基礎経済科学研究所・2024年度秋季研究大会が9月7日から8日、広島弁護士会館で開催されました。

7日、トップバッターとして元広島市長の平岡敬(たかし)さん(任1991-1999)に特別メッセージとしてご講演をいただきました。

 

平岡敬元広島市長(9月7日広島弁護士会館にて)

平岡さんは大阪市生まれで広島育ち。原爆投下時はソウルにおられました。中国新聞の記者から中国放送社長を務め、1991年の市長選挙では経済界や連合広島などに推されて、当時の広島市医師会長らを破って保守分裂の選挙を制し、初当選されました。

在任中は、広島アジア大会が開催され、そうした中で平和首都を目指すと宣言。米国での原爆展開催などに尽力されました。また1991年の平和宣言では、はじめて第二次世界大戦における日本の加害責任にも言及されました。

他方で、経済政策の面では、まさに平成不況の中で財政難にもがいた8年間でもありました。広島広域公園運動場に屋根をつけなかったためにワールドカップ2002の会場から漏れてしまったことは批判にさらされました。ただ、旧市民球場が老朽化して建て替えが必死だった中で、仕方がない面もありました。2期8年で勇退されたあとは、平和運動にまい進されています。今年97歳になられる現在もご活躍されています。

筆者は平岡さんの著書『希望のヒロシマ 市長は訴える』(岩波新書1996年)を大学時代に拝読し、感動。広島で政治家になる、最終的には広島市長か県知事か広島県選出の参院議員か、をめざすと決心した覚えがあります。

以下は平岡さんのお話しの概要です。

※               ※               ※

「広島が広島でなくなるのではないか?」という危機感を覚える。

先日、広島で開催された映画「オッペンハイマー」の試写会を見に行った。

元広島市長ということで、米国を含む海外メディアの取材を受けた。取材を受けた感想として、「まだ米国の人たちは後ろめたい思いがあったのではないか?」と思った。

一方で、米国政府は未だに原爆を正当化している。戦争を早く終わらせ、米軍兵士の命を救ったと今でも言っている。しかし、一方で後ろめたいのだ。

1945年、日本が敗戦すると、米軍は呉のイギリス軍とオーストラリア軍に広島市の占領も任せた。後ろめたかったのではないか? 米軍は表にでてこなかったのだ。

戦後、ずっと米国にとり広島は喉に刺さったトゲだったのだろう。そこで、なんとかヒロシマを封殺したいという米国政府の思いがあるのだ。広島の反核を封じ込めようという思いが顕著になったのだ。

2016年に当時のオバマ米国大統領が来広したあたりが、それが加速するきっかけになったのではないか?」米国内では、オバマが謝罪するのではないかと心配する声があった。そうした米国内の心配を打ち消すため日本政府はもちろん、松井一實広島市長も謝罪を求めなかった。

これは間違いだった。

生きている人がそんな事を言って良いのか。死者に対して傲慢ではないのか。

そして、広島で「死が空から降ってきた」とオバマが言ったときびっくりした。

自分は腹が立ったが多くの市民は黙って聞いていた。被爆者とオバマは抱き合った。世界は米国と広島は和解したと思ったのだ。

しかし、和解には色々条件がある。謝罪、補償、再発防止だ。(オバマ来広には)そのすべてがない。

その後も、日本政府は米国従属を強めた。特に党内基盤が弱い岸田総理はなりふり構わなかった。

安保三文書で日本の防衛政策は専守防衛から敵基地攻撃に変質した。

そして、米国は2027年にいわゆる台湾有事が起きる、と繰り返し煽っている。
戦争は突然起きるのではない、国家が起こすのだ。

広島市民は危機感が薄いと思う。危機感が薄くなる転機は2023年のG7広島サミットだ。

G7広島サミットでは、核抑止力肯定の広島ビジョンが出された。核の有用性を認めたサミットのビジョンに対して広島市民あまり怒らなかった。

日本政府や米国政府は広島市に圧力をかけていた。その結果、はだしのゲンや第五福竜丸が平和教育の教材から削除されてしまった。

また松井市長は米国が持ちかけてきた平和公園とパールハーバーとの姉妹協定を結んでしまった。

NHK朝ドラ「虎に翼」で取り上げられた原爆裁判では国際法違反判決が東京地裁で出た。いまの核兵器禁止条約のバックになっている。しかし、日本政府はその核兵器禁止条約に背を向けている。

いま、広島は(米国政府により)土俵際に追い込まれている。

やはり米国に謝罪させるのが核廃絶の一歩ではないか?

このままでは広島は寄り切られてしまう。広島に声援を!

※               ※               ※

筆者としては平岡さんのお話は我が意を得たようなものです。ここ数年の広島の行政・政治の米国への忖度はあまりにも酷すぎます。それも、国政の与野党問わず。

「これでいいのか?! 広島の政治・広島の平和行政」

そう叫びたい。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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立憲民主党代表選挙が9月23日、実施されます。

はっきり申し上げます。筆者は立憲民主党を全く好きになれません。とくに立憲民主党広島県連については、特に広島市政・県政においては新自由主義の湯崎英彦知事、媚米主義の松井一實市長に自民党の一部議員以上にすり寄っていることもあり、自民党より酷い面があると認識しています。

筆者は、
〈1〉立憲民主党が現在でも、旧民主党政権の反省をきちんとせず、無自覚に新自由主義的であること。
〈2〉立憲民主党のスターリン主義的体質
が立憲民主党代表選挙の争点としてきちんと議論されなければ、同党の未来は暗いし、政権交代も難しいと考えています。

◆公務員叩きに庶民増税 与党時代の「新自由主義」の総括は何処へ?

〈1〉の新自由主義体質については、「公約破り」の消費税増税とともに、2011年に発生した東日本大震災の復興財源を増税と公務員給料カットに求めてしまったのが決定的な誤りであると考えています。

復興は設備投資に近いものであり、税ではなく、それこそ事実上お金を刷って賄ってもよかったのです。

当時は「復興需要でドルを売って円に買うのでは?」という憶測から円高が進んでいたのです。もし、お金を刷るとすれば、アベノミクス期よりも、民主党政権後期のあのタイミングでした。

お金を刷ることと財政出動を併用し、過剰な円高を押さえれば、連合組合員たる輸出系大手企業労働者の離反もストップできたのではないでしょう。

また、公務員の皆さんも多くが自治労などの連合の組合員でした。大震災の復旧復興でてんてこ舞いなのに、給料をカットされたわけです。民主党や後継政党の立憲への不信感はかなりあるのではないか? このあたりも、実は、立憲が自民党に小選挙区において僅差で競り負けたり、都知事選挙でも、公務労働者が石丸伸二さんに流れたりする要因になったのではないでしょうか?

2012年当時はたしかに公務員叩きの維新(橋下徹さん)がウケていました。しかし、維新に行くような票を民主党が狙いに行っても維新とかち合うだけでした。

また、復興を名目に、さらなる介護労働者の処遇改善も見送られ、失望を招いたのも事実です。旧来の支持者=連合組合員たる大手企業正社員、公務員=を失った上に、新しい支持者=介護労働者などケア労働者=にも失望されたら勝てる選挙も勝てないのは当然です。

◆人を使い捨てにする立憲幹部独裁「スターリン主義」

 

8月31日に筆者の支持者らの前で講演される楾大樹先生

〈2〉については、あまりにもスターリン主義的な立憲幹部の態度が目に余ります。広島県内においては、筆者も立候補した参院選広島再選挙2021で以下のような問題点を感じています。

2020年段階で、権限のある旧立憲幹部が「檻の中のライオン」で有名な弁護士の楾大樹(はんどう・たいき)先生の著書をろくに読まないで公認候補者に内定していました。

2021年になると、合併後の立憲広島は、県内ではほぼ誰も知らない宮口治子さんを担ぎ出した。宮口さんは実は、立憲広島の事実上の最高権力者の森本しんじ参院議員の秘書の妻でした。そして、楾大樹先生のはしごを外した。

他方で、2021年1月末段階で推薦願を同党に打診していた筆者に対して、当時の立憲広島の幹事長(西区選出の県議)は「さとうしゅういち? メッセージもらっているけど無視しているから大丈夫だよ」と楾大樹先生を安心させる発言もしていたそうです。これらの経過については楾先生の『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)に詳述されています。

 

楾大樹著『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)

また、筆者は実はこの広島再選挙2021の告示直前に、「伊方原発廃止を含む原発ゼロを呑むなら降りていい」と宮口候補側に伝えました。しかし、電話をいただいた陣営の立憲県議から「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」というお言葉をいただいただけです。宮口さんが具体的な政策が分かっていないかどうかは本当のところはわかりません。しかし、立憲広島というのは政策がわからないと認識している人を担ぐということ。人を馬鹿にするというか、これこそ女性差別じゃないかと突っ込みたくなります。

また、ある立憲民主党員は「お前が立候補するなら縁を切る。俺の地域に二度と出入りするな」と脅しの電話を筆者に下さいました。その方の地域が選挙後ほどなくして大洪水に見舞われました。筆者は、その方の地域にボランティアに伺いましたがバツの悪そうな顔をされていました。こういう、自分たち以外を見下すスターリン主義は止められた方がいい。立憲幹部もきちんとそういう部分は党員を指導していくべきです。人間、いつお世話になるかわからないのだから。あまり下品なことはしないことです。

また、2021衆院選後、立憲広島は一回敗けただけの候補者、具体的には2区、3区、5区の候補者を各区の総支部長から事実上クビにしてしまいました。特に2区、3区の候補者は「市民連合」が一生懸命に応援したにも関わらず、です。

参院選広島再選挙2021でのあまりにも不透明な候補者選考過程。そして、衆院選後の候補者のあまりにも安易すぎる使い捨て。森本しんじ参院議員ら「エライ人」中心のいわば「スターリン主義」的な体質を改めないとアンチがどんどん増えるだけではないでしょうか?

具体的には、公開討論会や予備選挙を経た候補者選考の導入などです。よりオープンに。そして、納得感のある候補者選考。そして人を大事にする体質の構築が重要です。

◆ネオリベ知事・媚米市長に自民党以上にすり寄り

また、立憲民主党広島は、広島県政、市政での対応が酷すぎます。県政では維新も真っ青な米国民主党的新自由主義者の湯崎英彦知事を自民以上に持ち上げています。広島市政でも原爆を落としたことへの反省も謝罪もない米国政府のエマニュエル駐日大使にぺこぺこし、パールハーバーとの姉妹協定まで結んでしまった媚米主義の松井一實市長を自民党の一部議員以上に持ち上げています。正直、「自民党より、立憲がより少なく悪い」とも言えない状況が特に広島ではあります。もちろん、政党間の競争により、緊張感を持たせないと自民党もどんどん悪くなっていくのは事実です。だがいかんせん、立憲広島があまりも良くないのです。

こういうところを是正するためにはどうすればいいか。そういう議論をする代表選挙にしなければ、立憲民主党による政権交代は難しいでしょう。政権交代へ向けてどこと組むか、などという議論以前に、立憲民主党の体質そのものが問われるのです。

◆金権腐敗・自民 VS 権威主義・立憲という不毛な構図脱却を

筆者がこういうことを申し上げると、「自民党の方が酷いのだから自民党を批判しろ」と言われる方も立憲民主党のみならず、立憲民主党と共闘する日本共産党の支持者からも出てきます。だが「自民党の方が酷いのだから」といっても、立憲民主党が現状の新自由主義的・スターリン主義的権威主義的体質を引きずっていていいことにはなりません。このままだと

金権主義の自民 vs スターリン主義・権威主義・立憲
という不毛な選択を有権者が迫られるだけです。

また、広島県政・市政レベルだと立憲が自民以上に県民・市民に害悪な存在になっています。

日本共産党の皆様にも申し上げたい。立憲民主党が押し付けてきた候補者をほいほいと推薦し、同党を甘やかしてきた結果がいまではないのか?ということです。

日本共産党は日本共産党で、スターリン主義的な体質があり、志位和夫さん、田村智子さんらの気に入らない者はすぐに除名、除籍になる。そんな党だからこそ、強引に、立憲のいい加減な候補を推しても党内的にはまかり通ってしまったのでしょう。しかし、もう限界です。このままだと、空中分解もあり得るでしょう。

市民連合も市民連合です。今後は、立憲民主党への苦言をきちんとしていくべきだ。2021衆院選で政権を取れなかった以上、当然です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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8月中旬、米国のエマニュエル駐日大使が今秋の大統領選挙後、離任することが明らかになりました。ハリス候補が大統領選挙で当選した場合は、政権の要職に加わる見通しとのことです。

◆「どぶ板」で日本人の心をつかんできたエマニュエル氏

エマニュエル駐日大使は、2022年3月、岸田総理の招きで広島を訪問し、原爆慰霊碑に献花をしました。

そのことから、広島でもエマニュエル氏に好感を持っている人も少なくありませんでした。また、現在も日本各地を自転車旅行されるなど「どぶ板」で日本人の心をつかんでいる感はあります。

しかし、筆者に言わせれば、エマニュエル駐日大使ほど酷い駐日大使は日本を見下す方はいなかったと思います。そして、国際平和文化都市広島を米国忖度都市「HIROSHIMA」に変えようとしたのはこの男である。そのように断定せざるを得ません。

◆一線超えたエマニュエル氏のLGBT推進デモ参加

エマニュエル駐日大使は、東京・渋谷で行われたLGBT法案を推進するデモにも参加されました。外国政府の代表(天皇の接受を受ける)がこうした行動をとるのはいかがなものか?米軍による諸犯罪を糾弾する左翼の皆様からも、このことに対する懸念や批判は寡聞にして存じません。筆者ももちろん、米軍による諸犯罪は糾弾してきましたし、日米地位協定の改定も進めるべきだと思います。

しかし、そうであるならば、エマニュエル駐日大使の上記行動も批判しなければダブルスタンダードではないでしょうか? そうした左派のダブスタもエマニュエル氏をつけあがらせ、後述する広島や長崎への高圧的態度へ、と暴走させた原因になっているのではないか? 悔やまれます。日本国内のLGBTに関する施策についてはあくまで、日本に住む市民とその代表者たる国会や地方議会で決めるべきです。

同大使のデモへの参加は一線を越えたと言わざるを得ない。こういうことで米国政府の力を借りてしまった左翼の皆様にも猛省を促したい。

◆広島にパールハーバーと平和記念公園の協定締結「強要」

そして、LGBT法案成立で「調子ぶっこいた」のか、エマニュエル駐日大使は、2023年5月のG7サミット中に、広島市の松井一實市長に対して、パールハーバーと平和記念公園の姉妹協定を結ぶよう打診して来たそうです。さすがに、松井市長もすぐに締結することは避けましたが、議会や市民にある時期までこのことを隠したまま、突然、6月末に協定を締結すると発表。東京にいたエマニュエル氏に「謁見」し、協定を締結してしまいました。報道によれば、協定の案文等も広島市の主体性はまったくなく、松井市長は米国側に丸投げしたそうです。

そもそも、パールハーバーは現時点でも軍事施設です。核兵器を含む攻撃拠点です。今も昔も太平洋のど真ん中のこの場所の戦略的重要性は変わりません。

もちろん、大日本帝国海軍が宣戦布告の前にパールハーバーを攻撃してしまったのは国際法違反と責められても仕方がない。しかし、もう日本が降伏寸前の状況で、多数の民間人を虐殺した米国による原爆投下と「おあいこ」になる性質のものではないでしょう。

また、大日本帝国が広島や呉を出撃基地として中華民国を侵略したり、米国との戦闘中に東南アジアで現地の方の命を奪ったりしたのも事実であり、国際法違反です。しかしながら、米国にあれこれ言われる筋合いのものではありません。日本政府は、1995年のいわゆる村山談話で一定の総括はしています。広島市は1991年の平和宣言で当時の平岡敬市長が日本の加害責任にも言及しています。

米国は、現在もヒロシマ・ナガサキへの原爆投下について謝罪もしていませんし、反省もしていません。

その状態で、姉妹協定を、というのは、一体何様のつもりか? それを議会にも諮らずに受けてしまう松井市長も松井市長です。

◆日本政府よりも米国忖度? 平和記念式典における松井市長の姿勢

その広島市の松井市長は2022年以降の平和記念式典ではロシアとベラルーシを招待しませんでした。式典の円滑な実施のためと言うのが理由ですが、それを言い出したら米国だってイラクやシリア、アフガンなど中東諸国を空爆しまくりで相当イスラム過激派の方々には恨みを買っています。米国標的のテロなどいくらでも起きています。ロシアを招待することが米国以上のリスクになるとも思えません。やはり、明らかに米国への忖度が働いた、と言わざるを得ない。

そして、2024年の平和記念式典では、パレスチナ国は招待しないのにイスラエルは招待を続けていました。ロシアも確かに核威嚇はしていますがイスラエルだって閣僚がガザへの核使用を示唆しています。ロシアを呼ばないならイスラエルも呼ばない。それかどちらも呼ぶか。さもなければ筋が通りません。

一方で、長崎市の鈴木市長は、ロシアとともにイスラエルも招待しませんでした。その結果、エマニュエル駐日大使が音頭を取って、日本以外のG7諸国の大使が欠席をしたのです。

少なくとも、この間の松井市長の行動は明らかに何かに忖度している。その忖度の対象は岸田総理なのかな?と思っていたのですが、どうも、そうではなさそうだ。言うほど地元広島で岸田さんは人気がないからです。また、日本政府自体、パレスチナ国の国連加盟に賛成するなど、G7諸国では突出してパレスチナに配慮しています。となると、松井市長のこの2年間の行動は日本政府への忖度ではない。やはり、エマニュエル駐日大使に忖度、というのが正しいのではないか。

以下のエマニュエル駐日大使のSNSにある写真が全てを物語っているのではないか?

原爆を落とされた方が、落とした方に頭を下げる。普通は逆ではないでしょうか?

◆これ以上の米国忖度は国際情勢の危機加速に

そもそも、これ以上、米国による原爆投下を広島が米国政府による反省も謝罪もなく許した、と思われることは他の核保有国との関係でも好ましくありません。「実際に使った米国が許されるなら、威嚇くらいいいじゃないか?」。そのように中露英仏印パ朝、そしてイスラエルが言いだしたらどうするのか?大変なことになりかねない。

そして、パレスチナへのイスラエルによる侵略を是認すると思われるスタンスを広島が取ればどうなるでしょうか?ますます、「お墨付きを得た」とばかりにイスラエルは図に乗ります。

そういう状況では、例えば、ロシアによるウクライナ侵攻への批判はますます難しくなるでしょう。

中華人民共和国による領空侵犯はもちろん非難されるべきです。しかしながら、例えばいわゆる台湾有事についてはどうか?

「他人の土地を侵略しているイスラエルはどうなのか?イスラエルが無罪放免なら、台湾はあくまで国内問題だからお宅らには関係ない」

と中華人民共和国により反論されたらどうするのか?

イスラエルによるパレスチナ侵略・虐殺及び米国によるイスラエル甘やかしを放置しておけば、中国、ロシアに対しても非難がしにくくなることは間違いありません。

◆エマニュエル駐日大使離任機に米国忖度から脱却を!

いくら、エマニュエル駐日大使に頭を下げても米国は核実験を強行しています。そして、たかがイスラエルを呼ばなかったくらいで長崎の式典をG7総団結で集団欠席したエマニュエル駐日大使。明らかに日本をというより、日本人を下に見ています。そもそも、エマニュエル氏はシカゴ市長時代に黒人少年射殺事件で映像を隠したことで批判されています。

筆者はトランプ氏ら共和党が良いとは言いません。しかし、米国民主党も人権、民主主義、ジェンダー平等などご高説を垂れる割には、結局のところ、昔の白人帝国主義から本質は変わっていないのです。黒人虐殺の情報を隠すのも、原爆投下を謝罪・反省しないのも彼らの中では「善」なのです。ある意味ではトランプ以上にたちがわるいかもしれないのです。もちろん、筆者も米国から見れば外国人です。米国大統領選挙は見守るしかない。しかし、どちらが当選しようが、広島がやるべきことは決まっています。過剰な米国忖度から卒業することです。

筆者は、具体的に行動を呼びかけています。

ひとつは、引き続き、パレスチナ虐殺をやめるよう呼びかけ続けること。

ひとつは、平和記念式典の原理原則を立て直すこと。「パレスチナ国代表を招待してください」という請願は紹介議員を確保し、9月議会で審議していただく予定です。

そして、パレスチナ問題について勉強のため、ダニー・ネフセタイさん講演会を広島で開催します。

◆元・イスラエル軍兵士が語る「平和」 
 イスラエルの歴史と今・そして日本~ダニー・ネフセタイさん講演会IN広島

もうすぐ、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への侵攻・虐殺が激化してから1年になろうとしています。ガザ地区では連日のように多くの命が奪われる状況に終わりは見えず、中東全体にも戦火が広がろうとしています。そもそも、なぜ、こんなことになってしまったのか?

 そして平和をつくるために、日本・広島に住むわたしたちはどうすればいいのか?

イスラエル軍の元兵士で現在は日本で木製家具職人の傍ら日本全国を「非戦・平和」等をテーマに講演されているダニー・ネフセタイさんにお聞きします。

日時 2024年9月18日(水) 18時開場 18時半スタート
場所 広島市東区民文化センター工作実習室 
(〒732-0055 広島市東区東蟹屋町10-31 広島駅から徒歩約10分) 
資料代 1000円
主催 広島瀬戸内新聞 
連絡先 佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

◎ダニー・ネフセタイさん プロフィール
1957年、イスラエル生まれ
1975年 高校卒業後、徴兵制によるイスラエル軍入隊。空軍にて3年間兵役を務める。
1979年 退役後、アジアの旅に出る。日本各地をヒッチハイクなどで旅をし、交流を深める。日本語学校にて更に深く言葉を勉強しその後神奈川の家具会社に勤める。
1988年 東京より埼玉県皆野町金沢へ引っ越す。木工房ナガリ家を開設。
1999年 皆野町金沢・出牛に自宅のログハウスを夫婦で自力建設。

現在は、夫婦で注文家具、遊具、木工小物、社会性オブジェの創作活動。ギャラリー にて個展、グループ展など多数開催。「世の中を良くすることも物づくりをする人間の指名である」という信条を持ち戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
WEBサイト https://nagariya.handcrafted.jp/ 

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日本共産党さんが 就職氷河期世代の星とも言えたまんが評論家の紙屋高雪さんこと神谷貴行さん(福岡県委員会所属)を8月6日付けで除籍しました。

私・神谷貴行は、2024年8月6日付で日本共産党から除籍されました。
また、本日(2024年8月16日)付で日本共産党福岡県委員会から解雇されました。
これらについてはいずれも到底承服できないものです。
詳しくはまた別の機会に書きたいと思います。

紙屋さんは、流行語大賞にもなった「ごはん論法」の考案者の一人としてもよく知られています。また、福岡市長選挙2018では、人気の高い現職の高島市長を相手に10万票近く、25%近い得票率で大健闘しました。

その紙屋さんに対して日本共産党は、日本共産党内でも、それなりに慎重な手続きが必要な「除名」(松竹伸幸さんが受け、現在裁判所で是非を巡り係争中)ではなく「除籍」といういわば「手抜き」の手法を取りました。

しかも広島原爆の日の8月6日に除籍です。「何をやっとるんじゃ!?」と憤りを禁じえません。それとともに、「やっぱり」という感想もあります。日本共産党のあまりに独善的な体質が、むしろ最近ひどくなっているように思えるからです。

例えば、党外の筆者に対しても、日本共産党の方は、以下のような事件を起こしています。2023年2月、原爆ドーム前での集会の際に、日本共産党員の方が筆者を取り囲んで、筆者が立候補する選挙区の変更を迫るという事件を迫ってきました。

結局、自分の言うことを聞かない人間には強圧的。これが日本共産党の体質なのです。これを改めないと、労働問題などでせっかく良いことをおっしゃっていても、ドン引きされてしまうのではないでしょうか?

◆日本共産党への疑問〈1〉他の既成政党と変わらぬ湯崎知事に対する腰砕け

筆者は最近、共産党さんについての疑問があります。そのひとつは、いつのまにか、湯崎英彦・広島県知事が広島駅北口に建設を予定している巨大病院構想への批判、それに伴って南区宇品にある県病院を潰すことへの批判をやめていることです。

筆者は、今年度になって、日本共産党の広島市議にこのことについて、ばったりお会いしたときにうかがったところ、「新巨大病院が上手くいかないのはわかっている。ただ、うちとしては県病院の跡地利用をどうするか?という話にシフトしている」と気まずそう(半ば逃げ出すような姿勢)で目を逸らしながらおっしゃいました。

そして、安佐南区内の有権者の方によると、『共産党は知事と裏で手を組んで系列の医療・福祉系法人が県病院の跡地に食い込めるように画策しているらしい。』というわけです。ある区内の医師は湯崎英彦・広島県知事を毎回推薦する自民党支持の方ですが、その方でも、「あの巨大病院構想はおかしい。そして知事と組もうとする共産党もおかしい」と憤っておられます。

選挙の時は、共産党さんはいかにも知事の姿勢に反対のようなことを言って、筆者の古くからの支持者の方の中でも共産党さんに流れた人がかなりおられました。しかし、選挙が終わればこの有様です。これこそ「政治屋」と言わずして何というのでしょうか?

◆日本共産党への疑問〈2〉平和記念式典2022でのロシア排除を批判せず

今年、広島平和記念式典ではロシア・ベラルーシは引き続き排除にもかかわらず、イスラエルは招待、パレスチナは招待せず、と言う状況でした。この状況に大きな批判が起きましたが、そもそも、日本共産党さんも、2022年の最初のロシア・ベラルーシ排除の時点では、何も文句を松井市長に対して言っておられません。保守系の平岡敬・元市長の方がこの現市長の姿勢を批判していたくらいです。もちろん、筆者も「すべての国と地域を呼ぶべき」との原理原則を当時から明らかにしています。

◆自民・維新自滅も、立共もスターリン主義で伸び悩み石丸バカ受け

岸田総理が8月14日、退陣を表明しました。「裏金で引責」と総理はおっしゃいますが、新自由主義を脱却すると言いながら、いつのまにか「貯蓄から投資へ」誘導し、保守層も含む皆様に株価暴落で損をさせたことで行き詰まったとみるべきでしょう。そんな岸田さんでも維新系の兵庫県・斎藤元彦知事よりは、『より少なく悪い』かもしれません。実際に、秘書給与詐欺で捜査されている広瀬めぐみ参院議員も『観念』したか、議員辞職しました。

維新系の斎藤元彦知事にいたっては、真面目な職員が二人も亡くならなければならない状況を造り、小橋理事や井ノ本総務部長ら側近を切り捨ててまでいつまでも居座る構えです(8月17日現在)。そして、斎藤元彦知事を維新の兵庫県議やネット上の大阪維新支持者が必死で庇い続けています。

だが、立憲・共産の野党もいわゆるスターリン主義的な体質で伸び悩んでいます。立憲民主党さんは楾大樹先生著「茶番選挙 仁義なき候補者選考」に見られるように、候補者=人を大事にしません。そして日本共産党は就職氷河期世代の星でもあった紙屋高雪さんを排除するなど人を大事にしない。確かに、これでは、あの石丸伸二さんがバカ受けしてしまうのもやむを得ないのでしょう。

◆日本共産党との違いをさらにご説明せざるを得ない

正直に申し上げます。筆者も最近は、地域の皆様に対して、

「わたしは、志位和夫さん、田村智子さんに逆らっただけで除名・除籍するような日本共産党の幹部のみなさんとは違います。わたしは自民党議員の方も含めて個々人の人権を尊重する真の人権派です。」

「例えば、河井事件で起訴された自民党議員についても『疑わしきは被告人の利益』に、と言うスタンスです。日本共産党のみなさんのように、何でもかんでも有罪にしろといわんばかりのスタンスではありません。倫理と有罪・無罪は別問題だ。わたしはそういう意味では人権派・庶民派の保守だ。」
と申し上げています。

これは、新自由主義で暴走を続ける湯崎英彦・広島県知事や松井一實・広島市長、特に前者に待ったをかける政治家・活動家が日本共産党と、一部の保守、そして筆者くらいしか存在しない広島の事情もあります。そのせいで、日本共産党と同じとみなされてしまうと筆者としても全く困るからです。筆者は何でもかんでも排除、の日本共産党とはむしろ180度違う。

ただ、岸田さんのような「貴族保守」でもなく、湯崎英彦・広島県知事のようなネオリベでも、松井一實市長のような媚米でもない。個人の人権と庶民の暮らしを重視する保守。そのためには、現知事らを庶民が打倒する平和的な「革命」も必要だ。これは、スターリンや毛沢東が独裁する「共産主義革命」とは違う。これが筆者のスタンスです。

例えば、湯崎英彦広島県知事から広島の政治をあなたの手に取り戻し、#広島の水と食べ物 #広島の教育 #広島の医療 を取り戻し、#広島とあなたを守る #ヒロシマ庶民革命 に日本共産党員・支持者の方「も」個人としてご参加いただくのは大歓迎です。これは、#政党支持なしの方「も」、#自民党支持の方「も」、#維新支持の方「も」大歓迎なのと同様です。

また、所属する労働組合においては、組合の上司の多くは日本共産党員や支持者の方です。筆者も、数少ない「庶民派保守系の組合幹部」として介護・保育などケア労働者や、これまで制度の谷間におかれてきた非正規公務員労働者の抜本的な待遇改善を軸に取り組んでいくことには変わりはありません。

しかし、今回の紙屋高雪さん除名に見られるいわゆる「スターリン主義」的な体質の延長線上に、筆者らに共産党さんにばかり都合の良い行動を強要してくるのはご免こうむります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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◆「懸念」と言えば聞こえはいいが、事実上の「脅し」だった

8月9日の長崎平和祈念式典。長崎市の鈴木史朗市長は「平穏かつ、厳粛な雰囲気のもとで円滑に式典ができるように」することを理由に、イスラエルを招待しませんでした。一方で、パレスチナ国代表は招待しています。

広島市がイスラエルを招待する一方で、パレスチナを招待しなかったのとは対照的です。

こうした中で、7月の段階で既に、エマニュエル駐日米国大使が音頭を取って、米独英仏伊加の日本以外のG7やEUが長崎市に対して、イスラエルを招待しないことへの懸念を表明していました。懸念と言えば聞こえはいいですが、「イスラエルを招待しないと、俺たちは大使級の出席は見合わせるぞ」という事実上の脅しでした。

そして、8月9日、米独仏伊加やEUの大使級の姿は長崎平和公園にはありませんでした。それでも、過去最多の国が長崎平和祈念式典に参加されたそうです。改めて、鈴木史朗・長崎市長の毅然たる対応を支持したい。

もちろん、そもそも、ロシア・ベラルーシもイスラエルも両方招待するのが平和行政の原理原則であると筆者は考えます。しかしながら、ロシア・ベラルーシを円滑に運営するためと言う理由とは言え、すでに招待しない決断をしている以上、イスラエルを招待しないというのは筋が通っています。

そして、今回のG7―日本の対応は、まさに自称先進国の高慢さを世界にあぶりだしたと言えます。

◆「イスラエル万歳」姿勢を天下にさらした米独英仏伊加欧 

米独英仏伊加は、イスラエルを招待しないことを、ロシア・ベラルーシとイスラエルを同列に見なすことになる、としていました。だが、2023年10月7日以前のイスラエルはパレスチナ人の土地を奪い続けていました。今ほどではないですが空爆も続けていました。これを侵略者と言わずしてどういうのでしょうか? もちろん、ハマスによる10月7日の攻撃は、国際人権法違反です。これはこれでICCにより関係者に逮捕状が請求されています。侵略に対する防衛側であっても国際人権法を守らなければいけないのです。

他方で、当然、イスラエル首相のネタニヤフ被疑者と国防相のガラント被疑者にも逮捕状は請求されています。プーチン大統領が逮捕状を出されているロシアとイスラエルを同列にみなされて何が悪いのか? 米独英仏伊加のこんな「イスラエル万歳」姿勢がネタニヤフ被疑者をさらにつけあがらせ、犠牲者を増やしているのではないでしょうか?

◆変わらぬ「日本人は欧米先進国を忖度してくれるだろう」という思い上がり

そして、今回、エマニュエル駐日大使らから感じたのは、「日本人は、我々欧米先進国を忖度してくれるもの」という思い上がりです。実際に、残念ながら、広島市長は、脅される前から、イスラエルは招待し、パレスチナは招待しないという選択を取ってしまいました。しかし、長崎市長は違いました。そこで、「この野郎」とでも逆上したのでしょう、エマニュエル駐日大使は、欧州諸国にも呼びかけ、長崎平和祈念式典をボイコットしたのです。

◆原爆の日=祝賀会=セレブレーション 米報道官失言

さて、今回の件について記者会見した米国政府のミラー報道官は「原爆の日」のことを「セレブレーション=祝賀会」と言ってしまいました。これは、結局、原爆は戦争を終わらせたのだからめでたい、という米国のエライ人たちの本音を暴露しただけではないでしょうか?結局、「変わっちゃいない」です。

◆「反省無き」米国に忖度し舐められる広島

さて、広島は2023年、G7広島サミットを開催しました。そして、その後、広島市の松井市長は軍事基地であるパールハーバーと平和記念公園の姉妹協定を結んでしまいました。筆者は「米国政府は原爆の謝罪も反省もしていないのに随分おめでたいなあ」とあきれ果てていました。案の定、G7広島サミットから1周年の5月19日、米国が核実験をしたことが発覚しています。広島は完全に米国・バイデン大統領に舐められています。

米国の国会議員が「ガザをヒロシマ・ナガサキのようにすべきだ」などと暴言を吐いた時も松井市長は抗議もしませんでした。筆者が広島市長なら「こちらが低姿勢に出ればつけあがりやがって」とキレそうですが、この松井市長は違うようです。そして、今なお、舐められていることへの怒りも感じられません。

◆ダブスタの米英仏独伊に忖度無用!

結局、日本人の命もパレスチナ人の命も米英独仏伊加にとっては軽いものということが今回あぶりだされました。いくら、米英独仏伊加が民主主義だの人権だの「ご高説」を垂れていてもそういうことなのです。広島の平和行政もこれを参考に今後の在り方を考えるべきです。アジア大会1994を広島は開催しています。そのアジア大会にはパレスチナは来てくれました。核兵器禁止条約にもパレスチナは参加してくれています。

核兵器禁止条約を推進する平和首長会議と横の連携を引き続き重視すべきです。その上で、広島・長崎に核兵器禁止条約の締約国会議を招致したらどうでしょうか。その上で、核保有国=米英仏ロ中印パ朝イに迫っていくべきです。ヒロシマもナガサキも、米英仏独伊などの政府に対して礼儀は尽くすにしても、忖度はする必要はないでしょう。

◆ガザでのジェノサイド終結へ粛々と行動!

ともかく、筆者と広島瀬戸内新聞では、ガザにおけるジェノサイド終結、中東和平へ向け、粛々と行動していきます。

9月18日には、元イスラエル軍兵士・ダニー・ネフセタイさんをお呼びしての講演会を開催します。また議会への請願を通じて、広島市にも粘り強く米国忖度の路線からの軌道修正を働きかけていきます。

◆元・イスラエル軍兵士が語る「平和」 
 イスラエルの歴史と今・そして日本~ダニー・ネフセタイさん講演会IN広島

もうすぐ、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への侵攻・虐殺が激化してから1年になろうとしています。ガザ地区では連日のように多くの命が奪われる状況に終わりは見えず、中東全体にも戦火が広がろうとしています。そもそも、なぜ、こんなことになってしまったのか?

 そして平和をつくるために、日本・広島に住むわたしたちはどうすればいいのか?

イスラエル軍の元兵士で現在は日本で木製家具職人の傍ら日本全国を「非戦・平和」等をテーマに講演されているダニー・ネフセタイさんにお聞きします。

日時 2024年9月18日(水) 18時開場 18時半スタート
場所 広島市東区民文化センター工作実習室 
(〒732-0055 広島市東区東蟹屋町10-31 広島駅から徒歩約10分) 
資料代 1000円
主催 広島瀬戸内新聞 
連絡先 佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

◎ダニー・ネフセタイさん プロフィール
1957年、イスラエル生まれ
1975年 高校卒業後、徴兵制によるイスラエル軍入隊。空軍にて3年間兵役を務める。
1979年 退役後、アジアの旅に出る。日本各地をヒッチハイクなどで旅をし、交流を深める。日本語学校にて更に深く言葉を勉強しその後神奈川の家具会社に勤める。
1988年 東京より埼玉県皆野町金沢へ引っ越す。木工房ナガリ家を開設。
1999年 皆野町金沢・出牛に自宅のログハウスを夫婦で自力建設。

現在は、夫婦で注文家具、遊具、木工小物、社会性オブジェの創作活動。ギャラリー にて個展、グループ展など多数開催。「世の中を良くすることも物づくりをする人間の指名である」という信条を持ち戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
WEBサイト https://nagariya.handcrafted.jp/ 

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

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今年も8月6日がやってきました。

筆者は今年も平和記念式典に参加。原爆犠牲者の皆様を追悼するとともに核兵器廃絶、世界恒久平和を改めて祈りました。

 

「関所」での手荷物検査

筆者は、6時過ぎに広島市東区の自宅を出ると、バスで平和公園近くまで向かいました。

原爆ドーム前まで向かうと行列ができていました。「関所」で手荷物検査を行っていました。 

広島市は、「法的根拠はない」としながら、プラカードやビラ、幟、拡声器の持ち込みを禁止するとしています。筆者はこの日、別の行事で使う予定のプラカードやビラをカバンに入れていました。

原爆ドーム前の「関所」では、年配の女性警備員が「これは何ですか?」とビラやプラカードについて質問されました。筆者は「これは、ただの紙です。ここでは。」と押し通しました。何度か同じ問答を繰り返しましたが「これはただの紙です。ここでは。」でなんとか、「検問」を突破しました。この際、ペットボトルの内容物を「一口飲んでください」と言われました。黄色のリストバンドをつけさせられました。

原爆ドーム前では、新左翼系市民団体が、前日の22時頃から座り込みをされていました。筆者はそのまま平和公園へと向かいました。

そして平和公園中心部の式典会場前では今度は金属検査をされました。金属検査はわからなくはありません。

金属検査をパスすると青のリストバンドをつけさせられました。

8時、平和記念式典が始まりました


◎[参考動画]平和記念式典終えて 広島瀬戸内新聞ニュース号外 さとうしゅういち

◆「平和記念式典」の挨拶「だけ」は素晴らしい湯崎英彦知事

 

筆者

広島市議会議長の式辞、そして献花、広島市長の平和宣言、子どもたちの「平和への誓い」、岸田総理の挨拶、広島県知事の挨拶、そして国連事務総長の挨拶と続きました。

広島市の松井一實市長は平和宣言の中で、「市民社会」を強調されました。ただ、市民社会を強調するのであれば、原爆ドーム前まで手荷物検査を課す規制区域にする、それも法的な根拠もなしにすると言うのは矛盾した対応です。

岸田総理の挨拶は、予想通りと言いますか、核兵器禁止条約はもちろん、核の先制不使用にすら言及しないお粗末なものでした。

広島県の湯崎英彦知事のあいさつが、一連の要人の発言では最もインパクトがあり、拍手も大きかったように思えます。

「現代では、矢尻や刀ではなく、男も女も子供も老人も銃弾で撃ち抜かれ、あるいはミサイルで粉々にされる。国連が作ってきた世界の秩序の守護者たるべき大国が、公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる。それが弥生の過去から続いている現実です。

いわゆる現実主義者は、だからこそ、力には力を、と言う。核兵器には、核兵器を。しかし、そこでは、もう一つの現実は意図的に無視されています。人類が発明してかつて使われなかった兵器はない。禁止された化学兵器も引き続き使われている。核兵器も、それが存在する限り必ずいつか再び使われることになるでしょう。」

には、全くその通りとうなずかざるを得ません。また、

「現実を直視することのできる世界の皆さん、私たちが行うべきことは、核兵器廃絶を本当に実現するため、資源を思い切って投入することです。想像してください。核兵器維持増強の十分の一の1.4兆円や数千人の専門家を投入すれば、核廃絶も具体的に大きく前進するでしょう。」

は、知事の元通産官僚、またIT企業経営者としてのいい意味での感覚も反映されていると感じました。

湯崎英彦知事は、「本業」の県政では、三原本郷産廃処分場など産廃問題が深刻なのに「放置プレイ」だったり、平川理恵・前教育長の官製談合事件を「改革の副作用」と庇うなど問題ありまくりです。ただ、この8月6日の挨拶だけは素晴らしい。さすがは、原爆の社会的影響について研究されてきた広島大学総合科学部教授の湯崎稔先生のご子息だ、と思います。

◆島根再稼働・上関貯蔵施設・岸田原発推進に抗して 中国電力前で街宣

 

中国電力前で反原発の街宣

式典終了後、中国電力前で反原発の街宣に参加しました。

今年は、島根原発再稼働反対や昨年のこの時期に持ち上がった上関貯蔵施設反対、そして、広島選出の岸田総理が進める「原発推進」(安倍晋三さんすらやらなかった)への批判が大きなテーマです。

各弁士からは島根原発については、周辺の能登半島と似た活断層が多数ある中で、多くの断層が連動した能登半島大震災が元日に発生。そうした中で、再稼働は無謀だ、という指摘がされました。

上関への中間貯蔵施設の建設については、岸田総理の原発再稼働政策で核のゴミが関電で溜まってしまい、行き場がないという中で、中国電力が救いの手を差し伸べたわけです。

また、原発推進については、これからはAI関連のデータセンターが電力を食うから原発だ、という議論が横行しているが、諸外国のデータセンターではグリーン電力を使っていることを売りにしており、そうでないと使ってもらえない、ということも紹介されました。

3.11から13年が経過し、「原発は必要かも」という雰囲気も広がる今日この頃。しかし、騙されないよう、きちんと勉強していくことの重要性を感じました。

◆田上・前長崎市長の講演を初めてお聴きする

 

「8.6ヒロシマ平和の夕べ」

午後は「8.6ヒロシマ平和の夕べ」に参加。田上富久・前長崎市長らのお話を伺いました。田上さんは、筆者同様、若くして公務員を辞めて政界にチャレンジされた方です。今回、初めて、お会いできました。「平和のために市民社会ができること」です。

田上さんはまず、「現役核弾頭」が増えており、核軍拡は進み、核軍縮は後退していることを紹介。こうした中で被爆地は1.被爆の実相を伝える 2,ズレをただす 3、ネットワークを広げる 4,次の一歩を示す 5,ゴールを示し続ける 役割を果たしてきたとしました、

そして、平和のために市民社会にできることとして、せめぎあいを超える力として「平和の文化を広げる」こと。

知っているのと知らないのでは大きな違いが出てくるので、これを埋めていくこと。また、歴史と文化について学んでいくこと、等を上げました。

これについては、数年前、ブラジルのカーニバルで原爆をテーマにした出しが登場し、その際、ネット上で「裸踊りで原爆を茶化すとは何事か?!」的な炎上があったことを紹介しました。

カーニバルは、真面目なテーマを取り上げるものであるというブラジルの文化への理解が日本人に不足していたこと。SNSで反応してしまい、本来は味方である人たちを敵視してしまうことになる、と田上さんは警鐘を鳴らしました。この山車はちなみにカーニバルのテーマである「知の力」の悪い例として原爆を取り上げたのです。ブラジルの現地の広島や長崎の県民会も協力し、出演者も出していたのです。

◆「市民の平和記念式典」にパレスチナ駐日大使招待

6日夜は、原爆ドーム対岸で、パレスチナ駐日大使と広島・日本の市民の対話集会がオンラインで開催されました。広島市の松井一實市長は、平和記念式典にイスラエルを招待する一方で、パレスチナは招待しませんでした。こうした中で「市民による平和記念式典」となりました。

最初にワリード・アリ・シアム・パレスチナ駐日大使からお話がありました。


◎[参考動画]#freepalestine パレスチナ駐日大使登場 原爆ドーム対岸市民集会 広島瀬戸内新聞ニュース8.6号外 さとうしゅういち

「女性も子どもも日常的に軍隊のターゲットになっている。わたしたち非戦闘員、一般市民の避難所となっている学校が攻撃され、何千人もの人が死に、捕虜として束縛している。占領軍は死者をわざと掘り起こし、ガザとヨルダン川西岸でジェノサイドを行っています。」と糾弾。

その上で、「パレスチナを招待し、イスラエルの招待を見送った「平和と」長崎市を称賛するとともに、パレスチナは招待せず、イスラエルは招待する広島市の姿勢に「永続させる人たちに招待状を送るいっぽうで、わたしたちの声がなかったかのようにする」ことは「広島の掲げてきた正義に反する」と憤りを示されました。

その後、広島・日本の市民から質問などがありました。

筆者は、11524人の署名を集め、パレスチナ代表を平和記念式典に招待するよう広島市長宛に要請したことを報告。その上で、広島市側が「朝鮮は核兵器禁止条約に入っていないから招待する。パレスチナは入っているから招待しない」と回答したことを紹介。

 

オンライン署名『平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください』(QRコード)

「核兵器禁止条約に入っている国こそ大事にしないといけないと思う。今のパレスチナのおかれた状況(イスラエルによる侵略・虐殺)を止めることに全力を挙げるので、どうか、(広島市のこの無礼に懲りずに)核兵器禁止への広島の取り組みに今後もご協力いただきたい。」とお願いしました。

「パレスチナは核兵器は絶対ダメだという立場だ。核兵器だけでなく、核戦争、戦争そのものに反対しています。戦争自体は絶対ダメだという意識がある。イスラエルの軍は、合意を必ず覆して武力で抑えようとしてくる。それを覆すのは市民の力だ。声を上げること、署名をすることは一つ一つが希望だ。パレスチナ人だけでなく世界の人々にとって必要な声です。」などと回答いただきました。

なお署名「平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください」自体は「広島市議会」への請願として9月議会までお願いし続けます。宜しくお願い致します。


◎[参考動画]#freepalestine 原爆ドーム対岸で『市民による平和記念式典』広島瀬戸内新聞ニュース号外  のハイライト 13:19 – 18:18 さとうしゅういち

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

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2024年8月6日の広島市主催の広島平和記念式典。以下のような問題点があります。

◆米国忖度・イスラエルひいき問題

2022年以降、ロシアとベラルーシを招待していない。にもかかわらず、核兵器を実際に使用した米国や、2023年10月以降、報復と称して侵略・ジェノサイドを激化させているイスラエルは招待。そしてパレスチナ国代表は招待しない。

また、2023年5月のG7広島サミットを契機に、平和記念公園と「原爆を反省・謝罪していない」米国の軍事基地・パールハーバーの姉妹協定も締結してしまった。
そうした一連の流れの中で、結局、米国忖度・イスラエル寄りの行事と化しているのではないか?

◆G7以降の過剰警備・過剰規制問題

 

 

昔(コロナ前)は平和記念式典に参加するのに手荷物検査等はなかったのですが、記憶に誤りがなければ(コロナ明けの)G7広島サミットを契機に式典会場のあるエリアの入り口に『関所』が設置されるようになりました。

そして、2023年の式典の際、新左翼系の市民団体と右派系市民団体の間に入った市職員が尻もちをつくという「事件」を口実に、新左翼活動家多数が逮捕されるという不当逮捕事件が起きました。暴力行為法違反ということで、まるで、例えば、8月5日現在、バングラディシュで起きているような暴動のようなイメージもマスコミによって流布されました。

そして、この『事件』を奇貨として、広島市は法的根拠もないのに、今度は原爆ドーム前にも『関所』を設け、手荷物検査を実施。プラカードやビラを持っていても入場禁止にするという構えを見せています。

たしかに、市民団体の街宣の音量が高いという苦情があったのも事実です。しかし、その規制とて、表現の自由との関係から、最大限慎重にならなければならない。それなのに、さらに、式典と関係ない原爆ドーム前でサイレントに平和を訴えたり、あるいは、企業や学校の原爆死没者を弔う集会もできなくなったりするわけです。

過剰警備・過剰規制は過剰な人権の制約であり、人権侵害である。人権侵害というのは平和とはいえないのではないでしょうか?

◆8月5日夕方の動き

さて、8月5日は、17時過ぎ、警察労働者多数が、原爆ドームへの入口から平和公園方面へぞろぞろと入って行かれました。

下記の動画の9秒から17秒くらい。筆者の背後を警察労働者の行列が入っていきます。


◎[参考動画]これで良いのか?!!広島平和記念式典 いよいよ8.6前夜原爆ドーム前 広島瀬戸内新聞ニュース8月5日号外

原爆ドーム前にはすでに『関所』が出来上がっています。また、原爆ドーム周辺の植え込みでは警察労働者が猛暑の中、不審物がないかどうか捜索しておられました。

松井一實・広島市長の法的根拠のない過剰規制・過剰警備のために、熱中症のリスクの高い仕事をさせられる警察労働者も大変だな、と心から感じました。

 

オンライン署名『平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください』(QRコード)

◆パレスチナ国を平和記念式典に招待してください 署名を提出

これより先、7月30日、筆者はさとうしゅういち個人名で呼びかけたオンライン署名『平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください』(QRコード)を広島市長宛に広島市市民活動推進課田中係長様に提出しました。

短期間で、しかも個人でよびかけた署名に1万1524人がご賛同いただきました。意見交換の中で、パレスチナについては「日本政府が承認している」か「核兵器禁止条約に入っていない」のどちらの招待基準に該当しないということを伺いました。朝鮮=金正恩氏=については核兵器禁止条約に入っていないから招待するというわけです。

確かに広島市としてはそういう基準で招待していても、結果として、イスラエルは招待し、パレスチナは招待しないという風に外部からは見える。そして実際にパレスチナ代表部が激怒していたわけです。

筆者は「長崎はパレスチナを招待しているのだから、長崎にできることが広島にできないはずはない、最後まで、可能性をあきらめないでいただきたい」とお願いしました。

また、1994年のアジア大会の時はパレスチナも参加し、アジアの国を一国一館運動で応援していた。しかし、G7広島サミットを契機に米欧にばかり目が向いている傾向もあるのではないか。それは今後、自治体としての戦略的にもまずいのではないか?というお話もさせていただきました。

 

 

今後、9月議会会期中に「請願」の形で広島市議会にも提出する予定です。引き続き、ご署名をお待ちしております。すでに広島市長宛に提出した分と合わせて提出させていただく予定です。今後、市長をチェックする議会できちんと議論をしていただくことを望みます。

また、愛知県では、県がイスラエルと事業連携することに反対する署名運動も起きています。こうした運動とも筆者は連帯していきたいと考えています。

このオンライン署名に賛同をお願いします!

「愛知県はイスラエルとの事業連携をやめてください! Aichi-Israel マッチングプログラムの中止を求めます #NoTechForApartheid」 https://chng.it/HFNLBBvcNd @change_jp より

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

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◆平和記念式典 ── これではまるで戒厳令だ!

8月6日に行われる平和記念式典2024の準備が広島市中区の平和公園周辺で進んでいます。右の写真をご覧ください。

 

この写真の立て看によると、なんと、原爆ドーム周辺も含む平和公園の入場口では手荷物検査を行い、さらに、平和記念式典のメイン会場になる参列者席では金属検査まで行うというのです。プラカードや幟の持ち込みも法的根拠もなく禁止し、従わない場合は、排除されるということです。平和記念式典どころか、戒厳令です。

2023年の平和記念式典の際、原爆ドーム前で新左翼系の市民団体と広島市役所の職員が押し合いになり、職員が尻もちをつくという「事件」が発生。当該新左翼の事務所などが警察に強制捜索を受け、暴力行為法違反で逮捕者が出るという事態になっています。

「暴力行為法違反」というとまるで、TVで良く報道されるフランスでの暴動などを思い起こしてしまう人も多いのではないでしょうか? しかし、実際にはそういうことではなく、現場で、左派系市民団体にプラカードで「静粛に」と抗議する右派系市民団体との間に入った市職員で、尻もちをつかれた方がおられたということです。正直、かなり、強引な法適用でした。そもそもこの規制自体が「平和記念式典の最中に新左翼系の団体が大声で演説しているので自粛してほしい」という話から出てきたものです。それ自体も表現の自由から慎重になるべきところです。

2021年に平和推進条例で厳粛に式典を行うということが盛り込まれましたが、規制の根拠はありません。ところが、2023年の「事件」を契機に、これまで規制のなかった原爆ドーム前も含めて規制区域にするという流れが加速。議会でも、社民党と保守系無党派の一部議員の反対だけで、規制を推進する決議が可決された経緯があります。(日本共産党は、委員会レベルで対応が分かれており、本会議では賛成に。どなたか議員が除名されるかと思っていたのですがそういうことはおきなかったようです。最近流行?の松竹伸幸さん、鈴木元さんらの共産党員の除名・除籍騒動は、志位和夫さん・田村智子さんらに反抗した場合にのみ適用されるのでしょうか?)

ともかく、まるで戒厳令です。法的根拠もなくこんな規制をする。松井一實市長の独裁的な姿勢に懸念を抱きます。こんな窮屈な平和記念式典なら、参加したがる人が減ってしまうのではないか? そう懸念します。

◆湯崎英彦知事が建設の「G7広島サミット記念館」で被爆アオギリが衰弱

下の写真をご覧ください。奥の建物は、湯崎英彦広島県知事が公園の所有者の広島市(松井市長)の許可を得て原爆資料館の北側に建設した「G7広島サミット記念館」です。ところが、その工事の過程で手前の木=アオギリの根が切断され、衰弱してしまいました。このアオギリは、元々は、爆心地から1.3kmの中国郵政局内にあったもので、被爆時には爆心地側の半分が焼けただれてしまった。

しかし、見事に、生物としての復元力を発揮し、焼けただれた側も、新たに生えた細胞が覆い、元気に伸びていきました。1973年5月にこの平和公園の原爆資料館北側に移植されました。被爆証言で有名な沼田鈴子さん(2011年、87歳で逝去)がこの木の下で証言をされたことでも知られています。

また、アオギリの衰弱については、当初、太陽光線がG7広島サミット記念館に反射して起きたという見方もあり、記念館の壁には光を吸収する黒いシートが貼られています。

また、同時に、アオギリの歌が流れてくるパネルも故障中でした(7月25日現在)。

さて、ご紹介した平和記念式典の過剰警備。そして、アオギリの衰弱。これらは、米国忖度の末にあるのではないか? その結果、広島自身の価値を暴落させ、広島の自滅につながっているのではないか? そのことを象徴しているのではないか?と思います。
 

[左]衰弱した被爆アオギリ。[右]アオギリの歌が流れてくるパネルも故障中(7月25日現在)

◆国力低下と「ダブスタ」で権威低下の米国

パレスチナにおけるイスラエルによる侵略・虐殺(実際はガザだけではない)を放置する一方で、ロシアは非難し、ウクライナ支援という、米国政府のダブスタは、さらに米国の権威を低下させています。

米国自身もいわゆる「ポリコレ」を推進する一方で、国内の経済格差が拡大・放置され、矛盾・不満が蓄積しています。正直、インド、中国と言ったアジア諸国が勃興する中で米欧の相対的な地位の低下は避けられなかったが、パレスチナ問題でのダブスタぶりはさらに傷を深くするでしょう。

さて、米国の三大黒歴史といえば、先住民虐殺・アフリカ系(黒人)奴隷問題・核兵器使用です。事実を率直に申し上げる。中国もロシアも朝鮮も核兵器は持っているけど使ったことはございません。ところが、米国は二度も使っているのです。これは、動かせない事実です。

そうした中で、米国はG7広島サミットという機会になんとか、核兵器使用を黒歴史でなくそうとしている。具体的には米国側のきちんとした謝罪も反省もない形で広島にうやむやにしてもらうことです。

それなら、「核兵器使用なんてたいしたことなかった」ということにできます。広島市はG7広島サミットを前にしてはだしのゲンや第五福竜丸を削除しました。諸説あるが、G7広島サミットでお見えになるバイデン大統領のお目を汚さぬように、と見るのが素直な見方でしょう。

そして、広島サミット2023で、採択された「広島ビジョン」。結局、米国の核兵器保有を正当化するものでした。否、オバマ政権が一時期積極的だった核兵器の先制不使用すらない酷いものでした。しかし、米国側からいれば、米国にゴマをする宣言を広島で出させたことに意味があります。そうしておいて、サミット一年後の2024年5月にバイデンは核実験を行った(情報を漏らした)。完全に広島はバイデンに舐められています。

また、米国政府は、広島市に「パールハーバー記念公園」と平和記念公園の姉妹協定を申し込みました。松井市長は議会にも諮らずに突然、この協定を結ぶことを発表。エマニュエル駐日大使と締結しました。2024年度からは関連予算が執行されています。

米国政府は繰り返すが、ヒロシマ・ナガサキと言う原爆使用はまったく反省も謝罪もしていません。その状況で広島が米国政府と結んでしまうということは、米国政府の大きな外交的勝利です。すなわち、極論すれば、今後の核兵器使用について広島からお墨付きをもらった、ということです。

◆日本政府以上に米国忖度「HIROSHIMA」に変質する松井広島市政

そして、広島市は2024年の平和記念式典にイスラエルは呼ぶ一方で、ロシア・ベラルーシは2022年、23年同様、呼ばない。そしてイスラエルに侵略されているパレスチナは呼ばないという。

まさに、米国政府が大喜びの対応だ。日本政府ですら、いまや、パレスチナの国連加盟は支持している。先日、イスラエル人入植者=侵略者への経済制裁も決めた。広島市は、日本政府以上に米国に忖度している。

「米国忖度のHIROSHIMAへ」変質です。岸田総理でなければこういうことはなかったでしょう。広島でサミットを開かないからだ。安倍でも高市でもあり得ない展開だった。岸田総理と言うのは、米国側にとって大チャンスだったのです。そのチャンスをものの見事にものにしたのです。

逆に、広島で安倍晋三さんを支持していたような右寄りの方の中には原爆慰霊碑の解釈は『米国が謝罪する内容だと解釈すべきだ。日本人まで主語と言うのは自虐だ』という方も多くおられます。ただ、そういう方も松井市長が教育勅語を利用していることで、松井市長への批判を緩めている部分があります。松井市長は、米国忖度への右派からの批判を緩めるために教育勅語を使っている可能性もあります。

◆米国ら大国指導者の独善を自治体の横の連携で抑えるのが広島の役目

しかし、米国の独善が「対広島」で通ったように見えても、落とし穴が待ち構えています。それは 「核兵器を使用した米国すら広島に許されるなら俺たちだって核を持っても、軍拡をしても許されるだろう」という方向で、ロシアも中国も朝鮮もインドもパキスタンも、今渦中のイスラエルも、加速しかねないということです。

松井市長は市民社会、と言うことを良く強調される。それなら米国政府と結ぶのではなく、既存の平和首長会議を強化すれば良いだけだ。ホノルル市も平和首長会議に入っている。核兵器禁止条約推進で頑張っている。自治体同士のスクラムを強めて、国家の指導者に迫っていく。それが地方行政としての平和運動の王道です。いくら広島が世界の広島といえども、たかが一市長が単独で超大国米国をどうこうしようとしても利用されるだけです。

そして、繰り返しますが、松井市長は市民社会とおっしゃる割には、法的根拠もなく、平和記念式典に入場するときの手荷物検査、さらにはプラカードや幟の禁止区域を広げた。騒音が問題だと言いながら、いつのまにか、サイレントで平和を訴えることも禁止と言うことです。

◆アジア大会でのパレスチナ参加・一国一館運動はどこへ

さて、30年前の1994年、広島広域公園をメインに広島アジア大会が開催されました。いわゆる1993年のオスロ合意でパレスチナ和平が盛り上がったかに見える中で、パレスチナ代表も来られた。「これからはアジアの時代だ。」当時の平岡敬市長や藤田雄山知事もそういう雰囲気でした。

ところが、現在の松井一実市長は、どう見ても米国忖度の行動ばかりです。そして、湯崎英彦知事も、平和記念公園の原爆資料館の近くに「G7広島サミット記念館」を建設。ところがその作業中に被爆アオギリの根っこを切ってしまうという失態で、アオギリが衰弱しています。

米国忖度で広島の価値が暴落している現状を表しているようにも思えます。

◆米国の権威低下の中でいかに人権や環境を守っていくか

次期米国大統領にトランプがなろうがハリスがなろうが、米国の権威低下は避けられない。ハードランディングかソフトランディングかの違いはあるだろうが。広島は広島で米国の力低下を見通して、いかに人権や環境を守っていくか。そういう議論を発信していくべきです。

たしかに米国、とくに民主党は、人権とか環境を表面重んじてきましたが、他方で戦争しまくり、経済侵略しまくりでした。(トランプはアンチ・ポリコレの反面、戦争を新たに仕掛けることはなかった)。戦争こそ最大の人権侵害であり、環境破壊であることは論を待ちません。

とはいえ、米国の権威の低下により、とくに女性の人権、あるいは環境と言った価値が「米国の道連れ」で低下しかねない懸念はあるのも現実です。とくに、日本は米国に人権を与えられた、という神話(本当にそれが事実かは別問題。戦前から「虎に翼」に見られるように頑張っておられた先輩もたくさんいたのだが)が強い国です。米国の権威低下の中で、どう一人一人の権利を守っていくか、環境を守っていくか。そういう議論を発信していくことは大事です。

また、元日に大震災に見舞われた日本だけでなく、パレスチナの豪雨、中国の豪雨や米国のハリケーンなど、世界的に豪雨、熱波、そして地震や火山など自然災害が大きな犠牲を起こしています。そして、食料や水の安全保障に暗雲が垂れ込めています。そういう部分で世界が協力していき、信頼醸成を図っていくということが今緊急課題です。本当は戦争なんぞしている場合ではない。この10年で何度も豪雨被害に遭った都市でもあり、世界最初の被爆地でもある広島からそういった議論を展開していくことが重要ではないか?

しかし、残念ながら、広島市長は米国忖度で暴走。広島県知事も8.6の平和記念式典のあいさつは悪くはないものの、肝心の「本業」の県政で、産廃問題について放置プレイなど「平和」とは言えない状況がある。足元から広島の政治を市民、県民の手に取りもどしていく。その取り組みが必要ではないでしょうか?

まず、原爆ドーム前でFREE GAZAのスタンディングをされている団体が8月6日の夜、パレスチナ駐日大使をオンラインで招待しています。こちらにもお時間があえばご参加お願いします。

◆FREE GAZA RAVE
 8月6日 広島平和公園
 原爆ドーム 向かいの川岸
 19:30 start – 23:00 end
 #StopGenocide #freepalestine
 8月6日 19:30-20:00

FREE GAZA RAVEのオープニングにパレスチナ大使がエジプトからオンライン参加決定! スピーチと市民とのコミュニケーションを予定しています!19:30-20:00で市民集会をやりたいです!ご協力よろしくお願いします!

当面、筆者と広島瀬戸内新聞は署名運動に取り組むとともに、勉強会なども開催していきたいと考えています。

署名運動は以下です。筆者が個人で呼びかけています。

このオンライン署名に賛同をお願いします!「広島市長への要請:2024年の平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください」
https://chng.it/RFChMmQyFc @change_jpより

7月中に一度集約し、広島市長と議長に提出。その後も、来年以降のことがあるので、継続して取り組んでいきます。

勉強会としては以下を予定しています。

◆楾大樹先生「檻の中のライオン」講演会WITHお好み焼き

 

広島県前教育長の官製談合。兵庫県知事のパワハラ、おねだり。鹿児島県警本部長による不祥事隠ぺい疑惑。権力のある人による暴走のニュースが相次いでいます。こうしたことを防ぐにはどうすればいいのか?

権力のある人をライオンにたとえ、対処法を皆様に全国1000か所でお話ししてこられた弁護士の楾大樹先生。今回は、お住いの地元・祇園でお好み焼きを交えながら、楾大樹先生のお話をうかがいませんか? お待ちしております。

日時 8月31日(土)12時-15時
場所 鉄板焼き居酒屋じゅげむ 広島市安佐南区祇園2-2-2
料金 2500円(クリアファイル、お好み焼き、ウーロン茶付)

楾大樹先生の「檻の中のライオン」講演会を「じゅげむ」にて開催予定です。お好み焼き+ウーロン茶+クリアファイル付きです。お待ちしております!

ビールなども飲んでも構いませんが(笑)、それは別料金です。人数確認の必要があるため、お申し込みは8月27日(火)までに佐藤まで。
090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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任期満了に伴う三原市長選挙が7月21日、告示されました。

 

選挙ポスター。三原本郷産廃処分場近くで筆者撮影

新人で前の市議会議員の田中裕規さん(64)
新人で前の市の教育長の計田春樹さん(69)
2期目を目指す現職の岡田吉弘さん(39)
の3人が立候補されました。

2020年8月9日執行の前回選挙は、河井案里さんの参院選広島2019を巡る買収事件に伴い、前市長が辞職したために行われたものです。この点が、実は、東京都知事選挙2024で大善戦された前安芸高田市長の石丸伸二さんと全く同じです。ついでに言えば、岡田さんも石丸さんも両方とも京都大学ご出身の若手、という共通点があります。

選挙が告示された21日、筆者は、三原本郷産廃処分場近くの公営競技の場外売り場を家族の趣味に付き合い、訪れていました。開場まで時間があったため、処分場周辺の状況を確認させていただきました。

処分場から流れ下ってくる水路に近づくと硫黄のようなにおいがしました。色は茶色で、少しペロッとなめると、一瞬、塩辛い味がしました。その瞬間だけなのかもしれませんが、何が入っているかわからない。そういう状況です。

この水路は右下の写真の手前へ流れ、地域の農業用水となっている日名内川に合流します。これでは、安心して米作りなどできるはずがありません。

◆悪質産廃業者、そして業者ズブズブの湯崎英彦知事が起こした惨状

 

処分場から流れ下ってくる水路の水

三原本郷産廃処分場(JAB協同組合経営)は三原市の水源のど真ん中にある2020年に地域住民や議会の反対を押し切って湯崎英彦・広島県知事が許可をしてしまいました。住民側は裁判を提起して許可取り消しを求めますが、2022年秋から処分場が稼働開始。2023年6月頃には汚染水流出が発覚しました。

さすがに広島県もJAB協同組合に警告を出しましたが、一度水質検査をして「合格」になっただけで、警告を解除。一方、同じころ、広島地裁は「知事が設置許可を出す判断過程に看過できない過ちがあった」として、産業廃棄物処分場の許可取り消しを命じる判決を言い渡しました。

しかし、湯崎県知事はこれを控訴しました。そして、控訴審からは事業者であるJAB協同組合が県側に加勢=補助参加=するありさまです。湯崎英彦知事は悪質な産廃業者とズブズブであることを隠しもしなくなったのです。

そうこうするうちにも、汚染水流出は継続。しかし、2023年9月に定期の検査をして以降は、産廃処分場内の水質検査をしていなかったのです。「法律で定められた定期検査はしている」と県側は言い逃れています。それはそうなのですが、これだけ悪臭や泡が立っている状況で、抜き打ち検査もしないとはどういうことでしょうか? 現状では広島県は全く当てになりません。

そもそも、廃棄物処理法(廃掃法)は極めてザルです。形式さえ整っていれば、産廃処分場は作って良いというものです。その中でも、いわゆる安定型処分場は「安定している物を捨てる」と称して、シートもなしにゴミを捨てて良い、というものです。実際には、「安定しているもの」に猛毒物質などが混じっているわけですが、展開検査をするだけで、詳しく調べるわけではないのです。

その結果、1980年代、1990年代には香川県の豊島をはじめ、各地で大問題になりました。そこで、広島以外の多くの都道府県や産廃処分場ができそうな市町村では、「水源を守る条例」「水道水源保護条例」などが制定されました。ところが、広島県だけはその流れに遅れてしまったのです。

00年代以降は、多くの産廃が広島を目指すようになりました。三原本郷産廃処分場(写真、岡田和樹様SNSより)に来ているのも多くは群馬や長野などの関東甲信越地方から来たゴミです。あるいは、不適切盛り土で問題になっている上安産廃処分場(JAB協同組合が開発し、拡張後に外資系巨大企業に売り飛ばす)も多くが他府県のゴミです。そして、福山などでも汚染水流出問題が発生。東広島市安芸津でも巨大な産廃処分場が計画されています。

住民裁判の原告共同代表の岡田和樹さんによると他の都道府県では、ゴミの持ち込みの際にも抜き打ちで検査をしているそうです。それも広島県はしない怠慢ぶりです。

廃掃法を上回る条例はない。国の法律の枠内で独自に抜き打ち検査をすることすらもない。許可の手続きもいい加減。これで、惨劇が起きない方がおかしいし、現に起きています。

◆福島原発事故による放射性廃棄物も流入の疑い

こうした中、福島原発事故による放射性廃棄物も流入している疑いがあります。3.11後、広島県は2012年段階では、まだ一期目だった湯崎英彦知事の独自の判断で、100ベクレル/kg以上放射能で汚染されたゴミの県内持ち込みを禁止したのです。ところが(湯崎知事が大差で再選された)2014年に条件付きとはいえ、8000ベクレル/kgに緩和。三原本郷産廃処分場についていえば、福島周辺の十二都県から12回の搬入があります。

住民の請求で情報公開されても、黒塗りで実態がわからないのです。県が業者の主張鵜呑みで、測定もせずに放射性廃棄物が入り込んでいる可能性があるのです。
廃掃法では、放射性廃棄物チェックできない。岡田和樹さんたちは、いま、何をしたら良いのか考えているそうです。

◆三原市が独自条例も不十分な内容

これまでにご紹介したように、湯崎英彦・広島県知事は産廃業者と「完全にグル」です。そして、その言い訳として、「廃掃法では書類と検査データが整っていれば許可するしかない」というものです。しかし、広島地裁では、検査データのとり方そのものが不十分だったわけで、そうした点が違法とされたわけです。それでも控訴をした知事は全く、県民を守る気はなく、業者とグルということです。

そうであるならば、市民に最も身近な市長と議会が住民と水を守るしかありません。それには、法的根拠である条例策定です。三原市民たちは、産業廃棄物処分場計画が持ち上がった段階で、「水源を守る条例」をつくる運動を進めてきました。そして、ついに2024年4月、三原市当局が条例制定へ向けたパブコメを実施しました。

 

岡田和樹様SNSより

ところが、岡田吉弘・三原市長が2024年6月定例市議会に出してきた条例案は、問題だらけでした。市民の要望や市民への意見聴取会、250以上のパブコメ意見、市議による質疑などで求めてきた最低限度の実効性も削られていました。さらには、住民の責務として「特定事業者の立場を尊重しなければならない」という文言が組込まれ、水質汚染を受ける被害者という立場の住民側を縛り、被害者側に「解決に努めなければならない」と求める条文が加えられる始末です。 

「これでは、水源保全をするための目的は果たされず、業者側に忖度し業者の立場を保全してしまう事になると言う前代未聞の内容となっていたのです。全国的に見てもこんな条例は存在せず、三原市の姿勢を問うものとなっていました。」(原告団共同代表・岡田和樹様)

そこで、議会中、住民たちは問題個所を修正するように指摘。市民とともに動く多くの議員と、修正案を練り上げ、各会派や個々の議員に問題と修正への理解を話し合いながら伝えていきました。その結果、6月12日の委員会で市民側の修正案が議員提案で可決。しかし6月18日の本会議では残念ながら当局側の原案が成立し、多くの課題を残しました。

◆汚染激化の中で三原市長選挙突入

そして、7月に入り、深刻な異臭が確認されました。これまで、住民の通報などに冷たい対応だった広島県と県警も重い腰を上げ、調査・捜査に乗り出しました。

また、三原市の7月の独自調査では、日名内川のCODの値が農業用水としての基準を上回ったことも発覚しました。こうした中で、三原市長選挙が告示されたのです。

◆「市民に寄り添う産廃対応」二新人、「個別の案件については意見交換しない」現職

前市議の田中さんは街頭演説などで「本郷産業廃棄物処分場の対応はまったく県の言いなり状態で、地域の市民の皆さんに寄り添う姿勢が見られない」と厳しく批判しておられます。

前教育長として元校長として長年三原の教育を支えてこられた計田さんも、「住民に寄り添った本郷産業廃棄物処理場の対応をします。」と公約しておられます

他方で、岡田吉弘市長は、選挙事務所でのミニ集会で岡田和樹さんが「汚染水が出て、住民に実被害が出ている本郷処分場問題に対する公約を出してほしい。また、意見交換の場を設けてほしい」と要望しましたが、吉弘さんは「印象操作はしないでいただきたい。個別の案件については、候補として意見交換しない」とのことでした。

終了後、一対一で和樹さんが「敵対心を持たないでいただきたい」と話すと、吉弘市長は「あなたが敵視している」趣旨の返事がありました。

和樹さんは吉弘市長に対して、「司法でも許可の違法性が問われ、三原市民8割の水道水源で進行している汚染水問題。

地域住民として実被害もでて、死活問題である本郷処分場問題に対して、この3年9ヵ月市長として何をしてきたのか。今回の市長選挙では、市長候補として、本郷処分場問題や困窮する市民にどう向き合うのか問われます。2018年から地域住民の方たちとともに求め続けてきた問題だけに、非常に寂しく今後がとても不安な気持ちになりました。」とコメントしておられます。

最近、選挙や政治を巡るマスコミやネットでの言説では、「石丸旋風」などに見られたように、若者が持ち上げられる一方で、「老害叩き」「シルバー民主主義批判」が流行っています。しかし、現実には「若い方が市民から乖離」ということも、この三原市における産廃問題などのように大いにあるのです。そのことに注意していきたいものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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2024年8月6日の平和記念式典について、広島市は、以下の方針です。

2022年、23年同様、ウクライナ侵攻中のロシアと同盟国のベラルーシは招待しない。

ガザで大虐殺を続けるイスラエルは招待する。

パレスチナは招待しない。

 

2023年の長崎平和祈念式典、同市ホームページより

他方で、8月9日。長崎市は、ロシア・ベラルーシを招待しない点は広島と同じですが、イスラエルは招待せず、パレスチナは招待する方針です。

こうした中、パレスチナ政府の駐日代表部は広島市に対して旧ツイッターのXで「破壊の被害者として知られ、平和を訴える広島市がパレスチナを招待しないのは衝撃的です。この決定はダブルスタンダードです」と抗議しました。当然のことです。

筆者は平和行政の原理原則としては平和記念式典には「すべての国と地域を招待するべき」と考えています。

というのも、広島と長崎への原爆投下という形で、世界で最初に核兵器による虐殺を行った米国「さえ」招かれているのです。米国を招待する以上、それ以外の他の国や地域を排除する理屈は成り立ちません。

ロシアはウクライナ侵攻において、核兵器による威嚇を行っています。それは核兵器禁止条約にも反し、許しがたい。だが、米国は現に核兵器を使っているわけです。当時の国際法規においても、核兵器使用は違法であることは当時の大日本帝国政府も米国政府宛ての抗議文で明らかにしています。

◆ロシアは排除、イスラエル招待……筋が通らぬ広島市

松井一實・広島市長は平和記念式典にイスラエルを招待するということです。だが、ロシアやベラルーシを排除しておいてイスラエルを招待するというのも理屈に合わないことです。

イスラエルの首相・ベンヤミン・ネタニヤフ被疑者は既にロシアのプーチン大統領同様にICC=国際刑事司法裁判所から逮捕状を請求されています(プーチン大統領については発行済み)。

この点に関しては、ロシア・ウクライナも、イスラエルも招待しない、という長崎市の方が筋は通っている。ただ、長崎市についてはロシアの同盟国ベラルーシを排除するなら、なぜイスラエルの後ろ盾の米国を排除しないのか?という疑問が出てきます。

今後は、広島でも長崎でも平和行政の在り方をもう一度議論し、合意形成を図っていく必要があるとは思います。

◆日本政府が国家承認していない朝鮮にも招待状 

広島市は、パレスチナを招待しない理由に、日本政府が国家承認していないことを挙げています。16日の記者会見で松井市長は、国家を「人をまとめる単位」としています。

一方、広島市は日本政府が認めていない朝鮮(金正恩氏)に対しても招待状は送り続けています。この点をみても、広島市の対応ははなはだ矛盾しています。

◆日本政府自体もパレスチナの国連加盟には前向き

そもそも、日本政府自体も、4月のパレスチナの国連加盟を求める決議案に賛成票を投じています。同じ西側諸国でもスペインやアイルランドなどがパレスチナを国家承認しています。日本政府も、パレスチナを正式に国家としては承認してはいないものの、国家と同等のものとして認識はしているということです。

広島市の松井市長は、日本政府のこのようなパレスチナを国家として認める前向きな変化にも水をかけているのです。正直、松井市長は、日本政府に対してというより、米国政府、それもシオニスト寄りの勢力に過剰に忖度しているのではないか?そんなことさえ考えてしまうのですが、これって「陰謀論」でしょうか?

◆1994アジア大会、広島に来てくれたのは「パレスチナ」

1994年、広島でアジア大会が開催されました。42の国と地域が参加しました。その時、パレスチナは参加しています。ちょうど前年にパレスチナ和平でいわゆるオスロ合意がなされ、パレスチナにおけるイスラエルとパレスチナの二国家併存が動き出した直後でもありました。

イスラエルについては、アジアではあるのですが、パレスチナでの蛮行から、アジア大会を主催するOCA(アジアオリンピック評議会)から拒否されています。このように、アジア大会で広島に来てくれているパレスチナは招待せずに、イスラエルを招待するのはおかしいのではないですか?

◆16日にようやく「来年の招待方法」見直し

広島市長は16日になって、ようやく「来年」の招待方法の見直しを打ち出しました。しかし、何を悠長なことを言っているのですか?

イスラエルは招待し、パレスチナは日本政府ですら事実上国家として認める方向なのに、招待しない。広島がむしろ、日本政府以上にイスラエル寄りだということを世界に示してしまいます。

ちなみに筆者はイスラエルを呼ぶな、という市民団体の署名には苦渋の決断でサインしています。ただし、条件付きであり、それはイスラエルの後ろ盾である米国、広島に原爆を投下しておいて、まったく反省のない米国も招待しない、ということとセットであるならば、ということです。筆者は、むしろ、パレスチナを招待することに運動の総力を挙げた方がいいという考え方です。

だいたい、ウクライナ戦争により、ロシアやベラルーシを排除することについては「即決」している松井市長。別に条例の改正も必要ないのです。パレスチナを招待すれば良いじゃないですか?

◆平和都市から米国忖度戒厳令都市へ変質する今年の「8.6」

それはともかくとして、2023年のG7広島サミット以降、広島市も広島県も米国への忖度は異常です。2023年度からは広島市の公立小中の平和教育資料から小学校ではだしのゲン、中学校で第五福竜丸が削除されました。サミットを前に、原爆について謝罪も反省もない米国への忖度は明らかです。

広島県の湯崎英彦知事も、G7広島サミットを顕彰する記念コーナーを修学旅行の小中高生が休む場所も削ってまで建設していますが、その落成の日に、米国の核実験が発覚する有様です。

そして、今年の平和記念式典では、原爆ドームを含む平和公園全体への入場に当たり、手荷物検査を実施すると言う。法的根拠もないけれども拒否すれば退去を命じることもあるという

 

米国に忖度し、米国になめられる。そして、イスラエル寄りを世界に見せつける。こんな広島で良いのか?!

広島がむしろ、イスラエルによる虐殺や、その後ろ盾の米国が反省も謝罪もしていない核兵器使用にお墨付きを与えてしまうのではないか?情けないがこれが現実です。

しかし、これも、岸田文雄総理を広島一区で当選させ、湯崎英彦知事、松井一實市長に四期と言う長期政権を任せたつけであります。平和都市ヒロシマを取り戻すためにも庶民の手に広島を取り戻す庶民革命を。

筆者と広島瀬戸内新聞は呼びかけ続けます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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