2016年5月15日(日)、水道橋のたんぽぽ舎にて〈若狭の原発の特徴と反原発運動〉と題された学習会が催された。講師は〈若狭の原発を考える会〉代表の木原壯林氏。5月10日に琵琶湖一周デモを終えたばかりということで、しっかりと日焼けした姿で登壇した。タイトルの通り、若狭湾に集まる原子力発電所の特徴と、反原発運動の実践について講演されたのだが、ここでは特に前者について再構成を試みる。

〈若狭の原発を考える会〉代表の木原壯林氏

◆若狭の原子力発電所とプルサーマル運転

福井から京都にかけての日本海沿岸は、日本海岸には珍しい大規模なリアス式海岸となっており、若狭湾と呼ばれている。ここには、〈もんじゅ〉を含む14基の原子力発電所が建てられており、人口密集地である大阪に近いことなどから原発事故時の被害が大きくなるだろうと予想されている。

2016年5月現在、14基のうち運転している発電所は無い。しかし定期点検中のものについては再稼働の可能性があり、また、2017年7月と翌2018年7月に敦賀3号機と敦賀4号機がそれぞれ建設される計画があるため、引き続きその危険性や在り方について考える必要がある。

若狭の原発については、高浜3号機と高浜4号機が〈プルサーマル〉運転を行っていたというのも特徴のひとつだ。〈プルサーマル〉とは、原子力発電所で使い終わった燃料のなかに残っているプルトニウムを取り出して新しい燃料(MOX燃料)を作り、再度原発で使用するというものである。だが、国内に既存の原発はウラン燃料を用いることを前提に設計されており、プルトニウムを燃やすことに対する技術的な課題(ヘリウムの放出が多いため燃料棒内の圧力が高くなる、などといったこと)が多く残されているということに注意したい。

◆高浜原発運転差止め裁判

2016年3月9日、大津地方裁判所(山本善彦裁判長)は、高浜原発3、4号機の運転を差止めする仮処分決定をした。若狭の原発が重大事故を起こした場合に深刻な被害を受ける可能性がある滋賀県民の申し立てを全面的に認めたものだ。司法が稼働中の原発の停止を求めたのは世界でも初めてのこと。福島の原発事故の被害が広範囲に及び、現在も解決していないという現実を踏まえた勇気ある画期的な決定だ。

仮処分決定は、速やかに行動しなければ取り返しがつかない事態が生じかねない案件のみに出されるもので、決定されれば即座に効力を発する。したがって、関西電力は10日の午後8時過ぎに稼働中の3号機を停止した。関西電力による、決定取り消しを求める保全異議や、仮処分の効力を一時的に無効とする執行停止の請求が認められない限り、高浜原発3、4号機の運転差止めの法的効力は継続する。

これに対し、福岡高等裁判所宮崎支部(西川知一郎裁判長)は2016年4月6日、川内原発1、2号機の運転差止めを求める仮処分の申し立てを却下した。この決定は、福岡高等裁判所が再稼働ありきの立場で九州電力と原子力規制委員会の主張に沿って審理して導いた不当な結論だと言える。

◆電力会社の立証責任について

電力会社の立証責任について、両裁判所の見解を見てみよう。大津地裁は「新規制基準に合格したから安全だ」とする関西電力に対して「福島の事故後、どう安全を強化したのか」を立証するよう厳しく求めたが、関西電力は、外部電源の詳細、基準地震動設定の根拠などを証明せず、資料の提出も不十分であった。このため大津地裁は「関西電力による立証は不十分である」とした。対する福岡高裁宮崎支部は、「九州電力は、耐震安全性、火山影響について立証を尽くした」とした。

原発裁判のような高度の専門的知識を要する裁判では、一般人が議論の全てに関する資料や根拠を調べ、提出することは困難だ。したがって、1992年の伊方原発裁判において最高裁判所は「原発稼働を進めるにあたって、被告である政府や電力会社の側が、依拠した具体的審査基準や調査審議および判断の過程等の全てを示し、政府や電力会社の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づいて主張、立証する必要がある」としている。また「政府や電力会社が主張、立証を尽くさない場合には、彼らの判断に不合理な点があることが事実上認められたとすべきである」とも述べている。

関西電力や九州電力は、伊方原発裁判において最高裁判所が要求するこのような立証責任を果たしていない。よってこの度の裁判においても、主張、立証を尽くしていない行政庁の判断に不合理な点があることが事実上認められたとすべきである。

◆福島事故への反省と新規制基準について

大津地裁は「福島原発事故の原因を徹底的に究明できたとは言えないので、新規制基準はただちに安全性の根拠とはならない」とし、新規制基準は「公共の安寧の基礎にはならない」と断じた。これに対して福岡高裁宮崎支部は「絶対的な安全性を求めることは社会通念になっていない」として、これまでの原発訴訟と同様に、新規制基準に適合しているかどうかを争点とした。新規制基準については「安全性確保の面で高度の合理性を有する」とした。

原発で重大事故が起これば、時間的、空間的に他の事故とは比較にならない惨事となるので、万一にも事故を起こしてはならない。したがって絶対安全性が求められるが、現代科学技術の水準、人為ミスの可能性、人の事故対応能力の限界などを考え合わせると、絶対安全性を確保することは不可能であるから、原発は全廃すべきである。

福岡高裁宮崎支部は、最新の科学的技術的知見を踏まえていることを安全性の根拠としているが、最新の科学的技術的知見は完璧からは程遠いものであり、それだからこそ想定外の事故が多発するのだということを認識すべきである。

◆立ち返るべき地点──シンプルで飛躍のない原発全廃論

ここまで、木原壯林氏の講義のなかで特に重要と思われる点を照らし出してみた。「原発で重大事故が起これば他の事故とは比較にならない惨事となるので、万一にも事故を起こしてはならない。したがって絶対安全性が求められるが、現在の科学技術では絶対安全性を確保することは不可能である。よって原発は全廃すべきである」というシンプルだが飛躍のない論は、極めて重要かつ実際的なものであり、情緒的に反原発を唱え勝ちな状況にあって、今一度立ち返るべき地点ではないだろうか。

柔らかい口調で、短絡なく合理的に論を展開する木原氏の姿勢に惹かれたものだが、ここではそれを伝えることが難しい。添えた写真からその人柄を感じ取り、ここに示した木原氏の論に人の重みを付け加えていただきたい。

[撮影・文]大宮浩平


◎[参考動画]老朽美浜原発3号機の 再稼働を許さず、原発のない町づくりを進めよう /木原壯林・京都工芸繊維大学名誉教授(2016年6月11日福井県美浜町)

▼大宮浩平(写真家)
1986年東京生まれ。
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2016年3月12日、3・11甲状腺がん家族の会が設立された。設立時の正会員は5家族7人、代表世話人には河合弘之さん(弁護士)と千葉親子さん(元会津坂下町議)が就いた。これまでほとんどタブー視されてきた福島での被曝被害の核心を伝える貴重な設立会見を7回に分けて詳報する。第4回は河合弘之代表世話人による追加談話。

図01=放射線被害の全体と甲状腺がん等疾病被害の概念図

先ほどの図(図01)を、もう一度示します。この大きなマルが放射線被害の全体です。そして、その大半を占めるのが財物補償と精神的慰謝料です。でも、財物損害も精神的慰謝料も元は病気になる、白血病や甲状腺がんになる、ということから発生します。この部分が否定されると、原発の損害、大きな損害、全体があるかないかわからない、いい加減なものになるということになります。

今ここ(病気:甲状腺がん、白血病)が、否定されているのです。それが大問題なのです。ここを絶対否定させてはならない。きちっと社会的にも、政治的にも、立証されていかなくてはならないというのが、私の意見です。

図02=線量と発病率の関係は〈しきい値〉なしの直線モデルが世界的な合意と説明する河合弘之弁護士

もう一つ。これを見てください(図02)。現在、世界的合意は、放射線量と白血病、その他の発病率は閾値(しきいち=いきち)なしということがあります。ここから下は安全という閾値が無いのです。そして、この直線モデルが示すように、線量と発病率は正比例というのが世界的な合意です。IAEAもこのことを認めています。その事実が第一にあります。

そして、ある原発から大量の放射性物質が放出され、その放出範囲に住んでいる人間が甲状腺がんになったら、原則として、その甲状腺がんや白血病は、その原発事故のせいだということで認定すべきで、逆にその子供の甲状腺がんは、別の理由だということをきちんと立証できれば原発事故が原因であるということは適応されない。

つまり、Aという子供が誤ってレントゲン検査において、大量の被曝をしたという医療ミスですとか、道端に転がっていた放射性物質を間違えて掴んでしまい、口に入れてしまったから甲状腺がんになってしまったなど、別の理由をきちんと立証できない限り、今言った3つの条件(放射性物資の大量放出、放出範囲に居住、別の罹患原因証明ができない)に絡む場合、甲状腺がん等の発症は、原発事故による放出された放射性物質に因果関係があると認定すべきであると思います。

そもそも、福島原発から発せられた放射性物質が「子供に付き、甲状腺にくっつき、そこから発癌した」などということを立証することは不可能なことです。その不可能な立証をできていないということを理由に「考えにくい」という言葉を用いて否定するということは、法律的にも間違いです。法律的には、因果関係というのは、被害を訴える側が立証しなくてはなりませんが、本件の場合や公害の場合には、立証責任は転換されるということになっています。まさにさっき言った、3つの条件に絡む場合には転換されていく。例外的な理由を否定する方が、例外的理由を立証しなくてならないという、判断理由の枠組みを変えないと、被害者は全く救済されないのだ、ということを私は強く訴えたいと思います。

 

そして、もう一つ。ここ(甲状腺のある首筋)に、手術の跡が既に残っている。手術跡ができている女の子がいます。もし、交通事故でこういうことが起きれば、女子の容貌に著しい醜状を遺すということで、これに対する後遺症慰謝料を何百万円という、高額な慰謝料を受けることが本来できます。そういう子供たちが何人も発生しているのに、そういう子供たちは一切そういう請求をしていません。そんなことができる環境にないのです。仮にADRをやっても、東京電力は、否定すると思います。「因果関係が考えにくいと、医者が、専門家が、言っていますよ・・・」と。そういうことになる。

しかし、そういうことが、許されて良いのでしょうか。僕は、術後の様子は見ていませんが、テレビや新聞で見ております。こういう風になって、こんな風になっている。そのことだけでも重要なことです。もちろん、そこから、さらに悪化することもあるが、そのことだけでも救われなくてはいけないのに、それも放置されているというのが、今の状態なのだということを、皆さんに知っていただきたいと考えております。以上です。
 
▼白田夏彦[取材・構成]
学生時代に山谷、沖縄などの市民運動を訪問。その後、9・11同時多発テロ事件をきっかけにパレスチナ問題の取材を開始。第二次インティファーダ以降、当地で起こった非暴力直接行動を取材。以降、反戦や脱原発などの市民運動を中心に取材。現在、業界紙記者。

2016年3月12日、3・11甲状腺がん家族の会が設立された。設立時の正会員は5家族7人、代表世話人には河合弘之さん(弁護士)と千葉親子さん(元会津坂下町議)が就いた。これまでほとんどタブー視されてきた福島での被曝被害の核心を伝える貴重な設立会見を7回に分けて詳報する。第3回は内科医で同会世話人の牛山元美さんの談話。

◆福島原発事故以前、小児甲状腺がんは非常に少なかった

会見する牛山元美さん

私は神奈川県内の病院に内科医として勤務しております。福島原発事故当時は、被曝を心配して、当時、小中学生だった二人の子供を九州の親せき宅に避難させました。事故後は、福島県内や関東で健康相談会や保養に参加し、子供を持つ親たちの不安を直に耳にしてきました。また、福島県内の医師不足を知り、2012年11月から福島県内の病院で、月一回の当直支援を始めました。 

福島県の健康調査により、原発事故当時、18歳以下だった子供たちに甲状腺がんが多発していることが明らかになっています。この5年間で、県が把握しているだけでも既に116人が手術を受けています。甲状腺がんは、進行度も遅く命に関わることはない、悪性度も低い癌だといわれていますが、実はそれは中年以降の女性にみられる成人の甲状腺がんについての話です。2011年の福島原発事故以前、小児甲状腺がんは非常に少なく、診療経験のある医師は、日本の甲状腺専門医の中でも非常にまれでした。

◆スクリーニング効果、過剰診断とはそぐわない事実

チェルノブイリ原発事故後に、7000例増えたとされる小児甲状腺がんは、腫瘍が小さくてもリンパ節や肺に転移を引き起こしやすく進行しやすいといわれています。今回、ほとんどの方を手術された福島県立医大の報告を見ると、手術を受けた方の90%以上は、腫瘍の大きさが既に手術適応基準を超えていたり、または小さくても、リンパ節転移や肺転移を引き起こしていたり、甲状腺の外に拡がり進行していたものであったり、すぐに手術することができて良かったという症例でした。

これは、たくさん甲状腺がんが見つかったのは検診のせいだ。スクリーニング効果だ、それは過剰診断だという意見とはそぐわない事実です。では、なぜこれだけの甲状腺がんが福島の子供たちから見つかったのか。未だ全く解明されていません。放射線の影響かどうかも、県の検討委委員会の中ですら意見の相違があり「(原発事故の)影響とは考えにくい」とか、「(原発事故の)影響を否定するものではない」とか、非常にあいまいな表現がされています。

◆相談に応じる医療機関が福島県内にはほとんどない

患者さんやご家族は、今回、診断された甲状腺がんがなぜ起こったのか、とても悩んでおられます。お母さまは、すぐにおっしゃるのですが、「あの頃の食事が悪かったからなのでしょうか?」「放射線汚染を気にせず食べ物を食べさせたから、だから癌なったのでしょうか?」「外で遊ばせたのがいけなかったのか…」高校生の子は、「自転車で通学したからいけなかったのか」、皆さん自分を責めています。また、遺伝的なものなのか。そんな風に本人も、親御さんも、自分がいけなかったのかと、とても悩んでおられます。

実は手術を受けて、その後再発された方も複数おられます。再手術前、治療方法についてセカンドオピニオンを気にする方も当然いらっしゃるわけですが、福島県内では「それは県立医大に行くように」と言われ相談に応じる医療機関もほとんどなく、実現が困難な状態です。より良い医療を受けたいという、患者として、またその親として当然の願いを実現させたいと思います。担当医師とのコミュニケーションもうまく取れていない、それをうまく取れるようにお手伝いもしたいと思っております。

◆福島の健康相談会では放射能という言葉すら口にしにくくなっている

甲状腺がんというものについて、忌憚のない意見の交換や適切な情報の共有をし、出来る限り、その不安を取り除いてあげたい。また、日常生活でも健康に関する疑問に気軽に答え、より安心でき、健康的な生活を楽しめるようサポートをしたいと思っております。

また、叶えばですが、患者さんがご自身の経験を活かせるよう、例えば手術の経験を、また新たに患者さんになった他の方に伝えることができる、そんな手助けもしていきたいと思っております。最近では、福島に健康相談会に行っても放射能という言葉すら口にしずらくなっています。また、福島県内では、放射能という問題は過去の話になっています。

◆問題を解決できるよう力を貸してください

そんな今、臨床医としてやれること、やるべきことがあるのではないかと思っております。私は原発事故当時、ちょうど18歳以下であった子供を関東で育てている母親でもあります。また、病気を抱えている患者さんの日常生活への助言や様々な不安を軽減することが主な任務の一つである内科の臨床医でもあります。その様なことを使命感に持ち甲状腺がん家族会の世話人になりました。  

甲状腺外科医たちが、今回、家族会のアドバイザーになってくれています。甲状腺がんという病気になっても、より良い治療を受け、不安を減らし、安心して幸せに生活できるように医師として力を尽くしたいと思っております。どうぞ、甲状腺がんと診断された福島の子供さんやご家族の方が一人でも多く、この家族会に参加され、つながり、力を合わせ、問題を解決できるよう力を貸してください。以上になります。ありがとうございました。


◎[動画]20160312甲状腺がん患者家族会設立記者会見(UPLAN三輪祐児さん公開)

▼白田夏彦[取材・構成]
学生時代に山谷、沖縄などの市民運動を訪問。その後、9・11同時多発テロ事件をきっかけにパレスチナ問題の取材を開始。第二次インティファーダ以降、当地で起こった非暴力直接行動を取材。以降、反戦や脱原発などの市民運動を中心に取材。現在、業界紙記者。

2016年5月14日土曜日。水道橋に所在する〈たんぽぽ舎〉にて催された講演会「地震列島日本の今・そしてこれからは?」(「地震と原発」連続講座第1回)に参加してきた。地震と原発に関する連続講座の第1回として展開された今回の講演会。ゲストとして招かれたのは、地震学者・地球物理学者・評論家として活躍する島村英紀氏だ。1941年、結核の権威である島村喜久治を父として生まれ、東京大学理学部物理学科を卒業。同大学院地球物理学博士課程修了。北海道大学助教授、北海道大学地震火山研究観測センター長を経て、現在は国立極地研究所所長、武蔵野学院大学特任教授として学問に従事している。

2016年4月14日以降、熊本県や大分県を中心に大きな地震が相次いで発生していることを受け、地震に対する世間の関心はいっそうの高まりをみせている。ここでは、島村英紀氏による2時間の講義の内容をより平易に再構成しようと思う。この知識が皆様の生活の一助となるよう尽力する。

◆海溝型地震と内陸直下型地震
──プレートの動く速さは「爪が伸びるスピードよりも速く、髪の毛のそれよりも遅い」

地震学の泰斗、島村英紀さん

日本で起きる地震には〈海溝型地震〉と〈内陸直下型地震〉の2種類がある。〈海溝型地震〉はプレートとプレートの境で起きるもので、2011年に発生した東日本大震災はこれにあたる。プレートの境というのは海底に存在するため、津波を生むことが多いのも特徴だ。

一方の〈内陸直下型地震〉は、ゆっくりと押し進められてくるプレートによって日本列島が歪んだりねじれたりすることに原因がある。その歪みやねじれが溜まり、岩が我慢できる限界を超えてしまったときに地震が発生する。地震の規模としては一般に〈海溝型地震〉よりも小さいが、人の住む陸地の直下で起きるため、被害が大きくなる。阪神淡路大震災はこちらのタイプであった。

日本列島は、〈ユーラシアプレート〉〈北アメリカプレート〉〈フィリピン海プレート〉〈太平洋プレート〉という4つのプレートが交わる地点であり、その分地震が多発する。プレートが交わる地域は地球上でも限られている。4つものプレートが関係する日本は、それだけでもかなり特異な特徴を有しているといえる。ちなみに、プレートの動く速さは「私たちの爪が伸びるスピードよりも速く、髪の毛のそれよりも遅い」という。

◆中央構造線
──この活断層群が地震を起こし、その被害を実際に“目にした”のは今回がはじめてだった

中央構造線の活断層群が地震を起こし、その被害を実際に“目にした”のは熊本大地震がはじめてだった

今回の熊本地震は典型的な内陸直下型地震だが、もうひとつの特徴がある。それは、日本最長の断層帯である〈中央構造線〉が起こした地震だということだ。〈中央構造線〉は長野県に始まって名古屋の南を通り、紀伊半島を横断し、四国の北部をかすめ、九州、東シナ海へと横断する活断層群で、長さは1000kmを超える。

地質学的な研究から〈中央構造線〉が過去に数百回以上の地震を起こしたことが分かっているが、この活断層群が地震を起こし、その被害を実際に“目にした”のは今回がはじめてだ。日本人がこの列島に住み着いたのは約10000年前、記録を残しているのはせいぜい直近2000年ほどなので、この大断層が地震を繰り返してきた時間の長さに比べて、あまりに短い間でしかないのだ。

◆活断層とはなにか?
──地震が起きてみないと断層を確認できない場合は多い

活断層は一般に枝分かれしていたり、途切れたりしているため、活断層の長さをどのように認定するか、というのは学者によってその方法が異なる。原子力発電所を作る前に“活断層の長さ”を決めてから“その場所で起きる地震の最大震度”を求めているが、“活断層の長さ”は学者による任意性が大きいためこの手法には強い疑問が出されている。

また、活断層はその定義が“地震を起こす断層のうち、地表に見えているもの”であるから、首都圏や大阪、名古屋など、川が土砂を運んできたり、海の近くだったりして堆積層が暑いところでは断層が見えないため、“活断層は存在しない”ということになってしまう。阿蘇山の近くのように厚い火山噴出物をかぶっているところでも、やはり断層は見えない。今回の地震では、事後、初めて活断層が確認された。国内の他所においても、実際に地震が起きてみないと断層を確認することができない場合が多い。

◆地震の連鎖について
──東への連鎖が続けば愛媛県沖、西南への連鎖が広がれば鹿児島へ

熊本での地震によって、その部分の地震エネルギーは解放された。しかし、それは隣の〈地震候補〉との間の留め金が外れたことをも意味するものだ。もし隣の〈地震候補〉が、いまにも地震を起こすだけのエネルギーを蓄えていれば、支えを失って連鎖的に地震が発生する可能性がある。

こうして、熊本に続き阿蘇山の下で、さらに大分でと地震が続いた。東へ連鎖が続けば愛媛県沖の瀬戸内海、西南へ連鎖が広がれば鹿児島に入る。ともに原発が所在する地点だ。この連鎖が連続するかどうかというのは、隣の〈地震候補〉にどのくらいのエネルギーが蓄えられているかによる。しかし、現在の科学ではその量を確認することができない。

◆原子力発電所の安全基準値
──益城町で1580ガル、原発設計基準は最大500~700ガル

益城町で1580ガル、原発設計基準は最大500~700ガル

内陸直下型地震の特徴として、地面の〈加速度〉が大きいことを挙げなければならない。地震が発生した際建物にかかる力は、そのものの重さに〈加速度〉をかけることで算出することができる。加速度が大きいほど、そのものに大きな力がかかり、場合によっては倒壊したり破損したりする。

今回の地震では、益城町で1580ガル(ガルは加速度を表す単位。詳細な説明は割愛する)という加速度を記録した。かつては“980ガルを超える地震動はあり得ない”とされていたが、阪神淡路大震災以後、多くの観測機が設置されたことにより今まで見落とされていた大きな値が記録されるようになった。

各地の原子力発電所は、ここまで大きな加速度を想定していない。いままでの設計基準では、せいぜい500~700ガルを最大として想定しているため、それを超える地震動を受けたときに発電所がどうなるかということは分からない。

※   ※   ※

以上、配布されたレジュメをベースに講義の内容をまとめてみた。生活を支える知識として役立てていただければ幸いだ。論調が個人的情緒に拠ったものであると、趣旨が見失われてしまう。こうした態度を反省させるような島村氏の淡々とした語り口(あまりに淡々としているために聴講者の笑いを誘うこともしばしば)に、非常な説得力を感じたものである。

▼大宮浩平[撮影・文]
1986年東京生まれ。写真家。
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たんぽぽ舎「地震と原発」連続講座第2回目の講師は広瀬隆さん。本日5月26日19時開演です!

スペースたんぽぽ(ダイナミックビル4F)5月末の予定

◎5/26(木)「地震と原発」連続講座(第2回) 広瀬 隆さん 
「熊本大地震と原発…九州電力川内原発大丈夫?」
日時:5月26日(木)18:30開場、19時より21時 会場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F) 
問い合わせ:たんぽぽ舎 TEL 03-3238-9035  参加費:800円

◎5/28(土)槌田ゼミ第18回原発基本講座 槌田 敦さん
「4/25四国電力との公開ヒアリングの報告と今後の方針」
日時:5月28日(土)14時より16時 会場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F) 参加費:800円

◎5/29(日)学習会 浅野健一さん(元共同通信記者)
 「日本でえん罪がなぜ多発するか
日本の司法には正義を実現する構えがない、日本には三権分立がない、裁判官・弁護士・検察官は三位一体」
日時:5月29日(日)14時より16時  会場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F) 参加費:800円
  
  

福島〈反原発〉のローザ・ルクセンブルク、佐藤幸子さん(撮影=大宮浩平)

NNV08号表紙の人は〈脱原発〉大熊町議の木幡ますみさん(撮影=大宮浩平)

『NO NUKES voice』第8号がいよいよ本日25日発売となった。熊本を襲った前例のない長期間にわたる地震の被害は読者の皆さんも心を痛められていることだろう。阪神大震災の時もそうだった。関東、東海地方には大地震の到来が予想されていたが、まさか神戸を中心に壊滅的な大地震が来ると予想できた市民は皆無に近かったし、熊本の人びともそうだろう。気象庁はついに今後の予想について「わかりません」と発言するに至っている。

しかし、不幸ではあるが、もし川内原発が熊本の地震の影響で過酷事故を起こしていたら、被災者の方々の生活はさらに語り尽せない悲劇に覆われていたのではないか。5年前の福島では、防護服を着た人間がマスクもつけない子供達の被曝線量を測っていたおぞましい姿が蘇る。

〈メディアの危機〉の前線で抗い続けるTBS「報道特集」キャスターの金平茂紀さん

◆【特集】分断される福島――権利のための闘争

今号も本誌は福島に足を運び、現地の人びとの声を頂いた。【特集】分断される福島──権利のための闘争では大熊町議会議員に当選された木幡ますみさん。政府のあやふやな説明、官僚の逃げ腰を許さずに最前線で怒りをぶつける姿が印象的な佐藤幸子さん。ご自身国政選挙に出馬することにより被災地の問題を全国に問いかけた木田節子さん。南相馬市の汚染地帯に住みながらも新しい運動の模索を続ける國分富夫さん。どなたからも悲惨な現実と格闘する穏やかながらのっぴきならない、現実に直面する人の凄みが伝わってくる。諦めと忘却を「時間」という武器を用いて待ち受ける政府や東電に対する揺るぎのない闘いの意思は健在だ。

〈学〉の世界で闘い続ける京大「熊取六人衆」の今中哲二さん

◆金平茂紀さん、今中哲二さん、中嶌哲演さん──必読の3大インタビュー

TBSテレビ報道特集でおなじみの金平茂紀さんはテレビ人の中では原発問題に詳しい屈指の人だろう。金平氏が語るテレビ報道の現状はいかなるものか。本誌だけへの告白が注目だ。

今中哲二(元京都大学原子炉実験所・助教)さんからは事故が起きてしまった今日の闘う戦術について原子力の専門家の立場から語って頂いた。

中嶌哲演さんは名刹、明通寺の住職でありながら福井県の反原発運動の先頭で闘い続ける哲学を仏教者の立場から伺った。

いずれも反原発の世界では欠くことの出来ない個性と知性が織りなす3大インタビューは誇張なく全国民必読だ。

◆爆弾対談! 『世に倦む日日』田中宏和さん×松岡利康本誌発行人

そして、『NO NUKES voice』は広範な多様性を認めあう運動や思想を指向する。その結果として現在避けて通れない問題が所謂「反原連」による一方的な断絶宣言から生じた問題である。

反原連の中心人物はその後「反差別」運動へとウイングを広げるが、ここでもやはり「排除の論理」を横行させ数々の問題を引き越こしている。昨年あたかも何か新しい学生の運動のように登場した「シールズ」は彼らがお膳立てした学生のタレント部隊に過ぎないこと、そして彼らの主張が実は「憲法9条2項」改憲であることは重大な問題であるにもかかわらず、これまでのところ主要メディアでは一切報じられていない。

その問題性を人気ブログ『世に倦む日日』を主宰する田中宏和さんと本誌発行人の松岡利康とが激論! 文字通り内容は「爆弾対談」となった。反原連―しばき隊―シールズに通底する暗部を余すところなく暴き出す。

「しばき隊は黒百人組!」と喝破した松岡利康本誌発行人

顔出しOKで爆弾対談に臨んでくれた「世に倦む日日」主宰の田中宏和さん

「爆弾対談」に加えて松岡論考「再び反原連への異議申し立て!―人の思いや好意には真摯に答えよ!異論を排除しない自由な運動への願い」。この題名はやや無いものねだりの感もぬぐえないが、果たして松岡氏の意図は如何に。

◆執念のおっかけ直撃取材は〈シニア右翼の女神〉櫻井よしこ氏!

そして、暫く鳴りを潜めていた「鹿砦社名物」直撃取材、今回は「あの」櫻井よしこ氏を自宅前で取材に成功!しかも櫻井氏は質問にも答え始めたため予想外の展開となった。逮捕一歩手前で敢行された取材班の成果にもご注目を!

執念で実現した〈シニア右翼の女神〉櫻井よしこ氏の自宅前直撃取材!

岩波新書『原発プロパガンダ』が話題の本間龍さんによる連載報告も衝撃的!

その他全国からの運動報告も満載だが、すべてを紹介することが出来ない。少なくとも前号『NO NUKES voice』7号発刊後からこの間、高浜原発再稼働時の事故による緊急停止、大津地裁における運転差し止めの仮処分決定。再度の言及になるが、熊本を中心とする例のない長期間に及ぶ大地震、そして5月17日には関東地方でも震度5弱の地震と、文字通り日本列島は激震常態が続いている。

地震の制御が出来ない以上、人災を最小限に食い止める=原発全機即廃炉しか日本列島住民に未来はないことを私たちは何度でも訴える。抗うことなしに花など咲きはしない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。
    
   
   

2016年3月12日、3・11甲状腺がん家族の会が設立された。設立時の正会員は5家族7人、これまでほとんどタブー視されてきた福島での被曝被害の核心を伝える貴重な設立会見を7回に分けて詳報する。今回は千葉親子(ちかこ)さんの会見談話。

◆被曝者になってしまったという切ない思い

代表世話人の千葉親子さん(元・会津坂下町議会議員)

東日本大震災と、それに伴う原発過酷事故が起きてから昨日で5年になりました。この間、国内外の多くの方々に励ましをいただいたことに感謝申し上げます。今、私たちは福島県の現状に向き合いながら、悩み、苦しみ、励ましあいながら、傷つきながらも頑張っています。

時間の経過とともに諸課題も多岐にわたり、個人の力ではどうにもならないことがたくさん聞こえてきます。甲状腺がん問題もその一つです。小さなお子さんからお年寄りまで二百万人の県民が、原発事故により放射能の降り注ぐ下で生活をしていた事実は、けして忘れてはならないことと思います。

事故後、甲状腺検査が始まりました。甲状腺がんの発見が相次ぎました。原発事故が起きるまでは、甲状腺がんという言葉などはあまり耳にしない病気でした。一巡目の先行調査から二巡目と検査が進む中、甲状腺がんと宣告されたご家族の方々の悩みや苦しみに私たちは出会いました。過酷な原発事故や放射能のことなど交錯する情報の中で、保養の手立ても無く過ごす中、子供のことを思い、親御さんたちは、「あの時、外出させなければよかった」「あの時、避難しておけばよかったのではないか」「無用な被曝をさせたのではないか」とご自分のことを責め続けておられます。3・11以降、甲状腺検査を受け、被曝者になってしまったという切ない思いを抱えながら誰にも相談できない状態に置かれているのです。

◆今、起きていることの事実に触れ、悲しい怒りがこみ上げた

福島県健康調査検討委員会では「放射能の影響とは考えにくい」と説明を繰り返すばかりです。専門家の間でさえも、原発に由来する・由来しないと意見が分かれました。そんな曖昧な中、がんと診断された方も、被曝をした多くの県民も不安を抱えた5年となりました。

私たちは昨年、ご家族の方々と集いました。その日の私は初めての出会いでとても緊張していました。きっと、ご家族の方たちも家族同士が出会えることの期待と、どんな集まりなのか、どんな人が来ているのか、と不安があったろうと思います。

懇談が始まってからは、話す家族も、聞く私たちも涙でした。今まで色々な所で聞いていた不条理な出来事が目の前で話すご家族の方に、今、起きていることの事実。そのことに触れ、私も悲しい怒りがこみ上げました。ご家族同士の意見交換では、医師への不信感や診療の制約、情報不足が話題になりました。「病気の症状がこれからどうなっていくのだろう」「毎日のとまどいを誰には話したらいいのだろう」「誰に相談したらいいのだろう」という生の声を聞き、ご家族の孤独感を知りました。

懇談が始まる前の緊張していた雰囲気も、お茶会のころには、皆で持ち寄ったお茶菓子を分け合って、とても和やかな雰囲気になり「来てよかった」「同じ思いで話すことができた」と明るいお顔になられたように感じました。

◆同じ悩みや痛みを抱えている方同士が話し合うことで癒される

子供たちは、原発事故の後、理不尽な形で甲状腺がんと診断され、心に傷がつき、手術で体にも傷を残すことになってしまいました。私たちは、日頃から情報交換や情報提供が出来て、気軽に話し合い、支え合えあうことのできる関係と気軽に相談できる場所が必要だと思いました。同じ悩みや痛みを抱えている方同士が話し合うことが、どれだけ癒されるのか、どんな力にも勝ることだと思いました。

一人で悩まないで下さい。多くの患者の家族の皆さんと手をつなぎ、語り合う場所を持ちましょう。情報を共有し、課題を共有しながらそこから希望を掴みましょう。患者家族の皆さまには、気軽にお声をかけていただきたいと思います。そして、周りには安心して集えるようどうか温かく見守って頂きたいと思います。わたしたちも、そのお手伝いをさせて頂きたいと思っております。このような会が身近な所で色々と広まり、家族の方が安心して話しのできるような場所ができることを望みながら私の挨拶とさせていただきます。


◎[動画]20160312甲状腺がん患者家族会設立記者会見(UPLAN三輪祐児さん公開)

▼白田夏彦[取材・構成]
学生時代に山谷、沖縄などの市民運動を訪問。その後、9・11同時多発テロ事件をきっかけにパレスチナ問題の取材を開始。第二次インティファーダ以降、当地で起こった非暴力直接行動を取材。以降、反戦や脱原発などの市民運動を中心に取材。現在、業界紙記者。

『NO NUKES voice』08号【特集】分断される福島──権利のための闘争


鹿砦社の総反撃がいよいよ開始される。熊本の大地震を目の当たりにしながら、川内原発の運転を停止しない、原発マフィアどもに、反原発運動の仮面を被りながら、その実、警察権力と手を携え、ひたすら「排除の論理」で唯我独尊に陥った「反原連」へ、そして、「反原連」を出自とする、リンチ事件が専ら噂のしばき隊、その子分で「9条改憲」を持論とする「シールズ」の諸君へ!

◆25日(水)、『NO NUKES voice』第8号発売開始!

第一段は今週25日(水)発売の『NO NUKES voice』第8号である。第一線で闘ってきたジャーナリスト、研究者、市民運動家にご登場頂き、各持ち場での持論を展開して頂く。三者三様の立場から我々が学ぶべきものに限りがないことを、改めて認識させられる。

また、福島に寄り添う気持ちを忘れないためにも、今号も現地福島に取材班が足を運んだ。過酷な現実と向き合いながらも、将来を切り開こうとする揺るぎない意思をご紹介する。決して楽観論のみでは語れない福島の現実を私たちは直視してゆこうと考える。

田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

◆27日(金)、「世に倦む日日」田中宏和さんの『SEALDsの真実』発売開始!

そして27日の金曜日(場所によってはそれよりも早く)には「世に倦む日日」主宰、田中宏和さんによる『SEALDsの真実』がいよいよ書店に並ぶ。アマゾンで告知した直後、一時は人気第一位を記録した注目の問題作だ。

奥田愛基がすぐにTwitterで鹿砦社に対して侮蔑的な書き込みをしたことからも明らかなように、本書の出版については「シールズ」に関わった人々がかなりナーバスになっているようだ。しかし、心配は不要である。本書は「シールズ」に対して正面からの問題提起を行うものであり、彼らの庇護者である「しばき隊」が常套手段として用いる、恫喝、罵声浴びせ、身分明かしなどといった卑怯な手法は、当然の事ながら一切用いられてはいない。あくまでも社会科学的に「シールズ現象」とその背景についての考察が加えられた、学術書に過ぎない。しかしながら、であるからこそ、実は彼らにとっては痛撃となる可能性は低くないだろう。ツイッターの140文字空間にだけ、生息場所を持っている窮屈な言論に慣れ切った御仁には少々難解であるかもしれないが、それこそ「勉強」の為に、是非とも「シールズ」のメンバーには一読をお勧めするし、反論があれば是非有益な議論を交わしたいものである。

しばらく、大人しくしている間に、随分と座視できない〈事件〉が立て続けに起こっているようだ。その中に〈犯罪〉まで含まれているというから事は穏やかではない。

◆雑誌と書籍の使命は闊達な言論を喚起することだ!

『NO NUKES voice』8号は(毎号そうではあるが)編集部が総力を挙げ、やや危険と思われる水域にも敢えて足を踏み込んでいる。そのくらいの危険を冒すことなしに闊達な言論を喚起することはできないであろうし、雑誌を提供する者の最低限の義務だと私たちは考える。原則はゆるぎない。原発全機即廃炉を目指し、読者諸氏からの叱咤を期待する。

『NO NUKES voice』は決して不偏中立ではない。科学と人道に立脚しながら、非人間的存在である「原発」とそれが包含する「差別構造」を常に視野に入れながら敵を撃つ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

2016年3月12日、3・11甲状腺がん家族の会が設立された。設立時の正会員は5家族7人、代表世話人には河合弘之さん(弁護士)と千葉親子さん(元会津坂下町議)が就いた。これまでほとんどタブー視されてきた福島での被曝被害の核心を伝える貴重な設立会見を7回に分けて詳報する。

冒頭、設立趣意書が読み上げられる

◆司会者からのことわり

家族のお二方は、福島県からの中継での参加になります。お二方は、マスコミの前に出るのは、未だセンシティブで難しい状況になります。スカイプで、顔を隠しての会見になることをご了承ください。代表世話人3人のあいさつ後、甲状腺がんのお子さんを持つご家族二人のお話、質疑応答という流れになります。時間は1時間ほどと考えております。どうぞ、よろしくお願いいたします。

◆代表世話人、河合弘之弁護士による「甲状腺がん家族の会」設立主旨談話

右から代表世話人の千葉親子氏(元・会津坂下町議会議員)、河合弘之氏(弁護士)、世話人の牛山元美氏(医師)

代表を務めております弁護士の河合でございます。本日、甲状腺がん家族の会を設立致しました。名称は「3・11甲状腺がん家族の会」といいます。目的は、社会的に孤立している甲状腺がん患者家族同士の親睦を高めるとともに、患者の治療および、生活の質を高めることができるように情報交換を行い、関係機関に働きかけることであります。現在の正会員はご家族7人であります。中通り在住が4家族、浜通り在住が1家族。男の子の家族が3家族、女の子の家族2家族であります。

それから、代表世話人は私、千葉親子(元会津坂下町議)、副代表世話人が武本泰(医療学校教師)、飛田晋秀(写真家)、世話人が牛山元美(医師)でございます。また、甲状腺専門アドバイザーとしても、医師の方に何人かお願いしてあります。

設立趣意書の読み上げ。※参考(当会HP)http://311kazoku.jimdo.com/

◆現行の訴訟では被曝被害の損害がスポッと抜けている

会設立の概要としては以上になりますが、代表世話人としての私の考えを少しご説明したいと思います。3・11以降、本当にひどい、規模の大きな深刻な被害が出ている訳ですが、ADR(裁判外紛争解決手続)で問題にされ、訴訟で問題とされているのは、全部、財物損害と慰謝料だけです。放射能被曝の被害、損害の核心はその放射線から発生した病気であります。健康被害などという、甘い表現で私は申しません。放射線による病気、そして、とりわけ小児甲状腺がん、それから小児にも青年・大人にも発症する白血病、これが被害の核心であるというふうに考えます。

放射能被曝被害の考え方が図で示される

日本で今、大変なADRと訴訟の争いが発生しています。訴訟は、一万人もの人が起こしています。でも、それは全部、財物損害と慰謝料だけなのです。ちょっと図で書きますと、この様に膨大な賠償の請求がきているわけです。まず、財物の損害。それから、精神的な苦痛とか恐怖に対する慰謝料。で、それだけが問題にされていて、こうした白血病になった人や甲状腺がんになったという、病気になった・身体に損害を被ったということがスポッと抜けているのです。

◆「考えにくい」は「考えられない」と同義

メディアの人は感じてほしいのですが「変だな?!」と「一番肝心の損害や救済の追及が欠けているな」と。それが皆、何のせいかというと、原発と因果関係があると「考えられない」、「考えにくい」ということで押さえこまれている、否定されているから。「考えにくい」というのは「考えられない」というのと社会的には同義語です。

そして、この財物損害は、要するに放射能のある所にいると、健康被害を被るから、病気になるから、怖いから(自宅など、すなわち放射線計測区域から)出るわけです。子供が病気になる、怖いから出るわけですよね。だから財物損害の原因も、その放射能によって病気になる怖れなわけです。精神的苦痛も、放射能で病気になるのではないかと思うからです。だから、膨大に発生し、追及されている損害の中核部分が、スポッと台風の目のように空白になっているのです。

◆ジグソーパズルの一番の中核部分

これが、(原発事故と放射線被害の)因果関係が、あるのかどうかわからないということになると、財物損害とか精神的慰謝料とか、全部、根拠が無くなるのです。気のせいだとか、大丈夫だよ、ということになると、全部根拠がなくなる。全てここから発生しているから、財物損害や慰謝料が発生する。ここを無くしてしまおうというのが、今のやりかただろうと私は考えています。ここが、スポッと抜けたままだとどうなるのか?まるでジグソーパズルの一番の中核部分がスポッと抜けたままになっているのですが、文字通り、底抜けになるのです。

つまり、放射能の被害はよくわからない、気のせいだよ、因果関係が考えにくい。そうなると、じゃあ、財物損害も発生しないということになりかねません。それから、慰謝料というのも気のせいだよと、家が放射能で住めなくなる…それも本当にそれで病気が発生するかどうかわからないから、はっきりとしないということになると、放射能は怖くない。放射能が怖くなければ、原発は怖くない、だから原発を再稼働しよう、原発をどんどんやろうと、こういう論理になっていくのです。

◆一番肝心な部分の戦い

だから、この事実をきちん明らかにして、そして因果関係があるのだということをはっきりさせていくことが、全ての面、被害者救済にも重要だし、原発を無くしていくことにも重要なんだ、ということが私の考えです。ここが、まさに天下分け目の戦いというか、一番肝心な部分の戦いにこれからなっていきます。今までは、この問題が、なぜスポッと抜けていたかというと、患者の皆さんが完全に分断されています。お互い、顔見知りでもありません。だから、団結も生まれていません。お互い名前もろくに知りません。完全に分断されているだけでなく、この治療の過程において、現代医療において当然認められるべき、インフォームド・コンセントとセカンド・オピニオンが完全に否定された状態です。

「なぜ、私がこんなことになったのでしょうか?」と患者さんが医師に聞いた時、「あなたは、こうこう、こういう訳で、結果こうなったのだよ」という「だから、こういう治療が必要で、こうで、こうやって手術するんだよ」と、さらに、それでも不安が出てくれば、さらに説明を受けるという形でやっていくというのが普通の医療じゃないですか。それが(医師が)「あなたは癌です。切りましょう。」―(それに対し、患者が)「原発事故が原因でしょうか?」と聞くと、(医師により)「違う!」と、そういう風に言われてしまう。

そこには、問答無用の恩恵的な、家父長的な治療があっても、インフィームド・コンセントがないんです。そして、不安だからセカンド・オピニオンを求めようとしても、そんな事をして、ばれようものなら大変なことになる、というような恐怖感を持っているから、セカンド・オピニオンを求められない。

また、セカンド・オピニオンが、本来出せる人たちも、今の体制の中では、福島県立医大とか福島県とかに遠慮して、余計なことを言うと後で面倒なことになるからということで、(例えば、福島県外の病院でセカンド・オピニオンを求めた場合)「私は福島県から来ました。がんと言われています。本当でしょうか?」と聞こうにも、福島県の方だと分かると「県立医大に行ってください」ということになる。セカンド・オピニオンも求められない。こうやって分断され、完全に抑え込まれている。

◆押さえきれない気持ち

そして、僕たちも、さっき申し上げたように、ここが原発の放射能被害の中核ですから、何度かアプローチをしようとしました。しかし、一切アプローチできなかった。たとえば、福島県庁や県立医大の方にお聞きしようと思っても「とんでもない、個人情報ですから、そんな事は教えられません。」となる。

分断と、個人情報保護ということの二つの壁により、私たちは166人という数が分かっても、どこの誰というのは分からなかった。私としては、これがこのまま放置されていたら、本当にこれは憂慮すべき事態だ、と思っていたところに「もうこれは、我慢できない!」とカミング・アウトする人たちが出てきた。これは、押さえきれない気持ちから出たのだと思いますよ。そして、私の所に相談があったので、私が最終的に代表世話人を引き受けることになった。それまでは、千葉さん、牛山さん御二方が大変尽力されたわけですが、私の問題意識としては、以上、お話しした通りです。

全ては何から始まるのかと言うと、患者さんがお互いに住所氏名を知り合い、どういう状態にあるのかということを情報交換することから始まる。そこからスタートするというのが、今日の会の設立主旨であります。


◎[動画]20160312甲状腺がん患者家族会設立記者会見(UPLAN三輪祐児さん公開)

▼白田夏彦[取材・構成]
学生時代に山谷、沖縄などの市民運動を訪問。その後、9・11同時多発テロ事件をきっかけにパレスチナ問題の取材を開始。第二次インティファーダ以降、当地で起こった非暴力直接行動を取材。以降、反戦や脱原発などの市民運動を中心に取材。現在、業界紙記者。

愛国者として名高い三橋貴明氏(経世論研究所所長・中小企業診断士)が書き下ろした「原発ゼロの真実」(TAC出版)は、冒頭から終わりまで突っ込みどころは満載だ。僕は第五章「原発と核燃料サイクル」の「小泉元総理のあきれた主張」に注目した。三橋はこう書く。

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三橋貴明『原発ゼロの真実』(TAC出版2014年7月)

 筆者は本書を執筆するに際し、「できるだけ、現場を訪れ、取材したうえで本を書く」と決意していた。そこで、実際に日本各地の「電力サービスの現場」を訪れ、各施設を自分の目で見たのである。だからこそ、日本のサービスについて、ろくな知識もないくせに、「原発ゼロ!」などと無責任に言ってのける政治家たちを軽蔑する。その代表が、2014年2月の東京都知事選挙において、引退していた陶芸家の元首相(細川護煕氏)を担ぎ上げ、「脱原発一本!」と例の調子で東京都の権力を奪おうとした小泉純一郎元総理大臣だ。小泉元総理は、「原発ゼロ」を謳い、我が国のエネルギー行政を混乱に陥れた挙げ句、2月9日投開票の東京都都知事選挙のために、細川元首相を引っ張り出した。小泉元総理の一連の発言は、以下の通りである。
「即時原発ゼロにすべき」
「(原発を)再稼働すると言っても核のゴミの最終処分場が見つからない。原発の運転の再開はせず、直に原発ゼロの決断をすべきだ」
「これから日本において、核のゴミ(使用済み核燃料のこと)の最終処分場のめどをつけられると思うほうが、楽観的で無責任すぎる」
「政治で一番大事なことは方針を示すこと。原発ゼロの方針を政治家が打ち出せば、知恵のある人が必ずいい案を作ってくれる」
「総理が決断すれば、原発ゼロ反対論者は黙ってしまう。原発ゼロに反対なのは自民党だけ」
 ひと言だけ、感想を述べよう。無責任きわまりない。使用済み核燃料の再処理や地層処分の技術は、ほぼ確立している。あとは、地層学的にもっとも適した地点を検討し、政治が決断すれば済む話なのである。
 ついでに書いておくと、たとえ時の総理大臣が原発ゼロを決断したとしても、筆者は黙らない。なぜならば、原発を再稼働しないことで、我が国のエネルギー安全保障が極端に弱体化し、貿易赤字が拡大し、我が国の国民が働いて稼ぎ出した所得が奪われ、経済成長が抑制され、エネルギー関連の投資も減少せざるを得ないためだ。
 脱原発を主張することは、それは個人の価値観である以上、構わないと思うが、それにしても「脱原発のプロセス」について、高レベル放射性廃棄物の処理を含めて提案しなければ卑怯というものだ。(三橋貴明『原発ゼロの真実』TAC出版)

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いいか、三橋よ! まずは脱原発のプロセスは、現在の政府に要求せよ。もはや「単なる老人」と化した小泉元首相が、過去を反省し、現在の政府に「脱原発」を突きつけていることは、過去を猛省している証左であり、これはこれで「是」ではないか。原発を推進するロジックを過去の人に求めるのはフェアではない。

まあ、こうした「原発推進猪突猛進文化人」に冷静な議論をせよというほうが無理というものかもしれないが。

(渋谷三七十)

1986年4月26日から30年目を迎える。あの事故は近隣住民以外の世界の人々の頭の中では「歴史」になってしまっているのではないだろうか。旧ソ連、現在のウクライナで発生した「チェルノブイリ原発事故」である。

◆「原発=核発電」は狂信的な国家意思の象徴

Fukushima2016

記憶の中では「歴史」となっても、事故地では今日にいたるも放射能漏れを防ぐ作業が継続している。事故後原子炉を封じ込める為に作られた「石棺」と呼ばれる構造物が内部からの強力な放射線によりボロボロに劣化し各所にひびが入り危険な状態となったので、ウクライナ政府は巨大な「第二石棺」を建設中だ。

思い起こせば爆発したチェルノブイリ原発4号機は「運転中」ではなかった。しかも福島の様に地震や津波と言った自然災害が原因でもなかった。運転停止中に外部電源喪失に対応する非常時用発電系の実験を行っている際に、原子炉出力管理のコントロールミスから事故が発生したと言われている。つまり「人災」であったわけだ。

Fukushima2016

つい最近、事故後に現地を取材したジャーナリストは「事故直後ソ連の政府は何をやったと思いますか。なんと兵士にソ連の国旗を持って原子炉の上に行かせ立てさせたというのです」と俄かには信じがたいエピソードを教えてくれた。それほどどの国にあろうと原発=核発電は狂信的な国家意思の象徴であることの現れであろう。

◆1975年の戦後日本を思い出してみる

30年経過すれば、たいがいの事は「歴史」になる。本当はその事件や事故が終わらずに不可視な形で継続していても体に痛みを伴う直接被害者や、事故により生活全体を破壊された人びと以外は容易に「現実」を「歴史」と見まがう。

Fukushima2016

私は1975年を思い出している。言うまでもなく敗戦後30年目の年だ。戦地に赴いた元兵士や銃後を支えた明治生まれ、大正生まれの人びとがまだ多く生きていた。皇国史観で教育を受けながらいきなり「民主教育」への転換を経験した人々が丁度子供を産み育てている頃だった。「戦争」が話題になることは私の周りでも、珍しいことではなかった。でも「戦争反対」を語る人も「戦時中の苦労」を語る人、または懐古的に「日本軍の雄姿」を語る人、いずれもそれは「思い出物語」としてであって「今は違う」が無言の枕詞になっていたように思う。

◆「ソビエト」の消滅──原発事故は国を亡ぼす

チェルノブイリ原発事故は、2016年の日本から回想すれば2つの事を示唆したいたのだと今更ながらに思う。

Fukushima2016

1つは「原発事故を一度起こせば人間の力では対応が出来ないことだ。そのことは、事故後30年経過するも「第二石棺桶」建設を余儀なくされているウクライナの姿が事実をもって示している。あの巨大なドーム状の構造物さえ、また何十年かすれば劣化を余儀なくされ、「第三石棺」、「第四石棺」の建設が行われることになるだろう。

そしてもう1つの重大な示唆は「原発事故は国を亡ぼす」ことだ。これは文字通り「国が無くなる」、「国が崩壊」することを意味する。1986年4月「ウクライナ共和国」は「ソビエト社会主義共和国連邦」を構成するひとつの「共和国」と称されていたが実態は「ソビエト」の中の一地域である。

Fukushima2016

「ソビエト」は当時、米国と世界を二分する東陣営の巨大な指導国であり、モスクワやクレムリンが陰に陽に世界に発する力は絶大であった。「東西冷戦構造」は西側のNATOと東側のワルシャワ条約国機構が特に欧州では隣接し合いながら、「核戦争」の危機を抱え、日々緊張の壁を境につばぜり合いを続けていた。

その価値判断は横に置くとして、時代は「東西」という相いれない二極が不思議な均衡を保ちながら世界を支配していたのだ。ところが「東側」の親玉「ソビエト」は崩壊してしまった。1991年、チェルノブイリ原発事故から5年後のことだ。この事実を福島第一原発事故発生から5年後の今日、私たちは極めて重大に受け止める必要があるのではないか。

Fukushima2016

「ソビエト」崩壊の序章を、ミハエル・ゴルバチョフが大統領に就任後打ち出した「ペレストロイカ」・「グラスノスチ」などの「開放・改革路線」、「新思考外交」との見立てるのはおそらく間違いではあるまい。

しかし「東側世界連鎖崩壊ドミノパズル」には「チェルノブイリ原発事故」のピースを欠くことは出来ない。ゴルバチョフは確かにホーネッカー率いる東ドイツの崩壊(=東西ドイツの統合)へ内々に「許諾」を与え「ソビエト」以外の国への支配を急激に弱めていったが、「そうせざるを得なかった」事情のひとつが「チェルノブイリ原発事故」だったのではないかと指摘する専門家は少なくないし、私も同意する。

歴史の「教示」や「示唆」は事後になれば解読がいともたやすいが、同時間にあって正確な解析は困難を極める。そして歴史はそれ自体が教訓化されることを望んでもいる。

◆フクシマ以後──この国を待ち受けているもの

私(たち)は今どこへ向かっているのだろうか。世界を二分する勢力の頭目、政治力と軍事力、総合的な影響力と「何があっても壊れることはないだろう」と思われていた巨大国家「ソビエト」を消滅せしめた一因のチェルノブイリ原発事故。

そして4機の原発爆発を起こした、福島第一原発事故を当時「ソビエト」の領土の約60分の1で受け止めている日本はどうなるのだろうか。ゴルバチョフはチェルノブイリを隠蔽しようと画策したが無駄だった。民主党から自民党へと続く日本の政権は「事故収束宣言」(野田)「アンダーコントロール」(安倍)と平然といいのける。4年後には東京でオリンピックを開くという。日本には当時「ソビエト」が従えていたような経済ブロックも実質上の従属国もない。日本はひたすら米国に隷属するのみだ。

歴史を「ソビエト」の先例にあてはめてみよう。日本を待ち受けているのは「さらなる繁栄」や「より幸せな生活」だろうか。「祝賀に沸く東京オリンピック」は現実のものとなり得るのか。残念ながら私にはそのイメージを描くことが出来ない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『紙の爆弾』5月号!タブーなきスキャンダルマガジン!

抗うことなしに「花」など咲きはしない『NO NUKES voice』Vol.7

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