8月中旬、米国のエマニュエル駐日大使が今秋の大統領選挙後、離任することが明らかになりました。ハリス候補が大統領選挙で当選した場合は、政権の要職に加わる見通しとのことです。

◆「どぶ板」で日本人の心をつかんできたエマニュエル氏

エマニュエル駐日大使は、2022年3月、岸田総理の招きで広島を訪問し、原爆慰霊碑に献花をしました。

そのことから、広島でもエマニュエル氏に好感を持っている人も少なくありませんでした。また、現在も日本各地を自転車旅行されるなど「どぶ板」で日本人の心をつかんでいる感はあります。

しかし、筆者に言わせれば、エマニュエル駐日大使ほど酷い駐日大使は日本を見下す方はいなかったと思います。そして、国際平和文化都市広島を米国忖度都市「HIROSHIMA」に変えようとしたのはこの男である。そのように断定せざるを得ません。

◆一線超えたエマニュエル氏のLGBT推進デモ参加

エマニュエル駐日大使は、東京・渋谷で行われたLGBT法案を推進するデモにも参加されました。外国政府の代表(天皇の接受を受ける)がこうした行動をとるのはいかがなものか?米軍による諸犯罪を糾弾する左翼の皆様からも、このことに対する懸念や批判は寡聞にして存じません。筆者ももちろん、米軍による諸犯罪は糾弾してきましたし、日米地位協定の改定も進めるべきだと思います。

しかし、そうであるならば、エマニュエル駐日大使の上記行動も批判しなければダブルスタンダードではないでしょうか? そうした左派のダブスタもエマニュエル氏をつけあがらせ、後述する広島や長崎への高圧的態度へ、と暴走させた原因になっているのではないか? 悔やまれます。日本国内のLGBTに関する施策についてはあくまで、日本に住む市民とその代表者たる国会や地方議会で決めるべきです。

同大使のデモへの参加は一線を越えたと言わざるを得ない。こういうことで米国政府の力を借りてしまった左翼の皆様にも猛省を促したい。

◆広島にパールハーバーと平和記念公園の協定締結「強要」

そして、LGBT法案成立で「調子ぶっこいた」のか、エマニュエル駐日大使は、2023年5月のG7サミット中に、広島市の松井一實市長に対して、パールハーバーと平和記念公園の姉妹協定を結ぶよう打診して来たそうです。さすがに、松井市長もすぐに締結することは避けましたが、議会や市民にある時期までこのことを隠したまま、突然、6月末に協定を締結すると発表。東京にいたエマニュエル氏に「謁見」し、協定を締結してしまいました。報道によれば、協定の案文等も広島市の主体性はまったくなく、松井市長は米国側に丸投げしたそうです。

そもそも、パールハーバーは現時点でも軍事施設です。核兵器を含む攻撃拠点です。今も昔も太平洋のど真ん中のこの場所の戦略的重要性は変わりません。

もちろん、大日本帝国海軍が宣戦布告の前にパールハーバーを攻撃してしまったのは国際法違反と責められても仕方がない。しかし、もう日本が降伏寸前の状況で、多数の民間人を虐殺した米国による原爆投下と「おあいこ」になる性質のものではないでしょう。

また、大日本帝国が広島や呉を出撃基地として中華民国を侵略したり、米国との戦闘中に東南アジアで現地の方の命を奪ったりしたのも事実であり、国際法違反です。しかしながら、米国にあれこれ言われる筋合いのものではありません。日本政府は、1995年のいわゆる村山談話で一定の総括はしています。広島市は1991年の平和宣言で当時の平岡敬市長が日本の加害責任にも言及しています。

米国は、現在もヒロシマ・ナガサキへの原爆投下について謝罪もしていませんし、反省もしていません。

その状態で、姉妹協定を、というのは、一体何様のつもりか? それを議会にも諮らずに受けてしまう松井市長も松井市長です。

◆日本政府よりも米国忖度? 平和記念式典における松井市長の姿勢

その広島市の松井市長は2022年以降の平和記念式典ではロシアとベラルーシを招待しませんでした。式典の円滑な実施のためと言うのが理由ですが、それを言い出したら米国だってイラクやシリア、アフガンなど中東諸国を空爆しまくりで相当イスラム過激派の方々には恨みを買っています。米国標的のテロなどいくらでも起きています。ロシアを招待することが米国以上のリスクになるとも思えません。やはり、明らかに米国への忖度が働いた、と言わざるを得ない。

そして、2024年の平和記念式典では、パレスチナ国は招待しないのにイスラエルは招待を続けていました。ロシアも確かに核威嚇はしていますがイスラエルだって閣僚がガザへの核使用を示唆しています。ロシアを呼ばないならイスラエルも呼ばない。それかどちらも呼ぶか。さもなければ筋が通りません。

一方で、長崎市の鈴木市長は、ロシアとともにイスラエルも招待しませんでした。その結果、エマニュエル駐日大使が音頭を取って、日本以外のG7諸国の大使が欠席をしたのです。

少なくとも、この間の松井市長の行動は明らかに何かに忖度している。その忖度の対象は岸田総理なのかな?と思っていたのですが、どうも、そうではなさそうだ。言うほど地元広島で岸田さんは人気がないからです。また、日本政府自体、パレスチナ国の国連加盟に賛成するなど、G7諸国では突出してパレスチナに配慮しています。となると、松井市長のこの2年間の行動は日本政府への忖度ではない。やはり、エマニュエル駐日大使に忖度、というのが正しいのではないか。

以下のエマニュエル駐日大使のSNSにある写真が全てを物語っているのではないか?

原爆を落とされた方が、落とした方に頭を下げる。普通は逆ではないでしょうか?

◆これ以上の米国忖度は国際情勢の危機加速に

そもそも、これ以上、米国による原爆投下を広島が米国政府による反省も謝罪もなく許した、と思われることは他の核保有国との関係でも好ましくありません。「実際に使った米国が許されるなら、威嚇くらいいいじゃないか?」。そのように中露英仏印パ朝、そしてイスラエルが言いだしたらどうするのか?大変なことになりかねない。

そして、パレスチナへのイスラエルによる侵略を是認すると思われるスタンスを広島が取ればどうなるでしょうか?ますます、「お墨付きを得た」とばかりにイスラエルは図に乗ります。

そういう状況では、例えば、ロシアによるウクライナ侵攻への批判はますます難しくなるでしょう。

中華人民共和国による領空侵犯はもちろん非難されるべきです。しかしながら、例えばいわゆる台湾有事についてはどうか?

「他人の土地を侵略しているイスラエルはどうなのか?イスラエルが無罪放免なら、台湾はあくまで国内問題だからお宅らには関係ない」

と中華人民共和国により反論されたらどうするのか?

イスラエルによるパレスチナ侵略・虐殺及び米国によるイスラエル甘やかしを放置しておけば、中国、ロシアに対しても非難がしにくくなることは間違いありません。

◆エマニュエル駐日大使離任機に米国忖度から脱却を!

いくら、エマニュエル駐日大使に頭を下げても米国は核実験を強行しています。そして、たかがイスラエルを呼ばなかったくらいで長崎の式典をG7総団結で集団欠席したエマニュエル駐日大使。明らかに日本をというより、日本人を下に見ています。そもそも、エマニュエル氏はシカゴ市長時代に黒人少年射殺事件で映像を隠したことで批判されています。

筆者はトランプ氏ら共和党が良いとは言いません。しかし、米国民主党も人権、民主主義、ジェンダー平等などご高説を垂れる割には、結局のところ、昔の白人帝国主義から本質は変わっていないのです。黒人虐殺の情報を隠すのも、原爆投下を謝罪・反省しないのも彼らの中では「善」なのです。ある意味ではトランプ以上にたちがわるいかもしれないのです。もちろん、筆者も米国から見れば外国人です。米国大統領選挙は見守るしかない。しかし、どちらが当選しようが、広島がやるべきことは決まっています。過剰な米国忖度から卒業することです。

筆者は、具体的に行動を呼びかけています。

ひとつは、引き続き、パレスチナ虐殺をやめるよう呼びかけ続けること。

ひとつは、平和記念式典の原理原則を立て直すこと。「パレスチナ国代表を招待してください」という請願は紹介議員を確保し、9月議会で審議していただく予定です。

そして、パレスチナ問題について勉強のため、ダニー・ネフセタイさん講演会を広島で開催します。

◆元・イスラエル軍兵士が語る「平和」 
 イスラエルの歴史と今・そして日本~ダニー・ネフセタイさん講演会IN広島

もうすぐ、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への侵攻・虐殺が激化してから1年になろうとしています。ガザ地区では連日のように多くの命が奪われる状況に終わりは見えず、中東全体にも戦火が広がろうとしています。そもそも、なぜ、こんなことになってしまったのか?

 そして平和をつくるために、日本・広島に住むわたしたちはどうすればいいのか?

イスラエル軍の元兵士で現在は日本で木製家具職人の傍ら日本全国を「非戦・平和」等をテーマに講演されているダニー・ネフセタイさんにお聞きします。

日時 2024年9月18日(水) 18時開場 18時半スタート
場所 広島市東区民文化センター工作実習室 
(〒732-0055 広島市東区東蟹屋町10-31 広島駅から徒歩約10分) 
資料代 1000円
主催 広島瀬戸内新聞 
連絡先 佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

◎ダニー・ネフセタイさん プロフィール
1957年、イスラエル生まれ
1975年 高校卒業後、徴兵制によるイスラエル軍入隊。空軍にて3年間兵役を務める。
1979年 退役後、アジアの旅に出る。日本各地をヒッチハイクなどで旅をし、交流を深める。日本語学校にて更に深く言葉を勉強しその後神奈川の家具会社に勤める。
1988年 東京より埼玉県皆野町金沢へ引っ越す。木工房ナガリ家を開設。
1999年 皆野町金沢・出牛に自宅のログハウスを夫婦で自力建設。

現在は、夫婦で注文家具、遊具、木工小物、社会性オブジェの創作活動。ギャラリー にて個展、グループ展など多数開催。「世の中を良くすることも物づくりをする人間の指名である」という信条を持ち戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
WEBサイト https://nagariya.handcrafted.jp/ 

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

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経産省は2021年7月21日、第6次エネルギー基本計画の原案を発表した。2030年度には総発電量のうち、再エネ発電を36~38%に増加させ(現行22~24%)、主力電源化をめざす一方、原子力は20~22%の現行目標を維持するという。(2021年10月22日閣議決定)

この基本計画の根拠は2020年10月、菅義偉首相(当時)が所信表明演説でCO2など温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると宣言したことをうけて、4月の気候変動サミットで「30年度に13年度比46%削減」を公約したことである。

国会では2020年11月「気候非常事態宣言」、21年5月「改正地球温暖化対策」をいずれも野党を含めて全会一致で可決。「2050年CO2実質ゼロ」は「挙国一致」の目標となっている。

〈Ⅰ〉「人為的CO2温暖化説」は正しいか

菅前首相の「CO2実質ゼロ宣言」の根拠はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「人為的CO2温暖化説」(以下、CO2説)である。21年8月11日IPCCは第6次報告書で「人間の影響が海洋および陸域を温暖化させてきたことは疑う余地がない」とした。

◆原因と結果を取り違えたCO2説

しかし、まずCO2はそれ自体としては人類に有害ではないし、植物にとってはむしろその成長を促す物質であることを押さえておきたい。確かに19世紀後半以降、温暖化傾向はみられ(150年間で1度程度の上昇)、CO2濃度が上昇してきたことは事実である。しかし、地球はこれまで寒冷化と温暖化を繰り返してきた。

日本史でいえば、縄文時代や中世には今日以上に温暖化した時期があった。その結果、縄文時代には海進が進み、内陸から切り離されて日本列島が形成された。縄文時代や中世温暖期に人為的CO2が増大したとは考えられないが、過去80万年の統計(南極アイスコア分析)によると温暖化したときにCO2が増大している。温暖化により海洋から大気中への放出の結果、CO2は増大するのである。「CO2説」は原因と結果を取り違えている。(近藤邦明『温暖化の虚像』電子書籍)

◆「気候変動」は「温暖化」が原因か

前述のIPCCの報告書はCO2による温暖化のため、熱波や台風・大雨など「気候変動」を引き起こしているとする。しかし「CO2説」が成り立たない以上、「気候変動」は(太陽活動の影響など)自然変動によるものである。そして近年、自然災害が増大しているかについても十分な検証が必要である。

台風を例にとると、池田清彦は「気象庁のデータを全部調べてみたが、日本は台風の数は傾向として徐々に減っているし、被害総額も昔の方がうんと大きかった」(『環境問題の嘘』令和版)とする。このように「気候変動」「気候危機」はデータによる裏付けも乏しい。

〈Ⅱ〉太陽光発電増大の問題点

何より問題なのはこのような科学的根拠に乏しい「CO2説」に基づいて経産省が「脱炭素」を名目に再エネ発電拡大や原発再稼働をすすめようとしていることである。

第6次基本計画は総発電量のうち再エネ発電について、太陽光15%(2019年7.6%)、風力6%(同0.8%)、水力10%(同7.7%)と想定する。梶山前経産相はCO246%削減達成には「現実に太陽光をどれだけ敷設できうるかということだ」(2021年6月28日付け毎日新聞)と述べる。

洋上風力発電の導入には環境への影響評価に8年程度かかるため、2030年には間に合わないためである。そこでまず再エネ発電のうち、太陽光発電増大の問題点について考えたい。

◆メガ・ソーラーによる自然破壊

「国土面積当たりの日本の導入量はすでに主要国の中で最大でパネルの置き場所は限られている」(2021年7月22日付け日本経済新聞)。このように太陽光発電の新たな立地は難しい。太陽光発電の主力であるメガ・ソーラーは自然破壊が著しいためである。今年7月に起きた静岡県熱海市の土石流でも山林を切り開いて設置された太陽光パネルが一因とされた。

静岡県は、直接的な因果関係は確認されていないとしたが、パネルの下は陽がささず、草が生えないため、特に傾斜地では土砂災害を誘発しかねない。土砂災害などの危険を恐れて住民が事業の差し止めを求めて起こした訴訟が2件以上も起きている。(2021年6月28日付け毎日新聞)

太陽光発電の自然破壊について安田陽京都大学特任教授は「山を削り、森を裸にしてパネルを設置することに規制がない一方、長年手つかずの荒廃農地は平地でも農地法の規制で原則的にパネルを建てられない。こうした政策の不調和が問題だ」(同前)。

しかし日本では食料自給率が40%を切っている。私は山村に暮らしているが、「中山間地直接支払制度」によって田畑の草を刈っていつでも耕作可能な状態を保っている。安田氏は日本の農業の現状を見ていない。河野太郎前規制改革担当相は再エネ発電拡大のために規制緩和を進めようとしたが、これ以上の農地潰しは許されない。「山を削り、森を裸にしてはならない」のと同様、農地を潰してはならない。

◆太陽光発電の不安定性・非効率性

太陽光発電は夜や雨の日にはほとんど発電しないので火力発電のバックアップが必要である。常にスタンバイしている火力発電所は急に運転したり停止するためエネルギー効率が著しく下がる。どの程度、火力発電に用いる石炭や天然ガスなどを減らせるか疑わしい。

太陽光と同じく「風まかせ」の不安定な風力発電ではアメリカのコロラド州の2009年の例によると、風の弱い、火力だけの日より風力+火力の日の方が排気ガスが激増した(武田恵世『四日市における自然エネルギー問題』四日市大学)。かえってエネルギーを余分に使いCO2削減にも役立たないというのである。

それに太陽光パネルはほとんど中国産(企業別では世界6位までが中国の工場で生産)で安い石炭火力による電力で製造されている。結局、家庭用の太陽光発電などもCO2排出を中国などに付け回しているにすぎないのである(近藤邦明 前掲書)。(つづく)

本稿は『NO NUKES voice』(現・季節)30号(2021年12月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。文中での全国の原発に関する記述は、2021年当時の状況であること、あらかじめご了承ください。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

◎『季節』創刊10周年特別企画『脱(反)原発のための季節セレクション』(仮)
出版のためのクラウドファンディングご支援のお願い

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〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

読売新聞の元販売店主が読売新聞大阪本社に対して起こした「押し紙」裁判のその後の経緯を報告しておこう。新しい展開があった。

既報したように、この「押し紙」裁判は、大阪地裁でも大阪高裁でも読売新聞が勝訴したが、大阪地裁は読売による独禁法(新聞特殊指定)違反を部分的に認めた。その意味で、元店主が敗訴したとはいえ、画期的な認定が誕生した。高裁が、この認定を取り消したとはいえ、判例集でも公開され、「押し紙」問題の解決に向けた一歩となった。

しかし、読売は、元店主に対して新たな動きに出た。8月1日付けで、元店主の預金口座を差し押さえて、約1300万円(延滞損害金などを含む)のお金を支払うように求めてきたのだ。

◆約1300万円の中身

読売が金銭要求している1300万円が発生した経緯は次の通りである。2020年8月に、元店主は読売に対して、「押し紙」で損害を受けたとして、4120万円(後に1億2486万円に増額)を請求額する「押し紙」裁判を起こした。

これに対して読売は、元店主から約1000万円の補助金を騙し取られたとして、元店主を「反訴」した。返金を求めたのである。

判決は、大阪地裁も大阪高裁も、元店主の請求は1円たりとも認めず、読売の高額請求は認めた。

ちなみにこの「押し紙」裁判の読売代理人を務めたのは、喜田村洋一弁護士ら3名である。喜田村洋一弁護士は、人権擁護団体である自由人権協会代表理事を務め、今世紀の初頭か、地元の東京だけではなく、福岡、大阪、埼玉などへ足を運び、一貫して読売に「押し紙」は一部も存在しないと主張し続けてきた。熱心な「人権擁護活動」が評価されてるのか、メディア関係者や新聞研究者からは、ありがたい存在として重宝がられている。

これまでにも読売は、裁判を起こした(元)店主に対して逆に訴訟を提起するなどして法的根拠をつくり、資産を差し押さえたケースはある。たとえば2012年7月、真村訴訟の元原告だった真村久三氏に対して、自宅を仮差押えする申し立てを行った。裁判所は、早々にこれを認めた。この差し押さえには、喜田村洋一・自由人権協会代表理事がかかわった。

当事者を精神的にも、経済的にも追い詰めかねない預金口座の差し押さえ手続きを行ったのは次の3名である。元店主の人命にかかわりかねない案件なので、以下に実名を公表する。

 軸丸欣哉弁護士(弁護士法人淀屋橋・山上合同)
 森田博弁護士(弁護士法人淀屋橋・山上合同)
 森本英伸弁護士(弁護士法人淀屋橋・山上合同)

なお、今回の差し押さえ事件に関しては、喜田村弁護士の名前はないが、裁判では読売の代理人として重要な役割を果たした。従来どおり、「押し紙」は一部も存在しないと主張し続けた。

判決の評価は、本来であれば判決の全文を公開した上で、議論するのがふさわしいが、読売が判決文に閲覧制限をかけているために、議論の肝心な分部は黒塗りで閲覧できない。

預金口座を差し押さえられた後、元店主は新聞労連にも相談したが支援は得られなかった。新聞研究者も口を閉ざしたままである。緒雑誌のジャーナリズム特集でも、「押し紙」問題だけは除外されている。

◆判決の解説記事

この事件をどう評価するかは読者の自由であるが、わたしが着目しているのは、次の4点である。

(1)裁判所と新聞社は、日本の権力機構の中で、どのような位置づけになっているのか?

(2)新聞社の系統を問わず、裁判所は、大半の「押し紙」裁判で、「押し紙」の存在を認定していないが、公序良俗という観点から、大量の新聞が配達されることなく廃棄されている事実(積み紙)をどう考えているのか。

(3)自由人権協会とは何か。

(4)読売の社会部長は、「押し紙」問題をどう考えているのか。

※関連記事 http://www.kokusyo.jp/oshigami_c/17608/

本稿は『メディア黒書』(2024年08月22日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8PP3BNK/
◎『季節』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

本稿は『季節』33号(2022年9月11日発売号)掲載の「電力逼迫を利用した原発推進政策の問題点」を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。文中での全国の原発再稼働に関する記述は、2022年8月当時の状況であること、あらかじめご了承ください。

◆動かせない理由を説明せよ

現在、新規制基準適合性審査を通過した原発は17基、そのうち1度でも再稼働した原発は10基である。残り7基は現在も運転できる状態にはない。

その7基の内訳は、東電柏崎刈羽6、7号機、日本原電東海第2、東北電力女川2号機、中国電力島根2号機、関西電力高浜1、2号機。これらはすべて安全対策工事又は特定重大事故等対処施設の工事が終わっていないか、地元合意を得ていないか、最もひどい例は電力会社の運転資格を再確認中のもの(これが東電)である。すなわち法的にも道義的にも動かせないものばかりである。

定期検査中で稼働できないものは、夏のピークだ、電力逼迫だといっても動かせるわけがない。法令上の理由で稼働できていないのに、そのツケを規制のやりすぎだとか、反原発の圧力だと、勝手な憶測をばらまいている参議院議員選挙候補や政党(選挙期間中に)の何と多いことか。さらに問題なのは、これら主張について経産省はこれ幸いとばかりに、訂正することもなく、むしろ助長するかのように、必要もない

電力逼迫注意報だ、警報だと、電力不足をあおり立てている。だが、電力逼迫を引き起こした最大の責任者は経産省だ。だから責任の目先、追及の矛先も変える必要があるというわけだ。

原発の再稼働が困難な事例のいくつかを示す。高浜4号機は6月8日から10月(いわゆる夏のピーク時の期間)まで停止する。その理由は定期検査。関電によれば「10月下旬の原子炉起動、11月中旬の営業運転再開を見込む」という。

また、高浜3号機は定検中に蒸気発生器伝熱管に損傷が見つかったため運転再開が遅れている。6月末で稼働している原発は大飯原発3、4号機。

玄海4号機は定検の終了予定を7月上旬に前倒ししてむりやり運転再開。40年超の老朽原発、美浜原発3号機は21年6月に再稼働したものの特定重大事故対処等施設が出来ておらず、

わずか4ヶ月後の10月に停止した。これを8月12日に再稼働しようとした、

漏水により延期されている。当初は10月20日が予定されていたが夏のピーク時に少しでも重ねようという意図で約2カ月前倒した。

◆地域間連携や再エネを軽視

東日本大震災後11年以上経つというのに、当時から指摘されていた問題に迅速に取り組むでもなく、漫然と時を過ごし、再生可能エネルギーへの国の投資も怠り、送電網整備の責任を怠ってきた。そのことを指摘する報道も、ほとんど見られない。

日本列島には潜在的に自然エネルギーを活用できるところがたくさんある。日照の多い地域では太陽光が、風況の良いところは風力が期待できるが、これらは消費地から離れている。発電した場所から電力を送るには、既存の送電線に接続する必要があるが、送電線は9電力がほぼ独占状態だ。

これに自然エネルギーを優先的に接続できるような体制の整備は国にしか行えないが、進んでいない。

経産省は、最悪の事態、例えば全国規模のブラックアウトをあえて起こそうとでもしているのではないか。そんないやな感じさえ、昨今の政府の無策ぶりには感じてしまう。実際にコロナ対策では、それに近いこともしている。

◆東西連系線を強化する

3月や6月の電力逼迫の注意報が出たときにも、西日本では電力不足は起きておらず余力があった。東電のエリアで不足するなら西日本から供給すれば問題は解決する。しかし、東日本と西日本では周波数が異なるため、そのまま電気を送ることができない。50サイクルの東と60サイクルの西の間には「周波数変換所」が必要になる。

その容量は現在210万kWだが、震災時に120万kWしかなかったものを増強した。これで足りるとは誰も思っていないので、今後も増強する予定だ、最終的には300万kWにするが増強には1750億円かかり2027年の完成予定。これは速やかに完成させるように取り組むべきだ。震災後の11年間に柏崎刈羽原発再稼働準備として累積1兆2千億円もつぎ込んできた東電にとっては、大した費用ではない。資金の使い道を間違ったことが、今回の逼迫に繋がっている。

日本列島は南北に延びているから、北海道と九州では気候が違う。日本中で電力の連系ができれば、どこかで逼迫が生じても必要なところに電力が送れる。設備も効率よく使えて良いことずくめだ。

電力会社に投資余力がないとしたら、公共事業として造れば良い。 「変換所」を発展させ、日本中を直流送電で繋ぐという方法だ。直流に変換すれば周波数問題は起きない。大動脈として東西直流送電線を引くことを公共投資として行えば、電力需給問題は解決できるうえ、南海トラフ地震のような大規模災害対策にもなるのである。例えば、震災以来原発につぎ込んだ5兆7000億円を使っていれば、すでにできていたはずだ。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

◎『季節』創刊10周年特別企画『脱(反)原発のための季節セレクション』(仮)
出版のためのクラウドファンディングご支援のお願い

https://readyfor.jp/projects/kisetu_nonukes

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/
◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

◆イスラエルは自衛のためにガザを爆撃しているのではない

8月9日の長崎平和祈念式典にイスラエル駐日大使を招待しなかったことが問題となり、米国をはじめG7諸国などの駐日大使が参席を拒否した。NHKはイスラエルのことを「ハマスと戦闘しているイスラエル」と繰り返し紹介していた。

冗談じゃない。イスラエルが問題になるのは、ハマスと戦闘していることではなく、ガザ地区に無差別爆撃を繰り返し、4万人をこえる女性と子供、住民を大量虐殺しているからではないか。そんな戦争犯罪国家にたいし長崎平和祈念式典にイスラエルが参席する資格があるというのだろうか。長崎市は「イスラエルが攻撃を続けているパレスチナガザ自治区で危機的な人道状況や国際世論などを踏まえイスラエル大使の不招待を決めた」と言っている。

長崎平和祈念式典にはロシアとベラルーシも招待されなかったという。アメリカなどの言い分は、「イスラエルを招待しなかったら、イスラエルは自衛権を行使しておりロシアと同列におき誤解を招く」ということだ。

イスラエルはパレスチナ民衆をガザという空しかない刑務所に閉じこめ、そのうえハマスの攻撃に対する報復として爆撃による大量虐殺をおこなっている。イスラエルは自衛のためにガザを爆撃しているのではない。自衛のためではなく、パレスチナ民衆を抹殺するために大量虐殺をおこなっているとしかいいようがない。一番、招待すべきでないのはイスラエルである。

◆二重基準の原因はアメリカの例外主義と覇権主義

広島慰霊祭ではパレスチナが招待されずイスラエルは招待された。だから広島慰霊祭にはアメリカ大使なども参席した。その広島市に多くの批判の声もよせられたという。パリ五輪でもロシアとベラルーシは国家として参加させずイスラエルは参加させている。もし軍事侵攻がだめだとする基準ならイスラエルも当然あてはまる。いわゆる二重基準だ。

この二重基準の原因は軍事支援しようがしまいと自国は特別だというアメリカの例外主義がある。アメリカは軍事支援している国に国際イベント参加拒否というようなことは許さないという。例外主義は他国にたいし侵略、内政干渉など何をやってもかまわないという覇権主義そのものだ。

 

赤木志郎(あかぎ・しろう)さん

◆長崎市がG7諸国の圧力に屈しなかった要因

アメリカと長崎市の間に立った岸田首相はおろおろするだけでG7の7カ国での核軍縮の話し合いがすすまないと泣き言を言うだけだった。世界に核兵器を振りかざし恫喝しているアメリカに膝間つき、唯一の被爆国と言いながら核兵器禁止条約にも参加できない日本政府は「核のない世界を」と語ることができないでいる。

その点、長崎平和祈念式典にアメリカ、とくにエマニュエル大使の露骨な干渉、圧力に屈せずイスラエル大使を招待せず毅然とした姿勢を貫いた鈴木史朗長崎市長および長崎市民は立派だと思う。長崎市がG7諸国の圧力に屈しなかった要因には、宣言作成や行事について公開的に論議をすすめてきた経緯がある。広島市の場合、非公開ですすめられた。

イスラエル不招待をめぐる長崎平和祈念式典でのアメリカなどの不参加は、世界の非米諸国とG7覇権勢力との対立の表れだということができる。そして、長崎市のように市民の声を背景に戦争反対の正義の信念をもってそれを貫いていけば、アメリカの圧力も跳ね返すことができるということを示したのではないだろうか。

▼赤木志郎(あかぎ・しろう)さん
大阪市立大学法学部中退。高校生の時は民青、大学生のときに社学同。70年赤軍派としてハイジャックで朝鮮に渡る。以来、平壌市に滞在。現在、「アジアの内の日本の会」会員

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』

本稿は『季節』33号(2022年9月11日発売号)掲載の「電力逼迫を利用した原発推進政策の問題点」を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。文中での全国の原発再稼働に関する記述は、2022年8月当時の状況であること、あらかじめご了承ください。

◆原発再稼動を急がせる政府

夏の電力不足を理由として、原発再稼働が前のめりに進められている。2022年には川内2号が6月11日、玄海4号が7月10日、大飯4号が7月17日、そして7月24日には高浜3号が起動した。

他にも、美浜3号は本来、10月までかかるはずの定期検査を前倒して8月12日に運転再開すると発表したが、その後、2次系設備の漏水で延期された。大飯4号も定期検査を前倒しての再稼働だ。

夏のピーク対策というのだが、西日本は今年の夏の供給予備率(100%から、その日の最大想定需要の割合を引いた数値)はすでに明らかになっていて、3%台の後半から4%程度と見込まれ、美浜3号などを前倒ししても特に大きく改善はしない。

再稼働予定の原発のうち、運転開始から44年6ヶ月経っている美浜原発3号機を無理矢理動かして、重大事故が起きることになれば、取り返しがつかない。

事業者の立場から見ても、定期検査を前倒ししてまで強行する利点はない。政府は5月27日に夏の電力需要について予測し「7月は東北から中部エリアで3.1%と非常に厳しい見通し」とする広報を行い、電力需要が高まる時期に足りなくなる恐れがあるとしていた。

そして6月末に東電エリアで設備の準備不足から想定予備率が1時ゼロになるという失態を演じたが、これを奇貨として夏の電力不足を大きくアピールした。6月末の電力逼迫騒動の謎については、次節に詳細に述べる。原発再稼動を進めるとの首相声明を参議院選挙中に突如出して、ショック・ドクトリン[注]の手法を使った再稼働推進策を打ってきたのである。

[注]ショック・ドクトリンとは、 ナオミ・クラインによる「惨事便乗型資本主義。大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。

◆夏ピークの直前に東電で逼迫の事態

6月27日の梅雨が明けていない東電のエリアで、電力逼迫の注意報が突如発令された。すぐにも警報に切り替えそうな勢いで、経産省の役人が記者会見をしてまで、電力逼迫の危機を演出して見せた。だが、実際には90%台の後半の設備利用率になったものの電力危機は起こらなかった。電力会社は東電だけではないし、需要が高まるとすれば電力取引市場で多くの発電事業者が電気を市場に売り出すから、突如として停電が起きるとすれば設備の故障や自然災害以外には考えにくい。

この危機を細かく見ると逼迫は2つの時間帯で見られた。1つは「使用量のピーク点」である午後2~3時台、最大5254万kW(以下、万kWを省略)の需要に対して設備は5674で92%だった。

もう1つは「使用率ピーク点」で午前9時~10時台、最大4669に対して4820で、97%だった。6月のピークは、実際にはその後の時間帯に出現している。逼迫注意報は30日午後6時で解除されているが、この日の午後2時から3時の需要量ピークでは5487に対して、6036が準備された。率にして90%は、例年でも余裕がある水準。午前9時から10時台は4947に対して5145の設備で、率にして96%、こちらの方が厳しいが、「警報」という水準ではない。

夜に発電能力が落ちるのは、東電は太陽光発電を1400ほど有しているため、夜間の発電能力が落ちるからだ。

では、夏のピークどころか6月下旬に電力が逼迫したのはなぜか。この時期は例年、比較的需要が少ない時期だが、今年は早々に梅雨が明け、気温が急激に上昇し、湿度も高く、例年ならば7月下旬頃の天候状況になっていた。

加えて、火力発電所の多くが定期検査に入っていて、発電能力が大幅に制限されていたため、ピークに対する余力がなくなっていたところに、石油火力を中心に長期休止しているものも多く、稼働できない設備が多数あった。

夏のピーク時には定期検査が終わった火力が投入される。設備は常に6000以上が準備されるので、逼迫は例年起きていない。こうした時間のずれが電力逼迫の注意報に繋がっただけである。東電による想定の甘さと、電力供給力整備の遅れなど、リスク管理に失敗し続けたことが、時季外れの電力逼迫に繋がったのである。

◆「それに備えて原発」なのか?

むしろ、原発で大電力を供給するほうがはるかにリスク(この場合は特に停電リスク)が高いことは、東日本大震災と2007年の中越沖地震で経験ずみだ。原発も火力も海沿いに多数立地しているから、津波に襲われれば被災する。仮に発電所に大規模な破壊が生じなくても、高圧送電線や変電所が被災すれば電気は来ない。地震や津波では原発こそ停電のリスクが高い。自然災害に強いシステムとは、むしろ1つ1つが脆弱でも広く分散して設置され、地産地消の仕組みが出来ているものである。

とはいえ大都市ではそれは困難なので、その場合はできるだけ消費地に近いところに立地し、被災しても早期復旧が見込める天然ガス火力が良い。これを補完するためには立ち上げが早くメンテナンスも容易な石油火力を温存しておくことだ。もちろん、排ガス対策は十分行い、高機能で高効率なものに置き換える必要がある。

もう多くの人は忘れてしまったのかも知れないが、東日本大震災後の電力設備の復旧も、火力が圧倒的に早かった。震災で被災した原発15基は、いまだに1基も再稼働していないが、火力は震災の年の7月までにすべて復旧している。また、震災直後に大量のディーゼルやガスタービン発電機を調達し、電力供給を行うこともできた。

これは原発では不可能なことだ。2007年の中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の7基は、2011年までに再稼働できたのは、重要設備の損傷が少なかった6、7号機など4基に留まっていた。こんなものに電力を頼っていたら、近い将来発生する南海トラフ地震では、日本中(特に西日本)がブラックアウトしたまま復旧に長期間要することになる。防災対策上も極めて危険な事態を招く。

今年夏の節電要請は、震災直後の2012年以来10年ぶりと各社報じたが、ではその前はいつだったかご存知だろうか。2007年である。この年の7月16日に中越沖地震が発生し柏崎刈羽原発が全部止まったため節電要請が出されている(経済産業省関東圏電力需給対策本部決定 平成19年7月20日付)。つまり過去の節電要請はすべて原発の停止が原因だったといっても過言ではない。(つづく)

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

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《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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龍一郎揮毫

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柔軟剤や煙草など、広義の「香害」をどう診断するかをめぐる議論が沸騰している。日本では、「香害」による体の不調を訴える人が、専門医を受診すると、ほとんど例外なく化学物質過敏症の診断を受け、障害年金の受給候補となってきた。「香害」に取り組む市民運動体が、公表している被害の実態も、極端に深刻さを強調するものになっている。

 

『週刊金曜日』は、「家の中に入る人や、近隣からの移香や残留で、家の中が汚染される」と回答した人が90.7%とアンケート結果を報じているが、客観的な裏付けはない

たとえば『週刊金曜日』(2024年2月9日)の特集記事「その香り、移しているかもしれません」の中で、環境ジャーナリストの加藤やすこ氏は、フェイスブック上の市民団体が実施したアンケートの結果を紹介して、「香害」の凄まじい実態を紹介している。

それによると、回答者600人のうち、「家の中に入る人や、近隣からの移香や残留で、家の中が汚染される」と回答した人が90.7%を占めたという。アンケートの主催者が、「香害」に抗議している人々が主体となった市民団体なので、必然的にアンケートに応じる回答者も「公害」に苦しんでいる人々が多数を占め、その結果、このように高い数値になった可能性が高い。ファクトチェックが欠落しおり、常識的にはありえない数字である。

◆坂部貢医師の報告、精神疾患との併症率は80%

「香害」による被害を訴える人を、容易に「化学物質過敏症」と決めつける風潮に対して、このところ疑問を呈する声が広がっている。一定の割合で、「香害」の中に精神疾患のケースが混じっているという見方である。従来の「香害」=化学物質過敏症という構図の誤りである。

たとえば、化学物質過敏症に詳しい坂部貢医師は、「平成27年度 環境中の微量な化学物質による健康影響に関する調査研究業務」と題する報告書の中で、化学物質過敏症と同じ症状を現わす患者には精神疾患の症状が見られるケースがあると述べている。精神疾患との併症率は、なんと80%にもなるという

坂部医師と同じ観点に立って、化学物質過敏症の診察を実施しているのが、舩越典子医師(典子エンジェルクリニック、堺市)である。「香害」を訴える患者の中に、一定割合で精神疾患を持つ人が混じっているとする主張である。その根拠を示す具体的な一例を紹介しよう。2024年度のケースである。

◆「洗濯物を干すときにじろじろと見られた」

「香害」を訴えて、舩越医師のオンライン診療を受けたのは、50代の主婦A子さんである。マンションの2階に、夫と成人の息子の3人で住んでいる。舩越医師は、Aさん本人だけではなく、夫からも事情を聞いた。その結果、訴えについて次のようなことが判明した。

Aさんはコロナに感染して高熱を出した。療養後、Aさんは奇妙なことを口にするようになった。向かいの家に住んでいる70代の高齢男性が煙草を吸っている。その匂いが耐え難い。匂いは、窓を閉めていても家の中まで闖入してくる。

「向かいの民家と、自宅の距離はどのぐらいありますか?」

「20メートルぐらいです」

あまりにも匂いが強いので、Aさんは老人に3度ほど注意したという。しかし、老人は禁煙には応じない。

舩越医師は、Aさんの話の信憑性を確認するために、Aさんの夫に、本当に煙草の匂いは、自宅に入ってくるのかを問うた。夫は、自分も息子も匂いは感じないと答えた。さらに詳しく話を聞いてみると、Aさんが老人による「香害」とは別の加害も訴えていることが判明した。たとえば理由なく怒鳴りつけられたとか、洗濯物を干すときにじろじろと見られたとか、窓のカーテンを閉めているにもかかわらず、覗き込まれたといった言動である。

舩越医師は、Aさんが精神疾患を患っている可能性を疑った。Aさんの訴えと家族による観察が整合していないことが、その主要な理由である。それに物理的に見て、20メートルの距離を置けば、煙草の匂いは拡散されてしまうことも考慮に入れた。そこで、精神科を受診するように勧め、知人の専門医を紹介した。

Aさんは、自分が「香害」の被害者であると固執して、精神科の受診を拒んだが、家族が説得して、受診にこぎつけた。その後、紹介先の医師から、Aさんが被害妄想、注察妄想、幻聴などを呈しており、妄想性障害であるとの報告書が届いた。

Aさんは向精神薬であるリスパダールの処方を受けた。約2週間後、オンライン診療でAさんと再会したとき、すっかり以前とは様子が変わっていた。妄想は消えて、表情が和らいていた。妻がすっかり別人の様に良くなったと、夫はとても喜んでいた。2人とも以前には見られなかった笑顔だった。

このケースでは、「香害」という訴えの信憑性を見極める過程で、家族が大きな役割を果たしたのである。

 

香害の防止を呼び掛ける消費者庁の告知。単眼的な視点になっていて、客観的なデータが欠落している

◆「香害」の複雑さと真実

「香害」の訴えを、単純に化学物質過敏症と診断すると、副次的な問題を引き起しかねない。その典型的な例が、横浜副流煙事件がある。この事件では、町医者から専門医までが、「患者」の訴えを鵜のみして、化学物質過敏症、あるいは「受動喫煙症」と言った病名を付した診断書を交付した。それを根拠に、隣人に約4500万円を請求する裁判を起こした。

しかし、裁判の中で原告が提訴の根拠とした化学物質過敏症の診断に、十分な根拠がないことが次々と判明した。逆説的に言えば、それだけ「香害」は複雑な要素を孕んでおり、ネット上のアンケートで実態を把握できるほど単純な問題ではない。

Aさんにとって幸いだったのは、家族が真剣に問題に向き合ったことである。また、舩越医師が「香害」を訴える人々の中に、一定の割合で精神心疾患の患者が含まれている実態を認識していたことも大きい。

「香害」を訴える患者の中には、一定の割合で、精神疾患の患者が含まれているのである。この点を無視して、「香害」を語ると、前出の『週刊金曜日』の記事に見るような極論になってしまう。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
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黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』(鹿砦社)

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日本共産党さんが 就職氷河期世代の星とも言えたまんが評論家の紙屋高雪さんこと神谷貴行さん(福岡県委員会所属)を8月6日付けで除籍しました。

私・神谷貴行は、2024年8月6日付で日本共産党から除籍されました。
また、本日(2024年8月16日)付で日本共産党福岡県委員会から解雇されました。
これらについてはいずれも到底承服できないものです。
詳しくはまた別の機会に書きたいと思います。

紙屋さんは、流行語大賞にもなった「ごはん論法」の考案者の一人としてもよく知られています。また、福岡市長選挙2018では、人気の高い現職の高島市長を相手に10万票近く、25%近い得票率で大健闘しました。

その紙屋さんに対して日本共産党は、日本共産党内でも、それなりに慎重な手続きが必要な「除名」(松竹伸幸さんが受け、現在裁判所で是非を巡り係争中)ではなく「除籍」といういわば「手抜き」の手法を取りました。

しかも広島原爆の日の8月6日に除籍です。「何をやっとるんじゃ!?」と憤りを禁じえません。それとともに、「やっぱり」という感想もあります。日本共産党のあまりに独善的な体質が、むしろ最近ひどくなっているように思えるからです。

例えば、党外の筆者に対しても、日本共産党の方は、以下のような事件を起こしています。2023年2月、原爆ドーム前での集会の際に、日本共産党員の方が筆者を取り囲んで、筆者が立候補する選挙区の変更を迫るという事件を迫ってきました。

結局、自分の言うことを聞かない人間には強圧的。これが日本共産党の体質なのです。これを改めないと、労働問題などでせっかく良いことをおっしゃっていても、ドン引きされてしまうのではないでしょうか?

◆日本共産党への疑問〈1〉他の既成政党と変わらぬ湯崎知事に対する腰砕け

筆者は最近、共産党さんについての疑問があります。そのひとつは、いつのまにか、湯崎英彦・広島県知事が広島駅北口に建設を予定している巨大病院構想への批判、それに伴って南区宇品にある県病院を潰すことへの批判をやめていることです。

筆者は、今年度になって、日本共産党の広島市議にこのことについて、ばったりお会いしたときにうかがったところ、「新巨大病院が上手くいかないのはわかっている。ただ、うちとしては県病院の跡地利用をどうするか?という話にシフトしている」と気まずそう(半ば逃げ出すような姿勢)で目を逸らしながらおっしゃいました。

そして、安佐南区内の有権者の方によると、『共産党は知事と裏で手を組んで系列の医療・福祉系法人が県病院の跡地に食い込めるように画策しているらしい。』というわけです。ある区内の医師は湯崎英彦・広島県知事を毎回推薦する自民党支持の方ですが、その方でも、「あの巨大病院構想はおかしい。そして知事と組もうとする共産党もおかしい」と憤っておられます。

選挙の時は、共産党さんはいかにも知事の姿勢に反対のようなことを言って、筆者の古くからの支持者の方の中でも共産党さんに流れた人がかなりおられました。しかし、選挙が終わればこの有様です。これこそ「政治屋」と言わずして何というのでしょうか?

◆日本共産党への疑問〈2〉平和記念式典2022でのロシア排除を批判せず

今年、広島平和記念式典ではロシア・ベラルーシは引き続き排除にもかかわらず、イスラエルは招待、パレスチナは招待せず、と言う状況でした。この状況に大きな批判が起きましたが、そもそも、日本共産党さんも、2022年の最初のロシア・ベラルーシ排除の時点では、何も文句を松井市長に対して言っておられません。保守系の平岡敬・元市長の方がこの現市長の姿勢を批判していたくらいです。もちろん、筆者も「すべての国と地域を呼ぶべき」との原理原則を当時から明らかにしています。

◆自民・維新自滅も、立共もスターリン主義で伸び悩み石丸バカ受け

岸田総理が8月14日、退陣を表明しました。「裏金で引責」と総理はおっしゃいますが、新自由主義を脱却すると言いながら、いつのまにか「貯蓄から投資へ」誘導し、保守層も含む皆様に株価暴落で損をさせたことで行き詰まったとみるべきでしょう。そんな岸田さんでも維新系の兵庫県・斎藤元彦知事よりは、『より少なく悪い』かもしれません。実際に、秘書給与詐欺で捜査されている広瀬めぐみ参院議員も『観念』したか、議員辞職しました。

維新系の斎藤元彦知事にいたっては、真面目な職員が二人も亡くならなければならない状況を造り、小橋理事や井ノ本総務部長ら側近を切り捨ててまでいつまでも居座る構えです(8月17日現在)。そして、斎藤元彦知事を維新の兵庫県議やネット上の大阪維新支持者が必死で庇い続けています。

だが、立憲・共産の野党もいわゆるスターリン主義的な体質で伸び悩んでいます。立憲民主党さんは楾大樹先生著「茶番選挙 仁義なき候補者選考」に見られるように、候補者=人を大事にしません。そして日本共産党は就職氷河期世代の星でもあった紙屋高雪さんを排除するなど人を大事にしない。確かに、これでは、あの石丸伸二さんがバカ受けしてしまうのもやむを得ないのでしょう。

◆日本共産党との違いをさらにご説明せざるを得ない

正直に申し上げます。筆者も最近は、地域の皆様に対して、

「わたしは、志位和夫さん、田村智子さんに逆らっただけで除名・除籍するような日本共産党の幹部のみなさんとは違います。わたしは自民党議員の方も含めて個々人の人権を尊重する真の人権派です。」

「例えば、河井事件で起訴された自民党議員についても『疑わしきは被告人の利益』に、と言うスタンスです。日本共産党のみなさんのように、何でもかんでも有罪にしろといわんばかりのスタンスではありません。倫理と有罪・無罪は別問題だ。わたしはそういう意味では人権派・庶民派の保守だ。」
と申し上げています。

これは、新自由主義で暴走を続ける湯崎英彦・広島県知事や松井一實・広島市長、特に前者に待ったをかける政治家・活動家が日本共産党と、一部の保守、そして筆者くらいしか存在しない広島の事情もあります。そのせいで、日本共産党と同じとみなされてしまうと筆者としても全く困るからです。筆者は何でもかんでも排除、の日本共産党とはむしろ180度違う。

ただ、岸田さんのような「貴族保守」でもなく、湯崎英彦・広島県知事のようなネオリベでも、松井一實市長のような媚米でもない。個人の人権と庶民の暮らしを重視する保守。そのためには、現知事らを庶民が打倒する平和的な「革命」も必要だ。これは、スターリンや毛沢東が独裁する「共産主義革命」とは違う。これが筆者のスタンスです。

例えば、湯崎英彦広島県知事から広島の政治をあなたの手に取り戻し、#広島の水と食べ物 #広島の教育 #広島の医療 を取り戻し、#広島とあなたを守る #ヒロシマ庶民革命 に日本共産党員・支持者の方「も」個人としてご参加いただくのは大歓迎です。これは、#政党支持なしの方「も」、#自民党支持の方「も」、#維新支持の方「も」大歓迎なのと同様です。

また、所属する労働組合においては、組合の上司の多くは日本共産党員や支持者の方です。筆者も、数少ない「庶民派保守系の組合幹部」として介護・保育などケア労働者や、これまで制度の谷間におかれてきた非正規公務員労働者の抜本的な待遇改善を軸に取り組んでいくことには変わりはありません。

しかし、今回の紙屋高雪さん除名に見られるいわゆる「スターリン主義」的な体質の延長線上に、筆者らに共産党さんにばかり都合の良い行動を強要してくるのはご免こうむります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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◆「懸念」と言えば聞こえはいいが、事実上の「脅し」だった

8月9日の長崎平和祈念式典。長崎市の鈴木史朗市長は「平穏かつ、厳粛な雰囲気のもとで円滑に式典ができるように」することを理由に、イスラエルを招待しませんでした。一方で、パレスチナ国代表は招待しています。

広島市がイスラエルを招待する一方で、パレスチナを招待しなかったのとは対照的です。

こうした中で、7月の段階で既に、エマニュエル駐日米国大使が音頭を取って、米独英仏伊加の日本以外のG7やEUが長崎市に対して、イスラエルを招待しないことへの懸念を表明していました。懸念と言えば聞こえはいいですが、「イスラエルを招待しないと、俺たちは大使級の出席は見合わせるぞ」という事実上の脅しでした。

そして、8月9日、米独仏伊加やEUの大使級の姿は長崎平和公園にはありませんでした。それでも、過去最多の国が長崎平和祈念式典に参加されたそうです。改めて、鈴木史朗・長崎市長の毅然たる対応を支持したい。

もちろん、そもそも、ロシア・ベラルーシもイスラエルも両方招待するのが平和行政の原理原則であると筆者は考えます。しかしながら、ロシア・ベラルーシを円滑に運営するためと言う理由とは言え、すでに招待しない決断をしている以上、イスラエルを招待しないというのは筋が通っています。

そして、今回のG7―日本の対応は、まさに自称先進国の高慢さを世界にあぶりだしたと言えます。

◆「イスラエル万歳」姿勢を天下にさらした米独英仏伊加欧 

米独英仏伊加は、イスラエルを招待しないことを、ロシア・ベラルーシとイスラエルを同列に見なすことになる、としていました。だが、2023年10月7日以前のイスラエルはパレスチナ人の土地を奪い続けていました。今ほどではないですが空爆も続けていました。これを侵略者と言わずしてどういうのでしょうか? もちろん、ハマスによる10月7日の攻撃は、国際人権法違反です。これはこれでICCにより関係者に逮捕状が請求されています。侵略に対する防衛側であっても国際人権法を守らなければいけないのです。

他方で、当然、イスラエル首相のネタニヤフ被疑者と国防相のガラント被疑者にも逮捕状は請求されています。プーチン大統領が逮捕状を出されているロシアとイスラエルを同列にみなされて何が悪いのか? 米独英仏伊加のこんな「イスラエル万歳」姿勢がネタニヤフ被疑者をさらにつけあがらせ、犠牲者を増やしているのではないでしょうか?

◆変わらぬ「日本人は欧米先進国を忖度してくれるだろう」という思い上がり

そして、今回、エマニュエル駐日大使らから感じたのは、「日本人は、我々欧米先進国を忖度してくれるもの」という思い上がりです。実際に、残念ながら、広島市長は、脅される前から、イスラエルは招待し、パレスチナは招待しないという選択を取ってしまいました。しかし、長崎市長は違いました。そこで、「この野郎」とでも逆上したのでしょう、エマニュエル駐日大使は、欧州諸国にも呼びかけ、長崎平和祈念式典をボイコットしたのです。

◆原爆の日=祝賀会=セレブレーション 米報道官失言

さて、今回の件について記者会見した米国政府のミラー報道官は「原爆の日」のことを「セレブレーション=祝賀会」と言ってしまいました。これは、結局、原爆は戦争を終わらせたのだからめでたい、という米国のエライ人たちの本音を暴露しただけではないでしょうか?結局、「変わっちゃいない」です。

◆「反省無き」米国に忖度し舐められる広島

さて、広島は2023年、G7広島サミットを開催しました。そして、その後、広島市の松井市長は軍事基地であるパールハーバーと平和記念公園の姉妹協定を結んでしまいました。筆者は「米国政府は原爆の謝罪も反省もしていないのに随分おめでたいなあ」とあきれ果てていました。案の定、G7広島サミットから1周年の5月19日、米国が核実験をしたことが発覚しています。広島は完全に米国・バイデン大統領に舐められています。

米国の国会議員が「ガザをヒロシマ・ナガサキのようにすべきだ」などと暴言を吐いた時も松井市長は抗議もしませんでした。筆者が広島市長なら「こちらが低姿勢に出ればつけあがりやがって」とキレそうですが、この松井市長は違うようです。そして、今なお、舐められていることへの怒りも感じられません。

◆ダブスタの米英仏独伊に忖度無用!

結局、日本人の命もパレスチナ人の命も米英独仏伊加にとっては軽いものということが今回あぶりだされました。いくら、米英独仏伊加が民主主義だの人権だの「ご高説」を垂れていてもそういうことなのです。広島の平和行政もこれを参考に今後の在り方を考えるべきです。アジア大会1994を広島は開催しています。そのアジア大会にはパレスチナは来てくれました。核兵器禁止条約にもパレスチナは参加してくれています。

核兵器禁止条約を推進する平和首長会議と横の連携を引き続き重視すべきです。その上で、広島・長崎に核兵器禁止条約の締約国会議を招致したらどうでしょうか。その上で、核保有国=米英仏ロ中印パ朝イに迫っていくべきです。ヒロシマもナガサキも、米英仏独伊などの政府に対して礼儀は尽くすにしても、忖度はする必要はないでしょう。

◆ガザでのジェノサイド終結へ粛々と行動!

ともかく、筆者と広島瀬戸内新聞では、ガザにおけるジェノサイド終結、中東和平へ向け、粛々と行動していきます。

9月18日には、元イスラエル軍兵士・ダニー・ネフセタイさんをお呼びしての講演会を開催します。また議会への請願を通じて、広島市にも粘り強く米国忖度の路線からの軌道修正を働きかけていきます。

◆元・イスラエル軍兵士が語る「平和」 
 イスラエルの歴史と今・そして日本~ダニー・ネフセタイさん講演会IN広島

もうすぐ、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への侵攻・虐殺が激化してから1年になろうとしています。ガザ地区では連日のように多くの命が奪われる状況に終わりは見えず、中東全体にも戦火が広がろうとしています。そもそも、なぜ、こんなことになってしまったのか?

 そして平和をつくるために、日本・広島に住むわたしたちはどうすればいいのか?

イスラエル軍の元兵士で現在は日本で木製家具職人の傍ら日本全国を「非戦・平和」等をテーマに講演されているダニー・ネフセタイさんにお聞きします。

日時 2024年9月18日(水) 18時開場 18時半スタート
場所 広島市東区民文化センター工作実習室 
(〒732-0055 広島市東区東蟹屋町10-31 広島駅から徒歩約10分) 
資料代 1000円
主催 広島瀬戸内新聞 
連絡先 佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

◎ダニー・ネフセタイさん プロフィール
1957年、イスラエル生まれ
1975年 高校卒業後、徴兵制によるイスラエル軍入隊。空軍にて3年間兵役を務める。
1979年 退役後、アジアの旅に出る。日本各地をヒッチハイクなどで旅をし、交流を深める。日本語学校にて更に深く言葉を勉強しその後神奈川の家具会社に勤める。
1988年 東京より埼玉県皆野町金沢へ引っ越す。木工房ナガリ家を開設。
1999年 皆野町金沢・出牛に自宅のログハウスを夫婦で自力建設。

現在は、夫婦で注文家具、遊具、木工小物、社会性オブジェの創作活動。ギャラリー にて個展、グループ展など多数開催。「世の中を良くすることも物づくりをする人間の指名である」という信条を持ち戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
WEBサイト https://nagariya.handcrafted.jp/ 

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

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