◆「近衛文麿」化したネタニヤフ、出口見えぬ戦闘

2月4日、広島パレスチナ連帯デモが行われました。

10月7日に、ガザ地区のハマス政権がイスラエル・シオニスト政権への越境反撃を行うと、シオニスト政権の首相・ベンヤミン・ネタニヤフ被告人[※]は、これに対して、ガザへの侵攻を開始。北部の住民に南部への避難を呼びかけながら、実際には南部にも侵攻し、狭い範囲に100万人が密集しているとも言われる状態の地域へ激しい空爆を加えています。2月5日現在で2万7365人が犠牲になっています。

[※]ネタニヤフ被告人は、日本の安倍晋三さんとほぼ同じことをしたとして、イスラエルの警察に書類送検され、起訴。首相のまま裁判を受けています。また、妻のサラ・ネタニヤフ元被告人は、安倍昭恵さんとほぼ同じことをしたとして、罰金刑が確定しています。

一方、イスラエル・シオニスト政権は、UNRWA(国連パレスチナ難民支援機関)に職員が10・7のハマス政権による攻撃に参加した疑惑があるとして米日政府などに通報。これを受けて米日などの政府はUNRWAへの拠出金を一時停止。シオニスト政権による攻撃に加えて、砂漠気候のこの地域には珍しい大雨、そして支援の遅滞が人々に襲い掛かっています。

また、ネタニヤフ被告人は2月5日現在、米国などの仲介工作に対しても「一切の取引に応じない」としています。これは、まるで、日中戦争の時、当時の大日本帝国首相の近衛文麿がナチス・ドイツのトラウトマンによる和平工作を蹴り、「蒋介石を相手にせず」と突き進んだことを想起させます。近衛は軍部の、ネタニヤフは連立相手の宗教極右のコントロールが効かなくなった状態です。

そうした中で、今度は、紅海を航行する船舶にイエメンのアンサール・アッラー政権が攻撃。米英軍がイエメンを攻撃。一方で、シリアやイラクを攻撃する米軍の基地が、攻撃を受け、米軍が報復するなど、あちこちに戦火も飛び火をし、予断を許さない状況です。

一方で、ICJがイスラエルに対して虐殺を予防するよう勧告を行いました。こうしたことを背景に日本を代表する商社・伊藤忠が防衛装備品の輸入におけるイスラエル企業との協業を停止することを発表しました。イスラエルへの包囲網も着実に狭まってはいます

◆広島では毎日17時半から原爆ドーム前集合

 

こうした中、広島では、イスラエルによるガザ大虐殺が始まって以来、原爆ドーム前で、米国人留学生レベッカさんの方らが呼びかけて、毎日17時半~スタンディングを行っています。筆者も、会社帰りのルートに原爆ドームがあるため、ちょうど時間があう場合には参加させていただいています。

2月4日は、16時に広島市中心部の若者の「聖地」とも言われるアリスガーデンに集合(右写真)。16時半に出発し、広島市中心部を「FREE PALESTINE」「子どもを殺すな」「誰も殺すな」などとレベッカさんらの指揮に合わせてコールしながら広島の中心部を原爆ドーム前へ行進しました。筆者は、家庭では、夕食の準備が担当なので、途中で抜けさせていただきました。

これより前、2月1日の17時半からの原爆ドーム前のスタンディングでは、ミャンマーを軍政支配から解放することを目指しているミャンマー人や支援者の日本人も参加し、連帯の挨拶をされていました。日本政府はミャンマー軍事政権に対して多大なODAを行っています。筆者自身の勤務先にもミャンマー人労働者がおられます。彼女らの故郷が人権の保障された平和な状態になることを筆者も願っています。

パレスチナに平和を ミャンマーを救え in 原爆ドーム前(広島瀬戸内新聞ニュース2月1日)

◆G7「虐殺応援団」サミット以来、「米国忖度都市 HIROSHIMA」へ

2023年5月開催のG7広島サミット。結果的には、「虐殺応援団」サミットだったことになります。すなわち、G7のうち、日本を除く米英仏独伊加が「10・7」ののち、直ちにイスラエル断固支持を表明。広島サミットに「乱入」したウクライナのゼレンスキー大統領もイスラエル支持を表明し、わざわざ、イスラエルを訪問しようとしてネタニヤフに断られるという醜態も演じました。

そして、こんなサミットを「顕彰」する施設をサミット県民会議、実質的には湯崎英彦知事は平和記念公園内に作ろうとしています。また、松井一實・広島市長は、イスラエルの後ろ盾・米国政府に忖度し、平和記念公園とパールハーバーの姉妹協定を米国が言うがまま、締結してしまいました。そして、原爆の爆心地を含む広島1区を選挙区とする岸田文雄総理が、西側の核保有は肯定する『広島ビジョン』を作成しています。

もはや、平和都市としてのヒロシマは、行政的には2023年5月のあのサミットを境に「米国忖度都市HIROSHIMA」に変質したと言わざるを得ません。

◆広島市民・県民が汚名返上へ声を

松井市長―湯崎知事―岸田総理という「米国忖度の枢軸」が君臨する広島。しかし、市民はそうではない、というところを示していくしかありません。総理とて、政治家の一人。地元有権者の声は気になるはずです。次回も同様のデモが3月16日(土)に行われるそうです。

こうしたデモに参加するもよし、総理の事務所に意見を言うのもよし。また、総理の選挙態勢を支える自民党の市議や県議らに意見を言うのもよし。いろいろな方法で総理を揺さぶるのも、選挙区の有権者として大事なことではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
権力による教育内容への管理統制強化 加速する「教育デジタル化」の陥穽
問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
高GABAトマト、マッスル・マダイ、ウイルス耐性ブタ……「ゲノム編集」は生態系も人類も損壊する
「松本人志」「旧ジャニーズ」で見えた変わらぬ大手メディアの忖度体質
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2023年の重大ニュースTop25
シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTMNC4ZD/

1月18日、ある動画がYouTubeで公開され、話題を呼んだ。筆者も初めて見る映像だった。公開されたのは、ある刑事事件で「犯人隠避教唆」の疑いで逮捕され、有罪判決をうけた元弁護士・江口大和氏が、検察で取り調べられている映像だ。

江口氏は、逮捕時から一貫して容疑を否認、取り調べで黙秘した。しかし、横浜地検特別部の川村政史検事は、黙秘権を行使する江口氏に対して、延々と江口氏の人格を否定するような侮蔑的な発言を発し続けていた。動画は21日間約56時間に及んだ取り調べの映像を約13分に編集したものだ。

江口氏はその後、こうした取り調べは、憲法が保障する黙秘権を侵害する違法行為だとして、国に1100万円の国賠訴訟を提訴。動画は国側の証拠として開示されたものだ。

動画は、川村検事の後方から撮影しており、正面に江口氏が映っている。川村検事は机を叩く、怒鳴るなどはしないものの、「がきだよね、あなたって」「ぼくちゃん」「おこちゃま」「もともと嘘つきやすい体質なんだから」「詐欺師的な類型の人に片足突っ込んでる」などと江口氏をひたすら罵倒し続ける。江口氏が取り調べを中断しトイレに行き、席に戻った際には「取り調べ中段してすいませんでしたとか、いうんじゃねえの、普通」「あんた、被疑者なんだよ」などとイヤミをいう。

江口氏の弁護人・趙誠峰弁護士は公開前、ブログで「憲法が黙秘権を保障していることの意味は、権利を行使する人に対して、取り調べと称してこのような罵詈雑言を浴びせることは許されないということではないか」と書き、動画公開に踏み切った理由を「実際に行われている『取り調べ』が、いかなるものかを多くの人にみてもらう必要があると思ったからです。そのなかで、黙秘権を行使することの意味(黙秘権を行使しても、このような取り調べが20日以上も続く現状が、黙秘権侵害といえないのか)を考えてもらいたいと思ったからです」と述べた。


◎[参考動画]取り調べで「ガキ」「僕ちゃん」 検察官発言、法廷で再生 黙秘権巡る訴訟・東京地裁(時事通信映像センター 2024年1月18日公開)

2019年、業務上横領の容疑で逮捕、起訴され、2021年10月28日、裁判で無罪判決を勝ち取った東証一部上場企業プレサンスコーポレーション元社長の山岸忍氏が、国を相手に訴えた国賠訴訟で、同じく取り調べ動画の公開を請求した。

昨年9月19日、大阪地裁は、山岸氏の部下Kを取り調べた録画録音記録約70時間のうちの約18時間分の提出を国に命じた。そこには、検事がKに「あなたはプレサンスをおとしめた大罪人」などと迫った場面が含まれる。裁判では、山岸氏の有罪を立証するKの供述の信用性が問われ、山岸氏は無罪となった。

地裁判決は「違法な取り調べの立証には、検事の口調や動作といった要素も重要。映像は最も適切な証拠だ」として国に提出を求めたが、検察は控訴。1月22日、大阪高裁は、動画の重要部分を非公開とする決定を言い渡した。そこからは、検察官が机を叩いて一方的にKを怒鳴り続けたシーンが削られてしまっているという。山岸氏はこれを不服として、現在、最高裁に不服申し立てを行っている。

現在、筆者が取材を始めたこの事件は、2008年発覚した郵便不正・厚労省元局長事件(村木事件で、村木厚子さんを冤罪犠牲を強いた大阪地検特捜部が新たにつくった冤罪事件だ。学校法人明浄学園の運営する校地の売却代金21億円を、当時の理事長・大橋美枝子氏らが横領した事件で、山岸氏と部下のK氏、山岸氏が懇意にしていた不動産会社社長Y氏も共謀で逮捕、起訴された。

大阪地検特捜部は、K氏・Y 氏の虚偽供述に基づき山岸氏を逮捕した(Y氏はその後虚偽供述の撤回を検察に求めたが叶わなかった)。山岸氏は、個人資産18億円を貸し付けたのはあくまでも学校法人であり、大橋氏らの横領などに関わってないと一貫して無罪を主張した。

山岸氏の逮捕後、弁護団が客観的証拠などを検討してみると、じっさいには学校法人がお金を借り入れるという内容の文書やメールなどが多数存在していた。これはK氏の供述と完全に矛盾するものだった。

では、なぜK氏は世話になった山岸氏を罪人に落とし込めるような虚偽供述をしたのか? その後、弁護団が多くの証拠を開示させていくなかで、K、Y両氏の取り調べの録音録画の内容が明らかになってきた。記録は、K氏で21日間のうち20日計73時間半、Y氏も同じ日数で計69時間にも及んでいた。

接見にきた弁護士が山岸氏に「山岸さん、Kの取り調べで田淵大輔検事が怒鳴っているシーンがあったんだよ」「昨日観た場面では田淵検事がバンバン机をたたいてKを威嚇していたよ」と報告、その一部を書き起こして山岸氏に差し入れた。

田淵検事はKに対して、「ウソだろ。今のがウソじゃなかったら何がウソなんですか」「ウソついたよね」「なんでウソついたの?」「これ以外にもウソいっぱいついているだろ、わたしに。これ以外にもわたしにウソいっぱいついたでしょ。私はあなたの良心にすこしかけてみた。わたしは悪いあなたがでてきたら、今みたいな弁護をすると思いましたよ。でも、あなたがウソをついたことを悔い改めたら、頭をさげると思ってました。でも、あなたはそれどころか逆ギレじゃありませんか。しかも、そんな怖い顔をして。悪びれるどころか、ウソの上塗りをしてきたよ。なんでそんなことができるの?なんでそんなことをするんですか?ほかにもウソをついているだろ」、そして、「あなたは、プレサンス社の評判を貶めた大罪人だ。会社から10億、20億ではすまされないほどの多額の損害賠償請求をされるが、それを背負う覚悟はあるのか」などと脅し、山岸氏の関与を認める供述を強要させていた。山岸氏は、この書き起こしを読み、元々気の弱い部下のK氏がどうして自分を陥れるような嘘の供述をするのかがようやく理解できたという。

一方、Y氏を取り調べた末沢岳志検事について、「悪質さは(田淵と)同等かそれ以上ではないか」と山岸氏はいう。末沢検事はY氏に「何度もいうように、山岸さんの関与が本当にあるんやったら、それ言わへんかったら、今のこの立ち位置だけからしたら、大橋さんと同じくらいYさんすごくこの件に関与した、非常に情状的にはやっぱりかなり悪いところにいるよということ。もう、お金貸して戻すところまで全部わかっているんだから」と、Y氏が山岸氏の関与を否定する供述を続けるならば、主犯の大橋と同じくらいの罪になると恐怖心を煽っている。

 

山岸忍氏の著書『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』(文藝春秋社)

そのうえで、「山岸さんが主導する、プレサンス側の意向があったから、これはもうやらなアカンのやというような話で、今回の件の21億円回して返済するところまでやったんやというんやったら、それはおのずと責任の重い軽いというのは、それは変わってくるでしょ」と、山岸氏の関与を認める「自白」をしたならば、Y氏自身の罪が軽くなると騙している。更にY氏は部下にまで罪が及ぶと脅され、いったん山岸氏が大橋氏個人へ貸し付けたと認める調書の作成に応じた。

その後Y氏は調書を撤回してほしいと検察官に懇願したが、撤回されず、検事からは「そんだけ言うんやったら、法廷でひっくり返したらよろしいやん」などと捨て台詞を吐かれていた。Y氏は公判で、先の虚偽の供述を撤回したうえで、末沢検察官から「山岸さんの関与を認めないと、自分の責任が重くなる。部下も逮捕されるということを仄めかされて事実とは違う内容の供述調書に署名してしまった」とはっきりと証言した。

そこで山岸氏の国賠では、こうしたK氏やY氏への取り調べを録音録画した記録を証拠として提出させることが重要になった。しかし、大阪高裁は最も重要な部分を非公開にするとした。

実は山岸氏の弁護団は、膨大な量の録画録音記録の書き起こしを専門業者に依頼せず、自分たちで行った。書き起こしながら、その取り調べ時の検事の口調、動作などを少しでも知る ためだ。筆者も山岸氏の著書『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』(文藝春秋社)で、その内容の一部は読んでいた。しかし、そこに冒頭の取り調べのシーンのように、音と動作が入ったならば、一層その迫力が増すというものだ。ぜひ、山岸氏の国賠訴訟で、その場面を見てみたい。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
権力による教育内容への管理統制強化 加速する「教育デジタル化」の陥穽
問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
高GABAトマト、マッスル・マダイ、ウイルス耐性ブタ……「ゲノム編集」は生態系も人類も損壊する
「松本人志」「旧ジャニーズ」で見えた変わらぬ大手メディアの忖度体質
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2023年の重大ニュースTop25
シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTMNC4ZD/

医師や専門家を中心に昨年設立された「ワクチン問題研究会」が1月11日に開いた会見を取材しました。会見では明快かつ具体的に、いわゆるmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについて警鐘を鳴らしています。本誌レポートはさらに噛み砕いた解説を試みたものです。現在もコロナウイルスについて、“第10波”や新たな変異株「JN.1」は感染力が強い、といった報道がなされています。しかし会見で村上康文理事(東京理科大学名誉教授)は、「コロナはリスクが非常に低かったと私は思っています。亡くなった人にPCR検査をして、陽性であればコロナによる死としている」と指摘。また新規陽性者とワクチン接種に関する厚生労働省のデータでは、ほとんどの年齢層でワクチン接種者の方が陽性率が高かったという事実が示されています。

厚労省の予防接種健康被害救済制度に基づく申請受理数は1万90件で、認定件数は5965件、うち死者数は423件(1月26日)。約3000件は未審査のため、審査されたうち85%以上が認定されています。もちろんこれは氷山の一角であり、本誌で何度も指摘しているとおり、日本以外の世界中で追加接種はストップしています。感染を防げず危険だと厚労省が認めるワクチンの接種がなぜ続けられているのか。そしてコロナワクチンを「成功」であるとして、mRNAワクチンは、がんやインフルエンザへの応用が目指されています。もはや問題は「コロナワクチン」ではありません。その危険性を解説した本誌レポートは、すべての人々に読んでいただきたい内容です。

自民党裏金事件を契機として解散した安倍派について、本誌に寄稿した政治評論家の本澤二郎氏は「検察と官邸の国民を欺く策略」と指摘。本澤氏は1月8日に自宅が火災に見舞われた故・田中角栄元首相との関係を起点に“安倍・清和会”とは何かに迫ります。裏金事件では、その役割を果たさない検察組織にも、追及を向けるべきです。

能登半島で起きた地震被害に対する岸田政権の対応の遅さが、東日本大震災・熊本地震における発生直後の復旧スピードと比較され、「岸田政権は菅(直人)政権、安倍政権以下」との指摘がなされています。これに対し、地形の条件が加味されていないといった反論がなされているものの、そうであればこそ、愛媛県の伊方原発をはじめ「半島の原発」の巨大リスクが注目されるところです。ただし、「半島」を加味しても今回の対応は遅すぎるようです。

国の意向を大学運営に直接反映させる国立大学法人法改悪。「稼げる大学」というと、以前は企業に好都合な人材を輩出するイメージだったと思うのですが、すでに大学自体、それも国立大学が稼ぐことを考えるような事態です。大学教員・学生らが猛反発する中、日経新聞昨年12月18日付記事は「稼げる大学はだめなのか 科学研究に『楽園』なく」。高学歴層の多くがこの問題に無関心なのはいったいなぜなのか。自分たちが取り組んだ「学問」が国や企業に売られてしまうことになぜ危機感を持たないのかが疑問です。

その他今月号では、前号に続き「ゲノム編集食品」の危険性を専門家の意見をふまえレポート。1月の台湾総統選や、アメリカ大統領選についても、他メディアで報じられない事実をお伝えしています。全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
権力による教育内容への管理統制強化 加速する「教育デジタル化」の陥穽
問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
高GABAトマト、マッスル・マダイ、ウイルス耐性ブタ……「ゲノム編集」は生態系も人類も損壊する
「松本人志」「旧ジャニーズ」で見えた変わらぬ大手メディアの忖度体質
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2023年の重大ニュースTop25
シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTMNC4ZD/

◆京都市長選 ── 自公+国民+立憲 VS 共産+リベラル

任期満了に伴う京都市長選挙が2月4日投開票され、自民、立憲、公明、国民が推薦する松井幸治が当選した。共産党が支援した福山和人は次点であった。

今回の京都市長選、投票に至るまでに野党の体たらくを明示する迷走が告示前に生じていた。各候補者の得票を眺めると興味深い。

松井孝治  17万7454票(37.92%)
福山和人  16万1203票(34.44%)
村山祥栄   7万2613票(15.52%)
二之湯真士  5万4430票(11.63%)
高家 悠    2316票(0.49%)

門川大作前市長は新聞紙上などに登場する際は着物を着用し、和風あるいは京都らしさを演出したかったのかもしれないが、端的に指摘すればオーバーツーリズムを招いた失政により京都市の財政を悪化させた。人口流出は止まらず、「このまま行けば京都市の財政破綻もあり得る」と報道されるほど京都市を滅茶苦茶にしてしまった。

だから門川は京都で評判が悪い。したがって門川の後継者を名乗るだけで候補者が不利であることは明確だったため、各候補者とも「門川市政の継続」を明言しなかった。

◆前橋市長選 ── 自公 VS 立憲+共産+国民+社民

さて、マスメディア的な論評はもういいだろう。同日に群馬県前橋市で市長選挙がおこなわれた。こちらは自民王国群馬県なのに、自民、公明が推す現職が敗れた。

小川 晶  6万0486票
山本 龍  4万6387票

小川は元群馬県議で立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の議員から支援を受け、山本は自民党と公明党が推薦し、4期目を目指していた。立憲や共産、ほかの野党が束になっても群馬県で自民・公明の現職市長を倒すなどは、想像できなかっただけに、快挙である。

◆京都の惨状 ── 「自民 VS 反自民」の構図をぶち壊した立憲民主

他方、京都の惨状はなんだ。

松井は元官僚であり、民主党の参議院議員を二期経験している。官僚出身の野党国会議員の8割以上はアウトな人間だと、わたしは勝手に基準を持っているが、松井もその8割に入る人物だ。今般の京都市長選に早々と自民・公明からの支持を取り付け、立憲もノコノコと乗った。

京都には西田昌司のような人間として最低な右翼政治家から、日和見主義者ランキングでは横綱クラスの前原誠司、前原の後輩にして、最近は野党の振りを演じるのがわりと上手にはなったが、前原同様、松下政経塾出身の福山哲郎がいる。そうそう立憲民主党の党首、泉健太も京都選挙区である。

そして忘れてはならないのが、亡き野中広務の後援会事務局長にして国家公安委員長まで務めた二之湯智の次男が二之湯真士であることだ。このような面々のうち二之湯以外が松井支持で固まったわけだ。

著名な与野党の政治家が高濃度で生息しているのが京都なのである。加えてかなり勢いが衰えたものの全国でも珍しいほどに、共産党への支持が厚い。

長年、京都市長選挙では主軸が自民対共産の闘いが続いてきた。そこに時代に応じて野党が自民に乗ったり、共産に近づいたりする。今回も自民対共産の構図は変わらないものの、あろうことか野党第一党の立憲民主が自民に相乗りしてしまった。これが悪因だ。

全国でも珍しい「自民・共産対決」あるいは「自民・反自民対決」の構図を作れば市民の興味も高まり、政治への関心も上がろうものを、立憲民主がぶち壊しにしてしまったのである。

断っておかなければならないが、わたしは絶対的な「反自民党」であるが、立憲民主、共産をはじめ一切支持政党はない。しかし、選挙なのだから「異なる主張のぶつかり合い」くらいは期待する。

◆「政治資金パーティー」をめぐるミスリード

自民党に対しては「不法な金のやり取り」について、国政でも地方選挙でも必ず争点にしてもらわなければ困る。何千万円から何億円にも上る「政治資金パーティー」(こんな名称のパーティー自体がいかがわしいじゃないか)を巡る政治資金報告書への不記載が問題だと報じられているが、あれはミスリードである。政治資金報告書への不記載は、れっきとした犯罪だ。

犯罪者集団が牛耳る政治は困る。許せない。

自民党は所属する議員に「アンケート調査」を行ったそうだが、犯人が犯人を取り調べて意味があるのか。「アンケート調査」くらいで野党は納得していていいのか。京都市長選挙のように気軽に自民と相乗りしたりしているから、いつまで経っても野党は伸びないのだ。

前原は、民主党から国民民主党では飽き足らず、これまで聞いたこともない「教育を無償化する」集団を立ち上げた。国民民主党は自民党の二軍のようなものだし、維新は「大阪ファシスト党」である。

たまには前橋市長選挙のように少しは興味のわく選挙を見てみたいものだ。

▼鹿野健一 (しかの・けんいち)
1965年兵庫県西宮市生まれ。複数の企業と大学に勤務の後、現在はフリーライター。国際情勢・政治・教育・冤罪・原発などに関心を持つ。反原発季刊誌『季節』副編集長。単著『大暗黒時代の大学』(鹿砦社)。共著『オイこら!学校』(教育資料出版会)、『1970年端境期の時代』、『抵抗と絶望の狭間/1971年から連合赤軍へ』(鹿砦社)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

本日発売!『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
権力による教育内容への管理統制強化 加速する「教育デジタル化」の陥穽
問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
高GABAトマト、マッスル・マダイ、ウイルス耐性ブタ……「ゲノム編集」は生態系も人類も損壊する
「松本人志」「旧ジャニーズ」で見えた変わらぬ大手メディアの忖度体質
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2023年の重大ニュースTop25
シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTMNC4ZD/

◆再処理工場は稼働できない

再処理工場がいつか完成するとしても、今の状況では稼働することができない。それは、日本の国際公約「余剰プルトニウムを持たない」に抵触するからである。

日本のプルトニウム保有量は2022年末現在で45.1トン、そのうち英仏で再処理して分離したプルトニウムが35.9トンである。日本が保有できるプルトニウムは、現在の核燃料サイクルにおいてはMOX燃料として燃やすことが可能なプルトニウムに限られる。MOX燃料体に入れて原発で燃やすしか手段がないからだ。

MOX燃料の製造が可能なのは現時点ではフランスのオラノ社だけ。英国ではMOX加工ができない。日本も日本原燃がMOX燃料製造工場を建設中だが、こちらの審査もいつ終わるか見通しは立っていないし、仮に完工しても費用がフランスの数倍になる見通しで、経済性はないどころの話ではない。輸入MOX燃料でさえ今のウラン燃料体の10倍以上の価格になっているのに、その数倍の費用をかけて日本製MOX燃料体を作る意味がどこにあるというのだろうか。

今から10年先を見通しても、余剰プルトニウムを持たないとの公約を守るかぎりは再処理工場が完成してもプルトニウムを取り出すことはできない。まず英仏のプルトニウムをMOX燃料に加工して消費することが優先されるはずだ。

さらに問題なのは、2007年までに行われたアクティブ試験において発生した高レベル放射性廃棄物のガラス固化が終わっていないことである。346本のガラス固化体を製造した段階で止まり、211立方㍍の廃液は、審査が終わっていないためガラス固化できずそのまま。再処理工場が完工した場合、まずこれのガラス固化処理をしなければならない。

現状について国は「日本原燃から、再処理事業変更許可申請がなされ、現在、新規制基準に係る適合性審査を行っており、当該審査終了後に原子炉等規制法第46条の規定に基づく使用前検査を実施する段階において、高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉の性能を含めて、再処理施設の性能が技術上の基準に適合するものであること等を確認することとしている」としている(川田龍平参議院議員の質問主意書への回答より)。

しかし先行していた東海村の再処理工場でもガラス固化工程ではトラブル続きで、とうとう2系統あった設備がすべて止まってしまった。現在、2024年度末までに3系統目を建設することになっている。

同様に六ヶ所村再処理工場でも過去にガラス固化工程でトラブルが続いていた。構造はほとんど変わっていないので、再び止まる可能性は高いのである。

ガラス固化体の地層処分とは現在、再処理工場で作られる高レベル放射性廃棄物ガラス固化体をどこに埋め捨てするかが問題になっている。この「ガラス固化体」(ステンレス製容器で覆う構造)の埋め捨てのことを「地層処分」と呼んでいる。ガラス固化体は最初、最長50年間地上で管理する。現在その施設も六ヶ所村にあり、「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」という。これは廃棄物に含まれる放射性物質の崩壊熱と放射線量を減少させるためである。

英仏の再処理工場で再処理したガラス固化体の貯蔵は1995年から始まっているので、最初の固化体が50年を経過するのは2045年である。設備は鉄筋コンクリート造りで地下に設置されたシリンダー構造の容器が並ぶ。貯蔵が終わると深さ300㍍以深に埋め捨てる方針だが、計画では2~3キロ㍍四方の範囲にガラス固化体で4万本以上を埋めるとされる。

この処分地の調査・選定に約20年、建設作業と埋設に約70年、閉鎖するためには約10年かかるとされる。このガラス固化体の立地点では、人間の生活圏から10万年以上の時間、隔離できる条件を持っていなければならないとされる。

立地については、次の3段階で決める。第1段階が「文献調査」(机上調査)で、この調査に手を挙げただけで自治体には20億円の交付金が支給される。第2段階「概要調査」に進むには地域の意見を聞くとされているが、その方法は定められていないため、首長と議会の合意で進められる危険性が高い。

「概要調査」では地点を決めてボーリング調査を行う。4年ほどかかるとされ、交付金が70億円支給される。

第3段階は「精密調査」で地下施設での調査や試験を行い14年かかるとされる。この先の制度については未だ明確にはなっていない。いずれも地元の同意が必要だ。現在の状況は、文献調査に名乗りを上げたのが北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村のみ。交付金は調査対象の隣接自治体にも支払われることになっているが、寿都町の隣接自治体の内7500万円を受け取ったのは岩内(いわない)町のみ。他に蘭越(らんこし)村、黒松内(くろまつない)町、島牧(しままき)村があるが、いずれも核抜き条例を制定するなどして受け取りを拒否した。神恵内村の周辺自治体では、泊(とまり)原発が立地する協和(きょうわ)町と泊村、そして古平(ふるびら)町が7500万円を受け取っているが、積丹(しゃこたん)町は核抜き条例を有して拒否している。

長崎県対馬市は、議会がわずか1票差で文献調査受け入れ請願を採択したが、市長が拒絶している。(つづく)


◎[参考動画]文献調査は「見通し立たない」“核のごみ”最終処分場への調査開始から2年 北海道寿都町のいま(2022/10/10)


◎[参考動画]【速報】長崎・対馬市長が会見 “核のゴミ”処分場文献調査「受け入れない」表明(2023/09/27)

◎山崎久隆 核のごみを巡る重大問題 日本で「地層処分」は不可能だ
〈1〉震災後も核燃料サイクルが残った
〈2〉再処理工場は稼働できない
〈3〉科学的根拠に乏しい経産省「科学的特性マップ」の異常さ
〈4〉放射性廃棄物「地層処分」を白紙にし、本当の議論を

本稿は『季節』2023年冬号掲載(2023年12月11日発売号)掲載の「核のごみを巡る重大問題 日本で『地層処分』は不可能だ」を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CPDMZSST/

広島県内の公立学校の先生が盗撮などの不祥事を起こすと、「不祥事のデパート」教育長の名前で懲戒免職される……。そんな「締まらない」状態も、2023年度いっぱいで終止符が打たれます。

広島県の湯崎英彦知事は2月1日、報道各社の取材に応える形で、2024年3月末で二期目の任期が切れる平川理恵・教育長の再任をしない方針を明らかにしました。

◆任期切れでお役御免! 知事の狡猾な責任逃れ 

「もともと2期6年のつもりだった」と湯崎知事は強弁しておられます。しかし、そんなことは、後付けでいくらでも言えます。人間、そう簡単に権力の座は手放したくないものです。再任しない、ということになればご本人も抵抗する可能性も高い。

平川教育長ご自身も一連の不祥事さえなければ、当然、次もやる気満々だったのではないでしょうか? 下手をすれば湯崎知事の後継の知事候補、ということも考えられます。しかし、県民の批判の前に、さすがの知事も庇いきれなかった。罷免はしなかったが、任期切れでお役御免、という形にした、というのが見え見えです。

通常、教育長というのは、その自治体によって違いますが、現場の教員上がりか、当該自治体出身の文部科学省の官僚かというのが「相場」です。それを敢えて打ち破り、リクルートご出身で横浜市の民間登用校長をされていたという平川氏を湯崎知事が一本釣りしてきた、という経過があります。

したがって、知事としては、任期途中で罷免すれば、自分の任命責任が余計問われます。任期切れでお役御免。知事としてはもっとも狡猾な「逃げ方」です。

◆「改革」という名の「身びいき」だった!

確かに広島県の社会は閉鎖的な面が強い、という声は特に広島県から他県や進学・就職された30代くらいの方からよく伺います。そうした、閉鎖性を平川教育長が打破してくれるのでは?2018年の就任当初、そのように、期待した県民も多いし、マスコミも平川教育長を天まで持ち上げました。

しかし、2期目の途中の2022年夏。事態は暗転します。「文春砲」で一連の不祥事が発覚します。

平川教育長ご出身の地・京都のNPO法人「パンゲア」にわざわざ仕事を県費でつくってあげたと解釈されても仕方のない官製談合問題。外部の弁護士の調査で、地方自治法違反、官製談合防止法違反が指摘されました。

ところが、その弁護士への費用も異様に高額なものでした。しかも県費からの支出です。さらに、県教委と取引のある大阪の企業の女性経営者を平川教育長が自宅に泊めていたということも発覚しました。

これとは別に学校図書館のリニューアル事業と称して、赤木かん子さんを顧問に招聘。赤木さんの著書が大量に学校図書館に送り込まれました。

平川氏は常々、「子どもたちのために」とおっしゃいます。しかし、やっていることは、どうみても、完全な身びいきです。官僚や教員上がりと言った既存タイプの人材よりも酷い腐敗を平川氏は招いてしまいました。

◆木に竹を接ぐ「高校入試」改革

また、平川氏は2023年の高校入試から「自己表現」を導入する改革を強行しました。そもそも、広島県の社会(広い意味での政治)は非常に権威主義的です。それなのに、中学生に「自己を表現しなさい」などと言っても、中学生も親も先生も混乱するだけですし、実際に混乱が見受けられました。

結局、この手の入試改革は、そういうことの対策にお金がかけられるお金持ちの家庭の子に有利になるだけです。以前の、学力テスト+部活も含めた内申点で決めるやり方の方が、お金持ちでない家庭の子にもチャンスがあったのではないでしょうか?

権威主義の広島の社会で、中学生にアメリカンな自己表現を課す。木に竹を接ぐとはこのことです。

◆叡智学園には巨費、非正規教師の正規化には後ろ向き

平川氏は、2019年、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島にグローバルエリート養成を目的とした中高一貫校「叡智学園」を開学しました。しかし、この学園開学早々いじめ問題が発生。なんと被害者が退学を余儀なくされるという「日本的」な結果に終わりました。

そんな叡智学園には巨額の県費をつぎ込む平川氏。しかし、既存の公立学校では1000人以上も非正規の先生がおられます。その先生方を正規化するよう、保守系の県議が議会で要望すると、「予算がない」と切り捨てたのです。

また、図書館の問題にしても、図書館司書が確保できていないことが問題なのに、図書館司書の確保はせずに、赤木かん子さんの著書を大量に入れて赤木さんを儲けさせただけでした。

◆これで幕引きは許されない

しかし、これで幕引きは許されません。平川氏は、違法に使った県費は返していただきたい。現在、平川氏を相手取って、違法に使用した県費の返還を求める住民訴訟が広島地裁に提起されています。結果が注目されます。

そして、平川氏を一本釣りしてきた湯崎英彦知事の任命責任も重大です。

県議会も県議会です。なぜ、ここまで、平川氏への辞職勧告決議案は出せなかったのか?

他の自治体では辞職勧告決議案を準備した結果、教育長は辞任、というケースも起きています。議会がやる気になればいつでも平川教育長は打倒できたのにしなかったのです。

◆じり貧を恐れて平川任命、ドカ貧を招いた湯崎知事、万辞に値する

たしかに、広島県は3年連続人口流出ワーストワンです。まさに、じり貧の状態にあります。そこで、真新しいことをやろうという知事の気持ちはわからないではありません。平川教育長を関東から一本釣りして教育長に任命したのもその現れかもしれません。

しかし、実際に平川氏が行ったのはさらに事態を悪化させるというドカ貧」を招いた独裁でした。湯崎知事は「万死」ならぬ「万辞に値する」と言わざるを得ません。湯崎知事から広島の政治・行政を県民の手に取りもどす「ヒロシマ庶民革命」。その必要性はいよいよ明らかです。

広島瀬戸内新聞と筆者は「あなたの手に広島を取り戻し広島とあなたを守るヒロシマ庶民革命」を呼び掛けています。「我こそは庶民派の政治家に!」(首長、地方議員、国会議員)、また庶民派の政治家とともに広島を取り戻したいというあなたからのご連絡をお待ちしております。

Tel. 090-3171-4437  メール hiroseto2004@yahoo.co.jp

また、ご寄付もお待ちしております(日本国籍の方に限る)。
・郵便振替口座 01330-0-49219 さとうしゅういちネット
・広島銀行 本店営業部 普通 3783741 さとうしゅういちネット

オンラインおしゃべり会さとうしゅういちと広島の政治にガツンと物申す 
毎週金曜 21時過ぎから
zoom meeting IDとパスコードは以下です。
ガツンとご意見をお待ちしております。
ミーティングID: 411 718 3285 パスコード: 5N6b38

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

伝説のジャニーズ暴露本『光GENJIへ』のゴーストライター本橋信宏さんと鹿砦社松岡利康代表の対談が2月1日の「サイゾーウーマン」で公開されました。前編と後編の2本立て。ぜひご一読ください。(編集部)

◎[前編]ジャニーズ暴露本『光GENJIへ』から35年、ゴーストライター・本橋信宏と鹿砦社が見つめるジャニーズ問題
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463030_1.html

◎[後編]ジャニーが生きている間に、歯止めを利かせられていたら ── 暴露本の当事者が明かす胸中
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463040_1.html

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

ジャニーズ帝国60年の興亡
鹿砦社編集部=編 A5判、320ページ、カバー装  定価1980円(税込み)
少年愛の館、遂に崩壊! ジャニーズ問題追及28年の執念、遂に実る!

本年(2023年)3月7日、英公共放送BBCが、わが国だけでなく全世界に放映した故ジャニー喜多川による未成年性虐待のドキュメント映像が話題を呼び、これをきっかけに、ジャニーズ問題が報じられない日はない。

本書は28年に及ぶ対ジャニーズ問題取材と出版活動の〈集大成〉としてジャニーズ60年の詳細な歴史をあますところなく記述し、これ一冊でジャニーズの歴史がすべて解るようにした。今では貴重な資料も復刻・掲載、ジャニーズの60年の出来事を直近まで詳細に記載し、鹿砦社にしかできない、類書なき渾身の書!

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

1月30日午後3時すぎ、青木恵子さん(東住吉事件冤罪犠牲者)からLineが届く。

「ママ、名張事件が棄却されました。許せないです」。

1961年、三重県名張市の小さな村の公民館で行われた親睦会で、ぶどう酒を飲んだ女性5名が死亡、12名が重軽傷を負う事件が発生。村人の奥西勝さんが逮捕・起訴され、1972年、最高裁が上告を棄却、死刑判決が確定した。その後何度も闘われた再審請求。2015年、奥西さんが無念の獄死を遂げた(享年89歳)のち、妹の岡美代子さん(現在94歳)が請求人となり第十次再審請求を行ってきたが、最高裁は、1月29日付で再審開始を認めない決定を出した。

以前、青木さんとが岡さんと西山美香さん(湖東記念病院冤罪犠牲者)の3人で撮った写真を見せてもらったことがある。2人に囲まれた岡さんは久々に楽しく笑いあえたと、とてもにこやかな表情だった。青木さんは現在、西山さんと1日でも早く岡さんを励ましにいきたいと日程を調整中とのことだ。

◆奥西勝さんは犯人なのか?
 
事件発生から6日後、奥西勝さん(当時35歳)が逮捕された。亡くなった女性の中に、奥西さんの妻と愛人が含まれていたことから、三角関係を解消するために犯行に及んだとされた。奥西さんは厳しい取り調べに何度か「自白」に追い込まれたが、その後は一貫して否認している。

ぶどう酒は、当日会長が住民Aに買いに行かせ、Aは午後5時過ぎに瓶を会長宅に運んだと証言していた。その後まもなく奥西さんが会長宅を訪れ、ぶどう酒を公民館に運んでいたため、会長宅で毒物を混入する時間はなく、毒物を混入できるのは、公民館で奥西さんが1人になった10分しかないとされた。

物証や目撃証言が乏しいなか、警察は、わずか8戸の小さな集落で村人を集め「話し合い」を行い、消去法で奥西さんを犯人とした。しかし、村民の供述は、逮捕された奥西さんの「自白」後、不自然に変遷していた。とりわけAは、当初「午後2時に運んだ」としていたが、奥西さんの「自白」後、午後5時に変えていた。

1964年、こうしたカラクリを「検察官のなみなみならぬ努力の所作」と皮肉を込めて批判し、一審・津地裁は奥西さんに無罪判決を言い渡した。検察は判決を不服として控訴、1969年、名古屋高裁は、「ぶどう酒瓶の王冠に付いていた歯形が奥西さんの歯形と一致した」として、逆転死刑判決を言い渡し、1972年、最高裁で刑が確定した。

ぶどう酒瓶が会長宅に届けられたのは午後2時か、5時か?公民館で奥西さんが1人になった時間があったのか?蓋を開ける際、瓶はどのような状態だったか?供述調書や関連書類が隠されたまま、再審請求が求められた。

再審請求は第一次から第五次まで次々と棄却。その後、日弁連の弁護団が加わり、奥西さん無罪の新証拠を次々と開示させていった。2002年、名古屋高裁に請求した第七次再審請求では、死刑判決の根拠となったぶどう酒瓶の王冠に付いた歯形と奥西さんの歯形が一致したとする鑑定が不正であること、ぶどう酒瓶に混入された農薬と瓶から検出された農薬が別物だという新証拠が提出された。

2005年4月5日、名古屋高裁(刑事1部)は再審開始と死刑執行の停止を決定。検察官が異議を申し立て、2006年、名古屋高裁(刑事2部)は、再審開始の決定を取り消、死刑執行停止も取り消した。2010年、最高裁はその決定を再度取り消し、名古屋高裁に審理を差し戻すなどし、審理は更に続いた。

一方、奥西さんは、2015年10月4日、名古屋高裁に第九次再審請求中に、それまで患っていた肺炎を悪化させ、府中医療刑務所で獄死、享年89歳だった。

その後まもない11月6日、奥西さんの妹の岡美代子さんが請求人となり、名古屋高裁に第十次再審請求が申し立てられた。しかし、名古屋高裁(刑事1部)は、2年もの間、三者協議も開かずに、17年請求を棄却。異議審を審議する名古屋高裁(刑事2部)も三者協議を開かず、事件を放置するという不当な対応を続けた。

弁護団は3度に渡り、裁判官らの「忌避」を申し立てたが、そのさなか裁判長が突然依願退官することがあった。しかし、その後新たに鹿野伸二裁判長が就任するや、面談が実現するなど、裁判が慌ただしく動き出した。

◆名古屋高裁で何が争われていたか?

面談で弁護団は、①請求人が高齢であるから、早急な解決を望む、②ぶどう酒瓶に巻かれた「封かん紙」の裏側に付着する糊に再鑑定を許可して欲しいなどと要求した。さらに弁護団の証拠開示命令の申し立てで、新たに9通の住民の警察官調書が存在することがわかった。これに対して検察は「開示する必要はない」としたが、裁判所が開示を強く求め、事件から59年ぶりに新証拠が開示されることとなった。
それは親睦会に参加していた7名の住民の9通の警察官調書で、奥西さんが「自白」した前の、事件直後の住民の記憶が鮮明なときに作成されたものだった。奥西さんの「自白」では、ぶどう酒瓶に毒物を混入させるため、火鋏で外蓋を突き上げ外したが、その際、蓋の外側に巻かれた封かん紙も破れ、落ちたままだったということだった。つまり、親睦会が始まった際、住民が見たぶどう酒瓶は、内蓋が閉められただけの状態だったはずだ。

しかし、警察官に質問される形で、瓶がどういう状態だったかと聞かれた住民は、それぞれ「ブドウ酒の瓶は裸瓶でありましたが、封をしてるところに紙が巻いてあったと思います」「流しの前に立ててあるとき、王冠の蓋に封した紙を巻いてありました」などと答えている。つまり、親睦会が始まった際、住民が見たたぶどう酒瓶には封かん紙が巻かれていたということ、これは先の奥西さんの自白とは完全に矛盾するものだ。

しかもこの供述は、奥西さん無実のもう証拠ーー封かん紙の裏側に、製造過程で使った糊(CMC糊)とは別の、家庭で使う洗濯糊(PVA糊)の成分が検出されたとの、弁護団の新証拠と合致するものだ。

しかし、最高裁は2024年1月29日付で特別抗告を棄却した。長峰裁判長は「弁護団が主張する鑑定方法で『封かん紙』に付いた物質を特定すること自体、相当難しい。鑑定結果に、何者かが毒物を混入して再び糊付けした可能性を示す証拠としての価値はない」とした。

ただし、5人の裁判官のうちの一人、学者出身の宇賀克也裁判官は「封かん紙に異なる糊の成分が就いているとした鑑定結果は高い信用性があり、犯人性に合理的な疑いが生じる」として、再審を開始すべきだとの反対意見を述べた。長い裁判の中で、初めてのことだった。

岡美代子さんと弁護団は、第十一次再審請求を準備するという。名張毒ぶどう酒事件に今後も注目していこう!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

◆はじめに

この通信での私の手記「ロックと革命 in 京都」、鹿砦社代表の松岡さん名付けて「京都青春記」は昨年8月31日で連載を終えた。

「長髪一つで世界は変わる」17歳の革命以降、私の「京都青春記」のテーマは「戦後日本はおかしい」だった。それは「山崎博昭の死-ジュッパチの衝撃」を経て学生運動-「戦後日本の革命」へと進み、そしてよど号赤軍としてピョンヤンへ飛んで今日に至るがこのテーマはいまも変わらない。もちろん若い頃、そんなことを意識していたわけではない、あくまで「いま思えば」の話だが、それだけは確信を持って言える。

あの敗戦で「天皇陛下万歳からアメリカ万歳に変わっただけ」の戦後日本、以来「米国についていけば何とかなる」を自己の生存方式にしてきたわが国、そんな戦後日本からの大転換を図ることは戦後世代である私一個の人生テーマにとどまるものではない。いまや日本人全体のテーマ、「戦後日本の革命」として突きつけられているのではないだろうか。

「ロックと革命in京都」連載を終えるに当たって、私は次のことを「最後に言いたいこと」として訴えた。

“いまは「覇権帝国の米国についていけばなんとかなる時代じゃない」どころか「覇権破綻の米国と無理心中するのか否か」というところまで来ている。

いま日本はどの道を進むべきか?「戦後日本の革命」は現実問題として問われてくる!

自身の運命の自己決定権─自分の運命は自分で決める、自分の頭で考え自分の道を自分の力で開く!

それは戦後日本の曖昧模糊となったアイデンティティの再確立の道でもあると思う。”

こんな結語を書いた以上は、自分はどうするのかを含めた「これから」のことを「ロックと革命 in 京都 1964-70」の続編として、「戦後日本の革命 in ピョンヤン」といったものに書かねばならないと思う。今回はその第一弾。

◆2024年は「大混乱の時代」の始まり

今年2024年の元日、主要新聞各紙の新年社説は、イマイチすっきりしない歯切れの悪さ、一言でいって混乱しているように思えた。

米日政府公報紙的な読売はその筆頭だ。「磁力と発信力を向上させたい-平和、自由、人道で新時代開け」と題してこれまでの普遍的価値観だけでなく「人命を守れ」などの「共通感覚」、人道をキーワードに「人々が一致して困難に立ち向かう」といった「ご説ごもっとも」的な、わかったようでわからない社説。昨年の読売の元日社説が「平和な世界構築へ先頭に立て-防衛、外交、道義の力を高めよう」と題し、抑止力強化、「反撃能力保有」を決めた安保3文書閣議決定直後でもありその主張はかなり明解だったのに比べれば、今年の社説は言語不明瞭もはなはだしい。

リベラル系は朝日の「暴力を許さぬ関心と関与を」、毎日の「人類の危機克服に英知を」という「じゃあどうすりゃいいの」? 抽象的な倫理を説く方針不明のただのお説教。

財界系の日経は「分断回避に対話の努力を続けよう」と対中、対ロ、対朝抑止力保持と同時に「分断回避」の外交的努力を説くという経済界の動揺ぶりを示すかのような社説。

ただ最右翼の産経だけは「『内向き日本』では中国が嗤う」と題し、国内政局にとらわれて「対中対決」をおろそかにするなという比較的明解な主張。トランプ政権誕生を念頭に「米核戦力の配備や核共有、核武装の選択肢を喫緊の課題として論じる」必要を説くなど保守右翼らしい主張をそれなりに展開。

産経を除けば大手主要紙の迷走ぶりは言論界の混乱を示すものだった。

その産経も内心の動揺という点では他のマスコミと変わるところはない。ハマスのイスラエルへの「先制的軍事行動」直後の昨年10月下旬、産経グループのフジテレビ「プライム・ニュース」では「“世界動乱の時代”の幕開けか」というテーマで「これはアメリカを中心とする国際秩序が破綻していることを映すのか」が番組の問いかけだった。案の定、出演者の弁舌は当惑を隠せない歯切れの悪いものだったが、すでにこの頃には「米国についていけば何とかなる」思考方式から抜け出せないマスコミ言論界の混乱が始まっていたのだろう。

 

米調査会社ユーラシアグループによる2024年の世界的リスク予測

米調査会社、ユーラシアグループが発表した2024年の世界10大リスク、そのトップにはなんと「米国の敵は米国」が上げられた。「大統領選で分断と機能不全が深刻化する」がその理由だ。そして3位が「ウクライナ分割」で「今年、事実上、分割される」としている。現在、ロシア軍が支配している東部のロシア人居住地域(すでに二つの地域が独立国家樹立)をウクライナが取り戻すことは事実上、不可能だということ、ウクライナは敗北を受け入れるしかないという悲観論だ。

「米国の危機」が世界のリスクのトップ、これはトランプ大統領が出現すれば世界は大混乱に陥るということを念頭に置いたものだ。バイデンがなったところで米中心の国際秩序破綻は免れえないが、トランプになればそれがもっと加速されるということだろう。それは3位のウクライナは敗北を認めるしかないという判断にも反映されている。また2位に上げられた「瀬戸際に立つ中東」もイスラエルの勝利はありえないということだろう。実際、すでに米国がイスラエルに停戦とパレスティナ国家樹立の受け入れを説得していることにそれは現れている。しかしネタニヤフ政権はそれを拒否、ネタニヤフを説得できないバイデン、ここでも米国の権威失墜が明らかになっている。

主戦場の対中対決に加えてウクライナと中東の戦争という3正面作戦にとうてい米国は耐えられないことを米国自身が認めたことで、「パックスアメリカーナ(アメリカの平和)の時代は終わった」、その現実を世界の誰もが目にした。

これは覇権大国、米国中心の世界観からすれば「世界動乱の時代の幕開け」という想像だに恐ろしい時代としか思えないのだろう。新年の日本の新聞各社の年頭社説の混乱ぶりはその反映と言える。

◆「パックスアメリカーナの終わり」はいいことなのだ

「パックスアメリカーナの終わり」に右往左往する日本の言論界に代表されるわが国の混乱、それは「米国についていけば何とかなる」という戦後日本の生存方式に慣れ親しんできた報いだとも言える。

1960-70年代の「一億総中流」の高度経済成長日本も、‘80年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」のバブルに浮かれた金満日本も二度とやってはこない。「米国についていけば何とかなる」、そんな戦後日本の「太平の夢」から醒める時が来たのだ。

一言でいって戦後日本は失敗に終わった、この現実を受け入れ直視することが重要だと思う。

人間にしても国にしても誰もが失敗は犯しうる。龍一郎さんではないが、「人生に無駄なものなどなにひとつない」、要は失敗からは教訓を汲み新たな出発の力に換える、これは一個の人間だけでなく国も同様だ。失敗を自覚すれば、そこから教訓を見つけることだ。それが人間や国の自力更生力というものだろう。

だから「パックスアメリカーナの終わり」は戦後日本の幻想から醒める時、「米国についていけば何とかなる」生存方式を改め自分の手で自分の未来を開く「戦後日本の革命」のチャンスにする、そんな積極的、能動的な思考が問われていると思う。

そのためには「パックスアメリカーナ」に身を委ねることになった戦後日本の出発点自体がおかしかったのではないか、このことを考える必要があると思う。

大日本帝国の「天皇陛下万歳」が「アメリカ万歳」に変わっただけ、すなわちその覇権主義が対米従属のそれに変わっただけ、それが戦後日本の実相だ。今日の「パックスアメリカーナの終わり」を前にして混乱するのではなく、戦後日本の出発点自体がおかしかったのではないか、このことから教訓を汲むことが重要だと思う。

ここからは少し理屈っぽくなるが、やはり理知を考えることは重要だと思うから我慢して聞いて頂きたい。

「パックスアメリカーナ」を支えてきたのは「G7=先進国」主導の国際秩序だった。

「G7=先進国」とはかつての帝国主義列強諸国だ。

第二次大戦敗戦で反省を迫られた日独伊ファッショ枢軸国だが、ドイツはユダヤ人虐殺など「ナチスの残虐性」だけを反省、日本は「軍国主義者、軍部の暴走」といったファッショ支配の反省を求められたが、自己の植民地支配についての反省は求められなかった。米英仏は反ファッショ民主主義陣営、「正義」の側だから自己の植民地主義の反省の必要すら感じていない。一言でいって「G7=先進国」の誰ひとり植民地支配を反省していない。

これが戦後世界の真実だった。

エリザベス女王の国葬の際、あるアフリカの首脳は「女王からは生前、植民地支配謝罪の言葉は一言もなかった」と不満を述べた。インド政府はチャールズ新国王戴冠式で王妃のかぶる冠の世界最大のダイヤがインドから強奪したものだと英国に抗議した。その抗議を受けその冠は使われなかった。これはほんの一例だが、かつての植民地支配を受けた発展途上国、グローバルサウスと呼ばれる国々共通の考えだ。それはなにも過去への恨みだけではない、いまも続く「G7=先進国」の覇権体質、植民地主義体質への批判なのだ。日韓間の歴史認識問題をめぐる抗争も同様のものだ。

「G7=先進国」のリードする国際秩序、法の支配は現代版植民地支配秩序に過ぎないことを世界は知っている。この現代版植民地主義は先進資本主義国の勤労者にとっても邪悪なものになっていることが明らかになりつつある。

国と民族の自主権より上位に人類益、地球益を置き国境の壁をなくさせたグローバリズム、それは世界の富を1%に集中し99%には格差と貧困を強いた。「国境の壁をなくす」、それは発展途上国では関税障壁撤廃などによる先進国巨大資本の「自由な経済活動」で国の民族産業の自立的発展を阻害するものになった。より安価な労働力を世界に求める巨大資本の自由な海外進出は、先進国の国内産業を空洞化させ労働者から職場を奪い中産階級を没落させた。

だから「G7=先進国」の国際秩序、現代版植民地主義秩序は、グローバルサウスだけでなく先進資本主義諸国の勤労者にも等しく格差と貧困を強いるものであることを世界は知った。その端的表現が米国白人労働者層のトランプ人気であり、昔は金持ちの党だった共和党はトランプ党になって、いまや「貧しい者の党」になったという現象に象徴されるものだろう。

「一億総中流」「昭和の夢よいま一度」などもうありえないというわが国の事情も同じだ。

このような「パックスアメリカーナの終わり」を嘆くのではなく新時代の既成事実と受け入れ、戦後日本の生存方式から抜け出すことを考えることがいま重要なことなのだ。

それはわれわれ日本国民にとって悪いことではない、いいことだと思う。

「ロックと革命in京都」の結語としたこと-いま日本はどの道を進むべきか?「戦後日本の革命」は現実問題として問われてくる! 自身の運命の自己決定権─自分の運命は自分で決める、自分の頭で考え自分の道を自分の力で開く! それは戦後日本の曖昧模糊となったアイデンティティの再確立の道でもある。

このような積極的な思考がいまわれわれ日本人に問われている。

このような観点から今後の「戦後日本の革命inピョンヤン」を書いていこうと思う。

このことを2024年、私の新年の抱負としたい。

◎ロックと革命 in 京都 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=109

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

若林盛亮さん

▼若林盛亮(わかばやし・もりあき)
1947年2月滋賀県生れ、長髪問題契機に進学校ドロップアウト、同志社大入学後「裸のラリーズ」結成を経て東大安田講堂で逮捕、1970年によど号赤軍として渡朝、現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』

震災の後で日本の原発がすべて止まった。2012年5月のことだ。東日本大震災による東京電力(以下東電)福島第一原発事故で、原発の危険性、そして再びどこかの原発が過酷事故を起こしたら今度は国が滅亡するとの危険性を感じた当時の民主党政権は、「2030年代に脱原発を目指す」との政策を決定しようとした。


◎[参考動画]「2030年代原発ゼロ」決定 新設・増設一切認めず(2012/09/14)

しかし巨額の資金を投じて原発と核燃料サイクル事業を推進してきた原子力産業や原子力ムラ、核兵器保有技術を保有しておきたいとの一部政治家などの力で、脱原発政策は潰された。

かつて日本の核燃料サイクル政策にはウランサイクルとプルトニウムサイクルという2つの流れがあった。ウランサイクルはウラン燃料を採掘し、核燃料に加工して原発で燃やし、使用済燃料を再処理してプルトニウムとウランを抽出、これを使ってウラン・プルトニウム混合燃料(MOX燃料)を生産して、また原発で燃やすサイクルを指す。

一方、プルトニウムサイクルは再処理した後のプルトニウムを使って高速炉の燃料に加工し、高速増殖炉を動かしてプルトニウムを再生産するサイクルをいう。

日本はプルトニウムサイクル完成を目指して高速増殖炉「もんじゅ」と「常陽」を建設した。しかし「もんじゅ」は1995年にナトリウム漏洩火災事故を起こして無期限停止、その後廃炉になった。高速炉がなければプルトニウムサイクルは成立しないので、今ではウランサイクルのみの核燃料サイクルを目指している。

核燃料サイクルとは、ウラン採掘から高レベル放射性廃棄物を処分するまでの1連の工程を指したものである。ウランサイクルは鉱山から採掘されたウランを使って核兵器を作る工程だったが、核拡散防止条約(NPT)の下では核武装は原則として禁じられていること、平和利用と称して核兵器開発に転用可能な技術が多々あることで技術移転も厳しく規制されていて、世界で核燃料サイクルを保有する国は核武装国に限られている。

しかし日本だけは、現在も核燃料サイクルを機能させる政策を有している。すでに脱原発を達成したドイツは、以前は核燃料サイクルの完成を目指した時代があったが、今は廃棄物貯蔵施設とウラン濃縮プラントしか存在しない。

◆再処理工場は完成しない

核燃料サイクルのバックエンドとは、原発から再処理工場を経て放射性廃棄物の処分までを指す。使用済燃料の流れである。そのうち、日本国内で計画されている事業は核燃料再処理、MOX燃料製造、放射性廃棄物の貯蔵と処分である。

核燃料は再処理せず、燃料体のままで保管もできるし、処分もできる。実際に軍用ではなく商業再処理を行っている国は現在ではフランスしかない。したがって、米国や英国やドイツなどでも使用済燃料はそのまま貯蔵されている。

日本でもそのまま貯蔵するという選択も可能だが、核燃料は全量再処理し、プルトニウムはMOX燃料に、回収ウランは再利用、高レベル放射性廃棄物はガラス固化体に加工して地下300㍍に埋め捨てとの方針が、法律で決められている。

その中核施設が青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場だ。しかし、着工からすでに30年、1997年に完成する予定だったが、今の計画では「2024年度上半期」とされる。実際には、これまでの審査状況から、来年に終わるなど到底考えられない。審査会合では日本原燃が提出した申請書6万ページのうち約3100ページに、誤記や記載漏れがあったことが明らかになった。これでは何も進むはずがない。(つづく)

◎山崎久隆 核のごみを巡る重大問題 日本で「地層処分」は不可能だ
〈1〉震災後も核燃料サイクルが残った
〈2〉再処理工場は稼働できない
〈3〉科学的根拠に乏しい経産省「科学的特性マップ」の異常さ
〈4〉放射性廃棄物「地層処分」を白紙にし、本当の議論を

本稿は『季節』2023年冬号掲載(2023年12月11日発売号)掲載の「核のごみを巡る重大問題 日本で『地層処分』は不可能だ」を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CPDMZSST/

« 次の記事を読む前の記事を読む »