その後の榛野氏とのメールもおかしな部分はあった。
『両作品とも若い方が書いている感じがしました。出版にあたり、お互いを守る為のお約束事などを話さなきゃいけないと思っています。簡単に言うと契約ですね』
このメールを読み、芳川氏は私の個人情報を一切話していないのだと思った。確かに作品の主人公はどちらも若い。そして、直してはいるが書いた時期は3年ほど前のものだ。だが、それだけで相手の年齢を決めつけている感じがした。
私のことをいくつぐらいだと思っているのだろう。確かに私は20代後半なので、若い方だとは思う。
とはいえ『お互いを守る約束事などを話さなきゃいけない』というような言い方は、10代……いや小学生に話すような物言いだ。そこまで稚拙な作品であったのかと当時はショックを受けた。『契約書に承諾頂いてからの販売となります』だけで良いのではないだろうか? とも思ったものだ。だが、榛野氏に本を読む能力など全く無いことは少しずつ分かってくること。若い子を描けば若い人が書いているぐらいにしか思って居ないのかもしれない。

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