選挙ポスター規制法成立、NHKではなく日本のデモクラシーをぶっ壊す立花孝志さん さとうしゅういち

3月26日、公職選挙法改正案=選挙ポスター規制法案が賛成多数(反対はれいわ新選組とNHK党のみ)成立しました。この法案は「品位を損なう内容を記載してはならない」とする品位保持規定を新設し、特定商品などの営業を記載した場合は100万円以下の罰金とする、としています。

とりあえず、ポスター規制法で今夏の都議選や参院選の様子を見て、いわゆる「二馬力選挙」(後述)やSNS規制などについても議論していくことになります。

◆東京と兵庫の知事選挙で〈暴走〉する立花さん

この法案は、言うまでもなくNHK党党首で元参院議員の立花孝志さんによる東京都知事選挙2024や兵庫県知事選挙2024での「暴走」が背景にあります。

東京都知事選挙では、立花孝志さん率いるNHK党は有力女性格闘家らに対してポスターの掲示枠を「販売」したり、元同志の誹謗中傷とみられる内容をポスターに掲載したりしました。

また、兵庫県知事選挙2024では、立花さんが県議会の不信任決議で失職した斎藤元彦・兵庫県知事を援護すると称して立候補(いわゆる二馬力選挙)。2024年3月に斎藤知事によるパワハラなどを内部告発した後、7月に渡瀬元県民局長を誹謗中傷する内容の選挙ポスターを公営掲示板に掲示しました。

広島瀬戸内新聞関西支局の鈴木記者撮影

さらに立花さんは、兵庫県議会の百条委員会の奥谷委員長や丸尾牧議員、竹内英明議員らをSNS上で攻撃。これに影響された人々がこうした議員を誹謗中傷する投稿をしたり、奥谷委員長の自宅前に押し掛けたりしました。

その後、竹内議員が誹謗中傷に耐えかねて議員を辞職しても、立花さんらによる攻撃は続き、2025年1月18日に竹内さんは亡くなりました。そうすると、立花さんは「竹内元議員は逮捕予定だったことを苦に自死した」などとSNS上で発言。村井兵庫県県警本部長は県議会で「竹内議員を被疑者として事情聴取する予定もなければましてや逮捕の予定などもない」と立花さんの発言を否定する異例の事態となりました。

立花さんはその後も、泉大津市長選挙や千葉県知事選挙2025にも立候補。千葉県知事候補なのに兵庫県で兵庫のことを演説したり、財務省前で演説したり、暴走を続けています。こうした中で、立花さんが襲撃される事件も発生しました。
 
◆規制を支持する世論は理解できるが……

立花さんのこれだけの〈暴走〉を見ると、規制やむなしと言う世論は理解できます。

筆者も実は、竹内元議員とは2003年夏に名刺交換をさせていただいています。当時、姫路市議だった竹内さんが、筆者が参加する環境団体の勉強会に参加された際のことです。

瀬戸内海の環境問題についての講義を熱心に聴いておられる様子が、印象に残っています。竹内さんは立憲民主党系会派の方、筆者はどちらかと言えば立憲民主党は好きではない人間ですが、それでも、筆者は竹内さんについては、個人的にはリスペクしています。そんな真面目な竹内さんを追い込んだ立花さんやその支持者の皆さんによる誹謗中傷は許せないという思いは少なくとも広島県内では誰よりも強いと思っています。こういうことを防ぐための手立ては必要だという思いは強くあります。
 
◆規制強化には忸怩たる思い

ただ、国政選挙も含めて立候補経験のある筆者は、規制強化には忸怩たる思いがあります。なぜか?

2021年参院選広島における筆者とポスター

例えば、今回の規制が、今後は権力者に都合が悪い内容、例えば現職の政策への批判や対案まで誹謗中傷=品位を損なう=として規制される道も開きかねないからです。

実際、筆者は、普通に街頭演説で政策を訴えただけなのに「現職の先生に文句があるのか?!」などと、有権者にすごまれたこともあります。普通に政策を訴えることも、誹謗中傷と同じだと受け止めてしまう人もおられるし、そういう人が、権力側から権力に批判的な政治家を潰すために、ポスター規制法や、今後出て来るであろうSNS規制法案なども悪用するのではないか?と危惧しています。

◆治安維持法とセットだった公選法

そもそも日本の公選法は1925年、ちょうど100年前に男性普通選挙導入時に戦前の治安維持法とセットで出来たものです。おおざっぱに申し上げれば、高すぎる供託金制度やその難解さも含め、「庶民がえらい人に刃向かえない」ように設計されているのです。

1945年の第二次世界大戦敗戦に伴い、治安維持法は廃止されましたが、公選法はほぼそのままになっています。

それどころか、約30年前には選挙管理委員会主催の公開討論会がなくなるなど運用が改悪さえされています。

本来は、こうした難解な公選法をむしろ簡素化して、庶民の政治参加へのハードルを下げるのが筋と言うものでしょう。例えば、供託金の引き下げは、カネがかからない政治にするためにも必須です。被選挙権年齢の引き下げは結構ですが、それなら供託金を引き下げるなどしないと、政治に若者は参加しにくいのには変わりがないでしょう。

◆規制強化を招いた立花さんの大罪

しかし、立花孝志さんの「暴走」により、「規制強化」の世論も高まってきます。今後も立花さんが暴走すればするほど、例えば、斎藤元彦・兵庫県知事のファンの方は大喜びするでしょうが、大多数の国民は、規制強化やむなし、へ向かうのではないか?

だが規制強化は、デモクラシーのいわば、自殺にもつながりかねません。

立花孝志さんや立花孝志さんの尻馬に乗ってデマを振りまいた方々の罪は誠に重いといわざるをえません

◆警察やマスコミも立花さんを甘やかすな!

これ以上、警察もマスコミも立花孝志さんに甘い顔をしてはいけない。選挙期間中であっても、例えば、立花さんが嘘の情報で警察の業務を妨害したなら躊躇せずきちんと立件すべきでしょう。「竹内元県議が逮捕予定を苦に自死」?! こんなデマを訂正したのは良いのですが、これこそ、きちんと偽計業務妨害罪で立件すべきでしょう。

警察は、かつて、鹿砦社の松岡社長の不当逮捕や関西生コン労組の不当逮捕などを繰り返してきました。それらにくらべれば「立花逮捕」は、「無量大数」倍、正当ではないでしょうか?証拠隠滅の恐れはないにせよ、東谷義和=ガーシー氏のように海外へ高飛びした先例はあります。逃亡の恐れはないとは言えない。

またマスコミも立花孝志さんや支持者の手口の問題点を臆することなく報道すべきです。

よく、立花さん=ニューメディア VS オールドメディアと言われていますが、いわゆるオールドメディアだって、立花さん=NHK党を甘やかしてきたのです。

筆者自身の経験ですが、参院選広島再選挙2021では、筆者の方がNHK党の候補より得票が多かった。にもかかわらず、某地元メディアは、選挙後の報道で、NHK党の候補の名前を先に報じたことがありました。普通は得票順なのに。無所属ですがきちんと県内で選挙活動した筆者よりも、政党要件がある政党の候補だからとそれだけでNHK党や立花さんを優遇したのです。いわゆる立花信者の方はえらくマスコミに批判的ですが、あなたがたは十分、マスコミに優遇されてきたよ、と申し上げたい。逆にマスコミの皆様は猛省してほしい。

「自民党をぶっ壊す」と言ってきた小泉純一郎さんが日本をぶっ壊したように、立花氏は日本のデモクラシーをぶっ壊しつつある。

また、たかが立花、とまだ軽視しておられる方も少なくないかもしれません。だが、立花氏の発信が斎藤陣営の「軍師」折田楓社長と相まって、大きく兵庫県知事選挙の情勢を動かしたのは間違いない。いまだに立花氏の言うことを信じ込んでいる人が、多くおられる。外国の例で言えば、ヒトラーなど最初は誰も相手にしていなかった。米国で言えばトランプさんなんて誰も相手にしていなかった。だけど、今や大統領になって連日のように世界を振り回しています。

気が付いたら取り返しのつかないような事態にならないよう、立花氏については注意を喚起する一方で、規制強化についても忸怩たる思いがあることをここに表明します。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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暴走する湯崎県政! 跡地利用はコンセプトがブレブレ!「マリーナホップ」は存続で良かった疑惑が深まる さとうしゅういち

広島県の湯崎英彦知事は、広島市内で唯一の水族館だったマリホ水族館や同じくし内唯一の観覧車を含むショッピングモール「マリーナホップ」(広島市西区観音新町地区)との県有地契約を2024年度限りで打ち切り、後継の施設を東京の自動車用品会社「トムス」に造らせようとしています。

◆波乱続いたモビリティーパーク案

そのトムスの案ですが、モビリティーパークといって、車やバイクなどの乗り物をテーマとした施設にする予定でした。ところが、この案については、当初から波乱続きです。マツダやトヨペットなど地元の大手企業がメインから引いています。なぜ、大手が引くのか?それは、「見通しが不透明」だからではないのか?

また、中国新聞社がこの問題について情報公開請求したところ、「企業秘密に当たる」などという理由で黒塗り文書が公開されるなど、不透明な湯崎県政の対応が続いてきました。

◆温浴施設に外国人富裕層ターゲットのホテル?

そして、このほど、2025年2月定例県議会において、県当局は、修正案を議会側に提示してきました。それは、モビリティーパークに加えて温浴施設、そして主には外国人富裕層をターゲットとしたホテルを加えるというものです。

しかし、冷静に考えると、西区観音新町地区から例えば原爆ドームを含む平和記念公園からは少々遠いのです。純粋に商売だけを考えれば、世界遺産である宮島や、中区の平和記念公園、あるいは広島駅周辺なら外国人富裕層向けのホテルは成り立つでしょう。それ以外の成功例で言えば、いま「時の人」となっているウクライナのゼレンスキー大統領たちがG7広島サミットで利用した南区元宇品のグランドプリンスホテル広島があります。しかし、グランドプリンスホテル広島の場合は、原生林に囲まれ、海に面した窓からの景色も極めて良好です。工業地帯だったマリーナホップ跡地とはくらべものにもなりません。

◆コンセプトがブレブレ

そもそも、コンセプトが異なる色々なものをぶち込んでも、上手くいかない。車やバイクに興味が薄い層も取り込む、というが、逆に、ピンボケしかねないのではないでしょうか? 近年では商売でも選挙でも、良いか悪いかは別にして「ハッキリした」会社や政党・政治家が(購入先・投票先としても就職先としても)ウケる傾向が顕著にみられます。

◆これなら、マリーナホップ存続で良かった

はっきり申し上げます。こんなことなら、マリホ水族館や観覧車を中心にマリーナホップを存続させた方が、広島県民のためには「より少なく悪い」選択肢だったのではないでしょうか? 確かに、広島市内にショッピングモールが他にも増えた中で、苦戦はしていた。しかし、マリホ水族館は、広島市内では唯一の水族館でした。観覧車も含めて、子どもと一緒に安心して遊びに行ける場所でした。筆者には子どもはいませんけれども、広島市内には意外と子ども・若者が安心して遊べる場所は少ないのです。そういうことと、子ども医療費の助成が全国と比べても遅れている。このあたり「も」人口流出の背景の一つになっているのではないでしょうか?

マリホ水族館(筆者撮影)

◆インバウンド重視の暴走は広島の水・食べ物を台無しに

今、広島県内も広島市や廿日市市を中心にインバウンドブームに沸いてはいます。廿日市市の本土側では大規模なリゾート開発工事が進んでいます。しかし、その現場から大量の土砂が流出。今年は恒例のカキ祭りが中止になるほどカキが不作でした。因果関係は不明ですが、きちんと調べる必要があるのではないか?一方、廿日市市の宮島側でも包ヶ浦自然公園に富裕層向けのホテル誘致が計画されています。そして、住民から懸念の声が亜上がっています。

※宮島包ヶ浦自然公園のホテル誘致計画を白紙撤回してください
https://voice.charity/events/2476

こうした声を無視して市は開発を推進し、県はそれを許可して良いのでしょうか?カキの養殖に悪影響が出れば、広島県が進めてきた広島食材や料理のPRも根底から崩れます。立ち止まることが必要です。

◆「東京・関東の煌びやかさ」ばかり重んじる湯崎県政の限界

湯崎英彦・広島県知事は2025年、4期16年目の最後の年を迎えています。湯崎さんは就任当初は、不十分だった情報公開などに積極的だったし、筆者も期待して湯崎さんに一票を入れました。

しかし、3選を果たされたあたりから、どうも、東京の企業とか、中央官僚とか、平川教育長ら関東の煌びやかな経歴な方ばかりを優遇する県政、地元で地道に頑張って来られている若手・中堅や企業を疎んじる県政へと暴走を加速しているように思えます。

もちろん、広島県はいわゆる封建的な風土も健在です。それも、いわゆる国政野党に顕著です(詳しくは「茶番選挙 仁義なき候補者選考」楾大樹著などご参照ください)。

こうした中で、地元で地道に頑張って来られている若手・中堅や企業は挟み撃ちにあって「面白くない」状態なのではないでしょうか?

湯崎県政をリセットし、県民に広島を取り戻し、知事から広島の水・食べ物を守る庶民革命。11月に県知事選挙が予定されている今年こそ、正念場です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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資金ショートに止まらぬスタッフ流出! 広島エキキタ巨大「湯崎病院」は砂上の楼閣! 筆者に関係者から公益通報も! さとうしゅういち

◆「全国トップレベル」「若手医師を集める」……美辞麗句を並べ立てる湯崎英彦知事

広島県の湯崎英彦知事は、「県立広島病院」(いわゆる県病院)、「JR広島病院」(2025年度から「県立二葉の里病院」に改称)、「中電病院」並びに「広島がん高精度放射線治療センター」の4病院を統合し、広島市東区の広島駅北口(エキキタ)に1000床規模の巨大病院を造ろうしています。「若手医師を集める、トップレベルの医療を提供する、断らない救急、中山間地域へ医師を派遣する、小児救急を充実させる」など美辞麗句を並べています。

◆早くも25億円の資金ショートで議会でも炎上

2025年度からは、その前段階として県病院とJR広島病院改め県立二葉の里病院、そして県立安芸津病院を運営する「地方独立行政法人」を発足させようとしています。総事業費は総務省が管轄する特別地方交付税や消費税を財源とする厚労省の補助金などを財源に1300-1400億円。病院の統廃合事業としても破格の予算規模です。ところが、昨今の建築費の高騰などで、事業費が大幅に上振れし、新病院の規模の縮小が必至となっています。さらに、その地方独立行政法人の資金不足が発覚。県が25億円を貸し付けなければいけない状況になっています。

県議会でも〈炎上〉しています。知事と距離のある保守系会派は、「しょっぱなから運転資金が足らないような事業はやるべきではないというのが最初にある。『面積が変わるんですか?』『さぁ……』『駐車場はいくらかかるんですか?』『さぁ……』って財政的にも要件的にも何も決まっていない」(東広島市・井原修議員)とバッサリ。知事に近い自民党系会派の議員からも「本当にこのまま計画通りに進めても大丈夫なのか?」(佐伯区・宮崎康則議員)という疑問が呈される始末です。

◆最近まで県立広島病院で勤務していた関係者から「公益通報」

こうした中、広島瀬戸内新聞は2月26日までに「最近まで県立広島病院で勤務していた関係者」(県立広島病院の将来を考える会 様)からこの問題についての「公益通報」を匿名の文書でいただきました。

「県立広島病院の職員の大部分は移転に断固反対しています。しかし関係者が内部から声を上げることは難しく、関係者各位のお力をお借りしたいと考え、投稿する次第です。匿名である点はご容赦ください。」

県立広島病院で勤務していた関係者からの「公益通報」の一部

広島瀬戸内新聞では、今回頂いた文書については、公益通報者保護法上の行政機関以外の外部への通報、いわゆる3号通報として取り扱っております。湯崎英彦知事らが犯人探しなどをした場合は同法違反となります。

文書では問題点についてA4ページ8枚と別紙の資料12ページにわたって取り上げています。本紙では「県病院潰し」「巨大病院への集約」構想の問題を指摘してきましたが、今回、改めて内部の声が明らかになりました。

この「文書」の方も「新病院移転構想が始まったときから計画の意義に対して疑念を抱いてきましたが、それでも現状より広くて充実した設備ができるのであればと受け入れてきました。」という立場だったそうです。ところが、ここへきて、建築資材高騰の影響で、予算大幅オーバーとなり、その影響で「建設図面素案を見ると、その内容はかなり厳しいと言わざるを得ず、なんのための移転かわからなくなってきました。」ということです。

以下、公益通報文書(文書、と略します)に沿って、巨大病院計画の問題点を明らかにします。

◆広電比治山線大混雑! 道路渋滞も悪化!「超過密地区に大規模病院をつくる日本初めての試み」の無謀

文書は、今回の計画を「超過密地区に大規模病院をつくる日本初めての試み」と指摘。日本における1000床以上の病院はそもそも郊外化か都市部であっても周囲を広大な緑地に囲まれた敷地内に建設されている、と指摘。高層建築物が立ち並ぶ超過密地区に大規模病院を造る「湯崎病院」構想の異常さを指摘しています。

これにより、ただでさえ激しい周辺部の渋滞が悪化すること、現在宇品周辺に居住している県病院職員は、移転後は、広電宇品線を使うことになるために、同線は大混雑になること。周辺道路も渋滞の悪化で救急車のアクセスは悪く、高層ビルと山に挟まれてドクターヘリも近づきにくいことなどを指摘しています。

◆予算高騰→規模縮小でスタッフも患者も窮屈な病院

そして、文書は予算高騰により「病院規模縮小による諸問題が発生する」と指摘。当初の計画は地下1F、地上16Fだったのが地上14Fのみになり、「診察スペースは非常に狭い」「内科・外科の診察室の総数は今の県病院より少ない」「外来の2フロアをつなぐエスカレーターがなくなる」「待合室の椅子も驚異的に少ない」「憩いの場となるようなスペースやレストラン、喫茶店などはない」ことを告発。

医局の部屋も非常に少なく、先生の個人の机も確保できるかどうか微妙、ということです。職員の休憩スペースも少なく、患者も職員も踏んだり蹴ったりです。

◆「広大ふるさと枠」失敗の総括なき湯崎県政

広島では無医地区が全国ワースト2の状態が続いています。県も手をこまねいているわけではなく、広大医学部では、2009年度から卒業後に知事が指定する医療機関に9年間勤務すれば、奨学金の返済が免除される「ふるさと枠」制度を導入しています。

しかし、過疎地の病院と言っても本当のへき地ではなく、三次市や庄原市、安芸高田市などの中心部の病院への赴任の場合が圧倒的に多いのです。自治医科大学と違って、総合診療医になる必要はありません。ふるさと枠で157人中総合診療医になった先生はたったの3人だそうです。

現在の施策の効果が出ていないのに、その総括もなく、今度は巨大病院。文書は「現在までのふるさと枠運用にも関わらず、中山間地域に医師が不足し、無医村地区全国ワースト2位の記録を更新し続けている理由について、税金を払わされてきた県民に説明するのが先ではないでしょうか?」と指摘していますが、全く同感です。

◆画餅の「トップレベルの医療」「断らない救急」

巨大病院が掲げる「トップレベルの医療」については、統合される4病院の中に「全国トップレベルと言える医師は私の知る範囲では数えるほどしかいません」「かといってトップレベルの医師を招聘するような動きは全くなく、広島大学の関連病院のひとつとしか機能しないことは確実です」と指摘。

「断らない救急」についても、これを掲げている神戸市民病院がブラック職場として有名だと、指摘。

県病院でも、「夜間受診する患者の一部はクレーマーあるいはモンスターが多く、暴言暴力も横行していることから、常時、警備員が診察室内に配備されているような状況」で今でさえ疲弊している現場がさらに疲弊し、さらには職員の離職につながる、と指摘しています。

◆旧設備の更新はままならぬ一方JR広島病院など新しい建物を壊そうとする不可解さ

当初の巨大病院計画案では、2016年1月に新築したばかりのJR広島病院を壊して駐車場に使用としていました。ただし、これは、最初にご紹介した建築資材費の高騰を受けて、病院施設として存続させる方向も検討されています。このほかにも県病院内には2004年新築の緩和ケア支援センターが独立した棟であります。

また、県病院にはハイブリッド手術室も着工中ですが、数年後には取り壊すのでしょうか?

「その一方で、古い設備の更新は、予算がないから、という理由で拒否される状況が長年続いています。」と文書は批判します。特に内視鏡部門に関してはその傾向が顕著であり「一世代以上前の内視鏡で検査させられている場合も多く、機械は破損するまで更新してもらえ」ない、酷い状況だそうです。

「未来の全国トップレベルを目指すより、現在の全国標準レベルを目指すべきではないでしょうか?新病院建築に必要な予算のせめて1000分の1でいいので既存の古い設備の更新に予算を回していただきたい」と文書は訴えています。

JR広島病院(2025年度から「県立二葉の里病院」に改称)

◆研修医に独身寮なし! 若手医師が集まるの?!

湯崎知事は「全国から若手医師を引き寄せる」と言っておられます。だが、福利厚生の面でも、研修医に普通なら用意される独身寮もない、ということ。現在の県病院は、近くに駐車場込みで家賃1万2000円の官舎があります。

しかし、新病院に移行後は、自己責任で住宅を用意させるため、人が集まるかどうか?も怪しいのです。

◆独法化で職員動揺!「巨大病院」どころかスタッフ流出!

文書では独立行政法人への移行で、スタッフが辞めていく問題も指摘されています。

「現在の勤務環境は非常に過酷ですが、定年まで頑張って働けば、と言う思いで頑張ってきたスタッフ」が多かったのに「2025年度から独立行政法人に移行することで公務員としての身分保障がなくなることになり、多くの職員は動揺」しているそうです。

公務員宿舎から数年以内の退去を求められる、移転で満員電車通勤になるなどの不安が鬱積。「スタッフの離職は既に始まっており、病床数が維持できず2025年2月から一病棟を閉鎖しました」とのことで「新病院発足時には極端なスタッフ不足に陥っている可能性があります」と警鐘を鳴らします。

◆「現在地で改築・高層化」が無難

その上で、この方は代替案として、南区宇品の現在地の県病院のうち、1981年の新耐震基準以前の建物(東棟と南棟、北棟)を改築し、JR病院や中電病院の急性機能を移転すれば良いのではないか?と提案しています。

東棟、南棟はまとめて新病棟に。管理棟を高層化し、北棟の機能を集約。北棟を立駐に変更することを文書では提案しています。

確かに、広島市宇品の現在の県病院の位置なら、島しょ部からもアクセスは維持できますし、交通渋滞の心配もありません。

湯崎知事は、現在地は津波の心配があるとして、現在地での県病院の建て替えをかたくなに拒否してきました。一方でエキキタのすぐ北側に迫る二葉山は、豪雨時だけでなく、巨大地震の時も含めた土砂災害のリスクも大きいのです。文書でも「尾長天満宮には埋もれた鳥居があるなど、過去に土石流があった形跡が残って」いるのです。

もちろん、現在地でもどうせ、老朽化に伴い建て替えが必要です。それでも、新病院にすることによる問題点は避けられます。

◆それでも新病院にこだわるなら「湯崎退場」一択だ!

湯崎英彦知事! これでもあなたは、新病院にこだわるのですか? このままでは、新病院どころではありませんよ?

そもそも、県立広島病院=県病院は国の統廃合計画でさえも対象外。それなのに、貴方の功名心で、それこそ、角を矯めて牛を殺すことになりかねません。

「多額の税金が投入される以上、それを支払っている県民の方々は、きたるべき未来を知る権利があるのではないか」と文書は指摘します。その指摘に応えられないのであれば、知事は今すぐお辞めになるべきです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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なんじゃこりゃ?! トランプ2.0政権のウクライナ・ガザ「和平」……「米露権威主義の枢軸」vs「市民発・法の支配」の時代へ! さとうしゅういち

米国のトランプ大統領は、2025年1月20日に就任すると、(ある程度就任前から予告していた)とはいえ、世界を震撼させる外交方針を打ち出しました。

◆火事場泥棒にも程がある! トランプ大統領

一つは、ガザ停戦。米国がガザを所有し、巨大リゾート開発を行う、という、奇想天外なものです。これが火事場泥棒と言わずしてなんというのか? そして、〈ハマス壊滅〉でイスラエルは徹底的に支援するという点は、バイデンと変わりはありません。これでは和平など夢のまた夢でしょう。

二つ目は、ロシア・ウクライナ戦争の終戦です。トランプ大統領はICCから国際指名手配中でもあるロシアのプーチン大統領と電話会談。終戦への協議を開始しました。これについては、選挙公約通りです。ただし、終戦のやり方が問題です。

筆者は、今回の戦争で、先に手を出したロシアが悪いと考えています。他方で、ロシアが侵攻する前のドンパス戦争については、ウクライナ側にも一定の問題がありました。100%ロシアが悪いわけでもなく、また、平和記念式典に広島市長がロシアを招待しないのはおかしいと考えています。

とはいえ、今回のトランプ大統領による和平案は明らかにおかしい。仲介者でありながら、最初からウクライナに領土をあきらめるように迫っています。さらには、レアアースなどの天然資源を米国にいわば「献上」するように求めています。

三つ目には、ロシアのプーチン大統領や、ガザにおける大虐殺でイスラエル首相のネタニヤフ被疑者に逮捕状を出していたICC(国際刑事裁判所)=赤根智子所長に対して、トランプ政権は制裁を科しました。

ガザにせよ、ウクライナにせよ、火事場泥棒と言う言葉がトランプ大統領には良く当てはまります。こんなことを放置しておけば、そのうち「尖閣、竹島、北方領土は米国が所有」とでも言いだしかねません。

◆「米国自身が戦争」から「ブローカー」へ

米国自身が戦争をするスタイルの帝国主義はおそらく、2021年8月15日、アフガニスタンからバイデンが撤退したことで、実は終わったとみられます。ウクライナにしても、バイデン政権は武器を送るだけでした。 

もちろん、核保有国であるロシアとの直接対決を避けたかったことはありますが、それだけではない。米国自身にもう、余裕がないのです。そこで、企業でいうと総会屋みたいな感じで紛争の仲介でぼろ儲け。そういうビジネスモデルの転換があるのではないでしょうか?

◆第二次世界大戦以降のダブスタ国家からダークサイドで筋通すトランプへ?!

第二次世界大戦以降、バイデンまでの米国、特に民主党政権や共和党でもジョージ・ブッシュらネオコンは、人権や民主主義を「錦の御旗」に掲げつつ、自分たちの都合の悪いことには口をつぐむ。そういう意味では偽善的であり、ダブスタなところもありました。

第二次世界大戦までは、米国はいわゆるモンロー主義が強く、第一次世界大戦でも、自分たちが大きな被害を受けてから参戦するくらいでした。第二次世界大戦が開始されるまでもその空気は強かった。だが、日本軍の真珠湾攻撃がある意味それを変えてしまった。

第二次世界大戦では米国は「民主主義とファシズムの戦いだ!」と言いながら、当時の戦時国際法に反するような民間人爆撃、広島・長崎への原爆投下を行ったのは米国、それも民主党政権でした。

冷戦期には、ソビエトを悪に見立て、民主主義の守護者を自称しつつ、ベトナム戦争などで蛮行を繰り返してきました。あるいは、イランの民主政権をクーデターで倒し、皇帝独裁を復活させるなど、ご都合主義的な面も目立ちました。それでも、「人権」「民主主義」は米国の点前でした。

そして、1989年に冷戦が崩壊すると、しばらくは米国の「一人勝ち」状態になった。1990年代は国連のお墨付き付きで、ブッシュジュニア政権以降は「有志連合」方式で、「米国の気に食わない政府は武力で倒して民主化する」方向で暴走。オバマ政権も実は、これを継承していました。オバマが広島に来た時「死が舞い降りてきた」などと他人事のような演説をしていましたが、オバマとはそもそもそういう人です。期待する方が間違いです。

バイデン政権は、ロシア・ウクライナ戦争では、ロシア非難、ウクライナ支援。一方で、パレスチナ問題についてはネタニヤフによるパレスチナ侵略や虐殺を支持し、パレスチナ支持の学生運動を弾圧しました。これがダブスタと言わずなんというのでしょうか? 他方で、トランプ政権1.0を受け継いで、アフガンから撤退する、保護貿易を進める、前後のトランプ政権との連続性も見受けられます。むしろ、このころには米欧日vs中露の新冷戦と言われる時代に突入したかに見えました。

しかし、2025年発足のトランプ2.0政権は、ロシアーウクライナ戦争で、ウクライナに領土放棄や天然資源の献上を迫っています。一方で、パレスチナ問題では、米国がガザを所有という、パレスチナ人を人とも思わない態度はバイデンから受け継いでいるとも言えます。ある意味、悪い意味で筋が通るようになったとも言えます。

◆〈法の支配〉では筋通すICC

ICCは、プーチンとネタニヤフ、両方に逮捕状を出しています。従って、プーチンを支持する一部日本の左翼の方々、ネタニヤフ被疑者を支持する日本の右派の方々両方から評判が悪い。

しかし、新冷戦における東側=ロシア、西側のイスラエル双方の戦争責任を問うているわけで、極めて公平です。ただ、それは、実はプーチン、ネタニヤフ両方と仲がいいトランプにとっては、不都合であり、今回の制裁になったのです。

◆米露権威主義の枢軸で戸惑う日本政府

日本政府は、バイデンまでの米国が建前「法の支配」を主張しており、その尻馬に乗る形で、「自由で開かれたインド太平洋」とか「法の支配」「力による現状変更を許さない」とオウム返しで言ってきただけではないか? 〈法の支配〉の大切さを本当に理解していたわけではないでしょう。

しかし、冷静に考えると、日本も軍拡では中国に対抗し続けるのは土台無理です。〈法の支配〉しかないのです。ネタニヤフもプーチンも、逮捕状が出たことで、外交に制約がかかり、だいぶ堪えています。習近平主席だって、それを見たら、うかつなことは控えるでしょう。

日本は、ICCの赤根所長を守っていくべきです。ただ、トランプによるICC制裁に反対する独仏英などの声明に日本政府は参加しませんでした。情けない。もちろん、イギリスにはパレスチナ問題の原因として、ドイツには、いままでさんざん、イスラエルを支持してきたことの反省は求めたいですが。かくなるうえは、市民や広島市などの平和行政のレベルで、ICCの姿勢を支持することを呼びかけます。

◆ゼレンスキーはパレスチナに謝罪し、共同して〈米露権威主義の枢軸〉に当たれ!

さて、ウクライナのゼレンスキー大統領は2023年10月7日のハマス政権によるイスラエルへの〈攻撃〉(恒常的に続いてきたネタニヤフ被疑者による侵略・虐殺への報復)を受けて、ネタニヤフ被疑者を全面支持してしまいました。

しかし、これを契機に、ゼレンスキー氏は、インド(パキスタンと険悪な関係で、反イスラム色が強い)以外のグローバルサウスからドン引きされてしまい、旗色が悪くなったのです。もはや、トランプになって米国はウクライナのはしごを外しました。

また、ネタニヤフ被疑者率いるイスラエルはロシア制裁に加わらないほぼ唯一の西側国家です。ゼレンスキー氏は潔くネタニヤフ被疑者支持が誤りであったことを認め、パレスチナに謝罪されたらどうでしょうか? その上で〈米国によるガザ所有にもウクライナ領土のロシアへの割譲および、トランプの火事場泥棒的なウクライナ天然資源巻き上げに断固反対する〉共同声明を出し、世界中の市民、グローバルサウスやEU諸国、あるいは日本や中国などに支持を呼び掛けるのです。

もはや、ゼレンスキーがロシアとまともに武力で闘っても勝てません。消耗戦なら人口が多いロシアが有利に決まっている。それを直視した上で、各国政府だけでなく、市民レベルでの国際政治での多数派工作に徹し、米ロとイスラエルの〈権威主義の枢軸〉に対抗すべきだ。この場合、中国も米露側においやらない柔軟さが求められます。

◆日本・広島は〈法の支配〉軸に横の連携で〈米露権威主義の枢軸〉けん制を

また、日本も他人事ではない。それこそ、トランプが〈尖閣・竹島・北方領土を所有〉などと言いだしたらどうするのか?そうさせないためにも、裏で良いのでウクライナとパレスチナの首脳会談をセットするなどしても良いでしょう。官房機密費とはこういう時のためにあるもので、自民候補の選挙費用ではないのです。

米欧日vs露中の〈新冷戦〉から 米露中の権威主義の枢軸vs市民が進める法の支配へ、対立軸は変化しています。大国間の戦争は起きづらくなるが、大国政府の談合で市民が犠牲になりやすい時代にもなりかねない。

日本政府は、核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加をしない、と2月18日決めました。しかし、再考願いたい。岩屋外相の発言を意訳すると米国が核兵器の先制使用をしてくれることも日本政府は当てにしているから、というのが不参加の理屈です。だが、そうなると、ロシアの核威嚇も否定できなくなる。そして、いまや、米露が談合して、ロシアによる核威嚇も不問に付している。そういう状況の下で、過度な米国忖度は無意味です。

こうした中、広島はどう対応すべきか? まず、平和首長会議など横の連携重視に徹するべきです。オバマやバイデン相手の米国忖度路線は通用しません。核兵器禁止条約批准国や平和首長会議加入自治体と広島はスクラムを組み、核兵器保有国の首脳を突き上げていく。それしかないのではないでしょうか?

原爆ドーム前でのネタニヤフ被疑者による侵略・虐殺への抗議行動。毎日18時頃から有志が今も粘り強くたち続けています(2月13日筆者撮影)

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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平和記念式典の過剰警備・過剰規制に弁護士会も抗議! 広島市は「全人類と追悼・核廃絶共有」の原点に立ち還れ! さとうしゅういち

2024年8月6日。広島の平和記念式典はまさに過剰警備・過剰規制でした。原爆ドーム前には「関所」ができ、平和公園を囲むように「城壁」ができていました。まるで三国志のゲームか何かの中のような錯覚さえ覚えました。「関所」での持ち物検査ではビラやプラカードを鞄の中に持っているだけで、入場拒否。また、そもそも持ち物検査にも法的根拠はないのですが、それを断ったために、平和公園内で開催される慰霊行事に参加できない人も出る始末でした。

当日、式典に参加した筆者も原爆ドーム前の「関所」(写真)では、年配の女性警備員が「これは何ですか?」とビラやプラカードについて質問されました。筆者は「これは、ただの紙です。ここでは。」と押し通しました。何度か同じ問答を繰り返しましたが「これはただの紙です。ここでは。」でなんとか、「検問」を突破したのを今でも鮮明に覚えています。さらに、平和記念公園内の式典会場の前にも設けられた「関所」では今度は金属検査をされました。

原爆ドーム前の「関所」(写真、式典前日に筆者撮影)

ただ、こうした過剰規制・過剰警備については、8.6以前の市議会で自民から共産に至るまで、ほとんどの議員が賛成した決議で後押してしまったのです。社民党の一人と無所属の一人、いずれも女性の方が決議に反対をしています。また、国民民主党所属の議員も退席をしています。そうしたことを背景に松井一實・広島市長は嵩にかかって過剰規制をしたと言えるでしょう。

これに対して広島弁護士会が過剰規制に反対する声明を2025年1月31日、出しました。

◎広島平和記念式典の規制強化に反対する会長声明https://www.hiroben.or.jp/iken_post/3595/
                    
「こうした規制に対して、私物の検査に応じず、かつ、広島市が許容しない物品を所持したままでは、広島平和記念公園内で慰霊の祈りを行うことができないとする本規制は、信教の自由に対する制約の程度として、必要最小限のものということはできない。

信教の自由は、個人の尊厳に密接に関連する精神的自由権であることから、上記表現の自由への制限と同様、その合憲性は厳格に審査されなければならない。そのため、「参列者の安全確保のため」という目的だけで、何ら法的根拠なく、本規制を行うことは正当化されない。

よって、広島市が行った本規制は、憲法20条に反し、市民の信教の自由を侵害するものとして許されない。」

と声明は指摘しています。

まったくその通りです。確かに、原爆ドーム前で、いわゆる新左翼系と言われる市民団体の演説などが「うるさい」と感じる市民が多かったのは事実です。ただ、2024年8月6日行われた規制は、持ち込み禁止の対象にマイク以外のものもなっていました。どう見てもやりすぎでしょう。

◆憲法擁護・尊重が欠落した広島市役所の体質も反映?

筆者は以前、広島市の職員が新規採用される際の宣誓文書に「日本国憲法を擁護・尊重」するという文言がないことを指摘しました。松井一實市長だけでなく、広島市役所内の憲法軽視の体質も過剰規制の背景にはあるのではないでしょうか?

◆G7広島サミット以来の米国忖度と連動

さて、この過剰警備は、広島市が2023年のG7広島サミットの開催が決定して以降、米国や日本以外のG7(旧白人帝国主義諸国)に過剰な忖度をしていることとも連動しているように思えます。

広島市は2023年のG7広島サミットを前に平和教育の教材からはだしのゲンや第五福竜丸を削除。サミット後には、パールハーバーと姉妹協定をエマニュエル駐日大使との間に議会の事前審議もなしに締結しています。

また、2022年の平和記念式典からは、ウクライナ侵攻の当事者であるロシアと同盟国のベラルーシを呼ばない対応をしています。他方で、2024年の平和記念式典にはイスラエルは招待する一方で、パレスチナは招待しないというどうみてもG7忖度の対応をしています。

◆トランプ2.0で米国も変質 忖度の意味なし

地球上の全人類と原爆犠牲者追悼・核廃絶・世界恒久平和を共有する意味からは、全ての国と地域の代表を呼ぶべきではないでしょうか?

確かに、ロシアの核威嚇発言は許しがたい。だが一方で、広島市に原爆を投下したのに反省も謝罪もない米国政府も招待されているのですよ?あくまで、平和「行政」なのだから、全ての国と地域とともに、原爆死没者追悼・核廃絶・世界恒久平和の思いを共有する、の原則に戻れば良いのではないでしょうか?

米国はトランプ政権下で良いか悪いかは別にして根本的に変わりつつあります。イスラエル首相のネタニヤフ被疑者との首脳会談後の記者会見でトランプは、ガザを米国所有するなどと言う発言をして世界を仰天させました。民主党政権下では、法による支配の守護者のふりをしてあくどいことをしていた感のある米国政府ですが、もはや、法による支配の守護者のふりさえしない。「国徳」が暴落しようがかまわない、と言う姿勢になっています。

そうした、米国に忖度し続けても広島にとってもなにも良いことはありません。そして、トランプ2.0の背景にある「西洋の時代」と言う数百年単位での大きな波の終焉傾向=「西洋の没落」は変わらない。

こうした情勢にも鑑み、広島市は規制の在り方、招待の在り方両面で平和記念式典の在り方を原理原則に還って、また公務員全員が仕事をする上で守るべき日本国憲法の精神に戻って見直すべき時に来ています。

特定の国忖度ではなく全人類と原爆犠牲者追悼・そして核廃絶の思いを共有する原点に還り、Make Hiroshima Great Again! こそ、求められるのではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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ああ無情!「仁義なき候補者選考」で立憲民主党の宮口参院議員が離党に追い込まれる さとうしゅういち

◆宮口議員、立憲から事実上「お払い箱」

筆者が立候補した2021年4月執行の参院選広島再選挙(河井案里さんの当選無効に伴う)で当選した立憲民主党の宮口治子参院議員が2025年1月20日、離党届を提出しました。ご本人の記者会見などによると立憲民主党に「残っても居場所がない」状態だったということです。

2021年参院選広島再選挙では、立憲民主党は2020年の段階で『檻の中のライオン』で有名な弁護士の楾大樹(はんどう たいき)先生を候補者として内定していました。ところが、同年秋に立憲民主党が旧国民民主党と合併し、森本しんじ参院議員が合流したことで雲行きが怪しくなります。

結局、森本しんじ参院議員の秘書・福田玄さん(2025年衆院選において、国民民主党から立候補し、比例中国ブロックで当選)の妻の宮口治子さんに候補者は差し替えられ、楾大樹先生ははしごを外されることになります。

楾先生がはしごを外された経過については、楾先生の著書『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)をご参照ください。

さて、宮口さんは、立憲民主党や国民民主党、共産党などの推薦・支援も得て、自民党の公認候補や筆者らを破って見事に当選されます。だが、広島県選挙区は改選数は2。立憲民主党で2025年参院選改選分の議席を独占することになります。

このままでは、立憲民主党の票が割れれば、共倒れの危険もある。そう判断した同党は2024年12月、宮口議員を下ろして、森本しんじ参院議員に候補を一本化することになりました。宮口議員の今後の処遇については、県連がなんとかする、はずでした。

しかし、宮口議員が記者会見したところでは「代案はなかった」ということで、立憲民主党に残っても比例代表や他選挙区への国替えも含めて選挙に出られない状況に追い込まれたのです。楾先生のはしごを外した立憲民主党が、今度は宮口議員を使い捨てにしたのです。だが、筆者にはこの結果は予想できました。

◆「宮口さんは具体的に政策が分かる人ではないから」と立憲広島

なんどか、ご紹介していますが、重要なことなので繰り返します。2021年4月上旬の前半。すでに再選挙の告示が迫っている時期でした。

筆者は、広島3区市民連合幹部から「どうか、宮口さんとの一本化をしてほしい」と要請を頂いていました。ただ、政策も何もなしに一本化では、これは、自民党を批判できなくなる。そう考え、宮口さんサイドに話し合いをお願いするメールをお送りしました。具体的には「伊方原発の即時廃炉を含む原発ゼロ」でわたしが降りて宮口さんを支援するということを考えていたのです。

そうした趣旨で筆者が宮口さんにメールに対して、宮口陣営幹部だった立憲広島の地方議員にお電話をいただきました。それは「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」です。

宮口さんは政策が分かるか人かどうか? 実際のところは本人ではないからわかりません。問題は、そういう認識で当時の立憲広島が宮口さんを楾大樹先生のはしごを外してまで擁立したことです。なお、当時は、筆者は楾先生が候補者に実は内定していたのにはしごを外された、と言う話はうかがっていませんでした。

「ダメだこりゃ。立憲民主党」と筆者は判断し、予定通り立候補し、20848票をいただきました。

もう一度申し上げます。宮口さんに対して「具体的に政策が分かる人ではないから」という認識で選挙をしていた立憲民主党さん。楾大樹先生に対しても失礼ですし、宮口さんに対しても失礼です。

2024年12月に森本真治議員で一本化することが決まった後、そうはいっても何らかの形で宮口さんの処遇を党が考えるとの期待をご本人も持っておられたようなSNS投稿はされていました。

宮口さんの支持者の中にもそれを期待する向きもありました。しかし、立憲広島の幹部の本音が、「宮口さんは具体的に政策が分かる人ではないから」である以上、宮口さんに居場所がなくなるのは時間の問題でした。

女性を軽視するにもほどがあります。広島県出身の石丸伸二さん(前安芸高田市長)が東京で「政策はない」新党を結成し、多くの人から失笑を買いました。筆者も石丸さんは支持しませんが、しかし、「具体的に政策が分かる人ではない」と認識している人を担いできた立憲広島にも石丸さんを批判する資格はありません。

◆「金権腐敗」と並ぶ広島政治のもうひとつの闇「古い政治文化」を一掃しよう!


筆者は、2021年2月から3月にかけ、何度も、各野党に統一候補へ向けて公開討論会を開くよう求めました。しかし、全く、それはされなかったことは、痛恨の極みです。なるほど、当時の立憲幹部の皆様にとり、河井事件糾弾という目的のためなら、政策はどうでもよかったのかもしれない。しかし、そのつけがいま噴出しているのではないでしょうか?

公正で透明な候補者選考は、今後も求められます。これが立憲民主党内部でも、野党共闘においてもすべきではないでしょうか? 予備選挙とまでいわずとも公開討論会は開くべきではないのか?

筆者は「金権腐敗政治」と並ぶ広島の政治のもう一つの闇=「古い政治文化」を一掃し、政策議論や政治家の政治姿勢を重視する政治・選挙の在り方にリニューアルしなければならないと改めて再確認しました。

■[資料]参院選2019・再選挙2021・参院選2025関連年表

《2019年》
 7月 参院選広島=改選数2。河井案里さんが当選。

《2020年》
 6月18日 河井案里さんと夫の克行さんが公選法違反・買収容疑で逮捕される。
 本社社主・さとうしゅういち、各地での街頭演説で補選の場合の立候補を表明。


《2021年》
 2月3日 河井案里さんが議員辞職表明(法的には当選無効に)
 2月4日 本社社主・さとうしゅういち、野党各党の県連などを訪問し、推薦願を提出 各野党に公開討論会の開催など求める。
 3月10日 本社社主・さとうしゅういちが記者会見で立候補表明 「広島の政治をリニューアル」
 3月14日 宮口氏が立候補表明。本社社主、あらためて、宮口氏を含む各候補に公開討論会呼びかけも実現せず。
 4月上旬 市民連合幹部から野党系候補者一本化への要請をいただく。それを受け、立憲系無所属(当時)宮口氏陣営にメール。伊方原発廃炉含む原発ゼロでの一本化を申し出るが、宮口陣営幹部の立憲県議は「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」と電話で返答。その女性蔑視ぶりにあきれる。一本化を断念する。
 4月8日 参院選広島再選挙告示 
 4月25日 投開票。本社社主・さとうしゅういちは、20848票を獲得。

《2023年》
 4月 本社社主・広島県議選に立候補。楾大樹先生も応援に駆けつけてくださる。
 立憲民主党から楾先生が声を掛けられていたのに、はしごを外されていたことを知る。 
 7月 祇園公民館で檻の中のライオン講演会
 8月 祇園のカラオケ喫茶で檻の中のライオン講演会
 12月 呉で本社主催の檻の中のライオン講演会

《2024年》
 4月 楾先生が『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)出版。
    6月から県内各地で出版記念講演会開催
 12月 立憲広島、2025参院選広島で宮口議員を公認申請せず、森本しんじ参院議員に一本化。

《2025年》
 1月20日 宮口議員が立憲民主党に離党届
 2月16日 投票率も人口流出もワーストワン!これでいいのか広島!?
 「檻の中のライオン」楾大樹先生と広島を語り合う会(開催予定)

【告知】投票率も人口流出もワーストワン!これでいいのか広島!?
「檻の中のライオン」楾大樹先生と広島を語り合う会
ところ 広島市東区牛田公民館研修室3
とき 2025年2月16日(日)13時開場 13時半開始 15時45分終了 ※オンライン併用
楾先生からのお話しの後、フリートークなど。
主催 広島瀬戸内新聞
問題提起 楾大樹(はんどう たいき)先生(弁護士、元広島県民) 
聞き手 さとうしゅういち(広島瀬戸内新聞代表)
参加費 2000円(書籍・『茶番選挙 仁義なき候補者選考』代込み)

※本書購入済みの方は会場にご持参の上、700円。オンライン参加の場合も700円。本書をご自身でご購入下さい(右のQRコードから購入できます)。また、広島都市圏内の方はなるべくリアル参加をお勧めします。オンラインはzoomです。ご連絡の上、指定口座までご送金ください。

連絡先:佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp 
 X(旧Twitter):@hiroseto

広島は平和都市として持ち上げられ、現在、広島駅前など、町並みはリニューアルが進行中です。だが、本当の意味で、広島はリニューアルされているのでしょうか?

広島県は、3年連続人口流出全国ワーストワン。特に若い人が広島から出て行かれています。そして、衆院選2024では、投票率も48.4%と全国ワーストワンを記録してしまいました。産業廃棄物への規制も緩く、三原や安佐南区をはじめ県内各地に全国からゴミが押し寄せ、大問題を引き起こしています。

為政者を「ライオン」に、憲法を「檻」にたとえ、為政者を主権者がきちんとチェックしていくことが大事という「檻の中のライオン」を著し、全国各地1100箇所以上で講演され、つい最近、広島からの転出を決意された弁護士・楾大樹先生。実は、参院選広島再選挙2021の某政党の候補者にも内定したものの、はしごを外されるという経験もされています。

24年にはその経験をレポートした『茶番選挙 仁義なき候補者選考』を出版されました。広島の政治の舞台裏を見てしまった楾大樹先生を囲み、郷土・広島が抱える課題について語り合いませんか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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広島駅北口巨大「湯崎」病院構想に暗雲 さとうしゅういち

湯崎英彦・広島県知事が広島都市圏の病院を統廃合して2030年度の開院を目指している、広島駅北口の巨大病院構想に暗雲が垂れ込めてきました。

湯崎知事は、広島市南区宇品にある県立広島病院=通称・県病院=、広島市中区にある中電病院、そして広島市東区の広島駅北口のJR広島病院及び広島県立広島がん高精度治療センター(これ自体が、湯崎英彦知事の肝いりで出来ました)の4病院を統合し、独立行政法人の巨大病院を1300~1400億円かけて開設しようとしています。

JR広島病院はまだ新しい建物になって10年も経過していないのですが、新巨大病院の立体駐車場に作り替える計画でした。ところが、このところの建築資材や工賃の高騰で、1300~1400億円とされていた事業費が「大幅に増える」見込みとなったのです。

広島駅北口にあるJR広島病院(広島市東区)

これを受けて、これまでは、このいわゆる「湯崎病院」推進一辺倒に近い論調だった地元マスコミにも変化がみられます。

統合予定JR病院 引き続き医療関連施設とする案が浮上(NHK 広島県のニュース)

解体予定のJR広島病院 整備費高騰で建物活用に変更も 広島県新病院計画

◆若い医師を引き寄せる?!

そもそも、県立広島病院=県病院は、国の公的病院の再編計画の対象外です。現状で何か問題があるわけではないのです。ただ、湯崎知事ら県幹部は、『新病院を東京や大阪と肩を並べる高度医療・人材育成の拠点とする』『最新鋭の機械で若い医師を東京などから引き寄せる』と豪語しておられます。

随分と挑戦的な取り組みです。そもそも、医師に限らず、若者の多くは広島からいったん出て行く。東京でいわば煌びやかなことも経験して、しかし、東京の悪い部分も知って、30代、40代、50代で広島に戻ってくることも多い。身近な例で恐縮ですが、筆者の父親も今年84歳になりますが60歳で東京から福山市内の実家に戻るようになり、現在は東京と広島両方で仕事を続けています。

医師とて一人の若者。若い先生方を引き留めようというのも無理があるでしょう。筆者自身は逆に、大学まで東京ど真ん中を堪能したからこそ、広島での生活が長続きしているのかもしれない、と思っています。ですので、東京や大阪と同じ土俵で競うことは自滅の道でしかないと考えています。最近の広島の問題はむしろ、中堅世代も人口流出に転じている点です。

◆地域医療の現場を支える先生方にこそ報いを

さて、事業規模を見直せば、東京の若手医師を満足させるには余計に不十分なものになるでしょう。また、最新鋭の機械にあこがれて来るような先生方と地域医療のしんどい部分をになう先生方では人物像が異なってくるでしょう。地域医療のしんどい部分を担う先生方を確保するのであれば、東京から一定程度経験を積んだ先生方にUターン、Iターンしていただきやすいような環境整備をすればよいことです。

具体的には、第一に収入のアップです。第二に、労働環境の改善です。例えば、今、ペイシェントハラスメント(患者や家族による暴言・暴行など)がようやく注目されてきてはいます。埼玉県ふじみ野市では2022年1月27日、渡辺宏被告人が「母親を生き返らせろ」などと理不尽な要求をした挙句にドクターや介護士を殺傷した事件が起きました。その事件を教訓に『ふじみ野市地域の医療と介護を守る条例』が制定されました。こうした他地域の例も参考にしながら、先生方が働きやすい環境をつくっていけばいいのです。巨大病院をつくる必然性は何処にもない。
 
◆チェックが効きにくい独立行政法人方式

もう一つの問題は、この病院の運営主体は独立行政法人であるということです。県の直営=地方公営企業法全部適用=であれば、議会のチェックが効く。逆に民間企業であれば株主のチェックが効く。ところが独立行政法人はチェックが効きにくい組織形態です。

また、県の直営であれば、大震災や大規模感染症などの非常にも対応しやすい。湯崎知事らは、独立行政法人の方が予算は弾力的に運用しやすいと主張するが、県の直営でも知事が専決処分で補正予算を組めばよいだけです。

実際に、過去の大水害やコロナなどの非常には、専決処分と言う例も各自治体ではあります。専決処分乱発はデモクラシーの観点から問題はありますが、あくまで非常時対応なら、選挙で直接選ばれている首長がかなり自由に予算を動かせます。

◆利便性が低下する島しょ部や安芸郡

また、そもそも、県病院の地元住民や県病院を利用してきた島しょ部のみなさま、あるいは、県病院を救急利用することも多い安芸郡などの住民の納得が得られているとはとてもではありませんが思えません。

一方的に、当局のエライ人がしゃべるようなセミナーは何度か開催されていますが、ガチンコの議論が地域でされたわけではない。

◆ますます栄える広島駅周辺に巨大病院、混雑は大丈夫か?

そもそも、この広島駅周辺は2025年3月の新駅ビルのオープンなどでさらに混雑が予想されます。すでに、新しい駐車場が広島駅北側に完成しています。また、『湯崎』病院に近接してプロバスケチーム『ドラゴンフライズ』本拠地構想も持ち上がっています。

現在でもカープやサンフレッチェ広島の試合時には人や車で混雑する広島駅周辺ですが、激化が予想されます。救急車は入れるのか? 通院患者は無事に到着できるのか? そもそもこんな混雑したところに巨大病院と言うのは相性が悪すぎます。

◆消費税も多額投入

また、この巨大病院構想には、地方消費税や国税の消費税を財源とする補助金が注ぎ込まれます。消費税は社会保障のために使うという建前と裏腹に、むしろ地域医療の利便性を壊しかねない構想に使われることに筆者は反対です。
 
◆兵庫県見習い、広島市各区に非常時に対応しやすい公営病院を

もちろん、もうJR西日本から予定地を購入する債務負担行為を県は起こして議会の議決も経てはいます。ただ、例えば、JR広島病院をそのまま県の直営病院にすると言う手もあります。兵庫県では阪神淡路大震災の教訓から、公的病院の再編に当たっては、再編後の病院は基本的には県立病院としています。

それこそ、JR広島病院をそのまま県立病院にしてしまうという手もある。中電病院についても同様です。例えば、能登半島大震災や阪神淡路大震災のような大震災が広島で起きる可能性は低くありません。その場合は、川の中州で構成されている広島は分断されかねないのです。各区に非常に対応しやすい公営病院があった方がよいと考えます。

◆『湯崎病院』構想は白紙から見直し、県民的議論を踏まえた医療行政を

『湯崎』病院構想は『詰み』つつある。いまこそ、白紙から見直すべきです。その上で、県は、県民的な議論を踏まえ、今後の医療の在り方をつくっていくべきです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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斎藤元彦・兵庫県知事の「SNS軍師」折田楓社長の広島県事業受託を巡る問題 さとうしゅういち

2024年11月17日執行の出直し兵庫県知事選挙。当初は劣勢を伝えられた斎藤元彦知事による「大逆転裁判」をもたらした『SNS戦略』の『軍師』を務めたのが西宮市内のPR会社、(株)merchuの折田楓社長でした。

大学教授や弁護士らが斎藤知事と折田社長を公職選挙法違反(買収)の容疑で刑事告発。兵庫県警が受理し、現在捜査中です。

さて、その折田社長ですが、広島県や広島市の広報支援事業も受託していました。この度、広島瀬戸内新聞のH記者(広島市在住)が情報公開請求を行い、広島県とmerchuの契約関連書類など一式を1月10日、入手しました。

その書類によると、折田社長は、2022年度から3年連続で、広島県の公式イスタグラムと公式Xの発信を支援視する事業を年間1,305万4,800円(消費税込み)で受託しています。

なぜか、折田社長側の印鑑は黒塗りで公開されています。ちなみに、お名前が西村楓となっているのは、戸籍上のお名前なのでしょう。

さて、問題の仕事の中身ですが、主にはInstagramでは、県民及び、広島県に興味を持つ20-40代女性を主なターゲット。Xは20-50代の県民を主なターゲットとしています。

インスタグラムが広島県の魅力を伝えるのに対して、Xについては、有事の際に緊急情報をリアルタイムで伝えられるようにする、というわけです。

ここまではわかります。ただ、この程度の内容のことが、年間1300万円かけることなのか?はなはだ疑問です。

H記者が、似たような事業を手掛ける県内の類似業者に取材したところ、『月30万円~50万円が相場』ということです。

もちろん、兵庫からわざわざ、折田社長たちに交通費をかけて写真の撮影などに来てもらえば高くつきます。しかし、それなら、最初から、県内の業者にやってもらうか、あるいは、SNS関係に詳しい若手の女性職員などに思い切って任せればよいのではないでしょうか?

湯崎英彦知事(在任2009年~)になって目立つのは、やたら、外部の煌びやかなコンサルタントなどに頼む傾向が強くなっていることです。確かに、昔の藤田雄山前知事の時代には、他都道府県の先進的なものを取り入れる姿勢もみられなかったように記憶しています。それはそれで問題でしたが、湯崎県政は湯崎県政で県庁内部や地元で地道にやってこられた人や企業にとって『面白くない』状態になっているのではないか?

その結果として、県全体の総合力が発揮できていないのではないか?

折田社長には、一年目だけお願いし、あとは若手のやる気のある女性職員にでも引き継いだらよかったのではないか? その方が、広島県庁で地域のために頑張っていこうという人にとってもやる気が出るのではないか?

筆者は、元県庁職員としてそのように考える次第です。そろそろ、広島県政の路線転換が必要だ。

筆者は、この問題について、折田社長が悪く申し上げるつもりはありません。こういう事業をさせたのは湯崎英彦知事ですから。広島県政として、あまりにも外部重視にした結果、地元人材・企業が面白くなく、人口流出にもつながっているのではないか?そのことを問うているのです。

ただ、折田社長は、2024年12月以降、マスコミとも連絡が取れていないという。広島県との委託し要所によると、毎月10日ごろに、県からSNSのアクセス状況の報告を受け、折田社長側が専門家としての見地からそれをブラッシュアップして20日ころまで回答することになっている。それができていないのです。

下手をすると、2024年12月、25年1月、2月、3月の仕事ができていない恐れがある。そうなると、返金も含めた問題の処理が必要になるのではないか?

筆者は今後ともH記者とともに、この問題について取材を続けます。また、広島県、湯崎英彦知事の県政の在り方、すなわち、県内よりも県外企業を向いたあり方を厳しく問うていきます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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2025年からはじまる世界 冷戦崩壊よりも大きく長く続く〈西洋の没落〉 G7主導の世界をどう転換させるか さとうしゅういち

21世紀も4分の1を過ぎる、2025年がやってきました。広島は被爆80周年を迎えます。世界の大きな課題は、大航海時代を契機に始まり、19世紀半ばには中印やアフリカの植民地化で定着した西洋優位の世界秩序を、破滅を回避しつつどう、転換させるか、ということではないでしょうか?人権侵害や環境破壊、その最悪の形態である内戦を含む戦争を防ぎながら転換するという難しい作業が待っているのです。

2024年末現在、正直、いわゆるG7諸国のデモクラシー=民主制が、どこも〈グダグダ〉になってきています。2024年の各国の国政選挙では与党が惨敗しました。

フランスの議会選挙ではマクロン大統領の与党が惨敗。英国では保守党が惨敗。ドイツでは政権が崩壊。日本でも自民党が歴史的な大敗。そして、最後は、米国民主党が大統領選挙、上下両院選挙で敗北しました。これら一連の流れは、健全なデモクラシーが働いていたと言えます。

だが、各国の情勢を少し詳しく見ると、どこの国でも、一歩間違えると、むしろこれまでよりも悪くなりかねない、下手をすればデモクラシーが終わりかねない。そういう状況があります。

◆〈国徳低下〉へ驀進する欧州諸国、露の選挙介入も加速?

帝国主義の延長線上で移民政策をとってきた欧州ではそれに伴う課題が多く起きているのも事実です。一方で、ロシアがそうした状況に乗じて、欧州諸国内の極右勢力を応援し、実際にバカ受けしています。多くの国が極右政権に代われば、1990年代に消えた東側陣営に続き、西側陣営そのものの意味が消える事態も予想されます。

また、アジアにおける西欧型デモクラシー国家だったイスラエルでは完全にネタニヤフによる独裁と化して、これまで以上の侵略や虐殺を加速させています。まるで、ヒトラーが再来したかのようだ。これをまた、日本以外のG7諸国が必死になって庇いました。長崎平和祈念式典にイスラエルを招待しなかった長崎市長に、日本以外のG7が抗議し、大使を出席させませんでした。19世紀の帝国主義列強による恫喝を彷彿とさせる行動でした。ロシアのウクライナ侵攻は批判してもイスラエルには甘い態度を取ったことは、西洋諸国の〈国徳〉を低下させています。

◆冷戦崩壊よりも大きな長期トレンド〈西洋の没落〉

数百年単位で歴史を見ると、正直、19世紀の植民地主義の時代も終わり、20世紀半ばまでに多くの植民地が独立。そして、20世紀末には新興国が台頭する中で、西洋優位が崩れるのは当然の流れです。なお、西洋の中でも、最初はスペイン・ポルトガルが優勢で、その後は、短期間のオランダ優位を経て英仏優位、その後は米国やドイツ、そしてソビエトの台頭という歴史があります。しかし、ソビエトが冷戦で崩壊。そして、欧州もグダグダ。そして、米国もグダグダになってきたのです。

問題は、その〈着地点〉です。一応、欧米、とくに米国民主党や欧州主流派が掲げてきた人権や環境といった価値を守りつつ、どう、国際秩序?を転換していくか? これが大きな課題ではないでしょうか。

フランシス・フクヤマ教授ら、米国のポストモダニストは、1989年の冷戦崩壊を受け、〈歴史は終わった!デモクラシーの勝利だ!〉と舞い上がってしまったのです。だが、あれから、35年。ご覧の有様です。フクヤマ自身も昨年〈敗北宣言〉ととれる著書を出しています。

ひとつは、環境保護やLGBTはじめ多様性尊重などを一見推進しつつ、新自由主義を進めてきた、この30年のデモクラシー国家内の人々の責任も重いでしょう。その反動がトランプさんとか、欧州の極右になっています。なお、日本でも、例えば、多様性尊重を進めつつ新自由主義も進めてきた立憲民主党への反発は強く、衆院選比例票が伸び悩む背景にあったとみられます。

ただ、結局のところ、旧白人帝国主義の没落と言う数百年単位の歴史の流れと冷戦崩壊と言う数十年単位の流れでは、前者の方が大きかったということではないでしょうか?

◆没落、〈経済失策〉がほぼすべての日本

日本の場合は、西洋とアジアの狭間にあると言えます。日本の場合は、ここ30年間の経済失策が大きい。90年代末にデフレに陥ると、総需要不足が問題なのに、構造改革を叫び、総需要を減らす施策を取った小泉純一郎さん、竹中平蔵さんによる改革が00年代に強行された。民主党政権も、時代に合わせて個人へのセーフティーネット充実を掲げたのは間違っていないけれども、東日本大震災での財源調達方法を誤った。公務員カット、増税。これがさらに過剰な円高とデフレで産業を痛めた。安倍晋三さんが政権に復帰した後、円安にしたが、産業が痛んだあとで、総需要喚起の財政政策も、思い切った産業への投資もなかった。それが現状に響いている。

そうした中で国民民主党とれいわ新選組の躍進と言う2024衆院選になりました。だが、ネット上の国民民主党の一部支持者は、積極財政なき減税至上主義ともいえるスタンスで暴走し、リアルにも一定の影響を与えています。彼らの中には、高齢者切り捨て、さらには、教育無償化反対論まで多く、むしろ自民党以上に新自由主義になる危険もある。低所得の人まで社会保険料だけ取られて手取りは増えずおしまい、になりかねません。

◆広島被爆80周年は〈媚米市政〉から〈横の連携重視〉へ修正を

ともかく、下手をすると、世界は、デモクラシーなき新自由主義者同士の群雄割拠の争いになりかねない。

米独英仏伊など旧白人帝国主義国の権威は落ちていく一方。そうしたものに頼らない形で、労働者の人権を守っていく、環境を守っていく。そういう取り組みがますます重要になっていくのは間違いありません。

こうした中で、平和都市としての広島の役目はどうあるべきか?

まず、特に2023年~24年の広島市政は、過剰な米国忖度、厳しく言えば〈媚米主義〉が目立ったと言わざるを得ません。ずばり、G7広島サミットがその要因です。サミット後には、米国のパールハーバーと平和記念公園の間の姉妹協定を、エマニュエル駐日大使と結んでしまい、具体的な事業が2024年度から動いています。また、平和教育の教材からの〈はだしのゲン〉や〈第五福竜丸〉削除なども、来広するバイデン大統領への忖度だったのは明らかです。

さらに、2024年の平和記念式典では、まるで戒厳令のような厳戒態勢を敷き、エマニュエル駐日大使に広島市長が頭を下げる写真が同大使のSNSで自慢されました。同式典ではイスラエルは招待するもロシアは招待せず、パレスチナも筆者らの署名運動にもかかわらず招待されませんでした。

このままでは、米国などの没落に広島も道連れになりかねない。米国政府とは冷静に距離を置くべきだと考えます。一方で、平和首長会議は自治体の横の連携です。米国含む核保有国にもホノルル市始め、加盟都市はたくさんあります。平和首長会議加盟都市との横の連携を進めていく。また、核兵器禁止条約の動きに見られるように国際政治の主体は国家だけでなくNGOも含まれます。G7広島サミットを背景に、外国人の原爆資料館入館者が増えているのは良いことですが、過剰な米国忖度には未来がないことは肝に銘じるべきです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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参院選2025広島、現職2名の立憲は〈ネオリベ知事べったり〉の男性に候補一本化 ── 女性は〈政策が分からなくても良い〉捨てゴマか?! さとうしゅういち

2025年の参院選広島県選挙区=改選数2名で立憲民主党広島県連は森本しんじ参院議員の公認を本部に申請しました。もうひとりの宮口治子議員は立候補せず、本部に処遇を委任するということですが、参議院議員を辞めるということには変わりありません。

参院は任期が6年で3年ごとに半数改選です。2019年当選─2025年改選のサイクルの議員は2名とも立憲民主党です。一人は2019年に本選挙で当選した森本真治さん。もう一人は2021年の河井案里さんの当選無効に伴う再選挙で当選した宮口治子さんです。立憲広島は自民党に闘わずしてむざむざ1議席を渡すことになりました。

正直、今の自民党に勢いは全くなく、自民党が二人立ててくることも考えにくい。立憲民主党が共倒れと言うことも考えにくいのにもったいないことです。

◆女性は政策が分からなくても良い捨てゴマ扱い?!

もう一つの角度で申し上げれば、結局、女性は捨てゴマ扱いか、と言う疑念です。なぜこんなことを申し上げるのは以下のことがあるからです。宮口さんが当選した2021年の再選挙では私・さとうしゅういちも立候補しました。

わたしは、あの時、4月8日の告示直前まで、野党系候補の一本化をという広島3区市民連合幹部の要望を受けて『伊方原発を含む原発即時ゼロ』を条件として一本化する(私がおりる)ことを宮口陣営にメールで打診した。

すると、立憲広島の県議からお電話をいただきました。立憲広島の県議は『宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから』とおっしゃった。結局、交渉を断念し、わたしも立候補することになり、20,848票をいただきました。

宮口さんが政策を分かる人かどうかは私には何とも言えません。問題は『立憲広島自身が『政策が分かる人じゃない』と認識している人を担いでいる』ことです。有権者をバカにしているし、女性をバカにしています。

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◆立憲に政治を良くする気があるなら森本議員こそ衆院か知事に挑むべき

そして、今回、男性で事実上、立憲広島に君臨されている森本真治さんで一本化したのです。

もし、立憲広島に広島の政治をよくする気があるのであれば、それこそ、森本参院議員を衆院選の時に小選挙区で与党を打倒するように擁立したでしょう。

あるいは、広島県知事選挙で湯崎英彦知事を打倒し、日本一ザルの産廃行政はじめ、疑問だらけになった広島県政の抜本的改革をめざすというのでもわかります。

だが、そういうことはあり得ない。森本議員もまさか参院選2019で応援してもらった湯崎知事に弓を引くことはないからです。そもそも、立憲広島自体が、県政レベルでは、自民党以上に湯崎知事ベッタリだから無理な相談です。

◆筆者を脅す電話で宮口さんの名前を間違える立憲民主党員

ちなみに、立憲広島のある党員の方は、2021年4月3日ごろ、告示直前、わたしに電話を下さり『立候補するならお前とは縁を切る。俺の地域に出入りするな』と脅してこられた。その方は宮口さんの名前を何度も〈平口さん〉と間違えておられた。ご自身も名前も不確かな人の当選を図る目的で筆者を脅してこられたのです。失笑ものです。

ちなみのその方の地域が選挙後に大洪水になりましたが、筆者はボランティアに駆け付けました。立憲民主党は、党員の教育をきちんとしないと、却ってアンチを増やすばかりではないでしょうか?

◆「仁義なき候補者選考」、立共両党に暗い影

一方、立憲広島は実は、上記参院選再選挙で、2020年段階で〈檻の中のライオン〉で有名な弁護士の楾大樹先生を候補者と内定していたのです。ところが、2021年に入ってから、楾先生のはしごを外した。すなわち、選対委員長だった森本議員の秘書の妻である宮口さんに候補者を差し替えた経緯があります。(茶番選挙 仁義なき候補者選考 著者・編者:楾大樹より)

そして、あれから3年半。今度は宮口さんを使い捨てにしたわけです。こういうことが、同党がいまひとつ、伸びない背景にあるのではないでしょうか?

立憲広島は野党第一党であることに胡坐をかいて人を舐めていないか?もうちょっと人を大事にされたらいかがでしょうか?

また、野党統一候補者の選考に当たっては予備選挙や公開討論会を開くなどすべきではないのか? それすらなかったのが参院選広島再選挙2021でした。また、あの時、宮口さんを推してしまった日本共産党さんも党勢を大きく落としています。同党は2021年の衆院選まで、立憲と言うだけで、自民党よりも酷い権威主義者、新自由主義者を推薦・支持しまくっていました。そのことの矛盾も噴出しているのではないか? 立憲、共産の皆様に申し上げたい。〈自民党だけでなく、あなたがた野党も〈庶民革命〉により県民に政治を取り戻される対象物なのですよ〉と。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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