1999年7月、産経新聞の「スクープ」を皮切りに大々的に報道されるようになった本庄保険金殺人事件。2件の殺人罪と1件の殺人未遂罪に問われた埼玉県本庄市の金融業者・八木茂氏(64)は2008年に死刑判決が確定したが、マスコミに「渦中の人」にされて15年になる今も無実を訴え、再審(裁判のやり直し)を求め続けている。

そんな八木氏の裁判では、クロと決めつけた報道のイメージと裏腹に、実はめぼしい有罪証拠は何1つ示されていなかったことは当欄で先日お伝えした通りだ。八木氏が裁判で有罪とされた根拠は、突き詰めれば、共犯者とされる愛人女性3人の自白だけ。しかし、その3人、武まゆみさん(46)、森田考子(たかこ)さん(09年に獄中で病死。享年47)、フィリピン人のアナリエ・サトウ・カワムラさん(49)の自白内容はいずれも荒唐無稽で、現実離れしたものだった。

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