『NO NUKES voice』Vol.22 新年総力特集 2020年〈原発なき社会〉を求めて
本日12月11日、『NO NUKES voice』22号が発売される。国内唯一の反(脱)原発雑誌として、2019年も本誌の発行を続けられたことに、読者の皆さんをはじめ、寄稿者の皆さんや取材にご協力いただいた皆様へ御礼を申し上げる。
そして、皮肉を込めて最大の謝辞は、『NO NUKES voice』発行の根拠をやめようとはしない、電力会社各社、とりわけ福島第一原発事故を起こしながら、東海第二原発再稼働のために2,200億円もの支出を決めた東京電力に送らねばならないだろう。政府から20兆円(!)もの支援をうけて、実質国営化されながらも、まだ懲りずに原発の再稼働に借金から金を出す。
この厚顔無恥さ、無責任さを形容するに適切なことばを、われわれは持ち合わせない。犯罪集団であり、経済的には「税金の身勝手な流用」にもなんの痛痒も感じていない東電の許されざる行為は本日発売される『NO NUKES voice』のなかでももちろん取り上げられている。
◆高浜原発利益還流劇の中心はあくまで関西電力である
関西電力は高浜原発などで、今年もトラブルを起こしたが、なによりの激震は、金銭・物品の還流により、会長・社長以下多数の役員が辞任したことである。
報道ではこの事件の中心人物が、元高浜町助役であったかのように扱われているが、本誌はそうは見ない。利益還流劇の中心はあくまで電力会社である。そうでなければ、あのように億単位の現金を長年にわたり個人が準備できる道理がないからだ。
『NO NUKES voice』Vol.22より
であるとすれば、関電の幹部総辞職に追い込んだ「利益還流構造」は全国の原発立地に(形態の違いはあるとはいえ)生じている問題である可能性が高い。
今回の関電幹部総辞任には「怪文書」のような「告発文」の存在が、取りざたされていた。編集部では中嶌哲演住職のご厚意により、その全文の入手に成功したので、一文字残らず読者に公開することとした。中嶌住職がどのように「告発文」を入手されたのか。入手後どう対処されたのかは、本誌を手に取ってご確認いただきたい。
各電力会社に対する正面からの闘いや、法廷闘争、地道な街頭宣伝活動など様々な形で原発に反対する運動は展開されているが、「告発文」の送付先を確認すると、それらの運動が着実に受け皿の役割を果たしていることが判明する。
◆反原発と対峙する「東京五輪」
来年はいよいよ反原発と対峙する「東京五輪」開催が予定されている。しかし、既に政府は当初負担を予定していた開催費用7,000億円が3兆円に膨れ上がっていることを発表した。毎号本誌が指摘してきた通り、開催費用は最終的にはさらに膨張し、その負債は最終的に国民の税金で賄われることになる。そして多額の「使途不明金」が生ずるも「シュレッダーに明細はかけてしまい、復元ができない」と子どもの言い訳レベルの弁解で、誰も責任を追及されることはないだろう。
要りもしないのに建設された、新国立競技場の維持費は、旧来の国立競技場の比ではなく、破綻が確実視されている。
どこを向いて進んでいるのだ? どうして学ばない?なにを求めているのか?
目の前で展開される、現象にはめまいがするほどの倒錯を感じさせられる。どこにも理性や論理性が見当たらないからだ。
本号も孫崎享、尾崎美代子、井戸謙一、水戸喜世子、本間龍、小林蓮実、鈴木博喜、伊達信夫、山崎久隆、平宮康広、三上治、板坂剛、横山茂彦、山田悦子(敬称略、掲載順)の各氏や全国からの活動報告が、以下の内容で師走の日本列島に“檄”を入れる。
◆少なくともあと半世紀は『NO NUKES voice』を刊行し続けなければならない
先週東京で行われた鹿砦社創業50周年パーティーには、現場で地道に活動される方から元首相まで実に様々なかたがたにお集まりいただき、われわれは勇気を得た。
『NO NUKES voice』は正直に申し上げればいまだに赤字である。これは困る。なぜなら東京電力が表明している福島第一原発事故の廃炉工程ですら、50年以上を予定しているからだ。われわれは、少なくともあと半世紀は『NO NUKES voice』を刊行し続けなければならない。残念ながら目の前の事実がそう要請している。
読者の皆さん! 創業50年を迎えた鹿砦社は、原発の完全廃絶を目指して全力で今後も力の限り『NO NUKES voice』を発行し続けることを宣言する。しかし、そこには圧倒的な支持の広がり(読者増加)が不可欠である。ともに反原発を闘う皆さんの武器として、来る2020年は『NO NUKES voice』購読者の倍増を実現したい。われわれは営利を求めるものではない。収支の安定なしに雑誌の継続が困難であるから、そして本誌はさらに広範な皆さんに読まれるべき価値を有すると確信するからである。さらなる飛躍の年へ! みなさんの支持とご協力もお願いいたします。
▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。
『NO NUKES voice』Vol.22 新年総力特集 2020年〈原発なき社会〉を求めて
『NO NUKES voice』Vol.22
紙の爆弾2020年1月号増刊
2019年12月11日発行
定価680円(本体618円+税)A5判/132ページ
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新年総力特集 2020年〈原発なき社会〉を求めて
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