若い頃に読んだ本は、内容を忘れていることが多いので、たまに読み返す。
手に取ったのは、ジョージ・オーウェルの『1984年』。読み終わってから、新訳が出ているのを知る。読んだのは、手元にあった新庄哲夫訳のものだ。
スターリンが君臨するソ連をモデルにした近未来の話なので、管理社会のあり方は、北朝鮮を思わせる。

村上春樹はこれを土台にして、逆に近過去を舞台にした『1Q84』を書いたわけだが、特定の主義主張による「精神的な囲い込み」に対抗しようとした、と執筆の動機を語っている。
共産圏をモデルにして1948年に書かれた小説にもかかわらず、『1984年』には現代日本を思わせる部分もある。
舞台になっているオセアニアという超大国の3つのスローガン「戦争は平和である」「自由は屈従である」「無知は力である」からして、まるで日本を裏で支える隠れたスローガンのようだ。

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