《フォトレポート》福島第一原発事故15年 福島の今〈後編〉「復興まちづくり」を進めても原発事故は「過去の出来事」になりえない

飛田晋秀

◆原子力安全センターからのメールが消えた

2011年3月11日、震災当日の深夜以降は、原子力安全センターから県原子力センターにメールで1時間ごとに送信されたものが届いていました。ところが、県は3月15日朝までそのメールに気づかなかったという。さらに受信メールの計86通中、USBに保管されていたり、印刷され残っていたのは21通のみ。結果、65通のメールが消去されたか行方知れずになった格好でした(月刊『政経東北』2021年5月6日)。

「もっと早く公開されていれば、被ばくを軽減できたのではないか」──。公開当日からこうした声の多かったSPEEDIのデータ。自治体や避難する当事者には公開されなかったものが、「緊急事態に対応してもらう機関=米軍」にはいち早く情報提供されていたことが明らかとなりました(webニュース2012.1.18)。情けなくなる国のありさまです。

月日が過ぎても、この様な姿で来なければならない(2014年3月27日 大熊町)
双葉町役場の野外にある時計。地震発生直後の14:47で止まったまま(2016年7月22日 双葉町)
中間貯蔵は大熊町と双葉町にまたがっている(2020年11月8日 双葉町)

◆福島県と新潟県──知事抹殺の真実

『NO NUKES voice』12号(2017年6月11日号)には佐藤栄佐久元福島県知事と泉田裕彦元新潟県知事の対談が掲載されています。(『3・11の彼方から』に再録)
その中に福島第一原発事故直後に泉田元新潟県知事が佐藤雄平福島県知事と電話で話した内容の一部を回想してこう語っています。

〈3月11日に震災事故が起こり、その数日後の16日ぐらいだったと思いますが、私は当時の福島県知事、佐藤雄平さんと電話で話しました。その時の印象は一生忘れません。佐藤雄平知事はものすごく悩んでいました。1分半ぐらい沈黙がありました。私が「子供たちだけは避難させましょうよ」と言った。すると佐藤雄平知事は「泉田さん、でも、もう被ばくしたっちたんだとよね」と言われた。それが結局、子どもたちが避難できなかった一因になっていたのかもしれない。その時の一言は今でもひっかかりを持っています。〉(『3・11の彼方から』P487)

泉田元新潟県知事は『NO NUKES voice』14号(2017年12月11日号)でも福島原発事故の検証の必要性について、こう述べています。(『3・11の彼方から』に再録)

〈福島の原発事故の検証で極めて重要なのは、先ほどもお話ししたように住民に情報が届いたのが一番最後になっていたということです。なぜ最初に住民に情報が届かなかったのか? なぜ住民より先に東電社員の家族が避難できたのか? それと同時にヨウ素剤をどこまで配ったのか? という検証も必要です。例えば、専門家が「あの時はヨウ素剤を配布する必要はなかった」というのであれば、ではなぜ、あの時、福島県立医大の医師とスタッフはヨウ素剤を服用していたのでしょうか? この答えを聞いたことがありますか? なぜ、専門家はヨウ素剤を飲んだのに一般の人は飲まなくてよかったのか? SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)で放射性物質の流れる方向がわかっていたから飯舘村に専門家の調査が入っていたのでしょう。にもかかわらず、飯舘村の住民たちはなぜ一か月半もの間、避難をせずに村に留まったのか? こうした疑問を明らかにするメカニズムがいまだにできていないのが現状です。疑問を検証して原因がわかれば、次のステップを踏める。しかし、そうした事実さえ知らない人たちが多いのではないでしょうか。原子力政策をどうするかについてはまず福島の原発事故でなにが起きたのかという事実を多くの人が知ることが大切です。〉(『3・11の彼方から』P605)

町役場に隣接して2021年4月5日に商業施設がオープンした(2022年1月2日 大熊町)
人気が全くないどこかで解体されている。音だけが聞こえている間もなく12年(2023年1月13日 双葉町)

◆ヨウ素不要論をまき散らした山下俊一放射線リスクアドバイザー

東電原発事故後、長崎大学から派遣された山下俊一氏は福島県の放射線リスクアドバイザーとして、ヨウ素剤の投与について「今のレベルならばヨウ素剤の投与不要だ」との見解を示していました。
 日本においては、安定ヨウ素の予防服用に関する指標は予想される被ばく量(甲状腺投下線量)100ミリシーベルトと定められています。(WHO基準は10ミリシーベルト)原子力安全委員会も事故後の早い段階で、スクリーニングで1万cpmを基準として除染および安定ヨウ素剤の服用を実施する手順を実施を手順を示しましたが、この指示は対策本部や現地には伝えられませんでした。福島県知事には独自にヨウ素剤服用の指示を出す権限がありましたが、国からの指示を待ち、独自の対応はしなかったとされています。

2020年9月20日にオープン。原発事故に対する展示がない。総事業費53億円(2021年10年15日 双葉町)
国道6号電光掲示板、国道の線量は1.324マイクロシーベルト。事故前は0.03~0.07マイクロシーベルト(2022年9月15日 双葉町)

◆「原子力緊急事態宣言」は解除されずに続いている

汚染が厳しかった双葉町では2022年8月30日に特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。全町避難が続いていた双葉町の一部で移住が可能になっています。しかし、この区域は双葉町の面積の一割に過ぎません。

避難解除になってからは出入りが自由になったために盗難事件も起きています。整備工場にあった車が3台が盗難されました。原発事故から15年経てもなお、被災地に泥棒が入る。2025年12月30日にはサッシのガラスを割って家の中を物色、何を持って行ったのか、足の踏み入れることができないひどいことになっていました。しかしこうした盗難事件は報道もされません。これで復興しているといえるのでしょうか。

2025年12月30日の時点で空間線量が3マイクロシーベルトの地域があります。その約100m先のアパートが現在「入居者募集中」です。こうした実態を行政は許しているわけです。万が一、住民がそこで病気になったとしても、「自己責任」ですまされるのではないかと思います。

東電福島第一原発事故での「原子力緊急事態宣言」が解除されていないにもかかわらず、福島県では「原発事故は過去のこと」として復興まちづくりが進んでいます、しかし、多くの山林はいまだ線量が高く汚染されているのが実態です。セシウム137の半減期は30年です。福島県の多くの汚染地が原発事故前の放射線量に戻るまでには数100年以上の年月がかかります。福島の原発事故の記憶は絶対に風化させてはいけません。このことを私はいつまでも伝え続け、一人でも多くの若い人たちに記憶を継承していきたいと思います。

車を降りて測ると4.63マイクロシーベルトになった(2024年10月15日 浪江町椚平)
イルミネーションの所で。車の中で0.82マイクロシーベルトと高くなっている線量(2025年12月30日 浪江町)

▼飛田晋秀(ひだ・しんしゅう)
1947年生まれ。福島県田村郡二春町出身・在住。日本の職人撮影を専門とするプロ・カメラマン。写真集『三春の職人』(1999年)を上梓。3・11後、「事故を風化させない」「事故後の状況をありのままに知ってほしい」「福島県民の思いを知ってほしい」との思いから、福島第一原発事故の被災地を11年間撮り続けている。地元福島はもとより東京、大阪、愛知、北海道、神奈川、埼玉、岐阜他、日本各地で写真展「福島のすがた」並びに講演会を実施している。写真集『福島の記憶──3・11で止まった町』(2019年旬報社)は、各方面に衝撃を与えた。

◆     ◆     ◆     ◆     ◆

季節2026春号
『NO NUKES voice』改題 通巻45号
紙の爆弾2026年4月号増刊
2026年3月11日発行
A5判 総148ページ(本文144ページ+カラーグラビア4ページ)
定価880円(税込み)


《グラビア》わたしはこれから毒を吐く
(文◎菅野みずえ/写真◎飛田晋秀)

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 浪費による危機と嘘をつく国
《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 最後に鍵を握るのは国民
《インタビュー》井戸謙一(弁護士)
 原発訴訟の流れは変わる
 司法の現状と展望

《特集1》東電・福島原発事故十五年

終わりなき核災害

《報告》川島秀一(民俗学者)
 福島の海は今
《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 原発に抗い続ける宗教者たち
 あらゆる「生きとし生けるもの」のために
《報告》コリン・コバヤシ(ジャーナリスト)
 福島エートス 受忍のプロパガンダ
《報告》渡邊とみ子(飯館村「までい工房美彩恋人」代表)
 3・11から十五年① 種をつなぎ、後継者をつくる
《報告》大河原さき(ひだんれん事務局長、三春町在住)
 3・11から十五年② 未来の世代が住み続けられる地球のために
《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 3・11から十五年③ 原発被害者の「絶望」を終わらせてほしい
《報告》鈴木博喜(民の声新聞)
 原発追い出し訴訟 否定され続けた区域外避難者の十五年

《特集2》東電・柏崎刈羽原発再稼働

「第二の福島」は起きないか

《報告》まさのあつこ(ジャーナリスト)
 セキュリティとセーフティの欠陥と再稼働の実態
《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 自滅する原子力産業と技術のあり方
 柏崎崎刈羽6号機の制御棒問題と東京電力の劣化
《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 再稼働で起きている深刻な危険
《報告》武本和幸(刈羽村議会議員)
 なぜ不正が繰り返されるのか
 地震想定を過少評価する原発利権の構造
《討論》柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク
 再稼働 許していいのか 1・11集会
 経過報告とリレートーク
 ○吉田裕史(県民ネットワーク事務局)
 「再稼働容認」判断と今後の課題
 ○石崎誠也(新潟大学名誉教授)
 県内学者・研究者有志による原発再稼働中止を求める声明の概要
 ○浅利親男(柏崎刈羽PAZ住民の会)
 荒浜住民投票は七六%が原発反対だった
 ○笹口孝明(元巻町長)
 東北電力巻原発撤回住民投票の意義 県民こそが真の決定権者であるべき
 ○片岡輝美(会津放射能情報センター代表)
 福島原発事故の経験から 「安心して生きる権利」を諦めない
 ○佐々木かんな(アンダー30の会代表) 
 自分たちの場を立ち上げる


《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
 家庭用ソーラー発電 九年間の運用実績
《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
 国・電力会社の「一〇〇mSv安全論」の非科学性
 「あらかぶ裁判」から広範労災認定を求める運動へ
《報告》中道雅史(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長)
 《徹底解説》核と軍の拠点・青森県《前編》
《報告》山崎隆敏(元越前市議)
 福井県に溜まり続ける「核のゴミ」
 関電は約束を守れない
《報告》大今歩(高校講師・農業)
 原発は止めたけど風力発電がやってきて
《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 高市軍拡政権という台風が吹き荒れても
 原発再稼働阻止の運動は止まらない
《衆院選》青山晴江(たんぽぽ舎会員)
 絶望させるのも人だが、希望を与えてくれるのも人……
《民主主義》青柳純一(翻訳家)
 “中道改革連合”の大義・理念を問う 
 憲法九条を戦後民主主義の墓標にしてはならない
 《柏崎刈羽》漆原牧久(再稼働阻止全国ネットワーク)
 「柏崎刈羽原発動かすな」官邸前行動の取組み
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 東電柏崎刈羽6号機再稼働、衆議院選挙高市自民勝利に怒り
 敵を知ろう、メディアと若者に働きかけよう
《東海第二》志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会・世話人)
 東海第二原発の地層はどの原発と比べても脆い!
《浜岡原発》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 「浜岡原発での耐震設計データの捏造・改ざん」生み出した
 電力事業者任せの審査体制の抜本的改善を求めます
《岐阜》中川敦詞(「さよなら原発・ぎふ」、たんぽぽ舎運営委員)
 過去十五年にわたり「集会&パレード」を三カ月毎に開催
 持続可能で安心して暮らせる社会のあり方を共に考え行動する
《アピール》山谷労働者福祉会館活動委員会 山谷争議団・反失実
 貧者を排除する山谷の再開発に反対!

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《フォトレポート》福島第一原発事故15年 福島の今〈前編〉佐藤雄平県知事の虚言と愚行

飛田晋秀

2011年3月11日東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から15年になるが国・県・市町村は原発事故から建物が生まれ住民が帰還して終わったかのように、言っているが本当にそうだろうか。

初期、福島県とその首長である県知事がどのように県民に真実を伝えないで、隠していたかを検証してみたいと思います。

津波で流された車。家があるところまで津波襲来している。無事に避難ができたのか。(2012年1月29日 富岡町)
除染しても3.17マイクロシーベルトもある。無駄ではないか(2015年4月7日 富岡町)

◆20ミリシーベルト被ばくの事実を隠すための「風評」

2011年3月17日に米大使は「80キロ圏内の避難勧告」を日本にいる米国民に出しました。日本政府も住民に対して避難難指示を出しましたが、半径30キロ圏内と80キロ圏内避難の米政府勧告とは大きく数字が異なっていました。

「80キロ県内は避難」の勧告を出した国はアメリカだけではありません、イギリス、オーストラリア、韓国などが相次いで同様の勧告を日本いる自国民に出しました。シンガポール外務省では「100キロ圏内」を避難対象としていました。

当時の福島県はどのように県民に原発事故の事を伝えたのか? 検証が必要です。「20ミリシーベルトを許容するように」と国に迫ったのは、実は当時、福島県の首長だった佐藤雄平知事本人でした。基準を低くすると(すでに福島県民は)放射能汚染していることになり、ますます風評被害が広がる。基準を高くすれば、「政府が安全と言っているんだから大丈夫だ」と住民に説明できるからです。福島県(知事・役人)は何を考えているか!今でも怒り心頭です。

実際に汚染している原発被害なのに、「風評」という言葉にすり替えて、国民を騙し、子供たちを犠牲にしてまでも、経済保身を第一に考えている福島県──。国民全体に対して取り返しのつかないことをしたのです。許せません。福島県知事が「20ミリシーベルト」の適用を福島県民に押し付けたことになります。

佐藤知事から文部科学省に「20ミリシーベルトまで認めろ」と言われたからといって、はいはい、と飲んでしまう文部科学省もとんでもない犯罪省庁に違いありません。佐藤知事は国を利用し、福島県人を利用し、国は国で、佐藤知事の要求を待ってましたとばかり受け入れた、ということになります。

右側は帰還困難区域。左側は居住制限区域(2017年5月20日 富岡町)
両脇の線量は同じなのに線引きをしているのか(2017年9月21日 富岡町)

◆国からSPEEDIの情報

福島第一原発事故で放射性物質が放出された際の大気中濃度や被ばく線量を地図上にリアルタイムで予測する「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」は、佐藤知事をトップとする福島県の現地災害対策本部に確かに送られていたのです。にもかかわらず佐藤知事、そして県の災害対策本部は「避難が必要だという科学的な説明もなし、ただ送られてきただけだから、俺は知らない」と言っているのです。「俺はSPEEDI情報を握りつぶした」と言っているのです。佐藤知事はSPEEDI情報を隠して、福島県人の人たちを避難させなかったのです。

佐藤知事の愚行は数しれません。何と言っても、せっかく佐藤栄佐久前知事(2025年3月逝去)が、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際的な原子力調査機関や国内の原子力専門家の人たち、野党の国会議員たちから「福島第一、第二原発はいずれ事故が起きる」という警告を受けて、福島の原発をいったん停止していたにもかかわらず、彼はそれを半ば無理矢理、運転を再開させたのです。

しかも、その危険性から福島県内の反対派からも危ぶむ声が上がっていた3号機のプルサーマルまで稼働させてしまったのです。なぜそんなことをしたのか? 電源三法交付金のほか、プルサーマルを動かすことを承諾することによって得られる「核燃料リサイクル交付金」の計60億円が欲しかったからです。

佐藤雄平知事は、福島県人人口流出を止めるため、SPEEDI情報を隠し、児童たちに20ミリシーベルトもの大量被ばくをさせても何の痛痒もかんじない、という狂人だったのです。(つづく)

県の養殖場。津波襲来で破壊され数人の人が犠牲(2012年3月18日 大熊町)

▼飛田晋秀(ひだ・しんしゅう)
1947年生まれ。福島県田村郡二春町出身・在住。日本の職人撮影を専門とするプロ・カメラマン。写真集『三春の職人』(1999年)を上梓。3・11後、「事故を風化させない」「事故後の状況をありのままに知ってほしい」「福島県民の思いを知ってほしい」との思いから、福島第一原発事故の被災地を11年間撮り続けている。地元福島はもとより東京、大阪、愛知、北海道、神奈川、埼玉、岐阜他、日本各地で写真展「福島のすがた」並びに講演会を実施している。写真集『福島の記憶──3・11で止まった町』(2019年旬報社)は、各方面に衝撃を与えた。

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《グラビア》わたしはこれから毒を吐く
(文◎菅野みずえ/写真◎飛田晋秀)

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 浪費による危機と嘘をつく国
《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 最後に鍵を握るのは国民
《インタビュー》井戸謙一(弁護士)
 原発訴訟の流れは変わる
 司法の現状と展望

《特集1》東電・福島原発事故十五年

終わりなき核災害

《報告》川島秀一(民俗学者)
 福島の海は今
《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 原発に抗い続ける宗教者たち
 あらゆる「生きとし生けるもの」のために
《報告》コリン・コバヤシ(ジャーナリスト)
 福島エートス 受忍のプロパガンダ
《報告》渡邊とみ子(飯館村「までい工房美彩恋人」代表)
 3・11から十五年① 種をつなぎ、後継者をつくる
《報告》大河原さき(ひだんれん事務局長、三春町在住)
 3・11から十五年② 未来の世代が住み続けられる地球のために
《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 3・11から十五年③ 原発被害者の「絶望」を終わらせてほしい
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 原発追い出し訴訟 否定され続けた区域外避難者の十五年

《特集2》東電・柏崎刈羽原発再稼働

「第二の福島」は起きないか

《報告》まさのあつこ(ジャーナリスト)
 セキュリティとセーフティの欠陥と再稼働の実態
《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 自滅する原子力産業と技術のあり方
 柏崎崎刈羽6号機の制御棒問題と東京電力の劣化
《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 再稼働で起きている深刻な危険
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 なぜ不正が繰り返されるのか
 地震想定を過少評価する原発利権の構造
《討論》柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク
 再稼働 許していいのか 1・11集会
 経過報告とリレートーク
 ○吉田裕史(県民ネットワーク事務局)
 「再稼働容認」判断と今後の課題
 ○石崎誠也(新潟大学名誉教授)
 県内学者・研究者有志による原発再稼働中止を求める声明の概要
 ○浅利親男(柏崎刈羽PAZ住民の会)
 荒浜住民投票は七六%が原発反対だった
 ○笹口孝明(元巻町長)
 東北電力巻原発撤回住民投票の意義 県民こそが真の決定権者であるべき
 ○片岡輝美(会津放射能情報センター代表)
 福島原発事故の経験から 「安心して生きる権利」を諦めない
 ○佐々木かんな(アンダー30の会代表) 
 自分たちの場を立ち上げる


《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
 家庭用ソーラー発電 九年間の運用実績
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 国・電力会社の「一〇〇mSv安全論」の非科学性
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 「柏崎刈羽原発動かすな」官邸前行動の取組み
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 東電柏崎刈羽6号機再稼働、衆議院選挙高市自民勝利に怒り
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《東海第二》志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会・世話人)
 東海第二原発の地層はどの原発と比べても脆い!
《浜岡原発》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 「浜岡原発での耐震設計データの捏造・改ざん」生み出した
 電力事業者任せの審査体制の抜本的改善を求めます
《岐阜》中川敦詞(「さよなら原発・ぎふ」、たんぽぽ舎運営委員)
 過去十五年にわたり「集会&パレード」を三カ月毎に開催
 持続可能で安心して暮らせる社会のあり方を共に考え行動する
《アピール》山谷労働者福祉会館活動委員会 山谷争議団・反失実
 貧者を排除する山谷の再開発に反対!
 これ以上山谷にマンションを建てるな!
《反原発川柳》乱鬼龍選

闘病の中、魂の書家・龍一郎が揮毫した書

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福島原発事故から15年 ── この意味を問う鹿砦社の書籍と、唯一の脱(反)原発情報誌『季節』を読もう!『季節』の継続発行、鹿砦社の言論・出版活動活性化のため、鹿砦社の本を買って応援してください!

鹿砦社代表 松岡利康

福島原発事故から3・11で15年となります。──

この意味を問い返しための材料として、私たちが丹念に作って来た書籍と、わが国唯一脱(反)原発情報誌『季節』をお薦めいたします。

以前にもお伝えしましたが、このかん倉庫や書庫を整理していく過程で、松岡が本格的に出版の世界に踏み入れる際に、ちょうど縁あって歴史家の小山弘健先生と出会い、「われわれの出版の目的は一、二年で忘れ去られることのない本を作ることである」という、『戦争論』で有名なクラウゼヴィッツの言葉を教えていただきました。果たして私たちは「一、二年で忘れ去られることのない本」をどれほど作って来たであろうか──汗顔の極みです。

このかん、書庫として借りていた2室の撤去→本社書庫への移動、倉庫の在庫削減などで、これまで出版した本を整理してきました。思わぬ“発見”も少なからずあり、自分の〈原点〉を想起、再確認しました。

一冊一冊に想い出があります。自分で言うのも僭越ですが、なかなかいい本もあります。以下に挙げた本もそうです。

また、これも何度も申し上げていますが、いやしくも私たちは本(書籍や雑誌)を出す出版社ですから、本を買ってご支援いただくことが基本です。

今回は福島原発事故から15年について、『季節』最新号やバックナンバー、これまでに出して来た脱(反)原発関係の書籍を、この機会にご購読いただき、その意味を問い返していただきたいと思います。

まずは『季節』の前身『NO NUKES voice』の創刊号から14号の中からセレクトし堂々600ページ余の大冊となった 『3・11の彼方から』、私たちの世代の絶対的カリスマ・山本義隆さんが寄稿された長大な講演録を収録した『季節2025夏・秋合併号』です。10年余り発行してきた『季節』の到達点で今後の方向性を決定づけた号と自認しています。そうした中で『季節』春号は3・11から15年のこの日に増ページ記念号として発行されました。

さらに本誌『季節』については皆様方からの定期購読、会員でのご支援がベースとなりますので、更なる継続・更新、新規拡販協力をよろしくお願い申し上げます。

また、『季節』でもたびたびご登場いただいている精神科医・野田正彰先生の2冊の著書『流行精神病の時代』『過ぎし日の映え』(野田先生によれば、先生の「精神医学の総括、辞世の書」ということです。『過ぎし日の映え』を元に野田先生にインタビューした朝日記事掲載(2月22日)後、『過ぎし日の映え』は5日間で250冊余りの注文が入り、また本書に強く感銘を受けた、ある方は100冊買い取り知人らに配られました)。

さらに『季節』の編集委員の尾﨑美代子さんが日々の冤罪被害者との対話や取材をまとめられた『日本の冤罪』、昨年まで『季節』で長年連載してくれ冤罪(甲山事件)被害者でもある山田悦子さんらが戦後70年に際して編纂された『唯言(ゆいごん) 戦後七十年を越えて』は、資料として「日本国憲法」「あたらしい憲法のはなし」「大日本帝国憲法」「軍人勅諭」「教育勅語」等を収録した貴重な一冊です。

福島原発事故問題を考えるために、ぜひ一連の鹿砦社の書籍・雑誌を参考資料としてお読みいただきたくお願いいたします。

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鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/

私たちは休刊の危機にある『季節』の発行を継続する決意です! 私たちは唯一の脱(反)原発情報誌『季節』の旗を守りたい! 『季節』を脱(反)原発言論の強固な拠点にしたい! 発行困難の壁を総力で突破し、『季節』の発行継続、鹿砦社の言論・出版活動継続に圧倒的なご支援を!

『季節』編集長 小島卓
鹿砦社代表  松岡利康

『季節』を愛し、また鹿砦社の言論・出版活動を支持・支援される皆様!

『季節』2026年春号をお届けいたします。実際に寄稿や取材にご協力賜った皆様方、熱心な読者の皆様方、本誌『季節』は創刊11年(いわば“親誌”の『紙の爆弾』はもうすぐ21年)を経過し、新型コロナがこの国を襲って以来ずっと発行継続困難な情況に直面してきました。今号も発行が危ぶまれましたが、何とか発行に漕ぎ着けました。コロナ禍以降は、毎号発行が困難な中で、『紙の爆弾』もそうですが、心ある方々のご支援を仰ぎ資金を工面しつつ一号一号発行してきました。

年末は、どこの中小企業や零細出版社もそうですが、年を越すために塗炭の苦しみに喘ぎます。特に昨年末は厳しかったですが、多くの皆様方のご支援により乗り越え、『季節』2025年冬号をお届けし、次いで本誌でもたびたび登場され好評の野田正彰先生の『過ぎし日の映え』を刊行することができ、不安を抱えながらも年を越し新年を迎えることができました。

そうして2026年――年度末の危機的情況に直面しつつも春号をお届けすることができました。今号は、東日本大震災、とりわけ福島原発事故から15年を迎え、増ページ記念号として発行いたします。

私たちの出版社・鹿砦社は、時代の転換点・1969年の創業です。以来半世紀以上にわたり、多くの書籍・雑誌を世に送ってまいりました。数千点に及びます(正確な出版点数不詳)。創業時のメンバーはほとんど亡くなり、わずかに前田和男さん一人、『続・全共闘白書』『冤罪を晴らす! 食肉界の異端児の激闘20年』『昭和待場のはやり歌』などを著し今でも気を吐いています。

松岡が経営を引き継いでからもうすぐ40年が経とうとしています。1985年に松岡・小島が出会ってからも40年余り経ち、一時小島がインドに渡った時期を除き一緒にやっています。晴れた日も土砂降りの日もありました。そして松岡はやがて後期高齢者を迎えようとしています。松岡としては、まだまだやるべき課題が残っており、このままでは死ねません。

『季節』という誌名は、遙か1970年代後半、この国の大きな転換点だった1960年、70年という〈二つの安保闘争〉の歴史的意味を問い直すという目的で思想史・論争史の雑誌として創刊され、本号に寄稿された方にも当時その読者だった方もおられるそうですが(時々こういう方に出会います)、創刊準備号、特別増刊号含めわずか14号ながら、いわば伝説の雑誌として語られてきました。

脱(反)原発雑誌としては2014年8月に松岡が編集長・発行人として『NO NUKES voice』の誌名で創刊、2022年3月発行の号(通巻31号目)から『季節』に誌名変更(先祖返り?)しています。初心に戻るという意味もありましたが、『季節』という誌名への愛着もありました。

いささか話が逸れてきましたが、ウクライナ、ガザ、そしてイランと戦火は、収まるどころか拡がってきています。私たちは〈二つの安保闘争〉、これ以降も続きアメリカ軍を追い出し75年和平を勝ち取ったベトナム反戦運動、たびたびの戦争への蠢動に対し市民や戦闘的学生らが抵抗し、対決しつつ、なにはともあれ戦後80年、平和を守ってきました。こまかい問題はあるでしょうが、日本の歴史で80年戦争がなかったことはすごいことです。

今後はどうなるか不安をぬぐえませんが、私たちは『季節』を拠点に皆様方と共に連携し、反戦、そして脱(反)原発の闘いを持続していきましょう! 

こうした意味においても、私たちの雑誌『季節』は反戦、脱(反)原発の強固な砦でなければなりません。

私たちの出版社・鹿砦社、なかんずく『季節』『紙の爆弾』は、幾多の苦難を乗り越え『季節』は一昨年10周年、『紙の爆弾』は昨年4月で20周年に至り、多くの皆様方に祝っていただき、また厳しい叱咤激励も受けました。多くの雑誌が権力のポチと化し、『季節』や『紙爆』のようにタブーを恐れない雑誌がなくなったからでしょう。皆様、最寄りの大きな書店やネットを見渡してみてください。性根を入れて脱(反)原発の旗を掲げ続けているのは『季節』しかありません! 断固『季節』の旗を守らなければなりません。

以後私たちは、次の10年に向けて歩み始めていますが、遺憾ながらなかなか苦境を打開できずにいます。昨年末のノルかソルかの勝負所も、皆様方のお力をお借りして突破できました! そして今、本誌前号の挨拶文でもお約束したように、3・11東日本大震災―福島原発事故から15年に際し本誌『季節』春号を発行し皆様にお届けすることができました! 

しかし、これはあくまで通過点にすぎません。『季節』次号の準備、また創刊10周年事業として刊行が始まったセレクション集『3・11の彼方から』のvol.2の編纂にも取り掛からねばなりません。

資金不足問題はまだまだ続くと思いますが、昨年刊行した本の中に堅調なものも現われ明るい日差しも見えてきました。今しばらく皆様方のお力をお貸しください! 私たちはまだまだくたばりません! やるべき課題もまだ残っています。これまで何度も地に叩きつけられ、浮き沈みを繰り返して今がありますが、目敏く勝機を掴み、必ず復活します! 変わらぬ、いや、より一層のご支援をお願いいたします!

圧倒的なご支援で、唯一の脱(反)原発情報誌『季節』の発行継続を死守しましょう!

◆     ◆     ◆     ◆     ◆

季節2026春号
『NO NUKES voice』改題 通巻45号
紙の爆弾2026年4月号増刊
2026年3月11日発行
A5判 総148ページ(本文144ページ+カラーグラビア4ページ)
定価880円(税込み)


《グラビア》わたしはこれから毒を吐く
(文◎菅野みずえ/写真◎飛田晋秀)

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 浪費による危機と嘘をつく国
《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 最後に鍵を握るのは国民
《インタビュー》井戸謙一(弁護士)
 原発訴訟の流れは変わる
 司法の現状と展望

《特集1》東電・福島原発事故十五年

終わりなき核災害

《報告》川島秀一(民俗学者)
 福島の海は今
《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 原発に抗い続ける宗教者たち
 あらゆる「生きとし生けるもの」のために
《報告》コリン・コバヤシ(ジャーナリスト)
 福島エートス 受忍のプロパガンダ
《報告》渡邊とみ子(飯館村「までい工房美彩恋人」代表)
 3・11から十五年① 種をつなぎ、後継者をつくる
《報告》大河原さき(ひだんれん事務局長、三春町在住)
 3・11から十五年② 未来の世代が住み続けられる地球のために
《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 3・11から十五年③ 原発被害者の「絶望」を終わらせてほしい
《報告》鈴木博喜(民の声新聞)
 原発追い出し訴訟 否定され続けた区域外避難者の十五年

《特集2》東電・柏崎刈羽原発再稼働

「第二の福島」は起きないか

《報告》まさのあつこ(ジャーナリスト)
 セキュリティとセーフティの欠陥と再稼働の実態
《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 自滅する原子力産業と技術のあり方
 柏崎崎刈羽6号機の制御棒問題と東京電力の劣化
《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 再稼働で起きている深刻な危険
《報告》武本和幸(刈羽村議会議員)
 なぜ不正が繰り返されるのか
 地震想定を過少評価する原発利権の構造
《討論》柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク
 再稼働 許していいのか 1・11集会
 経過報告とリレートーク
 ○吉田裕史(県民ネットワーク事務局)
 「再稼働容認」判断と今後の課題
 ○石崎誠也(新潟大学名誉教授)
 県内学者・研究者有志による原発再稼働中止を求める声明の概要
 ○浅利親男(柏崎刈羽PAZ住民の会)
 荒浜住民投票は七六%が原発反対だった
 ○笹口孝明(元巻町長)
 東北電力巻原発撤回住民投票の意義 県民こそが真の決定権者であるべき
 ○片岡輝美(会津放射能情報センター代表)
 福島原発事故の経験から 「安心して生きる権利」を諦めない
 ○佐々木かんな(アンダー30の会代表) 
 自分たちの場を立ち上げる


《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
 家庭用ソーラー発電 九年間の運用実績
《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
 国・電力会社の「一〇〇mSv安全論」の非科学性
 「あらかぶ裁判」から広範労災認定を求める運動へ
《報告》中道雅史(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長)
 《徹底解説》核と軍の拠点・青森県《前編》
《報告》山崎隆敏(元越前市議)
 福井県に溜まり続ける「核のゴミ」
 関電は約束を守れない
《報告》大今歩(高校講師・農業)
 原発は止めたけど風力発電がやってきて
《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 高市軍拡政権という台風が吹き荒れても
 原発再稼働阻止の運動は止まらない
《衆院選》青山晴江(たんぽぽ舎会員)
 絶望させるのも人だが、希望を与えてくれるのも人……
《民主主義》青柳純一(翻訳家)
 “中道改革連合”の大義・理念を問う 
 憲法九条を戦後民主主義の墓標にしてはならない
 《柏崎刈羽》漆原牧久(再稼働阻止全国ネットワーク)
 「柏崎刈羽原発動かすな」官邸前行動の取組み
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 東電柏崎刈羽6号機再稼働、衆議院選挙高市自民勝利に怒り
 敵を知ろう、メディアと若者に働きかけよう
《東海第二》志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会・世話人)
 東海第二原発の地層はどの原発と比べても脆い!
《浜岡原発》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 「浜岡原発での耐震設計データの捏造・改ざん」生み出した
 電力事業者任せの審査体制の抜本的改善を求めます
《岐阜》中川敦詞(「さよなら原発・ぎふ」、たんぽぽ舎運営委員)
 過去十五年にわたり「集会&パレード」を三カ月毎に開催
 持続可能で安心して暮らせる社会のあり方を共に考え行動する
《アピール》山谷労働者福祉会館活動委員会 山谷争議団・反失実
 貧者を排除する山谷の再開発に反対!
 これ以上山谷にマンションを建てるな!
《反原発川柳》乱鬼龍選

amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GGX7H2DR/

闘病の中、魂の書家・龍一郎が揮毫した書

唯一の脱(反)原発情報誌『季節』春号、3・11発売!

鹿砦社代表 松岡利康

『季節』春号は東日本大震災―福島原発事故から15年の3月11日に発売になります。以下、表紙画像、巻頭言、詳しい書誌情報をお知らせいたします。ご購読よろしくお願いいたします!

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季節2026春号
『NO NUKES voice』改題 通巻45号
紙の爆弾2026年4月号増刊
2026年3月11日発行
A5判 総148ページ(本文144ページ+カラーグラビア4ページ)
定価880円(税込み)


《グラビア》わたしはこれから毒を吐く
(文◎菅野みずえ/写真◎飛田晋秀)

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 浪費による危機と嘘をつく国
《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 最後に鍵を握るのは国民
《インタビュー》井戸謙一(弁護士)
 原発訴訟の流れは変わる
 司法の現状と展望

《特集1》東電・福島原発事故十五年

終わりなき核災害

《報告》川島秀一(民俗学者)
 福島の海は今
《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 原発に抗い続ける宗教者たち
 あらゆる「生きとし生けるもの」のために
《報告》コリン・コバヤシ(ジャーナリスト)
 福島エートス 受忍のプロパガンダ
《報告》渡邊とみ子(飯館村「までい工房美彩恋人」代表)
 3・11から十五年① 種をつなぎ、後継者をつくる
《報告》大河原さき(ひだんれん事務局長、三春町在住)
 3・11から十五年② 未来の世代が住み続けられる地球のために
《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 3・11から十五年③ 原発被害者の「絶望」を終わらせてほしい
《報告》鈴木博喜(民の声新聞)
 原発追い出し訴訟 否定され続けた区域外避難者の十五年

《特集2》東電・柏崎刈羽原発再稼働

「第二の福島」は起きないか

《報告》まさのあつこ(ジャーナリスト)
 セキュリティとセーフティの欠陥と再稼働の実態
《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 自滅する原子力産業と技術のあり方
 柏崎崎刈羽6号機の制御棒問題と東京電力の劣化
《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 再稼働で起きている深刻な危険
《報告》武本和幸(刈羽村議会議員)
 なぜ不正が繰り返されるのか
 地震想定を過少評価する原発利権の構造
《討論》柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク
 再稼働 許していいのか 1・11集会
 経過報告とリレートーク
 ○吉田裕史(県民ネットワーク事務局)
 「再稼働容認」判断と今後の課題
 ○石崎誠也(新潟大学名誉教授)
 県内学者・研究者有志による原発再稼働中止を求める声明の概要
 ○浅利親男(柏崎刈羽PAZ住民の会)
 荒浜住民投票は七六%が原発反対だった
 ○笹口孝明(元巻町長)
 東北電力巻原発撤回住民投票の意義 県民こそが真の決定権者であるべき
 ○片岡輝美(会津放射能情報センター代表)
 福島原発事故の経験から 「安心して生きる権利」を諦めない
 ○佐々木かんな(アンダー30の会代表) 
 自分たちの場を立ち上げる


《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
 家庭用ソーラー発電 九年間の運用実績
《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
 国・電力会社の「一〇〇mSv安全論」の非科学性
 「あらかぶ裁判」から広範労災認定を求める運動へ
《報告》中道雅史(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長)
 《徹底解説》核と軍の拠点・青森県《前編》
《報告》山崎隆敏(元越前市議)
 福井県に溜まり続ける「核のゴミ」
 関電は約束を守れない
《報告》大今歩(高校講師・農業)
 原発は止めたけど風力発電がやってきて
《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 高市軍拡政権という台風が吹き荒れても
 原発再稼働阻止の運動は止まらない
《衆院選》青山晴江(たんぽぽ舎会員)
 絶望させるのも人だが、希望を与えてくれるのも人……
《民主主義》青柳純一(翻訳家)
 “中道改革連合”の大義・理念を問う 
 憲法九条を戦後民主主義の墓標にしてはならない
 《柏崎刈羽》漆原牧久(再稼働阻止全国ネットワーク)
 「柏崎刈羽原発動かすな」官邸前行動の取組み
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 東電柏崎刈羽6号機再稼働、衆議院選挙高市自民勝利に怒り
 敵を知ろう、メディアと若者に働きかけよう
《東海第二》志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会・世話人)
 東海第二原発の地層はどの原発と比べても脆い!
《浜岡原発》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 「浜岡原発での耐震設計データの捏造・改ざん」生み出した
 電力事業者任せの審査体制の抜本的改善を求めます
《岐阜》中川敦詞(「さよなら原発・ぎふ」、たんぽぽ舎運営委員)
 過去十五年にわたり「集会&パレード」を三カ月毎に開催
 持続可能で安心して暮らせる社会のあり方を共に考え行動する
《アピール》山谷労働者福祉会館活動委員会 山谷争議団・反失実
 貧者を排除する山谷の再開発に反対!
 これ以上山谷にマンションを建てるな!
《反原発川柳》乱鬼龍選

amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GGX7H2DR/

3・11東日本大震災-福島原発事故から15年の日に『季節』を発行するにあたって──

鹿砦社代表 松岡利康

日本で唯一の脱(反)原発雑誌『季節』2026春号が出来上がってまいりました。今号も多くの皆様方のご寄稿、ご協力を賜りました。心より感謝申し上げます。

すでに取次会社に搬入し、東日本大震災―福島原発事故から15年の日3月11日に書店の店頭に並びます。定期購読の方々には3月6日に発送も済みました。チェルノブイリ以外に世界にも類例のない原発事故、そして被災された皆様方がいろいろな想いを持って過ごされた15年、お一人おひとりに、それぞれ感慨深いものがおありのことと察します。被災してはいない私たちにも、福島への想いがあり、バカはバカなりに15年間、福島の復興や原発問題を見つめて来たつもりです。

2011年3・11からしばらくの間、国会や官邸前を取り囲んだ脱(反)原発の叫びは、どこに行ったのでしょうか? おそらくこの3月11日にはメディアもこぞって、この特集を放映、報道するでしょう。アリバイ的に──。

私たちは、そうありたくないということから、小さな雑誌ですが、定期的に発行することで、「福島を忘れるな!」の声を外に向かって叫び、また内に向かっても自分に言い聞かせるつもりで、この雑誌を創刊し持続してきました。最初は威勢よく(創刊号は2万部!)、今は青色吐息(4千部)で続けています。被災された方に接したりお声を聴くと、到底やめるわけにはいかないのです。

昨年、当社から著書を2冊上梓された精神科医・野田正彰先生は直接福島に足を運ばれ、本誌に時々そのレポートを掲載させていただきましたが(その多くが『流行精神病の時代』に収録されています)、あらためてそのレポートを読むと胸が痛みます。このところ本誌休刊の危機に直面していますが、被災された皆様方、無念の死を選ばれた皆様方のお気持ち、想いを顧みると、本誌は何としても継続して発行していかねば、と願っています。

かつての名優・志村喬の代表作に『生きる』という作品があります。監督は巨匠・黒澤明です。30年間勤め上げつつも、さほどの実績がない事なかれ主義の役人が、末期がんを告知され亡くなる直前に子どもたちのために公園にブランコを作ったという作品です。後期高齢者直前の私は、長年かなりの数の本を作ってきましたが、早晩憤死するでしょう。ベストセラーがあるわけでもなく、こうした編集者はざらにいます。『季節』は、この国唯一の脱(反)雑誌です。いささか情況や解釈が違うかもしれませんが、私の『季節』は、“志村喬のブランコ”のようなものです。一つぐらいはのちのちに残したいと願っています。

ちなみに、志村喬は、戦争で多くの仲間が亡くなり、それでも生き延びた贖罪からみずからの映画のギャラをほとんど戦争の被災者、その家族らにこっそりと送り続け、みずからや家族は清貧な暮らしをして来た話は、今や有名で、『生きる』という作品は志村の人生を象徴する秀逸な黒澤作品といえるでしょう。

本誌は今、苦境に喘いでいます。創刊以来黒字になったことがなく、万年赤字です。コロナ前は、他のジャンルの書籍が好調で、これで赤字をカバーしていましたが、コロナ以降は、こちらも売行き急減で、そうもいかなくなりました。

皆様にも、たとえ1冊でも拡販いただければ助かります。さらには定期購読もお願いいたします。定期購読こそが発行継続のベースとなります。

ともかく、多くの方々のご協力で本誌は継続の方向でおりますので、これを大前提として、もっと拡販に努めて行きたいと考えています。何卒ご協力をお願い申し上げます。

本格的な春の訪れが近づいていますが、この15年、復興は道半ばどころか、棄民政策といえる愚策、原発事故に対する無反省、なし崩し的忘却にあり、さらには原発回帰……。

『季節』は小さな雑誌ですが、まだまだ使命があると確信しています。今後共、『季節』存続のために皆様のお力をお貸しください。大きなバックがなく、ギャンブル関係財団からの資金援助(これに喜々として飛びつく「人権団体」の感覚を疑います)もない私たちにとっては読者の皆様方が最大のスポンサーです。わが国唯一の脱(反)原発雑誌『季節』の存在意義をご理解いただき、ご購読のほど、よろしくお願い申し上げます。

3・11の彼方から―『季節』セレクション集 Vol.1

『紙の爆弾』4月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

前号の3月号は、総選挙投開票日直前でしたが、「大義なき解散」を論じるよりも問題提起が重要だと考え、旧統一教会の日本政界工作と第一テーマとしました。むしろ選挙後、これが「問われなかったこと」に問題意識を持つ方々から、大きな反響をいただいています。「大義なき解散」は、基本的に「7条解散」に大義があるケースの方が珍しいため、言葉として使い古されている感がありますが、今回の解散総選挙ほど正当性のないものはない、というのは今月号執筆の植草一秀氏の指摘でもあり、究極の自己都合解散といえる理由をまず、憲法の観点も含めて解説しています。

一方、高市自民の対抗軸であった中道改革連合について、選挙前は旧公明党票をいかにこぼさないかが予測の中心になっていました。選挙のたびに鮮やかな票割りをみせる公明党なので、むしろ注意すべきは旧立憲民主党の支持層の動向だと考えていたのですが、結果は今月号レポートのとおり。旧立民票については鳩山友紀夫元首相もユーチューブ「UIチャンネル」の対談で懸念をこぼしていたものでした。結果として旧公明は議席を増やしただけでなく、中道の実権を握って改憲勢力に加わりました。さらに、中道を核とした「第二自民党化」の可能性が見え隠れしています。第一自民と第二自民の二大政党化は本誌でもかねてから植草氏が警戒すべき事態として指摘してきたもの。多党乱立も、俯瞰的にみれば、この最悪のシナリオの一部にあるように思えてきます。

チームみらいの伸長に、不正選挙の可能性を含めた疑念の目が向けられています。その前に「チームみらいとは何か」を見極める必要があり、昼間たかし氏の分析は示唆に富んでいます。AIあんのが原発、PFAS、移民、日米地位協定などあらゆる政策テーマを「NGワード」にしていたことが暴露されましたが、昼間氏の指摘の正しさを証明するかのようです。この中身のなさが、社会にフィットしたために票を集めた可能性があり、そうだとすれば社会のゆ党化と表現できるかもしれません。

前号で野田正彰氏が高校教科書の「精神疾患」記述問題とともに触れた「子どもの自殺数が過去最高を更新し続けている」という事実。未来が描けない日本のあり様を、これほど如実に示す数字はありません。メディアや統計資料は主な動機として「学校問題」「家庭問題」などを挙げていますが、問題は死を選ぶことそのものであって、その原因が大人がつくる社会にあることは言うまでもありません。今回の総選挙についても、子どもたちの目にどのように映っているかを想像すべき。こども家庭庁が1.8億円を計上し自殺対策協議会を設置しても、“薬漬け医療”の入口になる可能性が高く、原因を子どもに求めるのではなく、大人の社会の歪みこそ正さなければなりません。

中川淳一郎氏の連載「格差を読む」。今月号もエプスタイン事件と“はしか”を絡めて「メディアと日本人」を論じています。3月25日には同連載をまとめた新刊『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』を発売予定です。

ほか4月号では、西谷文和氏がイスラエル現地レポートとともに、ガザ虐殺がネタニヤフによるハマスとの裏取引であった「カタール疑惑」を解説。児童相談所(児相)の“保護”の人権侵害を告発する子どもたちの声、メガソーラー問題など、今月号も本誌独自の視点からのレポートを多数掲載しています。
『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年4月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2026年3月7日発売

自民と旧公明「改憲勢力」大幅伸長 つくられた高市自民圧勝 植草一秀
創価学会・公明党の目的とは「公明票」にみる中道改革連合の敗因 大山友樹
行き着く未来はデジタル植民地化 チームみらいの空虚な正体 昼間たかし
国会総右翼化に対抗する「大原則」日本国憲法の精神に立ち返れ 足立昌勝
市場の動きが問う日本「円弱」という現実 中尾茂夫
イスラエル現地取材ネタニヤフがハマスと裏取引 「カタール疑惑」とは何か 西谷文和
“来日ツアー”の関係者も証言 エプスタイン事件の全貌を追う 片岡亮
子どもたちが語った「児童相談所」の人権侵害 たかさん
生徒に軍事力必要と教え込む 都教委と自衛隊の共犯性 永野厚男
「血を流す」べきは誰か? 再び高市首相の「保守」を問う 木村三浩
「エネルギー問題」の本質を示すメガソーラー公害の深層 早見慶子
LGBT問題の現在(3)左派から女性が離れた理由 西園寺あかり
みんな一緒に、さ!ナチズム! 佐藤雅彦
原発を止め農漁村を再生する「石炭火力」の可能性 平宮康広
日本の冤罪 積水ハウス地面師事件 片岡健

〈連載〉
例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GQ9N4H61/

《シリーズ日本の冤罪64》平野母子殺人事件 「1本の吸い殻」で下された死刑判決

尾﨑美代子(紙の爆弾2026年3月号掲載)

2002年4月14日午後9時過ぎ、大阪市平野区内のマンション3階で火災が発生。現場からこの部屋に住む主婦・加奈(当時28歳)と長男・優(当時1歳)の遺体が発見された。2人の死因は、それぞれ窒息死と溺死だった。

半年後、殺人と現住建造物放火の罪で逮捕されたのは、加奈の夫の母親・由美子の再婚相手である林義之(当時45歳)だった。林には、1審で無期懲役(死刑求刑)、2審で死刑判決が下されたが、上告審で最高裁第三小法廷は「審理が尽くされたとは言い難い。事実誤認がある」として1審に差し戻し、無罪判決。検察官控訴も棄却され、無罪が確定した。死刑から無罪判決へ……何があったのか?
(本文中、後藤貞人弁護士以外すべて仮名)

◆刑務官は、なぜ犯人とされたのか?

林は事件当時、大阪刑務所の刑務官だった。1981年に由美子と結婚(再婚)し、由美子の長男・浩次と養子縁組する。

浩次は若い頃から万引き、家出などを繰り返していたが、素行の悪さは家庭を持っても収まらず、結婚後、複数の交際女性から金品を受けるなどしていたことが発覚。林は浩次を厳しく叱責したが様子は変わらず、林夫婦は一時期、加奈と長男を自宅マンションに同居させるなどしていた。

一審判決は、この時期、林が加奈に好意を寄せて、抱きついたり、キスを迫ったりするなどの行為を行なったとしたが、林は否定した。加奈はその後、林に黙ってマンションを退居、浩次と再び同居を始めた。

当時、浩次は借金が嵩み、取り立てから逃れるため、家族でホテルを転々とすることもあった。連帯保証人である林にも取り立てが及ぶと、林は浩次に代わって返済を続けた。それでも浩次は林を疎ましく思い避け続け、2001年2月28日に転居先を告げず、現場となったマンションに引っ越した。

事件が起こった4月14日、非番だった林は、浩次夫婦の転居先を探そうと、車(白色のホンダストリーム)で平野方面へ向かった。転居先が平野区A地区のスーパー近くであるとの情報を得ていたこと、飼い犬がいるため「ペット可」のマンションであることなどから、条件に見合う物件を見て回った。

まさにその日、マンション306号室で加奈と長男が殺害され、放火される事件が発生した。火災発生は21時40分頃、殺害は16時から18時頃と推定された。

捜査が進むなか、林が疑われたのは、事件発生時に林の車と同種同色の車が、マンションから100メートル離れた商店街に駐車されていたとの目撃情報があったこと、また林が当日、妻の勤務先に迎えに行く約束を、特段の理由もなく直前に断わったり、携帯電話の電源を切ったりするなど不可解・不自然ともとれる行動をとっていたことからだった。

しかし、それらは林を犯人と決定づけるものではなかった。

◆犯人と決めつけた1本の吸い殻

事件から2日後、林は大阪府警から参考人として事情聴取を受けており、事件当日、浩次らのマンションを探すため平野方面へ車で行ったことを素直に述べていた。もちろんマンションの所在地は知らないし、立ち寄ってもいないと事件への関与は否定した。

一方、大阪府警は事件翌日、マンション西側の1階から2階へ上がる踊り場の灰皿(以下、本件灰皿)から、72本の吸い殻を採取、その中に林が吸っていた煙草の銘柄「ラークスーパーライト」1本を発見していた。

7月23日、その吸い殻に付着した唾液のDNA型が林のものと一致したとの結果が出た。8月17日、大阪府警はこのDNA鑑定の結果を有力な証拠として林を任意同行し、朝から14時間もの取り調べを行なった。

林は一貫して容疑を否認するも、捜査員は「君がやったと俺は確信している。今日はどうして2人を殺したのか、つまり動機を聞く日だ」などと最初から林を犯人と決めつけた。そして取り調べ終盤、ついに林は「午後5時前頃に浩次夫婦の姿がないか探すためにマンションに入っていると思います。このマンションは4階建てで、道路からマンション敷地内に入り、すぐのところにある入口を入って階段を上っています」との調書が作成されてしまう。

頑なに容疑を否認していたのに、なぜこのような調書が作成されてしまったのか、林は公判でこう供述した。「3人の警察官から、10時間以上にわたり殴る蹴るの暴行をうけたうえ、椅子に座ったまま自分の足首を握るという二つ折の体勢をとらされたり、ナイロン袋を頭から被せて呼吸ができないようにされ、また、両手を柔道の帯で後ろ手に縛られた。調書は十分くらいで作成され、読み聞きもはっきりとされず、内容はよくわからなかったが、解放されたい一心で署名した」。

実際、取り調べ中の暴行により、林は翌日から入院を余儀なくされていた。刑務官に就く前、警察官を経験していた林にとって、いわば「同僚」といえる大阪府警から加えられた壮絶な暴行体験は、林にどれだけ恐怖心を植えつけたことだろうか。

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創価学会・公明党の目的とは「公明票」にみる中道改革連合の敗因 大山友樹
行き着く未来はデジタル植民地化 チームみらいの空虚な正体 昼間たかし
国会総右翼化に対抗する「大原則」日本国憲法の精神に立ち返れ 足立昌勝
市場の動きが問う日本「円弱」という現実 中尾茂夫
イスラエル現地取材ネタニヤフがハマスと裏取引 「カタール疑惑」とは何か 西谷文和
“来日ツアー”の関係者も証言 エプスタイン事件の全貌を追う 片岡亮
子どもたちが語った「児童相談所」の人権侵害 たかさん
生徒に軍事力必要と教え込む 都教委と自衛隊の共犯性 永野厚男
「血を流す」べきは誰か? 再び高市首相の「保守」を問う 木村三浩
「エネルギー問題」の本質を示すメガソーラー公害の深層 早見慶子
LGBT問題の現在(3)左派から女性が離れた理由 西園寺あかり
みんな一緒に、さ!ナチズム! 佐藤雅彦
原発を止め農漁村を再生する「石炭火力」の可能性 平宮康広
日本の冤罪 積水ハウス地面師事件 片岡健

〈連載〉
例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

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過去の「国旗法案」を振り返る 今なぜ国旗損壊罪の新設なのか

足立昌勝(紙の爆弾2026年3月号掲載)

◆国旗損壊罪新設への動き

 2025年10月20日、自民党と日本維新の会が署名した「連立政権合意書」の内容は多岐にわたるが、第3項「皇室・憲法改正・家族制度等」の一項に「令和8年通常国会において『日本国国章損壊罪』を制定し『外国国章損壊罪』のみ存在する矛盾を是正する」と書き込まれている。

11月4日の衆議院の代表質問で、維新・藤田文武共同代表の質問に対し、高市早苗首相は次のように答弁した。

「日本国旗損壊罪の制定についてお尋ねがありました。これは、過去、私自身が刑法92条改正案を起草し、自民党の党議決定や御党関係議員の御協力の下、法案を国会に提出したこともあります。御党との合意書の内容を踏まえ、今後、その実現に向けて、両党間で具体的な検討を進めていくとともに、政府としても与党と連携を図りつつ必要な取組を進めてまいります」。

日本の刑法では、外国の国旗を損壊する行為は罰せられるが、日本の国旗は対象とされていない。そこに矛盾があるとの主張は、これまで、どこからも聞こえてこなかった。

2025年11月3日に地元の大分放送で放送されたニュース番組で、岩屋毅前外相は、かつて高市氏が提案した「国旗損壊罪」に反対した理由について、次のように答えている。

「当時、反対しました。なぜなら、「『立法事実』がないからです。立法事実とは、実際にそうした事例が社会問題になっているかということです。日本で誰かが日章旗を焼いた?そんなニュースを見たことがない。立法事実がないのに法律を作ることは、国民を過度に規制することにつながるので、それは必要ないのではないかと言いました」。

「国旗・国歌法(1999年制定)には賛成しましたよ。でも日の丸が燃やされて大変なことになって、規制しなきゃいけないという事実がないでしょ。事実がないのにそうした法律を作ることは、国民の精神をどこかで圧迫するおそれがあります」。
2012年5月、自由民主党は、総務会で日の丸(日章旗)を傷つけることに対する罰則を定めた「国旗損壊罪」を新設する刑法改正案を了承したことを受け、高市早苗・長勢甚遠・平沢勝栄・柴山昌彦の各議員が議案提出者となり、議員立法で第180回国会に法案を提出したが、審査未了で廃案となった経緯がある。

高市氏は公式サイトの2011年3月8日付「コラム」で、国旗損壊罪新設の理由を、「私の意図は、この法改正によって、『日本国国旗を破いたり燃やしたりした日本人や在日外国人をどんどん逮捕する』などというものではありません。あくまでも日本人として、『日本の威信・尊厳を象徴する国旗』に対する愛情や誇りを、せめて外国国旗が刑法で保護されているのと同程度には、守りたい…という思いです」と述べていた。

今年の年頭所感や1月6日の新年記者会見で、国旗損壊罪の新設については何も触れられなかったのは、すでに決めたことであり、今さら言及する必要がないという、彼女の新設への意欲を示しているのだろう。

◆今なぜ国旗損壊罪なのか?

自維に先駆けて、参政党は、2025年10月27日、国旗損壊罪を新設する刑法改正案を参議院に提出した。その背景は、同年7月の参院選で次のような事実があったことに起因しているらしい。以下、12月9日付の毎日新聞「『日の丸にバツ印』掲げた大学生あいまいな国旗損壊罪に『怖い』」から引用する。

〈今年7月の参院選投開票前日。参政の神谷宗幣代表が街頭演説した東京都港区の芝公園は異様な熱気に包まれていた。陣営によると1万人を超える聴衆が集まり、「日本人ファーストは差別」などと書かれたプラカードを掲げて抗議する人たちもいた。
 ひときわ目を引いたのが、大きなバツ印を付けた日の丸だった。
 神谷氏は10月、「こんなことが許されるのかと思った」と記者団に述べ、バツ印を付けた日の丸を見た数日後に法案作成を指示したことを明らかにした。「国をおとしめることをされることで、多くの人の人権が傷つけられる。公共の福祉に照らせば『表現の自由』で認められるものではない」と主張し、他党に協力を求める考えも示した。〉

ここで挙げられた事例をもって国旗損壊罪を新設しようとするのは、まったく理由にならない。選挙活動への抗議行動を法で取り締まろうとしているのだ。まさに、これは表現の自由の問題である。

神谷氏が見た「バツ印を付けた日の丸」とは、どのようなものだったのか。個人的に作成したものなのか。国旗・国歌法で定められている国旗だったのか。国旗・国歌法によれば、「旗の形は縦が横の三分の二の長方形。日章の直径は縦の五分の三で中心は旗の中心。地色は白色、日章は紅色」とされている。上下・左右対称である。この規定に合致していなければ、正式には国旗ではない。参政党の主張では、何がなんでも日の丸を侮辱する行為を取り締まり、処罰することになってしまう。果たして、そのような取り締まりをしなければならない現実が、日本の社会にあるのか。立法事実もないのに新たな法を作成しようとすることは、個人的な恨み・つらみの範疇であり、法律で規制することではない。公私混同が激しい参政党の性質を示したにすぎない。

自民党の国旗損壊罪新設の背景も、自民党の体質ではなく、高市氏の個人的思想・国家観があるのだろう。それは前述のブログに表れている。公党の総裁となり、首相となった人物が個人的思想に依拠したことがらを、党の内部的手続きを経ずに法案化しようとするのは党の私物化であり、さらには、国家の私物化である。

このような彼女の発想・やり方は、彼女が師と仰ぐ安倍晋三元首相を踏襲しているのであろう。

2025年12月18日、政権で安全保障政策を担当する「官邸筋」が、「私は核を持つべきだと思っている」と発言したと報じられた。オフレコ前提の非公式取材で飛び出したとされるが、発言の主は首相の防衛政策を指南する「ブレーン」ともいえる首相補佐官だった。しかし高市氏は、今に至るも何のコメントを加えていない。

2026年1月3日にアメリカが行なったベネズエラの首都カラカス攻撃および、それに伴うマドゥーロ大統領の拉致は、他国への侵略的攻撃であり、国際法に違反するもので、どこにも正当性は存在しない。

この事実に対する所見を求められた高市氏は翌4日、従来の立場すなわち「自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重する」としたうえ、「ベネズエラにおける民主主義の回復および情勢の安定化に向けた外交努力」を進めるとだけ表明した。自己の思想や国家観に基づく政策を、党内手続きを無視してでも強行しようとする首相が、国際政治の場で「法の支配」を主張する資格があるのだろうか。「法の支配」を主張するのであれば、国内の、いかなる事態でもそれを貫徹すべきである。

一般論からいえば、この国旗損壊罪新設の問題は、現行刑法に外国国旗損壊罪を罰する規定が存在する一方で、自国国旗を対象とする規定がないことに起因しているとされる。この「不均衡」を是正し、国家の象徴としての尊厳を守るべきだというのが、新設を求める賛成論の主たる主張であろう。

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精神病予防学会の策謀 再び偏見を教育する保健体育教科書

野田正彰(紙の爆弾2026年3月号掲載)

2018年の学習指導要領により、高校の保健体育教科書で、40年ぶりに精神疾患に関する記述が復活した。2022年の「現代社会と健康」から新たに「精神疾患の予防と回復」の項目が加えられ、「児童生徒が心の健康について関心を持ち、正しく理解し、適切な対処や行動選択ができるようにすることが求められている」と呼び込みをしている。

「学習指導要領解説」は「精神疾患の特徴」と「精神疾患への対処」に分けて、うつ病・統合失調症・不安症・摂食障害の四疾患について指導し、「正しい知識やそれに基づく適切な対処や行動選択を理解させる」と続ける。

1972年を最後に高等学校の学習指導要領から「精神疾患」に関する記述は抹消された。復活にあたり、なぜ消されたのかに関する言及は皆無だが、消したのには理由がある。文部省と著者と教科書会社が邪悪な内容を書いて教え込んでいたことを暴露されたからだ。

その後も1980年代まで新聞をはじめマスコミは盛んに「狂人に刃物」といった煽動的解説を続け、精神疾患に関する誤った記述(偏見)が社会に浸透していった。

◆根拠なき「遺伝説」を「常識」にした戦後保健教育

私は精神科医になって間もない1973年、「偏見に加担する教科書と法」という論文を「朝日ジャーナル」2月16日号で発表した(鹿砦社刊『流行精神病の時代』に収録)。

戦後の保健体育の教科書は「精神衛生」の項で「精神病の遺伝」について解説し、「精神病は遺伝するので、結婚にあたって相手方の家系その他を調べることは重要である」「精神病者には優生保護法による優生手術が行なわれる」などと教育した。

戦前・戦中の軍国主義国家の時代、日本政府にとって精神病は、徴兵において重要な問題だった。明治期に徴兵制が施行されると、当時多かった梅毒の患者、とりわけスピロヘータの大脳感染者(進行性麻痺)を軍隊に入れないことが課題で、社会での精神病者の排除はそれほど重視されていない。

1940年、ナチス・ドイツの優性思想に倣い作られた国民優生法は、根拠なき「精神病遺伝説」に基づき精神病者の断種を規定したが、徴兵者を増やしながら精神病者を多く見つけて排除するという矛盾から、さほど実効性を持たなかった(それゆえ、強制不妊手術の実施は後述する戦後の旧優生保護法施行後がほとんどである)。

戦後の日本では結婚が急増し、海外の引揚者も増加して、第一次ベビーブームが起きた。人工妊娠中絶を容認する世論が広がるのに便乗して、精神病者を社会から排除する旧優生保護法が1948年に制定された。この法律に基づいた優生手術(強制不妊手術)が1960年代まで盛んに行なわれたことは、2024年に最高裁判決が出た国賠訴訟を通じて周知のことだろう。

ただし、その報道では優生手術の主たる対象が知的障害者ではなく精神病者であったこと、学校教育で「精神病遺伝説」が国民に「常識」として徹底されたことはまったく触れられなかった。

「精神病は遺伝する」との「常識」を創作した主犯は日本精神神経学会(1902年設立)の精神科医ら、とりわけ旧帝国大学を中心とした医学部精神科教室である。そして文部省の強制の下での教育とマスコミが偏見を日常的に強調することで、その「常識」を国民に刷り込んだ。

もともと日本社会に「精神病は遺伝する」という考えが定着していたわけではない。人々の精神病の概念は曖昧で、地域によっては「狐憑き」や「天狗にさらわれた」といった「憑きもの」と同一視する考えや、「その家の不幸によるもの」などの様々な解釈があった。

ナチスなき後、戦後日本の精神科医と教育・マスコミ関係者こそが精神病遺伝説、そして精神病者は社会から減らさなければならない「犯罪予備軍」との偏見を確立させたのだ。

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