デジタル鹿砦社通信をご覧の皆さん、禁煙してますか? 私はスイマセンなんて謝ったりしません。はじめまして、愛煙家の原田卓馬です。鹿砦社の松岡社長から「君も何か寄稿しなさい」といわれたので勝手にタバコをテーマに連載することにしました。毎週更新ということでお届けしますが、いつ打ち切りになるかわかりませんのでよろしくお願いします!

何の疑問ももたずにJTの金ヅルになっているニコチン依存症の諸君。健康推進を謳った現代医学によるのタバコ・ネガティヴ・キャンペーンに屈した嫌煙家諸君。タバコは文化であります。嗜好品はあくまでエレガントに楽しもうではないか。マナーは大切に!

◆悪者になったタバコ

2005年に世界保健機関(WHO)によって発効されたたばこ規制枠組条約に日本も参加して、義務づけられた『たばこ警告表示』。タバコのパッケージの30%の面積を費やして「○○病の危険性を高めます」や「○○病で死亡する可能性が非喫煙者に比べて○倍」などと不安を煽るようなコメントが印刷されるようになった。日本はまだましな方で外国だと喫煙によって真っ黒になった肺の写真が印刷されたタバコのパッケージも多い。デザイン性もへったくれもないじゃないか。

それ以来、喫煙所の撤去、路上喫煙の禁止、飲食店の禁煙化が進んだ。昭和のテレビドラマなんかだと学校の職員室でタバコを吸いながら生徒に説教している教師が登場したりして「そういえば昔はこんなこともあったな」と思い出す反面、今だったら2秒でクビなわけである。

日本の喫煙マナーが最低だったという件に関してはともかく、今やタバコは国際社会において悪者扱いである。

◆タバコってなんだろう?

タバコとはナス科タバコ属の植物で、古くは紀元前5000年頃から南米アンデス山脈で栽培されていたと言われる。南米マヤ文明でも、北米のインディアンにおいても神聖な儀式のための重要な植物であった。

タバコという言葉はスペイン語ポルトガル語の『tabaco』だが、古アラビア語で薬草を示す『tabaq』がおおもとの語源であるとみられている。

タバコに含まれるニコチンの効用は興奮・鎮静という相反する精神作用であり喫煙時の状況や本人の目的に応じて変わると不思議な化学物質なのである。

15世紀、大航海時代にアメリカ大陸からヨーロッパに伝わり、日本には室町時代末期ごろポルトガルの宣教師によって伝来した。高価な薬草として普及したため裕福な武士や商人以外はなかなか喫煙することができなかった。当時は煙管(キセル)による喫煙が一般的だった。

現在、一般的なシガレット(紙巻たばこ)が世界的に普及するのは第一次世界大戦終結後のことだ。

◆タバコそのものは悪くないかもしれない

さて、タバコの歴史はここまでにして本題に入ろう。読者諸君は葉巻(シガー)を吸ったことがありますか? 葉巻はフィラー(中身)、バインダー(フィラーをまとめる)、ラッパー(バインダーを外側からくるむ)の三層構造になっていて、いんちきな安物でなければ100%タバコの葉っぱでできている。

ある夜ふと思いついて葉巻を吸えるシガー・バーというのに行ってみた。よくわからないので店員さんにオススメの葉巻とそれに合う酒を選んでもらった。2時間くらいかけてゆっくりと葉巻のねっとりとした煙を燻らせて、グラスを傾けたらもうとても素敵な体験でタバコの香りというのはなんともいえない恍惚感を与えるものなのだと感激した。その後、普段吸い慣れているシガレットを吸ってみたら「なんじゃこりゃ!」と、思わず嘔吐しそうな程に不味いのでびっくり。

その時感じたのは「ボンドみたいな鼻をつく刺激臭、紙の焦げる臭い、消毒薬のような臭い」であった。都市伝説のようにいわれているタバコの添加物の正体が少し見えかけたので面白いから調べてみた。すると、日本たばこ産業(以下JT)のWEBサイトで『添加物情報』なるページを発見した。

日本たばこ産業(JT)のWEBサイト『添加物情報』より

それによると『たばこ添加物』として以下の
・香料
・結合剤
・保湿剤
・保存料
・溶媒
・乳化剤
・酸化防止剤
・工程補助剤
の200種類以上の添加物が

『材料品添加物』として
・巻紙
・巻紙のり
・鋼版インキ
・フィルター素材
・フィルター巻取紙
・フィルターのり
・チップペーパーおよびチップペーパーインキ
の120種類以上の添加物が公表されているではないか!

内閣府大臣官房政府広報室のWEBサイト『政府インターネットテレビ』の『たばこの煙の恐ろしさ・吸ってる人にも吸わない人にも知ってもらいたいこと』で紹介されている以下の「たばこの煙の三大有害物質」(内閣府大臣官房政府広報室)

たばこの煙の三大有害物質(内閣府大臣官房政府広報室より)

・約70種類の発ガン物質
・約200種類の有害物質
・約4700種類の既知の化学物質
・10数万種類の未知の化学物質

これらの有害物質と、タバコの添加物の関係を少し調べてみようと思う。

最後になりますがわたくし、ナチュラル無添加のCOLTS、OCBのプレミアムペーパー、Smokingのスリムフィルターで手巻きタバコを楽しんでいまーす!
長くなってしまったので次回をお楽しみに!

 

(原田卓馬)

タブーなきスキャンダリズム! 『紙の爆弾』10月号絶賛発売中!

 

3.11直後から毎日休みなく福島第一原発動向をブログで発信し続けてきた「onodekita」さんこと小野俊一医師。東電、福島、被曝をめぐる諸相からメディア・識者批判にいたるまで、縦横無尽に語ってもらった200分インタビューを8回に分けて随時掲載する。今回はその第3回目。

onodekitaさんこと小野俊一医師

◆自分で真実を想定していくしかない

── 汚染水ではストロンチウム90を含む放射性物質濃度(全ベータ)がこれまで発表していた数値の10倍だったとか(河北新報2014年6月21日)、2号機では格納容器内の水位がこれまでの想定の半分しかなかったとか(NHK2014年6月10日)、立て続けに東電は修正情報を発表しています。

当たり前です。だって核燃料はすでに溶けて、地下に潜ってしまっている。それがどこにあるのかさえ把握していないのが実態です。逆におかしいのは、マスコミが東電の広報発表しか報じないことです。現場を取材している記者がほとんどいない。福島の現状をきちんと知りたいのであれば、浜通りのあたりを取材すればいろいろな話が出てくるはずです。情報源を東電に頼ってはいけない。もしもいま、福島で被曝が原因で人が死んだという話が出てきたら、それだけで大変なことになるはずです。そうした事実を隠すために、被曝された現場の人には相当な額のお金を支払われていると思います。

内部情報でいえば、「田舎のトンビ」という人の書き込みが興味深いです。「田舎のトンビ」さんの書き込みはエッチなサイトに紛れ込んでいて、わかりにくいのですが、時折、衝撃的な情報を流しています。

「田舎のトンビ」で検索すると、例えばこんな記事が出てきます。これは2011年12月の書き込みですが、原子炉の下の地面をロータリダイヤモンドピッチみたいな掘削ボーリングでくりぬいて出てきた物質の写真をネットに載せている。まるでウランのイエローケーキみたいな物質です。そしてそれを測定してみると放射線量の検針が100倍で振り切れている。

こんな画像を載せられる「田舎のトンビ」さんはおそらく内部の人だと思います。彼の写真や書き込みが事実だとすれば、福島第一原発の現場は東電の発表値以上に高線量なのは当たり前といえます。そのことはおそらく、東電も知っているはずです。

いまは東電の公式発表やマスコミが報じるニュースと現場の真実との格差が大きすぎると思います。ですから、自分たちでより事実に近いストーリーを練り上げて自分で真実を想定していくしかない。そしてときどき報じられる事実に近いニュースを見つけたら、それらを繋ぎ足していくこと。そうすることで、より事実に近い福島の実態が見えてくるのだと思います。

例えば、「田舎のトンビ」さんの画像を見れば、こうした放射性物質がすでに福島第一原発の地中深くに溜まっていることが想定できる。「4300ベクレルのトリチウムが見つかった」というニュースがあれば、高濃度の放射性物質が出ていないという方がおかしい。だから、こちら側で想像しているイメージに現実のニュースが追いついてくるのを待つしかないと思う。そうすると自分がおかしいと疑問を持っている部分はその後、ニュースで見て、「ああやっぱりこれはそういうことだったのか」と検証として引き上げていくことができるわけです。

──『美味しんぼ』騒動で思い出したのですが、事故直後に『AERA』が「放射能が来る」という特集を組んで、世間からバッシングを受けました。『AERA』は結局、正しかったわけですよね?

確かに『AERA』が報じたように当時、首都圏には放射能が来たのは事実でしたよね。でも、その時、『AERA』を批判した人たちから、そのことについて一切、反省や謝罪の弁がない。『AERA』騒動の一ヶ月か二ヵ月後、私は朝日新聞社に電話して、「記事は正しいと思いますけど、なぜ反論しないのですか? ぜひ、その経緯などを記事にしてください」と意見しました。事故直後、正しいことを書いたメディアが叩かれたわけですから。記事自体も極めて抑制的に書いてました。ただ、表紙の写真がガスマスクをつけた人の写真で、そのタイトルが「放射能が来る」だったから叩かれただけですよね。

がれき問題だってそうです。実は震災のがれきだって東北地域で十分処理できた。それを政府は拡散した。このことに対しても誰もごめんなさい、謝罪の声はないです。過ぎたことは忘れるという実に日本人的な流れです。[つづく]

[2014年6月26日熊本市 小野・出来田内科医院にて]
(構成=デジタル鹿砦社通信編集部)

◎onodekitaさんこと小野俊一氏横浜講演会のお知らせ!
日時=2014年9月21日(日)10:45-11:45
場所=パシフィコ横浜(第3回健康生活フェア)
※「フクシマの真実と内部被曝」 通常1000円(無料入場券あり)
詳細は下記リンクを参照ください。
http://onodekita.sblo.jp/article/102831803.html
http://www.healthylifefair.net/2014_yokohama/

ブログ「院長の独り言」 

▼小野俊一(おの しゅんいち)(小野・出来田内科医院院長)
1964年広島生まれ宮崎育ち。東京大学工学部(精密機械工学科)を卒業後、1988年に東電に入社。福島第二原発(5年間)と本店原子力技術課安全グループ(2年間)で7年間勤務。1995年に退社後、熊本大学医学部に入学し、2002年卒業。NTT病院等の勤務を経て、熊本市の小野・出来田内科医院院長。『フクシマの真実と内部被曝』(2012年11月七桃舎)
◎ブログ「院長の独り言」 http://onodekita.sblo.jp/

 

「onodekita」さん200分インタビュー!

《原発放談01》福島の放射能被害はチェルノブイリより酷くなる(小野俊一)
《原発放談02》東電の「できる人」は役人に決してNOと言わない(小野俊一)

最前線の声を集めた日本初の脱原発情報雑誌 『NO NUKES voice』創刊号絶賛発売中!

 

 

(屁世26年9月18日)

現世の私欲に目がくらみ、裁判長が“冥府の王プルトーン”に変身……の巻

屁世日本地獄絵図

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

面接官 「つぎのかた。……ズヅキさん、どうぞ。」
ズヅキ 「よろしくお願いします」
面接官 「ズヅキさん……“頭突き”とまた変わったお名前ですね。」
ズヅキ 「はい。先祖代々、頭突きでケンカに勝ってきた家系でございます」
面接官 「さようでございますか。そうしますと、前のお仕事はケンカ上等っていう、マルボー関係とか格闘技の業界だったとか……。(履歴書をしげしげと眺めて) あっ、裁判官だったんですね」
ズヅキ 「はい、司法の道ひとすじに、御社(おんしゃ)のご利益を拡大する方向でがんばってきました」
面接官 「公務員なのに弊社のためにひとかたならぬ便宜を図っていただき、その点では感謝しています。……で、ズヅキさんは、なぜ弊社の求人に応募なさったんですか?」
ズヅキ 「先輩のアジムラさんが御社のお世話になっており、そういうスジでわたしも、と……」
面接官 「アジムラさん、と言いますと? ……ああ! 味村治さんですね。弊社の恩人なので皆存じ上げておりますよ。
味村さんといえば、検事から最高裁判事にご昇進され、最高裁時代には四国電力の伊方原発と、東京電力の福島第二原発の建設認可取り消しを求めた二つの住民訴訟で、原発の安全性にお墨付きを与えて建設にゴーサイン下さった大恩人だ。ですから公務員をご退職後は、弊社で監査役として引き取らせていただき、いろいろお世話をさせていただきました。」
ズヅキ 「私も法曹時代には、アジムラ先輩に負けないくらい、頓死場コンツェルンに貢献してきたつもりです。ですから……ぜひとも……」
面接官 「アジムラさんはご立派なかたでした。勲一等旭日大授章を受けられましたよね。弊社にお迎えしたのは16年まえでした。私も当時はまだ新入りでしたが、大先輩にあたる方が社外監査役に就いたというので感激したものでした」
ズヅキ 「……ということは、あなたも東京帝国大学の法科卒業ですか?」
面接官 「帝大なんて、ご冗談を(笑)。そんな年配に見えますか私?」
ズヅキ 「それは失礼しました。では東大の法学部をご卒業で?」
面接官 「当たらずとも遠からずです。東京ホウケイ大学の出身です」
ズヅキ 「ちなみにどこのゼミでした?」
面接官 「はい……わたし英語が得意だったんで外人教授のゼミに出てました。デッカ・マラー教授の“カントンホウケイ論”です」
ズヅキ 「関東地方の法経問題を論じるゼミですね」
面接官 「まあそんなところです。……ところでアジムラさんは10年ほどまえにお亡くなりになりましたが、ご存じでした?」
ズヅキ 「はい。じつは先日、夢枕に現れまして、いまも冥府で裁判長をやってると自慢してましたよ」
面接官 「それって閻魔(えんま)大王のお仕事ですよね? アジムラさん、閻魔大王になったのですか?」
ズヅキ 「さあ、詳しくは知りませんが、そう自慢されていたのです」

★       ★       ★

面接官 「さて本題に戻りましょう。ズヅキさん、あなたもアジムラ先輩みたいに弊社にご貢献したとのことですが……」
ズヅキ 「はあ、東北地方の原発に北海道のやつらが建設差し止めを言ってきたんで、私はすっかりキレてしまいまして、原告団に頭突きを喰らわしましたわ(笑)」
面接官 「東北で原発建設と言いますと……ああ、青森の、あのマグロで有名なグルメの町の、オオマチガイ原発のことですか?」
ズヅキ 「ご名答! だいたい今どきは寿司のネタといえば、マグロなんて時代遅れですからね! いまは北欧の養殖サーモンの時代なんでマグロなんて時代おくれだ。それに今や時代はTPPだ! 自由貿易の時代なんですよ。近場で漁師やってるよりも、輸入ネタを買うべきなんですよ! 東北の漁師なんて廃業して、原発建設の現場で働けばいいでしょ。そっちのほうがずっと建設的ですわ。それに、まあこれは私の個人的信条ですけどね、そもそもマグロとかクジラとかイルカを捕るのが気にくわない。大きなサカナは脳みそが大きいから、立派な知能があるんですよ。マグロもね。そんなマグロを捕獲してるのは、私はぜったい許せない。だから東北のマグロ漁師を転業させるためにも、絶対にあそこに原発を建てる必要があるんですっ!」
面接官 「なるほど……それで差し止め訴訟の原告団に頭突きを喰らわせた……と」
ズヅキ 「原告なんかにゃ絶対しゃべらさない! 意見陳述なんかトンデモないですよ。裁判官は私ですからね。朕(ちん)は法廷なりっ! わたしが気に入れば、それで一件落着っ! 気に入らなきゃ、それで一件落着っ! 原告とか住民訴訟とかね、フザケるなってことですよ!」
面接官 「ズヅキさん、気合い入ってますね(笑)。……で、弊社では、どのような部門での再就職をご希望ですか?」
ズヅキ 「はい。法曹方面のキャリアを生かせる分野で、活躍したいと思います」
面接官 「承知しました。ちょうど定員が空いている部門がありますので、そちらで採用いたしましょう」
ズヅキ 「ありがとうございます。私のキャリアが生かせる職場をお与えいただき、感謝します」
面接官 「ズヅキさん、さっそく来週から働いていただけますか?」
ズヅキ 「もちろんですっ!」
面接官 「では採用いたします。ズヅキさんには福島第一原発の雑務作業をお願いいたします」
ズヅキ 「えっ? 現場作業ですか?」
面接官 「はい。だれでもできるお仕事です。そしてズヅキさんのようなお方には最もふさわしいお仕事です」
ズヅキ 「私にも名誉があります。雑務作業は納得できません!」
面接官 「いえいえ。これはあなたのような豊富なキャリアの持ち主しか出来ない作業です。若造になんて任せるわけにはいきません」
ズヅキ 「そうですか。若造にできない作業なら喜んでお引き受けしましょう」
ズヅキ 「契約成立ですね。頓死場はあなたを歓迎します!」

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

プルトくん

「地獄から来ますた。
ピカの王子様プルトくんだお!
頓死場の電気製品を買えば、
ぼくが地獄に連れて行ってあげるお!」

頓死場のテーマソング

ピカ~る ピカる 頓死場


ハゲ~る ハゲる 頓死場

ボケ~る ボケる 頓死場
F        G C
死ね~る 死ねる 頓死場
C         F
みん~な み~んな 頓死場
Dm    G C
頓死場~で 被~曝~♪

(参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=pFqNnEGIDG8

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

屁世滑稽新聞は無断引用・転載を大歓迎します!
画像もポスターやTシャツなどにご自由にお使いください。
ただしネットで転載や引用する場合は、
《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=4607)から引用》
と明記して下さい。
なお、ここに記した内容した内容に関して、味村氏については事実情報に基づいて
いますが、それ以外は悪酔いで昼寝をしていた時にみた、ただの夢にすぎません。

タブーなきスキャンダリズム!『紙の爆弾』10月号絶賛発売中!

3.11直後から毎日休みなく福島第一原発動向をブログで発信し続けてきた「onodekita」さんこと小野俊一医師。東電、福島、被曝をめぐる諸相からメディア・識者批判にいたるまで、縦横無尽に語ってもらった200分インタビューを8回に分けて随時掲載する。今回はその第2回目。

「onodekita」さんこと小野俊一医師

── 汚染地域が拡散した原因にがれき焼却の影響はないでしょうか?

がれき焼却による放射性物質拡散はゼロではないですが、それが汚染の主因ではないと思います。がれき焼却がなくても放射能汚染は日本全土に広がってしまったでしょう。だって地球は丸い。九州から福島だって飛行機でひとっ飛びです。放射性物質は風に乗ります。熊本でも2011年の6月、7月頃に身体に発疹が出て爪が剥がれたりする手足口病が流行りました。手足口病は通常、主に子どもがかかる病気ですが、患者には多くの大人が含まれていた。いま、改めて考えると当時、熊本で流行ったこの病気は放射性物質由来とも考えられます。

熊本でもそうだったならば3.11直後、放射性物質は福島や東日本どころか、日本全国に降り注いだと考えた方が事実に近いように思います。だから、その後、各自治体で行なわれたがれきの受け入れ・焼却で全国に放射性物質が拡散されたと考えるのは汚染の現実をむしろ狭く考えてしまうことになると思います。

そもそもがれき拡散の担当省庁である環境省にそんな頭のよい考えをする役人はいないです。極論すれば、環境省は馬鹿ばっかり。おそらく戦略以前のレベルで、要はお金目当ての施策です。これは除染にも当てはまります。日本の政府は金だけで動かして、戦略なんてもっていない。第二次世界大戦当時の日本と同じです。戦略がありそうに見えて、実は戦略なんて微塵もない。

がれき焼却でいえば、北九州市だって当初、市長は受け入れに反対していた。それが突然、受け入れを認めた。すると後はいつもの日本流です。上が従えば、下も雪崩を打って上に従う。こうしたがれき拡散が自治体に広がった理由は結局、金儲けで、それによって放射性物質が全国に拡散することになるとかならないとかという議論自体、考えていなかったと思います。北九州市でいえば、三菱や新日鉄などの企業の利になるからだけで国民の被曝うんぬんなどは鼻から考慮されていなかったでしょう。復興予算の獲得は早く手を挙げた者が勝ち。被災地の現地を考えたまともな復興にはほとんど使われていないのが現状だと思います。

◆役人にNOと言わない寝技師が東電基準の「できる人」

── 田原総一朗さんの『ドキュメント東京電力』(文春文庫)によれば、日本の電力産業の歴史は、官僚と電力会社の権益争いの歴史だと言っています。東電が電力会社の雄としてあり続けたのは、東電が官僚から権益を守り続けてきたからだとありましたが、実際はどうなのでしょう?

電力会社は表面上ではけっして官僚とは戦わない。官僚の言ったことはすべて是認する。しかし、一旦引き受けた後にこねくり回して、結果的にはぜんぜん違うようなものに作り変えて、しれっと書類を出す。そんな寝技師が東電の中での「できる人」なんだと思います。

一方、官庁側で電力部門を担当している人というのは、正直、原子力は国内問題でしかないので良い人材がいないのも事実です。経産省にしても文部科学省にしても、エネルギーでいえば、石油などで中東などに関わるような海外部門の担当者の方が明らかに花形で優秀です。原子力は所詮、日本国内での発電のひとつでしかない。だから、エリート官僚はあまり来ていない。原子力部門の担当者できちんと上まで出世した官僚はほとんどいないと思います。役人にとって原子力の仕事は、基本的に安全規制が中心で面白みのない仕事です。だから、官僚の中で優秀な人材は原子力より石油を選ぶでしょう。省庁の役人にとって原子力部門は閑職の部類に入ると思います。

3.11の時は吉田所長が回りを化かしてくれました。東電トップのいうことには「はいはい」と返事しながら、部下に対しては自分なりの責任をとって、事故への対処を独断で行なった。これって東電だけではなく日本の企業に共通するやり方ですよね。会社の上層部が取引先と理不尽な約束をしてくる。現場がそんなの無理だと言っても、上層部はうまくやれと無理をいう。しかたがないので現場のトップががんばってどうにか折り合いをつけているわけです。

── 吉田所長は被曝死でしょうか?

死因が食道がんですから被曝死になるでしょう。ただ、政府も東電も、吉田所長の死因が被曝だとは認めなかった。そもそも被曝死は急性死亡でないかぎり、認めない(日本だけに限らず世界中で)。なので、いくら他の方が被曝が原因で死んでも、政府・行政は被曝死と認めないわけです。とはいえ、ヒロシマ・ナガサキでも消化器系のガンは増えていますから、これから増えると思います。[つづく]

[2014年6月26日熊本市 小野・出来田内科医院にて]
(構成=デジタル鹿砦社通信編集部)

◎onodekitaさんこと小野俊一氏横浜講演会のお知らせ!
日時=2014年9月21日(日)10:45-11:45
場所=パシフィコ横浜(第3回健康生活フェア)
※「フクシマの真実と内部被曝」 通常1000円(無料入場券あり)
詳細は下記リンクを参照ください。
http://onodekita.sblo.jp/article/102831803.html
http://www.healthylifefair.net/2014_yokohama/

ブログ「院長の独り言」

▼小野俊一(おの しゅんいち)(小野・出来田内科医院院長)
1964年広島生まれ宮崎育ち。東京大学工学部(精密機械工学科)を卒業後、1988年に東電に入社。福島第二原発(5年間)と本店原子力技術課安全グループ(2年間)で7年間勤務。1995年に退社後、熊本大学医学部に入学し、2002年卒業。NTT病院等の勤務を経て、熊本市の小野・出来田内科医院院長。『フクシマの真実と内部被曝』(2012年11月七桃舎)
◎ブログ「院長の独り言」 http://onodekita.sblo.jp/

 

「onodekita」さん200分原発放談インタビュー!

《原発放談01》福島の放射能被害はチェルノブイリより酷くなる(小野俊一)

最前線の声を集めた日本初の脱原発情報雑誌『NO NUKES voice』創刊号絶賛発売中!

 

小栗旬が俳優の労働組合結成の旗振り役として名乗り出たことを知った私は、「意外と適任かもしれない」と思った。

なぜそう思うかというと、伝統芸能のストーリーに「権力者と闘う役者」というロールモデルがあり、それが小栗と重なるからだ。

江戸時代、歌舞伎などの役者は風紀と秩序を乱すと見なされ制度的に差別され、住む場所を制限され、外出する際は編み笠の着用を義務づけられ、町人との交流を禁じられ、「河原乞食」「河原者」と言われ、汚らわしい存在として忌避された。

明治維新が起きて、表向き身分制度はなくなったが、芸能者に対する卑賤視は消えなかった。今でも年輩の俳優は、「俺たちは所詮、河原乞食だから」という言葉を口にする。

2009年に他界したタレントの山城新伍は、1997年に刊行された著書『現代・河原乞食考~役者の世界って何やねん?』(解放出版社)の中で、「この間」の話として、一般人から「河原乞食」と言われ、喧嘩になったエピソードを明かしている。

◆芸能界に求められている新たな「助六」の登場

だが、役者が権力に立ち向かい、差別と闘った歴史もある。

江戸中期まで役者は弾左右衛門という被差別民の頭領に支配され、櫓銭(やぐらせん)という興行税を払っていた。ところが、1707年、京都のからくり師(人形を操る芸人)小林新助が弾左右衛門に許可なく江戸で興行を打ったとして弾左右衛門の配下300人に芝居小屋を破壊されるという事件が起きた。

小林は弾左右衛門の不当性を訴えて幕府に裁判を起こした。結果、新助の主張が認められ、役者は弾左衛門に櫓銭を払わなくてよいという判決が出た。

これを聞いた江戸の歌舞伎役者たちは、もはや役者は不浄の民ではないということが公に認められたと捉え、大いに喜び、二代目市川団十郎は裁判の経過を「勝扇子(かちおうぎ)」という書物としてまとめ、家宝にした。

作家の塩見鮮一郎によれば、この事件をモチーフにしてつくられたのが、1713年に初めて上演され、現在の歌舞伎でももっとも人気がある演目である『助六』だと指摘している。
『助六』のストーリーは、主役の助六が意休という老人から友切丸という宝刀を奪うというものだが、助六が勝扇子事件を下敷きにしているとすると、助六は役者であり、意休は弾左右衛門であり、友切丸は当時の役者が支配者である弾左右衛門から奪い返した「興行の自由」が仮託されていたと見るべきだろう。

これを今の芸能界に置き換えると、助六はタレントの労働組合の委員長であり、意休は「芸能界のドン」であるバーニングプロダクションの周防郁雄社長であり、友切丸は契約書で芸能事務所に奪われたタレントの「実演の権利」にあたる、と解釈することもできる。

◆「助六」と重なる俳優「小栗旬」の軌跡

では、助六というのは、どんな人物なのか。

まず、助六は喧嘩に強い。物語の中で、助六は本来は鎌倉時代の武士である曾我時致だが、侠客の姿に身をやつし、吉原に出入りし、客に喧嘩をふっかけて刀を抜かせ、友切丸を探している。意休が友切丸を持っていることに気づいた助六は、意休を斬り殺し、友切丸を取り返す。

そして、助六は女性にめっぽうモテる。物語には、揚巻(あげまき)という花魁がヒロインとして出てくるが、揚巻は言い寄ってくる意休を嫌い、助六に夢中だ。そして、居並ぶ遊女十数人が一斉に「吸いつけキセル」を助六に手渡し、それを意休がうらやましそうに見ているシーンが出てくる。助六は女性の憧れの的だ。

一方、俳優の労働組合結成を宣言した小栗旬も、助六と同じく、喧嘩に強くて、女性にもモテる。

『クローズZERO』(2007年公開)、『クローズZERO II』(2009年公開)で、小栗は凶悪な転校生の主人公、滝谷源治役で、激しい喧嘩シーンをガチンコで演じきった。また、私生活では山田優との結婚後も浮気スキャンダルが絶えない無類の女性好きでもある。まさに助六を彷彿とさせる俳優ではないか。

小栗は『宇宙兄弟』(2012年)で、主役の南波六太役を演じた。少年時代にUFOを見たことから宇宙にあこがれ、宇宙飛行士になるという夢を負う兄弟の物語だが、出演のきっかなったのは、もともと小栗が漫画誌で連載されていた『宇宙兄弟』が大のお気に入りで、プロデューサーに「絶対、『宇宙兄弟』をやりたい」と話したことだったという。

小栗自身、とてつもない夢を追いかける、純粋な人柄なのだろう。歴史上、誰もなしえなかったタレントの労働組合を実現できる、無二の俳優なのかもしれない。

(星野陽平)

《脱法芸能01》私が『芸能人はなぜ干されるのか?』を書いた理由
《脱法芸能02》安室奈美恵「独立騒動」──なぜ、メディアは安室を叩くのか?
《脱法芸能03》安室奈美恵の「奴隷契約」発言は音事協「統一契約書」批判である
《脱法芸能04》安室「奴隷契約」問題が突きつける日米アーティストの印税格差
《脱法芸能05》江角マキコ騒動──独立直後の芸能人を襲う「暴露報道」の法則
《脱法芸能06》安室奈美恵は干されるのか?──「骨肉の独立戦争」の勝機
《脱法芸能07》小栗旬は「タレント労働組合の結成」を実現できるか?

芸能界の「構造と力」を読み解く!
『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』

 

onodekitaさんこと小野俊一医師

 

「西村博之」と聞いて2ちゃんの「ひろゆき」氏がすぐには思い浮かばないように、「小野俊一」と聞いてピンとくる人はまだまだ少ない。だが、「onodekita」さんといえば、放射能情報に敏感な人は即座に「知ってる!」と答えるはずだ。

3.11直後から毎日休みなく福島第一原発動向をブログで発信し続けてきた「onodekita」さんこと小野俊一医師。東電、福島、被曝をめぐる諸相からメディア・識者批判にいたるまで、縦横無尽に語ってもらった200分インタビューを8回に分けて随時掲載する。

◆一日30人のアクセス数が事故後は1万人越え

── 「やむにやまれず書き始めた」という小野さんのブログは事故直後から話題でした。実際、アクセス数の急増はいつ頃からでしたか?

ブログの読者が目に見えて増え出したのは事故の2ヵ月後ぐらいだったと思います。ブログ自体は以前から医院の宣伝用に一般患者向けに始めていましたが、事故前のアクセス数は一日30人程度でした。

それが3.11の後、2011年の4月29日には一日1000人を超え、5月に入ると3000人、さらにその後は毎日1万人を越えるようになった。いまは若干落ち着いて1万人前後です。不思議なものでアクセス数が増えるとやる気が出ます。読者が減ると私のやる気も出てこない(笑)

── 2012年11月には『フクシマの真実と内部被曝』(七桃舎)を自費出版され、同書はすでに三刷目。累計販売部数はどれぐらいですか?(『フクシマの真実と内部被曝』Amazonリンク

『フクシマの真実と内部被曝』(2012年七桃舎)

4500部を越えました(2014年6月末時点)。ブログでの直販が2000部ほどであとはアマゾン経由がほとんどです。アマゾンで売り始めた直後は一週間に200冊とか300冊の注文が入り、配送するだけで大変でした。直販とアマゾンは一長一短。ブログ経由の販売は書籍代をなかなか振り込んでくれない人もいて、売り掛けチェックに手間がかかる。アマゾンはそういうことはないので便利ですが、販売価格の4割はアマゾンが持っていく。講演会での販売は600部ほど、キンドル版も販売していますが、まだまだ一日数冊程度です。

出版にあたっては当初、大手の出版社も興味を持ってくれましたが、あれこれ内容に口を出してくるので止めにしました。それで自分でISBNコードを買って出版業を立ち上げた。出版はずぶの素人だったので大変でした。誤字脱字がないようにできるだけ多くの方に読んでいただきながら原稿をまとめましたが校正は本当に難しい。引用・転載の許可手続きも自分でやってみて、一冊の本を作る大変さを思い知りました。

例えば当初、井伏鱒二の『黒い雨』も引用したかったのですが、これは日本文藝家協会という公益社団法人が著作権を管理していた。まるでJASRACのような団体で、わずかの引用でも結構な使用料をとられそうだったので諦めました。

逆にありがたかったのは、漫画『はだしのゲン』の転載ですぐに許可をいただけたこと。直接、作者の中沢啓治さん(2012年12月逝去)の御宅に電話をしてお願いしたのですが、奥様に趣旨を説明して、それを奥様が中沢先生に伝えると、電話口の遠くから「良しと言え!」と叫ぶ中沢先生の声が聞こえてきた。『はだしのゲン』は英語版など海外でも人気ですが、いかに中沢先生が『はだしのゲン』を世界の人たちに読んでほしかったがわかります。

◆東電時代の上司は武藤栄

── 小野さんが東電に入社したのは1988年。チェルノブイリ事故の二年後です。当時は原発にどんなイメージを持っていたのですか?

入社時には原子力の知識などゼロでした。ただ、日本に原発は必要だと思っていました。その一方で日本の原発は本当に安全なのか?と疑念もあった。原発問題でだれもが思う疑問は、原発を稼動して生まれる放射性廃棄物をどう処理するのかです。当時は東電社員として原発業務に携わっていながらも、核廃棄物の処理についてはきっと他の誰かがある程度考えているのだろうと他人事のように思っていた。しかし、現実にはだれも考えていなかったことがわかりました。

本にも書きましたが、日本の原発の安全性の根拠である格納容器にも素朴な疑問がありました。容器は所詮容器です。素朴に考えて、内部で圧力をかけ過ぎたら破裂することはありうると思っていた。そして、福島ではやっぱり破裂したわけです。

── 東電時代の上司のひとりが3.11時の武藤栄副社長ですね。

武藤さんはむちゃくちゃできる人。原発に関して言えば、一を聞いて十を知るぐらいの人でした。そんなに変な人ではないです。当時の武藤さんは原子力技術課長で40代。いまの私より若かった。

武藤さんが東大の学生だった頃は、「原子力は未来のエネルギー」と言われていた。だから、東大の原子力工学にはかなり優秀な学生が集まっていた。彼もその中の一人でした。いまの60代の原発技術者たちは皆優秀な人ばかりでした。

ただし、優秀だからといって、原発をめぐるすべての問題を考えているわけではありません。3.11以後の私のブログも武藤さんはおそらく知っていると思います。でも、そうした件で武藤さんからなにか言われたことはありません。いまも年賀状のやりとりはしていて、今年の年賀状には、「LNT仮説について調べています」と書いてありました。LNT仮説というのは直線しきい値無し仮説。被曝の線量に下限はないという説です。

── 朝日新聞がスクープした『吉田調書』を読むと福島原発事故の時、菅首相の対応は必ずしも間違っていなかったように思います。むしろ、事故当時、問題をこじれさせたのは、首相官邸と事故現場のコミュニケーションを仲介していた東京電力の武黒一郎フェロー(現国際原子力開発株式会社社長)の対応のようにも思えますが、東電時代に武黒さんをご存知でしたか?

菅さんついては私もそう思います。事故当時、菅さんの行動には頭に来ていたけれど、いまふりかえってみるとよく対応してくれたと思います。武黒さんとは直接仕事をしたことはありません。

ただ、社内の話を聞く限り、「話が通りやすい人」だとは聞いていました。武藤さんもそうですが、東電で「できる人間」というのは、役人の言うことをよく聞く。とにかく役人には「はい」という。役人の言い分が間違っているとわかっていても反論せずに一旦引き下がる。

ずいぶん以前の東電の元副社長で初期の原子力部門トップだった豊田正敏という方がいます。いま90歳ぐらいの方ですが、事故の最中、武黒さんが彼に会いに来たと週刊誌の記事で以前、語っていました。武黒さんは豊田さんに「こんなの二、三日で止めさせてみせますよ」と言って、官邸に向かったそうです。

◆被害はチェルノブイリより酷くなる

── でも、実際は二、三日どころか、二、三年経っても、酷い状況が続いています。

「現実的な回答がない」というのが事実でしょう。どういうことかというと、汚染があまりにも酷く広範だということです。放射能汚染が福島県だけではなく、もっと広範囲。福島県だけならば、行政は福島に限定して汚染対応をすればいい。しかし、現実は首都圏まで汚染されている。さらに新潟などまで入れだしたら、日本列島の半分ぐらいは汚染されていて、行政は対処しきれない。本州だって汚染範囲は必ずしも東日本だけではない。西日本も汚染されているでしょう。名古屋あたりでは突然死が出てきています。大阪などでも顔が焼けたように赤くなるベータ熱傷が多数出てきている。もっといえば、九州、ここ熊本だってなんらかの核汚染が出てきています。

◎[参考リンク]大熊町内の土壌汚染調査結果のお知らせ(大熊町役場会津若松出張所2011年6月30日付)

福島から出た放射能は公式にはチェルノブイリの7分の1とされています。これはウソなんですが、「公式発表」ではそうなっています。しかし希ガスの発生量はチェルノブイリより福島の方が公式でも多い。公式発表の数値を百歩譲って認めたとしても、福島土壌の最汚染のレベルはチェルノブイリと変わらないかむしろひどいといえます。したがって被曝の被害は日本でも絶対に出る。しかも土壌汚染の度合いが同じに加えて、日本の方が被爆地の人口密度は格段に高い。それを加味すれば、被害はチェルノブイリより酷くなると公式発表からでもそういえます。

放出量で何倍だったのかの論議をすると水掛け論になってしまう。でも、実際の土壌汚染で見れば最も汚染レベルが高い最汚染地帯の値はセシウム137でチェルノブイリが1800万ベクレル。対して福島の大熊町は3000万ベクレルです。公式発表でも最高土壌汚染値では福島の方が高いです。[つづく]

 

ブログ「院長の独り言」 

▼小野俊一(おの しゅんいち)(小野・出来田内科医院院長)

1964年広島生まれ宮崎育ち。東京大学工学部(精密機械工学科)を卒業後、1988年に東電に入社。福島第二原発(5年間)と本店原子力技術課安全グループ(2年間)で7年間勤務。1995年に退社後、熊本大学医学部に入学し、2002年卒業。NTT病院等の勤務を経て、熊本市の小野・出来田内科医院院長。『フクシマの真実と内部被曝』(2012年11月七桃舎)

◎ブログ「院長の独り言」 http://onodekita.sblo.jp/

[2014年6月26日熊本市 小野・出来田内科医院にて] (構成=デジタル鹿砦社通信編集部)

 

◎onodekitaさんこと小野俊一医師200分インタビュー![全8回]

《原発放談01》福島の放射能被害はチェルノブイリより酷くなる(2014年9月15日)

《原発放談02》東電の「できる人」は役人に決してNOと言わない(2014年9月17日)

《原発放談03》自分で真実を想定していくしかない(2014年9月19日)

《原発放談04》そもそも早野龍五さんは原発を知らないです(2014年9月21日)

《原発放談05》被曝由来の病気は「個発」でなく「群発」(2014年9月24日)

《原発放談06》分断される「原爆」と「原発」(2014年9月26日)

※《07》《08》は近日公開予定!

最前線の声を集めた日本初の脱原発情報雑誌 『NO NUKES voice』創刊号絶賛発売中!

 

断言する。吉田調書、慰安婦報道問題で朝日新聞に対する批判は全く不当だ。双方の問題に共通するのは、細部に誤報があったのは事実にしても、それによって報道被害を受けたのが一体誰であるかという視点での批判、報道が決定的に欠落している点である。

私は朝日新聞の信者でも擁護者でもない。破格の給料を得て、エリート面した一部の朝日新聞記者の顔を思い出すと庇ってやるのは気が引ける。しかし朝日新聞を攻撃する陣営(安倍、読売新聞、産経新聞、週刊文春、週刊新潮)の攻撃論拠には全く同意できないし、明確な悪意に満ちている。攻撃者が批判したいのは「朝日新聞」自体ではなく、慰安婦問題、原発問題における「朝日新聞的主張」ではないのか。

吉田調書の扱いなどそもそも勘違いしようが、しまいが何一つ未来が変わることがない枝葉末節の問題だ。産経だって朝日に先立ちネット記事に吉田調書の要約を掲載していたし、その中には「これが産経の記事か!」思われるような記述もあった。9月12日の朝刊に「吉田調書」の全文が掲載されていたので読んだ。やはり枝葉末節の勘違いに過ぎない。これによって市民が傷つくことはない。

◆原発事故の本質をなぜ放置する?

そうだ。留意すべきは、この報道により、一体誰が傷つくとかということである。困るのは東電と国だけではないのか。しかもそれがどのような経緯であったにせよ、争われている事実関係は、既に3年前のことであり、その時に作業員が福島第二に退避していようが、いまいが今日の惨状になんら影響するものではないではないか。

事故検証の間違いを指摘するならば、「政府事故調査委員会」(畑村洋太郎会長)が「個人の責任は問わない」として始めた事故調査のあり様を批判した報道機関がどれほどあったというのか。航空事故や食中毒で国の「調査委員会」が発足すれば、必ず責任者や問題点を特定する。そして警察や検察が責任を追及する。そうしなければ「調査委員会」の意義はないから当然だ。だが、原発事故の「政府事故調査委員会」は当初より個人責任の追求を放棄して調査を行った。そんな調査のどこに意味があるのかという議論は、今回の朝日新聞叩きに比べれば行われなかったに等しい。

大手全国紙、地方紙、週刊誌などがこぞって朝日批判を展開しているが、それよりも現在も連続的に進行している原発事故の本質をなぜ放置するのだろうか。今回、ここぞとばかりに朝日新聞批判に熱心な勢力は、原発推進の旗色を明確にしているメディアが中心だ。

慰安婦問題も同様である。週刊誌は「1億人が被害者」などと書き立てるが、バカもいい加減にしろだ。吉田発言が虚構であっても、それを凌駕する日本軍自体の公式文書や当時の政府文書で「慰安所」設置が行われたことは既に立証済みであり、吉田清治発言は傍証に過ぎない。政府の公式見解だって「慰安婦」の存在を認めている。朝日新聞叩きに熱心な連中は吉田発言を朝日が掲載したことよりも、「従軍慰安婦」は無かったことに葬り去ろうという本音を隠さない。桜井よし子など右派の論客を多用して「この国の誇り」だの「自尊心」だのを相も変わらず繰り返しているが、この国の「ホコリ」を問題にするのであれば、東日本、いや世界中に拡散した放射性物質の「ホコリ」をなぜ取り上げないのだ。

◆「朝日叩き」が示すのは日本社会の「戦時下」状態

奇しくも同姓の「吉田」発言が引き金となって異なる2つの事件で総攻撃を受けている朝日新聞。でもこの2事件には共通点がある。

まず加害者とされる立場の者がいずれも国である点。次にその被害者に対して加害者は保障を頑なに拒み続けている点、さらにいずれも国民を騙しながら進められ詭弁によって正当化を図ろうとしていた欺瞞に満ちた国策である点である。

つまり、メディアが結託して国が犯した、裁ききれないほど重大な犯罪を「無かったもの」に仕立て上げようとする大規模な世論操作・誘導であるのだ。

朝日新聞を叩くのであれば、その社名の後ろにはためく旭日旗のような社章をいまだに使い続けていることや、2011年に福島県健康リスクアドバイザーとしてわざわざ長崎から着任し「100ミリシーベルト以下は安全」と大嘘をのたまった山下俊一(現福島県立医大副学長)に「日本癌大賞」を授けたことこそ指弾されるべきだ。

体制派マスコミにそのような視点は見当たらなし、今後も期待するのは無理であろう。言論も既に「戦時下」状態に置かれていることを示したのが今回の朝日新聞叩きの本質と見るべきだ。

(田所敏夫)

 

最前線の声を集めた日本初の脱原発情報雑誌 『NO NUKES voice』創刊号絶賛発売中!

 

(屁世26年9月13日)

凍土壁づくりは大失敗!東電幹部が氷水かぶって“みそぎ”?……の巻

 

2011年3月、爆発した福島第一原発3号機を冷やすために、

自衛隊の消防車が必死で放水をつづけた。

その水をあびて謝罪の“みそぎ”をする東電幹部たち。

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

福島原発災害の発生直後(2013年4月)から翌年5月末まで

NHK経営委員会の委員長として国民の耳目をすっかりシビれ

させることに貢献。この4月にはシビれ稼業の総本山・東電の

会長に就いた数土文夫(すど・ふみお)氏。さすがは元・

放送業界の重鎮。ふくいち原発4号機の再処理燃料プールに

トップアイドルグループを招き、和気あいあいとアイスバケツ

チャレンジを楽しんだ。

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

YCO with 廣瀬社長 「Sorry State Survivor」

東電社長の廣瀬直己(ひろせ・なおみ)氏は、日本原子力発電と

日本原燃株式会社の取締役もつとめる原子力業界の大ボスである。

しかも小ブッシュ・父ブッシュ・爺ブッシュが三代つづけて学んだ

米国イェール大学の出身。けれども新宿高校時代には、坂本龍一先輩

に誘われてデモに参加していたこともある。坂本先輩に誘われて、

イエローケーキ・オーケストラのアルバム制作にも参加したが、

ジャケ写撮影ではかつてデモでかぶった“あぶない集団”のヘルメット

姿でアイスバケツ・チャレンジに挑むという、お茶目な一面をみせた。

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

ご隠居 「おい与太郎、おまえさんが持ってるバケツ、煙が出てるぞ!

この暑い日に、バケツに何いれて持ち歩いてんだ?」

与太郎 「あゝ、ご隠居さん、暑中お見舞いもうします。

バケツのこれ、ドライアイスです。これからちょいと田んぼに行って

ドジョウをごっそり捕ってくるんですァ!」

ご隠居 「お見舞いモウします……って、なんだおめえ、他人様の田んぼで

ドジョウを盗んでくるのか。モウします、じゃねえだろ!

もうそんなことするなよ、オトナなんだから」

与太郎 「とんでもねえや、ご隠居。ドジョウに逃げられっぱなしの

あっしですが、すごいことを思いついたんですァ~」

ご隠居 「それがバケツ一杯のドライアイスってことか?」

与太郎 「ご名答! こうやってわざわざドライアイスを買い込んだのは他でもない。

田んぼにぶちこんでカチンカチンに凍らせれば、泥んなかに隠れてるドジョウが

とり放題だ! どんなにトロい奴でも、池ごと凍らせればサカナの取り放題!

どうっすか? あっしって天才でしょ? 天才って言って下さいな、旦那」

ご隠居 「わざわいのほうの“天災”だわな。おまえさん、この暑いさなかに

田んぼにそれっぱかりのドライアイスをぶちこんで、凍るとでも思っているのかい?

……だから義務教育くらい受けておけって、おまえのご両親にさんざん言ったんだけどなぁ」

与太郎 「ご隠居、あっしを馬鹿にするんですかい? この件にかぎっては、あっしを

馬鹿にするのは日本の最高頭脳のトーダイのえらい先生がたや、トーデンのえらい

社長さまを馬鹿にするってことにシトしいんですから! 覚悟がいりますぜ」

ご隠居 「で、そのトーダイの先生とやらは、どんな仕事してるんだ?」

与太郎 「きまってるでしょ。たまごっち作ってるんですよ」

ご隠居 「馬鹿、それはバンダイだっての。じゃあトーデンでどんな会社だよ?」

与太郎 「へい、結婚式場ですァ」

ご隠居 「馬鹿、それは玉姫殿だろ」

与太郎 「だけどトーデンだってきっとお目出てえ会社にちげえねえ」

ご隠居 「なんでだよ?」

与太郎 「だって犬エッチケーのニュースで、光りもんを全国津々浦々にばらまいたって

言ってましたぜ。いまどき金貨や銀貨をほうぼうにばらまくなんて、ほんとに

ありがたい会社じゃねえですか」

ご隠居 「馬鹿。トーデンがばらまいたのは金貨や銀貨じゃねえよ。光りもんじゃなくて

ピカりもんよ。そりゃ金や銀よりも重たいウランとかプルトニウムとかを

ばらまいたけど、そんなもん吸い込んだらあの世行きだぜ」

与太郎 「極楽浄土に導いてくれるなんて、ありがてえ!ありがてえ!

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏!」

ご隠居 「おお、こいつ。習わぬお経を詠んでやがる。まったく門前の小僧だわこりゃ……。

で、与太郎よ、トーダイとかトーデンの連中が何をしてるって?」

与太郎 「へい。福島の原発の小便もれが止まらないから、ドライアイスをぶちこんで

地べたを凍らせて“氷の塀”をつくって、それで小便が海に流れ出るのを

食い止めるっていってますぜ」

ご隠居 「馬鹿。そんなことで“氷の塀”なんかできねえぜ。“地べたを凍らせて囲いを

作るんだって?”“へい”……って、そりゃ身も凍るオヤジギャグじゃねえか。

しかも駄洒落にしても馬鹿すぎるだろ。馬鹿しか思いつかねえよ、そんなこと。」

与太郎 「でも天下のトーダイとトーデンですぜ?」

ご隠居 「だったらおまえ、腹巻きにドライアイスを仕込んで寝りゃイイじゃねえか。

腹がすっかり凍りついて、小便もカチカチに凍って、寝小便せずにすむぞ。」

与太郎 「いくらご隠居でも、そんな馬鹿げた子供だましで、あっしをダマせませんぜ」

ご隠居 「ほらみろ。トーデンがやってるのはナ、“おらサの会社はがんばって対策とってる

から許してクンろ”って見せびらかすだけの、アリバイ作業なんだよ。

真夏の炎天下に、熱がこもった地べたの穴にドライアイスをぶちこんで、それで

地下が凍るなんて、本気で信じているとすれば、そりゃ正真正銘のバカだってことだ」

与太郎 「……だけどトーデンは氷水で原発を救おうとしてるじゃないですか! じっさい!」

ご隠居 「トーデンの社長とか会長は、それこそ氷水をかぶって頭を冷やすべきだな。

それに今どきは、人まえで氷水をかぶって見せびらかして、“おらサは善人でげす!”と

宣伝するような不粋なもんが流行ってるようだし」

与太郎 「氷水なんかかぶったら、脳みそがこごえ死んじまいますぜ!」

ご隠居 「だ~から~、たかだかバケツ一杯の氷水をかぶったところで、そんなことは起きないの!」

与太郎 「バケツの氷水をかぶりますか? それとも1万円寄付しますか?

それとも両方ともやりますか?」

ご隠居 「なんだそれ?」

与太郎 「いま世界じゅうで流行ってる“アス・バケツ・チャレンジ”とかいうのが、そういうルール

だってことです。ただ氷水かぶるよりも、お金がもらえてお得です」

ご隠居 「馬鹿。あす(明日)じゃねえよ。英語の“アス(ass)”はケツの穴だ。だれがケツの穴で

バケツチャレンジするんだよ? それこそ“尻にチカラ”の東京臀力じゃねえか。

それに氷水をかぶった奴が金をもらえるわけじゃないよ」

与太郎 「だけど、もしトーデンのえらい人が“東京臀力を救うためにマ~タマタ値上げしますよ。

お金をわが社に寄付してくださいね。それがイヤなら氷水をかぶって下さい。両方やっても

かまいませんよ”とか言いながらテメエで氷水をかぶって“ハイ、次はお客さん、あんたの番だ!”

って宣言したら、トーデンのお客からガッポガッポと寄付があつまるわけでしょ?」

ご隠居 「だまされて金を払う奴もきっといるから、おまえさんの言ったとおりになりそうだが、

でもそれは無限連鎖講という詐欺とおなじ手口だからな」

与太郎 「日本の頂上をきわめる学校を出て、頂上をきわめる大会社の、その頂上をきわめたエラい人が、

詐欺まがいのことをやってるとしたらスゲエこってすね。あっしは悪役ってのが好きだから

こりゃシビレちまうわ」

ご隠居 「そりゃ相手は電気屋だ、シビレることをしても不思議じゃねえや」

 

無断引用・転載を大歓迎します。

ただし《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=4469)から引用》と明記して下さい。

なお、ここに記した内容はすべて、寝苦しい真夏の夜にみた、夢にすぎません

 

日本初の脱原発情報雑誌

『NO NUKES voice』創刊号絶賛発売中!

私は拙著『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』では、様々な資料を駆使して、あらゆる角度から日本の芸能界を検証しその問題点を浮き彫りにすることを目指した。

日本の芸能界の問題は、構造的なものであり、連綿と続く歴史的背景がある。では、どうすれば解決できるのか。私はそのモデルを求めて、世界屈指の市場規模を誇るアメリカのエンターテインメント産業の歴史と構造を調べた。

日本と比べ、アメリカのタレントが主体的にパフォーマンスに取り組め、報酬面でも権利面でも擁護されているのは、3つの柱がある。すなわち、①「タレントによる労働組合の結成」、②「反トラスト法(独占禁止法)による芸能資本の独占排除」、③「専門法によるエージェントの規制」だ。

歴史的経緯を調べると、まず、最初に出てきて、なおかつ重要度が高いのが①の「タレントによる労働組合の結成」だ。私は『芸能人はなぜ干されるのか?』を出版すれば、いずれタレントから労働組合結成の声が上がってくるはずだと思っていたが、遂にその時がやってきた。

8月に出版された『クイック・ジャパン115』(太田出版)で売れっ子の若手俳優、小栗旬が友人の俳優、鈴木亮平との対談で労組結成への思いを打ち明け、「ぼちぼち本格的にやるべきだなと思っています」と語っているのだ。

◆「巨大組織」に抗する覚悟はあるか?

労働組合の結成の目的は、優れた作品をつくり、俳優の労働条件を改善することが目的で小栗が旗振り役になるつもりだという。

小栗のその決意の背景にあるのは、芸能界の現状に対するいらだちだ。たとえば、「アメリカなんかは、メジャー作品にこの前まで無名だった俳優が、ある日突然主役に抜擢されることがあるのに、日本ではそういうことはほとんどないという現状がある。それを起こすためには、大前提としてスキルを持っていないとできないので、その力をみんなでつける場所を作りたいということですね」」として、自ら借金をして、俳優が自分たちを向上させるための稽古場を建てているという。

日本の芸能界では大手芸能事務所によるパワーゲームでキャスティングが決まる。その悪習を打破して、真の実力主義を導入すべきだというのである。

その先には、俳優による本格的な労働組合の結成という目標があるが、「みんなけっこう、いざとなると乗ってくれないんですよ」「ここのところはちょっとね、負け始めてます」と言っている。その理由は、「組織に。やっぱり組織ってとてつもなくでかいから、『自分は誰かに殺されるかもしれない』くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは相当難しいっすね」と述べている。

小栗が言うところの「組織」とは、「芸能界のドン」と呼ばれる、バーニングプロダクションの周防郁雄社長を盟主として仰ぐ、業界団体、日本音楽事業者協会(音事協)のことだろう。

小栗が所属する芸能事務所は、トライストーン・エンタテイメント。あまり知名度はないが、音事協に加盟している。また、小栗の対談相手の鈴木亮平は、音事協加盟で老舗のホリプロに所属している。タレントの生殺与奪の権利を握る「組織」に所属し、多くのメジャー作品に出演している2人による労働組合構想はきわめてリスクが高い。

◆業界権力者の意向を恐れず、闘い続けた米国タレント労組の歴史

アメリカのエンターテインメント産業においてもタレントの労働組合の結成は難事業だった。

アメリカの演劇界では1913年に労働条件の改善を訴えて俳優が労働組合、アクターズ・エクイティ・アソシエーション(AEA)を結成したが、劇場マネージャーの連合体である劇場シンジケート側は、AEAの有力メンバーを買収し第2組合を設立させたり、AEAに加盟していない地方の俳優を使って公演をしたりして、AEAの活動を妨害した。

この動きに対抗するべく、AEAは日本の連合(日本労働組合連合会)にあたるアメリカ労働総同盟に加盟し、他のタレントの組合と連携して組織力を強め、大々的なストライキを実施し、チャリティ公演を行ない資金不足を補った。そうした努力を積み重ね、最終的に劇場シンジケート側は、白旗を揚げ、俳優たちの要求を飲んだ。

ハリウッドの映画俳優たちは1933年に「スクリーン・アクターズ・ギルド」という労働組合を立ち上げた。

ハリウッド・スターといえば、今でこそ莫大な報酬を得ることで知られるが、当時の労働環境は劣悪だった。当時のハリウッドは「スタジオ」と呼ばれるメジャー映画会社が牛耳り、俳優たちはスタジオの裁量で自動更新される長期契約を強いられ、朝8時から深夜まで及ぶ長時間労働を余儀なくされた。

SAGが設立された直接のきっかけは、映画会社による大幅な賃下げの実施だった。当初、SAG加盟社は少数だったが、プロデューサー同士が俳優の競争入札をしないという、日本の五社協定のような申し合わせが成立したことがきっかけとなり、SAGの加入者は3週間で80人から4000人まで膨れあがった。

1935年5月9日、数千人の俳優たちがハリウッドのリージョン・スタジアムに集まり、ストライキの実施を支持した。これ以降、SAGと映画会社が交渉し、映画界のルールを決める習慣が定着するようになった。

アメリカのタレントたちが業界の権力者の意向を恐れず、パフォーマンスに専念でき、なおかつ高収入を得られるのは、そうした努力の積み重ねによるものだ。

そして、ようやく日本の芸能界にも、団結して立ち上がることを主張する俳優が現れた。今、日本の芸能界は歴史的な曲がり角を迎えているのかもしれない。

(星野陽平)

《脱法芸能01》私が『芸能人はなぜ干されるのか?』を書いた理由

《脱法芸能02》安室奈美恵「独立騒動」──なぜ、メディアは安室を叩くのか?

《脱法芸能03》安室奈美恵の「奴隷契約」発言は音事協「統一契約書」批判である

《脱法芸能04》安室「奴隷契約」問題が突きつける日米アーティストの印税格差

《脱法芸能05》江角マキコ騒動──独立直後の芸能人を襲う「暴露報道」の法則

《脱法芸能06》安室奈美恵は干されるのか?──「骨肉の独立戦争」の勝機

業界水面下で話題沸騰6刷目!

『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』

9月3日、安倍晋三首相は内閣改造に踏み切った。話題となっているのは、女性の起用が目立つこと。女性閣僚の数は、過去最多の5人。党三役の政調会長を加えれば、6名が女性だ。

内閣改造後、支持率も上昇し、国民からの期待も高まっているが、思わぬ横やりが入った。

総務相に就任した高市早苗氏と自民党政務調査会長となった稲田朋美氏が、ネオナチを標榜する極右団体代表とともにツーショットで収まった写真がネット上で公開されていることが発覚し、国際問題となっているのだ。

写真が公開されていたのは、「国家社会主義日本労働者党」を名乗る右翼団体のウェブサイトで、高市総務相、稲田政調会長とともに写っているのは、同団体代表の山田一成氏。

この問題は、英紙ガーディアンなど海外の主要メディアが日本の右傾化と絡めて報じ、さらに世界的に有名なユダヤ系団体の「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)が「議員らは(同団体が掲げる)ネオナチの思想を明確に非難すべきだ」と声名をだすなど、世界中に波紋を呼んでいる。

なぜ、このような写真が撮影されたのか。

事情を知る関係者は、「写真が掲載されたのは、2年前のこと。これまでずっと掲載されていたのに、なぜ今ごろ問題になったのか」と首をかしげる。関係者が続ける。

「高市氏も稲田氏も山田氏の素性を知らないで写真を撮影したのでしょう。もともとこの写真は、オークラ出版が刊行していた『撃論』という保守系の雑誌の企画で山田氏がインタビュアーとして面談した際に撮影されたものです」

では、なぜ山田氏は写真を公開したのか。

「もともと山田氏は『撃論』の仕事をフリー編集者のI氏から受けていましたが、2011年に版元のオークラ出版が『撃論』を休刊にするという方針を出しました。仕事がなくなることを恐れたI氏は、山田氏に『オークラ出版の社長を脅して、休刊の決定を覆して下さい』と依頼。それを受けて、山田氏はオークラ出版の社長と交渉し、休刊を思いとどまるよう説得しました」

それが功を奏したのか、『撃論』の休刊は撤回されたという。

「ところが、I氏は義理のある山田氏を『撃論』から排除してしまったのです。山田氏は自分が切られたのは、『撃論』にの編集方針に影響力を持っていた筑波大学名誉教授の中川八洋氏がI氏を操っているためだと考えていたようです。ともかく、右翼としてのメンツを潰された格好の山田氏は、ただちにI氏を追い込もうと行動を開始し、I氏や『撃論』を中傷するネット記事を公開したり、新聞を作ったり、I氏が過去に関わった事件を問題にしてI氏の取引先に質問状を提出して、警察沙汰になったりしました」

その活動の一環として、山田氏は取材の際に撮影した高市議員、稲田議員の写真をネットに公開したのだという。

「極右活動家の自分とのツーショット写真が公開されたら、『撃論』を出版しているオークラ出版も困るだろう」というのが山田氏の考えのようだったが、写真は世間からは注目されず、山田氏の思惑は不発に終わった。

高市、稲田両議員がたまたま今回の内閣改造人事で出世したのを機に写真の存在が注目されるに至ったが、問題の写真には政治的な背景などないというのが結論だ。

2年前に話題にならなかった写真が今になって注目された理由には、これまでになかった本格的な保守政権である第2次安倍政権の誕生と在特会のようなネオナチを彷彿とさせる市民団体の跋扈していることも。バカバカしい話が発端の今回の騒動が国際ニュースとして大々的に採り上げられたのは、「日本の右傾化」が現実的なものとして語られるようになったことを示している。

(星野陽平)

タブーなきニュースを満載!『紙の爆弾』10月号発売中!

 

« 次の記事を読む前の記事を読む »