本日5月23日、森奈津子編『人権と利権』(定価990円[税込])が書店に並ぶ。LGBT、Colabo、しばき隊といった人権運動の影の部分を浮き彫りにする一冊だ。いやがらせ、特に出版差し止めを警戒しつつ、関係者一同、3月から秘密裏に進めてきた企画でもある。

ここではまえがきを公開し、皆様にその概要を把握していただきたいと思う。

*     *     *

まえがき  フェミニスト、しばき隊、LGBTの裏にあるもの

 

森 奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』

2022年秋、いわゆる「Colabo問題」が浮上した。元ゲームクリエイターの暇空茜氏が、フェミニスト仁藤夢乃代表の若年被害女性支援団体・Colaboの会計に不明な点があると指摘、住民監査請求を東京都に提出するに至る。それに対し、Colabo側はすぐさま会計関連書類を公開するわけでもなく、暇空氏を名誉毀損で提訴したのだった。しかも、弁護団として七人もの弁護士(角田由紀子、神原元、太田啓子、端野真、堀新、中川卓、永田亮)をそろえ、提訴記者会見にのぞんだ。

ところが、その場で、神原元弁護士が大失言をしてしまう。暇空氏による住民監査請求を「リーガルハラスメント(法的いやがらせ)」と批判してしまったのだった。これは、大いに炎上した。住民監査請求をハラスメントとは何事ぞ、と。弁護士たちからも批判が続出した。

暴力的極左集団などとかっこよく表現されることもあるが、まともな左翼と差別化するための「パヨク」なる呼称のほうがポピュラーなC.R.A.C.(旧レイシストをしばき隊)を中心とする運動体のダークサイド、特に「しばき隊リンチ事件」を追ってきた本書版元・鹿砦社は、もちろん、Colabo問題にも注目していた。ミスター・リーガルハラスメントこと神原弁護士は、初期のしばき隊メンバーでもあり、これまで鹿砦社とは、しばき隊系活動家の代理人弁護士として法廷闘争を繰り広げてきた御仁だ。

しばき隊系の弁護士が、なぜ、Colaboの弁護を?──と、しばき隊ウォッチャーにたずねれば「そういうことだ」とこたえるだろう。すなわち「しばき隊とColaboには、なんらかのつながりがある」と。

バイセクシュアルである私は、以前から、しばき隊とLGBT活動家が共闘している事実を批判してきた。LGBTの運動に「寄生」したしばき隊系活動家は、なにかというと「差別だ! 差別だ!」の大合唱で、集団ネットリンチに及ぶ。その多くは異性愛者であり、知識も乏しく、まともに議論もできない。なのに、それを恥じることもなく、暴言、恫喝を繰り返す。

LGBTのイメージを悪化させている「無能な味方」である彼らを、なぜかLGBT活動家は諌めない。なので、一作家にすぎない私が、そのズブズブの関係を指摘し、大いに批判させていただいている。

ここに、ひとつの山がある。ふもとから続く道は、三本。それぞれ「フェミニスト」「しばき隊」「LGBT活動家」と名づけられた道だ。その三つの異なる「人権の道」をたどると、やがて共通の「利権の頂上」に行き着く。本書を手にとってくださった皆様には、そんな読書体験をお約束したいと思う。

*     *     *

なお、あとがきのタイトルは「本書を嚆矢とする類書の刊行を望む」だ。マスコミが人権運動に対しては萎縮し、負の部分を批判できないという不健全な状況を、なんとか打破したいという思いを、そのタイトルに込めた。

このテーマが読者に受け、本の売れ行きも好調となったら、今後、他社からも類書が刊行されることだろう。個人的には、パクリ本と言われるような本でも大歓迎だ。そうして、議論が活発になり、人権運動が浄化されることを、心から望む。

▼森 奈津子(もり・なつこ)
作家。1966年東京生。立教大学法学部卒。1990年代よりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラー等を執筆。
ツイッターアカウント:@MORI_Natsuko

【お断り】本書は本日発売ですが、発売以前から好評で予約が殺到し、すでにAmazonなどのネット書店では品切れ状態(数日内に補充予定)ですので、
①書店店頭でお探しのうえお求めになるか、
②Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0C5GCZM7G/などネット書店に予約入れておいていただくか、
③直接鹿砦社販売部sales@rokusaisha.comにご注文ください。

一部にご不自由をおかけしますが、何卒ご容赦の上、ご購読のほどよろしくお願い申し上げます。

森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』
amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0C5GCZM7G/

マスコミ各社は、「新潮45」休刊を当然の結果として報じた。たとえば、こんな調子だ。

◆朝日新聞
「限りなく廃刊に近い休刊」 新潮45を追い込んだ怒り
https://digital.asahi.com/articles/ASL9T5TGPL9TUCLV00S.html

◆毎日新聞
「新潮45」が休刊 杉田氏擁護特集で批判浴び
https://mainichi.jp/articles/20180926/k00/00m/040/026000c

◆日本経済新聞
新潮社が「新潮45」を休刊 LGBT表現巡り謝罪
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35725940V20C18A9000000/

産経新聞だけは、バッシングからの休刊を批判したという点で、正気だったようである。

◆産経新聞
新潮45の休刊 「言論の場」を閉ざすのか
https://www.sankei.com/article/20180928-N2XFSX4NARMOPIPLKLVJKAQEJM/

他の新聞は「デマ発のオラつき」を肯定したということだ。前にもたとえたが、それって、関東大震災後のデマによる朝鮮人虐殺を肯定的に報道するようなものでは? 死傷者は出てないが、民衆がデマに扇動されたという点では、現象としては同じ性質のものだ。

発端は、尾辻かな子氏の悪意ある要約デマツイートという、実にちっぽけなもの。そこから、杉田水脈氏と新潮社へのバッシングが拡大。しばき隊界隈がそれをネットリンチと複数のデモに利用。結果、「新潮45」は休刊。だが、それはLGBTの差別解消につながったのか?

5年近くが経過する間に、「あのときは新潮社に怒ったけど、杉田論文をちゃんと読んだら、差別的ではないとわかった」「尾辻かな子氏がデマを流しただけだと気づいた」と正気に戻った方々も大勢いる。もろちん、LGBT当事者含めての話だ。

それよりも前、尾辻かな子氏に呼応する形でしばき隊界隈がオラついた時点で、左派・リベラルをやめたというLGBT当事者は多い。見事にしばき隊が立憲民主党、共産党、社会民主党の足を引っぱった形になっている。それら左派・リベラル政党の支持率低下を見れば、うなずけることだろう。

しぱき隊系活動家に嫌悪を示すLGBT当事者も、目に見えて増えた。なにしろ、ツイッターでは、性的多様性の象徴であるレインボー・フラッグと、ピンク・水色・白の3色の縞のトランスジェンダー・フラッグの絵文字を名前の横につけて、他のユーザーを誹謗中傷、罵倒、恫喝しているのだ。嫌われて当たり前だ。

加えて、LGBT活動家がそれら反差別チンピラを諫めるどころか彼らと共闘しているのが、年を追うごとに明らかになってゆくのだから、活動家に反感をいだくLGBT当事者も激増した。

名前の横にレインボー旗とトランス旗を掲げてLGBT当事者にウザがられているしばき隊系活動家の一例

LGBTコミュニティからは、押しつけがましいLGBT思想やLGBT活動家を指す「虹臭い」という表現まで生まれる始末。LGBT活動家は尊敬されるどころか、軽蔑の対象にまで堕ちてしまった。

さらには「マスコミは『新潮45』休刊以来、露骨にLGBT活動家を恐れるようになった」という話も耳にするようになった。「LGBTは怖い」「批判できない」「迂闊に使えない」と。詳細を明かすわけにはゆかないが、某社の新聞記者がLGBT活動家批判につながる可能性がある記事を書いたところ、デスクに握りつぶされた、という話まで聞いた。

ほーら、だから、言わんこっちゃない! あのようなオラつきによる表現規制を肯定するのは、マスコミにとっては自縄自縛だと、普通の知性の持ち主ならわかるでしょうに! 一時の大衆の熱狂に同調するから、そんなことになる!

実際、LGBT活動家に対する批判をマスコミが握りつぶすのを、私は何度も目撃してきた。なにしろ、異性愛者の記者と違い、LGBTを巡るあれこれは他人事ではない分、熱心に情報を集める傾向があるのは、自分でもわかっている。私だけでなくLGBT当事者の多くは、ノンケマスコミにだまされない知識を持ち合わせている。

今やLGBT当事者の間では、「これでは『同和は怖い』の二の舞いだ。『LGBTは怖い』になっている」との認識を口にする者も少なくない。

似非同和行為に関しては、法務省HPにも、このようなページがある。

「えせ同和行為」を排除するために https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken86.html

法務省HPの「えせLGBT行為を排除するために」というページも待たれる

この記事の冒頭を、以下に抜粋する。

「えせ同和行為」とは

「同和問題はこわい問題である」という人々の誤った意識に乗じ、例えば、同和問題に対する理解が足りないなどという理由で難癖を付けて高額の書籍を売りつけるなど、同和問題を口実にして、会社・個人や官公署などに不当な利益や義務のないことを求める行為を指します。えせ同和行為は、国民に同和問題に関する誤った意識を植えつける大きな原因となっています。また、えせ同和行為の横行は、適正な行政推進の障害となるものであり、このようなえせ同和行為に対し、政府として一体的にその排除を推進しています。

ここから、卑劣な差別にさらされてきた被差別部落出身者を似非同和行為がさらに苦しめる結果になっていることが、うかがえる。LGBTを名乗ったうえでの「似非LGBT行為」が同様の過程をたどることは、想像に難くない。

さらには、このような「LGBTは怖い」という状況の中で、批判されるべき対象(=事実上、似非LGBT行為に及んだLGBT活動家)が表立って批判されないとなると、国民の間に不信感と不満が生まれるのは、自然な流れだ。

マスコミがしばき隊系活動家、LGBT活動家、立民・共産・社民におもねる「偏向報道」を続ければ、それだけ、国民の間には不信感と不満が蓄積されるというものだ。

活動家も政党党員も、やめようと思えばやめられる。しかし、LGBTはやめられない。性的マイノリティは性的マイノリティとして生き続けるだけだ。「転向」はない。転向できるのであれば、現在は人権侵害として批判されている「同性愛の治療」たる薬物注射や電気ショックは「治療」として成功していたはずだ。

今後、しばき隊は、LGBTの人権うんぬんを叫ぶのがおいしくなくなったときには、別のマイノリティに「寄生」すればよい。だが、世間から白眼視されるようになったLGBT当事者はどうなる? しばき隊系活動家とLGBT活動家が蒔いた種を刈る羽目になるのは、LGBT当事者だ。

しぱき隊と呼ばれる運動体は蝗害を起こすバッタの群れのように、運動を食いつぶしては去ってゆく。反原発運動、在日韓国・朝鮮人差別反対運動、沖縄の反基地闘争(食いつぶす前に、逮捕者を出してすぐさま撤退した模様だが)、そして、LGBT運動。次に彼らが寄生するのは、入管センターに収容されている外国人の支援運動のようなので、昔からその方面で地道な活動を続けてきた方々には、用心してほしい。

今後、我々LGBT当事者は、しぱき隊系活動家を運動に招き入れた愚かなLGBT活動家たちと「心中」する運命なのかもしれない。

天網恢恢疎にして漏らさず。LGBTの運動がこのまま自浄作用を発揮しないのならば、報いを受ける日は必ず来るだろう。(終)

2022年11月、5年間の粘着いやがらせの末、なぜかブロックで逃げたC.R.A.C.の中の人・野間易通氏

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B08VBH5W48/

ツイッターのハッシュタグは、デジタル・タトゥー収集には非常に便利なもので。しばき隊系ゲイ活動家・平野太一氏がデモを呼びかけるために作成したタグ「#0925新潮45編集部包囲」をクリックすれば、一発で賛同者のツイートがザクザクヒットする。

その中から、まずは、ハッシュタグを拡散させてデモ参加者を募る活動家のスクショをいくつかご紹介したい。

しばき隊界隈ゲイ活動家、ハスラーアキラこと張由紀夫氏

反差別統一戦線東京委員会こと、不倫相手にあてた愛の「ぱよちんツイート」で有名な久保田氏もやる気まんまん!

しぱき隊界隈と共闘するゲイ活動家・宇田川しい氏もこの通り

しばき隊系LGBT団体TOKYO NO HATEは地図つきツイートでご案内

そして「#0925新潮45編集部包囲」を使ったツイートのウェブ魚拓は、次の二種類が確認できる。

https://archive.is/qEy1b
https://archive.is/aqYUZ

9月21日、しばき隊界隈とLGBT活動家がデモに向けて盛りあがる中、突然、新潮社公式サイトで「『新潮45』2018年10月号特別企画について」と題する社長のコメントが発表された。

新潮社公式サイトの社長声明。よく見ると謝罪してない!(笑)

あーあ。こんなふうに譲歩の姿勢を見せること自体が、反差別チンピラにとっては成功体験となり、よけいに彼らはオラつくようになるのにねぇ……。何度でも指摘させていただくが、始まりは、尾辻かな子氏のほぼデマである要約ツイートであり、だったら、新潮社側は堂々と尾辻氏に抗議すればよいことだ。

ただ、これはよく見ると、お詫び文ではない。そもそも、デマ由来のバッシングに謝罪してあげる義理などないだろうし、安易な謝罪は、歴史ある出版社が似非リベラルによる言論統制に屈したことになってしまう。

朝日新聞の記事にも、これに関しては「同社宣伝部は『世間から批判を受けたことに対しての見解であり、謝罪ではない』としている」との記述があるが、当然のことだ。

◆朝日新聞
新潮45への反発、社内も作家も書店も 社長が異例見解
https://digital.asahi.com/articles/ASL9P5V9HL9PUCLV015.html

新潮社としては、社長声明で騒ぎの沈静化を狙ったのだろう。しかし、反差別チンピラにとっては新たな難癖のネタをゲットしたことになり、火に油をそそぐ結果となった。

23日には、何者かが新潮社近くの看板に落書きをする。「Yonda?」というコピーの上に、「あのヘイト本、」という言葉がつけ加えられ、「あのヘイト本、Yonda?」とされたのだった。

しばき隊系活動家・ゆーすけ氏のツイート。行動が早いねっ!(笑)

あいかわらず、反差別チンピラはやり方が陰湿だ。健全な議論ができないから、このようないやがらせに及ぶ。

このニュースを、ハフポストは次のように報じた。

◆ハフポスト日本版
新潮社の看板に「あのヘイト本、」Yonda?とラクガキ 安藤健二
https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/23/shincho-yonda_a_23539497/?utm_campaign=share_twitter&ncid=engmodushpmg00000004

ここで撮影者として紹介されているゆーすけなる人物は、ズバリしばき隊系活動家だ。

作家・宮沢章夫氏のツイートも紹介されているが、このいやがらせ行為を肯定的に評価していて、「なんだかなぁ~」である。

「僕を担当してくれる新潮社の編集者を僕は信頼している。彼らに多くのことを教えられた。その上で、この看板について言えば、批評性の高いアート作品として面い(ママ)と言わざるをえない」

いやがらせも「アート」と呼べば、許される?

宮沢氏もまた、杉田論文をきちんと読んでいないのだろう。ただ、ハフポスト記者氏もさすがに手放しで絶賛は危険だと思ったのか、記事は「なお、看板へのラクガキは器物損壊罪に当たる可能性がある」との一文で締められている。

そりゃ、そうですよね。ハフポストさんもこの騒ぎの扇動の一翼を担ったとはいえ、犯罪行為は肯定できませんよね。そもそも、今後、反差別チンピラのオラつきは、いつ、どんなきっかけで、ハフポストさんに向かうかもわかりませんしねっ!(にっこり)

9月25日、私は思案していた。夜7時から、しばき隊界隈呼びかけの新潮社包囲デモが決行に移される。その後、新潮社が謝罪なり編集者の処分なり「新潮45」休刊なりの措置をとったら、反差別チンピラにますます成功体験を与えることになる。それは絶対に避けてほしいところだ。言論の自由のためにも。

そんな夕方、突然、ニュースが入ってきた。「新潮45」の休刊が決まった、と。

なるほど、いいタイミングだ。反差別チンピラにはデモ中止の時間を与えず、「新潮45」休刊でトカゲの尻尾切り。「デモに屈して休刊」という形にしないためには、この日時での休刊発表がベストだったはずだ。

◆新潮社「新潮45」休刊のお知らせ
https://www.shinchosha.co.jp/news/20180925.html

この数時間後にしばきデモが開催されたわけだが、「新潮45」休刊が発表された後では、反差別チンピラ諸氏の高揚感も大いに削られたことだろう。それを思うと、ついつい失笑が洩れるというものだ。

とりあえず、ここで、デモに参加した反差別チンピラ諸氏のツイートを何点かご紹介したい。

呼びかけ人の平野太一氏。この夏が人生の最頂点であった予感……

「うるさい」という苦情自体が「敵」の策略であるかのようにツイート

古参のしばき隊系活動家も、今では名前の隣にトラメガ(カウンター行為の小道具)と虹とトランス旗。LGBT当事者には迷惑千万!(苦笑)

森に延々と粘着いやがらせをしてLGBT活動家の評判を下げているしばき隊系ゲイ活動家・森川暁夫氏も大活躍?(笑)

元々、「新潮45」は売上からすると、休刊が近い状態だった──という噂も出版業界では流れた。新潮社にとっては休刊にしても惜しくはない雑誌だった、と。事の真偽はわからないが、ありそうな話ではある。

休刊のお知らせにもあるではないか。「ここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません」と。

結局、しばき隊界隈にとって、「新潮45」に関しては「休刊に追い込んでやった」という勝利宣言にはつながらなかったし、バッシングの先頭に立った平野太一氏も、7月27日の「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議 」のときほど注目されなかったのである。(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B08VBH5W48/

2018年9月18日、特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」掲載の「新潮45」10月号が発売されたが、それをきっかけに健全な議論が始まることはなく、メディアは「新潮45」叩きに終始した。

しばき隊界隈の反差別チンピラがオラつき、マスコミがそれに加担し、政治家や知識人や文化人までが無知蒙昧な大衆と化して新潮社をバッシング。それはまさに、しばき隊界隈に「成功体験を与える」という愚行でもあった。

出版業界で生計を立てる文筆家までがしばき隊に同調したわけだが、彼らは「杉田論文」を読んでいないか、あるいは、読んでも理解できなかったかのどちらかだ。筆で飯を食う身でありながら、なんという体たらく!

しばき隊発の扇動の証拠

そんな中、しばき隊界隈のオラつきゲイ活動家・平野太一氏がまた、「#0925新潮45編集部包囲」なるハッシュタグを作り、デモを呼びかけた。「新潮45編集部包囲」とあるが、実質的には新潮社そのものをターゲットにした政治的行動であり、いやがらせだ。彼がツイートで「(デモの)場所こちら」とリンクしているのは、当時の新潮社公式サイトの求人を含む会社情報のページだ(ウェブ魚拓・https://archive.md/iM6pv)。

新潮社に対する遠回しな恫喝では?

あえて「包囲」という表現を使ったのも、新潮社の社屋を包囲できるほどの人数を集められるというイメージを狙ったものだろう。セコい……(苦笑)。

あいかわらず、やることが陰湿で呆れる。これを見た新潮社の社員は、自分たちだけでなく社屋を訪れたすべての人(作家等のクリエイター、取引先企業の社員、その他の出入り業者)にまで危害が及ぶ可能性があると、不安になったことだろう。

平野太一氏らしばき隊系の活動家は、名前も顔もわからない相手が突然襲ってくる恐怖を、巧みに利用してきた。その事実を世間の方々が把握済みで、彼らがまさに「反差別チンピラ」であることもご存じなら、「新潮45騒動」であそこまで支持を集めることはできなかっただろう。あのような輩を「兵隊」として便利に使ってきた共産党、立憲民主党、社会民主党はいつまで知らんぷりするつもりか。彼らとズブズブの関係の大手マスコミは、いつになったら反省するのか。

ネットも含めた騒動の背後にはしばき隊と呼ばれる運動体があることと、その界隈の活動家がまさに「反差別チンピラ」である事実を把握していた者は、私を含め、この騒ぎを批判した。だが、大手マスコミも加担している扇動の前には、瀕死の虫けらほどの影響もなかった。

あのとき、まさに、新潮社バッシングはピークを迎えていた。尾辻かな子氏のデマツイート(と、あえて呼ばせていただく)から、こんな大騒ぎになったのだから、恐ろしい。大衆とはいとも簡単に扇動できるのだということが、小学生でもこの事例から容易に学びとれることだろう。しばき隊に煽られた人々は、関東大震災直後に「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」との流言飛語に惑わされて無辜の朝鮮人を虐殺した暴徒と同じだ。

ある意味、権威にすり寄るツイート

そんな、まさに四面楚歌の中では、新潮社社員に日和る者が出てきても無理ないことだろう。そして、その「日和る者」が、例の新潮社出版部文芸のツイッターアカウント(@Shincho_Bungei)担当者であった。

この人物は、「新潮45」10月号発売日の9月18日夜、新潮社批判のツイートをリツイートで拡散し、作家等の文筆家やマスコミから、やんややんやの喝采を浴びる。しかし、彼(もしくは彼女)は上司に叱られでもしたのか、RT(リツイート)を取り消し。ところが、そのことで新潮社にまた批判が集まったことから、世間に支持されているのは自分のほうであると確信できたのか、19日午前、新潮社創業者・佐藤義亮の言葉をツイートした。

良心に背く出版は、殺されてもせぬ事(佐藤義亮)
2018年9月19日午前10:46
https://twitter.com/Shincho_Bungei/status/1042228284119953408

続けて、ふたたび、批判ツイートのRTを始めたのである。

私は、この新潮社出版部文芸アカウントの運営担当者がだれであったかは知らないし、今後も知ることはないだろう。会社勤めの編集者ならば、異動もある。現在の担当者も別の人物である可能性が高い。

読者諸氏も同様に、そのツイートをした新潮社社員がだれであるは把握することもないだろうから、私はここで存分に批判させていただく。

まず、新潮社社員であるのなら「新潮45」掲載の杉田論文を読んでないということは、ないだろう。ならば、尾辻かな子氏のツイートが悪意ある要約、悪く言えばデマであったことは、把握していたはずだ。

もし、杉田論文を読んでいなかったのなら、大手出版社の社員にあるまじき怠惰な愚か者であるし、理解できなかったのなら、やはり大手出版社の社員にあるまじき読解力の欠如である。なお、大手出版社の編集者は概して高学歴であり、さらに優秀な頭脳の持ち主であるのが常だ。

はっきり指摘させていただけば、この担当者は杉田論文を読んでいたし、理解できた。悪いのは尾辻かな子氏であり、扇動したマスコミであり、扇動された大衆であると、把握していた。なのに、大衆に迎合し、新潮社批判の暴徒の群れに加わったのだ。

なぜか? 一人でこの四面楚歌から逃れたかったからだ。すなわち、短絡的な小心者。一度はリツートを取り消したことからも、流されやすい気弱な性格がうかがえる。あてこすり的に佐藤義亮の言葉を持ち出したのも、マスコミや文筆業の面々が自分のほうについてくれていると解釈したゆえであり、一人で闘う勇気は持ち合わせないのだろう。まあ、デマと扇動から生じた味方など、かりそめの味方でしかないが。

そもそも、杉田論文も読まずに批判した、もしくは読んでも理解できなかった愚かな方々に応援されて、うれしいか? 出版社社員が? うれしかったのなら、まったくもって、おめでたいことだ。

しかも、やったことは、自分の言葉を使って語ることではなく、創業者の言葉をツイートしたほかは、作家や評論家、ライターのツイートのRTに終始。新潮社の幹部でさえ逆らえない商売相手を盾にしたというわけだ。

さらに、だ。19日のうちに完全にRTをやめたのは、情けなさの上塗りではないのか。上司から叱られたか? あるいは、当該アカウントの運営を外されたか?

上司から叱られたぐらいで引き下がったのなら、最初から一人で正義ぶって自社を批判しなければよい。あの大批判の嵐の中、他の新潮社社員はじっと耐え、沈黙を貫いていたのだ。

アカウント運営担当を外されたのだったら、今度は個人のアカウントで新潮社批判を続ければよい。だが、しなかった。できなかったのだ。自分の名前を出して発言する勇気など、最初から最後までなかったということだ。

ゆえに、自分の名を出して生計を立てている文筆業の者たちの新潮社批判ツイートをRTし、最後まで彼らの背後に隠れていた。なにからなにまでやることが半端だ。だからこそ、精神的オナニー止まりなのだ。

私はそのような者を「腰抜けの卑怯者」と呼ぶ。しかし、この行為を、マスコミ各社は称賛した。

たとえば、こんな調子だ。

◆朝日新聞
新潮社公式アカが批判リツイート 「杉田論文」特集に
https://www.asahi.com/articles/ASL9M4RNNL9MUCVL00R.html

◆ハフポスト日本版
新潮社公式アカウントが「新潮45」批判を怒涛の公式リツイート 「中の人がんばって」の声援寄せられる  泉谷由梨子
https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/18/shincho45_a_23531748/?utm_campaign=share_twitter&ncid=engmodushpmg00000004

◆BUSINESS INSIDER
杉田水脈発言擁護は言論の自由ではない── 新潮社を作家や他社も批判、購買や仕入れ中止の動きも 竹内郁子(編集部)
https://www.businessinsider.jp/post-175622

これらの記事を執筆した者は、①杉田論文を読んではいないアホ、②杉田論文を読んだが理解できなかったアホ、③杉田論文を理解できたが、理解できないふりをして集団リンチに加わったアホ、のいずれかなのだろう。すなわち、どう転んでもアホ。嘆かわしい。

新潮社出版部文芸のツイート、リツイートは、ツイッターのサードパーティ・アプリ「ツイログ」にいまだに残っている。このたび、私はこれらデジタル・タトゥーを採取させていただいた。

新潮社出版部文芸ツイログ https://twilog.org/Shincho_Bungei/date-180919

新潮社批判ツイートをした知識人やクリエイターの中には、私の友人や尊敬する知人が何人もいる。個人的には本当に本当に心苦しいかぎりだが、大義のためである。心を鬼にし、ここでスクショを公開する。
 私が大好きな皆様、尊敬する皆様、許してください。私も辛いです……。

デジタル・タトゥー・コレクション。新潮社出版部文芸がRTしなければ、こんなふうに簡単にまとめて採取されることはなかっただろう

(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B08VBH5W48/

「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」の前日、2018年7月26日に記録されたウェブ魚拓で、面白いものがある(https://archive.md/jPDUy)。

デモを呼びかけた平野太一氏と、「ひな」という女性とおぼしき人物の会話だ。

ひな「どうして怒ってない人は関係ないって思うわけ?ほっといて欲しいって感情も尊重されなきゃ!自分達が生産性がないって言われて腹が立つぐらいなら同じ境遇の人達にも寄り添わないと」

平野「怒ってないゲイは、杉田水脈の言うように、『LGBTは生産性がない』とされる社会でも特に問題はない、と思っているわけです。私はそれに同意しないから意思表示をしているのであって、彼らの言い分を代弁することは却って傲慢な寄り添いです」

ひな「貴方みたいな人をたまにレストランとかで見ますよ。家族連れなのに下手に出るしかないウエイト相手に大声でいちゃもんつけてる親父!周りや家族の迷惑そっちのけで自分が腹立ったからって騒ぐ。家族が他の人からどんな目で見られるかなんて配慮できないんでしょうね。家族からしたら本当に迷惑」

ひなさん、どこのどなたであるかは存じあげませんが、あまりにも的確で辛辣なたとえに、思わずニヤニヤしてしまいましたよ。

レストランでたまに見かける迷惑な親父! いやぁ、痛快、痛快!(笑)

迷惑な親父にたとえられる平野太一氏

さて。7月27日と8月5、6日の抗議デモの後も、しばき隊界隈活動家による杉田水脈氏に対する侮辱・恫喝・脅迫ツイートやリアルでの講演会妨害を呼びかける悪質な動きはあったのだが、それに関しては後に詳細を述べさせていただくとして。

9月18日には「新潮45」10月号が発売され、その特別企画として「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題し、LGBT当事者を含む保守の論客が、しばき隊に扇動された世論に対する反論を寄稿している。

「新潮45」10月号の表紙には「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」の文字

各論考のタイトルと筆者は、以下のとおり。

【特別企画】そんなにおかしいか「杉田水脈」論文
◆LGBTと「生産性」の意味/藤岡信勝
◆政治は「生きづらさ」という主観を救えない/小川榮太郎
◆特権ではなく「フェアな社会」を求む/松浦大悟
◆騒動の火付け役「尾辻かな子」の欺瞞/かずと
◆杉田議員を脅威とする「偽リベラル」の反発/八幡和郎
◆寛容さを求める不寛容な人々/KAZUYA
◆「凶悪殺人犯」扱いしたNHKの「人格攻撃」/潮匡人

◎「新潮45」公式サイト https://www.shinchosha.co.jp/shincho45/

そして、特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のリード文を、以下に抜粋する。

8月号の特集「日本を不幸にする『朝日新聞』」の中の一本、杉田水脈氏の「『LGBT』支援の度が過ぎる」が、見当外れの大バッシングに見舞われた。主要メディアは戦時下さながらに杉田攻撃一色に染まり、そこには冷静さのカケラもなかった。あの記事をどう読むべきなのか。LGBT当事者の声も含め、真っ当な議論のきっかけとなる論考をお届けする。

すべてに目を通してみたが、特に差別的と感じられる内容ではなかった。もちろん、保守派ではない私が百パーセント賛同できたわけではないが。

各論考から一点ずつ、私が注目すべきと感じた部分を抜粋する。

◆藤岡信勝(教育研究者、新しい歴史教科書をつくる会副会長)
 しかし、そもそも尾辻氏の発言は杉田論文の誤読なのである。杉田氏は、「子どもを持たない、もてない人間は『生産性』がない」などとはどこにも書いていない。(中略)もしこれが意図的な「誤読」なら、尾辻氏は優秀なデマゴーグということになる。

◆小川榮太郎(文藝評論家)
 「弱者 」を盾にして人を黙らせるという風潮に対して、政治家も言論人も、皆非常に臆病になっている。

◆松浦大悟(元参議院議員)
 (自民党本部前抗議デモに関し)ところが、多くのLGBT当事者から「なぜ、反天皇制や安倍総理退陣のプラカードを掲げるのか?」「差別発言には抗議したいが、保守の自分はこれでは参加できない」との声が上がっていたことは意外にも知られていません。

◆かずと(平成探究家)
 ここでようやく私は気づいたのです。なぜ、同じ国会議員でありながら尾辻さんが直接杉田さんに対話を求めなかったのか。
 あなたはLGBTに税金を投入する必要がないことが分かっているからです。

◆八幡和郎(評論家、徳島文理大学教授)
 このような「メディア・リンチ」ともいうべきことが、パワハラ事件などではなく、純然たる言論に対して行われたことは前代未聞なのではないかと思う。

◆KAZUYA(ユーチューバー)
 今回の騒動で懸念するのは、当事者ではない外野が騒ぎまくって、LGBTが腫れ物扱いされることです。デモ活動なども行われましたが、LGBT当事者のためなのかと疑問なのです。

◆潮匡人(評論家)
 (杉田水脈氏および杉田論文を相模原障害者殺人事件の被告やヒトラーの優生思想と同一視する報道をしたNHKに対し)ここまで徹底的に叩くのは病的にさえ見える。杉田議員ではなくNHKこそ、ヒトラーや凶悪犯罪者と「根っ子は一緒」ではないのか。

ここまで拙稿を読み進めてくださった読者諸氏には、うなずいていただけるのではないだろうか。なお、 寄稿者のうち、松浦大悟氏とかずと氏はゲイとしてカミングアウトしている当事者である。

さらには、かずと氏のブログ「うちの旦那はオネエさま」(http://yopparae.sblo.jp)には、リアルタイムの記事が現在も残されている。尾辻かな子氏のツイートに疑念を感じたLGBT当事者の記録として、価値あるものだと言えよう。

7月19日 その自称「LGBT」は本物のLGBTですか?

7月23日 朝日新聞とLGBTが今年中に壊滅しますように

7月25日 尾辻かな子と石川大我は同性愛者の恥

7月29日 杉田水脈を批判する方へ

元々は尾辻かな子氏のファンであったというかずと氏の怒りの記事は、まだまだ続くので、ご興味がおありの方は彼のブログ記事をさらに先にたどっていただきたい。

「新潮45」10月号に寄せられた論考には、健全な議論に発展できる要素が充分に含まれていた。ところが、世間は「杉田論文を擁護することこそが、悪!」「杉田論文を全否定しない者は差別主義者!」というムードに完全に染まっていた。なにしろ、この頃になったら、メディアが競って杉田論文を叩き、大衆の怒りを扇動していたのである。

杉田論文をきちんと読んだLGBT当事者が「それは尾辻かな子氏の誤読もしくはデマ」と反論しても、「差別主義者!」と罵られて、ネットリンチにかけられておしまい。他人事だから杉田論文も読もうともせず、扇動に乗せられた異性愛者が、LGBT当事者を「差別主義者」として叩く。まさにマジョリティの傲慢。そもそも、LGBTを差別してきたのは、あなたがたではなかったか?

知識人・文化人・言論人までが、こんな調子なのだから、痴れ者ここに極まれり。一億総軽率! 杉田論文を読んでないというのは、つまり、原典には当たってないということだ。知識人・文化人・言論人と呼ばれるにふさわしくない愚鈍な者どもが、社会からあぶり出されたということでもあるが、彼らはいまだにそれに気づいてない。

世の中、愚か者と腰抜けばかりだ! 

加えて、「新潮45」10月号発売直後には、しばき隊ウォッチャー各位があきれてひっくり返るレベルの、さらなる展開があった。

なんと、新潮社出版部文芸の公式ツイッターアカウント(https://twitter.com/Shincho_Bungei)までがしばき隊に同調……一体、どういうエンタメだよっ?(苦笑)(つづく)

遠回しにしばき隊に連帯し、新潮社社内で一人いい子ぶる出版部文芸の姑息なツイート

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

さて。
2018年7月18日に、いわゆる「杉田論文」を掲載の「新潮45」8月号が発売され、当時、衆議院議員であった立憲民主党の尾辻かな子氏が、ほぼデマと言える意図的な要約ツイートをした。

それに扇動された人々が騒ぎ、しばき隊界隈と東京レインボープライドが杉田水脈氏と自民党に対する抗議デモを呼びかけ、27日には「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」を実施。しかしながら、その暴力性とダサさゆえに、LGBT当事者からは大不評。

それでも、マスコミはデモがLGBTの総意であるかのように報道した。LGBT当事者の抗議の声を、マスコミは完全スルーしたのである。

世の異性愛者たちはすっかりだまされ、知識人や文化人までが、しばき隊に同調した。

8月5日には、しばき隊界隈呼びかけの「杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣」が実施される。実は、同日、そのデモの他にも「杉田辞職しろ大阪街宣」「杉田水脈の差別発言に抗議する福岡・天神PARCO前街宣」が、翌6日には「杉田辞職しろ伊賀街宣」といったしばき隊デモが実行に移されている。
 
マスコミは、またしてもそれらを好意的に報道。

だが、それが清く正しいデモであるのなら、しばき隊系活動家を一般人であるかのように偽って報道する必要はありませんよねぇ? 朝日新聞さん?

――というのが、これまで拙稿が追ってきたおおまかな流れ。

しばき隊系活動家は官邸に自由に出入りできる権力者だった

自分が呼びかけたデモがここまで話題になり、「我が世の春」だか「頭の中が春」だかの状態になった平野太一氏は、こんなツイートをしている。

「どうも~!民主党政権時に官邸に自由に出入りしていた平野太一どぇ~す!フゥ~!…わしゃどんな権力者やねん笑」

反差別だのなんだのお綺麗なことをおっしゃっているが、その正体は権力志向のくだらん俗物であるということを証明するかのようなツイートであるが、内容自体は事実なのだろう。となると、このスクショは旧民主党、現立憲民主党にとっては大打撃となりかねないブツである。

「民主党政権時に官邸に自由に出入りしていた」というしばき隊/ANTIFA系ゲイ活動家が、立憲民主党の尾辻かな子氏のデマを利用し、反自民デモを計画、LGBT活動家が共闘し、大手マスコミも同調したのである。

端的に申しまして、どいつこもいつも雁首そろえてバカ揃いということでございましょう。

もちろん、自民党叩きのチャンスを、共産党の機関紙「赤旗」も逃しはしなかった。

しかも、アホなことに(あるいは、大手新聞との差別化を狙い?)、デモがしばき隊系活動家の呼びかけであり、東京レインボープライドが乗ってしまったことを、バッチリ記録に残している。

「抗議を呼びかけた、平野太一さんが訴えました」

「抗議にはTRP(東京レインボープライド)も連帯を表明し、参加を呼びかけました。自民党本部前でもメンバーがスピーチ」

赤旗は東京レインボープライドのやらかしも報道

人権無視の差別やめろ 「杉田議員は辞職を」 自民に抗議 5000人(2018年7月28日付しんぶん赤旗電子版)

まあ、共産党にとっては自分たちの「使い捨ての兵隊」でしかない反差別チンピラどもが、日本最大のLGBTイベント・東京レインボープライドを操ることに成功したということで、「でかした!」というお気持ちなのでしょう。

さらに、赤旗に関しては、異性愛者諸氏にお伝えしたいことがある。

8月5日のしばき隊系デモ「杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣」の記事だが――。

赤旗デビューしたレズビアンYouTuberだったが……

「生産性のために生きていない」 渋谷で杉田暴言に抗議(2018年8月6日付しんぶん赤旗電子版)

この記事の中でコメントを寄せている、「レズビアンであることをカミングアウトしたユーチューバー(22)」だが……その後、突然メディアから姿を消し、現在は死亡説まで流れている女性の可能性がある。You Tube番組「性性堂堂」を仲間と主催していた鈴木南十星(なとせ)氏だ。

7月27日の自民党本部前抗議デモの写真でも、私は彼女の姿を確認している。

現在、You Tube番組「性性堂堂」のトップには「このチャンネルにはコンテンツがありません」の表示が……

◎[参考動画]You Tube番組「性性堂堂」

彼女がメディアから姿を消した理由は、まったく表には出ていない。

しかし、「活動家が突然姿を消す」という現象は、しばき隊界隈やLGBT活動界隈ではよくある話だ。活発に活動し、積極的にネット発信もしていた者が、ある日突然いなくなる。仲間たちもそれにはまったく触れない。そして、死亡説(特に自殺説)、失踪説、入院説、発狂説、逮捕説(特に違法ドラッグがらみ)等が流れる。

そして、それこそが、不健全な運動体であることの証左であるように私には思えるのだが、どうであろう?

もし、鈴木南十星氏の現在をご存じの方がいらしたら、ぜひ、ご一報いただきたい。あるいは、彼女に、一面識もない他人も心配しているのだとお伝えいただきたい(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

以前より、私は世間の皆様方に向けて「しぱき隊界隈の反差別チンピラに成功体験を与えてはいけません」と繰り返してきた。

成功体験というのは、具体的には、彼らに「差別だ! 差別だ!」オラつかれてびびって、謝罪する必要もないのに謝罪すること。あるいは、そんなオラつきを評価してしまうこと。

つまり、そのような「成功体験」が、彼らしばき隊界隈活動家をますます調子づかせ、勢いづかせるのである。

立憲民主党の尾辻かな子氏の印象操作ツイートを発端に、しばき隊界隈とLGBT活動界隈の共闘によって盛りあがった杉田水脈氏叩きは、マスコミの愚かしいヨイショ報道によって、反差別チンピラにとって大いなる成功体験となった。

ここで、ちょっと笑える朝日新聞のしばき礼讃記事をご紹介しよう。

杉田水脈氏に対する抗議活動が各地で行われたという2018年8月6日のニュースであり、現在も2パターンの記事がウェブ上で確認でき、うち一本は動画つきである。

◎[参考記事1]杉田水脈議員に抗議、各地で “生産性ない”主張「謝罪を」

◎[参考記事2]杉田水脈議員の発言「差別だ」「まず謝罪を」 抗議デモ(動画あり)

記事内の動画の中に、しばき隊界隈活動家・谷口岳氏がコンビニのネットプリントを利用して配布した物騒なデザインのプラカードを掲げた女性がいるという事実だけでも、事情を知る者の失笑を誘うというものだが。

[左]プラカードを配布する谷口岳氏のツイート/[右]谷口岳のプラカードも大活躍!(朝日新聞ウェブ版の動画の一シーン)

さらには、記事内の抗議活動参加者へのインタビュー部分を以下に抜粋し、その香ばしさを読者諸氏と共有したいと思う。

都内から聴きに訪れたフリーライター、竹内美保さん(57)は「『生産性』の発言は議員以前に人としても失格。それなのに杉田氏は謝罪すらしていない。まずはそこから求めたい」と話した。

竹内美保さん(57)、朝日新聞にご登場!

しぱき隊ウォッチャー諸氏は、ここで「ん?」と引っかかりを感じることであろう。

竹内美保さん? 竹内……美保……さん? たけうち……みほ……さん? ズバリ、しばき隊系活動家じゃねーかよーっ!(絶叫)

おそらく、朝日新聞の記者氏は竹内氏の「正体」を承知のうえで、コメントを掲載したのであろう。こういうところから、私は「一部マスコミとしばき隊はズブズブである」と申しているのです。

なお、私はこの竹内美保氏とは一度もやりとりしたことはないのだが、ツイッターでブロックされている。いわゆる「予防ブロック」である。大物活動家様にそんなに警戒されてしまっては、ちょっと照れてしまいますね。てへっ(笑)。

[左]ツイッターで確認できる竹内美保氏のプロフィール/[右]筆者を予防ブロックする竹内美保氏

ところで、しばき隊系の抗議活動においては、しばしばドラムを叩いて仲間を鼓舞する女性活動家がいらっしゃるとの噂が、私の耳にも届いている。なんでも、その女性はウォッチャーから「太鼓ババア」と呼ばれ、畏怖の念をいだかれているのだとか。

その太鼓ババアが竹内美保氏であるか否かは未確認だが、もし、それが竹内氏であったなら、そのニックネームの「ババア」部分には「差別主義者によるエイジズム、セクシズム、ルッキズムに抗議します!」との声をあげていただきたいと、同じ女性として願うばかりである。

旧レイシストをしばき隊、現C.R.A.C.代表の野間易通氏に「おばさん」と呼ばれた私も、その点においては竹内氏と共闘したいと思う。

さて。この渋谷での抗議集会だが、ツイッター上では「 #0805杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣 」なるハッシュタグが存在する。

この手のハッシュタグは、時として、いい感じにデジタルタトゥー収集道しるべと化すのであるが、今回は、最後に、このハッシュタグをたどり、しばき隊系活動家およびその界隈とつながる政治家・文化人の皆様のツイートをご紹介したい。

しばき隊系活動家およびその界隈とつながる政治家・文化人の皆様のツイート

立憲民主党の有田芳生氏(やっぱりいましたね)、共産党の池内さおり氏(もう、こっち来ないでください)、ANTIFAやTOKYO NO HATEなどの関連団体、あの界隈と仲良しのソウル・フラワー・ユニオン(アカウント運営は中川敬氏でしょうか?)、その他活動家の皆々様……。

繰り返しますが、LGBTの人権を守ると称してオラついておられるのは、実に迷惑です。運動手法を再考してしただきたいものですが、無理なら無理でいいので、別のところでやってくださいね!

なお、ここでマスコミが成功体験を与えてしまったものだから、しばきアクション(苦笑)はさらにまずい方向へ突っ走るのであった。

次回では、それを皆様にご紹介せねばと考える次第である。(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

前回、述べたように、杉田論文は「生産性」という言葉の選択は不適切だったものの、決して差別的な内容ではなかった。むしろ、あそこから議論を進めてゆけば、有意義な問題提起になるはずだった。

しかし、しばき隊界隈活動家とLGBT活動家とマスコミはガッツリ手を組み、杉田水脈氏を悪魔化し、バッシングを続けた。

なお、マスコミは、デモ「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」の背後に俗に「しばき隊」と呼ばれる暴言路線の運動体が存在することには、まったく触れなかった。それどころか、杉田氏叩きを扇動し、激化させた。それは、「保守女性議員の杉田水脈を叩きたい」「自民党を批判したい」「LGBTの味方としていい格好したい」という欲望ゆえに道を外れた報道のように、LGBT当事者である私の目には映った。蔑まれてきた者は、自然と用心深くなり、利用されればそのことに敏感に気づくものだ。長い間、蔑む側だった異性愛者の声を代弁し、しばしば同性愛を「気持ち悪いネタ」として消費してきたマスコミ人は、それを知らないのだろう。

杉田氏叩きは、まるで魔女狩りだった。それに異をとなえれば、同性愛者であってもネットリンチを受けた。しかも、リベラル気取りの異性愛者たちから、である。

平野太一氏はしばき隊の活動家であったことを明言

「あいつも差別主義者(=魔女)だ」と名指しされるのを恐れ、競うように杉田氏を罵倒する人々の群れ。それはまさに、教養があり理性的な「市民」ではなく、感情に突き動かされる無責任な匿名の 「大衆」であった。

そんな中でも、デモの呼びかけ人となったしばき隊界隈のゲイ活動家・平野太一氏のツイッター上の暴言は、特にひどいものだった。ここにいくつか並べてみよう。

「杉田水脈のアレに関して傷付いたとかは全くないけど自分の人生において邪魔な障害物をどかす感じかな〜」

「てめー最低だな。@miosugita」 ※@miosugitaは杉田氏のツイッターアカウントのIDであり、アカウント運営者である杉田氏側に表示されるメッセージであることを示す。

「クソ飼い主に頭撫でられて尻尾振ってるだけの無能な権力の犬」 ※杉田氏のツイートを引用リツイートする形で。

[左上]「障害物をどかす」……殺害予告ともとれる表現/[左下]他人を犬と呼びつつも「弱い犬ほどよく吠える」を実践するツイート/[右]平野、杉田に「てめー」 最低なのはご自身ではなかろうか?

極めつけが、何者かから殺害予告を受けた杉田氏に対する、次のリプライ。

杉田氏「北海道に旅立つ前に赤坂警察署に来ました。先日、自分はゲイだと名乗る人間から事務所のメールに『お前を殺してやる!絶対に殺してやる!』と殺人予告が届きました。これに対して被害届を出しました。警察と相談の上、一連のLGBTに関連する投稿はすべて削除いたしました。」

平野氏「そのまま一生LGBTについて言い出すな無駄な政治家の中身もねえ雑音うっさいんだわつでに(ママ)政治家も辞めろやダニが」

[左]杉田氏には殺害予告まで……/[右]殺害予告された被害者に「ダニ」とは人としていかがなものか?

そして、しばき隊界隈のオラつきに眉をひそめるLGBT当事者に対しては、彼は小馬鹿にしたツイートをしている。

「『私たちゲイは普通の生活がしたいだけなんです!放っといて!』 えーと、今回の抗議は他者に対して生産性がないと評価するような政治家に怒りを感じる人たちによるものなので、最初からあなたは関係ないんですよ。しゃしゃりお疲れでーす #0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議 」

平野、一般ゲイに対しさすがに調子に乗りすぎの傲慢な発言

ずいぶんと下品で威勢のいいチンピラといった印象だが、実は平野氏、この連載が始まったら、ツイッターアカウントを削除してしまった。偶然なのか「逃げた」のかは存じあげないが、アカウントを登録しなおしてないところを見ると、ツイッターでの集団ネットリンチという運動手法を、みずから捨てたのだと思われる。あんなにノリノリだったのに……。

ところで、しばき隊の母体であり、平野氏の主な活動の場であった反原発団体・首都圏反原発連合(反原連)は、すでに2021年3月に解散している。

2020年10月に反原連のHPで発表された「ステートメント【活動休止のご報告】」と題された記事では、その理由を次のように述べている。

休止の理由としては、マンパワーの温存に限界があること、脱原発運動が市民運動の中心から外れてくるに従い寄付金が減少し、これまでの多岐にわたる活動内容に対し、運営資金の捻出が難しくなってきたことがあげられます。

……は? 資金難で活動休止? なんじゃ、そりゃ? 市民運動を手弁当で続けている団体や活動家なら、いくらだっているのに……? 案の定、ネトウヨからも「やっぱり、デモ参加には日当が出ていたのか!」とツッコミを入れられる始末。これは情けない……。

デジタル鹿砦社通信でも、反原連活動休止のニュースを次のようにとりあげている。

◎松岡利康&『NO NUKES VOICE』編集委員会有志 「ふたたび、さらば反原連!秋風に吹かれたゴミは歴史の屑箱へ!── 反原連の『活動休止』について」
【前編】(2020年10月8日)
【後編】(2020年10月9日)

また、2016年配信の「まぐまぐ」のメルマガでは、元パヨクの千葉麗子氏に取材したこんな告発記事もあった。ご参考までに。

◎MAG2 NEWS【書評】元アイドルが暴いた「反原発運動」の恐るべき実態(2016.5.9)
 
しょうもない団体に、しょうもない活動家。そして、彼らとつるむサヨクマスコミという図式。それは、反原発、反差別、LGBT、どれも同じ──というのも、反原連&しばき隊が関わっているから、当然のことだろう。

ところで、この原稿を書いている真っ最中、10月31日の衆議院議員選挙では、再三批判してきた立憲民主党の尾辻かな子氏、共産党の池内さおり氏は落選、自民党の杉田水脈氏は当選した。しぱき隊的なものはもう、メッキがはがれたということか。だとしたら、実にめでたいことである。(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

繰り返しになるが、再度、引用させていただく。雑誌「新潮45」2018年8月号に掲載された、俗に「杉田論文」と呼ばれる論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」を、立憲民主党のレズビアン国会議員・尾辻かな子氏は次のように要約し、ツイートした。

杉田水脈自民党衆議院議員の雑誌「新潮45」への記事。LGBTのカップルは生産性がないので税金を投入することの是非があると。LGBTも納税者であることは指摘しておきたい。当たり前のことだが、すべての人は生きていること、その事自体に価値がある。

しかし、杉田論文は、本当にそんな内容だったのだろうか? 一応、尾辻氏は杉田論文の該当部分「生産性がない」発言の誌面の画像をツイートしているが、ここで、その文面を抜粋してみよう。

例えば、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか。にもかかわらず、行政がLGBTに関する条例や要綱を発表するたびにもてはやすマスコミがいるから、政治家が人気とり政策になると勘違いしてしまうのです。

……おわかりいただけただろうか? ここで言う「生産性」とは、同性愛者は子供を作らないということだったのである。

その言葉の選択自体は、私も適切であるとは思わない。「生産性」だなんて、まるで物のようではないか。かつて批判を浴びた男性政治家による「女性は産む機械」発言とどう違うのか? この点だけは、杉田氏も早いうちに「生産性という表現は不適切でした」と謝罪するべきではなかったか。

しかしながら、ゲイカップルは代理母を「利用」し(私は代理母ビジネスには批判的な立場ゆえ、あえてこのような表現を使わせていただく)、レズビアンカップルは男性から精子提供を受けないかぎりは、子供を作れない。異性である第三者の協力がないと自分たちの血を引く子を持つことができないカップルであるという点は、事実なのである。

尾辻氏のツイートに乗せられた著名人の一人、芥川賞作家・平野啓一郎氏も、杉田論文全文を読んでみたらどうか

そのような同性カップルに税金を投入すべきか? 投入すべきなら、一体どのような形で? また、その根拠は? ――という問題提起をしているのが、杉田論文だ。ならば、杉田氏に批判的な尾辻氏は、正々堂々とそれに答えるべきではないのか?

実際、杉田論文騒動をきっかけに、多くのLGBT当事者から「我々よりも子育て支援に税金を使うべき」との意見が出るようになった。しかし、その声を拾いあげた政治家やマスコミ人は、これまでにいただろうか?

そして、ここが最も注目すべき部分だが、尾辻氏が言うような、「すべての人は生きていること、その事自体に価値がある」か否かという点には、杉田論文はまったく触れてはいないのだ。つまり、尾辻氏のツイートの後半は藁人形論法であり、政敵に対する印象操作なのだ。はっきり申せば、尾辻氏のツイートは杉田論文の要約としてふさわしくない。

谷崎賞作家・星野智幸氏の性的少数派の友人知人の皆様は、杉田論文ではなく尾辻氏のツイートにより、死に追い込まれそうになったのでは?

あの要約ツイートが意図的であるのなら、汚いやり方であるし、本気でそう読み取ったのなら、失礼ながら、「読解力に問題あり」とのそしりを逃れられないのではないか。いずれにしろ、レズビアンを名乗って政治家を続けるのはご勘弁いただきたいところだが、いかがであろう?

いや、もしかしたら、尾辻氏はあまり深く考えずに、単に個人的な主張(にしては、いささか青くさいが)をツイートの後半にくっつけてしまったのかもしれない。好意的に解釈すれば、そのような可能性にも思い当たるだろう。

しかし、だ。実は、その直後に、杉田氏が尾辻氏のツイートを引用する形で問いかけをしたのに、尾辻氏はそれをスルーしたのである。なお、尾辻氏のツイートがきっかけでいやがらせや脅迫が殺到し、身の危険を感じた杉田氏は、後に自身のツイートを削除してしまっているため、2018年7月19日に記録されたウェブ魚拓(https://archive.ph/Oheeh)より、その文面を以下に引用する。

尾辻先生、税金を投入する=福祉を活用する人=社会的弱者です。LGBTの方々は社会的弱者ですか?LGBTの方々でも、障害者の方は障害者福祉を低所得者の方は低所得者福祉を高齢者の方は高齢者福祉を受けられます。年金も生活保護も受けられます。当たり前のことです(続く)

(続き)その点に於いて日本の中で何ら差別されていないし、また差別すべきではないと思います。納税者として当然の権利は行使できます。その上で、何かLGBTの方々だけに特別に税金を注ぎ込むような施策は必要ですか?

健全な議論のためにも、この問題提起は知られるべきでは?

ご覧のとおり、杉田論文要約ツイートに対するツッコミとも言える重要な問いかけであるのだが、尾辻氏はガン無視した。いや、重要な問いかけであるからこそ、無視したのかもしれない。

いやいや、政治家なのだから普段から引用リツイートやリプライの通知も多く、見逃してしまったのでは?――という擁護の声も出てくるかもしれないが、尾辻氏の「ガン無視」は、多くの人が指摘している。それでも尾辻氏は気づいてないというのか? 仮に本人が気づいてないのなら、秘書から尾辻氏に伝えるのが、秘書たる者の仕事ではないのか? なにしろ、あれだけの騒ぎを起こしたツイートなのである。

そして、今に至るまで、少なからぬ数のLGBT当事者が尾辻氏のツイートのおかしさを指摘してきたが、いまだに尾辻氏は彼らをも「ガン無視」なのである。

尾辻氏のツイートから、本当に杉田論文の内容が「すべての人は生きていること、その事自体に価値がある」と反論すべき内容だと信じたLGBT当事者は怒り、あるいは傷つき、中にはショックで泣いたと告白した者もいた。

杉田論文を読まないまま、しばきデモに参加してしまった母と中学生の娘。かえって教育に悪いのでは?

だが、杉田論文はLGBTの「生」や「存在」を否定するようなものでは決してなかった。ということは、その方々は、尾辻氏の言葉に怒り、傷つき、泣いたのである。

厳しいことを言えば、原典に当たらず140文字以下のツイートなんぞに脊髄反射するのが悪いのだが、過去に差別を受けて怒り、傷つき、泣いてきた方々に「アホ」のレッテルを貼るのは、あまりにも酷だろう。

なにはともあれ、尾辻氏がおのれの要約の恣意性を認め、杉田氏のリプライにきちんと対応しておけば簡単な話だったのである。まったくもって、無責任な話だ。

しかし、無責任なのは尾辻氏だけではなく、マスコミもそうだった。杉田氏に対し、一貫して「叩き報道」を続けたのである。

◎毎日新聞(2018.7.21)「『生産性なし』自民・杉田議員の寄稿が炎上」

◎朝日新聞(2018.7.23)「同性カップルは『生産性なし』 杉田水脈氏の寄稿に批判」

◎日本経済新聞(2018.7.31)「自民・杉田氏寄稿に批判相次ぐ LGBT『生産性ない』」

杉田論文を読まないまま、しばきデモに参加してしまった母と中学生の娘。かえって教育に悪いのでは?

まさか、報道に携わる者がそろいもそろって、「杉田論文」を読まずに批判していたのか? あるいは、全文を読んだにもかかわらず、「生産性」のひとことに拘泥しつづけ、主旨を読み取れなかったのか? それとも、各社の記者全員がブードゥーの呪術師にゾンビパウダー入りの茶でも飲まされて、思考停止に陥ったのか? だとしたら、大変お気の毒なことであり、同情を禁じえない。

なお、私は杉田氏を擁護してはいるが、支持者ではない。支持政党なしの私にとって、杉田氏は数多く存在する「いいところもあるけど、悪いところもある政治家」の一人でしかない。

その点は、読者諸氏にもしっかり心にお留めおきいただきたい。特に、杉田氏のお取り巻きと化して、氏を「水脈姐」と呼んでキャッキャウフフしながら馴れ合っている保守派女性の一人とみなされてしまったら、鳥肌が立つというものである。私の望む百合の園は、あのような形ではない。断じて、だ。

最後に、フェアな姿勢で杉田論文全体を論じたトランスジェンダー当事者・神名龍子女史によるブログ記事をご紹介し、今回は筆を擱きたい。

◎神名龍子「杉田論文についての考察」 https://www4.hp-ez.com/hp/eon/page55/8

(つづく)
◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

7日発売!タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

しばき隊が提案し、東京レインボープライドが乗ったデモ「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」。

多くのLGBT当事者は、ツイッター上で流れてきた現場の写真を見て初めて、そのデモの異様さを把握した。

杉田氏の顔写真を引きのばし、醜悪に加工したり、侮蔑的な言葉を書き加えたプラカード――まさに悪魔化である。と同時に、呆れるほど幼稚なセンスだ。小学生が音楽の教科書のベートーベンの肖像に落書きするのと大差ないお子様マインドだろう。

あるいは、銃のスコープで杉田氏の顔を狙うデザインのプラカード。これは、しばき隊界隈の活動家・谷口岳氏がコンビニのネットプリントを利用して配布したものだが、かっこいいとでも思ったのだろうか?

中二病患者は自分が中二病であることに気づかないという証明をしていただき、その羞恥プレイめいた自己犠牲の精神には敬服するばかりである。

しばき隊界隈でご活躍のカメラマン秋山理央氏も実況ツイート

抗議デモには、「FUCK」と書かれたレインボーフラッグも登場した。

過去に東京レインボープライドで、立憲民主党が性的多様性のシンボルであるレインボーフラッグに党名を入れた小旗を用意し、LGBT当事者から「我々の誇りであるレインボーフラッグに軽々しく党名を入れるとは、非常識で身勝手だ」と批判された事件を把握していれば、とてもできないことだろう。

それと、中指を突き立ててポーズをとるデモ参加者の写真は……会場の片隅で「下品」と「中二病」の博覧会でも開催していたのだろうか?

[左]デモで中指を立てる女性。海外のスラムでやったら殺される可能性が高いポーズ。[右]しばき隊界隈のゲイ活動家、ハスラーアキラこと張由紀夫氏もデモの準備に余念がない

滑稽だったのは、薄汚い格好にだらしない髪型の中高年男性のデモ参加者たちの姿に、LGBT当事者から困惑の声があがったことだ。

「あの人たちがゲイ?」

「違うでしょ……?」

「どうせ、動員されたパヨク活動家だろ!」

――そう。それはまさに「これぞ、人生を運動に捧げ、気づかぬうちに浮世離れしてしまい、外見に気を使わなくなったサヨク活動家のおじさん」というサンプルのごとき方々だったのである。

これはべつに、LGBT当事者を称賛してサヨク活動家をコケにしているわけではない。

同じ男性でも、ゲイは異性愛者と違って出会いの機会が少ない分、なにかと小綺麗にしている。今は出会い系アプリがあるとはいえ、大勢のゲイに自分の姿を見てもらえる機会ともなれば、そのファッションには気合が入るというものだ。

体だって、トレーニングで造りあげている者は珍しくない。そんな男たちは、Tシャツ一枚であっても、おのれの美しい筋肉をアピールできるデザインを選ぶ。

デブ専ゲイ受けを狙った体型のゲイでも、髪を短く刈り、男らしさを演出するものだ。

あえて無精髭で野郎っぽく見せても、髪は清潔に保つのがスタンダードであり、薄汚いファッションにボサボサの髪型なんて、絶対にありえない。

つまり、ゲイばかりが集まる場所には、緊張感に欠けただらしない格好をした男など、まず、一人もいないのだ。

女性政治家の顔を怪獣ダダと同一視してdisる見目麗しき殿方

あるとき、私は、ゲイの友人に訊いた。

「なんで、マッチョ系ゲイって、しゃべるとオネエなの?」

彼はこたえた。

「あれはね、マッチョの中身がオネエなんじゃなくて、その反対なの。オネエが男にモテたくてトレーニングをした結果、見かけだけはマッチョになったってだけなの」

……オネエであっても、男にモテたくて、マッチョになる。中身はオネエのままで。

それほどまでに、ゲイは「モテ」に重点を置き、老いも若きもイケてる男であろうとしている。

ゆえに、ゲイやゲイの生態を知るレズビアンやバイセクシュアルは、あのこ汚い格好の中高年を見て、ピンときたのだ。彼らは異性愛者だ、と。

ダサいならダサいで、それをファッションにまで高めるのが、長年アンダーグラウンドの存在とされてきた同性愛者の余裕であり、誇りなのだ。

ダサいけどキッチュでおしゃれで華やか。それは、ドラァグクィーンに象徴されるキャンピィ文化であり、しばき隊界隈は、残念ながらそれを理解していないし、身につけてもいない。

オネエはヒステリックな口調さえ、第三者から見て笑える「芸風」に変える。そうやって、自分を客体化して見る訓練ができているのだ。

反面、しばき隊界隈のヒステリックは、本気のヒステリックだ。ゲイのように、悪口を皮肉と笑いでくるんで提示してみせる知恵も能力もない。

ツイッター上で気に食わない者を集団ネットリンチし、根性がある批判者はみんなそろって予防ブロック。仲間内でエコーチェンバー現象を起こし――となると、次は当然、カルト化が待ち受けている。

野間易通尊師による「俺は神」とのありがたいお言葉

C.R.A.C.代表の野間易通氏に「尊師」というあだ名がついたのは、もちろん、地下鉄サリン事件他の凶悪犯罪を起こしたオウム真理教の教祖・麻原彰晃になぞらえてのことであり、つまり、しばき隊界隈の狂信性、カルト性は、とっくにウォッチャー各位に読み取られていたということだ。

世界中のゲイとレズビアンは、なぜ、デモではなくパレードという形で人権を訴えているのか?

それは、同性愛者が「けがらわしい異常者」「気持ち悪い変態」とあからさまに罵られ、蔑視されてきた歴史的事実と、無関係ではない。

自分たちに向けられてきたヒステリックな罵倒――それを相手に返したくはない。それを発する者がどんなに醜悪に見えるか、身にしみてわかっているからだ。

ゆえに、パレードという形で自分たちの存在を社会にアピールし、ハッピーで楽しい祭典に異性愛者たちを巻き込む形で、理解と共生を求めてきたのだ。

しかし、しばき隊/ANTIFA/カウンターは、LGBTを差別してきた異性愛者と同じ、ヒステリックな罵倒に依存している「正義中毒患者」だ。

ゆえに、いくら蔑視されても誇り高く生きてきたLGBT当事者が、彼らの姿に嫌悪感をあらわにするのも、当然のこと。

[左]コンビニプリントを利用して配布されたプラカード画像(作・谷口岳)[右]安易に鉤十字を使いたがる幼児性はいかがなものか

デモの性質に気づいたLGBTは、疑問を感じ、そして、LGBT活動家が暴力的な運動体と共闘している事実を把握する者も次第に増えていったのである。

「LGBT活動家がしばき隊と共闘しているだなんて、我々の印象が悪くなる」

「これまでしばき隊が起こした暴力事件や性犯罪の被害者を踏みつけにするのか?」

「そんなLGBT活動家が偉そうに我々の代表ヅラするな」

それらの批判は、後に何度も何度も繰り返され、「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」は代表的な「LGBT運動の悪しき例」として蒸し返されることになったのである。(つづく)

堅実な生活を営むゲイ当事者、つよし・おすとらこん氏のデモ批判ツイート。活動家ではない一般のLGBT当事者の真っ当な感覚がここにある

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』11月号!

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

« 次の記事を読む前の記事を読む »