前回に引き続きあまりよく知られていないタバコのお話をダラダラと書いていきますよ!デジタル鹿砦社通信をご覧の皆さん、ごきげんよう。原田卓馬(愛煙家・男性・東京在住)です。

健康を考えてタバコをやめる方、やめたいけれどやめられなくて困っている方、禁煙が却ってストレスになっている方もたくさんいらっしゃると思いますが、嗜好品はあくまでエレガントに楽しもうではないかという感じでタバコのポジティヴキャンペーンをすすめて参ります。なので、タバコが吸いたくなっても私は一切責任を取れませんであしからず。

◆甘いタバコ

さて今回は甘いタバコのことを紹介しましょう。甘いタバコといえば、インドネシア産のガラムというタバコがありますね。タバコの葉だけでなく、料理に使う香辛料の丁子(クローブ)が混ぜてあるので煙は独特の甘い香りがします。線香のようだとか、バナナのようだとか、ベリーのようだとか表現されることが多いですね。フィルターにシロップが染み込ませてあるので、吸い口を舐めると舌先で感じる甘味がありますが、これは吸う人によって好き嫌いがはっきり分かれます。煙を吸い込むとパチパチと弾ける音がしますが、これは丁子の鉄分が燃える時に発生する火花によるものです。

昔はコンビニでも品揃え豊富な店なら売っていたんですが、2010年10月のたばこ増税以降はなかなかお目にかかれなくなりました。(最近、高円寺駅前のファミマにガラムが売っててびっくりした!)

インドネシアは喫煙文化だけでなく音楽も面白いので大好物なんですが、今回はガラムを紹介するわけではないんです!

手巻きタバコ(シャグ)でもフレーバーで着香した甘い香りのものはかなりの数が流通しています。色々試してみましたが、ケミカルな香料のタバコは喫煙後に石鹸で手を洗っても匂いが取れなかったりするのでなんだか不気味でありますからあまりお勧めしません。
ということで(?)、本日のテーマはタバコ本来の甘い香りの味わい方です。

◆吸い方で香りが変わる!

喫煙者、元・喫煙者のあなたはタバコを吸う時どうやって吸いますか?

タバコのフィルター部分を唇に軽く咥えて、口から煙を吸い込んで肺に落として、息と一緒に煙を吐く。紙巻タバコ(シガレット)を吸う方だと圧倒的にこのパターンが多いんじゃないかと思います。これは一般的に肺喫煙という方法ですね。

諸説ありますが、19世紀にクリミア戦争の戦場でパイプを失った兵士が代用品として火薬を包むための紙でタバコを巻いて吸ったというエピソードが紙巻タバコ発祥の一説とされています。その後第一次世界大戦の戦場での手軽な喫煙手段として、シガレットが世界的に大流行するわけですが、シガレットと共に肺喫煙が一般的になるんですねー。

◆クール・スモーキングはできますか?

葉巻やパイプを吸ったことのある方ならもうおわかりかと思いますが、喫煙方法でタバコの香りは変化します。一般的な肺喫煙とは異なる口腔喫煙、いわゆるタバコをふかすというやつですね。タバコの煙を肺に吸い込まないで、口腔粘膜と鼻腔粘膜で煙を楽しむということ。要するに煙を口から吸って鼻から抜くんですけど、結構コツがいります。

◆タバコは優しく吸おう

慌てて急いで喫煙所に駆け込んで矢継ぎ早に2~3本のタバコをチェーンスモーキングするニコチン中毒のおじさんとかいますけど、これはもう最低ですね。スパスパ吸ってはいけません。タバコは燃焼温度が高くなると香りの成分が消失して、そのぶん苦くなったり辛くなったり焦げ臭くなったりします。

辛くなってしまうのはタバコの乾燥し過ぎが原因の場合もあります。市販のシガレットには燃焼抑制剤のグリセリンで保湿され、燃焼促進剤で安定して燃えるようにコントロールされたものがほとんどです。なので、タバコの湿度管理に注意を払う人はほとんどいません。タバコのフィルムは濡れないためというよりは乾燥を防ぐために包装されているものみたいです。

肺喫煙をして肺にガツンとタールの重たい刺激を感じるのが好きな方は、思いっきり吸い込まないと物足りなくてタバコを吸った満足感が得られないわけですが、いうなればお腹が痛くなるまで暴飲暴食しないと気が済まないようなもんです。

味わうこともなくガツガツと餌を貪っている家畜と大差ないですね。ニコチンという麻薬を摂取することは、酒やコーヒーやお茶を摂取するのと同じく人類史における工夫の凝らされた文化的な行為ですが、嗜好品であるからにはエレガントに楽しまなければみっともないですね。

息を使わずに優しく煙を口に溜めて、柔らかく口を閉じていくと鼻から抜けて行く時に濃厚なタバコ本来の甘い香りを感じることができます。燃焼温度が高くなり過ぎないためにゆっくり吸うんですね。タバコの先端の灰はできるだけ灰皿に落とさない方がタバコを低温で燃やすのにいいです。煙を肺にいれなくても口と鼻の粘膜からニコチンを吸収できるので、口腔喫煙でもニコチン摂取による快感を得ることができます。香りのもたらす陶酔感もあるので、ある意味古代から重宝されてきた天然由来のアロマハーブであるともいえますね。

次回はタバコの香りの邪魔になる巻紙のお話でございます。

(原田卓馬)

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