2023年、労働者が立ち上がった夏 ここ30年の労働者虐待政治への反撃への潮目 さとうしゅういち

日本では、特に1994年の日経連が「新時代の日本的経営」という方針を出してから、非正規雇用が激増。労働者の実質賃金は、それ以降、四半世紀以上にわたって、ほとんど上がらないという異常事態になりました。これは、世界的に見ても日本以外ではいわゆる失敗国家(失礼ながら国名を挙げると内戦が続いているシリアやリビア、ソマリアなど)でしか見られない現象です。

しかし、このために、最近では外国人労働者の行先としても日本の人気は落ち、日本人でも若い女性の介護や保育労働者が流出するなどしています。また、介護の現場では、人手不足の反面、サービスの質の低下もみられます。製造業やITなどでは、技術者の海外への流出も深刻です。まさに日本はボロボロです。労働者の給料含む労働環境の改善は急務です。

一方で、労働条件が日本で良くならないことの背景には労働者がこの数十年間、おとなしすぎたということもあるのではないでしょうか?しかし、そんな状況にも変化が見られたのが2023年の夏です。

◆潮目を変えるか? そごう・西武 大手百貨店の61年ぶりスト

「そごう・西武」では、親会社のセブンアンドアイが外資系投資会社への売却を計画。これによる雇用維持への不安が労働者に広がり、そごう・西武ユニオンは7月にストライキ権を確立するための投票を実施。その結果、9割以上の組合員がストライキに賛成しました。組合は、経営者とストライキを背景に交渉しましたが、8月末、交渉は決裂。8月31日、大手百貨店では1962年以来、61年ぶりのストとなりました。

ストライキは日本国憲法第28条で保障された団体行動権です。

第二十八条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

今後の動向は予断を許しませんが、労働者が自分たちを守るためには、ストライキという手段もある、ということを示したことの歴史的な意義は大きいのではないでしょうか?

もともと、組合員が納める組合費はストライキをやった時に入らなくなる給料を保障するための資金だったのです。しかし、1960年代後半くらいから会社と組合が協調路線になり、ストライキをやらなくなってきたという歴史的な経過があります。そして、1990年代以降は、ついに日経連(今の経団連)側がやりたい放題しはじめたのです。

また、企業再編に便乗(?)して、どさくさ紛れに労働者の労働条件を(過剰に)切り下げることもまかり通ってきました。そうした状況への反撃に今回なったのではないでしょうか?

報道を拝見する限り、思ったより、一般市民の方が割とストライキに好意的なコメントをされていました。ストライキ実施以前は割とネガティブなコメントもあったが、実施後は、応援するようなコメントも多い印象があります。

なにより、多くの労働者にとり、よい教科書になったのではないでしょうか? 

今後、例えば介護や保育など、仕事の割に給料が低すぎる、そのことも背景に様々な問題が起きている職場でこういうストライキという憲法で保障された手段もあるということは、一定程度認識されたのではないかと思います。

◆環境省元女性官僚、過労退職で損害賠償求め国を提訴

環境省では、若手女性キャリア官僚が、月135時間の残業をさせられ、2019年2月に精神疾患を発症。同11月に公務災害認定を申し立て、2020年2月に退職しました。そして2021年6月、ようやく公務災害に認定されました。この女性元官僚は、2022年6月に国を相手取って損害賠償を求めて民事調停を申し立てましたが、国が応じなかったため、やむなく2023年7月27日、国を提訴したものです。

この元女性官僚は「今回の提訴によって議論が生まれることで、働く人を大切にして、一緒に働いていくという意識の醸成があってほしいと思います。今まで涙を呑んできた先輩、同期、後輩の少しでも希望になればと思っています」と記者会見で述べたそうです。

最近では東大生も含めて若者が官僚になることを敬遠する傾向にあります。この傾向が行き過ぎれば、日本国としての政策立案能力の低下にもつながりかねません。また、精神疾患は労災認定がされにくい実態があります。今回の裁判は、精神疾患について軽視しないようにしていく取り組みでもあります。

◆20年以上務めた司書をいきなりクビ!埼玉県狭山市の暴挙に抗議!

 
[署名]司書の復職で図書館のさらなる充実・発展を求めます(change.org)

埼玉県狭山市では、2023年3月末、市立中央図書館の司書を20年以上勤めた人も含めて全員解雇し、公募しました。臨時職員時代も含めて20年以上、毎年契約更新されてきたということはそれだけ優秀さが認められてきたということです。それを全員解雇する。その結果、例えば、子どもに対する読み聞かせなど、今まで地域の子どもたちにされてきたサービスも低下してしまいました。これに対して、図書館の充実と司書の雇用継承を求める会が司書の復職を求めて署名を呼び掛けています。QRコードからできます。趣旨をご理解の上、ご協力をお願いします。

地方公務員の29%、112万人が非正規で、特に身近な市区町村では40%と、民間平均の36%も上回っています。そして、高度の専門知識を持った人たちも多く、非正規公務員として働いています。そういう人たちをそもそも非正規で使い捨てにするということが間違いですが、現実には正規公務員を減らしすぎた結果そうなっています。

民間のように労働契約法による保護はない。さりとて、正規公務員のような手厚い保護もない。これが非正規公務員の実態です。

2020年度から「会計年度任用職員」制度が導入され、ボーナスの支給などもされるようになりました。しかし、今度は、「会計年度任用職員は3年たったら自動更新をやめ、ゼロから公募」という自治体が続出。狭山市も例外ではありませんでした。

そもそも、「3年でクビ」にしなければならない、という法的根拠はどこにもありません。これは、労働組合が総務省に確認させています。専門性の高い仕事の公務員を3年でクビにしていたら、福祉や教育、防災など住民サービスも低下します。

また、公務員に人材が集まらなくなってしまいます。本紙も、非正規教員含む非正規公務員の抜本的な待遇改善、希望する人への常勤化を求めます。

 
[署名]ホームヘルパーの待遇を上げて日本の介護を守ろう(change.org)

◆ホームヘルパーの待遇改善で日本の介護を守ろう

筆者も介護福祉士として仕事をしています。利用者ではなく、職員、それも新人職員が70代という状況があります。その介護業界の中でもホームヘルパーは、特に高齢化が進んでいます。これは、待機時間や移動時間、キャンセルになった場合も労働時間なのに、給料が出ないという労働基準法違反の状態が横行しているからです。そしてその根本には介護報酬が低すぎることがあります。

こうした中、ホームヘルパー3人が東京地裁に国を相手取って、介護保険制度の改善を求めて損害賠償訴訟を2020年11月、起こしました。(日本の法体系上、制度改善のみを求める裁判はできない)。

2022年11月、東京地裁では不当判決が出ましたが、原告労働者は東京高裁に控訴。この夏も7月24日の第三回口頭弁論など、裁判闘争を頑張っています。どうか、公正な判決を求める署名にご協力ください。

◆お一人で抱え込まず、ご遠慮なくご連絡ください

労働相談 秘密厳守 お一人で抱え込まず、ご遠慮なくご連絡ください。

広島自治労連 *電話 082-243-9240 *FAX 082-243-9241  
*Eメール hjrouren@urban.ne.jp
(さとうも役員をさせていただいており、さとうまでご連絡いただいても構いません)
広島県労連 労働相談センター 解雇・賃金残業代未払い・ハラスメント なんでも相談 082-262-2099

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年10月号

官製談合・平川広島県教育長の逃げ切りを許さない! 住民訴訟第一回口頭弁論 さとうしゅういち

8月29日、広島県の平川理恵教育長に対して、県に「NPO法人パンゲア」を巡る官製談合で生じた損失2600万円、外部調査にかかった弁護士費用3000万円、2021年度に教育長が使ったタクシー代100万円の合計5700万円を返すよう住民が求めて提訴した裁判の第一回口頭弁論が広島地方裁判所で行われました。

平川教育長については2022年8月、「文春砲」で教育長が個人的に親しい京都のNPO法人「パンゲア」が受注した事業(合計2600万円)における官製談合疑惑が暴露されました。その後、県教委が雇った弁護士による外部調査で、地方自治法違反、官製談合防止法違反が認定されました。ところが、この弁護士による調査でも3000万円という常識外の支出が行われ、批判を浴びました。さらに、平川教育長は、2021年度だけで100万円、2018年度からの4年間では合計700万円のタクシー代を使用していました。

今回の裁判ではパンゲアとの官製談合事件で生じた被害2645万8685円、弁護士費用3000万円、そして2021年度分のタクシー代100万円が対象です。

平川教育長は2023年2月、課長級職員を戒告処分とするとともに、自身は給料自主返納30%を2か月しただけで、幕引きを図っています。任命した湯崎英彦県知事も平川教育長を罷免するなどの形で責任を果たそうとせず、議会もまた、追及を止めてしまっています。

◆現場は努力しているのに、教育長は…… 高校教師でもある原告の怒りの陳述

この日の裁判では、原告を代表して県立高校の元教諭で現在も非常勤の教員として働いている望月照己さん(下段写真 左から二人目)が意見陳述を行いました。

望月さんは「文春の記事を見て驚くとともに唖然とした」と回想。

「非常勤講師も含めたすべての教職員は年二回、各学校で広島県教育関係職員倫理要綱に基づき研修を受け、法令遵守や公務員倫理の確立と職務の執行に対する県民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図ること」「公務に対する県民の信頼を確保すること」を口が酸っぱくなるほど言われ続けているから、です。

そして、「平川教育長は親密な業者であるパンゲアの関係者を教育行政に算入させるため会食をしたり、業務委託契約を結んだりしているため、明らかにこの倫理要綱に違反している」と指摘しました。

学校現場では、修学旅行の業者を決める際は複数の業者から企画案や見積もりなどの資料提供を受けて公平に検討して決め、決して飲食などともにしないように気を付けていますし、鉛筆一本でも無駄にしないよう毎日努力しているのです。

それなのに、平川教育長はパンゲアとの契約代金の妥当性を検証するためとして東京の弁護士に3000万円を支払う。

そしてタクシー代も県民感覚からずれています。

望月さんは「教育長は自分が使ったお金が税金だということが分かっているのか?」と指弾。

「わたしたち教職員がこのような無駄遣いをすると即、懲戒免職。にもかかわらず、平川教育長は、課長級職員に戒告処分をしながら、自分は何の処分も受けず、自らの給料2か月分を30%返納するだけで済ませている」と怒りをあらわにしました。

そして、物価高の中で節約している中で、この問題を黙ってみているわけにはいかない、住民監査請求も起こしたが却下された、そこで住民訴訟に踏み切ったという事情を理解の上、裁判長には(平川教育長への)厳正な判断をお願いしたい、と結びました。

◆お友達のお金儲けばかり、何の責任も取らぬ教育長

口頭弁論で原告代理人の山田延廣弁護士(写真左端)は、「この事件を放置してはいけない。県の行政のためではなく友人の利益のための事業だった。また、平川教育長は赤木かん子さんに図書館のリニューアルを依頼したが、新たに購入した図書の1割が赤木さんの著書だった。お友達のお金儲けのためにやっている」と批判。

そして、「教育長は何の責任もとっていない。教育委員会内では教育長にネガティブな情報を上げないことになっていた。そういう風に職員をしてしまったのも教育長の平素の対応に問題があるからだ。」と指弾。

また、県議会議長も「平川氏を止めさせると知事が傷つく(から調査を止める)」という始末だ、と議会の腐敗も指摘しました。

そして「「自分でやったことは自分で責任を取りなさい」「自分のことばかりではなくみんなのことも考えなさい」などと学校では教育しているが、教育長がこれでは先生や生徒たちに示しがつかない」と嘆きました。

◆本来は被害者なのに教育長を庇う県

今回は、広島県が本当は教育長に金を勝手に使われた被害者であるにもかかわらず、県が教育長を庇う立場で弁護士を送り込んでいます(補助参加)。

教育長と利益が相反する以上、これ自体、常識的にはおかしな話ですが、現行では認められているのでその枠で住民も闘うしかありません。

その県は、
1,お金を支出したのは教育長ではなく、戒告処分を受けた課長級職員だから教育長にお金を返す義務はない
2,そもそも、お金を支出した人も特定されていない。
と開き直り、住民の請求を棄却するよう求めています。

これに対して山田弁護士は「平川教育長の名前でパンゲアと契約している。契約があって支出がある。平川教育長に責任がないということはありえない。また、お金を支出した人が特定されないというのは、そもそも、県がその戒告処分を受けた会計担当職員の氏名等を公表しないからだ。県は横綱相撲を取ってほしい」と苦言を呈しました。

◆検察も重い腰を上げ、一年生県議も動き出す

さて、原告の一人の今谷賢二さんによると、検察もようやく、最近動きを見せているそうです。

すなわち、今谷さんらによる刑事での告発状を受理するための話し合いを近日中に行いたいと電話もあったそうです。

また、県議会では日本共産党以外の自民、公明、立憲などの知事与党会派は教育長の疑惑を葬り去りたかったそうですが、当選一回の保守系県議が文教委員会で言葉を選びつつも、赤木かん子さんによる図書館のリニューアル問題や官製談合疑惑について質問をする場面もあるそうです。筆者も有権者との対話で実感していますが、自民党代議士や市議を熱心に支持されているような方でも「平川は怪しからん」怒っている方が多いです。そういう有権者の突き上げがあるのではないか?と今谷さんは指摘します。

◆「平川独裁」は終焉の兆しも厳しい教育行政再建の道

また、県教委内部でも、赤木かん子さんは今年の事業からは外されており、正式な形ではないが、「平川独裁」は終焉に向かっているようです。

ただ一方で、教育委員会幹部に、財務系の職員が派遣されています。この方々は、会計処理は得意でも、教育のことは全く分かっていません。そもそも、今の県教育行政の問題は、現場の先生や子どもをバックアップするロジスティクスをしっかりやるべき教育委員会が、教育の中身を差配し、現場を振り回してきたことにあります。その是正も含めた教育行政の再建の道はなお険しいと筆者は感じています。しかし、まずは第一歩です。

県教委や市教委のパソコン納入を巡る談合事件では、公取が業者にお金を県・市に返すよう命じています。これは別の住民グループの奮闘が背景にあります。この日の裁判報告集会にはその住民グループの方もお見えになって激励をいただきました。

この民事裁判や検察への突き上げ、それ以外の政治闘争も含めて、広島の教育を立て直すことをあきらめてはいけん。その決意を強くしました。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年9月号

「フクシマ汚染処理水」で啖呵を切り、上関「死の灰」ではだんまりを決め込む 「原発の後始末」をめぐる岸田総理の無責任 さとうしゅういち

8月後半、西日本と東日本、双方で「原発の後始末」で重大な動きがありました。ひとつは、上関町が、核のゴミ=死の灰の貯蔵施設建設へ向けた調査を受け入れ。福島では原発事故の汚染処理水の海洋放出です。

◆上関町は核のゴミ=死の灰 自称「中間貯蔵」へ調査受け入れ

8月18日、上関町の西町長は中国電力に対して、同社と関西電力の共同で核のゴミを自称「中間貯蔵」する施設の建設へ向けた調査を受け入れてしまいました。8月2日に申し入れを受けてからわずか半月余りというスピード決定でした。

岸田政権が強行した自称GX法により関西電力・高浜原発など老朽原発の再稼働が進み、関西電力の死の灰=核のゴミがにっちもさっちもいかなくなることを背景に起きた出来事です。

核のゴミ=死の灰の最終的な行方は全く決まっておらず、今後も決まる可能性はほとんどありません。従って、もし上関町が受け入れてしまえば、中間貯蔵どころか、半永久的に貯蔵されてしまうことは確実です。


◎[参考動画]原発問題で揺れる 瀬戸内海“最後の楽園”上関町【news23】|TBS NEWS DIG

◆フクシマ汚染処理水、海洋放出強行

一方、8月21日、岸田総理は福島を訪問したあと、なぜか、東京に戻って全漁連の会長と会談し、会長も反対姿勢を崩さない中で、東電福島第一原発事故による汚染処理水の海洋放出を伝達し、24日から開始。「数十年に渡ろうとも全責任を持って対応する」と総理は啖呵を切りました。


◎[参考動画]処理水の放出決定 福島県内の漁業関係者は憤りあらわに「納得していないのにおかしい」|TBS NEWS DIG

◆「科学的に安全」と言われた原発が事故を起こしたのに

汚染処理水については、IAEAは国際的な基準に合致していると言ってはいます。しかし、別にIAEAが何か責任を持ってくれるわけではありません。そもそも、2011年の3.11以前、政府も東電もマスコミも「日本の原発は科学的に安全。チェルノブイリ原発のようなことは起きない」と宣伝してきました。従って、汚染処理水の問題で「安全です」と言われても、「安心しろ」というのが無理な話です。

また、岸田総理は数十年にわたろうとも全責任を持って対応する、と言われていますが、総理の任期なんて、安倍晋三さんでさえも8年しか勤めていません。30年後、40年後、人生百年時代ですから、ご存命であったとしても国会議員は辞めておられる可能性が高い。どうやって、責任を取る、というのでしょうか?その時何かあっても「ワシはもう議員でないから知らん」と言われても困ります。あまりにも軽すぎる言葉の使用法がまた、信用を失わせます。

◆モルタル固化などの代案もある 原発事故の後始末は総合的にもっと議論を

なお、汚染処理水をどうすればいいのか?という点については、代案がすでに提案されています

モルタルで固化し、今よりもしっかりしたタンクで保管するという案です。もちろん、これは、地元・福島県双葉町などの同意が必要になってきます。また、もっと言えば、無理にデブリを取り出したりする必要があるのかどうか?強烈な放射線で機械でさえも故障するリスクが高い状況で、将来にわたってできるのかどうか?もっと総合的な議論をすべきではないでしょうか?

◆上関・核のゴミ受け入れ、元自民党代議士の岩国市長も懸念表明

そして、上関町の核のごみの受け入れに対して、21日、岩国市の福田良彦市長も懸念を表明されました。福田市長は、元自民党代議士のご出身です。2008年に岩国基地への艦載機移駐反対派の井原勝介市長を打倒して初当選され、現在4期目です。そんな福田市長でも「近隣自治体とすれば、やはり市民の中にも多くの不安や懸念があることは事実。そういった中での今回の調査、また調査の先には具体的に建設ということになるのかもしれないが、市民、また近隣の方々の安心安全がしっかりと担保されていない、説明が尽くされていないという状況の中では、今回の一連の受け止めについては率直に賛成とは言えない、これが私の考え」とコメントされました。

当然です。岩国市役所までは上関の想定される核のゴミ=死の灰受け入れ予定地からわずか45kmです。上関町だけで、この問題の可否を決める、ということ自体がそもそもの誤りです。

例えば、危険極まりない核のゴミを中国電力島根原発や関西電力高浜原発・美浜原発などからどうやって運搬するというのか? 船は船で、リスクがあります。瀬戸内海では現状でも船の事故は非常に多い。海自の輸送艦「おおすみ」と漁船の衝突事故は記憶に新しいですし、今年に入ってからも山口県沖で護衛艦の座礁事故が起きています。他方で、道路での輸送は交通事故の危険性も高い。海であろうが陸であろうが、岩国市はもちろん、場合によっては筆者の住む広島市も含めて取り返しのつかないことになりかねません。

フクシマの海洋放出に関しては、総理はそうはいっても表に出てきましたが、ご自身の地元(小選挙区=広島、比例区=中国ブロック)に重大な被害が及びかねない上関の問題では何もリーダーシップを取ろうともしない。

◆地域を衰えさせてきた歴代自民党政権

なお、上関町長ら推進派の「上関の持続可能な発展に、可能性がほぼ消えた原発建設に変わる核のゴミが必要」という話も全く筋が通りません。

現実には、原発関係の交付金を受け取ってきた上関町も人口流出で衰えています。他方で、創意工夫で踏みとどまっている自治体もあります。そもそも、原発や核のゴミ受け入れに頼らないといけないように地方を衰えさせてきた自民党政権の経済政策が誤りです。

◆やはり、岸田・自称GX法で老朽原発再開が大問題

岸田総理は、気候変動対策などを大義名分に、自称GX法=老朽原発延命法、原子力村税金投入延命法=を2023年通常国会で強行しました。国民の間でも電気代の値上がりなども背景に「まあ、原発はあるのだから使った方がいいかな」という風潮が広がっています。3.11も、のど元過ぎれば熱さ忘れる、です。

しかし、現実には、汚染処理水問題のように福島原発事故の後始末さえ全くできず、「原子力緊急事態宣言」中です。その上で、核のゴミ=死の灰が増えて、にっちもさっちもいかなくなりつつあるのです。

これ以上核のゴミを増やさないこと。そして、福島のような事故を起こさせないこと。そのためには、やはり原発は止めることです。

再生可能エネルギーについては、九州電力などでは余っていて出力制限をしている状況です。その上で、原発を動かし、4-6月期は過去最高益を出している電力会社はおかしい。

従って、蓄電やスマートグリッドを進めていけば、再生可能エネルギーとの組み合わせで、原発にも旧型石炭火力発電にも頼らずに済む、電力料金も高くせずに済みます。

ただ、根本的には、電力会社よりも原発を国策として進めてきた国の責任が重いのです。GX法を廃止し、原発も国が責任をもって廃止する。蓄電やスマートグリッドにもガツンと財政出動する。そういう方向を示すべきです。

 
筆者勤務先近くの総理の政治活動ポスター

◆ポスターと正反対の政治 「広島の恥」総理を図に乗らせまい

岸田総理は「地域の声で新たな日本へ 所得向上 少子化対策 安全・安心」とおっしゃる。だが、実際には、フクシマの汚染処理水問題では地域の声を軽視し、安心を踏みにじる、上関のような時は国の責任を放棄して地域に対応を丸投げする卑怯な政治です。

そして、原発推進という破綻した「古い日本」を維持するわけです。まさに、実態と真反対のポスターであり、「広島の恥」ではないでしょうか?

総理は恥を知れ、と申し上げたい。残念ながら、前回2021年衆院選では総理は、対立候補に供託金回収さえさせない圧勝ぶりでした。こんな風に圧勝させてしまったことで、岸田総理も図に乗ってしまったということも言えると思います。

広島は平和都市といいながら、実際には爆心地に近いほど保守色が強く総理が強い。そんな状況ですが、次期衆院選こそ、総理をヒヤリとさせ、軌道修正を迫る結果にしなくてはならないと痛感しています。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年9月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

暴走する「意識高い系」ネオリベ政治の身内贔屓 長谷部健渋谷「博報堂」区政と湯崎英彦広島「リクルート」県政の共通点と意外な接点 さとうしゅういち

◆先進イメージの渋谷区政と博報堂人脈 ── 信じがたい副区長の暴言

東京都渋谷区。わたしが世田谷区在住の幼少期は、よく、親に渋谷に連れて行ってもらったのを鮮明に覚えています。その後、大学時代の前半も渋谷は通学路に当たり、よく大学の駒場キャンパスから渋谷のカラオケまで友人と歩いたりしたものでした。

渋谷区は、いわゆる無所属市民派を標ぼうする長谷部健区長が3期目を務めておられます。同性パートナーシップ条例を全国に先駆けてつくり、長谷部区長支持の区議会会派は男性3、女性5という構成です。長谷部区政は、うっかりすると、ジェンダー平等・多様性尊重の素晴らしい区政に見えてしまいます。

ところが、その長谷部区長が任命した沢田伸副区長が、国民民主党の桑水流弓紀子議員を侮辱するコメントを庁内のチャットでしてしまい、8月8日、辞任しました。
長谷部区長の博報堂時代の元上司で、意識高い系で有名な沢田副区長。行政のIT化などで、マスコミに度々登場。いわば、天まで持ち上げられて意気軒高でしたが、突然の失脚となりました。有頂天になったということはあるでしょうが、それにしても酷い言動でした。

◆野宿者追い出し、女性トイレ削減……長谷部区政の冷酷さ 「女性野宿者惨殺」の背景にも?

実は、渋谷区では、野宿者を公園から追い出し、真冬の路頭に放り出す。そして公園は大手企業が儲ける場所に変えるという事業を強行しています。このときは、筆者が国政で支持するれいわ新選組の山本太郎も国会で取り上げました。

しかし、結局、長谷部区政は聞く耳を持ちませんでした。沢田副区長は、そうした区政の責任者であり、「行政が儲けて、住民の税負担を減らす、子育てなどのサービスを充実させる」ということで、マスコミでもご自身の政策を自画自賛しておられました。しかし、そもそも、行政は儲けるためのものではない。儲からなくても住民のためにやるべきことは、住民の声を聴き、議会で議論して、条例や予算という形にしてもらった上で実施する。そういうものでしょう。儲けのために生存権を脅かしてしまっては、本末転倒です。

そうした中、地域の清掃ボランティアをしていた男性区民が、バス停で夜を過ごしていた広島出身の野宿者の女性を邪魔者扱いして惨殺(起訴事実は傷害致死)した上、自らも保釈期間中、自死するという事件が起きています。長谷部区政が醸し出した「野宿者に厳しい」雰囲気が、この男性の凶行と自死を招いたと言えないでしょうか?もちろん、第一義的には、被告人の男性が悪いのですが、被告人も長谷部区長が醸成したいわゆるネオリベ的雰囲気にのまれたのではないでしょうか?

長谷部区政は、もうひとりの副区長や区長与党会派の議員候補に女性を登用するなど、「成功者の女性」を持ち上げる一方で、格差拡大の中で苦しんでいる女性には冷たかったのではないでしょうか?あるいはそういうメッセージを区民に発していたのではないでしょうか?

長谷部区政は、公共の女性トイレを減らすということも進めていました。もちろん、いわゆる多目的トイレを増やすのは結構なのですが、それに伴って女性用トイレを減らしてしまってはこれまた本末転倒です。

◆女性区議の正論に逆切れ?

桑水流区議は、2023年春の統一地方選挙では、女性用トイレを減らす長谷部区政を批判する演説もして当選しておられました。筆者は国民民主党を全く支持しませんけれども、桑水流区議の御主張はもっともだと思います。ただ、そんな桑水流区議は、沢田副区長からは「うざく」思えたのかもしれません。

意識高い系(?)の男性にありがちな傾向として、自分が気に入った女性は神輿として持ち上げるのだけど、自分に意見する女性の意見を必死で抑え込もうとする、ということがあるのも否定はできません。ひょっとしたらそういう部分が今回出てしまったのでしょうか?

◆広島の湯崎県政とリクルート人脈 ── 長谷部区政とそっくり?

実は、渋谷区の長谷部区政については、広島県民も他山の石とせねばなりません。広島県の湯崎英彦知事は、長谷部区長や沢田副区長と似たタイプの平川理恵教育長を初の女性教育長として任命した。長谷部区長・沢田副区長が博報堂なら、平川教育長は、リクルートご出身。いわゆる意識高い系、広告系という意味で、非常に共通する点がありました。

平川教育長についても、マスコミが一時期は「改革の旗手」として、沢田副区長同様、天まで持ち上げました。

ところが、実際には、平川教育長は、ご承知の通り、官製談合事件を引き起こしてしまいました。しかし、平川氏は自主的な給料返上だけを行い、いわゆる懲戒処分は全く受けていません。特別職には懲戒処分はないといえばそれまでです。しかし、そうなであるならば、法律に基づいて、知事が罷免するという手があります。だが、湯崎知事はそれもせず、平川氏を野放しにしています。

平川氏は、京都や大阪のお友達企業や法人、あるいは東京の友人に県教委の仕事を丸投げする一方で、県教委管轄だけで1000人以上いる非正規の先生の待遇改善については「予算がない」とけんもほろろに却下しました。

また、湯崎知事ご自身は、三原市本郷町の産業廃棄物処分場問題では、広島地裁で許可取り消しを命じられています。8月現在も現に汚染水が流出し続けているのに高裁に控訴し、住民に敵対しています。住民たちは、川の水を使えずに、田んぼが干上がるなどの死活問題に直面していますが、湯崎知事は知らんふりです。

湯崎知事は、8・6の平和記念式典での挨拶はそれなりに良いし、それでごまかされてしまっている左派の方も特に県外では多いのですが、上記のように、県政の中身はボロボロです。

渋谷区の長谷部区長と広島県の湯崎知事。そっくりではないのか? いや、沢田副区長を自発的とはいえ、退陣させた分だけ、長谷部区長の方がましかもしれません。しかも、長谷部区長の場合は、自民や公明や共産が野党として存在し、緊張関係が議会との間にあるのが幸いしています。広島の場合は、ほとんどオール与党である。広島の方が渋谷より始末に悪いでしょう。

◆長谷部区長と湯崎知事、実は接点 「想定している事業のイメージはない」事業

渋谷区の長谷部区政と広島の湯崎県政。実は接点があります。湯崎知事が肝いりで進めている「ひろしまサンドボックス」なる事業にNTT西日本やソフトバンクとともに、渋谷区が参加しています。渋谷の熱量と知名度を生かすということです。

「ひろしまサンドボックス」とは、広島に知識や人材を集積するために2018年から3年間で10億円をかけて行われた事業です。とにかく、失敗を恐れずに事業アイデアを出そう、ということです。

ガッチリ握手する長谷部渋谷区長と湯崎広島県知事。やはり類は友を呼ぶのか。(2018年5月25日付け日経BP総合研究所HP山田雅子氏執筆リポートより)

ただ、2021年、2022年と広島県は人口流出が過去最悪となりました。「ひろしまサンドボックス」も含めて、効果があったと言えるのでしょうか? 湯崎知事もひろしまサンドボックスについては、「想定している事業のイメージもない。」などとおっしゃっているものです。

ひろしまサンドボックスのノートを拝見すると、県内の女性若手起業家らがそれなりの情報発信はされています。それはそれでいいのです。彼女らは彼女らでどんどんやりたいことをされればいいでしょう。そういう場はあっていいけれども、わざわざ行政が大金を投入してお膳立てをしなくてもそういう活動をする人はどんどん自主的に活動するでしょうし、筆者が存じ上げる範囲でも実際にしておられます。

そして、行政・政治が何をすべきか、といえば、「ひろしまサンドボックス」とは、違うのではないでしょうか?

今となっては全国に遅れをとっている子育て支援策を充実させる。非正規の先生をきちんと正規にして、若者に地元にとどまってもらう。県が地元企業への発注単価を適正に上げる。また、国とも連携して農業に戸別所得保障をきちんとする。あるいは、国保料の均等割りを廃止し、子育て世代の起業家のお子さんから保険料を取るのを止める。こうしたことをやっていく方が実効性はあるのではないのか?という感想しかありません。

そして、何度もご報告している三原本郷産廃処分場問題。このままでは汚染水が流域の農業や食品工業、醸造業、漁業に大打撃ですよ。知事にはそちらをきちんと対応していただきたい。

カッコだけはつけるけど、中身はない。そんな湯崎県政。長谷部区政との連携は似た者同士でお似合いかもしれません。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年9月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

広島県・湯崎英彦知事の暴走 ── 汚染が続く中、本郷産廃処分場再稼働を容認! 本来すべきことは許可取り消しだ! さとうしゅういち

広島県三原市本郷町の三原・竹原市民の水源地のど真ん中に湯崎英彦・広島県知事が2020年4月に設置を許可してしまったJAB協同組合の産廃処分場。2022年9月から稼働してしまいました。それから9か月しか経過していない2023年6月、国の基準値を上回る汚染水流出が発覚しました。6月29日に県東部厚生環境事務所が操業を止めるよう行政指導しました。

◆狭まる知事包囲網、渋々業者に「警告」

また、その直後の2023年7月4日には、広島地裁の吉岡茂之裁判長(権力寄りの判決が多いことで有名)さえも、湯崎英彦知事に対して産廃処分場の許可取り消しを命じる判決を下しました。判決内容は、「知事の判断の過程に看過しがたい過誤・欠落があった」というもので、いい加減な井戸水や農業用水の取水口付近の調査が指弾されました。言うなれば県が「失神KO負け」を喫したのです。

しかし、業者は県の指導を無視し、7月8日まで産廃の搬入を強行しました。湯崎英彦知事は行政指導を一方で無視されるという形で業者にすっかり舐められていました。しかし、湯崎知事はにもかかわらず、14日(金)処分場の許可取り消しを命じた地裁判決を不服として広島高裁に控訴してしまいました。

一方で、原告住民らは判決直後から、三原市や竹原市の執行部・議会への働きかけへ猛ダッシュ。このことを背景に三原市議会は県による控訴という暴挙があった14日(金)、産廃処分場の許可取り消しを求める「水源の保全に関する意見書」を全会一致で可決しました。

このように、広島地裁はもちろん、三原市議会も「知事を包囲」する中、さすがの県も19日(水)に基準値を下回るまで操業を止めるよう求める「警告」を行いました。

◆周辺では基準の5~6倍の汚染も県は「警告解除」し、再稼働容認

さらに27日(木)には竹原市議会も県に対して厳正な対処を求める「産業廃棄物処理施設設置業者に対する行政処分に関する意見書」を可決しました。地元の議会が揃って業者への対応がぬるい県に業を煮やした形です。

こうして、地元住民や三原・竹原両市議会による知事包囲網が築かれる中で、県は28日(金)、驚くべき発表を行いました。なんと、業者に対する警告を解除し、操業再開を認めてしまいました。

稼働が再開された処分場。原告団共同代表・岡田和樹様のSNSより

JAB協同組合の改善報告書を県が受け取り、県による調査でも水質の改善が見られた、というのが表向きの理由です。JAB協同組合は、「汚染水は排水管にたまった腐葉土や小動物が原因で、排水管の掃除をして小動物の浸入を防ぐようにしたので大丈夫」という趣旨の報告書を提出しています。

しかし、原告団共同代表の岡田和樹さんは、「抜き打ちの検査前に、6台の散水車の出入りを連日確認。「検査井戸に真水を入れて成分を薄めるのが産廃業界では一般的だ。JABも検査前に、薄めているのだろう。」と複数の産廃業者関係者から聞いていた。事実とすれば調査の捏造である。その結果をもとに県が判断したとすれば、県の監督責任も欠落していたことになる。」と憤慨しておられますが当然です。

県は汚染の被害にあっている住民を置き去りにしてしまいました。「(梅雨明け以降、)雨がふらず、川が泡や異臭で汚染されて水が取れない。穂が出る時に水が取れないと米ができん。」と直下の米作住民は救済を求めておられます。

実際、警告解除の28日、住民が処分場周辺で調査したところ、基準値の5~6倍もの汚染水が出ています。小動物や腐葉土を取り除いた(これすら、これまでのJAB協同組合の言動からして全幅の信頼はおけない)からと言って、ちっとも改善していないのです。

しかし、県はそのことへの対策もせず、敷地内の井戸の調査などの結果だけで警告を解除してしまったのです。これでは竹原市議会が求めた「厳正な対処」どころか、「大甘な対処」です。

産業廃棄物処理施設設置者に対する行政処分に関する意見書(案)

◆「知事に舐められない県民」に!提言コーナーから意見を送ろう!

四期目に入り、産廃問題に限らず、広島県民ではなく、特定企業の利益になるような判断・政策が目立つ湯崎英彦・広島県知事。筆者も最初の選挙(2009年11月)で彼に期待して一票を投じた県民、また、湯崎知事の元部下(県庁職員)として情けない思いは強まるばかりです。

皆様。広島県の湯崎知事にガツンと声を送りましょう!湯崎知事が県民をなめ切っているのであれば知事に舐められない県民になりましょう!

以下は、例文です。

◎簡単な例

広島県知事 湯崎英彦様

三原市本郷産廃処分場に対する設置許可を取り消してください。
お手盛りではないきちんとした水質調査を行い、水質の改善をしてください。
業者から土地を買い上げ、水源を守ってください。
環境配慮条例や水源地保全条例などを制定し、全国一緩い産廃規制を強化してください。

◎長文の例

広島県知事 湯崎英彦様

三原市本郷産廃処分場に対する警告を7月28日、貴職は解除されました。

しかし、貴職が本来すべきは、裁判での控訴を取り下げて産廃処分場の設置許可を取り消すことです。そして、処分場の土地を買い取り、原状回復を測ることです。

また、7月4日付の裁判の判決では、行政寄りの判断をされることも多い吉岡茂之裁判長すら、貴職の許可の意思決定過程に看過しがたい過誤・欠落があると断じておられます。

また、当該事業者・JAB協同組合は、県の6月29日付の行政指導さえも無視しており、貴職をなめ切っています。

井戸の数値が基準値を下回ったと言いますが、産廃処分場から見た川下では泡が出ており、米作農家が困っています。井戸については直前に水を注げば数値がクリア出来てしまいます。

いい加減な調査で許可をし、裁判で厳しく断罪された貴職。これ以上、恥の上塗りをしないでください。

産廃問題は対処が遅れれば遅れるほど被害は拡大し、回復に時間がかかります。

香川県の豊島では、1978年から産廃持ち込みが始まり、1990年にようやく警察が動きました。2000年に公害調停を経て政治決着しましたが、そこから23年たった今も汚染は抜けません。

手遅れになる前に、操業を止めさせ、土地を買い上げてください。

岐阜県御嵩町の産廃問題では業者が最終的に県に土地を無償寄附して解決しています。しかし、今回の産廃処分場の場合は、業者側のいい加減な調査結果が元とは言え、貴職がそれをスルーして許可をし、稼働も始まってしまっています。

行政処分の不利益変更は困難なものがあり、土地を買い上げるのが妥当と考えます。

また、本県は産廃規制が全国一緩く、安定型処分場は北海道についで多くなっています。

今回の産廃処分場も群馬や長野からゴミが流入しています。

本県だけが規制が緩い状況を放置すれば、全国から、いや下手をすれば世界から広島にゴミが集まり、広島は日本の、いや世界のゴミ捨て場になりかねません。

環境配慮条例や水源地保全条例などを早急に議会に提案してください。

◎主な送り先
県政提言メール(県への御意見) https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/19/1171540420003.html
郵便 〒730-8511 広島市中区基町10-52 広島県総務局広報課 県政提言コーナー 宛
電話 082-513-2378  ファックス 050-3156-3485

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

いまこそ、軍拡競争/原発推進の逆流に対抗軸を! 「被爆78周年原水爆禁止世界大会」に参加して さとうしゅういち

◆冷戦時代以来の逆流の中で迎える

78年目の原爆の日は、(核をなくし、戦争を止めることに対する)冷戦時代以来の逆流の中で迎えました。

第一に、ロシアのウクライナ侵攻を契機に、軍拡競争の気風が世界に広まり、日本の岸田総理も『安倍晋三さんでさえしなかった』軍拡に暴走しています。

第二に、G7広島サミットで、核兵器禁止条約にも核兵器廃絶にも触れず、2000年のNPT再検討会議での核兵器廃絶への明確な約束や、核兵器先制不使用にも触れない「広島ビジョン」が採択されてから最初の原爆の日となりました。また、ゼレンスキー大統領の途中参加で、ほとんどサミットがウクライナ戦争を支援する会議となってしまい、被爆地が戦争支援に悪用されてしまいました。この間、広島市長がパールハーバーとの姉妹協定へ暴走、またサミットを前にして『はだしのゲン』が削除されるなど、アメリカへの忖度ではないかとみられる『事件』が続発しています。

第三に、広島選出の岸田総理が、気候変動対策・GXと称して老朽原発存続を支援する自称・GX法を強行。高浜原発が再稼働されました。さらに、原発維持で核のゴミが増える見通しであることを背景に、中国電力と関西電力が広島からわずか82kmの上関に核のゴミ=死の灰の中間貯蔵施設という名の事実上の永久のゴミ捨て場をつくることを発表しました。

筆者は、8月4日から5日は、原水禁国民会議系の「被爆78周年原水爆禁止世界大会」に参加しました。筆者は、日本共産党を支持していた時期も含めて広島県原水禁の個人会員として一貫して原水禁国民会議系の大会に参加してきました。今年の大会の中で筆者が学習したことをご紹介します。

◆大会に寄せられたメッセージ、立憲・泉さんに脱力

8月4日、開会総会が開催されました。代表や来賓の挨拶、被爆者による被爆証言などが続きます。

開会総会を前に筆者が受付で渡された資料の後ろの方には、各政党を含む各界関係者からのメッセージが寄せられていました。この中でも、立憲民主党の泉健太代表からのお言葉には脱力してしまいました。「『広島ビジョン』を歓迎」という泉代表のお言葉が目に入り、筆者は椅子からずり落ちそうになりました。

広島ビジョンは、冒頭にもご紹介した通り、核兵器廃絶には触れない。西側の核兵器保有は評価する。そういう代物です。そんなものを歓迎とは、どうなっているのか? 泉さんは立憲民主党を滅ぼす気なのか?! がっくりです。

まだ連合の芳野友子会長の方が「『核兵器のない世界』の実現に向けた具体的な道筋は示されず、核抑止を事実上肯定したことは残念でなりません。」と、マシに見えてしまいます。

さらに、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表は、「……落胆を通り越して怒りを覚えるものでした。核抑止力を正当化するという、まさに、被爆地、被爆者を冒涜する文言だったからです。」とバッサリと「広島ビジョン」を斬っています。

各政党を含む各界関係者からのメッセージ

◆北東アジア非核地帯で安全保障環境改善し、日本も核兵器禁止条約に

 
8月5日午前中は「平和と核廃絶Ⅰ 世界の核兵器廃絶に向けて」に参加

8月5日の午前中は「平和と核廃絶Ⅰ 世界の核兵器廃絶に向けて」に参加しました。

ピースデポの湯浅一郎さんは、「米ソ冷戦で相互不信の悪循環で核軍拡が進んだ。冷戦が終わると核軍縮が進み冷戦末期と比べると核兵器は7万発から12000発に5分の1になっている。」指摘。「軍事力による安全保障のジレンマ」が典型的に示されている、としました。

「軍事力による安全保障のジレンマ」とは相互に軍拡すれば結果として際限のない軍拡競争を繰り返す悪循環にはまりこむことです。

現在はロシアのウクライナ侵攻がそういう構図を引き起こしています。

一方で、湯浅さんは核兵器禁止条約とNPTという2つのトラックが並走する新たなステージに入った、と希望も示しました。

核兵器禁止条約は核兵器を禁止し非合法化する初の条約です。

そして核兵器禁止条約が始まった今こそ、東北アジア非核地帯条約をと訴えました。

東北アジアには朝鮮半島の分断と中国の海洋進出による米中対立という2つの対立構造があり、日本はこれを「厳しい安全保障環境」だとして核兵器禁止条約に反対している。

しかし、そうであるならば、東北アジア非核地帯をつくることで安全保障環境の改善に踏み出すべきだと湯浅さんは強調します。

北東アジア非核地帯構想は朝鮮戦争集結とともに朝鮮半島と日本に対して米中ロが消極的安全保証(核攻撃をしない)をすることで北東アジアの緊張緩和をしていくことです。

これにより朝鮮半島2国と日本も核兵器禁止条約に入りやすくなります。

◆核放棄が最も早い保有国は英国か?

 
8月5日午後は「被爆78周年原水爆禁止世界大会・国際シンポジウム 核兵器廃絶に向けた道筋を描く」に参加

8月5日午後は、「被爆78周年原水爆禁止世界大会・国際シンポジウム 核兵器廃絶に向けた道筋を描く」に参加しました。

広島市の秋葉前市長は、広島ビジョンに核兵器廃絶も被爆者も核兵器禁止条約もない、と厳しく批判。その上で、そもそも、1945年8月10日に当時の日本政府が原爆投下に抗議したけれども、抗議はその一回だけで、原爆投下の責任者で、東京大空襲で有名なカーチス・ルメイ大将に勲章まで与えてしまう始末で、日本政府にはそもそも核を批判するという発想がないと指摘しました。

イギリスの平和運動CNDは、まず、イギリスが自分から核を手放すことをめざしているそうです。スコットランドが独立(連合王国から離脱)すれば、イギリスの核の主力である潜水艦の基地はスコットランドにあるのでイギリスは核兵器を失います。

一方で、スコットランドの人たちの多くは核を手放すことを望んでいますので、スコットランド独立はイギリスという核保有国が消滅することを意味するそうです。時々ニュースで出てくるスコットランド独立運動というのはこういう意味もあることを確認しました。

韓国の『参与連帯』の方は、G7広島サミットで日韓首脳が韓国人慰霊碑を一緒に参拝して(日本政府がお詫びの姿勢を堅持した)のはよいが、手放しでは歓迎できない、と日米韓の核共同体に「日本による韓国へのお詫び」が使われていることに懸念。

また、そもそも、米韓が軍事演習をストップしていた時期は、朝鮮も核実験やミサイル発射を中断していたということに注目すべき、朝鮮戦争の終戦が大事だ、とおっしゃいました。普段のニュースを見る際も、「北朝鮮怪しからん」一辺倒ではなく、「米韓の威嚇と朝鮮のミサイル発射は裏表だ」ということを押さえておきたいものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年9月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

8.6広島の一日 平和記念式典で拍手が一番大きかったのは?  さとうしゅういち

2023年の8月6日。78回目の原爆の日です。この日は、日曜日で、快晴でした。

 
平和記念公園

筆者は、自宅前からバスで広島市中区の平和記念公園近くの終点まで乗車。ただ、疲労しきっていたため乗り過ごして運転手さんにたたき起こされる不覚を取りました。

気を取り直して、平和公園へ向かうと、原爆ドーム前では左派の集会を機動隊が取り囲み、その周りから右派の方々が大声で挑発されているのを拝見しました。左派がうるさいとおっしゃる右派の方々ですが、右派のアジテーションの方が音量は大きかったようにも見えました。右派の弁士は「左派に対抗しなければいけないからだ。」と弁解されていたのが印象に残ります。

◆手荷物検査を経て入場 G7で過剰警備常態化?

原爆ドームの脇を抜けると「自民解体」というプラカードを置いている男性がおられました。

そして、平和記念公園に入り、平和記念式典会場へ向かいました。

2019年以前、すなわちコロナ前に今年から規模を回復させた平和記念式典。しかし、安倍晋三さん暗殺事件、岸田総理暗殺未遂などが相次ぐ中で手荷物検査も行われるようになりました。なるべくなら、人々の不満が高まらないような適切な政治を心掛けていただきたいものですが、現実に襲撃事件が起きている状況があるのも事実です。

とはいえ、G7広島サミットを契機に過剰警備・過剰規制に慣らされてしまうのも怖いものがあります。また、警察車両はわかるのですが、なぜか消防車がたくさん止まっていました。まさか、爆弾テロによる火災にでも備えていたのでしょうか?

[左]「自民解体」というプラカード[中央]多数の消防車が並ぶ[右]「警備・手荷物検査にご協力ください」というプラカード

◆広島市長の平和宣言 核抑止否定は良いが「平和文化」とは?

黙とう後、今年で就任後13回目となる松井一実・広島市長が平和宣言を読み上げました。

松井市長の平和宣言は秋葉忠利前市長時代よりも長いのが特徴です。これは、東京から当初は落下傘的に戻ってこられた松井市長が、被爆者らから意見をつのり、その意見を盛り込むようにしたことがあります。松井市長は初期には311福島原発事故を受けて、エネルギー政策の転換を求めるなど、国に対してガツンと物申す面もありましたが、そういう面は最近、薄れています。

松井市長は、G7広島サミットでの広島ビジョンについて事実関係に触れたうえで、「しかし、核による威嚇を行う為政者がいるという現実を踏まえるならば、世界中の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取組を早急に始める必要があるのではないでしょうか。」と核抑止論を批判。その上で平和文化の重要性を強調しました。

それはそれでいいのですが、松井市長と言えば、どうしても中央図書館をデパートの上層階に移す計画など、文化をあまり大事にしないイメージがあります。ご自身の市政の足元を見つめなおしていただきたいものです。

◆子どもたちの「平和への誓い」最も拍手大きく

子どもたちの平和への誓い。今年も小学六年生二人が読み上げました。すべてのあいさつの中で最も拍手が大きく、かつ長いのはこの「平和への誓い」です。河井事件や深刻な県内の産業廃棄物問題などを背景に他の挨拶している大人の政治家たちへの広島県民の根強い不信感をも感じました。

◆岸田総理、まったく内容が頭に入ってこない

岸田総理の挨拶。正直、全く内容が頭に入ってきませんでした。周りの人の中には総理の挨拶終了を待たずに立ち上がって帰られる方も数人いらっしゃいました。

筆者は筆者で岸田さんの顔を拝見してついうっかり、「勘弁してくださいよ、増税」と思わず言葉が出てしまいましたが、誰にも咎められませんでした。

◆広島県知事 総理を目の前に核抑止論を厳しく批判は良いが、「本業」を真面目に!

岸田総理を目の前に、「核抑止論者は核抑止論が破綻したとき、全人類の命、地球上のすべての命に対して責任を負えるのか」と問い、「核兵器は存在する限り、人類滅亡の可能性をはらんでいるのがまぎれもない現実。その可能性をゼロにするためには、廃絶しかないのが現実なのです」と強く訴えました。毎回の平和記念式典で核抑止論者は厳しく批判する湯崎知事。それはそれでいいのですが、今年に限っては、筆者は複雑な思いです。

特に三原・本郷町の産業廃棄物処理場問題では、知事が許可した処分場から汚染水が出ています。田んぼに水が引けずに困窮している県民がいますが、県は再稼働を容認し、困っている県民には何もしていません。そんなふうに湯崎知事が「本業」をおろそかにしていると、湯崎知事がおっしゃる正論まで、説得力を持たなくなってしまうのではないか、と懸念されます。

 
「反戦タイガース」を名乗る男性が、「六甲おろし」を「原発下ろし」に変えた替え歌を披露

◆中満国連事務次長 さすがの演説

中満泉・国連事務次長は、事務総長自ら出席された年を除き、ほぼ毎年、近年では平和記念式典に参加されます。核兵器禁止条約にも触れられ、100点満点の演説でした。国際公務員を目指される日本人の多くが実は女性。中満さんはそうした優秀な日本人女性の代表的な方でもあります。

ただ、一方で、日本という国があまりにも若い女性にとっては魅力に欠けるから、国際公務員を目指される方も多いということもあるかと思います。広島自体が若い女性を中心に人口流出が多い中で、筆者は複雑な思いで、中満さんによる演説を聞かせていただいています。

◆中国電力前で汚染水放出・核のゴミ持ち込み・岸田自称GXにNO

その後、筆者は、中国電力前で【8.6ヒロシマ平和へのつどい】主催の集会に合流しました。福島の汚染水海洋放出ノーの訴え。そして、上関に核のゴミ=死の灰の貯蔵施設をつくろうとする中国電力と関西電力の暴挙への怒りの声。そして、岸田政権の自称GXによる、老朽原発再稼働にNOの声。

この日は日曜日でしたが怒りの声が上がりました。そうした中で、「反戦タイガース」を名乗る男性が、「六甲おろし」を「原発下ろし」に変えた替え歌を披露し、一座を和ませました。

◆原爆小頭症をご存じですか?

午後は、8.6ヒロシマ平和の夕べに参加。平尾直政さんのご講演が最も印象に残りました。

平尾さんはきのこ会(原爆小頭症被爆者と家族の会)事務局長、でRCC社員を長年務め、現在は大学院生でもいらっしゃいます。

 
原爆小頭症とは?

原爆小頭症は胎児として近距離被爆した方で、被爆が原因で、知的障害やその他の症状が発生した方です。広島で48人、長崎で15人いらっしゃったそうです。意外に少ないと思われる方もおられるでしょうが、そもそも、近距離でお母さんが被爆した場合、即死してしまう場合が多いので、数としてはこれくらいだそうです。しかし、数が少ないがゆえに、実態が伝わらず、当事者や親御さんが苦しんでこられたのです。被爆二世と勘違いされることもあったそうです。

旧ABCC(現・放射線影響研究所)は、原爆小頭症の存在を把握していたが表沙汰にしてきませんでした。戦後二十年、救いの手が差し伸べられず、成育不良は栄養失調ということにされて原爆症に認定されない状態が続いてきたのです。

そして、1965年に親たちが集まり、きのこ会が発足しました。会の名前には親たちの強い思いがあったそうです。きのこ雲の下で生まれた小さな命だがきのこのように元気に育ってほしい。というものです。

会の目標は
1.原爆症認定。
2.終身補償
3.核兵器廃絶
で、1と2が一定程度実現した現在では、核兵器の廃絶が一番の目標です。

原爆小頭症会員は2023年7月末で11人おられます。(厚労省によると当事者は12人です。一人の未加入の方は個人情報保護法により会としてアクセスできない状況です)

きのこ会をジャーナリスト3人が支えたそうで、その一人は、昭和帝に『原爆についてどう思うか』聞いた中国新聞の秋信記者です。親たちは1966年、分裂した平和運動やマスコミの報道に傷ついていた中で、ジャーナリスト3人が窓口になり「盾」になったものです。

原爆小頭症児には地域の厳しい目が向けられてきました。幼女がいたずらをされそうになった事件があった際には、根拠のないうわさで犯人扱いさたそうです。また、善意で縁談を持ち込んだ人に対して、お断りしたところ、「お宅は贅沢言えないでしょう」と言われて傷つく、ということも起きています。

平尾さんは「原爆投下はアメリカがやった。しかし、原爆小頭症の子供と家族に「冷たいまなざし」を向けたのは悪気のない周囲の人たち-私達だ。」と指摘しました。

ヨシカズさんという男性のケースでは、50歳で人工透析により入院し、そのころ、母親も母親は脳梗塞に倒れ入院。母親の願いは息子と一緒に暮らすことでしたが、ヨシカズさんは1998年に死去。納骨を終えた日に母親も死去し、生前に夢はかないませんでした。

2013年67歳で亡くなった女性の場合、戦後すぐに、母親も兄も出て行ってしまい、家族がバラバラになりました。この女性は瀬戸内海の島で父親と二人くらしで、父親が亡くなってから家がゴミ屋敷状態になっていました。

兄が施設入居を薦めるも島の暮らしになれていたので結局、拒んだそうです。お父さんは生前、娘について「自分より早く死んでほしい。」とこぼしておられたそうです。それは娘の将来を心配してのことで重苦しさが伝わってきます。こういうことを繰り返させないためにも核兵器は廃絶しなければならない。それがきのこ会の今の目標だそうです。

最後に平尾さんは「ローソクはいつか燃え尽きるがほかのローソクに火を移せば燃え続ける。わたしはその別のローソクになりたい」と決意を表明し、大きな拍手を浴びました。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年9月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

8.6前にヒロシマが試される! 中国電力が関西電力と共同で山口県上関町に使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画の暴挙! さとうしゅういち

8.6を控えた広島にとんでもないニュースが飛び込んできました。

広島市中区に本店のある中国電力が8月1日、山口県上関町の原発予定地の敷地の一部に原発から出た『死の灰』(核のゴミ)の中間貯蔵施設を建設することが可能か、調査するということが各社により報道されました。そして、中国電力は2日に上関町役場を訪問し、関西電力と共同でこの中間貯蔵施設をつくるための調査開始を通告しました。


◎[参考動画]山口県上関町に使用済み核燃料中間貯蔵施設建設を提案 中国電力 会見(テレビ山口)

 
広島市中区の中国電力本店(筆者撮影)

◆上関原発建設は311と住民の力でストップ中

上関町には原発計画が持ち上がって40年余りです。中国電力は上関町の本土側南部の沿岸部を埋め立て、原発をつくる計画です。

しかし、上関町内でも祝島の漁民は反対派が圧倒的に多くなっています。この祝島島民の会を中心とする皆様の反対運動により、計画は進んでいません。また、町長選挙や町議選では賛成派 vs 反対派の得票の比率はほぼ3:2ですが、2003年の県議選で反対派の議員が当選したり、国政選挙でも原発反対を掲げた平岡秀夫さんが2023衆院補選で健闘したりするなどしています。

こうした中、東電福島原発事故があった2011年以降は埋め立て工事が中断しています。中国電力の原子炉設置許可申請に対して10年以上、原子力規制員会は審査会を開いていませんし、今後も開かれる予定がありません。最近では、中国電力側が『祝島島民の会』を訴えるいわゆるスラップ訴訟を提起するなどしています。中国電力側の焦りも垣間見えます。

そもそも、東京電力管内と違い、中国電力管内は、電力の需給には一定の余裕もあります。従って、新規原発建設自体には中国電力単体では大義名分は薄いのです。正直、島根原発すら不要です。

(※なお、筆者は、もちろん、東京電力管内でも例えばスマートグリッドの推進、蓄電技術の推進などで、原発がいらない状態を実現することは可能とみています。東電管内の電力需給のひっ迫は3.11以降12年間の日本政府の無策のつけです。)

◆岸田政権の自称GX法が引き金か?

こうした中で、原発ではなく、中間貯蔵施設の話が持ち上がりました。第一に、前述のとおり、上関原発をつくれる見込みがほぼまったくないからです。

その上で、第二に、安倍政権時になかった要素として以下のようなことも考えられます。すなわち岸田政権による自称GX法で島根原発由来の核のゴミが増える可能性です。いまのところ、中国電力に原発は島根原発しかありません。1号機は2015年4月30日に法的には廃炉(もちろん、現在も廃炉作業中)、2号機が再稼働へ知事のゴーサインも出て向けて準備中、3号機が建設中です。したがって、中間貯蔵施設には当面は島根原発の死の灰=核のゴミが運び込まれることになります。

岸田政権は、2023年の通常国会において、自称GX(グリーントランスフォーメーション)法を強行しました。気候変動対策と称して、実際には60年超の原発も運転可能にする、そのために公費を投入するというものです。これにより、島根原発の運転期間も延長する。そうなると、当然、死の灰・核のゴミも増えます。島根原発内の死の灰の中間貯蔵をしているプールも満杯になってしまう。だから、中国電力としては、原発建設に苦戦している上関に死の灰=核のゴミを押しつけてしまえ、ということなのでしょう。

また、共同で中間貯蔵施設計画を進めている関西電力は美浜原発など福井県に多数の原発を抱えています。したがって、岸田政権の政策転換でさらに死の灰=核のゴミは増え、にっちもさっちもいかなくなります。そこで、原発建設の見込みがなくなった上関に関西電力も目を付けた、ということでしょう。

第三に、過去の経緯から「上関町の原発推進派を納得させるため、ほぼ実現が不可能な上関原発にかわる「地域振興策」(という名のばらまき)の大義名分を中国電力としても得たい。そこで関西電力からも死の灰=核のゴミを受け入れる中間貯蔵施設が進められた」(上関町の事情に詳しい『原発はごめんだヒロシマ市民の会』の木原省治さんによる3日(木)の中国電力前での演説要旨)ということです。

◆最終処分も決まらぬ死の灰

しかし、そもそも、死の灰=核のゴミの最終処分自体が決まっていません。日本は活断層もたくさんあります。正直、安全な場所などどこにもない。そもそも、死の灰=核のゴミが安全なレベルに放射線の発生が提言する何十万年か後に日本政府というものが存在するか、否、人類そのものが今の形で存在するかどうかも怪しいでしょう。

日本政府はいわゆる核燃サイクルを試みてきました。すなわち、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、それをウランと混ぜてMOX燃料として再利用する計画です。だが、フランスに頼んで作ってもらったMOX燃料は、ウラン燃料と比べてもはるかに高価です。日本が独自に青森県六ヶ所村に建設中の再処理施設もいまだ稼働していません。あまりにも高コストなのです。結局、六ケ所村に半永久的に死の灰・核のゴミが山積みになりかねない。それを避けるには、各地に中間処理施設をつくる必要がある、というのがいわゆる原子力村側の言い分です。

しかし、最終処分が決まらない以上、各地に分散したところで、そこが中途半端な形で半永久的な処分場になりかねない。これはこれで危険すぎます。正直、死の灰・核のゴミは発生した場所で、国が責任をもって最終的に保管するのが現時点では最もリスクが低いのではないでしょうか。国が国策で推進しておきながら、電力会社に席に責任を押し付けるのはいかがなものかと思います。

◆『山口に核のゴミ』=旧民主党がブラックジョーク的に提言も真面目な議論はなし

山口県内では、死の灰・核のゴミの中間貯蔵については真面目な議論はなんらされていません。ただし、2014年2月の旧民主党(現・立憲民主党)の党大会で、核のゴミの最終処分場は安倍総理(当時の地元)である山口県にすればいいという趣旨の提言を決めました。しかし、世論の批判により撤回しました。あくまで、当時、絶頂期にあった安倍晋三さんへの当てつけとして、守勢に立たされていた野党によるブラックジョークの域は出ていません。

◆中電・関電に上関中間貯蔵施設NO、地元選出の総理に自称GX法撤回の声を!

 
左が中国電力の吉岡様、右が上関原発止めよう広島ネットワークの溝田さん。奥がマスコミ陣。筆者撮影

山口県はたしかに安倍晋三さんを輩出しましたが、しかし、核のゴミをさらに増やすような自称GXを決めたのは広島の岸田さんです。今回は、広島が山口にご迷惑をおかけしています。この8月6日へ向けた広島に住むものとして、すべきことは中国電力に対しては中間貯蔵施設を上関につくるなどと言う暴挙は止めること、上関原発絡みでのスラップ訴訟は止めること、そして島根原発の再稼働を止めることを求めていくことです。そして、平和記念式典にも出席される岸田総理に対してはガツンと自称GX撤回を求めることです。

8月3日には『上関原発止めよう広島ネットワーク』が中国電力に申し入れを行いました。

また8月6日には市民団体が毎年恒例ですが中国電力前へデモを行います。筆者も、最大限、こうした動きに連帯・参加していきます。

それとともに、原発は電力会社任せではなく国が国有化で責任をもって廃止すべきこと、また、早急に送電網の公営化とスマートグリッド、蓄電技術の普及に国が責任をもって投資し、原発が不要な状態を東電管内の真冬や真夏の繁忙期でも実現することを改めて主張します。

被爆地・広島の周辺の瀬戸内地方が、何度もご報告しているように産業廃棄物のゴミ箱になろうとしている上に、今度は死の灰=核のゴミのゴミ箱になろうとしている2023年の8.6。筆者も含めて正念場です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)


〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
季節 2023年夏号
NO NUKES voice改題 通巻36号 紙の爆弾 2023年7月増刊

《グラビア》原発建設を止め続けてきた山口県・上関の41年(写真=木原省治
      大阪から高浜原発まで歩く13日間230Kmリレーデモ(写真=須藤光男

野田正彰(精神病理学者)
《コラム》原子炉との深夜の対話

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《コラム》核のゴミを過疎地に押し付ける心の貧しさ

樋口英明(元福井地裁裁判長)
《報告》司法の危機 南海トラフ地震181ガル問題の重要性
《インタビュー》最高裁がやっていることは「憲法違反」だ 元裁判官樋口氏の静かな怒り

菅 直人(元内閣総理大臣)
《アピール》GX法に断固反対を表明した菅直人元首相の反対討論全文

鮫島 浩(ジャーナリスト)
《講演》マイノリティたちの多数派をつくる
 原発事故の被害者たちが孤立しないために

コリン・コバヤシ(ジャーナリスト)
《講演》福島12年後 ── 原発大回帰に抗して【前編】
 アトミック・マフィアと原子力ムラ

下本節子(「ビキニ被ばく訴訟」原告団長)
《報告》魚は調べたけれど、自分は調べられなかった
 一九五四年の「ビキニ水爆被ばく」を私たちが提訴した理由

木原省治(上関原発反対運動)
《報告》唯一の「新設」計画地、上関原発建設反対運動の41年

伊藤延由(飯舘村「いいたてふぁーむ」元管理人)
《報告》飯舘村のセシウム汚染を測り続けて
 300年の歳月を要する復興とは?

山崎隆敏(元越前市議)
《報告》原発GX法と福井の原発
 稲田朋美議員らを当選させた原発立地県の責任

——————————————————————–
山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
《報告》原発利用促進のためのGX脱炭素電源法案の問題点

原田弘三(翻訳者)
《報告》「気候危機」論についての一考察

井筒和幸(映画監督)×板坂 剛(作家)
《対談》戦後日本の大衆心理【後編】

細谷修平(美術・メディア研究者)
《映画評》シュウくんの反核・反戦映画日誌〈3〉
 わすれてはならない技術者とその思想 ──『Winny』を観る

三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
《報告》今、僕らが思案していること

佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
《報告》亡国三題噺
 ~近頃“邪班(ジャパン)”に逸(はや)るもの
  三重水素、原発企業犯罪、それから人工痴能~

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
《報告》山田悦子の語る世界〈20〉
 グローバリズムとインターナショナリズムの考察

再稼働阻止全国ネットワーク
原発の全力推進・再稼働に怒る全国の行動!
福島、茨城、東京、浜岡、志賀、関西、九州、全国各地から

《福島》古川好子(原発事故避難者)
福島県富岡町広報紙、福島第一廃炉情報誌、共に現地の危険性が過小に伝えられ……
事故の検証と今後の日本の方向を望んでいるのは被害者で避難者です!
《東電汚染水》佐内 朱(たんぽぽ舎ボランティア)
電力需給予備率見通し3.0%は間違い! 経産省と東電は石油火力電力七・六%分を隠している! 汚染水の海洋放出すべきでない! ── 4・5東電本店合同抗議に参加して
《東海第二》志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
運動も常に情報を受信してすぐに発信することが大事
4月5日定例の日本原電本店行動のできごと
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
中電が越えなければならない「適合性審査」と「行政指導」
《志賀原発》藤岡彰弘(「命のネットワーク」事務局)
団結小屋からメッセージ付き風船を10年余飛ばし続けて
《高浜原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「関電本店~高浜原発230kmリレーデモ」に延べ900人、
「関電よ 老朽原発うごかすな!高浜全国集会」に320人が結集
《川内原発》鳥原良子(川内原発建設反対連絡協議会)
「川内原発1・2号機の九電による特別点検を検証した分科会」まるで九州電力が書いた報告書のよう
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
原発延命策を強硬する山中原子力規制委員会委員長・片山規制庁長官
《読書案内》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク事務局)
『3・11 大津波の対策を邪魔した男たち』(島崎邦彦・青志社)

反原発川柳(乱鬼龍選)

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

近年最悪の「子どもの食料危機」の夏 筆者の地元でも子ども食堂 お困りごと相談も承ります さとうしゅういち

食料危機と言えば、つい最近までは、戦前の「娘身売り」とか、戦中~戦後すぐの戦況悪化・敗戦に伴うもの、くらいのイメージを持たれていた方も多いのではないでしょうか?

筆者の父親(広島県福山市生まれ)はぎりぎり戦前(対米英戦争開戦前)生まれで、小学生時代くらいまで、結構厳しかったようなことは聞いています。母親(福島県出身)は団塊の世代末期で、そこまで厳しい状況は聞いていませんが、同級生の中にそれなりの割合で厳しい暮らしの家庭もあったと聞いています。

ただ、今の60歳以下の人の圧倒的多数はそうはいっても、日本が栄えていた時代しか経験していないわけです。

食うに困ると言っても、例えばシングルマザーのご家庭、またお父さんの会社がつぶれたとか、「運が悪い人」に限定されていたイメージがあります。いわゆる企業内福祉の恩恵が健在でした。もちろん、当時の仕組みと表裏一体の男尊女卑、性別役割分業固定化の問題は現在にも悪影響を及ぼしており、もちろん決して軽視できませんが、そのころはそれでも「一億総中流」と言われたことをご記憶の方も多いでしょう。

◆1990年代後半から貧困進むもまだ物価低く

雲行きが怪しくなったのは、1990年代半ばくらいからです。まず、1994年頃から女子から就職難に直面したのを筆者も記憶しています。東大さえも、女子の先輩が就職に苦戦する状況を目の当たりにし筆者は「このままでは21世紀には大変なことになる。」と直感したのを記憶しています。

就職氷河期世代が社会人になった1990年代後半、さらには小泉純一郎さんや当時の広島県知事が正規労働者を公務・民間問わず減らしまくった2000年代になると、非正規で生活が苦しいという人たちが筆者の同世代でも多くあらわれるようになりました。それでも、00年代は、物価が非常に安かった上、親がまだそれなりに豊かな人も多く、親に援助してもらいながら、低価格の食料品・消耗品で食いつなぐ、という人も結構おられました。しかし、そうした縁を持たない人の中から「おにぎりが食べたい」と餓死した男性など、貧困問題が深刻化していました。

民主党政権は、貧困の広がりに危機感を持った多くの有権者に支えられ、2007年参院選、2009年衆院選と圧勝し、政権交代を実現しました。ところが、ご承知の通り、すぐに失望を招き、安倍晋三さんに政権を奪還されてしまいます。安倍時代、金融緩和は行われたものの、非正規労働者ばかりを増やす流れにはストップがかからず、また人々の懐を潤す形での財政出動もなかった(ロシアやアメリカ、お友達にはばらまいたが)ため、多くの労働者の賃金は改善しませんでした。

◆低賃金と物価高の併存で危機が一挙に中間層まで

そうこうするうちに、日本経済は、国際的な比較で地盤沈下が進行。このことを背景に円安が進み(短期的には金利差が理由ですが、中長期には日本の地盤沈下が円安を固定化)し、ロシアのウクライナ侵攻も背景に物価上昇は留まるところを知らないのはご承知の通りです。

また、1980年代後半から1990年代前半の円高を背景に「日本は、食料は海外から買えばいい」という甘い考えが広がっていました。食料安全保障が全く顧みられてきませんでした。歴代政権の緊縮財政もその傾向に拍車をかけました。このため、輸入食料価格が上昇したからといって、国内供給がすぐには増えない状況に現在あります。

そして、コロナ禍による多くの御家庭での減収がこの3年ほど深刻になりました。その後も、いわゆる中間層のご家庭でも、収入が伸びていません。正社員でも物価高で実質的な可処分所得が減少する。住宅ローンはそうはいっても固定で払わないといけない。そういう中で、子どもの食事にしわ寄せが行く状況が生じています。

広島市はまだですが、全国の各自治体では給食の無料化がようやく進みつつあります。しかし、夏休みは給食がありません。そこで、子どもたちにとっての食料危機が深刻化しています。もちろん、自治体によっては、学童保育でも宅配弁当を活用するなどして、昼食を提供する動きも出ています。ただし、広島市はまだです。

◆子ども食堂がいよいよ地元でもスタート

1960年代以降ではおそらく最悪ともいえる状況の中、広島市・安佐南区祇園でも「子ども食堂」が7月2日、いよいよスタートしました。

子ども食堂は、2012年頃から広がり始めました。現在では、子どもはもちろん、大人も含む地域の住民に栄養バランスの取れた食事はもちろん、居場所を提供するものとして、いまや全国に広がっています。2022年秋現在で、7731か所あるとされています。

今回スタートしたのは「子ども食堂 キッズ☆庵」。

「シェアリンク広島」が協力し、鉄板焼き居酒屋・じゅげむ(広島市安佐南区祇園2-2-2)で行われました。

シェアリンク広島 https://sites.google.com/view/share-link

次回は8月5日(土)12時~14時ですが、以降は第一日曜日の12時に開催される予定です。連絡先はシェアリンク広島代表の井原さん(080-4553-4454)。

メニューはお好み焼きです。料金は小学生100円、中・高校生 200円、大人 300円です。

また、シェアリンク広島が毎月第四日曜日に西区大芝集会所で行っている物資提供会とも共通した取り組みも行っています。具体的には、パンやお好み焼きソース、もみじ饅頭の配布なども行っています。子ども向けのゲームコーナーやカラオケ、生活お困り相談コーナーも開設しました。

この日は、シェアリンク広島だけでなく、「じゅげむ」の普段からのお客様もボランティアとして参加されました。正直、宣伝が十分はできていませんでした。それでも、大人も含めて10人以上の方が2時間余りの開催時間中にお見えになりました。カラオケのマイクを握って楽しんでおられるお子さんもおられました。生活お困り相談については本社社主・さとうしゅういちが担当させていただきました。

コロナで閉じこもりがちになった高齢者のことなど、ご相談をいただきました。一人で抱え込まずに、ご相談いただければ、少しでも考えるヒントはご提供できるかもしれません。お気軽にご相談ください。

「じゅげむ」店主の池脇律子さんは「今後、課題も多くある中、ゆっくりとしたペースで、少しでも多くの子供さんを始め、皆さんにお集まり頂ける場としての「きっず庵」を目指して頑張ります」と意気込みを語っておられました。ただし、8月は5日(土)に開催します。


子ども食堂 きっず☆庵
8月5日(土) 12時~14時
場所 鉄板居酒屋 じゅげむ
広島市安佐南区祇園2-2-2(古市橋駅から南へ徒歩5分)
メニュー ミニお好み焼き弁当
小学生 100円 中高校生 200円 大人 300円

駐車場はないので、クルマでご来場の場合はコインパーキングなどをご利用ください。
この他、カラオケ、お困りごと相談があります。お気軽にお立ち寄りください。

また、広島市北部ではフードバンクあいあいねっと様が、食料配布を月二回程度行っております。
こちらでも食料配布と同時にお困りごと相談などをされています。
https://aiainet.org/

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号
『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

河井夫妻事件で政治資金収支報告書に「買収資金」を記載させなかったのは検察だった! さとうしゅういち

袴田事件では、被告人側にとって非常に厳しい再審請求が認められたにも関わらず、検察がまだ有罪立証に固執し、世論の批判を浴びています。

※[参考]再審-冤罪袴田事件-検察は有罪立証せずに速やかな無罪判決のために審理に協力してください

そうした中、その検察が広島を揺るがしたあの河井事件でも暴走していることが明らかになりました。

参院選広島2019で、あの河井案里さん(2021年に当選無効が確定)陣営が多数の地方議員や首長などにお金をばらまいた河井事件。案里さんと夫の克行被告は逮捕・起訴されそれぞれ有罪が確定。他方でお金をもらった方々はいったん不起訴となりました。

しかし、これに疑問を持った市民が検察審査会に審査を申し立て、その結果、2022年1月28日、35人が起訴相当になりました。これを受けて東京地検特捜部は再捜査を開始し、県議や市議ら多数が起訴されました。体調不良の一人を除く25人の方は検察の言い分を認めて略式起訴を受け入れました。

一方で渡辺典子県議(安佐北区)、佐藤一直前県議(中区、県議選2023を前に引退)、石橋竜史市議(安佐南区)、木戸経康前市議(安佐北区、引退)ら9人が正式裁判で徹底抗戦を選ばれた政治家もおられます。

こうした中、木戸前市議の弁護人が供述を誘導するような尋問があったと暴露し、音声データもある、としました。そこで、木戸前議員は、自分が話した内容と供述調書が違うことに不信感を抱き、任意の事情聴取の録音をするようになったそうです。2020年4月、まだ河井案里・克行両被疑者が逮捕されていない段階で、検察は木戸前議員からも任意で事情聴取。検事は「先生には議員を続けてほしい」「認めれば不起訴」など、事実上の司法取引をもちかけるような内容の尋問を行いました。そして、木戸前議員がお金をもらった時に(買収資金かどうか)「考える暇もなかった」と回答した際に、これを調書には載せませんでした。その上で、事情聴取の一部だけをカメラで撮影。検事「調書にある通りですね」木戸前議員「はい」など、検事に都合がいい場面だけが撮影されました。

そして、皆様もご存じの通り、この事件では当初は河井案里・克行両被疑者と両人の一部秘書(車上運動員への買収事件などに関して)だけが当時は逮捕・起訴されていました。

ところが、当然、「買収を認めた方が捕まらないのはおかしいじゃないか?!」という県民の声が巻き起こり、再捜査、そして、木戸前議員ら起訴、ということになりました。

◆有罪判決が相次ぐ中で問われる検察側の主張の正当性

検察側の誘導疑惑については、7月21日、まず読売新聞がスクープ。その後、地元の中国新聞や他紙やNHKも追随報道という形になりました。前日20日には、河井克行被告からお金をもらった買収の罪で渡辺県議に有罪判決、さらにスクープが出た21日には石橋市議に有罪判決が出るという状況の中で、検察側の主張の正当性が問われます。

そもそも、まず、公選法違反事件では司法取引は認められていません。ですから司法取引を持ち掛けること自体が違法な操作です。そして、日本国憲法38条にある通り、自白は唯一の証拠足りえません。その上で、「認めれば不起訴」というのは裏を返せば「認めなければ起訴」という脅迫とも言えます。従って、検事が行った誘導尋問への木戸前議員らの供述は証拠とはなりえません。

日本国憲法第三十八条

何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

なお、現在、係争中の方々の中で、石橋市議に対しては誘導尋問がなかったと石橋市議本人が認めています。石橋市議は、克行受刑者が持参したお金は買収資金ではなかったと、一貫して主張しています。そして、広島地裁による有罪判決に対して石橋市議は全く納得していません。

そして、石橋市議以外の他の議員・前議員は、誘導尋問があったとしています。

◆政治資金収支報告書にお金を記載させなかったのは検察だった!

この事件では多くの議員が河井陣営からのお金の流れを政治資金収支報告書に記載しませんでした。このことを、検察は、「買収」と認識していたから、としています。しかし、政治献金を政治資金収支報告書に記載しなかったのはあくまで政治資金規正法違反です。また、贈与を雑所得として申告しなかったのであれば、所得税法違反であり、どちらにせよ、公職選挙法とは直接は関係ありません。

正式裁判で争っている一人の佐藤一直前県議(以下、時々地元の有権者がされている同姓の筆者との混同を避けるため、一直さんとします。)。2007年に初当選。ずっと政党の推薦なしの無所属を貫いてこられました。4期つとめました。県議選2023を前に引退しています。一直さん本人によると、別に河井事件があったから引退したわけではありません。湯崎知事や平川教育長など執行部に対して厳しい姿勢で臨まれる、広島県議会では貴重な存在でした。選挙の手法は、後援会組織などには頼らず、政党からお金ももらわず、政策・政治姿勢本位のもので、この点は、見上げたものだと感じていました。また、伝統的にアンチ知事でもあった案里さんとの関係は良好で、別に克行受刑者がお金を渡さなくても、案里さんを支援した、と筆者は感じています。

そして、一直さんは7月12日に意見陳述書を提出しています。

検察側は、一直さんの公判でも政治資金収支報告書に克行受刑者からもらったお金を記載しなかったことを「買収資金だったと認識していた」根拠としています。ところが、そもそも、収支報告書に記載するな、と言ったのはなんと検察だったそうです。

「先程から検察が主張する「収支報告書を提出していない」ことですが、取り調べの時から、収支報告書をその後に提出することを我々議員は、検察に頑なに止められていましたが、それを理由に買収だと主張するからだと、今わかりました。」と一直さんは陳述書で語っています。

政治資金収支報告書に受け取ったお金を記載して提出するのを押さえておいて、あとで「お前、提出していないから被買収の認識があったのだろう」と追及する検察。こんなことを許せば恐ろしいことになります。

◆国会議員が地方議員に金を渡すことを禁じる立法を

議員たちが克行受刑者らからお金をもらったこと自体は決して褒められた話ではありません。政治倫理上、「李下に冠を正さず」だからです。また、地方議会は住民の立場に立ってガツンと国にも物申すべき場合があるからです。例えば、日本政府は核兵器禁止条約そのものに反対ですが、広島市議会では全会一致で核兵器禁止条約に入るよう、政府に求めています。地方議員が国会議員にお金をもらってしまえば、その舌鋒が緩む恐れがあります。

一方で、現行法では国会議員が地方議員に政治献金をすること自体は禁止されていません。多くの方が勘違いされていますし、マスコミ報道でもお金をもらった=即犯罪=という風潮があります。これは事実誤認です。筆者は、国会議員が選挙区内の地方議員に金を渡すこと自体を禁じる法律をつくるべき、と考えています。

今回の河井事件のような公選法上、疑惑を招くようなケースを予防するとともに、国会議員による地方議員への支配を防ぐためでもあります。それに先駆けて、広島県議会がそういう条例をつくるべき、と考えています。

ちなみに、前出の佐藤一直さんも、国会議員が地方議員にお金を配ることを禁止する法律をつくるべき、というスタンスです。

「やはり多くの方々が勘違いされている原因としては、お金のやり取りが許されていいはずがないと思っているから、マスコミもそう思っているからだと思います。だからこそ、私は個人的に誰からも受け取らないスタンスでやっていましたし、一般の人に渡したらいけないのと同様に、政治家同士でも禁止にする法律を作るべきだと思っています。」

◆改めて日本の検察・司法改革へ本腰を

袴田事件をはじめ、日本の検察による冤罪事件は後を絶ちません。多くの人は、そのたびに「検察は怪しからん」とは言う。だけれども、この問題を自分事としてとらえる人は存外少ないのではないでしょうか。

前出の佐藤一直さんも「そんな検察の、「監禁のような取り調べ」や、「司法取引のような自白強要」など、日本の検察の問題点も、この立場になって初めて気付くことができました。」と陳述書で述べておられます。それも致し方ないことです。

取り調べの際、諸外国のような弁護士同席を認めるなど、制度の改善を筆者も改めて強く要求するものです。

また、検察が起訴してしまえば、ほとんどが有罪となってしまう日本の司法の在り方。さらに、起訴されたらいかにも罪人のように報道してしまうマスコミ。そうしたことが繰り返されぬよう、司法へのチェックという目線をマスコミにも改めて強くお願いするものです。

筆者は、現在正式裁判で争っておられる皆様とは、政策や政治姿勢が異なる場合も多い。しかし、検察の強引な捜査は認められません。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)