《NO NUKES voice》2022年こそ核兵器禁止条約に日本は参加を! さとうしゅういち

2017年8月7日、採択され、9月20日に署名が始まった核兵器禁止条約。2021年1月22日、批准・加盟国が50ヶ国に達してから90日を経過したため、発効しました。

原爆ドーム。長崎原爆の日の8月9日に筆者撮影

ガイアナ、バチカン、タイ、メキシコ、キューバ、エルサルバドル、パレスチナ、ベネズエラ、パラオ、オーストリア、ベトナム、コスタリカ、ニカラグア、ウルグアイ、ニュージーランド、※クック諸島、ガンビア、セントルシア、サモア、サンマリノ、ヴァヌアツ、南アフリカ、パナマ、セントビンセント及びグレナディーン諸島、ボリビア、カザフスタン、エクアドル、バングラデシュ、キリバス、ラオス、モルディブ、トリニダード・トバゴ、ドミニカ、アンティグア・バーブーダ、パラグアイ、ナミビア、ベリーズ、レソト、フィジー、ボツワナ、アイルランド、ナイジェリア、※ニウエ、セントクリストファー・ネイビス、マルタ、マレーシア、ツバル、ジャマイカ、ナウル、ホンジュラス、ベナン カンボジア、フィリピン、コモロ、セーシェル、チリ、モンゴル、ギニアビサウ(58ヶ国) 
※=オブザーバー参加 2021年11月ノルウェー、2021年12月ドイツ

核兵器禁止条約は、核兵器の開発・実験・生産・製造・取得・貯蔵はもちろんのこと、核兵器による威嚇も禁止しています。核兵器を包括的に違法とする初めての国際法です。また、核実験による被害者に対する援助および環境の修復についても定めている点も画期的です。

これまでも、「非核兵器地帯」は東南アジアやアフリカ、中南米、モンゴル、太平洋など各地にできています。核兵器禁止条約は、世界を対象にひろげた上で内容も充実させたものです。

わたくし、さとうしゅういちの父親は広島市内の被爆で全焼した地域に1945年の7月まで住んでいました。引っ越しが遅れればわたしは存在しませんでした。東京で過ごした小学校時代には、たまたま広島で被爆した経験をもつ先生に担任をしていただき、薫陶を受けました。高校時代には井伏鱒二の小説「黒い雨」に感動しました。そんな、わたしにとっても、核兵器禁止条約は悲願です。

◆日本政府は条約に反対

日本政府はご承知のとおり、「核兵器保有国と非核兵器国の橋渡しをする」といいつつ、アリバイ程度の国連決議を毎年の総会に提出する以外には、ほとんど何もしていないのが実態です。基本的には、アメリカの核抑止力に依存するから、何も言えない、というのがほんとうのところです。

日本政府はそもそも、核兵器禁止条約については「分断を広げる」という理由で反対をしています。その理由のひとつは、「安全保障環境」です。

◆安全保障環境は不参加の理由になるのか?

しかし、そもそも、安全保障環境は不参加の理由になるのでしょうか?

日本とほぼおなじような安全保障環境を共有している国といえば東南アジア(ASEAN)諸国です。そのASEAN諸国は核兵器禁止条約にすべて署名しています。たとえば、ベトナム。ご承知のとおり、南シナ海問題で中国とは紛争状態で、小競り合いもときどき起きています。さらにベトナムは中国と国境を陸上と接しており、過去には中越戦争も起きています。日中間の「尖閣諸島」問題どころではありません。

フィリピンについても南シナ海問題という意味では深刻な紛争を中国と抱えています。
安全保障環境は理由とした核兵器禁止条約不参加は、ベトナムやフィリピンを見る限り、成り立ちません。

欧州に目を転じてみましょう。ノルウェーがまず2021年はオブザーバー参加をしています。ノーベル平和賞の授賞式が行われることでも有名なノルウェーは、陸軍では世界最強ともいわれるロシアと陸上の国境を接しており、NATO加盟国です。

さらに、同じ第二次世界大戦の枢軸国かつ西側の経済大国という意味では日本と似たような立場にあるドイツも同条約についてはオブザーバー参加をしています。ドイツもNATO加盟国です。

ASEANをみても、ノルウェーやドイツをみても、日本政府が核兵器禁止条約のオブザーバー参加程度をちゅうちょする理由はどこにも見当たりません。

◆日本は核問題でもASEANと行動を共にしたら?

日本政府に申し上げたい。ここは核兵器禁止条約の面で東南アジア諸国と行動をともにしたらどうでしょうか?そもそも、日本の気候風土や文化は東南アジアと北東アジアの両方の要素を兼ね備えています。

すでに、中国は、2021年11月に北京にASEAN首脳を招いての首脳会議を開催しています。ASEANとの関係を格上げしています。ASEANはASEANで、南シナ海問題については、「法の支配」ということで、一致して中国に対応する一方で、経済的な関係は強化する、という現実的な対応もとっています。

日本人は長年、東南アジア諸国を自分たちより格下とみる傾向が否めませんでした。しかし、新型コロナ災害では、マレーシアに介護用手袋を依存していたために、我々介護労働者もマレーシアからの輸入がとだえ、苦労しました。日本企業がつくろうとしても、技術がないためにマレーシアに勉強にいかないといけない状況です。

また、わたし自身、現場で多くの東南アジアからの労働者と仕事をさせていただいています。

日本は、国力が落ちたにもかかわらず、アジアで盟主のように振る舞いたがり、浮いているように思えます。そのあたりが実は、本当の意味での安全保障環境の厳しさではないでしょうか?

日本人が潔く、国力低下をみとめ、東南アジア諸国とも名実ともに対等な関係にしていく。東南アジア諸国の仲間として、核兵器禁止条約にせめてご一緒させていただく。そのことを通じて「安全保障環境」を改善していく。このことがいま求められるのではないでしょうか?

もちろん、過去の選挙で野党が公約していた日本と朝鮮半島をふくむ北東アジア非核地帯も追求すべきです。ただ、日本さえその気になれば「いますぐ」実現するのは、ASEANとの統一行動、場合によってはASEANへの加盟とそれにともなう核兵器禁止条約と東南アジア非核兵器地帯への加入でしょう。

◆侵略の歴史はきちんと反省した上で日本が先頭に立とう

日本はそもそも、世界で最初に戦争による核兵器の被害を受けた国(最初に受けたのはほかでもないアメリカ自身)です。その日本が核兵器禁止の先頭に立たないでどうするのでしょうか?

「被害を受けた国が核兵器禁止に不熱心」ということは、核兵器保有国にも核兵器を維持する口実を与えてしまいます。

なお、いまだに、「日本は被害者としての側面ばかりを重視している。」という批判も、中国などからは、もちろんあります。

また、現時点でも日本を標的とした国連憲章のいわゆる敵国条項は厳密にいえばまだなくなっていません。従って、「敵基地先制攻撃論」などは、逆に緊張を高めるどころか、日本への攻撃の口実を与えてしまいます。そもそもが、第二次世界大戦に日本は敵基地先制攻撃により、参戦したのです。

核兵器禁止の訴えに説得力を持たせるには、かつての侵略の歴史については、今後とも日本は反省をしなければならない。その上でアメリカにも中国にも忖度せずに、東南アジア諸国とも連携しながら、核兵器禁止の先頭に立つべきではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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《NO NUKES voice》核兵器禁止・原発ゼロの決意で原爆供養塔前から2022スタート 元旦8時15分は「はだし供養」 さとうしゅういち

2012年以降の毎年元旦の8時15分、筆者は広島市中区平和記念公園内の原爆供養塔前に行き、はだしになって黙祷。公園内の慰霊碑をめぐりながら、核兵器禁止・原発ゼロへの決意をあらたにしています。

ありし日の久保さんと筆者。2014年の元旦はだし供養

「元旦はだし供養」というイベントです。このイベントは、被爆者で元国鉄マン・講談師の緩急車雲助さん(本名・久保浩之さん、2020年逝去)が創始者です。

久保さんと筆者は2003年のイラク戦争反対運動で知り合いました。その後、疎遠になっていたのですが、2011年12月、あるイベントで偶然、再会しました。

「佐藤、よかったら参加しないか?」

そう声をかけていただき、2012年元旦から参加しています。(写真はありし日の久保さんと筆者。2014年の元旦はだし供養)

◆元旦はだし供養の由来

元旦はだし供養は、久保さんが、南アフリカ共和国のマンデラ大統領(故人)がアパルトヘイト廃止への協力を要請するために日本に派遣した使節団の若い女性たちをつれて平和公園を案内したことがきっかけでした。

くつを脱いで歩きはじめたのを見て衝撃を受けたことがきっかけです。

平和公園で久保さんが「地下一メートルには今も人骨が眠っている」と説明すると、南アフリカ共和国の若い女性は一斉に靴を脱いだそうです。

久保さんがびっくりすると彼女たちは「アフリカでは同胞の上を靴では歩きません。」
と答えたそうです。

「彼女たちに頭を殴られたような衝撃を受けた」という久保さん。

彼がそれ以来、せめて元旦の8時15分、はだしで原爆供養塔にお参りし、慰霊碑をめぐろうと呼び掛けたのが始まりです。久保さんがお元気な時代は、終了後、平和公園対岸の本川町集会所をお借りして甘酒を飲みながら新年の展望を語り合いました。

久保さんが体調を崩されてからは、イベント後の交流会はできていません。しかしながら、供養塔参拝、慰霊碑巡りだけは欠かさず有志が、誰から呼び掛けるともなく続いています。

◆平和公園を裸足で歩くとドライアイスのような熱さで被爆者を追憶

元旦は、温暖な広島でも雪に見舞われることもおおくあります。平和公園を裸足で歩くと、「ドライアイスのような熱さ」を感じます。あまりにも温度が低すぎるから、逆に火傷をするような熱さを感じました。

また、歩道よりは車道(元旦の朝の平和公園はまったくといっていいほど車は通りませんが)のほうがあるきやすいことも記憶しています。車のタイヤでつるつるになっているからです。

2017年の元旦はだし供養

在りし日の久保さんとともに公園内の慰霊碑をめぐり、1945年8月6日、被爆者が灼熱の地面の上を裸足で逃げ延びたことを思い出したものでした。

ただし、いまは、わたしも、黙祷のときだけ、裸足になり、その後はくつをはいて公園内の慰霊碑をめぐらせていただいております。また、参加者の高齢化にともなって、イベント時間短縮のため、参拝する慰霊碑も、近年では韓国人慰霊碑と旧二中(現・広島観音高校)慰霊碑のみになっています。


◎[関連動画]元旦はだし供養 「我々の世代がもっと正面へ出なければならない」と決意(2017年、この年が最後の完全な形でのイベントとなった、そのときの様子)

「義勇隊の碑」

かつては参拝していた慰霊碑に「義勇隊の碑」があります。

この碑は、現在の広島市安佐南区川内にあたる川内村のひとたちが、義勇隊という形で、市内中心部のこのあたりで建物疎開の作業にあたっておられて全滅したことを追悼するものです。この影響で、川内村は男性が非常に少ない人口比だったことも知られています。

◆2022年は6人で決行

さて、2022年の「元旦はだし供養」は、6人で行われました。わたしは、バスで広島市東区の自宅を出発。8時前には平和公園に到着しました。

原爆供養塔

わたしは、まず、原爆ドーム前を通過して元安川沿いを南下し、元安橋をわたって平和公園入りしました。

原爆の子の像の前にはまばらですが観光客もおられました。そして、原爆供養塔前に到着しました。

原爆供養塔には、身元がわからない原爆犠牲者の方、身元が分かっても引き取り手がない方ら7万柱のご遺骨が眠っています。最近でも2004,2005年に南区の似島から遺骨が多く出ています。ここは、戦前・戦中は大日本帝国陸軍の検疫所があり、そこに多くの被爆者がかつぎこまれたためです。

この供養塔に遺骨を運び込むドアの前にある線香立ての内部がコンクリートで埋められるという事件が昨年後半、発生しましたが、復旧していました。これは、民間の方から寄贈です。

供養塔の前で待機していると、ぼつぼつ人が集まりました。総勢6人。中には10年連続参加というNHK職員の方もおられました。この方は、以前はカメラをかついで取材をしてくださいました。平和担当を外れたいまも私人で参加してくださっています。

供養塔の次に参拝した韓国人慰霊碑は、もともとは平和公園のすぐ外にあたる場所で、被爆死した朝鮮王族(軍人だったため戦死の扱い)ことにちなんでできた慰霊碑です。ただ、公園の外にあることが差別的に見えるという議論が盛り上がり、現在の場所に移転した経緯があります。

広島にも被爆時には多くのコリアンの方がおられ、犠牲になりました。命が助かった方も日本国籍を戦後に一方的に奪われたために、日本に住んでいる被爆者が受けられるような援護策を受けられていない状態でした。韓国在住の方については、一定の解決をみましたが、朝鮮に住んでおられる方については日朝に国交がないためにいまだに見捨てられたままです。

[左]はだしになって、黙祷のあと、献花をおこないました。[右]そして、韓国人慰霊碑、旧二中慰霊碑の順でめぐり、黙祷、献花をおこないました
二中慰霊碑

◆先輩方を尊重しつつ若手主導で「復興」したい

さて、このイベントは2017年を最後に「多くの慰霊碑の前で黙祷と献花をおこないその後に本川町集会所で交流会」という「完全な形でのイベント開催」ができなくなっています。あれから5年がたってしまいました。2023年には、なんとか、「核兵器禁止・原発ゼロ」の決意をグラウンド・ゼロから元旦、あらたにするという趣旨のイベントを「復興」したいと思います。もちろん、先輩方を尊重しつつですが現実問題、先輩方の活動が難しいなら若手ががんばるしかありません。

最後にその2017年の交流会でのわたし自身の発言を再録し、わたし自身への戒めともしたいとおもいます。

「貧困、格差が独裁や戦争を生んできたのは歴史の教訓。庶民の暮らしを守る
政治に切り替えていかねばならない。そのために全力をつくす決意だ。」
「我々の世代があまりにも久保さんたち上の世代に甘えすぎたのではないか?」
「わたしも四十を超えた 。三十代の頃はまだわたし自身もどこか甘えがあった。」
「我々の世代がもっと正面へ出なければならないと思う。」
と提案をさせていただきました。


◎[関連動画]元旦はだし供養2022を前に

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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《書評》『ヤングケアラー 介護する子どもたち』家族に過剰にケアを押し付ける新自由主義をやめ、当事者の想いの受容ときめ細かな支援を さとうしゅういち

大手のマスコミが社会の木鐸としてきちんと機能し、いままで埋もれていた問題に光を当てて政府や自治体を大きく動かした。最近、こういう例は少ないように思えます。

 
毎日新聞取材班『ヤングケアラー 介護する子どもたち』毎日新聞出版

しかし、その例外といえるのが、今回ご紹介する、「ヤングケアラー」問題における毎日新聞取材班の活躍ではないでしょうか? 今回の書籍のもととなった、毎日新聞連載「ヤングケアラー幼き介護」は第25回新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞しています。

◆統計さえなかったヤングケアラー

ヤングケアラーは法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。

ケアの負担が重くなると、学業や友人関係、就職などにも悪影響を及ぼし、時にはその子の人生を大きく左右してしまうケースもあります。いっぽうで、「親孝行な子」「きょうだいの仲がいい」などと言われて「支援の対象」とは認識されなかった面があります。しかし、毎日新聞取材班が取材を始めるまでは、統計さえなかったのです。

統計を目的の数字を得るために、調査票レベルから再集計してもらうオーダーメイド統計という制度があります。取材班はこれを活用して、就業構造基本調査を再集計してもらい、2017年に3万7000人の15-19歳のヤングケアラーがいる、ということをつかみ、2020年3月に報道しました。

◆知事と議会がねじれの埼玉県が先行、そして国も動き出す

取材班のねばりつよい報道の中で、国も重い腰を上げて調査に乗り出します。2021年4月に公表された調査では中2の5.7%、高2の4.1%が世話をしている家族がいる、と回答しています。これにもとづき、政府も支援策を打ちだしはじめました。(※ヤングケアラーについて

いっぽう、埼玉県では国より一歩先に調査を行いました。回収率86.5%のアンケートで高2の4.1%がヤングケアラーであることがわかりました。なお、これは、国と違って、「(疾病や障害のない)きょうだい」のケアを抜いた数字です。きょうだいのケアでも負担が過重になれば学業などに問題が出てきます。

ちなみにこの埼玉県では家族を介護する人を支援するケアラー支援条例が野党共闘推薦の大野知事に対する野党・自民党(県議会では多数派)の提案により2020年3月議会で成立しました。知事に対する独自性を見せようとする埼玉自民党の戦略ではあります。しかし、こういう議会と知事のねじれの状況だからこそ、施策が進んだということは興味深く感じました。

◆当事者の想いも多種多様 受容の上できめ細かな対応を

ここで、気をつけたいのは、当事者の想いも多種多様であるということです。埼玉県の調査でもヤングケアラー該当者の38.2%が必要な支援は「特にない」ということです。「本当に大変な人はそっとしておいてほしい」という自由記入がそれを物語っています。

大人といえば、学校の先生を筆頭に、「上から管理」してくるもの。いわゆるブラック校則などを背景にそういう認識が日本の子どもの間で強いのは当たり前です。大人を警戒してしまう気持ちもわかります。

これまで、「家族のケアを理由に遅刻・欠席しても、先生に怒られるだけだった」という人。他方できょうだいをケアすることで「えらいね」とほめられた経験が強い人。いろいろいらっしゃいます。急にいまさら「大変だ」と大人に騒がれても白けてしまう気持ちはわかります。

また、本書にもありましたが、精神疾患を持つ親族をケアしている場合は、とくに支援をもとめにくい状況があります。精神疾患は恥ずかしいことではない、という文化を根付かせていくことも大事であると痛感しました。わたしたち介護・福祉職も高齢者やおとなの障害者相手なら「受容」(まず話を聞いて受け入れる)よう叩き込まれていても、子ども相手ではついつい上から目線になってしまいがちかもしれない。

イギリスは家族を介護する人を大人も子ども関係なく支援する仕組みが充実している国です。そのイギリスでは、ヤングケアラーのイベントがあり、医療・福祉行政担当者に直接要望する場があるそうです。

まずは、話を聞いてもらいやすい環境を整えた上で、教育や医療・福祉関係者が連携しての個人にあわせたきめ細かな支援ではないでしょうか?

◆10年前以上前からケアラー支援法は筆者の公約

わたくし・さとうしゅういちは、2011年、県庁を退職してあの河井案里さんと対決するため、立候補した県議選でイギリスの介護者支援法を参考に「家族を介護する人を応援する基本条例(基本法)」制定をおそらく、広島県内の候補者でははじめて公約としました。

まず、基本法をつくり、高齢者や障害者など要介護者だけでなく、家族を介護する人も支援するような福祉サービスのあり方をつくっていく。気軽に相談しやすい仕組みをつくっていく。こうしたことを構想していましたし、今後も政府の施策の改善点の提案を中心に取り組んでいきたいと思います。

◆ケア負担を家族に過剰に抱え込ませる新自由主義の打破を

介護保険制度を担当する広島県庁マンだった時代から、ケアに対する社会的評価が低いこと、それと連動して、家族で抱え込んでしまう傾向が強いことに危機感を覚えていました。

子育てから介護まで「嫁」(現役世代女性)に全てを抱え込ませることを前提としてきたといっても過言ではありません。それと連動して、介護や保育などの労働者は「女の仕事」として低賃金に据え置かれてきました。

最近では、諸外国にくらべればまだまだとはいえ、男女平等も進んできています。また、家族の人数も減少している。そういう中で、「嫁(母親)にすべてを抱え込ませる」状況は崩れている。しかし、妻を介護する側に回った男性が悩んだあげくに妻を殺してしまう事件は当時から広島市内でも頻発しています。あるいは、母親もハードワークせざるを得ない低所得者層を中心に、子どもにしわ寄せがいく例も多くなっていると推察されます。

昔は、大手企業男性正社員世帯主を前提に嫁・妻・母親たる現役世代女性にケアをすべて抱え込ませる家族の在り方を前提に家族に過剰にケアを抱え込ませる社会の仕組みでした。そういうあり方がたちゆかなくなっていることからこの20-30年近く、目をそらし、家族に過剰に抱え込ませるような仕組みを温存してきたことが、男性介護者による妻殺害やヤングケアラー問題として噴出しているとも感じます。

なお、「大阪維新」の政治家などの中には旧来型政治への批判を装い、「日本はシルバー民主主義でけしからん! 高齢者サービスを削って若者優先を!」という趣旨の扇動で一定程度成功している方もおられます。しかし、高齢者サービスを削ることは、逆に高齢者の家族であるところの若者を追い込んでしまうのです。維新の世代間闘争に見せかけた家族への過剰なケア負担の押し付けは岸田自民党以上に危険です。

当面は、財政出動によるサービス充実、そして中長期には、コロナ災害の下でも過去最高益を出しているような超大手企業や超大金持ちの方々に適切にご負担いただくことでサービスを増強するよりないでしょう。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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芳野友子連合会長の共産党批判は自らの非民主性を棚にあげた笑止千万ブーメラン! 野党・市民連合の「連合忖度」も参院選広島では不要! さとうしゅういち

連合(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長は、12月中旬、衆院選2021の総括を発表し、立憲民主党の敗北の原因は日本共産党との共闘にある、としました。芳野会長は、日本共産党について「連合とは真逆」とまで言い切りました。

芳野会長は「共産党は非民主的だ」と、おっしゃりたいのでしょう。しかし、そのお言葉は特大のブーメランである、と連合組合員OBとして指摘せざるをえません。

筆者は、ちなみに、現時点では日本共産党さんも支持していません。むしろ、共産党支持者を名乗る人物による執拗な嫌がらせや誹謗中傷を受けており、裁判所もその事実を認めている状況であること、そういう状況で共産党さんを支援することは筆者の支持者の理解を得られないことを付記しておきます。それでも、芳野会長のひどい発言は反論せざるを得ません。

◆連合推薦以外のまともな女性候補を応援すると幹部は激怒

筆者にいわせれば、連合会長が自分たちの非民主性を棚にあげて共産党批判とは笑止千万です。

筆者は、2000-2011年の県庁マン時代、連合加盟の自治労広島県職員労働組合の組合員でした。支部の執行委員などもつとめさせていいただきました。

連合広島さんは、国政・地方関係なく、選挙において、ごく最近まで「まともな女性候補」を推薦することがありませんでした。このことが、広島県内において、女性衆院議員が一度も誕生しない背景にもなっていますし、県議会においても、野党の女性県議が2021年12月現在、ひとりもいない背景になっています。

当時から介護現場の労働条件の惨状を介護保険担当の役人として存じていた筆者は、女性議員があまりにも少ないことが、女性労働者が多い現場の待遇の悪さにある、と考え、まともな女性候補者を地方、国とわずして、応援していました。その延長で広島市の男女共同参画審議会委員などものちにさせて頂いています。

しかし、連合広島がまともな女性候補を推薦することがなかったので、当然、連合推薦以外の候補を応援する形になってしまいます。当時の連合広島のトップは激怒し、わたしを目の敵のようにされていました。

連合もジェンダー平等(ジェンダー解消、というべきだが)は掲げてはいます。しかし、それはあくまで「ふわりとしたお題目」の範囲であって、わたしが、本気で実現しようとまともな女性候補応援に回ると激怒するわけです。組合として誰それを推薦するというのを決めたとしても、個人が誰を応援しようと自由です。そんなに怒るなら、まともな女性候補を連合広島さんも擁立すればいいではありませんか?

そんな連合が、共産党のことをあれこれ言えるのでしょうか。芳野会長のご発言を聞いて、大笑いしてしまいました。

◆3.11後も原発存続にこだわる連合、忖度する広島の野党第一党

その後、筆者は、当時からお金をたくさん使う選挙で有名だった河井案里さんと対決するために県庁を退職。県議選2011に立候補しました。これは、案里さんの対抗馬だった連合広島推薦の民主党女性候補があまりにも頼りなく、問題のある言動も多かったからです。結果として、案里さんが当選し、民主党候補とわたしは及びませんでした。

その県議選の直前に東日本大震災、東電福島原発事故が発生。しかし、それでも、広島でも大きな影響をもっている労働組合が原発推進であること、地元の民主党衆院議員がブログで島根原発の必要性を強調するなど、原発推進であったことに筆者は激怒しました。

県議選後、筆者は「原発推進の労働貴族は打倒しなければならない。」「原発推進労組とズブズブのA衆院議員を打倒しよう!」と200mくらいおきに自転車で移動しながらきめ細かく街頭演説。ポスティングも万単位でおこないました。落選運動ですから手段に制限はありません。きめ細かい戸別訪問も行いました。

その後、筆者が演説してまわった地域では連合広島推薦の市議は誕生していません。筆者のせいとまでは言えないかもしれません。ただ、筆者がお示しした情報と連合さんの日頃の行動も参考に、地域住民が原発推進労組(に推された候補)を拒絶されたということでしょう。もちろん、候補者個人に落ち度はないし、それなりの見識を持たれた方なのですが、いかんせん、組合の評判が悪いわりに、選挙運動では頼りにならない、ということでしょう。

その後、2013年以降は衆院選2012で圧勝して総理に再登板した安倍晋三さんの暴走が目立ったため、安倍暴走をとめるための「大人の対応」として、国政選挙では連合さんと同じ候補者を2014年、2017年、2021年の衆院選では推薦させていただきました。

それでも、中央の立憲さんが市民連合さんと「原発なき脱炭素」で政策合意したあとも、立憲広島の候補者の中にはあいまいな態度を取られる方も多く、原発推進労組の連合内での影響の大きさを痛感しました。

◆日本共産党と市民連合による連合への忖度こそ、衆院選2021補選最大の敗因では?

いっぽうで、とくに広島の日本共産党さん、市民連合さんにも苦言を呈したいのです。
日本共産党さん。「連合に忖度する立憲」に忖度して、貴党の「良さ」である、「ガツンと庶民の暮らしを重視する」「ガツンと核兵器禁止、脱原発」が後退したのが、衆院選2021での敗因ではありませんか?

市民連合さん。「政策で野党が割れる」ことを警戒して、どちらかといえば「河井批判」や「連合を怒らせない程度のフワリとしたジェンダー平等」ばかりが前面に出されたのではないですか?

そのことが、広島の立憲・共産が小選挙区でも比例でも議席を取れなかった原因ではありませんか?そして市民連合さんが中心になって擁立した候補が衆院選2021の2週間後の県議安佐南区補選で、自民党候補はおろか、評判が最悪のはずの克行受刑者の元秘書の後塵を拝して惨敗した原因ではありませんか?

衆院選2021から、さかのぼること半年。広島では案里さんの当選無効による参院再選挙がありました。

結果として、立憲などがかつぎだした宮口はるこさんが当選したのですが、筆者のほうが先に野党には手を挙げていました。市民連合さんは「宮口さんは連合が推すから」という理由で筆者が開催を要請した公開討論会なども開かれず、宮口さんを推しました。

わたしは、それでも、ギリギリまで一本化を模索。宮口陣営に接触して「伊方原発を含む原発即時0」を条件にわたしがおりるという線を探りました。しかし、「候補は具体的な政策がわかる人ではない」ということで、交渉にならず、わたしはそのまま立候補を決めました。

市民連合の幹部からは「ただしいことを言っても力がないとだめだ」というご批判を多くいただきました。それはまだしも、「お前は俺の地域には2度と出入りするな」という脅しを電話でされた立憲民主党支持者もおられました。もちろん、意に介することなく、その方の近くの路上と、その方の裏山の道路から街頭演説をしましたが。

とにかく、要約すると「正しい政策をガツンというさとうは邪魔だ」「いまはとにかく、河井批判だ(ほかのことを言うやつは許さん)」という圧力が津波のように押し寄せてきました。

だが、そうまでして市民連合さんが応援した宮口さんは、11月に安佐南区補選では市民連合さんが擁立した候補の応援に来てくれませんでした。いっぽう、あれだけ罵詈雑言も浴びせられたわたしは、れいわ新選組のボランティアのみなさまと、同候補の応援に参上しました。

市民連合さんも共産党さん。もう、これ以上連合に忖度する必要はないのではないですか?

「力がないとだめだ」とおっしゃるが「ただしいこと」さえ言えないのでは話になりませんよ。まずは「ただしいこと」(もちろん、中身は有権者の生活状況などで変化はしますが)を言うのは必要条件であり、その上でどうやってそれを実現するかでしょう?

そして、状況は変わりました。「河井批判」は賞味期限切れです。衆院選2021では「原発などの政策は触れずに、河井批判やフワリとしたジェンダーで連合から共産党までまとめて」も箸にも棒にもかからない結果だったのです。わたしも、選挙の終盤で「このままでは野党が政策がないと思われる」と危惧し、立憲の小選挙区応援に入らずに、れいわの比例カーのマイクを握りました(もちろん、選挙区はライアン真由美(立憲)、比例はれいわ、と叫びましたが)。

◆参院選2022広島、各野党は候補を出して力をつけるところから出直し!

参院選2022広島。改選数2です。野党共闘は必要ありません。

各野党は候補を出して次期衆院選では「あわせて勝てる」くらいまでは、力をつけるところから出直せばよいと思います。

民主主義の原点へ さとうしゅういち

筆者はすでにれいわ新選組公募に応募していますが、公認が出ない場合でも、「徹底した財政出動で庶民の暮らしを立て直す」とともに「平和憲法をいかし、核兵器禁止と原発なき脱炭素のエコでフェアでピースな世界」を実現する先頭にガツンと立つ覚悟です(れいわを含む政策が一致する野党に推薦をお願いしますがわたしの政策・政治姿勢をゆずることはありません。)。共産党さんもすでに候補を決められております。とりあえずは、お互い、有権者に訴えたい政策をそれぞれガツンと訴えていけば良いではありませんか?

「いいたいこと」を無理に抑えても、不満がお互いたまります。勝てばいいですが、負けたときに、それこそ、遠心力が強まります。今回の参院選2022広島に限ってはまずは、お互い、独自にがんばりあいましょう。次の衆院選で合わせれば勝てるようにしましょう。

◆最後に やはり小選挙区制は廃止しかない

最後に申し上げたい。やはり、有権者に選択肢をおしめしするためにも、再選挙でわたしが主張したとおり(写真右)、小選挙区制は廃止すべきです。小選挙区制では与野党とも無理に一本化するしかなくなる。そして、比例代表しか立候補していない政党は姿が有権者から見えなくなる仕組みです。せめて、第一歩として、比例代表単独の候補者も小選挙区候補者と同程度の運動ができるような法改正を提案します。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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世襲高級官僚〈自民〉と原発推進〈大手労組〉の「2議席独占」に風穴をあけたい! れいわ新選組の候補者公募に参院選2022広島で応募します! さとうしゅういち

2021年12月6日、れいわ新選組代表の山本太郎代表は、参院選2022や次期衆院選、そして統一地方選挙2023の候補者公募を開始しました。期限は12月27日までです。

【候補者公募!】れいわ新選組 次期衆議院及び参議院、自治体議員選挙
https://reiwa-shinsengumi.com/start2021koubo/

筆者も、参院選2022広島(改選数2)で応募することとしました。広島選挙区については、まだ、れいわ新選組として、候補者を出すとも出さないともはっきりは決めていません。しかし、筆者としては、2021年4月25日執行の再選挙に立候補し、20848票、6人中3位の得票をいただいたこの選挙区で捲土重来を期す覚悟です。


◎[参考動画]れいわ新選組候補者公募に参院選広島で応募します2

衆院選立候補予定者の竹村かつしさん(左)と対談する筆者

筆者再選挙後、れいわ新選組の政策・政治姿勢を支持し、地元の広島のれいわ勝手連のみなさまと活動をともにさせていただきました。衆院選2021でもれいわのマイクを握り、自身の支持者のみなさまにもれいわへの投票をよびかけました。なんらかの選挙で公認をいただくなられいわ新選組以外に考えられません。

◆被爆地・広島の世襲高級官僚と原発推進大手企業労組による議席独占を崩せ

筆者は、「世襲高級官僚と原発推進大手企業労組による議席独占」を崩し、「ガツンと「あなた」の暮らしを立て直す政治」、そして、「平和憲法をいかし、核兵器も原発もなくす政治」をガツンと、この広島から打ち出していく覚悟です。

「広島は被爆地で平和都市だから、脱原発派や(自民・維新的な)改憲への反対派の国会議員もそれなりにいるに違いない。」と思い込んでおられる県外の皆様も多いですが、事実はまったく違います。

広島県内、それも広島市ほど、超保守王国なのです。まだ、東部(旧備後国)の山間部をふくむ広島6区には、佐藤こうじ衆院議員がおられ、立憲でも保守系ながら、脱原発寄り、護憲寄りでいらっしゃいます。しかし、安芸郡も含めたいわゆる広島都市圏(旧安芸国)には、「脱原発派」「(自民・維新的な)改憲への反対派」双方を満たすような国会議員は存在しません。

参院議員は毎回、自民党さんと原発推進企業の影響が強い連合広島さんが担ぐ方で、議席を分け合ってきました。

今回、改選対象になるのは、自民党公認が故宮沢喜一総理のおいで父も県知事や参院議員をつとめた宮沢洋一さんで、連合広島系が、原発や武器をつくる大手企業労組幹部の柳田稔さんです。ただし、柳田稔さんは引退の意向ですが、過去の経緯から、原発推進労組かそれに近い方しか後継になれないとみられます。

他方で、日本共産党さんも公認候補は出されますが、どちらかといえば、比例区での仁比聡平さん(元議員)の国会復帰を重視した活動をされるとみられます。

◆過去の成功体験から卒業できぬ自民党と原発推進労組

自民党さんはもちろん、原発を全国各地につくってきました。さらに、とくにこの四半世紀は、新自由主義を進め、貧困を広げ、広島もふくむ地方を衰退させています。

一方で、連合広島さんのカラーが濃い立憲民主党さんの参院議員はどうしても、中央の市民連合と立憲民主党さんも合意している原発なき脱炭素に後ろ向きです。また、正直、連合さんは、まだまだ大手企業正社員男性中心です。筆者が従事する介護や保育などの労働者、あるいは公務員でも女性が多い非正規労働者の抜本的な待遇改善には正直、冷たいのです。そのことをずっと筆者は自身が連合系自治労広島県職員労組の支部の役員をさせていただいた県庁マン時代から疑問に思っていました。また、わたしと連合さんとの対立の背景にもなっています。

自民党さんも原発推進労組さんも、どちらも広島が原発製造も含む重工業でとくに栄えていた1975年ころの「過去の成功体験」から卒業できていない勢力であるというのがわたしの評価です。

広島でいままではばを利かせてきた大きな組織は否定しません。しかし、自民党さんにせよ、連合さんにせよ、大きな組織が汲み上げられなくなったニーズがあまりにもおおくなったのです。消費税廃止や教育費無償化などでひとりひとりの暮らしをガツンと底上げする。また、いままで女性の仕事だからとないがしろにされてきた介護や保育、あるいはDV相談員含む非正規公務員などの労働者の抜本的な待遇改善でみなさまの暮らしの安心を高める。もちろん、原発をなくし、グリーンニューディールを進める。平和憲法をいかし、海外派兵ではなく災害救助で貢献する日本へ。こうしたれいわ新選組の政策・スタンスを広島の既存政治への対抗提案としたいのです。

◆「政権選択」の衆院と、「ガツン」が存在意義の参院は違う

衆院選2021の小選挙区ではそうはいっても、立憲民主党さんも、中央では消費税減税や原発なき脱炭素に同意されていました。そのため、「3区はライアン真由美、比例はれいわ」とれいわのマイクを握って叫びました。

しかし、参院選は複数区です。そして、参院選はなにより、衆院をガツンとチェックするのが憲法上定められた機能です。その意味からも、衆院より、ガツンと物申す人がふさわしい。

また、筆者の場合はそもそも、非正規労働者の問題でも原発でもガツンと物申してしまうために、連合さんが「うん」とはいわないでしょう。そのことの自覚もあるため、基本的に小選挙区の衆院議員は目指しません。改選数が複数の参院選広島でガツンと物申す。これがわたしの当面(向こう数年)のスタンスです。


◎[参考動画]さとうしゅういちIN古市橋 コロナ対応は改憲ではなく災害指定で ただちに一律給付を 消費税は廃止 介護保育給料10万アップ れいわ新選組 伊方原発再稼働にNO 原発なき脱炭素

◆河井批判よりも制度改正の前向きな議論を

案里さん・克行受刑者の罪はもちろん誠に重大です。お金をもらった方もただちに腹を切っていただきたい。しかし、地方議員を買収することはほかの自民党国会議員の多くも「政治献金」という形でやっていたことです。今後は河井夫妻個人への批判よりも、国会議員による地方議員への金配り禁止などをきちんと立法化すべきです。

再選挙で当選された立憲民主党系の方は残念ながら、国会議員による地方議員への金配り明文禁止については「どちらとも言えない」というスタンスをマスコミのアンケートに答えておられました。河井批判を利用して支持を得られながら、この対応はあり得ない、と感じました。

正直、衆院選2021や安佐南区県議補選で野党が惨敗したように、河井批判自体が、賞味期限切れです。前向きな制度改正の議論をしていくほうがよいと思います。

◆参院選2019で河井案里さんを支持した皆様にも呼びかけたい

参院選2019で河井案里さんを支持された皆様にもよびかけたい。皆様の大半は案里さん・克行受刑者からお金をもらったから、案里さんを支持されたというわけではないと思います。むしろ、案里さんに、従来型の「世襲や大手企業出身や高級官僚出身の男性政治家」とは違ったものを感じられたからでしょう。

とくに女性の方にそういう傾向を強く感じます。実際に、2019年に案里さんを応援した女性が再選挙2021では筆者に投票し、周りにも筆者への投票をよびかけてくださったということも起きています。

旧来型男性政治家はあまりにも介護や保育などの分野に冷たかったのも事実。地方自治のあり方でもとくに広島は中央官僚のいいなりだったのも事実。原発への固執など産業政策も古くさいのも事実。

そういう広島の与野党の旧来型男性政治家へのアンチテーゼとして案里さんを選ばれた方にも、積極的に筆者は協力を呼びかけます。広島の旧来型政治にかわるあたらしい政治をご一緒につくりませんか?

最後に、3分間をめどにした想定街頭演説をご紹介します。

昨年の再選挙に続いて、今回はれいわ新選組公認で参議院に挑戦します、介護福祉士・元県庁マンのさとうしゅういちです。

コロナの前から厳しく、コロナが追い打ちをかけた皆様のくらし。徹底した財政出動で、ガツンと立て直します。あなたの所得をふやし、あなたの負担を減らし、あなたの暮らしに安心・安定を。

さとうしゅういちとれいわ新選組は消費税を廃止します。消費税を増税して社会保障を充実させると言ってきた自公政権。実際にはお年寄りの負担もふえるばかりです。消費税廃止で中小企業にも賃上げの余裕を!そして全国一律の最低賃金1500円も実現しましょう。

さとうしゅういちは、介護・保育で働いている人のお給料を10万円upします。現場で働く人を大事にしてこそ、みなさまの子育てや老後の安心があるのです。

さとうしゅういちとれいわ新選組は、学費はただ、奨学金はチャラにします。若い人が借金の重荷なしで人生をスタートできるよう応援します。

さとうしゅういちとれいわ新選組は、医療や保育や介護、防災はじめ、学校の先生など現場の公務員を増やします。非正規公務員の皆様の正規化を進めます。広島県は全国2番目に市町村を減らし、保健所も全国以上に減らしました。その結果、4年前の水害の復旧がおくれ、コロナ対応のために1年で2年分以上働かされる県庁職員もおられます。先生の不足も深刻です。広島にこそ、れいわの政策がぴったりではありませんか?

さとうしゅういちの父は原爆直前まで原爆で全焼した地域に住んでいました。引っ越しが遅れたらわたしは存在しません。核兵器禁止はわたしの原点です。核兵器禁止条約に署名するとともに、平和憲法をいかし、災害救助で国際貢献する日本を世界最初の戦争被爆地・広島から打ち出します。防災庁をつくり、気候変動で多発している国内外の災害に対応します。

さとうしゅういちとれいわ新選組は、広島から原発なき脱炭素をガツンと進めます。広島の技術をいかして、地域密着の環境にやさしいエネルギーを進めます。伊方原発ふくめ、原発はすぐやめます。原発関係の会社のみなさまもご安心ください。廃炉担当の公務員として仕事をしていただきます。

参議院の広島は大きな組織をバックとする方、すなわち自民党と大手企業の労働組合の方で2議席をずっとしめています。わたくしは、あなたと一緒に、この構造に風穴をあけ、あなたに忖度して、ガツンと国会で物申して参ります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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総理のお膝元・広島発で全国とつながり 介護労働者の抜本的な処遇改善とご利用者・ご家族の安心めざしオンラインおしゃべり会 さとうしゅういち

筆者が社主の広島瀬戸内新聞では、12月22日(水)20時~、オンラインで以下の要領でおしゃべり会「どうなる 介護現場 働く人の処遇改善、そして利用者・ご家族の安心はどこへ」を開催します。お待ちしております。

オンラインおしゃべり会
「どうなる 介護現場 働く人の処遇改善、そして利用者・ご家族の安心はどこへ」

主催 広島瀬戸内新聞
とき:2021年12月22日(水)20時~
ミーティングID: 411 718 3285
パスコード:5N6b38

本社社主のさとうしゅういち(介護福祉士・元介護保険担当県庁マン・岸田総理の選挙区の有権者)から、介護保険制度のこれまでの経過と岸田政権がおこなおうとしている処遇改善など介護保険制度について問題提起。

そのあと、参加者との質疑応答、そしてみなさまでの意見交換をしていきます。ご発言はよりおおくの方にしていただくために原則2分以内。また、チャット機能もご活用ください。

どなたでもご参加いただけます。入退室ご自由です。顔出ししたくないかたはされなくても結構です。

趣旨 介護の「社会化」があやしくなる中でご利用者・ご家族の安心をどうつくるか?

2000年に介護の「社会化」(とくに女性を中心にご家族ばかりで介護労働を背負うのをやめる)をかかげて介護保険制度ができて21年が経過しました。

しかし、現場で働く労働者の労働条件は劣悪で慢性的な人手不足となっています。給料が低いので人手が不足する。不足するから現場の人間関係も悪化する。ますます人が定着しない、の悪循環が依然、続いています。

全産業平均(役職者抜き)の平均月収が36.6万円に対して介護職員平均は27.4万円。(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai6/siryou1.pdf の7ページ)
そこへ、コロナ禍がおそいかかり現場の疲弊は頂点に達しています。

この間、「消費税増税」を社会保障の充実ために使うという安倍晋三さんらの触れ込みとは正反対に、利用者負担は増える一方です。たとえば、お金持ちとはいえない水準の利用者に2割負担、3割負担が導入されています。そして、利用控え、家族の介護負担が増え、当初から危惧された「保険あってサービスなし」になりつつあります。

さらに、家族の介護で人生を消耗してしまうという状況がいまや、いわゆる老老介護だけでなく、若者や子どもにもいわゆる「ヤングケアラー」として広がっています。

介護の社会化という当初の目標がますますあやしくなっています。こうした状況をどう改善し、働く人もなによりご利用者・ご家族も安心でできる介護をどうつくるか? 現状を勉強した上でざっくばらんに意見を交換したいと思います。

◆衆院選2021の前にも開催

広島瀬戸内新聞では、2022年10月7日に、オンラインおしゃべり会「介護と衆院選」を開催しています。介護現場のあり方はすべて法律で決まっています。介護現場の改善のためには衆院選への取り組みが大事という趣旨で開催させていただきました。わたくし・さとうしゅういちと、介護福祉士で衆院選2021山口4区において安倍晋三さんに挑んだ竹村かつしさん、そして関東地方の現役介護職員2名をパネラーに意見交換しています。給料の抜本的な改善は本当に共通の切実な思いであることを確認。

また、特養における夜勤の人員基準の改善をもとめる声が強く出ました。とくにユニット型ではプライバシーが守れると言われて進められてきたのですが、人員が少ない日本では目が行きにくくなって危険、などの現場を踏まえた意見が出ています。

また、「普通の会社員」という方からも、そもそも、こういう市場原理で介護をやるのは難しいのではないか?というご意見もいただきました。

今回は、衆院選2021終了後、最初の取り組みとなります。地元・広島選出の岸田総理が、自民党総裁選2021、そして衆院選2021で介護職員の給与アップを公約にして勝利したことを受けての開催となります。

◆岸田総理による介護労働者の給料アップ・改革案をどうみるか

ただし、総理が現時点で打ち出しているのは、2022年2月からの3%アップです。普通の状況であるなら3%アップはありがたい。しかし、介護職員の場合はベースとなる現在の給料が低いのです。

そして、そもそも、総理は経団連に対して労働者全体の3%賃上げを求めています。これでは、他の産業平均との格差は実額ではむしろ拡大してしまいます。たとえば広島で言えばマツダの社員のほうが一般的には介護職員より給料は高いから、一律に3%アップなら格差は拡大してしまいます。

もちろん、総理もおっしゃるとおり(本当は連合など労組がもっとガツンと取り組まないといけないのですが)、労働者全体の給料アップもマクロでみて必要ですが、人手不足解消の決定打にはならないのです。

一方で、介護労働者の給料アップを介護報酬の中だけで行うのは困難です。今までは「処遇改善加算」という形で介護報酬に上乗せして、給料アップを事業者に促してきました。

こうした中で、わたしがれいわ新選組の政策の「介護職員給料10万円アップ」をご紹介させていただくと、「たしかに介護の給料が低いのは問題だが、俺の介護保険料負担が上がるのは勘弁してくれ」といったご反応も少なくありません。今回の給料アップは補正予算で当面は行うものです。今後、恒久的な給料アップを実施する際は介護保険の枠ではなく、一般財源(税金でもいいが、れいわ新選組などが主張するお金を刷って調達するのでもよい)投入で行うべきと考えます。最終的にはやはり、公務員化(そもそも大昔は広島市でも訪問介護を公社でやっていた)をめざすべきではないでしょうか?

また、総理はITなどを導入しての効率化も打ち出しています。もちろん、ITの導入で現場が効率化するのはよいことです。しかし、それとセットで人員基準の緩和が目指されているのが大問題です。

実際に、介護施設で夜勤をしてみればわかります。わたしは、一人でグループホームのワンフロア9人を見ています。夜、あちこち徘徊されるお年寄り、心配事を何度も相談に来られるお年寄りもおられる中で、IT化したとしても、人員を削減する余地はどこにもない、と実感します。

これまで、根本的には女性の仕事だからと、与野党から結局は後回しにされてきた介護労働。総理が重視をせざるを得ない状況になったのは事実です。

いまこそ、現場の声を、利用者・ご家族の声をガツンと総理に伝えていかないといけない。総理のお膝元・広島から全国とつながりながらがんばっていきましょう。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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なんじゃこりゃ?! 「パパ」は子育て部外者扱いの「働く女性応援よくばりハンドブック」── 筆者の元職場・広島県庁の惨状 さとうしゅういち

◆「なんじゃこりゃ?! あの湯崎さんがトップの組織でなんでこんなことに?!」

広島県が公式Twitterで広報した「働く女性応援よくばりハンドブック」を拝見した感想です。

広島県が公式Twitterで広報した「働く女性応援よくばりハンドブック」

【働く女性応援よくばりハンドブック無料配布中!】
働く女性、働くことを考えている女性、育児中の女性、仕事と家庭の両立を希望する女性…すべての女性を応援する小冊子です♪

WEBでも読めます ⇒ https://pref.hiroshima.lg.jp/site/womanjob/ouen-handbook.html(広島県公式Twitterより)

女性が子どもを持ちながら、働くことを『よくばり』という印象を与えてしまうのではないでしょうか?

そもそも、登場人物のパパが「『私ばっかり家事と育児をしている』というけどこっちだって仕事で疲れているんだよね。夜泣きがうるさくても我慢しているし、多少は手伝っているんだから勘弁してほしいな」というのは、いつの時代の話でしょうか? そもそも子どもは二人が主体で育てるものでしょう?!「手伝う」ってなんですか?! 男性の意識も後退させてしまうものではないでしょうか?

◆「イクメン知事」から10年、広島県庁の惨状

わたくし・さとうしゅういちは、広島県庁マン時代、男女共同参画行政も担当させていただいたことがあります。

そして、わたしの県庁マン時代の末期の2009年には湯崎英彦現知事が初当選。湯崎さんは、2010年の妻の出産に際して、休暇をとり、お嬢さんの幼稚園からの迎えをするなどされて話題となりました。

当時は大阪府知事だった橋下徹さんは、当時隆盛を極めていた公務員バッシングの文脈で湯崎さんを攻撃。

広島県内でも「民間は厳しいのに知事はなにをさぼっている?!」というバッシングが年長者を中心に湯崎さんへ寄せられました。

これに対して、湯崎さんは「価値観を変えることが大事」と反論。筆者は湯崎さんの新自由主義については批判的でしたが、この点については評価していました。その後、筆者は河井案里さんと対決するために県庁を退職。それから10年。その筆者の湯崎さんへの評価の肯定的な部分をひっくり返すような事件がおきたのです。

◆バッシングに屈した湯崎さん がっかりです

広島県庁は、結果論ですが、10年前の橋下さんや年長者を中心とする皆様からの「男性が育児労働に従事することへのバッシング」に屈したといえるでしょう。男女共同参画行政担当だった県庁OBとして情けない思いで一杯です。

わたしは、「育児休暇」は「育児労働」に名前を変えるべきだ、というのが持論です。言い方を変えると、カネを稼いでくる「稼ぎ」と、育児や介護、近所付き合いなど「務め」は両方大事な労働であり、性別にとらわれずに、バランスをとりながら従事できるようにしていくのが望ましいと考えます。

湯崎さんが「価値観を変えることが大事」と10年余り前におっしゃったものですから、そういう方向へ改革するのかとおもいきや、橋下さんらに屈してしまった。こんなことなら、わたしは、2021年は4月の参院選広島再選挙よりは、11月の知事選挙でかつての上司である湯崎さんに挑むべきだったかという思いが脳裏をかすめなかったかといえば、うそになります。

◆妻側企業の女性支援にただのりする夫の勤務先企業という構図

そうはいっても、昔にくらべたら、随分と働く女性への支援策は充実したものです。しかし、問題は、それに、夫が勤務する企業がただのりしているというのが問題です。

どういうことか? 筆者は県庁を退職した今は、介護現場に勤務しています。筆者以外のほとんどが女性、という場合も多い。そのなかで、やはり、お子さんがいらっしゃる女性職員がたとえば、子どもが熱をだしたとか、制服の採寸につきあわないといけないとか、部活の応援でやすまないといけない、というのは日常茶飯事です。

そのために、子どもがいない女性、男性職員がカバーするというのはやむをえないことです。当該の女性職員を責める気はさらさらありません。
 
問題は、その女性職員の夫、そしてその勤務先企業です。たしかに、男性は家事が苦手な人はいまでも多いかもしれない。しかし、子どもを病院につれていく、制服の採寸につきあう、部活の応援にいく、なんて、別に料理や掃除ができない男性だってできることではありませんか?

いや、ふだん家事ができていないならなおのこと、「よし、こういうときこそ俺が」と自分から申し出るべきでしょう。勤務先もそうしやすい環境を整えるべき、というかむしろ上司が「お前、行ってこい」くらいいうべきところでしょう。わたしもときどき、ついつい「あそこの夫さんの勤務先企業、ええかげんにしろよ。」と心の中で吐き捨てたことがないといえば嘘になります。

こうした構図を解消するには、これ以上の「女性支援」ではなく「男性支援」が必要ではないか?そうでなければ、湯崎さんが率先して育児に従事した意味がありません。

「女性の権利向上の政策ではなく、経済界からの労働者不足の要望から出来た政策なのではないか?経営者や男性の意識改革がないのでは、女性の負担は減らないのでは?経営陣のトップや労働局のトップが実際に主夫業を実践してはどうか?」(広島市内の50代男性)との指摘はそのとおりです。

◆保育や介護の労働への評価を引き上げよう

今後とも、性別にとらわれずに、「稼ぎ」だけでなく育児労働など「務め」を果たせる社会にしようではありませんか?同時に、保育や介護などのサービスの充実は欠かせません。

東大・京大出たような高級官僚・政治家ら、男性のエライ人もまだまだ、結局は「育児、介護の価値などたいしたことはない」という価値観なのかもしれません。なら、自分でやってみるべきです。いや、「やっぱりきつそうだからやりたくない」というなら、それは大変だということです。きちんとした育児や介護への評価をすべきです。それと連動して保育士や介護職員の抜本的待遇改善をもとめます。岸田さんの3%アップではまだまだです。

筆者は、参院選2022へ向け、れいわ新選組のみなさまとともに、引き続き、育児や介護への評価の向上と従事する労働者の公務員化含む抜本的待遇改善をガツンと広島県民の皆様に訴えるものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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《NO NUKES voice》広島地裁がまさかの「非常識決定」! あなたの家の半分以下の耐震性しかない伊方原発を司法はなぜ止めないのか? さとうしゅういち

「嘘だろう!」

2021年11月4日。広島地裁前で我々「伊方原発運転差止広島裁判」原告が申請した四国電力伊方原発3号機運転差し止めの仮処分を却下するという「非常識決定」を伝える「びろーん」(俗称)にわたしは言葉を失いました。

「今回も勝てる(仮処分申請は認められる)だろう」と思い込んでいたので、ショックは倍増です。


◎[参考動画]#伊方原発3号機止まらず #広島地裁 #非常識決定(佐藤周一 2021年11月4日)

報告会場で「非常識決定」「差止ならず」を伝える「びろーん」

◆4年前とは正反対の経験

わたくし、さとうしゅういちをふくむ「伊方原発広島裁判」の原告は、4年近く前の2017年12月13日に同一の建物の前で今回とは正反対の経験をしました。このときは、地裁の建物と同じ高裁の判断を待っていました。地裁では「不当決定」が出ていたので、わたしは、諦観していました。

この日、わたしは、広島駅南口地下広場で行われていた反貧困ネットワーク広島の相談会のお手伝いに来ていましたが、

「地裁で不当決定だったものが高裁で通るわけがないだろう。まあ、俺も一応、原告で当事者だから結果は見届けにいってくるわ。」
「そうか、行ってこい。幸運を祈る。」

という会話を仲間とかわしたあと、自転車にまたがって、裁判所までかけつけたのを覚えています。奮闘してくださっている弁護団には大変失礼なことですが、そんな諦めつつ軽い気持ちで裁判所にチンタラ自転車を漕いで到着しました。

ところが、びっくり仰天。広島高裁は我々の「阿蘇山噴火が伊方原発にもダメージを与える可能性がある。」という主張を受け入れ、伊方原発の運転を差し止める決定をしたのです。

「嘘だろう! 俺は夢を見ているのに違いない。」

わたしは、頬をなんどもつねったが間違いありませんでした。

2017年12月13日の広島地裁前。うれしい誤算だった


◎[参考動画伊方原発3号機差し止めを命令!広島高裁(佐藤周一 2017年12月13日)

◆仮処分期限切れ後、新たな仮処分を申請

その後、2018年9月25日、広島高裁は裁判長がかわった結果、四国電力による異議申し立てをみとめ、伊方原発3号機運転を認めました。いっぽう、我々原告側は地裁に仮処分の期限延長を申し立てていましたが、同年26日、地裁に却下されてしまいました。そしてその直後に伊方原発は動きだしました。

しかし、2020年1月17日、今度は山口地裁で運転差し止めをもとめている原告申し立ての仮処分申請を広島高裁は認めました。裁判長により判断が分かれた形です。

その後、提訴からちょうど4年の2020年3月11日、我々広島裁判の原告も新たな仮処分を申し立てました。我々は「中学生でもわかる理屈」(河合弘之弁護士)で攻めていきました。伊方原発の耐震基準がわずか650ガルであり、一般家屋の1500ガルの半分以下の耐震性しかないこと。原子力規制委員会が基準地震動を定める考え方が「どういう地震がおきるか予知・予測できる」と考えられていた時代のもので、現在では阪神淡路大震災や熊本大震災など想定を超える地震が多数起きていることなどをデータをあげて指摘したものです。

◆非常識決定 判断から逃げた広島地裁

しかし、広島地裁は、以下の理由で我々の申し立てを却下しました。

まず、第一に原子力規制委員会が専門的知見を持って許可をしたのだから、審査基準の合理性及びその適用に過誤欠落がないかを裁判所が事後的に判断することは無理であると述べました。これは、原発について司法がその安全性を判断することを放棄したものです。

第二に、伊方原発訴訟最高裁判決は、民事差止訴訟には適用ができず、行政訴訟のみに適用があるとした。しかし、裁判所の判断不能ということであれば、行政訴訟についてもおよそ判断が不能となるはずなのに、それに限っては判断ができるというのも矛盾しています。

第三に、我々の「日本国内の地震の精密かつ網羅的な観測記録(K-NET)と比較すると、伊方原発の基準地震動650ガルというのはあまりに低すぎる」と主張したのに対して裁判所は、それぞれの地震についての震源特性、伝播特性、増幅特性を詳細に調べて補正し、比較しなければならないとしました。しかし、そのようなことはおよそ住民側にとって不可能なことであり、不可能事を住民側に押し付けるものである。しかも、プロであるはずの四国電力側でさえそのような精査は一切放棄しているのです。

また、ハウスメーカーのハウスのほうがずっと耐震性が強いこと(例えば三井ホームは5000ガル以上)及び建築基準法においても1500ガル程度までが基準地震動になっていることについても、震源特性、伝播特性、増幅特性の精密な分析、補正がないことを理由に、我々の主張をしりぞけてしまいました。

我々は、この裁判において、常識に基づいた分かりやすい問題提起をし、判断を求めたにもかかわらず、裁判所は、徒に複雑な科学技術論争を持ち込み、一知半解な理由で我々の主張を退けました。

誠に不当な決定であるとして、我々は直ちに広島高裁に即時抗告をしました。

◆地震の巣の上にある広島から最も近い原発 

伊方原発は広島から最も近い原発です。90kmくらいしかありません。瀬戸内海、そして太田川を通じて伊方原発と原爆ドームや広島駅などはつながっているのです。

そして、伊方原発の直近には中央構造線断層帯があり、豊臣秀吉の時代には大地震を起こしています。

また、これとはべつに、この地域の真下にはフィリピン海プレートが潜り込んでいるために伊方原発は地震の巣の真上にあります。広島でも時々地震がありますが、多くの場合、伊方原発周辺が震源地です。江戸時代には何度も死者を出すような大地震があったほか、最近でも2014年3月14日にM6.2の地震で伊方町において震度5弱を観測しています。江戸時代には何度もあったようなM7クラスの地震がおきれば、650ガル(震度6弱程度)の耐震基準をオーバーすることも十分ありえます。そうなれば、原発からもれた放射能が瀬戸内海、太田川経由で原爆ドームや広島駅、さらには広島市の安佐南区南部あたりまでを直撃することは十分ありえます。

以下の論文によると、潮汐にともなって塩分が太田川をかなりさかのぼっています。塩分が遡るなら放射能も遡るのです。
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00549/2013/65-02-0031.pdf

伊方原発直下を震源とするM7クラス、広島では震度5弱~5強程度で家屋には被害がないような地震でも、伊方原発では650ガルをオーバーして原発の事故で広島の市街地の大半が壊滅する、というばかげたことが起きる危険性は十分です。

そのことを訴えることも、わたくし、さとうしゅういちが2021年4月25日執行の参院選広島再選挙に立候補した理由でした。当時の立憲民主党系候補の陣営に接触して、伊方原発廃止をふくむ原発ゼロを条件にわたしが立候補をとりやめることを持ちかけようとしたのですが、陣営の方の「候補者本人が具体的な政策がわかる人ではない」とのお話をうかがい、諦め、わたしが独自に立候補したという経過があります。

◆高裁がある! 四国電力が「オウンゴール」を連発の中、諦めない

今回の広島地裁の決定は詳しくは省きますが、2000年の伊方原発運転差し止めを求めた裁判の最高裁判決よりも、法理論的には後退するものです。三権分立の意義をさらに低下させるものです。

ただし、四国電力も報道されているように、宿直職員が無断外出するという不祥事が発覚して、再稼働への準備に手間取っています。愛媛県知事は条件付き再稼働を認めるスタンスですが、四国電力が「オウンゴール」を連発しているような状況があります。今後は広島高裁の判断に望みをつなぎたいものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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「ジェンダー平等」は意味不明!「女性差別撤廃」「男女平等」と言えばよし! 衆院選2021で恥ずかしすぎる日本の女性議員比率のさらなる低下!「ジェンダー平等」から「男女平等」の原則へ立ち返ろう さとうしゅういち

◆サウジアラビアの半分以下に転落した日本の女性議員比率

衆院選2021は、野党はマスコミ予測を下回る伸び悩みでした。それとともに、わたしがショックを受けたのは「ただでさえ低い」女性議員比率の低下でした。

ご承知のとおり、女性議員比率は前回衆院選2017の10.1%から9.7%の45人に下がってしまいました。世界平均は23.9%。男尊女卑が激しいとされるサウジアラビアでさえ、19.9%で日本の2倍以上です。恥ずかしい。恥ずかしすぎる。

広島では比例復活を含めた初めての女性衆院議員誕生はなりませんでした。それどころか、広島3区は野党が前回につづいて女性の候補を出しながら、前回より得票を減らしてしまいました。

わたくし、さとうしゅういちは、国政・地方を関係なく、全国の女性政治家の選挙応援に入ってきました。とくに県庁マン時代に山間部での介護に関する行政に従事。女性がおおい、あるいは、女性の仕事とみなされるがゆえに、低賃金、劣悪な労働環境にある介護・福祉現場の状況に憤り、将来を憂えていたことがあります。やはり、女性の議員を増やすことが、問題解決の近道だと考え、自主的にこうした活動を続けてきました。ときには当時所属していた労働組合「連合」の方針に反してまで、わたしが女性の候補を応援したことが、わたしと連合の長きにわたる確執につながったことは否めませんがやむを得なかったと考えています。

広島市では男女共同参画審議会の委員も公募に応募してさせていただきました。

こうした経験から今回も、小選挙区では3区の立憲民主党新人と1区の社民党新人の応援に入り、1区では短時間ですが社民党のマイクも握りました。1区は総理の選挙区ですから、正直、「どこまで追い上げるか」という状況であるのはわかっていました。他方で3区は河井克行受刑者の選挙区ですから必勝の意気込みでとりくみした。それだけにわたし自身の中でのダメージも大きく、しばらく、心の整理がついていませんでした。

◆時期尚早だった性別非公表 現段階での「男女関係ない」は「現状固定化」に

衆院選で全国の選挙管理委員会は、候補者の性別を非公表としました。「これからは男女関係ない」という選管のメッセージと受け止めました。

結論から申し上げると時期尚早でした。「これからは男女関係ない。またLGBTへの配慮も必要だ。」というのは正論に見えます。しかし、そういう理屈を実行するのは、議員の比率が男女ほぼ同数の状況が定着し手からで良いのではないでしょうか?
 
サウジアラビアさえよりも女性議員比率の少ない現状で、「男女関係ない」というのは、サウジアラビアより少ない現状をもたらしている制度的、文化的背景を軽視した議論です。ひいては、そうした制度的、文化的背景を変えることを妨げ、固定化してしまいます。

◆女性議員比率を低くしている制度的・文化的背景

女性議員比率は、昔はどの国でも低かったのですが、日本において、とくに低い原因は制度的には以下でしょう。

1.高すぎる供託金
日本の立候補に際しての供託金は極めて高い。国政選挙比例区で600万円、選挙区は300万円。女性の平均所得が男性より低い、すなわち「カバン」がないことを考えれば、この制度は女性をとくに排除する方向に働くでしょう。

2.小選挙区制
比例代表制中心の制度なら、各政党が比例名簿に女性をあらたに付け加えればよいだけの話です。しかし、小選挙区制では男性の現職を女性の新人にすげ替えることは現実的には難しいでしょう。

文化的には以下のことが考えられます。

1.選挙までは支えても終わると知らんふりで女性・若手候補者使い潰し
わたし自身も反省しないといけないのですが、選挙までは支えても終わると知らんふり、ということを支持者もやってしまいがちです。男性でも大変ですが、とくに、女性はとくに様々なハラスメント含めたストレスにさらされがちです。男性では問題にならないことも、批判の対象になりがちです。きちんと支える体制がないと、せっかく当選した女性議員が1期でやめてしまい、定着しません。

2.政策・政治姿勢以外がモノをいう文化
政策や政治姿勢ではなく、そのほかの三バン「地盤、看板、カバン」地縁で選挙結果がきまってしまうような政治文化は決定的に問題です。女性の場合はとくに結婚を機に、他の地域へ転出するケースも多いのです。そうなると、地盤もできにくい。参院選の場合、衆院より比較的女性議員比率が高いのは、参院選のほうが、有権者から遠いぶん、政策や政治姿勢で選ぶケースが多いからでしょう。

3.男性のエライ人が夜中に酒席で勝手に決めてしまう文化
コロナ災害で廃れ気味とはいえ(実際は緊急事態宣言中もエライ人が宴会をして時々バレていますが)、日本の悪いところは、極論すれば、夜中に男性のエライ人が酒席で何でもきめてしまうことです。与野党関係なく、こういう文化はあります。こういう場所にはそうはいっても現状では家事や育児、介護の負担がまだまだ重い女性は参加しにくい。男性でも若手はこういうのは苦手な人は多いので、参加しにくいでしょう。女性が仮に要職に登用されたとしても、こうした男性のエライ人に従順な人(俗に言う「名誉男性」)が真夜中の酒席で選ばれるわけです。

◆野党の気迫不足 女性議員を本気で増やしたいのですか?

今回の衆院選で自民党はともかく、野党は「女性議員を増やす!」という気迫に欠けていたのではないですか? とくに野党第一党の立憲民主党さん。そして、野党共闘を主導した日本共産党さんに申し上げたい。

立憲民主党さんは、いわゆるジェンダー平等に熱心なイメージはあった。しかし、女性候補の割合はわずかに18%でした。ここまで低いと「やる気があるのですか?」と申し上げたい。否。ここまでくると、立憲民主党さんの「ジェンダー平等」とは、LGBT問題のことで、「男女差別撤廃」はあまりやる気がないと疑わざるをえない。

2010年、当時は消費者大臣だった福島瑞穂社民党党首とともにデモに参加して。筆者はれいわ新選組支持だが社民党さんの政党で唯一、女性候補を半数以上出す方針は高く評価している

現実には立憲民主党さんの支持基盤は、連合組合員であるところの大手企業正社員や正規公務員の男性が中心ですからそうなるのも必然か、と邪推してしまいます。たとえば、広島県では、立憲民主党系の県議はいらっしゃいますが、女性はゼロです。

今回の衆院選2021で広島では立憲の女性候補は6人の県内候補のうち、広島3区のライアン真由美さんだけでした。もっと「広島では、はじめての女性衆院議員を!」と叫びつつ、広島3区に広島県内、いや中国地方のリソースを集中させるべきだったでしょう。

傍目に拝見していて、立憲民主党さんは、「必勝区」と表向きは叫びつつも、3区にそんなにリソースを割いているようには思えませんでした。与党は斉藤鉄夫候補を国交大臣に任命するなど必死なのに。それこそライアン真由美さんを比例中国ブロックの1位にもしておけばいい。そうすれば、斉藤鉄夫さんだけでなく、ライアン真由美さんにも天秤をかけるような団体・組織も現れたことでしょう。序盤の優勢の報道で油断はあったかもしれないが、つくづく惜しかった。

日本共産党さんもジェンダー平等を熱心に叫ばれた。女性候補比率も35.4%と社民党に続き2位でした。しかし、たとえば、比例東京ブロックでは池内沙織さんを比例名簿の3位にした。本気で池内さんを当選させたいなら1位におく。そして、3位に下がった現職男性議員は当選するために必死で票を稼ぐ。そういう構図をつくったほうがよかったのではないか? 次回以降はご検討くださいますようお願いします。

◆そもそも「女性差別撤廃」ないし「男女・女男平等」でよかった

そもそも、若い方はともかく、年配者で「ジェンダー平等」と言われてもピンとこない人が多いでしょう。

いや、「ジェンダー平等」自体が実は意味不明な言葉です。ジェンダーとは、性別に対して社会的に押し付けられた規範ですよね? 男性は外で仕事、女性は家事育児、でないといけない、などはその典型例です。あるいは、男性は化粧したりスカートをはいたりしたらおかしい、というのもジェンダーでしょう。

しかし、「社会的に押し付けられた規範」の平等とは何ですか? 日本国憲法第24条などに照らせば推進するべきは、「ジェンダー平等」ではなく「ジェンダー解消」でしょう。

ただ、「ジェンダー解消」といっても、多くの年配者にはピンとこない。普通に「女性差別撤廃」「男女平等」、すこしラジカルに言えば、「女男平等」でいいでしょう。

ともあれ、とくに広島県内のように、女性衆院議員そのものが存在しない現状で、野党が「なんとしても広島で初めての女性衆院議員を!」ではなく「ジェンダー平等」を声高に叫ぶことは、女性議員の比率の低さをふくむ男女不平等を結果として覆いかくしてしまった。そして、ピンボケをもたらしました。ジェンダーはもちろん大事な問題だが、打ち出し方を立憲民主党さんや日本共産党さんは誤った。女性議員を少しでも出すことに本気でなければ、ブーメランとして自分たちに突き刺さってしまいます。

れいわ新選組のように、財政出動により、女性が多く、女性の仕事として財務省などに軽んじてこられた介護や保育の給料を10万円アップする、女性が多い非正規公務員を正規化するなどをガツンと前に打ち出したほうがよかったのではないか?この方が(少なくとも懐具合の面で)実効性のある女性差別撤廃ではなかったのか?悔やまれてなりません。

もちろん、わたくし、さとうしゅういち個人としては、参院選広島2022へ向けてねばりつよく活動を続けているところです。現状では、介護・保育や非正規公務員など「女性の仕事だから」と自民党や財務省などの「男性のエライ人」に軽んじられてきた分野への財政出動をガツンとメインのひとつとして訴えていくことになるでしょう。他方で、参院選広島再選挙2021でも自分自身が公約に掲げた小選挙区制の廃止と比例中心の選挙制度への改革とクオータ制の義務化、供託金の引き下げ、さらには、政策・政治姿勢本位の政治文化の確立にコツコツと取り組んで参ります。

◎[参考]衆院選2021における女性候補比率
自民   9.8%
立憲  18.3%
公明   7.5%
共産  35.4%
維新  14.6%
国民  29.6%
社民  60.0%
れいわ 23.8%
N党  33.3%

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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衆院選2週間後の県議補選 河井案里さんの地元でまたも野党惨敗 「金権批判の追い風」暗転、どう建て直すか? さとうしゅういち

石橋林太郎さんが、衆院選比例区に立候補(当選)のため辞職したことに伴う広島県議選安佐南区選挙区の補欠選挙は11月14日、執行されました。安佐南区選挙区はかつて、河井案里さん(2021年2月4日、有罪確定で参院選2019での当選が無効)がトップ当選してきた地元であり、夫の克行受刑者の広島3区に含まれる「河井事件の震源地」です。

産廃問題の勉強会をかねた山根候補の個人演説会

◆あっと驚く野党の大敗

自民党が議席死守を狙い、公明党の推薦も得て擁立した「維新」の元国政候補者の灰岡香奈さんと、河井事件の追及の先頭にたち、日本共産党や広島3区市民連合が推薦し、さとうしゅういち後援会やれいわ新選組の地元のメンバーもバックアップする事実上の野党統一候補の山根岩男さんの事実上の一騎打ちに、河井克行受刑者の元秘書の伊藤守さんが割込む構図、というのが多くの人の見立てでした。しかし、その見立てを覆して、野党候補が3位に沈むという、結果になってしまいました。

当選 灰岡香奈  自民・新  3万961票(公明推薦)
   伊藤 守  無所属・新 1万3719票(克行受刑者の元秘書)
   山根岩男  諸派・新   7727票(共産推薦・地元のれいわ・社民支持)

河井受刑者の元秘書の伊藤候補も合わせると自公系で44680票。
野党は14.7%しか得票できませんでした。

◆過去の各種選挙で見える安佐南区における各政党の勢力は?

この結果を分析する前に、過去の安佐南区における選挙結果をおさらいしておく必要があります。安佐南区を含む広島3区では、2週間前の衆院選で、公示前は優勢も伝えられた野党統一候補のライアン真由美さんが、斉藤鉄夫国交大臣にフタをあければダブルスコアに近い大敗を喫しました。安佐南区における衆院選各候補の得票は以下です。

斉藤鉄夫    公明・前  49515(自民推薦)
ライアン真由美 立憲・新  28401
せぎひろちか  維新・新  11159
大山宏     無所属・新  2146
矢島秀平    N裁・新   1610
玉田のりたか  無所属・新  978

比例区の得票は以下です。

与党 
自民党    41888
公明党    11719

共闘野党
立憲民主党  16250
日本共産党  4879
れいわ新選組 2907
社民党    1423

補完勢力
日本維新の会 11694
国民民主党  3652
N裁党    1256

2021年4月25日執行の参院選広島再選挙での各候補の得票は以下です。

宮口はるこ    諸派   29280 立憲、国民、社民推薦、共産支持
西田ひでのり   自民   26607  公明推薦
さとうしゅういち 無所属   2157 (れいわ「公認漏れ」)
山本貴平     N国    1441 
大山 宏     無所属   1060
玉田のりたか   無所属    866

いっぽう、10年前の2011年4月の県議選安佐南区選挙区では以下のような得票でした。(当時は定数4)

当選 河井案里     無所属元  20799 自民党に復党
当選 石橋良三     自民現   17684
当選 くりはら俊二   公明現   16452
当選 佐々木ひろし   自民元   14234
   梶川ゆきこ    民主現    9987
   さとうしゅういち 無所属新   4278(反自民系)

自公が69169,反自公が14265で反自公が17.1%です。

その1年8ヶ月後の2012年衆院選では以下です。

当選 河井克行  自民前 41457
   橋本博明  民主前 25101
比当 中丸ひろむ 維新新 20744
   藤井としこ 共産新 7530

自公   41457
反自公  32631
補完勢力 20744

上記のデータと、わたくし・さとうしゅういちが、選挙運動中に見聞した状況、そして10年余りの参院選広島予定候補者としての活動経験をベースとした勘を総合すると、以下のことが言えます。

(1)県議選では、伝統的にアンチ自公は17%前後しか得票できない。2015年県議選を最後に引退した佐々木ひろしさんのように自民党県議でも、国政レベルの共産党や社民党の支持者にも食い込んでいた人がいた。

(2)ただし、衆院選では克行受刑者の評判が非常にわるいために、県議選で自民党・公明党に投票する人たち(6-7万程度)もふくむ自公の基礎票(5万前後)から1万程度は、克行受刑者の対抗馬の旧民主党などや、維新に流れていた。このアンチ河井保守層の存在は、マスコミなども分析の際に見落としている。

(3)2021年4月の参院選広島再選挙のときは、案里さん有罪確定で自民党への批判が頂点に達しており、自民党の選挙運動はにぶく、本来の自公の基礎票の半分しか得票できなかった。野党系は実はさほど票を増やしておらず、自民党の自滅だった。

(4)しかし、その後、克行受刑者の失脚に伴い、アンチ河井の自民党支持者が急激に与党陣営に回帰。さらに地元から岸田総理が誕生した効果、斉藤鉄夫さんが国土交通大臣になった効果で「河井事件効果」で半減していた自民党支持者が与党に回帰し、斉藤鉄夫さんの圧勝を支えた。

(5)今回の県議補選は、「岸田総理誕生効果」=自民党への追い風と、「河井事件効果」が打ち消しあった上、安佐南区では河井受刑者の失脚でアンチ河井の自民党支持者が安心して与党を応援できるようになった中で行われた。

(6)野党の山根候補の得票7727は直前の衆院選比例区の共産党とれいわ新選組の得票合計7786とほぼ符合する。

(7)実際、共産党さんはしっかり組織内を固めた印象があったし、さとうしゅういち後援会、またれいわ新選組の地元のボランティアメンバーも「身内」はしっかり固めているが、「外部への伸び」が感じられなかった。そのことと得票数が符合する。

(8)立憲民主党さんは、ほとんど、今回の県議補選で動きがとれていなかった。衆院選大敗のダメージの大きさを感じる。立憲民主党支持層は多くは棄権されたと思われる。あれだけの大敗のあとで仕方がないのかもしれないが、悔やまれる。

(9)失礼ながら、伊藤候補の克行受刑者の元秘書というのは常識で考えれば印象が悪い肩書きだ。しかし、実際には河井夫妻、とくに案里さんへの同情論は一部ではそれなりに強かった。それが伊藤候補を押し上げた可能性はある。

(10)灰岡候補は河井事件には一切ふれず、女性の労働環境や医療の改善などを訴える戦術をとった。野党が「金権政治批判」を軸にしたことで、女性政策を重視するリベラル層(国政では)の一部が灰岡支持に回った可能性はある。過去の県議選や参院選でも、河井案里さんが同様の手法でリベラル層の一部も取り込んだ前例はある。

◆賞味期限切れの「河井」批判 野党は再選挙の成功体験にこだわりすぎるな

正直、克行受刑者も衆院選中に自ら控訴を取り下げ、有罪が確定して収監されました。また、事件の発端となった「文春砲」から2年以上経過しました。さらに、この夏は、コロナ災害や、大雨災害も深刻になりました。事件当時の自民党の二階幹事長も岸田さんにより、事実上失脚しています。

こうした中で「河井批判」は、「賞味期限切れ」ではないでしょうか?

そのことを良い、といっているのではありません。正直、案里さん・克行受刑者からお金をもらった広島県議がだれひとり腹を切っていないのは元県庁マンとしても悔しいです。

しかし、いま、短期にも中長期にも、他に大きな課題がたくさん出てきすぎたのです。コロナはもちろん、気候変動やそれによる災害も大問題です。

もちろん、河井夫妻のやったことは、裁判所も断罪したように、民主主義の根幹を揺るがすことです。だが、それをいうなら、多くの自民党国政政治家もたとえば、表面上、合法のカンパとして、地方議員にお金を配っている実態もあります。政党交付金の使い道の問題にしても、そもそも、ずさんな処理をみとめてしまう政党交付金をめぐる現行法を変えるしかない。しかし、そこまではとくに立憲民主党さんなどは踏み込まないのです。

もちろん、2021年4月の時点ならマスコミが「河井事件」ばかりを取り上げていました。具体的な政策なんかそっちのけ、与野党対決のみをあおり立てる報道姿勢でした。だから、政治経験のない宮口はるこさんを担いで野党第一党が再選挙で勝利したのです。しかし、いまはそうではありません。

これ以上、河井事件批判ばかりだと、他の政策に野党は不熱心とおもわれかねません。わたくし、さとうしゅういち自身、山根候補を他人に紹介するさいは、「新自由主義脱却の即戦力でもある」ということをお伝えしました。あるいは、産廃問題に彼が取り組んでいることも紹介しました。もっと、いろいろな人が候補者の魅力をいろいろな角度で伝えることがこれからの野党の課題のひとつでしょう。

勉強会のレジュメ。今後も勉強を軸にした活動が野党側は重要だ

これより先、衆院選では「財政出動で暮らしをガツンと立て直す」と、れいわ新選組のおもに経済政策のアピールに街頭では比重を置きました。全国でもれいわは立憲や共産が手薄になった分野を強く訴えました。

そのことが、一定評価をいただき、れいわは立憲、共産が票を減らすなかで、衆院選初挑戦で3議席をいただいたとかんがえています。

広島の立憲民主党さんや日本共産党さんにおかれても、再選挙の成功体験をすてていただきたい。あのときは、政策なんかそっちのけで、とにかく河井批判さえしていれば勝てた特殊な選挙なのだから。成功体験卒業が遅れれば遅れるほど、今度は広島でも比例復活で議席を確保した維新に足元をすくわれかねません。今回の県議補選における伊藤守候補が維新に置き換わったような選挙結果、すなわち野党共闘が維新の後塵を拝する結果が、今後の県内で多数出現しかねない。

特効薬はありませんが、以下のことは申し上げたいし、自身も実行したい。

(1)各種選挙の候補者はコロコロ変えずに固定する。素人がいきなり当選するような奇跡はほとんどおきえないことを肝に銘じたい。

(2)共闘はもちろん大事。しかし、それにたよりすぎずに各政党が自力をつける努力をすること。ある程度熱心な支持者の方でも、基本的な知識などが不足している場合もある。勉強を軸に強化していきたい。すでに、さとう自身はれいわ支持者を中心に介護福祉現場改善へ向けたオンライン勉強会などを開いていく。

(3)いまは、とにかくコロナ災害前から厳しく、コロナに追い打ちをかけられた人々の暮らしの再建を軸にしたい。そして中長期には災害救助隊や原発なき脱炭素など、平和憲法と広島の技術・経験をいかした国のありかたへ投資する方向性をきちっと打ち出していきたい。

(4)金権政治批判にしても、今後は河井批判から、政策そっちのけの政治・選挙をもたらしている制度の改革や政治文化の見直しにシフトしたほうがよいのでは?

(5)正直、具体的な方向性を打ち出そうとすると身内からの反発も出る。だから、「河井事件批判という最大公約数」でお茶を濁したくなるのも理解はできる。しかし、くどいようだが、それで勝てたのは再選挙のときの特殊な状況ゆえだ。もう、それは通用しない。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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