納骨の前日、住職から電話がある。
「戒名代が30万、納骨の式の費用が10万、計40万円、明日お支払いいただけますね」
支払いの確認だ。
始めから分かっていたことだが、これは宗教的儀式などではなく、ビジネスそのものであることを、住職自ら明らかにした。
当日、寺の近くの地下鉄高田駅に着くと、親戚達と出会う。
父が事業に失敗してから、親戚と会うことはなくなっていた。ほとんど20年ぶりだ。
若い頃革命運動に没頭していた私に、女性とのデートのしかたも分からないだろうからと、食事につきあってくれたことのある、従姉妹もいる。
たわいのないことを話しながら川沿いの道を歩き、浄泉寺に着く。