フリージャーナリストの今井亮一さんが2011~2012年に「大髙事件」と呼ばれる刑事事件の裁判を取材していた際、東京地裁に「虚偽の記者席」で傍聴を妨害されたなどとして、国に1万円の損害賠償などを求めて同地裁に起こした国賠訴訟の控訴審で、またしても姑息な判決が出た。
昨年9月に出た東京地裁(山田明裁判長)の第一審判決は、「大髙事件」の公判で同地裁が毎回もうけた5席の記者席が「記者クラブに求められていない“虚偽”の記者席だった」という肝心の前提事実に踏み込んだ言及をせず、「憲法82条1項の規定は、各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものではない」などという的外れな理屈で今井さんの請求を棄却。今井さんはこの判決に「傍聴できなかったこと以上に、虚偽記者席という卑怯・卑劣なものを見せつけられたことが不愉快だったと主張したのに、そこがスルーされたのは残念」などと不服を述べ、東京高裁に控訴していた。