「弁護士の先生は一審も二審もよくやってくれました」
「鳥取刑務所でも松江刑務所でも職員の人達はすごく良くしてくれています」
筆者の取材経験上、無実を訴えながら有罪判決を受けた被告人は、無罪判決をとれなかった弁護士や自分を犯罪者扱いする拘置所・刑務所の職員たちへの不満を訴えることが少なくない。だが、彼女の場合、そういうことは一切ないばかりか、他者への感謝の思いばかりを口にする。ただ、それにしても、公判が終わって退廷する際、敵であるはずの検察官にまでお辞儀していたのは少々驚いた。本人はそのことを記憶していないというのだが……。
「裁判の時は緊張していたので……無意識のうちにお辞儀していたのかもしれませんね」
昨年12月、松江刑務所の面会室。マスコミが「西の毒婦」と呼んだ鳥取連続不審死事件の上田美由紀被告(40)はそう言って笑った。