「裁判のこと、マスコミではどういうふうに書かれていましたか?」
去る1月23日の正午前、広島拘置所の面会室。つい3日前、広島高裁で控訴棄却の判決を受けた湖山忠志氏(29)は、そう筆者に尋ねきた。筆者は判決公判を他用で傍聴できなかったのだが、地元紙・山口新聞の1月21日付け朝刊によると、裁判長が判決理由の朗読を終えた後、湖山氏は目の前の証言台を蹴り上げ、裁判長らに向かって「ふざけとるんか」「責任とれや」などと言って暴れだし、拘置所職員に抑えられながら退廷したように報じられていた。しかし、湖山氏本人はその時の記憶がまったくないと言う。
「判決の主文を聞いて、しばらくすると頭がボワーとしてきて、記憶が飛んでしまったんです。意識が戻った時、自分はすでに法廷を出ていて、手錠をかけられた状態で椅子に座り、うなだれていました……」
湖山氏にとって、今回の裁判の結果がそういう状態に追い込まれるほどショックだったということだろう。