役職はなくなってしまい、庶民の子育ての苦労は絶えなくなるようだ。そのじつ、シビリアンコントロールを果たせなかった稲田朋美元防衛相、つまり安倍チルドレンで将来の女性宰相候補を筆頭幹事長に据えるなど、お友だち人事はここでも発揮された。

◆無理がありすぎる改憲

安倍総理が意欲をみせている改憲についても、少しだけ触れておこう。このかん、自民党憲法改正草案を親しい憲法学者と検証したところ、現行憲法の前文を取っ払ったことで、改正草案は明治憲法よりも封建的な内容であるとの指摘をいただいた。ルソーの社会契約説など近代法の理解がないまま、たとえば社内就業規則のようなものになっているというのだ。自民党の草案が近代法ではないとしたら、安倍の9条加憲論は「ただし書き(例外規定)」を設けることで、自衛隊の合憲を担保するものだ。この「ただし書き」が憲法条文そのものを掘り崩してしまうと考えられる。つまり一般法令のように例外規定をもうけて、法律の柔軟な運用を目的とする「ただし書き」は、憲法には馴染まないのだ。この憲法論の一知半解が暴露されるのは、そう遠くないはずだ。


◎[参考動画]安倍改造内閣が発足(ANNnewsCH 2018年10月2日公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

衝撃満載!月刊紙の爆弾10月号
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)