冤罪事件を色々取材していると、マスコミの犯罪報道はいかにいい加減かがよくわかる。とくに発生当初や被疑者の逮捕当初にマスコミが大騒ぎした事件はそうだ。過熱する報道合戦の中で事実関係のチェックが杜撰になるのか、誤報や飛ばし記事が多くなりがちなのである。
筆者が現在取材中の事件の中から、その実例を1つ紹介したい。
警視庁捜査一課の白鳥陽一警部(当時58)が逮捕されたのは昨年7月22日のことだった。容疑は地方公務員法(守秘義務)違反。警視庁が東京都豊島区の品川美容外科池袋院で起きた患者死亡事故について、担当医師らに業務上過失致死の疑いを抱いて捜査を進める中、白鳥警部は主任捜査官を務めていた。ところが、捜査対象である品川美容外科の渉外室に勤める元同僚の警視庁ОB・中道宜昭氏(当時53)らに捜査資料を渡し、職務上知り得た秘密を漏らしたという疑いをかけられ、逮捕されたのだ。