◆1.5. TRU廃棄物と中深度処分

NUMOは、高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体の他にTRU廃棄物も地下施設で保管する、といっています。TRU廃棄物は再処理工程の作業で生じた放射性廃棄物です。NUMOは、TRU廃棄物を長さ約90cm、直径約60cmのドラム缶に詰め込んだTRU放射性廃棄物と、長さ約40cm、直径約130cmの金属製のキャニスタに詰め込んだTRU放射性廃棄物に分けています。そして、概算で1万9000立方メートルのTRU廃棄物を地下施設で保管する、といっています。

NUMOは、ドラム缶に詰め込んだTRU放射性廃棄物は、セメントで固めて地下施設で保管する、キャニスタに詰め込んだTRU放射性廃棄物は、複数本のキャニスタをまとめて「廃棄体パッケージ」という金属製の箱に入れ、セメントで固めた後、ベントナイトで包み、地下施設で保管する、といっています。

NUMOが開示している資料を読んだのですが、どのような基準でTRU廃棄物をドラム缶に詰め込むTRU放射性廃棄物とキャニスタに詰め込むTRU放射性廃棄物に分けるのかが、よくわかりません。たとえば、再処理工場では使用済み核燃料棒を細かくせん断した後、硝酸で溶かしてウランとプルトニウムを分離し、高レベル放射性廃棄物を抽出してガラス固化しますが、その場面で、放射能を帯びた多量の希ガスが生じます。希ガスは、放射能半減期が非常に長いヨウ素129を含んでいます。そこで、銀製フィルタでヨウ素129を取り除きますが、NUMOは、使用済み銀製フィルタの残渣をドラム缶に詰め込むつもりでいるのか、キャニスタに詰め込むつもりでいるのかがわかりません。

(再処理工場では、ヨウ素129を取り除いた後の希ガスを環境に放出します。その場面で、多量のクリプトン85や他の様々な放射性希ガスを環境に放出します。関心のある方は、核燃料サイクル阻止1万人原告団のサイト、澤井正子さんが学習会で使用したプレゼンテーション・ファイル等を参照してください)

核燃料ペレットをジルコニウムの被覆管=鞘に入れ、被覆管の両端を金属製のエンドピース=蓋で閉じたものが核燃料棒です。再処理後、ジルコニウムの被覆管の断片と、金属製のエンドピースが放射能を帯びた残渣として残ります。放射能を帯びたジルコニウムの残渣を「ハル」と呼んでいますが、NUMOは、このハルとエンドピースはキャニスタに詰め込むTRU放射性廃棄物である、といっています。しかし、ハルには放射能を帯びた硝酸等放射性廃液が付着しています。NUMOは、放射性廃液はドラム缶に詰め込むといっていますが、付着した放射性廃液をハルから取り除くことは、おそらくできません。NUMOが、放射性廃液とハルをどう仕分けているのか、よくわかりません。

より大きな問題が別にあります。原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOは、ガラス固化体だけが高レベル放射性廃棄物であるといい、他はすべて低レベル放射性廃棄物である、といっています。彼らの考えにしたがえば、TRU廃棄物も「低レベル放射性廃棄物」になります。

(ちなみに、原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOは、TRU廃棄物の中深度処分も考えているようです。日本原電は、解体した原発=廃炉の制御棒や炉心等金属類を地下70m以深に埋設するつもりでいます。日本原電、および経産省資源エネルギー庁とNUMOは、これを「中深度処分」と呼んでいます。彼らは、中深度処分は、礫層下位の泥岩層に放射性廃棄物を埋設する地層処分なので、地表のピット処分等より安全性が高い、と考えているようです。しかし、地下70mが必ず泥岩層であるとの保障がありません。それについては後述しますが、彼らは、おそらくヨーロッパの地層処分等を参照して、礫層の深度は30~50mである、と決めつけているように思います)

原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOの、ガラス固化体以外はすべて低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎます。放射性廃棄物は、少なくとも高レベル放射性廃棄物と準高レベル放射性廃棄物、低レベル放射性廃棄物と準低レベル放射性廃棄物の、4つのクラスの放射性廃棄物に仕分けるべきです。[表2]は、僕が考える、4つのクラスの放射性廃棄物です。

[表2]

[表2]の右列に、各クラスの放射性廃棄物の例を書きましたが、他にも例を書くことができます。たとえば、使用済み核燃料はクラス3放射性廃棄物です。廃炉の金属類等はクラス2放射性廃棄物で、廃炉の放射性コンクリート等はクラス1放射性廃棄物です。

僕には、この4つのクラス分けが妥当なクラス分けであるか否かはわかりませんが、とはいえ放射性廃棄物のクラス分けは必要です。次節から本論に入りますが、放射能については、この4つのクラスの下で論じたいと思います。

(中間貯蔵についても、意見を少し述べさせてください。僕は、中間貯蔵施設の建設に反対です(大反対です!)。しかし、電力資本は、ドライキャスク=乾キャスクに使用済み核燃料棒を格納して中間貯蔵するつもりでいます。原発に反対する人たちの中にも、乾キャスクを推奨する人がいます。たとえば、原発に反対しておられる某公立大学工学部の某名誉教授は、地震対策上、使用済み核燃料棒は乾キャスクに格納して保管するほうがよい、といっています。しかし、乾キャスクは一次的に中性子線を遮断し、二次的にガンマ線を遮断する仕組みのキャスクです。そのため、乾キャスクで使用する鉛の中に多量の放射性鉛が生じます。鉛205の放射能半減期は1.53x107です。鉛204は、アルファ崩壊型放射性核種で、放射能半減期は1.4x1017です。(107=1000万、1017=10京です。鉛204の放射能半減期は、宇宙の寿命より長そうですね)。従来のキャスク=湿キャスクは、一次的にガンマ線を遮断し、二次的に中性子線を遮断する仕組みでできています。そのため、生成する放射性鉛の量は少ないように思います。使用済み核燃料棒は、湿キャスクに格納し、原発建屋内の燃料プールではなく、原発敷地内に堅牢で大きいなプールをつくり、そこに保管すべきでしょう。その場合、放射性鉛の生成量が減少し、また中間貯蔵施設が不要になります。原発は、停止して石棺化し、発電機でなく、使用済み核燃料棒の冷却装置として再活用すべきです)(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか
〈4〉ガラス固化体以外の廃棄物が低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎる 

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

◆〔1〕実現性のない電力供給計画

第6次エネルギー基本計画(エネ基)は2021年に策定された。内容は2030年に再生可能エネルギー36~38%、原子力20~22%、火力40%(天然ガス20%、石炭19%、水素・アンモニア1%程度)としている。

今から5年余り先の見通しだが、これが実現できる可能性は全くない。

原発が20~22%占めるためには、概ね27~30基程度が稼働していなければならない。その出力は2700万kw程度。しかし現在再稼働しているのは12基、約1100万kw。

新規制基準適合性審査を通過した原発全てが動いたとしてもプラス5基で17基。1700万kw余り、全電力の15%程度に過ぎない。あと5年で再稼働できる原発は他に存在しないから、現段階で、目標値はもはや成り立たない目標であることは明白だ。

第7次エネルギー基本計画(第7次エネ基)では、これがどのような数値になるのか未だ不明だが、原子力の利活用という方針に大転換すると見られるので、2030年ではなく2035年に原発が36~38%占めるという計画になるのだと思われる。

しかし結局これも実現することはない。仮に36基とした場合、新規制基準適合性審査を通過した17基に加えて19基ほど必要になるが、現在審査中のものは7基、合計で2300万kw程度だ。建設中の大間と島根3号が稼働しても26基、2500万kw程度だが、それでも圧倒的に足りない。

加えて再稼働原発は全て60年超の老朽炉になる(*)から、これが進んだとしても新増設をしない限りいつかは脱原発になる。経産省や原子力ムラにとって絶対に避けねばならない事態だ。

*例えば高浜1号は10月16日に50年の「長期管理計画」が規制委により認可されたが、GX法により最大限延長したとしても2050年までには廃炉になる。これは高浜2、3号、美浜3号、川内1号も同じだ。

◆〔2〕経産省は原発依存を「可能な限り低減」させる具体的な計画を策定するべきなのにしなかった

政府は福島第一原発事故の教訓から、2014年の第4次エネ基から現在の第6次エネ基まで原発依存を「可能な限り低減」するとしてきた。

このような表現の下でも原子力は常に推進されてきた。特に核燃料サイクル政策は六ヶ所再処理工場の建設が大幅に遅れ、実現可能性さえ危ぶまれているのに一切見直しの気配すらない。

原発の利用を低減するのならば再処理は最初に中止するべきものだ。

しかし核燃料サイクル事業は中止されなかった。原子力政策は見せかけの「原発依存の低減」のもとで「推進」されてきたのである。

その中でも特徴的なのは一貫して原発を推進してきた経産省だ。責任官庁として「可能な限り低減」させる具体的な計画を策定するべきなのにしなかった。むしろ計画的かつ段階的に原発を復活させ推進してきた。

これに呼応する原子力規制委も、40年の運転期間制限を炉規法で定めていながら、「極めて例外的」(当時の田中俊一委員長)といいつつ20年延長を認める規定のもとで60年運転を既成事実化した。

さらに2023年、脱炭素電源法(GX電源法)で運転期間の規定を規制委所管の原子炉等規制法から経産省所管の電気事業法に移したことで、ついに微かな歯止めさえなくなり、全ての再稼働原発が事実上60年運転許可を得ることになる法律改訂が強行された。

この「GX」が、そもそも欺瞞と詐欺の温床である。GX(グリーン・トランスフォーメーション)という名目の「脱炭素」方針を利用して、発電時に二酸化炭素を出さないという点だけを取り上げて「ゼロエミッション電源」などと原発を規定している。

ゼロエミッションとは「廃棄物を出さない」という意味だが、放射性廃棄物を大量に発生させる原発に使っているということだけで、その意味のすり替えぶりが分かる。

カーボンニュートラルという言葉も飛び交うが、化石燃料を燃やすタイミングを殊更問題視するために使っている用語であり、原発が極めて大きな環境汚染源であることを見えなくさせる言葉遣いだ。

本気で達成するための議論ではなく、原子力推進体制を再構築することを目的に「あらゆる政策を動員する」ために用いられるのが「脱炭素」だ。

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、化石燃料中心の産業や社会構造を、クリーンエネルギー中心の構造に転換していく取り組みのこと。地球温暖化による環境課題を解決し、持続可能な社会を作ることを目的とする、という名目だ。

しかし原子力開発の暗部を知らなかった時代に「無限に安定的に供給でき廃棄物も少ないバラ色のエネルギー」として原子力を想像していた時代ならばいざ知らず、度重なる原発事故と開発による放射能汚染の現実を知った今、「クリーンエネルギー」と言った時点で、完全に破綻した理念である。

原発が二酸化炭素を出さないことなどあり得ない。

核分裂時に出ないことを殊更強調しているだけだ。ライフサイクルにおける原発の排出原単位は極めて大きいと考えられ、キロワット当たり180~288グラムという研究もある。なお国は19~20グラムとしている。

LNG火力は470グラムで、原発との差は2倍程度というのが実相。とりわけ三分の二の原発が止まっている日本の場合、それらは単に二酸化炭素を出すだけの存在になっている。

◆〔3〕徹底した省エネルギーこそが最大の政策だ

「第7次エネ基」において、政府・経産省は、原発の再稼働と新増設を含むGX法の完全反映を目指す。

「エネ基」を議論している資源エネルギー庁の「基本政策分科会」では原発推進意見のオンパレード。その前提としての電力需要増の議論が席巻している。

これに対して実行可能で最も確実な政策は、徹底した省エネ・節電をおこなうことである。

第6次エネ基では年間の電力消費量について2050年では30~50%も増えるのに2030年までは10%以上減るという、呆れるほど矛盾した見通しを出している。

電気自動車、データストレージ(データセンター)、AI(人工知能の活用)など、新たな電力多消費産業の開発により電力消費量は増加するというのが政府の基本的認識のはずだが、2030年の再生可能エネルギー電源比率および原子力発電比率を極めて高く設定するトリックとして、電力消費量の分母を小さくする偽装を用いたためだ。

「第7次エネ基」では、もはや「偽装」ではなく現実問題として2035年および50年の「電力消費量見通し」を引き下げなければ、いわゆる「目標値」を達成できないことになる。

分母を減らすということは消費電力量の大幅な削減、すなわち省エネしか方法はない。

再エネの導入規模も大幅な上方修正が迫られることになる。この場合、大量の再エネを安定供給するため、2つの施策が必須となる。

1つは広域連系の拡大、もう一つは電力貯蔵システムの構築だ。また、将来は再エネの拡大しか道はないことは明らかだ。

再エネはどうしても出力変動を免れない。そのため貯蔵システムの構築以外にも電力のバックアップシステムが必須となる。

まだ火力発電の役割があるとしたら、この点である。

また、バックアップを従来の蓄電池に依存するのは不安定要因がつきまとう。価格の面や供給力にはまだ限界があり、さらにレアメタル資源の偏在、国際情勢に大きく左右されること、今後蓄電池市場が高騰することも考慮しなければならない。

当面は火力発電によるバックアップが不可欠になるのである。

その火力はガス火力発電。

エネルギー効率を85%以上に高め、温排水や二酸化炭素排出を極限まで減少させる技術が必須になる。

廃熱も回収し使い尽くすシステムだ。この技術は世界中で必須になる。

日本が海外に売り込める技術になるだろう。

◎初出:2024年10月18日たんぽぽ舎発行「金曜ビラ」494号

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

◎たんぽぽ舎 https://www.tanpoposya.com/
◎たんぽぽ舎メルマガ:「地震と原発情報」 メルマガ申込み(無料)

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

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『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

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◆1.4. 花崗岩層と泥岩層、礫層

経産省資源エネルギー庁とNUMOが開催した説明会では、説明員がやたら「岩盤、岩盤」といい、最終処分法にしたがい、ガラス固化体を格納したオーバーパック4万体を人工バリアで包み、50年かけて地下300m以深の「岩盤」に埋設する、といいます。NUMOの説明員がいう「岩盤」とは、何のことでしょうか(ちなみに、最終処分法に「岩盤」という言葉は記載されていません)。

地表には、生物の死骸や糞尿等が積み重なってできた土壌があります。土壌の下に礫層があり、地下水が流れています。礫層の下に泥岩層があり、化石水が滞水しています。そして、泥岩層の下に花崗岩層があり、岩盤水が滞水している場合があります。

NUMOが「岩盤」と呼んでいるものは、花崗岩層です。[図5]は、経産省資源エネルギー庁やNUMOが考える、地層のイメージです。NUMOは、岩盤=花崗岩層内に広さ6~10平方㎞の地下施設をつくり、ガラス固化体を格納したオーバーパックを人工バリアで包み、埋設するつもりでいます。

[図5]

NUMOは、岩盤=花崗岩層を「天然バリア」と呼んでいます。天然バリアは花崗岩なので、1万年後に人工バリアが壊れても、埋設したガラス固化体=高レベル放射性廃棄物を10万年保管できるというのがNUMOの考えです。しかし、地下300~400mが必ず花崗岩層であるとの保障がありません。説明は後述しますが、日本の場合、花崗岩層でない場合が多いとさえいえます。

[図6]は、経産省資源エネルギー庁とNUMOが考える、地下施設のイメージです。地下施設の広さは6~10平方㎞です。[図6]では、まっすぐな立坑が地上施設と地下施設をつないでいますが、NUMOは、らせん状の坑道で地上施設と地下施設をつなぐつもりでいます。坑道の長さは200~300㎞になるとのことです。

[図6]

フランスは、ビュール県に地層処分施設を建設しました。フランスの人工バリア(当然、内部にガラス固化体を含んでいます)の重量は10トン未満です。10トン未満の重量物は、大型のクレーンで上げ下げできます。したがって、ビュール県の地層処分施設はまっすぐな立坑で地上施設と地下施設をつないでいます。しかし、日本の人工バリアの重量は17.5トンです。現状、10トン以上の重量物を上げ下げできるクレーンはありません。NUMOが全長200~300㎞のらせん状の坑道で地上施設と地下施設をつなぐことにしたのは、そのような理由によると考えます。

日本の地層処分施設では、ガラス固化体を格納したオーバーパックを人工バリアで包み、その人工バリアを搭載した無人搬送車がらせん状の坑道をゆっくり走り、地上施設から地下施設に下降します。地下施設内では、ロボットのような機械が人工バリアを埋設します。

NUMOは、このような方法で、50年かけてガラス固化体を格納したオーバーパック4万体を地層処分するつもりでいますが、その50年間に、大きな事故が生じた場合どう対処するか、まともな説明しません。たとえば、地下水が地下施設に流入した場合、クラッキング工事で塞ぐといい、岐阜県瑞浪市の地下研究所での漏水で効果を実証した、などといいますが、瑞浪市の地下研究所で漏水した水は地下水ではありません。化石水あるいは岩盤水です。化石水や岩盤水は泥炭層や花崗岩層に帯水している水です。しかし、地下水は礫層の中を流れる水です。つまり、地下水系は地下を流れる「川」です。地下水系の高低差は1000~2000m以上あると考えられ、水流のパワーはかなり強く、クラッキング工事等で浸水を阻止することはできません。

礫層内の地下水系が坑道の壁を突き破り、水が流れ込めば、短時間で地下施設と坑道が満水状態になり、地上施設に水が溢れ出ます。そして、人工バリアで包んだオーバーパックとTRU廃棄物が水没します。ビュール県の地層処分施設でしたら、水没する前に地上に引き上げることができるかもしれませんが、日本の場合、全長200~300㎞のらせん状の坑道で地上施設と地下施設をつないでいるので、引き上げることができません。そして、「大惨事」が勃発しますが、大惨事の説明をする前に、TRU廃棄物と中深度処分を説明させてください。(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

◆自民も立憲も原発容認・推進に向かって雪崩を打った

立憲民主党の代表選(9月23日)、自民党の総裁選(9月27日)から衆院選(10月27日)にかけての「原発に関する主張」からは、両党とも、雪崩を打って原発容認、推進に向かって変節したと言えます。

立憲民主党は綱領で「原発ゼロ」を掲げていますが、4人の代表候補者は、積極的な脱原発の主張を避けました。何れもが「避難計画の不備」などを指摘したものの、当面の原発稼働を容認しています。国民民主党に配慮したためとの報道もあります。

自民党の総裁候補者の内、総裁・首相に選出された石破氏は、8月28日の総裁選出馬時には、「原発をゼロに近付けていく」と表明しながら、首相になってからは、ほぼ岸田政権のエネルギー政策を踏襲して、「原発依存社会」に向かおうとしています。経団連や経済同友会の主張に迎合・屈服しようとしています。人の命や生活の犠牲の上に、電力会社、原発産業、ゼネコンなどの大企業に税金と電力料金を垂れ流すための政策です。河野、小泉両氏は、つい最近まで、原発に関しては慎重派でしたが、総裁選では、これを放棄しました。自らの立場の擁護のために平気で主張を翻すことは、人間として失格です。

◆国民民主党は原発推進の最先鋒

日本維新の会、国民民主党は、元来原発推進です。維新は「次世代原発、とくに核融合発電を推進する」としています。労使協調路線の全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)を支持母体とする国民民主党は「原発の建て替え・新増設により、輸入に頼らない安定的なエネルギーを確保する」とする原発推進の最先鋒です。

このように、立民、自民の変貌、維新、国民民主の原発推進は目に余りますが、彼らがいかに変貌し、何を願望しようとも、選挙の都合、政治的思惑、経済的利益で原発の老朽化を防ぐ技術、安全性を高める技術、使用済み核燃料の処理・処分技術が急に向上することはありません。彼らが原発推進に暴走すればするほど、原発過酷事故の確率は拡大します。許してはなりません。

◆失敗を取り繕うための「原発依存社会」への暴走

そもそも、政府や電力会社の「原発依存社会」への暴走は、脱原発の流れに乗り遅れた失敗を取り繕うためです(その裏には、潜在的な核武装推進への願望も見え隠れします)。

もし、福島原発事故以降の政権や電力会社が事故の教訓を生かして、原発ときっぱり決別し、自然エネルギーに切り替える政策をとっていたなら、今頃、化石燃料発電や、原発に依存することなく、電気を供給し、世界の自然エネルギーへの流れをリードできていたでしょう。彼らは、資本主義経済の視点からも失敗したのです。自らの失敗を反省せず、更なる原発推進へと暴走する政府と電力会社を厳しく糾弾し、自然エネルギーへの政策転換を求めましょう!

ところで、10月27日投開票の衆院選では、自公・石破政権が大幅後退し、立民、国民民主、れいわ新選組などが躍進しました。

衆院選での自公両党の大幅減は悦ばしいことながら、この選挙での大きな争点が「裏金問題」であり、その裏で進められる物価高騰、インフレ、弱者切り捨て、格差拡大、軍拡、原発依存などの政策がほとんど議論の対象にならなかったことに政治の貧困を覚えます。

原発問題でも、大勝した立民が、政権獲得のために、議席を伸ばした国民民主に忖度して、原発政策を「原発容認」に大きくシフトさせる可能性があります。また、「原発(とくに核融合)推進」を掲げる維新は議席を減らしたものの、それでも政権の行方の狭間にあり、自公、立民の何れもが、これに擦り寄ると思われます。

原発推進政党を抱きこむことによって、当面の政権を維持すると予想される石破自民党が、「原発推進」にさらに暴走する可能性は大です。とくに、政権の行方にキャスティングボートを握る国民民主は、自公政権との「部分連合」を通して、原発推進を先導するものと考えられます。

なお、「原発即時廃止、地方分散型再エネ普及」を掲げるれいわは躍進したものの、「原発はすみやかににゼロ」「30年度に石炭火力ゼロ」とした共産党は減少しています。社会の右傾化が危ぶまれます。

今回の衆院選の争点は「金権問題」でしたが、それを「裏金」だけに矮小化させてはなりません。

もっと大きな「金権」は、人々から吸い上げた税金や電力料金を、軍需産業や原発産業(旧財閥、電力会社、ゼネコン、自動車産業など)に垂れ流し、軍備拡大、原発推進に暴走する政府の「権力」です。現政府は、人々の命と生活を守るために使用されるべき税金を大企業に垂れ流す「トンネル機関」といっても過言ではありません。

このような理不尽がまかり通り、閉塞感漂う状態の打開のために、いま最も求められているのは「目に見え、耳に聞こえる市民の行動」の高揚です。

12.8「とめよう!原発依存社会への暴走関電包囲大集会」の大成功を勝ち取り、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会に向かって前進しましょう!

2024年10月31日
木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)

12.8 とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会

とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会
原発やめて自然エネルギーへ
使用済み核燃料ふやすな

日 時:2024年12月8日(日)13:00~ ※集会後、大阪駅前までデモ

場 所:関西電力本店前
〒530-8270 大阪市北区中之島3-6-16
地下鉄「肥後橋駅」徒歩約5分 京阪「渡辺橋駅」徒歩約4分
地図 https://x.gd/DsbEz
内 容
・13:00 集会開始
 原発の風下・米原市の平尾道雄市長がアピール
 集会後大阪駅前までデモ
・16:00すぎ 解散

主 催:老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先:090-1965-7102
チラシ https://x.gd/hHdCY 

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

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※          ※          ※

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 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
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※          ※          ※

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「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
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   甲山事件50年を迎えるにあたり
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 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
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《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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◆〔4〕本審査結果……『この原発が今後適合することはない』の恒久性について
 さらに審査を求める行為を拒否することも審査書に明記すべき

規制委員会はK断層は後期更新世以降の活動が否定できないこと及びK断層は2号炉原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性が否定できないことから、設置許可基準規則第3条第3項に適合しているとは認められないと判断した。

したがって、本申請は、原子炉等規制法第43条の3の8第2項において準用する原子炉等規制法第43条の3の6第1項第4号に適合しているものとは認められないとの結論である。

上記結論に達した以上、『この原発が今後適合することはない』と考えるべきだ。
巨額の投資をしているからとか、新たな知見が見つかったなどとして審査を求めることは、大きな費用を追加投入することになるので厳しく批判されなければならない。

敦賀原発2号機については、この状況においてはさらに審査を求める行為を拒否することも合わせて審査書に明記すべきである。

◆〔5〕経理的基礎の不存在について
 敦賀2号機の再稼働を前提とした維持管理費を電力3社(関西、中部、北陸)から調達できない

原電については、既に東海第二原発の再稼働を巡り「経理的基礎」についての審査が一度行われている。

その中で、原電に経理的基礎がある根拠としているのは原電が建設している(審査段階では建設予定である)のは2014年5月20日付けの原電による申請に対する審査で、安全対策工事のうち防潮堤に関しての資金である1740億円についてのみである。

この安全対策工事にかかる資金を原電が調達できる見込みがあるかどうかを確認しているにすぎない。

これは、それ以外の経営上必要な費用については、東海第二と敦賀2号機の「維持管理費用」として調達できるからであり、これが土台になっていることが前提だった。
 
ところが今回、審査結果として敦賀2号機の運転が不可能となることで、この土台が失われることが確定的になった。

現時点では日本原電は、依然として敦賀2号機の再稼働を前提とした維持管理費を電力3社(関西、中部、北陸)から調達できるかの前提で経理的基礎はあると主張するのだろうが、それは虚飾と言うほかはなく、三電力の株主及び消費者にとっては、無駄な資金提供を原電に続けることとなる。

このような不当な状況を回避するために、再び経理的基礎を有するかの審査が必要だ。

◆〔6〕東海第二原発の欠陥防潮堤
 日本原電の会社としての運営が危機的状況になっている

これに加えて、原電は現在、東海第二の防潮堤工事を進めているところだが、この工事に重大な欠陥があり防潮堤が完成できない状況にある。そのため1740億円をはるかに超える費用がかかることは間違いなく、先の経理的基礎が失われていると考えられる。

敦賀2号機の運転ができない状況となったことから、将来的には東海第二の再稼働どころか、日本原電の会社としての運営が危機的状況になっている。

そのことは東海第二の安全対策工事にも影響を及ぼすこととなるので、規制委は改めて東海第二の安全対策工事や防潮堤工事について、本当に竣工可能なのか、経理的基礎を改めて審査するべきだ。

◆〔7〕日本原電の電気料金収入の問題
 使えない設備の維持のために強制的に費用を負担させるのは不当であり、不正である

経理的基礎の喪失と同時に、原電の収入には大きな問題がある。

2011年度以降2023年度までの電力収入は累計1兆5658億490万円に達している。これは発電など全くしていない2基の原発のために5電力会社が支出した金額だ。

この資金は全て電力会社の電気代つまり消費者から集めた資金である。この資金は、原電の2基の原発を再稼働することでまかなうはずだった。

そのうち敦賀原発2号機の再稼働ができなくなったことについて、原電はいかなる責任を負うのか、規制庁はヒアリングを行い、こうした問題について解明するべきである。

特に、敦賀原発2号機の審査を更に継続しようとする計画であることを原電自らが主張し、さらに電力3社や経団連がそれを支援するなどとしているが、そのために更に巨額の維持管理費用を各電力会社の顧客は負担しなければならない。

原発に拘泥し、使えない設備の維持のために強制的に費用を負担させるのは不当であり、不正であることを規制委は明確にするべきである。(了)

◎山崎久隆 日本原電敦賀原発2号機 新規制基準「不合格」をめぐる7つの問題点
〈前編〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=51517
〈後編〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=51523

◎初出:「月刊たんぽぽニュース」2024年10月号

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

◎たんぽぽ舎 https://www.tanpoposya.com/
◎たんぽぽ舎メルマガ:「地震と原発情報」 メルマガ申込み(無料)

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

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《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

◆1.2. ガラス固化体の発熱量

NUMOは、30~50年冷却したガラス固化体を再処理工場内でオーバーパックに格納し、20~28本のオーバーパックを専用キャスク(専用の容器)に入れて地層処分施設に搬送する、といっています。キャスクの重量は約100トンになりますが、約100トンの重量物を搭載した運搬車は公道を走ることができません。そこで、地層処分施設に近い沿岸に専用港を建設し、専用の運搬船にオーバーパックを入れた専用キャスクを載せ、専用港まで輸送します。そして、専用港から地層処分施設までの間を専用道路でつなぎ、専用の運搬車が地層処分施設まで搬送します。

地層処分施設は、地上施設と地下施設に分かれています。地上施設は、敷地が1~2平方㎞の「工場」です。専用運搬車は、[図3]のように、時速10㎞前後の速度で地上施設に向かいます(専用運搬車の速度は、時速10㎞前後が限度でしょう。約100トンの重量物を搭載しているので、時速20㎞以上の速度を出すと運転手がブレーキを踏んでも止まらないと思います)。

[図3]

専用運搬車が専用キャスクを搬送した後、地上施設内で専用キャスクからオーバーパックを取り出し、緩衝材で包みます。緩衝材は砂状の粘土で、「ベントナイト」と呼んでいます。

ベントナイトは水を吸収すると固まります。NUMOは、ベントナイトをつくる緩衝材を「人工バリア」と呼んでいます。人工バリアは長さ約310cm、直径約220cm、重量約17.5トンの円筒で、NUMOは、人工バリアの耐用年数は1万年であると豪語しています。

[図4]は、ガラス固化体とオーバーパック、人工バリアのイメージです。NUMOは、ガラス固化体の放射能は8000年後に天然ウランと同程度なる、人工バリアの耐用年数は1万年なので、ガラス固化体の地層処分は安全である、といっています。

[図4]

ところで、ストロンチウム90の放射能半減期は約30年で、発熱量は1kgあたり460ワットです(この値は実測値です。セシウム137の崩壊熱はストロンチウム90の約2倍ですが、発熱量の実測値はわかりません)。

NUMOは、製造直後のガラス固化体の発熱量は1体あたり約2300ワットで、30~50年後に350ワット以下になるといっています。しかし、ガラス固化体1体あたりのストロンチウム90の量は、1kgくらいあるかもしれません。その場合、30年後のガラス固化体の発熱量は、ストロンチウム90だけで1体あたり約230ワットになります。つまり、30年後や50年後のガラス固化体の発熱量の約半分が、ストロンチウム90の発熱量になってしまいます。

(セシウム137の崩壊熱はストロンチウム90の約2倍です。30~50年後のガラス固化体の発熱量が1体あたり350ワット以下になるとは考えにくいですね。NUMOは、意図的に、ガラス固化体が含むストロンチウム90とセシウム137の量=推定値を減らしているように思います。余談ですが、プルトニウム238の放射能半減期は約88年で、発熱量の実測値は1kgあたり540ワットです。NUMOは、ガラス固化体はプルトニウム238を含んでいない、含んでいるとしてもわずかであると述べていますが、プルトニウム238を0.1kg含んでいるだけでも、30~50年後のガラス固化体の発熱量は、1体あたり350ワット以下にならないでしょう)

僕は、経産省資源エネルギー庁とNUMOが開催した説明会で、「ベントナイトは、水を吸収すると固まりますが、水を失うと砂に戻りますね。30~50年後のガラス固化体の発熱量が350ワット以下になるとは考えにくいので、ベントナイトは、ガラス固化体の発熱で水分を失うかもしれません。ベントナイトは、1年以内に砂に戻ってしまうのではありませんか。つまり、人工バリアの耐用年数は、推定1万年ではなく、推定1年です」といいました。

NUMOの職員らしき説明員が、血相を変えて、「ガラス固化体は、発熱量が350ワット以下になってからオーバーパックに入れます。人工バリアが1年で壊れることはありません」といいました。

そこで僕は、「ガラス固化体の発熱が無視できるくらい小さいとしても、地温を無視できないですね。経産省資源エネルギー庁とNUMOが考える地温の上限は45℃ですか?」と質問しました。説明員は、「地温の上限は60℃です」と答えました。

◆1.3. 地温問題と黒部川第三発電所

地下の温度=地温は、地下の深さに比例して上昇します。地下100mあたりの地温上昇を地温勾配と呼んでいますが、NUMOは、地温勾配の想定値を15℃にしています(ふつう、地温勾配の想定値は17~18℃ですけど!)。

国会が制定した「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(以後、「最終処分法」と呼びます)」にしたがえば、ガラス固化体は300m以深の地下に埋設しなければなりません。僕が、「地温の上限は45℃ですか?」と質問したのは、地温勾配の想定値が15℃の場合、地下300mの地温が45℃になるからです。説明員が「60℃です」と答えたのは、ガラス固化体を地下300~400mに埋設するつもりでいるからでしょう。

疑問がいくつか浮かびます。まず、ベントナイトは、地温が60℃以下であれば、砂に戻ることはないのか、という疑問です。次に、地下300~400mの地温は、本当に60℃以下なのか、という疑問です。

戦前の日本は、国家総動員法の下で黒部川第三発電所の施工を強行しました。ダムを建設するための資材を運ぶためのトンネルを、山の中腹に掘る必要が生じました。当初、山の中腹の岩盤温は約65℃でしたが、掘削を開始してから約10か月後に100℃を超え、166℃になります。そして、トンネルの掘削で使用するダイナマイトが自然発火します。黒部川第三発電所の施工期間は1936~1940年で、約300名の尊い人命を事故で失いました。

(堀内節子さんが、「黒三ダムと朝鮮人労働者(桂書房)」で、当時の様子を詳しく書いておられます。関心のある方は、堀内さんの著書を一読してください。ちなみに、黒部川流域(富山県東部)の温泉水の水温は98℃以上、黒部峡谷から遠く離れている庄川流域(富山県西部)の温泉水の水温は57℃以上です)

黒部川第三発電所の経験から、地下300~400mであれば地温が60℃以下になるなどということは、断言できません。富山県のような地域では、ガラス固化体を格納したオーバーパックを覆うベントナイトは、乾燥して崩れ、地震や火山が勃発した場面で破損し、高レベル放射性廃棄物が外部に流出するでしょう。

その後NUMOは、地温勾配が2~3℃の地域を探し出して地層処分するなどといいはじめ、説明会で配布する資料(「科学的特性マップ」の説明資料)に、「例えば処分深度が500mの場合の地温勾配の基準は約9℃/100mとなる」などと記載したりします。NUMOのご都合に応じて、地球が地温勾配を約9℃に下げてくれるのでしょうか。僕は論争を試みましたが、「文献調査をすればわかることです」などといわれ、はぐらかされてしまいました。(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
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 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
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※          ※          ※

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《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
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 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

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《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

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 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
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《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
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《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
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《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
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 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
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 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
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《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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原子力規制委員会(規制委)は8月28日の定例会合で、日本原子力発電(原電)敦賀発電所2号機(PWR、116万kW)の新規制基準適合性審査で「安全上重要な施設(原子炉建屋等)は将来活動する可能性のある断層等の露頭がないことを確認した地盤に設置する」との条件に適合しないことから「原子炉設置変更を許可しない」(すなわち再稼働不可)とする「審査書案」を了承し、パブリックコメント(パブコメ)が実施された。

そのパブコメに送った意見をベースに、この審査書案の7つの問題点を指摘する。

◆〔1〕審査書案の位置づけが不明確
 具体的な記述がない、明確化して記載するべき

 まず、この審査書の位置付けである。この審査書は「原子炉等規制法第2項の規定により準用する以下の規定に適合しているかどうかを審査した結果を取りまとめたものである。」とし、「本審査書の構成」では『「2(ローマ数字、以下同じ) 耐震重要施設の地盤の変位(第3条第3項関係)」には、設置許可基準規則のうち設計基準対象施設の地盤に係る耐震重要施設の地盤の変位に係る規定への適合性に関する審査内容を示した。「3 審査結果」には、規制委員会としての結論を示した。』としている。

このような位置付けで審査を行った結果が本書であるとして、この後の審査書の記述は事実上断層による地盤変異が生ずる可能性についての議論だけが記載されている。

原子炉等規制法では、そのほかにも多くの項目があるが、それらについては審査は行われていない。

地盤変異の可能性が否定できなければ、その後の審査は不要であるとの考え、または意味をなさないとの立場であると思われる。

そのことについての判断としては正当であると思うが、そうした具体的な記述がないため、明確化して記載するべきであると考える。

◆〔2〕有識者会合の報告書を無視した原電
 浦底断層の認定、敷地内断層の活動の可能性

この原発については、2012年の炉規法改正による新規制基準の策定以前から多くの指摘がされてきた。

特に浦底断層の認定、敷地内断層の活動の可能性は多くの地震学者や地質科学者が指摘してきたことで、今になって浮上したことではない。

このうち問題となったK断層は後期更新世以降に活動した形跡がない「断層」とはいえないことは、2013年に原子力規制委員会の有識者会合の報告書において「原子炉建屋の直下に活断層が走っている可能性がある」とした時点で明白であった。

日本原電は敦賀2号機の新規制基準適合性審査申請(2015年)を行うべきでなかった。また、規制委員会も、その申請を受理するべきではなかった。

有識者会合の報告を無視して審査の申請書を提出したときから、今日に至るまで行われた審査会合及び現地調査等が、規制委員会が申請書を受理したために行われた。

有識者会合の現地調査等で、事実上今回の審査書に記載された事項は結論が出ていることであり、改めて新知見が明確になって断層活動による地盤の変位の可能性が生じたわけではない。

こうした有識者会合における結論と、今回の9年近くにわたり行われた審査において出された結論とは、何が異なるのか、または異ならないのかも合わせて審査書の中で具体的に言及するべきである。

◆〔3〕規制される活断層の定義は誤り
 国土地理院の定義では260万年以降が正しい

規制委が示す「将来活動する可能性のある断層等」は「後期更新世以降(約12~13万年以降)の活動が否定できない断層等」としているが、これには科学的根拠がない。

敦賀原発2号機に限らず、他の原発についても、以前は1~5万年前以降としていた時期もあったし、現在でも40万年以降とする規定もある。
 
現在、海洋の断層について調査を強化する動きが地震本部などで開始されているが、特に海底下の断層では、トレンチ調査もできない。

国土地理院の定義では260万年以降の第四期における活動が認められれば活断層である。

今回の敦賀原発では、12~13万年の「境界線」前後の何処で動いたのかを細かく議論しようとしている。

しかし本来は原発の耐震安全性を、できうる限り強化するために審査することが重要である。

その観点に立つならば「将来活動する可能性のある断層等」については後期更新世以降よりもさらに遡り、国土地理院が定めている活断層とするべきである。(つづく)

◎初出:「月刊たんぽぽニュース」2024年10月号

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

◎たんぽぽ舎 https://www.tanpoposya.com/
◎たんぽぽ舎メルマガ:「地震と原発情報」 メルマガ申込み(無料)

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

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「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

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《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
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 課題は放置されたまま

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《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
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《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
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《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
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「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

◆1. はじめに

現在、経産省資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構=NUMOが、北海道の寿都町か神恵内村、あるいは両町村で放射性廃棄物、具体的には高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物(核燃料ウランの核分裂から生じた放射性廃棄物等)を地層処分しようとしています。しかし、多くの北海道民、とりわけ漁民や農民のみなさんが反対しています。地震や地質の専門家のみなさん、そして鈴木直道北海道知事も反対しています。

僕も反対です(大反対です!)。本稿で、僕が高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物の地層処分に反対する理由を論じたいと思いますが、本論に入る前に、ガラス固化体を格納するオーバーパックや人工バリアの耐用年数、ガラス固化体の発熱と地温、花崗岩層と泥岩層、礫層のちがい等について説明させてください。

◆1.1. ガラス固化体とオーバーパックの概要

政府や電力資本に巣くう原子力カルト教団の信徒たちにとって、使用済み核燃料再処理の目的は、原発で使用した核燃料ウランから残存ウランとプルトニウムを取り出すことです。そして、核燃料サイクルを具現することです。

彼らにとって、放射性廃棄物は厄介なゴミですが、「毒」ではありません。彼らは、大気や土壌、海洋の放射能汚染や、内部被ばくによる国民の健康被害等を深く考えていません。他方、再処理を上手くやりさえすれば、使用済み核燃料はなくなると考えていて、それが自分たちの仕事であるとさえ考えています。そして、経産省資源エネルギー庁とNUMOは、ガラス固化体とTRU廃棄物を地層処分することが自分たちの仕事であると考えています。

したがって、諸外国では、原発で使用した核燃料ウラン=使用済み核燃料を高レベル放射性廃棄物と呼んでいますが、原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOは、使用済み核燃料再処理で生じた放射性廃棄物の残渣をガラス固化した固体=ガラス固化体だけが「高レベル放射性廃棄物」であると断言しています。[図1]は、原子力カルト教団の信徒たちが描いている、使用済み核燃料再処理のイメージです。

[図1]

(実際の再処理は、こんな簡単なものではありません。実際の再処理は、多量の硝酸を使用する非常に危険な化学処理です。しかも、再処理工場は、稼働すれば一日で原発一年分の放射能を環境に放出するといわれてもいます。詳しくは、核燃料サイクル阻止1万人原告団のサイトや、元原子力資料情報室スタッフの澤井正子さんが学習会で使用したプレゼンテーション・ファイル、宗教者核燃裁判のサイト等をご覧になってください)

原発を稼働すると、原子炉に装填した核燃料ウラン=核燃料棒内に多量の高レベル放射性廃棄物(非常に強い放射線を放出する放射性物質)が生成します。ガラス固化体は、それら高レベル放射性廃棄物を抽出してガラス固化したもので、長さ約130cm、直径約40cm、重量約500kgの円筒です。

ガラス固化体は、使用済み核燃料再処理工場(以後、たんに「再処理工場」と呼びます)で製造します。そして、再処理工場内で30~50年冷却します。再処理工場内で30~50年冷却したガラス固化体は、炭素鋼等で製造したキャニスタ(以後、「オーバーパック」と呼びます)に入れ、地層処分施設に搬送します。

[図2]は、ガラス固化体とオーバーパックのイメージです。オーバーパックは、長さ約170cm、直径約80cm、重量約6トンの円筒です。NUMOは、オーバーパックの耐用年数は約1000年である、と豪語しています。

[図2]

NUMOは、1体のガラス固化体が含む放射性核種の種類と量を開示しています。それによると、50年後の1体のガラス固化体が含むストロンチウム90の量は8.2x1014ベクレルで、重さが1.6x10-1kg、セシウム137の量は1.2x1015ベクレルで、重さが3.9x10-1kgになります。NUMOは、ガラス固化体が含む放射能は1体あたり広島型原爆30発分である、といっています。

[表1]は、NUMOが開示した資料を元にして作成した、30年後と50年後の1体のガラス固化体が含むストロンチウム90とセシウム137の量をまとめた表です。

[表1]

イギリスの再処理工場=ソープ再処理工場(旧ウィンズケール再処理工場)で製造したガラス固化体は、青森県六ケ所村再処理工場で製造するガラス固化体より少し小さいですが、1体が含む放射性核種の量はNUMOが開示したデータの量より多いですね。NUMOが開示した1体のガラス固化体が含む放射性核種の量は、おそらく推定量で、信頼できる値ではありません。僕の試算では、50年後のストロンチウム90とセシウム137の量が、NUMOが開示した量と同じであれば、ガラス固化体が含む放射能は1体あたり広島型原爆20発分くらいになってしまいます。

NUMOは、全国一カ所の地域に4万体のガラス固化体を地層処分するといっていますが、ガラス固化体が含む放射能=放射性核種の量が1体あたり広島型原爆20発分くらいだとすれば、現存する使用済み核燃料分(約2万7000体のガラス固化体に相当する量の使用済み核燃料)を地層処分するだけでも、全国複数カ所の地域でガラス固化体を地層処分する必要が生じます。再処理工場を新設する必要も生じるでしょう。

経産省資源エネルギー庁とNUMOは、東日本と西日本の複数地域に、地層処分施設を建設するつもりでいるのかもしれません。中国電力と関西電力が、山口県上関町で中間貯蔵施設の建設を計画していますが、中間貯蔵施設が建設されれば、NUMOが、地層処分施設の建設もはじめるかもしれません。不具合が多発している六ケ所村再処理工場を管理している日本原燃が、再処理工場を新設する可能性も大いにあると思います。(つづく)

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

◆大地震を目の当たりにしようと、使用済み核燃料の行き場がなかろうと、核燃料サイクルが破綻しようと、「原発依存社会」に向かって暴走する政府と電力会社

本年元日の能登半島地震は、原発は地震に脆く、地震に伴って過酷事故が起これば、避難も屋内退避も困難を極めることを再認識させました。地震は「いつ、どこで、どの規模で発生するか」予知できません。8月8日の日向灘地震以降、南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まったとされています。地震多発の日本に、原発はあってはなりません。

それでも、「原発依存社会」へ暴走する自公政権は、昨年5月末に成立させた原発推進法(「GX束ね法」)の実態化のために、「原発の最大限活用」を目指す第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。既存原発の再稼働、40年超え運転をさらに進め、60年超え運転も拡大し、原発建て替え、新設も俎上に上らせようとしています。

一方、老朽原発依存経営の泥沼にのめりこむ関電は、原子力規制委員会から高浜3、4号機の20年間運転延長の認可を得ました(本年5月)。ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する原発の40年超え運転は初めてです。これで、来年には、関電の稼働可能な原発7基の内の5基が40年超え運転となります。老朽原発では、交換不可能な圧力容器の脆化が進み、点検や交換が難しい配管、送電ケーブルの損傷も進んでいます。

ところで、原発を動かすと使用済み核燃料が発生しますが、発生直後の使用済み核燃料は、膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。そのプールが今、満杯になろうとしています。満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。

ところが、乾式貯蔵には2つの問題があります。一つは、乾式貯蔵に移すことによって出来た燃料プールの空間に、高放射線、高発熱の新しい使用済み核燃料を入れた場合、その燃料プールが崩壊すれば、大惨事に至ることです。

もう一つは、乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場がないことです。関電や政府は、行き場として青森県の核燃料再処理工場の稼働を願望していましたが、8月23日、日本原燃は27回目の目の再処理工場完成延期を発表しました。再処理工場が完成する見通しはありませんから、使用済み核燃料は行き場を失ったことになります。危険極まりなく、行き場もない使用済み核燃料の発生源・原発は全廃しなければなりません。

◆9.23「老朽原発うごかすな! 高浜全国集会-地震も事故もまったなし-」(以下「高浜全国集会」)にご参加、ご支援を頂き、ありがとうございました

 

2024年9月24日付け日刊県民福井、中日新聞

9月23日、高浜町文化会館で開催された「高浜全国集会」(主催:老朽原発うごかすな!実行委員会)には、関西、福井、石川、富山、愛知、岐阜、首都圏、四国など全国から約360人のご参集を頂き、原発現地で「老朽原発うごかすな!」の大きな声を挙げることができました。拍手の多い、活気溢れる集会でした。 

なお、高浜原発北ゲート前での前段行動には、180人のご参加をいただき、断固としたシュプレヒコールと申し入れによって「老朽原発」にしがみ付く関電を糾弾しました。

皆様のご参加、ご助力に心より感謝申し上げます。「高浜全国集会」は、13時より、小浜市議会議員の世戸玉枝さんの司会により開会しました。

主催者挨拶で中嶌哲演さんは、「今や福井県議会の自民党会派の県議すらも、3基の老朽原発の即時停止を関電に要求している。杜撰なロードマップが破綻したにも拘らず、関電は老朽炉を停止するという約束を履行しないから」と指摘し、「来る総選挙で、原発依存・回帰の保守政権を退場させよう」と結びました。

 

2024年9月24日付け福井新聞

次いで、前日の豪雨を押して珠洲市から駆け付けられた志賀原発廃炉訴訟原告団長の北野進さんが「能登半島地震を教訓に原発全廃を!」と題した講演で、かつての原発建設予定地で国内最大級の内陸地殻内地震が発生し、世界にも例を見ない規模で地盤が隆起したことを指摘し、聞く者をして「地震大国日本に原発はあってはならない」こと、「珠洲原発の建設を阻止した運動が大惨事を回避させた」ことを再認識させました。

福井地裁で「原発は地震に耐えられない」として原発を止めた裁判官・樋口英明さんは、原発の本質を、極めて簡潔に、①人が管理し続けないと暴走する、②暴走したときの被害は想像を絶するほど大きい装置であるとし、このような装置は、原発以外にないことを理解することの大切さを強調された。

核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長の中道雅史さんは、青森からビデオメッセージを寄せられ、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設が稼働すれば、原発の再稼働、新設につながるとし、使用済み核燃料の青森への搬入を許さない決意を述べられました。

原子力発電に反対する福井県民会議事務局長の石地優さんは、使用済み核燃料乾式貯蔵の問題点を述べ、乾式貯蔵は、県内永久貯蔵、原発延命につながることを指摘しました。

なお、使用済み核燃料問題について、本集会主催者が、後日、高浜町への申し入れを行うことが提案され、承認されました。続いて、原発再稼働の攻撃に曝されている全国の原発現地より寄せられた3件のビデオメッセージが上映されました。女川原発現地からは、さよなら原発みやぎ実行委員会の多々良哲さんが、東日本大震災で被災した原発の再稼働の無謀を訴え、活発な反対運動を紹介しました。

柏崎刈羽原発現地からは、規制庁・規制委員会を監視する新潟の会の桑原三恵さんが、2007年の中越沖地震で被災し、東日本大地震以降、長期停止していた原発、使用済み核燃料を増やし続ける原発のの再稼働阻止を訴えました。

一方、島根原発現地からは島根原発3号機訴訟の会の芦原康江さんが、12月予定の再稼働絶対阻止を訴えました。

老朽原発うごかすな!実行委員会の橋田秀美さんは、カンパのお願いをし、12年間続けた若狭でのチラシの各戸配布(愛称「アメーバデモ」)の中で感じた若狭の人々の反応の変化を紹介しました、参加者の心に響くものでした。

プラカードアクションに続いて、原発住民運動福井・嶺南センター事務局長の山本雅彦さんが「敦賀原発2号機の廃炉を求める」と題する特別報告を行いました。

ふるさとを守る高浜・おおいの会の宮崎宗真さんは、おおい町では「国防婦人会」張りの団体が、原発推進の立場を教育現場にまで持ち込んでいる現状を紹介しました。

大型バスで駆け付けた名古屋からは、老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の草地妙子さんが、名古屋地裁で2016年から続け、本年7月に結審した「老朽原発の運転認可取り消しを規制委に求める訴訟」に関して「公正な判決を求めよう!」と訴えました。

若狭の原発から30km圏内にある若狭湾沿岸、京都府北部の住民のみなさんを代表して、国内最古の原発の立地・高浜町の東山幸弘さんは、使用済み核燃料搬出に関して昨年10月に関電が示した「ロードマップ」が破綻した今、「原発を止めて、核のゴミを増やすな!」とし、舞鶴市市会議員の小西洋一さんは、「若狭湾の老朽原発の稼働は、8万舞鶴市民の問題。老朽原発全てを廃炉!」を強調しました。京都地方労働組合総評議会議長の梶川憲さんは、「京都は、原発の電気の消費地でもあるが、被害地にもなる。福井、京都、近畿の働く仲間の団結で、原発を全廃しよう!」の決意を述べられました。

次いで、本集会には全国23の団体、個人から連帯メッセージが寄せられたことが、司会から紹介されました(プログラム・メッセージ冊子として配布)。

最後に、集会宣言(後述)が提案され、満場の拍手で採択されました。

力強いシュプレヒコールによって締めくくられた集会の後、参加者は、約1時間の町内デモに出発しました。あたかもフランスデモの様相を呈した町内デモには、多数の町民からのご声援を頂きました。声援の数は、集会を行うごとに増えています。

高浜原発北ゲートに向かうデモと前段集会9.23高浜全国集会高浜町内デモ

高浜全国集会集会、前段行動、町内デモの詳細は、STOP原子力★関電包囲行動のたぬき御膳さんがYouTubeにUP下さっています。是非ご覧ください。
(集会)https://youtu.be/qZN0W_4cASY?si=sMyLfDGia1FQs-bU
(デモ)https://youtu.be/drAgTAeZBos?si=yoimXvaJK0TtH7F3

※          ※          ※

◆2024年9月26日 老朽原発うごかすな!実行委員会
「老朽原発うごかすな!高浜全国集会-地震も事故もまったなし-」集会宣言

福島第一原発事故の現地は、未だに「原子力緊急事態宣言」下にあり、復旧とは程遠い状況にあります。また、本年元日の能登半島地震は、原発は地震に脆く、地震に伴って過酷事故が起これば、避難も屋内退避も困難を極めることを再認識させました。地震は「いつ、どこで、どの規模で発生するか」予知できません。8月8日の日向灘地震以降、南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まったとされています。南海トラフ巨大地震が起これば、連動して、各地の断層が動くとも考えられます。地震多発の日本に、原発はあってはなりません。

なお、原発を推進してきた原子力規制委員会でさえ、去る8月28日、活断層の真上(まうえ)にたつ敦賀原発2号機の再稼働審査で、「不合格」案を了承しています。

それでも、「原発依存社会」へ暴走する自公政権は、昨年5月末に成立させた原発推進法(「GX束ね法」)の実体化のために、「原発・再エネの最大限活用」を進めるとする第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。既存原発の再稼働、40年超え運転をさらに拡大し、60年超え運転、原発建替え、新設も俎上に上らせようとしています。

脱原発に向かう世界の流れへの逆行です。

一方、老朽原発依存経営にのめりこむ関西電力(関電)は、本年5月、原子力規制委員会から高浜3、4号機の40年超え運転の認可を得ました。MOX燃料を使用する原発の40年超え運転は初めてです。これで、来年には、関電の稼働可能な原発7基の内の5基が40年超え運転となります。高浜1、2号機、美浜3号機は、もうすぐ50年超えの超老朽原発です。老朽原発では、交換不可能な圧力容器の脆化が進み、点検や交換が難しい配管、送電ケーブルの損傷も進んでいます。老朽原発運転の暴挙を許してはなりません。

ところで、原発を動かせば、使用済み核燃料が発生しますが、発生直後の使用済み核燃料は、膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。そのプールが、今、満杯になろうとしています。満杯になれば原発を運転できなくなるため、関電や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。

出来た空間に新しい使用済み核燃料を入れた燃料プールが崩壊すれば、大惨事に至ります。

乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場はありません。関電や政府は、使用済み核燃料の搬出先として、青森県の核燃料再処理工場の稼働を願望していますが、日本原燃は、8月23日、27回目の再処理工場の完成延期を発表し、完成の見込みはありません。

関電に、「使用済み核燃料の中間貯蔵地を2023年末までに福井県外に探す。探せなければ老朽原発を停止する」とした2021年の福井県知事との約束の完全履行を求め、老朽原発の即時停止を実行させ、使用済み核燃料の発生源・原発を全廃しましょう!

今、世界は原発縮小、自然エネルギーへ向かっています。自然エネルギーのみを利用すれば、燃料費はほぼゼロですから、コストは原発に比較して圧倒的に安いのは当然で、地球環境の保全にも有効です。また、自然エネルギーは、供給が国際情勢の影響を受け難い自前のエネルギーです。大地震が発生しても過酷事故に至ることもありません。このような視点からも、原発依存の理不尽は明らかです。

本日、高浜町に結集した私たちは、目先の経済的利益のために奔走し、能登半島地震を目の当たりにしても「原発依存社会への暴走」「原発推進経営」を止めようとしない政府や関電を断固として糾弾し、原発全廃の大きなうねりを出現させ、自然エネルギーのみの利用で成り立ち、人が人間らしく生きていける社会の構築に向けて力強く前進することを宣言します。

2024年9月23日
9.23「老朽原発うごかすな!高浜全国集会-地震も事故もまったなし-」参加者一同

※          ※          ※

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

◆海洋環境破壊

洋上風力発電は沖合に風車を建てて海底に送電線を敷く。建設には地元の漁業者らとの調整が欠かせない。ところが秋本氏は、国会で「過度な規制は国益を損ねる」などとして建設のアセスメントについて漁業関係者との相談などの期間短縮を求める質問を繰り返してきた。

これについても「日本風力開発」の塚脇前社長とメールで質問内容を確認しあった疑いがある(2023年9月22日付け毎日新聞)。秋本氏の質問により、環境省は昨年8月、アセス短縮に向かって動き出した(2023年9月10日付け朝日新聞)。

日本の漁協漁業の現状について、生物学者の池田清彦・早稲田大学名誉教授は次のように述べる。

「1986年、日本の漁獲量は約1280万トンで世界一だった。でも、それから33年が経過した2019年の漁獲量は417万トンまで減少して世界10位となっている。(中略)なぜこのようになったかというと(中略)何よりも大きいのは日本周辺の水産資源が激減していることだ」(池田清彦『SDGsの大嘘』宝島新書2020年)

日本の水産資源が激減しているのは、魚介類の乱獲の他に海の卵開発が原因であると考えられる。

窪川かおる・帝京大学客員教授(海洋生物学)は次のように述べる。

「(前略)再生可能エネルギーとして期待される洋上風力発電の送電海底ケーブルの設置も始まっている。海底ケーブルや洋上風力発電のような人工物の敷設は、ごく僅かであっても周辺の海洋環境、時に生物相に影響を及ぼす。そのため、環境への影響評価が事前から事後まで必要となる」(「深刻化する海の環境破壊」2023年7月11日付け京都新聞)

このように日本の漁業の衰退は著しいが、洋上風力発電はそれに拍車をかける。秋本氏が国会で進めてきた洋上風力発電の環境アセス短縮は論外である。そして漁業の振興を考えれば洋上風力発電の立地場所はない。

ところが、この事件により、いわゆる「第2ラウンド」の事業者選定は難航すると思われていたが、昨年12月13日経産省と国交省は秋田県、新潟県、長崎県の3海域で公募していた洋上風力発電の事業者を選定した。いずれも独占企業(伊藤忠商事、三井物産、住友商事など)を中心とする3事業体が選定され、2028年6月から29年8月の運転開始を予定しているという(2023年12月14日付け京都新聞)。

これだけ新公募基準の決定過程に問題点が指摘されながら、早くも事業者を選定したのである。

◆「再エネ発電100%」は可能か

「脱原発」運動の多くはIPCCなどの「人為的CO2温暖化説」やそれによる「気候変動(危機)」(異常気象。自然災害の激化)を認める。そのうえで政府が「脱炭素」のため進める「原発再稼働・新設」には反対して「再エネ発電100%」の実現を目指すとする。

しかし、「人為的CO2温暖化説」や「気候変動説」に対して疑問を呈する科学者は決して少数ではない。科学者が「世界気候宣言」を発表した背景には「人為的CO2温暖化説」や「気候変動説」が政治的に利用されて、非現実的な「脱炭素」政策が推進されていることに対する危機感があると思われる。

「宣言」は「2050年に向けて提案されている有害かつ非現実的なCO2ネットゼロ政策に強く反対します」(前掲近藤HP)と締めくくる。

例えばソーラーパネルや巨大な風車を再エネ発電による電力のみで製造できるのか(現在はソーラーパネルの多くは中国製で石炭火力による電力に頼っている)。また、出力が不安定な太陽光や風力発電は、火力発電によるバックアップなしで運転できるのか。

そして太陽光発電はエネルギー効率が低く、メガ・ソーラーは広大な面積の森林を破壊する。また、陸上風力発電も騒音や低周波音による住民被害を避けるためには、工事用道路建設のためふもとの山林を潰し、山頂を削って、風車を設置することになり、自然破壊が著しい。前述の通り、洋上風力発電は海洋の環境を破壊し、魚の生息を脅かす。

このように「再エネ発電100%」は非現実的かつ有害なのである。本年1月1日に起きた能登半島地震により運転休止中の志賀原発の変圧器などが損傷した。「本地震は地震列島全域の原発の地震安全性に対して、根本的な警告を発した」(石橋克彦『週刊金曜日』2024年1月26日号)のである。停止中の原発は再稼働してはならないし、運転中の原発もただちに停止すべきである。

その後は「再エネ100%」ではなく、火力発電を中心に電力需要を満たすしかない。しかし、化石燃料の使用を極力減らさなければならないことに議論の余地はない。日本では今後急速に人口減少が進むのに、AI(人口知能)やEV(電気自動車)などによる電力需要の急増が見込まれている。AIやEV拡大など電力大量消費社会が問われねばならない。(おわり)

本稿は『季節』2024年夏・秋号(2024年8月5日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。

◎大今 歩 洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて
〈前編〉洋上風力発電そのものへの疑問
〈後編〉AIやEV拡大による電力大量消費社会こそ問われねばならない

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか


◎『季節』創刊10周年特別企画『脱(反)原発のための季節セレクション』(仮)
出版のためのクラウドファンディングご支援のお願い

https://readyfor.jp/projects/kisetu_nonukes

『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

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