かつて、マスコミが「第2の和歌山カレー事件」と騒ぎ立てた事件があったことを読者は覚えているだろうか。
舞台は埼玉県本庄市。1999年から翌2000年にかけ、市内で金融業を営む八木茂さんという男性が愛人女性らと共謀の上、トリカブトや風邪薬を凶器に使って保険金殺人を繰り返していた疑いをかけられ、凄絶な犯人視報道にさらされた。その後、殺人罪などに問われた八木さんは2008年に死刑確定したが、八木さんらが保険金殺人疑惑に関連する公正証書原本不実記載・同行使の容疑で最初に逮捕されたのが2000年3月24日のことだった。つまり、この3月24日で八木さんらの身柄拘束期間は丸13年に及んだことになる。
この間、八木さんは一貫して無実を訴え、死刑確定後に再審請求もしているが、冤罪を疑う声はあまり聞こえてこなかった。だが、実はこの事件の捜査や裁判は、非常に問題が多いものだったのだ。