10・19M君リンチ事件高裁判決、賠償金アップも苦い勝訴! しかし判決内容の稚拙さに上告決定! 鹿砦社特別取材班

10月19日14時から大阪高裁でM君が李信恵ら5名を訴えた控訴審の判決言い渡しが行われた。判決の詳細などはここではスペースがないので、閉廷後、大阪弁護士会館で行われた「M君控訴審判決報告集会」の様子をご報告する。

大川伸郎弁護士

◆どうしてこんな判決になったのか?

冒頭に大川伸郎弁護士から判決について以下の通り解説があった。

「判決の主文では金良平さんに対する賠償額は113万7,640円に上がっていますが、一審で認められていた伊藤大介さんに対する請求は棄却されています。残りの李信恵さん、松本英一さんに対する請求も棄却。李普鉉さんに対する1万円は維持されました。どうしてこんな判決になったのか。判決文を見たところ、事実認定において1審の事実認定を引用したに等しい。全くわれわれの控訴理由書でつぶさに書いた点を検討した形跡が見られない。驚いています。
 伊藤さんの『話が終わっていないのなら、店の外に行った方がいいんじゃない』李さんの『殺されるんやったら店の中におったら』といった発言を『暴行を容認する言葉を用いている点で適切さを欠くとはいえるものの、金の暴行を客観的に容認し、社会的相当を逸脱するものであったとはいえない』という判断です。
 実は、事前にこういう判決があるのではないか、と恐れていました。裁判官からすれば、金良平以外の請求を棄却する方が、判決文を書きやすいからです。明確にそうです。
 伊藤大介だけ責任を認め、李信恵の責任を問わない(1審判決)方が理論的整合性を保ちにくいんです。危惧はしていましたがまさかそういう判決が出るとは驚いています。結論から言えば高裁も平凡な裁判のレベルで、都合よく事実関係を切り取り、それに法律を当てはめたに過ぎない。
 本来民事裁判は各種事情、法廷での発言だけではなく、様々な事情、場所、時刻、暴行が続いていた時間、どういう形態であったか、しつこさ、人間など、われわれはコミュニケーションをとって社会生活を営んでいますから、そういったものを総合して初めて判断を下すわけです。そこがすっぽり抜けています。
 控訴理由書でもそこを主張しましたが、高裁は触れず紋切り型で表層通りの判決です。がっかりであり驚きでありいろいろな思いがあります。こちらの問題提起には全く答えていません。納得がとてもいかない判決です」

法廷画家・桜真澄さんによる判決言い渡しの様子。ほんの数分で終わったので1枚しか描けませんでした。(桜さんご自身の承諾を得て掲載しています)
裁判とその周辺への感想を述べるM君

◆M君の総括

続いてM君が発言した。

「きょうはお越しいただいた皆様にまずはお礼を申し上げます。ここまで来れましたのは、何よりも支援者の皆様あってのことですので支援者の皆様にもお礼を申し上げます。残念な判決となりましたが、総括を述べさせていただきます。まず彼らの『歴史修正・歴史の捏造』を許すものではなかったということです。今回の事件を司法に問う、社会に問うことができました。30年後、50年後『しばき隊』などと呼ばれている連中が、2010年代の反差別運動だと書かれることはなくなりました。これは大きな成果ではないかと思います。
 そして裁判とその周辺への感想ですが、2つのものが、みずからその信用を損ねたのではないかと思います。それは報道機関と裁判所です。報道機関についてはどういう訳か彼らに対しての忖度が働いているとしか思えない、奇怪な行動をされていることは皆さんご存知だと思います。裁判所は大川先生のお話にもありましたが、虚心坦懐に当事者の話を聞こうとしない。かつて戒能通孝という偉い先生がいました。50歳を過ぎてから弁護士になり、裁判闘争を重ねる中で晩年このような言葉を残しています。『実は日本において、裁判所こそが司法制度の破壊者なのではないか』と。その一端を自分の裁判闘争を通じて垣間見たような気がします。戒能先生は『戒能は間違っていた、とのちの世の人に証明してほしい』とも述べておられます。それに対する道のりはいまだ遠いと感じます。
 おそらくこれで神原さんや伊藤さん李信恵さんは祝杯を挙げるのではないかと思います。しかし、裁判所がどういう経緯でこの判断に至ったのかわかりませんが、どれほど報道機関や裁判所が彼らに対し甘い態度をとっても、彼らがあのような横暴を繰り返す限りにおいて、歴史的評価・社会的評価は変わるものではない、と考えます。きょうで裁判は一区切りで今後の対応は支援会と相談しますが、ここまでのご支援に深く感謝いたします。ありがとうございました」

◆「〈ファシズムの出先機関〉としての裁判所が、今や弱者の味方ではなく、〈人権の砦〉でもないことを顕著に示した判決です」(松岡利康=鹿砦社社長)

続いて鹿砦社松岡社長が支援者代表として感想を述べた。当日の松岡の発言はここでは割愛するが、現在、彼の考えは松岡のフェイスブック(https://www.facebook.com/toshiyasu.matsuoka.7)で表明されているので下記の通り転載する。

松岡利康=鹿砦社社長の2018年10月20日付けFacebookより
松岡利康=鹿砦社社長の2018年10月20日付けFacebookより
松岡利康=鹿砦社社長の2018年10月20日付けFacebookより

ふだん穏健で鷹揚としている松岡も相当怒っている。裁判所に、李信恵らカウンター/しばき隊の連中に、そして彼らを支える神原、上瀧弁護士らに。松岡は「江戸の敵(かたき)を長崎で討つ」と言っている。つまりM君の悔しさを、これからは鹿砦社が主な舞台となる裁判闘争や言論活動で晴らすということだろう。どんな〈爆弾〉を落とすことやら。

◆胸を打たれた凛七星さんの発言

その後参加者からの質問発言に移った。何人もの人が様々意見を述べたが、この日最も印象的であったのは凛七星さんの発言だった。

涙ながらに語る凛七星さん

「私としてはこの事件のもとになった『カウンター』という運動を起こした一人として、大変忸怩たる思いです。このようなことが起こる原因であったのは私ですし、それを止められなかったのも私の責任だと思っています。
 今回の結果に残念な思いです。いっときの勢いはなくなったとはいえコアなメンバーは残っていて、それを続けているので何も知らない人の中に影響を受ける人が出てくると思います。私はM君の事件をきっかけとして、現勢力中心の野間だとか李信恵だとかに、できればトドメをさせるような結果になってほしかったのですが、そうならなかったのは非常に残念です。
 また彼らの言葉に踊らされて、被害にあう人が出てくる。エル金なんて言うのは狂言回しのようなもので、本丸に手が届かなかったのはすごく残念です。今後何もないことを願っていますが、たぶんまた起こすでしょう。なんていうんでしょうかね……(涙)
 その思いはM君や大川先生が強く思っておられることだと思うのでここまでにしておきます。私たちはちょっと心が痛い思いでいます」

凛七星さんの発言には胸を打たれた。

◆負けた部分はひた隠しにし、「勝った、勝った」と狂喜する者たちよ

さて、それまでの発言にもあったが、取材班も裁判所に対しての期待値は極めて低く、この日の判決は「控訴棄却」ではないかと予想していた。実はM君が李信恵を検察審査会に申し立てた審査結果が数日前にM君へ届いていた。「不起訴相当」だ。検察審査会は本当に審査を行ったのか、そのこと自体が疑わしい。

開廷後、稲葉重子裁判長の口から「双方の控訴を棄却する」の言葉ではなく、賠償金額の増額と伊藤大介への請求を棄却する主文が読み上げられた。賠償金額の増額は喜ぶべきことであるが、あの最低レベルの一審の合議体ですらが認定せざるを得なかった、伊藤大介の幇助までを認めない判決は、大川弁護士が述べた通り「裁判官にとって書きやすい」判決文であったからだろう。

多くの支援者の方々から心あるカンパを賜り皆様に支えていただいた裁判の高裁判決が、「事実認定」をもとにしたものではなく「裁判官が書きやすい」ことを中心に構成されていたら、原告はたまったものではない。しかも、40頁を超える精緻な「控訴理由書」を原告側は提出したが、その中で指摘した問題には一切言及されていない。山のようにある一審判決の問題に向かい合うのであれば、審理ナシの即日結審自体が国民をなめ切っている。裁判所は自分を何様だと思っているのだ! 諸君のほとんどは最高裁の指示ばかりを気にしている「ヒラメ裁判官」であり、法曹人ではなく給与所得者に成り下がっているではないか!? われわれは「M君リンチ事件」の取材を続ける中で、マスコミの途方もない姿に直面し、一部知識人・大学教員の恐るべき知的劣化を知った。そしてしばき隊・在特会の本質も理解した。

その正体は、これらの人々はいずれもファシズムを形作るピースに過ぎないことである。裁判所も電力会社も自公政権は言うに及ばず、エセ野党も、マスコミも、自称リベラル・左翼の知識人のほとんど、そしてしばき隊・カウンター・在特会をはじめとした右翼団体、あるいは過度のSNS依存者はすべて、この時代の権力により直接・間接に役割分担をになわされた、あるいは無自覚なファシズムへの貢献者なのである。

その証左は「M君リンチ事件」でついぞ後追い報道がなく、数名の著名学者やジャーナリストが賛同の声を上げてくださったものの、見事に社会が「黙殺」を決め込もうとしたことである。われわれは個別事件として「M君リンチ事件」追おう中で、奇しくも時代の本質に突き当たったのだ。

ファシズムは鹿砦社にとって敵である。またファシストにとって鹿砦社は目障りに違いない。しばき隊関係の係争は続く。裁判所が「ファシズムの出先機関」であるとわかっていても、現行法下民事訴訟は裁判所に持ち込むほかないのだから。

報告集会後支援会メンバーが協議し、上告を決定した。大きな期待は持てないかもしれないが、1%の可能性がある限り最後まで闘い抜くことをM君はじめ全員一致で決定した。ファシズムに彩られた裁判所の中での判断だけで、われわれは一喜一憂しない。時代の基軸がそこにあろうがなかろうが、われわれは自らが信じる価値観に照らし、ことの真偽、正邪を判断する。取材班はM君控訴審判決を機に、この時代の底流がファシズムであることを確認し、それに対すべく闘いを構築することを宣言する。「反差別」に名を借りたファシストへの「最後のトドメ」はわれわれが刺す! それは決して法廷内だけではない。

なお、18日の判決で伊藤大介が反訴原告として控訴していた訴えは棄却された。つまりM君が目標としていた勝利ラインには届かなかったが、賠償金の増額も踏まえ考えるならば、原告M君は一審以上に勝訴したのであり、被告側にとっては勝訴では決してないことを付言しておく。負けた部分はひた隠しにし、「勝った、勝った」と狂喜する者たちよ、「弾は、まだ残っとるぞ」と警告しておく。

(鹿砦社特別取材班)

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カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは?「やや日刊カルト新聞」藤倉善郎総裁に聞く!〈3〉

「やや日刊カルト新聞」の「総裁」にして、業界ではカルト問題取材では、超有名人である藤倉善郎さんにお話を伺った。直接的にはオウム真理教関連集会での香山リカ氏による、取材妨害が話題になったことがきっかけであったが、「カルト」や「表現の自由」についての最新の情報をお伝えいただけた。カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは? 前回に続き第3回を公開する(全4回)。

 
『カウンターと暴力の病理』グラビアより

◆リンチで一線を超えた

── カルト性の濃淡で言えば(しばき隊は)かなり濃いところに位置しているということですね。

藤倉 外向けだけであれば、僕はそこまでは言わなかったんです。たとえばレイシストの側だってかなり攻撃的な奴ら、粗暴な奴らだったりするわけですね。そいつらとのやりあいの中で過激化していくのは、たとえば幸福の科学が過激な取材妨害をすれば、こっちだってオラオラってなるわけで、そこは差っ引いて見なきゃいけないとは思っていました。
 でもリンチまで行ってしまうと一線を超えましたよね。あれが起こったことで、濃淡のかなり濃い方に入ったんじゃないかと思います。左翼の組織にもみられますが、組織防衛上のカルト性はどうにも治らないんですよ。
 それ以外の部分ではカルト的ではない団体であっても。組織を守らなければいけない時にどこまでやっていいのか。組織を守るためだって、「ここは改めなきゃダメだろう」という判断だってできるようには基本的にはならない。言っても多分わからない、「そんなことをしたら運動が出来なくなる」と本人の中で正当化してしまうわけですから。

◆「ヘイトスピーチ規制」と称して、表現規制を強いる人たち

 
2018年9月15日付け「やや日刊カルト新聞」より

── 関係者に取材すると「どうして運動に分断を持ち込むことに興味を持つんだ?」、「なぜレイシストが喜ぶようなことを取材するんだ?」と複数のジャーナリストや知識人から異口同音に言われました。

藤倉 でも、そこをちゃんとしないと運動が欺瞞になってしまうんですよね。とくに人権に関する運動ならなおのことですね。自分たちが人権を侵害する側に回る場面は、1回たりともあってはいけないと思います。間違ってやっちゃうのは仕方ないけれども、やってしまった時にははちゃんと筋を通すことをやっていかないと。単に人権を口実にして右翼を叩きたいんでしょという話になってしまう。そう言われたときに、なんの反論もできないですよね。
 僕が今怖いのはヘイトスピーチ規制と称して、表現規制を有田芳生議員などがやらせようとしているんです。有田議員は欧州に倣った基準を日本で作れと主張しています。でも欧州はナチスのトラウマがあるので、完全に表現の自由とか思想の自由を無視してナチっぽいものには自由や人権を与えません。歴史修正的な発言をするとその発言自体が犯罪になります。SNSについても「ヘイトスピーチ」だと通報があれば24時間以内に削除しないと、SNSの運営会社が巨額な罰金を払わないといけない。24時間でとなると「藤倉による批判はヘイトスピーチだ」と通報したら、24時間でどちらが正しいかなど判断できるはずはないので、批判言論を潰したい側のやりたい放題になることは分かりきっていることです。
 それをやられるとヘイトスピーチの巻き添えが大量に発生するんです。そういう規制をやれと有田議員は主張していますが、大きな動きになってくるとまずいと思います。有田議員はやしばき隊の人たちも気が付いていないのは、あのような法律で規制されるのはレイシストだけだと思い込んでいるんですね。実際にはそんなことはない。
 東京都の迷惑防止条例が改正されてだいぶ厳しくなりました。一般市民のデモも規制できるような条文になってしまったので、非常にまずいんです。これは左翼の人たちが怒りました。ネトウヨたちが「ザマーみろ」と言いましたが、右翼のデモも左翼のデモもいくらでも規制できるわけです。結局規制される法律は「どちらも規制される」ということをわかっていない。従来の左翼運動などには、そういう部分の見定めをやっていた積み重ねがあったと思います。理論武装的な話です。でも新興の運動ではそういう基盤のない人達が上の方にのっかってきているのがよくないと思います。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

── 旧来の左翼は国家権力に警戒心を持っていた。間違いもたくさんあったでしょうが、それを前提に色々考えていたと思います。しばき隊をリベラル・左翼と呼ぶ人がいますが、それは違うんじゃないかと思います。ごく基本的なことですが先ほどのお話であったように「人権を守る運動が人権を蹂躙したら存在意義がなくなる」とか「権力は必ず不都合なことは、それ自身ではなく別のところから弾圧をはじめる」のはいわば歴史的事実がありますね。

藤倉 その中でも迷惑防止条例やヘイトスピーチ関連の法律は、かなり直接的な内容だと思います。特定秘密保護法でフリーのジャーナリストがモノを書けなくなる状態はないんです。得られるべき情報が得られなくはなりますが。自分が考えていることが表現できなくなるわけではない。ヘイトスピーチ関連の規制は、誰かが「ヘイトスピーチだ」と言えば、消されてしまうんですよね。神奈川県の条例も「ヘイトスピーチ団体認定」を受けたらもう集会もさせてもらえない。昔の共産党とかだったら、大騒ぎして反対していた管理社会・警察国家への歩みを着々と歩んでるだけだと思います。

 
藤倉善郎(ふじくら・よしろう)さん/1974年、東京生まれ。北海道大学在学中に北海道大学新聞会で自己啓発セミナー問題についてのルポを連載。中退後、2004年からフリーライター。日刊ゲンダイなどで記者活動を行なう傍ら、自己啓発セミナー、宗教、スピリチュアルの問題、チベット問題、原発事故等も取材。2009年ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(所属記者9名)を創刊し、現在同紙の「被告人兼総裁」。2012年に週刊新潮で幸福の科学学園の実態に関するルポを執筆し1億円の損害賠償を求めて提訴されるも完全勝訴。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社)

◆「民-民」の表現規制への危機感

── 東京五輪に目が向いている間に規制立法、規制条例を矢継ぎ早に進めようとしているのでしょうか。

藤倉 しばき隊との絡みで怖いのが、いわゆるしばき隊と呼ばれる陣営に立つ人たちは、直接人種差別をしていない人に対しても、自分たちが批判されると「お前レイシストだ」と決めつけがちな点です。差別の中には人種差別だけではなく宗教による差別もありますから、宗教についての批判が差別だとされると、有害なものにつての批判が出来なくなる。実際僕を訴えてきた裁判の中で、幸福の科学が「藤倉が書いた記事はヘイトスピーチだ」と主張した裁判がありました。ただその時点ではヘイトスピーチ規制法もなかったので、裁判所も相手にせず判決文にですら無視されていましたが、実際に幸福の科学がヘイトスピーチという主張を裁判所でやったというケースが既に出ていること。
 それから有田議員の主張するネット規制は、警察が直接摘発するのではない、というとこが怖いんです。SNSに関しては、民間業者を萎縮させることでヘイトスピーチを無くそうとする仕組みなのです。そうしたら「クレームが来たら取り敢えず消しとけ」という社会になります。かつて表現の自由は、官憲との間の話だったのですが、「民-民」の表現規制の構図が既に作られているんです。たぶんそこが分かっていない人たちが、表現の自由の重視する人の中にもいるんですよ。しばき隊にネットリンチされると表現の自由の危機を感じるけれども、民間の業者がルールと称してやっている変なことへの危機感がない人がいます。繰り返し口に出していかないと、いざとなった時、みんな理解できないのではないかと思います。(つづく)

(鹿砦社特別取材班)

◎カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは?「やや日刊カルト新聞」藤倉善郎総裁に聞く!(全4回)
〈1〉2018年10月11日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27899
〈2〉2018年10月16日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27942
〈3〉2018年10月18日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27952
〈4〉近日公開

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カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは?「やや日刊カルト新聞」藤倉善郎総裁に聞く!〈2〉

「やや日刊カルト新聞」の「総裁」にして、業界ではカルト問題取材では、超有名人である藤倉善郎さんにお話を伺った。直接的にはオウム真理教関連集会での香山リカ氏による、取材妨害が話題になったことがきっかけであったが、「カルト」や「表現の自由」についての最新の情報をお伝えいただけた。カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは? 前回に続き第2回を公開する(全4回)。

 
藤倉善郎(ふじくら・よしろう)さん/1974年、東京生まれ。北海道大学在学中に北海道大学新聞会で自己啓発セミナー問題についてのルポを連載。中退後、2004年からフリーライター。日刊ゲンダイなどで記者活動を行なう傍ら、自己啓発セミナー、宗教、スピリチュアルの問題、チベット問題、原発事故等も取材。2009年ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(所属記者9名)を創刊し、現在同紙の「被告人兼総裁」。2012年に週刊新潮で幸福の科学学園の実態に関するルポを執筆し1億円の損害賠償を求めて提訴されるも完全勝訴。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社)

◆「暴走した自警団」

── 「しばき隊」と呼ばれる一群の人たちがいます。彼らは出家をしているわけでもなく、教義があるわけでもありません。主としてネット上や街頭で群れています。かつて在特会を中心とした外国籍の方や、外国に暴言を浴びせる「ヘイトスピーチ」と呼ばれる行動に反対する行動をとっていた人びとが主要メンバーです。
 カルトや新興宗教に入ると、ある時点で「思考停止」してしまい、その団体の教義や教祖の指示に疑いなく行動する特徴があるように思いますが、しばき隊の人たちの行動様式が、カルトに似ていると感じています。事件もいくつか起こしています。決して彼らは宗教集団ではありませんが藤倉さんからご覧になると、しばき隊はどのように見えるでしょうか。

藤倉 僕の言葉ではなく、僕の知り合いの弁護士が使っている言い回しですが、(「しばき隊」とは)「暴走した自警団」だと。端的に言えばカルト的にしか見えないと僕も思います。
 その際カルトの定義からちゃんと説明しておかないといけないと思います。カルトという言葉はいろいろな使われ方がありますが、いま「カルト問題」と言われる被害者救済であるとか、予防の行動に取り組んでいる人たちの間で言われているカルトの定義は、「違法行為や人権侵害を行う集団」という非常に簡単な定義です。むかしはもっと細かい定義を議論していた時代もありましたが、もちろん宗教団体に限らない。
 それから「カルトであるかないか明確な線は引けない」グラデーションであって、違法行為も人権侵害もいろいろな種類や度合いで行われるわけですから、これをやったら「カルト」と決めつけるのではなく、度合いの問題だと。カルト性が強いか弱いかそういう価値観になっています。理屈上は右翼だって左翼セクトだってヤクザだってカルトなんです。子供たちのいじめ集団だってカルトなんです。
 ただし、歴史上、従来はヤクザのように反社会的集団としてカテゴライズされてきていなかった宗教集団やスピリチュアル集団が深刻な事件や問題を起こし、弁護士や宗教者や研究者が問題に取り組んできた経緯があるので、自然と宗教的な集団が扱われる中心にはなっていますが、理屈上は宗教を特別視しない、という方向にきています。あくまでも「人権」がネックです。昔は「エホバの証人や統一教会は聖書を歪めているからダメなんだ」と主張する人がいました(いまもいます)が、教義が正しいかどうか、思想が正しいかどうかは関係ないんだというのがカルトの定義になっています。

 
2018年9月17日付け「やや日刊カルト新聞」より

◆「思考停止」をして上に従っていく集団

── 「人権」と「違法行為」ですね。

藤倉 どんなに正しいことを言っていても、人を傷つけるのであればカルトだ、という非常に単純明快な考え方になっています。先ほどおしゃっていた「思考停止」をして上に従っていく集団は、今の定義で言えばカルトではなく「カルトにはそういうパターンが多い」という特徴を示す要素です。理屈上は上の指示ではなくても、下の集団が過激化し犯罪を犯すこともあり、それも当然カルトなわけです。

── 「人権」と「違法行為」のグラデーションでカルトが測られるのであれば、誰の中にもそのような要素はあるということですね。

藤倉 そうです。極端に言えばカルト問題に取り組む団体の中にだってカルト性はあるんですよ。

── なるほど。藤倉さんだって藤倉教の教祖(総統)ですもんね(笑)。

藤倉 本当は僕「やや日刊カルト新聞」を宗教法人化して、教義としてカルト批判する。批判する教義を持った宗教団体にしたいなと夢を見てたりするんです(笑)。

◆カルトを巨大組織のような感じでイメージしないこと

── 先ほどの定義によれば、ある集団を軽々にカルトと言ってしまうのは危険だということですね。言い方を変えればカルト性の高い人たちの集団は、藤倉さんが取材を始められてから社会の中で変化は感じられますか。

藤倉 僕がしばき隊が気になる理由でもあるんですけれども、宗教組織に加わるのがトレンドではなくなった。スピリチュアルといっても団体に所属するのではなく、あちこちの団体がやっているワークショップに、顔を出すような人も多く、そのような形のかかわりの中で特定の集団にはまってしまい酷い目にあう。宗教団体の体をとっていなくて、占い師のような人と1対1のあいだで凄い金をとられるとか。巨大組織のような感じでカルトをイメージしちゃダメなんだということを、強く感じます。

── ネット(SNSなど)が発達したために、若い人の間に宗教への関心を持つ人が減っているのではないかと感じますがどうでしょうか。

藤倉 あまり多くはないですね。ただしばき隊にも通じるのですが、過激な宗教団体は、やりがいが大きい分のめり込んじゃう人が居るんですよ。脅しや暴力を使いながら勧誘する宗教がありますが、そこでは若い連中がそういうことをするんですよ。あと宗教では新規に入ってくるのではなく、親がそうで2世という人たち。それがかなり宗教の重要になっている。

── 新規加入ではなくて、世襲制で親がそうだったからという理由で入る若者ですね。いろんな団体にいますね。

藤倉 共産党もそうでしょうし、新左翼にもいるかもしれませんけど。カルトの問題を見たときに、宗教組織に限ってみてたらダメなんだというくらい、小規模なカルトとか、宗教法人ではなカルトがあり困るくらいです。世襲で言えば幸福の科学なんか新しい信者はほとんど入っていないですよ。取材している実感としては。

 
2018年9月16日付け「やや日刊カルト新聞」より

◆携帯電話の普及と新興宗教の衰退

── 若者に限らずですが、人間は誰かに認められていたいとか、共感してもらいという気持ちをもっていて、それがひょっとすると過剰なSNSへの依存という形に形を変えて現れているのではないか、という気がします。仕事や趣味に使うにはSNSは便利でしょうが、顔も知らない人と関係ができる。そして常に「繋がっている」ことを確認しておかないと不安になる。先日の北海道の地震でも「携帯電話の充電ができた」と涙しておられる方が少なからず報道されていました。かつて集団に属して(グラデーションの緩いカルト)から、サークル的なものから非常にコアな集団までに所属して得ていた安心感が、テクノロジーによって精神的なベクトルが分割されている側面がありはしないか、と感じますがいかがでしょうか。

藤倉 僕は文明論的な評論は好まないんですけど、実は携帯電話の普及はオウム事件以降の宗教の衰退と、たまたま入れ替わりのようにはじまったので、宗教の不人気はオウム事件がかなり大きいと思いますが、携帯電話という代替物ができたから宗教に行かなくなったのか、もともと宗教が衰退傾向にあったのかは僕自身区別がつかないですね。インターネットが普及してSNSまではないにしろ、スピリチュアルな人たちは他の人たちと情報交換がしやすくなっているはずですよね。

── そうですね。

藤倉 だから余計に特定の宗教組織ではなく、緩やかなスピリチュアル・ジプシーみたいなことはやりやすくなっているところはある。携帯電話の普及がどれくらい影響しているのかは僕がコメントしずらい部分です。
 でも今お話伺っていて僕が日頃感じている話と近いと思ったのは、携帯電話やSNSそれ自体ではなく、たとえば左翼であれば「安倍政権万歳」と言っている人を叩いたり、気に食わない人をレイシスト呼ばわりして叩いたりする「ネット上の活動家」のような人のやりがいが、宗教に代わるものにはなっていそうな気がしますね。信仰ではなく信念や、やりがい──。オウム真理教もそういうところは強かったんです。ネトウヨやしばき隊も含めて「社会にコミットしている」という実感を得られるような、ものでステータスが獲得できる。
 昔なぜ新興宗教が若い人に人気があったかといえば、伝統宗教の中に入っても偉くなれなかったからですよ。新しいムーブメントに行くと、比較的簡単にステータスが得られる。僕だって週刊誌とかで働いていたら偉くなれないけど「やや日刊カルト新聞」作ったらその日から偉くなれるわけじゃないですか(笑)。そういう楽しさは新しいムーブメントには常にあると思います。SEALDsの奥田君だって、共産党の活動家とかだったら、あんなふうに世間には出てこれなかったわけですから。宗教活動で得られるのと同様に充実感をネットで得られるのは、90年代にはなかったことですし、SNSの誕生の前にはなかったことですね。

── 充実感を得られるツールとしてSNSが出てきたことにより何かが変わったということかもわからないですね。

藤倉 ツイッターは特にそういう面は強いですね。ツイッターで充実感を得ている人は、物事を知ったような態度で、短いわかりやすい言葉でどれだけ人の支持を集めるか。そこの充実感なんです。だからツイッターではみんな知ったような態度で、頭の悪いことを言っているから見ててイライラするんです。

── そんなことに労力をさいていたら、精神的に荒れますよね。

藤倉 僕はそういう奴を狙って喧嘩を仕掛けますけどね(笑)。

── それは藤倉さんがライターだからいいけど(笑)。普通の人には精神衛生上よくないんじゃないですか。

藤倉 それが癒しとか、信仰とか自己鍛錬的なものとか、安らぎではなく、イケイケどんどんの世直し運動のような、オラオラ系のハイテンションになる。ネトウヨもカルトだけど、しばき隊もカルトになって当然だよなと思います。完全な悪循環の中にあるように思いますね。

◆ネットで認められる快感に目覚めた〈オタクですらない人々〉の台頭

── 対象とか到達目標があろうが、あるまいが、どのような人でも殺伐な言葉を投げかけて優位に立とうというのは、決して穏やかな心のありようや寛容性と融和するものではないですね。

藤倉 ミクシー以降でしょうね。素人さんがネットでものを言うようになってきた。オタクですらない。オタクは悪い意味ではなく、本人がこだわっている分野の知識はものすごい。でも、そういう得意分野を持ち合わせない人たちが、ネットで認められる快感に目覚めてしまったのが、ミクシーあたりですね。
 話は逸れますがしばき隊のカルト性は2つの側面を見ないといけないのかな、と思います。1つは彼らがレイシストとみなした、敵に対する闘い方の部分です。敵とみなしたら人権とかは知ったこっちゃない、何してもいいというカルト性。あと「リンチ事件」は内部での組織防衛のカルト性ですね。それを隠蔽しようとするのも組織防衛のためのセカンドレイプ的な話になります。彼らのカルト性には、外部への攻撃(人権侵害)と、内部への人権侵害がある。当然カルトには両方生じるんです。なぜならもともと人権なんかどうでもよくて、組織の目的や教祖の目的が至上のものなので。信者の人権すら守らないのがカルトですから。その両面から見てしばき隊はカルト性が高いと言っていいでしょう。(つづく)

(鹿砦社特別取材班)

◎カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは?「やや日刊カルト新聞」藤倉善郎総裁に聞く!(全4回)
〈1〉2018年10月11日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27899
〈2〉2018年10月16日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27942
〈3〉近日公開
〈4〉近日公開

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは?「やや日刊カルト新聞」藤倉善郎総裁に聞く!〈1〉

「やや日刊カルト新聞」の「総裁」にして、業界ではカルト問題取材では、超有名人である藤倉善郎さんにお話を伺った。直接的にはオウム真理教関連集会での香山リカ氏による、取材妨害が話題になったことがきっかけであったが、「カルト」や「表現の自由」についての最新の情報をお伝えいただけた。カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは? 4回連載で報告する。

◆「自己啓発セミナー」「統一教会」「幸福の科学」

 
2018年10月7日付け「やや日刊カルト新聞」より

── 藤倉さんはカルト取材に関して高名ですが、あらためてどうしてカルトに関心を持たれたのか簡単に教えて頂けますか。

藤倉 大学の時に新聞会にはいってまして、当時、学内のほかのサークルや研究室で「自己啓発セミナー」を受けた人が友だちを勧誘するトラブルが同時多発的に起こっていました。「自己啓発セミナー」は宗教ではないですが、悪徳商法のようなよろしくないものでしたので問題視ししつつも、それを批判する周りの学生が「自己啓発セミナー」勧誘に熱心な学生を魔女狩りのように排斥し始めて、「どちらもおかしいな」と思いました。批判する側の問題性も意識しながら取材をして新聞で記事を書くことを学生時代に始めました。その当時文献は多くはなかったのですが、宗教被害を扱っている本なども読み漁りまして、大学中退をしてライターになってから「自己啓発セミナー」の取材もやりつつ、宗教被害にも手を広げていった。そういう流れですね。

── これまで「統一教会」や「幸福の科学」に体当たり的な取材でご活躍ですね。

藤倉 「統一教会」の方は「やや日刊カルト新聞」の主筆である鈴木エイトさんが専門でやっていますので基本任せていますが、ときどき一緒に取材します。僕は「幸福の科学」とそれ以外のカルト担当のような感じですね。

◆オウム真理教に関する集会中継をめぐる取材妨害事件

 
2018年10月4日付け「やや日刊カルト新聞」より

── このインタビューのきっかけとなったのはオウム真理教に関する集会があって、藤倉さんが中継なさろうとしていたのでしたか?

藤倉 そうですね。動画の撮影、中継、写真撮影全部やろうとしていました。

── それを主催者から止められたということですか。

藤倉 動画の撮影とネット中継を止めるようにと邪魔をされました。

── 藤倉さんは当日中継機材を持っていかれて一旦は中継をはじめられたのですか。

藤倉 始めましたね。当日前に「こういう取材をしたいけどよいか?」と取材の申し入れを会の方にしました。そうしたら「動画撮影と中継はやめてくれ」という趣旨の返事がきました。都合があって辞めて欲しいのであればそれは仕方ないでしょうが、「動画撮影については会が自分たちで撮影して、自分たちで発表する。ネット中継はIWJに任せるからお前らはやらないでくれ」という理屈だったので「よそもやるのになぜうちはだめなんだ」という話をしまして、そんな理屈は受け入れられないので申し入れたとおりに動画撮影も中継もしますよ、と前もってメールも送って、当日受付でも名前を伝えて会場に入ったので予告通りに動画の録画と中継をはじめました。
 そしたらはじめてすぐでしたが名前を知らない女性スタッフが出てきてカメラを遮って「止めるように」と言ってきたのが始まりですね。そのあとに香山リカさんとか弁護士さんや『創』の編集長の篠田さんたちが集まってきて、カメラを遮ったり「動画撮影ネット中継お断り」だというルールを守れないのであれば「出て行け」と言ってきました。
 僕の方は「よそはやっているのにうちはダメ」っていうルールの理由すら示されない。「そんなふざけたルールに従えるか!」とそのまま中継を続け、向こうは向こうでカメラを抑えるということを続けたので、集会の取材じゃなくて「取材妨害の取材だな」と切り替えて様子を撮影したり、中継したりしていました。

── 最後まで会場にはいらしたのでしょうか。

藤倉 「警察呼ぶ」とか言ってたので「呼べ呼べ」って言ってたんです。管理権はこちらにある、お断りしているのに入ってきているのは不法侵入だと彼らは言っていました。「警察呼ぶならここで待ってるね」と言って居座って撮影を続けたのですが、結局警察は最後まで来なくて、香山さんなんかは結構しつこくずーっとじゃましたりしてました。でもカメラを遮ったりする妨害はたぶん20分くらいで止めてしまって、あとはほったらかしにされていたので、結局最後まで撮影も中継もしました。

── そうなんですか。

藤倉 最初の20分はカメラを遮られたりして、僕自身もじっくり聞けなかったんですが、それ以降は撮れたんです。ところが撮ってみたら中身が全然なくて、登壇者がオウムと関係ないような持論をしゃべるだけの会で。強行突破しても意味なかったな、と悲しいオチで終わってしましました。

◆中継取材妨害問題に二度と言及しなくなった香山リカさん

 
2018年9月19日付け「やや日刊カルト新聞」より

── 藤倉さんを妨害した人の中に、私たちから見るとカルトと似た行動様式をする人が居まして、その代表格が香山リカ先生なんです。会の趣旨についての見解はいろいろあるでしょうが、取材を妨害したことについて、江川紹子さんが香山さんの行動を疑問視して質問を投げかけるというツイッターでの議論になりました。そこで香山さんからはしっかりとした反論がなされていなかったように感じました。

藤倉 江川さんとしてはいきなり批判とか、糾弾とかあるいは藤倉擁護をしたわけではなくて、「このメディアはいいけど、このメディアはダメだ」というルールはいったいどういう根拠で決められたのかと質問したんですよ。江川さんとしてはそこがわかってはじめて、良いか悪いかの判断をする話だろうと、ただ質問をしたんです。香山リカさんがちゃんとそれに答えなくて、「出演者にも確認して決めたルールだ」とか決定プロセスの話をして逃げようとしたんですよね。
 江川さんはぶれずに「プロセスを聞いているんじゃなくて、どういう根拠でメディア選別が行われたのか」の根拠を聞いたんですが、香山さんはそれについては答えずに「後ほど回答します」というようなことを発信した後に、二度と香山さんは言及しなくなったんですね。何日かあとに会のサイトに、僕を非難するような抗議声明のようなものが掲載され、香山さんが言っていたようなことは書いてありましたが、「どうしてIWJだけは良くて他はダメなのか」の理由や根拠は書いていませんでした。
 実際はIWJだけじゃなくて、現場に行ったらテレビ朝日も動画撮影をしていたんです。主催者が「動画は自分たちが撮影する」と言っていたのは嘘だったわけです。(つづく)

(鹿砦社特別取材班)

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

金明秀教授暴行問題について関西学院大学から新世紀ユニオンへ調査委員会設置などの回答 鹿砦社はさらなる激烈な戦術選択を宣言! 鹿砦社特別取材班

8月2日に新世紀ユニオンと関西学院大学側で行われた、団体交渉の合意事項を受けて、関西学院大学から新世紀ユニオンに9月22日付けで回答があった。ユニオン側から提出を要請した就業規則などの6種の規定の文面と、調査委員会には大阪弁護士会所属の弁護士が就任する旨が伝えられた。調査委員の選任はまだ完了していないが、新世紀ユニオンの角野委員長は、団交の際に調査委員会に第三者を入れることを要請したのに対して、第三者のみで構成される調査委員会の発足が回答されたことに対して、前向きに評価している。

関西学院大学が調査委員会に中立であることが期待できる、弁護士を登用し、第三者委員会を立ち上げることは、公平な調査が行われることへの期待抱かせる。大学側も真剣にA先生暴行事件の調査に、遅ればせながら取り組む姿勢を明らかにしたものといえよう。ユニオン側は回答を得て、質問と要望を大学に送付した(その内容は現時点では明らかにできない)。

金明秀(キム・ミョンス)関西学院大学教授が2016年5月19日、ツイッター上でM君に向けて行った書き込み。金教授の問題はA先生への暴行事件だけではない!

ユニオン側並びにA先生は、いたずらに争議を騒ぎ立てるつもりは全くなく、A先生が金明秀教授から受けた被害の回復、と適切な処分を求めているに過ぎない。関西学院大学も団交の中で、その要求の正当性を理解したと思われるので、今後調査員会が誠実な調査を実施し、適切な判断が下されることを取材班は見守りたい。金明秀教授の問題は、A先生への暴行事件だけではないので、関西学院大学が妥当な判断を下すことを期待する。

ところで、A先生の件とは別に、取材班ならびに、鹿砦社は“10・19M君の対5人裁判控訴審判決”を控え、ここに重大な最終的かつ新たな法廷内外での激烈な闘争に決起したことを読者の皆さんにお伝えする。「M君リンチ事件」を端緒に、この3年近く、取材班並びに鹿砦社は「対しばき隊」言論戦に、否が応でも直面せざるを得なかった。いうまでもなくM君の被害回復と加害者(事件への直接の加害者にとどまらず、M君を事件後セカンドレイプ的に攻撃した勢力)への、一定の責任追及を5冊の出版物を編纂する中で、その判断を世に問うてきた。初期にはほとんど著名人からの反応はなかったが、のりこえネット共同代表の前田朗東京造形大学教授が『救援』紙上で、旗幟を鮮明にされて以降、元読売新聞記者の山口正紀さんほか、名前は出せないが(つまり著名で、しばき隊のそばにいる人物たち)知識人・ジャーナリストからの支持が広がっていった。

私たちの戦線は、M君の対5人裁判を軸に、対野間易通裁判、鹿砦社が原告となった対李信恵裁判へと展開し、李信恵も鹿砦社を訴えてきた。ここに至り、取材班ならびに鹿砦社は、読者諸氏の想像が及ばないであろう、戦術を闘争の武器として採用することを決断した。このかん鹿砦社を舐め切った態度で、罵詈雑言を浴びせていた諸君や、鹿砦社に後ろ足で砂をかけた記憶のある諸君は覚悟して、“その時”を待つがよい。これまで取材班は数度にわたり「闘争宣言」を発してきたが、そのたびになんらかの驚愕的事実の暴露や、衝撃を誘う行動に実際に踏み出したことを想起されたい。

われわれは揺るぎない決意で、ルビコン川を超えた!

取材班はいつまでも「しばき隊」のお守りをするつもりはない。彼らの本質が既に相当程度明らかになった(=取材班は成果を確認できた)ので、M君の対5人裁判判決後、今後の方針を検討したのち、しかるべき時期に取材班は、発展的転身を遂げるであろう。しかし、その前に社会的正義に照らして、容認することのできない人物や行為には、きっちりケジメをつけておく。たとえ相手がどのような職業・肩書の人物であろうとも!!

そして再度認確する。取材班と鹿砦社はあらゆる差別に原則的に反対であることを。

(鹿砦社特別取材班)

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M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

私たちはなぜ、「カウンター大学院生リンチ事件」(俗にいう「しばき隊リンチ事件」)に関わるのか?〈3〉 鹿砦社代表・松岡利康

 昨日に続き、松岡の「陳述書」を分載します。

◆7 安易に出版や販売の差止めを求めるべきではありません

 原告(注:李信恵氏)は被告会社(注:鹿砦社)が出版した出版物に対し、販売の差止めを求めています。また、当社のホームページで日々展開している「デジタル鹿砦社通信」の一部記事の削除も求めています。
 周知のように日本国憲法21条は「表現の自由」「言論・出版の自由」を高らかに謳っています。民主主義社会にとって「表現の自由」「言論・出版の自由」は必要不可欠なものです。万が一差止めがなされるのは、その出版物や表現物に高度の違法性があり、差止めなければ名誉毀損やプライバシー侵害等の被害が拡大するという強度の緊急性がなければならないことは言うまでもありません。
 原告は、みずからにとって不都合な表現や言論、出版に対しては妨害したり隠蔽したりする傾向にあるようです。
「言論には言論で」という言葉があります。原告は、出版物の販売の差止めを求めたりするのではなく言論で対抗、反論すべきです。原告も、代理人のお二人の先生も著書を出されていますので、出版物を出せる環境にありますし、実際に出せると思います。原告らは出版物で堂々と反論することを強く望みます。

◆8「人間の尊厳」や「人権」に反するM君リンチ事件の〈真実〉を知れば、言葉に表わせないほど酷いと感じるでしょうし、裁判所の公平、公正な判断に期待いたします

 ところで私事に渡りますが、私は、縁あって2015年4月から2年間にわたり関西大学で「人間の尊厳のために~人権と出版」というテーマで教壇に立たせていただきました。このリンチ事件と、その後の加害者李信恵氏らの言動、また被害者M君への不当な扱い(=ネットリンチやセカンドリンチ)は、まさに「人間の尊厳」も「人権」も蔑ろにしたものと断じます。
 私は学生に「人間の尊厳」や「人権」を教える時、普段いくら机上で立派なことを言っても、「人間の尊厳」や「人権」に関わる現実に遭遇した場合、みずからが、いかに対処するかで、あなた方一人ひとりの人間性が問われると話しました。「人間の尊厳」や「人権」は、「死んだ教条」ではなく、まさに〈生きた現実〉だからです。
 普段立派なことを言っている人たちが、このリンチ事件の現実から逃げ、語ることさえやめ、ほとんどが沈黙しています。こういう人を私は〈偽善者〉と言います。くだんの5冊の本に、リンチ事件(と、その後の隠蔽)に陰に陽に、大なり小なり、直接的間接的に関わっている人たちの名が挙げられ、質問状や取材依頼を再三送りましたが、全くと言っていいほどナシの礫(つぶて)です。その多くは、この国を代表するような、その分野で著名な人たちです。公人中の公人たる国会議員もいます。良心に恥じないのでしょうか。
 私も偶然に、このリンチ事件に遭遇しましたが、学生に「人間の尊厳」や「人権」を話したのに、実際に「人間の尊厳」や「人権」を蔑ろにする事件を前にして、みずからが日和見主義的、傍観者的な態度を取ることは決して許されないものと考え、このリンチ事件の真相究明や、被害者M君の救済・支援に関わっています。
このように、「人間の尊厳」や「人権」について学生に教えた私にとっては、それが言葉の上でのことではなく、その内実を問う、まさに〈試金石〉だったのです。
 
◆ おわりに

「反差別」を謳う「カウンター」といわれる運動内部で、その中心的なメンバーである原告李信恵氏らによって起こされた、M君に対する悲惨な集団リンチ事件について私の率直な意見を申し述べさせていただきました。
 原告が今まずなすべきことは、みずからが関与した集団リンチ事件についての真摯な反省であり、かつ被害者M君への心からの謝罪であり、そう考えると、原告李信恵氏による本件訴訟は、そうしたことが垣間見れず、まさに〈開き直り〉としか思えません。
 原告李信恵氏らによる集団リンチ事件は、私たちが取材、調査、編集、出版した5冊の出版物で多くの方々に〈公知の事実〉として知られるに至っています。特に、第4弾『カウンターと暴力の病理』に付けられたリンチの最中の音声(CD)と巻頭グラビアのリンチ直後のM君の顔写真は強い衝撃を与え、多くの方々がM君に同情と救済の声を寄せてくださっています。
 このように多くの方々が多大の関心を持って本件訴訟の審理の推移と結果に注目されています。多くの方々がリンチ事件の内容を知り注目しているのです。裁判所が公正、公平な判断をなされなかったら、リンチ事件を知る多くの人は「人権の砦」という看板に疑問を持ち信頼が揺らぐでしょう。
 裁判所は、当然ながら軽々な審理を排し、公正、公平なご判断をなされるよう強く要望してやみません。
 原告の請求は当然のことながら棄却となることを信じてやみません。

これまで申し述べた内容を盛り込み私の「陳述書」として提出させていただきます。
以上

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【付記】
 この「陳述書」を提出したあとでも相変わらず、作家・森奈津子さんに対する誹謗中傷はやむことはなく、ますます酷くなっているようです。
 いわく、「森奈津子さん大便垂れ流してますよ」。
 かつて「しばき隊」と真正面からやり合った人たち(「世に倦む日日」田中宏和氏、高島章弁護士、金剛医師ら)は後景に退き、今や森奈津子さんが女ひとり堂々と渡り合っています。
「反差別」運動とは、こんなに汚い言葉を遣うのでしょうか? 差別に反対するとは崇高な営みのことだと思ってきましたが、李信恵氏の言葉遣いといい、M君リンチ事件の真相究明と救済に関わって2年半あまり──疑問になってきました。李信恵氏に連なる「反差別」運動=汚い言葉のオンパレードです。これで普通の人々の支持を得ることができるでしょうか? 
 加えて、彼らは「左翼」「リベラル」だと自称他称されています。私は学生時代の一時期、ノンセクトの新左翼運動に関わったことがありますが、私が見てきた「左翼」「リベラル」は、もっと違いました。
 私にとって「左翼」とは、そう「湯川秀樹、朝永振一郎の後継者」とまで言われた山本義隆東大全共闘議長や、安田講堂攻防戦の最後の伝説的演説をし、その後僻地医療の魁となった今井澄元参議院議員(旧社会党!)らのイメージが強く、「リベラル」とは、機動隊導入に身を挺して抗議した鶴見俊輔元同志社大学教授(故人)や作家・高橋和巳さん(故人)らのイメージが強いですね。
 私に言わせれば、「しばき隊」界隈の人たちが「左翼」だとか「リベラル」などおこがましく、「左翼」の面汚し、「リベラル」の面汚しです。懲戒請求した右派系の人たちのリストを権力に渡すと嘯く神原元弁護士など自称「正しい左翼」らしいですが、とんでもありません。こんな権力に親和的な「左翼」など、う~む、世も変わったとしか言いようがありません。
 私たちが若い頃から見てきて頭の中にこびりついている「反差別」「左翼」「リベラル」などのイメージががらっと変わりました。
 汚い言葉と、これを恥ずかしげもなく常用する「反差別」「左翼」「リベラル」に対するイメージ・チェンジ……訳が分からなくなりました。
 さらには、ここでは詳述しませんが、今の時代に一流大学で暴力を振るいながらも、地位を失くすことなくのうのうとしている金明秀関西学院大学教授、「人権派弁護士」らしくない言動が暴露された師岡康子弁護士らについても、現代日本の知識人のレベルを象徴するものといわざるをえません。
 こういう人たちに比べれば、たとえば大学を中退し大阪・西成に住みつき、小さな食堂を営みながら、冤罪、反原発、女医不審死問題などに積極的に取り組んでいる尾崎美代子さんらのほうが、草の根の、言葉の真の意味で〈知識人〉と言えるでしょう(持ち上げすぎか!? 笑)。

 このように、「カウンター大学院生リンチ事件」(しばき隊リンチ事件)に関わる中で、考えることも多い、この2年半でした。

【画像説明】「反差別」運動の旗手と持て囃される方の素晴らしい言葉の数々(『真実と暴力の隠蔽』巻頭グラビアより)

◎私たちはなぜ、「カウンター大学院生リンチ事件」(俗にいう「しばき隊リンチ事件」)に関わるのか?(全3回) 鹿砦社代表・松岡利康

〈1〉2018年9月20日掲載 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27578
〈2〉2018年9月21日掲載 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27596
〈3〉2018年9月22日掲載 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27645

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

私たちはなぜ、「カウンター大学院生リンチ事件」(俗にいう「しばき隊リンチ事件」)に関わるのか?〈2〉 鹿砦社代表・松岡利康

 昨日に続き、松岡の「陳述書」を分載します。

◆4 被害者M君が心身共に受けた傷を蔑ろにし開き直る、集団リンチの加害者で中心人物の原告李信恵氏の言動は許せません

 被害者M君が心身共に受けた傷は、リンチ直後の顔写真に象徴されています。裁判官も、この写真をご覧になったら驚かれるでしょうし、逆に何も感じないとしたら、もはや人間ではないと断じます。人間として失格です。さらにリンチの最中の音声、聴くに耐えず、言葉を失います。ぜひお聴きください。
 被害者M君は、リンチ以降、この悪夢に苦しみPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩んでいるといいます。本人にしかわからない苦しみでしょうが、私たちにも一定程度は察することができます。しかし、あろうことか、これだけの傷を受けていながら未だ1円の治療費、慰謝料も受け取っていませんし、事件後も引き続きネットリンチ、セカンドリンチを受けてきました。酷い被害写真のコラージュまで作られ回されています。
 また、原告李信恵氏は、いったんは「謝罪文」を寄越し(たとえ形式的、ヌエ的ではあれ)反省の意思を表わしていながら、突然それを覆し「リンチはなかった」「無実」と開き直り、これに異議を唱えると、後述しますように、「鹿砦社はクソ」とか誹謗中傷を行なっています。これは私たちに対しだけでなく、原告李信恵氏に異議を唱える者すべてに対してです。
 原告李信恵氏の、人間として到底考えられない言動に真摯な反省を求め、そして、これだけの酷いリンチと、その後の事件隠蔽やセカンドリンチ、ネットリンチを受けているM君の名誉回復がなされなければなりません。常識的に考えて、リンチ直後の写真やリンチの最中の録音を目の当たりにしたら、「リンチはなかった」とか、加害者で中心的首謀的立場にあった李信恵氏が「無実」とは考えられず、まともな人間としての感覚があるならば、非人間的で酷いと感じるはずです。そうではないでしょうか?
 裁判所が「人権の砦」であり、裁判官も血の通った人間ならば、そうしたことは当然理解されるものと信じています。

◆5 李信恵氏による相次いだ「鹿砦社はクソ」発言に対して、やむなく民事訴訟を起こしました

 前述しましたように、原告李信恵氏ら加害者らは、彼らと繋がる者たちと連携し、被害者M君や、彼を支援する人たちに対して、あらん限りの罵詈雑言、誹謗中傷を続けています。
 例えば、M君の後輩の同大大学院生は母子家庭で、先輩が酷いリンチにあったということで支援していたところ、名前や住所をネット上にアップされたり執拗に攻撃され、お母様に累が及ぶことを懸念し表立った支援を差し控えたといいます。
 また、四国で自動車販売会社を経営しM君支援を行なっておられる合田夏樹社長に対しては、国会議員の宣伝カーで自宅まで押し掛けられたり、娘さんが東京の大学に進学し一人暮らしを始めたところ、近くのコンビニなどから住所を突き止め暴くぞと恐怖を与えたりしています。
 さらに、やはりM君を支援する作家の森奈津子さんには、「森奈津子にネットでいやがらせして鬱病に追い込もう」とか「こんな奴は潰さんとダメだろ」とか、さらには、森さんは乳がんで片方の胸を摘出されていますが、「正気かどうかも保証されてない病人」と揶揄してみたり、とても「反差別」や「人権」を語る者がやることとは思えません。
 M君を支援する当社に対しても、「鹿砦社はクソ」「クソ鹿砦社」とか「鹿砦社、潰れたらええな」「下衆」「害悪」「ネトウヨ御用達」などと李信恵氏や彼女の仲間らはこぞって誹謗中傷を行なってきました。遺憾なことです。
 あまりにエスカレートしつつあり、当社としても取引引先に悪影響を与える具体的な懸念が生じたため、そうした誹謗中傷を抑止する目的もあって、株式会社鹿砦社を原告として李信恵氏に対して民事訴訟(大阪地裁第13民事部 平成29年(ワ)第9470号)を起こし損害賠償金300万円と謝罪を求め現在係争中です。本件訴訟も、本件原告は当初上記訴訟の反訴として起こし、それを取り下げ、その後別訴として併合審理を求め提訴したものが却下されたものです。

 さて、李信恵氏のツイッターの一部を引用してみましょう。──
 2017年7月27日 「鹿砦社はクソですね。」
 同年8月17日  「しかし鹿砦社ってほんまクソやなあって改めて思った。」
 同年8月23日  「鹿砦社の件で、まあ大丈夫かなあと思ったけどなんか傷ついてたのかな。土曜日から目が痛くて、イベントの最中からここに嫌がらせが来たらと思ったら瞬きが出来なくなった。」
 同日 「鹿砦社の人は何が面白いのか、お金目当てなのか、ネタなのかわかんないけど。ほんまに嫌がらせやめて下さい。(中略)私が死んだらいいのかな。死にたくないし死なないけど。」
 同日 「クソ鹿砦社の対立を煽る芸風には乗りたくないなあ。あんなクソに、(以下略)」
 同日 「鹿砦社からの嫌がらせのおかげで、講演会などの告知もSNSで出来なくなった。講演会をした時も、問い合わせや妨害が来ると聞いた。普通に威力業務妨害だし。」
 同月24日 「この1週間で4キロ痩せた!鹿砦社の嫌がらせで、しんどくて食べても食べても吐いてたら、ダイエットになるみたい。」

 李信恵氏の発言に頻繁に見られる「クソ」という言葉が、対象を侮蔑する際に用いられることの多い、公的な場面では用いられることのない、品性を欠く表現であることは一般常識です。原告は「クソ」という言葉を「論評」などと評価しているようですが、「クソ」だけを用いた「論評」など目にしたことがありません。「差別」に反対し「人権」を守ると公言し、多数の人たちの支援を受けている人間が使うべき言葉ではなく、品性に欠けることはもちろん、当社に対する強い悪意を持ってなされたものであることが明瞭です。
 しかも、2018年9月1日現在で1万3,818ものフォロワー数を持ち(ちなみに当社の「デジタル鹿砦社通信」ツイッター版は3分の1の3,412にすぎません)、マスメディアによって「反差別」運動における一定の社会的評価を得ている李信恵氏がかかる表現を用いたということ自体、影響力は大きく、当社に対する刑事、民事上の各名誉毀損行為に該当すると言わざるを得ません。
 私や当社、あるいは当社関係者が、李信恵氏に対して「嫌がらせ」や「(威力業務)妨害」など行なった事実などありませんし、また当社やこの関係者の「嫌がらせのおかげ」で「講演会などの告知もSNSで出来なくなった。」とか「しんどくて食べても食べても吐いてたら、ダイエットになる」とか「イベントの最中からここに嫌がらせが来たらと思ったら瞬きが出来なくなった。」などの発言は、いずれも李信恵氏の一方的な言い掛かりであり、根拠のない牽強付会なものです。当社に対する名誉毀損の程度は、マスメディアで持て囃される「差別と闘う旗手」によってもたらされた「お墨付き」の言葉として大きな影響力を持って拡散されました。甚だしく遺憾です。

◆6 原告李信恵氏はリンチ事件の中心人物として適正に刑事・民事責任を問われるべきです

 考えてもみましょう、真に差別に反対し人権を守るという崇高な目的をなさんとするならば、まずは脚下照顧、率先垂範でみずからが犯した過ちを真摯に反省し、集団リンチ被害者のM君に心から謝罪することから始めるべきではないでしょうか。人間として当然です。それなしには、いくら「反差別」だとか「人権を守る」とか公言しても空語、空虚ですし、「反差別」を錦の御旗にすれば何をやっても許されると考えている節もあり遺憾です。
 特に加害者のリーダー的存在の原告李信恵氏は、在特会らネット右翼に対する2件の差別事件訴訟の原告となり勝訴しマスメディアによって大々的に報道もされていますが、裏ではこのような集団リンチ事件に関わっているのです。在特会らネット右翼の差別行為を批判する前に、まずはみずからを律すべきではないでしょうか。
 これだけの厳然たる事実が明らかになりながら、リンチ直後に出した「謝罪文」を覆し、未だに開き直っていることは驚きです。加害者で中心的首謀的立場の原告李信恵氏がまずなすべきことは、血の通った人間として被害者M君への真摯な謝罪ではないでしょうか。このためにも、李信恵氏の「不起訴」と、被害者M君が李信恵氏ら加害者5人を御庁に提訴し李信恵氏に責任を課さなかった民事訴訟判決(御庁第3民事部平成29年(ワ)第6564号)は、一般人の感覚、世間の常識からは著しく乖離しています。刑事責任も民事責任も当然あるというのが一般人の感覚、世間の常識でしょう。M君は民事、刑事ともに判決・決定を不服として現在、民事については大阪高等裁判所(第12民事部平成30年(ネ)1029号)に控訴し判決を待ち、また刑事については、大阪第四検察審査会に不起訴不当の申立てを行い審理の結果を待っているところです。(つづく)

【画像説明】①ありもしないことを、さもあったかのようにツイート(by 李信恵氏)。どこの喫茶店か言ってみろ!
【画像説明】②あたかも鹿砦社関係者が李信恵氏の講演を妨害したかのように裁判所にイメージづけるために出したと思われる「証拠資料」。意味不明! 念のために調べたところ鹿砦社関係者で、この講演を妨害した者はいませんでした(当たり前だ!)。悪質極まりない作為! 李信恵氏に限らず、平気でありもしないことを、さもあったかのように言う人たちのようです。
【画像説明】③同上

◎私たちはなぜ、「カウンター大学院生リンチ事件」(俗にいう「しばき隊リンチ事件」)に関わるのか? 鹿砦社代表・松岡利康

〈1〉2018年9月20日掲載 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27578
〈2〉2018年9月21日掲載 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27596

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

私たちはなぜ、「カウンター大学院生リンチ事件」(俗にいう「しばき隊リンチ事件」)に関わるのか?〈1〉 鹿砦社代表・松岡利康

「カウンター」(あるいは「しばき隊」)中心メンバー5人による大学院生M君リンチ事件に対して、被害者M君が、その加害者5人を訴えた民事訴訟の控訴審の判決が10月19日に迫ってきました。結果はどうあれ、これが終われば、いろんな意味でひとつの区切りとなります。

また、リンチ加害者のひとり李信恵氏の「鹿砦社クソ」発言に対し名誉毀損で訴えた民事訴訟も、おそらく次回期日で結審を迎えるものと思われます。さらに、この反訴として起こされながら独立した別件訴訟となった民事訴訟は、これから本番に入ります。

私たちが、この事件を知りM君と出会ってから、義憤に感じかかわり始めてから2年半余りが経ちました。このかんに5冊の本を編纂し世に送り出しました。われながらよくやったと思います。

ここで、私(たち)がM君リンチ事件に関わってきた〈原点〉のようなものを整理したいと思っていたところ、「陳述書」を提出する機会を得たのでまとめてみました。ぜひご一読いただきたいと思います。

なお、ここでは原告・李信恵氏、被告・鹿砦社です。また、「M君」は原文では本名を表記しています。

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◆ はじめに

 私は長年、兵庫県西宮市において「株式会社鹿砦社(ろくさいしゃ。以下当社と表記します)」という出版社を営んで来ている者です。創業は1969年(昭和44年)、1972年(昭和47年)に株式会社化し、1988年(昭和63年)に私が代表取締役に就任し現在に至っております。当社は現在、定期発行雑誌3点(月刊2点、季刊1点)はじめ毎年100点近い新刊雑誌・書籍を発行し、年間売上は直近の決算で約3億4千万円、業界では中堅の位置にあります。東京に支社があります。
 私は1951年(昭和26年)生まれ、今年で67歳になります。本来なら現役を退いてもいい歳ですが、本件集団リンチ問題を知り、この2年半ほど、この問題の真相究明と被害者救済・支援に関わっています。

◆1 当社の出版物や「デジタル鹿砦社通信」の記事はすべて事実であり、真に「名誉を毀損」され「精神的苦痛」を与えられたのはリンチ被害者のM君であり、原告の主張は失当です

 本件訴訟は、「カウンター」と称される「反差別」運動の、原告李信恵氏ら主要メンバーによる、その一員だった大学院生・M君への集団リンチ事件について、当社が出版した書籍と、当社のホームページ上に掲載している「デジタル鹿砦社通信」の記事に対して、これら書籍の販売差し止めと記事の削除、そしてこれらによって原告の「名誉を毀損」され「精神的苦痛」を与えたから賠償せよ、というものです。
 原告が挙げている箇所を、あらためていちいちチェックしましたが、記事化されているものはすべて事実ですし、私は真実であると確信いたしました。もともとこれらの書籍や「デジタル鹿砦社通信」において記述する際には、事実関係には入念にチェックしており、万が一誤りなどがあった場合、指摘してもらえれば、いつでも訂正することは常々申し述べているところです。原告側からきちんとした具体的な誤りの指摘など、これまでありません。
 また、当社の出版物や「デジタル鹿砦社通信」の記述が原告の「名誉を毀損」し「精神的苦痛」を与えたという主張は、なにをかいわんやです。リンチの被害者のM君は、一方的に殴られ続けましたが、この暴力こそM君の「名誉を毀損」する最たるもので、この肉体的苦痛はもちろん「精神的苦痛」を原告はいかに思っているのでしょうか。さらに被害者M君は事件後も、原告、及び彼女の仲間らからネットリンチ、セカンドリンチを加えられることによってさらに「名誉を毀損」され、リンチの後遺症と悪夢に苦しみ、この「精神的苦痛」は、原告が与えられたとする「精神的苦痛」を遙かに上回るものです。
 そして、当社が主にマスコミ出版関係者、ジャーナリスト、当社支援者、そしてリンチ事件とこの隠蔽に陰に陽に関係した人たちに献本送付したことに原告は「強い精神的苦痛を受けた」としていますが、当社では、本件に限らず月刊誌や書籍を発行するごとに、各方面にそれ相当の献本送付を行い、意見や批評、批判などを求めています。それが対象となった人に都合の良い記事もあるでしょうし逆もあるでしょう。献本送付は本件に限ったことではありません。献本行為を批判するのは、憲法21条で保障されている「表現の自由」を不当に制限する主張でしかありえません。当社に限らず出版社にとって、献本はごく当たり前であることをライターである原告がしらないはずはないでしょう。
よって、原告の主張は失当です。

◆2 私が本件リンチ事件を知った経緯と、被害者M君を支援する理由

 ここで、被告とされた当社、及びこの代表である私が、この問題、つまり本件リンチ事件を知った経緯、被害者M君を支援する理由などを申し述べたいと思います。
 一昨年(2016年)2月28日、偶然に時折当社主催の講演会などに参加していた知人からK大学大学院博士課程に学ぶM君が、本件原告李信恵氏ら「反差別」を謳う「カウンター」、あるいは「しばき隊」と称するメンバー5人から受けた集団リンチ事件のことを知り大変驚きました。特にリンチ直後の被害者の顔写真とリンチの最中の録音データには声も出ませんでした。今回審理される裁判官含め血の通った人間の感覚を持つ者であればみな、そうではないでしょうか。
 そのあまりにも酷い内容からM君への同情と本件リンチ事件への義憤により爾来M君への支援を行なっています。リンチ事件が起きた2014年師走から1年2カ月余り経っていましたが、それまでこのリンチ事件のことを知りませんでした。なぜか一般に報道されなかったからです。いわば“マスコミ・タブー”になっているようです。
 そうしたことから、半殺し(M君がラグビーをやっていて頑強な体格でなければ、おそらく死んでいたでしょう)と言っても過言ではない被害を受けたM君への同情とリンチへの義憤により、被害者M君の正当な救済を求めると共に、リンチ事件の真相究明を開始することにいたしました。
 まずは被害者M君への聴取と、彼が持ってきた主だった資料の解析です。何よりも驚いたのは、前記したリンチ事件直後の酷い顔写真と、リンチの最中の録音です。暴力団でもあるまいし、今の社会にまだこういう野蛮なことがあるのか──M君の話と資料には信憑性を感じ嘘はないと思いました。私は、この若い大学院生が必死に訴えることを信じることにしました。僭越ながら私も、それなりの年月を生き、また出版の世界でやって来て、何が真実か嘘かの区別ぐらい経験的動物的な勘で判ります。
 私の生業は出版業ですので、その内容が公共性、公益性があるものと判断、世に問うことにし、取材に取材を重ね、その具体的成果として、これまで5冊の出版物にまとめ刊行し世に送り出しました。
 これまでどれも発行直後から大きな反響を呼び、「こんな酷いリンチ事件があったのか」「言葉に出ない」等々の声が寄せられています。私もリンチ事件を知った直後に感じたことで当然です。
 私は、私の呼びかけに共感してくれた人たちと、被害者M君が、本件原告李信恵氏ら加害者5人によって受けたリンチ事件の内容と経緯を私たちなりに一所懸命に調査・取材し編集いたしました。加害者の周辺にも少なからず取材を試みましたが、なぜかほとんどの方が全くと言っていいほど答えてくれませんでした。そうした困難な取材の中でも、心ある多くの方々が情報提供などに協力してくださいました。
 これまで刊行した5冊の本(本件で問題とされているのは、そのうちの4冊。5冊目は本件提訴の後に発行なので訴外)で事実関係の概要は明らかにし得たと、私たちは自信を持っています。
 取材を開始して間もない第1弾書籍『ヘイトと暴力の連鎖』の頃はまだ事情に精通していないところもあり不十分だったかもしれませんが、第2弾、3弾と出す内に内容の密度も濃くなっていったと思います。特に第4弾、第5弾は外部(加害者周辺の人たちも含め)から高い評価を受けています。しかし、加害者やこの周辺の人たちからは、反論本の1冊もなく、具体的な反論どころかネット上で、ただ「デマ本」「クソ記事」といった悪罵が投げられるのみです。
 原告李信恵氏と本件代理人の一人上瀧浩子弁護士は最近、共著で『黙らない女たち』という書籍を出版されましたが、リンチ事件についての謝罪や反省、あるいは上記5冊の本への言及や反論はありませんでした。「黙らない」でリンチに謝罪や反省の言葉を、また私たちの本への言及や反論を行なってください。
 加害者らがあれこれ三百代言を弄し弁明しようとも、この5冊の本で示した内容を越えるものでない以上、社会的に説得力はないと思います。

◆3 M君への集団リンチ事件について私が思うこと

 ところで、事件当日(正確には前日から)リンチに至るまでに、李信恵氏本人自ら供述しているように、あろうことか、キャバクラをはじめとして5軒の飲食店を回り、日本酒に換算して1升ほどの酒を飲み酩酊状態だったということです。全く理解できません。原告李信恵氏本人が言うのですから間違いないでしょう。
 事件の詳細は5冊の本に譲るとして、私が特に申し述べたい概要を記載してみます。──
①これは集団リンチですから、関わった全員に連帯責任があることは言うまでもありません。李信恵氏だけが免れえることはありえません。
②その中でも中心的首謀的立場の李信恵氏の責任は他の誰よりも重いでしょう。首謀者は、他の4人の誰でもなく、あくまでも李信恵氏の他に考えられません。
③M君が李信恵氏らが待つワインバーに到着するや否や、李信恵氏は「なんやねん、お前! おら」と胸倉を摑み一発殴り、のち約1時間に及ぶリンチの口火を切りました。
④主に「エル金」こと金良平氏による連続的暴行を傍目に悠然とワインを飲んでいた神経が理解できません。
⑤リンチの途中で、これは有名になっていますが、「まぁ、殺されるんやったら店の中入ったらいいんちゃう?」と言い放っています。普通だったらリンチを止め介抱するのではないでしょうか。酩酊してまともな感覚が失せていたのかもしれませんが、一方的に殴り続けられているM君が死ぬことも想定していての言葉としか思えません。
⑥約1時間に及ぶリンチののち、師走の寒空の下に重傷を負ったM君を放置し立ち去っていますが、人間としての良心の欠片も見えません。

 こうしたことだけを見ても李信恵氏の刑事、民事上の責任は免れません。
 また、これだけの凄惨な集団リンチの現場に居合わせ関与していながら、李信恵氏は刑事、民事共に罪も責任も課せられてはいません。本件集団リンチ事件の中心にあったのが李信恵氏だと思慮されることを想起するに不可解と言う他ありません。かつて日本中を震撼させた、いわゆる「連合赤軍リンチ事件」において首謀者永田洋子は、みずから手を下さずに輩下に殴らせ多数の死者を出し死刑判決を受けています。事件の規模は違いますが、リンチの現場の空気を支配し、誰が見ても中心人物、主犯と見なされる李信恵氏が、なんらの罪や責任を問われないのは到底理解できるものではありません。実際に殴られ血を流した被害者M君は尚更でしょう。
 裁判所におかれましても、私たちがみずから足で回り額に汗して取材してまとめた、この5冊の本に記述された事実と内容も踏まえた審理をされることを強く望み、御庁の良心を信じ妥当な判断が下されるものと信じています。(つづく)

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー〈3〉

 
森奈津子さんのツイッターより

◆レインボーフラッグ上下問題と野間氏の印象操作

── ところで先ほど野間氏のツイッターを見たらレインボーフラッグの上下は問題がない、と印象操作をしているように見受けられるのですが。

森  そう思うのであれば、まともなひとたちと区別するために、これからもずっと紫を上にしてほしいですね。紫を上にするのは反同性愛のグループが用いる手段、もしくはトランプ大統領支持者であるオルタナ右翼LGBTの掲げ方だと、色々な人が指摘しているのに、自己正当化のために「紫が上で大丈夫だ」と繰り返す。日本のLGBTの運動家に恥をかかせるつもりなのか?たしかに、レインボーフラッグが成立した頃には、旗の上下はどちらもOKという感じだった時期もあると思います。

── まず旗が出来たのですよね。それにはっきり意味付けされたのは少し後ではないかと記憶します。

森  そうですね。今では赤が上ですし、自然の虹も赤が上ですよね。運動の現場ではそのような認識が形成されています。

── 80年代半ばにサンフランシスコを訪れたことがあります。一角にレインボーフラッグをアパートから多数掲げている地域がありました。その時点で全て旗は赤が上でした。

森  そうですか。そのように共通認識を持っているのに、あとから入り込んできて間違えて、それを隠すために「紫が上でも大丈夫」だと。レインボーフラッグが生まれた頃はそうだったとしても、シンボルの意味は変わってくるものだし、あとから紫を上に掲げるのが「反同性愛」「オルタナ右翼LGBT」と意味づけられたら、紫を上にしないのが普通ですよね。そのあたり、やはり異性愛者である野間さんにとって「他人事」なんだろうと思いました。

── 異性愛者というよりも彼は、人間愛者ではありませんから。

森  実際に彼に会ったひとによると、「普通のひとだよ」と…。

◆LGBとTの間の差

── そうですね。ところでLGBTについて伺います。わたしはTの方10人ほどとお話したことがありますが、大変に深刻でした。性転換手術を希望されたり、日常生活上の苦労が並大抵ではないと実感しました。わたしにはLGBとTのあいだには差があるのではないかと感じます。LGBTと括って性的少数者と言われますが、この言葉の使われ方に問題はないでしょうか。

森  LGBTとの呼び名には当事者からも批判が出ていますLGBの人たちがT(トランスジェンダー・トランスセクシュアル)の人たちを「彼らは自分たちとは違うだろう」と発言しているのを聞いたことがあります。つまり「異性を愛するか、同性を愛するかという点で語れるものではないから彼ら(T)とは別々に闘うべきではないのか」という主張です。またトランスジェンダー・トランスセクシュアルの側からも「自分たちは病気であり性別適合手術を受ければ治る。体を変えてしまえばLGBと共闘する必要はない」というひともいれば、中には個人的な感想だと思いますが「異性愛者として暮らせるようになったのに、なんでいまさらLGBと一緒に闘わなければいけないのか」というひともいます。

他にわたしが把握しているのでは「LGBT以外のセクシュアリティーがあるのに、そのひとたちは置いてきぼりにされるのか」という議論もあります。たとえばXジェンダーという性自認が男でも女でもないひとたちや、Aセクシュアルという男性にも女性にも誰にも恋愛感情や欲望を感じないひとや、パンセクシュアルというどの性にも反応できるひとたち、またペドフィリア(ロリコン)の人たちは置いてきぼりにされるのかと。特に誤解されやすいペドフィリア自体は別に犯罪を犯したわけでもなく、予備軍でもないのに、彼らの人権をLGBTは無視するのか、という議論もあります。つまり「LGBTだけ保護してどうするのだ」という意見がありますね。性とはもっと多様であるものなのに、他のセクシュアリティーは置いてきぼりにするのかという。

そこから、LGBTQ、つまりLGBTとクィア(Queer)という呼称も生まれています。クィアは元々、日本語で言うと「変態」に相当する蔑称でしたが、今ではセクシュアル・マイノリティ自身が肯定的に使うという動きがあります。あるいは、このQはクエスチョニング(Questioning)を意味するという説もあります。クエスチョニングとは、「性自認や性的指向が定まっていない人」を指します。だけど、どちらにしろ、LGBTQには「LGBTとその他」というニュアンスが残りますので、私は抵抗を感じています。

なぜLGBTという呼び名が定着したかといえば、それ以前に「性的マイノリティー」とか「性的少数派」という言葉で、異性愛者以外の人たちを括ることばがあったのに「性的」という言葉をマスコミ(あるいは当事者)や研究者が忌避したからだ、「性的」なものに対する忌避から「LGBT」に言い換えたのではないかという指摘もあります。わたしはですから「LGBT」という言葉には抵抗がありますね。その言葉では救われないひとたちがいる。取りこぼされてしまうひとたちがいると考えます。

── 疑問に感じていたことを教えて頂きました。ありがとうございます。森さんも「LGBT」という言葉自体を完全によしとしているわけではないですね。「LGBT」を差別問題ととらえるのか、セクシュアリティーとかジェンダー(人間に顕著にあらわれる現象)という観点から考察するのか、議論をしていると事柄の多面性や重層性に突き当たるのではないかと感じます。ところが森さんを攻撃しているひとたちにはそれが感じられません。あのひとたちはトピックに本当に感心や知識があるのではなく、その時に彼らが旬と見た話題を、イナゴの集団のように食べつくそうとします。でもすべてについて底が浅いので、その分野の専門家にかかると、ことごとく論破されます。

森  そうですよね(笑)

── また続きをよろしくお願いいたします。(つづく)

◎森奈津子さんのツイッター https://twitter.com/MORI_Natsuko/

◎今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー(全6回)

〈1〉2018年8月29日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27255
〈2〉2018年9月5日公開  http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27341
〈3〉2018年9月17日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27573
〈4〉2018年10月24日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28034
〈5〉2018年10月30日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28042
〈6〉2018年11月8日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28069

(鹿砦社特別取材班)

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー〈2〉

前回森奈津子さんに電話インタビューをした直後、しばき隊のNO.1野間易通から森さんへの「しばき隊認定」がなされた。ふざけた話ではあるが、ちょうどのタイミングでもあったので森さんに感想を伺った。

◆野間さん、焦っていらっしゃるんでしょうか

── 前回お話を伺ったあと、森さんは野間易通氏から「しばき隊認定」をされましたが、今のご心境はいかがでしょうか。

森  心境(笑)。野間さん、焦っていらっしゃるんでしょうか。ふざけて答えてよいのであれば「光栄に思います」とか言いましょうか(笑)。全然面白くないし、これには色々な方が失笑気味のコメントをつけていますね。

野間易通氏のツイッターより

── 今までなかった新たな「抱き込み」戦術かとも思いましたが。

 
森奈津子さんのツイッターより

森  あれは、とあるトランスジェンダーの運動家の方が、しばき隊シンパらしくて、しばき隊界隈の「レイシスト認定」を鵜呑みにして、叩き行為に加わってきてたんです。わたしはその方の言動がしばき隊界隈そっくりだと指摘しました。それ以前に、レインボーフラッグを逆に掲げてしまった森川暁夫さんという方と、仲間のしばき隊界隈の方々の暴言を、わたしが批判したところ、「しばき隊と関係のないひとをしばき隊とみなした。森奈津子、お前は謝れ!」と大合唱で。

なので、わたしは、「しばき隊に同調して騒いでいるひとたちもしばき隊として批判しています」と自分の見解をツイートしました。その理由は「リンチ事件」など未解決の問題をスルーして、なお加害者に寄り添っているからです。そのような人たちを批判すると、たちまち「自分はしばき隊ではない。しばき隊扱いするな」と言ってきますが、こちらかすればネットでの集団リンチに加わっている時点で、充分「しばき隊界隈」なんですよ。

「広義のしばき隊」という言葉がありますよね。ツイッター上でしばき隊の「叩き行為」に同調しているひとたちは「広義のしばき隊」だと、私は認識しています。彼らは路上とツイッター、両方を「闘争の場」としていますから。けれど、都合が悪くなると、すぐに「私は/あの人はしばき隊とは無関係」と主張してきます。なので、このやり取りはもうずいぶん繰り返してきました。そこに、「とあるトランスジェンダーの運動家(ツイッター上ではハンドルネーム)まで森奈津子さんにしばき隊認定されましたね」と誰かが書き込んだのを引用して、野間さんが「森先輩もしばき隊認定します」と言い出したわけです。ですから、野間さんとしては皮肉、嫌がらせのつもりでしょう。

── なるほど。そういう背景だったのですね。でもせっかく認定されたのですから「しばき隊」を正しい方向に誘導するために幹部になられてはいかがでしょうか。

森  そうですね。「リンチ事件」や「セクハラ事件」など解決されていない、被害者が救済されていない問題が山積みですので、被害者救済に力を注いでいきたいですね(笑)。

── 尊師と呼ばれるNO.1の方から、ご本人(森さん)の意向を確かめることなく、しばき隊認定をしていただく。極めて珍しいケースです。加入承諾が出たのですから、それを活かすのも方法ではないかと思います。

森  自分たちには自浄作用がないから、「内部に指摘してくれる人がいれば」という野間さんの想いが現れたツイートではないでしょうか。

── そんな上等なもんじゃないでしょ。

森  ハハハ

── 嫌がらせですね。彼もこれまで様々な手法で「嫌がらせ」をしてきて、そろそろ旧来の手が古くなった。面白くないから新しい技を編み出したのかもしれません。

森  なのに、漫画家の山本夜羽音さんから「そもそも面白くない、ということにまで考えが及ばない野間易通さん(52)」ってつっこまれ、ろくでなし子さんからは「ろくでなし子はしばき隊」というタグを作ってくれとツイートされ、いじられまくりですね(笑)。

◆しばき隊のひとたちがLGBTの運動に入ってきて、自浄作用など望めなくなるという懸念

── さきほどお話に出ましたが、しばき隊であるのか、広義のしばき隊なのか、もっと微妙な立場なのか、いろんな方がいらっしゃいます。厳密に見定めることの意味よりも、こういうことをして喜んでいるのがいい年をした大人たちであることが、どうかなと思います。そしてその中には給与所得者も含まれています。決まった時間中は仕事をしなければならない方々です。仕事中にそういうことに精を出すのはいかがなものかと思います。仕事を失ってしまうひともいます。この行為はいったい何なのでしょうか。

森  先ほど話題に出したトランスジェンダーの運動家などもしばき隊に傾倒されているようです。そういう方でも検索すれば「リンチ事件」とか「ぱよちん騒動」とかは知ることができますよね。なのに、調べていないのか、見て見ぬふりなのか。数日前に、わたしの知人がその方に、しばき隊の暴力性をお教えしていましたが、あいまいな返事しかなく……。つまりその方はしばき隊のいろいろな問題を知っていて繋がっているのではないかと疑いました。

私が懸念するのは、しばき隊のひとたちがLGBTの運動に入ってきて、自浄作用など望めなくなるということです。対レイシストの闘争でも、しばき隊関係者のひとが何人も身バレして不幸になっていますね。仕事を失ったり。自業自得の人もいますが、あんな状態でしばき隊がLGBTの運動に入ってくれば、不幸になる当事者が出るでしょう。それでいいのか?と私は思いますが、いいと思っているひとがいると知って驚きました。

すでに言論でもなんでもない罵詈雑言や嘘。あるいは相手の言葉を悪意にとらえたうえでの叩き行為。わたしは「しばき隊しぐさ」と呼んでいますが、それを進んでやるLGBTのひとが出てきています。

── さすが、作家先生ですね「しばき隊しぐさ」。綺麗な言葉です。

森  以前から問題となってる「江戸しぐさ」みたいな感じで(笑)。たとえば、大勢でひとを口汚く罵るとか、ひとを叩くためにデマを流すとか、「謝れ、謝れ」の大合唱とか、特に女性対し居丈高とか、批判者に対してはすぐに「レイシスト」「ネトウヨ」のレッテルを貼ってネットリンチとか。

── なるほど。(つづく)

◎森奈津子さんのツイッター https://twitter.com/MORI_Natsuko/

◎今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー(全6回)

〈1〉2018年8月29日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27255
〈2〉2018年9月5日公開  http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27341
〈3〉2018年9月17日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27573
〈4〉2018年10月24日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28034
〈5〉2018年10月30日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28042
〈6〉2018年11月8日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28069

(鹿砦社特別取材班)

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