今度の日曜、大阪・紀伊國屋書店での岸政彦先生サイン会がワクワクすぎる!

 
 

 
私たちの奮闘及ばず芥川賞受賞を逃した岸政彦先生であったが、朗報だよーん!  2月5日(日)紀伊國屋書店グランフロント大阪店でトークショーとサイン会が行われるんだ。

2月7日(火)には東京の紀伊國屋でもサイン会が予定されており、まさに「向かうところ敵なし」の勢い。嬉しいですね。大阪のトークショーは既に満員だそうですが、特別取材班は既に整理券を入手しているので、岸先生からどんなお話が聞けるのか、今からワクワクが抑え切れません。

トークショーのお相手が奥様の齋藤直子さん! やけちゃう! 「夫婦漫談」だなんて。岸先生こんなところでも愛妻振りのイチャイチャ披露しちゃうんですか! 特別取材班が嫉妬し過ぎて倒れたら岸先生のせいですからね! もう!!

サイン会は岸先生の『ビニール傘』新潮社 1512円(誰だ! 高いなーなんて失礼なことを言っているのは! )を買えばだれでも参加できそうだから(整理券がいるらしいがまだ余裕はありそうだ)。Do not miss it ! これ、関西の人は行くしかないしょ。そう岸先生はご自身のツイッターでも宣伝なさっているから、私たちは絶対に行かなくちゃ!

特別取材班はトークショーはもちろん、サイン会には二桁の人数でお邪魔して、貴重な『ビニール傘』に各自の名前を、直接岸先生に書いてもらおうと思ってるんだ。もちろんツーショットの写真撮影もお願いしちゃお(岸先生、今度は顔を隠さないでネ)。握手して頂いてた手は1年は洗わない。キャーあの岸先生に会えるんですもの!

 
 

特別取材班にはむくつけき男ばかりではなく20代の女性もいるんです。ジェントルマン岸先生は女性には優しいですよね。でも要注意ですよ。うちの若い女の子、ひょっとしたら取材班中で一番過激かも。見た目はおとなしいけど、突っ込みだすとベテランが顔色変えて止めないとどこまでも突っ走っちゃうんですよね。もちろん紀伊國屋様や岸先生にご迷惑をおかけすることはありませんよ。

でも仕事じゃなくてあくまで個人的に出かけて行って、岸先生にお話するのを私たちは止められません。言論の自由は憲法で保障されているのですから。

どんな質問をするのかなぁ。

「岸先生、初恋はいくつでしたか? 」

「4年間も肉体労働をされていたんですよね。ちょと胸の筋肉触ってもいいですか?(ウフッ)」

「『派手でもコテコテでもなく、希望やいいことはなく、貧しい高齢者が多い、そんな大阪が好き。この街に死ぬまで付き合っていきたい』っておっしゃっていましたが、『大阪に希望やいいことはなく』って大阪人のアタシからすると、ちょっと? やねんけど……」

「おいらも『大阪に希望やいいことはなく』って大阪ヘイトじゃないかと思う。岸さんを見損なった。マイノリティーの気持ちがわかってたらこんなこと言わないよね」

「とにかく『M君事件』ですよ。『M君事件』岸先生は事件直後に知ってたというじゃないですか。『ビニール傘』買いましたけど、『反差別と暴力の正体』持ってきたからこちらにサインもらえません? 」

「岸先生お久しぶりです。この顔写真と僕の顔見たら思い出してくれますよね」

何十発も殴られても、ひたすら耐えたM君
「岸先生お久しぶりです。この顔写真と僕の顔見たら思い出してくれますよね」

ワオ!

あたりまえだけどどこかの団体と違って「日当5万円」などというデマを流されるような資力も能力も鹿砦社にはないから、交通費も『ビニール傘』購入費用も特別取材班は全部自腹だよー。なけなしの細い腹を切ってでも岸先生に会いたい!

君に会いに行くよ~
君に会いに行くよ~
愛してます 好きにしてよ~
君に会いに行くよ~

The Boomの「星のラブレター」を口ずさみながら、日曜午後は紀伊國屋書店グランフロント大阪店にみんな、集まろう!


◎[参考動画]多部未華子出演のTHE BOOM「星のラブレター」MV(Short.ver)

(鹿砦社特別取材班)

在庫僅少『ヘイトと暴力の連鎖 反原連-SEALDs-しばき隊-カウンター』(紙の爆弾2016年7月号増刊)
在庫僅少『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)

「岸政彦先生、芥川賞受賞ならず」に関する謎の記者会見

 
 

  

―― まずは今回の感想を

「そうですね。力及ばずでした。応援して頂いた皆さんにお詫び申し上げます」(パシャ、パシャ、シャッター音とフラッシュを浴びながら)

―― ノミネートされた時点で手応えはありましたか。

「いやぁ。あの時は正直びっくりしましたね。正確にはノミネートされたことを知ったのはかなりあとで、仲間から聞かされたんです」

―― ノミネート直後には知らなかった。

「ええ、こう見えて結構忙しいんですよ。貧乏暇無しってやつ。あ、この表現差別になっちゃうかな(笑)。直後に知っていたらアクションはもっと早かったでしょうし、そうすれば結果もね……」

―― 受賞決定前の数日はかなり注目が集まりました。

「はい、激励や叱咤もたくさん頂きました。でも、こういう言い方はどうかなとは思うけど、ノミネートを知ってからは僕たちなりに必死だった。全力で走りぬけた感はありますね。とにかく『受賞』の一助を担いたいと。発表を聞いた時、僕ら全員泣きましたもん」(「本当か?という無言の質問が矢のように飛んでくるが、会場は一応静まっている)。

―― 気鋭の社会学者が芥川賞受賞実現すれば、ボブディランのノーベル文学賞受賞に似ている、という話題もありました。

「あ、それ、かなり意識はしていたんです。あれ見てカッコイイなと。ボブディランは授賞式に参加しなかったじゃないですか。だから彼も『東京で控えてください』と言われていたらしいんですけど、あえて大阪に縛り付けた。詳しくは言えませんが色々考えたわけです。最後はご本人の意向もありますけど」

◆上昇志向を隠しきれない本性を取材班は見抜いていた

―― 受賞の確信はおありになった?

「うーん、確信なんて持てませんけど、なんか天啓(受賞しない)みたいなものはあって。だから僕らは動いたのかな。僕らの中で議論したんですけど、実は彼がかなりの上昇志向なんだと読み解いたんです。たぶん無意識に。 」
  

 
 

  
「『地味に』とか『片田舎でひっそりと』とか『無名』とかそういう言葉が出ちゃうってことは、脳のどこかで真逆のことを発信している神経細胞、生理というか、もうこれは生得的なモノなんでしょうけどそういうものを『持っている』。だから『紀伊國屋じんぶん大賞』受賞のコメントでも『この本の最大の特徴は、何の勉強にもならない、ということだと思います。いちおう社会学というタイトルはついていますが、これを読んでも社会学や哲学や現代思想についての知識が増えることはありません。これは何の役にも立たない本なのです』と書いているんですが、直後に『この本で書いたことは、まずひとつは、私たちは無意味な断片的な存在である、ということと、もうひとつは、そうした無意味で断片的な私たちが必死で生きようとするときに、「意味」が生まれるのだということです』ってかなり断定的な言い方してるじゃないですか。押し付けがましいほどに。僕らから見たらこれは明らかな矛盾ですよ。決定的ともいえる意味の亀裂です。けど彼は矛盾と感じてはいない。これはかなり重要なポイントで、おそらく多くの読者も気づいていないと思うな。でも僕らは、それを見逃さなかった。あ、話それちゃったごめんなさい。確信はなかったけど、受賞に向けて最大限に力を尽くした。これは言い切れます」

―― 作品自体はお読みになりましたか?

「いや、あんなもの読んでる暇ないですよ。それほど悠長な暮らしはしていませんよ(笑)。だって僕たちは毎日、毎日原稿書いて、1本いくらの生活しているわけですから。日雇労働みたいなものです。世間には『読まなきゃ批評しちゃいけない、現場にいなきゃ発言しちゃいけない』と厳しいことを言う人がいるのは知っています。でも選挙で人柄に惚れて候補者に投票するなんてことは、日常的にあるわけです。『小泉現象』なんかまさにそうだったわけじゃないですか。作品から作家に興味を持つ場合もあれば、作家の人となりから作品の受賞を応援することだって許されていいんじゃないでしょうか。まあそのきっかけが僕らの場合偶然にも『M君リンチ事件』への彼の関わりだった訳で、これは大学教員としての見解を聞くべきだ、と思いましたね。僕らはジャーナリズム論を声高に掲げるつもりは全然ないけど、他のメディアが酷過ぎるるでしょ。それは申し訳ないけど断言しますよ。鹿砦社特別取材班なんかたかが10人足らずですが、今の報道状況への疑問は共有していますね。それが取材の根源を支える力にもなっている」

―― 受賞にはいたりませんでしたが、どのくらい貢献されたと思いますか。

「それはわからない、としか言えませんが、言えないこと、書けないことを含めて皆さんが想像される以上に頑張った。まあ、このくらいで勘弁してください」

―― 次回作が気になりますが。

「うーん。ギャラ次第ですかね。冗談ですよ(笑)。だって大学からの給与もあるし、共稼ぎですから、経済的には全然困っていないわけです。テレビ出演なんか準備はそんなにいらない割にギャラはいいし。僕ら日雇いとは違うんです。それからこれは強調したいんだけど、たぶん彼は本業の手を抜く気はないんですよ。研究者としてという意味です。だから次回作は未定でしょうね。と思ったらツイッターで『このたび残念な結果になりましたが、心からほっとしております(笑)。ここまで来ただけでもすごいことだと思います。みなさまのおかげです、ありがとうございました。今後も書き続けていきたいと思います。よろしくお願いします』とか『さあ、飲みに行くで!!!!(笑)みんなほんとにありがとー! また書くから絶対読んでね!!!』とか書いている。このあたりが僕らにはひっかかる。まあ正直と言えば正直な気落ちの吐露でしょうが、こういう言行不一致から人間性が見えてくるわけです」

―― これからも書き続けるということは芥川賞受賞を狙った大学教授ということになりますね。

「それを狙っていたわけです。彼には是非階段を上がって頂いて、著名になって欲しかった。経歴はだいぶ異なるけど、同じ大阪出身の高橋和巳を目指してほしいですね(「無理だよ無理!」の声が飛ぶ)、ああ、じゃあ高橋源一郎くらいにしときましょうか(爆笑)。でも毎年ノーベル文学賞候補になって、何年たっても受賞できない村上春樹って惨めだと思いません?そりゃ本出だしゃ売れるし、海外での翻訳も多いけど、あの露骨な『ノーベル賞欲しいよー』にはこっちが恥ずかしさを感じる。彼にもそうならない保証はないし、そのあたりは今後も注視しますよ」

―― ここまで熱心に応援された理由は何でしょうか。

「たぶん次の編集長には私がなると思っていた。それもありますね」

―― ちょっと意味が解らないんですが。
  

 
 

 
「僕らも解りませんよ。業務時間中のほとんどを『ネットパトロール』に費やしていて、国会前集会の決壊の準備までしていた藤井正美さんにはかないません」

―― ますますわからないんですが。

「しばき隊にそんなこと言ったら『ボケ』、『カス』、『死ね』と言われちゃいますよ(笑)。僕らは体張って仕事してますけど、笑いを大切にしているので(ただうちわネタ過ぎて解りにくいでしょうけど)、時に数人しか笑ってもらえなくても、死ぬほど笑わしたいという変な欲求があるんです。鹿砦社には吉本も手が出せませんしね(笑)」

―― 受賞応援以外にも何か目的があるようにも思えますが。

「『なおさらノーコメント』って言わせたいんでしょ(爆笑)。もちろんありますが、それは鹿砦社の出版物を読んで頂ければわかるのであえて発言するのは控えます」

◆鹿砦社特別取材班の地道な取材は続く

―― 特別取材班の次のターゲットは。

「引き続きこの問題に取り組まざるを得ないでしょう。というよりも、すでに今手一杯なんですよ。もちろん中心は『M君リンチ事件』。問題意識に変わりはありませんが、彼を襲った『しばき隊』が、そろそろ実質的にも力を失ってきている。これはかなり確信を持って言えます。彼らの相方であった『在特会』がおとなしくなって存在意義が揺らいじゃった。そこに『M君リンチ事件』が世に広まったでしょ。一部のコアな人を除いてそりゃ離れますよ。理念なき野合、しかもヒステリックじゃなきゃはじかれる訳でしょ。それからこの取材をしていると最近痛感するんだけれど、事件や自然災害にしてもそこへ向けられる人びとの注目、関心の期間・スパンがすごく短くなっている。これは社会的には良くない傾向だと思います。たぶんマスメディアの影響が大きいのでしょうが、大事件でも、年中行事でもニュースの価値・意味付けに対する感覚が、根元の部分で歪んでしまっている。しかも、マスメディアが持ち札を切るスピードは増すばかり。だから『風化』というのは、あらゆる事象に共通する現代的な問題だと思います。それに抗う意味でもわれわれは原則的に問題を追います。これは本当に地味な作業ですが『M君リンチ事件』は最後までフォローしますよ」

―― ありがとうございました。受賞おめでとうございました。

「いやいや、受賞できなかったじゃないですか」

―― 記者クラブから「芥川賞アシスト特別賞」を鹿砦社特別取材班に授与します。

「え!本当ですか?」

―― はい、副賞は岸政彦氏へ再度の取材依頼です。

「光栄です。次回は前回のように簡単には引き下がりませんよ。岸先生にお伝えください。他のメディアがやらなくて、提灯持ち記事ばかり書けば書くほど、僕たちは燃えるんです。僕たちは権威も権力も怖れませんから。『M君リンチ事件』隠蔽に彼が果たした役割も追い続けます」

(鹿砦社特別取材班)

 
残部僅少!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)
 増刷出来!『ヘイトと暴力の連鎖』

本日発表の芥川賞、岸政彦先生が受賞されたら大阪「祝いの宴」はこの面々で

 
 

  
芥川賞第一回は1935年、石川達三の『蒼氓』が受賞している。『蒼氓』が芥川賞第一回の受賞作とは知らなかった。筆の早い石川達三は後に押しも押されぬ文壇の大御所となり、日本ペンクラブの会長まで上り詰めた。ただ、「芥川賞」=「作家としての将来を保証される」かといえば、かならずしもそうではなく、文学の世界では新人作家の登竜門的色合いが濃いとされている。芥川賞に対して直木賞は「受賞すれば生涯食うのに困らない」と言われるだけあって、作家の中でもすでに一定の評価が定まった候補の中から受賞者が決まる。

さて、ごたくをならべるのはここまでだ。いよいよ本日17時に第135回芥川賞の受賞者が発表される。英国のブックメーカー(英国ではあらゆることが賭けの対象となる)が芥川賞受賞者予想を賭けの対象にしているか、英国在住の友人に聞いてみたが「聞いたことないよ」とのことだった。まあそうかもしれない。英国人にとっては賭けるにしても、判断材料が少なすぎるのだろう。

◆宴の場は大阪、十三の「美味しいホルモン焼いている」店にしたかった

でももし、日本で同様の賭けが合法であれば、特別取材班は迷いなく、岸政彦先生の『ビニール傘』にどーんと張る。そして受賞のあかつきには、払い戻し金を手に、受賞記念パーティーを独自に準備する。場所は大阪、十三の「美味しいホルモンを焼いている」店にしたかったが、あいにく昨年10月末で閉店してしまったので、コリアNGOセンターに場所をお借りしてまずは一次会だ。パーティー参加者には『反差別と暴力の正体』で取材対象となった方々も招待しよう。

祭りだ! 祭りだ! 岸先生が文豪への第一歩を歩みだされた記念の日、これを祝わなくて、何を祝う。岸先生の洋々とした前途を祝し、著名人もたくさん招待しよう。有田芳生参議院議員、作家の先輩中沢けい氏、なにかと話題の香山リカ先生、取材班の田所敏夫は絶縁したけれども、この際のりこえねっとの辛淑玉さんにも声をかけよう。あんまり関係ないけど合田夏樹さんも呼ぼう。司会進行は元鹿砦社社員の藤井正美氏にお願いするのがいいだろう。撮影係りは秋山理央氏をおいてほかにはいまい。特別取材班は黒子に徹する。社長松岡もこの日ばかりは裏方だ。

◆お祝いスピーチのトップは李信恵さんしかいないだろう

岸先生「受賞の喜びのご挨拶」に続くスピーチのトップは、やはり先生に一門(ひとかど)ならぬお世話になっている李信恵さんしかいないだろう。李さんも「やよりジャーナリスト賞」受賞作家だからこれで受賞作家同士、さらに友情と信頼が深まることだろう。李信恵さんの『鶴橋安寧』を出版した「編集者の罪は重い」と李さんに憎悪を抱いていた朴順梨さんも、受賞者が岸先生ならば文句はあるまい(あれ? 朴さんが李さんを嫌っていたことって内緒だったっけ?)。先輩作家の中沢けいさんからは「何か不都合な取材や質問を受けた時は『なおさらノーコメント』よ」とユニークなアドバイスが飛び会場が笑いに包まれる。岸先生の笑顔が絶えることはない。

 
 

  

◆「文学におけるヘイト」をテーマに野間さんだって語ってくれる

宴たけなわで登場は、ソウルフラワーユニオンの中川敬さんだ。プロのミュージシャンの生歌が聴けるのも、やはり岸先生の人徳がなせる技だ。中川さんは「騒乱節」を披露してくれ、会場の盛り上がりは最高潮に。参加者の酔いがほどよく回ったところで、「NO HATE TV」でおなじみの安田浩一さんと野間易通さんが「文学におけるヘイト」をテーマにトークショーを披露だ。最近ツイッターで何を書いてもリツイートが激減している野間さんだが、この日ばかりは張り切っている。「調査なくして発言権なし」と国会議員になってもジャーナリスト魂を忘れない有田先生は、控えめにも会場の隅でメモをとっている。スピーチも固辞された。なんと謙虚な方だろう。有田先生の横には寺澤有氏の姿がある。必死で何かを有田先生に語り掛けているようだが、有田先生は取材に忙しく寺澤氏に構っている暇はないらしい(無視か)。合田夏樹さんはいつも通り綺麗どころを口説きまくって、いや、楽しませている。

懐かしいあの顔が見える。シースルーじゃなくてブルーシールでもなくてなんだっけ・・・。えーっと、シズル、違う。シールズだ! 憲法9条2項改憲主義者にして「民主主義ってなんだ」と自問しながら一橋大学の大学院に進学した奥田愛基氏だ。「民主主義ってなにか」わかったのだろうか? 時代の寵児としてもてはやされたけど関西では、司会の藤井正美氏らがコントロールしていて、「極左探し」の名のもと何の関係もない学生2人を「極左認定」しパージ(追い出し)していたシースルー、じゃなかったシールズ。見通しも風通しも悪かったよな。まあいいか。

◆芥川賞受賞記念パーティーのサプライズ

さあ、これで終わると思ったら大間違い。芥川賞受賞記念パーティーにはサプライズがなくてどうする。会場の照明が消えた。ざわつく会場に音声が流れ始めた。

「どっちや!どっちやゴラァ。言うてみぃ オラ(一発大きな殴る音)。言うてみんかい!(一発)。こっち来いコラクソガキ。どヘタレ」、「訴えたらええやんけそれやったら。徹底的にこっちもやったろやないけ。それで俺がパクられても上等やんけお前。売るか売れへんか見てみろや。頭下げへんで。お前なんかに。訴えられたって。あん?お前の味方してくれる奴何人おんのやろのぅ。これで。京都朝鮮学校の弁護団? お前の味方になって もらえると思うか?」

物騒な怒鳴り声が会場にこだまする。闇の中、聞くに堪えないと会場から出ようとする人もいる。怒声はさらに続く。
  
「KさんとかMさんでも誰でもええわ。今おるあいつらも。Iさんでも、Tさんでも男組でも。お? 勝負したろやないけ、それやったら。やるか!? どっちや!? 訴えてみぃやお前!(ドスッという音)おぉ、いつ起訴する?やってみぃ。(一発)コラ。いつや? 明日か? 明後日か? どないすんねん。弁護士事務所ドコ行くねん? どの弁護士行くねん。やってみぃや!コラ (一発)。クソが。やってみぃ、やってみぃ言うとんのやぁお前(一発)。おい。腹くくったから手ぇ出しとんねん、こっちはお前。あぁ? やったらええやんげ、やんのやったらぁ。受けたるからぁ。とことん。お前その代わり出た後、お前の身狙ろて生きていったんぞコラ」

「もうやめましょうよ」岸先生の声が響いた。その時だ。会場の正面左側にスポットライトが照射された。顔を腫らした男性が立っている。「キャー」参加者から幽霊でも見たような奇声があがった。無理もない。男性の顔は腫れあがっているだけでなく、唇は切れて血が滴り、鼻血も出している。男性は無言だ。またしても会場に女性の声が響いた、少し酔ったような口調だ。

「まぁ殺されるんやったら店の中入ったらいいんちゃう?」

 
 

  

スポットライトを浴びた男性は顔から血を流しながら、岸先生の方へ向かう。手に何かを持っているようだ。岸先生の顔が心なしか蒼褪めている。男性は小さな封筒から紙を取り出した。静まり返った会場で彼はその紙を読みだした。

「『李信恵さんの活動再開は、Mさんが最初期からカウンターの最前線に立ってヘイトスピーチに反対する活動をおこなってこられたお気持ちに反することはないものであると考えております。どうぞご理解いただき、ご了解いただきますようお願いいたします』これ、受け入れられませんのでお返しします」

紙を封筒に戻すと、少し血の付いた手で男性は岸先生に封筒を手渡した。岸先生の手が震えている。そして先生は消え入りそうな声で男性に語り掛けた。懇願しているようだ。

「これインターネットとかに出さんといてくださいね」。男性は黙って首を横に振った。

しまった! 寝過ごした。変な夢を見た。今日は岸先生の受賞発表の日じゃないか、記者会見抜かりなくこなすぞ。

 

(鹿砦社特別取材班)

残部僅少!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)
増刷出来!『ヘイトと暴力の連鎖』

M君がより『意味のある』存在として成長してほしいと願う岸政彦先生の哲学

 
 

  

If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive.
If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.

人は強くなければ生きてはいない。
優しくなければ生きているに値しない。

レイモンド・チャンドラーが、代表作『プレイバック』で登場人物に語らせた有名なセリフだ。ハードボイルドの雰囲気を吹かせながら「優しくなければ生きている資格はない」と締めるあたり、チャンドラー節全開で読む者を唸らせる。

さて、このセリフがぴったり当てはまる岸政彦先生がノミネートされた芥川賞受賞者の発表がいよいよ明日17時に迫って来た。謙虚で物静かな岸先生は発表を控えてどんなお気持ちだろうか。岸先生の謙虚さを示す格好のテキストがあった。「紀伊國屋じんぶん大賞2016」を受賞された岸先生のコメント、お人柄がにじみ出ている。

◆「とつぜんこのような大きな評価をいただき、戸惑い混乱するばかりです」

「このたびは過分な賞をいただき、ありがとうございます。これまで、アカデミズムの中心からは遠く離れた大阪の路地裏で地味に生きてきましたが、とつぜんこのような大きな評価をいただき、戸惑い混乱するばかりです」。

「地味に生きてきましたが」、なんて岸先生ファンが見たら「ウソ!! マサヒコ!」と絶叫しそうだ。

「この本の最大の特徴は、何の勉強にもならない、ということだと思います。いちおう社会学というタイトルはついていますが、これを読んでも社会学や哲学や現代思想についての知識が増えることはありません。これは何の役にも立たない本なのです」。

クー!しびれる。凡人の頭には浮かばないセリフだ。「これは何の役にも立たない本なのです」などという「自己否定」と等価な断言。みずからの著作に「いたらぬ部分が多々あって」とか「自分の勉強不足が恥ずかしいです」くらいの恥じらいを見せる人は多々見受けられるが、全共闘の「自己否定」、「大学解体」にも通じそうな(?)この全否定に取材班を含め読者は一発で、ノックアウトされるのだ。

◆「私たちがこの世界に存在することに意味はありません」

「私たちがこの世界に存在することに意味はありません。私たちは路上に転がる無数の小石とまったく同じなのです」。

ウォー! これ後世に残る名セリフじゃないか。フランシス・ベーコンや、カント、サルトルに匹敵する思想の域に岸先生は既に達している。そうか、長年解らなかったけど「私たちがこの世界に存在することに意味」はなかったんだ。「路上に転がる小石」と同じなんだ。なんという大胆な哲学。西田哲学、黒田哲学にも負けない「岸哲学」の真骨頂にただただ感服するばかりだ。

「この本で書いたことは、まずひとつは、私たちは無意味な断片的な存在である、ということと、もうひとつは、そうした無意味で断片的な私たちが必死で生きようとするときに、『意味』が生まれるのだということです」。

なるほど「私たちは無意味な断片的な存在」なんだ。だから「必死で生きよう」としない人はいつまでたっても「無意味」な存在。含蓄が深い。こんな怖い言葉を投げつけられたら「必死で生きよう」なんて普段考えてもいない、取材班のメンバーは「無意味な存在」だらけだと恥じ入るしかない。

何十発も殴られても、ひたすら耐えたM君
 
 

  
◆何十発も殴られても、ひたすら耐えたM君の「生きる意味」

でも、取材班は「必死で生きよう」としている若者を知っている。集団リンチ被害者のM君だ。M君は殴られて右目が腫れて、見えなくなっても、何十発も殴られても、顔を蹴られても、ひたすら耐えに耐えた。

彼は顔をボコボコに殴られたためか、あるいはPTSDのためか、殴られたことは覚えていたが、顔を蹴られたことを忘れていた。刑事記録を紐解く中で、取材班が「おいM君、君殴られただけじゃなくて顔を蹴られてるがな!」と伝えるまでM君にそのことは記憶になかった。「命を守る」のに必死だったのだろう。

岸先生おっしゃるところの「生きる意味」を体現しているのがM君であるが、そんなM君の「生きる意味」をさらに強固にする試練を、岸先生は過去にお与えになっている。事件直後加害者の「聞き取り」に岸先生が同席したことは昨日述べた通りだ。そしてその後加害三者からの「謝罪文」がM君に届く。李信恵氏は謝罪文の中で、「反省の気持ちを表すため、ツイッターもフェイスブックも休止しました。また、新規での講演を引き受けないことにしました。(中略)Mさんの気持ちを考えると自粛することが最善だと思ったからです。それが償いになるとは思っていませんが、自分なりに考えて行動に移しました」2016年(2015年の書き間違いだろう)2月3日付、李信恵氏手書きの「謝罪文」には上記を明言している。

 

◆岸先生が事務局長を務める「李信恵さんの裁判を支援する会」の言

ところが、2015年4月8日付「李信恵さんの裁判を支援する会」の名前で「李信恵さんの活動再開について」と題された文書が代理人を通じて一方的にM君に届けられ、累々言い訳を述べた上で最後は以下のように結ばれている。繰り返すが岸先生は、「李信恵さんの裁判を支援する会」事務局長だ。意思決定に大きな影響を及ぼしたことは間違いない。

「李信恵さんの活動再開は、Mさんが最初期からカウンターの最前線に立ってヘイトスピーチに反対する活動をおこなってこられたお気持ちに反することはないものであると考えております。どうぞご理解いただき、ご了解いただきますようお願いいたします」

さすがである。取材班はこれまで「岸哲学」を学んでいなかったのでこの通告がたんにM君への約束を踏みにじる、無茶苦茶な行為としか理解できなかったが、そうではなかった。これは「私たちは無意味な断片的な存在である」前提に立った、岸哲学の真髄がなし得た、ある種の弁証法だったのだ。

常人には理解できないだろうけども、理解できない人がいるとすれば、「岸哲学」を学び直すべきだ。M君がより『意味のある』存在として成長してほしいと願う岸先生が、われわれの思いつかない深い愛情でM君に試練をお与えになったのだ。必死で生きることを余儀なくされた『意味のある存在』であるM君にとって、岸先生は恩師かも知れない。

(鹿砦社特別取材班)

残部僅少『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)

芥川賞候補の岸政彦先生は公正な社会学者で個人的事情を優先するはずがない!

 
 

  
岸政彦先生は龍谷大学で教鞭を取る社会学者として有名だ。『同化と他者化──戦後沖縄の本土就職者たち』(2013年)、『街の人生』(2014年)、『断片的なものの社会学』(2015年)と毎年優れた著作を出版しておられる。『断片的なものの社会学』では「紀伊國屋じんぶん大賞2016」を受賞されている。CiNii(学術論文検索データベース)で検索すると59件の論文がヒットする。非常に研究熱心な岸先生は業績も秀でているといえよう。

◆たぐいまれなる情熱と能力に脱帽

学生に講義をして、専門分野の研究に汗をかき、さらに小説まで手掛けておられるのだから岸先生のたぐいまれなる情熱と、能力には脱帽するしかない。テレビ出演や新聞への寄稿も多い。

そして忘れてはならないのがそんな多忙の合間を縫って、「李信恵さんの裁判を支援する会」の事務局長まで引き受けておられる献身性だ。学者たるもの机上で論文を書き連ねるだけでなく、それを社会に還元するのが使命だろうが、岸先生はそれを実践している。ご立派、研究者のかがみだ!

しかも岸先生は勇敢だ。「M君リンチ事件」直後にコリアNGOセンターで行われた加害三者(李信恵、エル金、凡各氏)への「聞き取り」にも足を運んでいる。社会学者にとってフィールドワークや「聞き取り調査」は基本中の基本。岸先生はその場で加害者達から「真実」を聞き出したに違いない。そして加害三者は過ちを認めM君に「謝罪文」を伝えることになる。

◆2014年大晦日の不思議な出来事

でも、岸先生が加害三者に「聞き取り」を行ってから、M君に謝罪文が届くまでにちょっと不思議な出来事があった。「聞き取り」は2014年12月30日に行われたのだがその翌日、12月31日に凡氏がインターネットで配信していた「凡どどラジオ」に岸先生はゲスト出演していたのだ。「聞き取り」では「真実」を知ったであろう岸先生がその翌日に加害を認めた凡氏の配信に出演しているのは??

この件については辛淑玉氏も凡氏の行動をきつくたしなめている(詳細は『ヘイトと暴力の連鎖』、『反差別と暴力の正体』をご参照頂きたい)。でも前日に「聞き取り」という名の「民間取り調べ」に参加した岸先生が翌日に罪を認めた人物の配信に出演するのはなんかおかしくはないか? M君がどう思うかをお考えにはならなかったのだろうか。

あ、そうだ、「推定無罪!」。警察に逮捕されても、送検されても判決確定までは皆さん「推定無罪」が社会の常識。だから岸先生は罪を認めた凡氏をも、分け隔てすることなく「事件など無かったかのように」平気で配信に参加されたのだ。そうだ。そうに違いない! でなければ単に言行不一致の誠実ならざる人格となるが、そんなことはない。岸先生の人権原則を踏み外さない「推定無罪」を体現して下さった姿勢に、取材班はあらためて先生の偉大さを痛感する。

え? でも凡氏は関西大学で岸先生が教えていた頃の教え子だって? 嘘でしょ。公正な社会学者として、岸先生がそんな個人的事情を優先するはずがない。絶対にない! じゃあこの写真を見ろって?

え? これ岸先生「紀伊國屋じんぶん大賞2016」祝賀会での凡氏との2ショット? 事件のあと? うそだ。信じない。この写真は加工されたものに違いない! 凡氏はM君への謝罪文で活動停止を約束していたじゃないか。

岸先生はそんな人じゃない(はず)。まだきょうは芥川賞候補者だけど、19日の17時には、晴れて「芥川賞受賞作家」になるんだ。岸先生は清廉潔白、公正無比な聖人だ!

(鹿砦社特別取材班)

残部僅少『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)

岸政彦先生に芥川賞を!

鹿砦社特別取材班は1月19日17時を心待ちにしている。『反差別と暴力の正体』巻頭グラビアに登場した、あの岸政彦先生の『ビニール傘』がノミネートされている、第156回芥川賞受賞者が発表されるからだ。今年のノミネートは岸先生のほかに加藤秀行氏『キャピタル』、古川真人氏『縫わんばならん』、宮内悠介氏『カブールの園』、山下澄人氏『しんせかい』と力作ぞろいである。

特別取材班としては、是が非でも龍谷大学社会学部教授にして、「李信恵さんの裁判を支援する会」事務局長である岸先生に受賞して頂き、全国から絶大な注目を浴びる「芥川賞受賞作家」として確固たる地位を築かれることを切に願う。

岸先生は謙虚な方でおられるので、下の写真で受賞を固辞されているようにも見えるが、違う、違う!! これは特別取材班が、岸先生の研究室に「M君リンチ事件」についてお話を伺いに行った際に質問にはお答えを頂けず、記者のIDをスマートフォンで撮影したくせに、「この写真インターネットとかに出さんといてくださいね」と記者に懇願されたお姿である。

 

特別取材班は岸先生のこんなみっともない姿を二度と見たくはない。1月19日には堂々と「芥川賞受賞作家」として持ち前の甘いマスクから、満面の笑顔を見せて欲しい。そして受賞記者会見では記者の質問に堂々と答えてもらおう。天下の芥川賞受賞作家だ。2度もの「ノーコメント」はないであろう。岸先生! 授賞式には伺いますからね。

でも誰が事件について質問するかをここではまだ明かさない。特別取材班はこのかん、社外の大手メディアにも協力者を獲得してきている。司会者が「事前注意」で「今回の受賞に関係のない質問はご遠慮願います」と注意しようがしまいが、受賞会見の様子はニコニコ動画で生中継されるのだ。偉大なる尊師によればドワンゴはけしからん会社だそうだが、そこで中継される岸先生はどんなご様子だろうか。

今から授賞式での岸先生の姿を想像すると興奮を抑えきれない。芥川賞は公営財団法人日本文学振興会、まあ実質的には文藝春秋が仕切っている。芥川賞の選考委員は小川洋子、川上弘美、堀江敏幸、宮本輝、村上龍、山田詠美、吉田修一、高樹のぶ子、奥泉光、島田雅彦(順不同)の各氏だ。

特別取材班はどこかの団体とは違うので「文藝春秋に岸先生を推薦するFAXを送ろう」とか「選考委員じかにメールでプッシュしてください。割り振りは以下の通りです」などと読者の皆さんに間違えてもお願いするようなまねはしない。しかし、世は因果なもの。何が起こるかわからないとだけ予測しておこう。

(鹿砦社特別取材班)

残部僅少『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)

2016年の鹿砦社 『ヘイトと暴力の連鎖』『反差別と暴力の正体』をめぐる疾風怒濤

 
 

 
 身の丈を考えれば、形にすることが出来るのか、仮にできたとしても、詰め込む火薬の量は不足がないか、不安がなかったわけではないが乗りかかった船だ、後戻りは選択肢にはなかった。

◆反原連からの絶縁状と「しばき隊」社員の解雇

2015年12月2日、一方的に反原連から絶縁状を突き付けられた鹿砦社は、くしくも翌日この界隈「しばき隊」の重鎮である元社員を解雇することになる(後から振り返れば、このタイミングは双方にとって偶然ではあるが象徴的でもあった)。理由は職務時間中に膨大な量の私的ツイッターを行っていたこと、その中には企業恫喝まがいの内容や鹿砦社を毀損する書き込みが多数含まれていたことだ。

言論を主戦場にしている出版社にとって、社員の個人的意見は最大限尊重されるべきではあるが、本務と全く無関係な「趣味」に多大な時間を割くことは、明確な就業規則違反であるので、この処分は致し方なかったが、まさかその数か月後に彼らの「最暗部」を突き付けられることになろうとは思いいたることもなかった。今日では言わずと知れた「M君リンチ事件」だ。

◆「M君リンチ事件」の衝撃

複数筋から持ち込まれた、この事件の情報を前に正直私たちは、背筋が凍る思いがした。しかし、持ち込まれた情報を精査してゆくうちに、事件はただならぬ背景を帯びていることが明らかになった。反原連との腐れ縁を、あちら側から「絶縁」してもらい、他の方はどうか知らないが、私は結果的に僥倖だったと感じていたが、それどころではない大事件に直面することになった。

今だから明かすが、当初は鹿砦社のような小規模出版社ではなく、中央のマスメディアで取り上げられるべき「事件」であろうと考えていた。なにせ被害者は「死んでもおかしくない」(医師の見解)暴力を受けており、事件発生直後に110番通報をしていれば、加害者たちは確実に現行犯逮捕されたに違いない。被害者M君の話を聞き、周辺関係者に取材を進める中で「これは鹿砦社が引き受けざるを得ない」覚悟が次第に固まってきた。取材に取り組むライターや資料を整理する人員も数人ではこなせないので、鹿砦社としては異例規模の「特別取材班」が立ち上がり、私自身も加わった。

当初はネット上での攻防も盛んであったが、「特別取材班」はあえて、ネットを戦場から除外した。その主たる理由は対抗する「しばき隊」が、事実がまったくない事柄でもでっち上げ、それを多数で盛り上げることにより、あたかも実在する(した)かのように作り上げる手法を得手としていることを早期に発見したからだ。

私たちは、一義的に文字媒体での発信を重視することに力点を置いた。しかしながら深夜に、本来漏洩するはずのない情報や、証拠などがネット上を駆け巡ることがたびたび発生した。情報を見つけた「特別取材班」のメンバーは共有のために、全取材班に速やかに連絡を行い、対策を協議する。眠れぬ夜を数多く過ごしたのが春から初夏にかけてであった。

◆7月14日『ヘイトと暴力の連鎖』発刊

7月14日『ヘイトと暴力の連鎖』を発刊。今読み返せば至らぬ点も見当たるが、初めて「M君リンチ事件」の情報に接して3か月余りで『ヘイトと暴力の連鎖』を世に出せたことについては、それなりの評価を得ることができ、初版は完売。重版するまでに注目が集まった。これほどたくさんの方々に読んでいただけた理由の一つには、同書の衝撃的な内容もさることながら、これまでまともに「しばき隊」現象に踏み込んだ書籍がほぼ皆無であったことも挙げられるだろう。

「反原連」、「しばき隊」、「SEALDs」、「C.R.A.C」などが類似した行動形態を持っていることは、なんとなく感じられていたが、それらを牛耳る中心人物が実は同一の集団であり、国会議員、大学教員、知識人、弁護士などを巻き込みながら、隠れ蓑を被った一大勢力にまで膨張していることを知り、取材班の中には恐怖感を訴える者も出た。しかし、繰り返しになるが「乗りかかった船」をおりるわけにはいかない。「M君リンチ事件」だけでも十分に大事件だが、彼らの行動様式を知れば知るほど、そのファナティックさ、唯我独尊さが危険極まりないものであることが認識された。

◆警察と結託する「下からのFascism」実践者たち

当初は目前に現れた、被害者M君の事件実態を明らかにし、その問題点を炙り出すことに焦点を置いていた特別取材班は、取材を進める中で、その取材方針は間違いではないもの、さらに広い視野でこの現象をとらえる必要性を感じはじめた。

 
 

彼らは「反差別」、「反安保法制」、「難民歓迎」、「反原発」、「マイノリティー擁護」、「沖縄基地反対」と一見耳障りの良い主張を展開してはいるけれども、その現場では警察と結託し、彼らと主張の異なる人々を「こいつら逮捕してくださいよ!」と機動隊に懇願する本質を有していた。これは少なくとも「市民運動」では絶対に許されない、過去の歴史にも恐らくない破廉恥な行為だ。そして実際に逮捕者が出ると彼らは拍手をして「お巡りさんありがとう!」と声を挙げる。

なんだこいつら!! どこが「Anti-Fascism」なんだ。逆だろう。彼らこそ誰に命令されることもなく、抗議行動参加者を「意見が違う」というだけで警察に差し出す「下からのFascism」実践者ではないか。「民間Fascism」と言い換えてもいいだろう。そうであるから彼らの行動は《Fascism》が必ず包含する「排除主義」、「排外主義」に陥っていくことは必然であり、その犠牲者としてM君は苛烈なリンチ被害を受けることになったのだ。

◆「M君リンチ事件」の隠蔽に関わった多数の著名人

『ヘイトと暴力の連鎖』発刊後、鹿砦社には多様な情報が寄せられるようになった。そして、手持ち資料の中に超ド級の資料も発見される。元社員が解雇に際して、おそらく必死の思いで抹消を試みたと思われる、「しばき隊」中心人物たちとの間で交わした膨大な量のメールだ。

その一部を目にした社長松岡の怒りは察して余りある。「M君リンチ事件」の隠蔽と正当化を図る「説明テンプレ」や誰がどの人間にそれを説明するか、の役割分担まで詳細に割り振られた「声掛けリスト」はこれ以上ない「組織的隠蔽と正当化」を示す証拠として、彼らの悪辣な行為を雄弁に証明している。

有田芳生参議院議員にはじまり、安田浩一、西岡研介といった有名ジャーナリストや複数弁護士、大和証券部長で身分がばれた人物まで、数多くの主要人物の名前が収められたこのリストを目にしたとき、取材班一同は「やはり…… しかし、まさかここまで」と、呆れかえったものだ。

◆11月17日『反差別と暴力の正体』を発刊

「徹底的に洗え!」松岡の指示のもと、取材班は40名(団体含む)へ質問状を送付し、主として「M君リンチ事件」への見解を伺った。まともな回答を返してくれたのは、『週刊金曜日』発行人の北村肇氏と『人民新聞』の山田洋一氏の二人だけだった。盛り込みたい証拠や情報は次から次へと現れる。しかし紙面の限界も考えなければならい。寺澤有氏は独自取材で駆け回って頂き限られた時間でほぼやれることはやり尽くし11月17日書店に並んだ『反差別と暴力の正体』は『ヘイトと暴力の連鎖』にも増して、大きな衝撃を呼んでいる。

その間にM君はツイッターで彼の名前と所属大学を明かし、幾度も誹謗中傷を繰り返した野間易通氏を5月24日名誉毀損で、7月4日李信恵氏をはじめ、エル金、凡(ともにツイッターアカウント名)、伊藤大介、松本英一の5氏に対して損害賠償の提訴を大阪地裁に行った。2つの裁判ともこれまでに複数回の期日が開かれ、対野間氏裁判は次回2月3日で結審する模様だ。

◆疾風怒濤は2017年も続く

疾風怒濤で1年が過ぎ去った感がある。まさか2016年鹿砦社がエネルギーを割く対象が「彼ら」になろうとは予想だにしなかったし、その結果一部とはいえ社会から強い注目を浴びることになろうとなど望んではいなかった。2016年鹿砦社に与えられたミッションの1つは、期せずしてやってきた「M君リンチ事件」と正面から取り組み、「下からのFascism」をけん引する勢力との全面対決だった。

2冊を世に出し、特別取材班は一息ついている。しかし一息つきながらも年末年始をゆっくりと過ごせそうにない。なぜならば『反差別と暴力の正体』を超える重大情報の山の解析に余念がないからだ。「次は死者が出ますよ」M君の言葉を現実のものにしないために資料の山との格闘は当分終わりそうにない。

(鹿砦社特別取材班)

『ヘイトと暴力の連鎖 反原連-SEALDs-しばき隊-カウンター』(紙の爆弾2016年7月号増刊。7月14日発売。定価540円)
『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊。11月17日発売。定価950円)

「浪速の歌う巨人」趙博の不可解すぎる裏切りの連続

 
 

  
『反差別と暴力の正体』は私たちの予想を超えて広く読まれている。編纂に関わった者としてはありがたい限りだ。そして予想通りながら読後感の多くに「正直びっくりした」「何か重たい気持ちが残った」が共通している。本書に綴った事実の羅列は、たしかに性悪の作家が敢えて、最悪の終末を用意した小説のようである。

しかしながら事実はそのように進行し、現在も加害者たちは同様の行為を継続しているのだから手に負えない。しかも一部の人間どもはさらに精鋭化しM君や鹿砦社への露骨な敵意を剥き出しにしつつある。

当該人物の名誉毀損攻撃はすべからく保存してあることは言うまでもない。鹿砦社の「言論弾薬庫」には次々と新型兵器が搬入され続けている。このようなことはわれわれの望む手法ではないが、これ以上の攻撃が続くようであれば、小型の迎撃ミサイルの1発くらいは発射せねばならない局面がやって来るかもしれない。

事件の周辺では、どす黒い思惑を持った連中が蠢いている。その中でまた不思議な動きが先日あった。M君に対して、驚くべき〈裏切り〉を行った趙博(通称パギヤン)が知人を介してM君に「会いたい」と打診をしてきたのだ。

仲介を依頼された知人はM君を助ける立場で一貫した発言を続けている方であり『反差別と暴力の正体』に仮名で登場する方だ。謎解きのような気分でツイッターを「ネットパトロール」して頂ければ、読者諸氏にもその書き込みは容易に発見することが可能だろう。ただ膨大な書き込みから当該箇所を見つけるのには骨が折れる作業なので、書き込まれたのは12月1日とだけ、ヒントを差し上げておく。

この書き込みの中で当該の方は「パギやんが謝罪を行ったのは、彼がツイッターの事情がよくわからないまま暴力事件のまとめサイトを作ったことで、ひどいツイートを集めてしまったことで混乱を招いた点について謝罪したのであって、事件への批判について謝罪をしたのではないということです。つまり印象操作です」と書いておられる。しかし事実は違う。「事件への批判について謝罪をしたのではない」は嘘だ。証拠を示そう。下記の趙博による《■李信恵さんへの謝罪文■》をご覧いただきたい。これは本年5月7日に趙博自身が当人のフェイスブックに書き込んだものだ。

この中で趙は、
「5月5日の会談で、私の『確信』はすべて根拠のないことが充分にわかりました。傷つき孤立しているCさん(著者注:M君を指す)を思う余り、私は彼の情報だけを頼りにしてきたのです。しかし、今その誇張と虚偽が判明した以上、私は李信恵さんに謝罪するしかありません(以下略)」
と書いている。

趙博による■李信恵さんへの謝罪文■
趙博による■李信恵さんへの謝罪文■
 
 

  
趙は事件後自ら「事件のことを知りたい」とM君に接近してきて、表面上は親身にM君のことを心配し、M君も趙に信頼をおいていた。しかし、5月初頭に趙は上記にある通り、腰を抜かすような〈手のひら返し〉を行う。この時も趙はM君を自分の事務所に呼び出し、何らかの話をしようと企図していた。過去に支援してもらった恩義を感じていたM君も「男と男の話をして来ようと思います」と趙の誘導に乗りかけていたが、取材班と松岡がそれを思いとどまらせた。当時松岡と趙の間で交わされたのが、下記のやり取りだ。

▼2016年5月6日 18:52 (※趙博から松岡及び複数の人たちに送られたメール)

昨日、李信恵とじっくり話しました。先ず、信義の問題として私が謝罪します。次に、被害者たるM君(著者注:元文ではM君の本名)の誇張と嘘がはっきりしました。今日、彼と会う約束でしたが「精神的にしんどいので日を改めて欲しい」とのことでした。僕は逃げたと判断します。ともあれ、大阪の運動を潰すわけにはいかないので、僕が悪者になります(笑)。李信恵たちとの信頼関係は全然壊れていませんので、ご心配なく

▼2016年5月7日 7:31(※趙博への松岡からのメール)

趙 博 様
拝復 メール拝受いたしました。 人の心の変わりようとはこんなものかと驚くばかりです。残念です。30年余りの付き合いのある私の親友も「わからんなあ」と頭を抱えておりました。 M君は真に趙さんを信頼していたんですよ。一夜でガラッと趙さんの態度が変わり、彼の精神的打撃は察するにあまりあります。何か一夜で趙さんが心変わりするほどの重大なことがあったのでしょうか? M君は直前まで趙さんに会いに行くつもりでしたが、私たちが止めました。彼が逃げたのではなく私たちが逃がしたのです。一昨年の12月、何かあると察し逃げていれば、くだんのリンチ事件は起きなかったわけで、今回も何か起きそうな予感がしましたので、会いに行くのを止めた次第です。特に精神的に参っている中で一人でのこのこ出かけていけば、自らの意に沿わないことにでも従わざるをえなくなりかねないからです。趙さんはどういう意図で彼を呼ばれ何を話されようとしたのでしょうか? 「誇張と嘘」──趙さんはこれまでM君の「誇張と嘘」に騙されていたんですね? また、私たちも彼の「誇張と嘘」に騙されているのでしょうか? 彼の「誇張や嘘」とは具体的にどのようなことでしょうか、教えてくだされば幸いです。 果たしてM君の「誇張と嘘」とはいかなるものか、臭いものに蓋がされることなく、裁判や報道などで、その〈真実〉が明らかになることを願ってやみません。 李信恵さんら加害者3人の謝罪文、事件翌朝の悲惨な写真、録音テープなどもあるのに、M君に「誇張や嘘」があるとは到底思えません。 私もこの歳になると争い事や暴力の匂いがあることから避けたいと思い生きてきたところ、ひょんなことで、この問題に関わるようになりましたが、これだけの証拠もあるのに「誇張や嘘」があると言われると、逆に私は〈真実〉を知りたいと思います。この件に限らず、私の信条として、あくまでも被害者や弱い立場の者の側に立ち、今後も陰に陽にM君をサポートしていく所存です。 趙さんは近々に「謝罪文」を出される由、大きな関心を持って拝読させていただきたいと思っています。 趙さんの更なるご活躍を祈っています!

敬具
5月7日 鹿砦社 松岡利康

その時、趙博に多大の期待をしていたM君のみならずわれわれの驚きと落胆は大きかった。この悔しさは忘れることができない。

5月のGW前後、4月28日に『週刊実話』がM君リンチ事件のことをコラム記事で小さく報じたところ加害者側が『実話』に抗議、『実話』はあえなく「謝罪・訂正文」をそのHP上に出し形勢逆転、機を見るに敏な趙は、それまでの勢いはどこに行ったか、加害者側に寝返った。その後、高島章弁護士や『世に倦む日日』らが、李信恵らの「謝罪文」、辛淑玉文書、そしてリンチ場面の生々しいテープ起こし、リンチ直後のM君の顔写真らを公開、一気に形勢再逆転、さらにくだんの『ヘイトと暴力の連鎖』『反差別と暴力の正体』出版によって形勢はM君側に大きく傾いてきている。そうした情況での、今回の「話し合い」の申し出、いくらなんでも虫が良過ぎるのではないだろうか!? 他のところでも、趙の似たような言動の情報が寄せられているが、風見鶏はやめろと言いたい。

趙博は「浪速の歌う巨人」と自称しているが、一連のコウモリ的行為を表するならば「浪速の謡う虚人」と言われても仕方ないのではないか。どれだけM君の精神を無茶苦茶にすれば気が済むのだ。

われわれ取材班は趙博の裏切りの連続に、たとえようもない腐臭を感じる。

(鹿砦社特別取材班)

在庫僅少『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』
重版出来『ヘイトと暴力の連鎖』!

『反差別と暴力の正体』残部僅少!M君裁判当日に表れた彼らの焦り

 
 

 
好評を頂いている『反差別と暴力の正体』の在庫がついにゼロになった。残りは書店でまだ売れておらず、あなたに買われることを待っている残部少々である。やや自慢のようになるが、増刷をかけなければ『反差別と暴力の正体』は、近く必ずプレミア価格が付与され、ネット上で取引されることになるだろう。

ここでは詳述しないが、直接、間接の「反発」も今回は散発的に見られた(見当違いの指摘がほとんどではあったが)。また11月28日大阪地裁で行われたM君が李信恵氏をはじめとして5氏を訴えた裁判の開廷前に、廊下で開廷を待っていると、被告(反訴原告)の伊藤大介氏がM君に近づき「何を気持ち悪い視線で見てるんだ!」「メンチ切ってるんじゃないよ!」と毒ついてきた(「M君の裁判を支援する会」ツイッターより)のも、追い詰められた彼らの焦りの表れといえよう。

 
2016年11月28日付け「M君の裁判を支援する会」ツイッターより
2016年11月28日付け神原元弁護士ツイッターより

沖縄、高江で抗議行動に参加していたとされる、しばき隊のメンバーが次々に逮捕されている。中には東京で沖縄県警に令状逮捕され、沖縄まで移送されたと言われている人物もいる。

鹿砦社特別取材班は沖縄県警の、この逮捕弾圧を糾弾し、被逮捕者の早期釈放を求める。逮捕された人間がしばき隊の人間であろうが、なかろうが権力の弾圧に与するような姿勢を鹿砦社は断じて取らない。沖縄現地の闘いと連帯し、不当長期勾留が続く山城博治さんの奪還同様に、しばき隊であろうが逮捕されている人々の奪還も求める。

まかりまちがっても「逮捕してくれてお巡りさんありがとう」などといった、社会運動の大原則を踏みにじる言動に鹿砦社は1ミリも与しないし、認めない。しばき隊にも人権があり、権力からの不当弾圧には、正面から抗議し被逮捕者の奪還を戦うべきだと考える。

しかし、ここで考えてほしいのは、鹿砦社の原則的な立場と、しばき隊がいまだに拘る言説の軽薄さの差異である。のりこえネットTVでは現地レポーターとして横川圭希氏などまで登場するようになっているが、横川氏は昨年経産省前で3名が不当逮捕された際、勾留理由開示公判のあと知人たちに「警察の逮捕には全く問題はなかったんだから」、「救援連絡センターがその場面の動画を上げるなって言ってきた。わけわからねぇ」と発言していた。

訳が分かっていないのは横川氏である。有料メルマガを配信し、いつのまにかしばき隊の隊列に加わった横川氏は、いまだに、いい歳をして〈権力対反権力〉の基本的構図すら理解できていないようだ。のりこえTVに出演した横川氏や現地での行動報告者の発言には司会の辛淑玉氏ですら「今何を言っているのか見ている人にはわからないと思うんだけど」と、ムッとして発言の要領の悪さを指摘される一幕もあった。

 
 


◎[参考動画]のりこえねっとTV「-高江特派員報告-とことんノーへイト!」(のりこえねっとTube 2016年11月22日ライブ配信)

相変わらず分かっていないのだ。極々基礎的なことが理解できていない。結果的にそれが沖縄現地の人々の足を引っ張ることに繋がってはいまいか。しばき隊連続逮捕劇が意味するも、それはもう権力はしばき隊が不要になった。いや邪魔ですらあるから「一掃してしまおう」との意思だ。本気になれば権力は遠慮などしない。

数年にわたり警察権力、なかんずく公安警察と懇ろであったしばき隊には、つけが回ってきたということだ。国会前で闘う学生や市民を「あいつら過激派だから逮捕してくださいよ」と警察に懇願した、あの許しがたい大罪が、今警察の翻意によって、しばき隊に襲い掛かっているのだ。彼らは可及的速やかにこれまで展開してきた運動の過ちを反省し、総括すべきだろう。

問題とする社会現象のすべてに「ヘイト」の冠をつけて語ろうとする無理無茶に早く気が付くべきだ。綱領なき(しかし暗黙の病理的体質を持つ)運動は、一度解体をして再構築するしかないだろう。

そうでなければならない理由のカギが『反差別と暴力の正体』には詰め込まれている。残部僅かである。一刻も早く書店へ!

(鹿砦社特別取材班)

『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊。11月17日発売。定価950円)

◎ウェブ書店在庫確認リスト◎
amazon 
ヨドバシ.com 
模索舎 
トーハンe-hon  

『反差別と暴力の正体』への反響、有田芳生議員へ問う!

 
 

 
11月17日に発売された『反差別と暴力の正体』は、猛烈な反響を呼んでいる。アマゾンへは3度納品したがそれも既に売り切れた。21日更に230冊納品し、鹿砦社の在庫も底をつき、残りは書店に並んでいるものだけだ。

発売前に『反差別と暴力の正体』の告知をした途端にアマゾンへは予約が殺到したようだ。また反響も凄まじい。主としてTwitter上であるが、評価9割、非評価1割といったところだろうか。鹿砦社はかねてより「左派系」出版社との認識をお持ちの方が多いようだ。「左派系」かどうかはともかく、鹿砦社が何事にも“批判的”な視点を持ち、付和雷同ではない“本音”の言論を目指していることは間違いない。

当然、このようなご時世であるから、政治や世界を論評すれば、必然的に「反体制的」な視点にならざるを得ない。最低、最悪の政権下での暮らしを余儀なく押し付けられている私たちは、当たり前だが〈権力〉を撃つ。

同時に「反差別」「反権力」「マイノリティー擁護」といった、耳ざわりの良いフレーズを謳い文句に、その実真逆の行動を取る連中が、政権や権力中枢同様に危険であることも歴史が証明するところだ。この国が何度も繰り返してきた〈下からのファシズム〉だ。よって鹿砦社は「M君リンチ事件」を放置はできなかったのだ。

こんな表現を本当は使いたくはないが、鹿砦社は出版界のマイノリティーだ。「M君リンチ事件」はメジャーマスコミに早期から知れ渡っていたが、どの報道機関・出版社もこの事件を報じることなく、放置・傍観していた。しばき隊は言う、「マイノリティーの権利を守れ!」と。守ってもらおうではないか。出版界のマイノリティー鹿砦社を!(もちろん冗談だ)。

Twitterではなく長文のメールで感想を寄せてくれた方がいた。その中で以下の記述があった。

〈「しばき隊」犯罪の隠蔽工作を貫徹しようと思ったら、証拠物件の破壊は第一段階ですが、犯行暴露の意志をもつ人々を、切り崩そうとしたり、抹殺することだってやりかねないと思います。なにしろ既成左翼や既成の社会正義団体や名前の売れた既成の「社会正義市場の文化人・大学人」などの「左翼ぶりっこ」稼業を脅かす問題なのですから。

鹿砦社スタッフに対する「事故とみせかけた暴行や殺傷」の試みすら、奴らは行なう可能性があると考えて、「街を歩くときはクルマに気をつける」とか「駅では後ろから押される恐れがあるのでプラットホームでは中央付近に居るようにする」などの基本的な身辺防衛に努めたほうがいいと思います。
神経質のように思えるでしょうが、革命的警戒心は必要です。

激動の時代は、偽善の仮面が剥がれる、文字どおり「試練の時代」です。
そういう時代には「誠実に怒り、誠実に闘う」ことが、パワーになると私は信じています〉

この方のアドバイスは些か過剰と思われる読者もいるかもしれないが、あながち失当ではない。表面上『反差別と暴力の正体』で質問状を送った人たち全員に本書を贈っているが全員が「沈黙」している。しかし、今回質問状は送っていないが、取材担当の寺澤有が取材を申し込みながら断った人物がいた。

伊藤大介氏のFacebookで見つけた有田芳生議員の書き込み

これは「M君リンチ事件」裁判で被告になっている伊藤大介氏のFacebookだ。何度も質問状を送った有田芳生議員が「事実でないことが、さも事実であるように書いてありますね」と、明確に述べている。偶然有田議員の傍には野間易通氏がいたという(ずいぶん懇意だと告白してくれている)。

 
 

有田議員に尋ねる。『反差別と暴力の正体』中、どの部分が「事実」ではないのか。貴殿がFacebookやTwitterで発信するのは、一般人が発信するのと訳が違う。あなたは国会議員、つまり公人中の公人だ。寺澤有の取材要請に応じることなく、なにおかいわんやである。

われわれの取材や分析に「事実ではない」ことがあるのであれば、訂正をしなければならない。誤った解釈や判断でどなたかを傷つけたのであれば訂正をするのにやぶさかではない。であるから有田議員には必ずこの質問には答えていただきたい。万が一具体的な誤りの指摘がない場合は国会議員による「マイノリティー出版社」への、恣意的な「圧力」と判断するしかない。

『反差別と暴力の正体』の中で松岡が述べている通り、やや大袈裟ではあるが「私たちは命をかけて」取材し、本書を世に出した。真っ当な批判や事実誤認の指摘であればもちろん受けて立つ。

しかし、そうでない場合は、われわれにはそれなりの覚悟がある。まだ弾薬庫は空ではない。

(鹿砦社特別取材班)

『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊。11月17日発売。定価950円)

【内容】

1  辛淑玉さんへの決別状

2  「カウンター」「しばき隊」とは何者か?――
背景と呼称について

3 リンチ犯罪を闇に葬ろうとする市民運動つぶしの
“テロリスト”たちを許してはならない!

4 リンチ事件をめぐる関連人物の反応――
著名人、知識人、ジャーナリストらの沈黙、弁明、醜態

5 M君リンチ事件の経過――
驚嘆すべき大規模な〈隠蔽工作〉と〈裏切り〉の数々

6 二つの民事訴訟(対李信恵らリンチ事件加害者、対野間易通)
提起の経緯と概要

7 合田夏樹脅迫事件 
有田芳生参議院議員が沈黙する理由

8 “見ざる、言わざる、聞かざる”状態に警鐘!――
M君リンチ事件と、「カウンター」-「しばき隊」の暴虐に対する私たちのスタンス

[補項]

ろくでなし子さんアムネスティ講演会中止未遂事件としばき隊ファシズム

「カウンター」-「しばき隊」相関図

◎ウェブ書店在庫確認リスト◎
鹿砦社 
amazon 
ヨドバシ.com 
模索舎 
トーハンe-hon