「最近どう、婚活のほうは?」と聞くと、「いやあ、諦めました。退会したんです」と、彼は苦笑いした。
彼は車椅子で生活する障害者で、30代。仕事もしており、快活だ。十分に結婚できると思える。普段の生活は、家と職場の往復。職場は小さく女性は皆既婚者だ。なかなか出会いがないので、大手の婚活サービスに入会していたのだ。

「障害があるというと、会うというところまで、なかなかたどり着けない。登録するデータには、障害のあるなし、その程度を書かなきゃいけない。また相手に対して、障害があってもいいかという質問項目があって、男女とも、たいていは、障害ありにはNOですからね」
会えなくても、データのやりとりで会費がかかるシステムだ。
「一人会うのに5万円かかった計算です。これなら、デリヘルにでも使えばよかった」
彼は、快活に笑った。

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