妹に、石屋に払う石塔の代金を立て替えてもらおうと思ったが、メールは届かず、電話は通じなかった。石塔を建てようと強く主張したのは、自分は教会で結婚式を挙げた妹だったのだが。
だが、そんなことをしつこく催促するのは嫌なので、信頼関係の強い方に用立ててもらって、石屋への支払いは済ませる。
ちなみに、この石屋は、気持ちのいい人物だった。
生まれてすぐに亡くなった私の姉の遺骨も墓所には納められているので、その戒名も彫ってほしいと頼んだ。
「ええ、かまいませんよ」
料金内で行うことを請け合った後で、石屋の主人は付け加えた。
「お母様もよく、亡くなったお子さんのことは、よくおっしゃっていましたから」
えっ、そうなのか、と驚く。
私たち子供の前では、そのことはほとんど口にされなかった。