ほとんど想像するのが不可能である人々の群れがある。その方々はたぶん、世間で言われる「普通」より敏感な感性の持ち主で、個性が強い人達だろう、というくらいは見立てがつく。しかし、正直なところその方々の真の「属性」のようなものが掴めない。
私がその姿をあれこれ思い浮かべているのは、ほかでもない「デジタル鹿砦社通信」の読者、つまり「あなた」のことだ。勘違いしないでほしいが私はあなたの年齢や思想傾向、性別などを個人的な趣味で知りたがっているわけではない。
本コラムを読むにあたって、鹿砦社トップページをまず開くと、「デジタル鹿砦社通信」と並んでいるのがいかにも似つかわしくない「ジャニーズ研究会」の見出しが目に入る。どうにも奇異なこの組み合わせだが「ジャニーズ研究会」の読者数はここだけの話、腰を抜かしそうな数にのぼるそうだ。そしてその読者像はだいたい見当がつく。
他方、毎日(毎日ではなく、「時々」であっても)本コラムを読んでくださっている「あなた」の姿は、こちら側からは想像するのがひどく難しいのだ。
毎日更新ながら一貫した主張があるわけでもなく、極めて深刻な冤罪事件から、週刊誌では読めない芸能ネタ、またパロディーや、アジビラかと見まがう内容までを拝読いただいている「あなた」。「あなた」はいったい、どんな方々なのだろうか。
こんな疑問が湧いたのにはそれなりの理由がある。本コラムは2011年に開始され、幾度か執筆陣の入れ替えなどを経て、本年8月から現体制で再スタートしている。現体制での発足後半年にも満たないわけだが、無事年を越せることについて、「あなた」をはじめとする関係各位に年末のご挨拶を申し上げたいのだ。
不肖私ごときが他の執筆者の方々になり替わわるのははなはだ僭越と分かりつつも、本年このコラムをご拝読頂いたことに対して御礼を申し上げたい。
「鹿砦社」というアナーキーな出版社が許容してくれているから本コラムは成立しているが、それにもまして拝読頂ける「あなた」があってのことである。
だから、私は「あなた」のことに興味がある。「あなた」がわかれば、来年はもう少し「あなた」に興味を持っていただけるように、「あなた」に知って頂けるように、「あなた」に怒ってもらえるように、そして「あなた」に笑っていただけるように工夫が出来るのではないかと。
でも、誤解なきようお断りしておかなければならない。仮に「あなた」が分かっても、私は(きっと他の執筆陣も)工夫することはあれ、主張を変えることはないだろう。
自由な言論の領域がみるみる狭まる時代の中で、何のタブーもなく、方針もない本コラムは世間から「尊敬」される存在でありたいなどという勘違いは端から微塵も持ち合わせていない。むしろ権力者や大きなツラをした連中から「鬱陶し」がられ「顰蹙を買う」存在を貫徹したい。
本年は大変お世話になりました。皆様にとりまして幸多き2015年となりますよう祈念いたします。来年も「デジタル鹿砦社通信」をより一層よろしくお願いいたします!
▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ
田所敏夫の《大学異論》──もうひとつの大学を求めて
○140819《01》「度を越した」改革で立命館が一線を越える日(前編)
○140820《02》「度を越した」改革で立命館が一線を越える日(後編)
○140821《03》職員の7割が「非正規」派遣・契約のブラック大学
○140822《04》志ある「非正規」は去り、無責任な正職員ばかりが居坐る
○140823《05》私が大学職員だった頃の学生救済策
○140824《06》「立て看板」のない大学なんて!
○140826《07》代ゼミと河合塾──予備校受難時代に何が明暗を分けたのか?
○140904《08》5年も経てば激変する大学の内実
○140922《09》刑事ドラマより面白い「大学職員」という仕事
○140929《10》公安警察と密着する不埒な大学職員だった私
○141007《11》「草の根ファシズム」の脅迫に抗した北星学園大学にエールを!
○141016《12》大学ゴロ──学生確保の裏で跋扈する悪徳業者たち
○141025《13》学園祭で「SMショー」は芸術か?ワイセツか?
○141030《14》学園祭のトラブルは大学職員が身体を張って収束させる
○141104《15》北星学園大学を追い詰めた「閾下のファシズム」
○141106《16》京都大学が公安警察の構内潜入を拒否するのは100%当たり前!
○141112《17》学園祭の「ミスコン」から芸能界へ、という人生
○141114《18》「過激派」は学生でなく今の日本・安倍政権!──京大集会見聞記
○141115《19》警察が京大に160倍返しの異常報復!リーク喜ぶ翼賛日テレ!
○141119《20》過去を披歴しない「闘士」矢谷暢一郎──同志社の良心を継ぐ
○141210《21》本気で学ぶ大学の選び方─「グローバル」より「リベラルアーツ」
○141220《22》真っ当に誠実さを貫く北星学園大学の勇断に賛辞と支援を!
○141226《23》青山学院大学──経営者自らがぶち壊す「青学ブランド」