『紙の爆弾』2月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

あけましておめでとうございます。

今月号では昨年12月号に続き、元外交官の東郷和彦氏が、高市早苗首相の「台湾有事発言」と、12月に発表されたアメリカの新国家安全保障戦略をもとに、変動する米中日関係を解説しました。まず、「台湾有事発言」より前に、中国側が高市首相に対し“念押し”をしていた事実に注目。この発言に前段があったことがわかります。一方、アメリカは新戦略文書でバイデン政権時代の「価値観外交」からの転換を表明すると同時に、安全保障の中心を“西半球”に据えると明言しました。詳細は本誌記事をご参照いただくとして、日本にとって問題は、高市氏の外交が今の世界をどう捉えているのかが不明であることです。本誌記事がわかりやすく、事態を読み解きます。

1991年のバブル崩壊を起点とすれば、2026年は「失われた35年」を数えます。経済学者の中尾茂夫氏が前号で指摘したよう、1968年から約40年間、GDP世界2位を保った日本は、2010年に中国に抜かれ3位に、2023年にはドイツに抜かれ世界4位に転落。IMFの予測では、2025年にインド、2030年にイギリスにも抜かれて6位への後退が見込まれています。かつての「中流」が「下流」に押し流される形で、貧困というより格差が拡大。日本全体の国民総生産も転落を辿っていることは、この国の進むべき方向が誤っていることの証左といえます。そのような中で、「日米同盟が日本外交の基軸」「原発は必要で排除すべきは二酸化炭素」「日本人は戦争被害者」「健康は病院と薬がつくる」といった多種多様な“神話”がはびこり、論理的・科学的・歴史的・経験的な事実をやすやすと駆逐し続けてきたのが日本の近現代史です。真実に立ち返り、これら神話をひとつひとつ打破していくことは、本誌の役割といえます。

第2次安倍政権の大スキャンダル「森友事件」の現場である大阪府豊中市の旧森友学園用地は、すでに学園から返却され、国交省=国の所有地となっていますが、国交省はなぜか3度目の調査を行ない、昨年10月3日に「5000トンの埋設ごみが見つかり、撤去費は6億3000万円」と発表。マスメディアがこれを「約2万トンとされた従来の推計量の4分の1に減った」と報道しました。しかし、事件の経緯を追えば、森友学園への「8億円値引き」の根拠とされた埋設ごみが「存在しない」のはすでに明らかであり、ならば今回の「5000トン」は、地中から湧き出るように現れたことになります。これを放置すれば、次の売却においても「不当値引き」が行なわれかねません。森友事件の核心である「埋設ごみ」はどのように偽装されてきたのか。「数字」を追いつつ、真実に迫ります。

ほか2月号では、山上徹也裁判で飛び出した安倍晋三元首相の「潰瘍性大腸炎」詐病証言の真相、アメリカの巨大メディア再編がもたらす日本への影響、「親の虐待」にばかり注目が集まる裏で根深い児童相談所の闇、「文化を守れ」では太刀打ちできない国際金融の表現規制など、2026年も本誌だけの情報と問題提起を発信していきます。

『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年2月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2026年1月7日発売

高市政権と米国新国家安全保障戦略 米中日の新局面 東郷和彦
高市首相の大いなる勘違い 台湾有事は存立危機事態ではない 足立昌勝
デマゴーグが闊歩する風土(下)「ニチベイ」と脱亜 中尾茂夫
安倍晋三「詐病」証言から考える 山上徹也の理性と社会の狂気 野田正彰
「旧森友学園用地」で国交省「新埋設ごみ5000トン」発表 国有地から湧き出るごみは背任の証 青木泰
米メディア買収・再編 日本の報道・エンタメはアメリカ企業に乗っ取られる 片岡亮
最高裁が仕組んだ原発八百長裁判の全貌 偽装された社会の本質を見抜こう
“文化論”では闘えない 国際金融が変えた「表現規制」の地形図 昼間たかし
日本の“行政拘束”を考える 児童相談所「子どもの一時保護」の闇 たかさん
「再エネ」と「移民」世界を荒らす怪獣はどこから来たのか 広瀬隆
対米追従一辺倒に戦略はあるのか 多極化する世界に高市外交を問う 木村三浩
LGBT問題の現在「性別変更」をめぐる日本のいま 井上恵子
高市早苗が蘇らせた連合国「日本包囲網」藤原肇
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2025年の重大ニュースTop12 佐藤雅彦

連載

例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GCFDZ4P4/

《緊急報告》深刻なベネズエラ

ロベルト・トラバホ・エルナンデス(AL PRESS代表)

地域を揺るがす予想外の展開として、今週土曜日未明、アメリカ合衆国はベネズエラで一連の空爆を実施し、最終的にニコラス・マドゥロ大統領と妻のシリア・フローレスを拘束した。米国のドナルド・トランプ大統領は、自国の特殊部隊が作戦を成功裏に遂行したと発表し、「安全な移行」を保証するまで、ワシントンが南米の同国を一時的に管理すると述べた。この行動は国際社会で大きな反響を呼び、介入支持と主権侵害としての非難に分かれている。

攻撃はカラカスの要所、すなわち軍事施設フエルテ・ティウナやラ・カルロタ空港、さらにイゲロテ周辺に集中した。目撃者によれば、現地時間午前1時50分ごろに爆発音があり、航空機の飛行と複数地域での停電が確認された。米国当局によると、作戦は米陸軍デルタフォースが主導し、米側に死傷者はなく、数時間で終了したという。マドゥロとフローレスは就寝中に自宅で拘束され、ヘリコプターで米海軍艦艇USSイオー・ジマに移送され、その後ニューヨークへ向かった。両名は麻薬テロ、コカイン輸入の共謀、武器所持などの罪で起訴される見通しで、これらの容疑は、マドゥロがベネズエラ政府と結びついたとされる麻薬密売ネットワーク「太陽のカルテル」の首領と指摘された2020年の告発にさかのぼる。

トランプはフォックス・ニュースやニューヨーク・タイムズなどのメディアに対し、この行動を「独裁者であり麻薬王でもある人物に対する見事な作戦」と表現した。米国はベネズエラを一時的に「管理」し、石油インフラの修復と、過去の収用により「史上最大の財産略奪」とみなしている原油産業への米企業の参画に重点を置くと述べた。介入の承認について議会と協議したかどうかは明言せず、マリア・コリナ・マチャドなど亡命中のベネズエラ野党との対話も否定した。

ベネズエラ国内では、政府が国家非常事態を宣言し、死傷者数や被害規模はなお確認中とされている。副大統領デルシー・ロドリゲスは国営テレビに出演し、トランプの主張を否定し、マドゥロ夫妻の「生存証明」を要求するとともに、今回の行動を「誘拐」であり「前例のない軍事的侵略」だと非難した。国民に対し、外国軍のいかなる存在にも抵抗し、主権防衛のために団結するよう呼びかけた。国防相のウラジーミル・パドリーノ・ロペスも攻撃を「侵攻」と断じ、抵抗を約束した。現時点でカラカスは比較的平静を保っており、軍の展開はあるものの、大規模な混乱の報告はない。

この緊張激化の背景には、積み重なった対立がある。2024年7月のマドゥロの再選をめぐり、野党や複数の国際社会が不正とみなしたこと以降、ベネズエラは抗議活動、弾圧、そしてハイパーインフレや物資不足、700万人を超える大量移住を伴う経済危機に直面してきた。米国は制裁を課し、マドゥロへの懸賞金を2020年の1,500万ドルから2025年には5,000万ドルへと引き上げた。これまでにも、ベネズエラ船舶への攻撃や、制裁対象の石油タンカーに対する封鎖が行われている。

国際的な反応は深刻な分断を示している。アルゼンチン、エクアドル、パナマ、ボリビアなどは、民主主義回復への一歩として介入を支持し、野党のエドムンド・ゴンサレス・ウルティアを正当な当選大統領として支持した。イスラエルとウクライナも「専制との闘い」を理由に支持を表明した。

一方で、コロンビア、ブラジル、メキシコ、キューバ、チリといった中南米諸国は、国際法および主権の侵害として強く非難し、コロンビアは国境に部隊を動員、ブラジルは「許容できない一線」と位置づけた。アジアと欧州では、中国、ロシア、イラン、フランスが「侵略」「覇権主義」と批判し、欧州連合と英国は自制と国際法尊重を求め、情勢を注視している。国連は月曜日に安全保障理事会の緊急会合を招集し、アントニオ・グテーレス事務総長は「危険な前例」を作ると警告した。

影響は不透明で、チャベス派政権の崩壊、野党主導の移行への道、あるいは地域紛争への拡大を招く可能性がある。専門家は、世界最大とされるベネズエラの膨大な石油埋蔵量への関心が重要な要因だと指摘する。一方、マチャドらベネズエラ野党は、今回の拘束を「法の執行」と受け止めつつ、自由な選挙を求めている。国際社会は、世界的な不安定さが増す中、深い懸念をもって成り行きを見守っている。

▼執筆者紹介: ロベルト・トラバホ・エルナンデス
AL PRESS代表(CEO)、世界ジャーナリスト会議(WJC)ラテンアメリカ・カリブ地域ディレクター。
出典: GRAVE VENEZUELA
https://www.actualidadglobalinternacional.com/post/grave-venezuela

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年1月4日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

《表紙》『原子力明るい未来のエネルギー』 紆余曲折を経て 今は文字盤だけが倉庫に眠る(絵=鈴木邦弘)

メガソーラー計画は本当に止まったのか? 田久保眞紀前伊東市長総たたきの真意

高橋清隆(紙の爆弾2026年1月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

「東洋大学卒業」の学歴詐称疑惑が連日マスメディアでやり玉に挙げられ、わずか5カ月で静岡県伊東市長の座を追われた田久保眞紀氏。人口6万3000人の小さな市の首長がなぜ、これだけのことで全国規模のネガティブキャンペーンを受けるのか? 田久保氏がストップを掲げた各事業をつぶさに見ると、地元の建設・不動産・観光など土着利権のみならず、グローバル資本の壮大な思惑が見え隠れする。

◆新図書館建設に影落とす巨大詐欺事件

読者諸賢は、メディアによる伊東市長たたきに学歴以外の理由があることはご察しではないか。「学歴詐称」というなら、東京都の某知事の方が悪質だ。真っ先にメディアが葬っていなければおかしい。

当の田久保氏は、マスコミによる集中砲火の原因をどう捉えているのか?失職から1週間ほど後に面会した筆者が単刀直入に質問をぶつけると、「既得権益を脅かしたからでしょうね」と微笑を浮かべながら、半ば達観したように答えた。

筆者が把握する大きな権益は3つある。一番目は、新市立図書館の建設だ。5月、市長選に立候補した際、選挙広報には4つの公約が掲げられていた。その筆頭が「『新』図書館建設は中止します!!」だった。「将来計画に合わせた公共設備投資を」「市民の声を十分に反映した計画へ見直しを」とつづり、総工費42億5500万円の無駄を糾弾している。

現在、市の臨時駐車場となっているこの用地には、かつて「伊東マンダリン岡本ホテル」が建っていた。被害総額258億円、被害者7800人に及ぶ巨大詐欺事件「岡本倶楽部(クラブ)事件」の舞台である。「会員権を買えば全国の系列ホテルに格安で泊まれる」との触れ込みで200億円以上を集めたが、2011年にオーナーの山口組系組員が組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕。懲役18年の実刑判決が出て、現在も服役中だ。

件後に閉館した同ホテルは14年に競売に掛けられると、地元建設会社「東和開発」が約5000万円で落札。この約4000平方メートルの土地と建物を伊東市が翌年、約2億500万円で買い上げた。主導したのは、当時の佃弘巳(つくだひろみ)市長。業者から仲介役を通し1000万円以上の現金を受け取ったとして18年に収賄罪で逮捕。懲役2年・追徴金1300万円の有罪判決が確定し、服役した。この事件については、本誌19年11月号に詳述されている。

新図書館建設は佃元市長が議会対策のため後付けで考えたとの証言が明るみに出ている。次の小野達也前々市長は佃氏を特別顧問に迎え、同事業を引き継ぐように推進していた。これに異を唱えたのが田久保前市長で、2025年5月の市長選で小野氏を破り当選する。

市長就任翌日、建設事業の入札を停止し工事を止めた。しかし、地元紙が図書館計画の正式な廃止を報じたのは、失職後の11月14日だった。筆者は田久保氏に、新図書館建設に反対した率直な理由を尋ねた。すると、意外な答えが返ってきた。

「そもそも今、本を借りて読むのに、これほど莫大なお金をかけるべきなんでしょうか。建設費だけでなく、維持費で年間約2億7000万円も支出し続ければ市の財政を圧迫する」

伊東市も他の多くの自治体と同じく、運営を民間委託している。シェアナンバーワンの業者に喰い物にされるのが必定だが、関係職員はそこへの天下りを待望することから、これを推進する立場にあるという。

◆メガソーラー建設計画は本当に止まったのか?

もともと田久保氏が市政の世界に入ったきっかけは、2016年に同市南部の8や幡わた野の地区で大規模太陽光発電施設(メガソーラー)建設計画が明らかになったこと。

およそ100万平方メートルに1万枚のパネルを敷く計画を、当時の佃市長が承認していた。田久保氏は市民らによる反対運動の先頭に立ち、事業を止める条例制定に奔走し、19年に市議に初当選した。

ここ数年、メガソーラー建設問題は伊東市議会でも地元メディアでも大きな話題に上っていない。2018年に「伊東市美しい景観等と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例」(太陽光条例)が制定・公布されたからだ。

翌年、同条例に基づき、工事実施のための河川(八幡野川)占用申請に対し、市が不許可処分を出している。そのせいか、田久保氏らがXにメガソーラー問題に関する投稿をすると、次のようなコミュニティノート(他人が追加する注意書き)が付いてくる。

〈伊豆メガソーラーは田久保氏が市議になる前に前市長と伊東市議会が全会一致で反対して、2019年以降、計画が止まっているのが事実です。〉

しかし、田久保氏は23年9月の市議選の選挙公報でも「メガソーラー建設の完全白紙撤回を」と、新図書館事業中止とともに2大公約の1つに掲げている。実は、市が作成した「太陽光条例」案はメガソーラー建設の抑制を目指してはいるが、許可制でないため、事業を中止する強制力は持っていない。

事業者の「伊豆メガソーラーパーク合同会社」(以下、伊豆メガ)が同条例の効力の確認を求めた裁判では、同条例は勧告に従わない時には事業者の氏名・住所・勧告内容を公表することができるだけで、強制や罰則などの規定はないとされた(判決自体は伊豆メガ側の請求を「却下」)。

「太陽光条例」案提出時、住民の直接請求を受けて作成された別の条例案があった。こちらはメガソーラーを規制できる内容だったが否決されている。

伊豆メガは河川占用不許可処分の取り消しを求め2019年に同市(小野市長)を静岡地裁に提訴し、市側が敗訴。2021年、東京高裁で市側に裁量権の逸脱・乱用などがなかったことが認められるも、敗訴が確定した。

このことから読者は、「佃市長はこっそり業者の土地利用を承認したけど、次の小野市長は市民と一緒に裁判を闘ったではないか」と言うかもしれない。しかし、2021年に市民の情報公開請求により「確約書」の存在が明らかになる。伊豆メガと小野市長の間で同年2月に交わされたもので、「控訴棄却判決が出た場合、所定の手続きの後、速やかに伊豆メガソーラーパーク合同会社の河川占用許可申請を許可する」との項目が含まれる。

会見で同文書の存在を認めた小野氏は、市の弁護士や庁内での協議を経ず、独断で行なったことを認めた。河川占用許可をめぐり係争中の業者との間で結んだ密約とのそしりを免れない。

控訴審判決で裁量権の逸脱・乱用がなかったのが認められたことを受け、伊東市は再度、伊豆メガに河川占用の不許可処分を通知するが、同社はこの処分取り消しを求め再び提訴。現在も裁判が続く。

この間、伊豆メガの代表社員は韓国系のハンファエナジージャパン株式会社から北9州市に本社を置く株式会社「常」に変わっている。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nd2d4231445b9

映画「生きし」のアフタートークで中村明監督とお話をさせて頂いた

尾﨑美代子

12月15日月曜日、十三シアターセブンで映画「生きし」のアフタートークで中村明監督とお話をさせて頂いた。数日前、埼玉の障害者団体「虹の会」の佐藤さんから「中村監督はスーパー猛毒ちんどん(佐藤さんら虹の会のスタッフと障害者の人たちで作るバンド、私たちは彼らを10年ほど前釜ヶ崎にお呼びした)の映画も撮ってくれましたよ」と連絡頂き、「あらま」と身近に感じていたところ、なんと前日はなライブに来て下さり、なお身近に感じていたところだった。

「生きし」は93年埼玉で起きた愛犬家連続殺人事件をモチーフにしている。主犯の関根(獄中で病死)と共に殺人、死体損壊などで逮捕され、死刑判決を受けた風間博子さんは現在3度目の再審請求中。その風間さんと娘、母親との関係、支援者との関係などを描いている。

上映後のアフタートークではわたしの方から監督に「なぜこの映画を撮ろうと考えたのか」とそのきっけかなどをお聞きした。監督はテレビ局勤務時、長野智子さんがキャクターを務めた報道番組では、東住吉事件の青木恵子さんの冤罪事件などにも関わってきた。映画「生きし」も冤罪・埼玉愛犬家連続殺人事件の冤罪犠牲者・風間博子さんと面会する中で、構想を練り、今回は外にいる娘さんを焦点に取り上げたという。私は映画の前半に出てくる、ちょっと怪しげな男性(風間さんと獄中結婚し、その後、覚せい剤使用で逮捕され、離婚した男性)についてお聞きした。その男性は実在した方だという。

その後、会場からの質問と続きました。この事件で風間さんは殺害は否定しているが、関根の死体損壊を足をもつなどして手伝った。それは関根に風間さんや連れ子の男の子が酷いDVを受けており、その恐怖から断りきれなかったからだ。

一番前の女性が、「長女さんらがDVを見たと証言したらいかがでしょうか」と聞いてきました。私からは、当時の長女は9歳、前日登壇した和歌山カレー事件林眞須美さんの長男は当時10歳だが、彼が言うことは信用されなかったと答えた。言いわすれたがそれどころか、2審で夫の健治さんが「保険金事件を主導したのは自分だ」と主張したが、それすら信用されなかった。

その後、知り合いの岡田有生さんが、グッドタイミングで再審法の質問をして下さった。私は監督の顔をチラリと見て「ガンガンしゃべってもいいですか?」と言ったつもりで、喋りだした。短い時間だったが、何故再審法が必要か、自民党稲田朋美がめっちゃ説得力あるしゃべりをしていたことなどに触れた。稲田の故郷福井県で39年前に起きた福井女子中学生殺害事件で服役した前川さんに再審無罪判決が下された。その前川さん自身が「立法事実」なのだと稲田はきっぱり訴えた。立法事実、この言葉を私は半年前、はんげんぱつ新聞編集長の末田さんにお聞きした。このことのためにこの法律を作る、あるいは改正しなくてはならないという事実だ。

あと、この数年再審無罪判決がだされ、再審法改正が盛り上がって超党派の議員連盟が作られ、法案を提出してきた。そこに「このままだとヤバイ」とチャチャ入れてきたのが、法務省が進める法制審だ。「それじゃダメ」。稲田もきっぱりそう言ってた。井戸謙一弁護士は「検察、裁判所が冤罪を作ってきた。それを統括する法務省が再審法改正を主導するのはおかしい」と非難していたと話した。それに私は「泥棒が戸締まりに気をつけて」というようなものと、付け加えた。

更に埼玉愛犬殺人事件の再審請求では、事件を主導したのが風間さんではなく、亡くなった関根の方だとそれを証明するある人の調書を出させることが大事だとも、多分早口で喋った。全ての証拠を出させるべきだ。冤罪について話だしたら、止まらなくなる。監督すみません。

中村監督は大阪滞在中、2回もはなに来て下さった。一人で釜ヶ崎のあちこちを散策され、釜ヶ崎にも関心を持ってくださった。またひとつ、つながりができそうだ。

◎「生きし」HP https://ikisi-movie.com/

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

「台湾有事発言」は序章にすぎない 日本を襲う高市リスク

孫崎享(文責・本誌編集部/紙の爆弾2026年1月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆安倍「台湾有事は日本有事」発言との違い

2025年11月7日、衆院予算委員会での、日本が集団的自衛権を行使可能な「存立危機事態」に関する高市早苗首相の国会答弁が、中国の大きな反発を招いています。主要部分をまとめれば、

「中国政府が台湾に対する海上封鎖を戦艦で行なった場合には、封鎖を解くために米軍が来援する、それを防ぐために他の武力行使が行なわれる事態が想定される」
「台湾を中国北京政府の支配下に置くために戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」

これは、いわゆる台湾有事における自衛隊の対応について、従来の政府見解(あいまいに留める方針)を踏み越え、「中国による海上封鎖」という具体例を挙げて、日本の自衛隊が「参戦」する可能性を示唆したものです。質問した立憲民主党の岡田克也衆院議員も指摘している通り、2024年9月の自民党総裁選出馬時にも高市候補は同様の内容を述べています。彼女が師と仰ぐ安倍晋三元首相も、2021年12月1日に台湾で行なわれたシンポジウムにオンラインで出席し、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と発言しました。

しかし、これは首相退任後のことで、在任中はむしろ、台湾との接触を控えてきました。内容も異なります。安倍氏は「台湾有事」とは言っても、自衛隊には触れていません。ただ「日本にとっても有事である」との認識を述べたものです(それでも十分に問題ですが)。

高市首相が自衛隊の対応にまで踏み込んだために、これまで中国の外交部門を中心に反論などの対応を行なってきたのが、今回は軍事部門が前面に出てきました。薛剣(シュエチエン)駐大阪総領事のX投稿「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく切り落とす」が話題になったものの、より注目すべき中国側の反応は、11月13日の人民解放軍広報部門による「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える」や、国防省の「日本が台湾情勢に武力介入すれば、中国軍の鉄の壁の前で必ず血を流すことになる」との警告です。

中華人民共和国の成立過程を見れば明らかなように、中国政府においては軍事部門が外交部門よりも圧倒的に上位です。政府トップである習近平氏の第一の役職は中央軍事委員会主席であり、国家主席は国際的な舞台における肩書にすぎません。つまり、外交部門の発言よりも、軍事部門の発言・行動の方が、中国政府の中心から発せられたメッセージと見るのが正しく、普段はそれほど表立って発言しない軍関係者が今回、先頭に立って反応を示したことが、まさに〝一線を超えた?事態の深刻さを示しています。

これを一過性の「騒動」のように語る政府・メディア・世論を含めた日本側の認識は甘すぎると言わざるをえないのです。実はこのことこそ、「台湾発言」にとどまらない、高市政権がもたらす日本にとってのリスクなのですが、この点については後に詳しく述べます。

◆〝中国の脅威〞の真相 

台湾をめぐる情勢の緊迫度は確かに高まっています。日本では、まるで習近平主席が暴走を始めたように伝えられてきましたが、いくら中国が急激に力をつけたといっても、それだけで緊迫化することはありえません。近年において、実際に事態を大きく動かしたのは、2022年8月2?3日、米国のナンシー・ペロシ下院議長(当時)による台湾訪問です。

米国ナンバー2といえる人物による訪台は、当然ながら中国から見れば、外部勢力による介入の度合いが急激に高まったと判断されます。同月4日正午に人民解放軍が台湾を取り囲む形で「重要軍事演習」を開始。11発の弾道ミサイルが発射され、うち5発が初めて日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。

すなわち、〝中国の脅威〞は中国が圧力を強めたというよりも、米国が介入の動きを意図的に示したことをきっかけに高まったのです。ここで米中関係について振り返ると、日中共同声明の前年である1971年に、ニクソン政権のキッシンジャー大統領補佐官が周恩来総理と計39時間に及ぶ機密会談を行ない、キッシンジャー補佐官は「いずれ台湾は統一されるであろう」と述べました。このように当時の米国の認識は、「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場をあえて脅かすものではありません。
 しかし、中国が経済的な発展を遂げ、米国を追い抜く可能性が生まれるにつれ、それを阻止する動きが米国内に生まれます。その戦略の一つとして、米国は台湾問題を利用し始めたというのが現在の情勢に対する中国の認識です。米国の台湾への関与のレベルが上がったことが、中国が軍事演習などの行動に出ている理由なのです。

実際、2015年にGDPの購買力平価ベースで中国がアメリカを追い抜き、アメリカにとってナンバーワンの敵になりました。ウクライナ戦争が継続中でも、国民を含め、ロシアではなく中国こそ一番の敵だということが米国内のコンセンサスとなっています。かつての一時期に存在したウィンウィンを目指す考え方を捨て、いかに中国の影響力拡大を抑えるかが、米国の中心政策となりました。

そこで、米国の軍事シンクタンク「ランド研究所」が2015年から16年にかけて、米軍の委託を受けてまとめた報告書では、かつては中国に対して絶対的優位にあった米軍が、空中戦、サイバー戦など9つの作戦行動のうち、現在において明らかな優位性を保つのはわずか3項目だったと述べ、衝撃を与えました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n1fba48476652

国家でもAIでもなく〝決済〞が言論を殺す クレジットカード帝国の静かな世界支配

昼間たかし(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆通帳の数字が止まると世界が止まる

誰が世界を支配しているのか? 政府か。軍隊か。GAFAか。それともイルミナティか。

全部違う。正解はクレジットカード会社だ。

2社のアメリカ企業が、世界中の決済インフラの90%を握っている。彼らが「ノー」と言えば、どんな合法的なビジネスも瞬時に殺される。裁判も、法律も、民主主義も必要ない。ただ決済を止めるだけでいい。

2024年、日本のインターネットで異変が起きた。4月3日、マンガ・ゲーム等の同人作品のダウンロード販売で国内最大手の「DLsite」が、VISAとマスターカードのクレジットカード決済を停止した。翌日にはアメリカン・エキスプレスも使えなくなり、残ったのはJCBだけだった。

5月21日、クリエイター支援サービス「Fantia」でも、VISAとマスターカードが停止。6月14日、成人向け大手ECサイト「FANZA」がVISAを停止。8月12日、同人誌販売の老舗「とらのあな」からもVISA・マスターカードが消えた。

これらはすべて合法なコンテンツを扱うサイトだ。児童ポルノでも違法な暴力描写でもない。日本の法律で認められたマンガやイラスト、同人誌を販売しているだけだ。それなのに、ある日突然、決済手段を奪われた。利用者が問い合わせても、事業者は「規約違反です」「コンプライアンスです」としか答えない。何が問題なのか、誰が判断したのか、どうすれば解決するのか。何も説明されない。VISAなのか、マスターカードなのか、決済代行会社なのか、AIの自動判定なのか。誰がボタンを押したのか、誰も知らない。

さらに不可解なのは、成人向けとは無関係なサイトまで巻き込まれていることだ。動画投稿サイト「ニコニコ動画」の一部でマスターカード決済が停止され、2024年12月には婚活支援サイト「アエルネ」までVISAに決済を止められた。婚活サイトである。成人向けコンテンツとは何の関係もない。

これは政府による検閲ではない。法律が変わったわけでも、裁判所が命令を出したわけでもない。議会で議論されたこともない。それなのに、合法的なビジネスが次々と殺されていく。「誰も命じていない検閲」が、静かに進行しているのだ。

◆1995年――〝入場券〞が配られた年

時代の分水嶺は1995年だった。この年、アメリカのネットスケープ・コミュニケーションズが世界で初めてSSL暗号化技術を組み込んだウェブブラウザを発表した。これによって、誰もが安全にクレジットカード番号を入力できるようになった。

同じ年の7月に開業したアマゾンは、当初からクレジットカード決済を前提として設計されていた。それまで、クレジットカードは数ある支払い方法の1つにすぎなかった。現金・小切手・銀行振込・郵便振替。選択肢はいくつもあった。カードを持たなくても生活に支障はなかった。

しかし1995年以降、状況は一変した。オンラインで商売をする事業者は、クレカ決済を導入しなければ顧客を獲得できなくなった。消費者は、クレジットカードを持たなければ最新のインターネットサービスを利用できなくなった。現金も小切手も、オンラインでは全く役に立たなくなったのだ。つまり、クレジットカードは「あると便利なもの」から「なければ参加できないもの」に変わった。

カード会社は意図していたかどうかにかかわらず、インターネット経済全体への入場券を握る立場についた。誰がオンラインでビジネスを行なえるか、誰が新しいサービスを利用できるかを、事実上決定する権力を手にしたのである。

そして彼らは、著しく成長した。VISAは1990年代を通じて拡大を続け、2001年までに発行枚数は10億枚を超えた。現在、VISAとマスターカードは中国以外のすべての決済処理の90%を占める。経済学者たちは、この2社の関係を「機能的二重独占」と呼ぶ。ネットワーク効果によって新規参入が事実上不可能だからだ。

その結果、両社の営業利益率はVISAが67%、マスターカードは57%だ。トヨタの営業利益率が約10%であることを考えれば、この数字の異常さがわかる。両社は世界中の人々がお金を使うたびに手数料を徴収する「通行税」で莫大な利益を上げているのだ。

こうして彼らが得た権力の1つが、金融検閲である。

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高市自維政権からの〝報復〞 公明党連立離脱の全真相

大山友樹(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

1999年10月の連立発足以来、民主党政権の3年3カ月の期間を除いて21世紀の日本の政治を事実上、仕切ってきた自公連立政権が、10月10日に突然、公明党が自民党に3行半を突き付ける形で崩壊した。

衆参両院で過半数に満たない少数与党の自民党は、公明党に去られたことで、石破茂首相の辞任表明を受けて行なわれた総裁選で当選した高市早苗氏の総理就任の可能性が揺らいだため、急遽、国民民主党や日本維新の会に接触。最終的に「第2自民党」(馬場伸幸前代表)などと自称していた野党ならぬ“癒党”の維新との連立にこぎつけ、日本初の女性総理を首班とする高市自維連立政権が10月21日に発足した。

一方、自民党と袂を分かった公明党は、野党に軸足を移し政権離脱による存在感の低下をカバーしようと腐心している。だが、自維両党の連立条件に衆院比例区の定数削減が盛り込まれるなどしたことから、今後、衆院比例区に重点を置く公明党は高市政権による厳しい報復にさらされる可能性が高い。

それにしても、日本の政治にドラスティックな変化の季節を招いた今回の公明党の連立離脱。多くのメディアがその理由と背景を分析しているが、宗教団体・創価学会を母体とする公明党は、1970年に引き起こした言論出版妨害事件に対する厳しい社会的・政治的批判を受けて、創価学会との組織的な政教分離宣言を行なったものの、その実態はあくまでも政教一体の宗教政党である。右顧左眄する公明党の動静を分析するには、創価学会の意思・思惑の考察が不可欠で、政治的視座や政局がらみの報道だけでは正確性に欠ける。そこで本稿では、なぜ公明党と創価学会が突然、26年にわたって積み上げてきた自民党との連立から離脱したのか。その理由と背景について、対象の内部にある論理や構造・意味を、対象の立場や主観に寄り添って理解しようとする宗教研究のアプローチ手法である「内在的理解」に基づいて俯瞰してみたい。

◆連立離脱の〝前兆〞

唐突な印象を受ける今回の公明党の連立離脱だが、しかしその布石は石破茂首相が辞任を表明した9月7日にはすでに打たれていた。石破辞任表明を受けて記者会見した公明党の斉藤鉄夫代表が、「保守中道路線で、理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにはいかない」と発言。連立維持のための必要条件を示唆していたからだ。

斉藤発言の意図を公明党の元地方議員は、次のように解説する。

「一般に宗教団体には自らの教えを最善のものとする独善性があるが、とりわけ創価学会はその傾向が強い。したがって、もともと神社に対する忌避感があるが、靖国神社は軍国主義の精神的シンボルという性格を持つことから創価学会の忌避感は特に強い。というのも、創価学会の牧口常三郎初代会長と戸田城聖二代会長は、戦前、軍部政府が督戦のため推進した国民精神総動員の一環として配布された伊勢神宮の大麻(神札)に対する不敬罪と、治安維持法違反で逮捕・投獄され、牧口初代会長は獄死している。

牧口会長を獄死させた軍部政府の首脳らA級戦犯を合祀している靖国神社に、高市氏は総理・総裁になっても参拝を強行すると高言する右翼タカ派。それだけに高市氏だけは勘弁してくれというのが創価学会の本音。斉藤発言は、そうした公明党そして創価学会のメッセージだった」

だが自民党は高市氏を新総裁に選出。その結果、自公連立の雲行きはにわかに怪しくなる。

発端は10月4日の高市新総裁と公明党首脳の初顔合わせだった。石破・岸田・菅と、歴代の自公連立政権の首班との初顔合わせの際の公明党首脳らは、にこやかに新総裁を出迎え、最初の党首会談で直ちに連立合意書に署名するのが通例だった。しかし新総裁に選ばれた直後に、公明党本部にあいさつに出向いた高市新総裁を出迎えた斉藤代表らは、祝意もそこそこに、さっそく「私たちや党員、支持者の懸念事項を率直にぶつけた」(公明新聞10月5日付)のである。

ここにある「支持者」とは創価学会を意味する。その創価学会と公明党がぶつけた「懸念事項」とは「1、『政治とカネ』の問題。2、靖国参拝と歴史認識問題。3、外国人との共生」(同前)の3点。このうち「政治とカネ」の問題についての懸念を斉藤代表は、具体的にこう述べている。

「まず『政治とカネ』の問題にきちんとけじめをつけなければならない。与党が選挙で大敗した大きな原因の1つに(自民党の)不記載の問題がある。また、企業・団体献金の規制強化を進めることについても、政策協議の中で明確にしてほしいと申し上げた」(同前)

ここで斉藤代表は、昨年の衆院選、今夏の東京都議選・参院選に大敗した原因として自民党の裏金問題を指摘すると同時に、企業・団体献金の規制強化を求めている。その底意には「政治とカネ」の問題の放置は、選挙敗北の因という次元にとどまらず、公明党そして創価学会の政界進出の基本理念や存在意義の否定につながる深刻な問題だという危機意識が潜んでいる。

周知のように公明党は、創価学会文化部を前身とし、公明政治連盟を経て1964年に政党となるが、その「結党宣言」には次のようにある。

「王仏冥合・仏法民主主義を基本理念として、日本の政界を根本的に浄化し、議会制民主主義の基礎を確立し、深く大衆に根をおろして、大衆福祉の実現を図るものである。こうして、広く地球民族主義の立場から、世界に恒久平和機構を確立することを最大の目標として勇敢に戦うことを、国民の前に固く誓うものである」(『公明党50年の歩み』公明党機関紙委員会編)

「政界浄化」は、公明党そして創価学会の政界進出の原点ということだ。

またここにある「地球民族主義」や「恒久的世界平和」などの理念が、「懸念事項」の「靖国参拝と歴史認識」や「外国人との共生」と通底することは明らかである。その意味で、公明党ならびに創価学会は、政界進出の基本理念と存在意義をかけて高市新総裁との連立の可否に臨んでいたことが看取できる。

◆引き金は「萩生田光一幹事長代行」

しかし自民党なかんずく高市氏の周辺にこうした公明党・創価学会の覚悟を理解する人物はおらず、むしろ公明党が自らの政治理念と対極にある解釈改憲や軍拡を推し進めた小泉・安倍・菅政権などに追随してきたこともあって、しょせん「下駄の雪」である公明党は、なんだかんだいってもついてくると軽視し、タカをくくっていたきらいがある。そうした公明党、そして創価学会を舐め切った態度が表面化したのが、10月7日の党首会談を前に行なわれた自民党の新執行部人事だった。

両者の関係悪化に火に油を注ぐ形となったこの執行部人事が、公明党の連立離脱を決定的なものとしたことは明らかだ。

というのも高市氏は総裁選での論功行賞として、派閥解消に反して唯一存続した麻生派の領袖である麻生太郎元首相を1年ぶりに副総裁に就任させたが、麻生氏は“大の創価学会・公明党嫌い”で知られる人物である。前回の副総裁時代の2023年9月24日に福岡市内で行なわれた講演では、岸田政権が22年の暮れに敵基地攻撃能力の保有を明記した安保関連三文書を閣議決定した際に、公明党が専守防衛の観点から反対したことに言及しつつ、「山口(那津男代表)」「石井(啓一幹事長)」「北側(一雄副代表)」と公明党首脳を呼び捨てにしつつ、公明党と「その裏にいる創価学会」を「ガン」呼ばわりした。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n79cfa0b335a5

精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続社会と精神のゆらぎから』を刊行

鹿砦社代表 松岡利康

師走も押し迫り寒さも厳しくなり、世情は慌ただしくなってまいりました。皆様、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、このたび小社では、わが国を代表する精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』を刊行いたしました。去る8月に同じく野田先生の『流行精神病の時代』を刊行し各方面から好評を博し、短期間に2冊立て続けての出版となります。

本書は、著者の故郷の地元紙、高知新聞の長期連載「高知が若かったころ」の後半部分にあたり、前半部分は『社会と精神のゆらぎから』というタイトルで講談社から刊行されています。その続編という恰好ですが、前半とは全く異なる構成と内容で独立した書籍となっています。

その多くの文章はペレストロイカ後のロシアやバルト海沿岸諸国などを歩き続けた記録となっており、そこで旅しながら考えた、人間社会への深い考察になっています。

何卒ご一読いただき、ぜひ、紹介、書評などお願い申し上げます。

いよいよ2025年も押し迫ってまいりました。慌ただしいさなかでの出版ですが、著者の深い思索の一端をご理解いただければ幸いに存じます。

『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』https://www.amazon.co.jp/dp/4846315959

冤罪を作る検察官は恥を知れ!

尾﨑美代子

再審(裁判のやりなおし)を請求する時には新たな証拠が必要と言われている。それを再審を請求する側が必死で探して、新たな鑑定書を作成したり、そのために再現実験行うだけで大変な時間、経費を要する訳だが、今年7月18日、36年ぶりに再審無罪を勝ち取った前川彰司さんの「福井女子中学生殺害事件では「そんな証拠どこにあったんだい」という証拠が出てきたのだ。

この事件は、事件当日「血のついた前川を見た」などの証言が多数あり、前川さんが逮捕された。複数の関係者の供述をあわせるために使われたのが、当時流行っていたテレビ番組「夜のヒットスタジオ」でアンルイスと吉川晃司が繰り広げた超卑猥なパフォーマンスだった。

「六本木心中」を歌うアンルイスの後ろに吉川晃司が回り腰を激しく打ちつけるというパフォーマンス。20歳そこそこの関係者が刺激を受けて「いやらしいな」と言い合っていたところに先輩から電話がきて、車で先輩の所に行くと、そこに血を付けた前川が来た……というストーリーだった。

弁護団は再審の控訴趣意書で、車のダッシュボードに前川が付けたという血痕は、関係者の証言のように唾で拭いた位で消えない、必ずルミノール反応が出るはずなどの実験を行い、結果を新たな証拠として出していた。私もその趣意書を何度も読んでいた。

ところがだ。再審開始の決定書の冒頭に突然でてきたのが、「夜のヒットスタジオ」やらアンルイスやら吉川晃司だった。おいおいおい……私は慌てたね。何なんだよ、おい! 実は血の付いた前川を見たと証言したキーマンの男性が「いやらしいな」と言ってたパフォーマンスは事件当日の放映ではなく、翌週だったのだ。

その証拠を警察、検察はとっくの昔から知っていた。つまり、再審で無罪を勝ち取るには、検察が持っている全ての証拠を明らかにしなくてはならないのだ。それを必死で隠そうとする検察。こんな連中とその検察を統括する法務省、法制審に再審法を任せていては、冤罪犠牲者は絶対に救済されない。

そもそもだが、冤罪を必死で作る仕事をしてて、あんたら恥ずかしくないか。嫁や子供、親に「オレ、こんな仕事してるんだ。カッコいいだろ」と言えるか??

そういえば、これまで冤罪作ってきて、その後「栄転」したのはいいが、その先でパワハラやらセクハラやら、不祥事やらかしている元検察官を、数人知ってるぞ。埼玉愛犬家連続殺人事件で風間博子さんに死刑判決を下した岩橋義明検事は、電車のドアにわざとカバンを挟み、運行を妨害したとして厳重注意処分を受けた。

千葉県東金女児殺害事件で知的障害を持つ勝木涼君を「金子さん、金子さん」となつかせ、有罪にし、「栄転」先の栃木県では更に今市事件で、当時日本語の不慣れな、台湾出身の勝又拓哉さんに、暴行を振るったりして犯人にした金子達也検事は、その後赴任した福岡で、部下の女性に不適切な発言をして減給の懲戒処分をうけた。

また不祥事ではないが、和歌山カレー事件で、林眞須美さんの夫の健治さんに「眞須美にヒ素を盛られたと証言してくれ」と頼み込んだ大阪地検特捜部の小寺哲夫検事は、なんと関西生コンに対して妨害したり、告発・告訴を続けてきた大阪広域生コン側の弁護人になっている。悪はいつまでも悪のままだ。本当に恥を知れ!!

◎[参考記事]冤罪被害者の救済、遠のく? 元裁判官63人・学者135人が危機感(2025年12月7日付け朝日新聞)

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

政治献金のグレーゾーンとマスコミ癒着 高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑

黒薮哲哉(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆300万円の〝還付金〞

議席の数合わせの論理に翻弄された末、日本初の女性首相の座を射止めた高市早苗衆院議員。公明党の斉藤鉄夫代表が、政治資金収支報告書の記載漏れなど「政治と金」の問題を突きつけて自民党と決別したことを発端として、政争が拡大した。高市氏の傲慢な態度に業を煮やした斉藤代表は、高市政権ではこの問題に正面から切り込めないと判断し、26年にわたる連立を解消したとされる。

ところがワイドショーをはじめとする日本のメディアは、「政治と金」の問題よりも、むしろ政界再編をめぐる政党や派閥のかけひきをクローズアップした。

「政治と金」のグレーゾーンとは何か? 高市首相の政治資金問題を知り尽くす人物が東京都江東区にいる。『最高裁の暗い闇』(鹿砦社)などの著書を持つ志岐武彦氏である。志岐氏は2017年2月、高市氏が政治資金を巧みに動かして「資金洗浄」すなわちマネーロンダリングを行なったとして刑事告発した。

当時、彼女は第三次安倍晋三内閣の下で総務大臣を務めており、「総務大臣によるマネロン」に筆者は好奇心を刺激され、取材目的もあって告発人に名を連ねた。志岐氏が疑問視したのは、政治献金の還付金制度を利用して金銭を捻出する手口である。

有権者が政治献金を行なった場合、確定申告の際に税務署で所定の手続きを踏めば、一定割合の金銭が還付される。還付の割合は献金額のおおよそ30%(厳密には、寄附額から2000円を差し引いた金額の30%)で、積極的に政治献金をすることで政治参加の意識を促すことを狙いとしたのが、この優遇措置だ。

ただし、これは誰に対しても無条件に適用されるわけではなく、除外されるケースもある。租税特別措置法41条18・1は「寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められる」場合、優遇措置の対象外とすると定めている。志岐氏はこの点に着目し、高市氏の行為が還付金を受けるための要件を満たさないと判断して刑事告発に踏み切ったのである。

2017年2月4日、志岐氏と筆者は連名で告発状を奈良地方検察庁に提出した。告発状では、高市議員が2012年12月25日、自らが代表を務める自民党奈良県第2選挙支部(以下、第2支部)に1000万円を寄付し、その後、確定申告の際に税務署で「寄付金(税額)控除のための書類」(タイトル写真)を作成し、約300万円の還付を受けたことを指摘した。

形式上、この1000万円は高市氏が自ら調達した資金とされている。しかし、政治資金収支報告書を精査すると、その寄付行為の約1カ月前にあたる11月20日に、第2支部が高市氏個人に対して「寄付金」と称して1000万円を支出していたことが判明する。

つまり、①第2支部が高市議員に1000万円を寄付し、今度は逆に②高市議員個人が同じ額の金を再び第2支部へ戻し、同時に寄付者・高市早苗として③約300万円の還付金を受け取った構図が浮かび上がる。

資金を循環させるだけで、庶民の手取り年収に匹敵する額の還付金を得ていたのだ。この1000万円の“源流”をさかのぼるとさらに興味深い事実が見える。第2支部が高市氏に1000万円を寄付した同じ日、自民党本部が第2支部へ「選挙費用」として1300万円を送付していたのだ。

これら一連の金の流れは、第2支部が作成した2012年度の政治資金収支報告書で確認できる。ただし、自民党本部から第2支部へあてた1300万円と、第2支部から高市氏が受け取った1000万円が同一の金である確証はない。重要なのは、高市氏が資金を循環させることで約300万円の還付金を生み出した事実である。これは租税特別措置法41条18・1が禁じる「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」ケースに該当する可能性がある。志岐氏はこの点に着目して告発に踏み切ったのだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n80aa03ce4915